「悪夢の中で何が起こるかはわからないが、どうにかして少女を守り抜いてくれ。オブリビオンは自身の思い通りにならないとみるや、姿を現すはずだ。奴は他者を見下し、欺き、煽り、屈辱に染めて楽しむ獣。反面、同情や共感されると怒りを覚えるようだ。付け入る隙があるとすれば、そこだろうな。しかし」
「このオブリビオン、|どのダークネスにも属していない《・・・・・・・・・・・・・・・》ようだ。もしかしたら、何処かの誰かの『真の姿』なのかもしれないな。……少し、喋り過ぎたか」
藤影有
お世話になっております。藤影有です。
TW4は未履修です。お手柔らかにお願いします。
第一章【日常パート】、第二章【冒険パート】、第三章【ボス戦】です。
●日常パートについて
精神世界に侵入すると、少女の見ている夢の光景が広がっています。
まずは少女(の、魂)に接触し、寄り添っていてあげましょう。
精神世界への侵入は武蔵坂学園のシャドウハンター達の助力を得られる為、特別に何かをする必要はありません。
(猟兵がシャドウハンターの場合、侵入に至るまでのロールプレイを挟んでも構いません)
●冒険パートについて
猟兵の侵入をオブリビオンが察知したのか、夢が徐々に歪み始め、悪夢に変化していきます。
光景の変化の他、何処からか嘲るような声が聴こえてきて文字通りの精神攻撃を行ってくるようです。
攻撃は猟兵にも及ぶかもしれません。
前章で接触した一般人を励まし、敵に惑わされぬよう守り抜きましょう。
●ボス戦について
思い通りにならぬとみるや、オブリビオンは姿を現すでしょう。
敵は他者を見下し、欺き、煽り、屈辱に染めて楽しむ性質を持ちます。
煽られると相手をどう煽り返そうか楽しむものの、同情や共感されると怒る様子。
純粋なユーベルコード勝負のみならず、敵の精神を揺らがせてやれば戦いをより優位に進められるやもしれません。
●プレイングについて
各章とも断章投下と同時に受付開始します。
以降の受付開始・〆切予定等はMSページやタグをご確認いただけますと幸いです。
それでは、どうぞよろしくお願い致します。
第1章 日常
『勉強会をしよう』
|
POW : 気合で資料を丸暗記する
SPD : 基礎から丁寧におさらいする
WIZ : 講師役となり、他の人に勉強を教える
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●Protect
放課後。夕日射す保健室。
体調を崩したらしき少女は、授業時間が終わってもなお此処で眠りについているという。
顔色は青白く、時に呻き声を漏らしている。
既にオブリビオンの魔の手は伸びているようだ。
準備はいいか、とシャドウハンターが問う。
頷けば、重力に強く引かれるような感覚を伴って――。
* * *
気が付けば、其処は図書室であった。
件の少女が勉強に勤しんでいる姿が見える。
辺りの様子を探っても、平穏そのもの。
幸いにも今は、悪夢のターンではないらしい。
されど、いつ何が起こるかはわからない。
少女に話しかけるか、それとも距離を置いて見守るか。
どんな手段を取るにせよ、彼女から意識を完全に逸らしてはならない。
此原・コノネ
おねーさんを助ければいいんだよね?わかった!
こうしてお仕事受けるのは、初めて!
じゃ、ダイブダイブ!
んー、図書室は静かにしなきゃいけないよね。武蔵坂のおねーさんおにーさん達から聞いてる。
あのおねーさんも、今はお勉強してるみたいだから…あたしは本を一冊選んで、近くの席に…できれば、斜めくらいの場所に座って読むフリ!
おねーさんのお勉強は、あたしわからないから。こうやっていた方が自然かなって!
