1
【戦後】オーストラリアの奥地に幻のワニ獣人を見た

#獣人戦線 #戦後 #幻朧帝国 #【Q】 #オセアニア戦線 #ワニ #プレイング受付中 #再送歓迎

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#獣人戦線
🔒
#戦後
🔒
#幻朧帝国
🔒
#【Q】
#オセアニア戦線
#ワニ
#プレイング受付中
#再送歓迎


0




●湿原の日常
 クロックワーク・ヴィクトリア領、オーストラリア。発見からまだ50年ほどのこの地には、まだまだ未知のあれこれが眠っている。今回はその中の一つを見てみよう。

 ここは奥地の湿地帯。入植者たちも入り込まず、文明から切り離された一帯には先住民であるワニ獣人たちが暮らしていた。オーストラリアに暮らすワニ獣人には大型で海水にも耐性のあるイリエワニと、中型で淡水から汽水域にかけて暮らしているオーストラリアワニの2種がおり、この地にいるのはオーストラリアワニの獣人のようだ。

 小さな集落にオスのワニ獣人たちが戻ってきた。手には魚の入ったカゴや巨大な淡水魚を持っている。文明から隔絶された彼らは現在も伝統的な狩猟採集によって食料を得ている。かつてクロックワーク・ヴィクトリアの調査隊が彼らと接触した際、|糧食《レーション》を与えてみたところ「マズイ」「腐った魚よりヒドイ」と袋叩きにあったという記録が残されている。……「クロックワーク・ヴィクトリアの|糧食《レーション》がダメだっただけでは?」確かに。

 草で編まれた住居からはメスのワニ獣人や子供たちがワラワラと出てきた。
「おかえり。」
「獲れた?」
「獲れた。」
「獲れた。」
「獲れた。」
「分けよう。」
「分けよう。」
「分けよう。」
 世帯の数だけ籠に小魚を取り分け、巨大な淡水魚は石のナイフで器用に捌き、肉と骨と内臓に分類すると、壷の中に内臓と水に野生のハーブ、岩塩を入れ火にかけた。
 その間に肉は各世帯に分けられ、骨は子供たちのおやつとなっていた。頑丈な顎を持つワニ獣人にとって、魚の骨はちょうどよいおやつなのだ。

 食事の準備を行っている間に、空を夕暮れが彩っていた。彼らはこんな暮らしを遥か遠い昔から続けてきた。

●未知なる種族
「ユー達、獣人世界大戦はありがとうございました。」
 そう言って恭しく頭を下げたのはピノキオ・サンセット(ネズミと黄昏の道化師・f41578)だ。彼自身もグリモア猟兵として参戦していたが、実働部隊である猟兵たちには感謝の念を禁じ得ないのである。
「さて、この戦争結果を受けて各地で超大国に対する反抗の兆しが高まっていますが、それとは無縁な土地もあります。」
 グリモアが映し出したのはオーストラリア大陸の地図だ。その北部、内陸の奥地へと視点はズームする。
「ここにはオーストラリアの原住民であるワニ獣人たちが住んでいます。彼らは同じオーストラリアの原住民であるコアラとは違い、文明から離れ現在も狩猟採集を行う原始的な暮らしをしています。」
 次にグリモアが映し出したのは、ワニ獣人の姿だ。
「かつてはクロックワーク・ヴィクトリアの調査隊が接触したこともあったようですが、袋叩きにあって以来監視程度に留めているようです。ですが、その隙を突き幻朧帝国が彼らの集落にエージェントを送り込んできます。エージェントは集落の中心部で『逢魔弾道弾』を起動し、集落全体をオブリビオンの巣に作り替えようとしています。」
 次にグリモアが映し出したのは、幻朧帝国のエージェントの姿だ。
「幻朧帝国が送り込んでくるのは『ウォーリアー』と呼ばれるワニ獣人の戦士です。ワニのオブリビオンならバレないと思ったのでしょうね。実際、ワニ獣人の集落がある湿地帯ではヤツにアドバンテージがあります。」
 サンセットが人差し指を立てる。
「そこで、現地のワニ獣人たちの協力を得る必要があります。彼らには『食事を共にしたものは仲間』という価値観があるので、皆さんには|糧食《レーション》で料理を作っていただいてワニ獣人に振る舞い、一緒に食事をしてください。」

●新たな出会いの予感
「今だワニの猟兵は確認されていませんが、最近では『サメ』が新たな猟兵として覚醒しました。幻朧帝国はいつかワニの猟兵が現れることを危惧し、先手を打ってきたのでしょう。」
 グリモアを起動するサンセット。
「ならばこちらはその企みを打ち砕くのみ。ユー達、ワニの未来の為にもよろしくお願いします。」


