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|ゲキトウ・ゲキアツ・オンセン《GGO》

#ゴッドゲームオンライン #バズリトレンディ #憂国学徒兵

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#ゴッドゲームオンライン
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#バズリトレンディ
#憂国学徒兵


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● [GOD.GAME//ONLINE]
「どこからともなく呼ばれてもないけど、呼ばれて飛び出てなんやかんやの……わいちゃんやで!! そう、|『虞』《おそれ》知らずの新し親分『バズリトレンディ』! 出勤だァッ!!」
 此処はゴッドゲームオンライン、『学園』と呼ばれた拠点である。
 そこに突如として現れた謎の特撮の聖地、岩船山。謎の?
 いやまあ、ともかく『学園』の裏庭に現れた岩船山中腹採掘場遺跡の高いところで、これまた唐突に爆発が三連続で吹き荒れる。ナパームニ発とセメント一発の内訳である。
 とんでもない爆発と粉塵がこれでもかって位、外連味たっぷりに炸裂する中にいるのは、誰だ!

 そう、我々は知っている!

 あのスラリとしたお御足の根本、神秘のセーラースカートの奥にあるであろう|『股』《また》!
 肩に乗るのはツチノコと白いたい焼き! その身長は一体何センチなんだろう、|『背』《せ》!
 そんでもってこれまで集めに集めた流行り物コレクションを内包した|『棚』《たな》!
「『また』『せ』『たな』! ワイちゃんやで!!」
 二度目の爆発が炸裂する。
 その光景をこの『学園』を拠点とするクラン『憂国学徒兵』のゲームプレイヤーたちは唖然と見上げていた。
 空いた口が塞がらないとはこのことである。
「へい、そこのガイズ!『バズリトレンディ』半端ないって! って思ってるんやろなぁ! わかるで! ゲームプレイヤーくんさぁ、妙だな……って思わないかい! 思わないのかい! どっちなんだい!」
 猛烈なマシンガントーク。
 まったくもって『憂国学徒兵』のゲームプレイヤーたちはついていけなかった。
 一体全体、この唐突に現れたノンプレイヤーキャラクター? が何を言っているのか、また何がしたいのかさっぱりわからなかったのである。

「いや、思って……」
「「待ちなさーい!」」
 るけど、と『アイン』と呼ばれたゲームプレイヤーが口を開きかけた瞬間、食い気味で『バズリトレンディ』はインターセプトする。インターセプトの意味わかってる?
 いや、そもそもなんで声が二重に聞こえるの?
「ワイちゃんの華麗なるクエスト説明をスキップ連打するつもりよ! そんなの許さないわ! 男の人っていつもそうですね……!」
「いや、私、女なんだけど……」
「そんあの関係ねぇ! サカバンバスピスもそう言ってます! でも怒らないで下さいね。夏なのにイベント少なすぎじゃないですか。ワイちゃんが→作ってあげますヨ! 水着、復刻、古戦場、ウェディング水着、ゴールドビキニ、逆バニーに家元ガチャ。ふしだらな女と笑いなさい!」
「あの」
「そして、ここで課金へのこだわりをひとつまみ……w くぅ~疲れましたw これにて完成です! ナイアルテ、自害しろ」
「せ、説明を……」
「黙れ小僧! ワイちゃんの気持ちがわかるか! 流行り廃りは時の流れ以上に残酷で刻の涙を見るし、やってみる価値はありますぜって、後のせサクサク設定で評価百八十度反転しちゃったいたいな、そんなこれが『セラフィム』、悪魔の力よ!」
「徹頭徹尾わからん!」
 クラン『憂国学徒兵』のメンバーたちは困惑しっぱなしだった。
 結局、この『バズリトレンディ』を名乗るノンプレイヤーキャラクターは何が言いたのか?

「ええと、その、つまりは夏イベンドクエストを開催するっていうこと?」
「そこのお前、夏イベントクエストに含まれる夏イベントクエストは夏イベントクエスト一個だぜ! 5000兆円欲しいのなら、戦え! あふれるエネミーからドロップしたホワイトブリムでウェディング水着とタキシード水着で、走れ~♪ 高速の~『憂国学徒兵』ぃ~♪」
 いきなり歌うよ。
「温泉は水着着用やで! なるほどな……もろたで工藤!」
「そういうことですか」
「わかったのか?」
「つまりは、これは荒稼ぎクエスト、ということでしょう。夏前にゲームプレイヤーの課金欲を煽って、ガチャをジャブらせるという、運営の罠」
『ツヴァイ』と呼ばれたゲームプレイヤーの言葉に、『学園』のノンプレイヤーキャラクターこと『エイル』はハイライトが失われた死んだ魚の目で首を振っているが、それにかぶさるように『バズリトレンディ』がカメラにフレームインする。
 やりたい放題である。

「『エイル』くんちゃんさん、どしたん話聞こうか?」
「で、いっぱいボックスガチャできるのか?」
「ガチャいっぱい欲しいんだったらさ、詫び石あてにしちゃだめじゃない。自己防衛、投資、あとは異世界転生、統制機構脱出だよね。だから国なんかあてにしちゃだめよ。あてにするから文句が出るわけでしょ。なら、課金いつやるの? 今でしょ!!」
 結局なんにもわからん――!

●ゴッドゲームオンライン
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。なぜか服従の魔法で自害を命ぜられた気がしましたが、気の所為ですね。今回はゴッドゲームオンラインに突如現れた新し親分こと『バズリトレンディ』さんが大量のバグプロトコルを出鱈目レベルなイベントでもって呼び寄せてしまったのです」
 はた迷惑な。
 本当に、その言葉に尽きる。
 彼女は夏イベントクエストをばらまいているのだが、なぜかバグプロトコルはイベントクエストに集まってくるのだ。
 だが、そのせいで難易度は爆上がりである。

「こうなると一般のゲームプレイヤーさんたちでは太刀打ちできないかもしれません。集結したバグプロトコルの数が多すぎるからです。ですが、これは逆に考えれば私達にとっては好機やもしれません」
 そう、何処からともなく引き寄せられてきたバグプロトコルを一掃できれば、ゴッドゲームオンライン上のバグプロトコルを大きく減らすことができるかもしれないのだ。
 だが、難易度はクソゲーレベルである。
 ほんと、運営さぁ……となるやつである。

「それでは皆さん、好きなバリエーション衣装発表ナイアルテが、好きなバリエーション衣装を発表します」
 ……なんで?
「敵側に事情があって与することになってしまい、仮面で顔を隠しているけれど衣装でモロバレな元味方♪」
 ……。
 奇をてらってスベる。
 ナイアルテは、その痛烈な痛みに悶絶しながら、猟兵達をゴッドゲームオンラインへと送り出すのであった。
 自業自得だ――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はゴッドゲームオンラインにおける事件です、姉さん!
 何処からともなく現れた謎の妖怪、新し親分『バズリトレンディ』、彼女は夏のイベントはオンラインゲームの義務と言わんばかりに『敵からドップしたホワイトブリムを集めて、ウェディング水着とタキシード水着で温泉マラソンしようぜ!』というイベントを開催しています。

 すると、どうしたことでしょう。
 あんなに簡素で寄る辺もなかった夏イベクエストに、見違えるようにバグプロトコルが集まってきたのです。
 劇的アフタービフォー。

 ばかみたいな数のバグプロトコルが拠点『学園』に迫ってきて、採掘場遺跡はせり上がるし、温泉は湧き出すし、てんやわんやです。
 この『学園』を管理しているノンプレイヤーキャラクター『エイル』は死んだ魚の眼で管理をがんばっています。

●第一章
 集団戦です。
 拠点『学園』に湧き出した温泉フィールドに乗り込み、内部に集まっているバグプロトコル『カキンゴオリ』の群れをぶっ飛ばしましょう。
 なんかいつもはトリリオンとかをドロップしますが、今回はイベント限定アイテム『ホワイトブリム』を一定確率でドロップします。なんで?

●第二章
 ボス戦です。
 前章にて十分な数の限定アイテム『ホワイトブリム』をゲットしていれば、このイベントクエスト限定で絶大な性能を発揮する『ウェディング水着』と『タキシード水着』が作成できます。
 これを装備しないと、ボスへのダメージやバッドステータス成功率は10分の1にまで下がります。装備しましょうね。
 あと、伝統的に温泉では水着は絶対と聞きました。

●第三章
 日常です。
 おかげさまでイベントクエストは大盛りあがり。バグプロトコルは一掃され、あほみたいな難易度クエストに逆に楽しくなってしまったクラン『憂国学徒兵』たちとノンプレイヤーキャラクター『エイル』と共にイベントの締めの温泉パーティと洒落込みましょう。
 後普通に『バズリトレンディ』も乱入してきます。

 それでは、夏といえば水着! 水着といえばウェディング! ウェディングと言えば、メイド! メイドと言えば、期間限定ガチャ! 高難易度クソクエに挑む皆さんの物語の一片となれますように、たくさんがんばります!
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第1章 集団戦 『カキンゴオリ』

POW   :    グラトニートリリオン
【舌】が命中した敵の【トリリオン】を叩き割る。高所から攻撃する程命中率上昇。
SPD   :    トリリオン・コントロール
【黄金の嵐】を放ち、戦場内の【課金アイテム】が動力の物品全てを精密に操作する。武器の命中・威力はレベル%上昇する。
WIZ   :    強制課金バグプロトコル
【偽トリリオン】を視界内の対象1体に飲み込ませる。吐き出されるまで、対象の身体と思考をある程度操作できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「……意味わかんねー」
「『学園』のあちこちが温泉地帯になってますよ」
「いや、それよりもあの採掘場遺跡はなんなのだ! しきりに爆発が起こっているが、だいじょうぶなのか! あれは!?」
「それよりもエネミーの数多くない?」
 クラン『憂国学徒兵』達は、己たちの拠点『学園』がいつのまにか期間限定イベントクエストのフィールドになったことに動揺していたし、あふれるエネミーが尋常ではないことに大慌てであった。
 エネミー『カキンゴオリ』。
 倒すとトリリオンを大量にドロップしてくれるありがたいモンスターだ。
 だが、今回は違う。
 倒してドロップするのは『ホワイトブリム』である。
 そう、メイドさんの頭に乗っかっているフリルのカチューシャ。あれ。

「なんで?」
「何か意味があるんでしょうか」
「回目検討もつかん!」
「でも、ドロップしている以上意味があるんでしょう?」
 何もわからない。
 けれど、温泉の白煙立ち上るフィールドにあふれかえる『カキンゴオリ』の数は異常だった――!
明和・那樹
●POW

バズリトレンディって…アレだろ?
カクリヨファンタズムを統治している親分の一人で、ハロウィンで思いつきのメイド喫茶(過去ノベル参照)をやってた
…どうして|GGO《ここ》に居るのか真面目に考えれば考えるだけエイルのように頭が痛くなってきそうだし、今は置いておこう
…ともあれバグプロトコル案件に間違いないから、今はそれに専念して考えなずにだ

まずは何時ものように憂国学徒兵の皆に猟兵である事を隠しながら
ナイアテが言ってた好きなバリエーション衣装みたいだけど、調子を崩さず自然体に…『黒影剣』で敵味方問わず存在を隠しながら倒して行こう

…ドロップアイテムはメイドの被り物か…何故かウィルの姿が目に浮かぶよ



 新し親分『バズリトレンディ』の勢いは、本当に正面衝突不可避っていうくらいに凄まじいものであった。
 何処に進んでも事故になるやつと言うか。
 暴走超特急というか。
 約束された事件の結末めいた物があるように思えた。
 それもそれでどうなんだろうか、と明和・那樹(閃光のシデン・f41777)は学生帽を目深に被り直した。
 なんかノンプレイヤーキャラクターの『エイル』が死んだ魚の眼をしているのが気になる。
 未だ自分と『エイル』はクラン『憂国学徒兵』のメンバーたちに猟兵であること、ノンプレイヤーキャラクターであることを隠している。
 グリモア猟兵が言っていたところの好きな衣装バリエーションのアレみたいだな、と思わずにはいられない。
「……まあ、がんばろう」
「お願いね」
『エイル』の声は死んでいた。
 なにせ『バズリトレンディ』のもたらしたイベントクエストは、膨大なバグプロトコルを引き寄せる。

 ゲームプレイヤーにとっては、異常に発生したエネミーである。
 しかし、数が多すぎる。
「カキンカキンカキンガキガキガッキーン!!!」
 妙な咆哮と共にバグプロトコル『カキンゴオリ』が飛び出してくる。
 かき氷。
 黄金のかき氷を思わせる姿のバグプロトコルは、その舌をカメレオンのように放ち、攻撃してくる。
「こいつの攻撃に当たるとトリリオンがロストすっから気をつけろよ!」
『アイン』と呼ばれたゲームプレイヤーの言葉に那樹は頷く。
 はっきり言って、渾沌めいたクエストフィールドであった。
 あちこちには白煙が上がっている。

 そう今やクエストフィールドとなった拠点『学園』は、温泉があちらこちらから湧き出し、温泉びたしになっているのだ。
 というか、常時足湯に浸かっているようなものだ。
 微妙にこれバフ掛かってない? と那樹は思った。ステータスを確認すると確かに……いや、これデバフも掛かってるな!?
「ぬかるんでSPD値が下がってる! 逆にATK値は上がってる!」
「え、マジで?」
「本当ですね。これも限定クエストの効果なんでしょうか?」
「いや、それよりもトリリオンを割られるとか、凶悪極まりないぞ、このエネみー!」
「せっかくガチャにと貯めていたトリリオンがなくなったら……」

 ――いっぱいガチャできなくなる!

 那樹にとっても、それは避けたいことであった。
「こ、このクソイベクエ……!」
『バズリトレンディ』のやり方はメチャクチャであった。
 ゲームバランス?
 なにそれおいしいの? と言わんばかりのフィールドバフデバフ。加えて、エネミーの湧出の仕方がおかしい。
 倒しても倒しても『カキンゴオリ』が飛び出してくるのだ。

「カッキーン!」
「それになんか鳴き声がいや!」
「運営に猛省を促す踊りをしなければならないな!」
「ミームに汚染されるな!」
 那樹はクラン『憂国学徒兵』たちもまた『バズリトレンディ』に毒されてきていることを知る。
『エイル』ではないが、自分も頭が痛くなってきた。
 いや、真面目に考えるだけ無駄だ。
 あの『バズリトレンディ』は猟兵界隈では有名なのだ。

 ずーっと巫山戯続けている他世界幽世ファンタズムを統治している親分の一人。
 ハロウィンでも大暴れしたという話もあるし、ていうか、なんで他世界の妖怪親分がゲーム世界であるゴッドゲームオンラインにいるのかっていうのも真面目にわからない。
「わからないが、真面目にかなが得るだけ無駄! 黒影剣!」
 ユーベルコードを発露し、那樹は己の手にした二刀でもって『カキンゴオリ』を切り裂く。

 十字に切り裂かれた『カキンゴオリ』からドロップした白いフリフリ。
 それを手にして那樹はさらに混迷極める状況に頭を抱える。
「なんで……ドロップアイテムがこれなんだ……」
 なぜか、知り合いの顔が浮かぶ。
 ほんとなんでだろね――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
アドリブ歓迎

呼ばれた気がした(呼ばれてない)
おはようございマシタ、新し親分! ドーモ、憂国学徒兵のエブリワン!
通りすがりの雇われメイド、バルタンデース!
もう大丈夫、なぜって? ワタシも来マシタ!

例えゲームの中バグの中温泉の中なかなか大変デスガ、必ずホワイトプリムをゲットであります! イェイ!
これもすべてバズリ殿のせいナノーネ!
だからアンティークなカキンゴオリはドロップアウトポーイしマショー!
謎スケートで回りつつ、火剋金の理で火炎放射をファイアー!

くっ、流石はバズリ殿! 今を時めく時事ネタがフル盛沢山!
故にカオスの権化で対抗するということで!
「ナイアルテチャン カワイイヤッター」ここ弾幕デース!



「呼ばれた気がした」
 呼ばれてはないが、しかして世界の危機となれば、颯爽登場。
 それが第六猟兵。
 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は白煙たる湯気の向こう側にそびえる採掘場遺跡の断崖絶壁に立っていた。
 炸裂する爆発と集中線。
「おあようございマシタ、新し親分! ドーモ『憂国学徒兵』のエブリワン!」
「オウイエス! グリーンティー!(髪の色のことを言っている)」
 バルタンと、パァン!!! と謎のハイタッチをする『バズリトレンディ』。
 なんでハイタッチした? とクラン『憂国学徒兵』のメンバーたちは思った。

「通りすがりの雇われメイド、バルタンデース!」
「覚えておけ! ちょっとくすぐったいぞ!」
 つぃーっと『バズリトレンディ』がバルタンの背中を指でなぞる。別に変身も変形もしないが、バルタンは当たり前のように内蔵されている火炎放射器を取り出す。
「うわ、物騒! やれんのかい!」
「もうだいじょうぶ、なぜって? ワタシが火炎放射器を持って来マsチア!」
 トゥ! とバルタンは崖上からダイナミックにイベントクエストフィールドに飛び込む。
 盛大な水しぶきを上げて濛々と立ち込める湯気の中でバルタンは火炎放射器を構えた。俗に言うパースを化した構図である。
 いやに火炎放射器がながーく感じるのは目の錯覚だし、気のせいである。

「カキカキカッキーン!」
 そこへ飛来するは大量のバグプロトコル『カキンゴオリ』である。
 金色のかき氷めいた姿。
 そして、伸びた舌はミミックの名残なのだろうか? カメレオンのように伸ばした舌がバルタンへと迫る。
「まずいぜ! それはトリリオンを割る! トリリオンがなくなったら……!」
『アイン』と呼ばれた『憂国学徒兵』メンバーが叫ぶ。
 だが、バルタンは頭を振る。
「ノン! 例えゲームの中、バグの中、温泉の中、『バズリトレンディ』のスカートの中、なかなか大変でありますが! 必ず『ホワイトブリム』ゲットだぜ! であります! イェイ!」
 火炎放射器(フランメヴェアファー)が雑に火炎をブッパする。

 凄まじい熱量に『カキンゴオリ』たちは一瞬で溶けていくし、温泉はさらに熱せられて水蒸気になり、あたりはまるでサウナのような様相を呈するに至る。
 はっきり言ってヤバいくらい暑い。
「サウナのサはサ道のサ! メイドっていつもそうですよね! サウナで整えって!」
「くっ、さすがはバズり殿!」
 バルタンは歯噛みする。
 今をときめく時事ネタ満載の喋りにバルタンはカオスの権化として負けてらんねぇ! とユーベルコードに瞳をさらに輝かせる。

 そう、今でも十分すぎるほどにカオスな状況なのだが、バルタンはさらに事態を悪化……じゃない、バグプロトコルを一層すべく弾幕のような火炎放射器の一撃を吹き荒らすの。
「ナイアルテチャン カワイイヤッター」
 どこかで誰かが悶絶しているような気がしたが、バルタンは構わない。
 コメント欄は弾幕で埋め尽くされ、画質がなんか悪くなる。
 湯気で何も見えないながらもバルタンは溶けて蒸発していった『カキンゴオリ』のドロップしたアイテム『ホワイトブリム』を手に頷く。
「ハイパーメイドことバルタンデース! 全てのホワイトブリムは我輩のものデース! ヒャッハー!!」
 ホワイトブリムを狩るメイド。
 それはあまりにも猟奇的であったし、なんていうか、そこはかとない共食い感あるなぁ、と『憂国学徒兵』のメンバーたちは、その戦いぶりを後に振り返ったのだとかなんとか――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
バルタンは二度刺す!
エブリワンが振り返ったところに再度登場デース!
バズリ殿、お前もメイドにならないか?(節分に使われてたポーズ)

HAHAHA!
一つの章に一回しか参加してはいけない法はナッシング!
まー、TPO的なモラルやマナーはありマスガ……今回はドントウォーリーなはず!
という訳で廻り巡ってカキンゴウリに追い打ちデース!

その良く回る舌、危険デスネ! 舌が命中したらトリリオンが叩き割られマース!
なので頭部を鉄拳制裁! 叩いてご自身の牙でチョンパ! してもらいマース!
あーあ、壊れちゃった。

そしてご覧ください。地形諸共破壊されたことで新しい温泉が!
カピバラの親子がご入浴されてマスネ、カワイイデスネ!



 クラン『憂国学徒兵』のゲームプレイヤー達は後にバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)のことをこう語る。
「え、あの人? いや、なんていうかあの『バズリトレンディ』っていうノンプレイヤーキャラクターの親戚なのかなって」
「どんな人だったかって言われましても……その、メイドさんだった、としか」
「ある意味一番このイベントクエストにしっくり来るキャラクターだったんじゃないか!」
「無法という意味では、あれ以上はないんじゃないかしら」
 四人はそれぞれ、そんなことを思っていた。
 後に語る、とか言っておいて悪いが、バルタン・ノーヴェは二度刺す! なんでだよぉ!

 ザワ……ザワ……
「再登場デース! バズり殿、お前もメイドにならないか?」
「ならない! ワイちゃんは新し親分『バズリトレンディ』。流行り廃りも人間たちの生み出した文明の極地。ネットミームという儚い流行の美しさなんやで!」
 バルタンと『バズリトレンディ』は対峙する。
 あれ、味方同士じゃないのか? と『憂国学徒兵』のメンバーたちは思った。
 思ったけれどツッコミが追いつかなかった。
 だって、ここで下手にツッコもうものなら、絶対に巻き込まれると思ったからだ。
 というか、大丈夫か?
 怒られないか?
「HAHAHA! タイム・プレイス・オケイションデース! 確かにモラルとマナーは重要視されるが、今はその時ではドンウォーリーなのデース! 並み居るばかみたいな数のエネミーは全部全部我輩がぶっ飛ばすノデース」
 彼女はチェインハンマーをブンブン回している。
 つまり!

