小綿・たんぽぽ
ボン太様へ。ネーミングセンスが無いのでお名前を考えてやってください! 宮下より。
「もきゅぴっぴきゅもきゅぴぴ、もきゅぅ、ぴぴきゅもきゅ。きゅっぴい」
何やら事件に巻き込まれてた可哀想なハムスターを保護しましたの。
懐かれたのでバディペットとして飼う事にしましたの。
でもぽぽちゃんキュートなお名前を一生懸命考えてますのに、全然思いつかないですの。
良い案あったら教えて欲しいですの。
みたいな事をボン太MS様のグリモア猟兵様(どなたでもOK)にご相談します。
たまたまその場に居合わせただけで初対面なのにクソ馴れ馴れしいですねこの毛玉。
人倫に悖るド畜生なので仕方ないですね。
ちなみにIQ2くらいです。
なお保護した生物をハムスターだと主張しておりますが、実際にはマーモットの子供です。
すぐぽぽちゃんよりデカくなります。
ぽぽちゃんは「すっごくキュートなハムスター」だと言い張っていますが、
誰が見てもふてぶてしい面をしていて微塵も可愛くありません。
そんな生き物にキュートな名前を付けろと無茶振りします。
どんな名前になってもきゃっきゃして喜ぶのでボン太様のセンスでどうぞ!
その名前でアイテム申請させて頂きます!
字数は少なくても問題ありません。
字数足りなければリクエストし直すので流して頂いてOKです。
●任務命名モーラット
人類防衛組織UDC、UDC生態研究所鎌倉支部の最寄り駅にある噴水広場。
都心から向かうには複数の電車を乗り継いだうえで、場合によってはバスのお世話になるかもしれないそこに、二名の猟兵がいた。
より正確に言うならば、二名の猟兵と一匹のハムスターがいた。
一名はベンチの上でたたずむ、たんぽぽの生えたヘルメットを被ったピンクの瞳が特徴的なモーラット。
そしてもう一名は、モーラットの前にしゃがみ込んで話をうんうんと聞いている様子の、金の瞳の男だった。
「もきゅぴっぴきゅもきゅぴぴ、もきゅぅ、ぴぴきゅもきゅ。きゅっぴい」
「……悪ィな、もう一回頼む。モーラット語は堪能じゃなくてね。今度はゆっくりでお願いするぜ、おっさんの耳でも聞き取れるくらいの早さでな」
「もきゅぴっぴきゅもきゅぴぴ」
「なになに? 水の丸ふれあい公園……ああ、徳島県の。そこと、お前さんが抱えてるそのハムスターがどうしたって?」
「もきゅぅ」
「何だとォ!? そのハムスターがそこで仲間からいじめられてたとこを、偶然通りすがったお前さんが昨日助けてきたってのか!? なんてこった泣かせる話じゃねェか……それから?」
「ぴぴきゅもきゅ」
「ふむふむ、懐かれたからバディペットとして飼う事にしたのか! 良いンじゃねェか、それも縁ってモンだ。その子だって助けてくれたお前さんと一緒なら安心するだろうよ」
「きゅっぴい」
「なるほどねェ、それで名付けに困ってンのか。一生懸命考えてますのに、全然思いつかない、良い案あったら教えて欲しい……ッてなところだろ?」
「もきゅぴ!!」
「ビンゴだな? 良いだろう、乗ったぜその取引。モーラット語で言うなら、『|もっきゅぴ、ももきゅぴきゅぴ《乗ったぜ、その取引》』ってなモンだ」
「ぴぴきゅもっきゅぴ!」
「この納・正純(Insight・f01867)が付いてンだ、そこは大船に乗ったつもりで任せておきな。面白ェ話を聞かせてもらった礼だ――取引成立だぜ。いや……」
「きゅもきゅも?」
「|きゅぴきゅぴもきゅぴぴもきゅ《取引成立だぜ》、小綿・たんぽぽ(嵐を呼ぶふわもこ・f35609)! 俺らは今から取引相手ってワケだ!」
「もきゅぴ~!」
●『つづみ』
「それで、問題のハムスターってのがこの子か。どれどれ、拝謁いたしますかね」
「もきゅ! きゅぴも、もきゅぴもきゅも?」
「その懸念は良く分かるぜ。すっごくキュートな上に中々ワイルドな顔立ちじゃねえか」
「もぴきゅぴ、きゅぴぴもきゅ」
「おう! 仰る通りじゃねェの、こりゃきっとすぐ大きくなっちまうな。それに随分と生存本能に満ちてるツラだぜ。するってェと、名付けはやっぱカッコいい感じをご所望かい?」
「ぴぴもも……きゅぴっももきゅ、きゅぴ」
「おっと失礼、可愛い名付けを希望だったか。とすると、たんぽぽの名前にも引っかけつつ、サイズ感を前面に出しながらも響きは重すぎない名前が良いだろうな。花言葉、近似種、色合い、珈琲、綿毛、う~む……」
「ぴっぴきゅもきゅぴ、きゅぴ」
「……なるほど、別名か。たんぽぽ、お手柄じゃねえの! じゃあこういう名前はどうだい。――つづみ、ってンだ」
「きゅぴぴ?」
「たんぽぽの別名というか旧名にはな、『|鼓草《つづみぐさ》』って名前があるんだよ。一説によると……」
「ぴぴ! もきゅきゅぴ、きゅきゅぴぴも!」
「お、さすが博識だねェ。鼓をたたく時のたん、だとか、ぽぽん、だとか、そういう音からたんぽぽって名前になった……と言われてるんだよな」
「ぴきゅきゅももきゅぴぴ」
「正にそういうことだ。この子のサイズ感なら、つづみって名前の由来にも合う気がしてな。どーんと構えて、どっしりと頼れる子になってくれるぜ、きっとよ」
「きゅきゅもぴぴっぴきゅも!」
「ハハ、あんまり笑かすなよ! だが、確かにデカく育ったら鼓といわず和太鼓なんかも似合うかもしれねえぜ! この面構えにゃそれだけの貫禄があるわな」
「ぴぴもぴきゅもきゅもきゅ! も~きゅっぴ!」
「おう、その子の名付けも終わったことだし、メシでも喰いにいくかね。この辺にな、魔改造マリトッツォを出す店があるんだよ。ハムスター同伴可でな」
「ぴきゅぴきゅもきゅもきゅぴ! きゅぴきゅぴ」
「ガッハッハ! おいおい、まさかそんな面白ギャグを初お披露目とは痛み入るね! こいつは一本取られちまった、仕方ねえここは奢るぜ付いてきな!」
二名の猟兵と一匹のハムスター、もといたんぽぽと正純、そしてつづみは昼下がりの鎌倉を堪能しに駅を後にする。
その後、定期的に周辺のスイーツ店で彼らの姿を見た、という目撃情報が寄せられている。
巨大なマーモットに乗ったマーモットとマーモット語を介する男の組み合わせは、鎌倉周辺で専らの噂となり、やがてその噂は悪童を怖がらせるための怪談に変じていったとか、変じなかったとか。とっぴんぱらりのぷぅ。
成功
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