ヒツジ、オオカミ、ネズミ、ウマ、種族も性別も問わず何人もの獣人達が集まり、誰も彼もみんな、これから来るであろう平和な日々を願い、談笑しながら作業をしている。
カントは「きゅぴっ!」と鳴いて手を振ると、グリモアが輝き、猟兵達をコンサート会場へ送りだすのだった。
本緒登里
●MSより
獣人世界大戦お疲れ様でした。
復興支援という名目でコンサートを開き、大いに盛り上がりましょう。
●シナリオについて
こちらは2章構成のシナリオになります。
1章:復興支援コンサート(日常)
2章:みんなで大宴会(日常)
1章ではコンサートに参加し、大いに盛り上げ盛り上がります。
出し物は自由で、猟兵の飛び入り参加も大歓迎されます。
皆様の素敵な歌や踊り等を存分に描写したいと思います。
もちろん観客側、通りすがりの人といった参加も歓迎です。
2章は屋台のごちそうを食べながら、獣人達と宴会をします。
宴会といっても、個人やグループで静かに酒を酌み交わす等も可能です。
●描写について
版権に引っかかる歌詞の引用は絶対におやめください。
また、1章では観客席のモブ獣人の視点から猟兵の演技を描写するリプレイも可能です。
猟兵の演技に感銘を受けたり、憧れたり、勇気を貰ったりと、モブの熱い気持ちをお届けすることになるかと思います。
希望される方はプレイング冒頭に【モ】とお書きください。
●プレイング受付
物理的に開いている限り、常時受付中です。
オバロ、複数、1章のみ参加等、お気軽にどうぞ。
同行者がいる場合は、同行者の名前とID、もしくはグループ名をお書きください。
第1章 日常
『歌姫来訪』
|
POW : 熱くなって盛り上がる
SPD : アーティストにサインをもらう
WIZ : いっそ自分もステージに上がる
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ふふっ、あたしのバイオリンさばきを見せる時ね」
「俺の美声を世界に轟かせる日がついに来たか!」
「僕達スズメダンサーズの一糸乱れぬラインダンスに驚くなよー」
コンサートまではまだ何日もあるというのに、完成したステージを前に、獣人達は大いに盛り上がっていた。
「コンサートですって。一緒に行きましょうよ」
「うわあ、素敵! どんな出し物があるんだろう?」
「ママ―! ぼく達もコンサート見たーい!」
演者側、観客側と様々だが、老若男女を問わず、獣人達はコンサートを待ちきれない思いで胸を弾ませている。彼らの顔に浮かぶ喜びや希望は、猟兵達が守り抜いたかけがえのない平和の象徴だ。
獣人達の幸せな噂話は止まらない。
「ねえねえ、聞いた? このコンサートには猟兵の人達も来てくれるんだって」
「ホント? それならありったけの料理でお迎えしなきゃね」
「猟兵さん達が守ってくれたおかげで、うちのワイン畑も今年は豊作だろうさ。感謝の気持ちは、とっておきの熟成ワインで示そうか」
「それはいい考えだ!」
噂話は周辺の街や村だけにとどまらず、近くの街や村からヨーロッパ全域へ、さらに海や山を越えてアメリカやロシアまで広がっていく。
世界に歌を、皆に希望を!
それを合い言葉に、獣人達の明日を願う想いが世界を繋いでいく。
さあ、コンサートはもうすぐだ!
