アンサズ・グレート・ウォー[所属不明機撃墜]
●2024年7月1日 アンサズ地方
7月。多くにとって突然に、それは起こった。
正体不明の存在「ザ・スター」の襲来。各国の諜報機関はその由来を探したが、何一つ情報を掴むことは出来なかった。そして、その「ザ・スター」はごく短い声明文を発する。
「世界全てのプラントを破壊する。Reminiscence the World, people.」
それは、全てのクロムキャバリア世界に住む者への、明確な宣戦布告であった。
プラントを破壊されれば、各国は多かれ少なかれ、依って立つエネルギー・資源基盤を大きく揺るがされることとなる。
多くの政府と企業はそれぞれの利益追求を放りだし、狂気の超常存在「ファーストヒーロー」の尖兵に対することを余儀なくされ、人々は覚束ない頭上に初めて気づいたかのように、それを恐怖するしか無かった。
●同日 17:00 アンサズ地方アークライト自治領 アルタイルシティ アンサズ連合先進7ヶ国臨時首脳会談
アンサズ連合の「G7」──アークライト自治領、ウィルバー連合王国、エルディスタン連邦共和国、桜蘭市国、ガイアス大公国、オデュッセイア共和国、そしてルーチェ連邦の各国首脳は、アークライト自治領のアンサズ連合本部に集まっていた。さらに、安全保障理事会、及び|アンサズ連合治安維持軍《AUPF》の代表として、各PMSCsの最高経営責任者たちも集まる。議題はこの未曾有の事態、全世界のプラントを破壊すると嘯く「ザ・スター」への対応策だ。
「現在、ザ・スターは高高度にて静止。ルーチェ連邦メサイアクレーターの直上にある」
「領空侵犯で撃墜しようにも奴の得体が知れん。プラントを破壊すると言い出している件は真実なのか」
「こちらを御覧ください」
アークライト自治領のサンプソン総督の報告を受け、当事国であるルーチェ連邦のブルーノ大統領は頭を抱えた。思わずこれが虚構ではないか、という一縷の望みにかけるものの、それを無慈悲に打ち砕くのがグリモア猟兵にしてイェーガー・ミリタリー&セキュリティ社の取締役、ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/Mechanized Michael・f29697)が見せた映像であった。
「御覧頂いている予測映像の通りです。このアンサズ地方で稼働状態にあるプラント全てが破壊されます」
映像内では、ザ・スターが天より大量のキャバリアを呼び出し、一斉攻撃を仕掛ける様子が映し出された。炎の中に沈むのはアンサズ地方最古のプラントであり、アークライト自治領に位置する「ベガ」。それ以降も、各地のプラントが群がるキャバリアを前に成すすべもなく破壊される。
さらに自身も既存のキャバリアを凌駕する性能を発揮するオブリビオンマシンに搭乗しており、迎撃するAUPFのキャバリアを容赦なく撃墜する。ワートホグ隊、アークトゥルス隊、フラッグ・フォース、「ルーチェの聖女」、桜蘭市国の鉄騎機動隊や防衛軍第1小隊といった、アンサズ連合の名だたるトップエースまでもがザ・スターの乗機ただ1機の前に徹底的に撃墜され、壊滅状態に陥る。グリモアが予知する破局の光景が映し出され、首脳陣は全員息を呑んだ。
「だが待て、それだけ高速で移動するとなると殲禍炎剣が反応するだろう」
「昨年の大規模軍事演習において行われた実験でも証明済みだったな。潜水艦から放った弾道ミサイルを見事に撃墜し、あまつさえ射出元となった遠隔操作の無人潜水艦すらも正確に撃沈せしめた……高い感知力を持つあの暴走衛星の目をどう誤魔化したというのだ」
ウィルバー連合王国のオーランド首相の指摘に、エルディスタンのアダムスキー大統領が頷く。と、映像を注視していたガイアス大公国のヴィルヘルム大公が何かに気づいたように映像の一点を指さした。
「これを見ろ。奴め、殲禍炎剣の砲撃を吸収し無力化している……!」
ヴィルヘルム大公の言葉通り、ザ・スターの機体は殲禍炎剣から襲い来る幾筋ものレーザーを全て吸収し無力化。それだけではない。その後のマニューバや攻撃の出力が明らかに向上していたのだ。
「化け物め……」
その様子を見た桜蘭市国のPMSC、エムセック社の百目鬼社長がぎりっ、と奥歯を噛んで呟く。その言葉はこの場にいる全員の感情を代弁していた。
会議が進む中、ガイアス大公国のヴィルヘルム大公は別件の緊急連絡が入りサミットを途中離脱。加えてさらなる急報が入る。ラスタニア民主共和国、ホウライ人民共和国、アルバリア首長国などの一部の中小国家がアンサズ連合からの脱退を表明し『ヴェクタ条約機構』を結成。いずれも過去にNPO「ミリタリーレスキュー」からの離反を表明した国家だった。ザ・スターが引き起こした混乱に乗じて、アンサズ連合の国家体制に反旗を翻す勢力が出現したのである。
平和を実現したアンサズ連合体勢は今、内外の危機によってその根底を揺るがされつつあった──。
●ザ・スターを撃墜せよ
「ミッションを説明しましょう」
グリモアベースにて緊急の依頼を公示したジェイミィ。彼の声色にはいつもの余裕は消え失せていた。
「依頼主はアンサズ連合安全保障理事会。目的はオブリビオン『ザ・スター』が搭乗する国籍不明機の撃墜です」
国籍不明機の正体はオブリビオンマシン「レミニセンス・エニグマ」。ヒーローズアースより界渡りを果たしたザ・スターのユーベルコードを遺憾なく発揮させるのみならず、キャバリア単体の性能も非常に高い。スクリーン上に映し出されたスペックノートを見た猟兵の中にはその性能に目を見開くものもいた。
「ザ・スターは全プラントの破壊を企図する趣旨の声明を発信。事実上のアンサズ連合への宣戦布告です。また、この混乱に乗じて、アンサズ地方では2件の大規模O事案が発生。全てに対処せねばなりません」
故に今回の事態に関する依頼は3つとなる。どの依頼に参加するかは個々の猟兵の判断に委ねられる。ジェイミィが公示する依頼はザ・スターへの直接対処だ。
「敵は成層圏に位置しており、ヘリや飛行船などでは到達不能です。そこで、今回はBradyback's Worksが開発・製造した|単段式宇宙輸送機《SSTO》を利用し成層圏を目指します。まず、地上でイェーガー社のメカニカルスタッフにより高高度戦闘を行うための改修を受けてください。イェーガー社整備班長のアンドリューさんから改修内容の詳細説明があります」
もちろん自前の手段があるならばそちらを用いても構わない、とジェイミィは付け加える。
「SSTOで上空に上がってからは、付近に展開する敵機を排除し、レミニセンス・エニグマを撃墜してください。空気の薄い成層圏のため、空力特性が地上付近と大きく異なる点に注意が必要です。また、レミニセンス・エニグマの装甲は防御呪術文字が刻印されており、装甲材質以上の防御力を誇ります。この特殊装甲を突破する工夫も必要でしょう」
なお、SSTOは帰還手段でもある。つまり、当然ながらSSTOの護衛も今回の作戦において求められる。打ち上げのみは地上戦力が援護するが、それ以降は猟兵達自身で守り抜かねばならないのだ。
「難度の高いミッションですが、よろしくお願いいたします」
ジェイミィはブリーフィングを終え、端末を操作する。時ならぬ戦乱の坩堝に叩き込まれたアンサズ地方へ続くポータルが開いた。
バートレット
どうも、バートレットです。
異世界の敵襲来。しかし当然私がそれだけで終わらすわけがない。ザ・スターという異物によってアンサズ地方はいきなり動乱の只中に叩き込まれました。3つの事件を解決に導きましょう。
今作のシナリオですが、同時に「アンサズ・グレート・ウォー」と名のついた3つのシナリオが並行して動きます。そのため、原則として1つシナリオを選んだ場合、他のシナリオへの参加はできません。ただし、うちひとつの章が進んだ、あるいは完結した場合、まだ進行中のシナリオに参加することが可能です。その場合、「◯◯の事件が解決し、その後援護のために向かった」という形になります。
当シナリオはザ・スターとの直接対決が主題です。グリモア猟兵が用意したSSTOによって高硬度の戦場まで移動することが可能です。ただしSSTOは現状今回限りの運用となりますのでご注意ください。
第1章では、SSTOへの積み込みと、高高度戦闘のためのキャバリア改修を行います。具体的な改修内容は断章にて説明します。以下、当シナリオにおける各選択肢の扱いです。
POW:自分で高高度戦闘のための装備を新造する。
SPD:自前の装備の中で高高度戦闘に使用可能なものを選定する。
WIZ:イェーガー社メカニカルスタッフの手で、Bradyback's Works製の空間戦キットを装着してもらう
第2章ではSSTOを守りながら、周囲に展開するオブリビオンマシン群を撃破します。詳細は断章にて説明します。
第3章はザ・スターが搭乗するオブリビオンマシン「レミニセンス・エニグマ」との戦いです。詳細は断章にて説明します。
本シナリオはクロムキャバリア世界アンサズ地方を舞台としたシナリオとなります。アンサズ地方では猟兵の支援組織である「イェーガー・ミリタリー&セキュリティ社」(イェーガー社)というPMSC(民間軍事会社)のバックアップを受けて活動します。キャバリアのレンタルや整備・補給などのサービスをイェーガー社から受けることができるため、必要に応じて活用してください。
今回はすべての章で断章をご用意しております。詳細は断章で説明しますので、プレイング投稿は断章公開後にお願いいたします。プレイング募集状況はタグをご確認ください。また、諸注意はMSページからご確認いただければと思います。
それでは、皆様のアツいプレイングをお待ちしております!