武炎鉄
 こんにちわ、武炎鉄です。23作目は久しぶりの獣人戦線です。この話を書くに当たって調べたんですが、ワニって意外と色々な所に住んでますね。

●第1章はワニ獣人たちに料理を振る舞って一緒に食べます。作らずにただ一緒に食べるだけでもOKです。
●ワニ獣人たちは最初警戒していますので、どうにかして警戒を解いてください。
●第2章は幻朧帝国のエージェント『ウォーリアー』との戦闘です。詳しくは断章にて。
●その他連絡事項はタグでお知らせします。
5




第1章 日常 『糧食料理を食べよう』

POW   :    お代わりしながら沢山食べる

SPD   :    食卓を囲んでの会話を楽しむ

WIZ   :    料理のレシピを教えてもらう

イラスト:del

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●未知との遭遇

 『村の前に見たことのない奴らがいる』との報告を受け、一際大きなワニ獣人が猟兵たちの前に姿を現した。
「ワシはこの村の村長。お前たち、誰?」
 猟兵たちがかいつまんで事情を説明すると、村長が一言。
「ではお前たち、あの|マズい飯《クロックワーク・ヴィクトリア》の仲間ではないと?」
 『一体ワニに何食わせたんだよクロックワーク・ヴィクトリア』と疑問に思いながら、猟兵たちは各々準備に取り掛かるのであった。
ウルザ・ルーナマリア
不味さで袋叩きにあう料理って逆に凄いんじゃねえかな…
何かマイナス印象からだけど警戒緩めてくれる位にはいい感じの料理作りたいな。

シンプルに調理できる魚肉風の糧食を材料に、あと簡単な調理器具も準備しとくぜ。
まずは礼儀正しく村長さんに挨拶と自己紹介。
大体白熊みたいなもんだ!
マズい飯の仲間じゃないし、ここの|ひと《獣人》達の事を知りたいなって思ってる、と伝える。
その為におれ達も料理の準備してきたから、場所を貸して欲しいとお願い。
複雑に調理したら逆に警戒されるかもだしシンプルに焼いたり煮たり、味見しつつ調理。
完成したら現地料理と分けたり交換したりして互いに味わって、交流深めたいな!

※アドリブ絡み等お任せ



●|糧食《レーション》、それは文明の味

「不味さで袋叩きにあう料理って逆に凄いんじゃねえかな……。」
 クロックワーク・ヴィクトリアのあまりの言われように頭を捻るウルザ・ルーナマリア(月に泳ぐ白き獣・f39111)。裏を返せば、ワニたちが怒り出すほどの|糧食《レーション》を食べて平然としていたクロックワーク・ヴィクトリア調査隊の味覚はどうなっていたのか、一抹の不安がよぎる。

 村長に挨拶と簡単な自己紹介をしたウルザは、早速本題を切り出した。
「実は、皆さんに食事を振る舞いたいと思ってまして、どこか調理場所を貸して欲しいのデス。」
 緊張でやや片言になりつつ、交渉を進めるウルザ。それに対し村長は『付いてこい』とウルザを村の中心部、広場のように開けた場所へ案内した。
「ここを使え。」
「ありがとう!」
 早速袋から調理器具や材料を取り出し準備を始めるウルザだが、周囲からただならぬ気配を感じる。ちらりと横目で確認すれば、村の男衆が距離を取りつつも、こちらが怪しい動きを見せればすぐに詰められるよう、彼を取り囲んでいた。
(まだ信じてはもらえないか。)
 長い事同族しか見たことが無かったワニ獣人たちにとって、もふもふとした体毛に包まれたウルザは『未知なる存在』なのだ。

 ウルザが手にしたのは、魚を丸ごと1匹再現した|糧食《レーション》だ。これに串を刺し、塩を振って焚火で焼く。下手に凝ったものを作るより、食べ慣れているであろうシンプルなものの方がワニたちの味覚に合うだろうという判断だ。
 次に、鍋に水と切った野菜、それから団子状にした魚肉風味の|糧食《レーション》を入れて火にかける。味付けはこちらもシンプルに塩と少しのハーブだけだ。
「おかしい所は無い。」
「無い。」
「匂い、美味そう。」
「美味そう。」
 遠巻きに見ているワニたちもウルザの手際に感心している。この分なら大丈夫そうだ。

