1
誓いを胸に。

#シルバーレイン #ノベル

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#シルバーレイン
🔒
#ノベル


0



ヴァンパイア・ハンター
【予知】
 シナリオ『甦る吸血鬼艦隊~交わる異界の機械兵士ゾルダート~ 作者:戌』にて、闇堕ちしてダークネス「ヴァンパイア」と化したダンピールの猟兵、ヴァンパイア・ハンター(|吸血鬼狩人《VAMPIRE HUNTER》・f39574)の行方が判明しました。
 時間帯は夜。|彼女《ハンター》は今まで必死に吸血衝動に抗っていましたが遂に限界を迎えてしまい、一般人を襲撃して血を吸い取り殺そうとしている模様です。

 そうなる前に、ハンターを弱らせ、正気を取り戻させてください。
 ハンターは、闇堕ちでLvが3倍、実質戦闘力が10倍化しています。
 その武装の多くが対吸血鬼戦に特化している為、その強力な武装の多くは使用不可となっています。恐らくは闇堕ちした場合も想定していたのでしょう。
 しかし、装備「鉄塊黒剣」「夜纏蓋套(光属性吸収)」とダンピール|由来《ルーツ》の通常サイキック「紅蓮斬」「ギルティクロス」「ヴァンパイアミスト」と、ヴァンパイアの各種能力、そしてゴーストチェイサーのユーベルコード「タイマンチェイス」を使用してきます。十分に注意してください。
 ……仮に救助が不可能な場合、対象の識別を猟兵から完全な|敵性存在《ダークネス》へと変更。完膚なきまでに灼滅してください。
 勿論、そうならない様死力の限りを尽くし、どうか救出をお願いしますっ!

※このノベルは、執筆担当MSのグリモア猟兵の出撃が可能です。



「正気を、取り戻して!」

黒いローブに身を包む、白髪紅眼の少女が叫ぶ。
それに対し、黒い外套に身を包む、白髪碧眼の少女は無言。

話せないのではなく、話さない。
今も、心のどこかでは抗っているのだから。

──かつての誓いを、無為にしないために。


二人が遭遇したのは、偶然だった。
シルバーレインの、煌めく満月の夜。

失踪したと言われていた|彼女《ハンター》は自分を押さえ付けていた禁を破った。

それは、抗い切れぬ吸血衝動。
抑えても、抑えても、意思の力ではどうしようもない、絶対的な本能によって。
故に、彼女は瞳から蒼い残光を残し、夜を駆けた。

どくどくと速まっていく心臓の鼓動に、耐え切れなくなって。
夜に紛れ、一陣の風となって──

だが、そこに現れたのは、ローブに身を包んだ、|白い少女《白霧・希雪》。

「そんなことは、させません。貴女の為に。」

特徴的な“紅”の瞳を向け、立ち塞がる。

|彼女《希雪》には彼女の誓いがある。
人を殺す苦しさを知っている。
“殺される”苦しさを知っている。

だから──

|紅《希雪》は手を|蒼《ハンター》へと伸ばす。
蒼はただ本能のままに、紅を切り付ける。

紅は、なんの抵抗もせず切り裂かれ、灼けるような血の華を咲かした。
そして代わりに、伸ばした手から黒い呪を放つ。

それは、与奪の呪。
全てを与え、全てを奪う。ごく単純な、そんな呪い。


ハンターの精神を揺さぶるのは、“力”の代償だ。
非常に強力で、危険な力とも言える。
言い換えれば、その“罪”の源は──

だから──希雪は迷わず、その力の源を奪う決意を固めた。

罪を、業を、背負うのは、自分だけでいい。

「安心してください。もう、罪なんて犯させませんから…」

その身が切り裂かれ、血が溢れ出そうとも。
如何なる激痛が体を貫こうとも。
たとえ死んだとしても。否、彼女に“死”はない。

“奪った”命を消費して、蘇る──これが彼女の性質の一つ。
尤もこれは、彼女の罪の象徴でもあるのだが。

今は、これに頼るしかない。

ただ、奪い続け、ただ、声をかけ続けた。

「大丈夫。私が、救います。」

「だから、だから──次に、目を覚ました時に──」

「何もかも、忘れていてね──」

罪のない人を、殺した痛みは。
理由もなく、傷つけた痛みは。

自らを呪い殺したい程に、大きいものだと知っているから。



朝日が、上る。

そこには、闇に抗う吸血鬼など存在しない。
あるのは、ただ純白の翼に包まれ眠る、ヴァンパイア・ハンターの姿だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年06月30日


挿絵イラスト