#ダークセイヴァー
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男は涙を流す。
滂沱と、嗚咽を堪え、鼻水を垂らし、歯を食いしばり、息を詰め、痩せた頰は血と涙と汗で濡れている。
眼前には涼しい顔をした優男。背後にはサディスティックに微笑む女――否、我が忠誠を誓うべき領主だし、この男は領主の側近だ。
そして、男は屋敷に召し上げられた庭師だった。
町で売っていた草花を、大層気に入ってくれた領主に声をかけてもらったのがきっかけだった。
意欲に満ちていた。
噂にきく領主は、冷淡で冷徹な方だったが、館での生活になんの不満もなかった。
廊下ですれ違えば、気さくに声をかけてくれたし、庭で仕事中に出くわしたときには、労いの言葉をかけてくれた。
とても上品で思慮深い、よい領主だと思っていた。
だから、彼女が大事に育てているバラ園のバラたちが、このごろ色褪せてきたことを心苦しく思い、手入れしようと鋏を手に入り込んだ――それがこんなことになろうとは思いもしなかったのだ。
「最初に申し付けましたね、ここの薔薇の手入れはわたくしがすると」
「はい……! わたくしめが要らぬ気をつかったのでございます」
「よく分かっているではないですか。ならば、それ相応の処罰を与えねばなりませんね」
ガタガタとサーベルを持つ手が震える。
今まで武器なんぞ持ったこともない男は、構え方も分からず見よう見まねで構えたが、この有様だった。
「どちらかが死ぬまで戦いなさい」
側近の優男との一騎打ちの決闘を申しつけられたのだ。
素人ながらわかる。
勝てるわけがない、逃げ果せるわけがない、騎士の口元に浮かぶ薄笑みを見て気づかないわけがない。
今にやってくる、己の死を。
「不運だったな。貴様の働きぶり、お嬢は気に入ってたんだが」
側近の騎士もまた剣の切っ先をこちらに向ける。
「まあ、こうなったのは貴様だけじゃない――この下には、貴様みたいなヘマしたヤツがうじゃうじゃいる。ニンゲンは孤独が嫌いなんだろう?」
良かったじゃないか。薄い唇が不穏な弧を描く。
そして、金髪を靡かせ、側近の騎士は男に肉薄した。
そこは見渡す限りの薔薇――不気味なほどに妖しくも美しい真っ赤な薔薇が咲き乱れる、禁断の園。
●
視えたのはダークセイヴァー。
比較的穏やかな町だった。
領主の人となりの噂は良くないものの、突然町に魔獣を解き放ったり、快楽的に人を殺したり、むろん人間を糧食にすることもない、奇妙なオブリビオンが統べる町だ。
しかし、この領主は屋敷に仕える庭師の不手際を罰するために、この男を殺そうとしている。
独裁政治を敷くところでは、それも止むなしかもしれないが、オブリビオンの仕業である以上、見過ごすことはできない。
「領主の屋敷には立派な薔薇園があるんだが、そこの薔薇がどうにも人の血を吸って成長する厄介なモンらしくて、」
紺色の炯眼を伏せて、ため息をついた鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)は、話を続ける。
ここの領主――姫騎士・銀氷の蒼薔薇、名をレヴァリエというらしい。
自ら手を下すこともあるが 、決闘させて殺し合わせることを好む傾向にあるようだ。
薔薇に血を吸わせるために男の失敗を誘発させたのか、本当に気にくわない失敗をされたのか、こればかりは、本人に聞くほかないだろうが――薔薇に血を吸わせたい、もっと真っ赤に美しく咲かせたいという思いがあるのは間違いない。
今から乗り込めば、男の身代わりというかたちで、救い出すことができる。
それは猟兵がレヴァリエの配下――オーバースト・フックスと一対一の決闘をすることと同義だ。
「男を殺すことが目的じゃないということ?」
話を聞いていた猟兵の言に、誉人は首肯し、
「レヴァリエは、大事な薔薇に血を吸わせたいっつーのと、手に汗握る決闘を見たいってので頭がいっぱいになってっから、決闘の相手が変わろうが、見応えがあるならそれで問題ねえ」
胸クソの悪ィ話だぜ、ったく……と誉人は吐き捨てる。
決闘の場所はくだんの薔薇園だ。
「フックスは分身するのが得意でなァ、ちらっとでもレヴェリアを狙うと主人を逃がすことに専念し始めっから、まずはフックスどもを倒すのが先決だ」
せっかくのヴァンパイア討伐の機会を逃すことになる――癪だが、相手の望みを叶えてやらなければ、レヴァリエを倒すことはできないのだ。
「あと、全部を倒し終わったら、その薔薇園を徹底的にぶっ潰してきてくれ」
手段は問わない。
町の人間が、この忌々しい薔薇園に足を踏み入れないように――これまでの犠牲者を弔う意味でも、跡形もなく壊してきてくれ、と誉人は言う。
そして彼の手にグリモアが浮かび上がる。
「じゃ、よろしく頼んだぜ」
藤野キワミ
年度末が近づいて春めいてきました、藤野です。
今回もどうぞよろしくお願いします。
【連絡事項】
▼プレイング受付期間を設けたいと思いますので、マスターページ及びツイッター(@kFujino_tw6)でお知らせします。
第1章のプレイングは、【3/12(火)8:30以降】に送っていただければと思います。
▼第1章は一騎打ち決闘を予定しています。
同じ戦場で、同時多発的に進行しますが、基本的に一対一の形になります。
共同でご参加+合わせプレイングをしていただいても構いませんが、連携描写の約束はいたし兼ねますのでご容赦ください。
連携プレイングは第2章以降、積極採用といたします。
お連れさまがいらっしゃっる場合、「呼び方(f~)」や、【チーム名】を指定していただけると、迷子になりません。
また、できればで構えませんので、「プレイング提出日」を合わせていただけるとありがたいです。
もちろんソロ参加も歓迎いたします!
(連携不可の方の場合、プレイングにその旨の記載をお願いします)
それでは、みなさまのご参加を心よりお待ちしております!
第1章 集団戦
『オーバースト・フックス』
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POW : ツヴァイ・クラールハイト
自身と自身の装備、【己の分身】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
SPD : ブルート・イルズィオーン
【流し目】から【紅光】を放ち、【血まみれの臓物に縛られる幻覚】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : フェアエンデルング・シュヴェールト
【血をすすり形状を変える吸血牙の剣】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
イラスト:唐草
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フェルト・ユメノアール
その決闘待ったァー!
と間に割り込み
こういうの、ボクの世界では弱い者イジメっていうんだよ
仮にも騎士として恥ずかしくないのかな?
と相手を挑発&自分が代わりに戦う事を宣言
イッツ・ショータイム!さあ、決闘開始だ!
敵の魔眼を封じるため『ワンダースモーク』を使用
煙幕で敵の視界を遮り、その隙をついて……
ボクは手札からスペルカード、【無人造の機兵】を発動!
自分のレベルと同数の機兵トークンをバトルエリアに召喚する!
そして、多数の機兵を盾に『トリックスターの投擲』で敵を牽制しつつ接近
そのまま敵の間合いの内側に入り込み『カウンター』を決めるよ
その際には『ハートロッド』を持ち、敵攻撃に合わせて武装化を解除し妨害に使用
ガルディエ・ワールレイド
騎士ならば主の過ちを正すのも任の内だろうが。
……なんて事をオブリビオンに言っても仕方ねぇんだろうな。
◆行動
「その決闘、待ちな! 決闘代理人に立候補するぜ。騎士同士の決闘って奴を見せてやるよ」
【存在証明】を攻撃力重視で使用するぜ。
武装は《怪力》《2回攻撃》を活かすハルバードと長剣の二刀流
被弾しそうな時は《オーラ防御》
《武器受け》を軸に立ち回り、回避も防御でも出来そうにない時は相打ち上等で《捨て身の一撃》だ。
近接攻撃命中時は《生命力吸収》
【ツヴァイ・クラールハイト】対策
敵が消えたら《殺気》を読む事に重点を置くぜ
大雑把にでも当たりが付いたら、そちらへ素早く《ダッシュ》で踏み込んで《なぎ払い》だ。
●
男は己の生を振り返る。
幸せであったと胸を張れるだろうか。
答えは出そうにない。
未練が残る。
しかし、彼の青い目に映る光景は、絶望そのものだった。
迫り来る、冷徹で端正な美貌。
振り下ろされる、白刃。
その一瞬のことなのに、とてつもなく長い時間のように感じられる。
「その決闘、待ったァー!」
「決闘代理人に立候補するぜ」
だからこそ、その男女の声は、実に鮮烈に庭園に響き渡った。
●vs.フェルト
今まさに白刃が振り下ろされ、赤く染まる――その瞬間に、間に合った。
フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)は、同じように「待った」をかけた男をちらりと見たが、すぐに大佐位を冠する騎士へと視線を戻す。
オーバーストを名乗るのであれば、このような姑息な手段に出ずとも、この件を納めることができたはずだ。
なのにやらなかった。
フェルトは、男とフックスとの間に体を滑り込ませ、しっかりと見据える。
「こういうの、ボクの世界では弱い者イジメっていうんだよ」
「貴様の物差しで計るな」
「だとしても、騎士として恥ずかしくないのかな?」
フェルトはしっかりとフックスを挑発する。
「見なよ、震えてる――そんな人に勝って、その称号は傷つかないの?」
《ソリッドディスク》を一撫でして、続ける。
「ボクたちが相手だよ!」
オーバースト・フックスは、構えていた剣先を少し下げて、後ろに控えている主人を流し見る。
つられてフェルトもそちらを見れば、女は小さく微笑んで、頷く。
許可はそれだけの所作で伝えられ、こちらに視線を戻したフックスの目は、好戦的に輝いていた。
「死ぬ覚悟は最初からできていたようだからな――遠慮なくやらせてもらうぞ、猟兵ども!」
オーバースト・フックスの分身が現れ、その全てが瞬く間に散開し、続々と現れる猟兵たちへと疾駆していく。
「我々も始めるとするか」
「イッツ・ショータイム! さあ、決闘開始だ!」
刹那、オーバースト・フックスの視線が熱を帯びたように赤く光った。
それを察知したフェルトは、素早く《ワンダースモーク》を投げつける!
元はステージの演出用の煙幕であるため、ポップなカラーリングがなされたそれだが、フックスの【ブルート・イルズィオーン】を撹乱するには、もってこいかもれない。
そのカラフルな煙幕に驚いて、跳び退った隙に、フェルトは、
「ボクは手札からスペルカード、【無人造の機兵】を発動! 自分のレベルと同数の機兵トークンをバトルエリアに召喚する!」
高らかに宣言し、招かれたのは二四体の機兵たち――フェルトはそれらを盾にして、フックスの視界から隠れることに成功した。
(「順調!」)
思わず笑顔が弾けるほどに順調だった。トークンたちを進軍させつつ、フェルトは《トリックスター》をフックス目がけて投げつける!
ギン!
甲高い音がして、それは彼の操る白刃の前になすすべなく弾き落とされた。
「見つけたぞ」
オーバースト・フックスの端麗な顔立ちからは想像できない、総毛立つほどの殺気を噴き上げながら、トークンが振り下ろす剣閃の間を縫うように疾駆してくる。
ぎらりと双眸から紅光が放たれかと思った瞬間には、フェルトの四肢はぬめ光る赤黒い血に塗れた腸に絡め取られていた。
「……ヒッ……!」
あまりのおぞましさに体が固まった。
「他愛もない――消えろ」
「消えるのはそっち……だよっ!」
臓物を引き千切るように、呪縛を解いて、今まさにフェルトへと白刃を振り下ろそうとしていたフックスの懐へ潜り込む。
《トリックスター》を一閃!
「チッ」
騎士らしからぬ舌打ちを一つ、オーバースト・フックスの腹を掠めた。
その隙を見逃さないフェルトは、白鳩に似た使い魔の《ハートロッド》を解き放った。白い翼をめいっぱいに広げてフックスの顔目がけて飛び、バサバサッと大きく風を巻き起こし、これにはたまらず彼も顔を腕で隠し、やり過ごそうとした。
それこそが、好機。
次こそは仕留める。
フェルトは、派手な装飾が施された――それでも、よく砥がれ磨かれたダガーを手に、接近した。
「ボクの勝ちってことでいいよね!」
《ハートロッド》が飛び上がったその刹那、ダガーがフックスの心臓を刺し貫く!
双眼を見開いて、彼は消え去った。
●vs.ガルディエ
「騎士ならば主人の過ちを正すのも任の内だろうが」
オブリビオンに騎士道を説いたところで、暖簾に腕押しだろうが、ガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)は、言わずにはいられなかった。
「騎士同士の決闘って奴を見せてやるよ」
銀氷の蒼薔薇・レヴァリエへ向かって、鬨の声をあげる。
すらりと抜剣。
《複合魔剣レギア》の刀身に彼女の氷像のごとき美貌を映して、もう一刀愛用のハルバード、銘を《ジレイザ》という――を掲げてみせた。
「それは、お手並み拝見といきましょう。フックス、殺してさしあげなさい」
良き血を薔薇に与えられそうですわね。
背筋が凍りそうなほどに、ぞっとするほどに冷たい声音だった。
上品でゆったりとした口調ではあるが、すべてを見下している不遜さは隠し切れていない。
ガルディエは、青い方の目を眇めた。
「まったく……舐められたもんだな……!」
ガルディエの怪力に耐えうるハルバードが、殺気を発露する。
「――主人の命だ。私に逆らうという選択肢はない」
「ふんっ、薄っぺらい騎士道だ」
ガルディエは鼻で笑い飛ばして、
「それがてめえなら、俺も俺の道を行く」
ガルディエの【存在証明】となるのならば、何者をも凌駕する『チカラ』となるのならば。
「俺が何者であろうと、揺るがぬ意思で以って!」
強固な意志は『チカラ』だ。呼応するように、《ジレイザ》と《レギア》は殺気をその身に宿らせる。
オーバースト・フックスもそれを感じ取れないほどの小物ではない。
青灰色のタレ目が、不気味に細められ存在が希薄になる――【ツヴァイ・クラールハイト】を発動させたのだ。
物音や体温は消せないとはいえ、この喧騒だ。ずばりその位置を正確に測ることは難しい。
しかし、ガルディエには策があった――ぴたりと動きを止める。
相手はオーバーストを冠するほどの手練れだ。
いくら姿を消そうとも、その滲み出る殺気はそう簡単に消すことはできないだろう。
それを追う必要はない。こちらに近づき、必殺の一刀を振り下ろす瞬間を感じ取るだけでいい。
じり……
己の体温に灼けそうになるほどの集中。
息をすることを忘れるほどの緊迫。
じり……
「――っ!」
ガルディエがフックスの殺気に、見えない姿に気づいたことを悟られる前に、全身のバネを使って、飛び出す!
彼の踏み込みの凄まじさが地面に深い爪痕を残す――破壊的な魔力を発露する剣とハルバードによる二連撃は、フックスを、周りの空気をも薙ぎ払って颶風を巻き起こす!
「ぐぅっ!」
歯を食いしばり、ガルディエを睨みつけてくるフックスから、ボトボトと流れ出る鮮血が地面に吸い込まれていく。
「なるほど……てめえの血を吸わせる意味だったのか」
「私をコケにするな……!」
腹を裂かれたフックスの頬は血の気が失せているが、息を乱しながらも剣を構え、走りくる。
振り下ろされる剣尖を、ガルディエも剣で弾き返す。
体勢が崩れた、その隙を見逃すことなくハルバードに、その命を吸い取り、刈り取る力を漲らせて、深く深く刺突した。
「ガッ――!?」
激しく血を吐き出して、その姿は、今度は殺気のひとつも感じることなく消え去っていく。
「一応、俺も騎士を名乗ってんだ。簡単には退けねぇわな」
鋭く吐息して、ガルディエは一騎討ちを制した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
千頭・定
一対一の決闘…!
気を引き締めて、正々堂々参りますよう!
背後は寄生しているUDC『ヴェー』に任せます。
お仕事は迅速に、後を残さず処理をする。
母から倣った基本は忘れません。
正々堂々と[だまし討ち]で背後を取り[ロープワーク]の鋼糸で拘束、仕込んだ[毒使い]で少しずつダメージを与えていきましょう。
「トラツグミ、トラツグミ……―――ッ!!」
追い打ちでUC【正体不明】発動です。
鵺の怨念を宿し、四足歩行の獣みたいに高速移動します。
咆哮で攻撃…もちろん[捨て身の一撃]すら辞しません。
人型の相手って…ちょっとやりづらいけど楽しいですね。ええ、本当に。
※アドリブはお任せですよう
●vs.定
(「さあ、一対一の決闘です……! ヴェー、後ろは任せましたよう!」)
その身に寄生しているUDCに指示を出し、千頭・定(惹かれ者の小唄・f06581)は、決然と眼前を見据える。
対峙するのは、オーバースト・フックス。鈍く光る剣は隙なく構え、定からいかに血を流させようか考えているようだ。
否、それよりも、いつもより張り合いのある相手に歓喜しているのかもしれない。
どちらにせよ、どちらでもないにせよ、フックスは何を考えているのか読ませないような、青灰色の目を一度瞬かせた。
「気を引き締めて、正々堂々参りますよう!」
「――それは、遅いな」
紅光に双眼が煌めいた。
定が一歩を踏み出したときだ――その足に、身の毛もよだつほどに悍ましい臓物が絡み付いているではないか。
「貴様は、私がなにもせずに、ただ立っているだけだと思ったか」
ずるずるずる……と臓物は増殖を続け、定の自由を奪う。
分かっている。理解している。
これは幻覚だ。
しかし、四肢は硬直し、喉は引き攣り、舌は凍りつく。
一秒がとてつもなく長く感じるこの現象は、なんといったか。
無情に迫るのは、フックスの剣。定の命を奪おうと繰り出された剣撃。視認できる。殺される。死ぬ――いやだ、死にたくない、殺されたくない、生きたい、まだ生きていたい!
『ヴェェェェ――――!!』
けたたましく鳴いたヴェーの声が正気を取り戻させる。幻覚が消え失せる。
弾かれたように跳び退って、剣撃を躱した。
それでも肩に一刃を浴びて、衝撃に片膝をつく。
今の一撃が決まっていたら……と思うと心臓が縮み上がった。
母仕込みの技術が通用すると思ったが、先手を奪われるとはついていない。
決して軽んじていたわけではないし、準備してきたすべてが通じると思っているわけではない――むろんすべてが成功するように全力を賭すが。
それでも反撃の手段がなくなったわけではない。
「トラツグミ、トラツグミ……――――ッ!!」
ダラダラと流れる血は、定の命だ。
これが流れ切ってしまえば死ぬ。
招き宿すのは、鵺の怨念。物の怪のように四足歩行となり、轟然と吼えた。
耳を劈き、肢体の内側から破壊するような衝撃波が、咆哮とともに放たれる!
「なッ……くう!?」
怨念は定に鋭い牙と爪を与え、怯んだフックスへと襲いかかる!
鋭利な剣はその手に握られたままで、定の捨て身の一撃を、寸でのところで刃が受け止めた――かのように思えたが、定はその認識すら凌駕する素早さでもって、剣刃を躱し、無防備な耳へと口を近づけ、容赦の一切合切を捨て去った、非情で強烈な咆哮を上げた。
鼓膜を破られ、体内から破壊されたオーバースト・フックスは、どさりとその場に崩れ落ち、消滅していった。
「はあっ、は……勝っ、た……? はああ……人型の相手って……ちょっと、やりづらい」
疲れと安堵で吐息した定は、命を削る憑依を解いて、しかし、心を弾ませた。
斬られた傷は痛いし、絡みつかれた臓物は不愉快極まりなかったが、どうしてだろう、恐怖を覚えはしたが、『楽しかった』と思えた。
苦戦
🔵🔴🔴
八岬・梗子
ん、梗子は切ることしか出来ないから切るよ。
戦う人なら、殺気を放てば反応するよね。接触する、地面に出るよね。それを見切って、残像が出るスピードで切るよ。
梗子のユーベルコードは、あなたの防御もユーベルコードも、全部まとめて切ってしまうから。
●vs.梗子
金髪の騎士は、対峙する少女との緊迫感を楽しんでいるようだった。
先刻まで、なにやらの失敗をしでかした男をいたぶり殺そうとしていた者とは思えないほどに、その手練れの気配に、八岬・梗子(八ツ裂キ凶子・f14115)は、剣の才が叫ぶがごとく、静かな歓喜が押し寄せる。
「貴様のような子供が、剣を――!」
「こどもと、侮らないで。梗子はきっと、あなたより強い」
たとえ正々堂々真正面から斬り結んだとしても、いくらフックスが姿を隠して忍び寄ってきたとしても、梗子に出来ることは少ない。
しかし、それが最も難しいことだった。
「ん、梗子は切ることしか出来ないから切るよ」
「やれるなら!」
フックスの騎士道がどれほど歪んでいようが、武人ならば挑発させるように殺気を受ければ、反応してしまうのではないか。
それが罠だと分かっていようが、多少なりとも、動揺は現れるだろう。
例えば、視線。
例えば、指先。
例えば、唇。
あるいは、足。
梗子は、その尋常でない殺気を放つ。
姿かたちは隠せても、その動揺から来る物音までは隠せまい。
(「ほら、驚いたよ……そこにいるんだね」)
梗子の耳には、フックスのおおよその位置が掴めている。
周りの喧騒が霞むくらいの集中力をみせる。
小石を踏みつけるわずかな音がして、梗子はそれを攻撃してくる予兆と読んだ。
それを見切って、軌跡が残るほどの速度で《藤八雲空房》が振るわれる。
「その太刀筋――私の気配を的確に探る実力……確かに厄介だが、」
フックスの言下、梗子の打刀は空を斬っていた。
漆黒の目が見開かれる。
太刀筋を見切られ、躱されるとは思いもしなかった。
「どれほど強力であろうとも、私に当たらなければ脅威ではない」
繰り出される重い剣撃に、梗子はよろめいてしまった。その隙を見逃すフックスではなく。
「お嬢は、血を欲している。さあ、流せよ」
顔色ひとつ変えないで、梗子の頬を斬り裂いたオーバースト・フックスの流れるような剣閃が、梗子の二の腕を、太ももを斬りつけていく。
どちらかが死ぬまで戦え――という主人の言葉を守る騎士は、なるほど忠実にそれを遂行しようとしている。
「でもね」
梗子は血を失って、ふらふら揺れる体をしっかりと支えて、【剣鬼一閃】を奔らせる!
