●UDC支部
某町六条六丁目六番地。
そこに建っているのは一軒のビル。
ペーパーカンパニーによって擬装されたUDCの支部であるそこは今、地獄と化していた。
それはイワシだった、だが歯は鋭く肉食の性を持ち、何よりも多数いた。
「良いのかい? いわしだけど、縫村」
カッターナイフを持った少年が自分に襲い掛かるいわしを一匹、斬り捨てながら誰かに問う。
『私に聞かないでください切宮君』
どこからか聞こえる少女の声は少しだけ困惑していた。
『どちらにしても持ち帰らないと行けないのですから、その為にはエサが必要です』
「いや、確かにいわしはエサだけどさあ」
人々を襲い、他の邪神のエサにもなりつつある阿鼻叫喚の中、少年は勇猛果敢なUDCエージェントの首元にカッターナイフを刺し、刃を折った。
鎖骨下動脈に届いた時に伝わる肉と管、それが切れていく感覚に懐かしさを覚えながらカットスローターズは新しい刃をカッターナイフへ叩き込んだ。
「妙な雰囲気だけど、最終的には生き残りは一体。それを|持ち帰れば《アーカイブ》」
『私達の闇堕ちゲームは終了です』
●グリモアベース
「くっ……俺の発電体質と大脳領域が何かを伝えようとしている」
グリモア猟兵、雷陣・通(雷轟一閃・f03680)は突然呟いた後、周囲を見回した。
「あれ、俺、何か言った……いや、それよりもだ!! UDC支部があぶねえ!!」
自分の呟きを打ち消すかのようにグリモア猟兵は叫んだ。
「場所はこのビル。今、ここはオブリビオンのユーベルコード『縫村委員会』によって出入りが不可能な閉鎖空間へと変えられている。勿論UDC支部の職員も取り残されているが、オブリビオンの狙いはどうやらそっちじゃない……支部に封印された邪神を開放し生き残った一体を持ち去る事らしい――様は蟲毒の再現だ」
ビルの地図を出しながら通は説明を続けた。
「突入したらまずは群体で襲ってくるいわしの群れと戦ってくれ。勿論オブリビオンだ肉食性だし、一般のUDCエージェントも集団で襲われたら歯が立たない……ああ、そうだ。一般人もいるから出来るだけ助けてやって欲しい」
グリモア猟兵の指先が地図をなぞる。
「最低限でも一階を確保できれば人々の安全は確保できる。次には今回の主犯たるカットスローターズとの戦いだ。厄介なのは周りでは邪神たちが戦っているってことだ。強敵同士の戦いで余波が飛んできたり唐突に邪神の死体が転がってきたりする。上手くやってくれ」
説明はまだ続く。
だが、その前に通は深呼吸した。
「言いにくい事が一つある。この蟲毒を食い止めることは出来ない。最後に生き残った邪神が一体。封印ももう間に合わない。此処で腹をくくって倒してくれ」
グリモア猟兵の左手が光り、道が開かれる。
「ユーベルコード『縫村委員会』は俺達が全力で攻撃すれば一瞬だけ通過できるくらいの穴は出来る。そこは気にしないでビルの中……よろしく頼む!」
未知のオブリビオンの出現に雷陣・通は緊張を隠せなかった。
みなさわ
お世話になっております、みなさわです。
今回はUDCアースで発生する事件への対処をお願いします。
●舞台
とある町のUDC支部です。
ビルとなっておりますが、メインである邪神は地下に。
縫村委員会による閉鎖空間も地上一階から地下にかけて展開されているので舞台は下へ、下へと下がっていくことになります。
●一般人
ある程度の戦闘力を持つUDCエージェントやメカニック。怪物に関して詳しい知識を持つ研究員などがおります。
猟兵が地上一階を確保することで彼らの安全は確保できます。
●各章
オール戦闘です。
戦って、戦って、戦いまくりです。
●その他
マスターページも参考にしていただけたら、幸いです。
では皆様、闇に抗う時間です。
第1章 集団戦
『六二五『デビルズナンバーいわし』』
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POW : 悪魔の魚群(デビルフロック)
全身を【「デビルズナンバーいわし」の群れ】で覆い、自身の【群れの大きさ】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : 悪魔の犠牲(デビルサクリファイス)
対象のユーベルコードに対し【数十匹のデビルズナンバーいわし】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
WIZ : 悪魔の共食(デビルカニバリズム)
戦闘中に食べた【犠牲となったデビルズナンバーいわし】の量と質に応じて【悪魔の力が体に凝縮され】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●殺人魚は群体となりて押し寄せる。
UDC支部一階、ホール。
「急げ、GOGOGOゴーッ!」
アメリカ人のような呼び声で人々を誘導するUDCエージェント。
火力に乏しいライフルを連射し非戦闘員の避難を完了させるとすかさず手榴弾を投げる。
爆発が通路を覆い、沈黙が訪れる。
エージェントが固唾をのむ中、奴らはやって来た!
「閉めろ!」
タイミングを合わせたかのようにUDC職員がドアを閉め、バリケードを乱暴に乗せて扉を封印していく。
その間に戦えるものが一匹のいわしを総出で殴りつけ、銃で急所を撃ち抜いた。
――オブジェクトナンバー六二五。
傍から見れば珍妙だが、人々にとっては害意を成す存在である。
映画ならサメやトマトが飛ぶところだが、生憎とここは現実だ。
飛び交うのはイワシの群体。
群が意志を持ち、ほぼ一体の個となって襲い掛かる。
ただ人を壊すため。
そして人々の抵抗は儚い。
どうにか築き上げたバリケードは崩壊の片鱗を見せ始めている。
木が割れる音がして、扉が砕け。
いわし飛び掛かる。
その時だった。
外から音が響いた。
それは道。
それは鬨。
それは未来。
猟兵が今、此処に来た証。
戦士達よ――戦え、今、護るべき者のために。
リューイン・ランサード
何故イワシなのか判りませんが、UDC職員さんが大ピンチなので頑張ります<汗>。
イワシの群れを攻撃し、僕の方に攻撃を引き寄せて、UDC職員さんに攻撃が向かないようにする。
風の属性攻撃・範囲攻撃・高速詠唱で(UDC職員を巻き込まないように)イワシ攻撃。
ヘイトを引き付けた上で仙術による分身を多数作り出して幻惑。
イワシの攻撃は第六感・瞬間思考力で読み、ビームシールド盾受けや見切り回避。オーラ防御も展開。
UC:罪砕乃炎で147個の炎創造。
結界術・高速詠唱で防御壁を作り上げ、イワシが逃げないよう囲い込み、炎で纏めて燃やしていく。
更に炎の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱・範囲攻撃で追い打ち。
一気に炭化させます!
叢雲・蓮
ビルの中で大量の人食いイワシが襲って来る…って、粗筋みたいに言うとバリバリにB級映画っぽいよね、これ。絶対に女の子は誘えないヤツ。
とは言っても、俺の人生の主役は俺だから、映画の中の主役みたいに苦戦する気はないけどね?
一般人も守らないといけないし、取り敢えずは俺の方に引き付けないと、かな?
丁度、道ができた時に大きな音がしたからある程度の注意は惹けたと見つつ、手近の物品を斬り落としてもう少し音をさせておくね。
戦闘については、喰いつかれるギリギリまで待ってからUCの賢木で迎撃って感じになるよ。後はそれを何度も何度も繰り返し、だね。
苦戦する気はない、って言った以上はカッコよく決めないと。
――参る!!
●Why sardines?
何故イワシなんだろう?
