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猫はバグの生まれ変わり

#ゴッドゲームオンライン #バグシティ修復作戦 #ねこスライム #今日は釣りの日だ! #街のレストラン!

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 定期船がなくなっていた時点で、多少の違和感はあった。
 而して港に着けば、島の異変は明らかだった。
「島の人は居ないし、島の人以上に居るっていう猫も居ないや……」
 乗りつけた小舟からロープを取り出し、係留柱に掛けて留める冒険者メグル。
 地図に記された座標通りに「キャッ島」を訪れた彼女は、人の気配のない桟橋にポツンと立ち尽くすと、ぐうるり周囲を見渡した。
「うーん、街の説明をしてくれそうな島民も、釣り人から魚を貰ってそうな猫も居ないし……アタシと同じ冒険者もゼロなんて可怪しいな……」
 ゴッドゲームオンラインの各地に作られた街は、冒険者が活動の拠点にしたり、アイテムを売買したり、イベントを楽しんだりする賑やかな場所が多いのだが……これではまるで無人島。
 妙な静けさを感じつつ、訝しげに桟橋を歩き出したメグルは、目下、向こうからポヨンポヨンと弾みながら近付いてくる「何か」に目を瞠った。

『にゃんぽよー!!!』

「……えっ猫? 猫じゃない……スライム??」
 猫のようで猫でない。プニプニと跳びはねる――ねこスライム!!
 この街で暮らしていた島猫と謎に融合した猫型のスライムは、こちらに近付くほど大きくなり、大きくなり……遠近感という言葉では納得できない程のサイズとなって眼路に迫る。
「わっわ、わぁぁあああー! 押し、潰……され……――!!」
 身丈を超す超巨大サイズのねこスライムにタックルされ、桟橋に倒れ込むメグル。
 その儘じゃれるように圧し掛かられた彼女は、息苦しいとばかり手をパタパタ、床をタップして助けを求めるのだった。


「猫の島の名物として用意されていた猫と、フィールドで遭遇する筈のスライムが何らかのバグで融合してしまったのが、このねこスライムなの」
 ねこ+スライム=ねこスライム。
 ゲーム内に用意された正常なオブジェクトである両者が、何かの弾みで融合してバグプロトコルとなってしまったのだと、不思議そうに説明するニコリネ・ユーリカ(花屋・f02123)。
 彼等の増殖によって島民NPCは去り、寄り付く冒険者も居なくなってしまったのだと柳眉を顰めた彼女は、これより当該の島に乗り込み、街中にたむろしているバグプロトコルの群れを一掃して欲しいと皆々に頼み込む。
「ねこスライムを討伐するには、分離して元の猫とスライムに戻すのが一番! 猫だけが好むものを見せて、スライムの中から出してあげるといいわ」
 なにも伝説の剣でバッサリする必要は無い。
 猫が融合状態を解除したくなるほど興味のあるもの――例えば、ねこじゃらしやキャットフードなどを使って誘い出せば良いのだと、ニコリネは云う。
「勿論、ユーベルコードを使ってスライム部分だけを攻撃するのも良いと思うわ。ただ、猫の島の名物となった猫を減らすのは、後で島を復興する際にマイナスになるから、そこだけは気を付けて!」
 然う、大事なのは「キャッ島」の再生。
 バグを解消した後は、島民NPCや冒険者を呼び込むべく島の復興をするので、猫達は元々の看板役として活躍して欲しいのだ。
 ここまで説明した花屋は、ぱちんとウインクするやグリモアを召喚し、
「プニプニして可愛らしいけど、見た目よりずっと重たいから気を付けてね!」
 腰をやってしまわぬように、と。
 吃々と笑って送り出す程には、楽しめる冒険に違いなかった。


夕狩こあら
 オープニングをご覧下さり、ありがとうございます。
 はじめまして、または、こんにちは。
 夕狩(ゆうかり)こあらと申します。

 こちらは、バグプロトコルによって破壊されてしまった街を奪還し、元の活気ある姿を取り戻すお手伝いをする「バグシティ修復作戦」シナリオ(難易度:普通)です。

●シナリオの舞台
 ゴッドゲームオンライン、島民NPCより猫の方が多いと言われていた「キャッ島」。
 嘗ては島をたむろする猫が可愛いと評判になり、冒険者達に猫可愛がりされていた人気の島でしたが、なんらかのバグで猫とスライムが融合して以来、人の往来はなくなりました。

●シナリオ情報
 第一章『ねこスライム』(集団戦)
 島の猫とスライムが融合した猫型のスライムです。
 猫「だけ」が好きなアイテムを使用すると両者が分離される他、フェレンゲルシュターデン現象によって巨大な個体を召喚する事が知られています。

 第二章『今日は釣りの日だ!』(冒険)
 危険な敵を一掃した後、破壊された街を再生します。
 廃れた島にも残存する「建築素材」や、釣りで採れる様々なアイテムを使って街を復興させましょう。街の再生が進行するにつれ、住民NPCや冒険者が増えます。

 第三章『街のレストラン!』(日常)
 無事に街が再生したら、釣りで得た食材を住民NPCに提供し、更なる発展をお手伝いします。
 街のレストランで食事を取れば、美味しいだけじゃなく、様々なバフ効果が貰えます。

●リプレイ描写について
 フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や【グループ名】をお書き下さい。呼び名があると助かります。
 また状況によりサポートさん方のご支援を頂いて物語を進めて参ります。

 以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
 皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
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第1章 集団戦 『ねこスライム』

POW   :    キャットミーム
【自身】に宿る【かわいさ】を解き放ち、レベルm半径内の敵には[かわいさ]で足止めを、味方には【鳴き声】で癒しを与える。
SPD   :    キャットイズリキッド
肉体の一部もしくは全部を【液体】に変異させ、液体の持つ特性と、狭い隙間に入り込む能力を得る。
WIZ   :    フェレンゲルシュターデンフェノメノン
【自身が注視した空間】から【エリア外の高レベルボスモンスター】を放ち攻撃する。その後、着弾点からレベルm半径内が、レベル秒間【レイドボスイベント】状態になる。

イラスト:うさねぎ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ゴッドゲームオンラインに“|出現《ログイン》”するに、|瞞着《ごまかし》の効かない未來文明を持ち込んではならぬと配慮するのは、超高度に科学技術が発展した世界から來たならでは。
「今回はテスト運用という事で……こんな感じでしょうか」
 長着の襟を合わせ、帯で締める。
 胸元は端然と、而して潮風に搖れる袖の櫻片と流水紋の風雅なこと。
 小粋な和裝風のアバターでキャッ島に降り立ったカグヤ・アルトニウス(とある辺境の|私掠宇宙海賊《プライベーティア》・f04065)は、波音の他は何もない桟橋に跫音を置くと、急ぎ街中へ――寂れたアイテムショップに向かった。
「なんて長閑な……『あの猫』を除けば、陽気も相俟って拍子拔けしてしまいます」
 道中に島民NPCと遭遇する事は無かったが、バグの気配はあった。
 向こうも警戒しているのだろうと、周囲に目を配りながら店内を回ったカグヤは、アイテム枠に入るだけの猫缶を調達し、見通しの良い広場へ……いや、ここは住宅が多く、細く入り組んだ坂道に向かう。
 用心深い猫を気にしたという面もあるが、此処ならカグヤ自身も地の利を得られよう。
「先ずはグレイビーソース多めのサバで。音か匂いで理解る筈です」
 半壞した民家の屋根より更に上、宙に浮遊した状態で缶詰を開ける。念動力だ。
 音を多めに皿に取り分けでもすれば、その樣子を蔭からじぃぃぃいいいっと見つめるものが、今こそ明らかになる。