フィーナ・シェフィールド
アドリブ歓迎
「復興支援コンサート…わたしもお役に立てそうですね」
大陸東方の山中の戦場に参戦させていただきましたが、欧州の方も気になっていたんですよね。
コンサートはトップ、または早めの出番を希望。
今回の大戦での犠牲はほぼゼロ。と言っても、元々戦争が続いているこの世界、傷を負っている方もみえるでしょう。
インストルメントを構え、マイクスタンドにイーリスをセット。
「コンサートを全員で思いっきり楽しめるように、心を込めて歌います」
永遠に響く癒しの旋律。
この平和が永遠に続くように。この世界の争いが一日も早く終わるように、と。
心からの祈りを込めて演奏と歌を披露します。
「最後まで、楽しんでいきましょうね♪」
「復興支援コンサート……わたしもお役に立てそうですね」
獣人達の希望の象徴となった復興支援コンサート会場。その真ん中に設えられたステージの中心で、フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)は呟く。
まだコンサートは始まったばかりなのに、目の前の観客席は祭典を楽しもうと集まったあらゆる国の獣人達で埋め尽くされんばかりで、拍手が万雷のように鳴ってフィーナを迎える。
フィーナが纏う薄花色のマキシ丈のドレスは、大ぶりなフリルやリボンで彩られ、薔薇や桜の花を透かすレースが上品さと可愛らしさを添えていた。
ステージに立つフィーナがお辞儀を一つすると、ドレスの裾が緩やかに翻る。
空の色を映す純白の翼を広げると、薄桃色の彼岸桜の花びらがふわりとステージに舞う。
「あ、あの天使の翼、それにあのお花! もしかして!」
スポットライトを浴びるフィーナの姿を見て、観客席のクマ獣人の子供が立ち上がる。
「叔父さんの手紙に書いてあった人だよ! 幻朧帝国から病院を助けてくれたの!」
ありがとうと笑顔で手を振るクマの子を、周囲の獣人が温かく見つめている。
そんな彼らに、フィーナは柔らかく微笑みを返す。
サクラミラージュ世界の人間として、たとえそれがオブリビオンであっても自分達の世界に類する者が侵略を続けていることを、フィーナは憂えていた。
少しでも獣人達を助けたいと大陸東方で戦いに身を置いていたこと。それは確かに彼らの世界のためになっていたのだと、今、笑顔を見せる人々を見て思う。
キーボードとギターが一体化したオリジナルデバイス『インストルメント』を構え、その髪と翼と同じ色をしたマイク『イーリス』をスタンドにセットする。
「コンサートを全員で思いっきり楽しめるように、心を込めて歌います」
フィーナの指先がインストルメントのキーを叩く。
ゆっくりと、そして軽やかに。踊るような指先が優しい旋律を奏でる。
コンサート会場にフィーナの奏でるピアノの音が響き渡ると、その音を聞き逃すまいと、先程まで期待と興奮でざわめいていた会場がシンと静まりかえる。
元々戦争が続いていたこの世界、傷を負った方もいるでしょう――。
そっと胸中でフィーナは呟く。
その人達の心が少しでも癒えるように――。
訪れる明日を心から喜べる日が来るように――。
そう願い、フィーナは桜色の唇を開く。
優しいタッチで奏でられるピアノの音に、フィーナの空のように透き通る声が重なる。
歌声が、草木を慈しむ恵みの雨のように、柔らかく会場の人々の心に染み通っていく。
戦火を逃れてこの街に避難してきた若者が、故郷を想って涙を流す。
かつて友人を喪った老人が、この平和を彼にも見せてやりたいと呟く。
子供達とその母親が、これから続く世界が平和であるようにと祈る
|永遠に響く癒しの旋律《エターナル・メロディ》――。
フィーナの心からの祈りを込めた旋律が、長く続いた戦争で傷ついた獣人達の心と体を癒やしていく。
この平和が永遠に続くように。この世界の争いが一日も早く終わるように、と。
平和を願う癒しの歌が、コンサート会場に集まった者達の心を一つに結びつけていく。
「最後まで、楽しんでいきましょうね♪」
演奏を終えたフィーナがにっこり笑うと、会場は割れんばかりの拍手に包まれるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
グラース・アムレット
【モ】OK
(MS様の書きやすいようにしてくださればと思います)
アドリブ連携歓迎
復興支援コンサート!
素敵な催しですね!
私も微力ながらも助力したいです
劇団の獣人さんと一緒に演劇を
私は脚本や演出を担当できればと思っています
お話は『歌姫』や『故郷』をモチーフにするのはどうでしょうか?
戦場では果敢に軍歌を歌い、鼓舞していた歌姫さんですが、
きっと兵士さんたちから故郷の歌もリクエストされていたと思うんです
魂が還りつとめを終えた兵士に、兵役を無事終えた獣人に、一時の休暇で故郷に帰る兵士に