 ドロップアイテム『ホワイトブリム』を狩れるだけ狩ろうって話なのである!
「ヤバいな、あの人」
「本当ですね」
「もしかして、この一体の『カキンゴオリ』を全部狩り尽くすつもりなのか!」
「ぺんぺん草一つ残らなそう」
 どっせい! とバルタンは鉄拳制裁(アイアンフィスト)の如くチェインハンマーを『カキンゴオリ』の脳天に叩きつける。
 どこが脳天なのかはわからないが、まあ、そこかしこ叩き潰せばよかろうなのだ。
 当たり判定なんてそんな曖昧なもん投げ捨ててかかってこいよ! なのである。
「カキカキカッキーン!!!」
 音を立てて『カキンゴオリ』たちから一斉に放たれる舌の一撃。
 四方八方から迫る攻撃バルタンピンチ!
 次回! バルタン死す! 負けないで、バルタン!

「HAHAHA! 我輩のターンでありマース!」
 放たれる舌。
 だが、バルタンは俺のターン! と言わんばかりにハンマーをぶん投げる。
 迫る舌を脳天かち割るようにして叩き込んで、ぶつんと断ち切って、その勢いのままに地面に叩きつけられるハンマー。
 フィールドに亀裂が走り、盛大な水柱……あ、いや、この場合はデーモンスレイヤーブレイド的な話ではないよ。ええい、ややこしい。
 湯気立ちのぼるそれは、さらにクエストフィールドのテクスチャーの下に隠されていた泉源であった。
 なんで?
「こんなこともあろうかとワイちゃん、がんばりました。くぅ~w」
「隠しステージを掘り当てるのもゲーマーとしての務めデース! あ、ご覧ください。カピバラの親子がご入浴されてマスネ、カワイイデスネ!」
 確かにカピバラはカワイイ。癒やされる。その何も考えてなさそうな顔立ちもいい。

 だが、『憂国学徒兵』たちは思った。
「なんで――?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヌグエン・トラングタン
…同胞たちも死んだ魚の目してたなぁ…。
いや、(苦労がわかるので)今の俺様もなんだけどな?
…突然生えたイベントクエストって、デバッグとかできてねぇから…頭悩ますんだよなぁ
てか、クエストが突然生える方がおかしいんだが。

とりあえずまあ…イベント見学ついでに参加しに来た体で。
夏のイベント、マジで悩むからな…大型が水着『だけ』になりやすいし。
なんで『ホワイトプリム』なのかは謎だが。

で、まあ…バグプロトコルを一掃できる機会なんだから、UCで攻撃してくか。
課金アイテムが動力の物なんざ、俺様にはないんでな!



 ゴッドゲームオンラインはゲーム世界である。
 当然、このゲーム世界の運営を任されているアーティフィシャル・エンジンであるノンプレイヤーキャラクター、ドラゴンプロトコルたちは、とっても頼りになる味方である。
 だがみんな目が死んでいる。
 拠点『学園』の管理をしているノンプレイヤーキャラクター『エイル』も同様であった。
「やってられません」
 タスク管理。
 積み重なっていく処理。
 やらないといけないことがある。けれど、一つの小柄を終わらせれば、さらなるタスクが積み重なっていく。
 それは、まるで賽の河原で石を積み上げるなんかあれっぽいやつであった。

「……死んだ魚の目をしてやがる」
 ヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)は、そんなノンプレイヤーキャラクター『エイル』が亜麻色の髪をかきむしるようにしている姿を見た。
 苦労はわかる。
 あの新し親分『バズリトレンディ』とやらがやってきたせいなのはわかっている。
 確かに夏イベントクエストは大切なことだ。
 ゲームプレイヤー達を楽しませるためには必要なことだ。
 だが、突然生まれたイベンtのクエストはデバックができない。言ってしまえば、今まさに『エイル』はデバック処理をしながらタスク管理までしている状況なのだ。
「てか、クエストが突然生える方がおかしいんだが」
「世の中には不思議なことなんて何一つないんだぜ、ばーい、ワイちゃん!」
『バズリトレンディ』がドヤっている。

 いやまあ、イベント見学ついでに参加しにきた体でいるのだが、ヌグエンは『バズリトレンディ』の眼差しの圧に負けそうになる。
 なんていうか、理不尽が服着て歩いているような存在なのだ。
 何がどうなればあんなことができるのか。
 親分、と呼ぶからには上位存在的なものなのだろうか。
「というか……なんだこいつら」
「ガキガキガキカッキーン!」
 迫るは黄金の嵐。バグプロトコル『カキンゴオリ』が放つユーベルコードである。
 単体であれば、対処もできる。
 だが、眼の前にせまるのはばかみたいな数が湧出したイベントフィールドである。なんか温泉も湧き出している。
「どういうことだよ」
 わけがわからん。
 ヌグエンは、己のドラゴン魔力の細分化により、己の足から放たれる凍れる炎の柱でもって『カキンゴオリ』を吹き飛ばす。

「ガッキーン!?」
「悪いが、俺様には課金アイテムなんてものはないんでな!」
「無課金装備……ってこと!?」
 ちょいちょい『バズリトレンディ』が介入してくる。若干鬱陶しい。
「ていうか、なんでだよ。このドロップアイテム。アイテム名『ホワイトブリム』?」
 ドロップアイテムで合成できるのは『水着』アイテムである。
 なのに『ホワイトブリム』?
 白いフリフリにヌグエンは首を傾げる。
 いや、本当に脈絡がない。どうしてこんなアイテムを集めれば水着が合成できるのか。

「考えるな……感じろ!」
 ヌグエンの肩をポム、とする『バズリトレンディ』の顔が劇画調になっているのは一体どういう理屈と技術なのか。
 ヌグエンはもう考えるのをやめた。
 あれこれ考えても『バズリトレンディ』にまともに相手するだけ無駄って気がついたのである――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファルコ・アロー
はぁ!?何を高所に行こうとしてるんですか、かき氷の分際で!
てめーも楽しようとしてんじゃねーですよ杓原ァ(f28476)!
空中戦はボクに任せときゃ良いですけど、地べたで後始末くらいしとけですよ!
そんじゃROCKET DIVE!フルスロットルです!
おらおら、そこをどきゃあがれですよサメのやろーども!
ボクの進路を邪魔してぶつかったって知らねーですからね!
このかき氷ども!
舌なんかでどんな攻撃してくるか知らねーですけど、高く飛んでてめーらより上からぶん殴ってやるですよ!
空からいつの間にか地面に広がってる温泉に叩き落として、お湯で溶かして温泉の一滴にしてやるです!


杓原・潤
バズリトレンディじゃん、久し振りー!
ピヨちゃん(f42991)は知らないだろえけど愉快な妖怪かなんかだったと思うよ、多分!
まぁそんな訳でイベントクエストってやつかな?
集めるのはホワイトブリム……なんでかは良く分かんないけど、メイド服着とこうかな。
なんかモンスターは高い所から攻撃してくるみたいだしピヨちゃんの大好きな空中戦が出来るよ!
敵より高い所から攻撃すれば有利なんじゃない?頑張ってね!
うるうは鮫を召喚したら応援してるから……はいはい、ドロップアイテムは集めとくって。
うるうの鮫達も頑張るんだよ!
かき氷食べ過ぎて頭キーンってなったら撫でてあげるからね!
あ、偽トリリオンはぺっしなさい!ぺっ!



「ワイちゃん、来たー!!!」
 その叫びはゴッドゲームオンラインに宇宙というものがあるのならば、地上から大気圏をぶち抜いて宇宙に飛び出し、月の裏側までカメラが飛んで、さらにも一回地上にズームする演出を見せていた。
 なんで?
 もはや無法である。
 新し親分『バズリトレンディ』はゴッドゲームオンラインの拠点『学園』にてやりたい放題であった。
 期間限定のイベントクエストを作り出した上に温泉を噴出させ、謎の採掘場遺跡をせり上がらせた。
 そんなもんだから、このイベントクエストフィールドにはバグプロトコルがばかみたいな数で大挙してきているのだ。

 確かに。
 確かに、である。ここでバグプロトコルを大量に撃破できるのは猟兵としてはありがたいことである。
 だが、ゲームプレイヤーたちにとっては高難易度故に大変苦労することになるだろう。
「あ、『バズリトレンディ』じゃん、久しぶりー!」
 杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は、なぜかせり上がった採掘場遺跡の断崖絶壁の上でダンスを踊っていた。
 微妙に逃げるは恥だが役に立つ的なダンスをしていた。一人で。あれって二人でやるから楽しいし、エモいのではないかな、と潤は思ったが、まあ、むしろそれが『バズリトレンディ』らしいな、と思った。
「ピヨちゃんは知らないだろうけれど、愉快な妖怪なんとかだったと思うよ、多分!」
「あやふやなんかい!」
「いや、それボクのセリフなんですけど!?」
 潤とファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)の間に唐突に挟まる『バズリトレンディ』。
 もうめちゃくちゃである。

 そして、そんな『バズリトレンディ』を目指して断崖絶壁へとバグプロトコル『カキンゴオリ』たちが上り詰めようとする。
 そう、このイベントクエストを出現させているのは彼女なのだ。
 自然、惹きつけているのかもしれない。
 そういえば、トレンディ御殿もなんかそういう能力を持っていたような気がする。
「こまけぇことはいんだよ! 兎にも角にも、猟兵さんたちは、なるはやのちょっぱやでヨロです」
『バズリトレンディ』は無駄にナパーム弾を爆発させていた。
 本当になんで?
「はぁ!? 何を高所にいて、そんな!?」
「このイベントクエストってなんでドロップアイテムが『ホワイトブリム』なの? これってあのメイドさんの頭に載せているフリフリのやつだよね?」
 なんでかわからない。
 けれど、潤は思った。
 こういう機会こそ猟兵コレクション2024にて着たメイド服を着る絶好の機会だと。

「ピヨちゃん、変身バンクもとい、お着替え中に敵が攻撃してこないようにがんばって! なんかピヨちゃんの大好きな空中戦ができるよ1」
「はぁ!? てめーも楽しようとしてんじゃーねーですよ杓原ァ!」
「とか言いつつもピヨちゃんはROCKET DIVE!」
『バズリトレンディ』がバチコン、と☆エフェクトを飛ばしてファルコを指差す。

「その飛翔、イエスだね!」
「ええい、地べたの後始末しとけですよ!」
 ファルコの瞳がユーベルコードに輝き、ロケット噴射でもってイベントフィールドの空を飛ぶ。
「えー、うるうもサメさんたちに活躍してもらおうと思ってたのに」
 潤もまたユーベルコードで持って回転ノコギリの生えたサメを召喚する。
 空飛ぶサメたちが一斉に『カキンゴオリ』へと飛びかかる。
 まるで悪い夢を見ているかのようだった。

「ワイちゃん知ってるよ、サメは飛ぶものだし、チェーンソー生えるもんだって。努力・未来・びゅーちふるすたー!」
 イェイイェイと、『バズリトレンディ』の腕だけがムキムキマッスルになっている。
「おらおら、そこをどきゃあがれですよサメのやろーども! ボクの進路を邪魔してぶつかったってしらねーですからね!」
 ぶんぶんとムキムキな腕を振るう『バズリトレンディ』を見てファルコは、本当になんだんだろう、あの妖怪と思った。
 だが、今は空を飛ぶことが重要だ。
 己の拳で『カキンゴオリ』の脳天を砕く。
 崖から次々に地上の温泉フィールドにファルコは『カキンゴオリ』を叩き落としていくのだ。
「お湯で溶かして温泉の一滴にしてやるです!」
「あー、ピヨちゃん、やめなよ! あれ、後で温泉パーティするんだよ!?」
「とけりゃ一緒でしょうが!」
「あっ、それはぺってしなさい。ぺっ!」
 潤は己のサメが『カキンゴオリ』を丸呑みしたのを見て、偽トリリオンを吐き出すように背びれをさする。
「話聞きやがれですよ!?」
「サメと魔法使い。これが最先端のバズリってわけなんや! 飛び付かずにはいられない! 癖になってんだ!」
「あーもー!!」
 渾沌としたイベントフィールドにファルコの叫びがこだました――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャムロック・ダンタリオン
あー…、すまぬな、僕らの|世界<ところ>の新し親分が迷惑をかけたようだ。とりあえず、あいつはあとでぶん殴っておこう(ぉぃ)。

――で、まずはあのかき氷めいた連中を殲滅すればいいのだな?とりあえず炎の精霊を【武器改造(+:攻撃回数、-:装甲)】したガトリングガンで場を【蹂躙】してやるか(【属性攻撃・全力魔法・なぎ払い・弾幕】)――って、なんだこの舌は。生憎だが貴様らに破壊させる金は持ち合わせておらぬぞ(で、問答無用で【切断】)。

――しかしまあ、|統治機構<コントロール>とやらに目を付けられつつもGGOを運営してるやつは、いったい何を考えておるのであろうか…?

※アドリブ・連携歓迎



 猟兵たちが駆けつけたイベントクエストフィールドと化した拠点『学園』はカオス極まる光景が繰り広げられていた。
 ばかみたいな数で集まってくるバグプロトコル『カキンゴオリ』たちは無論のことであるが、クラン『憂国学徒兵』のゲームプレイヤーたちも入り乱れ、猟兵たちのユーベルコードが明滅しているのだ。
「さすワイちゃん! イベントクエストにこれだけ集客できるのはワイちゃんくらいなもんやな! 慢心、環境の違い! 石ジャブしてお目当てのアイテムを引くまでやるのがジャスティス!」
 新し親分『バズリトレンディ』はやりたい放題であった。
 猟兵達にも負けないくらい、というか、圧倒するほどにやりたい放題の無法者であった。
「ヤバいよな、あれ」
「絶対後で怒られるやつですね」
 クラン『憂国学徒兵』のメンバーたちは、『バズリトレンディ』の暴走を見て思う。バグプロトコルより、絶対『バズリトレンディ』の方がヤバい、と。

「あー……すまぬな、僕らの|世界《ところ》の新し親分が迷惑を掛けたようだ。とりあえず、あいつは後でぶん殴っておこう」
 シャムロック・ダンタリオン(図書館の悪魔・f28206)の言葉に、さらっと新し親分『バズリトレンディ』は肩に腕を乗せて体重を掛けていた。
 いつの間にか、である。
「ちょいちょい、ワイちゃんは善意でやってるんだぜい! それこもれも夏イベ少なすぎなのが問題なのでしょうがよぉ。ワイちゃん、みんなに楽しんで貰いたいって思ってのことなんやで? シャムさんよぉ」
 シャムロックはイラっとした。
 拳を握りしめて振り下ろすが、しかし『バズリトレンディ』は、にゅるんってギャグ漫画みたいな動きでシャムロックの拳を躱していた。

「相手が違うっしょい! なになに、親分ぶん殴りチャレンジしてる感じ? 大丈夫? 課金する?」
「しない。まずは」
 シャムロックは、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
 召喚した精霊、その炎の力を持って生み出さいたガトリングガンを構えた。
 蹂躙する精霊武装(エレメンタル・ウェポナイズ)である。
「カキカキガッキーン!」
「ほら、『カキンゴオリ』さんもそうだそうだって言ってますよ」
「絶対言っていないだろう」
 シャムロックは迫る『カキンゴオリ』の舌をも同無用で切り捨てる。

「なんだこの舌は」
「それはエネミーの攻撃だ! 受けるとトリリオン割られちまう! ガチャできなくっちゃうんだよ!」
 その言葉にシャムロックは、よくわからないな、と思った。
 そもそもお金っていうものが持ち合わせていないのだ。特にゲーム世界のものはなおさらである。
「生憎だが、貴様らに破壊させる金は持ち合わせておらぬぞ。だが、炎の弾丸はたっぷりとある」
「トリック・オア・トリートですやん! あんたは! 夏イベガチャを楽しみにしてる子に炎の弾丸をくれるっていうのか!」
『バズリトレンディ』の野次が一々うるさい。
 なんだ、そのクリスマス休暇を待ってた感じのやつ!

「――一体何を考えているんだ、新し親分は」
 シャウムロックは無視してガトリングガンの引き金を引いて『カキンゴオリ』たちを一掃していく。
「バズのことを考えています。今、あなたの脳に直接語りかけています。ドロップアイテム『ホワイトブリム』を集めるのです。いいですか、たくさん集めるのです」
「こいつ直接……!」
 シャムロックは、『バズリトレンディ』の自由奔放さに翻弄されっぱなしであった。
「あ~ばよ、とっつぁん!」
「だれがとっつぁんだ――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
カキ氷を頂きつつ温泉に入れるイベントが出たと聞きました♪
蒸し暑くなってきた今日この頃、とても良いですよね~。
そして『自害しろランサー』の令呪でお亡くなりになられたナイアルテさんの仇も討たないと!
(色んな情報入り混じって、ナイアルテさんの言葉は半分くらいしか聞いてない)

温泉に入りたいところですが、最後に入れるらしいので、ここは我慢。
《神事起工》で攻撃力向上。

煌月に風の属性攻撃を籠めて、衝撃波・なぎ払い・範囲攻撃で纏めて吹き飛ばしていきましょう。
『ホワイトブリム』があちこちにドロップしましたね。
何故なのかよくわかりませんが、確保してきましょう。

次はウェディング水着ですね、去年の水着で良いのかなあ?



 温泉、それは神をも魅了する魔性の泉である。
 肩こり疲労回復滋養強壮。
 まあ、効能は如何様にもなるものである。なにせ、ここはゲーム世界。バフはもちろん、デバフもあれば、伝説の武器だって源泉から噴出することだってあるだろう。
 つまり何が言いたいかっていうと、やりたい放題ってことである。
「ワイちゃん動きます。夏イベなのに温泉イベントがないってどういうことなの!? という皆々様の悲しみに応えるべく、こう、ちょういちょいとね。ちゃちゃっと、ボブがやってくれました」
 新し妖怪『バズリトレンディ』は、採掘場遺跡の崖上の高いところから失礼しますって感じで腕組みして頷いていた。

「かき氷を頂きつつ温泉に入れるイベントが出たとお聞きしておりましたが……」
 そんな『バズリトレンディ』をよそに大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は、おそらくグリモア猟兵の話を半分も聞いていなかったのだろう、なんかこう混じっている情報を疑いもせずにゴッドゲームオンライン上の拠点『学園』へとやってきたのだ。
 白い煙、湯気が立ち込めるフィールド。
 学園の中だというのに、温泉浸しになっているし、あちこちから間欠泉のように温泉が噴出しているのだ。
 さらに集まってきたばかみたいな数のバグプロトコル『カキンゴオリ』たち。
 夏なのか? 温泉なのか?
 いったいどっちなんだろうかと思うような光景である。

 しかしまあ、このバグプロトコルたちは『バズリトレンディ』の生み出したイベントクエストに引き寄せられて此処に集合しているのだ。
 これを倒し尽くせば、多くのバグプロトコルを処理することができるのもまた事実。
「自害しろランサーばりにおなくなりになられたナイアルテさんの仇も討たないとですしね」
 死んでないよ。
 ただこう、スベった衝撃に気絶しているだけだよ。いや、気絶もしてないよ。転移維持するために後方でまだスベった苦しみにうめいているだけだよ。

「カキカキカッキーン!!」
 そんな詩乃に迫るのは『カキンゴオリ』たちであった。
 見た目ゴールドなかき氷。
 ミミックめいた口と舌があることから、ミミック系列のバグプロトコルなのだろう。にくいことにトリリオンたっぷりを連想させるレモン味っぽい!
「美味しそう……温泉の後に頂きたいですね。はぁ~……温泉に入りたいです。ですが、これより果たすは神としての務め! 神事起工(シンジキコウ)! ああっ温泉入りたいっ」
「そんな、三女神が出てくるラブコメ漫画みたいな感じで温泉入りたいって……その欲望、イエス!」
 どこにでも湧き出す『バズリトレンディ』。
 詩乃の言葉に深く頷いている。ワイちゃんもそう思います、という顔である。

 みなぎる神力。
 イベントクエストフィールドに宿りしなんかよくわからん力。
 そして、温泉と課金とかき氷を食べたいというゲームプレイヤーたちの願いと思い。
 これを受けた詩乃の手にした薙刀が煌めく。
「神罰執行! 汝ら罪無し!」
「シイノー、ショーターイム!」
 詩乃の斬撃は横薙ぎに振るわれ、迫りくる『カキンゴオリ』をまとめてぶった切る。演出だけ見たのならば、真にかっこいいことであるが、ちょいちょい見切れてくる『バズリトレンディ』がちょっと邪魔であった。
 振るわれた一撃に次々と『カキンゴオリ』たちが爆散して、白いフリフリ『ホワイトブリム』をドロップしていく。

「なぜ、これが?」
「ふ、跡のお楽しみってやつやで! ワイちゃんの答えがこれや!」
「よくわかりませんが、確保しておきますね」
 と、詩乃は思い出す。
 確か、この後このドロップアイテムを合成して装備を作るのだそうだ。
「ウェディング水着、と。去年の水着でいいのかなぁ?」
「新しくデザインするんやで! それがファンサってもんじゃろがい!」
 ちょいちょいね、こう衣装を改造したりしてもいいんじゃないでしょうか、と『バズリトレンディ』は深く後方プロデューサー面して頷くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
あれが噂の『バズリトレンディ』……面白い女、ね
こういうのは深く考えたら負けな気がするわ

手伝うわよ『憂国学徒兵』
私は弓矢と召喚術で援護するわ
いでよ、ガーゴイル
あのかき氷を倒して、アイテムを集めて来なさい

あら、なにを操られそうになっているのかしら
変なものを食べて、いけない子ね
はやくぺってしなさい
……私の言うことが聞けないの?