第1章 日常
『空中戦に備えろ!』
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POW : 徹夜で空中戦用の機体や装備を開発する
SPD : 既にある技術を応用し、飛行手段を編み出す
WIZ : 幻の「飛行機技士」を探し出し、助力を頼む
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●高高度戦闘への備え
「来たな! 時間が惜しい、早速だがお前らのキャバリアを飛ばすための改修を始める!」
Bradyback's Worksのキャバリアドックで、イェーガー社のメカニックスタッフのまとめ役であるアンドリュー・"ドリュー"・クローバーが出迎える。
「まず、これは全てのキャバリアに共通で行う改修だ。今回お前らが向かうのは高度約14kmの成層圏で、空気が薄く気温も低い環境下となる。だから、そいつに耐えられるように機体を改修する」
具体的には機内の空調設備の搭載、そして呼吸困難な状況に備えた酸素マスク機能の追加である。また、計器類にも外付けの高度計を搭載したり、3次元レーダーを搭載したりするなど、空間戦向けの改修が行われる。
「次に、飛行能力のないキャバリアに対してはジェイミィから空間戦キットの提供を受けている。こいつを機体に装着させる。大型のバックパックで、4枚の主翼の空力効果と背面の大型バーニアで飛行が可能だ。エンジンは独立しているが、キャバリア側の主機とのカスケード接続も少しいじれば可能だ。エンジン出力に余裕があるやつはカスケード接続も試してみると良い。バーニアの出力が上がるはずだ」
ドリューが指し示した先には、大型のバックパックがあった。4枚の大型ウイングユニットと、4基の大型バーニアが特徴的で、推進力と空力性能によってキャバリアを「飛ばす」ことが可能となる。中央部にはエンジンが搭載されていて、キャバリア本体のエンジンとのカスケード接続によって出力を自乗化させることもできるようになっている。飛行能力のないキャバリアも、これで飛行可能となるだろう。
「それと、自分で新しく装備を作りたいと考えている奴にはそこのドックに必要な資材と各種工具・工作機械を用意してある。CADソフトウェアの入った端末もあるから、ゼロから作りたい酔狂な奴がもしいるならこの場で新たに装備を作っていってくれ。使用した資材の代金と工作機械のレンタル代はジェイミィが報酬から天引きするらしいが」
続いてドリューが紹介したのは自作派の猟兵向けに用意されているドックそのものだった。この場で新たに装備を設計して装着することも不可能ではない。もちろん、一人で難しい場合はイェーガー社のメカニカルスタッフたちの手を借りることも可能だ。
「全て終わったら、SSTOのペイロードに積み込みを行う! SSTOの打ち上げは今から18時間後だ、それまでに準備を終わらせて乗り込んでおくように!」
Bradyback's Worksの敷地のド真ん中にそびえ立つSSTO。垂直で打ち上げられ、成層圏で水平飛行に移行してザ・スターの下へと向かう。まずは飛行手段の確保が最優先だ。猟兵たちは各々準備を始めるのだった。
久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎
なんか大変なことになってるな。でもまぁスターとはそろそろ腐れ縁だ。こっちの戦場は任せてもらうぜ
高高度での[空中戦]、スター本体やエニグマとの交戦も既にこなしている[戦闘知識]を基に
元々空中戦適性がある巨神レヴィアラクスを高高度空中戦仕様に調整をかけていく
ラクスやイェーガー社のスタッフにも手伝ってもらうぜ
さらに[メカニック]技術を駆使してエナジー・ゲートの観測機器も併せて搭載してもらう
後々のためにあれの情報は少しでも集めておきたいからな
▼ラクス
巨神が平時使用している少女型のコミュニケーション端末
ですます口調で話す
●より高く
「なんか大変なことになってるな」
初めて訪れるアンサズ地方。だが、久遠寺・遥翔(焔の機神イグニシオン/『黒鋼』の騎士・f01190)はかつてこの地に極めて近似した場所を訪れていた。猟書家「鈎爪の男」がアイスエイジクイーンとあるグリモア猟兵の暴走に巻き込まれた結果引き起こされた大惨事の後始末に駆り出された際に、侵略蔵書がアリスラビリンスの「アイスの国」をアンサズ地方の「桜嵐市国」を再現した空間に書き換えてしまった一件である。
当時のことは正直忘れたいが、その時の鈎爪の男が言った言葉が引っかかる。
──桜嵐市国なんぞそもそも再現するつもりはなかった。あそこはクロムキャバリア世界においては珍しく『平和ボケ』した国家だからな。
「平和ボケのはずが、急転直下──ってところか」
ザ・スターの襲来により、テロリズムの脅威こそあれ概ね平和を謳歌していたアンサズ地方は今や戦禍の坩堝と化す寸前だ。であれば、ザ・スターを倒し、少なくとも頭上の災禍を払うのが自分の役目と遥翔は認識する。
「スターとはそろそろ腐れ縁だしな。こっちの戦場は俺達の領分だ」
すでに他地域にも出現したザ・スターとレミニセンス・エニグマとの戦いを経て、経験値は充分に溜まっている。そのノウハウを活かせば、改修の狙いを絞り込むことも不可能ではないのだ。
「さて……今回の高度はどれくらいだっけか?」
「成層圏、高度14000m。オゾン濃度は薄いですが酸素も相応に薄くなります。気圧の変化にも注意が必要かと」
遥翔の問いに答えるのは巨神レヴィアラクスの対人コミュニケーション端末、ラクスである。その言葉にふむ、と遥翔は考え込む。
「機体への与圧はやめておこう。敵さんも一定の高度を保って戦闘するわけじゃない。急降下、急上昇で外圧もたやすく変化する。機体内部を下手に与圧すると待っているのは空中分解だ」
「ではパイロットの安全は」
「|陽王鎧装《ソルレガリア》でなんとかするさ。低気圧環境含むあらゆる環境に適応できる。暖も取れるしな」
内装に関しては最低限の改修で済ませ、外装についてもいくつかの出力調整とパーツの入れ替えを行う。高高度における長時間の飛行が予想されるため、燃焼効率の高さが求められるためだ。外装の装着についてはイェーガー社のメカニックスタッフの手も借りた。細かい微調整は専門家の職人技が頼りになる。
「よし、テスト噴射行くぞ! 安全確保よーし! 3……2……1……噴射!」
微調整後のバーニアのテスト噴射の結果は良好だ。これまで以上の馬力が出ている。いくつかのパーツを最新化しただけでもかなり変わるものだ、と遥翔は感心しきりであった。
「後は……これか」
改修も終盤に差し掛かる頃に、遥翔は頭部の各種センサーが搭載されている部位の拡張スロットに、ひとつセンサーを追加する。空戦キットやイェーガー社が用意した予備パーツの中にはない、遥翔独自のパーツだった。想定していた工程に無かったものが組み込まれているのを見たドリューは目を丸くする。
「ん、そいつは?」
「あぁ、ザ・スターが展開する「エナジー・ゲート」の観測に使う専用センサーだ。後々のためにあれの情報は少しでも集めておきたいからな」
「ふーむ。俺に言わせりゃアレは真似できんと思うがなぁ」
「幽霊の正体見たり枯れ尾花って言うだろ。タネを暴けば案外現有技術で実現可能なもんかも知れない」
ふーむ、と首を傾げながらも、センサーの微調整はドリューが上手く仕上げてくれた。ラクスも一通り作業が終わったのか、コンソールを閉じる。
「新型パーツのドライバー、インストール完了です。積み込み準備に移りましょう」
「OK、SSTOだから自力での上昇をしなくていいのはありがたいな」
打ち上げまで時間はまだある。積み込み前の最終点検を遥翔とラクスは予断なく行うのだった。より高く、より遠くへと向かうために。
大成功
🔵🔵🔵
イン・フナリア
こっちの世界も大変なんだねぇ
私みたいな淫魔でも参加させてもらえるかなぁ
キャバリアとかなくても飛んで戦えるから、お役に立てると思うんだけど
息ができないくらいの高さまで行くんだよねぇ
それなら宇宙服みたいなのが必要ってことかぁ
報酬から天引きで良いから、そういうのを作ってくれる人に、一番良い服を頼むよ
薄くて軽くて動き易くて暑くない、なるべく裸と変わらないくらいの着用感だと助かるねぇ
繰り返し使っても大丈夫なやつだと最高だけど、短い時間でお願いしちゃうんだし、使い捨てでも全然構わないよ
作ってもらってる間は暇だし、荷物の積み込み手伝おうかなぁ
こう見えて力持ちなんだから、遠慮せず任せてねぇ
●科学の力
「こっちの世界も大変なんだねぇ」
慌ただしい雰囲気の中のんびりとやってくるのはイン・フナリア(蘚淫魔・f43874)。淫魔のダークネスである。猟兵になって日が浅く、キャバリアは馴染みがない。当然自分のキャバリアもなく操縦方法もよくわかっていない状態であった。
「おい嬢ちゃん、そんな薄着だと風邪引くぞ」
「あぁお構いなく、体質みたいなものだからねぇ」
見かねたドリューが声をかけると、インは気にするなとばかりに手を振る。
「暑さに敏感でねぇ。後体に何か纏っているってのを感じるとどうにも違和感があっていけない」
「あぁ、それなら確か良いのがあったと思う。ファティマ!」
ドリューが話を聞いてぽんと思いつくと、近くで作業をしていた女性のメカニカルスタッフを呼んでくる。
「呼んだかい?」
「この嬢ちゃんにアレ渡してやってくれ。アークライトとガイアスで共同開発してたスーツ」
「あー、例のボディスーツか! ちょっと待ってな!」
「ボディスーツ?」
ファティマと呼ばれた女性メカニックは一旦倉庫の奥に引っ込むと、すぐに戻って来る。手にはラバースーツのようなものがあった。
「こいつを試してみるか。ちょっと丈合わせるよ」
一旦奥に連れて行かれると、身長や腕、股下の長さを確認。それを元に、なんとラバースーツを情報端末につないでデータを入力した。
「アジャスト機能がついていてね。こいつでどんな丈でも伸縮自在ってわけだ」
できた、と言われて渡されるも、パッと見たところ先ほどと大きさは一緒だ。半信半疑の状態でボディスーツを着てみるが、当然ながらブカブカの状態だった。
「……ここからどうするんだい?」
「手首に『adjust』って書かれてるスイッチあるだろ? 押してみな」
ファティマに促されてスイッチを探す。そのスイッチを押すと、インは突然ボディスーツが「消えた」ように感じた。いや、実際には消えていない。確かにボディスーツを身にまとっているが、着用感が無いほどぴったりとフィットしているのだ。
「これは……不思議な感覚だねぇ」
「キャバリア乗り向けの次世代パイロットスーツだよ。特殊アラミド繊維とポリカーボネート、それと特殊ゴムにナノマシンを合成した特殊素材で作られているから、防弾・防刃機能はもちろん、ありとあらゆる環境での生命維持も可能だ」
「ってことは……空でも安心かな?」
「もちろん。成層圏でもラクラク活動できるだろうね」
「気に入った!」
まさかここまで自分向けのスーツがあるとは思わなかった。見た目よりも遥かに頑丈で、破れることも無いらしい。今後の事も考えて、代金を報酬から天引きして貰う形で買い取ることも検討するのだった。
その後、特にやることもないインは早速スーツの慣らしがてら物資の積み込みを手伝う。見た目よりも高い膂力を持つ彼女は運搬作業も軽々こなす。だが、そんな彼女もこころなしかいつもより重いものを持ち上げるのが楽に感じた。
「……このスーツ、もしかして」
「関節部分にナノマシンで形成されたアクチュエータも入ってるからパワーアシストもできるねぇ」
「……科学の力ってすごいなぁ」
通りがかったファティマがニヤニヤしながら教えてくれたのを聞いて、思わず嘆息する。これは末永く大事に使う必要がありそうだ。
大成功
🔵🔵🔵
カグヤ・アルトニウス
○ホワイト・レクイエム
ホワイト・レクイエムは機体の周囲に内側と外側の両方の位相を制御する力場を発生させてその力を使い、念動力の要領で機体の位置を変更する事で見かけ上「飛行している」事にする「全領域戦闘用キャバリア」なのでこの領域での戦闘も特に問題は無いですね
ただ、今回の問題は地上側が空中戦の経験が無い故に「地図が無い」のでその準備に取り組む事となります。
(行動)
ひとまず、イェーガー社には原点を示すレーダーを用意して貰い、さらに行動可能範囲と作戦の手順を相談しておきます
そこで、私は直接地上からSSTOを追いかけて出撃して敵迎撃機を発見し次第迎撃に上がり、後続が出撃する迄の時間を稼ぐ事を伝えます。
●成層圏という名のフロンティア
カグヤ・アルトニウス(とある辺境の|私掠宇宙海賊《プライベーティア》・f04065)にとって、今回の作戦参加にあたっては課題がはっきりと見えていた。彼の愛機「ホワイト・レクイエム」は機体の周囲に内側と外側の両方の位相を制御する力場を発生させ、念動力の要領で機体の位置を変更することが可能。即ち、飛んだり浮いたりするのではなく、空中に「置く」ことが可能なキャバリアなのだ。
「なるほど? ってことは横移動も力場のベクトルを変えて空中で『滑らせる』から飛んでるのと一緒か」
「擬似的にではありますけどね。元々宇宙で活動することを想定した機体ですので成層圏でも問題ないかと」
で、あれば空中での活動自体は問題がない。となれば、残る課題はただ一つ。
「つまり……『土地勘』だよな、変な話だが」
「えぇ。地図が存在しない以上相対位置を頼りに戦うことになりますね」
クロムキャバリアにおいては「マップデータ」をあらかじめ用意し、そこに敵味方のキャバリアに搭載されたトランスポンダより発信される信号や、レーダーやソナーの反射波を元に彼我の機体や障害物の位置情報をプロットする。こうして索敵を行うことが可能となるわけだが、今回のケースではそのセオリーが通用しない。空中のマップデータなど存在しないからだ。
これを解決する策として、地上の作戦指揮所にひとつ、SSTOにひとつ、それぞれ位置情報をプロットする広域3次元レーダーを用意することとなった。基本的にSSTO側からはあまり遠くへ離れることは出来ない。せいぜい半径5km以内で戦うしか無いだろう。つまり作戦領域はSSTOを中心とした半径5kmの円内ということになる。一方で地上のレーダーは作戦指揮所を原点としつつ、アンサズ地方各国のレーダーサイトとデータリンクするためかなりの範囲をカバー可能となる。これでSSTOの現在位置を含め、ある程度の位置関係を把握することが可能となるのだ。
「SSTO打ち上げ後、こちらはSSTOの後方から追いかけます。敵が出現した場合に即応体制に移行できる機体が少なくとも1機は必要になるでしょう。それをこちらで引き受けます。初動が遅れるとそれだけSSTOが危機に晒されますから」
「了解した。機体性能的にも問題はないか。SSTOを経由してそちらの位置も把握できるようにしておこう」
作戦指揮を務めるイェーガー社社長のアイアンズはその情報を聞いて深く頷く。成層圏という、クロムキャバリアにおける「未開の領域」への挑戦はかくして始まろうとしていたのだ。その先導を務めるのは、宇宙を知るカグヤこそが相応しいだろう。
大成功
🔵🔵🔵
シル・ウィンディア
高高度の空中戦…。
はぁ、なんてときめく響き…。
リーゼ、張り切っていっちゃおうねっ♪
行くためには準備が必要だよね。
ふむふむ、今までの計器とはまた違ったものかな?