その剣筋を、己の剣で受け流そうとしたフックスは瞠目した。
「どうして、驚くの? 切ったら切れるなんて……当たり前」
そのありふれた剣筋のどこに、そんなとてつもない力が内包されていたというのか、フックスの剣がすっぱりと切り落とされたのだ。
片割れを失った切っ先側の刀身が、ざっくりと地面に突き刺さった。
「チィッ!」
すうっと消えゆくオーバースト・フックス――それを良しとしない梗子は、最後の力を振りしぼって、跳躍し一足のうちに間合いを詰める。
「梗子のユーベルコードは、あなたの防御も、ユーベルコードも、全部まとめて切ってしまうから」
さよなら。
梗子の唇だけが別れを告げる。
その瞬間には、白刃が闇を切り裂いていた。
フックスは低いうめき声をあげて、彼は消えていく。
梗子もまた崩れ落ちそうになるのを必死に耐え、一旦庭園から撤退した。
苦戦
🔵🔴🔴
ザザ・クライスト
フィラメント・レイヴァス(f09645)に挨拶などしておく
【POW】聴覚を働かせて鎖を叩き込んだらデスマッチ
「フラウ・レイヴァス、奇遇だな。相手に同情するぜ」
おっかないお嬢さんを敵には回したくないもんだ
彼女ならまず問題はないだろう
むしろ問題はオレのほうか、策は考えてあるがな
【聞き耳】と【野生の勘】で敵の位置の察知に努める
オレの【視力】は僅かな砂ぼこりの動きも見逃さねェ
その上で【束縛の鎖】を叩き込む
互いを繋いでしまえば透明化しても意味はねェだろ?
バラライカの鉛玉をしこたま喰らわせてやるぜ
「決闘が聞いて呆れるぜ。鬼ごっこがしたいの間違いじゃねェのか!?」
【挑発】しつつ【第六感】を働かせて【盾受け】
フィラメント・レイヴァス
ザザ(f07677)に挨拶
君のタフさなら
武運を祈るまでもないかな
君はお仕事に真面目だから
SPD重視で戦闘
序盤は鋼糸や絡繰り糸で動きを牽制
見切りやおびき寄せで
負傷をしながらも敵の動きや技を見極め
決闘といいながら、君…姑息な技ばかりじゃない?
さっき見せてくれた幻影も…趣味が良くない
これでも拷問官だからね…〝そういう〟のは嫌でも慣れてるってね
ーーさあ、巣は完成したよ。…おいで〝絡新婦〟
蜘蛛は糸に伝わる振動で獲物の位置がわかるよ
視界で捕えられいのなら、いくらでも方法さある
わたしの張り巡らせた巣は、君を決して逃がさないよ
花ごと喰らえば美味しくなりそうだ
たっぷり毒と麻痺を流し込んで、じっくり味わってお喰べ
●
「フラウ・レイヴァス、奇遇だな」
「君も来ていたか」
慣れ親しんだ顔がそこにあるだけで、なるほど、心強い。
互いに無事を祈り合うことはなかった。
二人の間には、それほどまでに信頼があった。
挨拶がわりの軽口を交わして、二人は、眼前のオーバースト・フックスへと全力を向けた。
●vs.ザザ
(「……相手に同情するぜ」)
一瞬前に挨拶を交わした、既知の間柄の――それはもう、おっかない拷問官の、サディスティックな笑みを思い出し、ザザ・クライスト(人狼騎士第六席・f07677)は苦笑を禁じ得なかった。
彼女を敵に回すのだけは勘弁したいと常に思うのだが、今はアレコレと考えるよりも、目の前の――否、姿を消した大佐に集中すべきだろう。
策はあるとはいえ、彼女より己の心配をせねばなるまい。
どんな些細な小さな音ですら聞き漏らすことのないように、僅かに流れる風に舞う砂埃を見逃すことのないように目を凝らし、あるいは騎士としての勘を働かせて、ザザはフックスを捜し出す。
しかし、それほど簡単に尻尾を掴ませてくれないのは、相手が手練れだからか。それとも、ザザの未熟さ故か――
(「だとしても、隠れて逃げ回るヤツにァ負けたくねェ」)
いつでも【束縛の鎖】を叩き込めるよう《アレスKBN13》を構えて、見えない相手――ザザを狙う姑息な騎士へと怒声を上げた。
「決闘が聞いて呆れるぜ。『鬼ごっこがしたい』の間違いじゃねェのか!?」
さあ出てこい、ここまで言われて言い返さないのは騎士の名折れだろう。
ざっ……
ザザの背後で、小さな音がする。
間違いかもしれないが、それでも本能的に体を翻らせ、《KBN Escutcheon》を掲げた。
瞬間、鳴り響くのは刃と盾がぶつかり合った激しい金属音と、腕を伝播して肩へと突き抜け、痺れるような衝撃にザザは口角を凶悪に吊り上げる。
「見つけたぜ! 逃げ回ってんじゃねェ!」
咆哮を上げたのは、《アレスKBN13》だった。
乾いた発砲音とともに放たれた銃弾は、左肩へと着弾、激しい爆発を巻き起こした。
血煙が落ち着く頃には、銃弾は楔となってフックスを捕らえていた。
「捕まえた……!」
「なんだ、これは!」
ザザと繋がれた鎖に瞠目して、その青灰色の双眼を怒らせる。
「私がコソコソと逃げ回っていると? コレで私を捕らえたつもりか」
「ああ、そうだ。抜け出せるもんなら抜け出してみろ」
【束縛の鎖】の完成だった。
「透明になろうが、その質量はどうにもなんねェ、てめえが消えてなくなるわけじゃねェからな……オレにゃ見えねェが、てめえが、今どこにいるか、分かってるぜ!」
ザザとフックスを繋いでいる鎖を腕に巻きつけ、逃げられないように、踏ん張って耐える。
「逃げらんねェんだよ、観念しな!」
フックスがその動きを止めるまで、短機関銃・《バラライカKBN18》はけたたましく火を噴き、鉛玉を吐き出し続ける。
鳴り響く銃声の奥から微かに、フックスの呻き声が聞こえた気がした。
それを確認しようにも、ソレはもう動かない。
じわりと消えていく、蜂の巣となった男から、ザザは銃口をはずした。
「これで腹は膨れたかよ」
●vs.フィラメント
少し離れたところで、銃声が喚き散らしている。
フィラメント・レイヴァス(シュピネンゲヴェーベ・f09645)はにやりと口の端を上げた。
(「お仕事に真面目な君だろう、やはり武運を祈るまでもなかったね」)
気の置けない仲間の奮闘振りを夢想し、絡繰り糸の感触を確かめる。
絡みつく血塗れの臓物に嫌悪を抱きながらも、体は動けない分、頭は高速で回転している。
「『お嬢の命令』だから、血をたくさん流させるような、傷のつけ方って感じね」
じわりじわりとフックスに、手繰る糸で傷をつけながらも、フィラメントもまたフックスに斬られ、血を滲ませている。
見切れるタイミング、躱せる間合いを見極めるための負傷だ。
そして慎重に気づかれないように張り巡らせた、糸。
「決闘といいながら、君……姑息な技ばかりじゃない?」
フィラメントは紅色の瞳孔を広げ、オーバースト・フックスを見据える。
「さっきから見せてくれてる……幻影も趣味が良くない。これでも拷問官だからね」
どろりと冷たくぬめる血が纏わりつく幻覚は、実物のように温かみは感じられない。それでもやけにリアルに感じたのは、フィラメントに『そういう』経験があったからだろうか。
「〝そういう〟のは嫌でも慣れてるってね――さあ、巣は完成したよ」
フィラメントが何を言っているのか、判然としていないフックスは警戒をしながら、剣を構え直した。
「……おいで、【絡新婦】」
禍々しい蜘蛛の傀儡が現れる。
驚きに目を瞠った彼は、慌てて距離をとるために後退った。
「蜘蛛は糸に伝わる振動で獲物の位置がわかるよ――蜘蛛はとっても利口よ」
張り巡らせた蜘蛛の糸――絡繰り糸と鋼糸に擦れるオーバースト・フックスの居場所は、フィラメントが目を閉じても、手に取るようにわかる。
「わたしの張り巡らせた巣は、君を決して逃がさないよ」
逃げるために、蜘蛛の――フィラメントの動きを止めようと幻覚を見せようとするフックスを、ギチギチと鋭い顎を鳴らして、追い詰め、絡新婦は疾駆する。
臓物の幻に惑わされることはなかった絡新婦だったが、剣の手練れたるフックスの抵抗にあい無傷とはいかなかったが、彼女が事切れる前に、男の断末魔の悲鳴が上がった。
「花ごと喰らえば美味しくなりそうだ。たっぷり毒と麻痺を流し込んで、じっくり味わってお喰べ……ただし、お行儀良くね」
澄んだ碧色の双眸を細め、酷薄に笑んだ。
その視線の先には、血塗れになって薄れゆくフックスの絶望が垂れ込めていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ヴェスター・アーベント
目的/決闘での勝利
オブリビオンどもの横暴は止まる所を知らぬ…全て破壊せねば、全て闇が掻き消さねば、また誰かが泣く前に、全て俺が破壊する。
「来い、漆黒の騎士を倒せると思うのなら」
戦術/UC【聖魔二刀流】で攻撃
決闘に対応する為、重視は攻撃力。
「見せてみろ、貴様の剣を」
『怪力』を以って振るう攻防一体の剣技。
聖剣の『武器受け』で攻撃をいなしながら、『鎧砕き』の暗黒を纏う魔剣で斬りつけて『吸血』し『生命力を奪い』受けた傷を癒しながら敵を倒すまで戦う継戦能力と破壊力に長ける戦術で敵を屠る。
「一騎討ちで俺を倒す事は不可能だ、貴様の未来はもはや闇に閉ざされている」
補足/アドリブ歓迎
●vs.ヴェスター
漆黒の艶めく長髪が飾る美貌は、静かに冷たい怒りを発露させる。
「来い、漆黒の騎士を倒せると思うのなら」
「それをこれから決めるんだろう」
金髪の騎士は酷薄に鼻で笑い飛ばした。
オブリビオンどもの横暴は止まる所を知らない、と嘆くヴェスター・アーベント(漆黒の騎士・f09560)は、その冷ややかな双眼とは裏腹に、心には義憤の炎が燃え盛っている。
すべてを破壊しなければならない。
骸の海より滲み出す闇を、闇でもって塗り潰すように、跡形もなく掻き消さねばならない。
またどこかで、誰かが泣く前に――
「すべて俺が破壊する」
「その前に私に殺されてもらおう、お嬢が待っているんでな」
「俺の知ったことか。言っただろう、今からすべてを破壊すると」
この忌むべき薔薇園も、これを愛で育てるレヴァリエも、もちろん眼前のオーバースト・フックスも含まれている。
「数多の戦場で鍛え抜いたこの剣技……斬り裂けぬ敵はいない!」
《魔剣ブラッドイーター》と《聖剣リヒトクライス》のふた振りの剣を手に、ヴェスターはフックスへと果敢に挑み掛かる。
同時に振るわれることを前提とした剣技でもって、力に重きをおく戦法をとり、オーバースト・フックスが透過する隙を与えず、華麗な連撃を浴びせ続ける。
振り下ろす魔剣に宿した、命を奪う呪力は、ヴェスターの怪力も合わさって、フックスに息さえつかせない。
たとえ被刃覚悟で反撃に転じたとしても、薙ぎ払われる聖剣は、フックスの剣を弾き飛ばさんと猛然と迫り来る。
これぞ、ヴェスターの攻防一体となった剣技【聖魔二刀流】だ。
「こんなものか――見せてみろ、貴様の剣を」
暗黒のオーラを漂わせて、防戦一方となったフックスへと迫る。
「調子にのるな!」
苦し紛れに叫んだ騎士は、飛びすさりながら、自身を透過する――
小手先の技であるが、ヴェスターの猛攻から一時逃れることができる。
これでわかったはずだ。
「一騎討ちで俺を倒す事は不可能だ、貴様の未来はもはや闇に閉ざされている」
言いながら背にわざと隙を作る。
狙え、ここならば確実にヴェスターへ一刀を浴びせることができる。
しかし見え透いた罠だ。
これにかかってやるほどフックスは落ちぶれていない――だが、あとはどこに隙があるというのだ。
逡巡は、美丈夫の鋭い眼光に射抜かれ、フックスは息を飲む。
恐怖が先に立ち、じゃりっと小石を踏んづけてしまった。
瞬間――
ヴェスターの踏み込みに耐え切れず、地面が抉り取られ、一足のうちに間合いを詰め、暗黒を切り裂く純白の輝きが、疾る!
「――――ッ!!」
庭園に響く絶望の叫びは、長く続くことなく止んで、ヴェスターは消え去った騎士へ、別れを告げることなく、一瞥しただけだった。
まだ、やらねばならないことがあるのだから。
成功
🔵🔵🔴
彩花・涼
人の血を吸って成長する薔薇か、花は好きだがそんな血生臭い花は好かんな
花は人の心を癒やす穢れのないものだ
さて、決闘を始めようか…その後は好きに薔薇園を壊させてもらうがな
黒華・改と黒爪を持ち、黒華・改で【2回攻撃】と【生命力吸収】で敵の体力を削りにいき
戦いながら黒柵でトラップを張り、敵の動きを制限させる
敵の剣は黒爪で【武器受け】してその隙を【カウンター】で斬り返す
UCを使用してきた場合は【見切り】で紅光を回避、回避出来ない距離の場合はコチラもUCを使用して高速移動で回避しながら、黒蝶で目眩ましして斬撃を放つ
くだらない余興に付き合うのもここまでだ、ここからは猟兵の仕事をさせてもらうぞ
●vs.涼
花は好きだ。
人の心を癒す穢れのない、無垢な花が好きなのだ。
彩花・涼(黒蝶・f01922)は、自身に黒蝶の群れを纏わせ、容赦なくオーバースト・フックスへと斬撃を放つ。
一対一の真剣勝負だ。
否、これはオブリビオンどもが願ったこと――仕方なくこの茶番に付き合ってやっているのだ。
でなければ、人の血を吸って成長し、美しく咲く血生臭い薔薇園なんぞ、今すぐにでも破壊していることだろう。
「お嬢ちゃんのための決闘? お守りも大変だな」
「貴様に何を言われようが、お嬢が望んでいる」
なんという愚直な騎士道か。
涼は鼻を鳴らし、打ち込まれた斬撃を《黒爪》の銃身で受け流した。
刹那――青灰色の双眼が、不気味に紅く輝く。
その視界に入るまいと回避に努めるも、その紅光は涼を捉える。
「――ッ!?」
ぞわりと背筋が凍った。
首元に感じるぬめり――血と脂の臭いが鼻をつく。
それは、幻覚である。涼とてそれは理解している。
「……すべて、斬りッ、伏せる!!」
【ブルート・イルズィオーン】の呪縛を解き放つように、黒蝶の群れが乱舞する。
己の命と引き替えに、得られる力だ。
絡みつく幻惑を弾き返すように、漆黒の斬撃による波動を撃ち放つ!
それをまともに食らったフックスとの距離を、涼は尋常でない速さでもって詰め、次いで振り下ろすのは《黒華・改》の非情なる一閃――返す刃で斬りあげ、騎士はボトボトッと血を流しながら、一歩、二歩、と後退る。
肩で息をする涼だったが、その思考は止まっていない。
黒蝶たちを消して、フックスとの距離を保つために、涼も一歩、二歩、とにじり寄る。
「さっきの気色悪い臓物は、もう効かないからな」
次こそは見切って、その前に先刻放った波動をもう一度見舞ってやる――そう宣言する。
フックスはなにを考えているのか、涼と距離を取りたがる。
だが。
それは、涼にとっても好都合だった。
ヤツの背後には、序盤に張ってあった《黒柵》によるトラップが仕掛けられている。
それにかかるのは、時間の問題だった。
(「ふん、間抜けめ……!」)
ぐらりっとバランスが崩れた瞬間、涼は《黒華・改》を突き出し、深々とフックスの心臓を刺し貫いた。
柄を伝って、残り僅かだったフックスの生命力が涼へと流れ込んでくる――それは、彼女の負った傷を癒すほどに上質なソレだった。
大きく息をついて、黒い剣を振り、へばり付いた血を飛ばす。
「さて……くだらない余興に付き合うのもここまでだ」
倒れ伏し消えゆくフックスに一瞥をくれてやって、涼は、泰然と悠然とそれでも嬉々として一騎打ちを見物するレヴァリエを見据える。
「ここからは猟兵の仕事をさせてもらうぞ」
凄絶な笑みを浮かべ、凛乎として見返してくるオブリビオンを討ってやると剣を握る手に力が入るのだった。
成功
🔵🔵🔴
シェーラ・ミレディ
美しく咲き誇る薔薇、か。
何とも蠱惑的な響きだが、人の血を吸うとあっては捨ておけないな。
件の領主は屋敷から出てこないようだが……仕方ない、手始めに配下から片付けるとしよう。
一騎打ちとあっては他からの援護も期待できまい。それは相手も同じことだが……流れ弾にだけ注意して、敵に集中しようか。
敵の挙動を盗みとって見切り、カウンター気味にクイックドロウからの先制攻撃。残像が見えるような早業で四発の銃弾を叩き込もう。何、反撃する隙など与えなければよろしい。
彩色銃技・一目鐘情。
生憎と見応えはないだろうが、な。
万一反撃を食らっても、此方の間合いを維持すれば対処もしやすいはずだ。
※アドリブ歓迎
●vs.シェーラ
一騎打ちで喧嘩を売られて、それを買わざるを得なかった猟兵たちは、他者からの援護を期待するわけにもいかない。
むろん、それはオブリビオン――金髪の騎士にも言えることなのだが、シェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)は、今もそこここで死闘を繰り広げる猟兵たちの流れ弾にだけは気をつけ、眼前の騎士へと集中力を高める。
ともあれ、一騎打ちといえば、同じ武器を扱う者同士であれば見応えもあっただろうが、騎士は長剣を、シェーラは四丁の《精霊銃》を扱う。
近接武器を扱う相手に、遠距離から攻撃するのは――果たして一騎打ちと呼べるのか、甚だ疑問ではあるが、蒼薔薇・レヴァリエにとって、薔薇園に血を吸わせることが出来るならば、なんだって良いのだろう。
(「……たぶん、そうだよな」)
ここでオブリビオンにお伺いを立てるのも違う気がする。
「生憎と見応えはないだろうが、やってやれないことはないさ――そう思わないか、オーバースト・フックス!」
金髪が飾る白皙の面に、冷徹な光が宿る。
それは、魔性の、呪われた視線だ。紅光を浴びれば、おぞましい幻覚を見せられ、体の自由を奪われる――実に一騎打ちには向かない、眼差しの力だ。
だがそれは、目を開けていられたらの話だ。
なにも待ってやる必要はない。
【彩色銃技・一目鐘情】――アトラクティブガンアーツ・クイックドロウが炸裂する。
カウンター気味に放ったのは、超高速の四発の弾丸だった。
軌跡が残り視認できるほどの早業で、四発の銃弾のすべてを叩きこむ!
シェーラを捕らえようとしていた、フックスはたまらず目を塞ぎ、来る衝撃に防御の姿勢を固めた。
その先手さえ、決まってしまえば、あとは反撃する隙を与えないよう、銃弾を放ち続けるだけだった。
シェーラを見るたびに弾丸を浴びせ、こちらに一歩を踏み出そうとすれば、その脚を撃ち抜き、細い体を真っ赤に染め上げさせる。
万一の反撃に備え、打開策を練り易いように間合いを維持していたのも、フックスにとって実に面白くないことだった。
「ぐッ、く……!」
激痛に喘ぎ、手も足も出せないままに、彼は地面に倒れてしまった。
「なんて、手ごたえのない……」
かえってシェーラの方が拍子抜けしてしまうほどの、完全勝利だった。
そして、血を流すフックスの体が消えていく。流れ出た血は、尋常ならざるスピードで地面へと吸い込まれていった。
「なるほど……こうやって血を吸って、美しく咲き誇る薔薇、か。なんとも蠱惑的な響きだが、やはり捨ておけないな」
あとは、ここを破壊するために、ここの主である、あの女を屠らねばならない。
大成功
🔵🔵🔵
煌天宮・サリエス
「随分と美しい花園を作り上げていると聞きましたが……」
ユーベルコードを唱え、魔導書や剣、銃……装備する武器すべてが頭の花(品種:花桐草)と同じ花の花びらへと変わり
「あなたの領主が育てる薔薇よりも、私に咲き誇るこの花の方が美しい。」
そう思いませんかと、優男を挑発することを目的に問いかける。
戦闘は、近接格闘で敵の行動を【見切り】【カウンター】を入れる防御主体の戦法を取ります。
時折、【フェイント】を交え相手の行動を誘導・阻害します。
『救済式:嵐花守人』は、相手の行動を阻害することをメインの目的として使用します。
ダメージを受けた際には、自分の傷に花びらを当てることで傷を癒します。
●vs.サリエス
噂にきいた薔薇園は、大層美しく手入れが行き届いていた――そうだ。
しかしこの頃の庭園の薔薇は、美しいのだがそのポテンシャルのすべてを発揮できているとはいえない、と。
だからこそ、庭師の男が無断で手入れをしようと思い、己が養分になりかけたのだ。
花を愛でる心があるというのは、同感を覚えるが、この薔薇を愛でる気にはならない。
妖艶に咲き誇る真っ赤な花弁は、いったいどれほどの血を啜り上げてきたのだろう。
想像するだけで吐き気がする。
「あなたを救う奇跡の花びらが舞い踊る……【救済式:嵐花守人】――コード・ランカスト」
煌天宮・サリエス(聖呪天司・f00836)は己の装備する武器を、髪に咲くアキメネスの花弁へと変えて、吹雪かせる。
「あなたの主人が育てる薔薇よりも、私に咲き誇るこの花の方が美しい――そう思いませんか?」
ふわりと微笑んで、彼はオーバースト・フックスへ問いかける。
「私に花のなんたるかはわからん――だが、お嬢が喜ぶのは、ここの赤い薔薇だ。貴様の、寄せ集めの小花なんぞよりも、ずっといい」
「そうですか、分かり合えませんか。もとより戦うつもりでいましたが」
サリエスは舞い落ちたアキメネスを、嵐のごとく巻き上げ、フックスを飲み込んでいく。
その嵐が過ぎ去ったあとには、《氷獄の魔槍》を構えたサリエスがいた。
彼の姿を見、フックスもまた確実にサリエスに血を流させるよう、【フェアエンデルング・シュヴェールト】を発動させる。
顔色一つ変えないフックスは、剣舞を踏むようにサリエスに斬撃を放つ!