 魚型の|糧食《レーション》が焼きあがった。植物や穀物で再現された代用品とは言え、こんがりと焼きあがった皮は香ばしく、本物の焼き魚と錯覚するほどだ。
「さあ、できたよ!」
 完成した料理を前に、ウルザを見張っていた男衆が集まってきた。
「魚だ。」
「魚と、汁物か。」
「誰が行く?」
 最初に誰が食べるのか相談し始めたワニたち。話し合いの結果、年嵩のワニが毒見役となったようだ。まずは焼き魚を手に取ると、丸呑みするように一口で口の中に入れ、ゆっくりと咀嚼する。そして次に魚肉団子風スープを手に取ると、具を一口食べ、次にスープをちびちびと飲みだした。その様子を広場にいた全員が固唾を呑んで見守る。
「美味い。問題ない。」
 彼の言葉に、ウルザは肩の荷が下りた気がした。
「さあ、みんなで一緒に食べよう!」
 ウルザの言葉を待っていたかのように、草作りの家から女子供のワニ獣人たちがぞろぞろと出てきた。
「お前、凄い。」
 毒見役を務めた男がウルザに話しかけた。
「だから言ったろ?おれ達はマズい飯の仲間じゃないし、ここのひと達の事を知りたいなって。」

 そしてワニと猟兵の宴が始まるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビスマス・テルマール
料理の旨さ不味さで判別出来る程……と言うのも、とんでもな案件ではありますね、ここは美味しい料理をご馳走して

ワニさん達と交流を図りたい所です、なめろう布教も含めて

村長さんにも挨拶と自己紹介と
調理場の使用許可を取るのと

ご挨拶に事前に『料理』し作った
さんが焼きをどうぞと

レーション料理については未知の分野ではありますが、事前に『グルメ知識&情報収集』し、魚のレーションをメインに色々『料理』、味噌のレーションもありますし、オイルサーディンもあるなら、それも有効活用しましょう

オイルサーディンのなめろうも美味しいですし、パンのレーションに乗せる感じで、さんが焼きも可能なら作りご馳走を

※アドリブ絡みお任せ歓迎



●ワニvsなめろう

「料理の旨さ不味さで判別出来る程……と言うのも、とんでもな案件ではありますね。」
 ワニたちのある種無茶振りとも言える言動に頭を抱えるビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)。『飯が不味いから敵』という訳でもないのだが、何せ初手でクロックワーク・ヴィクトリアがやらかしたのが悪い。
「ここは美味しい料理をご馳走してワニさん達と交流を図りたい所です。なめろう布教も含めて。」
 一番最後に本音が漏れるビスマス。肉食禁止である獣人戦線において、古代の習慣である魚食文化を残すワニたちの反応は気になる所だ。

 さて、ビスマスの周りには雌のワニ獣人たちが集まっていた。中には子ワニを抱えた母親も混じっている。皆興味深げに、中には不安げにビスマスを見ている。
「石。」
「石だ。」
 クリスタリアンを見るのが初めてな彼女たちからすると、ビスマスはキラキラ光る石が動いている様に見えるのだった。
「お近づきのしるしに、まずはこれをどうぞ!」
 ビスマスが取り出したのは事前に作っておいたさんが焼きだ。
「何これ?」
「香りがする。」
 見たことのない料理に手を出す素振りの無いワニたち。と、母ワニに抱えられた子ワニが手を伸ばし、一口頬張った。
「もっとちょうだい。」
 どうやら子ワニのお気に召したらしい。母ワニも一口食べ、何やら納得した表情をしている。それにつられて他のワニたちもさんが焼きを食べ始めた。
「どうやって作るの?」
「知りたい。」
「教えて。」
 家庭を預かる者が多い故か、レシピを知りたがるワニたち。そこでビスマスは簡単な料理教室を行うことにした。

 用意したのは魚肉風味の|糧食《レーション》である。まな板に載せ、包丁で切り刻んでみるとあっという間にミンチのようになった。そこに味噌を加えるのだが、これまたワニたちには未知の食材である。
「泥?」
「泥にしては明るい。」
「味噌を見て泥と言う方は流石に初めてです。」
 ビスマスは困惑しつつも、更に刻んだ生姜と青じそを加え叩き合わせる。
「美味い草を入れるのか。」
「『美味い草』とはつまり『薬味』ですね?」
 ワニたちの知る言葉に合わせて説明を加えるビスマス。
「隠し味にこれを入れますね。」
 缶詰の中には|糧食《レーション》で作られたオイルサーディンが入っていた。これもみじん切りにしてなめろうに加える。
「このまま食べても美味しいですし、焼けば先程の料理になりますよ。」
 味見をする雌のワニたちに釣られ、雄のワニたちも集まってきた。
「何食ってる?」
「『なめろう』というらしい。」
 このワニ、どうやら夫婦らしい。妻が夫にパンの上に乗せられたなめろうを差し出し、夫が味見をする。
「美味い。作れるか?」
「今教えてもらった。」