せっかくだから、計器類はアップデートさせてもらおうかな?
ふむ、新装備はときめくけど…。
今のところは「アジュール・リュミエール」で大丈夫だね。
実際に高高度の空戦してから考えるのも手だしね。
あとは、OSをいじって…。
ね、アンドリューさん、この子(ブルー・リーゼ)の空戦データって使える?お役にたてることができるなら使ってもらっていいよ。
後は、装備の点検だね。
腰部スラスター兼キャノン、ロングビームライフルも推力器だからそこも気にしないとね。
メンカル・プルモーサ
…ふむ…まさかこの世界で空中戦とはね…
…私の試作型術式騎兵【ツィルニトラ】は試作だけに拡張性は高いんだけど整備性がなー…そもそもこれキャバリアじゃ無くてガジェットだから色々と勝手が違ってね…
…ひとまず必要な物を確認して…酸素マスクや空調設備は環境保護術式を付与すれば良いかな…
…三次元レーダーや空戦用大型バックパックは一応機能あるけどこっちの方が性能良さそうだな…
設計図ある…?あるなら見せて貰って…ガジェット用に引き直して…【何時か辿る絡繰の夢】で実体化…装着しよう…
…ついでに手持ちで使えるキャバリア用の武器からサイズの合うライフルを見繕うとするか…実体弾ならツィルニトラにも使えるだろう…
●空戦データの応用
「リーゼ、張り切っていっちゃおうねっ♪」
シル・ウィンディア(青き流星の魔女・f03964)にとっては、「高高度における空中戦」というのが非常に魅力的な響きを持った言葉に聞こえたのである。愛機のレゼール・ブルー・リーゼは実際の所、高高度での戦闘にも耐えられると改修を担当したメカニックからも太鼓判を押されていた。
その一方でふーむ、と中空に浮かぶARウィンドウを眺めながら唸る電脳魔術の使い手が一人。メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)である。
「私の試作型術式騎兵『ツィルニトラ』は試作だけに拡張性は高いんだけど整備性がなー……そもそもこれキャバリアじゃ無くてガジェットだから色々と勝手が違ってね……」
そう、彼女がキャバリア代わりに利用しているツィルニトラはそもそもキャバリアではない。即ちキャバリア向けの規格に合わせたパーツとの互換性が一切存在しないのだ。
「ひとまず必要なものか……酸素マスクとか空調設備は環境保護術式を付与すれば良いかな……」
「こっちも精霊魔術があるからそれでなんとかなりそうかな」
パイロットの環境変化に対する保護についてはそれぞれが自前の魔術でなんとかできるため、これはクリア。そのため手を加える必要があったのがレーダーである。
「ふむふむ、今までの計器とはまた違ったものかな?」
「三次元レーダーとかだね……高度とかも表示されるから空中戦やるなら必須……ここまでの高度で戦闘するとなると上下反転した時に基準になる目印が目視で確認できないからそういうメーターもほしいね……」
「なるほどねぇ。それならせっかくだし、計器類はアップデートさせてもらおうかな」
メンカルの助言を受けて、シルは計器類をつけかえることを選択。一方ハードウェアはそのまま手を加えずとした。「アジュール・リュミエール」は高高度での戦闘も想定済みだからである。
「そうなると課題はこっちかなー……空戦用大型バックパックは一応機能あるけどこっちの方が性能良さそうなんだよな……設計図貰って引き直すか……」
「そう思ってお前さんに渡すものがある」
ドリューが渡したのは空専用大型バックパックのCADデータであった。メンカルのような猟兵のためにあらかじめ用意されていたのである。
「準備が良くて助かるよ……」
「あ、それなら|この子《ブルー・リーゼ》の空戦データって使える?お役にたてることができるなら使ってもらっていいよ」
「ありがたい……参考にさせてもらおう……」
ブルー・リーゼの空戦データも盛り込まれ、より空中戦に特化した改造を施されたツィルニトラ。かくして2人の魔女は空戦への備えを万全な形にしたのである。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴィンデ・ノインテザルグ
【WIZ】
過去に恩が在るガイアス大公国の戦況が気になりながらも
現状の最たる脅威と認定した「ザ・スター」の撃墜作戦に参加。
改修の現場に赴き、作業中の搭乗を提案。
Fireflyは私がコクピットにいない場合一切作動しない。
目障りかもしれないが、置物とでも想って続けてくれ。
…そうだな、カスケード接続を試して貰って構わない。
元より私は…この機体は。
|殲禍炎剣《ホーリー・グレイル》の破壊を目標に創られた。
故にリミッターを外せば
成層圏内での戦闘や外圧にも耐えうるだろう。
…片道切符?
無論だ。使徒は神の意志により殉ずる。
貴官にはFireflyに往路の切符を授けて欲しい。
地上にはまだ戦場と、相棒が待っているんだ。
●往路
「乗ったまま改修しろって?」
「あぁ、Fireflyは私がコクピットにいない場合一切作動しない。目障りかもしれないが、置物とでも想って続けてくれ」
ドリューが素っ頓狂な声を上げ、ヴィンデ・ノインテザルグ(Glühwurm・f41646)は静かに答えた。ヴィンデは縁があるガイアス大公国の現状も気にならないではなかったが、やはり現状最も優先して対処すべき脅威はザ・スターと判断する。地上の敵勢力を排除しても、プラントの完全破壊を企図するザ・スターが野放しでは、結局アンサズ地方が壊滅しかねないからだ。
「ずいぶんと難儀な機体だな……まぁいい、そういう機体を整備した経験も無いわけでは無いからな。よし、任せろ」
ドリューは頭を掻きながらやれやれ、と呟き、整備チームに指示を出す。空間戦キットの取付作業が始まった。
「カスケード接続はどうする。見た所機体とパイロットの生体接続機構もある、負担は計算に入れた方が良いが」
「……そうだな、もちろん試してもらって構わない」
エンジンのカスケード接続については了承。ドリューが懸念するリスクも承知の上であった。
「元より私は……この機体は、|殲禍炎剣《ホーリー・グレイル》の破壊を目標に創られた。故にリミッターを外せば成層圏内での戦闘や外圧にも耐えうるだろう」
「……そいつは片道切符になるぞ、良いのか」
「無論だ。使徒は神の意志により殉ずる。貴官にはFireflyに往路の切符を授けて欲しい」
頑として譲らないヴィンデに、ドリューは大きくため息をついた。
「まぁそこまで覚悟キマってるなら良いがな、一応言っておく。空間戦OSに加えてパイロットのバイタルチェッカーをインストールしておく。こいつのシグナルがレッドになったら速攻でSSTOに帰投しろ」
「良かろう、一応覚えておこう」
もとより、地上にはまだ戦場と、相棒が待っている。故に決死の覚悟は持つが、死ぬ気はさらさらない。此度の敵はそれほどまでの強敵となるからだ。
かくしてFireflyは翼を手にした。それは、イカロスの翼が如く高く飛翔し、そして同時に脆く危ういものでもあった。
大成功
🔵🔵🔵
クリスティーヌ・エスポワール
【WIZ】
アドリブ歓迎
なるほど、ザ・スターをきっかけに国家情勢が動いてるのね
なら、私はこちらに参加をするわ
一見だから情勢は分からないし、何より私がこいつと決着をつけたいしね
それにしても、敵は随分悠長よね
自信があるんだろうけど
私なら、キャバリアを降下させて基地占拠かミサイルでの破壊を考えるから……ある意味では敵に助けられてるのかもね
さて、改造ね!(工具を手に取りつつ)
私の【ASP-000 ヌヴェル・リュヌ】は跳躍から長時間を脚部の大出力バーニアで滞空してのトップアタックを志向してるけど、ここは好意を受けて空間戦キットを組み込んじゃいましょう
ただ、追加で2つの改造を施すわ
1つは、フライトユニットにパージ機能を設けること
いい性能だけど、一つの装備に飛行を依存するのは危険な可能性があるわ
戦場での破損に備えて、投棄可能にしておきたい
もう1つは、私の機体の空中戦統合システム【エトワール・ブリヨント】の強化ね
脚部バーニア出力を強化して、これ単独でも飛行が可能なようにするわ
プログラムもアップデート!
エドワルダ・ウッドストック
アドリブ連携歓迎
わたくしはザ・スターの攻略に向かいましょう。
この世界のプラントが破壊されれば、多くの民が犠牲になる。
そのような惨劇を引き起こす訳には参りません。
微力ながら加勢いたしますわ!
