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――只一時の、夢と歌と

#昭和レトロスチィムパンク怪奇PBW『ヤケアト』

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#昭和レトロスチィムパンク怪奇PBW『ヤケアト』


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 歓楽街の中心部にある、富裕層を客層の中心とした少し上品なクラブ。
 ステエジで歌うのは物憂げな雰囲気をたたえた、長い髪をした美人。即興のピアノを弾きながら、囁くように愛の歌を紡いでいる。
「何だよ湿っぽいなあ!」
「姉ちゃん、こっち来て酌でもしろよ」
 歌と酒を楽しむ静かな場で、突然に騒ぎ出すのは入り口近くのテエブルに座っている、何処となく粗野な雰囲気の一団。周囲の顰め面も気にする事無く、やんやと騒ぎ立てて続け。
「ほら、歌なんてどうでもいいだろ」
 集団の中の一人が立ち上がり、ステエジへと向かって美人の腕を掴み上げようと動くが。
「触んないで」
 伸ばした手の先でパチリ、と火花が散った。乱暴者が焦ったように身体を引く。
「何しやがる!」
 美人は能力者だったらしい。しかし、マレビト程の力は無いようだ。
「おい、こっち来い」
「お高くとまりやがって……なあ、こいつどうする?」
 腕を引っ張り、ゲラゲラと笑う男たち。おそらくはウロ組合と思われる乱暴な雰囲気に、店の者達も慌てて第弐帝都対策部へと連絡を取ろうとしているが。
 果たして、間に合うのか。

「という所に、貴方達が向かうというわけです」
 胸元に手を当て、ふわりと頭を下げるのは趙・藍樹(圈养的牡丹・f40094)。
「女性を助け、ウロ組合と思われるゴロツキを懲らしめてあげて下さい……叩きのめせば逃げていくと思われます。その程度の連中ですよ」
 店にフクロウが出入りしていると分かれば、変な連中が仕返しに来る事も無いだろう。
「女性は、説明程度の力しか持っていないようです。出来れば怪我等が無いようによろしくお願い致します」


真空。
 見て頂き有難う御座います、真空。(まそら)です。
 ヤケアトへようこそ。

 クラブにて破落戸共を懲らしめろ、という依頼になります。
 カッコよく登場し、締め上げるも良し。スマートに無力化するも良し。

 同行者がいる場合は【相手の名前(呼称も)とID】のご記入お願い致します。

 皆様の参加、心よりお待ちしております。
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第1章 日常 『プレイング』

POW   :    肉体や気合で挑戦できる行動

SPD   :    速さや技量で挑戦できる行動

WIZ   :    魔力や賢さで挑戦できる行動

イラスト:ヒトリデデキルモン

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

三毛乃・文太郎
他所に踏み込み勝手に騒ぐとは。
猫の世界でもそれはルール違反というものです。
自分は猫でありフクロウでもありますがね。

申し訳ありません人間様、あなた方の奏でる音楽は少々騒がしいと存じます。
この方の前脚…ではなく腕は、楽器を奏でる為のものです。
何かあっては困ります故、酌でも何でも、代わりに自分がお相手いたしましょう。
そう伝えながら女性との間に割り込み、彼女を逃がします。

まだ女性にしつこいようでしたら、その手をぴしゃりと叩きましょう(【連鎖する呪い】)
おっと失礼。爪が伸びていたようで、少しだけ傷付けてしまうかもしれません。
その後は度重なる「不慮の事故」が襲い掛かるかもしれませんが、どうかご了承を。



 騒ぎ立て、歌姫の腕を掴む男達。そこに、穏やかに声をかけるものがあった。
「他所に踏み込み勝手に騒ぐとは。猫の世界でもそれはルール違反というものです」
(自分は猫でありフクロウでもありますがね)
 心の中で呟きながら三毛乃・文太郎(猫又は地下世界を泳ぐ・f43553)はにこやかに笑いつつ、有無を言わせぬ動きで男と歌姫の間に割り込み伸びた腕に手をかける。
「申し訳ありません人間様、あなた方の奏でる音楽は少々騒がしいと存じます。この方の前脚……ではなく腕は、楽器を奏でる為のものです。何かあっては困ります故、酌でも何でも、代わりに自分がお相手いたしましょう」
『ああん? 何だよてめぇ』
『勝手に割り込んできやがって、邪魔だ』
 騒ぎ立てる男達。文太郎は小さくため息を零しながら、その手をぴしゃりと叩く。その間に、後ろ手で歌姫に逃げるように伝えれば上手く伝わったようで、店のものに匿われ奥へと消えていった。
『痛ってえ!』
「おっと失礼。爪が伸びていたようで、少しだけ傷付けてしまうかもしれません」
 叩かれた手の甲には、くっきりと爪痕がついている。猫又であり化け猫である、文太郎の本性が少しだけ出てしまったようだ。
「その後は度重なる「不慮の事故」が襲い掛かるかもしれませんが、どうかご了承を」
『何言ってやがんだあ?』
 へらりと笑って、文太郎の肩を掴もうとその手を伸ばした男。急に動いたのが良くなかったのだろう、すぐそばを通り抜けようとしていた給仕にぶつかり、背中に熱々の料理を被ってしまった。
『熱っちいいいぃ!!』
 騒ぎ暴れる男を見る、周囲の目は冷ややかだ。
「これは失礼、言った通りになってしまったようで」
 胸に手を当て、頭を下げる文太郎を忌々しげな眼で見る男達。更に重なる不幸は続く。なぜかその場に姿を現したネズミに足を齧られ、何処からか飛んできた酒杯が髪を濡らす。
 続く禍に怯えたのか、男達は引きつった顔で文太郎を睨む事しかできなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テーオドリヒ・キムラ
女性の後を追えないよう
破落戸達の前に頭を掻きながらふらっと