 新し親分『バズリトレンディ』はやりたい放題やっていた。
 拠点『学園』はあちこちが湯気立つ光景に様変わりし、さらに間欠泉の如く一定時間ごとに温泉が噴出している謎のギミックまで用意されている。
 後片付けが絶対大変なやつであろうな、と思うのは当然であろう。
 死んだ魚の眼をしたノンプレイヤーキャラクター『エイル』の顔を見ればわかる。ゲーム世界故に一瞬かもしれないが、それをこなすためのタスクが大変なのである。
「……温泉いいなぁ」
 現実逃避をするように積み上がっていくタスク処理に『エイル』はちょっと心折れそうになっていた。
「どしたん『エイル』くんちゃんさん! 笑顔が足りないぜ、スマイルくださいな!」
 そんな彼女に『バズリトレンディ』はスマイルを要求する。
 スマイル0円とは家、流石に煽りつらしてはいやしまいか。

「あれが噂の『バズリトレンディ』……面白い女、ね」
「ぬっ! 学園系恋愛シュミレーションか、はたまた少女コミックに出てくる攻略対象みたいな雰囲気ッ!」
『バズリトレンディ』は迸るイケメンオーラを感じ取って振り返る。
 そこにいたのは、我らが誇るクールビューティー、薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)であった。
「冷めた眼差し! 無表情オラオラ系攻略対象と見た! ワイちゃん、そういうの大好きやで!!」
 手つきがなんかおかしい。
 静漓は一瞬、その言葉の意味を考えたし、手つきの意味も考えたが、深く考えたら負ける気がすると思った。事実である。
『バズリトレンディ』と絡むとどうしたって沼る。
 こちらがどんなに真面目にしようとしても、ネットミームの如く玩具にされてしまうのである。

「言いたいことわかるぜ」
 うんうん、とクラン『憂国学徒兵』のゲームプレイヤー『アイン』がため息と共に迫るバグプロトコル『カキンゴオリ』をぶっ飛ばして静漓に告げる。
「手伝うわよ『憂国学徒兵』」
「ありがたいです。この数はどうしようもなくて」
「湧き出し続けているのは、いつもの高難易度という感じがするがな!」
「とにかく手が足りないの」
 彼らの言葉に静漓は頷く。
「だったら、数を増やしましょう。いでよ、ガーゴイル」
 彼女の瞳がユーベルコードに輝き、石像の守護悪魔(ガーゴイル)が『カキンゴオリ』へと突進していく。

 石像の翼が羽ばたき、その重量を生かした空中からの一撃でもって鋭い爪が『カキンゴオリ』を容易く引き裂くのだ。
「あのかき氷を倒して、アイテムを集めてきなさい」
 静漓の言葉にガーゴイルたちがうなずき、飛び出す。
 敵がばかみたいな数で来るというのならば、静漓だって一人で手数を増やすことは容易いのだ。
 百を超えるガーゴイルたちは、まるで夕暮れ時の群れ為す鳥影のようでもあり、それらが次々と『カキンゴオリ』たちをついばむように倒していくのだ。
 ぼとぼとと落ちるドロップアイテムを静漓は拾い上げる。
「白いフリフリ……?」
「へっへっへ、旦那ァ。それが『ホワイトブリム』ってやつですぜい。集めて『ウェディング水着』、装備しましょうや」
 何か揉み手しながら『バズリトレンディ』がやってくる。
 なんかこう、一々ネタを噛まさないと死んでしまう病なのだろうかと静漓は思った。

 返答する前に、彼女は気がつく。
 召喚したガーゴイルのいくつかの支配権が侵食されているのだ。
 さっそうと静漓はガーゴイルへと向かい、その背中にダイレクトアタックをかます。
「確か、右斜よんじゅうご度の角度からの、ちょっぷ」
 せいっ、と静漓は『ガーゴイル』の翼の付け根を叩く。人間で言うなら、肩甲骨。つまり、それは。
「変なものを食べて、いけない子ね。はやく、ぺってしなさい」
 喉に詰まった異物を吐き出させる医療行為!
 静漓のチョップに抵抗しようとするガーゴイル。だが、彼女の冷めた目が見下ろす。
「……私の言うことが聞けないの?」
 ご褒美です! ありがとうございました! と物言わぬガーゴイルの言葉が聞こえたかもしれないし、聞こえなかったかもしんない――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【サージェさんと】

ナイアルテさんの|コスプレ写真《黒歴史》がまた1ページ。

今日のナイアルテさん破壊力高すぎ!!
どうするんですか、SDカード(512GB)が4枚目ですよ!(激写っくす)

ごちアルテ……注文していいの!?

水着はスパッツのビキニを着るとして、
なんだっけ?ホワイトブリム集めるの?

サージェさん、めんどいから1個取ってきてー。
必要なぶん【偽装錬金】で作るから。

奥義(?)アイテム無限増殖ー♪

え?ガチャ?そんなの『希』ちゃんに頼め痛ぁ!?

ああ、そいえばバズリトレンディさん、また悪さしてるね?
っていうか、悪さ以上のことしてるね。

強火ファンの前での推しへの暴言。覚悟完了ってことでいいよね?(にっこり


サージェ・ライト
【理緒さんと】
お呼びとあらば参じましょう
ナイアルテさんの黒歴史が増える瞬間なら
呼ばれてなくても参上します!!
私はクノイチ、胸が大きくて忍べてないのはナイアルテさんの方ではないでしょうか!?
その全開放のチョコ肌たゆんパイ、一体何アルテなんだ……!!
とか思っていたら、理緒さんがめちゃくちゃりおりおしていた件について
私の相棒がこんなにオタクなわけがない
ご注文はナイアルテさんですか!?

アッハイアツメテキマス
というか、妙に馴染みのある世界なんですが
私、バーチャルキャラクターだからですかね?
あ、水着忘れて……普段着で通った!?ナンデ?!
と、ともかくホワイトブリムを集めましょう
理緒さんはほどほどにー!?



「それでは皆さん、好きなバリエーション衣装発表ナイアルテが、好きなバリエーション衣装を発表します」
 それは録画された動画であった。
 画質は最高画質の8k。
 そんな高画質で録画するほどの価値があったかなぁと思わないでもないが、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は録画していたのである。
 しかも。
「敵側に事情があって与することになってしまい、仮面で顔を隠しているけれど衣装でモロバレな元味方♪」
 ループさせまくっている。
 再生数を稼ぐためにはこれくらいはやらねばならんのである。
 そう、彼女はすでにこの動画を大量に保存していた。

「黒歴史がまた1ページ……ならぬ破壊力高すぎ問題! どうするんですか、SDカードが四枚目ですよ!」
 しかも一枚の要領は512GBである。どんだけ高画質で録画と撮影を繰り返せばそうなるのか。
「お呼びとあらば参じましょう! 黒歴史が増える瞬間なら、呼ばれてなくてもさん上します!!」
 あーもー。
 本当にそんな声がでそうなほどにのっけから渾沌めいたイベントクエストフィールドに高らかに響き渡る声。

「ワイちゃんは新し親分! バズに愛され、はやりを愛した女! ボンッ! ボンッ! バズリ~トレンディ~~~~~~~~~~~~~ッ!!!」
 ぼかん、と拠点『学園』に突如として出現していた鉱石採掘場遺跡の崖で爆発が起こる。
 そう、言うまでもなく『バズリトレンディ』である。
 サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)の名乗り向上をインターセプトして、自分の名乗りを上げたのである。
 やかましいことこの上ない。
「なぁ!? せっかく胸が大きくて忍べないのは、グリモア猟兵のほうじゃないでしょうかという問題提起をしようとしていましたのに! 仮面を付けても全開放のチョコ肌たゆんぱい、一体何ルテなんだ……!! とかそんなのを予定しておりましたのに!」
「ごちアルテ……注文してもいいんだよね?」
 よくないけど。
「癖になってんだ……面白そうな流行りが生まれそうになってんのを見ると、飛びついちまうの」
「そんなアンニュイな感じで言われても! というか理緒さんがめちゃくちゃりおりろしていた件について! 私の相棒がこんなにオタクなわけがない! ご注文はナイアルテさんですか!?」
 二人はやばかった。
 いつもヤバいなって思っていが、今回は『バズリトレンディ』に引っ張られて、さらにヤバいことになっていた。
 歯止めが効かない。

 元よりブレーキなんて存在しない二人組であるが、今回はさらにアクセル踏み抜いている気がする。
「あの~手伝って、もらえるのでは……」
 ノンプレイヤーキャラクター『エイル』の悲壮に満ちた声が聞こえる。
 そう、サージェさちは倒さねばならない。
 バグプロトコル『カキンゴオリ』を!
 だが、理緒はちょっと忙しい。
 何をしているのかって、そりゃあまあ、動画編集? 万バズ狙うための?
「サージェさん、めんどいからちょっと一個ドロップアイテム持ってきて」
「えっ!?」
「一個あれば、わたし、偽装錬金(ギソウレンキン)で増やすから」
「チートや! チートやないかい! そんなずるっこ……プレイヤーさんが幸せならオーケーです!」
『バズリトレンディ』はドロップアイテムを不法に増やそうとする理緒の行動を肯定する。幸せなオーケーというガバ判定である。

「え、それはいいんですか? 本当に? でも、ガチャは……」
「そんなの『希』ちゃんに頼んで確率をいじれば、痛ぁ!?」
 何処からともなくツッコミが入る。
 というか、と理緒は頭を擦りながら『バズリトレンディ』を見やる。
 なんかこう、服従の魔法で自害を命じていた気がする。
「推しへの悪さ。暴言。覚悟完了ってことでいいよね?」
「ネットミームですやん! ちょっとしたコミュニケーションってやつですやん! 本気なわけないですやん! これがいわゆる百合営業というやつですやん! ワイちゃん悪くないです。悪いのは天の声ことマスターさんですやん!」
 責任転嫁する『バズリトレンディ』。
 容易く壁をぶち抜いてくる。

 そんなわちゃわちゃしている最中にサージェは『カキンゴオリ』をぶっ飛ばしながらドロップアイテムを手にする。
 白いフリフリ。
『ホワイトブリム』である。
 というか、なんかこう、ゴッドゲームオンラインはサージェにとって居心地が良い。というか、なじむ。
「うーん、水着忘れてるんですけど……」
 どうしようかな、とサージェは思った。だが。彼女は後で知るだろう。
 装備を合成しても、サージェのデフォルト衣装では水着カウントされてしまい、なんかこう複雑な気持ちを抱くことになるのだと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

おおぉう!?
雄叫びがいつもの3倍増しー!?

そんな格好で『生』とか言わないでください。みなさんドン引いてますよ。

しかも見てください。
あまりの|破壊音波《雄叫び》に『カキンゴオリ』さんやられてるじゃないですか。
あ、ホワイトブリム拾っておきますね。

って。え、あの、いや、えと。
ツッコみどころが多すぎませんか!?

まず早口が過ぎます。
そしてステラさん、メイドっていわれると商人って否定してましたよね!?

あとこれがいちばんやべーですが、
ウェディング着て水着『エイル』さん追いかけ回したら、いよいよ通報案件ですよ。

とはいえー……。
ステラさん水着『エイル』さん見て、生きていられます?
呼吸止まりません?


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!!!香りがしまぁぁぁすっ!!!!
久しぶりの!生エイル様!!会えるエイル様素敵!!
はい、メイド参りました!水着に水鉄砲で完全装備ですっ♪

さらっと新し親分様がセラフィムとか言ってますが
これはノリだけでしょうか?

ともあれルクス様
ホワイトブリムを集めましょう
え?なんでって
いいですかルクス様
メイドたる私の頭にはホワイトブリムがあり
温泉では水着が必須
残された要素はウェディングのみ
つまり!このイベントは!
私にウェディングドレスを着て
エイル様と結婚しろという運営の意思なのです!!
そして讃えるのです、水着エイル様の愛らしさURを!
課金させてください!
誰がやべーメイドですか!!



 推しに認識されることはファンの喜びの一つであろう。
 それが全てであるとは言わないけれど、でもまあ、認知されるのはとっても嬉しいことである。多くのファンの中で、その視線が特別な意味を持つのだから、やっぱり認知して欲しい。己というファンを認識して欲しいと思うのがファン心理であり、真理なのかもしれない。異論は認めてます。
 故に、バグプロトコル『カキンゴオリ』たちは、迸る絶叫じみた咆哮というか、雄叫びっていうか、コールを前にぶっ飛んだ。
 それはそれはもう盛大にぶっ飛んだ。
 もともとばかみたいな数が湧出していたのだが、それを一網打尽にするかのような凄まじさであったのだ。
「|『エイル』様《主人様》の!!! 香りがしまぁぁぁぁすっ!!!!!」
 あ、これは一応、描写的にはハイライトになってますんで。
 そこんとこシクヨロです。

「久しぶりの! 生『エイル』様!! 会える『エイル』様素敵!! はい、メイド参りました! 水着に水鉄砲で完全装備ですっ♪」
 はやいはやい。
 まだ水着に着替えるの早い。
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は、メイド水着という謎の組み合わせと共にイベントクエストフィールドに降り立っていた。
 彼女が構えるは水鉄砲。
 いつになくやる気がマックスで、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は耳がキーンってなっていた。
「雄叫びがいつもの三割増しー!? というか、そんな格好で『生』とか言わないで下さい。皆さんドン引きしてますよ!」
「ふっ、ルクス様。メイドの前にはあらゆることが無意味なのですよ。なにせ、今の私は完璧メイド」
 ユーベルコード的には今弱体化してない? 大丈夫?
 いや、弱体化してこれなのか?

「しかも見て下さい。あまりの|破壊音波《雄叫び》に『カキンゴオリ』さんやられてるじゃないですか」
 ルクスが示した先にあるのは、次々と爆散してアイテムドロップする『カキンゴオリ』たちであった。
 無惨なものである。
 まさかの雄叫び一発でやられるとは……。
 だがしかし、奴らはバグプロトコルとしては前座。
 うぉー! なんやかんやあって、ボスバグプロトコルへの道が開けた! みたいなノリになりそうな気がしないでもない。

 だが、ステラはそんなことより、と新し親分『バズリトレンディ』を見やる。
 彼女が先ほど『セラフィム』と口走っていたような気がするのだ。
『悪魔』の力とかなんとか。
「あっれは、だれっだ、だれっだ、だっれっだ~♪」
 やばい!『バズリトレンディ』が怒られる歌を謳いそうになっている!
「え、あの、いや、えっと。ツッコミどころが多すぎませんか?」
「いいえ、いいですかルクス様」
 すぅ、とステラは息を吸う。
「メイドたる私の頭にはホワイトブリムがあり温泉では水着が必須遺された要素はウェディングのみつまりこのイベントは私のウェディングドレスを着て『エイル』様と結婚しろという運営の意志なのですそしてたたえるのです水着『エイル』様の愛らしさウルトラレアを課金させて下さい誰がヤベーメイドですか」
「うわぁ、早口が過ぎるっていうか、ベルセルク言語になってます!」
 あまりの速さ。
 さすやばメイドである。

「ステラさん、メイドって言われると商人って否定してませんでしたっけ?」
 それはそれ。
 後乗せサクサクでいいのである。何が? 設定が!
「あとこれが一番ヤベーと思うんですが、ウェディング着て水着『エイル』さんを追いかけ回したら、いよいよですよ」
 通報がね。
 でもまあ、運営に通報したところで、スエラを止められるとは思えない。
 というか、ルクスは思った。
 まだ全然ノンプレイヤーキャラクターの『エイル』が水着になるとは一言も明言されていないのに、突っ走って大丈夫なのだろうか。
「ステラさん水着『エイル』さん見て、生きていられます? 呼吸止まりません?」
 ほんとそれ。
 むしろ、ヤバすぎる事態になるのではないかと評判である。あくまで、このクエストフィールドの噂である。

「誰がヤベーメイドですか! 私は『エイル』様の水着を見るまで諦めませんよ! 課金しろっていうのならさせて下さい。我が全財産を投じて引き寄せて見せますとも……!」
 ガチ勢怖ぁ、とルクスはおののきながら、ステラがぶっ飛ばした『カキンゴオリ』のドロップアイテムを拾い集めるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
「うーん…バグとバグでバグがバグってしまった」
『エラーですか祐一?でしたら電気ショックによる治療を…』
SPD

「待て、はやまるなEs。おれはしょうきにもどった。まずはイベントアイテム集めといこうぜ」

さて、たしかに『カキンゴオリ』の数は凄いが逆を言えば狙わなくても当て放題だ
両手に握った流星と彗星を乱れ撃ってバシバシ倒していくぜ。UCも付けちゃう!
熱線が跳ねれば跳ねる程アイテムがドロップしていくぜ。これでイベントアイテム大量にゲットだ!

…所でなんだが『ホワイトブリム』がどうやって『タキシード水着』に繋がるんだ?
いやバグの一種だろうから深い意味はないと思うんだが、ふと気になったというか…。

アドリブ歓迎



 眼の前に広がる光景。
 拠点『学園』と呼ばれたフィールドは、言ってしまえば学園生活シュミレーションをもしたものである。
 一見するとUDCアースの高校生活を思わせるような雰囲気がある。
 だが、そこに突如として現れたのは爆破の聖地である鉱山採石場跡地。断崖絶壁がそそり立ち、たまに爆発が起こっている。
 加えて、フィールドのあちこちからは間欠泉よろしく温泉が噴出し続けているのだ。
 はっきりって、これ全部バグだろうな、と良識と正気を保っているゲームプレイヤーならば思ったことだろう。

「うーん……バグとバグでバグがバグっしまった」
 そんな肉じゃがとコロッケとポテサラとじゃがいもの味噌汁で、じゃがいもがダブりにダブってしまったな、みたな孤独の猟兵みたいな番組でいっぱいご飯を食べていそうな星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)の言動にAIである『Es』は電気ショックの準備を始めていた。
『エラーですか祐一? 服に内蔵してある電気ショック療法を実施しますか?』
 イエス・ノーというか、もうやる流れになっていることに祐一は慌てふためく。
「待て、はやまるな。おれはしょうきにもどった」
『それは戻ってない人のセリフではないでしょうか』
「せやな」
 うんうんと新し親分『バズリトレンディ』は深く頷いていた。急に隣に来るじゃん。

「まずはイベントアイテムを集めなきゃなんだろ。っていうか、数多いな!?」
 そう、雪崩のように迫るのはバグプロトコル『カキンゴオリ』である。
 マジで雪崩みたいに『バズリトレンディ』が誘引し続けているのだ。
「ワイちゃんがんばりましたし、張り切りマンデー! あーね! 今、おかわりのバグプロトコルを頂きました~こんなんいくらってもいいですからね!」
「限度があるだろうが!」
 だが、と祐一は熱線銃を構える。
 数はすごいが、しかし、逆を言えば狙わなくても当たる、ということである。
 両手にした熱線銃の引き金を雑に引く。
 放たれた熱線は跳弾するように反射し、次々と『カキンゴオリ』へと当たり続け、無限反射跳弾みたいに戦場を吹き飛ばしていくのだ。

「ハッハー! 跳ねれば跳ねるほどにアイテムがドロップしていくぜ。これでイベントアイテム大量にゲットだぜ!」
「キミに決めた! イェモンゲットだぜ!」
 セイ! と祐一の頭に被せられる『ホワイトブリム』。
「やめろ! っていうか、なんで『ホワイトブリム』……メイドさんの頭に乗ってるあれだろ? あれがどうして『タキシード水着』につがるんだ?」
 おそらくバグだろうと祐一は思っていた。
 だが、『バズリトレンディ』は意味深に笑む。
 普段騒々しいやつが、なんかこういう時だけ静かに笑っているのが不気味だった。

 意味があるのか。
「急に黙るなよ、怖いだろ!?」
 バグの一種なんだよな? 深い意味はないんだよな?
 なっ? 冗談なんだろ? と祐一は『バズリトレンディ』の肩を掴もうとするが、するりと躱されてしまう。
「いや、気になるだろ! っていうか、なんでだんまり決め込んでるんだよ!」
 にこ、と『バズリトレンディ』は物言わぬままに、にゅるにゅるとイベントクエストフィールドの湯気立つ中に消えていった。
「こ、怖いだろ――!!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

ガチャ~…ガチャ~…
なんだかたくさんまわしたくなってきた~
金のバズリトレンディを重ねなきゃ…
えその上の虹色レアリティとかもあるタイプ?

分かってるよ限定イベントポイントでガチャを回すんだよね!
ところで課金して有償ポイント買うとこはどこ?
ボクは周回なんて奴隷労働はしない石油王だからね!
手持ちの課金通貨でジャブジャブするんだよ~!
えー?そういうのはなし?
周回オンリーで全アイテムが手に入る的なイベント?
だっる~い
だって虚無じゃん!同じこと延々とやるなんて~

●効率プレイ
んもーしょーがないなー
UC『神罰』で巨大化させた[球体]くんたちをゴロゴロ転がしてこう!
チャリンチャリン!