それぞれに送り出す歌と、歌を背景に流れる短めの芝居……
穏やかな劇となるでしょうが
獣人の皆さんが心癒されてくれればと思います
ステージに設えられた舞台の幕が上がる。
続いての出し物は、地元の若者達による演劇『故郷へ続く歌』。
私が初めて聞く題だった。パンフレットには脚本と演出を務めるのはグラース・アムレット(ルーイヒ・ファルベ・f30082)という女性だと書かれていた。
なんとなく舞台を見ていたはずなのに、すぐに私は舞台の上で繰り広げられる数々の物語に引き込まれていた。
劇のモチーフは『歌姫』と『故郷』。
――ああ、そこにいるのは私だ。
この脚本を書いたのは、私のような戦場の歌姫なのだろうか。
もしそうでないなら、どれほどの経験を積んだ脚本家なのだろうか。
そう思わせるほど、舞台上にはいつかの私の姿があった。
役者の演技に大都会の劇団のような洗練さがあるとは言いがたく、衣装や大道具も簡素なもののはずなのに、スポットライトを浴びる舞台上にあったのは、紛れもなく私達がいた戦場の物語だった。
オムニバス形式の舞台なのだろう。次々に違う戦場の光景が映し出されていた。
照明が煌々と輝く舞台には、兵士達のつかの間の休息の光景。
酒を酌み交わして語らう彼らの中央に、笑顔を浮かべて歌う一人の歌姫がいた。
歌姫が彼らの故郷の祭り歌を朗々と歌うと、兵士達はやんやと手を叩いて盛り上がる。
ぱっと照明が切り替わる。
暗転した舞台の上手でスポットを浴びるのは、軍服を着た兵士達と布をかけられた幾つもの膨らんだ袋。舞台中央では物悲しくレクイエムを歌う歌姫がいた。
魂が還りつとめを終えた兵達、彼らの魂が平穏に包まれることを願う歌が響いている。
また照明が切り替わる。
兵役を終え故郷に帰る人に、一時の休暇で故郷に帰る兵士に送る歌が響く。
喜び、悲しみ、感謝、ねぎらい――。
戦場には様々な人間模様があり、|歌姫《私》も彼らと共にそこにあったのだ。
いつしか照明が落ち、暗転した舞台の上にどこか寂しげな歌だけが響いていた。
その歌に自分を重ね、ふと、もの悲しさを覚えた。
戦場に長くいすぎて、私はどこに帰ればいいかわからなくなっていたのだ。
また、全ての照明が灯される。
劇のクライマックスは、今のこの平和になった世界なのだろう。
舞台上の人々は、誰も彼も軍服を脱ぎ捨て希望に溢れた歓声を上げる。
ふいに人垣が割れ、パッと花が開くように高らかな歌声が響く。中央で歌うのは、劇中で戦場にいたあの歌姫だ。
平和と希望を奏でるその旋律は、私の故郷の民謡と似ていた。
懐かしい歌。温かな人々。愛する故郷――。
劇の中の歌姫と私が、そして舞台上の光景と私の故郷が重なる。
ただ歌う喜びに溢れ、歌を聴く者達に希望と安らぎを届けたいと願った日を思い出す。
あの場所に、故郷に帰りたいと願いながら、私はスッと息を吸い……。
気が付くと、私は奏でられる旋律を口にしてしまっていた。
不意に飛び込んだ観客席からの歌に、舞台の役者達が動揺し、演技を忘れる。
歌姫役の役者も、目を丸くして歌を止めていた。
劇のクライマックスを中断してしまった私に、観客の視線が刺すように向けられていた。
舞台を台無しにしてしまったことに気付き、恥ずかしさに頬が紅潮する。
その時、風が踊り、薄桃色をした美しい花びらが辺りに舞った。
舞台袖から茶色の髪をした小柄な女性が朗らかに歌いながら降りてくる。
彼女は役者ではないのだろう、この辺りでは見かけない布を身体に巻き付けたような珍しい形状をした服を身につけていた。
もしかしたら、彼女がグラースという脚本家だろうか?
グラースは私の手を取り、琥珀色の瞳を細めて柔和に微笑み、頷く。
それをきっかけに、役者達が再び歌い出す。
歌姫役だけでなく、市民役、兵士役、そして大道具や照明などの裏方までも。
いつしかそれは会場全体を巻き込み、波のようなうねりが辺りを埋め尽くしていた。
誰もが声を合わせて歌を口ずさみ、私もその一つになって歌う。
この平和を、故郷を守ること。それが今、この時、唯一の願いなのだと――。
そう高らかに誓い、そしてこの平和の歓びと希望の歌を街中に響かせる。
喜びが胸の中に溢れ、歌う私の頬を熱い涙が伝っていく。
私はこの舞台を創り上げたグラースという猟兵に胸中で何度も感謝の言葉を贈る。
戦場に歌姫がいたことを忘れないでいてくれてありがとう。
私を故郷に帰してくれてありがとうと――。
大成功
🔵🔵🔵
ディアナ・ランディール
アドリブ可
【モ】
「復興支援コンサート、ですか。初めてです」
始めてこういった催し物を見かけた。楽しげな雰囲気に参加してみようかと気になる。
コンサートは、中盤の出場を希望。
あまり大戦で活躍できたわけではないが、自分なりに助けになることは出来た気がする。
その感謝と、今会場にいる人々の平和、そして大戦の終局を祈って…