意識そらさないようにしなきゃ…。大丈夫大丈夫。
●
此原・コノネ(f43838)は、|こういった仕事《復活ダークネス事件》には慣れていないと自認していた。
何しろ彼女自身もダークネスであるとはいえ、未だ齢8歳。
先の大戦時には生まれてこそいるが、気が付いたら生き残りになっていた部類の存在である。
されど。
そういった背景を持っていても、今の彼女は猟兵。世界を守る側に属する者だ。
何より。
(「じゃ、ダイブダイブ!」)
弾む心、軽い足取り。
彼女自身は復活ダークネス、もといオブリビオンを相手取って|遊ぶ《殺す》のが楽しくて仕方がないのだ。
ゆえに事件発生と聴いて誰よりも先に、少女の精神世界の奥へ、奥へ。
全ては、此度の獲物と存分に遊ぶ為に。
(「んー、図書室は静かにしなきゃいけないよね」)
こそり。
精神世界に辿り着き、本棚の陰から顔を出し。コノネは件の少女の様子を伺う。
図書室での振る舞い方については、武蔵坂学園の先輩達から聴いている。
(「あのおねーさんも、今はお勉強してるみたいだから……うん、決めた!」)
適当な本を一冊選んで、コノネは少女の斜め前の席へ。
本を開いて――この世界の灼滅者とダークネスの歴史について書かれた、挿絵の多い本だ――読書に勤しむふりをしながら、少女を見守ることにした。
赤い瞳でじっと、少女から目を逸らさぬように。
問題集に目を落としている少女は、現実世界の本体程ではないが、いささか顔色が良くないように見えた。
(「もしかして……オブリビオンのせい?」)
疼く殺人衝動。
されど、其を発揮するのは今ではない。
じっと機を待つのだ。ターゲットが動き出すその時まで。
大成功
🔵🔵🔵
暁・アギト
【WIZ】
ほんと、久しぶりだな、|精神世界《ソウルボード》…
さて、まずは猟兵としての戦い方に慣れるかねぇ
対象の女の子に接触するぞ
こちらに気づくまでは話しかけないぞ
「や、勉強に熱心で先生は嬉しいな。何か力になれることがあったら言ってね?」
少女が躓いてる気配を感じたら、図書館の資料を持ってきて教えたり、一緒に解いたりして手助けするぜ
一応は養護教諭とはいえ、教師だからな、なんとかしよう
…学生時代を思い出すな
●
かつて灼滅者として精神世界に降り立ってから、もう七、八年の時が流れただろうか。
(「ほんと、久しぶりだな……」)
暁・アギト(f43816)の視線の先で、件の少女は参考書を捲っていた。
じっとページに目を落としたかと思えば、前のページに戻って、また先程のページへ。
その様は、中学生の日常そのものに見えるが。
(「でもここは、悪夢の中だ。きっとあの時の被害者みたいに、彼女は苦しい思いをさせられてるんだろうな」)
灼滅者の«アトシュ»と公に名乗っていた頃の記憶を手繰り、青年は小さく首を振った。
今の自分は«アギト»であり、猟兵だ。
されど、為すべきことは変わらない。
(「まずは、猟兵としての戦い方に慣れるかねぇ」)
アギトが決意を新たにしたと同時。
「あの……?」
少女が彼に話しかけてきた。
気付かれた。されど、アギトは動じない。
「や、失礼。熱心に勉強しているようだったから、先生は嬉しくてね。何か力になれることがあったら言ってね?」
「あ、えっと、その。……ありがとうございます」
ふわりと笑んだ少女であったが、その顔色は良いとは言えなかった。
(「現実世界と同じ、か。オブリビオンの影響だろうな」)
悪夢は繰り返されているという。少女の魂は、少しづつ摩耗していっているのだろう。
オブリビオンはまだ姿を見せない。今、アギトにできるのは。
「先生。その、実は英語でわからないところがあって。今、お時間ありますか?」