 ビスマスはその様子を微笑ましく見ながら、なめろう布教計画が記念すべき一歩を踏み出したことを内心喜ぶのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒田・牙印
【方針:POW】
ほう、ワニ獣人の猟兵はいない=ワニ獣人はいないってわけでもねーからな。
俺は獣人とは成り立ちが些か違うワニ男だが、さて受け入れてもらえるだろうか。

兎にも角にも話をして相互理解をしなきゃどうにもならん。
俺は料理に関しちゃド素人もいいとこだから、ここは一緒に食べながら彼らの生活について聞いてみようかね。
普段はどんなメシ食ってるか。どんな娯楽があるのか。子育てはどうだ?
つか、ぶっちゃけ糧食よりコイツらのメシの方が美味そうな気もするねぇ……機会があれば漁の手伝いでもしてみてぇもんだ。
ま、同じ釜のメシを食った仲になったんだ。何か困ったことや事件があったら手を貸すぜ!



●ワニも色々いるんです

 宴を通してワニたちは気付く。『猟兵』というのは様々な姿をしていることに。毛で覆われたものもいれば、体毛の無い柔らかい皮膚で包まれているもの、彼らにとって未知の物体である『金属』に覆われたもの、そして、自分たちと同じ『ワニ』がいることも。

「『ワニ獣人の猟兵はいない』イコール『ワニ獣人はいない』ってわけでもねーからな。」
 そう呟くのは黒い表皮のワニ獣人、黒田・牙印(黒ワニ・f31321)である。彼は厳密に言えばワニ獣人ではなく、ヒーローズアースに住んでいた野生のワニが変異したバイオモンスターだ。成り立ちこそ違えども同じワニということもあり、彼はすんなりと集落に受け入れられた。

 料理の乗った皿を手にした牙印がおもむろに若いワニ獣人に声を掛ける。
「隣座っていいか?」
 若いワニ獣人はそっと隣を開けると、促すように手を振った。それを肯定の合図と見た牙印が隣に座る。
「オレは牙印。お前の名前は?」
「ジャルー。」
「ジャルーか、よろしくな。」

 さて、この『ジャルー』という若いワニ獣人は生まれてこの方、この湿地帯の他に大地が広がっているということを知らなかったし、考えたこともなかった。
 魚を獲り、妻を娶り、子を成し、そして老いていく。湿地帯に生まれ、湿地帯に死す暮らしが空気の如く当たり前であり、自分もそうやって生きていくのだろうと漠然と思っていた。
 だからこそ、集落に現れた『猟兵』は衝撃的だった。見たことのない姿、よく分からないが美味い食べ物、そして『外』の世界。ジャルーたちワニ獣人と真摯に交流を図ろうとする姿は、親から聞いた|不味い飯《クロックワーク・ヴィクトリア》の傲慢さとはかけ離れたものだった。

 料理を食べつつ、牙印がジャルーに話しかける。
「お前らって普段何食ってんの?
「魚。この辺に沢山いる。オレたちで獲る。」
「成程。で、何か娯楽……楽しい事ってある?」
「踊り。オレの母、村一番の踊り子。」
 ジャルーが指さしたのは、別の猟兵から料理の手ほどきを受けている中年のワニ獣人だ。
「あれがジャルーのお袋さんか。ところでジャルーは兄弟いるの?」
「いる。全部合わせて18匹。」
「思ったより多いな。」
「小さい時に死んだ兄弟もいるから、今この村にいるのはオレ入れて9匹。あっちにいるの、オレの兄。」
 ジャルーが指さしたのは、焚火の番をしているワニ獣人だ。火の上には壷が置かれ、何かが煮えている。
「エオラ、何してる?」
「魚、煮てる。客人に食わせる。」
 牙印とジャルーが壷の中を覗き込むと、確かに魚が煮込まれている。煮汁には野生のハーブらしき草が浮いており、それが魚の生臭さを打ち消していた。
「うーん、|糧食《レーション》より美味そうだ。」
「客人、食うか?」
 エオラが壷を差し出す。
「じゃ、少しもらうかな。」
 棒切れで器用に魚を取り出し、皿に盛るエオラ。詳しい種類までは分からないが淡水魚のようだ。一口食べると、ほんのりと塩味がする。
「うん、美味い!」
 料理を褒められたエオラは嬉しそうだ。
「そうだ、今度どんな漁してるのか見せてくれよ。もしかしたら俺も手伝えるかもだ。」
 牙印の申し出に、兄弟は嬉々として漁の話を始めるのだった。