「会場の人達みんなが楽しめますように。拙いですが聞いてください」
フルートを手にし、音を奏でて。
小さく無害な獣たちを呼び寄せ、音に合わせて動く様に意思の疎通を交わし、自分も合わせて踊り始めて。
「みんなも一緒に、踊りましょう」
早朝から開始されたコンサートはまもなく中盤にさしかかろうとしていた。歌や楽器の演奏、劇、ダンス、はたまたジャグリングまで、様々な出し物に観客達の盛り上がりはとどまるところを知らず、太陽がすっかり頭上に登った頃には、街中の人達のみならず、周囲の街から集まってきた人々で会場はいっぱいになっていた。
「ねえねえ、せんせー。あのおねえちゃん、すっごくきれいだね」
「ほんと! このあいだのえほんにでてくるアリスみたい」
子供達用にと特別に設営された席で、引率している園児達がステージの出演者――ディアナ・ランディール(鋼糸使いのドール/ビーストマスター・f41918)を指差し、見つけた素敵なことを報告しようと口々に私に話しかけてくる。
今日は、私達は園児達をつれて遠足にやってきたのだ。
実は、私達がこのコンサートに来れたのも、猟兵さん達のおかげ。
この間、あちこちの幼稚園や学校、児童養護施設に沢山の寄付が届けられた。なんでも、超大国から奪った軍資金を子供達のために役立てて欲しいんだって。
うちにも結構な額のお金が届いて、それでバスをチャーターできた。
戦争があった頃はできなかった思い出を、みんなに作ってあげたいって言ってね。
とっても素敵なアイデアに、みんなも大喜び。もちろん、私もよ。
「ほら、ダメよ。演奏中は静かにしなきゃ」
園児達を諭しながらも、私自身もワクワクが抑えきれない気持ちでいっぱいだ。
だって、次に登場したのは私とそんなに歳も変わらないのに、とても素敵な娘だったのだから。
「復興支援コンサートの開催、おめでとうございます。こういった催し物は初めてですが、皆様が楽しい気持ちになれるよう、私も精一杯がんばります」
この間、子供達に読んであげた『不思議の国のアリス』に出てくるような、可愛らしい緑のエプロンドレスにピンク色のリボン。彼女がドレスの裾をつまみ上げてお辞儀をすると、頭の上でチョコレート色のヘッドバンドで留められたフリルが揺れる。
いいなあ。うちの園の仕事着もあれぐらい可愛かったらいいのになあ。
今度、園長に頼んでみようかな? いつもしかめっ面のお婆ちゃんだけど、今は隣で舞台に夢中になってるし。お婆ちゃんをも魅了するアリスさん、恐るべし。
そんなことを考えていたら、挨拶が終わって、いよいよ出し物が始まる時間。
「会場の人達みんなが楽しめますように。拙いですが聞いてください」
そう言って、取り出されたのは銀色に輝くフルートだ。
琥珀色の髪が、煌めく太陽を受けてエメラルドグリーンに輝く。
たしか、グリーンアンバーだっけ? 宝石みたいな綺麗な彼女の髪がふわりはためく。
唇にそっとフルートの吹き口を当てる姿は、童話のプリンセスのよう。
園児達もすっかり魅入って、今か今かと音が鳴るのを待っているみたい。
なめらかな絹糸のように美しい旋律が奏でられると、彼女の周りにどこからともなく小さなこびと達が集まってきた。
ヒツジ、 ネズミ、ウマ、シカ、クマ、オオカミ、ウサギ。
トラやヘビなど、この辺では珍しい人もいる。
いろんな人種のこびと達が、フルートの軽やかなリズムでダンスを始める。
「えー!? すごーい!! まほうみたい!」
「アリスのおねえちゃん、すごーい!」
子供達も大喜び。特に喜んでいるのが最近引っ越してきたトラの子供。
この辺じゃトラの子は珍しいもの。きっと自分と同じこびとさんがいて嬉しいのね。
故郷を離れて寂しい気持ちを、素敵な魔法が笑顔に変えてくれたんだ。
はしゃぐ子供達に、ステージで踊る彼女が振り向き、にっこり笑顔を見せてくれる。
「みんなも一緒に、踊りましょう」
そう言って手を振る魔法使いのプリンセスに、子供達はもう大はしゃぎ!
ぴょんぴょん跳びはねたり、足踏みをしたり、手を振ったりと、リズムに合わせて思いつく限りの自由な動きでステップを踏んで踊る。
喜んでいる子供達を見ると、私まで笑顔になっちゃう。
コンサートはまだまだ続く!
猟兵さん達がくれた素敵なプレゼント! 私達もさらに盛り上げていかなきゃ!
大成功
🔵🔵🔵
奥鳥羽・ミココ
(大正琴や胡弓、鼓、神楽鈴を並べて見比べている)
うーむ、こういう場での振る舞いは良くわからんのじゃが…
ま、全部使おうかのぅ
【SPD】連携・アドリブ歓迎
両手で琴を、右の触腕で胡弓、左で鼓と鈴を演奏しよう
巫女修行で【楽器演奏】や同時演奏(【ジャグリング】)も習っておるから、さほど難しくはないのじゃ
ついでにUC【虹彩の繭】で見た目も派手にしてみるかの?
興が乗ったら【歌唱】を披露しても良いのぅ…邦楽以外も得意じゃし
いや、演奏中に何で?とか司会が聞くか?