二人の猟兵は真っ先にそう思った。
「何故イワシなのか判りませんが、UDC職員さんが大ピンチなので頑張ります」
リューイン・ランサード(|波濤踏破せし若龍《でもヘタレ》・f13950)は正直な感想を述べた。
実際に人の生命がかかっており、まずは一階ホールの安全を確保しない事には前にも進めない。
問題は阻むものが殺人イワシだってことだ。
「ビルの中で大量の人食いイワシが襲って来る…って、粗筋みたいに言うとバリバリにB級映画っぽいよね、これ。絶対に女の子は誘えないヤツ」
叢雲・蓮(機如掣電・f40835)も軽口交じりに呟くが実際に正しい。
「とは言っても、俺の人生の主役は俺だから、映画の中の主役みたいに苦戦する気はないけどね?」
当然というばかりに蓮は日本刀を一振り、右手に持った。
「気を付けるんだ、猟兵!」
ライフルを構えながらUDCエージェントは叫んだ。
勿論、援護の為ではなく背後の非戦闘員に対する攻撃への牽制と時間稼ぎの為。
「あのイワシは殺人オブジェクトと呼ばれているUDC……またの名を」
「またの名を」
研究員の一人と思われる職員の言葉にリューインが聞き返す。
「デビルズナンバーいわし」
「デビルズナンバーいわし」
研究員の言葉を若龍は復唱する、空気が軽くなった気がした。
「気を付けろ! 名前や姿は珍妙だがオブリビオンには変わりない」
緊張を忘れないように発せられたエージェントの警告にリューインは頷く。
「確かに……いわしに殺されるのは厄介です」
瞬間、若龍の姿は複数に分れ、包囲誘導するかのように突風を叩き込む。
空を飛んでくる以上は空気抵抗を掻い潜らなければならない――ならば別方向から面制圧されれば殺意は若龍へと行く。
そして、攻撃から漏れたいわしの群体には蓮が立つ。
からん、と金属が転がる音がした。
普通の魚なら反応しないが食物連鎖の下層より何者かの手によってオブリビオンとなったいわしには問題ない。体内の脂によって含まれるDHCとEPAによって拡張された殺意は音を鳴らした本人。刀で近くのものを切断した男への向けられ、その手に有る物を脅威と見なした群体は数を増すことで対抗せんとした。
|悪魔の魚群《デビルフロック》
次々と先頭を交代することにより空気抵抗に費やす体力を分散し、速度を増していく。獲物が速さを捉えきれなくなった時……いわしは群となりて殺意を向けん。
「――参る!!」
獲物の側であった蓮が刀を薙いだのはその時だった。
刀剣の間合いであるならば必ず先を取り、近づくもの全てを薙ぎ払う鎧袖一触のユーベルコード。
その名は
賢木
と呼ばれていた。
一閃の元に薙ぎ払われるいわし。
けれど殺意はまだ衰えない。
生き残ったいわし達は既に斬り捨てられた同胞を喰らい、その力を身に濃縮させる。
殺人オブジェクトにして悪魔の数字を授かったいわし達は自ら生物濃縮を行い群としての質を上げていく。
其れこそがいわしの力の一つ。
|悪魔の共食《デビルカニバリズム》
力を増したいわしがリューインへと襲い掛かる。
若龍の分身による包囲誘導攻撃から脱するべく一点突破からの反転攻撃を仕掛けんがために。
だが――それを黙って見ているリューインでは無かった。
待っていたのだその時を!
力を増そうとも群体たるオブリビオンが何らかの行動を起こさんとしたところを。
いわしを待ち受けるのは若龍が産み出した147個の炎を全てを逃さんとする結界の網であった。
炎が――襲い掛かった。
|罪砕乃炎《ザイサイノホノオ》
冥界より召喚した肉体と魂両方を燃やす紅蓮の炎がいわしを焼きつくす。
青魚特有の脂の匂いを放ちつついわし達が燃え、そして臭いが消えた時、一階ホールの安全がまず確保され人々の歓声が響き渡った。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
荒谷・つかさ
(結界を怪力で無理やりこじ開けてエントリー)
何とか間に合ったかしら?
見た目はアレだけど護衛対象も居るし、加減はしない方が良さそうね。
【破界拳】発動
先制で半径150m超えの空間破壊に魚群を巻き込み、群れの数をごっそり削り取る
如何に奴らの飛行速度が速かろうと、今回の戦場は|屋内《密室》
突如発生する範囲攻撃からは逃げられないはずよ
行動方針としては安全地帯が確保できていないなら遊撃気味に立ち回り数減らしを優先
確保できているなら出入り口付近に陣取り迎撃態勢を取る
尤も、他との連携次第ではその限りではなく臨機応変に動くわ
余裕があれば刺身か蒲焼にでもしてやるところなんだけど。
今日のところは見送りね。
御鏡・幸四郎
扉に開いた穴を抜けようとするイワシを撃つ。
「姉さん」
イワシたちと扉の間に駆け込み、姉に三枚におろして貰いながら、
素早く群れの中枢を探る。
個体の力はさほどでも無いが、魚群を形成されたらなかなか厄介。
魚の動きや群れの流れを読み切り、姉の露払いを得て中枢へ飛び込む。
「吹き飛びなさい!」
ガンナイフを大きく振るい、魚群を薙ぎ払う。
群れられなければ力は落ちる。行動不能になった魚体から次々仕留めて行く。
全て片付いたらUDC職員の無事を確認。
魚の捌き方が上手い?
ええ、まあ、調理は慣れていますから。
それにしても…… 確かに見事な結界です。
新たな世界に関係があるのなら、慎重に当たる必要がありますね。
●Smash the sardines!
次に飛び込むのは二人……いや、三人の男女。
最初に響くのは空気のひしゃげる音。
縫村委員会という閉鎖空間を作り上げるユーベルコード自体が何者かによって「引き裂き、こじ開けられている」のだ
「今よ!」
「姉さん!」
羅刹の女の言葉に合わせて飛び込んだ御鏡・幸四郎(菓子職人は推理する・f35892)のガンナイフが火を噴けば、滑り込む様に飛び込んだスケルトンがいわしを三枚におろす。
そう、右身、左身、中骨の3つの部分に切り分けたのだ。
おそらく結婚相手は生活に困らないだろうほどの腕前だった。
だが恐れることなく、いわしは再び群れをなす。
衆の力で個を粉砕するがために、けれど幸四郎もオブリビオンの挙動を把握し、その中枢を見極める。
「…………」
(思った以上に……群れの形成が速い)
幸四郎の思考が回転する、霊媒士から探偵騎士へ、姉の露払いから飛び込むべきかそれとも……。
「何とか間に合ったかしら?」
荒谷・つかさ(|逸鬼闘閃《Irregular》・f02032)の言葉に男は安堵の息と共に頷きを返した。
「見た目はアレだけど護衛対象も居るし、加減はしない方が良さそうね?」
「はい、今回は一気に行った方が良さそうです」
つかさの言葉に状況を把握しつつある幸四郎が同意する。
「人々の安全を確保します、思いっきり」
羅刹と入れ替わるようにかつての霊媒士とサーバントは後ろに下がり、非戦闘員を含んだUDC職員を庇うように立つ。
「耳を塞いで、その場に伏せて」
幸四郎の指示に人々が従ったタイミングで羅刹は跳び。
|悪魔の魚群《デビルフロック》
が今――
|破界拳《ボーダー・ブレイク》
によって粉砕される!