『にゃんぽよーっ!!』

「矢張り、猫まっしぐらと云うか……來ました。これよりデバッグに入ります」
 目の前の御馳走に夢中になった『ねこスライム』は、眞上に位置するカグヤには気付いていない。
 而して今が幸いと、空想から具現化したロンギヌスの槍を摑んだ彼は、錐状の光の穂先を大きく薙ぐや灼光の嵐を喚んだ。
「聖なる槍の記憶よ。今一度ここに再臨し、歪なる存在を分かちたまえ」
 鋭く旋回する波動にバグを包み、まるで遠心分離機に掛けたように猫とスライムに分ける。
 猫缶に走るまでの数秒の凝視で生まれた『超巨大ねこスライム』ごとグルグルグル、猫達がサバを食べる間にスライムを切り離したカグヤは、忽ちフィールドに戻ろうとするプニプニを黑い光に抱擁し、足元に繋ぎ止めた状態で仕留めに掛かる。
「初討伐はスライム。基本ですね」
 ぼふんっと空気の膨らむ音に驚いたか、猫は皿ごと持ち去ってしまったが、島猫ならそれでいい。
 元気な尻尾を見送ったカグヤは、また一つ猫缶を取り出し、分離作業を続けるのだった。
カグヤ・アルトニウス
○ここが、GGOですか…

ごまかしの効かない未来文明の持ち込みは原則禁止なので、今回は事前にハッキングで作った和装風のアバターと偽装パラメータを使ったテスト運用という事になりました。

まあ、「あの猫」を除けばのどかで拍子抜けしてしてますけど…デバッグに入ります。

(行動)
まずは、猫缶の現地調達ですね…
UCで回収できても戦闘終了迄は足元に引き付けつつ、警戒されているでしょうから襲われない様に準備します

それが終わったら猫缶を足元に配置してその上に浮遊してUC発動…
同時に猫缶を念動力で開けながらUCで猫とスライムを分離、さらに猫を足元の猫缶の所に回収して残ったスライムは念動力で弾きつつUCで削ります。



 ゴッドゲームオンラインに“|出現《ログイン》”するに、|瞞着《ごまかし》の効かない未來文明を持ち込んではならぬと配慮するのは、超高度に科学技術が発展した世界から來たならでは。
「今回はテスト運用という事で……こんな感じでしょうか」
 長着の襟を合わせ、帯で締める。
 胸元は端然と、而して潮風に搖れる袖の櫻片と流水紋の風雅なこと。
 小粋な和裝風のアバターでキャッ島に降り立ったカグヤ・アルトニウス(とある辺境の|私掠宇宙海賊《プライベーティア》・f04065)は、波音の他は何もない桟橋に跫音を置くと、急ぎ街中へ――寂れたアイテムショップに向かった。
「なんて長閑な……『あの猫』を除けば、陽気も相俟って拍子拔けしてしまいます」
 道中に島民NPCと遭遇する事は無かったが、バグの気配はあった。
 向こうも警戒しているのだろうと、周囲に目を配りながら店内を回ったカグヤは、アイテム枠に入るだけの猫缶を調達し、見通しの良い広場へ……いや、ここは住宅が多く、細く入り組んだ坂道に向かう。
 用心深い猫を気にしたという面もあるが、此処ならカグヤ自身も地の利を得られよう。
「先ずはグレイビーソース多めのサバで。音か匂いで理解る筈です」
 半壞した民家の屋根より更に上、宙に浮遊した状態で缶詰を開ける。念動力だ。
 音を多めに皿に取り分けでもすれば、その樣子を蔭からじぃぃぃいいいっと見つめるものが、今こそ明らかになる。

『にゃんぽよーっ!!』

「矢張り、猫まっしぐらと云うか……來ました。これよりデバッグに入ります」
 目の前の御馳走に夢中になった『ねこスライム』は、眞上に位置するカグヤには気付いていない。
 而して今が幸いと、空想から具現化したロンギヌスの槍を摑んだ彼は、錐状の光の穂先を大きく薙ぐや灼光の嵐を喚んだ。
「聖なる槍の記憶よ。今一度ここに再臨し、歪なる存在を分かちたまえ」
 鋭く旋回する波動にバグを包み、まるで遠心分離機に掛けたように猫とスライムに分ける。
 猫缶に走るまでの数秒の凝視で生まれた『超巨大ねこスライム』ごとグルグルグル、猫達がサバを食べる間にスライムを切り離したカグヤは、忽ちフィールドに戻ろうとするプニプニを黑い光に抱擁し、足元に繋ぎ止めた状態で仕留めに掛かる。
「初討伐はスライム。基本ですね」
 ぼふんっと空気の膨らむ音に驚いたか、猫は皿ごと持ち去ってしまったが、島猫ならそれでいい。
 元気な尻尾を見送ったカグヤは、また一つ猫缶を取り出し、分離作業を続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファフィール・パラメタライズ
アドリブ・連携可

バグプロトコルの出現。ゲームマスタげふん、NPCとしてこの状況は見逃せないわね、ささっと解決しちゃおう

んー猫が好きな物…そうだ、この猫ちゃん大好物のおやつをUCで作った檻(段ボール)にセットすればいけるかしら?
分離したらスライムはステッキで叩いて倒しちゃいましょう
レイドボスはもついでに檻の中に入れちゃいましょ、そうしましょ
ボスの撃破は誰かにお任せしたいわ、これでもか弱いNPCですので
誰も見ていないようだったら倒しちゃうけどね

はーそれにしても猫ってかわいい…(手を伸ばすとすっと逃げられる)あーん、悲しい…



 凡そGGOで意味なく作られるものは無く、其々のオブジェクトは與えられた役割に從って動く。
 ――或いは、己も。
「猫は島の特色付けに、スライムは腕試しとしてフィールドに据えられた筈が……こんな事になっちゃうなんて」
 波の音に切り出される閑散に溜息ひとつ。
 ゲームマスターとして創造された……いやいや、とあるダンジョンの攻略を助けるお手伝いNPCとして、ゆゆしき事態に駆け付けたファフィール・パラメタライズ(自称ノンプレイヤーキャラクターの黒聖女・f42007)は、島の機能を破壞したバグを取り除くべく、颯爽と桟橋を駆け出した。
「島にはこの子達しか居ないもの。きっといつかは遭遇するけど……ササッと集めちゃいたいよね」
 ここは猫が好きなもので釣るのが宜しかろう。
 何か用意できないかと|電子通貨《トリリオン》を確認した彼女は、ダンジョンマスターらしく……ゲフンゲフン、情報通ならではのアイデア力によって「|檻《ケージ》」を作り出す。身を隱すにも爪を研ぐにも重宝する、猫まっしぐらな段ボールハウスだ。
「んー。猫ちゃんは暗くて狭い所が落ち着くって云うし、ここにおやつを仕込めばいけるかしら?」
 猫用のステンレス皿に宗田節のスティックをセット。
 この時カツカツと音がすれば、周辺の茂みから樣子を伺っていた者達はピンと耳を欹てよう。
 通常の鰹節より馨ばしい匂いを漂わせる其は、彼女が距離を取った瞬間に爭奪戰となった。