故郷で義兄弟たちに聞かせて自慢するべく練習したんじゃよ
お義姉ちゃんの意地というやつじゃな
うむ、では故郷の流行り歌でも歌おうか…あの時のように
ステージの上に一段高く舞台が建てられ、牡丹唐草模様の地紋が織り込まれた敷物の上には、大正琴や胡弓、鼓、神楽鈴と様々な楽器が置かれていた。
ヨーロッパ圏内の獣人達にとって、そのたたずまいは見慣れぬ物であったが、どこか神聖な雰囲気も感じさせられるものだった。
並べられた楽器の前に巫女服を着た女性――奥鳥羽・ミココ(光の触腕巫女・f37531)が進み出る。
「(こういう場での振る舞いは良くわからんのじゃが……)」
そう思いつつ、ま、いつもと同じでよいじゃろうと悠揚に構える。
ミココは白い布がかけられた台の上に置かれた大正琴の前に進み出ると、巫女服の袴の裾を広げて腰を下ろした。
緋色の花弁のように広がる袴と、染み一つない襦袢の白。流れるような艶やかな黒髪も相まって、清楚さと艶やかさを持つ大輪の牡丹の花という風情をもつミココの座り姿に、観客席が息をのむ。
はて、彼女一人であの楽器を弾くのだろうか?
いやいや、いくら猟兵さんでもそんなわけあるかよ。
客席にいた獣人のささやきが風に乗って耳に届いて、ミココの眉が「ふむ」と悪戯っぽく上がる。
「ではひとつ、全部使って驚かしてやろうかの」
ミココの背中から四対の光の触腕が伸ばされる。
右の触腕の内、二本が胡弓の中子先を支え、一本が棹を軽く押さえ、最後の一本は弓を掴む。
左の触腕は、一本が鈴を掲げ持ち、あと三本は鼓に伸ばされる。
客席の獣人達が、一体これから何が起こるのかと目を見開き固唾をのむ中、ミココはと鈴を揺すってシャンと清らかな金属音を響かせる。
古来より受け継がれてきた巫女としての修行。それによって鍛え抜かれた確かな楽器の演奏技術。これだけならよくあるものなのだが、ミココの真価はここからだ。
触腕が神々しく金に輝き、胡弓の弓を滑らせる。絹糸と馬尾毛が擦れ合う滑らかな感触が旋律となって流れ出す。
そこに触腕が鼓の革を打つ音がポン、ポンとリズミカルに響く。
ミココ自身は大正琴のボタンに置かれた左手の指を軽やかに動かし、右手で持つ爪で弦を弾く。哀愁のある澄んだ音が柔らかな旋律を奏で、重なる旋律に深みと奥行きを与えていく。
四種類の楽器の同時演奏による合奏。
この程度、さほど難しくないのじゃというのは本人の談だが、一つの楽器に精通するのでも長年の練習が必要だというのに、それを同時に行うのは常人の技ではない。
ミココの妙技に、獣人達は声も忘れて魅入っている。
「よしよし、ではもう一つ見た目を派手にしてみるかの?」
獣人達の反応に気を良くしたミココは、彼らに更なる驚きをもたらす!
ふわり、舞うようにミココの周りを飛翔する竜翼扇から強靱な竜気が放たれる。
竜気は周囲の大気を七色の光彩で染め上げ、宙に虹の綾を描いていく。
ミココの奏でる旋律に合わせて光彩はその濃淡を変え、音の聞こえない遠方へも旋律を届けていく。
「うむうむ、わらわも新参とはいえ女神の端くれ……これくらいは、な」
壮観な光と音が繰り出す光景に興が乗ったミココは、平和と希望を寿ぐ。
祝詞は歌となり、高らかに空へ――。
演奏が終わりミココが優雅に一礼すると、会場をどよめかす拍手が上がる。
「あの、どうしてそんな沢山の楽器を?」
「なになに、故郷で義兄弟たちに聞かせて自慢するべく練習したんじゃよ。お義姉ちゃんの意地というやつじゃな」
目を丸くする司会に、振り向いたミココは何でもないことのように答える。
その背後からワッと会場から盛大なアンコールの声が響く。
「うむ、では故郷の流行り歌でも歌おうか……あの時のように」
盛大な拍手と共に、ミココはまた沢山の楽器を手に取るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ミュー・ティフィア
『コンサート!ねえミュー!私達も出ようっ!』
出るのはいいけど歌は何にしようかな……
『私達の持ち歌はー?』
あれは結構曲調がしっとりしてるし……
『きっと大丈夫だよ!ね?』
そうですか?……じゃあ一緒に歌いましょうか、フィア。
『うん!歌っちゃおー!』
いくつもの空を超えて繋いだ絆があった
どれほど暗く荒れ果てた道でも歩んでゆける
『この絆(あい)があれば』