一瞬ながら世界の境界をも砕く一撃。
怖いのは修復に要する世界の「揺り戻し」
湖底に穿たれた孔に水がなだれ込む様に世界を構成する因子が動き大気が揺れる。
魚群が大きく吹き飛び、穴が開いたところへ幸四郎と姉が飛び込んだ。
ガンナイフを振りかぶる霊媒士を庇うようにスケルトンが刃を振るい露払いを担った後。
「吹き飛びなさい!」
雑霊の刃がいわしの群体――その中枢を薙ぎ払った。
|雑霊旋風《ゴースト・ゲイル》
「やったわね!」
最早群れとしての力を失ったオブリビオンの一匹を掴み、つかさがいわし達へと投げつける。
正直勿体ないとは思うが、今回は状況が状況ゆえにやむを得ない。
音速を超えるイワシが扉の向こう側まで飛んでいくと遅れて空気の割れる音が響き更にオブリビオンが撃墜される。
「余裕があれば刺身か蒲焼にでもしてやるところなんだけど」
羅刹が横を見ながら呟く。
そこには次々と三枚おろしにされるイワシの姿と綺麗に刃を入れるスケルトン。
「今日のところは見送りね」
旅団にて【焼肉担当】を担う健啖家でもあったつかさも今回ばかりは幸四郎の姉に譲ることにした。
「魚の捌き方が上手い? ええ、まあ、調理は慣れていますから」
ホール周辺の安全を確保し、後は地下への入り口へ突入する状態を作り上げた幸四郎が姉の包丁さばきをUDC職員に褒められ、言葉を濁した。
「それにしても…… 確かに見事な結界です」
空気を変えるように霊媒士が『縫村委員会』の作り上げた閉鎖空間について口にした。
「そうね……こじ開けてもすぐに戻ってしまうもの」
人外未踏ともいえる膂力を持ったつかさの全力を以ってしても空間は一瞬で戻る。
「恐らくは「概念」が違うのかもしれないわ」
羅刹の言葉に幸四郎は予兆を思い出す。
「新たな世界に関係があるのなら、慎重に当たる必要がありますね」
今までと異なる流れのユーベルコード。
霊媒士と羅刹とスケルトンは緊張を隠せないまま地下への入り口へと視線を向けた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
臥待・夏報
水族館かな……?
なんかこういうイワシの展示絶対あるよな……
絵面は間抜けそのものだけど、ふつうにまずい状況だ
うーん共食いは厄介だな
夏報さんの持ってるレベルの銃や刃物で応戦したら、逆に敵を強化する結果になりかねない
ここは|呪詛の炎《スケープゴート》で確実に焼却する!
イワシへの恨みを呪詛に込めて……特に無いけど込めて……死体? 死骸? が灰になるまで、確実に
(ついでに【UC:たとえばで始まる夜】が無意識に発動)
(飛び散る灰と煙が、良い感じに目くらましになったり、イワシたちの注意を逸らしてくれたりする)
時間稼ぎできたら、あとは生存者の救護をしよう
奥にいるUDCに関する情報収集ができればいいんだけど……
天瀬・紅紀
イワシが群れるのは外敵から身を守る為…の筈だけど
群体として一つの意思を持っているかの様だねコイツ
小さすぎて三枚に卸すのは流石にムリだな
よし、炙りにしよう
イワシの魚群目掛けて炎の矢を一斉発射
火力強すぎて黒焦げになっても気にしない
そして受けた個体を全体の部位と考えれば、もう相殺の犠牲として放つ事は難しいでしょ?
さぁ、僕はドンドン炎矢を放つ!
お前らは相殺に焼かれに来る!
むしろこうしてれば向こうも攻撃より防御に専念して勝手に炙りになってくれそうかな
そうしてる内に群れの総数が減ってくれれば御の字だ
この支部は暫く生臭くなりそう…消臭剤の手配は必要かもね
尤も、下層は血生臭くなるか
強敵の気配…ふふ、血が騒ぐね
●Blood, Fire and Sardines
猟兵達の活躍により、一階はほぼ制圧。
後は地下への入り口に集う群体のみとなった。
「イワシが群れるのは外敵から身を守る為……の筈だけど」
天瀬・紅紀(蠍火・f24482)の視界に入るオブリビオンの群れが見せるものは。
「群体として一つの意思を持っているかの様だねコイツ」
殺意という概念のみ。
「水族館かな……?」
一方で臥待・夏報(終われない夏休み・f15753)は率直に感想を述べた。
「なんかこういうイワシの展示絶対あるよな……」
妙に身近にありそうな魚の展示を思い出し、そして。
「絵面は間抜けそのものだけど、ふつうにまずい状況だ」
それが牙を剥く脅威を冷静に分析する。
「うーん共食いは厄介だな」
さらに夏報は相手のユーベルコードを警戒した。
よりによって敵が生物濃縮を活かして力を強めて来る発想は流石に無かった。
「夏報さんの持ってるレベルの銃や刃物で応戦したら、逆に敵を強化する結果になりかねない」
「それに小さすぎて三枚に卸すのは流石にムリだな」
此処へ来る途中で見た三枚下ろしにされたイワシを思い出しながら紅紀は呟いた。
あれをやるには熟練のスキルが必要だ。
それ以上に他の攻撃がメインだから可能だったことで、自分達が包丁を入れている間に頭から噛まれるのは確実だ。
「よし……」
夜行性作家と。
「ここは|呪詛の炎《スケープゴート》で」
夏報さんの。
「炙りにしよう」
「確実に焼却する!」
発想は同じものに固まった。
空間にガソリンの溶剤臭が充満する。
デビルズナンバーいわしがそれに反応すれば、視野に移るのは獲物たるヒト二つ。
だが紅蓮の炎がそれを塞ぐ。
紅紀が炎の矢を放ち、臭いの元である夏報の呪詛に引火したのだ。
灼熱の通路の中、いわし達は自らの群体の一部を犠牲にし炎を抜ける。
その向こう側では夜行性作家が笑みを浮かべていた。
「お前らは群を一つの個として行動するオブリビオンだ。ならば犠牲にした群れはお前達の一部。そしてこのユーベルコードは受けた部位の回復と使用を困難にする――つまり」
オブリビオンが群れを別個に編成し防御に回る。
「一度やられた群れはもう戦えない!」
|紅蓮冥矢《アローズ・オブ・グラフィアス》
炎という名の毒矢が次々と注がれていき、いわしの動きは攻撃から防御へと傾いていく。
「さぁ、僕はドンドン炎矢を放つ! お前らは相殺に焼かれに来る! こうしてれば」
「――いわしは灰になるまで燃えていく」
夜行性作家の言葉に夏報さんが続いた時、オブリビオンの動きが止まった。
それは無意識に放った呪いの言葉……ユーベルコード。
|たとえばで始まる夜《カジュアル・ロマンス》
いわしが自ら炎に飛び込んでいき、灰になっていく。
そうカジュアルに焼かれていく。
けれどロマンスはない。
青魚特有の脂が焼ける匂い、死んでいく魚だったものの死臭。
一階はその臭気で充満していたのだから。
戦いの後の残り香はお世辞にも心に何かを残すものでは無かった……というか残したくなかった。
「この支部は暫く生臭くなりそう……消臭剤の手配は必要かもね」
天瀬・紅紀の言葉に夏報が応える気力は無かった。
だから作家は話題を変えることにした。
「尤も、下層は血生臭くなる――強敵の気配……ふふ、血が騒ぐね」
「それより」
ようやく夏報さんも反応した。
「奥にいるUDCに関する情報収集ができればいいんだけど……」
それには研究員を同行させるしかない、だが今は無理だ。
地下への入り口……その向こう側から伝わる余波は間違いなく只人が耐えられるものではないのだから。
更なる安全のため、猟兵は下へと進むしかなかった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『カットスローターズ』
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POW : 断裁ディバイダー
【カッターナイフ】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 疾風ダンスマカブル
【高速ステップ】で敵の間合いに踏み込み、【斬撃力を備えた衝撃波】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ : 九死カットスロート
自身の【瞳】が輝く間、【カッターナイフ】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●六六六人衆、再び
UDC支部、地下階層。
戦いの余波渦巻く中、何かが聞こえた。
――チキチキチキチキチキ。
カッターナイフの刃をせり出す音。
無造作にそれを弄っていたミリタリールックの少年は人ではない瞳を猟兵に向けた。
「縫村、誰も入り込めないんじゃなかったのか?」
楽しそうに少年が問い。
『それが六番目の猟兵なのでしょう。切宮君、油断しないでね』
どこからか聞こえる少女の声が警告した。
「分かってるさ、俺達の目的はたった一体でも『|持ち帰る《アーカイブ》』事。それに変わりはねえ」
少女に応えるかのように少年は口を動かし、そして猟兵の前に立つ。
「やあ、こんにちは。悪いけど」
『死んでくださいません?』
声が重なった。
「俺達はやることがあるんだ」
『そのためには私達は手段を選んではいられません』
チキチキと刃がせり出し。
「それに」
『私達は』
再び――
「『殺しを止められない』」
声は重なった。
異質なるオブリビオン。
名はカットスローターズ。
そして猟兵達は後に知るだろう……六六六人衆という名を。
虚偽・うつろぎ
六六六だ!懐かしき六六六人衆の気配を感じる!