それらをなんとか見切って躱し、十分に引きつけて、魔槍で刺突する――かのように見せかけて、サリエスは、紫色の花びらを吹き荒れさせる。
その攻撃力は、高くはないだろうが、フックスの動きを鈍らせることができればいいのだ。
直接攻撃は、サリエスがやる。
確実に、一斬りずつフックスに傷をつけていく。たとえローリスクローリターンの安全策だとしても、勝利しなければ意味がないのだ。
フックスが振るってくる剣刃に斬られたとしても、アキメネスの花弁が癒しを齎してくれる。
この後ろ盾があるからこその、作戦勝ちと言えた。
やがて、消耗戦を制したのは――
「私の勝ちでしょうか」
途中、幾度か癒しの手を邪魔されたが、サリエスは紫の花が舞う中、息も絶え絶えのフックスへ、最後の一撃を突き放った。
成功
🔵🔵🔴
仁科・恭介
※アドリブ歓迎
UC対象:オーバースト
【礼儀作法】で一礼
「どうも、オーバーストさん。仁科です。名を名乗らずに仕合うのも非礼ですので」
一礼中に攻撃された場合は(干し肉)を【残像】で残し
「なる程。これなら主の度合も分かりますね」と笑う。
POW
対峙した時に【吸血】本能で血の匂いを覚えて【追跡】し、様子を見ながら癖を覚える。(【学習力】)
マフラーを巻きながら一足間離れ、【残像】と【ダッシュ】を織り交ぜて攻撃。
【目立たない】よう配置した使えそうな物(【罠使い】)で足場を乱して苛立たせる。
隙が出来たらマフラーだけ外し、マフラーが落ちる前にUCと【ダッシュ】の加速で【目立たない】死角から斬る。
●vs.恭介
「どうも、オーバーストさん。仁科です。名を名乗らずに仕合うのも非礼ですので」
脱帽して、丁寧に礼儀を尽くして挨拶した。
「そうか、好きにしろ――今から殺す貴様の名なんぞに興味はない」
くるんと剣を回し、フックスはため息をつく。仁科・恭介(明日を届けるフードファイター・f14065)は予想していた不意打ちをくらうことはなく、それでも礼のなっていない所作に、笑うほかなかった。
「なるほど……礼に礼で返さないとは。これはこれで、主の度合も分かりますね」
恭介は呆れて、肩をすくめた。
しかし、そのやりとりがあったおかげで、フックスの血の匂いを嗅ぎ分けられるほどに覚えることに成功した。
真っ赤なマフラーを巻きながら一足間離れ、思い入れのある《サムライブレイド》を手に、韋駄天のごとく走り、フックスを翻弄する。
「ちょこまかと……!」
舌打ちとともに吐き出したオーバースト・フックスの独り言が聞こえた瞬間、彼の体が見る間に透過していく。
フックスのユーベルコード【ツヴァイ・クラールハイト】だ。
聞きしに勝るかくれんぼ具合に、恭介はうっそりと眉根を寄せた。
その行動をよく観察する。物音や体温まで消せるわけではないのだ。
しかも、地面は石畳でなく、小石が落ちる露地なのだ――それは、物音を立てずに移動する方が難しい環境だ。
恭介が、わざわざ罠を用意するまでもなく、彼と対峙したフックスは己の、思いのほか大きかった足音に苛立ち、動揺したか、舌打ちまでしてくれた。
その音の方向へと、【共鳴】させながら疾駆する――一瞬後にはトップスピードに乗って、《サムライブレイド》を振り下ろす!
空を切ったかのように思えたが、伝播してくる感触は紛れもなく、何かを斬ったそれだ。
じわじわと姿を現し始めたフックスの視界を遮るように、恭介は外した真っ赤なマフラーを広げ投げ、高速でフックスの死角へと入り込む。
そして、相手に気づかれる前に、その体を刺し貫いた。
勢いよく血を吐いた彼の手から剣が滑り落ちる――その上に、恭介のマフラーが覆いかぶさった。
成功
🔵🔵🔴
フレミア・レイブラッド
血を吸わせたくて決闘を見るのが好き、ねぇ…所詮、自分では何もできないお姫様、かしら?と敢えて側近に主人を侮辱する言葉を楽しそうに掛け挑発
敵の攻撃は【見切り】で回避、または【念動力】を併用して敵の攻撃動作を潰す。
攻撃はグングニルによる【2回攻撃、怪力、早業、鎧砕き】で敵の防御ごと砕くように攻め立て、【念動力】で動きを一瞬束縛。隙を作って攻撃を叩き込み、槍についた血を【吸血】で摂取。自身を活性化させ【血統覚醒】発動。自身のヴァンパイアの血を全開にし、覚醒前とは比較にならない能力でバラバラに仕留めるわ…♪
血を吸わせたかったんでしょ?良かったじゃない、側近の血を吸わせてあげられて…♪
※アドリブ等歓迎
●vs.フレミア
フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は《ドラグ・グングニル》を手に、オーバースト・フックスをその赤瞳に映して、残忍に笑った。
「血を吸わせたくて、決闘を見るのが好き、ねぇ……所詮、自分では何もできないお姫様、かしら?」
「それでお嬢を侮っているつもりか――笑わせるな」
素気なく吐き捨てられて、フレミアは肩透かしをくらったが、彼の目に発露される不愉快さを、苛立ちを見つけた。
彼女はそれが楽しくて仕方ない。
剣を一閃させんと疾駆してくるフックスの足元に念力の塊を放って、彼を転ばせることができた。
「ふふふ……! 大丈夫? 立てるぅ?」
心底からかいながらも、彼の剣が振るわれるのを防ぐのは、さすがといえた。
素早く立ち上がろうとしたところへ、フレミアは真紅の魔槍を突き立てる!
轟然と猛然と、襲いくる《ドラグ・グングニル》は、しかし、フックスの心臓を刺し貫くことはなく、土塗れになることも厭わないで回転し、フレミアの槍から逃げおおせていた。
それでも、無傷ではない。背中を抉られ、激痛に脂汗を滲ませている。
「上手く逃げるのね、だったらこれはどう?」
念動力でフックスの足首を固定し、一瞬だけであったが束縛すれば、新たな隙を作り出せる。
その小さな体のどこに内包されているのか、空恐ろしくなる怪力でもって振るわれる槍の一閃。
引き裂かれる太もも――勢いをそのままにフレミアはそのまま回転して、鋭い呼気とともに今度はフックスの頭上から叩きつけるように振り下ろす!
ガんッ!
二撃目は躱され、地面に穂先がめり込んだ。
「残念、これ、決まってたら、わたしの勝利だったんじゃないかしら」
穂先を上げ、そこに付着していた血を指で拭い取り、べろりと舐める。舌に広がる鉄の、高揚感を煽る甘美な味は、疲れた体に力を漲らせた。
フックスは、透過して隠れる体力も残っていないのだろう、ふらふらと長剣を構え、真っ青な顔をしている。
「最後の仕上げよ…♪」
フレミアは自身の、普段は意識の奥底で眠っているヴァンパイアの血を全開にする。血統を覚醒させ、身体能力が飛躍的に向上して、疾駆する感覚は比較にならないほどに、風に近づいている。
本能を解き放った状態の彼女が繰り出す槍撃は、さきほどの比ではなく、狙われたフックスはなすすべなく串刺しなってしまった。
フレミアは、滴り落ち地面に広がりゆく血だまりに立ち、一騎打ちを見て楽しむ、蒼薔薇・レヴァリエへと視線を投げる。
その姿をみつけ、彼女は妖艶に笑った。
「血を吸わせたかったんでしょ? 良かったじゃない、側近の血を吸わせてあげられて…♪」
レヴァリエの表情は、ぴくりとも動かなかった。
大成功
🔵🔵🔵
フラウロス・ハウレス
蓮(f10083)と参加しよう。
といっても、この場では力を借りる事などないがな。
フン、一騎打ちとは悪くない趣向だ。
だが……相手が物足りぬな。
貴様のような優男で妾に勝てようなどと思わぬ方が良い。
せいぜい楽しませてくれよ?
【血統覚醒】で吸血鬼の姿を取ろう。
「クク……どうした、主は違えど『吸血鬼』に臆するか?」
透明化での攻撃は甘んじて受けながら、奴の動きや攻撃のクセ、気配などを読み取る。
刻まれた傷から流れる血は【ブラッド・ガイスト】で黒爪に喰らわせるぞ。
「猪口才な。どうした、その程度か?」
ある程度したら、黒爪を振りかぶり土手っ腹に大穴を開けてやろう!
「だから言ったであろう。貴様などでは物足りぬと!」
●vs.フラウロス
「フン、一騎打ちとは悪くない趣向だ。だが……相手が物足りぬな」
連れは今どこにいるのやら。
フラウロス・ハウレス(リベリオンブラッド・f08151)は、今もどこかで戦う仲間の力を借りることはないが、ふとあのマジシャンのことが気になった。
しかし、それも一瞬のこと。
今は、よそ事に気を取られている場合ではない。
「子供がなにを……」
オーバースト・フックスは、予想通りフラウロスの容姿に騙された。
「妾を幼子と侮るか? くくっ、笑わせてくれる……」
喉の奥でくつくつと笑いを堪えれば、フックスは怪訝そうに眉根を寄せた。
「貴様のような優男が、妾に勝とうなどと思わぬ方が良い。せいぜい楽しませてくれよ?」
言いながら、彼女は自身の奥底に眠るヴァンパイアの血を呼び覚ます。目は爛々と赤く輝き、
「クク……どうした、主は違えど『吸血鬼』に臆するか?」
「同種に臆すると思うか、ガキが……ずいぶんと大きな口を叩く!」
すうっと透過を始めるフックスは、完全に姿をくらませた。
フラウロスに【ツヴァイ・クラールハイト】に対抗する術は、生憎と持ち合わせていない――だが、フックスの攻撃を甘んじて受け入れることで、動きや攻撃のクセ、気配などと読み取ろうとする。
(「透明になっているだけで、そこにいる……当たり前だが、やはり背後からの攻撃が多い、か――ガっ!?」)
【血統覚醒】させているから耐えられたものの、普段のフラウロスだったなら耐えきれなかったであろう、一撃が入る。
「どうした、口だけか」
気合いを入れて透明化しているフックスも疲労の色が見えるが、そちらは実に楽しそうだ。
(「そろそろ、頃合いか……」)
ダラダラと流れ落ちていく血は、地面に吸い込まれていく。
それとは別に、血を啜る呪われた《黒爪》を掲げ、タイミングを計って身を翻す!
肉を引き裂き、腸を破壊する感触が、実に生々しくフラウロスの手に伝わる。
「先の言葉、そっくりそのまま返してやろう」
土手っ腹に抉り込ませた《黒爪》を引き抜けば、フックスはその場に崩れ落ちた。「だから言ったであろう。貴様などでは物足りぬと!」
フラウロスもまた、多くの血を失ってギリギリで立っているのだが、その勝利は何ものにも代えがたい甘美なものだった。
成功
🔵🔵🔴
結城・蓮
フラウロス(f08151)と共に。
ま、今回は関係ないけどね。
やれやれ、悪趣味な事だ。
けどまぁ、ある意味律儀で助かるよ。
おかげで庭師さんを流すことが出来るからね。
さ、遊んであげるよ。かかっておいで?
《幻想の跳躍》を使って宙を舞いながらひらひらと剣を避け続けよう。
「ほら、ボクはここだよ。どこを見てるんだい?」
空中を跳ねられるのは25回。それまでにボクを捉えられるかな?
無論、合間に反撃も忘れない。
隙だらけの背中に仕込みトランプを【投擲】して少しずつ傷を増やしていく。
25回跳ね終えてボクがやられてなければ時間切れ。
仕込み杖を抜いて、一太刀で首を落とすよ。
「知らなかったかい?黒猫は身軽なんだよ。にゃぁ」
●vs.蓮
「やれやれ、悪趣味な事だ。けどまぁ、ある意味律儀で助かるよ」
ここへは仲間とともにきた結城・蓮(チキチータ・マジシャン・REN・f10083)だったが、今は相方の心配より、蓮のなすべきことに集中しなければならない。
オーバースト・フックスは、長剣を構え今にもこちらへ走りその剣を振り下ろそうとしてるのだ。
それでも、蓮は実にマジシャン然として、笑ってみせた。
「おかげで庭師さんを救うことが出来たからね。さ、遊んであげるよ。かかっておいで?」
「小癪な……! ならば望み通りに、屠ってやらないとな!」
男の双眼から紅光が放たれ、蓮を捉えようとした瞬間、彼女の体は重力から解放されたかのような身軽さで空中へと飛び上がった。
「なッ!?」
突然のことに驚きを隠せなかったフックスは、つんのめる。
【幻想の跳躍】で、空中を蹴ることができるのは、あと二四回。
「ほら、ボクはここだよ。どこを見てるんだい?」
蓮の【跳躍】が終わるまでに捉えることが出来なければ、タイムオーバーだ――そうフックスへと忠告する。
「引きずり下ろすまでだ」
跳ねまわるのならば、【紅光】を放ちその動きを止めて落としてしまえばいい。
しかし、彼女は実に素早く、奔放に跳ね回る。
追うのがやっとのフックスの背に、何枚もの《トランプ》が撃ち込まれ、突き刺さっては傷を作っていく。
「どうしたのさ、早くしないと首を落とすよ」
「そうだな……」
フックスの流し目が、蓮を捉えた瞬間――身の毛もよだつ不快感に襲われた。
首を、手を、足を……血まみれの臓物で絡め取られているではないか。
墜落した蓮は、身動きひとつ取れない状況に、背筋が凍る。
「よくも、コケにしてくれたな……」
見上げる先には、顔面蒼白のオーバースト・フックスが、凶刃を振り下ろさんと立っている。
そしてそれはすぐに訪れた。腹に突き刺さる瞬間の、激しい痛みで、幻惑が解けた!
素早く、【跳躍】してその場を離脱した。
流れる血はとめどなく――裂かれた腹は、痛いが今すぐに気を失って死にそうではない。
《仕込み杖》を抜いて、がら空きの背中側から心臓を一突きにした。
「……危なかった……でも、黒猫は身軽なんだよ……思った以上にね」
消えていくフックスの体を見下ろしながら、蓮は大きく安堵の息をついた。
苦戦
🔵🔴🔴
フィーユ・エバーラスト
一騎打ちだなんて久々だなあ
猟兵の仕事は多数の相手や仲間との連携が多かったからね
腕も立つようだし……不謹慎だけど、わくわくしてきたよ
【属性攻撃】で剣に銀雷を纏わせ、【ダッシュ】で懐に潜り込んだし離脱したり翻弄するように戦う
体を活性化させている雷が全身から迸り、銀の閃光を引く
隙を見て【全力魔法】で【襲奏雷撃】をお見舞いする
透明になられたら【鱗界雷】を頼りに【見切り】
●vs.フィーユ
対峙するのは、金髪が飾る美貌の騎士だ。すらりとした手に握られているのは、人の命を簡単に奪ってしまえる長剣。
猟兵として依頼される仕事のほとんどは、多くの仲間と連携することが多数あった。
だから――というわけではないが、フィーユ・エバーラスト(銀帝・f01873)は銀の瞳を輝かせた。
(「一騎打ちだなんて久々だなあ……! 不謹慎だけど、わくわくしてきたよ」)
傭兵集団の現当主であるが故の高ぶりか、フィーユは《スカイライト・ブリンガー》に、魔力を練り上げ作り上げた《銀雷》を纏繞させる。
オーバースト・フックスの体が透け始めたとき、フィーユは懐に潜り込み、【襲奏雷撃】を全力で叩き込んだ。
掌から放たれる、フィーユの魔力を織り込んだ雷撃が、フックスに襲いかかる!
渾身の一撃だ。そう簡単に次の行動へと移れまい。
フィーユは好機と読む。
身体を活性化させている雷が全身から迸り、銀の閃光を引く――轟くのは雷鳴――剣に纏わせた銀雷が爆ぜ、銀花を散らした。
「はああ――っ!」
咆哮を上げ、疾駆。
素早く振り上げられた《スカイライト・ブリンガー》による剣撃は、フックスの肩から袈裟がけに斬り下ろされる!
斬撃と雷撃を同時に受けた騎士は動くこともできず、苦悶の声を上げた。
透明になる隙を与えない、フィーユの怒涛の攻撃にフックスは崩れ落ちたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
杜鬼・クロウ
アドリブ◎
「…あァ。つまりテメェの私利私欲を満たせるなら、罪無き人がどうなろうと構わねェ。だから適当に理由つけて戦わせた。そういうコトかよ(舌打ち)
はっきり言うぜ。この薔薇に価値はねェ。ゲロ以下だ。
まずはテメェからぶっ倒す(恫喝」
吸ってた葉巻を靴で揉み消しグラサン外す(破損可
風で黒外套と髪が靡く
悲劇の幕は俺が閉じる的な存在感
肩に担ぐ玄夜叉を引き抜き構える
トリニティ・エンハンス使用
攻撃力重視
敵の攻撃は武器受け・カウンター
地形の利用で障害物の薔薇を上手く使う
フェイントを入れ一回転し鎧無視攻撃
分身は見切りか敢えて最小限攻撃受ける
属性攻撃・2回攻撃で炎宿し荒々しい連撃
「いンのは分かってンだよ。失せな」
●vs.クロウ
「……あァ。つまりテメェの私利私欲を満たせるなら、罪無き人がどうなろうと構わねェ。だから適当に理由つけて戦わせた。そういうコトかよ」
存分に怒気を孕ませた低い声音で、杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)は舌を打った。
そして、手を伸ばした先の薔薇を一輪、握り潰す。
「はっきり言うぜ。この薔薇に価値はねェ。ゲロ以下だ」
真っ赤な薔薇の花弁がクロウの足元に散る。その上に吸っていた葉巻を落とし、踏みつけ踏みにじる。
サングラスを外せば、赤と青の瞳が現れた。その双眸には嫌悪と憎悪が色濃く表れている。
クロウは、肩に担いでいる《玄夜叉》を引き抜いて、構えた。
「まずはテメェからぶっ倒す!」
「やれるものなら、やってみろ」
オーバースト・フックスもまた白刃を隙なく構え、クロウと対峙する。
「お嬢の薔薇をコケにしておいて、無事で済むと思わないことだ」
フックスの言下、体が消えていく。
クロウは《玄夜叉》に炎を纏わせ、攻撃力を高めて慌てて奔り、横薙ぎに斬り裂こうとしたが、空を斬り焼いただけだった。
「っ!」
瞬間、背中に衝撃が走る。大きく斜めに斬られたのだ――だが、すぐそこにいることが分かった。
一刃にうちに倒れることはない、なぶり殺しにして多くの血を流させようとしている戦い方に、クロウの気はさらに険悪なものになった。
薔薇の垣根を背にして、大剣を構える。レヴァリエが大事にしているものをフックスが傷つけたりするだろうか――するわけがない。
こうして立てば、フックスは前方からしかクロウを攻撃できないのではないか。
「これだったらどうだ、よ!」
フックスの気配を感じて、炎を宿した大剣を横薙ぎに振る!
ぎいんっ!
耳障りな金属音と、衝撃が駆け昇ってくる――が、それに怯むクロウではない。すぐさま、その防御を無視する炎を燃え上がらせ、フックスを燃やし尽くさんと魔力を注ぎ込む!
「いンのは分かってンだよ。失せな」
距離をとろうと姿を現したフックス目がけて、クロウが飛び出す。距離を詰め、地につけた軸足に力を入れて踏ん張り、炎を噴き上げる《玄夜叉》を振り下ろす!
轟然と燃え盛るフックスの悲鳴すら、炎は飲み込んだ。
オブリビオンが燃えたことで風が巻き起こる――黒外套と、黒髪がその風にかき混ぜられる。
もう少しで、この悲劇に幕を下ろすことが出来る。
あの、女を討てば――
成功
🔵🔵🔴
ゼイル・パックルード
男のほうにも非はあるかもな、しかし殺すのはやり過ぎかも...ってか
ま、どっちでもいいんだけどな。俺は俺でお前らを殺す理由ができたんだから。
ともかくそんな雑魚より俺と遊ぼうぜ。
基本は刀とダガーの二刀。
透明とか分身(一騎討ちって言ってするのかわからんが)は面倒なので【先制攻撃】狙いつつ【2回攻撃】とか手数で攻める。
透明化されたら一旦【ダッシュ】とかで距離を取る。追われたら追われたでその音で場所がわかるだろうから問題ない。
離れたら目を閉じて聴覚と【第六感】に頼る。
間合いに近づいたのを感じたらユーベルコードを使う。
クク、あっちの攻撃とこっちの【早業】、どっちが勝るかね
●vs.ゼイル
《鉄塊剣・獄》、それから生まれた《耐炎ダガー》のふた振りを構えたゼイル・パックルード(火裂・f02162)は、好戦的に笑う。
「俺は俺でお前らを殺す理由ができた。それだけで十分だ」
庭師には庭師としての使命感というか、プライドみたいなものを持っていて、それが暴走したのだろう――それが、結果として約束を破った――契約違反であるのなら、庭師にも非があったろう。
しかし、やはりどうしたって、命を奪うというのはやりすぎだ。
それでもゼイルにはどちらでも良かった。
「俺と遊ぼうぜ、オーバースト・フックス」
ゼイルは言い終える前に、巨大な剣を振り上げ、先制攻撃を仕掛ける――大きな剣へと目を向けさせて、本命のダガーを振り抜く!
脇腹を掠めた一刀目――後退したところへ、巨大剣が振り下ろされる!
辛うじて長剣で受け止め、いなして――しかし、その一撃の重さに、フックスは思わず剣を手放してしまった。
それはまたとないチャンス!
「――死にな」
地獄の炎で鍛え上げた《鉄塊剣・獄》にゼイルの冷酷な殺気を纏わせて、渾身の一撃を見舞う!