『にゃーん!!』
『なぉーん!!』

「ん、猫ちゃんだけ集まってきた!」
 猛ダッシュで段ボールに入る猫と、出遅れて取り残されたスライムを確認する。
 ピンと立った尻尾を見送ったファフィールは、猫なる核を失って輪郭を変え始めるスライムをぼこんっ!
 ハート型の宝石を埋め込んだ可愛らしい杖を打ちつけ、スライムだけをやっつける。
「スライムはこれで良いとして……あの大きなモッチモチは、別の檻に入れちゃいましょ、そうしましょ」
『ぷきゅ~』
「繊弱いヒーラーNPCが單騎撃破しちゃうのは、ほら、よくないから」
 誰かが現れれば共鬪するし、誰も來ないようなら倒しちゃうけど……と、鬼つよダンジョン主のカリスマが覗いたのは一瞬。
 ポヨンッと飛び掛かる超巨大スライムを「|檻《トラップ》」に招き入れた佳人は、むぎゅむぎゅと身動きの取れなくなったレイドボスをそのままに、すっかり段ボールハウスに収まった猫達を覗き込む。
「はー、かわい……ちょっとお顔を見せて欲しいな」
『ニャッ!』
「あーん、隱れちゃった……悲しい……けど、こういうところが可愛いというか」
 御馳走つきの祕密基地をくれたのはファフィールだが、収まってしまえばお猫樣のもの。
 手を伸ばせば更に奧へ籠る猫達に、佳人はゆるゆると眼眦を緩めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミノア・ラビリンスドラゴン
にゃーん!!!!

竜鞭をねこじゃらしのようにすいすいすい~……(注目を集める)
にゅるっと分離したところでキャッチ!!!
ほほほほほ、ネコチャンにわたくしの【おびき寄せ】に抗うすべはございませんわ~!!!
自分の迷宮の中で出会えば、猫魔力でギミックをしっちゃかめっちゃかにされるトラウマの権化ですが、外で見る分にはかわいらしいですわね~!!!!!
よぉ~しよしよしよしよし!!!!!

しかしキャッ島の名前の通り、数はめちゃめちゃ多いみたいですわね
ならば! 出ませい! 【迷宮メイド】たち!!
数は力(大軍指揮)! じゃんじゃん集めますわよ~!!



 猫とスライムが融合した|未知の怪物《バグプロトコル》『ねこスライム』は、とにかくフリーダム!
 好きな時間にお散歩して、眠たくなったらお昼寝して……島民や冒険者が去ったのを好い事に、彼等はその気儘さで街を支配していた。
『にゃんぽよーっ!! ――……にゃんぽよ?』
 そうして自由を謳歌していた彼等が、住宅街の入り組んだ細道をシュルシュルと這う「何か」に気付いたのは、長閑な昼下がりのこと。
 ヘビかヤモリか、靑々とした生垣の隙間から覗く其に興味津々、えいやっと飛び掛かりざま摑まえようとした猫は、にゅるっとスライムから出た瞬間、柔かな腕に抱き留められた。
『にゃーんっ!!』
「にゃーん!!!!」
 猫か?
 猫なのか?
 否――ミノア・ラビリンスドラゴン(ポンコツ素寒貧ドラゴン令嬢・f41838)だっ!!!
 自ら分離した猫を空中キャッチした令嬢の手元には、竜鞭――ドラゴンの尾の樣な多節鞭を、こう、猫じゃらしみたいにスイスイスイ~と動かして狩猟本能を刺激したミノアは、腕の中でもがく猫を抱き、ドヤッと勝ち誇る。
「ほほほほほ、大成功!! わたくしの誘引術に抗うすべはございませんわ~!!!」
『みにゃっ』
「よぉ~しよしよしよしよし!!!!!」
 頬を寄せて猛烈ナデナデ!! 凄まじいまでの猫かわいがりは、猫を制したからこそ。
 自身が開発する迷宮に入られようものなら、彼等は得意の猫魔力でギミックをがちゃん、トラップをぼこん。折角の設備をしっちゃかめっちゃかにする、ミノアにとって「トラウマの権化」なのだが、外で見る分にはかわいらしいもの。せいぜい腕の中でジタジタするだけだ。
「んネコチャン! ネコチャン!」
『にゃうー』
 因みに相性は……そんなに良くなさそう。
 堪らんとばかり腕を拔け出す猫を見送ったミノアは、ピャッと走り行く尻尾の向こうに多数の個体を捉えると、「ふむ」と息を置いた。
「しかしキャッ島の名前の通り、数はめちゃめちゃ多いみたいですわね……」
 このまま竜鞭を振り続ければ腱鞘炎になる。
 ならばと兩の玉臂をくるりん、大きく円を描くように動かして魔法陣を展開した令嬢は、煌々と溢れる光の中から【迷宮メイド】を召喚した!
「出ませい! わたくしに仕えるメイドたち!!」
 主人の大聲(やかましい)に喚ばれたメイドは、総勢148名!!
 ずらり竝んだ彼女達の前に仁王立ちしたミノアは、ポヨポヨと跳びはねるバグ達を即席迷宮に呼び込み、罠に掛けて集めんとテキパキ指示を出す。おっ優秀。
「さぁ、じゃんじゃん集めますわよ~!!!」
 而して刻下。
 ねこスライムの自由気儘な天下は、竜の令嬢を前に終わろうとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミケーレ・アンジェリコ
ねこスライムですか。融合というのは興味深いですし、それにとても愛らしい存在ですね。
このまま愛でていたいですが、島民の暮らしの事を考えると確かに放置は出来ないようです。

光の中からエレクトロレギオンを召喚します。

戦闘の為に作られた彼らですが、今回はねこさんの為にネズミ役をやってもらいましょう。

ねこさんとスライムの分離を確認したら、心苦しいですがスライム達を追い払うようにエレクトロレギオン達に追加指令を出します。



 主に街中で暮らしていた猫と、フィールドで冒険者の腕試しに役立っていたスライムが「融合」した。
 其はモンスターが出現する・しないの|疆界《さかい》そのものが曖昧になっているようだと、目下、無人の街でお気樂に飛び跳ねるプニプニを眺めた少年は、柔かな苦笑を兆した。
「――ねこスライムですか。表情といい仕草といい、とても愛らしいですね」
 淡く弧を描いた花唇を滑る、|透徹《すきとお》るように淸いテノール。
 佳聲の主たるミケーレ・アンジェリコ(ノンプレイヤーキャラクターの白聖者・f43592)は、空色の瞳いっぱいに映る和やかな光景に眼眦を緩めると、少々惜しそうに呟いた。
「このまま愛でていたい処ですが、人々の暮らしや島の機能を考えると……矢張り放置は出來ません」
 此処に島民の生活が慥かに在ったとは、廃れた家屋や崩れたレンガ壁が教えてくれる。
 猫は猫として、スライムはスライムとして、そして『キャッ島』と島民NPCは其々に役割があった筈と、無垢に彈む彼等に元の景色を映し見たミケーレは、我が身に祕める聖性を光に變えると、足元に神々しい魔法陣を広げた。
「本來は戰鬪用に作られた彼らですが、今回はねこさんの爲にネズミ役をやって貰いましょう」
 程よいサイズと機動性、そして一撃で消滅するのが良いと召喚されるは、|小型機械兵器《エレクトロレギオン》。
 煌々と光れる魔法陣から陰影を切り出した合計50機の「ネズミ」は、ねこスライムの眼前をシュッと過るや不規則な動きで好奇心を刺激し、猫の狩猟本能を搔き立てていく。
『にゃんぽよ~? ――……ニャッ!!』
「いい感じです。ねこさんが出てきました」
 スライムの核を成していた猫が勢いよく飛び出し、ネズミを摑む。途端、獲物が消滅する。
 不思議そうに小首を傾げ、周辺をぐるぐると回り出す――その實に猫らしい仕草に微笑を置いたミケーレは、次いで視線を脇へ。猫と分離し、本來の丸い輪郭に戻りゆくスライムに指先を結んだ。
「少し心苦しいですが、追加の指令を」
『ぽよ~?』
「元居た場所にお帰り頂きましょう」
 白磁の繊指が方向を示せば、数機のネズミが今度は追いかけ役に。
 スライムのプニプニボディをつんつん小突き、街の外へ追い遣っていく。
 その樣子を見届けたミケーレは、ほっと一息、
「お互い、其々の場所で輝きますように」
 と、黃金の音色で祝福を捧げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カトリーナ・ローデンブルク
島の人々がいなくなったと聞いて来たら、これは……
この何やら可愛らしいスライムを討伐し、街の基盤も再建しなければならないとは難儀ですね。