高高度戦闘も対応可能と太鼓判もいただきましたし、技研製の重装型キャバリア・カナリアを調整してもらいましょう。
SSTOで射出された後も大型スラスターで高速機動が可能なので十分戦えるはずですわ。
ただ、その高度での戦闘はわたくしも未経験ですので、機材や装備の改修は手伝ってもらいます。
機体やわたくしは耐えられても、同伴するペドロが意識喪失しては戦力半減ですもの。
複座式。役割を分担できるのがわたくしたちの強みですわ。
▼ペドロ
ガーター騎士団の一員。剛毅で恐れ知らずな男性。
妖精階梯ではあるが、戦闘ヘリやキャバリアなどの搭乗兵器の操縦に長けている。
一人称は我輩、偉そうなですます口調(です、ですな、ですぞ)
エドワルダのことは副団長や団長代理と呼ぶことが多いが、状況次第でさん付けとかボスとか姐さんと呼ぶ(MS様ごとの個性)
●いざ、成層圏へ
「なるほど、ザ・スターをきっかけに国家情勢が動いてるのね」
クリスティーヌ・エスポワール(廃憶の白百合・f02149)は混沌とした現在の状況をそのように理解した。
G7と呼ばれる先進7ヶ国を中心としたアンサズ連合。プラントに依拠した管理経済とオブリビオンマシンの合法化を謳うヴェクタ条約機構。生存圏拡大のため、地下より地上への侵攻を開始したガイアスのヴァンパイア勢力。そして、全てのプラントの破壊を宣言した異界からの侵略者、「ザ・スター」。
ザ・スターによってアンサズ地方は時ならぬ動乱の渦に叩き込まれた。もっとも、クリスティーヌにとっては未知の地方である。在来の勢力であるヴェクタ条約機構とヴァンパイア陣営との戦いは情勢の理解が不可欠だ。となれば、消去法でザ・スターに当たるのが得策であった。加えて、脅威レベルという意味では全てのプラントの破壊という致命的な影響を齎すザ・スターこそが最も対処すべき敵と言えるだろう。
エドワルダ・ウッドストック(金雀枝の黒太子・f39970)も同様の結論に至った猟兵の一人である。
「この世界のプラントが破壊されれば、多くの民が犠牲になる。そのような惨劇を引き起こす訳には参りません」
もちろんエドワルダも無策ではない。黄金の重装キャバリア「カナリア」は高高度戦闘が十分可能な設計に仕上げてある。開発に携わったSSWのとある敏腕技術者の太鼓判付きだ。ただし、ひとつだけ懸念点があるとするならば。
「それだけの高高度戦闘は経験が無いのです」
「だろうな。アンタら確か獣人戦線世界出身だろ? うちの世界も他所のことをとやかく言えた立場じゃねぇが、そっちの世界の技術だと実用高度は3000m~5000mくらいと聞いている。となれば……うちの大将の実証データの出番ってわけだ」
ドリューが「大将」と呼ぶ男──Bradyback's Worksの店主。彼はクロムキャバリア出身でありながら、スペースシップワールドで「宇宙」を知った身だ。空間戦闘におけるノウハウは豊富に存在しており、そのデータはイェーガー・ミリタリー&セキュリティ社のメカニックチームにも共有されている。彼らにとっては机上の空論に近しいが、実のところ「他世界」で実証済みなのだ。
「見たところその機体は確かに空間戦闘もこなせるだろうが……問題は空間戦闘向きのアビオニクスが無いことだな。OSを入れる必要がある。それと……空気が薄くなるからな。与圧機構と酸素マスクを用意しておく」
「それと、対Gスーツの類があれば1着ご用意できますでしょうか。ペドロが気を失っては大変ですので」
「ブラックアウト現象だな。確かガイアスの生化研の論文があった。今回はかなり激しいマニューバを行うことが予測されるからな、アークライト製のやつを1着渡しておくぞ。あー……丈はがっつりと調整させてもらうが」
ペドロはシカの獣人の中でも「妖精階梯」と呼ばれる部類に入る。よって身体構造もシカのそれに準ずるため、対Gのスーツの類は専用の調整が必要となる。スーツ関連を手掛けるスタッフの手を借りながら、ペドロ用の対Gスーツの用意が進む中、カナリアの調整とOSのインストールは急ピッチで進んでいた。
一方、クリスティーヌの愛機「ASP-000 ヌヴェル・リュヌ」は脚部の大出力バーニアによって空中機動が可能である。しかしながら、今回は敢えて空間戦キットの装着を選ぶ。ひとつの飛行手段に頼りすぎるのは危険だ、という判断であった。
「だから、空間戦キットはパージできるようにする必要があるわね」
「もちろん、エンジントラブルが発生することは十分考えられる。そのために緊急パージ用の爆砕ボルトがジョイント部分に備え付けられている。いざとなればこいつを起動すれば良い」
クリスティーヌの注文に、想定済みだ、と応えるドリュー。ジョイント部分に爆薬が仕込まれており、緊急時にはこの爆薬が起爆することで瞬時にバックパックを投棄できる。
「それならOKね。後は……こっちの強化かしら」
クリスティーヌが視線を移した先には、脚部に装着する空中戦統合システム「エトワール・ブリヨント」があった。単体での飛行を可能とする脚部大型バーニアに放熱器、そしてそれらを制御するアビオニクスからなる装備である。現在の状態でも跳躍や低高度での空中戦は可能だが、高高度となると燃焼効率を上げなければ待っているのは一瞬のガス欠だ。故に出力と燃費を共に向上しなければならない。
「バーニアはそのままとして、伝達系についてはエネルギーのロスを可能な限り低減する素材に切り替えましょうか。天使核エンジンの通常駆動時に発生する余剰エネルギーをコンデンサに蓄積させておけば上昇や加速時にコンデンサのエネルギーをディスチャージして主機への負担を減らせるわね」
もちろんこれをやるにはエネルギー制御系やアビオニクスのアップデートも必要だ。操作感覚もかなり変わるだろう。山のような調整すべき箇所を思うと頭痛がしそうだが、やりがいのある改造となるはずだ。
「それにしても、敵は随分悠長よね。自信があるんだろうけど」
「相手はファースト・ヒーローを名乗る者ですわ。正々堂々と闘うのではなくて?」
「……いや、それならキャバリアを降下させて基地占拠かミサイルでの破壊を考えるわ。正々堂々というスタイルならば、敢えて相手の土俵で闘うことを考えそうね」
エドワルダの指摘に、クリスティーヌは頭を振って否定する。故にこそ、ザ・スターが「空中で待ち構える」という行動には違和感がある。とは言え、ザ・スターの現在の行動に助けられている面があるのも事実だ。上空で猟兵を待ち構える黄金色のキャバリア、「レミニセンス・エニグマ」。猟兵達は彼の元へ向かう手段は各々入手した。SSTOは猟兵たち、そして彼らの愛機を機内に受け入れる準備を整えている。
──決戦の幕は、上がろうとしていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『八八式機航甲冑・大風』
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POW : 焔と燃えて、迫る見よ
【友軍に巻き添え覚悟の支援射撃や砲撃】を降らせる事で、戦場全体が【敵味方関係なく餌食となる地獄の混戦下】と同じ環境に変化する。[敵味方関係なく餌食となる地獄の混戦下]に適応した者の行動成功率が上昇する。
SPD : 玉散る剣、抜きつれて
【肩に装備した防盾によるぶちかまし】が命中した対象に対し、高威力高命中の【太刀による斬撃や刺突】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : 轟裂の音、地を喰み
【サイカ社製120mm滑腔砲】を向けた対象に、【対キャバリア用徹甲弾】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:御崎ゆずるは
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●クロムキャバリアの空
《Ignition sequence start──》
18時間後。
他の戦線でもそれぞれ戦端が開かれ、猟兵たちが各々オブリビオンマシンとの戦闘を開始する最中、ザ・スターへの直接攻撃を企図する部隊もまた、自分たちの戦場へと赴く。SSTOによる成層圏への挑戦が、今始まる。
《5──》
カウントダウンが始まった。主だった地上要員は退避し、発射台に固定されたSSTOを見守る。
《4──》
SSTO内部の猟兵達は各々ハーネスに固定され、打ち上げの時を待つ。
《3──》
未だに佇む黄金の機体、「レミニセンス・エニグマ」。このアンサズ地方のあちらこちらで発生している戦乱は、彼の目にはどう映るのか。
《2──》
そのレミニセンス・エニグマ目掛けてビームを撃ち込まんとする衛星兵器・|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》。エナジー・ゲートに阻まれてその試みは失敗を続けており、さらに空を目指そうとする者に気づけないでいる。
《1──》
SSTOのロケットエンジンが起動し唸りを上げ始めた。猟兵たちと彼らの愛機を乗せ、未知なる戦場へと赴くため翼を広げる。
《0! All engines runnning, rift off! We have rift off!》
管制のアナウンスと共にロケットエンジンのノズルが炎を噴射し大規模な推力で重力への挑戦を始める。SSTOはついに発射台から地面を離れ、凄まじい速度で空中に飛翔。成層圏を目指す。一方で猟兵達は発射に伴う凄まじいGに体がシートに押さえつけられるのを感じつつ、SSTOが飛び始めたことを理解する。
SSTOはロケットエンジンを噴射してある程度の高度に達したところでノズルの向きを調整。SSTOのロケットエンジンの末端部はベクタードノズルとなっており、推進力の向きを調整することが可能となっている。やがてロケットエンジンの燃料が切れ、空になった燃料タンクがパージされる。ここから先はジェットエンジンに動力が切り替わり、水平飛行へと徐々に移行を開始。リフティングボディが揚力を発生させ、成層圏を飛翔する。
《前方に複数の反応を確認。ボギー多数》
《機体データベース照合……アンサズ地方において未確認の機体。滑空砲と太刀型キャバリアソードを確認。自力での航空能力を有しています!》
《マニューバ、リアクター周波数、その他複数の事象からサブジェクトO固有反応検知! 敵機はオブリビオンマシンと認定します!》
イェーガー社のオペレーターが次々に報告を上げる。レーダー情報とカメラによる光学情報が映し出したのは鎧武者のような機体。全てがオブリビオンマシンだ。所属は不明。だが、レミニセンス・エニグマへと向かうSSTOを阻むように現れたところを見るに、確実にレミニセンス・エニグマに呼応して出現したと考えて良い。
《SSTOを撃墜させるわけにはいかん! 第1種戦闘配置! イェーガー社戦闘班所属コントラクターは直ちに出撃、迎撃に当たれ!》
地上で作戦指揮に当たるアイアンズより、イェーガー社戦闘班所属コントラクター──即ち、猟兵に出撃命令が下される。次の瞬間、SSTOのハッチが解放され、猟兵たちの機体が空中へと飛び出していく。
どこにも逃げ場のない成層圏で、ついに猟兵達は戦端を開くのであった。
カグヤ・アルトニウス
〇高度1万4千メートル
普通のジェット機の飛行高度なのでSSTOにはブースターが要らない気がするのですが…敵機を回収する時間は無さそうなので無力化に注力します。