フックスは、剣を拾うことを諦め、素早く跳び退った。
「……なかなか」
ゼイルの【邪刃一閃】を躱したフックスは、丸腰だ。落した剣を拾いに行こうにも、ゼイルが隙なく二刀を構えて、彼を見据えている。
圧倒的にゼイルが有利だった。
しかし膠着状態は続かない。真っ向からフックスは駆け抜けてきたのだ。
「クク、お前の足と、俺の早業――どっちが勝るかね!」
勝負だ! とゼイルもまた駆ける。
落ちている長剣目がけてゼイルは跳躍し刀を振り下ろす、フックスは身を低くして全速力で駆け抜ける!
フックスの手に長剣が戻り、それを視たゼイルは着地後、すぐに回転し【邪刃一閃】を繰り出せば、オーバースト・フックスは、拾い上げたばかりの剣で防ごうとする――瞬間、ゼイルは頬に深い笑みを刻んだ。
「今度こそ――死にな」
長剣ごとぶった切る凄まじい一閃は、フックスの首をも刎ね飛ばした。
成功
🔵🔵🔴
杼糸・絡新婦
戦えば宜しいんやろ、
ほな一戦いただきましょか。
SPDで行動
錬成カミヤドリで鋼糸・絡新婦をレベル分召喚し、
絡め取るようにして攻撃していく。
絡新婦、いざ参る、てな。
【フェイント】を交え視線を誘導し、
敵の攻撃は回避していく。
また自分の周りに幾つか
蜘蛛の巣のように糸を張り巡らせ相手の武器に絡んだり、
分身しているなら【敵を盾にする】で防御する。
柔い糸やと思いなさんな。
●vs.絡新婦
「戦えば宜しいんやろ、ほな一戦いただきましょか」
しとやかに着物の裾を捌き、杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)は、二二本もの【鋼糸・絡新婦】を招き出して、絡新婦の周りに展開させた。
「絡新婦、いざ参る、てな」
ふふふ、と静かに笑った彼は、長い手を広げてみせた。
蜘蛛の巣のように鋼糸を張り巡らせて、オーバースト・フックスの長剣やら、足やらに絡みつくように、計算する。
「一騎打ちと言いながら、隠れたり増えたり、遠くから気色悪いモン見せたり……ほんま、下郎のすることはよォわからん」
そう思わんのやろか――絡新婦は、フックスを見やり、小首を傾げる。
さらりと漆黒の髪が揺れた。
彼の緑色の双眸が、ゆったりと《からくり人形:サイギョウ》へと注がれる。
「ほな、いきましょ」
流麗な流し目から放たれる、薄気味悪い幻覚を見せる紅光は、《サイギョウ》に肩代わりしてもらい、絡新婦は、巧みに鋼糸を操り、痺れを切らし向かってくるフックスの足をかけ、鋼糸を斬ろうとした剣を、逆に奪い取ってしまう。
そして、手足を絡め取り、首に鋼糸が巻きついた。
「絡新婦の巣へようこそ――ああ、柔い糸やと思いなさんな、そんなんじゃあ、千切れやんで」
にっこりと、凄絶に笑んだ絡新婦は、ぎゅうっと糸を引き絞り、フックスの息の根を止めた。
大成功
🔵🔵🔵
ヴォルフ・ヴュンシェン
挨拶代わりに【衝撃波】
「俺の間合いで勝負するか?」
吸血牙の剣の間合いに注意しつつ【衝撃波】とBlauでの【串刺し】で中長距離の間合いで戦闘
透明化で近接の不意打ちを考えるよう徹底
透明化されたら【聞き耳】【第六感】で移動音を探る
※流し目されたら目を閉じ同様の対処を行う
透明化し不意打ち攻撃してきた瞬間狙い【カウンター】で【衝撃波】
即、今まで使わずにいた【エーヴィヒ・フェーゲフォイアー】を吸血牙の剣を持つ腕に放ち拘束解除されるまで離さない
「俺の間合いにようこそ」
そのまま【怪力】【鎧無視攻撃】【2回攻撃】で目を潰す
抵抗するだろうが【カウンター】も交え死ぬまで徹底的に攻撃
「骸の海より深い場所まで沈め下種」
●vs.ヴォルフ
薔薇に血を捧げるという奇妙な主をもつ騎士は、その望みを叶えるために、猟兵たちと戦っている。
ヴォルフ・ヴュンシェン(願う者・f13504)もそのうちの一人だ。彼は、挨拶代りに魔力を圧縮した衝撃波を放つ!
それを開戦の合図にして、ヴォルフは《Blau》を槍型にして、隙なく構える。離れすぎず、近づきすぎず――後者は特に、フックスの間合いとなるために注意して、位置取りを考える。
「俺の間合いで勝負するか?」
「できれば遠慮したいな。私には遠すぎる……!」
オーバースト・フックスは短く咆哮して、【ツヴァイ・クラールハイト】を発動させて消えていく。
しかし、それは、ヴォルフの策にあった攻撃方法だ――視覚に頼らず、聴覚を研ぎ澄まし、培った戦場での勘を頼りに、フックスを探す。
移動音を聞き分けるのは、簡単だ――まわりの喧騒さえなければ。遠く離れれば離れるほど、聞き分けることは困難を極めるが、フックスはヴォルフを斬るために近づいてくる。
フックスの間合いに入るのは嫌だが、見えない現状、いたしかたない部分はある。
だから、早々に出て行かしてもらおう。
ざり……
左斜め後ろでフックスの気配がした――と、認識した瞬間、ヴォルフは、溜めていた魔力の奔流を衝撃波として、解き放つ!
そして生じた隙に今まで使わずに、ひた隠していた【エーヴィヒ・フェーゲフォイアー】の黒焔の矢が、フックス目がけて奔る!
剣を持つ腕に見事に命中し、爆発を起こした。苦悶に呻くフックスは、しかし次の瞬間には、驚きに瞠目していた。
「俺の間合いにようこそ」
エメラルドを埋め込んだような双眸の温度が、絶対零度まで下がり、黒焔を纏った金の茨を見せつける。
「こんな一瞬でも、オブリビオンとつながっているなんて考えたくないが……」
金の茨の端と端はフックスとヴォルフを互いに繋いでいるのだ。
逃げられなくなったフックスは、近づけどもヴォルフの《Blau》に阻まれ、距離を取りたくても繋がれているためどうにもならなくて――逃げ出せる方法はただ一つ。
ヴォルフを屠ることのみ。
それすらも難しいフックスは、ただヴォルフに串刺しにされ、薔薇に血を吸われるのを待つだけとなってしまった。
「骸の海より深い場所まで沈め下種」
ヴォルフが、忌わしきオブリビオンから解放されるまで、金の茨は鈍く輝き続けた。
成功
🔵🔵🔴
神元・眞白
【SPD】
ただの薔薇園ならいいのだけど、理由が理由なら元から摘まないと。
そのためにまずは下準備。必要な事は必要な時に。
最初から符雨(人形)と役割を入れ替わり。私はメイド姿に変装。
目立たない様に、符雨は目立つように動いてもらってこっちは支援に。
飛威と符雨でなんとかできるとは思うけど、マカブルは保険に。
途中で入れ替わりに感づかれそうだったら準備して反射。時間差で反射してもいいかも。
気づかれなかったらそれはそれで。入れ替わりに徹すれば楽だし。うん、楽。
符雨はちょっと大変だけどお願い。演技は……その時の流れで。
●vs.眞白
神元・眞白(真白のキャンパス・f00949)は、この庭園にくる前から、《戦術器》たる符雨とその役割を入れ替えていた。
つまりは、符雨が令嬢、眞白がメイドということだ。ミレナリィドールとからくり人形――一見するだけでは区別がつかないだろう。
だが、見る者から見れば、すぐに気づく変装だろう。
とくに、オブリビオンは、本能的に一目見た瞬間に、どんな姿をしてようともすべからく猟兵と認識するのだから。
「…………」
しかし対峙するオーバースト・フックスはそれに気付いているのか、それとも気付いていないのか、あらゆる反応を示さなかった。
(「これは……どちら、なのでしょう」)
メイド服を着た眞白は、判然としないフックスを注意深く観察する。
涼しげな目元は、符雨と眞白を交互に見やる。
薄い唇は引き結ばれていて、開くことはなさそうだ。
短い金髪がそよぐ風に揺れる。
分からない――が、ここまで来たのだ、感づかれたような素振りがあるまで徹底しよう。
事前に決めてあった通りに、符雨に目立つように立ち回ってもらい、それを眞白が後ろから援護しよう。
符雨の手には、銃と御符が握られている。それを彼女は駆使して、フックスへと果敢に攻め入る。
容赦のない発砲音が、銃弾を雨あられと降らせる。
「……ふふ、ふふふ」
符雨の銃撃を搔い潜りなぐりながら、フックスはいよいよ堪えられなくなった笑いで、肩を震わせながら、符雨の懐まで入り込む!
瞬間、ガギィ! と飛威の剣が符雨を守る。
「……どのように私と戦うのかと考えてみたが、さっぱりわからなかったが、なるほど、人形でな、くくく」
喉の奥で笑うフックスのその言葉を聞いて、眞白は、最初から気づかれていたと悟る。
ならば、この入れ替わり作戦を続ける意味はなくなった。
「とんだ茶番だったな」
流し目から放たれた 紅光が眞白に纏わりつく――瞬間、【オペラツィオン・マカブル】が発動され、フックスの一番近くにいた符雨から、彼のユーベルコード【ブルート・イルズィオーン】が排出される。
「なっ!?」
眞白へと放ったはずの幻覚に囚われたフックスは、白皙の面を恐怖に染め上げ――ことはなく、ただ嫌悪に歪めて血に塗れた腸を見ているようだった。
この好機を逃すことはできない。
眞白は、符雨に絶え間ない銃撃を、飛威には斬撃を指示してフックスを追い詰めた。
「茶番、結構よ。私は、うん、楽しめたわ」
だったらそれで構わない。
「符雨、頑張って」
彼女の声音に、呼応するように符雨は呪符をばら撒き、フックスの体内から破壊するような衝撃を与え、外からは弾丸が穿孔する。
大量の血を流し、気を失うように倒れたフックスを見やり、はあ、と眞白は息をついた。
「ちょっと大変なお願いだったね、ありがとう」
符雨を労い、辺りに目をやる。
確かに、立派で美しい薔薇たちだが、これの養分が血というならば、早く破壊してしまわねばならない。
成功
🔵🔵🔴
フォルク・リア
「俺は騎士じゃないが。
お望みなら相手をしてやるさ。」
と武器を構える。
(生粋の魔術士なので構えは一般人と大差ない)
剣の形状に注意し
どの能力が強化されたか予想し対応。
攻撃されるタイミングで
命を喰らう漆黒の息吹使用。
敵の眼前で花びらを発生させ
眼を眩ませて距離を取り
敵の背後に花びらを張り付かせる。
サーベルでは攻撃せず構えて敵の注意を引く。
(手の内が全て知られるまでは、
武器は牽制にはなる筈。
自分と同じ得物なら尚更だ。)
サーベルと散らす花びらで気を引き
ローブに隠した花びらを敵の背後に回し
気づかれない様に生命を吸い取らせ敵を追い詰める。
「剣は素人でも、戦いを生業にしてるんでね。
遅れをとる訳には行かないさ。」
●vs.フォルク
一人、また一人――オーバースト・フックスとの一騎打ちに勝利していくのを肌で感じた。
とはいえ、フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は魔術肌の研究者で、騎士でない。
「お望みなら相手をしてやるさ」
言って使い慣れない剣を構えてフックスの眼前に立つ――もちろん、フォルクは生粋の魔術士であるため、その剣の構え方はひどく不自然で、庭師の男と大差ないへっぴり腰であった。
「そんなふざけた構え方で、私と戦おうというのか」
「そういうことだ。お前も、一騎打ちを望んだんだろう」
全力で侮られているが、それは好都合だ。そのまま、実力不足のカモぐらいに思っておいてくれれば、フォルクとしても立ち回り易くなる。
「お嬢を喜ばせてやってくれ」
すなわち、存分に血を流せ――攻撃力に特化するように剣がより鋭く、薄く尖ったように感じた。
(「……よし、」)
フォルクを斬りつけようと疾駆してくる金髪の騎士をしっかりと見据える――振り上げられた剣身が、眼前に迫る――そこで、フォルクは【冥界の鳳仙花】を花嵐にして舞い上がらせる!
「なん、だ!?」
目くらましにして距離をとる。一騎打ちに消極的なフリをして、気が緩んだフックスの背後に花びらを張り付かせた。
「そっちの方が剣は強そうだから、ちょっとハンデもらおうかなって」
散らす花弁は無数にある――その一部がフックスの背に張り付いているとは思わないだろう。
下手な構え方でサーベルを揺らして、気炎を上げるフックスの勢いを逸らせる。
フォルクの攻撃方法は構えたサーベルと、舞い散るだけの花弁だと思わせることができた。
(「そのまま、俺を侮れ……」)
閃いた剣をギリギリで躱して、騎士の背に張り付けた花弁から、気づかれない様にじわりじわりと生命を吸い取り、フックスを追い詰める。
一人で消耗し、一人で焦り、そして消えてゆけ。
フォルクは、目深にかぶったローブの奥で、薄く笑った。
そして、サーベルを地面に突き刺し、種明かしをする――苦痛にゆがんだ美貌は、【生命を喰らう漆黒の息吹】を今度は隠しもせずに発動――鳳仙花の花弁に塗れて、花嵐が熄んだときには、跡形もなく消え去っていた。
「剣は素人でも、戦いを生業にしてるんでね……遅れをとるわけには行かないさ」
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『姫騎士・銀氷の蒼薔薇』
|
POW : 氷刃嵐華
【剣から放たれる氷刃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【剣による連続攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 絶対零度の氷界
【薔薇の魔法陣から放たれる絶対零度の氷槍】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【上を身も凍るような冷気で覆い】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ : 無影の氷針
レベル×5本の【対象の動きを鈍らせる氷結】属性の【透明度の高い氷の針】を放つ。
イラスト:オムレットマト
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「シエル・マリアージュ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
【第二章プレイングは、追加OP掲載後に送信していただけると助かります。追加OPは、3月17日(日)中の掲載を予定しています。ゆっくり運営で申し訳ありません……】
●
姫騎士・銀氷の蒼薔薇――麗しの名はレヴァリエ。
彼女は満足げに微笑み、艶やかな髪を揺らせて、血色の薔薇を撫でる。
側近のヴァンパイアも、決して弱いわけではなかった。ただ、押し寄せてきた猟兵の数が多く、いかな分身が得意なフックスとて、処理しきれなかったのだろう。
しかし、流れた血は、すべて薔薇が吸い上げた。
それでもまだ足りない。
レヴァリエには聞こえる――薔薇の声が。血を欲する声が。
「フックスも頑張ってくれましたが、負けてしまったのでは仕方がありません。わたくしの庭園も傷つけられましたし、あなた方を生きて帰すわけにもいきません」
とても丁寧に言葉を紡ぎ出し、ゆっくりと猟兵の前に歩み出てくる。
「薔薇の栄養になっていただきます」
レヴァリエはよく手入れされた剣を抜く。
氷像のごとき美貌を、決然と引き締める。
紫瞳は、氷のように冷たく尖り、踏み出した一歩――そこが霜が降りたように、凍りつく。
それでも、真っ赤な薔薇が香り立つ。
凍る風を受けてなお、瑞々しく咲く魔性の薔薇は、いまかいまかと血を待ち侘びる。
「あんたは一対一とか面倒なことは言わないのか」
「わたくしは、決闘を見ることが好きなのです。決闘はやらせてこそ美しいのです」
問うた猟兵は、レヴァリエの言葉に眉をひそめた。彼女はそれを気にした様子もなく、
「一滴も無駄にいたしません。あなた方の血肉のすべてを、わたくしが貰い受けます」
有言実行することは、騎士として、また主として当然のことだ。
言ったからには、やり通す。レヴァリエにはその覚悟がある。
「かかってきなさい、猟兵ども――そのことごとくを凍らせ、砕き、滅して差し上げます」
▼マスターより
お待たせいたしました。
フィールドに障害物はございません。
思う存分に戦っていただけます。
プレイングは、当方のスケジュールの関係で【3月19日(火)8:30〜】とさせてください。
チームアップされる方は、プレイング送信日をあわせていただけると助かります。
この日以前に頂いたプレイングは返却する可能性があります。もちろん再送は受け付けます!
どうぞよろしくお願いいたします。
フィーユ・エバーラスト
■連携不可
もっと手応えがあると期待していたんだけどね……分身の一体だったし、こんなものなのかな
キミは、ボクの期待に応えてくれるんだよね? 銀氷の蒼薔薇
キミの銀氷とボクの銀雷……その身を砕くのは、果たしてどちらかな?
氷刃には雷刃を。攻撃を【見切り】ながら近接戦闘を挑む
迸る銀雷と【殺気】で【恐怖を与える】
少しでも怯めば、勝負を決める
自身の血で薔薇を染め上げる。キミはそれも良しとするのだろう
「しかしボクは意地悪なんだ。――キミにはなに一つ残させないよ」
一瞬あれば【刺奏滅殲衝】を撃ち込むには十分
銀の雷光は身体を貫き、全身の血液を瞬時に沸騰させる
血すら残さない。悔いたまま消えていくといい
●
フィーユ・エバーラストは、レヴァリエの前に立ちはだかる。
「キミの側近さ、もっと手応えがあると期待していたんだけどね……」
《銀雷》を左腕に迸らせ、双眼を細める。
彼女と一戦を交えたオーバースト・フックスは、数いた分身の一体だった。正直なところ、その力量は拍子抜けだった。
「キミは、ボクの期待に応えてくれるんだよね? 銀氷の蒼薔薇」
「どんなことを望んでいるというのですか、あなたがわたくしに殺されるということでしょうか」
「キミの銀氷とボクの銀雷……その身を砕くのは、果たしてどちらかな?」
「愚問ですね」
言下、レヴァリエは一歩を力強く踏み込んで、凍てつくほどの烈気を漲らせ、銀剣で空を薙ぐ!
剣風に巻かれるように現れた氷刃は、一直線にフィーユへと飛来――大丈夫、予測した軌道と大差ない、これなら見切れる――彼女の剣が雷電に爆ぜ一閃、氷刃の勢いが削がれ落ちた――そう思った一瞬に、フィーユの腿へと深々と刺さる。
「なっ!?」
「なぜ、どうして――詮ない自問自答をしながら、逝きなさい」
眼前に迫るのはレヴァリエの、冷たくも熱い双眸。
閃くレヴァリエの剣刃が、フィーユへと猛威を振るう!
あらゆるところを斬られ、衝撃と激痛に意識を持っていかれそうになるが、彼女は踏み止まる。
飛び散ったフィーユの血で、薔薇が濡れる。
「あらあら、とても素敵な姿になりましたね――わたくしの薔薇も、とっても喜んでいますわ」
冷たい笑みを白い頬に刻んだレヴァリエへ、フィーユは鋭く息を吐き、雷電を纏う《スカイライト・ブリンガー》を刺突!
「そうやって……笑うのは、油断してる証拠?」
迸る《銀雷》は、フィーユの殺気を発露させ、雷花が爆ぜて、
「キミにはなに一つ残させないよ」
フィーユの銀の雷光は、レヴァリエの身体を貫き、全身の血液を瞬時に沸騰させんとマイクロ波が放たれる――予定だった。
「そのことごとくを滅すると、わたくしは言いましたよ」
ギィイン!
掬い上げられるようにフィーユの剣は弾き飛ばされ、纏った雷電をも断ち切る氷刃が再び放たれる。
「凍り砕かれ、その血肉を薔薇へと捧げなさい」
「冗談……!」
フィーユの咆哮、それに呼応した《銀雷》が放たれた氷刃を撃ち落とし、体勢を立て直すだけのわずかな時間を捻出、瞬間、彼女の剣は姫騎士の右肩を穿孔する!
「血を捧げるのは、そっちだよ」
本当なら、体内から血を沸騰させて、それすら残させるつもりもなかった――しかし、一矢報いた。
一瞬でもその涼しい顔を苦痛に歪めてやった。
彼女は、歯がゆく思いながらも、その出血をとめるために、レヴァリエから距離を取り、あとの猟兵たちにバトンを渡した。
苦戦
🔵🔴🔴
ヴェスター・アーベント
目的/レヴァリエの撃破
「美しさの中に邪悪を秘めた傲慢なる騎士め、貴様の全てを暗黒で侵してやろう」
戦術/UC【闇ノ誓約】を使用
「高みから見下ろす時間は終わりだ、剣を執れ…決闘だ」
宣誓するルールは【剣術以外の使用を禁ずる】
「薔薇園ごと、闇に飲まれろ」
『怪力』を以って振るう攻防一体の剣技にて正面から斬り伏せる。
聖剣の『武器受け』で攻撃をいなしながら、『鎧砕き』の暗黒を纏う魔剣を『カウンター』で振るい、斬りつけて『吸血』し『生命力吸収』で受けた傷を癒しながら敵を倒すまで戦う継戦能力と破壊力に長ける戦術でレヴァリエを粉砕する。
「貴様の全て、貴様の血、全てを奪ってやる」
※アドリブ歓迎
ゼイル・パックルード
このまま生かす気がないのはこっちも同じさ。愛する薔薇の中で朽ち果てるなら本望だろ?
しかし冷静、気丈なようだけど大事な薔薇を踏みつけられたら怒ってくれるかね。そのほうが動きは読みやすいんだけど。
最初は相手の攻撃を【見切り】きれるように回避や【武器受け】しつつサムライブレイドの【早業】で隙を狙ってみたりもする。
特に氷刃には注意する。
攻撃をある程度見切れたら、ナイフを【投擲】して隙を作りつつ烈破灼光撃。
もし相手の氷刃に当たれば、連続攻撃の終わりを狙って、【カウンター】を狙っての烈破灼光撃を放つ。
凍らせるんだろうに、燃えてしまってたらお笑いだな。自分の血が養分になった感想はどうなんだかね?