見てよ!
これが六三位の残滓たる僕の新たな切宮殺戮術さ!
速攻で自爆することが最優先
1歩も動かず即自爆
僕に自爆をさせるんだ
僕もろとも鏖殺だ
これぞ鏖殺領域なり
ただ自爆するためだけに現れる存在
何かいきなり自爆する怪奇現象
今回は懐かしき六六六の気配に引き寄せられた
技能:捨て身の一撃を用いての
メッサツモードによる高威力な広範囲無差別自爆
射程範囲内に敵が1体でもいれば速攻で自爆
自爆することが最重要
なので敵がいなくても自爆する
大事なのは自爆までのスピード
有無言わせぬスピードで自爆する
これ最重要
捨て身の一撃なので自爆は1回のみ
1回限りの大爆発
自爆後はもちろん戦闘不能
●邂逅
「六六六だ! 懐かしき六六六人衆の気配を感じる!」
虚偽・うつろぎ(元 六六六人衆・六三位の悪霊・f01139)が駆け寄った直後カットスローターズはうつろぎを切断した。
「誰だっけ?」
『ロードローラーの人……じゃないですか切宮君?』
少年の問いに女の声が戸惑いつつ答えた。
「ああ、思いだした。どうしてこうなってるんだ?」
しゃがみ込む様にしてオブリビオンが文字だったモノを覗き込もうとした瞬間。
それは脈動した。
「見てよ!」
何かを感じたカットスローターズが飛びずさろうとした瞬間。
「これが六三位の残滓たる僕の新たな切宮殺戮術さ!」
周囲は爆炎に包まれ、近くで戦っていた邪神の何体かもそれに巻き込まれた。
ウツロギ=メッサツモード
ありていに言えば自爆である。
残念ながら、今のうつろぎは灼滅者でも六六六人衆の頃の面影はその迷惑さ以外ほとんどない。
とにかく近くに何かが居れば自爆せずにいられない衝動に駆られた怪奇現象たる何かだ。
一にも二にも自爆。
それが今のうつろぎのアイデンティティ。
不幸なのは猟兵に生まれたことで、幸運だったのはそのまま埒外として生きていられること。
ただ、それは。
「お前、第六の猟兵になったのか」
切宮が言う通り、今は道が交わらないという証。
『それじゃ、今度は骸の海で』
縫村が告げ。
それに続いてカッターナイフがうつろぎだった焦げ跡に突き刺さった。
これが悲劇か喜劇かは彼ら次第。
とにかく戦いは始まった。
苦戦
🔵🔴🔴
臥待・夏報
殺しを止められないっていうのは
イワシっていうよりマグロみたいだね
やっぱり殺しを止めさせられたらエラ呼吸できずに死ぬのかな?
……なんて、安い挑発で注意を引きつつ
フックワイヤー『|釣星《アンタレス》』を駆使して時間稼ぎ
向こうの武器はカッターナイフなんだから
致命傷を与えるために、こちらに接近してくるはずだ
その瞬間に触れればいい
最悪、利き手じゃない方の腕なら破壊させてやってもいい
通りすがりの走馬灯
さっきまで人間の形をしていたものが49枚の写真になって弾け飛ぶ
それに相手が疑問を抱くか、殺したと誤認するか、その一瞬の隙を狙う
UCを解除して人間に戻って……
至近距離から銃で撃てば、さすがにダメージ入るでしょ!
叢雲・蓮
俺、弟妹多いから女の子や年下の姿かたちをしたオブビリオンって、斬り辛くて嫌いなんだよね…。とは言え、キミは俺の弟妹じゃないし…推して知るべし、ってヤツだけれども。
え~っと…全部喰らうとヤバい系の敵だよね、これ。一応、攻撃の中盤くらいの一撃は確実に弾きつつ機を窺うよ。そんな流れだし、互いの手の内を晒し切る前に【居合】の【早業】を使った『藤袴』の一撃で、首を【切断】して屠るのが俺的にも怪我が少ないかな? 所謂ところの分からん殺し、って流れだね。
多少の怪我は許容するけど…あんまり酷いと、姉さんに怒られるから勘弁だよ?
あ、そうだ。同行者が居るのなら連携とサポートは喜んで。
お互いに、頑張ろうね。
●|性《さが》に生きて
改めて。
猟兵に向き直るカットスローターズ。
背後では邪神が互いに互いを貪り合い、人外の力は余波となりて戦場を圧迫する。
「殺しを止められないっていうのはイワシっていうよりマグロみたいだね」
臥待・夏報の言葉にオブリビオンは何かを思い出す。
「ああ、そういえばいわしを放流してたっけ……食べた?」
「食べないよ、ところでさ」
切宮の問いかけに対し夏報さんはにべもなく。
「やっぱり殺しを止めさせられたらエラ呼吸できずに死ぬのかな?」
「そうだなあ」
『誰かがエラ呼吸するだけですね』
夏報の問いは連なる声と共に振り回されたカッターナイフによって返された。
空を切る折刃の凶器。
女の姿はそこに無く、代わりに躍りかかるのは叢雲・蓮。
「俺、弟妹多いから女の子や年下の姿かたちをしたオブビリオンって、斬り辛くて嫌いなんだよね……」
「じゃあ、ここで斬られるかい?」
蓮の言葉に対して首元へ迫るカッターナイフ。
「いいや」
その刃を受け止め、刀を返して受け流すのを答えとした虹彩異色の剣士。
「とは言え、キミは俺の弟妹じゃないし……推して知るべし、ってヤツだけれども」
蓮が一歩踏み込み、追い打ちの突きを放つ。
「弟妹でも殺さないと」
カットスローターズが身を翻して刃先を避け。
『目覚めが悪くありませんか?』
少女の声と共に逆手に持ったカッターナイフを脇腹に突き立てんとする。
剣士は後ろに大きく下がり、代わりにフックワイヤーで上方へと消えていた夏報が飛び降りつつリボルバーを連射した。
金属音と共にカッターの刃が折れ、オブリビオンは口笛を吹いた。
「おっと危ない」
戦いの緊張はまだ解けることはなかった。
夏報のフックがカットスローターズの居た場所を切り裂く。
肉を割く事は無く代わりに毒が飛び散るのみ。
続けて蓮が回避したところを袈裟で狙うが逆にカッターナイフで叩き落される。
「嫌だな」
剣士は呟く。
「重くはないけど、確実に武器を落としてくるし、急所を狙ってくる――視えているみたいだ」
「けど、向こうの武器はカッターナイフなんだから」
夏報さんが答える。
「致命傷を与えるために、こちらに接近してくるはずだ」
その瞬間に触れればいいというばかりに夏報が歩み。
何かを理解した蓮は刀を鞘に納め、腰を落とした。
「ほら、おいで」
UDCエージェントの女が手を伸ばす。
「じゃあ、遠慮なく」
切宮の殺人鬼としての|性《さが》が動いた!