「同じ釜のメシを食った仲になったんだ、何か困ったことや事件があったら手を貸すぜ!」
「猟兵、我らの友人、本当に頼りにしてもいいんだな?」
「もちろん!」
 牙印の差し出した手を、ジャルーが掴む。ワニ同士の友情がここに生まれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ウォーリアー』

POW   :    狩猟無双ノ極意
【ガントレット砲】が命中した敵を【剣槍】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[剣槍]で受け止め[ガントレット砲]で反撃する。
SPD   :    奇襲ノ極意
【潜伏し、対象からほぼ不可視化した状態】から【必中の奇襲攻撃】を放ち、【奇襲攻撃に対する動揺】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    狂奔スル戦士
【狂奔状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。

イラスト:括狐

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠カレン・オニールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●湿地帯に潜むもの

 さて、宴を通してワニ獣人たちと猟兵が友好を温めていたその頃。村のはずれに巨漢のワニ獣人が現れた。彼こそが、幻朧帝国のエージェント『ウォーリアー』である。

「お前、見ない顔だな?」
 たまたま鉢合わせした村人が『ウォーリアー』に問うた。
「知らなくて当然だ。知る必要もない。」
 ガントレット砲が村人に向かって放たれる。砲弾の直撃こそ回避できたものの、村人は爆風と砲弾の破片で怪我を負った。

 今まで聞いたこともない大きな音に、宴を楽しんでいたワニたちが一様に驚く。身構える猟兵たちを見た男衆は雌ワニや子ワニを家の中に逃げるよう促した。
 村の中心部に向かって歩を進める『ウォーリアー』。その行く手に、猟兵とワニ獣人が立ちはだかる。
ウルザ・ルーナマリア
とうとうやってきたか幻朧帝国のエージェント!
仲良くなった皆を殺させる訳にはいかないからな。
猟兵として全力で破壊工作、阻止してやるぜ!

非戦闘員のワニの避難誘導完了するまではおれが庇いつつ足止めしてやるぜ!
銛で接近戦、ガントレット砲側に回り込みつつ剣槍で対処し辛い角度から攻めてく。
砲での反撃は警戒、撃つ素振り見せたら躱すか巨大斧槍で受け流すように逸らし、追撃の剣槍含め直撃回避を試みる。
男衆が避難誘導完了して参戦してきたら敵のワニに銛や爪の先端を向けてUC起動、砲撃の反撃警戒しつつ全身を氷の投網で絡めとってやる!
動き封じてたら反撃もやり辛い、一気に畳みかけようぜ!とワニ達促す。

※アドリブ絡み等お任せ



●氷刺す湿地帯

 爆発音と遅れて伝わる衝撃波を感じ取ったウルザは愛用の大型銛『海獣王の三叉銛』を手に駆けだした。
「みんな、早く逃げろ!」
 ワニたちに逃げるよう促すしながら自らは『ウォーリアー』のいる方向へと向かう。

「やはりいたか、猟兵。」
 抵抗していたワニ獣人を投げ飛ばし、ウルザに向き直る『ウォーリアー』。
「お前なんてことしやがる!」
「こちらの作戦を邪魔しようとしたその男が悪いのだ。」
 ガントレット砲の銃口がウルザとワニ獣人に向けられる。
「させるか!」
 『海獣王の三叉銛』から放たれた凍て付く冷気がガントレット砲の銃口を蓋するように凍らせる。しかし『ウォーリアー』も手慣れたように剣槍での攻撃に切り替え、振りかぶるように斬りつけてきた。ウルザも咄嗟に『海獣王の三叉銛』で剣槍を防ぎ、弾き飛ばす。
「ふん、やるな。」
 体勢を立て直す『ウォーリアー』。そこにワニの男衆が増援としてやってきた。
「女子供はみんな隠れた!」
「よし、まずそこで倒れているヤツも避難させてくれ!まだ息がある!」
 数人のワニ獣人が倒れている村人を抱え、安全な場所へと運ぶのを確認したウルザと他の男衆はまず、家の中に隠れている雌や子ワニの安全を考え『ウォーリアー』を村の外へ追い出すことにした。