(乗機)
ホワイト・レクイエム
(行動)
当初の予定通り…
まずは、敵の射程迄は【推力移動】で突っ込みつつも【ジャミング】で射撃システムのダウンを狙い、さらに敵周辺に展開したトゥインクル・スターのゲート内のエネルギー砲群による【制圧射撃】で【先制攻撃】を試みます。
あとは、UC発動して【見切り】で攻撃を捌きつつ【瞬間思考力】+【読心術】で戦場を掌握し、ソードオブビクトリーの各モードを駆使した【空中戦】で滑空砲を中心に破壊して無力化を図り突破します。
イン・フナリア
やっぱりこのスーツ、良い感じだねぇ
なんだか新しい扉が開けそうだよ
高い空に飛び込んで戦うの、今までにない解放感だねぇ、昂っちゃうねぇ
これなら【誘惑華園の聖槍】も気持ち良く使えそう、空に出たら早速突撃するよ
敵味方関係なしに撃とうなんて、随分気合の入ってる人達が相手みたいだねぇ
一発でも当たったら挽肉にされちゃうんだろうなぁ、ギリギリを避けて近付かなきゃいけないスリル、たまらないねぇ
キャバリアって頑丈そうだけど、突き刺したら貫くか捩じり切っちゃうか、他のキャバリアにぶつけるとかすれば、壊れるかなぁ
相手はたくさんいるし、今後のためにも色々試してやりやすい壊し方、探してみようかぁ
●高度14000mの戦い
「この高度ならSSTOにはブースターが要らない気がするのですが……」
《その通りなんだが、こいつは実験を兼ねている。将来的にあの暴走衛星がなくなった時、きちんとロケットを飛ばすためのな》
カグヤにとっては無駄に感じた「ロケットエンジンを使用した離陸シークエンス」だが、敢えてこのようにした理由をドリューが答える。そう、何しろ今回は「|殲禍炎剣《ホーリー・グレイル》に邪魔されることなくロケットを飛ばすことができる」千載一遇のチャンスでもあるのだ。その意味では、ザ・スターの到来はある意味では僥幸だった。
従前の作戦通り、カグヤはホワイト・レクイエムをSSTOを追いかける形で出撃させ、機外に常に追従する形で敵襲に備えていた。そこに出現した大量の不明機。護衛1機ならばそのまま押し通れると判断したか、あるいは護衛に気がついていなかったか。いずれにせよ、今は一刻を争う状況。敵機の回収は諦め、撃破に注力する。敵を引き付けるためにダイダロスの出力を上げ、前進。敵陣の只中で電波ジャミングを発生させ、敵FCSの無力化を図る。そして、固まった敵集団のさらにその周囲に展開させた機動兵装システム「トゥインクル・スター」の超空間ゲートよりエネルギー砲の砲撃を開始。機先を制したホワイト・レクイエムの前に、不明機群は何もできずに堕ちていく。
「やっぱりこのスーツ、良い感じだねぇ。なんだか新しい扉が開けそうだよ……っと、もうおっ始まってるね」
カグヤが一足先に戦闘を始めたのを見て、インもSSTOから出撃。キャバリアには乗らず、生身の状態で成層圏の空中に身を躍らせた。
「高い空に飛び込んで戦うの、今までにない解放感だねぇ、昂っちゃうねぇ」
肩慣らし代わりに空中を縦横無尽に飛び回り感覚を確かめると、手にした誘惑華園の聖槍を構えてオブリビオンマシンの群れの中に飛び込んでいく。
「敵味方関係なしに撃とうなんて、随分気合の入ってる人達が相手みたいだねぇ」
「それなんですが、どうも相手は無人機のようです」
「無人機?」
カグヤの言葉に、インは聞き返す。
「人が乗っているわけでは無いんですよ」
「なるほど? 機械が自分で判断して動いているってわけか」
カグヤはすでに戦場となっている空域の状況を掌握していた。読心術を試みた所反応がなく、敵機のマニューバなども確認してAI制御の無人機であることを確認。この情報をインに伝えたのである。
「であれば……敵味方関係なしに撃とうっていう容赦の無さも納得がいく」
ならば容赦の必要なしと、槍を構え、バニラのような甘い香気で全身を包みながら凄まじいスピードで接敵。先程のジャミングを運良く逃れた敵機からの、フレンドリーファイアも辞さないほどの苛烈な攻撃が襲いかかるも、インはこれを全て回避。一発でも当たったら即ち死という極限のスリルが、むしろインの精神を高揚させていく。
「たまらないねぇ」
接敵すると、敵機のうち1機に槍を突き立て、ボディスーツのアクチュエータで強化された膂力によって振り回し、投げ飛ばす。他の敵機にしたたかに衝突した敵機は、ジェネレータを損傷したのか衝突した相手と共に爆散し、空中で花火となって消えていく。
「あまり時間はかけていられません。突破を最優先に行きましょう」
「わかってるよ」
カグヤはインに声をかけつつ、ダイダロスの出力を上昇させて敵の攻撃を見切りつつ、統合兵装「ソードオブビクトリー」の機能をフルに活かして敵武装を無力化。カグヤの言葉通り、現在の最優先目標はザ・スターとその乗機のレミニセンス・エニグマなのだ。ここで時間をかけるわけには行かない。
かくして、アンサズ地方の高高度戦闘は幕を開けたのである。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シル・ウィンディア
空中戦…。クロムの空で本格的なものができるなんてね。
…わくわくするけど、しっかりやることはやりますかっ!
シル・ウィンディア、出ますっ!!
スラスター・ロングビームライフル、カルテットキャノンの腰部スラスターを全開で戦域に突入!
突入しつつ、ビット・バルカン以外の火器を全開放。
一斉発射の範囲攻撃で一気に薙ぎ払うっ!!
撃ちつつ、上下左右前後に機動を行い、翻弄するようにして動くよ。
動きつつ、ユーベルコードの詠唱を開始。
マルチロックして、多数の敵に向ってエレメンタル・ファランクスっ!
扇状に広がるように撃てば、そう簡単には逃げられないでしょっ!!
接近してくる敵がいれば、左手にビームセイバーを抜いて対処っ!
メンカル・プルモーサ
(試作型術式騎兵【ツィルニトラ】に登場)
計器よし、環境保護術式よし、バックパックよし…問題無く空戦出来るみたいだね…
…さて後はどう戦うかだけど…徹甲弾は障壁を張って逸らして…
…現影投射術式【ファンタスマゴリア】でレーダーにも反映されるデコイを作って攪乱…
…その間に重奏強化術式【エコー】で強化した【星を墜とす大地の手】を発動…
…周囲の「八八式機航甲冑・大風」を地面まで叩き落してしまおう…
見た感じ結構装甲も厚いみたいだからね……まともに攻撃するよりもこちらの方が手っ取り早い…
…SSTPの安全確保のためにもさっさと排除してしまおう…
●アンサズの空を翔ける精霊魔術と電脳魔術
「シル・ウィンディア、出ますっ!!」
「メンカル・プルモーサ、出るよ……」
SSTOのハッチから飛び出すレゼール・ブルー・リーゼとツィルニトラ。
「計器よし、環境保護術式よし、バックパックよし……問題無く空戦出来るみたいだね……」
メンカルはツィルニトラのコクピット内部で指差し確認。事前に施した改修と各種術式が問題なく働いていることがわかり満足そうに頷く。
「……さて、後はどう戦うかだけど……」
「もちろん、突っ込んで撃ちまくる!!」
シルがスロットルレバーを全開にしてペダルを踏み込むと、各部スラスターの出力を最大にしたリーゼが敵機の真っ只中に突っ込んでいく。そのまま周囲を包囲しようとする敵機に対して、搭載火器のうちビット・バルカン以外を全て斉射。四方八方へ当たるを幸い撃ち続け、敵からの滑空砲は全て射線を見切って最小限のマニューバで回避。小刻みに動きつつ大威力の射撃を絶えず繰り出し、運悪くその中に囚われたオブリビオンマシンが空中で散華する。
「派手にやるね……それじゃこっちも派手に片付けようか……時間かけすぎるのもなんだし……」
メンカルはまず徹甲弾を防ぐための障壁を展開。敵である「八八式機航甲冑・大風」は装甲がそれなりに厚い。正面からまともに撃ち合えばいずれは撃ち負けてしまうだろう。故に徹甲弾の運動エネルギーを殺す障壁で正面からの撃ち合いを拒否する構えだ。さらに幻影投射術式「ファンタスマゴリア」でレーダーすら欺くデコイを作成、敵の狙いを散らす。先行しているシルの負担もかなり減るだろう。
「とりあえず下準備はこんなところで……シル、一気に片付けるけど撃ち漏らしは任せたよ……」
「はーい! メンカルさんのタイミングでお願いしますっ!」
シルの返答を聞くと、メンカルは術式を編み上げた。重奏強化術式「エコー」の強化を入れ、発動するのは擬似重力術式「星を墜とす大地の手」だ。
「重き力よ、掴め、落とせ。汝は重圧、汝は天墜、魔女が望むは底より出でし昏き腕……本日のアンサズ地方海上の天気は曇り時々オブリビオンマシンの残骸です……」
叩き落されるオブリビオンマシン群。現在はベガシティの沖合上空に位置しているため、八八式機航甲冑は海面に叩きつけられて次々と水柱を上げながら物言わぬ鉄塊に成り果てる。この重力の網から逃れた敵機も中にはいたが、それを逃がすほど猟兵達は甘くない。
「闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ……。我が手に集いて、全てを撃ち抜きし光となれっ!! 逃さないよ!」
リーゼが放つ4属性の魔力砲撃、エレメンタル・ファランクスが逃げ延びたオブリビオンマシンに襲いかかり、空中で光の奔流に飲み込まれて消えていく。なおもこれを掻い潜る敵もリーゼのビームセイバーの斬撃を前に沈み、文字通り片付けられてしまう。
「よし……だいぶ空がきれいになった……」
「このままレミニセンス・エニグマの懐まで……!」
SSTOを守り切り、空を埋め尽くすオブリビオンマシンを一気に落とした精霊魔術師とウィザードは、先を急ぐべく引き続き制空権の確保に務めるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎
真の姿にはまだならない
今回は巨神レヴィアラクスに[騎乗]しての[空中戦]だ
「うぉ、なんかごつい連中だな。よくあれで飛べてるよなぁ」
『装甲は厚そうですが私の武装であれば問題にはなりません。速やかに片づけてしまいましょう』
準備しておいた観測機器でエナジーゲートの観測を開始しつつ戦闘開始
UCを起動、コラプサーライフルを分離状態で通常運用
この空を飛び回り、同時使用可能な念導刃を併用してオールレンジ攻撃による牽制を織り交ぜながら
敵集団をライフルでの[範囲攻撃]で薙ぎ払いつつ、突出した相手をブレードで断ち斬っていく
敵機の動きは[心眼]で捉え[第六感]で察知してしっかりと[見切り]、[残像]を撃たせる形でしっかりと回避する
特に盾を使った突進は優先して回避だ。あれをもらわなければその後の太刀は怖くない
エドワルダ・ウッドストック
アドリブ連携歓迎
ペドロに専用対Gスーツを着てもらって、出撃。
―――凄まじいG、ですわね……!
呼応して集まったオブリビオンマシン。
全て倒してしまえば済む話ですわね!
SSTOから飛び出して、戦闘開始ですわ!
火器系統……荷電粒子砲のエネルギーは、この後のエニグマ戦に温存しましょう。
カナリアは重量級でパワーが豊富とはいえ、補充が容易ではない以上出し惜しみをして損はありません。
なのでここはグラップル。プラズマガントレットで行きますわよ!
UC発動!
アンドリューさんたちが調整した機体、インストールしていただいたOSを活かして、高高度戦闘の空力特性に合わせた轢殺疾走を行います。
予備増槽を搭載しているので、スラスターユニットの出力は出し惜しみませんわ!