|断裁《ディバイダー》
カットスローターズの刃が夏報の手首を切断し、失血性ショックにて殺さんとした時……人は49枚の写真に変わる。
それはカットスローターとして生きた過去の記録。
|通りすがりの走馬灯《フラッシュバック・モンタージュ》
既にカットスローターはおらず、今いる存在の名はカットスローターズ。
切宮にして縫村、縫村にして切宮。
だが写真に写る姿は切宮のみ。
過去の残滓たるオブリビオンは一秒にも満たない時をフェトへと注ぎ、そして対応が遅れた。
紫電を纏った真紅に妖しく艶めい刃が鞘から解き放たれ、疾く斬らん!!
藤袴
『切宮君!』
少女の警告が響くがカットスローターズが動くことが出来ない、背後から銃を突きつけられているのだから。
「至近距離から銃で撃てば、さすがにダメージ入るでしょ!」
夏報さんの言葉に応える者は居なかった。
頭が爆ぜ、胴を刃が薙ぎ、オブリビオンの姿が消える。
「感触は残ってる、でも死体はないな……」
蓮が呟く。
「存在が分割しているとか?」
まさかとばかりに夏報が口を開く。
答えは分からない、だが……蓮が大怪我を追って姉に怒られる事だけは避けられそうだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リューイン・ランサード
イッちゃった目をしている<汗>。
怖いというより生理的に嫌なタイプだけど戦うしかないんだよなあ~。
装甲外骨格《靂》を装着し、オーラ防御展開。
先程同様に仙術による分身をばら撒いて幻惑し、光の属性攻撃・高速詠唱・範囲攻撃・スナイパーで光の矢を多数射出。
相手は強くて素早いから、光の矢を擦り抜けて、本体である僕を捉えて攻撃してくるでしょう。
そのタイミングを第六感・瞬間思考力で読み、動きを見切り、結界術・高速詠唱で自身の周囲に静止結界を構築。
一瞬だけでも相手の動きを止める。
更にビームシールドで盾受けできるようにかばいつつ、こちらから踏み込んで右拳に籠めたUC:震龍波+雷の属性攻撃・貫通攻撃を放つ!
荒谷・つかさ
あんたが……いや、あんた「達」が今回の下手人って訳ね。
この感じ、マンチェスター何とかってのの同類かしら?
まあ何でもいいわ、何にせよ……私がやるべきことは、何も変わらないもの。
【妖術・九十九髪】発動
伸ばした髪を用いて全方位からの捕縛攻撃を仕掛ける
とはいっても、相手の武器はカッターナイフ
容易に斬られてしまうでしょう
けれど、それが狙い
断ち切られた髪も私の髪である以上、そのまま操作可能
故に細切りになった髪を奴の目・鼻・口・耳や服の中へと侵入させ、体の内外で暴れさせるわ
全身及び体内への細かい髪での擽り、マトモに立っているのも辛いんじゃないかしら?
そんな感じで動きを封じたら、あとは「怪力」で殴るのみよ
●|性《さが》を貫き
「イッちゃった目をしている(汗)」
リューイン・ランサードは冷や汗を隠せなかった。
怖いというよりは生理的に嫌なタイプだ、どちらにしても戦うのは避けられない。
何よりも……。
「あんたが……いや、あんた「達」が今回の下手人って訳ね」
未来の義姉である荒谷・つかさと一緒なら、心強い上にこれ以上まごまごしている訳にはいかない。
「この感じ、マンチェスター何とかってのと同類かしら?」
「へぇ? あいつもここに居るのか。なあ縫村」
つかさの言葉にカットスローターズは誰かに語り掛けた。
『今は目的を優先しましょう、切宮君』
「そうだな、じゃあ」
オブリビオンはカッターナイフを構え。
「殺し合おうぜ」
猟兵と同時に動いた。
先鋒を務めるのはリューイン。
普段なら膂力に優れたつかさが正面切って動くのだろうが考えがあるのだろう。
婚約者たる妹もそうであるが、自分の全力を発揮するために努力を惜しまない姉妹だ。
ならば自分がそれが発揮できる状況を作るのみ。
紋章を輝かせドラゴニアン型の紫電纏う黒い全身鎧を纏った若龍は仙術により分身し、包囲状態から光の矢を一斉に放つ。
閃光煌めく中、黒がぬるりと滑り込んだ。
「見ぃつけた」
光の中、ひときわ輝くステンレスの殲術兵器。
カッターナイフがリューインの首に届かんとした時、漆黒の何かがオブリビオンの手首に絡みついた。
|妖術・九十九髪《スピリット・オブ・ヘアー》
伸びた髪はやがて色を失い、不可視の糸が如くカットスローターズを拘束する。
「縫村、何とかしてくれ」
『自分でやってください』
切宮が誰かに問えば返事はつれないものだった。
そして、オブリビオンは自由となる。
|断裁《ディバイダー》
拘束していたユーベルコードを「破壊」し、カットスローターズの得物がチキチキと音を立てて刃をせり出していく。
「させません!」
若い声が響き、見えない何かが切宮の動きを止めた。
リューインの組み上げた静止結界であった。
つまらなそうにカッターナイフを振り下ろし、結界を切り裂いたオブリビオン。
だが、それ以上動くことは叶わない。
「いいタイミングよ」
つかさが褒める。その間もカットスローターズは何かに抵抗しようとうずくまり、歯を食いしばっていた。
髪の毛というのは水分を帯びなければ金属より硬い。
もし、それが微細な何かとなって目・鼻・口・耳や服の中に潜り込み暴れまわれば、動くことは至難であろう。
「行くわよ」
「はい!!」
羅刹の言葉に若龍が応え、挟み撃ちをするが如く拳を握る。
最初に放たれるのはつかさの拳。
何気ない動作から撃ちこまれる音は深く響く。
「ぐっ……!?」
カットスローターズの呻き声、だが拳の主は手ごたえに違和感を感じる。
「壊せない」のだ。
痛みはあるだろう、衝撃で交感神経が狂い呼吸は止まるだろう。だがどこも壊れなかった。
だが問題は無い。
「何にせよ……私がやるべきことは、何も変わらないもの」
もう一人の拳がそれを担ってくれるのだから。
|震龍波《シンリュウハ》
衝撃と雷撃を伴った拳がオブリビオンを貫き、その余波が振動となってカットスローターズの存在を「破壊」していく。
「やられたなぁ縫村」
『次行きましょう、死んでも最後に勝てばいいのです』
オブリビオンが互いに会話し、そして消えた。
「……消えました」
「でも、また会えるかもね」
リューインの言葉につかさが応える。
視線の向こうでは邪神どもの戦いがまだ繰り返されていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
御鏡・幸四郎
探偵騎士の修行時代。
シリアルキラーと対峙したことがありますが、
目の前の彼、……彼らはまた異質です。
いつも以上に油断することなく、
背中に目を貼り付けている如く感覚を研ぎ澄ませます。
打ち合いながら一挙一動を観察しますが……強い。
挙動や発言から相手の戦闘スタイルを読み取り、
二手三手、さらにその先を見切りますが、
隙と見れば刃が滑り込んでくる殺人技に戦慄を禁じえません。
だが、急所狙いがわかっているのなら。
打ち合いの中で僅かに体勢を崩してカッターナイフを誘い、
迫る刃を白刃取り。
流れるように腕を取り、カウンターで地面に叩きつけます。
それが相手の誘いである可能性も想定済み。
その際は更にカウンターを重ねます。
●|性《さが》に傷つき
男が二人、対峙する。
一人は眉目秀麗な相貌を持つ世の中を知る青年。
もう一人は若さ故に留まることを知らない少年。
「探偵騎士の修行時代」
御鏡・幸四郎が唇を動かした。
「シリアルキラーと対峙したことがありますが、目の前の彼……彼らはまた異質ですね」
「分かるんだ」
幸四郎の言葉にカットスローターズが感心したように答える。
「ええ、勿論」
頷くように青年はガンナイフを抜いた。
もう、二人の姿は消えていた。
金属音が響く中、感覚が研ぎ澄まされていく。