「こっちだ!」
「付いてこい!」
 男衆の中でも足の速さに自信のある者数名が囮となり『ウォーリアー』を引き付ける。余談ではあるが、オーストラリアワニはワニの中でも陸上で走る速度が速いと言われており、それは獣人であっても変わらない。
 それに比べ、同じワニでも『ウォーリアー』は走ることにあまり慣れていないのか、追いつきそうで追いつかない距離を縮められない。ガントレット砲を構えようとすると、背後からウルザの冷気を纏った三叉銛の攻撃が飛んでくる。
 やがて『ウォーリアー』は誘われるが如く村の外に広がる湿地帯へと連れ出された。生い茂る丈の長い草が死角となり、待ち伏せしていたワニ獣人たちが放った漁網への対処が遅れた。絡みつく漁網と泥でぬかるむ足元が『ウォーリアー』の自由を奪う。
「これでどうだ!」
 そこに『海獣王の三叉銛』から放たれた棘付きの氷の網が覆いかぶさる。オブリビオンと言えど、寒さに弱い爬虫類の肉体に氷の棘は恐ろしく突き刺さった。

 戦いはまだ始まったばかりだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ビスマス・テルマール
ワニさん達の集落に紛れ、挙げ句の果てに同じオブリビオンに

その様な暴挙を見過ごす訳にはいきませんね、なめろう料理を喜んでくれたのなら尚更の事っ!

◯POW
開幕『早業』UC攻撃力重視発動で
さんが焼き型大型ビームラケットを生成
し『オーラ防御&結界術』で覆い

低空『空中戦&推力移動』で駆けワニさん達と『集団戦術&団体行動』連携

敵の弾を『第六感&瞬間思考力』で『見切り』『怪力』で振るい『ジャストガード』で受け止め

剣槍を壊す様に『鎧砕き&カウンター』で打ち返し

『一斉発射&連続コンボ』から
ワニさん達の波状攻撃に紛れ
生成した武器で『貫通攻撃&斬撃波』を『範囲攻撃』で敵を『なぎ払い』ます

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎



●石の娘

 『ディメイション・なめろうブレイカー改』を身に纏い、湿地帯を低空飛行で進むビスマス。クリスタリアンである彼女にとって、湿地帯の泥は一度踏んだら最後、自らの重量で沈み込み動きを封じられてしまう。故に地上に降りることができないのだ。
「|生成開始《ビルド・オン》っ! さんが焼きビームウェポンっ!」
 ビスマスの手元にユーベルコードの光が集まり、テニスラケットのような形のビームウェポンを形作る。そして、ビームウェポンを隠すように、青じそのようなオーラを纏わせ見えないよう隠した。

「あっ、あれは!」
 草の影に潜み『ウォーリアー』へと奇襲を掛けんとするワニの一団。その中にいた1人にビスマスは心当たりがあった。確かあの人は、奥さんになめろうとさんが焼きを作って欲しいとリクエストしていた。音を立てぬよう、そっと近づく。
「あの、もしもし?」
「む、『石の娘』か。どうした?」
「奇襲をかけるんですか?」
「ああ。あの腕が難しい。普通に戦えば負けるのはオレたち。」
「だが、この土地は仲間。そして新しい仲間もいる。」
 仲間として認められていることに喜びを感じながら、ビスマスも策を考える。『あの腕』とはガントレット砲のことだろう。石器の銛やナイフしか持ち合わせていないワニ獣人たちからすると、あの遠距離攻撃は脅威に他ならない。だが、ガントレット砲に気を取られて剣槍の存在を忘れることもできない。この2つを使いこなすことで『ウォーリアー』は如何なる攻撃にも対応できるのだ。
「片方だけでも潰せないか?」
 一人のワニ獣人が口を開いた。
「それなら、私に作戦があります。聞いてもらえますか?」
 ビスマスの言葉に、ワニ獣人たちが一斉に顔を向けた。

 宙を泥の塊が飛ぶ。それは『ウォーリアー』の目を狙って投げられたものだ。本能的に張られた瞬膜によって目への直接のダメージは避けられたが、一瞬の隙が生まれた。
「行け!」
 声とともにビスマスが全速力で突っ込み、さんが焼き型大型ビームラケットを振りかぶる。咄嗟に剣槍で防御しようとする『ウォーリアー』だったが、さんが焼き型大型ビームラケットの重量とビスマスの勢いづいたスイングに耐え切れず、手から剣槍が吹っ飛んだ。
「うぉぉぉぉお!」
 剣槍の落下地点を目指し、全速力で駆けるワニ獣人。彼らは泥の上でも早く走るコツが体に染み付いているのだ。
「させるか!」
 ガントレット砲を走る男に向ける『ウォーリアー』。しかし今度は銃口を狙って泥の塊が飛んでくる。他のワニたちが撃たせまいと攻撃しているのだ。
「取った!」
 男が泥に突き刺さる前に剣槍を確保した。
「返せ!」
「おっと、あなたの相手はわたしですよ!」
 ビスマスがなぎ払うかの如く、『ウォーリアー』の横っ面をビームラケットでぶん殴った。自分の体躯以上の存在を宙に舞わせるその腕力に惜しみない喝采が飛んだ。

「オレ、今度娘が生まれたら名前は『|ビスマス《石の娘》』にする。」
 剣槍を握りしめ、父ワニは未来のために戦う。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒田・牙印
ふん、同じワニなら油断を誘えるとでも思ったか?
残念だったな、そういうのは「中に入ってから暴れる」から有効であって、初手から攻撃じゃあただのカチコミにすぎん。
さて、ぶっ飛ばされる覚悟はできてるか?