「大丈夫だよ。資料を取ってくるから、ちょっと待っててね」
一教師として、少女に寄り添ってやることだろう。
今の彼は武蔵坂学園の養護教諭でもある。学生の質問に答えられる知識も、包容力も持ち合わせている。
「うん、文法は理解しているね。実は、この問題は熟語で――」
「あ、そういうことだったんですね。覚えておかないと」
熱心にノートを取る少女の姿に、アギトは自身の学生時代を想起する。
懐かしく、それでいて眩しくもあって。
青年は僅かに目を細めたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
サンディ・ノックス
招集・星夜を使用して水晶の体の小人達を6体呼び出し、少女の行方を探す
少女を発見しても召喚は解除せず漂わせておく
小人達って目が隠れて見えない体の構造をしてるんだけど
いつも楽しそうな笑顔を浮かべているから
いい雰囲気作りをしてくれるんじゃないかなって思うんだ
少女は誤解を解くためにあらゆる手を尽くしているそうじゃないか
どう頑張っても悲しい結末になってしまうなんて、辛いな
まず少女に名乗り彼女の名前も聞く
それから何度も頑張っている事情を知っていることを伝え
よく頑張っているんだよって褒めてあげる
それから――
ヒトとヒトのすれ違いは悲しいけれどすれ違ったことは罪じゃない
消えなきゃいけないような罪じゃないと説くよ
●
サンディ・ノックス(f03274)がその予知を耳にしたのは、必然であったのかもしれない。
(「欺き、煽り、屈辱に染めて楽しむ獣。まさか……でも、嫌な予感がする」)
真実は己の目で確かめねばならない。そんな気がして。
何かに導かれるように、青年は少女の精神世界へと降り立った。
果たして、少女はすぐに見つかった。
今は勉強の手を止めている彼女は、だいぶ憔悴しているように見えた。
繰り返されている悪夢。その結末は悲劇と運命づけられている――オブリビオンの手によって。
(「どう頑張っても悲しい結末になってしまうなんて、辛いな」)
どうか、少女の魂が少しでも癒されるようにと願い。
サンディは青色系の水晶で構成された小人の一団を、少女のもとへと向かわせた。
「……へ? え? わ、綺麗」
6人の小人達が、少女の周りでくるくる踊る。
楽しそうな笑顔の小人に釣られるように、少女も穏やかに笑んだ。
「こんにちは」
「え、貴方は――」
小人を一人、掌の上に呼び寄せて。サンディは名乗り、また少女の名を問うた。
「私は、アイです」
「そう、アイさんだね。アイさん。実はね、俺は君の事情を知っているんだ」
「え……?」
「苦しい思いを繰り返していることも、それでもアイさんが頑張り続けていることも」
水晶の小人達が少女の頭の上に乗り、皆で優しく撫で始める。
「どう、して」
「まずは、ここまでよく頑張ったね。友達とのすれ違いがどうして起きてしまったのかまでは、俺にはわからないけれど」
それでも、と。青年は説く。
ヒトとヒトのすれ違いは悲しいことだが、すれ違ったことは罪ではないのだと。
「けして、消えなきゃいけないなんてことはない。どうか、自分を責めないで」
「…………」
少女の頬を静かに涙が伝う。
やや虚ろだった彼女の瞳にも、光が戻ったようであった。
されど、その状況は。
「アイ、ちょっといい?」
「あ……ユウ、ちゃん?」
オブリビオンにとっては、都合が悪いことであるらしい。
『チッ、あと少しで落とせたってのに。まさか夢の中に|異物《・・》が紛れ込むとはなぁ!』
何処からかの声がする。