私のいた街のギルドでも猫さんが入り浸ることがあり、空いた時間に相手をしたことがあるので多少心得はあります。
[取引]で用意したお魚の猫缶を開けて見せ、[動物と話す]ことで言うことを聞いてくれると良いのですが。
あら、思ったより簡単に離れましたね?
でしたら手伝っていただけるならば、特別報酬にもう何缶か差し上げられますよ。

私も【リターニングブレス】で支援致します。そうすれば、最早あれらは数が多いだけのスライムですね。
その爪と牙で、遊びついでに討伐してくれたら助かります。



 島の人々が居なくなったとは一大事だ。
 或る者には拠点となり、交流を支え、活動を盛り立てる――そんな街としての機能が失われてしまったと危機感を覺えるのは、自身も神殿遺跡都市エリアのギルド受付嬢として冒険者を支えるからこそ。
「これは……なんて閑かな」
 神妙な面持ちで島内を巡ったカトリーナ・ローデンブルク(神殿遺跡都市 冒険者ギルド職員・f42116)は、至る所でポヨポヨと跳びはねる『ねこスライム』を見ると、そと柳眉を顰めた。
「……この何やら可愛らしいバグを解消し、街の基盤も再建しなければならないとは難儀ですね」
 タスクを洗うだけで肩が凝りそうだが、瑠璃と澄める双瞳は翳らず。
 普段通りに一つ一つこなしていこうと凛然を萌した彼女は、アイテムポーチから幾つかの缶詰を取り出すと、周囲に呼び掛けるよう聲を張って作業に掛かった。
「えぇと、マグロにカツオにホタテ……鶏ササミも。今回の取引では種類も豊富に取り揃えられました」
 遊びに夢中になっている個体にも届くよう音は大きく、猫缶の蓋を開ける。パカッ。
 フードの形状も樣々なのだと、次第に集まりだすプニプニ達の存在を感じつつ皿に取り分けた佳人は、更に警戒心を和らげるべく、一旦、場を離れる。
(「……私の街に居た猫さんのように『まっしぐら』になってくれると良いのですが」)
 カトリーナが居た街のギルドにも、猫が入り浸る事があった。
 出るも入るも気儘な彼等を、彼女は仕事の合間に相手した事があり、今回のように猫缶を与えた事もあったのだが、――果してキャッ島の猫は。

『にゃんー!!』
『……ぽよ~?』

「あら、思ったより簡單に離れましたね?」
 猫缶めがけて驀進する猫と、置いてけぼりを喰らってポカーンとするスライム。
 ガッガッと豪快に食べる猫達に近付いたカトリーナは、手元のポーチを搖すりながら話し掛けた。
「美味しいですか? 討伐を手伝って頂けるなら、特別報酬にもう何缶か差し上げられますよ」
『にゃっ……にゃっ……』
「遊びついでで構いません。その爪と牙をお借りしたいのです」
 コツコツと缶のぶつかる音がする。まだある!
 御馳走を味わいつつ、三角の耳をピンと立てて彼女の話を聽いた猫達は、「わかった」とばかり振り返ると、スライムめがけて走り出した――!!
『ぽよよ~っ!』
 こうなれば、最早あれらは数が多いだけのスライム。
 滿腹になった猫達が元気にスライムを追い掛けるのを見たカトリーナは、自身も杖を翳して光を降り注ぎ、猫達の支援に回る。
「ここからは討伐クエストですね」
 凛々しき花顏を白々と照り上げる樣に、アシストNPCとして活躍する彼女が見て取れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリシャ・パルティエル
ユディト(f05453)と

猫ちゃんの楽園…キャッ島の再生のために一肌脱ごうじゃない!
アース世界にもこういう猫ちゃんの島ってあるものね
そういう癒しな場所がGGOにも欲しいわ!(拳ぎゅ

さて、まずはねこスライムの対処ね…
え、やだ可愛い!
ぷにぷにしてて、これはこれであり…
…ううん、ちょっと大きすぎるわね

さあ、猫ちゃんたち
一緒におもちゃで遊びましょう!
猫じゃらしや電動ねずみロボなんかで気を引くわね
猫ちゃんの本能に訴えかけるわ!

ほらユディトもこれ使って
数が多いようなら、電脳ゴーグルで猫ちゃん召喚
この子たちと一緒に遊びましょう?
猫ちゃんが遊んでる姿…癒されるわ…(きゅん
さあ、一緒に島の再生頑張りましょうね!


ユディト・イェシュア
エリシャさん(f03249)と

猫さんが絡むと、いつも以上に気合入ってますね…(連れてこられた
はい、こういう名所は必要ですよね
バグを排除してキャッ島を復興させましょう

エリシャさん、ねこスライムにも目をキラキラさせて…
ですが可愛いと笑っていられるレベルではない大きさですね
島民が去ったのも納得です

猫さんの好むもの…
エリシャさんに渡されたUDCアースで人気の猫さんのおやつ
ペースト状でぺろぺろできるそれはここでも人気みたいですね
これを持っているだけで猫さんが集まって来て人気者になった気分です
遊んだり甘えたりする様子が可愛いですね…(癒される

スライムの方の退治が必要なら任せてください
俺は力仕事要員ですから



「さあ、みんな出ておいでー! 大丈夫、何もやっつけに來た訳じゃないわよー!」
 |初夏《はつなつ》の芍藥を想わせるソプラノが、瑞々しく、輝かしく、島の棧橋に響き渡る。
 佳聲の主たるエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)は、手掌を筒状にしてそう叫んだ後、兩手をめいっぱい広げてぶんぶんっ! あたしはここよと存在を示す。
 この、いつでも何処からでもお出なさいと言わんばかり男前な姿を見たユディト・イェシュア(暁天の月・f05453)は、蘭麝の髮を梳る潮風に感嘆の聲を運ばせた。
「猫さんが絡むと、いつも以上に気合入ってますね……」
 元々猫好きな義姉だ。
 愛すべき尻尾たちが|災難《バグ》に見舞われたとあって、彼女は急ぎこの島へ、己を連れ立って來た(連れてこられた)訳だが、使命感に滿ちた瞳は黃金色の彩を煌々、好奇心にも輝いている。
「アース世界にも猫ちゃんの島ってあるじゃない? そういう癒しな場所がGGOにも欲しいわ!」
「――慥かに。際立つ特徴を持った名所は必要ですよね」
「だからここは猫ちゃんの樂園……キャッ島の再生の爲に一肌脱ごうじゃない!」
「はい。先ずは頑張ってバグを排除し、猫の島を復興させましょう」
 エリシャは気合十分に拳をぎゅっ。然ればユディトも拳をぐっ。
 義姉弟が鏡を合せたように可愛らしい仕草を揃えると、刻下、街へと結ばれる棧橋の向こうから、色取り取りのプニプニが飛び跳ねながらやって來た。
「あれは……あれが、ねこスライムですね」
「え、やだ可愛い! お耳が三角!」
 ユディトが雪嶺の鼻梁を結ぶ先、ポヨポヨと軀を彈ませて近付く彼等にエリシャが鈴音を躍らせる。
 軈て跫音が震動に、ドスドスと棧橋を搖らす衝撃となるのを感じた二人は、その瞬間にモッッチィィ……と吸い付くような彈力に包まれた。