ま、俺も正面から殴ることしかできねぇタチなんでな。おう、てめえの持ってる斧槍や大砲と俺の拳骨で勝負してみようや。
つまりは……互いの攻撃を真っ正面から受け止めて、思いっきり殴り返すだけの我慢比べだ。
そのご立派なつまようじと豆鉄砲が俺の鋼の肉体を砕けるかどうか。
俺の拳がてめえを木っ端微塵にするか。
覚悟しな。俺の拳は大地をも砕くんだぜ!



●激突!ワニvsワニ

 『ウォーリアー』が吹っ飛ばされた先には、牙印とジャルー、エオラとこれまた別の男衆が待ち構えていた。
「さて、ぶっ飛ばされる覚悟はできてるか?」
 拳を鳴らしてやる気満々の牙印。他のワニたちも殺気立っている。傍から見ればワニの縄張り争いのようにも見えなくない。実際ワニは縄張り意識が強い生き物だ。自分たちの縄張りを荒らした『ウォーリアー』に対し怒り心頭なのは納得である。

 剣槍は奪われたまま戻ってきていない。だが、自分にはまだガントレット砲と強靭な肉体がある。
「お前こそ泥に沈みたいのか?」
「沈んだら浮かぶまでだろ」
 牙印が独特の構えを取る。漲る覇気に他のワニたちからどよめきが起きる。
「あれは!?」
「強者だ、強者がいた。」

 先に仕掛けたのは『ウォーリアー』だ。太い尾の振り回しと回し蹴りのコンビネーションが牙印を襲う。
「オラァ!」
 慌てず、防御の姿勢から尾をはたき落し、足を掴む牙印。バランスを崩しかけるも持ちこたえる『ウォーリアー』だが、そこに横から石器と棒で作られた銛が投げつけられる。
「フン!」
 銛は硬い鱗に弾かれたが、牙印が気を取られた隙を突き一気に押し込む。水飛沫を上げて『ウォーリアー』が背後の沼に突き落とされた。そこにワニたちが飛び込む。
(水中戦か?しかしこの程度では)
 数で上回るワニたちを相手取っても、『ウォーリアー』はあくまで冷静だった。ガントレット砲は水中であっても使えるようになっていたのだ。
 ジャルーの尾が水底の泥を救い上げ、撒き散らす。他のワニたちも追随するように泥を撒き、水を濁らせる。
(どこから来る?)
 警戒していた『ウォーリアー』。その尾に痛みが走る。ジャルーが決死の覚悟で尾に噛み付き、横方向に回り始めたのだ。ワニにとっての最大の武器『デスロール』を始めたジャルーに対し『ウォーリアー』はジャルーを振り払おうと懸命に尾を振る。
 しかし、尾に気を取られている間に今度はエオラが右足に噛み付く。他のワニも『ウォーリアー』の動きを封じるように左足と右手にそれぞれ噛み付き、デスロールを決めようとする。
 怪力で持ちこたえる『ウォーリアー』だったが、水面から強烈な覇気を感じ取った。
「この沼ごと破壊してやるぜ!」
 ユーベルコードの力を拳に漲らせた牙印が飛びかかってきた。達人の域に高められた覇気は沼の水を吹き飛ばし、『ウォーリアー』とワニたちの姿を露わにする。
「こいつらがどうなってもいいのか!」
「行け!オレたちごと殴れ!」
 ジャルーの叫びに答えるように、牙印の『爆撃拳』が『ウォーリアー』を貫き、巨大なクレーターを作り出す。クレーターによってさらに深くなった沼に、吹き飛ばされた水が再び集まった。
「ジャルー!エオラ!みんな無事か!?」
 水面に顔を出した牙印が呼びかける。
「無事だ。」
 腹を出しながらも水面に浮かぶジャルー。近くにはエオラや他のワニもいた。

「手加減できなくてごめんな。」
 詫びる牙印にエオラが返す。
「下手に取り逃がすよりいい。獲物を逃がせば後悔は深い。」
 ジャルーや他のワニたちも同意するように深く頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレクシア・アークライト
それだけやられてまだ生きているなんて、しぶとさだけは一級品ね。
いえ、オブリビオンなんだからとっくに死んでいたわね。
熨斗を付けて骸の海に送り還してあげるわ。