目や耳だけではなく、皮膚の感覚――空気の震えさえも感じ取る。
いわゆる「背中に目をつけている」が如くだ。
そこまでしてやっと刃がぶつかり合うのだ。
「……強い」
幸四郎が呟く。
オブリビオンの殺しの技に戦慄を禁じえなかった。
「そっちこそ」
声が響き、闇を貫くように刃が飛ぶ。何かを感じ取り探偵騎士はガンナイフの引鉄を引いた。
銃弾が刃を弾く、転がるのはカッターの替刃のみ。
ワンテンポ、リズムを崩してカットスローターズの刃が幸四郎の首を襲う。
「――っ!」
銃撃で後ろ荷重になった探偵騎士が勢いを活かして身を翻し、オブリビオンの一撃を跳ね上げる。
「捉えた!」
楽しそうに切宮が叫びもう一つのカッターナイフを振るう。
|断裁《ディバイダー》
ガンナイフが切断され、刃が幸四郎の細い首を刎ねんと襲い掛かる。
だがその刃は柔らかく掌で覆われ、そして――折った。
得物故の弱点。
折られた刃が落ちた時にはカットスローターズは宙を舞っていた。
|探偵格闘術《バリツスタイル》
「――くっ!?」
地面に叩きつけられた切宮が咄嗟に起き上がり、新たなカッターナイフを握る。
『切宮君!?』
警告の声がオブリビオンの耳に響いた。
鼓膜が故、意識がそちらへ持っていかれた刹那、カットスローターズが仰け反った。
「急所を狙うのは分かっていました」
探偵騎士が呟く中、倒れゆくオブリビオン、額には折れたカッターの刃が刺さっており、その向こうには幸四郎が立っていた。
やがてカットスローターズの姿が消える。
邪神の戦いはそろそろ佳境を迎えつつあった。
成功
🔵🔵🔴
天瀬・紅紀
声が二つ…複数形…君達、多重人格みたいな状態…?
いや、主導権は男の子の方かな
刀を抜いて中段に構え
沢山のカッターナイフを同時にって器用だね、君
向こうの瞳を、動きを確実に見切る為に注視
来る、と思ったら徹底的に防御に徹し刀で受け止め流す
殺す為なら主要動脈と腱は狙って来るだろう
9回だ、それだけ集中して致命傷は防ぎきる
あー、スーツもシャツもこれじゃ直帰は無理だな
さて、次はこっちの番
三倍返しのUC発動
君の攻撃はもう僕には当たらない
その分しっかり斬り刻んであげる
27連攻撃…とまでは行かないけど、カッターの刃を叩き折りつつ連続斬り
君のそれはあくまで工具で文房具
殺す道具には成り得るけど戦う為の道具じゃないからね
●|性《さが》に死す
暗闇の中、邪神どもの宴も終わりに近づいてきたころ。
銀髪に白い肌の男が刀を抜く。
「声が二つ……複数形……君達、多重人格みたいな状態……?」
「ちょっと違うかな?」
天瀬・紅紀の言葉をカットスローターズは少年の声で否定し。
『そう扱われるのは不快ですね』
少女の声もそれに続いた。
「主導権は男の子の方かな」
『殺しましょう、切宮君』
なおも続く紅紀の言葉。
誰もが挑発だと分かっていたが、それに乗るのも生き方だ。
だからこそ、オブリビオンはカッターナイフを構えた。
紅紀が正眼に構え、正中線を不動とする構えに対し、カットスローターズはぬるりと泥水が流れるように絡みつきカッターを刺しに来る。
それを弾き、打ち込もうとした夜行性作家の剣を流水の如き動きで避けるとオブリビオンはその手首を斬り落とさん。
「沢山のカッターナイフを同時にって器用だね、君」
柄尻で刃を持つ手を叩く紅紀、直後に切宮が手を振り上げると逆手に持ったカッターを鎖骨下動脈へと突き立てにかかった。
「――っ!」
咄嗟に刀を振りあげ、一撃を受け止めた夜行性作家。
「空いたね――」
カットスローターズの瞳が輝き、指の間に複数のカッターナイフを持つのと、肉への道を見つけた歓喜の呟きは同時であった。
| 九死《カットスロート》
九の刃が皮膚を割き、肉を斬る。
鮮血が床に滴り、紅紀の膝が崩れた……が。
「あー、スーツもシャツもこれじゃ直帰は無理だな」
死には至らず。
「しっかり防いでやんの」
『切宮君、来ます!?』
少女の声が響いた時。
「さて、次はこっちの番」
夜行性作家の重く鋭い刃が切宮の肩を袈裟に斬った。
|蠍鏡烈火《カウンター・オブ・ジュバ》
肉を切らせて骨を断つ、血を伴うユーベルコード。
まさしく、それは三倍返しの連続攻撃。
流石に九連続とは行かないが、次々とカッターの刃を叩き折り、間隙に繰り出される起死回生の反撃を避けると一気に踏み込み、止めの一撃!!
「君のそれはあくまで工具で文房具」
振り下ろして血を払った備中青江の一振りは一切の濁りなく。
「殺す道具には成り得るけど戦う為の道具じゃないからね」
戦いの武器としての美しさを――保っていた。
オブリビオンが消えていく……だが、また戻ってくるだろう。
二人は言っていた。
「何度でも、どんなイカサマをしても、場にしがみつく」……と。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『三三五『デビルズナンバーせんたくし』』
|
POW : 悪魔の継続(デビルコンティニュー)
自身が戦闘で瀕死になると【出るコンティニューの選択肢を選ぶ事で自身】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD : 悪魔の仮定(デビルイフ)
【もしかしたらあり得たかもしれない】【本来とは異なる選択肢を選んだ】【IFの対象の幻影】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 悪魔の迷宮(デビルラビリンス)
戦場全体に、【正答以外で進むことが出来ない問題と選択肢】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「六六六・たかし」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●Choice or No.666
カットスローターズが消え、場に静寂が訪れた。
安全を確認したUDCエージェント達も入り口まで迫り、そして止まる。
勿論、猟兵も把握していた。
さっきまで邪神どもが戦っていた場所が静かになったという事は――。
「さあ、「せんたく」しよう」
少年が立っていた。
「君達が死ぬか、それとも……消えてしまうか」
長い前髪で表情は見えない。
いや、そういう風に見えるような「記号」として誰もが認識しているかもしれない。
「こちらに来た六六六人衆だっけ、彼等には感謝しているよ。僕に別の選択肢を与えてくれたからね」
少年――いや、オブリビオンが歩く。
「あとは今まで通り振舞うか、彼らのように振舞うかだけだ……ああ、名前、知らないよね。聞く? それとも訪ねる?」
提示される選択肢。
どちらにしても答えは決まっていた。
No.三三五『デビルズナンバーせんたくし』
殺人オブジェクトたる彼はそう名乗るのだから。
六六六人衆の置き土産、最後の戦いが始まる。
選択肢は――ない。
叢雲・蓮
鰯、年下っぽいと来ての年下っぽい。今日は精神修養の日だね。作麼生、説破。
…と、冗談はさて置き。
油断ができる相手ではなさそうだから、同道者が居れば協力は喜んで。
上手く互いのやりたい事が進めるよう、立ち回ろうか。
UCは引き続き藤袴での一撃必殺を狙うよ。
同道者が居たら其方に引き付けられた瞬間を、単独の場合は多少のダメージは織り込み済みで攻撃を受けながらのカウンター狙いでの発動かな。勿論、一撃必殺を狙う以上は、首を刎ねるのが狙いになるかな。
悪いね、俺から提示する選択肢は「ない」んだよ。
何故なら、俺はそんなものを選ばせる間もなく叩っ斬るからね。と言っても、もう聞こえてないか。
臥待・夏報
目の前に現れる『夏報さん』はどんな姿をしているだろう?