 ガチャ。
 それは射幸心を煽るものである。
 得られるものが貴重であれば、貴重であるほどに期待値は高まり、いつしか虜になってしまう。
 ある種の毒とも言えるだろう。
「ガチャ~……ガチャ~……」
 鳴き声かな?
 いいや、違う。
「なんだかたくさん回したくなってきた~金の『バズリトレンディ』を重ねなきゃ……」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)である。
 彼はガチャ中毒であった。
 いっぱい回さないと気がすまないし、最高レアリティ装備は限界突破するために上限まで重ねないと我慢がならないようになってしまった。
「え、その上の虹色レアリティ実装?」
「無限に広がる欲望。それは、底なし沼のようにワイちゃん思うやで! というわけで、このワイちゃんの金色装備はボッシュートや!」
 てれれれーん。
 ガチャ、と底が抜けてロニが重ねていた金色のバズリトレンディがボッシュートされる。
 いや、これってそういうやつじゃないはずだ。

「わかってるよ限定イベントポイントでガチャを回すんだよね! ところで課金して有償ポイントかうとこはどこ?」
 ロニは冷静だった。
 課金に課金を重ねて手に入れた装備がナーフされてゴミクズになるなんて、今に始まったことではなかった。
 補填?
 そんなの神であるロニには関係ない。
 神とは、あらゆる物を超越した君臨者。
 ならば、課金するためのトリリオンなぞ、造作もないのである。
「有償ショップはあちらで~す。いいぞ、これまでの分までいっぱい課金しろ……」
『バズリトレンディ』は毒ガス訓練しはじめそうな事を言っているが、ロニは構わなかった。

 そう、ロニは周回なんて奴隷労働はしない主義なのだ。
 石油王のごとく課金アイテムでジャブルのが大正義だって知ってるんだよね。
「こちらはスキップパック! バグプロトコルを一発で霧散させる爆発ボタン! 今なら一億トリリオンぽっきし! 大出血サービスやで!」
「ないです。そんなのないです」
 ノンプレイヤーキャラクター『エイル』が死んだ魚の眼で告げる。
「え~だっる~い。だって虚無じゃん! 同じこと延々とやるなんて~」
 ロニはぶーたれた。
 札束でバグプロトコルをぶん殴りたいっていうのに、それができないなんて詐欺である。
 だがまあ、それをしなくちゃあならないのが猟兵の辛いところである。
「んもーしょうがないなー」
 えい、とロニはユーベルコードで雑に大きくした球体を振りかぶる。

「え、まさか」
「うん、だるいから」
 理由はシンプルであった。
 周回だるい。スキップできないなら、性能差と言う名の暴力ですりつぶすのみ。
 それができるのが神ってもんである。
「はい、ゴロゴロ~」
 とっても雑にロニは球体たちを転がして『カキンゴオリ』たちを押しつぶし、あとに残されたドロップアイテム『ホワイトブリム』を回収するのも球体たちに任せて、どざー、とポテトチップスの袋を開けて口の中に放り込み、コーラで雑に流し込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ドレイクメイデン』

POW   :    お掃除いたしましょう
無敵の【バックアップごとデータを消去する清掃具】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    今がチャンスでしたのに
戦場全体に、【決定的な場面でファンブルが出る世界】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ   :    それでは皆様、ごきげんよう
【自身に関する全てのデータを消去する】と共に、同じ世界にいる任意の味方の元に出現(テレポート)する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はメイ・トラクーンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 バグプロトコル『ドレイクメイデン』は思った。
 なんでこんな場所に自分が引き寄せられているのか、と。
 言うまでもない。
 新し親分『バズリトレンディ』のせいである。彼女が持ち出した大量のドロップアイテム『ホワイトブリム』は、彼女の頭上に輝いていたのだ。だが、それを『バズリトレンディ』は、しれっと盗み出していたのだ。
 それも1枚のカード、その予告状と共に。

『今夜、あなたの頭上に輝くフリフリを頂きに参ります――東方親分『山本五郎左衛門』』

 猫の目怪盗的にね。
 だが、詐称はどうかと思う。
 というか、予告状って盗む前に出すやつ。盗んだ音に置いていくものではない。しかも下手人として東方親分の名を騙るところからして確信犯である。
「ここですか、『山本五郎左衛門』!! 私のホワイトブリムを盗んだ者は!!」
 うわ、めっちゃ怒っとる。
 それもそのはずである。彼女がバグプロトコルのドロップアイテムとしてクエストに設定していたのは、その『ホワイトブリム』の偽物である。本物がどこかに紛れ込んでいるかもしれないが、判別がつかない。
 加えて、猟兵たちは、その『ホワイトブリム』をアイテム合成してイベントボス特攻装備というか、ボス戦におけるデバフ『ダメージやバッドステータス成功率10分の1』を無効化するための『ウェディング水着』と『タキシード水着』を作り上げていたのだ。

「私のホワイトブリムは!?」
「あ~そこになければないですね~」
『バズリトレンディ』は、何処かの百円均一ショップの店員さんみたいなことを言っている。
 しかも、『山本五郎左衛門』の名を語っているので、『バズリトレンディ』にはノーダメである。
 ヘイトは全部『山本五郎左衛門』に向かうという無法にして豪腕ぶりである。
「ええい、問答無用! この場の全てのゲームプレイヤーを殲滅すれば……って、ゲェッ!? りょ、りょ、猟兵!?」
 じゃーじゃーん!
 猟兵無双っていうゲームがあったよね。あったでしょ。あるの。
 そのゲームに出てくる猟兵たちが登場したシーンでオブリビオンたちが慌てふためくムービーが流れるのだが、それと同じように『ドレイクメイデン』は動揺する。
 だが、もう遅い。
 すでに猟兵達は『ウェディング水着』、『タキシード水着』を装備しているのだ――!
ヌグエン・トラングタン
(タキシード水着の方)
…水着って、こうなるものだっけか?
いや、深く考えねぇ方がいいのはわかってんだが。ついGMとしての思考が。

ま、あった方がいいなら装備するわな。しかも、俺様には動きを制限するものでもねぇし。
どこにテレポートしようが、出た瞬間に俺様は追い付くんだよ、このUC!
はは、そういう感情は、現状お前にしか向かってねぇしな!

しかしまあ…カオスもカオスだな…。
たまにはカオスイベントもいいだろうが…デバッグ作業がなぁ…。



 疑問が一つある。
 いや、まあひとつと言わず相当あるのだが、この期間限定イベントクエストはなぜかドロップアイテムが『ホワイトブリム』なのだ。
 それがアイテム合成で何故か『ウェディング水着』か『タキシード水着』に変換される。
「……水着ってのは、こうなるものだっけか?」
 ヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)は思った。
 思ったが、疑問に思う事自体がすでにナンセンスであった。
「そういうもんやで! ワイちゃん渾身のアイデアを満喫するんやで!」 
 新し親分『バズリトレンディ』は言う。
 けれど、ヌグエンは敢えて無視した。
 深く考えたら負けであるし、考えたらドツボであった。
 なんか慣れなれしく肩に腕を乗っけて寄りかかっているが、本当になんだこいつ、とヌグエンは思った。
 自分が思う以上に、この『バズリトレンディ』は不可解な存在であった。
 ついついドラゴンプロトコルとしての性がでてきてしまうし、それを上手にくすぐってくるのが『バズリトレンディ』という存在であった。
 正直、ちょっと怖い。
 関わり合いになった瞬間、身の破滅が確定するような恐ろしさがあった。

「まあ、あった方がいいなら装備するわな。誰だってそうする。俺だってそうする」
 自分の動きを制限するものではないというのならば、ヌグエンは迫るバグプロトコル『ドレイクメイデン』を前にする。
「ええい、猟兵が待ち構えているとは詐欺に近しいことではないですか! 聞いてません!」
「そりゃそうだ。だが、どのみちお前たちバグプロトコルは全て排除しなくちゃあならねぇ」
「ならば、逃げの一手! 緊急離脱!」
「させるかよ1」
 ヌグエンの瞳がユーベルコードに輝く。
 それに予備動作は必要なく(ミキワメテミロ)、ただ己が拳を叩き込むためのユーベルコード。
 緊急離脱を行おうとした『ドレイクメイデン』へとヌグエンは瞬間移動したかのように踏み込み、己の拳を打ち込む。

「ぐはっ!?」
「はは、遅い!」
「それって、あれですよね。俺を見たな? これでお前と縁が出来た! っていう強制因縁ユーベルコード……ってことですやん! ずっこい!」
「ずるくはない!」
 ヌグエンはしまった、と思った。
 ずーっと『バズリトレンディ』に翻弄されっぱなしである。
 瞬間移動の如き踏み込みで『ドレイクメイデン』に踏み込んだ速度にまでなんか涅槃のブッダみたいな姿勢で『バズリトレンディ』は追いついてきているのだ。
 正直意味がわからない。
 カオスもカオスな状況。
 っていうか、どういうタスク処理でそうなっているのか。

「たしかに。確かにたまにはカオスイベントもいいとったが……どう考えても、その移動方法バグだろう」
「バグでも利用できるのなら、バグり倒す! 倍返しや!!」
「使い方も違うだろ!」
 ヌグエンは、デバッグ作業の如き『バズリトレンディ』とのやり取りにげんなりしつつ、己の精神的な疲労が蓄積していくのを感じた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

明和・那樹
●WIZ

…今回ばかりはバグプロトコルに同情せざるを得ない
それに何だよ…このタキシード水着って…ステータス画面を確認すると信じられないぐらいのチート級だから着るけどさ(クソデカ溜息

戦闘開始と一緒に逃げ出そうとするけど、逃がしはしないよ…この|悪夢《トンチキ》を終わらせるために!
竜使いの笛でラドランを召喚して騎乗
上空からフィールドを見渡して見つけて急降下しても、相手はまたどこかに飛んでしまうかもしれないのなら…『ミゼルコルディア・スパーダ』の一部を放ってどこに消えるか確認だ
それを繰り返してパターンを割り出したら、残ってる剣を全部投入してラドランを急降下
出てきたタイミングを狙って双剣の一閃を与えるよ



 バグプロトコルへの猟兵のユーベルコードの一撃。
 その一撃にテレポートして逃げの一手を打つ、というバグプロトコル『ドレイクメイデン』の目論見は失敗していた。
 だが、彼女は諦めない。
 っていうか、なんとかしてでも逃げようと思っていたのだ。だが、それさえも猟兵に阻まれる。
「……今回ばかりはバグプロトコルに同情せざるを得ないよ」
 明和・那樹(閃光のシデン・f41777)はなんとも言えない気持ちになった。
 自分の装備品を盗まれ、追いかけてきたら猟兵たちが取り囲んでいるのだ。どんな罠だよ、と思わずにはいられない。
 そして、加えて那樹は思った。
 ドロップアイテム『ホワイトブリム』を合成して生み出されたアイテム『タキシード水着』。
 巫山戯ているとしか思えない。
 っていうか、『タキシード水着』とは一体どんなものなのか。
 水着の体を成してすらいない。
 まんまタキシードである。
 着心地はいいと思うけれど、なんでこんな格好をしなければならないのか。

「『閃光のシデン』くんさんさぁ、そういうのって正直アリですよねぇ」
 にちゃ。
 新し親分『バズリトレンディ』は笑む。
 確実にこの状況を楽しんでいる。
「目が怪しいんだが。というか、なんだよ……このアイテム……ステータスおかしいだろ」
「いや、おかしくないんやで、これがな! もともとデバフ掛かっていたのを無効化するための期間限定アイテムじゃけぇ、他のクエストでは使えないんじゃ。期間限定アイテムは敗北者じゃけぇ……! 取り消せよ!」
「こっちのセリフなんだけど!?」
 那樹はやめた。
 いや、もう『バズリトレンディ』のペースに載せられたら、一方的な敗北感しか味合わされない。
 クソデカため息と共に那樹は走る。

 そう、未だに逃げることを諦めていない『ドレイクメイデン』を逃さぬためだ。
「クッ! まだ追うつもりですか!」
「逃しはしないよ……この|悪夢《トンチキ》を終わらせるために!」
「お前は此処で討たれるんだ、今日! ここでぇ!! ってやつですやんね。分身する?」
「しないけど!?」
 那樹は竜使いの笛を吹き鳴らし、『ラドラン』を召喚し飛び乗る。
 飛翔するライドドラゴンの上から『ドレイクメイデン』を見下ろす。そう、逃がしてはならない。もしも、逃がしたのならば『バズリトレンディ』はまた新たな期間限定イベントクエストを繰り返すだけだ。
 そうなってしまっては、またトンチキな事態に巻き込まれてしまう。
 それだけは絶対に避けなければならない。
「パターンは見えているんだよ!」
「パターン化されていようが!」
 自身に関するデータを消去して、他の味方の場所へと転移しようとする。けれど、こうした転移はこれまで経験してきたクエストのパターンから理解している。

「ミゼリコルディア・スパーダ……! 全方位すれば!」
 放たれる魔法剣。
 周囲を取り巻くは、千を超える魔法剣。
「……!?」
「チートですやん」
「違うよ、れっきとしたユーベルコードだよ!」
『バズリトレンディ』の囃し立てる声に那樹は言い返す。というか、言い返す暇もない。敵の動きは一瞬。だからこそ、全方位による攻撃で持って『ドレイクメイデン』を逃さぬように戦わねばならないのだ。

「そこだ!」
『ラドラン』とともに那樹は己の魔法剣による包囲攻撃にさらされた『ドレイクメイデン』がなんとか持ち替えた様を見やる。
 振るう双剣の一撃が十字剣閃となって『ドレイクメイデン』の体を切り裂く。
 吹き荒れるダメージとヒット数。
 那樹は『閃光のシデン』として決まった、と確信する。
 だが。
「いや、やっぱチートっしょ。あんだけの数の魔法剣出すとかさぁ~『閃光のシデン』くんさん、やってんねぇ~?」
「だから、やってないけど!?」
 那樹は、さらに『バズリトレンディ』にうざ絡みされ、なんかこう、いまいち決まりきらないのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャムロック・ダンタリオン
(いつの間にかタキシード水着を強制装着されている)
おいちょっと待て、どさくさに紛れて己の罪を東方親分に擦り付けるでないわバグリトレンディ!

――ならば今度は炎の精霊を【武器改造(+:攻撃力、-:装甲)】した火炎放射器で【蹂躙】してやろうか(【属性攻撃・全力魔法・なぎ払い】)――ああ、この場合なんと言うべきか…、確か「汚物は【焼却】」だー!」だったか(ぇ)。

(ここで本当のボス敵に話しかけられるも)
今はそれどころでないわ!片手間に殲滅してやろうかぁ!?(【恐怖を与える・傷口をえぐる・悪のカリスマ」)

※アドリブ・連携歓迎



 キャット・アイは、一斉を風靡した猫型ロボット娘三姉妹の物語である。
 UDCアースで一斉を風靡した作品であった。多分。
 そんな作品を新し親分『バズリトレンディ』が見逃すはずもなかった。というか、飛びつかぬはずがなかったのである。
 例え、流行り廃りで忘れ去られていく運命にあるのだとしても、彼女だけは決して忘れない。そう、忘却の彼方に向かうものであっても、有機物無機物問わず、流行ったものは全部覚えている。
 それが新し親分『バズリトレンディ』!
 彼女が一度手にした流行りは、バズは! 絶対に離さない! しがみついてでも、絶対に忘れないのだ。何一つ過去になんてさせやしない。
 その決意の現れこそが、まさしく今回の事態を引き起こしたのだ!!

「――とかなんとか言えば、わかってもらえるかにゃ」
 東方親分『山本五郎左衛門』みたいな感じで『バズリトレンディ』はシャムロック・ダンタリオン(図書館の悪魔・f28206)に語る。
 ちょっとうるっときそうであった。
「なるか! ドサクサに紛れて己の罪を東方親分になすりつけるではないわ、このバグリトレンディ!」
 シャムロックは思わず叫んでいた。
 キャラんではないことをしているという自覚はあった。
 だが、叫ばざるを得なかった。
 はっきりいって『バズリトレンディ』はメチャクチャである。
 絡んだ時点で負け。
 絡まないようにしていても、今俺を見たな? これでお前とも縁ができた! と強制ロックオンされてしまうのである。

「質が悪すぎる! というか、なぜ俺は『タキシード水着』を着用しているのだ!?」
「シャムさんよぉ、あんまりにもスロゥリィだったもんだから、こう、ちょいとやって、ほっとやって、えいって感じよォ。イモ引いたなぁ?」
 なんで仁侠ぽい雰囲気を出しているんだろうか。
「実力行使というのならば、こんどは炎の精霊で蹂躙してくれようか!」
 火炎放射器を再び構えるシャムロックに『バズリトレンディ』は、ぷーくす、と言わんばかりに笑っている。
「相手間違えてるっすよ。あっちあっちハッチポッチ駅前~♪」
 歌うな!
 シャムロックのユーベルコード、精霊武装(エレメンタル・ウェポナイズ)によって変形した武器、火炎放射器が炸裂する。
「汚物は焼却だー!」

 吹き荒れる炎。
 そのさなかを『バズリトレンディ』は理不尽なまでの回避技能でもって躱す。
 何体生物か何かか。
 というか猫みたいであった。猫は液体であるから、攻撃を躱すことも可能なのである! 初耳であるが。
「どっちかというと貴様はネズミだろうが!」
「あ! ワイちゃんの耳にだけはふれんといてくださいよ!! 言うたやないですか!!」
「あの、そろそろよろしいですか?」
 漸くバグプロトコル『ドレイクメイデン』はモップを構えてシャムロックに話しかける。
 いいのかな?
 攻撃していいのかな?
 逃げるのを諦めて猟兵を倒すことに決めたけれど、これはいいのかな? と彼女はちょっとおっかなびっくりであった。

 だがしかし、シャムロックはバグプロトコルを見ていなかった。
 というか、彼にとって倒すべき仇敵は『バズリトレンディ』であった。確実に目的を見失っている。
「今はそれどころではないわ!」
 振るう火炎放射器が炎を吐き出し、『ドレイクメイデン』へと雑に迸る。
「やーい、下手エイムー! このワイちゃんの反復横跳びクラスレコードの腕前を捉えられるか!! 超! エキサイティン!!」
「待たんか!」
 めちゃくちゃに煽る『バズリトレインディ』はシャムロックを躱し、さらに逃げ回り続ける。
 そして、哀れなる『ドレイクメイデン』はぷすぷす黒焦げの煙を、ゲホッ、と吐き出すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
なるほど、つまりこのイベントは
バグプロトコルをおびき寄せるための罠だった……てこと?
『バズリトレンディ』、恐ろしい子

皆も水着は着たわね
なんだか結婚式みたい……綺麗ね
花嫁の親ってこんな気持なのかしら
人間はあっという間に大きくなってしまう
ついこの間まで子供だったのに大人になって
一人いたり二人いたり
青かと思えば赤もあって、白の時もあり
謎めいている

『閃光』の『アイン』
相手の動きを封じるから、攻撃をお願い
『ドレイクメイデン』も気づいているでしょう
この混沌は掃除でどうこうできるものではないわ
むしろ掃除できるならちょっと有り難いかもしれないわ
ねえ、『エイル』? ……し、しんでる(目が)



 次々と集まってくるバグプロトコル。
 バグプロトコルほいほいのように新し親分『バズリトレンディ』の生み出したイベントクエストは新たなるバグプロトコルを誘引していた。
 一度フィールドに踏み込めば、逃げることはできない。
 なぜなら、此処には猟兵がいるからだ。
 バグプロトコルを絶対に許さないイェーガー印のトラップ。
 ある意味即死コンボ。
 凶悪に過ぎる罠であった。
「なるほど」
 そういうことか。
 薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は、体は大人、頭脳も大人である。
 何を言っているのかわからないかもしれないが、国民的探偵アニメの一コマである。彼女はいつも以上にクールに決まっていた。

「つまり、バグパクトラップ……ってこと?」
「そういうことでやんす!」
『バズリトレンディ』は、イエス! と言わんばかりに軽快なポーズで静漓の言葉を肯定する。
「『バズリトレンディ』、恐ろしい子」
 ピシャーン! と背景が白黒になって静漓は青筋を立てながらつぶやく。あれ、案外ノリノリっすね? 大丈夫? 怒られない?
「あのさー、これ、本当に必要なやつ?」
 そんなやり取りをしている二人にクラン『憂国学徒兵』のメンバーたちは気恥ずかしそうであった。

 そう、眼の前には『ウェディング水着』3!『タキシード水着』1! のメンバーたちがいた。
「なんだか結婚式みたい……綺麗ね」
 静漓は『憂国学徒兵』のゲームプレイヤーたちの姿にこみ上げるものがあった。
 この感情をなんというのか、静漓はわからなかった。
 けれど、花嫁の親とはこんな気持なのかもしれないと納得していた。
 そう、人間というものはすぐに大きくなってしまう。
 ついこの間まで子供だったのにおとなになって、一人いたり二人いたりする。それはかなり特殊な場合ではないだろうかと思わないでもなかったが、それは静漓の胸の内の言葉であるので、誰も突っ込めなかった。

 というか、無粋である。
 静漓は今、静かに感動しているのである。
「青かと思えば赤もあって、白の時もあり、謎めいている」
 瞳を伏せる。
 感極まっているが『アイン』と呼ばれたゲームプレイヤーはよくわからない様子だった。
「えっと、で……」
「『閃光』の『アイン』、相手の動きを封じるから攻撃をお願い」
「お、おう!」
 大丈夫かなー? と彼女たちは静漓を見ている。
 図らずとも結婚式に臨む親の気持ちになってしまった静漓。しかし、いつだってそうだ。人は成長していく。
 自分を置いていくように、走り抜けていく。
 それが早いだとか遅いだとかは、些細なことなのだろう。

「え、ええい! わけのわからないことばっかりを! 私の『ホワイトブリム』を返して下さい!」
 バグプロトコル『ドレイクメイデン』はなんかこう、もうボロボロであった。
 黒焦げになっていた身を翻してキラキラエフェクトで復活してはいるが、しかし……
「『ドレイクメイデン』も気がついているでしょう」
 静漓は静かに指を突きつけるようにして手にした護符を投げつけた。
 宙を走る護符が蝶に変じ、皓月結界(コウゲツケッカイ)として『ドレイクメイデン』を取り囲む。
 月光の結界術は『ドレイクメイデン』を囲い、その動きを封じるのだ。
「この程度で……!」
「そうはタピオカ問屋が許さないんやで! このペンパイナッポーアッポーペンハンマーがあればね!」
 脳天直撃!
『バズリトレンディ』が『ドレイクメイデン』の脳天にパイナップルとアップルがついたハンマーをぶち込む。
 そして、『アイン』たちが攻撃を叩き込む。
 飽和攻撃だった。
 あんまりにもあんまりだった。

「この渾沌は掃除でどうこうできるものではないわ。むしろ掃除できるというなら、ちょっとありがたいかもしれないわ」
 静漓は思う。
 この大渋滞具合をどうにかできるならして欲しい。はっきりいって、このイベクエ管理を任されたノンプレイヤーキャラクター『エイル』が処理で大変なのだ。手伝えるなら手伝って上げて欲しい。
「ねえ、『エイル』?」
 だが、返事はない。
 彼女は見た、そこには『エイル』が真っ白に燃え尽きたようにうなだれていた。
「……し、しんでる」
 目がね――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

杓原・潤
お待たせピヨちゃん(f42991)、ウェディング水着のうるうだよ!
ウェディング水着って何?
海で結婚式挙げてそのまま泳ぎで新婚旅行とか行くの?
まぁかわいいから良いよね!
ピヨちゃんも似合ってるよ、かわいい!
良くない漫画に出てきそう、程よくチョロいし……それはともかくメイドさんが出て来たね。
ざーんねん、それはもはや水着になっちゃったよ!
どうやったかは知らないけど、元には戻らないんじゃない?
ピヨちゃんが銃ならうるうは魔法剣、どこに逃げても範囲内なら包囲しちゃうよ!
でもガトリングガンってやっぱ迫力あるね。
背中で魅せる銃ガールってやつか!
うるうも負けないよ、可愛くダンスしてあげる!剣飛ばしながら!