「おいおい
そういう品の無ぇ酒を呑むなら他の店に行きな
他の客にも迷惑だろ?」
軽く肩を竦めてから出口を指して
「表に出な
俺をノせたら好きなだけここの酒を奢ってやるよ」
UCものっけた言いくるめで店の外に誘導するぜ

一応、破落戸達の顔は覚えとく
残り何人かはカウントしときたい
っても他のフクロウ仲間に任せても問題はねぇんだけど

加減もしときたいんで
格闘でお相手させてもらう
店の被害を減らす為にも
常に足場や人の流れを思考に入れ
攻撃を受け流す方向、蹴り飛ばす方向を考える

いざとなれば魔狼のオーラで受け止めてからカウンターを
素直に意識手放した方が楽になるぜ



「おいおい、そういう品の無ぇ酒を呑むなら他の店に行きな。他の客にも迷惑だろ?」
 頭を掻きながらふらりと姿を現したテーオドリヒ・キムラ(銀雨の跡を辿りし影狼・f35832)が、歌姫と破落戸の間に入り腕を捻り上げる。
『何しやがる!』
 痛みに思わず歌姫の腕を離した男へと向き直ると、肩を竦め。
「表に出な。俺をノせたら好きなだけここの酒を奢ってやるよ」
 煽るように笑うテーオドリヒに苛ついたのか、破落戸達が殺気立ち始める。自身が注目を集めている間に、歌姫には逃げるように手で伝え。
『おう、表出ろや』
『今更ビビんなよ兄ちゃん』
 腕を掴まれた男と、他に二人が店の外へと向かう。さっと視線を走らせると残りは三人。しかし、周囲が見ているせいか先程までの勢いは無さそうだ。
「それじゃ、お相手させてもらうぜ」
 店の側の路地に入り、向かい合うとすぐに破落戸が殴り掛かってくる。店や周囲の建物に被害が及ばないように、常に背を向けるように意識しながら腕を払い、蹴りを入れる。
 所詮は破落戸、マレビト程に戦闘に慣れているわけでは無い。吹っ飛んだ男が塵の山に突っ込んで、派手に撒き散らした。
 塵を漁っていたのだろう鼠が慌てて逃げていく。
『ふざけんな!』
 もう一人は比較的喧嘩慣れしているのか、焦って近付いてはこない。それならば。
「中途半端に慣れてるのがお前の不幸だったな、素直に意識手放した方が楽になるぜ」
 がりがりと音がたちそうなほどに頭を搔いてから、拳を握るテーオドリヒの背後に魔狼の姿が浮かび上がった。
 破落戸が今更喧嘩を売る相手を間違えたと悟っても、もう遅い。鋭い拳が破落戸の腹に決まり、先程吹っ飛んだ男の上へと折り重なるように倒れこんだ。
「あっけないな」
 小さく息を吐き、力を抜く。
 店へと戻ればその姿を見た破落戸の仲間達が何が起きたのかを悟り、慌てて支払いをして店を出ていった。
 一先ずこの店の危機は救えたようだ。良かったら、と差し出された杯を受け取り、テーオドリヒは一時の休息を楽しむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷹奈部・庸一
……あまり騒ぐな。歌を聴きにきたんだ。今の俺は機嫌が悪い。

ユーベルコードを使い、かつての桜花隊員達を呼び出す。
お前達にこれが見えるか?あの日、海に散っていた護国の英霊達が。靖国で会おうと誓ったかつての仲間たちが!
後は勢いに任せて二回攻撃で軍隊戦法。俺たちの無念を知れ。俺たちの怨嗟を聞け。
……少しやり過ぎてしまったかもしれないな。だが、あの日の思いは今も俺から離れる事は無いんだ。永遠に。