あの時ああしていたら、こうしていたら……
興味ないな
【真の姿:セーラー服の少女】
【UC:馬鹿なら馬鹿らしく】
まずは目の前の幻影を撲殺する
瓦礫を拾って殴るだけなら左手だけで事足りるだろ
よう、そこのお前、二者択一のクイズが好きか?
そんなお遊び水族館のタコでもできるぜ
敵も味方も区別無く
痛みと快楽も区別無く、
シンプルに殴る蹴るの暴力と、呪詛の炎を撒き散らして勝負する
スカしたクイズ野郎のペースに乗せられてやる気はないからな
わかりやすい選択肢なんてあるわけないだろ
くだらない人間が、くだらなく生きて、くだらない大人になって
こういうくだらない仕事をするだけだ
●選択肢などありはしない
最初に戦う事を選択したのは二人。
「鰯、年下っぽいと来ての年下っぽい。今日は精神修養の日だね」
溜息と共に呟くは叢雲・蓮。
「作麼生、説破……と、冗談はさて置き」
刀を抜く蓮。その傍らに臥待・夏報が立つ。
「お先いい?」
夏報の問いに剣士はただどうぞ、と促した。
――目の前に現れる『夏報さん』はどんな姿をしているだろう?
夏報さんが過去に想いを馳せる。
もし……
あの時ああしていたら、こうしていたら……
目の前に立つのはその時の『夏報さん』
今の夏報さんは瓦礫を拾うと。
「興味ないな」
撲殺した。
そこに立つのはセーラー服の少女にして――真の姿、臥待・夏報。
「よう、そこのお前、二者択一のクイズが好きか?」
夏報が次に殴りつけるのは腹の立つ『夏報さん』を見せつけてくれたせんたくし。
彼の作り出したIFのユーベルコード。
| 悪魔の仮定《デビルイフ》
それを物理で排除すると、デビルズナンバー本人を呪詛の炎と共に殴る、殴る、殴りつける!!
「わかりやすい選択肢なんてあるわけないだろ」
紅蓮と共に叩きつけたものが砕ける。
「くだらない人間が、くだらなく生きて、くだらない大人になって」
蹴りつけ。
「こういうくだらない仕事をするだけだ」
最後に瓦礫だった『くだらなさ』を投げつけた。
「それが……君の『選択肢』なんだね」
せんたくしが笑う。
「くだらないなら――違う選択をしても」
「ないよ」
紫電が走った。
|藤袴《フジバカマ》
「もう一度言う」
ユーベルコードを奔らせた居合。
仕事を終えた刀を鞘に納めて蓮が再び告げる。
「悪いね、俺から提示する選択肢は『ない』んだよ」
鯉口が嵌り、カチャリと音を立てる。
「何故なら、俺はそんなものを選ばせる間もなく叩っ斬るからね」
剣士が背を向けて歩き出せば、夏報さんもそれに続く。
「と言っても、もう聞こえてないか」
「首は跳んでも耳はあるんじゃないかな?」
蓮の言葉に夏報がツッコんだ。
その背後では首無きオブリビオンが一体横たわっていた。
勿論、これで終わるとは思っていない。
だが全員がかかれば?
|選択肢《コンティニュー》など続くわけがない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
天瀬・紅紀
人生は選択の連続である
…シェイクスピアの言葉
選択の結果は些細なり生死を分けるなり様々だけど
故に現れるIFの幻影達に蠍影召喚と同時に問おう
「選んだ事を後悔はしていないか?」と
陽を恐れ外に出なかった僕
恐怖に勝てず刀を置いた僕
文学を志すを諦めた僕
…惟人の死を受け入れてしまった俺
今の俺は常に諦めない選択しかして来なかった
君達の人生はそんな俺を納得させられるモノと言えるのか
まぁ、無理だろうね
幻影達を炎の槍で突き払い、マンティコアの爪牙に任せ
戦うか逃げるか、なら俺が決めるは一つ
大切な人達守る為、クソ悪魔を此処でぶち殺す
君の流儀に合わせて選択肢提示したげるよ?
>焼死
斬死
答えは両方、な!
(炎纏った刀で一閃)
リューイン・ランサード
コンティニューとか面倒くさそうな敵だなあ。
しかもユーベルコードでないとダメージを与えられないと。
ある程度ダメージを与えて、一気に止めを刺すのが良いのか。
UC:ヴォイドストームを使用。
野球ボールくらいの大きさで射出。
「動きを封じる!」と封印術・高速詠唱で相手の回避を封じながら、不規則な軌道で手足といった『瀕死にならず、戦闘力を奪える箇所』を攻撃。
相手の反撃は第六感・瞬間思考力で読んで、見切りで躱すか、ビームシールドで盾受けするか、装甲外骨格《靂》の装甲とオーラ防御で耐える。
良い感じでダメージを相手に与えられたら、魔力球を「大玉転がしの玉」サイズに大きくして相手を丸ごと消滅。
ゲームオーバーです。
●選択肢の連続
次に戦うのもやはり二人。
「コンティニューとか面倒くさそうな敵だなあ」
リューイン・ランサードが呟いた。
「しかもユーベルコードでないとダメージを与えられないと」
「いや、こっちは違う気がするなあ」
天瀬・紅紀が口を開いた。
「むしろ、こう……最初に戦ったいわしの雰囲気がする。デビルズナンバーと言ってるし、名詞の最後も『し』で終わってるし」
「『し』で終わっているし……」
リューインが復唱した。
妙な既視感を感じたのは気のせいだろうか?