大風とやらが、友軍を巻き添えにする無差別攻撃を為されるようですけれど……高圧電流を纏い超高速で飛び回れば混戦だろうと関係ありません。
ペドロに敵味方の機体識別や通信管制を任せることで、わたくしは機体の操縦を行い殴り倒すことに集中できますわ!
失礼、邪魔ですわっ!
●オブリビオンマシンの雲を抜け
打ち上げ直後、エドワルダはこれまで経験したことのないGによって身体がシートに押し付けられるのを感じた。
「―――凄まじいG、ですわね……!」
歯を食いしばってこれに耐えながらも、水平飛行に映るや否や副操縦士のペドロと共にペイロード内に固定された愛機のもとへ向かう。ペドロも専用対Gスーツを着用していたが、慣れないGにやや参っていたようだ。
「いやはや、鳥のように優雅にとは行かぬものですなぁ……」
「わたくし達の世界でも遠からず宇宙開発は始まるでしょう。重力を振り切るためにはこれだけの力が必要なのだということ、そしてそれは体に少なからず負担をかけるものであることを証言する良い機会となるはず」
格納庫にたどり着くと、先行して格納庫にいた遥翔とでくわす。
「おう、エドワルダ。出撃準備か。2人とも大丈夫か?」
「えぇ、どうにか」
高高度に慣れない2人を気遣いつつ、遥翔はレヴィアラクスに搭乗。エドワルダもペドロと共にカナリアに乗り込むと、SSTOのハッチが開いた。出撃すると、目の前に広がる敵機の群れに相対する。
「うぉ、なんかごつい連中だな。よくあれで飛べてるよなぁ」
「見た目よりも装甲が軽い素材でできているのではなくて?」
『いずれにせよ、私の武装であれば問題にはなりません。速やかに片づけてしまいましょう』
索敵結果を確認しつつ、レヴィアラクスとカナリアはそれぞれ敵機を片付け始めた。
「この後のことを考えて、余力は残す必要がありますわ」
「委細承知ですぞ副隊長。接近してくる機体を優先的に狙いましょうぞ」
「それなら、俺達の撃ち漏らしのフォローを頼む。殲滅戦はこっちである程度可能だ」
「お願いしますわね」
コラプサーライフルを分離状態で通常運用するレヴィアラクスが敵機をまとめて殲滅しつつ、生き残りをカナリアがプラズマガントレットで各個撃破。これが3人と1機の基本方針である。レヴィアラクスはライフルの斉射に念導刃を併用し、敵機を減らすことで制空権の確保に注力。ライフルを薙ぎ払うように撃つことで、複数の敵が弾丸に貫かれ空中で散華する。一方で一発で沈まない相手には念導刃が次々と突き刺さっていった。
突出する敵もいるが、そこはレヴィアラクスが瞬時にクエーサーブレイドに切り替えて一刀両断。射撃戦と白兵戦の装備とマニューバを瞬時に切り替えながらの戦いはレヴィアラクスと遥翔が得意とする戦術である。敵の突進は最小限の動きで回避することで、その後の太刀筋も余裕を持って見切る。返す刀で袈裟懸けに斬れば、敵機のフレームを割断する手応えが帰ってきた。
カナリアは、レヴィアラクスではフォローしきれない敵の殲滅となる。ペドロがレーダーで索敵を行いつつ、エドワルダが機体制御を行い急行。空間戦闘向けに調整されたカナリアの調子は良好で、空を駆け回るように軽やかに動く。
「すまん、2機そっちにいった!」
「副隊長殿、10時方向に1機、損傷状態ですが健在! 9時後方にも1機、こっちは無傷ですぞ」
「お任せあれ!」
高圧電流をまとって高速移動。僚機から飛んでくる弾丸の雨は味方を巻き込んでもSSTOやその護衛を叩き落さんとするほどに激しいが、高圧電流が敵の銃弾を焼きつつ、電流によって発生する磁場で弾道を歪ませ明後日の方向に飛ばす。弾幕をものともせず接近したカナリアが損傷する敵機を殴り飛ばす。その先には無傷の敵機がいた。したたかに衝突し、殴り飛ばされた敵機は物言わぬ鉄塊となり地に落ち、バランスを崩したもう一方の敵機も空中で失速する。スラスター出力で強引に復帰するも、そのカメラアイは迫りくるカナリアの拳を捉え、そのままフレームごと粉砕されるのであった。
「失礼、邪魔ですわっ!」
「予備増槽、残60%。まだ余裕がありますな。このまま蹴散らして本丸に向かいましょうぞ、お二方!」
ペドロの檄に応えるように、行く手を阻む敵機を片っ端から蹴散らしていく2人。そのさなか、遥翔は追加センサーから齎されたデータを確認。エナジーゲートは絶えず殲禍炎剣からのレーザー砲撃を受け止め続けている。その勢いが衰えることは無さそうだ。
「どうやら殲禍炎剣への対処法としてかなり有用そうだな……エネルギーをしっかり吸収している。それをどこに放出しているのかは不明だが……」
『機体内部に取り込んでいる可能性もありますね』
「だとしたら、レミニセンス・エニグマを倒すのはかなり骨が折れそうだぞ……」
眼下に広がるのはアンサズ地方の大地とそれを囲む海。広大なアンサズ大陸とそれを囲むように配置された数々の島々が、今自分たちが護るアンサズ地方だ。その一部地域で、別の猟兵たちが戦っている。
「下の連中も頑張ってるんだ、俺達で本丸はきっちり落とさなきゃな」
「えぇ、そのためにも、ここは押し通らせてもらいますわ」
SSTOと猟兵たちが、ついに此度の争乱の引き金を引いたザ・スターの下へとたどり着く。空を制するのは、果たしてどちらなのか。
大成功
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第3章 ボス戦
『ファーストヒーロー『ザ・スター』』
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POW : バスター・ナックル
【拳】を構えて【エナジー・ゲートから降り注ぐ光】を纏い、発動前後が無防備となる代わりに、超威力・超高速・防護破壊の一撃を放つ。
SPD : スーパー・ノヴァ
自身の【装備】を【輝く「超新星モード」】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
WIZ : レミニセンス・ザ・ワールド
常識的な行動を囁く【「ザ・スターの心」の幻影】と、非常識な行動を囁く【「ザ・スターの肉体」の幻影】が現れる。[「ザ・スターの肉体」の幻影]に従うと行動成功率が8倍になる。
イラスト:もりさわともひろ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●そうだ、|英雄《ザ・スター》。お前が、招いた。
「これ、は」
ザ・スターは自らが搭乗する愛機「レミニセンス・エニグマ」のコクピット内で驚愕に目を見開いていた。だが、その感情を招いたのは空へと飛翔した猟兵たちがオブリビオンマシンの群れを突破した事ではなく──その視線の先に映った光景であった。
北の山間に位置する国家では、地より這い出た軍勢に対して、猟兵の助力を得た現地の防衛軍が迎撃に出ている。一方で、東の端の川向こうでは、侵攻を阻止すべく少数の部隊がこれも猟兵と共に敵陣へと攻勢をかけていた。
平穏が破られ、そこかしこで銃声が轟く戦乱の只中に放り込まれたアンサズ地方。その引き金を引いたのは。
「これは……私が招いた結果だというのか!? 私が……この地の安寧を壊したと!?」
『哀れな我が肉体よ。ようやく悟ったか。そうだ。他ならぬ私こそが、この地にこれだけの戦乱を、混乱を招いたのだ。我が肉体よ、この状況を引き起こしてまだヒーローを名乗るか』
「これでは……ただの殺戮者と変わらぬではないか……」
『皮肉なものだ。チャールズ・チャップリン曰く、「数が殺人を神聖化する」。|英雄《ヒーロー》の定義が殺害数なのであれば、我々は紛うことなき|英雄《ヒーロー》だ』
「誰がためのヒーローだ……だが、せめて本懐を」
その時である。ザ・スターが最初の目標と定めたアンサズ地方西岸のプラントを攻撃する「意思を抱いた」矢先、突如としてそのプラントから1体の龍が飛び出してきたのを目撃した。赤黒く巨大な体躯を持つその龍は、口内に炎を蓄え、手には眩い光を放つ長剣を握りしめている。龍は炎を身にまといながら、その双眸でレミニセンス・エニグマを捉えた。
「何が──」
次の瞬間、ザ・スターは己ごと機体が灼熱の炎に包まれたのを感じた。まるで太陽の中に放り込まれたようであった。龍の怒りをその身に受け、ザ・スターは悲鳴すら上げられずに全身が焼かれるのを感じた。が、それもつかの間、ザ・スターは|無傷でコクピットに座っていた《・・・・・・・・・・・・・・》。龍はいつの間に姿を消したのか、影も形もない。
『何が、起きたのだ……』
困惑しているのは肉体のみならず、精神も同様であった。呆けたように立ち尽くす中、猟兵たちとSSTOが迫る。今が好機だ。先制攻撃を仕掛けるチャンスだとばかりに、猟兵達はレミニセンス・エニグマを倒すべく動き出した。
※マスターよりお知らせ※
ザ・スターは「何か」を見てしまったせいで、迫りくる猟兵たちを察知できません。これにより、先制攻撃が可能です。ただし、先制攻撃で有効打を与えられない場合、苛烈な攻撃に晒されます。
以上を参考にプレイングを送っていただけますと幸いです。
また、ザ・スターに襲いかかった「何か」ですが、猟兵達は知覚してもしなくてもOKです。ただし、見えた場合でも他の人が見えるとは限りません。
カグヤ・アルトニウス
〇スターを止める
ザ・スターが視界に入った瞬間から攻撃を仕掛けるべくテレパシー(【読心術】)で監視していたのですけど、割り込んで来たイメージとザ・スターの反応に悪い予感がしたので「暴走」を警戒しつつ撃退を目指します。
(乗機)
ホワイト・レクイエム
(行動)
まずは、SSTOに暴走の危険を知らせて緊急退避を頼み、テレポートでザ・スターの頭上に突っ込みます
あとは、トゥインクル・スターによる全周囲に展開したゲートからのエネルギー砲による【一斉発射】を囮にして、両肩狙いのソードオブビクトリーのソードモードによる【斬撃波】を伴う【切断】を叩き込み、ついでに反撃の出足を殺す様にUCの輝線を置いて撤退します。
●想定外
「……!?」
カグヤもまた、「それ」を目撃した。剣を携えた龍、その姿を。
否、「目撃した」というのは不正確だろう。カグヤが行使していたのはテレパシー──精神感応を利用した読心術で、ザ・スターの思考を読んでいる状況だったのだから。故に、彼は「ザ・スターの思考に突如として焼け付くように現れた龍」の存在と、その姿に動揺するザ・スターの反応を同時にキャッチした。
「あれは、マズい」
ザ・スターのメンタルに何らかの悪影響があったのは間違いない。カグヤがテレパシーを打ち切るほどには精神が乱れている状況だった。自然とカグヤは最悪の方向の予想をする。
「……暴走する危険性がありますね」
少なくともあの龍は「精神に焼き付くほどのインパクト」を残したのだ。大なり小なり悪影響はあったはず。そして、その結果が周囲への攻撃という形で発露されてしまえば、それは「暴走」と呼ぶべき大破局に繋がりかねない。だからこそ、可能な限り急いで始末する必要があるのだ。カグヤはそう結論付けたのである。
「SSTOは緊急退避してください! 現在のザ・スターが何をしてくるかわかったものではない!」
SSTOに戦闘空域からの離脱を促しつつ。自身の愛機たるホワイト・レクイエムをテレポートで転移。転移先の座標は敵機「レミニセンス・エニグマ」の頭上やや後ろ。完全に死角から不意をついて反撃の出足を挫く格好となる。
「トゥインクル・スター展開完了、ターゲットセット……エネルギー砲を選択、|一斉射《ファイア》!」
エネルギー砲の光条が半円状に展開し、レミニセンス・エニグマ目掛けて収束する。突如として死角から四方八方の攻撃を受けたザ・スターは我に返り、索敵をする。
「攻撃……っ! しまった、猟兵が!」
『間に合ったか……!』
ザ・スターの肉体側が慌てて対応に移る中、未だオブリビオン化していないザ・スターの精神体は救援に安堵していた。彼らであれば、ザ・スターは撃墜できる。
「反撃を……!」
「いいえ、この技は一度抜けば止める術は無い。お覚悟を、『ファースト・ヒーロー』」
軌道上の万象を浄化して分つ虹の輝線を纏った長剣を手にしたホワイト・レクイエムが動く。統合兵装「ソードオブビクトリー」をソードモードとして間合いを詰めたカグヤは、両肩を狙って斬撃波を飛ばし、さらに輝線を進路上に置きながら離脱。果たして、斬撃波によって両肩部に損傷が入り、腕部武装は使用不能となる。
「超新星モードを……っ、あの輝線が無力化するのか!」
「その通り。貴方の命運は最早これまで」
一気に「詰み」の状況へと追い込まれたザ・スターとその愛機、「レミニセンス・エニグマ」。ファースト・ヒーローの落日は確実に近づいていた。
大成功
🔵🔵🔵
シル・ウィンディア
動きを止めている?