悪夢が這い寄り、現れる。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『仕組まれた罠を越えて』
|
POW : 力業で強引に突破する
SPD : 素早く見切って駆け抜ける
WIZ : 罠や仕掛けの制御を奪う
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●Stir up
オブリビオンは何処からか、こちらの様子を見ているのだろう。
喉の奥でくつくつと嗤ったかと思うと。
『まあいい。|異物《・・》ごと悪夢に沈めてやるよ!』
愉し気に言葉を吐いて、被害者たる少女・アイの夢を闇に染め始める――。
「ユウちゃん! あのね、私……」
「もうさ。あんたとなんか話すことないって。最後にそう言いに来たんだ」
ユウと呼ばれたジャージ姿の女生徒は、顔の部分が歪んでいて表情が伺い知れない。
されど、アイはそのことにすら気付いていない様子で、必死にユウへ語り掛けている。
ここは彼女の夢の中。オブリビオンに捕らわれた今「これは夢」と知覚できていないのだろう。
「あんたとは、絶交ね」
くるりと背を向け、ユウが去っていく。
途端、景色が揺らぎ、歪む。
『ははは! 何度やっても無駄だっての!』
オブリビオンが嘲笑うと同時。射し込む夕陽が作り出す影が、するりとアイへ伸びてゆく。
『アイツはお前のことなんざ、友達だなんてハナから思ってなかったんだ!』
アイの真下へ到達した影は。
『お前の声も、想いも届かない。そう、誰にもな! ――たった一人で朽ちて行け!』
膝を付いた彼女を少しずつ、少しずつ、呑み込んでゆく。
『ククッ! ここは既に俺の城、俺の|領域《テリトリー》! さあ、無力な|猟兵《異物》サマ方。せいぜい足掻いてみせろよ?』
少女と猟兵とを分かつように、影が黒い結晶へと具現し、行く手を阻む。
何処から飛び出してくるかわからぬ結晶に警戒しつつ、アイの手を取って影から逃れ続けることが必要だろう。
その最中にもきっと、オブリビオンの下卑た声が聴こえてくるであろうが。
耳を貸してはならない。
全ては、仕組まれた悪夢に過ぎないのだから。
此原・コノネ
遊ぶには、おねーさんを助けなきゃいけない。
うん、やることはわかった。
結晶は、あたしのダイダロスベルトが自動防御してくれるから、気にしない。そのまま突っ込むね!
あたしの影業を伸ばして、おねーさんの服の端をちょいちょいと動かして。あたしに気づかせてから、手を掴んで逃げるね!
おねーさん、だいじょーぶ!あたしと一緒に、あの影から逃げよう!
おねーさんは、ひとりじゃないよ。あたしもいるし、他の人もいるからね!
ほんとにだいじょーぶだから。あたしの手、暖かいでしょ?
(っていうことを言えばいいかもって、武蔵坂のおねーさんおにーさん達に聞いたよ!)
暁・アギト
【POW】
砕くための鈍器代わりにスレイヤーカードから【武装召喚】で救急カバンを取り出して、【急所を見抜く】で結晶の脆いところを見つけ出して砕く!
アイには呼びかけて行くか
「アイ、お前の友達はこんな酷いことを言う奴らか?それとも、あいつらに何か酷いことをしたか?」
「違うなら下を向くな。誰かの囁き声に負けるな。」
●
アギトの判断は早かった。
「アイ!」
少女に呼び掛けながら、スレイヤーカードより武装召喚。
「アイ、お前の友達はこんな酷いことを言う奴なのか?それとも、あいつに何か酷いことをしたのか?」
鈍器代わりの救急カバンを取り出し、構え。顕現した黒い結晶に視線を巡らせて。
(「すぐ傍と……そこだな! 一度で砕く!」)
結晶の脆い部分へ向けて、正中線を軸に身体を回転させ、カバンをぶん回す!