……歌を続けてくれ。アイツらにも聞かせてやりたい。



 歌が止まり、隅の席でグラスを傾けていた鷹奈部・庸一(空に散るはずだった命・f43545)は顔を上げた。破落戸達の騒動に、席を立つとゆっくりと歩みを進め。
「……あまり騒ぐな。歌を聴きにきたんだ。今の俺は機嫌が悪い」
 どん、と卓に手をついて音を響かせる。その雰囲気に呑まれたのか動きを止めた破落戸達をじろりと睨めやって。
 招くように開いた手が、横へ伸びる。その手の先に姿を見せたのは――かつての|仲間達《桜花隊員達》。
「お前達にこれが見えるか? あの日、海に散っていた護国の英霊達が。靖国で会おうと誓ったかつての仲間たちが!」
 手近にいた破落戸の胸ぐらを掴み、叫ぶ庸一。その鬼気迫る様子に店の中の誰もが言葉を発する事も忘れたよう。
『……は、放せ!』
 振りほどこうとする男を突き飛ばす。大きな音を立てて椅子を巻き込み転がると、その音に弾かれた様に庸一へと殴り掛かってくる破落戸。
 腕を払い、逆に拳を叩きこむ。軍隊仕込みの手技は簡単に打ち負かせるものではない。
「俺たちの無念を知れ。俺たちの怨嗟を聞け」
 床に倒れ伏せば、その顔を覗き込むのは志以て散っていった若き亡霊。悲鳴を上げる間もなく気を失って顔を床に落としていく。
 静まり返った事に気が付いて動きを止めた時には、全ての破落戸が床を舐めていた。
「……少しやり過ぎてしまったかもしれないな。だが、あの日の思いは今も俺から離れる事は無いんだ。永遠に」
 手を払い、振り返ると呆然と成り行きを見ていた歌姫が視界に入る。
「――なあ」
 はっと顔を上げ、こちらを見る姿に僅かに口元を笑ませて。
「……歌を続けてくれ。アイツらにも聞かせてやりたい」
 歌姫がにこりと笑ってステエジへと戻っていく。やがてピアノが響き、歌われるのは。
 桜と、誉と。友と、夢と――もう二度と見られぬ、だからこそ美しい過去の日々。
 紡がれる歌を聴きながら、庸一は笑顔で消えていく仲間達に向けて酒を注ぐ。
 飲まれる事の無い筈の酒が、グラスの中でゆらりと揺れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

江田島・榛名
全く無粋でありますな……せっかくの酒が不味くなる。
ま、ちみっと脅させてもらおうか。

UCヘッドショットでまだこちらに気づいてないゴロツキの頭を掠めるように一発。
向こうがこちらに気づいて近づいてくるのであれば御の字、にっこり笑って

「いやはや、女性を口説くんならもう少し上手くやらないとね?」
と挑発してから、ゴロツキの手を怪力で握りしめてやるでありますかね。
ま、骨の一本、安いもんでありましょう?



「全く無粋でありますな……せっかくの酒が不味くなる」
 多少の騒々しさは酒の肴となっても、狼藉は見過ごせない。江田島・榛名(強化人間のガンスリンガー・f43668)は苦笑いを浮かべ、隣の椅子に立てかけていた相棒を手元へと引き上げる。
「ま、ちみっと脅させてもらおうか」
 この距離で、狙いを違える筈も無い。放たれた弾丸は歌姫の腕を掴む破落戸の前髪を掠め、向かいの壁を貫通して何処かに消えていった。
『何しやがる!』
 撃たれた本人は戸惑う様子を見せたものの、周囲のものがライフルを構えた榛名に目を向ける。近付いてくる姿に、思い通りになったと浮かべた笑みを深くして。
「いやはや、女性を口説くんならもう少し上手くやらないとね?」
 立ち上がり、破落戸達と向かい合う。緩く笑みを浮かべた姿、しかも片目の眼帯に腕も不自由な様子。破落戸達は勝てると踏んだのだろう、無遠慮に手を伸ばしてくる。
 すっと身を引いて、伸ばされた手を逆につかむ。ぐっと力を入れれば手の中の骨がごりっとずれる感触がして、汚い悲鳴が上がった。
「これだけ騒がせたのです。ま、骨の一本、安いもんでありましょう?」
 ぐっと一度強く引いてバランスを崩したところを、振り捨てるようにして手を放す。周りの破落戸と卓や椅子をも巻き込んで、大きな音を立てて派手に倒れる姿は、先程までの様子を見ていればあまりにも滑稽で。
 店の彼方此方から失笑が上がる。奥から店の者も手を貸そうと姿を現し始めた所で、不利を悟ったのか腕を抱え込む男を引き摺るようにして店から逃げ出していった。
「おや、口ほどにもない」
 ふっと笑い、席に戻る榛名に歌姫が駆け寄り、礼を告げようとするも。
「言葉よりも歌を。貴女には其方の方が似合うでしょう」
 響きだすピアノと柔らかな歌声を聞きながら、一人酒を傾ける。グラスの中の何てことのない蒸留酒が、何時もよりも薫り高く思えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年06月19日


挿絵イラスト