『にゃんっぽよー!!』

「ぷにぷにしてて、これはこれであり……ううん、ちょっと大きすぎるわね」
「成程……可愛いと笑っていられるレベルではない大きさですね。島民が去ったのも納得です」
 𝑩𝑰𝑮 𝑺𝑰𝒁𝑬……。
 6ftを超す長躯のユディトでさえ顔面が埋もる程のモッチモチ。況やエリシャに於いてをや。
 大ジャンプして飛びついた『ねこスライム』の無邪気な彈力と重量を全身に浴びて幾許――プハッと花顏を覗かせた二人は、懷きまくるプニプニをその儘にアイテムポケットを|探《まさぐ》った。
「えぇと、猫さんが好むもの……」
「――さあ、猫ちゃんたち! これで一緒に遊びましょう!」
 先ず、輕やかに呼び掛けながら「猫用おもちゃ」を取り出したのはエリシャ。
 繊麗の手をフリフリ、猫じゃらしを不規則に動かして興味を引き付けた佳人は、逆手に持っていた電動ねずみロボを頃合にシューッ! 猫が持つ狩猟本能を刺激する。
『ニャッ!』
「一匹目!」
『ナーン!』
「二匹目!」
 次々にスライムから飛び出す猫を見れば、芙蓉の花は|莞然《にっこり》。
 忽ちねずみの尻尾を追い掛ける元気の塊を見送ったエリシャは、手元の猫じゃらしは振り続け、もう片方の手を再びアイテムポケットへ。今度はスティック型のパウチを取り出す。
「ほらユディトもこれ使って」
「これは……UDCアースで人気の猫さんのおやつですね」
 其は食いつきの良さが評判なお猫樣用の御馳走。
 手渡されるままユディトが封を切ったなら、ちゅる~と出てくるペースト状フードに猫の目はカッ!
 自らスライムより分離すると同時、無我夢中で極上の美味を堪能し始めた。
『!! ニャァァアアア!!』
「良かった。こちらは島の猫さんにも人気みたいですね」
『……ニャッ……ニャッ……』
「これを持っているだけで猫さんが集まって來て、人気者になった気分です」
 手ずから餌を與える事でコミュニケーションが取れるとは聞いていたが、喜んで舐める猫達を間近に見ると、その幸せが此方にまで移ってくるよう。
 ユディトが眼眦を緩めて猫のおやつタイムを愛でる傍ら、エリシャは更に電腦ゴーグルに内臓した「猫なりきりアクションゲーム」から猫を召喚し、彼等の遊び相手を増やしてやる。
「さあ、この子達と一緒に……――あら、もうお友達になったの? 皆で元気に遊ぶ姿に胸が締められるわ」
「本当に。遊んだり甘えたりする樣子が愛くるしいですね……」
 噫、なんと心の洗われる……!
 猫を災難から救った筈が、猫に救われるような――最高の癒しを得た二人は、もっと彼等にとっての最善を、島の機能を取り戻したいと強く思う。
「さあ、島の再生に向けて一緒に頑張りましょうね!」
「スライム退治が必要なら任せてください。俺は力仕事要員ですから」
 今や猫まみれになったエリシャは幸せそうに皆々へ呼び掛け、ユディトも櫻唇に柔らかな弧を描きつつ、手に|戰棍《メイス》を握る。其はスライムを経験値に變えるアイテムだ。
『ぽよ~っ!』
 元気な猫に置き去りにされていたスライム達は、これを見るやプルリと身震い。
 本來の居場所である街の外の冒険フィールドへ、ポヨポヨと逃げていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ノネ・ェメ
クレさん(f14474)と、猫会いたさだけで来てしまい。

いっぱい会いたいの一心で、そちこちにおいでおいでします
猫にしか聴けないくらぃ高音の鼻歌でも歌って、注目を一心ならぬ一身に集めたり、とか。
ちなレイドが発生したとして、その攻略ゎノープラン。
猫もスライムも、ワンチャンもふれれば。
以上。
ふふん。
(見えもしないのにプレイング中でドヤ顔してみせるムーブ)

〝音奏〟
失敗(想定以上の個体を発生させてしまう 等)をすればする毎に、それらをひっくり返す何かしらの幸運なり奇跡なり(猫だけをよってこさせる 等)をよぶ。


暁・紅華
ノネちゃん(o・f15208)と。

少しでも多く助けてぇ(もふもふしたい)から、猫が好きそうな玩具で誘い出す。
それなりに集まって来たらUCを発動。

紅血ノ移流霧(ブラッド・ミスト)は、一言でいえば帰路につかせるUCだ。
ここキャッ島がホームなのはスライムも同じだろうが……要は、用無しって事だ。
こちらの誘いに乗った猫がよってくるその時に、スライムには“待て”をさせる。
引き離すってんなら片方は抑えとかねぇと、だろ?

例え想定以上の個体が来ようと、レイドが発生しようと、同じ方法で対処出来る筈だ。



 折々に話し掛けてくれる島民も、釣った魚を分けてくれる冒険者も居なくなった。
 自由を獲得する代わり賑やかな人聲を失った|未知の怪物《バグプロトコル》『ねこスライム』は、潮気を含んだ風に運ばれる柔らかなソプラノ――五線譜を心地よく駆け上がる音色に、三角に尖った耳をぷるっと欹てた。
「~♪」
 其は猫しか聽くことの出來ない特別な歌。
 心地良い高音で紡がれる、ɑːnsɑ́ːmbl mɪ́ksɪŋ ――〝音奏〟
 猫さんを一目見ん一目見んとぞ唯だに急いでキャッ島を訪れたノネ・ェメ(o・f15208)は、いっぱい会いたいの一心で島内をてくてく。海の色に染まる艶髪を潮風に梳らせつつ、思い浮かぶ儘に鼻歌を口遊み、お散歩中やお昼寝中のプニプニ達の耳を擽る。
『……にゃんぽよ?』
 或る一匹は興味津々に音の方向を辿り、或る一匹は警戒して物蔭からじーっ。
 蓋しどの個体も見るのは「おいでおいで」と手招きするノネの笑顏で、なんだかとても樂しそうで――。
 いつしか彼女の跫音は、「てくてく」に続いて「ぷにぷに」と「ぽよぽよ」が連なっていた。