ヴォルフ・ヴュンシェン
※アドリブ、即興連係歓迎
【視力】で敵の攻撃動作の特徴や【聞き耳】【第六感】で危険を察知し無防備に攻撃されないよう備える
(決闘で知られたことを利用する)
茨で繋ぐ拘束や隙を作ることを狙っているように見せる為姫騎士が攻撃しようとした瞬間や味方の攻撃直後に馬鹿のひとつ覚えレベルでUCを積極的に使用していく
(本命は別)
単調と思われて狙われるか、先方が味方の攻撃で体勢を崩した瞬間に薔薇に向かって【衝撃波】を撃ち、【範囲攻撃】で魔性の薔薇を徹底攻撃
姫騎士の力で耐性がある場合指摘の最中に姫騎士へUCと見せかけてBlauで攻撃(【怪力】【鎧無視攻撃】【串刺し】)
「自覚ないのは幸せだな」
お前が一番無駄だ、枯薔薇
フレミア・レイブラッド
お嬢様にしてはなかなか堂々とした宣言ね…良いわ、わたしも本気で貴女を砕き、滅ぼしてあげる♪
【ブラッディ・フォール】発動し、「血と狂宴のアイジス」で倒した「リーシャ」のドレスと槍を装備し、自身のグングニルとの二槍流に変化。【ブラッディ・カーニバル】で高速移動しつつ、血の刃で敵の氷刃や氷槍、氷針を迎撃。地形を凍らされたら【魔槍剛撃】で地形を破壊。
攻撃は敵の動きを【見切り】、【怪力、2回攻撃、早業】と【ブラッディ・カーニバル】の高速移動を絡めた【魔槍連撃】で攻撃。
敵に攻撃を加えたら槍についた血を【吸血】で摂取して活性化し、更に自身を強化して追撃の【連撃】から【剛撃】で仕留めるわ!
※アドリブ等歓迎
●
レヴァリエの宣言は、なかなかどうして、側近の騎士に守られていた『お嬢様』にしては堂に入っていた。
だからこそ、フレミア・ブラッドレイも赤瞳を細め、笑みを深める。
「わたしも本気で貴女を砕き、滅ぼしてあげる♪」
フレミアは、己の《ドラグ・グングニル》を忌まわしき薔薇の根が蔓延る地面に突き立て、【ブラッディ・フォール】を発動させ、彼女の服が真っ赤なドレスへと変容し、なにも持っていなかった手に、新たな槍が握られる。
かつて、骸の海へと突き返したオブリビオンの姿を自身に下ろした――次の瞬間、無数の氷の針が飛来する!
「……!?」
氷結属性の針はフレミアの耳を掠め、頰を裂き、慌てて突き立てていた《ドラグ・グングニル》をも抜いて一閃、眼球に刺さりそうだった針を薙ぎ散らす。
「それから、どうするおつもりでしょうか?」
レヴァリエは問う。その無数の針を撃ち出しながら、フレミアの体を突き刺しながら。しかし、彼女とてやられっぱなしではない。
手にした槍で【無影の氷針】を迎え撃つ。割り砕き弾けさせる。しかして、数が多い――薙ぎ払えども薙ぎ払えども、他の氷針は体中を刺し貫き、フレミアの体を凍りつかせていく。
「滅ぼしてあげる、ですか――あなたが、わたくしを滅ぼす? あなたたち猟兵は、心底わたくしを侮っていますね」
透明で見え辛い氷針を伝って、フレミアの血がボタボタと血溜まりを作り出す。
「その真っ赤な姿、嫌いではありませんよ」
フレミアの喉からひゅうっと息が漏れた。
まだなにもなしていないというのに、運命の女神は、オブリビオンに笑んだのだ。
そして、抜き身の銀剣を手に、レヴァリエはフレミアへと疾駆する!
「フレミア!」
響くのは、張りのある低い男の声――オーバースト・フックスと戦っていたときに聞こえた声だ。
かすむ視界に動いたのは、漆黒の長髪の男だった。
「一旦引け。あとは、任せろ」
「そういうことだから、ちょっと休憩しててな」
フレミアとレヴァリエの間に体を割り込ませた二つの広い背に、彼女は唇を噛んだ。
ヴェスター・アーベントと、ヴォルフ・ヴュンシェンだった。
黒い鎧を纏った美丈夫は、レヴァリエの正面に決然として立ちはだかる。
「美しさの中に邪悪を秘めた傲慢なる騎士め、貴様の全てを暗黒で侵してやろう」
そう啖呵を切ったのはヴェスターだ。
「闇から逃れる事は出来ない、暗黒に背く事は出来ない――それは真理だ」
ヴェスターの言下、俺の大きな掌から闇波動が放たれる――回避も防御も不可能だというその波動は、レヴァリエを捕らえ飲み込んだ。
「今から、貴様は剣術以外の使用を禁ずる――なに、簡単な事だろう。自慢の氷結魔術を使わなければ良い話だ」
「なぜ、あなたにそのようなことを決められねばなりませんの?」
四肢に纏わりつく審判の黒い靄を嫌そうに振り払おうと少しだけ、後退ったレヴァリエだったが、すぐに銀剣を握り直して隙なく構える。
「【闇ノ誓約】だ……そのルールを破ってみろ、貴様はそこで薔薇の餌食となる――さあ、貴様の好きな決闘だ、剣を執れ」
その高みから引き摺り下ろしてやる、とヴェスターは、《聖剣》と《魔剣》を構え特攻する。
ヴェスターの怪力でもって振るわれる攻防一体の剣撃を、レヴァリエは物ともせずに、その細腕からは想像できない膂力を発揮して剣閃をいなし、舞うように突き込んでくる。
《聖剣》が辛くも防ぐ。レヴァリエの剣が鋭い金属音を立てて、火花を散らした。
「わたくしに剣で挑んでくるは、褒めて差し上げましょう」
それでも、先に負っている傷が痛むのか、時折技に精彩を欠く。そこを見逃してやるほどヴェスターは優しくない。
暗黒を纏う《魔剣》を振り上げその鋒が、仰け反って躱したレヴァリエの顎先を斬る。斬れば斬るほどにレヴァリエの生命力を吸い上げる。
転瞬。
レヴァリエは、その斬撃から氷刃を放った。
闇ノ誓約は破られた。
彼女の体の奥底から苛む闇波動が襲う!
ぐうっと息をつめて、よろめいたレヴァリエに向かって、ヴェスターは距離を詰める。
「貴様の全て、貴様の血、全てを奪ってやる」
波動でダメージがあるとはいえ、姫騎士はヴェスターの理にかなった攻撃を躱し続けるが、彼女は猛攻の隙に、慌てて距離をとった。
そんなレヴェリアへ次なる災厄が襲う。
五感を研ぎ澄まし、それが越えたところにある直感を閃かせるヴォルフだ。
【エーヴィヒ・フェーゲフォイアー】による黒焔の矢が飛来して、矢はレヴァリエの脚に着弾、大きな爆発が起こる。
「さっきの見てたんなら、わかるよな――」
フックスがどのように死んでいったか覚えているはずだ。
ヴォルフとレヴァリエを繋ぐのは、金色の茨だ。轟然と黒焔を上げ燃え盛る茨は、姫騎士を焼いていく。
こうして拘束することで、隙を作る。
そうすることで仲間が動きやすくなる――そう思わせることで、ヴォルフな真なる目的を遂げることが出来るのだ。
「一足先に地獄を味わいな!」
ゼイル・パックルードが咆哮して、地獄の炎を宿した拳を叩き込む!
「愛する薔薇の中で朽ち果てるなら本望だろ?」
気炎を噴いてゼイルは、接近したままのレヴァリエに向かって、金瞳を獰猛に細めて笑う。
昏く暗く、姫騎士を挑発するように剣を高速で振り抜き、目にも止まらぬ速さでレヴァリエを翻弄した。
両者の剣が火花を散らす。
隙をついてはヴォルフの黒焔の矢が放たれ続ける。煩わしそうにレヴァリエはヴォルフを睨みつけるも、こちらへ攻撃の手を回す余裕はないらしい。
「凍らせるんだろうに、燃えてしまったらお笑いだな」
脚には黒焔、繰り出されるのは灼熱の業火――そうして、レヴァリエの注意がゼイルへと注がれる最中、ヴォルフは動く。
(「……こうすれば、お前はどうなるんだろうな、枯薔薇よ」)
ヴォルフの魔力を練り上げた衝撃波が、轟音を上げて薔薇の垣根へと放たれる!
そしてそれはうねりを上げて、連鎖して広がって搔き乱した。
これこそが、ヴォルフの狙っていた真なる目的――この忌わしい薔薇どもを傷つけ、レヴァリエの気をそらし、仲間の猟兵の手助けとなること。そして、ヴォルフの《Blau》がより確実に届くようにすること。
衝撃に揺れていた薔薇は、しかし、どういうギミックかまるで傷ついていなかった。
「大事な薔薇を踏みつけられたら怒ってくれるかと思ったが……傷つけられないんじゃあ、仕方ねえな」
感情を読みやすくなるやもしれんと考えていたゼイルも、今のヴォルフの一撃を見て切り替えた。
「そうですね、しょうがないですね――そうまでしてわたくしの薔薇の養分となりたいのであれば……ふふ、言ってくだされば、今すぐに殺して差し上げましたのに」
彼女は言いながら氷刃を放つ!
「ッ!?」
防ぐ心づもりでいたが、その速度は思った以上に速く躱しきれずに頬を裂かれる――レヴァリエは、氷像のごとき頬に薄ら笑みを浮かべ金の茨を引き千切って疾駆、ヴォルフへ肉薄、息もつかせない剣舞を踏んだ。
「よそ見してんじゃねえ!」
斬られ血を流し、止めの一刀を入れられかけた、その刹那にヴォルフの耳に刺さったのは、ゼイルの咆哮。
そして、肌を焼くほどの業火の熱風だった。
自身も血を流しているというのに、炎に焼かれているというのに、レヴァリエの勢いは衰えることを知らない。
その気勢をそぐように、ゼイルは【烈破灼光撃】を渾身の力を込めて叩き込む!
レヴァリエの脇腹にきまって、彼女の体は吹っ飛んだ。
地にしたたかに体を打ちつけて、息が詰まる姫騎士へ襲いかかるのは、弾丸の嵐だった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
ザザ・クライスト
フィラメント(f09645)と連携
【POW】魂が肉体を凌駕する
「なんとか隙を作るぜ」
【ダッシュ】で接近、バラライカで【先制攻撃】
随時銃撃で【挑発】【おびき寄せ】る
銃撃に紛れて【束縛の鎖】で行動を阻害
攻撃は【盾受け】で防御、が、ぶち抜かれてフッ飛ばされる
「クソッタレがァッ!」
形勢逆転後は【逃げ足】で無様に這いつつ銃撃、が逆撃を喰らう
「グガガガガッ!?」
視界が赤く染まって良くわからねェ、とにかく鎖は離さない
氷刃嵐華でめった刺しのボロ雑巾
「……どこに行く気だ? オレァはまだ死んでねェぞ」
ゾンビのように立ち上がり唇が弧を描く
恐怖、躊躇、なんでもイイ
一瞬でも姫様の注意を全てオレに向けさせる
あとは任せたぜ
フィラメント・レイヴァス
ザザ(f07677)と連携
ザザの作った隙を逃さず
地上がお姫様の氷結零度の世界なら、と
ワイヤーや鋼糸を駆使し、気配を薄めて上空から仕掛ける
けれど、それだけでは決め手は叩き込めないだろうから
相変わらず滅茶苦茶な戦い方をするよね、ザザは
でも……たまには、ザザを見習ってみようかな
持ち前の俊敏性を活かしつつ、誘き寄せで自分をも囮としお姫様へフェイントをかける
血塗れたからくり糸を手繰って、絡新婦で騙し討ち
ーー喰い散らせ、絡新婦
わたしが動き回れなくなっても、この指さえ動くなら
絡新婦は自由の身
薔薇の栄養になるなら、別にわたし達じゃなくても良いんだよね?
まあ、どちらにせよ
君が大事にする花ごと、踏み荒らすけどね
●
「なんとか隙を作るぜ」
ザザ・クライストはフィラメント・レイヴァスに軽く手を上げ、走りだす。
隙もなにも、今まさに倒れているのだが、それでも用心するに越したことはない。
短機関銃・《バラライカKBN18》が火を噴いて弾幕を張り続ける。
その弾幕を隠れ蓑した【束縛の鎖】が大爆発を引き起こして、真銀の鎖で互いが繋がれた。
レヴァリエは、その弾丸の中、痛みに耐えながらも体勢を整えて、銀剣を一閃させ、氷刃を解き放つ!
弾丸では弾ききれなかった氷刃は、ザザの足へ深々と突き刺さった。じわりと血が凍るような感覚――次の瞬間、目にも止まらない強烈な斬撃が、ザザの掲げた盾を弾き飛ばして鋭く執拗に刺突される。
「ぐあああッ!」
繋がれた鎖を意地でも放すまいとザザは意識を持っていかれそうな激痛に耐える。
「よく、よく耐えますわね……血が惜しくないのですか――自主的にわたくしの薔薇を育てようとしてくれているのですね」
レヴァリエは、皮肉さえ丁寧に囁くように吐き捨て、血で染まった銀剣をザザの腹から抜いた。
「……まったく、相変わらず無茶な戦い方を……!」
しかし、やりすぎだ。
今まで息を潜めていたフィラメントは、蜘蛛よろしく、鋼糸を張り巡らせて作り上げた巣から落ちてくる。
この奇襲でいくらかこちらに意識を向けることが出来るだろう。
ザザに倣って、今回ばかりは無茶をしてもいいかもしれない――フィラメントは持ち前の俊敏さを活かして、レヴァリエの背後を取る。
「餌の時間だよ……絡新婦」
血塗られたからくり糸を手繰れば、彼女の生ける傀儡は、水を得た魚のようにレヴァリエへと襲いかかる。
それを跳び退って躱そうとした彼女は、果たしてうまくいかなかった。
脚に絡みつくのは、ザザの真銀の鎖――レヴァリエはその美しい顔を歪めて、舌打ちをした。
「……どこ、行く気だ……、オレァ、まだ……死んで、ねェ!」
息も絶え絶えだが、その血のように赤い双眼が放つ烈気は、衰えることを知らない。
(「ハハ、その顔、いいぜ! 恐怖? 驚愕? なんだってイイ!」)
一瞬で十分。フィラメントが立ち回る時間を捻出できたのであれば御の字――レヴァリエの注意が、フィラメントから、ザザへと移行した瞬間。
「かはッ」
レヴァリエの目が見開かれて、崩れ落ちた。
「――美味しいか、絡新婦」
フィラメントだ。彼女のほっそりとした指に絡みつく糸の先にいる絡新婦だ。
フィラメントの可愛い傀儡は、炎の拳を叩き込まれた腹へと食らいついている。
ドロリと鮮血が吹き出し、蜘蛛を瞬く間に赤く染め上げていく。
「薔薇の栄養になるなら、別にわたし達じゃなくても良いんだよね?」
血を流す、姫騎士へとフィラメントは嗤う。
呼気荒く、睨め上げてくるその視線に、ぞわりと肌が粟立った。
まだ、死んでいない。その烈気、士気、怒りにも似た激情――フィラメントは無意識に頬を緩ませた。
「いいね……まあ、どちらにせよ、君が大事にする花ごと、踏み荒らすけどね」
言って絡新婦を手繰り、牙をむかせる――が、そこにいるザザをも巻き込むように、薔薇の魔法陣が、彼女の頭上に現れ、放たれたのは雨のような絶対零度の氷槍だった。
「ザザ!」
さすがに、逃げ足に自信を漏らしていた彼とて、そこまでの大けがを負った状態ではうまく逃げられないだろう――フィラメントは舌打ちをして、決死の覚悟で活路を見出してくれたザザへと絡新婦をさし向け、傘とした。
自分へと向かってくる氷槍を躱すフィラメントは、今度は寒さで背筋を凍らせた。
落ちてきた氷槍は、庭園へと刺さり、そのことごとくを凍らせるような冷気を放つ。
レヴァリエの傷は癒えなかったが、一撃の力が増していく。
彼女は絡新婦にザザを咥えさせて一旦引いた。
「まったく、無鉄砲も考えものだからな」
「……ううう」
フィラメントは、嘆息を隠せなかった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
煌天宮・サリエス
「血濡れの薔薇も枯れる時が来たのです。」
右頬の聖痕を起点に、体全体が光で包まれる。
「そう、貴女の存在の焼却を持って」
光が全身を包むと同時に輝き、光は【破魔】の力を宿す黄金の炎へと変化する。
私の身を包むのは、鎧であり、矢であり、斧槍を強化する黄金の炎。
相手の氷の針はこちらも炎を矢に変え放つことで対抗する。
討ち漏らした分は、炎で威力を減じさせ斧槍や【オーラ防御】で受ける。
攻撃は炎を纏った斧槍で【鎧砕き】と【鎧無視攻撃】の技能を使った一撃を与えていく。
牽制として炎の矢を放つことや呪いの剣袋から玉を取り出し顔に向けて投げることによって相手の行動を縛ろうとする。
貴様は業深き薔薇と共に焼却されるがいい。
フォルク・リア
「成程。その醜悪な薔薇に随分とご執心と見える。
が。人の血を喰む花の存在を見過ごす事はできないんでね。
俺はそれを葬る為にここに来た。」
「氷になるのも。養分になるのも願い下げる。
今、この時を最後に主共々焼け散って貰おう。」
全力魔法を使用した真羅天掌で攻撃。
発生させるのは炎属性の大波。
薔薇を焼き、周辺温度を上げ氷の威力を削ぎ。
敵が氷針を発生させたら溶かす。
更に残像を発生させて移動し多方向から
炎の大波を撃ち的を散らして
氷針を溶かして蒸発させ、蒸気等から来る方向を感知して回避。
氷針を受けて動きが鈍くなったら
下手に動かず。
真羅天掌を発動して攻撃を迎え撃つ。
「もう動き回る必要もないか。
此処で片を付ける。」
杼糸・絡新婦
驕りにならん強さがある言うんやったら、
ありがたく乗らせてもらおうやないか。
【フェイント】を交えた攻撃を行い、
視線誘導や、攻撃先の誘導を行います。
回避するようにみせかけつつ、
自分に来る攻撃以外にも、
他者へくる攻撃に間に合えば【かばう】を利用し、
タイミングを合わせ脱力して
相手の攻撃を受け止めUC発動。
出番やでサイギョウ、全部お返してしまい。
大事な薔薇やろ?あんたさんの血もくれてやりな。
※アドリブ可
フェルト・ユメノアール
んー、悪いけど、ボクは花より笑顔が好きなんだよね
だから、薔薇を育てたいなら自分だけでやってよ
と言い捨てて戦闘開始
ショウマストゴーオン!
ボクの可愛いアシスタントを紹介するよ!
現れろ!【SPキャンドール・フラン】!
フランには後方からの援護をお願い
敵に亡霊をまとわりつかせ、行動を妨害し
こちらに飛んでくる氷針は蝋燭の炎で少しでも相殺してもらう
そして、ボク自身は『トリックスターを投擲』しつつ敵に接近
さらにその投擲の中に『ワンダースモーク』を混ぜ、うっかり攻撃した敵を煙に包む
剣とダガーなら間合いの内側に入り込んだ方が有利!
一気に敵に詰め寄り、そのまま『カウンター』の一撃を加えるよ!
仁科・恭介
※アドリブ、共闘歓迎
UC対象:レヴァリア
【携帯食料】を貪りつつ真紅の瞳に変え状況を確認。
踏出した一歩に違和感を感じる。「氷?なぜ地面に氷?」
「(【礼儀作法】)どうもレヴァリエさん。あの言葉…こっちの手の内を見てますね。じゃ、貴女の手の内も晒しましょうか」
相手の手の内を明かそうと、わざと【ダッシュ】と【残像】を使用した連携で攻撃開始。
攻撃しながら注意深く癖や攻撃方法を探す。(【失せ物探し】)
戦いつつUC経由で伝わる相手のテンションとフィールドの状況を元に判断し注意喚起。(【学習力】)
「歩いた後はアイスバーンだ。それをトラップに使っている。足元には気をつけろ。」
●
氷漬けの庭園に吹く風に、青い髪が靡く。
傷を負い、血を流し、泥で汚れた姿ですら、姫騎士は凛然と立ち、猟兵たちと対峙する。
永久凍土のような冷たい瞳、荒い息は、白く鋭く吐き出され、霧散していく。
「さて……次はどなたがわたくしと相対するのですか。どうやら、あなたたちは、わたくしと戦うほかに、わたくしの薔薇をも狙っているようですから……少し、本気でお相手しなければなりませんね」
まるで、今までの戦いを前哨戦だとでも言うような口ぶりに、思わずため息がもれる。
「なるほど……この醜悪な薔薇に随分とご執心と見える――が、人の血を喰む花の存在を見過ごす事はできないんでね。そのとおりだ、お姫さん。俺はそれを葬る為にここに来た」
ようよう対峙することができた。あの一騎打ちを望んだフックスとの一戦――フォルク・リアの手には、慣れない剣はもうない。
「血濡れの薔薇も枯れる時が来たのです」
右頬の《羊馬の星煌痕》を起点に、体全体が光で包まれる――オラトリオの少年は、聖者然と闇を照らす光となった。
「そう、貴女の存在の焼却を持って」
煌天宮・サリエスは、光に破魔の力を纏繞させれば、神々しく黄金に輝く炎へと変化していく――煌天宮の加護・【羊馬】の力を解放したサリエスは、己の命と引き換えに強大な力を得る。
「氷になるのも、養分となるのも願い下げる」
目深にかぶったフードの奥の紫瞳がギラリと光る。そして、フォルクの唇は澱みなく呪文を紡ぎだす。
「大海の渦。天空の槌。琥珀の轟き。平原の騒響。宵闇の灯。人の世に在りし万象尽く、十指に集いて道行きを拓く一杖となれ」
【真羅天掌】――業火の海嘯が庭園を飲み込まんと荒れ狂う。
フォルク渾身の魔術だが、その制御は針の穴に糸を通すような繊細さが求められる。一たび暴走すればどうなるかわからないが、それでもこの姫騎士の所業を見過ごすわけにはいかなかったのだ。
この薔薇園を破壊しなければ、この騎士を骸の海へと再び突き落さねばならない。
一気に気温が上昇する。
「溶かし、燃やして、焼け散ってもらおう……!」
「……小癪な!」
レヴァリエは、溶けゆく己の氷を見、炎の大波を忌々しげに睨む。
その瞬間だ。レヴァリエの体を焼くような焔の矢が奔る!