ファルコ・アロー
杓原ァ(f28476)!イベント装備だかなんだか知らねーですけど、なんですかこのひらひらした服は!
てめーみてーなぶつぶつ呪文唱えりゃすむ連中と違ってこちとら飛んだり殴ったりしねーとなんねーんですよ、翼に絡まったりしたら邪魔じゃねーですか!
はぁ?まぁかわいいボクに似合わねーはずはねーですけど……今回は仕方ねーですね、この格好でやってやるですよ!
とゆー事でそこのドラゴンメイド!
掃除道具なんかでボクの弾丸を止められると思わねー事ですね!
数が違うんですよ数が!
どこに逃げたってこの弾幕からは逃れられねーですよ!
杓原ァ!てめーも後ろから見てねーで……は?背中で魅せる?
訳分かんねー事言ってんじゃねーです!



 夏! それは水着の季節!
 夏! それは恋の季節!
 夏! それは☆といいね飛び交う人外魔境!

 猟兵にとっての夏とはそんなものであった。
 語弊があるとは思うが、個人的見解ですご了承下さいというやつである。
「おまたせピヨちゃん、ウェディング水着のうるうだよ!」
 杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は湯気たつイベクエフィールドの温泉をパシャパシャ跳ねさせながら、待ち合わせ場所に集合するようにファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)に駆け寄った。
 うーん、見事。
 可愛らしさに全振りしていながらも、純白の花嫁めいたフリルを装備した潤は最強にして至高でった。
「杓原ァ! なんです、このイベント装備だかなんだか知らねーですけど、このひらひらした服は!」
 対するファルコは、トランジスタグラマーであった。
 幼い体躯に見事な、そのぉ……ね? みなまで言わせるな。部隊員たちがファルコを可愛がりたくなるのがわかる。
 アンバランスな魅力とでも言えば良いのか。
 それを包み込むのはウェディング水着である。
 くぅ~疲れましたw とかなんとか訳のわからんことを言いながら用意しただけのことはある。ありがとうございます!

「てめーみてーなブツブツ呪文唱えりゃ済む連中と違って、こちとら飛んだり殴ったりしねーとなんですよ、翼に絡まったら邪魔じゃねーですか!」
 彼女はフリフリの装飾過多の水着と呼ぶには、ちょっとね、なウェディング水着に対する不平不満が爆発していた。
 いいんだよ。似合っているから。
 こまけぇことは。
 しかし、潤もまあ、なんとなく思っていた。
 ウェディング水着って何? と。当然と言えば当然の疑問である。

「海で結婚式挙げてそのまま泳ぎで新婚旅行とか行くの?」
『テルビューチェ』でざぶんと世界一周とか行けそうな気がしないでもない。
「まあ、かわいいから良いよね! ピヨちゃんも似合ってるよ、カワイイ!」
「はぁ? まぁかわいいボクに似合わねーはずもねーですけど……」
 ファルコは興味ないですけど、仕方なく着ているといった体で手を振る。
 良いからさっさとユーベルコードを詠唱しろ、と言わんばかりの態度である。つっけんどんである。
「……今回はしかたねーですね、この格好でやってやるですよ! とゆーわけで、そこのドラゴンメイド!」
「は、はい!」
 びくぅと、まっ黒焦げから回復した『ドレイクメイデン』は、背筋を伸ばす。
 なんとか猟兵たちの攻勢から逃れたはいいものの、またさらに潤とファルコに目をつけられているのである。
 災難である。

「掃除道具なんかでボクの弾丸を止められると思わねーことですね!」
 ビシィ! とファルコはウェディング水着で指を突きつける。
 その様子を潤は、うーん、ちょろい、と思った。よくない漫画に出てきそうな程にチョロい。ちょっと褒めたらコロっとなんでもしてくれるのではないかと思った。
 心配だなぁと思うが、それよりも『ドレイクメイデン』である。
 バグプロトコルである彼女は『バズリトレンディ』の生み出したイベントクエストに誘引されていた。いやまあ、正確には盗まれたホワイトブリムを取り返しに着ただけなのだが、こうして猟兵にボコられている。

「あなたのホワイトブリムはざーんねん。もう水着になっちゃったよ! どうやったかは知らないけれど、元には戻らないんじゃない?」
「それにしたって数が多すぎるでしょう?! というか、アイテム合成をしたのなら、その水着を剥ぎ取って分解すれば!」
「何公然とひん剥く泉源してるですか! おらぁ!」
 ファルコはひらひらのウェディング水着を翻しながら飛翔し、己の武装の全てをぶっ放す。
 雑に過ぎるが、彼女のフルバースト・マキシマムはそういうユーベルコードである。
 あー! いけません猟兵様! なんかこう、こぼれちゃいけなのが零れそうになってますあー! 猟兵様ー!!!
 そんなファルコの活躍を後ろから見て、潤は魔法剣を操る。
 どこかで見たような光景である。
 具体的には勝利の女神の名を冠するソーシャルゲームのあれ。具体名は出さない。いいね。
「そうそう。何処に逃げても包囲しちゃうよ。でも、ガトリングガンってやっぱ迫力あるね。これが背中で魅せる銃ガールってやつか!」
「はぁ? 背中で魅せる? 何訳わかんねーこと言ってんです!」
 ファルコの背中。
 もっと言うなら、形の良いお尻である。
 彼女が飛び、武装をブッパする度に何がとは言わないが揺れているのである。
 どこに行けば、このゲームできますか?
「うるうも負けないよ! 可愛くダンスしてあげるからね!」
「いや、本当に何言ってやがるんです?」
 いいんだ。
 ファルコ。これが感謝ってやつだ。尊いってやつだ。
 わかるだろう。
 なぜか『バズリトレンディ』がフィールドの外からサイリウムを振っていた――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
新作をとのことなので、ティアラ+フリル付ビキニタイプ+スカート代わりのパレオの組み合わせで登場。

「貴女のホワイトプリムは私のウェディング水着の素材となりました。
恨むなら、そこのバズリトレンディさんを恨んでください。
山本五郎左衛門は無関係ですからね。それはもう過失割合0の貰い事故みたいなもので。」

言うべき事を言った後は、マイペース(というか大阪のおばちゃん並に人の話を聞かない&自分の言いたい事をしゃべる)で対応。
バズリトレンディさんとのやり取りは、多分会話になってない。

《帰幽奉告》発動。
ドレイクメイデンさんを攻撃。
何故かバズリトレンディさんも苦しむ。
良心回路がきしんで苦しんでいるのでしょうかね?



 アイテムこねこね子猫ちゃん。
 大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は、少しだけ悩んでいた。
 彼女は以前、水着コンテストでウェディングドレスめいた水着を着て参加していた。あれは見事であった。
 清楚と貞淑さを、ギュッ!! と濃縮した上に健康美をファサァってかけたような見事な仕上がりであった。
 ウェディング水着の何たるかを、その真髄を見せ付けるようであった。
 だからこそ、此度は新作で、というオーダーを受けて詩乃はしばし悩んでいた。
 その端でバグプロトコル『ドレイクメイデン』と猟兵たちのユーベルコードが明滅している。いや、一方的に『ドレイクメイデン』がボコられているだけであったが、まあ細かいことである。

「新作……ティアラは外せませんよね。となるとビキニ……フリルを添えて、スカートの代わりにパレオを組み合わせましょう! これが! 新作! 私のウェディング水着です!」
 光り輝くアイテム合成の大成功エフェクト。
 そして、その光に手を伸ばした詩乃はなぞの空間に飛ぶ。
 そう、いわゆる変身バンクってやつである。
 もと来ていた衣装が光となって消える。うおまぶしっ。
 光が弾け、白い純白のビキニが詩乃の体を包み込む。更に光が集約してビキニの縁をフリルが飾る。
 そして、弾けた光が全て詩乃の額に集約されて輝くは白銀のティアラであった。
 爆誕! これが神の! 猟兵の! ウェディング水着・詩乃UR!!

「貴女のホワイトブリムは、私のウェディング水着の素材となりました」
「なんでそうなるんですか!?」
『ドレイクメイデン』の言葉も尤もであった。本当になんで?
 なんでホワイトブリムからウェディング水着ができるの?
 わからん。わからんが、そうなっとるやろがい!
「恨むなら、そこの『バズリトレンディ』さんを恨んでください。『山本五郎左衛門』さんは無関係ですからね。それはもう過失割合0のもらい事故みたいなものなので」
「一体私は誰を恨めばいいんですか!?」
「『バズリトレンディ』さん、『ドレイクメイデン』さんの声真似してもダメですよ」
「ペンパイナッポーアッポーペン」
「ごまかさないでください」
「ワイちゃん、これがこれなもんで!」
『バズリトレンディ』は、ハンドサインで、嫁が激オコなもんで、二次会は失礼するでやんす、みたいなことを詩乃に伝える。

 だが、詩乃はにっこり笑む。
「帰幽奉告(キユウホウコク)」
 会話が成り立っていない。
 というか、詩乃は容赦しなかった。
 確かに『ドレイクメイデン』はホワイトブリムを奪われた被害者かもしれない。悪いのは全部『バズリトレンディ』かもしれない。
 だがまあ、それはそれとしてバグプロトコルをぶっ飛ばすにはぶっ飛ばさなければならないのだ。
 奏でられる音色。
 精神と魂へと直接攻撃するユーベルコードは『ドレイクメイデン』を苦しませる。
「ぐ、うう……!」
「なんで、ワイちゃんも?! ワイちゃんの不完全な良心回路が軋んでいる!? この『バズリトレンディ』が泣いているだと!?」
「それが良心というものです。教わったでしょう、人のものを盗んではならないと」
 詩乃は奏で続ける。
『バズリトレンディ』が巻き込まれていても関係ない。そう、詩乃にとって、バグプロトコルも『バズリトレンディ』も喧嘩両成敗。
 誰が裁く。
 そう、裁くのは私だ! と言わんばかりに詩乃のオラオララッシュならぬ演奏ラッシュが二人の魂と精神をきしませるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【サージェさんと】

水着はタキシードで!
た・き・しー・ど・で!

え?なんで、って……。
あんなかぁいいメイドさんいるんだよ?
こっちが男装するしかないじゃない!

あとなんだかデータをイジれるみたいだけど、
そんなの全部わたしがキャンセルするからね♪

まずは【フレーム・アドバンス】で相手をフリーズさせて……。

(ここからヅカ風イケメンにキャラ変)
おい、電脳魔術師舐めんな?

(壁ドンからの顎クイ)
お前のすることなんてお見通しなんだよ。
無駄だ。オレに逆らうな。
大人しくしてれば、気持ちよく還してやるよ。

(キャラ戻して)
サージェさん、どうどう? 結構良くない? ときめかない?

ダメ?
ワンチャンお持ち帰りかと思ったのに!


サージェ・ライト
【理緒さんと】
メイド……それはクノイチと並び立つほどの属性
何かここで引き下がるわけにはいかない気がしてきました
理緒さんここは……ってあるぇぇぇぇ!?
いえ、タキシードでもいいんですけど!
でもいいんですけど!
今宵の理緒さんも荒ぶっておられる……
そしてチートにも程がある

そろそろ戦わないと私たちのぐだぐだで敵を倒しかねません!
ここはタキシードクノイチが……って胸苦しっ!?
こんなに絞める意味有ります!?
ともあれ!
【VR忍術】神風の術!!
説明しましょうスカートの中を暴きます!
メイドの武器はスカートの中!
それを赤裸々に暴くこの悪行!

とかやってるうちに理緒さんが
勢い余ってるー!?
お持ち帰りはダメですよー?!



 メイド、それは|命道《めいどう》に端を発する人の生きる道を示した哲学への道である。
『メイド……それはクノイチと並び立つほどの属性」
 知っているのか、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)!
「ええ、あれは私は『クロックワーク・ヴィクトリア』に留学していた時のこと。狂気あふれる超大国にて血を滲むような思いでクノイチ修行に明け暮れていた頃に相対した……」
 あ、そんな事実はありません。
 フィクション。実在する実際の人物とは一切関係がありません、とかそういう注釈がつくやつである。
「ともあれ、何か此処で引き下がるわけにはいかない気がしているのです! 理緒さん、ここは……」
 サージェは共に戦う菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)に視線を送る。
 そう、バグプロトコル『ドレイクメイデン』を倒すためには『ウェディング水着』か『タキシード水着』をドロップアイテム『ホワイトブリム』から合成して着用しなければならないのだ。
 故に、サージェは理緒と共に『ウェディング水着』を装備しようとして、理緒の決まった顔を見た。
「水着はタキシードで! た・き・しー・ど・で!!」
「あるぇえええええ!?」
 なんで?
 全女子の憧れ、ウェディングドレス!
 純白のレース! 水着っていうからにはドレスより、こうね、露出的な意味でも、むふふなのに!
 なのになんで、どうしてどうして!!
「いえ、タキシードでもいいですけど……なんで?」
「え? なんで、って……あんなかぁいいメイドさんがいるんだよ? こっちが男装するしかないじゃない!」
 なんでや工藤! せかやて工藤!
 いっぱいかわいくてたくさんうれしいの理論でしょうが! そこは合わせなくていいじゃないですか! タイム・プレイス・オケイション、略してTPOくそくらえっすよ!

「今宵の理緒さんも荒ぶっておられる……」
「こ、こんな連中と戦ってられません。私は私のフィールドに帰らせてもらいます!」
 それフラグのやつ、とサージェは『ドレイクメイデン』の言葉に思った。
 探偵ものなら、真っ先に密室殺人の餌食になるやつである。
 フラグがたちすぎている。
「三十六計逃げるに如かず!」
「あ、それ全部キャンセルね♪」
 さっと理緒の瞳がユーベルコードに輝く。

 動きがフリーズする『ドレイクメイデン』に理緒は『タキシード水着』という名のただのタキシード姿で踏み出す。
「おい、電脳魔術士舐めんな?」
 近づいてからの壁ドン。壁、どこから生えた?
 顔を近づけての顎クイ。
 流れるようなコンボ。シームレスすぎるし、スムース過ぎる流れであった。
「ひゃっ!」
「お前のすることなんてお見通しなんだよ」
「くっ、これしきの拘束で……!」
「無駄だ。オレに逆らうな。大人しくしてれば気持ちよく還してやるよ」
 迸るイケメンオーラ。
 しかし、『ドレイクメイデン』も負けていなかった。がんばえー!
 理緒を突き飛ばして『ドレイクメイデン』は頭を振り、キッ! と睨みつける。
「御生憎様! 誰でもあんたなんかになびくとは思わないでよねっ!」
 キャラ変わってない?
 そんな『ドレイクメイデン』に理緒は肉食系攻略対象みたいなイケメン顔をして、笑う。
「ふっ、おもしれー女」
 なんか星が舞ってない?

「チートにも程がありますよね」
 サージェはそんな二人の様子を見てつぶやく。
「サージェさん、どうどう? 結構よくない? ときめかない?」
「いえ、そろそろ戦わないとぐだぐだで敵を倒しかねません! ここはタキシードクノイチが……」
 胸が苦しい。
 暴れん坊にしてやんちゃなサージェの2つの膨らみがタキシードの中で暴れ狂っているのである。
 そりゃそうである。あれだけ締め付けて押さえつけているのだ。
 バツン! とものすごい音がしてタキシードのシャツのボタンが弾け飛ぶ。
 飛び出すは褐色のデンジャラス。
 言葉は濁させていただくが、大変にご褒美のやつである。
 サージェの暴れる胸元にサージェは踏み出す。

「こんなに締める意味あります!?」
「あるんじゃない?」
「適当言ってますよね!? ともあれVR忍術(イメージスルノハカッコイイワタシ)! そのスカートの中身を暴かせて頂きます! 古今東西、古来よりメイドの武器はスカートの中! ガーターストッキングに仕込んであるというもの! つまり! それを赤裸々に暴くのです! ……ってあれ?」
 サージェは意気揚々と『ドレイクメイデン』にスカートめくりの術を敢行しようとして足を止める。
 なぜなら、彼女は倒れていたからだ。
 なんで?

「サージェさんの胸元のボタンが弾け飛んだ時をリプレイしようね」
 理緒が示したのは、動画であった。
 そこにはサージェのタキシードシャツのボタンが弾丸のように『ドレイクメイデン』のおでこに直撃した瞬間であった。
「ね、ワンちゃんお持ち帰りしていいかな?」
「ダメですけど――!?」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

えっと。
ちょっとなにいってるのかよくわからないですね。

解ったのは、ステラさんが『ベルセルクやべー』ってとこだけです!

あと、勝手に『エイル』さんつれて世界越えないでください。
さすがにナイアルテさんに怒られますよ?

それに、わたしだってウェディング水着なんですからねー♪
タキシードなステラさんなら、わたしが横に立ったっていいですよね!

え、いや、結婚したいのか、と言われるとちょっと……。
『エイル』さんに『メリサ』さん……どう考えても3号さん以下ですからね。

2号までなら許せてもそれ以下はちょっと。

って、話聞いてくださいよ!
渾身のボケを総スルーとか酷くないです!?

わかりましたよ! 演奏しますよ!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
いいですかルクス様?
私にとってメイドとは手段や武装であり
職業では無いのです
ですがメイド服は正装なのでステラ=メイド
すなわち、メイドで水着でタキシードな今の私は
限りなくエイル様の婚姻の相手として正しいのです!!
誰がベルセルクやべーメイドですか!
ご安心ください
此処でエイル様を嫁にして、サイザナのメリサ様に嫁ぎに行きます!

ということで私の迸るエイル様愛で有象無象のメイドなど滅ぼしてみせましょう
ええ、メイドたる者、決して負けるわけにはいきません!!
ルクス様はりあっぷ!!速やかに殲滅しますよ!!

とそういえば
セラフィムは悪魔の力?とかおっしゃっていましたが
悪魔はどこから来た要素なのでしょうね?



 メイドとは奥が深いものである。
 その姿格好からしても千差万別。
 いろんなメイドさんがいて、たくさんうれしい。そういうものである。
 故に、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は訥々と語りだす。
「いいですか、ルクス様。私にとってメイドとは手段や武装であり、職業ではないのです」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は大人しく聞いていた。抵抗しても無駄だとわかっていたからかもしれない。
「ですが、メイド服は精巣なのでステラ=メイドの図式が成立するのです」
 どこからか持ち出したホワイトボード。
 記されているのは、なんかメイドとは関係のない『主人様』の相関図出会ったような気がしたが、ルクスは突っ込まなかった。
 突っ込んだら負けだと思ったし、下手につっこむと話が長くなることを彼女は思い知っていたのだ。

「すなわち、メイドで水着でタキシードな今の私は、限りなく『エイル』様の婚姻の相手として正しいのです!!」
 結論。
 すなわち、結婚である。
 暴論すぎる。
 なんていうか勢いで乗り切ろうとしているのが透けて見える。
「えっと。ちょっと何言っているのかよくわからないですね」
「わからないのですか! これだけわかりやすく説明しているというのに!」
 ホワイトボードをバンバン叩くステラ。
 此処だけ見たら、予備校の名物教師っぽく見えないこともない。メガネが足りないよね。インテリジェンスの象徴がさ。
 それ以上行くともう属性過多でお腹いっぱいですやん。

「解ったのは、ステラさんが『ベルセルクやべー』ってとこだけです!」
「誰がベルセルクメイドですか!」
「あと、勝手に『エイル』さん連れて世界越えないでください。流石に怒られますよ」
 というか、可能なのか、そんなこと。
 ステラはにこり、と微笑む。一体どこから、そんな自信満々の笑みがでてくるのだろうか。いっそ、清々しいまでの笑顔であった。
「ご安心下さい」
「何一つ安心できない言葉ですよね、ステラさんが言うと」
「此処で『エイル』様を嫁にして、サイバーザナドゥの『メリサ』様に嫁ぎに行きます!!」
 頭痛が痛くて、みたいな言葉だな、とルクスは思った。
 むちゃくちゃだな、と思った。

 それよりも、とルクスはくるりと身を翻すようにその場でターンしてみせる。揺れるフリル。肌にそうレース。幸せは此処にある。
「わたいだってウェディング水着なんですからねー♪ タキシードなステラさんなら、わたしが横にたったっていいですよね!」
「そんなに」
 いじらしい。
 むしろ、ステラは一生ルクスの面倒をみたほうがいいのではないだろうか。
 役目でしょ。
「え、いいや、結婚したいのかと言われるとちょっと……『エイル』さんに『メリサ』さん……どう考えても3号さん以下ですからね」
 ルクス的には2号までなら許せてもそれ以下はちょっと、なのである。

「さて、私の迸る『エイル』様愛で有象無象なメイドなど滅ぼしてみせましょう。ええ、めいどたるもの、決して負けるわけにはいきません!!」
 だが、ステラはスルーしている。
 ルクス渾身のボケを雑にスルーしているなんて許せることではない。『バズリトレンディ』さんもそうだそうだと言っています。なんかこう、他の猟兵のユーベルコードの巻き添えを食って、ぐおおおってうめいているが、それもフリっぽい。
「って、話聞いて下さいよ!」
「ルクス様、はりあっぷ!! 速やかに……ってあら?」
「……なんか、伸びてますね、バグプロトコルの『ドレイクメイデン』さん」
 そう、彼女は額にボタン弾丸を受けて昏倒していたのだ。
 これまでステラとルクスの漫才の間、ずーっと黙していたわけではないのだ。単純にボタン弾丸で昏倒していただけなのだ! 二度言わせてもらう!

