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【サポート優先】サクラノモトノユガミ

作者：HE・KA・10

第1章 集団戦 『もちもちの餅』

POW   :    もっちぃぃい！！！(捕食者は餅だぁ！！！) 噛み付きが命中した部位を捕食し、【生命エネルギー】を得る。 SPD   :    もっちゃぁぁあ！！！(逃さねぇからなぁ！！！) 【とろけてどろどろになった体】が命中した敵の部位ひとつを捕縛し、引き寄せる。 WIZ   :    も…もち…もちぃ…(オマエ…いじめるのか…？) 【かわいい風貌を最大限利用した潤んだ目線】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う（抵抗は可能）。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

○逢魔が辻が咲き誇る
　見物人は消え失せ、想いと命を吸った蕾がゆっくり開き始める。桜の木の下に揺らぎが発生する。ゲートから転移してきた猟兵たちは花が開く様に広がっていく揺らぎを目の当たりにする。桜の木が満開を迎える頃、影朧が揺らぎから溢れ出してくる。そう、｜溢れ出して《・・・・・》きたのだ。

○影朧の先兵
　もっちもっち……、もっちもっち……。

　溢れ出した者どもが発する声に、イネス・オルティス（隠れ里の女戦士・f06902）は眉根を寄せる。思わず共に転送されてきた二人、バジル・サラザール（猛毒系女史・f01544）と水心子・真峰（ヤドリガミの剣豪・f05970）に視線をやる。真峰は困惑した表情、バジルは両手を拡げて首を左右に振っている。なにせ、溢れ出てきた影朧は、どう見ても、”お餅”だからだ。

「｜もっちもち！《人間がいる！》」「｜もっちっち、ももっち！《アレも栄養にしちゃえ！》」「｜もっちもっち！！《おぉぉ！！》」

　それぞれに可愛らしい表情があり、可愛らしい高音で叫び、ぴょんこぴょんこと3人に迫ってくる。なにやら物騒な事を言ってる気もするが、お餅の言葉を理解出来る者は果たしているのか？なんにしても襲いかかってくるならと、猟兵たちは構えを取る。
　さっと前に出るビキニアーマーが眩しいイネス、彼女は勇敢な戦士だ。迫る餅の大群に自ら走り寄って｜藪払い《斧》を横薙ぎに振るう。戦士として研ぎ澄まされた感覚で選んだ得物の一撃は大量の餅を振り払う。びちゃびちゃっと潰れて溶ける餅、そこに出来た隙を突いてバジルと真峰も動く。
　ヤドリガミである真峰は本体の水心子真峰を大量に複製する。鞘に収められたままの複製たちを操り、餅を一つずつ叩き潰していく。近寄る餅はイネスが吹き飛ばし、遠くの餅は真峰が潰す。隙無く順調に数を減らしているかと思われたが…、異変に気が付いたのは経過観察していたバジルだった。曰く、潰れた餅が動いている、と。その言葉を肯定するのは、餅を潰す度に分身がねっとり汚れていく真峰。心なしか分身たちは逢魔が辻に引き寄せられている様だ。次いでイネスのビキニアーマーと藪払いが引っ張られる感覚。飛散して付着した餅が引き寄せているのだ。アーマーを抑えて踏ん張るイネスをバジルが支えながらアーマーの上を撫でる。じゅぅ～、という音と共に付着していた餅が溶け落ちた。
　猟兵たちが混乱している隙に近寄っていた餅たちは急停止、バジルをうるうるした瞳で見上げて何かを訴える。魅了されてうっとりするバジルは、お餅には串が必要よね？と善意100％の呟きと共に大量の串、もとい、槍を空中に喚び出した。それが一斉に餅たちに降り注いで串団子にしていく。刺された餅たちは槍に付与された毒によって溶けて消えていく。真峰の分身たちに纏わり付く餅も毒で溶かしていく。

　戦局は順調、しかし餅の脅威を身を以て感じていたイネスのビキニアーマーだけは、逢魔が辻の奥に潜む強者の気配を感じている。イネスもその神気に触れて戦意が高まるイネスからの気迫が尚も迫っていた餅たちを急反転させて追い払ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

○満開の桜の下には
　猟兵たちが影朧を次々に倒していくが、揺らぎからはひっきりなしに影朧が湧いて出てくる。まるでおかわりを提供するかの様に。恐ろしいことに、これが比喩では無い状況だから困るのだ。
「｜もっちもっちち！《怯むな進め！》」「｜ももっちももっちちぃ！《居たぞ囲め！》」「｜もっちゃぁぁあ！！！《逃さねぇからなぁ！！！》」

　可愛らしいお餅の軍団が意気揚々と突撃してくる。絵面だけはファンシーだが、それを構築しているのはこの場で食われた犠牲者たちの想いと命であることを猟兵たちは忘れていない。