「よそ見できるとは、いい度胸ですね――貴様は業深き薔薇とともに、私たちの炎で焼却されるがいい」
レヴァリエが放つ無数の氷針が、フォルクの魔力が織り込まれた炎の力によって溶けだして、サリエスの振るう斧槍が纏う黄金の炎で砕け散っていく。
「私の身を包むのは、黄金の炎……私の鎧であり、矢であり、斧槍を強化するものです」
破魔の力が備わった炎は、轟々とうねりを上げる。
レヴァリエの氷を封じてみせた二人は、止めだと言わんばかりに蒼薔薇へと、出せる力のすべてを解放する。
「これで片をつけよう――覚悟は決まったか」
「戯言をぬかすな!」
大音声と共に解き放たれた、レヴァリエの氷針はその身を溶かされながらも、サリエスの肩に腹に突き刺さり、フォルクの足を刺し貫いて、あまりの衝撃に二人の炎が消えていく。
肩で息をするレヴァリエの昏い眼がフォルクへと注がれる。
「その力、なかなかに厄介でした……ですか、あなたのその顔――もう一度同じ規模の魔術は難しそうですね」
「それはどうだろうな――教えてやる義理はない」
フォルクは冷たく言い放つ。じわじわと体の奥底から凍りついていく中、炎の制御は難しそうだ。
サリエスを見やる。
あの規模のユーベルコードをもう一度発動させるとなると、なかなかに骨が折れる。あれは強力だが、それゆえにサリエスの命を削るのだ。
「凍りつき、その身をわたくしの薔薇へと捧げなさい」
透明な、視認することが難しい無数の氷針が三度出現して、それは、二人へと奔る!
「紹介が遅れたかな!? そこはご愛嬌! ボクの可愛いアシスタントを紹介するよ! 現れろ! SPキャンドール・フラン!」
ことさら明るい声がしたとたん、ぼわりと蝋燭の火が灯る――その小さくも力強い火は、サリエスとフォルクに刺さるはずだった氷針を溶かしてしまう。
「悪いけど、ボクは花より笑顔が好きなんだよね。だから、薔薇を育てたいなら自分だけでやってよ」
フェルト・ユメノアールだ。
彼女は、ちらりと二人に目配せして、すぐにレヴァリエへと視線を戻す。
亡者を率いる少女――フランの霊を招いたフェルトは、彼女に援護を頼んだ。
フランの配下の亡霊や、蠟燭の火がレヴァリエの行動範囲を限定させるように展開する。それは、彼女の攻撃の手が届きやすく、姫騎士の行動を予測しやすくなるということだ。
「ボクらの血を差し出せとか、ホント、勘弁して!」
言いながら、フェルトは《トリックスター》を投げつける!
その軌道を読んでひらりと躱したレヴァリエだったが、躱した先へすでに投擲されていたものがある――それが何かを確認するより先に、彼女は銀剣を振るい、それを斬り弾こうとした。
「……ッ!?」
投擲用のダガーが飛び交う中に、フェルトは《ワンダースモーク》を織り交ぜていたのだ。
それをよく確認もしないで剣で斬ってしまったレヴァリエは、ポップに色づけされた煙幕に飲み込まれる。
その隙を逃さず、フェルトは姫騎士へと間合いを詰めた。
剣とダガー。
どちらも近接武器とはいえ、間合いが違う――より小回りの利くフェルトが内側に潜り込んでしまえば、それはもう、活路を見出したも同然。
「よっと!」
閃くのは、彼女の《トリックスター》の軌道だった。
しかし、その手ごたえは弱い。吹いた風に流されていく煙幕の向こうに、レヴァリエの凄惨たる容貌が現れた。
そのあまりにも冷酷な瞳に、フェルトは瞠目する。
「……こけにしましたね、わたくしのことを……」
ぞわりと背筋が粟立つような、冷たい凍てついた声音は、その美貌から放たれるから余計な迫力をもつのか。
「フラン!」
少女の霊を呼ぶ。咄嗟のことだったが、レヴァリエの様子をみる限り、斬撃ではなく【無影の氷針】が今にも飛来しそうだと、警戒を露にする。
刹那、それは、本当に放たれた――
「こないなお嬢さんを針山にするつもりなんか、ほんま、性悪やなあ」
脱力して、にっこりと笑う杼糸・絡新婦の背に庇われる。
「あなたっ、大丈夫……」
「心配いらんで、ぴんしゃんしとるさかい」
深い緑色の双眸を細めて、絡新婦はフェルトを振り返った。
あの氷針の嵐を受けて、無傷で立っている。俄かには信じがたいが、それが彼のユーベルコードによるものであるなら、納得することは簡単だ。
彼の手にいる、狩衣を着た狐人の姿の人形がカタカタと震えて始める。
絡新婦は、満身創痍のレヴァリエをしっかと見据えた。
「そしたら、出番やでサイギョウ――全部お返ししてしまい」
パカっと口を開けて、今しがた絡新婦が受けたダメージをそっくりそのまま、サイギョウが解き放つ!
【オペラツィオン・マカブル】の成功だ。
その衝撃波を、無防備に受けてしまったレヴァリエは、もんどりを打って倒れる。
「おやおや、どないしたの。その強さ、驕りでないんやろ? そしたら、もっとやれるやろう?」
十指に繋がれた糸が寒風に靡いた。
崩れたレヴァリエの視線が、意味深に動く――それを見逃さなかったのは、仁科・恭介だった。
「気をつけろよ。そろそろ、薔薇の魔法陣が現れるかもしれない」
《携帯食料》を食っていた恭介は、じいっとレヴァリエの様子を観察していたのだ。
先ほど見た、氷槍による強烈な攻撃が繰り出されてもおかしくはないし、もしかすると氷刃からの、姫騎士本人の華麗なる斬撃が見舞われるかもしれない。
「とにかく、やつの歩いた後はアイスバーンだ。それをトラップに使うかもしれない、足元には気をつけろ」
「せやね、気をつけんとね」
恭介は、見ていたのは。彼女が踏み出す一歩、その踏みしめた足元が凍りついていくのを見逃さなかった。
注意するに越したことはない。それが取り越し苦労となるのなら、成功だ。もしもその氷結がトラップとして使われ、それが原因で反撃を許してしまえば目も当てられないではないか。
恭介は、それでもレヴァリエへ向かって、丁寧に腰を折った。
「どうもレヴァリエさん、ずいぶんと素敵な格好になりましたね」
手の内をさらけ出させるつもりで、恭介は【共鳴】させながら、高速で走り抜け陽動作戦に打って出る。
これで恭介を止めようと動くなら儲けものだし、そもそも攻撃が通用すれば御の字。
「走りまわればいいと思っているのかしら……わたくしの館でたまに見かけるネズミのようですわね」
転瞬、レヴァリエは銀剣を閃かせる。放たれたのは、強靭な氷刃――それは、恭介目がけて飛来する!
その氷の刃を受け止めたのは、絡新婦だった。
寸でのところで、恭介とレヴァリエとの間に体を滑り込ませ、庇う。
タイミングを合わせ、脱力状態になれば、痛みを感じることはなかったし、サイギョウもまた、カタカタと笑っているようだった。
ヒュゴ――――ッ!
圧縮された衝撃波は、彼女の攻撃の凄まじさを語っている。
だが、それは、先ほども見せた技だ。それを学習していないレヴァリエではない。
ぶち当たる寸前で、体を翻して躱してみせた。
絡新婦は笑う。血まみれで立つレヴァリエの姿を見て、
「大事な薔薇なんやろ? あんたさんの血もくれてやりな」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
千頭・定
【鷲穂さん(f02320)】と
姫騎士の1人や2人わけがありません。
…力不足で鷲穂さんを呼んだわけではありません!!
「最初から飛ばします。びゅんびゅんです。」
「―それでは、お仕事を開始します。『てんてん、ころり』」
最初は私が攻撃、鷲穂さんに補佐をお願いします。
UCを発動。[毒使い]を使用です。
攻撃は毒気を撒き散らしつつ、体術で。
殺気を足に集中させて足蹴りの連打。
隙ができたら、敵を掴み[捨て身の一撃][怪力]で危険な角度で地面に叩きつけます。
「こ、交代ですよう…」
「動くほど、絡まりますよう」
代償がありますから…後半は鷲穂さんに交代。
鋼糸を[ロープワーク]で操りつつ、気を逸らし動きを制御します。
明石・鷲穂
【定(f06581)】の手伝いだ。
美人だな。美人は好きだ。
だが、花の育成方法については合わないな。
おーおー。好きにうごけ。
こいつを傷つけるくらいなら、俺にくれよ。
武器は金剛杵(槍)を使用。
まずは俺が補佐だ。
[オーラ防御]を展開。定への攻撃も[武器受け][かばう]で全て受けよう。
後半は俺に交代だ。定はよくやったなあ。えらいぞ。
最初は槍で切り付けつつ、[力溜め]。隙をついて[グラップル]で掴むぞ。
そのまま、[怪力]を込めてUCを発動。
これは、慈悲だ。
こんな…血で咲く薔薇より、余程美しい花もあるのにな。
そんなことに気がつけなかった愚かな騎士への慈悲だ。
慈悲を込めて、一撃を入れよう。
※アドリブ他歓迎
●
確かに、よく観察してくれていた。
その情報があるのとないのとでは、心構えが変わってくる。齎された情報に、明石・鷲穂(門前の山羊・f02320)はふむ…と考える。
が。
「へえ、意外に美人だな」
あらゆる猟兵の攻撃を耐え抜いてきた、簡単には折れない強さを滲ませるその姿に、鷲穂は銀の瞳を丸めた。
「ああいうのが好みだったんですか」
「ん? いやいや、美人が好きなだけだ。だが、花の育成方法については合わないな」
先のオーバースト・フックスとの戦いで、己の力に不安を覚えたのか――
「違います! 力不足で鷲穂さんを連れてきたわけではありません!!」
と本人が否定しているため、真相は明らかではないが、千頭・定は心から安心して、その力をいかんなく発揮できると、舞いあがる。
「最初から飛ばします! びゅんびゅんです」
「おーおー、好きに動け」
そんな定を鷲穂は微笑ましく思う。ずいぶんと懐いてくれたものだ。素直に嬉しく思う彼もまた、彼女の頼みとあっては手を抜くこともせずに、《金剛杵》を隙なく構えた。
「それでは、お仕事を開始します――てんてん、ころり」
歌うように舞うように、定は毒素を孕んだ殺気を無尽蔵に放ち、そしてそれを身に纏って強烈な殺意を抱く定はレヴァリエへと挑みかかる!
定は【鏖殺乱舞】を解放し、その殺意を足へと集中させる。
短く息を吐く。地を蹴って飛び上がり、定は猛毒を撒き散らしながら、強烈な蹴撃の連撃を叩き込む!
レヴァリエは、彼女の足技に、ひゅっと息をのみ、それでも素早く対処する――唐突に現れたのは精緻な薔薇の魔法陣――これが先刻、教えてくれていた、魔法陣から氷槍が出現するというユーベルコードだ。
「こいつを傷つけるくらいなら、俺にくれよ」
その予兆に気がついた鷲穂は、低く囁くように吐き、定の周りに気を練り上げたオーラを展開させ、それを盾として機能させる。
そのオーラによって、いくぶんも勢いが削がれ、定は放たれた氷槍を軽々と躱してみせ、軋む筋肉に鞭を打ち、定は驚くほどの怪力を発揮してレヴァリエの腕を引っ掴み、体を潜り込ませて背負い投げる!
「がッ!?」
衝撃で息が詰まるレヴァリエに、定は殺意に満ち満ちた足で地を蹴りあげ跳躍、狙い澄まして、レヴァリエの胸へとかかと落としを決めた。
「ぐぅ……!?」
苦悶の声を上げたレヴァリエを横目に、定はフラフラと鷲穂の傍まで下がってきた。
「こ、交代ですよう……」
「ああ、よくやったなあ」
「動くほど、絡まりますよう……」
強力な技であるが故の、制約だ――毒は定の神経を蝕んで、徐々に動けないようになってくる。むろん、その殺気を引っ込めてしまえば、元通りに動けるようになるのだが。
「えらいぞ、定――あとは俺に任せな」
ぽんぽんと優しく定の頭を撫でてやった鷲穂は、咳き込みながらも立ち上がったレヴァリエへと、容赦なく斬り込んでいく。
銀剣が一閃されて、放たれる氷刃を《金剛杵》の穂先でいなし、それに驚いた姫騎士へと肉薄して、逃げられないように銀剣を握るその細い手首を掴み上げた。
「これは、慈悲だ」
鷲穂は渾身の力を込めて、《金剛杵》で【一切合掌・蓮解経】を放つ!
この一撃は、鷲穂の慈悲だ――血で咲く生臭い薔薇よりも、この世界には――もちろんここ、ダークセイヴァーの世界にも、よほど美しい花もあるというのに。
「こんなことに気がつけなかった愚かな騎士への、せめてもの慈悲だ」
鷲穂の凄まじい膂力から繰り出された一撃をくらって、レヴァリエは、その口から血を吐いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フラウロス・ハウレス
蓮(f10083)と。
……ふん、くだらん。
これなら先の優男の方がマシであったな、トリッカーよ!
矜持も持たずして愉悦のみに溺れるなど、俗物甚だしい!
楽しみもない、ただ無慈悲に殺してくれよう!
真の姿を解放し、黒風を纏うぞ。
「如何な名を持ち、如何な力を持とうとも、寄る辺立つ誇りを失った者に敗れる道理などない!」
拳に血風を纏い、蓮の産み出した隙を逃さず【アースシェイカー】で殴りかかる!
「その顔を潰してくれよう!食らうが良い!」
たとえ一度は防がれようとも、空いた逆手で【ブラッディ・インパクト】で追撃だ!
「支配という閉じた世界の殻を破り、運命に叛旗を翻すのが妾よ!我が名をその身に刻み骸の海に還るが良い!」
結城・蓮
フラウロス(f08151)と。
ふぅん……なんだ、騎士というからには自分なりの矜持があって決闘させてたんだと思ったんだけど。
ただの俗物だったようだね、血風姫?
無論、興が冷めたとて手加減する気は無いけど。
さっきは『一対一』だから使わなかった、『本気』で行かせてもらうよ。
「「さぁ、本気で行かせてもらうよ。ショータイムの道化師に選ばれたのはキミだ!」」
《泡沫の鏡像》で分身を生み出して、互いの死角を補い合いながら仕込み杖で攻め立てるよ。
「闇に跳ねる黒猫を」「キミは捉えられるかな?」
といっても、ボクの攻撃は基本的に【パフォーマンス】だからね。
本命はもちろん姫にお任せするさ。
「さぁ、ちゃんと決めてくれよ!」
●
「……ふん、くだらん」
フラウロス・ハウレスは鼻で笑った。
「これなら先の優男の方がマシであったな、トリッカーよ!」
「騎士というからには自分なりの矜持があって決闘させてたんだと思ったんだけど……ただの俗物だったようだね、血風姫」
フラウロスに呼ばれた、結城・蓮もため息混じりに吐き捨てた。同意が得られたことに、気を良くしたフラウロスも、ふふんと鼻を鳴らす。
「矜持も持たずして愉悦のみに溺れるなど、まさに俗物甚だしい! 楽しみもない、ただ無慈悲に殺してくれよう!」
フラウロスは真の姿を解放し、【黒風鎧装】を纏う。
そして興醒めしたとしても手加減してやる義理のない蓮も、先の一騎打ちでは 本気にならなかった。
【泡沫の鏡像】で現れたのは、鏡写しの蓮だ。
「「さぁ、本気で行かせてもらうよ。ショータイムの道化師に選ばれたのはキミだ!」」
二人の蓮がレヴァリエを指さす――蓮はただ、フラウロスが戦い易いように立ち回り、隙を生み出す役目を担っている。が、それでも彼女の一太刀がレヴァリエに傷を負わせないわけではない。
互いの死角を補い合いながら、凍結の槍を躱し、マジック用ステッキに見せかけた《仕込み杖》を手に姫騎士を攻め続ける。
「闇に跳ねる黒猫を」
「キミは捉えられるかな?」
問えどもレヴァリエは答えない。
当然といえば当然だ。
二人の蓮の猛攻の向こう側で、フラウロスが高圧的に笑っているのだから。
「さぁ、姫さん、ちゃんと決めてくれよ!」
蓮が二人でレヴァリエを翻弄し続け、足をかけて転がした瞬間、彼女は吼えた。
「如何な名を持ち、如何な力を持とうとも、寄る辺立つ誇りを失った者に敗れる道理などない!」
フラウロスは蓮の作り出した隙を逃さず《血風》を纏った拳を硬めて殴りかかる!
「その顔を潰してくれよう! 食らうが良い!」
しかしレヴァリエは最低限の所作でもってその拳打を躱し、軽業師よろしく素早く起き上がり――そこへつき込まれるのは、逆手で振るわれる強烈な打撃。
まわりの空気を凝縮させたようにうねりを上げて、激烈な拳撃へと変じ、レヴァリエの頬へと突き刺さる!
「支配という閉じた世界の殻を破り、運命に叛旗を翻すのが妾よ! 我が名をその身に刻み骸の海に還るが良い!」
「口上を垂れるのですか、下らないですね」
口内に溢れ出す血を吐きだして、垂れた鼻血を手の甲で拭い、ふうっと息を吐くレヴァリエ。
「血を捧げなさい、わたくしの薔薇の咲き誇る姿を見てみたいでしょう」
銀剣を横薙ぎに一閃!
氷刃が奔った先には、フラウロス。慌てて蓮がナイフを投擲したが、外れてしまう――瞬間、フラウロスの肩にそれは深々と突き刺さる。
「小さな体で、なかなか良い拳を持っていましたね」
「待――!?」
振るわれる銀剣の猛攻を阻害するために鏡写しの蓮が《仕込み杖》を差し込んで、ずたずたに引き裂かれていくフラウロスを引き離すのは、蓮本人だ。
「大丈夫!?」
「くう……ッ、だいじょう、ぶだ!」
気丈に、負けず嫌いを発揮して、フラウロスは立ち上がる。
「……そう、大丈夫じゃないね――引くよ、いいね」
蓮は冷静に戦況を見極め、撤退を決めた。
「まだだ! あと一発殴らないと、気がすまん!」
蓮の手を振り払い、消えていく鏡写しの蓮の影から踊り出るフラウロスは、赤黒いオーラをその手に燃やして、地を蹴り、弾丸のように飛び出す!
腹に決まった右殴打、次いで放たれる左ストレート!
「ぐうッ! させません!」
裂帛の気迫が迸る。左拳を銀剣が受け、骨が砕けるような激痛が走る。
「――!!」
「もう! 無茶だって!」
声にならない叫びを、歯をくいしばって耐えたフラウロスを抱えて、蓮はその場から離れた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
杜鬼・クロウ
アドリブ◎
「吸血鬼より吸血鬼らしい騎士サマだなァ。その腐った性根、心底下吐が出る。
そんなに人の血で薔薇を染めるのが好きかよ。…嗚呼、テメェの血じゃドス黒くておキレイな紅に染められねェってか(挑発)
薔薇に餌ァくれてヤるつもりはねェ。
その覚悟、真正面からへし折ってやンよ!」
前の戦いで玄夜叉についた血を指で拭い先制攻撃
仲間と連携
【錬成カミヤドリ】で鬼が棲んでいた杜にある神器の鏡を10個複製
氷槍は鏡を縦に並べ敢えて受ける
敵の攻撃は武器受け・カウンター
極力血を流さず静の動きの剣技で圧倒
属性攻撃・2回攻撃で大剣に炎宿す
氷を溶かし蒼薔薇を散らす
剣で推し勝つ
「血に飢えた化物でなければその力も活きただろうによ」
シェーラ・ミレディ
僕たち全員を前にしても、なお戦意を失わないとは!
その思想、その薔薇さえなければ、素晴らしい騎士だと喝采したのだがなぁ。
もとより相手はオブリビオン。理解できるとは思っていないが……残念だ。
囮を買って出ようか。
先ずはクイックドロウ、早業で銃弾をバラ撒いて存在感を示す。鬱陶しいと思わせるのが理想だ。
敵からの攻撃を誘えたら、『双宿双飛』で何もない空中を足場とし、氷槍を上へと撃たせる。
氷の槍が着弾点を冷気で覆うのならば、地表に当たらないよう誘導し。
魔法陣から冷気が放たれるのならば、動き回って敵を一ヶ所に留めぬようにすれば良い。
敵の攻撃を避け続け、本命の攻撃は他の者に任せよう。
※アドリブ&絡み歓迎
ガルディエ・ワールレイド
主従そろって相容れねぇ主張をしやがるが、有言実行を貫くという一点は同意出来る
確かに騎士の誓いとはそういうものだ
俺は、俺の誓いに則って、オブリビオンであるテメェを討つ!
◆行動
武装は《怪力》《2回攻撃》を活かすハルバードと長剣の二刀流
真の姿を開放し赤い雷を纏う。雷は《属性攻撃》として武器に付与
戦闘では《念動力》の併用で強化した【竜神気】と近接戦闘を織り交ぜる
被弾しそうな時は《オーラ防御》
《武器受け》を軸に立ち回り、回避も防御でも出来そうにない時は相打ち上等で《捨て身の一撃》
近接攻撃命中時は《生命力吸収》
【氷刃嵐華】対策
《見切り》からの回避が基本
また腕を狙った【竜神気】で氷刃の軌道を少しでも逸らすぜ
神元・眞白
【SPD/絡みは自由に】
(ばれてるとはいえ、入れ替わりは継続中)
ようやく本陣。これが終わった後にまだ何かある、とかないといいけど。
障害物はないようだけど、広いし場所を誘導しながら立ち回りやすい様に。
攻撃手は多いからこちらからは支援と援護を主に。魅医を派遣用に。
マカブルの反射は見られてるし、回り道の攻撃が来そう。
同じ事をするのも華じゃないからこちらも回り道。
符雨に攻撃は任せるのは変わらないけど、魅医を目立たない様に準備。
マカブル対策……対策。操者はまた別に…いる訳じゃないけど。振りを。
攻撃の威力が怖いけど、大事なのは度量と決断力。魅医の力を信じて。
あとは私自身の演技力。がんばらないと
インディゴ・クロワッサン
ダークセイヴァーで薔薇関連の事件と聞いちゃ黙ってられないね!