念動力で飛翔しつつ、周囲に三層の《領域》と《防壁》を展開。
砲撃は《領域》で認識し、《防壁》で逸らし、又は弾く。

《温度干渉》で周囲を極低温化。敵の動きを阻害しつつ、四肢に氷錐を放つ。
動きが十分に鈍くなったら、《次元干渉》で至近に転移。
UCで強化した念動力で捕縛し、右手に込めた《精神干渉》で敵の記憶を覗く。

近くには見当たらないけど、逢魔弾道弾を持ってきている筈よね。
時限装置なんかで爆破されたらたまらないわ。
何処にやったのか教えてもらうわよ。



●『赤の娘』

「それだけやられてまだ生きているなんて、しぶとさだけは一級品ね。」
 足元が泥で汚れるのを厭わぬ女――アレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)が呟く。
「いえ、オブリビオンなんだからとっくに死んでいたわね。熨斗を付けて骸の海に送り還してあげるわ。」

 剣槍は既に手元に無く、ガントレット砲の砲弾も残り心許ない。だが、自分にはまだ切り札である『逢魔弾道弾』がある。生きて帰らずとも本来の目的を達することができれば問題ない。『ウォーリアー』は自らに言い聞かせると、むくりと起き上がった。
 アレクシアが『領域』によって『ウォーリアー』の動きを検知した。『念珠』を展開し、念動力で己の体を浮かび上がらせると、『ウォーリアー』もまた、アレクシアを狙い、ガントレット砲を構え砲弾を発射した。アレクシアも対抗するように『防壁』を三重に展開し守りを固める。
 『防壁』が砲弾をはじいた。だが『ウォーリアー』の狙いは別にあった。一瞬の隙を突き、再び集落に向かい走り出す『ウォーリアー』。
「この先には行かせない。」
 アレクシアが『温度干渉』を発動させ『ウォーリアー』の周囲を極低温化する。湿地帯の水分を多く含んだ泥はあっという間に凍り付き、枷として『ウォーリアー』の行く手を阻む。そして爬虫類の肉体は寒さに弱い。動きの落ちた『ウォーリアー』目掛け大量の氷錐が降る。

 動きを封じられた『ウォーリアー』の元にアレクシアが瞬間移動した。
「止めか?」
「違うわ。」
 アレクシアが右手をかざし『精神干渉』を発動させる。
「近くには見当たらないけど、『逢魔弾道弾』を持ってきている筈よね。」
「それがどうした?」
「時限装置なんかで爆破されたらたまらないわ。何処にやったのか教えてもらうわよ。」
「誰が吐くか。」
 黙秘の対応を貫く『ウォーリアー』だが、アレクシアが読み取った記憶には事が起きる前、『ウォーリアー』が『逢魔弾道弾』を飲み込む姿が残されていた。

 アレクシアの顔色が変わる。
「あなた、本気で飲み込んだの?」
「猟兵に嗅ぎ付けられるか、異変を感知したクロックワーク・ヴィクトリアが兵を送り込んでくるか、どちらにしろ生きて帰れぬ任務だ。」
 表情一つ変えぬ『ウォーリアー』。
「だがこの身では目的を果たすことはできないだろう。せめてお前を道連れに――」
 アレクシアは『ウォーリアー』が全てを言い終わるよりも早く『強化回路』と『次元干渉』を発動させると、凍り付かせた周囲の地面ごと『ウォーリアー』を空中へと転移させ『防壁』で取り囲んだ。

 爆音と閃光が花火の如く湿原に轟く。驚いたワニたちがアレクシアの元に集まってきた。
「あの音と光は何事?」
「『赤の娘』よ、お前があれをやったのか?」
「怪我はないか?」
 口々にアレクシアに質問を飛ばすワニたちだったが、『ウォーリアー』が自爆したことを告げると、何処からともなく勝鬨の声が上がった。
「友よ、我らの勝利なのだな!」
「ならば宴だ!村に戻り宴の続きだ!」
「村の皆に知らせてくる!」
 数名の体力が残っているワニ獣人が村に向かって駆けだした。肝心のアレクシアはというと、大柄なワニ獣人の肩に乗せられ、神輿を担ぐかのように村へと運ばれていった。

 この日は外の世界の友と出会い、共に強敵に立ち向かった日としてワニたちの心に永遠に残り続けるだろう。ワニの肩の上で、アレクシアはぼんやりとそんなことを思うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年03月11日


挿絵イラスト