「――ン、集まってきた集まってきた。しかもお行儀よく並んでんの」
 パイドパイパーの笛音は百を超す子供達を誘い出したが、ノネに連なるモチモチもそれくらい。
 餘程〝音奏〟が心地良かったのだろうと片眉を持ち上げた暁・紅華(†・f14474)は、扨て、己も一役買おうとアイテムポケットを展開。猫を樂しませるべく――否、猫と樂しめそうな玩具を幾つか取り出し、彼等の持ち前の好奇心を擽り始めた。
「大丈夫、直ぐに助けてやっから」
 もふもふしたさに、緋に煌く烱瞳はしんけんっ!
 細く入り組んだ坂道のあちこちから此方を注視する視線を感じていた紅華は、先ずは猫じゃらしを手に持ち、不規則かつ俊敏な機動でフリフリ、フリフリ……――刹那、シュッと橫切る影に口角を持ち上げる。
『にゃーん!』
「っし、|分離《はな》れた」
 狩猟本能を刺激された猫が元気に玩具を摑まえようとする一方、ポツンと取り残されるスライム。
 何らかのバグによって融合していた兩者がトゥルンと気持ちよく輪郭を別ったのは、半径127m圏内に巡らせた【|紅血ノ移流霧《ブラッド・ミスト》】の影響で、妖力を持った血霧に觸れたスライムだけがその場に縫い留められる。
「ここキャッ島がホームなのはスライムも同じだろうが……要は、用無しって事だ」
『ぽよよ~?』
「引き離すってんなら片方は抑えとかねぇと、だろ? ――ここは“待て”だ」
『ぽにっ』
 術者に言われる儘、シャキッと背筋(あるのかな)を伸ばして踏み止まるスライムたち。
 斯くして兩者が分離すれば、つまり猫とスライムに生じた|災難《バグ》を解消すれば、猫は街に、スライムは街の外の冒険フィールドに転送されるのだが、猫もスライムも愛でんとするノネは兩者を等しく抱き包んだ。

「クレさん、クレさん。これは、もふもふと、ぷにぷにの……夢の國?」
「ノネちゃん……お顏が幸せそうに緩んでるぜ……」

 目下、ノネの周りには毛玉の群れと水饅頭がいーーーっぱい!!!
 佳人が紡いだ〝音奏〟は、凄まじい数の『ねこスライム』を呼び込んで分離作業を多くさせたが、それもノネにとっては幸運か奇跡。これだけの無垢に圍まれるなんてと、花唇はゆるゆると三日月を描いている。
「猫まみれ……スライムまみれ、は……失敗って言いたくない、かも」
「窒息だけは気を付けて。俺もモフモフさせて貰えねぇかな」
 ノネの塊麗の微笑を瞥た紅華は、倖せのお裾分けを貰ったように微笑ひとつ。
 ここまで一頻り猫じゃらしを振って信頼関係を築いた彼は、頃合にお尻をポンポン。猫が心地よさそうに軀を差し出してきたタイミングで、ふんわりした毛並みを撫でてやる。――温かくて、気持ちいい。

「ちなレイドが発生したとして、その攻略ゎノープランなのだけど」
『ぽよぽよ~?』
「俺の血が漾っている限りは問題無い。たとえ想定以上の個体が現れたとしても、その瞬間に帰らせるだけだ」
『なぁ~ん』

 ――なぁんだ、平和か。
 ノネの〝音奏〟が『ねこスライム』を集めるとして、紅血の霧が漾う範囲に入れば分離されるのだから、彼等が空間を注視したとて高レベルボスモンスターは召喚されない。なんというミラクル連携!
 いっぱい会いたい、ワンチャンもふりたい。スライムも。
 その一心で「ねこスライム-スライム=ねこ」の逆算式を成功させたノネは、猫のもっふり具合とスライムのもっちり具合を堪能して幾許、
「……ふふん」
 と、ドヤ顏してみせる。なんていいおかお。
 蓋しその勝者ムーブは「正しい」と首肯を置いた紅華は、猫の柔らかな頤周りをもふもふ。うっとり目を細ませる子猫に、噫、もっと撫でてやろうと献身的になる。手を止められないのだけが難儀だ。
 彼は|微咲《えみ》を萌した佳唇より穩やかなバリトンを滑らせ、
「俺やノネちゃんの他にも、構ってくれる人はきっと來る」
「そ、そ。たくさんの人に愛でられなきゃ」
 島民も冒険者も今に戻ってくる、と――。
 すっかり懷いて咽喉を鳴らす猫達を、ノネと二人、めいっぱい励ますのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神坂・露
レーちゃん(f14377)
猫さんスライムを一目見たくて島に来たけれど…。
そーいえば分離させる方法を考えていなかったわ。
うーん。どうしようかしら。
猫じゃらしになりそうな物はあたし持ってないし。
カリカリとかご飯は持ってないし。困ったわ~。

「どうしようか、レー…ちゃ…?」
隣に居るレーちゃんに聞こうと思って顔を向けるわ。
そうしたら猫さんがレーちゃんに群がってて…。
あ!猫さんってなんでかレーちゃん大好きだったわ。
レーちゃんが居るだけで簡単に分離できちゃうわね!

「…あたしも、レーちゃんに抱き着いたいわ!」
凄く猫さんが気持ちよさそうだったから我慢できない!
あたしも…って猫さんと一緒にレーちゃんに抱き着くわ。
猫さんの邪魔をしないように注意しながらきゅうーって。
ついでに猫さんにもきゅぅーって♪幸せだわ♪わーい♪
わーい♪猫さんとレーちゃんで幸せ一杯だわ♪
「えへへ♪ 可愛いと可愛いは強いわよね♪」

今回はあたしは剣とかUCは使わないわよ。
だってだって猫さんとスライムには可哀想だもの。
…スライムは危険かしら…?


シビラ・レーヴェンス
露(f19223)
よく状況が把握できないままに連れてこられた。
簡易な説明は受けた…が今一ピンと来ていない。
スライムと何故か猫が関係しているようだが…?
猫用の餌だけは準備しておこうと思う。

島に着くなり突然猫耳型のスライム?達が出現した。
…と思ったらスライム?の中から猫達が飛び出して。
…?…?!…?
顔や身体に猫がくっついて身動きが…とれない…。
露の声が聞こえたような気がしたが…気のせいか?
喉を鳴らす音が周囲から聞こえて露の声が聞こえない。
…むぅ。なぜ猫達は私に群がってくるのか…謎だ…。

なんとか顔だけ外気に晒すことができたが動けない。
露を呼ぼうとしたが露の姿も見えない。…む?奇襲か?
「……露。君まで私にくっついてどうするんだ…?」
視認のみだが周囲にオブリビオンはいないようだな。
そして露は私に抱き着いていて…全く。やれやれ…。
何が『猫さんが羨ましかった』だ。全く。
「満足したら、私を引き上げてくれないか? 露」
……。どうやらもう暫くはこのままのようだな…。
今回私は猫とスライムへ魔術は行使しない。



 Dogs bark at me as I halt by them. ――なんて。
 ヨーク朝最後の英國王、リチャード3世は「立ち止まるだけで犬に吠えられる」と劇作家に揶揄されたものだが、特定の動物に特定の反應を示される事は儘ある。
 シビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)もそういった特徴を持つ者で、彼女の來訪は此たび|災難《バグ》に見舞われた『キャッ島』を救う光明の一つとなった。