何があったかはわからないけど、この好機を逃すわけにはいかないよねっ!
…最初っから全力全開で行くよっ!
体の負荷は今は考えない。
わたしにできる最大火力を撃ち込むことだけを考えて…。
多重詠唱で、魔法の詠唱と同時に魔力溜めを同時並行処理。
限界突破しても過剰に魔力をためて行くよ。
魔力チャージが終わったら一気に撃ち放つ!
全力魔法のヘキサドライブ・エレメンタル・ブラストッ!!
わたしの全力全開…。
星の果てまでふっ飛べーーーっ!!!
ふらふらになりながらも、第六感を信じて操縦桿を倒して無意識の回避行動を行うよ。
この一撃だけで何とか出来るとは思わないけど、でも、さすがに少しは痛いでしょ?
メンカル・プルモーサ
(試作型術式騎兵【ツィルニトラ】に搭乗)
……なんかぼーっとしてる……何かに気を取られた……?
…ならば好機…攻撃を仕掛けるとしようか…
…【空より降りたる静謐の魔剣】を発動…ツィルニトラの周囲に氷剣を展開…レミニセンス・エニグマにまずは斉射して一当て…
…ダメージを与えると共に凍結で動きを鈍らせようね…
…操音作寂術式【メレテー】で幻影達の音を消してしまおう…
後は氷剣を操作して盾にしながら残りの氷剣を発射して…っ…いま、一瞬だけ何か……龍が見えた…
…危ない…龍に気を取られて回避し損ねるところだったけど……あれがザ・スターが見たもの…なのかな…
●好機、しかして
「動きを止めている?」
「……なんかぼーっとしてる……何かに気を取られた……?」
シルとメンカルもまた、レミニセンス・エニグマが見せる異常な挙動に一瞬戸惑いを見せた。だが、裏を返せばこれは好機。先制攻撃で一気に追い込むべく行動を開始する。
「……最初っから全力全開で行くよっ!」
シルはこの空隙の時間を利用して多重詠唱による魔力のチャージを開始。臨界以上の魔力をチャージしていく。レゼール・ブルー・リーゼの各砲門でエネルギーの最終調整を行うキャパシタや余剰エネルギーの受け皿となるコンデンサが悲鳴を上げ、コンソールが警告で埋め尽くされるがお構いなしである。この一撃で落とさねばアンサズ地方の危機、後が無いのだから。
「……こちらも攻撃を仕掛けるとしようか……シルの時間も稼げるしね……」
一方のメンカルは氷剣による足止めでレミニセンス・エニグマの硬直時間を引き伸ばす策を取る。もちろん自身の大技を当てるための隙を増やすためでもあるが、シルの攻撃が外れてしまっては元も子もない。
「停滞の雫よ、集え、降れ。汝は氷刃、汝は驟雨。魔女が望むは数多の牙なる蒼の剣……さてまずはひと当て……」
|空より降りたる静謐の魔剣《ステイシス・レイン》によって氷剣を大量に作り出し、ツィルニトラの周囲に展開。そのまま一斉射して機体の各部を凍りつかせていく。
「……!? 敵襲!? どこからだ!?」
思考の間隙に突如としてダメージアラートが響き渡り、凍りついていく機体を見て目を剥くザ・スター。アクチュエータも温度が下がることで稼働効率が悪くなり、レミニセンス・エニグマは動きを止めてしまう。
『幻影の声が聞こえないというのか!?』
「幻影は黙らせておいたよ……」
操音作寂術式「メレテー」も発動して、完全にザ・スターの動きを封じたメンカル。後の仕上げはシルに任せる。
「はい、撃っていいよ……」
「メンカルさんありがとう! 星の果てまで……ふっ飛べーーーっ!!!」
シルはトリガーを引き絞った。自身の魔力が急激に吸い上げられるのを感じつつ、狙い過たずヘキサドライブ・エレメンタル・ブラストの高出力ビームを直撃させる。魔力の奔流の中にザ・スターが飲み込まれる中、シルとメンカルはふと、その様子を高みから見下ろす何者かに気がついた。
「あれは……」
「……龍……!?」
龍は再び急降下して去っていく。アークライト自治領のプラント「ベガ」の方角だ。これを隙と捉えたザ・スターが辛うじて反撃に転じるが、2人はすんでのところで回避する。
「……危ない……龍に気を取られて回避し損ねるところだったけど……」
「あれが、ザ・スターが見た何か……?」
本能的に回避行動を取った2人は、今見たものを思い返していた。ザ・スター、そして猟兵たちが見た龍の正体。その疑問に答えるものは、この場にはいなかった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎
まずは状況を把握
何が起きている? スターは何を見た?
展開した観測機器を基にラクスにも確認を取りつつ
[第六感]と[心眼]で自分でも確認にかかる
どこまで見えるかはわからないが、その上でスターと対峙する
確かに先制攻撃のチャンスだけれど、それでも今のスターとは一度言葉を交わすべきだと思う
あんたは何を見た? このまま戦ってもあんたの本懐は果たせないんじゃないか?
それよりも招いてしまった事態を収拾することこそが殺戮の英雄じゃない、正義のヒーローの本当の使命じゃないのか?
一時的なものであっても停戦に乗るならよし
それでも戦うっていうなら正面から全力で止めるまでだ
戦う場合はオーバーロード、ディバイン・レヴィアラクスに[騎乗]しての[空中戦]だ
エニグマの高速機動戦闘を心眼で捉えて回避、避けきれない攻撃を[鉄壁]の[オーラ防御]で防ぎながら
相手のUC発動前の無防備な隙だけは確実に[見切り]、その拳をしっかりとかわす
そして発動後の隙に掌からUCを撃ち込み、エニグマを断ち斬る
「この……馬鹿野郎!」
イン・フナリア
ここまで近付いてるのに、全然気付いてないみたいだねぇ
ちゃんと振り向いてもらえるように、驚かせちゃおうかぁ
装甲は何かされててとても硬いんだったっけ
【誘惑華園の聖槍】が普通に刺せないなら、差し込めるところに捩じ込んで、ぐいっと千切っちゃえばいいよねぇ
こっちを見てくれないなら腕か脚の関節に取り付いて、槍を差し込んで力一杯やっちゃうよ
千切ったところからなら刺せるかなぁ、もっと奥まで入れて、ぐちゃぐちゃにしてあげるねぇ
何に気を取られてるのか分かんないけど、折角ここまで来たんだから、ちゃんと私のこと、見てほしいなぁ
色々やって全然見向きもされないっていうのも、それはそれで昂るかもしれないけど、やっぱりお互い滅茶苦茶にし合うのが一番いいよねぇ
ヴィンデ・ノインテザルグ
Fireflyに搭乗し前線へ。
あれは…プラントの迎撃システムの一種か。
冷静に機に乗じ
SatanとLuciferを同時展開して敵機を狙撃。
Evangeliumの出力を上げ、爆炎を貫くように突進し
逃さぬようMammonの照射を試みる。
ここから先は反撃封じだ。
至近距離を保持したままUCを起動。
戦場内の全ての敵の攻撃行為を無効化しながら
Asmodeusでコクピット周辺を撃ち抜きたい。
バイタルのレッドサインを流し見て、目減りし続ける己の命を知る。
Leviathanで絶え間なく斬りつけながらも
回線を開き、ザ・スターに呼びかけを。
他者を犠牲にしても護りたい大義が在ったのだろう。
ならば私も同じだ。貴様を墜として帰りたい場所が在る。
…まさか、思い出せないとは云うまいな。
己の矜持を曲げてでも、護りたかった者達の顔を。
煽りに敵が動揺した場合は
己の機体の瓦解を顧みず
二段階変形させたAsmodeusを突き刺し爆破を試みる。
霞みゆく意識の中で心眼を解除。
今は逝けない。私はまだ…アンサズの地で酒を飲んではいないんだ。
エドワルダ・ウッドストック
アドリブ連携歓迎
そうですわ、ザ・スター。大儀を名目に振るった暴力の結果が、眼下の戦火です。
……わたくしも、超大国からの解放を謳って戦っている身の上です。
感情が加熱すると、彼のように暴走することになりかねません。
顧みないとならないでしょう……。
ですが、今は。
貴方を討つこの時は、悩んでいる時ではありません!
発動前に察知されないなら十分に集中して、狙いを定めることができるでしょう。
機体の操縦をペドロに任せ、攻撃にのみ全集中しますわ。
ザ・スターが、何やら現れた剣を構えた龍に気を取られている隙に、殴られる前に先制攻撃ですわ!
砲も銃も同じ火器系統の武装。
カナリアの温存してきたエネルギー出力を、そしてオーバーロードするわたくし自身の炉心から溢れる魔力も、全てを荷電粒子砲へ注いでUCを発動!
技後のことを考慮しない、全身全霊全力の狙撃を行います!
必ずや、エニグマの装甲も防護破壊の一撃で射抜きますわ!