「……そう言えば」
「有耶無耶にしようとしてません? 演奏しますよ?」
「脅しですか! いえ、『バズリトレンディ』さんが『セラフィム』は『悪魔』の力とかおっしゃっておられませんでしたか?」
「悪魔要素ないですよね」
「……どういう意味なんでしょう?」
 二人は、うーん、と昏倒している『ドレイクメイデン』をほっぽって、考察に頭を悩ませるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
「ふむ、着心地は…意外と悪くないかな。Es、どう思う?」
『デザインの良し悪しについては断言できませんが』
SPD、タキシード水着を装備

『ステータスの向上並びに特殊な耐性を確認。問題ありません』
「ほー、見た目に反して凄い性能なこって。まぁいいや、さぁ行くか!」
…え、何?ホワイトブリムがなんだって?
一応余ったのがそこに大量に残ってるけどよ、どれが本物なのかは分かんねえぞ?(白い山を指差しながら

FZを操作して格納してたテスタロッサに騎乗
デバフも迷路の壁もカオスな状況も水着とUCの効果とあと気合で無理やり突破しながら『ドレイクメイデン』に肉薄して
雷鳴の溜め撃ちを零距離射撃でお見舞いしてやるぜ

アドリブ歓迎



 ウェディング水着が女性キャラ用だとすれば、タキシード水着は男性用と取れるだろう。いやまあ、一部女性でもタキシード水着という名のただのタキシードを着用しているものもいる。
 つまりは、着こなしは自由、ということである。
 そういう意味では星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)が選んだタキシード水着は正しい装備者に選ばれたとも言えるだろう。
「ふむ、着心地は……意外と悪くないかな」
 うん、とゲーム世界であるがゆえにサイズ感はジャストフィットに自動で補正されるのだろう。
 体型であるとか、そういうことを気にしなくていいのはありがたいことだ。
「『Es』、どう思う?」
 自分でも馬子にも衣装って感じがするな、と祐一は思っていたのだ。
『デザインの良し悪しについては断言できませんが』
 サポートAIの言葉に祐一は頷く。
 ずらっと眼の前に並ぶのはステータスボードであった。
 今の自分のゲーム世界でのステータス、パラメーターというものが表示されている。それらが今のイベントクエストのデバフを相殺してくれていることがわかる。

『ステータスの向上並びに特殊な耐性を確認。問題ありません』
 いやまあ、そういうことを聞きたかったわけではないのだが、しかしまあ、ステタースの面においてもお墨付きであるというのならば、これに越したことはないだろう。
「見た目はほんとただのタキシードなのにな。まぁ、いいや。さぁ行くか!」
 祐一はフィールドにて湯気とユーベルコードが明滅する様を見やる。
 いや、それは幻視であった。
 そこにいたのは銃弾と化したボタンを額に叩き込まれて昏倒しているバグプロトコル『ドレイクメイデン』と良心きしませる『バズリトレンディ』であった。
『バズリトレンディ』はなんか、こっちをチラッチラッと伺っている。あ、これ良心が軋んでるんじゃなくて、逃げる隙を探してるやつだな、と祐一は理解する。

「ぐっ、く……こ、ここは……いえ、確か私はホワイトブリムを……」
 立ち上がる『ドレイクメイデン』。
 そう、彼女は盗まれたホワイトブリムを追って此処までやってきたのだ。『バズリトレンディ』は、こうやって無秩序にバグプロトコルを引き寄せてしまうようだった。いや、どうみても確信犯である。
「え、なに? ホワイトブリムが、なに……?」
「私の、ホワイトブリムです! 猫目怪盗に盗まれたんですよ! それを!」
「え、一応余ったのがそこに大量にあるけれどよ……どれが本物なのかわかんねぇぞ?」
 祐一が示す先にあるのは白いフリフリの山。
 そうなのだ。
 バグプロトコル『カキンゴオリ』から大量にドロップアイテムしたアイテム『ホワイトブリム』。
 すでに合成されたものもあるが、それでもまあ、いっぱいあるのだ。

 悪夢であった。
 有り体にいって、悪夢だった。
「わ、私のホワイトブリムがぁ!!!」
「気持ちはわかる。けどさ」
 うん、と祐一は『ドレイクメイデン』によって生み出される迷宮を己の愛車『テスタロッサ』で疾駆する。
 はっきり言って、状況は最悪である。
『バズリトレンディ』というカオス。ユーベルコードの迷宮。
 どれもが祐一を勝利から遠ざけるものであったが、しかし、ユーベルコード輝く祐一は気合と根性で無理やり迷宮を突破してみせるのだ。
「どんな壁も限界も、この腕で乗り越えてやる!」
「すごいまっとうやないですか、やだー! でも、恨まんといてくださいよ。これが戦いってものなんやで!」
「お前が言うな!」
 なぜか『バズリトレンディ』が己の背後にタンデムしていたのに祐一はびっくりしながら、迷宮を飛び出し、手にした熱線銃を『ドレイクメイデン』へと叩き込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

えーなにこの水着―?
誰の趣味ー?
いいけどー年齢制限かかっちゃうよ?
ちゃんと投げ銭禁止しとかないとチャンネル取り上げられちゃうよー?

●目には目を
くっそっちがデータを消去する箒だっていうなら…
ボクはサーバーとワールドを物理破壊するこぶしで勝負だー!
よくわかんないけどボクの【第六感】くんが『まあそんな感じでなんとかなるやろ!』って言ってるから!大丈夫!多分!

さあ!世界のみんなの何千時間分のプレイデータと一緒にいっちゃう覚悟はできてる?
ボクは出来てる!
いっけーっ!とUC『神撃』でドーーーンッ!!
ふぅ、死の直前にサーバーを破壊しようとするなんて恐ろしい敵だったね…!



 ウェディング水着とタキシード水着。
 一体全体誰の趣味なんだろうかと、ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は思った。
 いやまあ、別に構わないとは思うのだ。
「けど、これ年齢制限かかっちゃうよ? ちゃんと投げ銭禁止しとかないと、チャンネル取り上げられちゃうよー?」
 大丈夫である。
 収益化はしないし、というか、そもそも録画すらしていない。
「ワイちゃんにコンプラ遵守なんて殊勝な心がけはないんや! いや、あるけど、ない。ないけど、ある、みたいな!」
『バズリトレンディ』は相変わらずであった。
 バグプロトコル『ドレイクメイデン』は猟兵たちにボコにされていた。
 それはもう哀れになるくらいにボコにされていた。
 というか、彼女が『バズリトレンディ』に目をつけられた時点で、すでにこうなる運命であったのだ。
 悲しいけれど、これが現実ってやつなのである。

「ええい、どうあっても敵わないというのならば!」
 そう、逃げるのである。
 けれど、ロニは笑む。
「データを消去して逃げるっていうんなら、ボクはサーバーとワールドを物理破壊する拳でー!」
 物理?
 ゲーム世界なのに? そんなことが果たして可能なのだろうか。
 だが、なんとなくロニは第六感でいけるいけるやれるやれる、やればできるさ! みたいな感じになっていた。
 なんとかなるやろ! の気持ちはいつだって大切なのだ。
 やる理由よりやらない理由を探すのが得意な人間の性。
 ロニは神様だけれど、まあ、そこらへんは適当でいいのだ。
「だいじょうぶなワケがないですよね!?」
 イベントクエストを管理しているノンプレイヤーキャラクター『エイル』の悲鳴が上がる。
 そう、サーバーとワールドを破壊すると言っているのだ。
 言い訳がない。
 できるできないとかではなくて、それをやろうとしているものがいる、というのが問題なのだ。
「さぁ! 世界のみんなの何千時間分のプレイデータといっしょにいっちゃう覚悟は出来てる?」
「やめてー!」
「ボクは出来てる!」
 なんか格好いい雰囲気出して、処刑用BGMさえ流れる勝確ムーヴをするロニ。
「いっけーっ!」
 振るう神撃(ゴッドブロー)の一撃が『ドレイクメイデン』の背中を打ち据える。
 凄まじ衝撃が吹き荒れる。
 その小節は確かに周辺地形を破壊するほどの威力を持っていた。
 ノンプレイヤーキャラクター『エイル』はなんとか、この破壊がデータベースにまで到達しないように処理を重ねていく。
 膨大なタスク処理。
 あふれるエラーとバグ。
 はっきりいって、彼女の処理限界を超えるものであった。しかし、データベースをなんとか守りきり『エイル』は白目を剥いてしまう。

「ふぅ、死の直前でサーバーを破壊しようとするなんて恐ろしい敵だったね……!」
 ロニは、破壊の痕を全部『ドレイクメイデン』に押し付けて、間一髪だったと己が手柄にしつつ息を吐き出すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
この有り余るホワイトプリムを用いて、裁縫したウェディング水着とタキシード水着の数々!
他のゲームプレイヤーのエブリワンにお裾分けしても余り有りマスネー!
ドーゾデース!

我輩はタキシードの上からウェディングを着るという二倍の性能で対峙しマース!
安心してください、履いてマスヨ! ミズギー!
と言う訳でメイドとしてご奉仕するデスヨ!

バズリトレンディを装備して、UC接続!
強化して振るいマース!
何故って? ワタシの武装でぶつけるとデリートワンチャンあるので……。
死なないでバズリ殿! アナタが倒れたらカクリヨの中略!
次回、バズリ殿死す。プラクトスタンバイ!
にならぬよう、バルタン・ノーヴェが命じる。全力で生きろ!



 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は脳筋仕様の戦闘民族マインドを宿したサイボーグメイドである。
 この時点で相当に属性過多のような気がしないでもないが、猟兵というのはたいていそういうものである。ご納得して頂きたいところである。
 そのバルタンはみんながせっせと集めたドロップアイテム『ホワイトブリム』をせっせと縫製してウェディング水着とタキシード水着に仕立てていた。
 まあ、どちらも水着? となるようなデザインであったが、それは些細なことである。
「エブリワン、どうぞおすそ分けデース! どれだけおすそ分けしても余りマスネー! ドーゾーデス!」
 バルタンは期間限定イベントクエストの噂を聞きつけてやってきた、他のゲームプレイヤーたちに早速イベントクエストにて限定的にデバフを相殺するアイテムを配りに配りまくっている。

 そして、バルタンはタキシード水着の上からウェディング水着を二重に着込むという最先端を行きすぎるファッションセンスを発揮している。
 はっきり言って、もう何がなんだかさっぱりわからない様相である。
「これで二倍の性能デース!」
 いや、重複しないので二倍はない。
 ない。ないのだが、謎の説得感はあった。リアルすぎる究極のゲーム。ゴッドゲームオンライン。それ故に、その謎の説得力はゲームのパラメーター以上のものを発揮していたのだ。
「安心して下さい、履いてマスヨ! ミズギー!」
 テデーン!!
 うん、そりゃあね。履いてるというか、来てるというか、ミチミチしているというか。

「くっ……ぐっ! こ、こんなデタラメに巻き込まれるなど……!」
 バグプロトコル『ドレイクメイデン』はなんとかして、この場から逃れようとしていた。けれど、バルタンがその前に立ちふさがっていたのだ。
 逃げられるわけがない。
 ここは『バズリトレンディ』が生み出したバグプロトコルほいほいイベクエなのである。どうあがいても、この場に来てしまった以上猟兵にボコられる運命なのだ。
「そんでもって、サイバーリンクシステム・オンでありマース!」
 あ、それ、ぽちっとな、とバルタンは『バズリトレンディ』に有線で接続する。

「アイエエエ!? ナンデ!? ナンデワイちゃんが!?」
「その手にしたペンパイナッポーアッポーペンがあれば!」
「あ、ハンマーね! 一つ間違えるとえらいことになるやつやで! というか、なんでワイちゃん接続されてるんですかねぇ? 慢心? 環境の違い?」
「ワタシの武装ぶつけるとデリートワンチャンあるので」
「ワイちゃんが消える可能性が微レ存」
 だが、すでに『ドレイクメイデン』は猟兵たちにボコにされて虫の息。ここまでしなくてもいいのではないかと思ったが、しかし、それでも全力でボコにするのが猟兵ってもんである。

「死なないでバズり殿! アナタが倒れたらカクリヨの中略! 次回、バズり殿死す。プラクトスタンバイ!」
「ワイちゃんは死にませ~ん! カクリヨファンタズムが好きだから~!!」
「バルタン・ノーヴェが命じる。全力で生きろ!」
 絶対遵守のユーベルコード!
 そんなもんはない! あるかもしれないが、少なくとも今はないはず! ない、よね? ないよね?!
 そんなとんちんかんなバルタンと『バズリトレンディ』のやり取りの合間に雑に処理されてしまう『ドレイクメイデン』。
 霧散していく彼女はどこかホッとしているようであった。
 なぜなら、こんなカオスめいたクエストフィールドから、消滅という名の安らぎを漸く得られたのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『温泉エリアだ!』

POW   :    ゆっくりお湯に浸かって心と身体を回復!

SPD   :    装備を点検して汚れを洗い流す!

WIZ   :    罠やモンスターが潜んでいないか調査!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 バグプロトコルは一掃された! 
 だが、猟兵たちの戦いは終わらない! なぜなら!
「ひゃっほーい! 温泉パーティや! ワイちゃんは猟兵さんに逆らうことができない。弱みを握られている……」
『バズリトレンディ』は適当言っていた。
 でもまあ、あながち間違っていない。
 彼女はバグプロトコルの『ホワイトブリム』を盗み出す予告状に東方親分『山本五郎左衛門』の名を騙っていたのだ。となれば、それは弱みであろう。しかしまあ、そんなのまるで気にしないのが『バズリトレンディ』である。
 どうせ、彼女の言葉は全部ネットミーム的なあれなのである。
 とりあえず、言っておこうくらいの中身はあんまりないあれなのである。
「やめたげてよお! とりあえず、しめやかに温泉と参りましょうぜ。あ、伝統的に水着着用ですやで!」
 そんな『バズリトレンディ』を他所にノンプレイヤーキャラクター『エイル』は(目が)死んでいたし、クラン『憂国学徒兵』のゲームプレイヤーたちもくたくたであった。

「でも楽しかったよな」
「ええ、流石にまだ温泉が引いていかないのは、想定外でしたが」
「たいていこういうのは、クエストクリアと共に元に戻るものなのだが!」
「いいじゃない。せっかくだし、温泉を楽しむってのもありでしょ」
 彼らの言葉に猟兵たちも、それはそうだと思いなおす。
 温泉は全てに効く。
 水着と温泉のマリアージュも、いずれガンにだって効くようになるだろう。
 そういうものだと言うように猟兵達は、戦いの跡の疲れを癒やすべく温泉を楽しむのだ――!
ヌグエン・トラングタン
混浴になりがちなこういう温泉に、水着は大正解だよな。
『エイル』の死んだ目が気になるが。まあそうなるよな…俺様の担当地域だったら、俺様もあんな目になるって。
無事に終わらせるまでが仕事だからなぁ…。

だが、温泉は楽しまねぇとな!
……ここに妻たち呼んでもいいか?なんか勿体ねぇし。
うちも温泉と…せっかくだ、かき氷なイベントやるか?何か外(統制機構)、暑くなってるらしいし。



 カポーンと、鹿威しの音が響き渡る。
 それは拠点『学園』が新し親分『バズリトレンディ』によって温泉フィールドに変えられたがゆえに響くサウンドエフェクトであった。
 特に意味はない。
 此処にはそもそも田畑を荒らすような鳥獣めいたエネミーなんていないのだ。
 ならば、なぜ。
「雰囲気に決まってるよなぁ……」
 戦いは終わり、あれだけばかみたいな数いたバグプロトコルは一掃されていた。

 綺麗さっぱりである。
 されど、戦った猟兵やゲームプレイヤーたちは疲労という名の汚れが身に蓄積しているようであった。
 とは言え、楽しかった。
 いやまあ、楽しかった、というのはちょっと語弊あるよな、とヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)は思わずにはいられなかった。
 もしかしたら、明日は我が身であるかもしれないからだ。
 新し親分『バズリトレンディ』は、おそらくこれからも期間限定イベクエと称してあちこちで騒ぎを引き起こし、ゴッドゲームオンライン上のバグプロトコルを一箇所に集めるだろう。
 となれば、己の管理していりフィールドにも現れるかしれない。
 ぞっとする。
 この拠点を管理しているノンプレイヤーキャラクター『エイル』の死んだ目を見たのだ。
 あれはとんでもない量のタスク処理をこなさねばならず、さりとて、どれだけ処理しても後から後から追加されバグ報告や処理に忙殺されたものの目である。

「まあ、無事に終わらせるまでが仕事だからなぁ……」
 とは言え、終わったのだ。
 後は温泉を楽しむのみ。周囲には男女関係なく温泉に浸かっている。本来ならば、公序良俗を考えるところであるが、水着着用が義務であり徹底されている。
 大正解であると言える。
 みんなで最後まで楽しく、というのならば混浴はありがたいことだ。
「……なあ、此処に妻たちを呼んでもいいか?」
 死んだ目をした『エイル』にヌグエンはそう問いかけたが、返事がないただのしかばねのようだ。
 カクン、と首が揺れたので、ああ、良いんだな、とヌグエンは了承と取って自分のフィールドから自身のハーレムを構成する12人の妻を召喚する。

「わっ、なになに!?」
「温泉!?」
「ああ、せっかくだしな。なんか勿体ねぇし」
 召喚された妻たちがはしゃぐ姿を見てヌグエンは己のフィールドでも温泉めいたイベントクエストをやってみてもいいな、と思ったのだ。
「旦那、そのときはよろしゃす! バグプロトコルほいほいことワイちゃんが駆けつけるやで!」
「やめろ」
 ヌグエンは『バズリトレンディ』が目ざとく聞きつけたことに天を仰ぐ。
 己のフィールドに『バズリトレンディ』がやってきたのならば、それはとんでもないことである。
 マジでヤバい。
 ただでさえ、己のフィールドは初心者用のフィールドなのだ。
 そこにこんな怪物がやってきたのならば……どうなるのかなんて言うまでもない。

「俺のフィールドはこんなことしねぇよ。夏目前だからな。かき氷なイベントでもと思っているんだ。外、なんか暑くなっているらしいし」
「かき氷とか、バズを狙ってなんぼの食べ物やないですか! ワイちゃんに任せてくださいよ。いいですか、落ち着いて聞いて下さい。ワイちゃん、はやりには敏感なんですよぉ!」
 何も落ち着けない。
 というか、ヤバい。
 完全にロックオンされてしまう。
 このままではトィツオック地方壊れちゃう。

 ヌグエンは思った。
 なんとしてもでも、この怪物『バズリトレンディ』が己の管理するフィールドに来るのを阻止しなければならないと。
 さしあたっては、どうやって彼女を撒くか。
 温泉にきたのに、ヌグエンはそればっかりに頭を悩ませることになるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャムロック・ダンタリオン
想像以上に疲れたな…って、誰のおかげだと思っておるのだこのお騒がせ妖怪。
おいこっち来い魔王軍。通常の人間だったら百回死ぬくらいの勢いでボコってやれ(ぇ)(【属性攻撃・蹂躙・暴力・焼却】)。

…さて、『エイル』といったか。貴様もとんだ災難だったな。
ところで、通常の水着アイテムがあったら貸してくれるか?イベント特効とはいえ、この手の色物装備は勘弁だからな。

(で、入浴中にどこかに連絡)
あー、西洋親分か?東方親分の調子はどうだ?…そうか、迷惑かけたな。グリモアベースの方にもよろしく伝えてやってくれ。

※アドリブ・連携歓迎



 バグプロトコルとの戦いは猟兵たちが思う以上に苛烈なものであった。
 圧倒的な数。
 そして、迫る『ドレイクメイデン』。
 数と質。
 この二つを前にしても猟兵達は諦めなかった。
 故に勝利を得たのだ。
 だが、知るがいい! この勝利がつかの間の休息しか得られぬことを。
 今もバグプロトコルたちは、ゴッドゲームオンライン上にてゲームプレイヤーたちの遺伝子番号を焼却するために暗躍しているのだ!

 戦え、猟兵!
 蔓延るバグプロトコルを一掃できるその時まで……ってぎゃん!?