…あれ、何でこんなに気になってんだろ…?
藍薔薇紋を抱く黒剣を構えて【2回攻撃】したり【傷口をえぐる】様に狙いを定めて【吸血】して【生命力吸収】したりするよ
相手に隙が生まれたら、周囲の味方の位置を考えながら、敵の攻撃の回避もせずに近付いて、至近距離でUC『侵食の赤薔薇』を発動。
キミの大好きな赤い薔薇で強襲してあげるよ
「あぐ…ッ …あああああああ!」
心臓から生えた茨は1分もしたら消えてるんじゃないかな
ちょっとふらついて噎せ込みながら
「…どう?大好きな薔薇に襲われた気分はさ」
藍薔薇紋の黒剣をもっかい構えてやる気を示そうか
ソロ参加・連携可
●
オーバースト・フックスには一瞬で見破られてしまったが、それはそれとして、神元・眞白は、そのまま符雨に仕えるメイドになりきっていた。
(「ようやく本陣……」)
銀氷の蒼薔薇・レヴァリエ――なかなかにしぶとい姫騎士。これを討ったとして、次になにが出てくるか。もうこれで打ち止めだと信じて、眞白はともに立つ猟兵たちの支援と援護を主軸にした戦法へと移行した。
先の一騎打ちにて、こちらの手の内は曝されてしまっているため、これ以上同じことしても仕方あるまい。
それをどれだけ、レヴァリエに気づかれないように準備するかが問題だ。
「どんなに上手にお芝居をしても、あなたは猟兵でしょう……わたくしを欺けると本気で思っているのですか」
レヴァリエが嘲笑を浮かべ、眞白を見る。それでも、無視。眞白には眞白のやるべきことがあるのだ。
「……他の猟兵の行動はよくわかりました。わたくしを殺したい、ここの薔薇を散らせ壊したい――そのために全力でわたくしに挑みかかってくる。理解することはできましたが。あなたはさっぱりですね」
それで結構。
レヴァリエと問答をするつもりもない。符雨を攻撃に派兵することは変わらない。
(「さぁ、行って」)
新たな戦術器を投入する。医療に長けた《魅医》だ。彼女は、眞白の持つ癒しの力を存分に発揮できるようにしてある――その分、眞白は、代償を受け続けることになるのだが。
「わたくしとて、この館の主――先に約束したことを違えるのは、騎士としても恥ずべきことですので、遠慮はいたしませんよ」
「ったく、主従そろって相容れねぇ主張をしやがるが、有言実行を貫くという一点は同意出来る」
薔薇の紋章を描きだし今にも氷槍を撃ち出そうとしているレヴァリエへ駆け出したのは、ガルディエ・ワールレイド。
漆黒の影が、ハルバードと長剣を携え、疾駆する。赤雷をその身に帯びる――ガルディエの真なる姿を解放し、身体能力は飛躍的に向上している。
「確かに騎士の誓いとはそういうものだ……だから俺は、俺の誓いに則って、オブリビオンであるテメェを討つ!」
「できるというなら!」
凛呼とした大音声が発せられ、レヴァリエは銀剣で空を薙ぐ!
生み出された氷刃は、一直線に飛来、ガルディエはその軌道をしっかと見極め、反射的に【竜神気】を、その氷刃へと解き放つ。
不可視の波動は、凶刃の軌道を逸らし、開けた動線の真ん中をガルディエが疾走――あっという間に距離を詰めて、烈声を迸らせながら流れるような、燃え盛る業火の厳しさを纏い、赤い雷霆と共に振り下ろされるハルバードと長剣の二連撃に、後退りながら、ガルディエの怪力をうまく逃がしながら、レヴァリエはいなす。
そして、彼女はぐんっとしゃがみ込んで、体勢を低くしたままガルディエに体当たりをするように接近した。
「――見えていますよ」
しかしレヴァリエの目的は屈強なガルディエではなく、なんらかの隙を狙うよう指示された符雨――ひいては、彼女を操る眞白だった。
レヴァリエは薔薇の魔法陣を空に刻みこみ、そこから絶対零度の氷槍を目にもとまらぬ速さで撃ち出す!
(「きた……! 怖いけれど、大事なのは度量と決断力……なにかあったときは、魅医がいる、彼女を信じて……!」)
氷槍の威力のすべてを吸収し、魅医から射出することができれば、レヴァリエをさらに追い詰めることが出来る。
果たして。
眞白に訪れたのは、極寒の衝撃だった。氷槍に串刺しにされた眞白は、意識を手放して、昏倒した。
「うおっと!」
インディゴ・クロワッサン(藍染め三日月・f07157)が、彼女の体を抱き止める。
血は出ていないが、意識はない――グリモアベースまで運べばなんとかなるだろう。レヴァリエがそれを許してくれるのならば。
インディゴは、この事件を聞いてから、この庭に踏み入れるまで、奇妙な義務感に襲われていた。
義務感というか、焦燥感というか、とにかく心に棘が刺さったようで、黙っていられなかったのだ。
(「……けど、あれ? 何でこんなに気になってんだろ……?」)
薔薇の赤、薄暗い空、血塗れで立ち白い息を吐く姫騎士、一体なにが心をざわつかせるのだろうか――インディゴは忘却の果てに沈む記憶の欠片に触れた気がしたが、今は物思いにふけっている場合ではない。
この景色を目に焼き付けるだけに留めて、彼は眞白を背に庇い、《Vergessen》の切っ先をレヴァリエへと向ける。
藍薔薇の緻密な紋章が刻まれた黒剣だ。その挑発に、レヴァリエはくすりと笑んで疾駆し距離をつめてくる。
「そっちから来てくれるとは……キミの大好きな赤い薔薇で迎えてあげるよ」
インディゴの心臓を食い破るように、真っ赤な大輪の薔薇を咲かせた、大量の茨が吹き出す!
「あぐ…ッ …あああああああ!」
【侵食の赤薔薇】――ローズ・イロージョン。
その衝撃は身を滅ぼすほどに辛いが、それに耐えれば大ダメージを期待できる。
「なんッ!?」
瞠目してたたらを踏んだレヴァリエは、なすすべなく茨に捕らえられてしまった。柔肌を棘が引き裂いていく。
その瞬間を、見逃すガルディエではなかった。
「はあああ!!」
レヴァリエの背を袈裟がけに斬り下ろす!
ふらふらとよろめきながらも立ち上がり、咳をして噎せながらも、インディゴは《Vergessen》を構えなおした。
「……どう? 大好きな薔薇に襲われた気分はさ」
まだまだインディゴは戦える。思う存分に黒剣を振り、剣を交えていなのだ。
「まだまだいけるでしょ、僕の相手もしてよ」
顔面蒼白のレヴァリエは、憎々しげに下唇を噛んだ。
●
「それにしても。吸血鬼より吸血鬼らしい騎士サマだなァ……その腐った性根、心底反吐が出る」
「反吐が出る……それは、わかるけど。でも、僕たち全員を前にしても、まだ戦意を失わないのは、感服するよ!」
杜鬼・クロウとシェーラ・ミレディは、各々使い慣れた武器を掲げ、インディゴの隣に立つ。
レヴァリエの後ろには、真の姿を解放した漆黒の騎士がいる。そして、正面には三人の猟兵。
心臓から赤薔薇を放出させたばかりで、疲れが見えるインディゴを少し下がらせたクロウは、
「よほどテメェの実力が分かってねえバカなんだろ……そんなに人の血で薔薇を染めるのが好きかよ。テメェの血なら今、たっぷり流れてるぜ、それで我慢しやがれ」
「……なにも、わかっておりませんね」
よろめきながら、立ち上がるその闘争心。やはり驚異――シェーラは警戒を強めた。
「わかりたくもねェし、そんな薔薇に餌ァくれてヤるつもりもねェ。その覚悟、真っ正面からへし折ってやンよ!」
オーバースト・フックスとの戦いで《玄夜叉》についた血を指で拭い、鬼が棲む杜にあった神器たる鏡を複製した。
「僕が隙を作るから、活路は開く――あとは頼みました」
「はッ、上等ォ!」
二人は笑い合い、忌まわしき薔薇が根付く地を蹴る。
即席のチームアップではあるが、クロウの機動力を活かせられるよう、シェーラは銃弾を弾きだす。
「鬼さん、こちら!」
クイックドロウでレヴァリエを翻弄し、【双宿双飛】で空中を蹴り、彼女の頭の上から弾丸を雨あられと見舞う!
それだけでレヴァリエを倒せるとは思わないが、シェーラの銃撃を鬱陶しいと思わせることが目的なのだ。
薔薇の魔法陣が現れる、それはシェーラに向いて絶対零度の氷槍が撃ち出される!
上空のシェーラに注意が注がれている中、無防備なほどに、クロウが視界から消えていた。
彼の存在感はそれほどまでに大きく、放置をすればなにをしでかされるかわからない不安を煽る。
(「今だ!」)
シェーラの視線がクロウに注がれる。それだけで意味は分かった。
クロウは己の魔力を炎に変えて、長大な黒剣に纏繞させレヴァリエの氷を溶かそうと斬りかかる!
「テメェのために血なんて流してやんねェ!」
斬り下ろす剣を素早く返して、斬り上げる。轟々と炎が宿された斬撃は、レヴァリエの肌を焼き焦がしていく。
「はあッ……はあッ……! 少し、黙っていなさい!」
ひゅうっと冷気が逆巻く――薔薇の魔法陣が刻みこまれた空中から、氷槍が放たれ地面に突き刺さる!
「わざと……!?」
薔薇は凍らないのかとどうでもいいことが脳裏をよぎるが、すぐに切り替える。
シェーラは宙を踏んで、その凍土から追い出そうと発砲し続ける。
「散らしてやるぜ、蒼薔薇……!」
「覚悟しろ」
「まだ、終わってないよ!」
クロウの《玄夜叉─アスラデウス─》が、ガルディエの《ジレイザ》と《レギア》が、インディゴの《Vergessen》が――レヴァリエへと襲いかかり、彼女は吹き飛ばされ、薔薇の園に土埃を上げて襤褸雑巾のように動かなくなった。
「血に飢えた化け物でなければ、その力も活きただろうによ」
冷気は失せ、乱れた蒼髪は血で汚れ、白く艶やかだった肌は傷にまみれ、そして、彼女はやがて、闇に溶ける。透ける。消えていく。
骸の海へと堕ちていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『紅蓮の薔薇園』
|
POW : 薔薇を刈り尽くす、置き物を破壊する。
SPD : 薔薇園を駆け抜ける、騒音を出す。
WIZ : 薔薇を燃やし尽くす、派手な魔法を使う。
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちの荒い呼吸が落ち着く頃――
そうやく庭園に静寂が訪れた。
あとは、この薄気味悪い、忌々しい薔薇を根こそぎ、掃除してしまえば不安は拭ってしまえる。
この薔薇が生きていれば、また、村人が犠牲になるやもしれない。
確かに美しいが、それは、多くの命を刈り取ってきた証拠だ。
さあ、剣を振るえ、火を放て。
薔薇の庭園を粉微塵に破壊してくれ。
ヴェスター・アーベント
目的/薔薇園の徹底的な破壊
オブリビオン、そして奴らが齎すものは全て、徹底的に滅ぼす。
俺の闇が俺を飲み込むその日まで、俺は奴らを滅ぼし続けるのだ。
「全てを闇に帰す…何もかも暗黒に塗りつぶしてやる」
戦術/UC【終焉ヲ齎ス黒】で薔薇園を跡形も無く滅ぼす
「怒りよ、哀しみよ、我が暗黒に溶け合い力となれ…その無念、慟哭、全てを闇火に変えてオブリビオンを焼き尽くそう」
基本戦術は『怪力』を以って振るう攻防一体の剣技。
容易く『鎧砕き』を為す【終焉ヲ齎ス黒】を叩き込み薔薇園を次々と跡形も無く粉砕。
「聞こえるぞ…死んでいった者達の嘆きが…闇となって俺に叫んでいる!
応報せよと!奴らを滅ぼせと!」
※アドリブ歓迎
●
ヴェスター・アーベントは、細く長い息を吐いた。大佐を名乗ったヴァンパイアも、氷と剣の使い手だった姫騎士も、骸の海へと突き還した。
だが、ヤツらが愛でた薄気味悪い庭は、健在だ。
ヴェスター自身が、己の闇に飲み込まれてしまうその日まで、力の続く限り、命あるかぎり、オブリビオンを滅し続けると誓った。
それはオブリビオンだけではない。
その地に根付く人々に害なす災のすべてをも、徹底的に滅ぼさなければならないのだ。
「すべてを闇に帰す……何もかも暗黒に塗りつぶしてやる」
振り下ろされるのは、深闇を纏った鈍重な一撃。
地が揺れるほどの衝撃が、無防備な薔薇を襲う。
土は盛り上がり、割れ、陥没する。
木っ端にされた薔薇がヴェスターの目の前を舞い散っていく。
「怒りよ、哀しみよ、我が暗黒に溶け合い力となれ……その無念、慟哭、全てを闇火に変えてオブリビオンを焼き尽くそう」
一切の容赦を見せないヴェスターは相手が薔薇であろうが、全力を賭すだけだ。
今まで、この怪力で敵の装甲を砕き、悪意を砕き、業を断ち切ってきた――今も、その力を発揮する。
ドオォォォン!
どれほどの血が流れたのだろう。
この立派な薔薇を育て上げるために、何人の命が捧げられたのだろう。
それを思うだけで、ヴェスターの心は、怒りで黒く染まる。
「聞こえるぞ……死んでいった者達の嘆きが……闇となって俺に叫んでいる!」
《ブラッドイーター》が轟々と怨嗟を叫ぶ。
地中に眠り捕らえられ、すべてを吸い尽くされた人々の魂に呼応するように。
「応報せよと! 奴らを滅ぼせと!」
ヴェスターは魔剣を振り下ろす。
葉は粉々に散り、真っ赤な花弁は颶風に巻かれ落ちていく。
薔薇の垣根は、着々と壊されていった。
「眠れ、お前らの無念、俺が引き受ける……!」
追悼の意を込めて、闇への憤怒を込めて、【終焉ヲ齎ス黒】を叩き込んでいった。
「喰らい尽くせ、ダークエンド!」
もう一発、地響きが轟き、土煙が立ち昇った。
大成功
🔵🔵🔵
フレミア・レイブラッド
気に入らないわね…あのお嬢様に一方的にやられて借りが返せないなんて…。
まぁ、いなくなってしまったものは仕方ないわ…代わりにこの薔薇園…跡形も無く消し飛ばしてあげる!
快楽主義者で普段笑みを浮かべている事が多いフレミアだが、一方的にボロボロにされた事で非常に不機嫌な様子。
それを表す様にフレミアの【念動力】が半ば暴走してフレミアの周囲の壁が砕けてひび割れたり、周囲の物が破壊されたりしてたり。
最後は怒りと苛立ちをぶつける様に、自身の最大の技【神槍グングニル】を薔薇園に炸裂させ、地形ごとまとめて吹き飛ばして鬱憤を晴らし、以降は元のフレミアといった感じに戻る
※アドリブ等歓迎
●
低い咆哮を上げて、次々に薔薇の木を粉砕していく黒く大きな背中を見やり、憎々しい思いが湧き上がってくる。
黒騎士にではなく、あの姫騎士に対してだ。
傷は癒えた。しかし、この胸のムカつきは、やり場のない怒りは、激情となってフレミア・レイブラッドの心をかき乱した。
気に入らないのだ。
ここまで一方的にやられてしまったというのに、この借りを返すすべがないのだ。あれはオブリビオン、すでに骸の海へと還っていった。
むしゃくしゃする。腹が立つ。喉を搔き毟ってしまいそうになるのを、フレミアは荒く息を吐いて我慢する。
「……まあ、いなくなってしまったものは仕方ないわ……代わりにこの薔薇園……跡形もなく消し飛ばしてあげる!」
普段の笑みはなりを潜めている。その眉間には不釣り合いな皺が浅く刻まれ、誰が見ても不機嫌そのもの――悔しさのあまり、半ば暴走気味に魔力の奔流が荒れ狂う。
ビリビリと放電するフレミアの力は、そこここを破壊しながら薔薇を掻き乱す。
「滅びてしまえばいいわ!」
薔薇園と、前庭を分けるよう聳え立つ石門が、とばっちりを食い、ひび割れ砕ける。
そんな瑣末なことを気に留めてやれるほど、今のフレミアに余裕はない。
コケにされた悔しさと、跳ね返せなかった不甲斐なさと、やり場のない苛立ちと――フレミアは名状し難い感情の激流を、紅蓮の槍へと伝播させ発露させ発現させる。
「はあああああ!!」
迸る激情を体現した【神槍グングニル】を全力でぶちかます!
衝撃波は空気を収斂させて、凄まじい颶風と熱波を生み出して、薔薇の花々は地形ごとまとめて吹き飛ばされる。
衝撃に煽られた服はフレミアの均整のとれた体に張り付いて、金色の美しい髪は信じられないほどにぐちゃぐちゃにかき混ぜられた。
その爆発が収束していくのを、彼女は息を弾ませて眺める。
「……はあ、はあ……――やっと、すっきりしたわ……」
チリチリと空気を焼いていく。
溜まりに溜まった鬱憤も一緒に焦げてなくなっていくようだった。
最後に大きく胸を膨らませて、怒っていた肩がすとんと落ちた。
「ふう……」
やっとひと心地ついたフレミアは、先ほどの【神槍グングニル】の衝撃に負けず劣らずの、激震に驚き、振り返れば、そこには青髪を揺らせる背中があった。
大成功
🔵🔵🔵
フィーユ・エバーラスト
「やれやれ、格好つけようと張り切り過ぎたね。反省反省」
これでは銀帝の名も形無しだね
その名に執着はないけど、団長の威厳は保ちたいところだ
「しかしあの無様の後だと、八つ当たりのようで気が乗らないね」
しかしまあ、そういう依頼だ
それに、自分の血も混ざっていると思うとぞっとしない
「せめて粛々とこなすとしよう」
■WIZ
と言いつつ派手に吹っ飛ばす
とん、と地面を踏みつけて雷撃を流し込み、地面を隆起させて文字通り根こそぎ吹き飛ばす
周囲に落雷を降らせて、掘り出した根ごと焼き尽くす
「花は散り際が美しいと聞くけど、これでは風情などあったものではないね」
血を啜り、怨みも一緒に喰らい続けた花ならば、当然の末路とも言えるか
●
――全部を倒し終わったら、薔薇園を徹底的にぶっ潰してきてくれ。
そう頼まれたから、銀の雷を轟かせているのだが。
まるで八つ当たりだ。
フィーユ・エバーラストは、皮肉じみた笑みを白い頰に刻んで、斬られた二の腕をそっと撫でる。
手当を済ませもうすでに血は止まっているし、痛みもないが、違和感が残っているような、じくじくとした疼痛の幻を感じる。
「格好つけようと張り切り過ぎたね……反省反省」
その思いまでも粉微塵に吹き飛ばすように、雷花迸る《銀雷》を、フィーユはその身に纏った。
とん。
彼女の足が地面を踏みつけた。
たった一歩、フィーユの魔力が織り込まれた銀雷が、地中を駆ける!
そうすれば雷撃は蔓延る根を伝って薔薇へと流れ込んでいく。
鬱憤を晴らすかのような、一切の躊躇を払拭した雷撃は、地を隆起させ根付く薔薇を消し炭にした。次いで穿たれた、銀の落雷は空気を振動させるほどに強烈な轟音を上げて、跡形もなく消し去ってしまう。
やられっぱなしでは『銀帝』の名も形無だ。しかし借りを返す相手はすでにいない。フィーユにできることは、オブリビオンの残滓を一掃するだけ。
『銀帝』の名に執着はないが、傭兵集団の団長としての威厳は保ちたい……が、
「しかしあの無様の後だと、やっぱり八つ当たりのようだね」
フィーユは苦笑を禁じ得なかった。とはいえ、この庭園の破壊を頼まれたのだから、そう見えても仕方あるまい。
しかも、先の戦いの最中に、彼女が流した血をも、この薔薇に吸い上げられているかと思うと、嫌悪が先に立つ。
天寿をまっとうした後、輪廻の中で他者の糧となるならまだしも――生き血を啜り、怨みも一緒に喰らい続けた花を、どうして歓迎することができるだろう。
(「それでも癪だから、せめて粛々とこなすとしよう……」)
銀色の雷電が爆ぜる――葉が、枝が、土が、根が、真っ赤に燃え盛るような大輪の薔薇が、無残に弾け燃えていく。
「花は散り際が美しいと聞くけど、これでは風情などあったものではないね」
粛々と――といったが、その威力は凄まじく、フィーユの静かに燻る怒りを代弁するがごとく、さんざん荒れ狂った。
大成功
🔵🔵🔵
フェルト・ユメノアール
オブリビオンは全部倒したし、この悲劇はこれでおしまい
あとは最後の幕引きをしないとね
さあ、これでフィナーレだ!
ボクは手札からスペルカード、【機雷バルーン】を発動!
機雷バルーンを召喚後、離れた場所からトリックスターを投擲し、起爆
この薔薇を、庭園を全部キレイに吹き飛ばすよ!
美しさっていうのは見る人があってこそ
人を犠牲にして生み出した美しさなんて本当の美しさとは呼べないよね
燃える庭園を見ながら独り言ち、そして犠牲になった人たちへ祈りを捧げる
せめてみんなが天国で笑顔に過ごせますように……
●
「さあ、これでフィナーレだ!」
悲劇は終わる。
始まりがあれば、必ず終わりはやってくる――その引導を渡してやるのは、最後の幕引きをしてやるのは、オブリビオンではなく、フェルト・ユメノアールら猟兵だった。
そして彼女は、高らかに宣言する。
「ボクは手札からスペルカード、【機雷バルーン】を発動!」
放たれたのは、カラフルな風船――少しの衝撃で大爆発を起こし、無差別に爆発に巻き込むというなかなかにスリリングな大技だ。
しかし、なにも深く考えず、高範囲を破壊するというこのミッションでは、これほどまでの適役はいないだろうか。
ふわりふわりと飛んでいく風船目がけて、フェルトは離れたところから《トリックスター》を投擲して、起爆させた。
ドオオオオオォォォォン!!!