「何か」に関するデータを、ペドロが収集していたら戦後にジェイミィさんに提出して、解析してもらいましょう。
●シューティング・スター
「状況確認だ!」
「それ」が起きた直後、遥翔は即座に周囲の猟兵たちに通信を飛ばしていた。何が起きたのか、それを確認することが寛容だ。ザ・スターが自分たちと同じものを見たとは限らない。猟兵たちの中にも、感知できたものとできなかったものに分かれていた。
「何!? みんな何が見えたの!? ザ・スターが見たのと同じものが見えたってことかい!?」
インは後者であった。一方、前者に分類される猟兵たちもいる。ヴィンデとエドワルダだ。
「プラントの迎撃システムではないのか?」
「それにしては……妙に生々しいというか、生物的ではございませんでしたか? まるで……アックス&ウィザーズやブルーアルカディアの住人のように思えましたわ」
ヴィンデは現実的な意見を口にするが、エドワルダはその見解に疑問を呈する。と、ここで複座に座っているペドロが、エドワルダに命じられて確認した予測出現地点をプロットして全員に呼びかける。
「それが上がってきた方角はアークライト自治領のプラント、『ベガ』ですぞ」
「ベガ? ……確か、グリモアベースにあった報告じゃ『アンサズ地方最古のプラント』って触れ込みだったような」
「ますます意味がわからない……」
「単なる防御機構の範疇を超えている存在、ということだろうか……」
困惑気味のイン、エドワルダ、ヴィンデを他所に、遥翔はザ・スターに呼びかける。
「聞こえるだろ、ザ・スター! あんたは何を見た? このまま戦ってもあんたの本懐は果たせないんじゃないか?」
「っ!? 猟兵か……! そうだ、この結果は私が望んだものではない。私が来訪したことで、戦端が開かれたも同然……」
「そうですわ、ザ・スター。大義を名目に振るった暴力の結果が、眼下の戦火です」
いち早く我に返ったエドワルダが、現実をザ・スターに突きつける。自らの目的を果たすためにこの地に来訪し、力を振るった。その結果が、薄氷の平和を無慈悲に破壊したのだ。
「それよりも招いてしまった事態を収拾することこそが殺戮の英雄じゃない、正義のヒーローの本当の使命じゃないのか?」
遥翔はあくまで、同じヒーローとして呼びかける。同じヒーローならば、この事態を収拾すべきだろうと。
『その通り。だが、我が肉体は今や視野狭窄に陥っている』
「……ザ・スター? ……あぁ、今喋ったのは『魂』の方か」
「肉体……なるほど、肉体のオブリビオン化に伴い、人格を2つ宿しているってわけだ」
ザ・スターの雰囲気が急に変わり、敵意が消える。この現象を遥翔は知っていた。同時に淫魔であるインも理解する。人間の精神に関しては彼女もある程度の知見を持っており、自身の知識から類推ができたのだ。ザ・スターはオブリビオンとしては特異な状況にある。肉体がオブリビオン化したものの、精神は生前のものが何故か維持されてしまった。結果として、「オブリビオンとしての自我」が別個に肉体に宿り、多重人格状態となったのである。
『より多くを救うため、このプラントを犠牲にする。それだけで済むはずだった。想定外だったのは、「私」の来訪をきっかけにして各地で戦端が開かれたことだ。それは、肉体の「私」も望むところではなかった』
「当然だ、あんたはヒーローなんだからな。それもただのヒーローじゃない、『ファースト・ヒーロー』だ」
『今やその呼称になんの意味があろうか。……私からも頼む。「私」を、止めてくれ』
ザ・スターの頼み。それは、オブリビオンと化して今や世界に害為す存在と成り果てた自身に、これ以上の蛮行を行わせるな、という願いであった。その願いを果たすべく、猟兵たちはついに動き出す。
「それがザ・スターの願いだってんなら、叶えてやらないとねぇ。今楽にしてやるよ」
再びザ・スターの肉体の人格が主導権を取り戻そうとする中、インが真っ先に動いた。人格交代の間隙を縫って、誘惑華園の聖槍をレミニセンス・エニグマの放熱ダクトに突き入れる。
「聞いたことがある。あらゆるエネルギーは最終的に熱として放出しないといけないってね。ならその出口からぐちゃぐちゃにしてやればいい」
「……っ、我が心から主導権を取り戻す隙を突かれたか!」
「何に気を取られてるのか分かんないけど、折角ここまで来たんだから、ちゃんと私のこと、見てほしいなぁ」
槍をより奥へと突き入れ、熱エネルギーの放出を妨害する。これで排熱効率が下がり、レミニセンス・エニグマの挙動は急激に鈍り始めた。
「良い一撃です! 後はお任せくださいまし! ペドロ、制御を!」
「了解、この一射に全てを賭けるというわけですな!」
「援護しよう」
インの攻撃に乗じて、エドワルダも動く。ペドロに機体制御を任せつつ、カナリアのほぼすべてのエネルギー経路を荷電粒子砲へと注ぎ込む。オーバーロードによってエドワルダ自身の炉心すらも荷電粒子砲へのエネルギー供給路に接続させ、出力の底上げを始める。狙いはレミニセンス・エニグマ。これに呼応するようにヴィンデがSatanとLuciferを同時展開し、援護する体勢を整えた。2機のデータリンクによって誤差を修正、正確な狙いで一撃を加える。
「今だ!」
「射抜きますわ、必ずや!」
レミニセンス・エニグマの装甲を打ち砕く一撃。放たれた幾筋もの光条が1本に収束し、狙い違わず金色の機体を撃ち貫いた。
「狙撃か……!」
「それだけで終わると思うな」
ヴィンデはさらなる一手に出る。爆炎を穿つようにFireflyが一気に距離を詰め、接近したのだ。パイルバンカー「Asmodeus」を構え、コクピット周辺を一気に穿つ。インがすかさずそこに取り付いて槍を執拗に打ち込みながら、傷口を広げていった。その様子を見ながら、ヴィンデはちらり、とバイタルサインを見る。急激に自分の命を消費しつつある様子がはっきりと見て取れた。
「長くは持たないか」
「そうまでして私の道を阻むか!」
ザ・スターも、無茶な手段に出ているヴィンデに驚き、詰るような声を上げる。その指弾の声もヴィンでは軽く一蹴する。
「他者を犠牲にしても護りたい大義が在ったのだろう。ならば私も同じだ。貴様を墜として帰りたい場所が在る」
「私を落とすことが、私の大義以上に多くを救うとでも!?」
「そうだとも。何しろ知己も多いものでね。知った顔に二度と会えないのは辛いものだ……お前はどうだ、ザ・スター。まさか、思い出せないとは云うまいな。己の矜持を曲げてでも、護りたかった者達の顔を」
「……!」
言葉の応酬の果て、ヴィンデが問いかけたその言葉に、ザ・スターはたじろいだ。|オブリビオン《忘却》とはよく言ったものだ。彼はすでに、大義を前にして、肝心な護るべき者を見失ってしまっていたのである。
「思い出させてやれ、フレアライザー!」
ヴィンデは遥翔に「ヒーローネーム」で呼びかける。遥翔はその呼び声に応え、機神の真なる姿「ディバイン・レヴィアラクス」を解放。ザ・スターと空中で激しく競り合う。射撃攻撃を最小限のマニューバで回避しつつ、エナジー・ゲートから殲禍炎剣のエネルギーを抽出して拳に纏うその一瞬を突く。
「若きヒーロー、ここで決着をつける時!」
「いいからもう、やめてくれ……! この……馬鹿野郎!」
殲禍炎剣の力を込めた拳の一撃を回避すると、懐に潜り込み、インが広げたコクピット周辺の傷口に手を突き入れる。放つはワールド・エンド。心眼で示した点まで瞬時に結ぶ次元を断つ光が、レミニセンス・エニグマを上下に両断した。
◆◆◆
決着はついた。ザ・スターの肉体は猟兵によって討たれ、骸の海へと還ろうとしている。
「……ありがとう、猟兵達よ」
「ザ・スター……オブリビオン化していない心の方だな」
「あぁ、肉体側の人格が限界を迎えた以上、今や私の肉体は本来の私が取り戻した。だが、いずれにせよ私は骸の海へと還らねばならん。それが猟兵に討たれたオブリビオンの末路だ」
悔いはない、とザ・スターは告げる。そして、残された時間を使い、ザ・スターは語り始めた。
「私が何を見たのか。改めて君たちに伝えよう。オブリビオンとなった『私』がプラントへ攻撃をしようとした時、現れた剣を携えし龍。その時、精神たる私は龍の精神と一時的に繋がりを得た。龍と会話ができたのだ」
「いったい、どのような会話を?」
エドワルダが促す。
「お前がオブリビオンである限り、このアンサズの地の全てがお前に牙を剥く。直ちに去れ、と警告をしてきた。私はこれに対して、自らの特殊な事情を話したところ、龍はそれに対して理解を示した」
「随分と物わかりの良い龍だねぇ」
「単なる龍ではなかったからな。あれはこう名乗った。『我こそはアンサズを生みし始原の龍神、アダムである』と」
始原の龍神、アダム。アンサズ地方の創世神話に伝わる、天より落ちてアンサズの大地となった龍である。ザ・スターを迎撃するために、おとぎ話の存在がこの場に現れたというのだろうか。
「アダムはこうも言った。『なぜお前がこの地に現れたのか、その理由は推測がつく。この地は境界が不安定だからだ。だが、だからこそオブリビオンの存在を殊更許すことがない』」
「まさか……世界同士の境界線が緩い、ってことか?」
「聞いたことがある。この地はクロムキャバリア世界の他のどの地域と比較しても、神隠しの事例が飛び抜けて多いと」
遥翔の疑問に、ヴィンデは応える。事実、彼はその事例のひとつをしっかりと目撃していた。ダークセイヴァーより来訪し、太陽光を克服せざるを得なかったヴァンパイアであるガイアス大公の姿を。
「世界同士の境界線が緩い……まさか、『あの世界』との繋がりも深いからこそ、オブリビオンを許すことがないと!?」
「そうだ、君たち第六の猟兵が拠点としている小世界……グリモアベースとの『距離が近い』と考えるべきだろう。だからこそ、こう捉えることもできる。アンサズ地方そのものが、『猟兵に準ずる存在』になりつつあると」
アンサズ地方の人々は独自の方法でオブリビオンマシンを認知し、最適な戦術で撃退する。それこそがアンサズ地方の戦闘教義型ユーベルコード「O事案マニュアル」。こんなものが生み出され、オブリビオンマシンに対する高いリテラシーを実現している理由こそが、「異世界との距離が近い」ことが理由だというのだ。
「なぜ、この地方が特別に『近い』のでしょう……?」
「その原因を探りたくば、おそらくあそこに行くべきだろう」
ザ・スターが指し示した先は、アンサズ地方の中心部に位置する巨大なクレーターであった。ルーチェ連邦の領土内に存在するそのクレーターこそ、かつてアンサズ地方で発生し、多くの犠牲を生んだ惨劇。そして、様々な物語の始まりとなった場所。
「……メサイアクレーター。プラントの暴走と消失、それに伴う大規模な神隠し事件、『メサイア・インパクト』の舞台となった場所か」
「……そろそろ時間がない。残存するすべての力をエナジーゲートに回し、殲禍炎剣を抑える。その間に地上へ離脱しろ」
ザ・スターに促され、猟兵たちは戦場から離脱する。ザ・スターの残した情報を咀嚼しつつ、殲禍炎剣から身を挺してSSTOを守り切るザ・スターの姿を、猟兵たちは最後に目に焼き付けていた。
「彼に殉じたいところでもあったが、今はまだ逝けない。私はまだ……アンサズの地で酒を飲んではいないんだ」
SSTOが殲禍炎剣の感知高度から下回った時、ザ・スターもついにその姿を骸の海へと消し去る。その様子を眺めながら、ヴィンデは独りごちていた。その言葉は誰に聞かれるでもなく、着陸態勢に入ったSSTOのエンジン音に掻き消されるのだった。
大成功
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