悲しみに俯いて明日に絶望したとしても
『決して貴方は1人じゃないから』
忘れないで
いつか悲しみの夜が明けたらもう一度この手を繋ごう
『約束だよ』
明日は誰にもわからないから
『一緒に行こう』
Ah……歌いながら……
『いつまでも……』
歌いながら……La la la……♪
それはコンサートが始まる少し前のこと――。
『コンサート! ねえミュー! 私達も出ようっ!』
うさ耳のような大きなカチューシャのリボンを揺らし、掌サイズの闇の妖精『フィア』は、ミュー・ティフィア(絆の歌姫・f07712)の周りを飛び回る。
「出るのはいいけど歌は何にしようかな……」
それに答えるミューは、歌姫と呼ばれるだけあって出ること自体に異論はない。
だが、そうなると悩むのは選曲。
祭典に相応しい楽曲を選ぶところから、コンサートは始まっていると言っても過言ではない。
『私達の持ち歌はー?』
「あれは結構曲調がしっとりしてるし……」
『きっと大丈夫だよ! ね?』
コンサートには少々大人しすぎるかもと首を傾げるミューを励ますように、フィアは胸の前で手を叩いてみせた。
ステージの中央、一筋のスポットライトを浴びて、ミューとフィアの姿が浮かび上がる。
大きさこそ異なれど、その姿はおとぎ話から抜け出してきた双子の妖精のよう。
彼女達がトンと爪先で床を叩いて挨拶をすると、白と黒のドレスの裾がふんわりと広がり、獣人達が一斉に拍手をする。。
「……じゃあ一緒に歌いましょうか、フィア」
『うん! 歌っちゃおー!』
視線を交わしてウインクし合うと、フィアは翼の装飾が施された美しいハープをつま弾く。
ポロン、ポロロンと甘く優しい魔法の音が流れ出す。
前奏の終わりで深呼吸を一つして――。
「いくつもの空を越えて紡いだ絆があった」
ミューの歌声が響き、希望に溢れるソプラノが陽光のように優しく会場を包み込む。
「どれほど暗く荒れ果てた道でも歩んでゆける」
右手を広げ、観客先の方へ差し伸べると、髪とお揃いの色の薔薇飾りが揺れる。
『この|絆(《あい》があれば』
そこにフィアが歌声を重ねる。メゾソプラノが夜の安らぎを映し、旋律を深める。
「悲しみに俯いて明日に絶望したとしても」
『決して貴方は1人じゃないから』
光と闇の旋律が重なり、因果すら超越する歌声となっていく。
永遠に続く昼と夜の間で希望と愛を歌う彼女たちの歌が、永遠に続く平和を願う。
「忘れないで」
「いつか悲しみの夜が明けたらもう一度この手を繋ごう」
『約束だよ』
歌詞に合わせてミューが伸ばす指先に、フィアが指を重ねる。
小指を絡めて、花のように互いに微笑み合う。
「明日は誰にもわからないから」
歌いながら、ミューは『はじまりの場所』で見たものを思い出していた。
白い光のかげぼうし。
大切な人も、自分の姿すら喪った、哀れな成れ果て……。
あれが自分の運命ではないとは分かっていても、途方もなく長く続く明日の先に、そうならない保証はどこにもないのだ。
そんなミューの陰りを感じ取ったのか、フィアがそっと寄り添う。
『一緒に行こう』
一人じゃないと語りかける歌が、ミューの心に染み入る。
きっと大丈夫。
私にはフィアがいる。他の精霊達も、大事な友達もいる。
だから、今はフィアと一緒にこの歌を歌おう。
「Ah……歌いながら……」『いつまでも……』
ミューは光の羽を広げて浮かび上がり、明日を願うメロディを紡ぐ。
優雅に手を広げて歌うミューの周りを、フィアが軽やかに舞う。
「歌いながら……La la la……♪」
光の中で舞う花のようにキラキラと輝きながら、二人は息を合わせて踊る。
最後の音が消えてステージに静寂が戻ると、観客たちは一斉に立ち上がり拍手喝采。
喜びと希望に満ちたステージの上で、ミューとフィアは瞳を合わせ、微笑むのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ウルマリカ・ラム
まあ、復興支援コンサート!
人が多く集まりまスし、当商会の宣伝になるやもしれません!
それに。先日の戦では、戦争で疲れた人々に踊りで笑顔を、と
そういった方とご縁がありましたので
気まぐれのようなものでスが、決めたからにはきちんと役目を果たしまスとも
とはいえワタシにこの場に向いた芸は難しいので
アクターズ、仕事でス!