○影朧と天使と妖狐とブギーモンスター
　近づいてくる餅の大群をミスティ・ストレルカ（白羽に願う・f10486）はオーラで作り出した結界で足止めする。仲間が攻撃する隙を作るためだ。ミスティの意図を察した納花・ピンチン（ブギーモンスターの勇者・f31878）が軽快なステップから花とリボンでデコられた勇者の剣を振るって最前列を斬り飛ばす。餅たちに四肢がないからわかりにくいが、その斬撃は一瞬浮かんだ切り取り線を綺麗になぞっている。仲間が斬り飛ばされたのを目の当たりにした餅たちがピンチンを一斉に潤んだ瞳で見上げた。その可愛い仕草にほっこりして動きを止めてしまうピンチン。結界を張っているミスティも思わずほっこり、障壁維持の為の集中が乱される。その隙に肉薄してきた餅たちが飛び上がる様にミスティとピンチンに飛び掛かり、横から口を文字通り出してきた小妖怪たちに食われていく。付近に散った花びらから現れたもふもふな小妖怪たちを従えて天日・叶恵（小さな神社のお狐様・f35376）がにっこりと微笑む。やさしく柔らかな微笑みと共に、ピンチンとミスティの元に小妖怪を放つ。もふもふが二人を取り巻いて縋り付いて、そのもふもふで癒やしていく。心を癒やされて正気を取り戻したピンチンとミスティは叶恵に微笑みかけてそれぞれの役割に戻る。
　前線で勇者の剣を振るうピンチン、斬られた餅を飲込んでいく叶恵の小妖怪たち。戦局は有利なのだが数が一向に減る気配がない。よく見ると小妖怪たちの一部が逢魔が辻に引きずり込まれ、その度に増えている。引き寄せられているのは、斬られていない餅を飲込んだ小妖怪たち…。結界を張って相手を観察していたミスティは気付く。飲まれる瞬間どろどろになった餅がいて、それを飲んだ小妖怪が引き寄せられている。ミスティは咄嗟にひつじさんを喚び出した。キリッとした目つきの白いもふもふ。ひつじさんはびりびりと電撃を放つと、小妖怪が食べようとした餅たちを焼き餅に変えていく。小妖怪たちは美味しそうだ。それを見たピンチン、自分もとばかりに焼き餅を布の内側に…。唐突におやつタイムが始まる戦場に、叶恵はあらあらとほっこり。だがピンチンに群がろうとしている不届き者を術扇から妖気の衝撃波を放って吹き飛ばすのは忘れない。

　緊迫しているはずなのに、この一角だけはファンシーに戦いが進んで行く。そして猟兵たちが明確に押していて、餅はどんどん数を減らしていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

○刻深まり影が伸びて
　猟兵たちの活躍で湧き出した影朧のほとんどは倒され、出現速度も落ちてくる。が、それと反比例する様に影朧たちは狡猾さを増していく。倒された餅たちの命さえも吸って、逢魔が辻は成長している。その奥から新たな影朧の気配を各々が感じ取りながらも、残った餅の掃討にと奔走していく。

○狡猾さと純粋のせめぎ合い
「｜も…もち…もちぃ…《オマエ…いじめるのか…？》」
　瞳をうるうるさせながらじりじり詰め寄ってくる顔つきのお餅たち。可愛すぎる見た目が泣きそうになっている姿は、どうしても庇護欲を搔き立ててくる。餅たちは最初から同情を誘いながら近寄ろうとしてきたのだ。小児科医である春霞・遙（子供のお医者さん・f09880）にそれは効果抜群の様で、思わず警戒を解いてしまっている。そんな遙に餅たちは近づいていき…、
「｜もっちぃぃい！！！《捕食者は餅だぁ！！！》」
　大きく口を開けて一斉に飛び掛かる。それを遙は両手を拡げて受け入れる。餅たちが一斉に生命エネルギーを吸い上げていく。遥は慈愛の笑みを浮かべながら餅たちの気が済むまでそっとしておくつもりだ。このままでは遥はミイラに…、なってしまうことはなかった。餅たちはサイズが小さい。よって、吸い上げられる生命エネルギーもごく僅かだった。満足した餅たちはその魂が癒やされたのか消滅していく。それを見送る遙からは聖なる光が溢れていて、まるで聖母の様であった。

　片や別の餅たちは困った顔をしていた。うるうるお目々を向けた相手がとても安らかに寝息を立てていたからだ。四条・眠斗（白雪の眠り姫・f37257）は薄めを開けて餅たちをみて、その愛らしさに微笑むとまた夢の中へ旅立っていく。困惑する餅たちの元に雪だるまの妖精が現れて、慰める様に寄り添うと一緒に遊び始める。これが眠斗の見ている夢なのか、傍目にも可愛らしく和やかな空間となっている。んゅ…、と寝言が眠斗の口から漏れると、魂を癒やされた餅たちは穏やかに笑って消滅していく。跡に残った雪だるまさんたちはそれを見送る様に手を振っていた。

　飛び掛かる餅を両手でキャッチしてぱくりと食べる陽環・柳火（突撃爆砕火の玉キャット・f28629）はその美味しさに目を輝かせた。仲間が食べられて動きを止める餅たち。うるうるお目々でこちらに好意的な行動を引き出してるはずなのだが…、いや、餅は食材であって、食材への好意的な行動は、食べることであった！ここに食べるか食べられるかの戦いが巻き起こる。飛び掛かってくる餅を一度掴んでから喉に詰まらせない様にしっかり味わって食する柳火。グールドライバーである彼女は餅を食する度に魔力と妖力が高まっていく。高まった魔力と妖力を護符に込めて、ごちそうさまの挨拶と共に放つ。護符が張り付いた餅たちは燃え上がり、火が消える頃には消滅していた。

　猟兵たちは大量に湧いて出ていた餅の掃討を完了した。少しばかり拍子抜けする相手ではあったが、被害が広がる前に片付けられて誰もがホッと胸をなで下ろす。だが、猟兵たちに休息は訪れない。逢魔が辻が怪しく揺らめきさらに影朧を喚び出そうとしているのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​