「と、とにかく、ある程度ダメージを与えて、一気に止めを刺すのが良いのか」
若龍の提案に夜行性作家は頷きを返した。
定番だが堅実な作戦がこの手の敵を倒してのけるのだから。
――人生は選択の連続である。
シェイクスピアの引用を紅紀の思考のノヲトの一頁から抜き出した。
「選択の結果は些細なり生死を分けるなり様々だけど」
呟く中、リューインの叫びが響く。
「その動きを封じる!」
仙術に伝わる禁の術法だろう。
不規則な動きで幻惑し、オブリビオンの動きを封じ手足と言った末端から潰そうとする若龍を横目に夜行性作家は自分と対峙する|もう一つ《IF》の幻覚へ視線を向けた。
「選んだ事を後悔はしていないか?」
|悪魔の仮定《デビルイフ》
運命分岐から別れた自分。
選択肢から除外された自分へ向かって紅紀は問う。
深紅の影たるマンティコアを伴って。
陽を恐れ外に出なかった僕
恐怖に勝てず刀を置いた僕
文学を志すを諦めた僕
そして…… の死を受け入れてしまった俺。
全て、諦め、恐れた自分。
だが……
「今の俺は常に諦めない選択しかして来なかった」
それを選ばなかったからこそ、天瀬・紅紀はここに立つ。
「君達の人生はそんな俺を納得させられるモノと言えるのか」
幻影からは答えは返ってこなかった。
手に生み出した炎の槍が幻影を薙ぎ。
「まぁ、無理だろうね」
マンティコアが爪牙を以って食らいつかん。
|蠍影召喚《シャドウ・オブ・レサート》
「戦うか逃げるか、なら俺が決めるは一つ」
マンティコアは暴れる。
満足な答えを得られないから。
幻影は消えていく。
満足な選択を成してないのだから。
「大切な人達守る為、クソ悪魔を此処でぶち殺す」
炎を纏わせた刀を片手に紅紀は――
「君の流儀に合わせて選択肢提示したげるよ?」
せんたくしに提示した。
>焼死
斬死
「答えは両方、な!」
燃え盛る刃がオブリビオンを切り裂く。
「今だ!」
そして若龍へとバトンを繋いだ。
「させないよ――コンティニューだ」
切り裂かれたはずのせんたくしが呟くとオブリビオンは燃え尽き、代わりに新たなせんたくしが現れる。
|悪魔の継続《デビルコンティニュー》
「それはこっちの台詞です!」
距離を取ったと同時にリューインが放った魔力球が再びオブリビオンの手足を封じていく。
やっていくことは変わらない。
何度復活しようが堅実にダメージを与え、そして――。
「止めだぁ!!」
魔力球が巨大化した。
それこそが始原の力。
力が反転した時、魔力球は万物に終末を齎す業とならん!
|ヴォイドストーム《ヴォイドストーム》
クラスター化したブラックホールの奔流が如き一撃。
コンティニューさせる暇も無くせんたくしを消滅させた。
「――ゲームオーバーです」
コンティニューを繰り返しても|終わり《ゲームオーバー》は来る。
そうやって人は生きていくのだから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
御鏡・幸四郎
コツコツと迷宮の壁を叩く。
やはり問題に正解する以外に道は無さそうですね。
問題はセンタクシの攻撃方法ですが……
恐らくは回答を間違えるとダメージが来る類い。
設問の狙い。答えさせたい回答。引っ掛けの傾向。
多少のダメージは覚悟で問題1問1問を吟味していきます。
「ぐっ」
心配そうな姉を大丈夫と手で制しつつ、思考のシミュレーションを繰り返し。
そして、反撃の時。
「材料は、揃いました」
センタクシの思考は読めました。
迷うことなく設問に答え、一気に最速で迷宮を突破します。
こうも早く突破されるとは思いませんでしたか?
それではあなたを倒すのは私と姉のどちらでしょう?
……答えは二人で、です。
(貫く日本刀とガンナイフの刃)
荒谷・つかさ
不思議な感覚……通常攻撃無効は伊達ではない、か。
それはさておき……要するに、お前を始末すればお終いってことよね。
やるべき事は一つだけ。いつも通りシンプルな一本道よ。
瀕死になったら実質復活してしまう
ならば瀕死にするまでもなくこの世界から「除外」するまでよ
【埋葬】発動
敵を「怪力」任せに捕縛しつつ、床を震脚で踏み砕き穴を開ける
後はその穴に全身突っ込んで瓦礫で埋めるだけ
捕縛する際は力ずくとはいえなるべくダメージにならないよう丁寧にやって、相手コードの発動は阻止したいところね、面倒くさいし
私が来た時点で、難易度は既に|Lunatic《超高難易度》。
コンティニューの選択肢自体、出させると思って?
●選択なんてさせない
そして最後に戦うのも二人だった。
荒谷・つかさが片手を握ったり開いたりし、感触を思い出す。
「不思議な感覚……通常攻撃無効は伊達ではない、か」
カットスローターズとの戦いで得た感覚。
知らない世界の知らない力、人の対話を阻んだバベルの塔が如き何かが因果の鎖となっていたのだろう。
「それはさておき……要するに、お前を始末すればお終いってことよね」
視線の先にはせんたくしと無限の迷路。
「やるべき事は一つだけ。いつも通りシンプルな一本道よ」
そのために「彼」は先に行ったのだから。
迷宮の壁を叩き、御鏡・幸四郎は思案する。
「やはり問題に正解する以外に道は無さそうですね」
つかさを置いて先に進んで正解だったと判断せざる終えない。
このユーベルコードを破壊しようものなら、『縫村委員会』も崩壊する。
その余波がどうなるか分からない以上。
「問題はセンタクシの攻撃方法ですが……」
分岐路に立て看板一つ。
『どちらが正しい?』
ガンナイフの予備パーツを一方の道へ投げると部品が爆発する。
「やはり回答を間違えるとダメージが来る類い」
ダメージと見えないゴールで心を砕くユーベルコードなのだろう。
ならば解を得るまで――歩くのみ。
幸四郎は通路へと歩を進めた。
時には矢、時には炎、そして雷撃。
間違えれば何かが襲ってくる。
「ぐっ」
身を案じたスケルトンである姉が近寄れば、幸四郎はそれを腕で制する。
――設問の狙い。答えさせたい回答。引っ掛けの傾向。
「いわば、相手の思考を読み取る――そうシミュレーション」
少しずつだが見えて来るせんたくしというオブリビオン。
選択を促し、強制し、奪い取り、殺す。
だからこそ――見えるのだ。
|Detective recipe《推理へ至る手順》が
もう迷う事はない。
迷宮を抜けた探偵騎士がガンナイフを右手に持ち駆け出す。
「こうも早く突破されるとは思いませんでしたか?」
「じゃあ、つぎの選択肢だ」
オブリビオンが提示しようとした選択肢を。
「いいえ、今度はこちらからです――あなたを倒すのは私と姉のどちらでしょう?」
せんたくしが見上げれば、スケルトンが日本刀を握る。
「……答えは二人で、です」
幸四郎の言葉通り、オブリビオンは前後から刺し貫かれた。
だがせんたくしは右腕を上げて抗う。
|悪魔の継続《デビルコンティニュー》
コンティニューにより、新たにリスボーンされたオブリビオン。
「それを待っていたわ!」
開けた道を突き進んだつかさの掌。
それがせんたくしの顔を掴んだ。
「ゲームならマナー違反だけれども、先にマナー違反しているのはそっちだもの」
人外鬼極の膂力がオブリビオンを片手で捕獲し、大地を蹴り抜く。
瀕死になったら実質復活してしまうのなら――この世界から「除外」するまで!
蹴り抜いた大地が床と『縫村委員会』の結界をぶち抜き、深き海へとつなぐ。
「私が来た時点で、難易度は既に|Lunatic《超高難易度》」
海への道にせんたくしを放り込めば、後は両手で一撃!
周辺の床が崩壊し、穴が埋まる。
上が塞がれば、後は下がるのみ――骸の海という底へと
|埋葬《インターメント》されるしかないのだ!
「コンティニューの選択肢自体、出させると思って?」
つかさの問いに答える者は居ない。
もう既に骸の海へと還ったのだから。
選択などさせない。
だからこそ猟兵は勝ち。
カットスローターズの目論見はここに消えた。
戦いは終わり、そしてまた――始まる!
大成功
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