タコは体の色を変え周囲に擬態することができまス
衣装を着ているように体の色を変え、演技で声なきミュージカルと参りましょう
ワタシは裏方で音楽を流し、悪役にはシャチの悪魔を配置
小さなタコ扮する主人公達が、笑いも交えつつ、力をあわせ困難を乗り越え未来を掴む
この場にあうのはそういうお話でしょう。きっと
コンサートも終盤にさしかかった昼下がり。
ウルマリカ・ラム(よくばりメイルストロム・f30328)はステージの上から会場中を睥睨する。
見渡す限りの人だかり、コンサートの客入りは上々。
「(これは当商会の宣伝になるやもしれません!)」
商人としての嗅覚が、これはチャンスだと盛んに訴えかける。
猟兵達の活躍で、獣人達の街や財産はほぼ無傷。それどころか超大国が貯め込んでいた金銀財宝が放出された結果、市場には大戦前よりも金銭や貴金属などの富が出回っている。
勝利の喜びに沸き立つ人々は、財布の紐も緩くなるというもの。
資材や食料、日用品の類いはそれほど需要がないだろうが、娯楽や嗜好品の類いは大いに喜ばれるだろう。
そして数ある同業を差し置いて取引を成功させるには、まず名前と顔を覚えてもらうのが第一。復興支援コンサートへの参加は、その良い手がかりとなるだろう。
それに……。
ふと心の片隅によぎる光景があった。
先日の戦い、赤き湖で交わした『契約』を、ウルマリカは思い出す。
戦争で疲れた人々に踊りで笑顔を――。
そう望み、その願いが叶うことなく水底に沈んでいった者達との取引。
彼女らとの契約はすでに果たされている。
だが、ウルマリカが今ステージの上に立つのは、彼女らとの縁があったからだろう。
ウルマリカは商人である。
商人は相手の望む商品を売り、そして対価を得る。
この場にいる客――獣人達が望むのは明日への希望。
ならば商人たるウルマリカが用意する商品は、皆が笑顔になるような『芸』しかない。
「(気まぐれのようなものでスが、決めたからにはきちんと役目を果たしまスとも)」
胸中で呟き、ウルマリカは『取引』を開始する。
「さあさ、お立ち会い。これより皆様にご覧いただくのは、夢と希望の冒険物語!」
煌々と輝くライトを浴び、ウルマリカは、観客席に向かって優雅に一礼する。
芸事は向いておらずとも、呼び込みは得意中の得意だ。
「目指すはお宝? それとも自由? これは果てなき海洋を進む、船乗り達の物語」
ホリゾントを青に染め、波の音を響かせる。フットライトで船の影を映し出せば、そこはもう大海原だ。
「行うは、我がラム商会の精鋭! アクターズ、仕事でス!」
ウルマリカが召喚銃を掲げ、芝居がかった動作でパンと打ち鳴らすと、そこから九体の蛸型の悪魔達が現れた。
言葉を発さないタコがどうやって演技をするのだろうかと観客達が注目する中、ウルマリカとアクターズの舞台は始まる。
船長の帽子のように頭の部分を変色させた一匹のタコが、二本の触腕を高く掲げ、身体を大きく震わせる。
それに駆け寄るのは船乗りらしき他のタコ達。
船長タコが触腕をびくり振わせ動かなくなると、他のタコは触腕で地を叩き、天を仰いで嘆き悲しむ。
言葉がないにもかかわらず――いや、言葉に頼らないからこそできる繊細な演技に、観客達は固唾をのんで物語の行方を見つめている。
見習い船乗りに扮した小さなタコが、船長の残した宝の地図を胸に旅に出る。
苦難と困難を乗り越え進む彼の姿に、いつしか沢山の旅の仲間が連れ添う
時にコミカルに笑いも交え、時にロマンスに目を潤ませ、手に汗握る大冒険!
ついに宝島にたどり着くタコ達の前に、宝を横取りせんとシャチの悪魔が現れる。
次々に足を食いちぎられても、タコ達はくじけない。
仲間と力を合わせ、食いちぎられた足を再生し、ついにはシャチの悪魔を打ち破る。
宝を見つけてもタコ達は次の夢に向かい進み続ける。
その先に、輝く未来が掴めると信じて!
「……この場にあうのはそういうお話でしょう。きっと」
舞台裏で音楽を担当していたウルマリカは呟く。
ウルマリカへの返答は、舞台裏まで伝わる観客達の大喝采の声と盛大な拍手の音だった。
大成功
🔵🔵🔵
ヴァンダ・エイプリル
【モ】
「みんなすごー!ハードル上がっちゃうよ!そう思うよね!?」
客席の後ろから登場
適度な客いじりで笑いやすいムードを整え舞台まで移動
「……見ててね」
誰か傷を引きずってる人がいたら優しく微笑む
「はいどうも!天才仕掛人ヴァンちゃんです!
満員御礼!これは失敗できないね!……なら、満員じゃない方がよかったかも」
ボケたところにバシンとツッコミ
UCで小道具たちにアシスタントになってもらって曲芸を披露
玉乗りにジャグリング
失敗も織り交ぜ感情豊かに
「キミらが笑うのは違うでしょ!?ヴァンちゃんの持ち物だよね!?」
そんな一幕もありつつ
最後は大成功で締める!