「簡易な説明は受けた……が、今一ピンと來ていない。スライムと、何故か猫が関係しているようだが……」
 冒険エリアに出現するスライムと、居住区を出ない猫が「融合」した――?
 GGOではモンスターの出没区と非出没区が明確に分けられている筈だが、どうしてこうなったと訝しむシビラの隣、芙蓉の花が|莞爾《にこにこ》と咲って馨香を広げる。
「可愛いと可愛いがくっついたのよ♪ プニプニした三角のお耳が素敵ね~♪」
 花の名は、神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)。
 この島に発生した謎現象を「そっかぁ」くらいで受け入れた彼女は、島の至る処でもちもち、ぽよぽよと飛び跳ねる巨大な水饅頭を見て、たいへん元気が宜しいと眼眦を緩める。
 實におおらかな露らしいが、フィールドと街の疆界を曖昧にするバグは中々に厄介だと櫻唇を結んだシビラは、すっかり人の気配を無くしてしまった島をぐるり見渡すと、間もなく一歩を踏み出した。
「露。君は眼福を得ているようだが、この現象は何とか解消しなくてはならない」
「そーいえば分離させる方法を考えていなかったわ。うーん、どうしようかしら」
 爆裂かわいい『ねこスライム』を見ようと來島した露は、この時点で目的は達成された。大成功!
 |爾後《あと》の事はノープランであると笑顏に示す彼女に|頭《かぶり》を振ったシビラは、アイテムポケットを展開し、持ち込み品を確認し始めた。
「一應、猫用の餌だけは準備してきた。缶詰と、スティック状のパウチだ」
「わ、レーちゃんったら周到♪ あたしは……猫じゃらしになりそうな物は持ってないし。カリカリとかご飯は……持ってないし。困ったわ~」
「用意した分で足りれば良いが、少し見渡しただけでも|個体《かず》が多い」
 如何にすべきか――。
 一度は踏み出したものの、予想以上の数に手持ちの不安を覺えたシビラは、露と向き合って暫し思案する。
 ――その刻だった。

『にゃーんっ!!!』

「どうしようか、レー……ちゃ……?」
「……? ……?! ……?」
 刹那、露の視界にシュッと黑影が過り、正面に映していたシビラに猫がくっつく。ぴとっ。
 餘りの光景に瞳が皿になった瞬間、別なる猫がシビラの佳顏にくっつく。ぴとっ。
「えっ何、えっ」
「これ、は……」
 しかも一匹や二匹に非ず、シビラの姿を見るや猫はスライムを拔け出してまっしぐら!
 腕にひっつき脚にひっつき、背中や頭にも乗っかかり、シビラが|毛玉《モフモフ》の塊になる。壮觀……!!
 驚異の光景を目の當りにした露は、ここで漸く合點を得よう。
「あ! 猫さんってなんでかレーちゃんが大好きだったわ」
「……身動きが……とれない……」
「うんうん♪ レーちゃんが居るだけで、こんなに簡單に分離できちゃうのね! 助かるわ~♪」
「? ……今、何か言っ……聞こえない……」
 露が正答を閃いたが、今や猫だらけになったシビラにはゴロゴロと咽喉を鳴らす音しか聽こえず。
 猫の温もりと重量を全身に浴びる事となった麗人は、ふわっふわの毛の中で佳聲をくぐもらせ、
「……むぅ。なぜ猫達は私に群がってくるのか……謎だ……」
 と、小首を傾げる餘裕もなく立ち尽くすのだった。

「なんて可愛らしくて微笑ましい……あたしも、あたしもレーちゃんに抱き着きたいわ!!」
 斯くして猫まみれになったシビラの前、露は足踏みしてうずうず。
 猫がシビラの事を好いているのは知っているが、自分だって気持ちは負けないと花顏に凛然を萌した彼女は、猶も走り來る猫の群れに交じって突撃っ! きゅぅぅうううーーっっとシビラにくっついた!!
「猫さん達、凄く気持ちよさそうだし……我慢できない!」
「……む? ……まさかレイドボスの奇襲か?」
 想いの丈をぶつけるように露が抱き着けば、ゆっさと搖すられたシビラが毛玉の中から顏を出す。
 何とか外気に觸れられたと双瞳を巡らせてみれば、片手に猫を抱いた露がピッタリと貼り付いていた。
「オブリビオンの気配は無しと安堵はしたが、露……君まで私にくっついてどうするんだ……?」
「だってだって。猫さんが羨ましかったんだもの」
「……全く。やれやれ……」
「あたし、今とっても幸せだわ♪ わーい♪ レーちゃん柔かぁい♪ いい匂い♪」
 猫さんと、レーちゃんと。
 大好きに圍まれた露はふくふく、最高の|幸福《しあわせ》に笑顏が溢れる。
 本當ならこの腕いっぱいに全部を抱き締めたいが、ちみっこい少女は繊腕をうんと伸ばし、愛おしそうに頬を寄せる。
「えへへ♪ 可愛いと可愛いは強いわよね♪」
「……滿足したら、私を引き上げてくれないか?」
「うん。もうちょっと……もうちょっとね……?」
「……。どうやらもう暫くはこの儘の樣だな……」
 而してシビラも觀念したか。取り敢えず窒息死は免れたと、猫と露の抱擁を受け容れた麗人は、|不圖《ふと》、艶やかな毛並みに埋もれそうになった言を拾う。
「因みに猫さんと分離したスライムさんは、危険かしら……?」
「噫、そう言えば――」
 猫という猫が磁石のようにシビラにくっついた今、置き去りにされたスライムがぽか~んと、否、ぽよ~んと取り残されている。見れば猫という「核」を失い、本來の水饅頭形態に戻りつつある|樣子《よう》。
 露の呟きに從って視線を結んだシビラは、身動きの取れない中でも僅かに手を振り、
「大丈夫だろう。スライム達は元々は駆け出し冒険者が狙うモンスターで、自分からは襲ってこない」
「あ……街の外に向かっていくわ」
「融合というバグが解消された今、彼等も元の場所に戻る筈だ」
 猫は居住エリアに、スライムは冒険エリアに。
 もちろん倒せば経験値になるだろうが、其を欲する二人でも無し。剱も魔法も不要とスライムを見送った露とシビラは、その場に残った猫の匂い、重み、柔かさ……それと親友の温もりなども堪能して、暫し長閑な時間を過ごすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『今日は釣りの日だ!』

POW   :    試行回数で素材の獲得回数を稼ぐ。

SPD   :    確率操作を実行してレア素材を狙う。

WIZ   :    条件を分析し、目当ての素材を確実に釣り上げる。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「わ、わ、皆が何とかしてくれたんだね……ありがとう、助かったよ!!」
 危うく窒息死するところだった冒険者メグルは、猟兵の尽力によって分離された猫と、冒険エリアへと戻っていくスライムにホッと一息。危難が去ったと胸を撫で下ろす。
 然しこれで万事解決とはいかないと、未だ人聲の戻らぬ『キャッ島』を見渡した彼女は、花顏の前で手をパチン。もうひとふんばりしてくれないかと猟兵に願い出た。
「折角この島に來たんだもの。ボクは資材を集めて街を復興させようと思うんだけど……皆は海辺で釣りをして、加速アイテムをゲットしてくれないかなぁ?」
 メグルは島内を探索し、建築資材を集めて廃屋を立て直すと云う。
 この時必要になるのが作業促進剤「シゴトハヤーイ」で、これを使うと建設スピードがぎゅんっと加速し、街の復興度に合わせて島民NPCや冒険者達が戻って來るという訳だ。
「唯だ、このアイテムは糸を垂らせば釣れるって訳でもないから、けっこう根気がいるんだ」
 キャッ島の海辺エリアで釣れるものを情報開示してみれば、「シゴトハヤーイ」「ホンキダース」等の各種加速アイテムの他、魚介類の体力回復アイテム、用途不明の小さなメダルや、長靴や骨付き肉なども低確率ながら取れるらしい。
 特に桟橋付近で魚を釣ると、猫がそれを欲しがって集まってくるそうだ。
「これ、あげる。釣り針につけるアイテムだよ」
 手渡されたのは、赤や黃、緑色などに輝く色とりどりの金平糖。星型で、グミみたいに柔かい。
 この餌(?)によって釣れるものの確率が変動するらしいのだが、何が取りやすいのかメグルも分かっておらず、本日の釣果は太公望に委ねられるよう。
 はてさて、求めるアイテムは釣れるか――。
 猟兵たちは釣り道具と金平糖を携え、其々にココと思う場所で釣りを始めるのだった。
キノ・コバルトリュフ
エリンギ!今日は楽しくハイキング!!
シメジ、なんだか周りが騒がしいね。
でも、キノたちは気にしなーい。
キノ?スピちゃんどこに行ったのかな?
シイタケ、おいしいお菓子とか用意したのに。
帰ってきた、どこに行ってたの?
軽く運動でもしてきたのかな?
マイタケ、それじゃあ、いただきます。