ぱりんと軽い音がして、少女への道は開かれた。
呆然とこちらを見つめているアイのところへ、駆け出すはコノネだ。
「おねーさんっ!」
結晶が新たに出現すれども、ダイダロスベルトが自動的にコノネの身を守ってくれる。
加えて、共に戦場に立つアギトに背を任せられる。
臆することは何も無い。
迷わず、コノネは少女の手を取った。
「おねーさん、だいじょーぶ! あたしと一緒に、あの影から逃げよう!」
「わ、たし……どうすれば」
困惑か、僅かな錯乱もあるだろうか。
少女の心の動きを感じ取り、コノネは努めて明るく呼び掛ける。
「おねーさんは、ひとりじゃないよ。あたしもいるし、あのおにーさんもいる! みんなでおねーさんを助けに来たんだよ!」
結晶に警戒しつつ、駆け寄ってきたアギトも深く頷いた。
されど、そこへ。
『ははは! 都合よく助けが来ると思ったか? それはお前の願望、まやかしに過ぎねえよ!』
オブリビオンの声が煽るように響く。
びくりとするアイ。
しかしながら、敵の術中に嵌まるような猟兵達ではない。
「アイ、下を向くな! ……もう一度聴く。お前は、友達にあんなことを言われる覚えはあるのか?」
「そんな、違う、の。ただ……最近、あんまり話せてなくて。それで、距離、できちゃって……」
オブリビオンが生み出した悪夢は、少女の不安を元にしたもの。
現実の彼女と友人は、すれ違いこそあれど諍いにまで発展してなどいなかったのだ。
「それなら友達を、何よりもお前自身を信じて顔を上げろ。前を向くんだ」
アギトの言葉を受け、アイの瞳に光が戻る。
その手を、コノネがそっと握った。
「ほんとにだいじょーぶだから。まやかしなんかじゃない。ちゃんとここにいるよ。あたしの手、暖かいでしょ?」
それは武蔵坂学園の先輩から教わった|対処法《・・・》ではあったのだが。それでも、アイに対しては確かな救いとなった。
こくりと頷いた少女の背をアギトが支え、コノネが引いて――無事、影から引き上げることに成功した。
『チッ、異物どもが。余計なことを!』
悔し気なオブリビオンの声に取り合う必要など皆無だ。
猟兵達は少女を連れて、悪夢から逃れんと走り出す――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
サンディ・ノックス
この黒水晶…
やっぱり、アイさんの精神世界に居座っている獣というのは…
推測で動くことは危険だとわかっていても
俺の影といえる存在が頭をちらついてしまう
…いや、仮に俺の影と同じ姿をしていたって俺の影とは別物だ
アイさんを助けてオブリビオンを倒す
それが俺のやるべきことだ
黒水晶に対策するために解放・星夜を発動
小人達に水晶を壊すように指示を出す
水晶に貫かれれば小人は消えてしまうけど
それを恐れるような子達じゃないしね
アイさんの手を繋ぐ同業者、いい仕事してるな
ならば俺もアイさんに声をかけつつ脱出を試みよう
ここは悪夢の中なんだ
俺達はアイさんを悪夢から目覚めさせるために来たんだよ
さあ、本当のユウさんに会いに行こう
●
アイを連れ、猟兵達は駆け続ける。
その最中。
「解放・星夜。――お願い」
召喚した小人達に襲い来る水晶への対処を指示しつつ、サンディは思考していた。
彼はオブリビオンが操る黒い水晶に覚えがあったのだ。
(「この黒結晶……やっぱり、アイさんの精神世界に居座っている獣というのは……」)
予知の現場に居合わせた時に過ぎった、嫌な予感が想起される。
推測で動くことは危険であると、サンディは充分に理解していたが。
それでいてなお、一抹の不安が――己の“影”の姿が頭から離れなかったのだ。
もしも、推測が当たってしまっていたとしたら?
相対したオブリビオンが“あの姿”をしていたら?
(「……いや」)
結論に至り、青年は小さく首を振った。
(「やるべきことは変わらない」)
仮に己の影と同じ姿をしていたとして、自分自身とは別物だ。
(「アイさんを助けて、オブリビオンを倒す」)
決意。固き想いは、青年の言葉にも現れた。
「アイさん。ここは悪夢の中だって、信じてくれる?」
「……はい」
傍らの少女はか細い声ながらも、はっきりと。サンディの目を見て応えてくれる。
「俺達はアイさんを悪夢から目覚めさせるために来たんだよ。さあ、ここから抜け出して、本当のユウさんに会いに行こう」
「っ! はい!」
必ず、悪夢から抜け出してみせる。
猟兵とアイの想いが一致して――道が、開かれる。
大成功
🔵🔵🔵