ほら、みんな笑顔になった
ひっそりウインクして舞台を降りるよ
「みんなすごー! ハードル上がっちゃうよ! そう思うよね!?」
朝から続いたコンサートもいよいよ大詰め。湧きに沸き立つ会場の観客席で、いきなりポンと肩を叩かれ、僕はびっくりして飛び上がった。
振り向くと緑色の髪と、それと同じ色のオオカミの耳と尻尾を持つ人と目が合った。
え、え、え? この人って今からステージ出る猟兵さんだよね?
確か、ヴァンダ・エイプリル(世界を化かす仕掛人・f39908)さん。
「ちょっとちょっと、まだ始まってないのに驚きすぎ! ヴァンちゃん、びっくり!?」
目を白黒させている僕をひとしきりいじった後、ヴァンダさんは客席の間を抜けながらステージを目指す。
「そこのお髭の素敵なおじいさん。今からステージ上がるのかな? 照明さーん、こっちにスポットお願ーい!」
「べっぴんさん、べっぴんさん。一つ飛ばしてべっぴんさん……って、忘れるわけないでしょー!? 一つ戻ってべっぴんさん」
とかなんとか、客席をいじりながら場の空気を暖めて笑いの雰囲気を整えている。
いじりって結構難しい。というか、下手な人がやると笑えなかったりするんだけど、ヴァンダさんのは誰一人嫌な顔をしてない。
そんなこんなで、ヴァンダさんがステージに上がる。
その視線が一所で止まる。
隅っこの方で舞台を見ていた、ちょっと暗い顔をしたお客さん。
猟兵さんのおかげで被害は少なかったけど、それでも戦争はずっと続いてたんだ。
きっと、これまでに何か笑えなくなるような悲しいことがあったのだろう。
「……見ててね」
ステージ上で優しく微笑むヴァンダさんの目が、そのお客さんの方を見ていた。
いじって笑わせるのじゃなくて、自然に笑えるようになるのを待ってるのかな……?
そんなことを考えている内に、ステージが始まった。
「はいどうも! 天才仕掛人ヴァンちゃんです!」
四方から煌々と輝くスポットを浴びてヴァンダさんは高らかに挨拶する。
「満員御礼! これは失敗できないね!」
会場全体を見渡し、大げさに困った困ったと小首を傾げて頭を掻く仕草をする。
「なら、満員じゃない方がよかったかも……って、違うでしょ!」
ボケてみたところですかさずセルフツッコミ! タイミングの計り方が絶妙だ。
演目が始まる前の軽いトークで、もう観客席は大盛り上がり。
客席が十分過ぎるほど暖まれば、沢山の小道具が取り出される。
「さあ! ドタバタ劇のはじまりはじまり!」
みるみるうちに小道具達は手が生え足が生え。コミカルに擬人化された小道具達がアシスタントを務める中、ヴァンダさんは曲芸を披露する。
巨大な玉の上で片足立ちになってT字バランスを決める。
爪先だけで器用に前に進み、ぴょんと跳び上がると方向転換!
そこに小道具達がジャグリングのボールを投げていく。
一つ、二つ、三つ……玉乗りしながらボールをお手玉。
四つ、五つ……六つ目のボールを受け損ねて頭の上で跳ねさせる。
「あ、こら! もう投げるんじゃない!」
七つ、八つと小道具達はボールを投げ続け、そのたびにヴァンダさんは頭で受ける。
ドッと沸き立つ会場内と、ケラケラ笑って飛び跳ねる小道具達。
「キミらが笑うのは違うでしょ!? ヴァンちゃんの持ち物だよね!?」
大げさにツッコミを入れてみる様子に、会場内はもう爆笑の渦だ。
「……はいっ!」
最後には十個のボール全てをお手玉しつつ、玉乗りでステージを行ったり来たり。
ポーズを決めるヴァンダさんに、これまでで最高の拍手と喝采が響く。
会場のお客さん全員が笑顔を浮かべて、割れんばかりの拍手を送っていた。
さっきのお客さんも、静かに口元に笑みを浮かべていた。
「ほら、みんな笑顔になった」
ヴァンダさんがステージを降りるとき、一瞬ウインクをするのを見てしまった。
その横顔が少し寂しそうに見えて、僕は少しだけドキリとした。
あれは誰に言っているのだろう? 会場のお客さん? それとも……?
だけど、その表情はすぐにステージの上にいたときの笑顔に戻っていた。
僕は、手が痛くなるほど、できる限りの力を込めて拍手をした。
皆を笑顔にしてくれたヴァンダさんへのありったけの感謝を込めて……。
大成功
🔵🔵🔵