「想像以上に疲れたな……って、貴様、まだ騒がせるか」
 シャムロック・ダンタリオン(図書館の悪魔・f28206)のツッコミに新し妖怪『バズリトレンディ』は叩かれた後頭部をさすりながら振り返る。
「ワイちゃんの渾身のエモナレを中断するとか、やばたにえんのぴえんのぱおん」
「わけのわからない言葉を吐くな。おいこっちこい、炎の魔王軍」
 シャムロックは未だに反省した様子のない『バズリトレンディ』にユーベルコードでは以下モンスターを召喚する。
「百回死ぬくらいの勢いでボコってやれ」
「ワイちゃんこう見えても新し親分! 例え相手が猟兵さんとは言え……日和ってるバズリトレンディいる? いねぇよなぁ!?」
「それはチーム同士の抗争の時に言う奴だろうが!」
「倒してしまっても構わんのだよな?」
「それも味方側のセリフだろうが!」
 シャムロックのツッコミ、召喚された配下モンスターたちの攻撃を尽く『バズリトレンディ』は躱している。
 まるで捉えられる気がしない。

「バイバイキーン! ワイちゃんは百日後に死ぬネズミなので!」
「ぐぬ……!」
 シャムロックはなんとしてでも『バズリトレンディ』をとっちめねばならなかった。
 軟体生物のように逃げ回る『バズリトレンディ』に手を焼いているのは事実。
 そこでこの拠点『学園』を管理しているノンプレイヤーキャラクターの『エイル』に尋ねる。
「さて、『エイル』とかいったか。貴様もとんだ災難だったな。ところで、通常の水着アイテムがあったら化してくれるか? イベント特攻とは言え、この手の色物装備は勘弁だからな」
「あ、はい。こちらをどうぞ」
 死んだ目をしている『エイル』からシャムロックは水着を受け取って温泉に浸かる。
 彼女はまだタスク処理が終わらないのだろう。
 哀れである。

 そして、シャムロックは温泉に浸かりながら黒電話のダイヤルをじーこじーこって回す。
 古き良き事態の古めかしい黒電話。
 一周回って、こっちのほうがよいのではないかと思わないでもない。
「あー、西洋親分か? 東方親分の調子はどうだ?」
「なんちゃってワイちゃんやで!」
「貴様!」
 確かにシャムロックは西洋親分へとホットラインをつなげようとした。だが、回線の先にいたのは『バズリトレンディ』であった。
 なか電話線が彼女の触れてはならない耳につながっている。
「ワイちゃんは、への突っ張りはいらんのですよ! どんとこい神隠し現象!」
 ガチャン、と受話器を下ろす。
 だめだ、こいつに絡まれた時点で敗北は決定づけられている。
 シャムロックは構わないことこそが、『バズリトレンディ』に勝てる法則であると思ったのだが……。
「ん? 反論がないのならワイちゃんの勝ちだが?」
「――」
 そこからまた一波乱あったのは別の話である――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
待ちに待った温泉です♪
ティアラとパレオを外した水着姿で温泉に入りますよ~。
一仕事終えた後の温泉は至福ですね~♥

ナイアルテさん、仇は討ちましたよ。
と大宇宙をバックに微笑むナイアルテさんに笑顔で語り掛ける。
(勿論、詩乃の妄想に過ぎないが)

そういえば『バズリトレンディ』さんって、キャンピーさんの力でこの世界に来ましたけど、カクリョファンタズムに戻らなくて大丈夫なんですか?
普通の生物やオブリビオンは元の世界を離れると骸の海に稀釈されるとか、はじまりの猟兵さんが言ってましたが・・・。

なーんか、この後に別のトラブルが起きそうな気がするんですよね~。
と『バズリトレンディ』にくぎを刺しておきましょう。



 見上げる先には星。
 夜空の星が形作るはグリモア猟兵の笑顔であった。
「仇は討ちましたよ」
 星空の先に広がる大宇宙に微笑むであろう彼女に大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)もまた笑む。
 勝手に殺さないで頂きたいが、まあ、似たようなもんであろう。
 それほどまでに新し親分『バズリトレンディ』の暴走は凄まじかった。
 猟兵達を翻弄するネットミームの嵐。
 制御不能。
 暴走必至。
 いずれにしたって、彼女を止める手立てはなかった。

「ワイちゃんもそう思います」
 うんうん、と『バズリトレンディ』が隣にて温泉に浸かっている。
 本当に唐突に現れる。
 だが、詩乃はたじろぐことはなかった。
 彼女もまた温泉を堪能している猟兵の一人であった。艶やかなビキニ姿。ビキニですよ、奥さん!
 詩乃が伸びをする度に健康的な体が湯気の彼方に消えていく。
 特別な意味はないです。なんか謎の光が入るくらいには、神性インターセプトが効いているのだろう。たぶん。

「そういえば『バズリトレンディ』さんって、『キャンピーくん』さんの力でこの世界にきましたけど、カクリヨファンタズムに戻らなくてだいじょうぶなんですか?」
「あいつらはこの戦いについてこれないので、置いてきた」
 誰のこと言ってる?
 詩乃はそうなのか、と納得していた。言わずとしれたネットミームであろうし、マンガ文化に親しんでいる詩乃にも理解できるところであったかもしれない。
 でもまあ、詩乃は思う。
 普通の生物やオブリビオンは元の世界を離れると骸の海に希釈されるとか、はじまりちゃんこと『はじまりの猟兵』が言ってたような気がする。
 その点はだいじょうぶなんだろうか?
 いやまあ、『バズリトレンディ』が普通ではないことは、もう言うまでもない。
 これまで猟兵たちへのウザ絡みを見ていれば、理解出来るところであった。

「なーんか、この後別のトラブルが起きそうな気がするんですよね~」
「まるでワイちゃんがトラブルメーカーみたいなことをおっしゃられる! ワイちゃん、トラブルを引き起こすのではなく、Toラブるしたいでござる!」
 思春期少年のバイブル的な、そういう漫画的展開のことね。
 しかし、詩乃の瞳はジトッとしていた。
 そう、これまでの経験からして『バズリトレンディ』は、また一悶着何かトラブルを引き起こしそうであったのだ。
 ここゴッドゲームオンラインだけではない。
『キャンピーくん』が絡む以上、他世界への進出は免れないだろう。
 故に詩乃はニコ、と笑む。

「わかっていますよね」
 でっかい釘であった。
 笑顔という名の釘。
 だが、『バズリトレンディ』は曖昧な顔をして笑み、口笛をぴ~ひゃら~ひゃら、踊るネズネズミ♪ と歌ってごまかしたのだった。
 絶対次もやるやつである――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【サージェさんと】

水着は2023年の水着コンのを着ます。

おっぱいみさいるがあんなかたちで……。

でなくて。
『バズリトレンディ』さん、
しれっとなかったことにしてるみたいだけど、そうはいかないからね?

さぁ、お仕置きの時間だ。

ナイアルテさーん、温泉だしいっしょしよー。
謝りたいって人もいるしね!

さぁ、バズりん、謝ろうか。
ナイアルテさんに、そしてFCのみんなに!

ネットミーム?
そんな言い訳が通用するとでも?

謝らないって言うなら、まず長ラン着せるよ。

そしてそのままサージェさんといっしょに、
三日三晩ナイアルテさんのかわいいとこ撮った動画を見せるよ?

だいたい。
このナイアルテさんを見て謝りたくならないとかないよね!


サージェ・ライト
【理緒さんと】
く、くるしかった……!
ボタンが凶器と化すユーベルコードが存在するなんて!(?)
とりあえず水着に着替えて(スク水)
もうウェディング要素はいらないんですよね?

私も荒事は好きではありませんが
これに関しては理緒さんと同意見です
こんなに揺れる至高のチョコ肌たゆんパイが
『何アルテなんだ?&自害しろ』に発展したことは誠に嘆かわしい
ナイアルテさんへの推し事の邪魔をするなんて
天が許そうとも私たちが赦しません!
さぁ謝罪の時間です!
ナイアルテさんとFCの皆に!

え?布教の時間ですか?
じゃあまずナイアルテさんの生態といいますか部屋の中からそげぶっ!?
なぜ……私が……りおさんあとはまかせました(がくっ



 サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は、胸元のデンジャラスな隙間を開放して息を吐き出す。
「く、くるしかった……!」
 肩で息をする。
 彼女が身にまとったタキシード水着は大変窮屈そうであった。
 いや、体の一部分だけが異様にパツパツだったのである。
「タピオカチャレンジチャンス!」
 新し親分『バズリトレンディ』は正座していた。
 いや、させられていた、というのが正しいだろう。
 ボタンを凶器として打ち出すユーベルコードによってバグプロトコルを仕留めたサージェと菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)に捕縛されて、彼女は、シュン……としていた。
 あれだけ騒々しかった彼女であるが、今は静かである。いや、タピオカチャレンジとか言っている時点で、すでに静かではない。

「おっぱいみさいるがあんなかたちで再現されるなんて……ではなく。『バズリトレンディ』さん。しれっとなかったことにしようとしているみたいだけど、そうはいかないからね?」
 理緒の重圧は凄まじいものである。
 なんでそんなに怒っているのか。
「わかっているよね。お仕置きの時間だよ」
「あれは、ほらそのぉ、ネットミーム的な?」
「そんな言い訳が通用するとでも?」
「三顧の礼! 三顧の礼!」
「なんです、それ流行ってるんですか?」
 正座させられながらも『バズリトレンディ』は拱手と共に叫んでいる。
「ワイちゃん思うんですよ。流行りっていうのは、ひどく儚いものだって。みんなに擦られて、忘れられていく……味のしなくなったガムをぺってするみたいに。そんなの、ワイちゃんが見過ごせるわけないじゃないですか!『バズリトレンディ』ならそうした、ってみんな言うじゃないですか!」
 なんか良いこと言ったみたいな雰囲気でごまかされようとしている。
 というか、サージェには通用しても理緒には通用しない。

「あの、理緒さん私も荒事は好きではありませんが」
「うん、わかっているよ。サージェさん。どんなにきれいな言葉を並べてもね」
 サージェと理緒は己のスマホデバイス的なものの画面を突きつける。
 そこにあったのは、作ったプラモデルといっしょにダブルピースをいているSNSの画像があった。
 なんだこれ。
 そう、これが二人の推しているグリモア猟兵のSNSである。通称、イェッター。最近名前が変わって『J』とかになったらしいが、まだ私の周りではイェッターです。そうだと決まっているのです。

「こんあに揺れる至高のチョコ肌たゆんパイが、『何アルテなんだ? 自害しろ』に発展したことは誠に嘆かわしい。天が許しても私がゆるしません!」
「そうだよ! FCのみんなにも謝って!」
 そんな大々的な組織になってないと思うけどなぁ。
 確認できただけでも今んところ会員って二人だけなんスけど。
『バズリトレンディ』は思った。
 思ったけど、口に出したらまた怒られるんだろなぁって思った。
 思った。
 思ったんだ。
「でも口に出しちゃう! ごめんで済んだら警察はいらんのですよ!」
 正座からノーモーションで飛び上がる『バズリトレンディ』。
「それ、こっちのセリフ!」
「逃げ上手の『バズリトレンディ』、はっじまるよ~!」
「あ、こら! 長ランきなさい!」
「そうです! ここからは布教の時間です! まずは生態と言いますか、推しの部屋の中から」
 そのげんそうをぶちころす!
 どこからから飛んできた拳のなんか、そういうユーベルコードがサージェのスマホ端末をぶち抜いた。
 後方転移維持面のグリモア猟兵の笑みが輝いていた。

「遠距離攻撃を体得されていたと?!」
 なんで部屋の中のことがわかっちゃうんですかね。一度お宅訪問した時ってことですか、そういうことですか。
 三人は、仲良く正座させられていた。
 なんで? と理緒は思ったけど、なんかこう、推しと絡んだ時点でプラマイゼロどころかプラスだよねって思って、温泉でニコニコだった。
 サージェは、足のしびれでダウンして温泉に沈むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

水着はなぜかウェディングからスク水に。

えーっと。
んーっと。

ステラさんなんであんなに早口なんでしょう。
あ、ひさしぶりにステラさんの背後からの絞め技見ました。
あれ、タップしても逃がしてくれないんですよね。

そろそろベルセルク通り越してデストロイヤーにジョブチェン……。
って、いやそんなこと言われましても!?
この状況、ドン引く以外何にもできないじゃないですか!

あと養うの関係ないですよね!?
そういうこと言うと、『エイル』さんに懐きますよ!

えーん。『エイル』さーん!
ステラさんがベルセルクでわたしをいじめるんですよぅ。
(正面から『エイル』さんにひしっと抱きつき子犬の目)


ステラ・タタリクス
【ステルク】
エイル様との!結婚式場はここですか!?
タキシード水着メイドのステラ参上しました(はぁと)
ささ、エイル様
疲れた心も温泉で癒されることでしょう
ついでに私との密着で癒されて頂ければ!
久しぶりに隙(間)の無い後方(からの)警備など!!
誰がベルセルクやべー変態ですか!
メイドです!
ルクス様がドンびいている!?
ひどい、もう養いませんよ!!

あと温泉では静かに
マナーです
なのでルクス様も演奏はダメです
楽器持ち込みとかしてないですよね?

ともあれ今回はイレギュラーながら
『世界』からの干渉がなくてホッとしました

そういえば……エイル様?
この世界に『セラフィム』はあるのですか?
いえ、言える範囲で構いませんけども



「『エイル様との! 結婚式はここですか!? タキシード水着メイドのステラ参上しました(はぁーと)」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は死んだ目のノンプレイヤーキャラクター『エイル』を抱えて温泉にダイブしていた。
 あまりにも自然。
「ワイちゃんじゃなきゃ、見逃していたね。あまりにも早い入浴。今のところ巻き戻せるか?」
 巻き戻せないし、『バズリトレンディ』さんはあっちで正座。

「ささ、『エイル』様、疲れた心も温泉で癒やされることでしょう。ついでに私との密着で癒やされていただければ! 久しぶりに隙(間)の無い後方(からの)警備など!!」
 しっかりとステラは『エイル』に抱きついていた。
 反論の暇すら与えていない。
 あんまりにも自然だったものだから、『エイル』は頭に『!?!?!』と感嘆符と疑問符を交互に浮かび上がらせていた。
「えっと、あの?」
 そんな二人を見て、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は頭痛が痛い思いであった。何その頭悪い表現と思わないでもなかった。
 だがまあ、今のルクスの心情はまさにそれであったのだ。

「ステラさんなんであんなに早口なんでしょう」
 ついでに言うとステラの背後からの絞め技も久しぶりに見た。あれってタップしても逃してくれないんだよなぁってルクスはしみじみした思いであった。
 子泣きじじいかな?
 あ、妖怪的な意味で?
「今、ワイちゃんのこと呼んだ?」
 呼んでないです。

「誰がベルセルクやべー変態ですか! メイドです!」
 ステラが刮目して叫ぶ。
 けれど、ルクスはちょっと引いた。いや、だいぶ引いた。もっと言うとドン引きしていた。
「ルクス様がドン引きしている!?」
「いえ、この状況を見ればドン引きする以外何もできないじゃないですか。もうベルセルク通り越してデストロイヤーじゃないですか」
「ひどい、もう養いませんよ!!」
「養う関係なくないですか!? そういう事言うと『エイル』さんに懐きますよ!」
 どういう脅し文句であろうか。

 だが、ステラは、うぐっ、と言葉に詰まる。
 効いてるやないですか。
「えーん。『エイル』さーん! ステラさんがベルセルクでわたしをいじめるんですよぅ」
 ルクスはひしっと正面から『エイル』に抱きつき、子犬の目で見上げる。
 必殺上目遣い!
 小動物系の魅力を最大限に発揮して放たれるおねだり! 
 おっけーおっけーワイちゃんが買ったる。うん、なんでも言い! となる『バズリトレンディ』。
 いや、『エイル』はちょっと困惑していた。
「ベルセルクいじめがどんなものかわからないんですけれど……」
「早口でまくし立てて反論を許さない正論でボディーブローしてくるやつです」
「今、正論って言いました?」
 言ったね。
「ルクス様、温泉ではお静かに。マナー違反ですよ」
 あと皆水着着用である。
 ルクスはなんかスク水に着替えていた。スク水好きなのかな?

 そんな感じで三人はきゃっきゃウフフしているのである。
「そう言えば……『エイル』様? この世界に『セラフィム』はあるのですか?」
 ステラは疑問に思っていたことを問いかける。
『セラフィム』。
 それが何を意味するのかは、世界によって異なるのだろうか。
「それがここ『学園』の意味です。『セラフィム』とは進化する戦術兵器。『私』に関連するものであり、紐づいたもの。なら」
 あるのが当然。
『エイル』であり、『メリサ』であり、『永流姫』であり『皐月』であり、『フュンフ・エイル』である。
「でも、ここでは意味のないものです――」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
これにて無事にクエスト完了ってところかな?
それならここの管理人には悪ぃが元に戻す前に温泉でも堪能させて貰おうかね
汚れと汗と疲れでヘトヘトなんだよ

個人ならともかくこう人目がいっぱいいるなら水着は必須だな。伝統ってこういう事かぁ
『そうでしょうか?そうじゃないと思いますが…』
まあまあ、いいじゃねえか。Esもあとでメンテしてやっからちょっと待っててくれよな

そうして温泉を楽しんでると後ろから『バズリトレンディ』の声が。ホいつの間に!
…え?向こうで温泉牛乳飲み比べイベントがあるって?……しょうがねえなぁ、付き合ってやるかあ(生き生きしながら

アドリブ歓迎



 大量のバグプロトコルを誘引した季節限定イベントクエストは、バグプロトコル『ドレイクメイデン』の打倒によって幕を閉じた。
「これにて無事クエスト完了ってところかな」
「はい、お疲れ様でした」
 亜麻色の髪の少女ノンプレイヤーキャラクター『エイル』が頭を下げていた。
 面を上げると、死んだ魚の眼であったのがちょっと星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は気になった。
 まだ諸々の後処理やらなんやらが残っているのだろう。
 はっきり言って、彼女は今回、新し親分『バズリトレンディ』に巻き込まれた犠牲者の一人でしかなかった。

 だが、彼女もそうであるが巻き込まれたゲームプレイヤーたちも、最終的にはなんだかんだ楽しくなっていたのは事実だろう。
 そういう意味では祐一も同じだった。
 わちゃわちゃしていたが、楽しかったのだ。
「温泉、先にもらっちまうぜ?」
「どうぞ楽しんで下さいね」
「ああ、ヘトヘトだからな。おっと、温泉は水着着用だったな。これが伝統ってやつかぁ」
『そうでしょうか? そうじゃないと思いますが……』
「まあ細かいことは、いいじゃねぇか」
 祐一はすでに混浴の温泉フィールドとなっている拠点『学園』の競技用プールに足を踏み入れる。
 普段なら水泳部の練習用に水が張られているはずだが、今は湯気が立ち上っている。
 全部まるまる温泉なのだ。

「お~なんていうか違和感があるけど、違和感があるのがいいってやつか」
 祐一は深いプールに飛び込む。
 あっつい! 思った以上に熱い! だが、悪くない。悪くない。
 体の芯からあったまってくるし、己の疲れが溶けていくような気がする。
「はあぁぁぁ……」
 思わず、変な声がでてしまう。わかる。
 温泉でゆっくりしたい。何も考えずにぼーっとした。なんなら、館内着で休憩スペースで横たわってぐうたらしたい。
 お昼寝して過ごしていたい~♪
 なんか歌が聞こえる。フラグが立ちそうだな、と祐一は思った。

 すると背後から、にゅっと生えてきたはネズミの耳。おっと、どこかのキャラクターっぽいな、とかそういうのは触れてはならねぇやつだぜ。
「うおっ!? いつのまに!?」
「ふっふっふ、旦那ァ。実はいいネタがありやして」
 確実に法に触れる売人的な雰囲気である。
 隠語でなんかこうやり取りしそうであった。
「……なんだよ。変なことならやらねーぞ」
「いやね、旦那。あっちで温泉牛乳飲み比べイベントがありやして。へへっ、参加トリリオンはこんくらいのモンでして」
 なんでそんな三下ムーブなんだろうと思ったが、祐一はプールから上がって、髪をかきあげる。
 多分、これも『バズリトレンディ』の企みなのかもしれない。
 例によって馬鹿騒ぎに巻き込まれるかもしれない。

 だが。
『祐一、これは罠です』
「罠でも良い!」
「話がわかるやで! さあ、ワイちゃんについてくるんや! めくるめく温泉牛乳メーカー協賛、早飲み大会へレッツラドンや!」
「しょうがねぇなぁ、付き合ってやるかぁ!」
『いきいきしてますね』
 サポートAI『Es』のぼやきを祐一は背で聞き、足早に温泉牛乳を堪能すべく足取り軽く『バズリトレンディ』と共に最高の一杯を決めるべく踏み出すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
ハハッ!(甲高いマウス笑い)
何を勘違いしているのデスカ?
まだワタシのバトルフェイズは終了しておりマセーン!
水着着用でまったりしつつUC発動!
「カクリヨメモリ、ロゴスイグニッション!」
東方親分メモリを用いることで、その時不思議な事が起こりマース!
見かけぬテント妖怪によって猟兵コレクション会場に飛ばされた、山本殿に中継を繋ぎマース!
この我輩、容赦なく弱味を貫通攻撃するタイプでありますゆえ!
HAHAHA!

さて。バズリ殿がお説教を受けているBGMに、エイル殿たち憂国学徒兵のエブリワンと温泉パーティと洒落込みマショー!
温泉饅頭を筆頭にしたウェディング料理を提供して英気を養いマース!
お疲れ様であります!



 新し親分『バズリトレンディ』は温泉牛乳飲み比べ&早飲み大会を開催すべく奔走していた。
 まあ、主にメーカーに協賛を取り付ける作業であった。
 というか、イベクエ中、あんなに猟兵たちに絡みまくっていたのによくそんな暇があったと思う。
「ワイちゃんデキる女なので!」
 メガネを輝かせている。いつのまにメガネなんて掛けていたのだろうか。
「ハハッ!」
 だが、そんな『バズリトレンディ』の前に現れるのは、甲高い笑い声と共に現れたバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)であった。
 まるで荒野の決闘みたいであった。

「何を勘違いしているのデスカ? まだワタシのバトルフェイズは終了しておりマセーン!」
 そう、バルタンのバトルフェイズは終わっていない。
 ドロー!
 バルタンは水着を着用したうえで温泉でまったりしながら、ユーベルコードを輝かせる。
 手にしているのは東方親分メモリ。
 なにそれ!?
 ボタンを押すと『にゃぁ』と音声が響くぞ! あとちょっと光る。ティゥンティゥンって言う。
 バルタンの水着にはベルトが巻きつけられていた。
 ベルトのバックル部分に手にしたメモリをぶっさす。
「カクリヨメモリ、ロゴスイグニッション!」
 なにそれ、何処に言ったら買えるのだろうか? プレミアムトミーとかそんなメーカーから販売されていない? されてない?