腹の奥底まで響く。
振動、衝撃、爆音、爆風、熱波、舞いあがった煙は天高く昇っていく。
(「美しさっていうのは見る人があってこそ……人を犠牲にして生み出した美しさなんて本当の美しさとは呼べないよね」)
庭園は燃える。信じられないほどに、よく燃える。
それは、人々の血を吸ったからなのだろうか――考えたところで詮無いところだが、よく炎が上がった。
地中には、多くの犠牲者が眠るという話だった。
それは、血だけの話なのか、遺体まで眠っているのか――判然としないが、あれほどまでに薔薇は美しく咲き誇っていたのだ。
相当の血が流れたに違いない。
フェルトは、燃える庭園を見ながら独り言ちて、そして犠牲になった人たちへ祈りを捧げた。
「せめてみんなが天国で、笑顔のまま過ごせますように……」
少女は睫毛を下ろす。
胸の前で握られた手では救えなかった命が数多あれど――それでも、僅かであっても、救われた命があるという事実を誇りに思いながら。
大成功
🔵🔵🔵
フォルク・リア
「主が倒れたなら、
これで薔薇を葬る事に集中できるか。」
さて、どうやって消してくれよう。
少し思案した後、真羅天掌を使用
「全力魔法」「範囲攻撃」「属性攻撃」も併用し
制御できる最大範囲で炎属性の沼を発現させ。
根から焼き尽くす。
地下にあるという以前の被害者の遺体を弔う意味も込めて
地下深くも焼いていく。
「既にこの世にいない。
顔も名も知らない人達には俺は何もできないが。
これで手向けの代わりにさせてくれ。」
庭園の破壊は焼き残しがない様に念入りに行う。
「これで片付いたかな。
薔薇の生命力がどの程度かは分らないが。
これは恐らく普通の薔薇とは別物。
葉の一片、根の一欠けらも残さないつもりの方が良いだろう。」
シェーラ・ミレディ
ふぅ、なんとか仕留めることができたな。
後は──……薔薇の、片付けか。
人の血などなくとも、充分美しく咲き誇れただろうに……。
より上を求めるのは、オブリビオンならずとも所有する欲だろうが。
業、だなぁ。
感傷にふけるのは後にしようか。先に庭園を焼き尽くそう。
薔薇の配置を学習力で記憶、スナイパーで狙いを定め、炎の属性攻撃を乗せた『華燭之典』で燃やしていくぞ。
斉射し終えたら、続けざまに二回攻撃。
再び『華燭之典』を繰り出し、根こそぎ灰へと変えていく。
他の猟兵に当てないよう注意だ。
薔薇の芳香が鼻孔をくすぐって消える。そんな気がした。
※アドリブ&絡み歓迎
●
「主が倒れたなら、これで薔薇を葬る事に集中できるか」
ふむ……とフォルク・リアは、薔薇の処分方法を思案する――がそれは一瞬で、口をついて流れ出す呪文があった。
「大海の渦。天空の槌。琥珀の轟き。平原の騒響。宵闇の灯。人の世に在りし万象尽く、十指に集いて道行きを拓く一杖となれ」
紡がれる言の葉は、【真羅天掌】――フォルクの制御が保たれるギリギリの広範囲で現れたのは、灼熱の沼だ。
すべてを焼き尽すために、そして二度と復活することのないように、根も土も焼き溶かす。
「これは恐らく普通の薔薇とは別物。葉の一片、根の一欠けらも残さないつもりの方が良いだろう」
「僕も同意見だ」
それに覆い被さるように放たれたのは、【華燭之典】――フルバーストだ。炎の力を宿した魔弾が次々に撃ち込まれる。
庭園の形状をしっかり覚えた彼にとって、その照射で薔薇を葬り去ってしまうことは容易くて。
「……人の血などなくとも、充分美しく咲き誇れただろうに……より上を求めるのは、オブリビオンならずとも所有する欲だろうが」
業、だなぁ……――シェーラ・ミレディは燃えゆく薔薇を見つめ、感傷的になったが、物思いにふけるのは、仕事が終わってからだ、と頭を振って考えを追いやる。
涼しげな双眼が鋭く尖って、狙い研ぎ澄まされて撃ち出されるのは、彼の解き放った二撃目。
「根こそぎ灰にしてやるさ」
オブリビオンどもをやっと仕留め終わったというのに、残されていた仕事というのが、薔薇園の破壊――薄気味悪い薔薇を跡形もなく片づけてしまわないといけないのだ。
この生き血を啜る吸血鬼のような薔薇を野放しにしていては、新たなる犠牲者を生みかねないのだから、やらねばなるまい。
地上部は、シェーラの《千紫万紅》が轟炎を吐き出し焼き払い、フォルクの魔力が土ごと薔薇の根を焼却せんと迫る。
ごぽッ……溶ける土が沸騰し、排気した。
地下にあるという、以前の被害者の遺体を弔う意味も込めて、フォルクが地下深くをも焼いていくのだ。
「すでにこの世にいない、顔も名も知らない人達には、俺は何もできないが……これで手向けの代わりにさせてくれ」
念入りに行われる焼却処分は、二人の魔力によるところが大きい。
そして、この立派な薔薇園を破壊する猟兵は二人だけではないのだ。まだまだ手はあるし、今まさに、あちこちで火の手が上がり、鬨の声が響き、衝撃が空気を揺らす。
「これで、ここは片付いたかな」
「ああ。そうだね」
フォルクの言葉に、シェーラは頷いた。
「薔薇の生命力がどの程度かは分らないが……」
「うん。でも、さすがにもう、残ってないだろう」
二人で徹底的に燃やし尽くしたのだ。
「それもそうか……やりすぎただろうか」
「これくらいで十分でしょう」
シェーラは振り返る。あちこちで上がる爆発音も相当な威力で放たれている。
(「……みんな、鬱憤がたまってる?」)
降ってきた灰を、目で追えば、それはフォルクによって踏まれて、燃やされた。
ふと。
薔薇の気高くも清々しい芳香が、鼻孔をくすぐって消えた――そんな気がしたシェーラは、しかし小さくかぶりを振って、破壊の手が足りない個所を探して歩きだした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ザザ・クライスト
フィラメント(f09645)と行動
「こっちは終わったぜ」
薔薇園を破壊するように爆弾をセットしてフラウ・レイヴァスに声を掛ける
頭に包帯、左手は三角巾で吊って色男にも磨きがかかる体たらく
あのお姫様は手負いだったてのにザマはねェぜ
手負いだったからこそと言いてェが、そんなコトはないよなァと苦笑が漏れる
「また迷惑をかけちまった。オレ、格好悪ィな?」
オレには特別な力なんてない
フラウのような破壊のスペシャリストでもなく、数多くの猟兵ほど身体能力に優れてるワケでもない
せいぜいがしぶとく立ち回るくらいなモンだ
「いつか夜は明ける。だとしても……」
いつまで続く?
そう思いながら咥えていたタバコを薔薇に放った
フィラメント・レイヴァス
ザザ(f07677)と行動
鋭い鋼糸を使い、咲き誇る薔薇を刈り取る
散った薔薇の花弁の上に佇んでいると声を掛けられ
振り返れば、処置は済ませたものの、満身創痍のザザの姿
何処か自嘲気味の笑みを零す彼へ
「勿論、格好悪いよ。とてもじゃないけど、スマートさが感じられない。
だけど、その格好悪いのが君の良いところじゃないか。」
色んな猟兵がいるけど、君のしぶとさや諦めの悪さは折り紙付きだとも。
わたしには彼のような戦い方は出来ないし
彼みたいな奴は、仕事でも拷問したくないね
何処か物思いな彼の様子に微笑みを零した後
「帰ったら絡新婦の修理をしないと。ザザ、わたしの可愛い絡新婦の修理代として、勿論何か奢ってくれるよね?」
●
最後の任務は、この薔薇園を破壊すること。
【ブラッド・ガイスト】で強化した爆弾をセットして、地中深くにまで根を張っている薔薇を爆砕したザザ・クライストは、怪我人然とした姿になっていた。
頭に包帯を巻き、左手は三角巾で吊り、色男にさらなる磨きがかかる――とは皮肉だ。あまりの体たらくに自嘲してしまう。
戦った姫騎士は、あの側近に守られていたお姫様は、仲間の猟兵から傷を負わされていた。すでに手負いだったにも関わらず、ザザは徹底的に負けた。
否、手負いだったからこそ生き残った――そう思いたい。
もしくは傷を負わされたことで気が立っていて、とてつもなく怒っていたからパワーが底上げされていて負けた――否だ、言い訳をしてどうする。
ザザはため息をついた。
苦笑を禁じ得なかった。
「こっちは終わったぜ」
声をかけ、呼んだのは、フィラメント・レイヴァスだ。
ザザより小さくとも、その発露される殺気にザザは気後れする。
彼女は、鋭く磨き上げられた鋼糸を使い、咲き誇った薔薇を刻みながら刈り取っていた。
無残に散り落ちた薔薇の花弁の上で、フィラメントは佇んでいる。
ザザを振り返った翠色の双眸が、その満身創痍の姿をとらえた。
「また迷惑をかけちまった……オレ、格好悪ィな?」
「勿論、格好悪いよ。とてもじゃないけど、スマートさが感じられない――だけど、その格好悪いのが君の良いところじゃないか」
「良いところ……オレには特別な力なんてない」
自嘲気味に続けるザザの言葉に耳を傾ける。
「オレは、フラウのような破壊のスペシャリストでもなく、数多くの猟兵ほど身体能力に優れてるワケでもない……」
「……一体、なにをそんなに弱気になってるか知らないけど」
フィラメントは小さく吐息して、ザザの自信なさげに揺れる赤瞳を見つめる。
そうすれば、彼は睫毛を少し震わせた。
「色んな猟兵がいるけど、君のしぶとさや諦めの悪さは折り紙付きだとも――そもそも、わたしにも君のような戦い方は出来ないし。君と何が違うと言うんだ」
「せいぜい、しぶとく立ち回るくらいなモンだ」
「だったらそれを磨けば良い話じゃないか――誰にも追いつけないほどのスピードと、打たれても簡単にへこたれないように、頑丈になるしかないだろう。あと、死に物狂いで突っ込むな――敵に隙はできるけど、さすがに心配する」
まっすぐなザザを見る。いつになく弱気なのは、先の戦いでコテンパンにされたからだ。しかしこの純粋さは、見ていて飽きない。
フィラメントは、ザザのような者は、仕事でも拷問にかけるのは願い下げだと常々思っている。
一方でザザの思考は止まらない。ぐるぐると堂々巡りを続けてしまう。
(「いつか夜は明ける。だとしても……いつまで続く?」)
そう思いながら咥えていたタバコを、焦げた薔薇の花弁へと放った。
ザザのそんな様子に、フィラメントは笑みをこぼしてしまった。
「帰ったら絡新婦の修理をしないと。ザザ、わたしの可愛い絡新婦の修理代として、勿論何か奢ってくれるよね?」
君の命を守った子だよ。言外に、笑ってしめせば、ザザはきょとんと眼を丸めて、しかし一瞬後、口元を緩ませた。
「フラウの言う通りに――やっぱかなわねェな……」
「ふふふ」
フィラメントは笑って、満身創痍のザザの背を軽く叩いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ゼイル・パックルード
改めて見てみれば、なかなか壮大な薔薇園だ。どれだけの命を吸ったのやら。
結局弱い奴は食い物にされるだけってことか、特にこの世界じゃ顕著だね。
ま、盛者必衰というか、因果応報っていうのもまた真理。
栄華を誇ろうとも散るとき、散らされるときはくるってことさね。
ただ単に燃やしても味気ないし、鉄塊剣で薙ぎ払っていく。
あまり茎を鋭く斬りすぎないように、花びらが空に舞い散っていくように。
ロマンチしズムにもセンチメンタリズムにも興味はないが、散り際くらい美しいほうが死んだ奴らも本望だろう
ひとしきりやったら、残りは炎で燃やすかな
しかし懸命に生きた命の果てる間際ってのはどうしてこうも心躍るかな…。ヒトであれ花であれ。
仁科・恭介
※アドリブ歓迎
「しかし、この薔薇はなんなんだよ。各地で似たような薔薇の事件が多発してるけど…」
薔薇の棘に触れないよう細心の注意を払い、UCで根元から刈りとる。
上物が除去されたら根を掘り起こす。
農作業は【吸血】欲求を紛らわせるので苦にならない。
「しかし、ムカムカする薔薇だ。この薔薇を何かに使う気だったのか?」
「あ、食べます?ちょっと濃いですけど」
休憩中は【携帯食料】を配りながら他猟兵を労う(【礼儀作法】)。
「しかし、焼き払うとか、なぎ払うとか…私も覚えれば良かったかな。」
と、他の猟兵の仕事を見ながら閑かに観察。
休憩後は砂を払いながら…
「さて、さっさと終わらせて次に行こうか」
杼糸・絡新婦
まあ派手に燃やす壊すは得意な方々に任せましょ。
鋼糸をレベル分召喚し、バラを刈り取っていきます。
薔薇は咲いているだけで罪はないかもしれんけど、
ちと悪趣味すぎるわな。
血を欲しがられても困るし、見るもんもおらんし。
咲き誇ったんなら、あとは散るだけや、
もらった血を返すぐらい、せめて派手にお散りな。
ガルディエ・ワールレイド
主従全て倒れ滅び行く場所……か。
(広がる光景は全く違うが、ほんの少しだけ滅びた自分の故郷を思い出す。とは言え、すぐにその念は振り払う)
別に同情なんかしねぇぞ。滅びるべくして滅びるんだからな。
◆行動
「手向けだ。骸の海にまで薔薇を届けてやるよ。骸の海の底でならその薔薇を愛でているのもいいだろうさ。また出たら同じように潰すがな」
《全力魔法》《属性攻撃》を上乗せして強化した【竜神の裁き】を使用して、赤い雷で薔薇や置物を消し飛ばしていくぜ。
この場所には何一つ残さねぇが……テメェらが強かったって事実だけは覚えといてやるよ。
騎士とは強いだけじゃなダメだっていう自分への戒めも込みでな。
●
薔薇園の破壊は着々と、順調に進んでいく。
ゼイル・パックルードはまだ誰も手をつけていない一画に立ち、無骨で巨大な剣を地面へと突き立てた。
これからココを破壊するわけだが、改めて咲き誇る薔薇を見やり、ぐるりと見回す。
(「なかなか壮大な薔薇園だな……ったく、どれだけの命を吸ったのやら)」
ため息を隠しきれず、ゼイルは隣に立った長身の男を見やる。
狐の面をつけたからくり人形を携えたている彼は、薄い唇を弓なりにして、
「ほな、派手に燃やす壊すは得意な方々に任せるとして……こっちもやりましょ」
突然の大爆発と、魔弾の一斉照射による熱波に、黒髪がぶわりとかき混ぜられ、杼糸・絡新婦は肩をすくめた。
「ひゃあ、えらい威力で……」
「しかし、この薔薇はなんなんだよ。各地で似たような薔薇の事件が多発してるけど……」
ダークセイヴァーでよく耳にするようになってきた、吸血薔薇の話をよくきくようになった――と、眉をひそめるのは仁科・恭介だった。
彼は、薔薇の棘に触れてしまい、血を吸い取られないように細心の注意を払いながら、《サムライブレイド》を一閃させて、ざくざくと斬り刻んでいく。
「……結局、弱い奴は食い物にされるだけってことか、特にこの世界じゃ顕著だね」
呟くゼイルもまた、《鉄塊剣》で、薔薇を散らしていく。ふわりと巻き上がる薔薇の匂いが鼻についた。
短く息をつめて、花びらが空へと舞い散っていくよう、振り上げられた巨大な剣――ひらりひらりと舞い落ちてくる真っ赤な花弁は、まるで涙のようにとめどない。
この世の理だ。
「ま、盛者必衰というか、因果応報っていうのもまた真理。栄華を誇ろうとも散るとき、散らされるときはくるってことさね……」
ゼイルの剣に散らされた薔薇の欠片が足元に溜まっていく。それを踏まないようにして、薙ぎ払う。薔薇と一緒に空気も斬れる。それは風を巻き起こして、一層花弁を舞い踊らせた。
ロマンチシズムにもセンチメンタリズムにも興味はないゼイルだが、薄気味悪い薔薇とて、ここまで立派に咲き誇っているのだ。
ただただ刈り取られ、無残に焼かれ処分される――それが道理であっても、散り際ぐらい美しいと思われた方が、この薔薇の養分となってしまった者たちも浮かばれるだろう。
「まあ、自分にできることでやらなあかんな」
絡新婦は、使い慣れた鋼糸を解き放って切り刻んでいく。
しかし、薔薇は咲いているだけで、罪はないのではないのだろうか――絡新婦は思う。
ただ、水や肥料ではなく、人の生き血を吸い上げて成長する。それが、嫌悪するほどに悪趣味でならない。
この先、なにかの間違いでここの薔薇を育てる人間がでてきたり、姫騎士のように大層悪趣味なオブリビオンが見つけて悪用してしまっては、今日の頑張りは水の泡となってしまう。
そうならないために、絡新婦は鋼糸を操って、薔薇を切っていく。
「咲き誇ったんなら、あとは散るだけやろ。もろた血ぃ返すくらい、せめて派手にお散りな」
真っ赤な花弁が、高潔な香りとともに舞い上がった。
●
(「主従すべて倒れ、滅びゆく場所……か」)
ガルディエ・ワールレイドは、いかんともしがたい懐郷の念に囚われた。
主を失った館、庭、植物……しかもそれは猟兵たちの手によって火の手がかけられ、刈り取られていく。
まるで状況は違うし、光景は似ても似つかないが、滅びてしまったガルディエの故郷を彷彿とさせる、なにかがあった。
しかし、彼は、感傷に浸っていない。すぐに邪念だと振り払って、吐き捨てる。
「別に同情なんかしねぇぞ。ここは、滅びるべくして滅びるんだからな」
オブリビオンが支配した館なんぞ、滅びて当然だ。罪なき者の死の上で咲く薔薇も、刈られて当然だ。
「せめてもの手向けだ。骸の海にまで薔薇を届けてやるよ」
姫騎士が愛した真っ赤な薔薇へ、ガルディエは全力で赤雷と落とした。
「骸の海の底でなら、その薔薇を愛でているのもいいだろうさ……――しかし、また出ようもんなら、同じように潰すがな」
【竜神の裁き】――ドラゴニック・ジャッジメント。
ガルディエに秘められた異端神の力が、猛然と薔薇へと吹き荒れ、燃やし、破壊して、地面をえぐっていく。
人々が犠牲となったこの場所には、なにものこしてやらない。薔薇はもちろん、姫騎士が腰かけたかもしれない石のベンチも、仕切るための石壁も、すべてだ。この薔薇の庭園にあるすべてのものを破壊してしまわないと気が済まない。
記念碑も、墓も、記録もなにもかも要らない。
(「ただ……テメェらが強かったって事実だけは覚えといてやるよ」)
騎士とは強いだけでは務まらないという、ガルディエ自身への戒めも込めて。
ドオォン! ギャアン!
地響きを上げて、赤雷が轟き閃き落ちて、薔薇を木端に散らした。
その爆音を背に感じながら恭介は《サムライブレイド》を振るう。彼にとって、農作業は吸血欲求を紛らわせるので苦にならない――とはいえ、無心で没頭できる作業でもない。あれやこれやと思考を巡らせてしまう。
各地で起こる、似た薔薇の事件。薔薇に血を吸わせようとした姫騎士の冷たい目、唯々諾々と彼女の命令を聞いて剣を向けてきた金髪の騎士――やつらはただただこの薔薇を愛でるために育てていたのか、他にももっと理由があったというのだろうか。
思考はぐるぐると回り出す。
恭介は、やがてイライラし始めた。いくら考えたところで答えが出ないのだ。
明確に正確に答えてくれそうだったオブリビオンどもは、骸の海へと突き落した。
「しっかし……ムカムカする薔薇だ」
ガツッと剣を地面に突き立てれば、蔓延った根が引き千切られるように、ざっくりと切断された。
紫電一閃、すっぱり斬れてしまう斬撃の前に薔薇はなすすべなく地面に落ちていく。
新たな血をくれてやらないように、細かく、千々になるように。
みながひとしきり薔薇を刈り取り終えると、ゼイルが声をかける。
「そろそろ頃合いか?」
もはや地上には、緑の葉も、頑丈な茎も、真っ赤な薔薇も残っていない。
ゼイルは《鉄塊剣》に炎を纏わせて、落ちた薔薇の残骸に向かって一閃させた。いとも簡単に引火し、薔薇は轟々と燃え上がる。
(「しかし、懸命に生きた命の果てる間際ってのはどうしてこうも心躍るかな……ヒトであれ花であれ」)
ゼイルは揺れ立ち昇る炎を見、胸中で呟いた。
●
見渡せば、薔薇の庭園は跡形もなくなっていた。
先刻まで、立派に咲き誇っていた真っ赤な薔薇は一輪とて見当たらない。二度と芽を出さぬように地面は掘り返され、焼かれ、すっかり耕されていた。
その様子に、溜飲を下げた恭介は、ともに薔薇を処理していた猟兵たちへ、
「あ、食べます? ちょっと濃いですけど」
長期保存がきくように塩辛い味になっている携帯食料を差し出せば、ガルディエもゼイルも礼を述べて、口に入れていた。
「お疲れ様でした」
「そうだな……とても、疲れたな」
肉体的にも、精神的にも。いろいろと考えさせられる一日になった。
「しかし、焼き払うとか、なぎ払うとか……私も覚えれば良かったかな」
「必要になったら覚えりゃいいだろ」
と、むしむしと干し肉に歯を立てるゼイル。
「せやで。あ、そうや仁科さん、おかえしや、飴ちゃんお食べ」
にっこりと笑う絡新婦のほっそりした白い手から渡されたのは、包み紙にくるまれた飴だった。
「ありがとう、いただきます」
礼を述べて、包み紙を開ければ、桜色の飴が出てくる。
「もうそろそろ、春本番やねえ」
ふわふわ笑う絡新婦に、恭介もつられて頬を緩めた。
口に広がるのは、ほんのり塩気のある桜味だ。
一息ついたあと、彼らは帰還するために立ち上がった。お尻についた土をぱたぱたと払って、
「さて、次に行こうか」
張りつめていた緊張感を解いた猟兵たちは、グリモアベースへ帰還を果たした。
大成功
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