 バルタンは、ピラミッドに目と手足がついた怪物めいた妖怪? いいや、マスコットキャラクター!『キャンピーくん』によって猟兵コレクション会場に飛ばされた『山本五郎左衛門』へと中継をつなぐのだ。
「げぇっ! 東方親分!」
「にゃあにゃあ! 儂は今忙しいにゃあ! それなのに次から次に面倒事を起こして!」
「あばよ、とっつぁん!」
『バズリトレンディ』は速攻で逃げた。
 バルタンは『バズリトレンディ』を追っ払うならば、これが最適解であると理解していた。弱みがあるのなら、そこを突く。それがバルタン流なのである。

「さて、バズリ殿を遠ざけた今、温泉パーティ、温泉牛乳飲み比べ大会及び、早のみ大会は、我輩が取り仕切るのデース!」
 乗っ取り!
 だが、悪くないだろう!
『バズリトレンディ』にまかせていては、まーたバグイベントに変貌しそうだったからだ。
「温泉のお供には温泉まんじゅうを用意してありマース! これぞウェディング料理デース!」
「ウェディング料理って……」
「まんじゅう……?」
「そういうものなのか!」
「違うと思うけど……でも、いいんじゃない?」
 クラン『憂国学徒兵』のメンバーたちは、バルタンの陽気さにつられようにして笑う。

 彼らは確かに現実では人生設計図による灰色の世界を生きている。
 けれど、だからこそバルタンは笑う。
 そんな灰色を吹き飛ばすようにゲームの世界だろうと、煌めくものが待っていると示すように彼女は振る舞うのだ。
「それでは、イベクエ達成お疲れ様パーティ。不肖、このバルタンが音頭を取らせていただくでアリマス! では、お疲れ様でありマース!!」
 その言葉と共に湯気立つ拠点『学園』に歓声が巻き起こった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
お疲れさま、大変だったけど
温泉は気持ちいいわね
よかったら、少し話しましょう
聞きたいこともあるの

あの、過去イベントって、他にはどんなものがあるのかしら
クエストの事もだんだん解ってきて
今日も実はすこし楽しかったから、またやってみたくて
面白かったイベントの話を聞きたいと思って

うん? こんな話をしていたら
第二、第三のイベント復活があるかも……?
少しぐらいなら大丈夫よ
大きな声を出さなければ、気づかれないわ……

(今日は頭のネジゆるゆるでお送りしています)



 温泉フィールドになってしまった拠点『学園』に歓声が上がる。
 それは猟兵たちとクラン『憂国学徒兵』、そしてイベクエに惹かれてやってきたゲームプレイヤーたちによるクエスト達成お疲れ様パーティの開始を告げる声だった。
 喜びに満ちている。
 誰も彼もが明るい顔をしている。
 確かにばかみたいな数のバグプロトコルの湧出にはまいったものであるが、しかし、無事にみんなしてこの時を迎えることができたことは、十分な達成感を覚えせるものであっただろう。
「お疲れ様、大変だったけど」
 薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)はクラン『憂国学徒兵』のメンバーたちのもとにやってきていた。

 今は打ち上げだ。
 もうバグプロトコルが湧き出すことはない。だからこそ、遺された温泉フィールド、それも学校の水泳部などが利用するプールに並々と張られた温泉の中で彼女は水着に着替えてこうして彼女たちと少し話をしようとやってきていたのだ。
「おつかれ! いやー今回も大変だったよな!」
「今回も?」
『アイン』と呼ばれたゲームプレイヤーが頷く。
「そりゃもう。エネミーが馬鹿みたいにでてくるのは二度目だけどさ、それ以外にも結構イベクエって大変なんだよなぁ」
 静漓は興味を惹かれたようだった。
 実は、今日のイベントクエストも大変ではあったのだが、楽しかったのだ。

「他にどんなものがあったの?」
「近場だと入学シーズンおめでとう! 桜散るチェリーブロッサムロードマラソンとか」
「なにそれ」
 静漓は思わず真顔になっていた。いや、あまり顔色は変わっていなかったが、興味が惹かれているようであった。
「ここ、『学園』って言われてる拠点なんだけど、現実だと入学シーズンだろ?」
『フィールドがマラソンコースになっているんです。エネミーが出てこないコースを移動するだけのイベントかと思っていたら……」
「それにゴールデンウィークのイベントも大変だったな!」
「あれは酷かったわね。なんで金色の衣装を身に着けないといけなかったのかしら。しかもなんでか、ゴールドカラーの装備がビキニ水着しかなくって」
 彼らの言葉に静漓は目を丸くするかもしれない。

 思った以上にゴッドゲームオンラインは間口が広いというか、プレイヤーたちが好き勝手に追加するエッセンスで渾沌めいた様相に様変わりしているのかもしれない。
「そんなことがあったのね」
 彼らの話一つとっても静漓には想像し得ないものであった。
「でもさー、こんな話していたらフラグが立つかもな」
「つまり?」
「第ニ、第三のイベント復活があるかもしれないってことですよね」
「……」
 静漓は思った。
 それは、ちょっと経験してみたい。
 新し親分『バズリトレンディ』のちからがあれば、また近々イベントが復活するかもしれない。
「あれ、あの人何処行った……?」
『アイン』たちはいつの間にか静漓が姿を消したのを見て首を傾げる。
 ログアウトしたのかな?

 だが、我らが静漓さんはそんなことしないのである。
 そう、彼女が向かった先は猟兵たちからお説教されたり、逃げ回っていた『バズリトレンディ』の元だった。
 なんか壁に追い詰めている。
 いわゆる壁ドンである。
「少しぐらいならだいじょうぶよ」
 なんとも言えない妖しい雰囲気があった。叶うならば『バズリトレンディ』と、そこ変わってほしいくらいの立ち位置であった。
 静漓は、静かに言う。
 え、何がだいじょうぶなのだろうか?
「大きな声を出さなければ、気づかれないわ……」
 此処から先は有料会員だけのやつですかね! 違う! そう、静漓は『バズリトレンディ』にイベントクエストの復活をねだっているのだ。

「うーん、顔が良い」
 良すぎる。
「だが、断る!」
 バァーン! そう、そう簡単に復活イベントクエストなんてできないのである。
 如何に静漓の顔が良すぎるくらいに良すぎても! ダメなもんはダメなのである!
「だめなの?」
 ずるい! 顔が圧倒的に良すぎる――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファルコ・アロー
よーやく終わったですか。
流石にツッコミ疲れたです……杓原ァ(f28476)!てめーとそこのネズミ女のせいですよ!
はぁ、もういーです。
癒やしが必要なのはボクの方ですよ、温泉でゆっくりさせてもらうですからね!
とりあえずこのひらひら水着は着替えて……ノーズアートのモデルさせられた時のやつ、取っといて良かったです。
あっ、おい杓原ァ!
ボクはゆっくりするっつってんですよ、うちの隊のバカ共みてーにベタベタ引っ付くんじゃねーです!
は?勝手に許可出してんじゃねーですよ!?
そもそもこの惨状でスクショする体力ある奴なんて、よそから迷い込んだりしない限りいねーと思うですけど。
だからって無理矢理ポーズとらせんなです!


杓原・潤
うん、とりあえずなんだかんだ解決したって感じだね!
まぁバズリトレンディがちよっかい出さなきゃ別に起きなくても良かった騒動な気はするけど。
それはともかく温泉回だよピヨちゃん(f42991)!
裸で混浴すると、ちょっと色々問題が起きてしまいます。
だから、水着を作っておく必要があったんですね。
よし、とりあえず遊ぼう!
ここならはしゃいでも怒られないはず。
うるう達みたいな美少女コンビはこーゆー時、距離感激近でじゃれあって周りに癒やしとかを提供しなきゃだよねぇ?
ひらひらが苦手なら遊びやすい水着に着替えてもいいよ?
なんか持ってたじゃん、黒いビキニ!
あ、スクショしたい?
しょうがないにゃぁ……いいよ?



 新し親分『バズリトレンディ』feat温泉イベントクエストは、猟兵たちの活躍によって大団円を迎えた。
 迎えたかな? と思うのも無理なからぬグダグダっぷりであったが、まあバグプロトコルは一掃できたし、温泉は残っているし、よかろうなのである。
「よーやく終わったですか」
 ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)はとっても疲れていた。
 すごく疲れていた。
 なにせ、彼女はずーっとツッコミっぱなしであったからだ。
 ボケる友人にウザ絡みしてくる『バズリトレンディ』。
 その二人を相手にしないといけな上にバグプロトコルの相手までしなければならないのだ。
「それもこれも杓原ァ! てめーとそこのネズミ女のせいですよ!」
「確かに『バズリトレンディ』がちょっかい出さなきゃ別に起きなくてもよかった騒動な気もするけど。ピヨちゃん、それはないでしょ?」
 杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は、腰に手を当てて憤慨していた。
 だってそうである。
 結構自分もがんばったはずである。
 褒められてこそあれ、ファルコにぶーぶー言われる謂れはないはずであった。
『バズリトレンディ』は、え、ワイちゃんのことですか? みたいな顔をしていた。シラを切るつもりであろうが、誰もが認めるところではなかった。
「はぁ、もういーです」
「じゃあ、温泉入ろうね! 裸で混浴すると色々問題が起きちゃうからね! だから水着を作っておく必要があったんだよ!」
「な、なんだってー!?」
「いや、今更でしょうがよ」
 大げさに驚いている『バズリトレンディ』にファルコはもう突っ込む気力がなかった。
 そこはほら、どういうことだよバズリトレンディ! とか乗ってもらわないとさぁ。

「いいから、ほら、とりあえず遊ぼう! はしゃいでも怒られないよ、きっと!」
「あーもーわかってますってば! とりあえず、このひらひらしたのいやなんですよ!」
 ファルコは装備のチェックを外す。
 いつもの姿でもいいかもしれないが、あくまで水着、というのならば彼女は一つ思いついた。
「そういえば、ノーズアートのモデルをやらされた時のがあるはずです……あ、これですこれ」
 そう言ってファルコの見た目が変わる。
 彼女は黒のビキニスタイルになっていた。
 そう、それは可愛さとセクシーが両立した奇跡! 黒ビキニという大人のカラーなのにお顔は幼く。
 そのギャップが人を狂わせるのである。
 隊員たちのテンションがぶち上がったのも頷けるところである。

「ピーヨちゃん!」
「うわ、おい、ひっつくなぁ! ボクはゆっくりしたいっていってんですよ! うちの隊のバカ共みてーにひっつくんじゃねーです!」
「えー、だってさー? うるうたちみたいな美少女コンビはこーゆー時、距離感激近でじゃれ合って周りに癒やしを提供しなきゃだよねぇ?」
 潤はファルコの黒ビキニの肩ホルダーを引っ張って魅せる。
 オーディエンスは爆上がりであった。
 ……オーディエンス?

 それはイベントクエストの噂を聞きつけてやってきていたゲームプレイヤーたちであった。
 やってきてみれば、もうイベントクエストは終わりに近づいていたけれど、フィールドには温泉が残っている。なら、ちょっと楽しんでから帰ろうか、と思っていたゲームプレイヤーたちがたくさんいたのだ。
 そんな彼らの視線を二人は独り占めしていた。
 わかる。
 こんな美少女が二人もいて、それも距離感バグってじゃれていたら、見る。誰だってそうする。皆そーする。
「あの、スクショとかって……」
 ゲームプレイヤーの一人がおずおずと潤に尋ねる。
 こういう時、スクショ機能が大変役立つのだ。そして、得てして他のゲームプレイヤーのアバターであれば、殊更に許可をえなければならない。
 盗撮になってしまうからね。
 盗撮は犯罪。ダメ、絶対。

「ダメにきま……」
「しょうがないにゃぁ……いいよ?」
「ちょ、おまっ、何勝手に許可出してんですか!?」
 潤の許可にオーディエンスは更に怒号めいた歓声を上げる。フィールドが揺れているようだった。
 神!
「じゃあ、こんなポーズとかどうかな?」
「無理矢理ポーズとらせんなです!」
「いいからいいから!」
 二人は、それはそれは大変に助かるスクショを量産することになる。だが、SNSとかに掲載するのは禁止って潤のネットリテラシーの高さ故に、それは今回スクショを取れたゲームプレイヤーたちのお宝になるのだった――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

明和・那樹
【蛇と少年】

これで全部が終わった…と信じたい
けど温泉か…入浴剤しか知らないし、旅行なんて一度もした事がないからこれはこれで…うわっ!出た!?
実際それ以外の何者でもないだろ!
って、皆に近所で住んでる知り合いのお姉さんとか嘯いて黒教を布教しようとするんじゃないって!?

ジューンブライド…ああ、だからこの時期は教会の結婚システムで特別なフレンド関係になるのが多いのか
いや…でも…そこまで考えてないと思うよ?
ほら、満足したんならさっさと帰って…僕がウエディングドレス水着を?
ヤダね
何でそんな物を着なきゃならないんだよ…わ、わわわ!?声が大きい!
あ、あれはエイルが管理者でいつも頑張ってるから、そんな気は…!


カタリナ・ヴィッカース
【蛇と少年】

なるほど…
一見すると荒唐無稽さが際立ってますけど、実はあれやこれに…という思惑が…あら、シデンさん
奇遇ですね♪
ですが、人をランダムエンカウントする希少敵扱いするのは感心しませんよ?

私ですか?
新し親分さんのジューンブライドなイベントを、今後の運営に活かせないか見学してました
…ああ、|現実《そちら》では結婚の自由はございませんでしたか
てっきりエイルさんとお似合いなご両人を満喫してたとばかり…
愛の形は無限ですので…シデンさん、殿方用ウエディングドレス水着のテスターになって頂けます?
絶対お似合いでしょうし、皆さんにエイルさんへ本気チョコを送った事…教えちゃっても良いんですかぁ?(ゲス顔



「これで全部が終わった……と信じたいよな」
 明和・那樹(閃光のシデン・f41777)は、拠点『学園』にて巻き起こったバグプロトコルの湧出イベントクエストが終わりを迎えたことを知り、一息つく。
 確かにバカみたいな数のバグプロトコルであった。
 一体一体は大したことがなくても、数で圧倒されれば、どんな廃人ゲームプレイヤーであっても危ういだろう。
 故に、こんなばかみたいな高難易度クエストは今回限りにして欲しいとも思ったのだ。
「けど、温泉か……」
 改めて那樹は周囲を見やる。
 湯気立つフィールド。
 競泳プールは並々全てが温泉になっていた。

 温泉という言葉事態は知っている。
 けれど、それは入浴剤で経験するものであり、那樹にとっては温泉に行く、という人生設計図がない。
 だから、現実世界では一生縁のないものであると思っていたのだ。
 故にこうしてゲーム世界で経験できることは喜ばしいことだ。
「旅行なんて一度も計画されてなかったしな……これはこれで……」
「なるほど……一見すると荒唐無稽さが際立ってますけど、実はあれやこれに……という思惑が……」
「うわぁっ! 出た!?」
 いつのまにか那樹の背後にいたのは、カタリナ・ヴィッカース(新人PL狩り黒教ダンジョンマスター・f42043)であった。
 物腰柔らかいギルド組合員。
 それがカタリナであった。だが、那樹にとっては胡散臭いことこの上ない存在である。
「あら、『閃光のシデン』さん。奇遇ですね♪」
 那樹は、なんでこんなところに、と思った。
 顔にメチャクチャ出ていた。
「人をランダムエンカウントする希少敵扱いするのは感心しませんよ?」
「実際それ以外の何者でもないだろ! っていうか、なんでここにいる!」
「私ですか?」
 カタリナは胸を張る。

 そう、彼女もまたドラゴンプロトコルである。
 自らが運営するクエストもあるし、ダンジョンもあるのだ。となれば、こうして珍しいクエストが発生したとなれば、参考にしようと見学にやってきていたのだ。
 ちゃんと運営を通して、このフィールドの管理をしているノンプレイヤーキャラクター『エイル』に了承済みである。
「新し親分さんのジューンブライドなるイベントを、今後の運営に活かせないかと見学です」
「ろくなことにならさそう」
「なにか言いまして? ……ああ、|現実《そちら》では結婚の自由はございませんでしたか。てっきり『エイル』さんとお似合いなご両人をご満喫されていたとばかり」
「なんでそこで『エイル』の名前が出てくる」
 カタリナノ言葉に那樹は憮然とした表情になる。
 まーだ、そんなことを言っているのかとカタリナは思ったが、愛のカタチというのは無限である。
 こういうものは急かすものではない。
 ゆっくり育めばいいし、なんなら鬱屈とした思いをぶちまけさせる喜びもあるのである。はっきり言ってたちが悪い。

「そういうわけですので、『閃光のシデン』さん、殿方用ウェディングドレス水着のテスターになっていただけます?」
「満足したならさっさと帰って」
「いえ、まだ満足は致しておりません」
「そもそもなんで僕がウェディングドレス水着を? 嫌に決まってるだろ」
 にべにもない那樹の態度にカタリナは、にんまりと笑う。
「絶対にお似合いになると思うんですよ」
「だからって、なんでそんなものを……」」」
「いえね、もしこれが受け入れてもらえないのであれば……皆さんに『エイル』さんへの本気チョコを送ったこと、バラしてもいいんですよ?」
「わ、わわわ!? 声が大きい!!」
「いいんですか~? 私、うっかり口が滑っちゃいそうです。とっても滑りの良い舌なもので~」
 てへぺろ。
 こんな邪悪なテヘペロ見たことない。

「あ、あれは『エイル』が管理者でいつもがんばってるから、そんな気は……!」
「あ~はいはい。そうですね。でも、送った事実は消えないんですよねぇ? それにそんな気っていいますが、どんな気なんでしょうねぇ?」
 カタリナは那樹をからかい続ける。
 そう。
 これが自分の欲望なのかもしれない。
 近所のお姉さんムーヴ。
 これにつきる。
 いたいけな少年を黒教に引きずり込む。こうして那樹はカタリナにウザ絡みされまくる運命であった。
 ちょっとうらやましいと思うゲームプレイヤーたちもいたかもしんない――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

わーい温泉だー!
ざっぶーん!じゃぶじゃぶじゃぶ!
あ、ところでガチャはどうなったの?
虹色のバズトレを揃えて重ねて☆を全部★にしたりしないと…
いやそもそもホワイトなんちゃらって何と交換できるのさー

という感想や疑問が浮かんでは消えて…
遊んでるうちにどうでもよくなっていくボク!
後はなんやかやあって水着を着たボクのかわいさの説明で埋めて終わるとするよ!
いいよいいよ!ほめて!もっとほめて!
終わるかな?



「わーい温泉だー!」
 クエストを終えた後は、ひとっ風呂。
 それは他の何ものにも代えがたい至福のときであったことだろう。
 古来より大いなる戦いの後には、温泉がつきものであった。別け隔てなく温泉に浸かって戦いの傷を癒やし、疲れを取る。
 そういうものであったのだ。
 競泳プールに並々と張られた温泉にロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は躊躇なく飛び込む。
 ざっぶーん! と水柱がたち、飛沫が飛び散る。
 湯気が立ち込め、濛々と白くなる視界の中でろには笑いながら泳ぐ。

 確かに温泉であれば、見咎められる行為であったことだろう。
 だが、ここは競泳プール!
 拠点『学園』ならではの設備であるとも言えるだろう。故に、泳ぐ場所だから泳ぐのである!
「わーい! じゃばじゃぶ! じゃぶじゃぶで思い出したけど、ガチャはどうなったの?」
 そこになければないですよ。
「ワイちゃん的にはガチャもガチャガチャしてほしいところなんですけども! でも、詫び石がないんやで」
 新し親分『バズリトレンディ』は己が無力を噛みしめるようにうなだれていた。
 すまない。本当に済まない。
 まあ、今回はイベントクエストの報酬にガチャの類はなかった。
 敷いて言うならば、ドロップアイテムで作った水着が報酬になるのだろうか。
「ワイちゃん動きました! でもダメでした! なんの成果もえられませんでした!」
「えー、虹色のバズトレを揃えて重ねて限界突破したりしないとなのに! いや、そもそもホワイトなんちゃらって何と交換できるのさー!」
 ぷんすこロニは憤慨していた。
 神様なんだから石はじゃぶじゃぶできるはずである。
 トリリオン?
 そんなもん、神の御名において、確率変動すれば行ける行ける。

「……あー、でも、まーいーやー」
 うん、とロニは温泉競泳プールに浮かんでたゆたう。
 この心地よさを前にしては、ガチャなんて些細なことである。
 それに、とロニはたくさん集めていた『ホワイトブリム』を合成する。
 出来上がった水着でもってロニは温泉プールサイドでスクショ大会に加わっていた。
 もう何が何だかわからない。
 だが、これでいいのである。
 スクショいいすか! と尋ねられる度に褒めそやされるのだ。悪い気がしない。
「いいよいいよ! ほめて! もっとほめて!」
 終わらないスクショ大会。
 遅れてやってきたゲームプレイヤーたちという囲みの中心でロニは、はしゃぎ倒しながらいろんなポーズを取りながら、己のかわいさが説明不要であることを示すように、長く長く続くどんちゃん騒ぎと共にイベントクエストの終わりを締め来るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年06月30日


挿絵イラスト