 キノコつむりの集落を拔け出して|幾年《いくとせ》――。
 風の吹くまま胞子(超絶猛毒)の飛ぶまま、奇にして妙なる三千世界を旅するキノ・コバルトリュフ(|キノコつむり《🍄🍄🍄🍄🍄》の星霊術士・f39074)は、此度はGGOへ。『ねこスライム』なる|未知の怪物《バグプロトコル》の脅威が去った『キャッ島』に|出現《ログイン》した。
「エリンギ(ごきげんよう)!! 今日は樂しく……フィッシング?」
 紫彩の瞳をパチパチと瞬かせ、棧橋で釣りに勤しむ猟兵仲間を見る。
 何だか周囲が騷がしいと思ったのは、魚が釣れないかと傍らで待つ猫の多さか――「猫の島」と呼ばれるならではの尻尾の数に驚嘆したキノは、ニャアニャアと足元で鳴く彼等に促される儘、付近に置かれた釣り竿を手にした。
「先ずは釣り糸にアイテムを……キノ? スピちゃんは……猫ちゃん達と遊びにいくの?」
『ニャーン!』
「シイタケ(ざんねん)、おいしいお菓子とか用意したのに」
 星霊スピカが一部の猫達と棧橋を駆けていくのを見送りつつ、釣り糸を垂れる。
 目下に必要なのは加速アイテムらしいので、魚が釣れれば猫に譲ろうと海中を眺めていたキノは、時に、ツンツンと糸を引くような感覺を得て棹を持ち上げた。
「シメジ(釣れた)! これは……ポーション?」
 釣れたのは可愛らしい硝子の小瓶。体力回復アイテムだ。
 蓋部に結わえられたリボンに優雅な字体で「Drink me」と書かれてあるのを読んだキノは、なんだかワクワクして一口。
「キノキノ、それじゃあ、いただきます……――ぱちぱち!?」
 炭酸――!!
 まさかの爽快な喉越しに、キノは双瞳を皿のように丸くするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カグヤ・アルトニウス
〇姜子牙(太公望)は釣り針で王を釣ったが、ここでは資材を釣る

猟兵が「本気」で釣りをすれば地形すら変わる気がしますけど、この長閑な島をぶち壊すのは気が引けるので必要な物だけを必要な分だけ手に入れる事にします

(行動)
まずはチュートリアルすらやっていないので(ハッキング+情報収集)でデータベースを漁って釣りのマニュアルと釣り場の情報・餌のデータ・気象情報を入手し、小舟と道具を島で入手して近海に釣りに出ます。

釣りは…餌を(プログラミング)で解析して釣り場側のデータと照合、必要な分だけのんびり釣って引き上げます

見た目は単に釣りをしているだけに見えますが実際にはガチャ回している様な身も蓋もない様な気が…



 嘗て姜子牙は釣り針で王を釣った。周の文王だ。
 軍師として迎えられては「太公望」と呼ばれた。
「そしてキャッ島で釣果を見守るのは、猫と……。それなら彼等の爲にも励みませんと」
 道具を持つなりニャアニャアと魚を催促する猫達を宥め、小舟に乗って近海まで釣りに出掛ける。
 風が強くなってきたと、硬質の指を櫛代わりに前髪を搔き上げたカグヤ・アルトニウス(とある辺境の|私掠宇宙海賊《プライベーティア》・f04065)は、眞直ぐ|睼《みむか》う先、良質な釣り場の座標を目指して小舟を走らせた。
「まだチュートリアルもやってませんでしたが、舟を出す前にデータベースは漁っておきました」
 キャッ島周辺のデータを収集・解析し、釣り場と気象情報は把握した。
 並行して入手した釣りのマニュアルから動作を學んだカグヤは、メグルから渡された餌の内部情報を現場に到着するまでに読み込み、諸々のデータと照合した上で最適な釣果を得られる組み合わせを算出する。
「ここは加速アイテムが釣れる確率が高い順につけていきましょう」
 流石は究極のゲームと云うべきか。釣りはサブイベント的な扱いながら、季節や場所、天候や時間帯によって釣れるアイテムが細かく分かれており、これのみでも樂しめる程。
 成程、人々がのめり込むのも無理はないと、膨大なデータを見ながら釣り糸を垂らしたカグヤは、潮風をBGMに、小舟を搖らす波を感じながらアタリを待つ。ゆっくり、待つ。
「…………長閑ですね」
 凡そ猟兵が本気で釣りをすれば、地形すら変えうる。己にもそれだけの力はある。
 然し、悠久の時の流れるこの島をぶち壞すのは「気が引ける」と基本に則った彼は、必要な物を必要な分だけ手に入れるに留めようと――先ずは予想通りに掛かった「シゴトハヤーイ」をゲット。
 これでメグルに餌の御礼が出來そうだと安堵を得たカグヤは、また糸を垂らして呟きをひとつ。
「……これ、見た目は單に釣りをしているだけですが、実際にはガチャを回している樣な……身も蓋もない気がしてきました……」
 確率を洗って、実際に排出されるアイテムを確認して。
 まるでガチャ、否、まんまガチャだと皮肉を零したカグヤは、次の瞬間に引き上げた釣り糸の先、ピチピチと踊る魚を見て、仄かに竊笑を零すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミノア・ラビリンスドラゴン
伐採、採集、採掘、釣り!
こういう【素材採取】はネトゲあるあるですわね!!
もちろん、わたくしも【お金稼ぎ】の一環としてそれなりに技能習得しておりますわ~!!!

ふ~む、金平糖がエサですの?
まぁ、ゴカイのようなリアルな虫のグラフィックだと人を選びますものねぇ
では、とびっきり目立つ赤いものを付けて……そぉい!!!!
見よ! この巧みなる竿捌き! お魚の【欲望を開放】して……ヒット!!!
6月が旬のカツオをゲットですわ~!!!
…………いえ、違いますわね? 本来の目的は作業促進剤でしたわね?

【迷宮メイド】にたたきに調理させつつ、釣り続行ですわ!!
切れっ端ならネコチャンにあげてもよろしくてよ~!!



 ピアノにバレエ、乗馬に茶道……。
 凡そお嬢樣とは優雅な素養を身に着けるものだが、迷宮城に住まう竜の御令嬢も負けてはいない。
「伐採、採集、採掘、釣り! 素材採取に関しては、わたくしも|相應《それなり》に技能を習得しておりますわ~!!!」
 もちろん!!!
 金策の一環として!!!
 迷宮を開発する素材はいつも自らの足で調達しているミノア・ラビリンスドラゴン(ポンコツ素寒貧ドラゴン令嬢・f41838)は、棧橋付近に立てかけられた釣り竿を勇ましく摑むと、メグルが持つ「餌」を見せて貰った。
「ふ~む、この金平糖を釣り針に?」
「うん。こう、ムニッと刺す感じで」
「まぁ、ゴカイのようなリアルな虫のグラフィックだと人を選びますものねぇ」
 ミノアなら引潮を狙って河口でザクザク、ちょっと見た目がグロい虫も「餌代ゼロですわー!!!」と攻めたかしれない。素養があるので。
 とまれ餌の中でもとびっきり目立つ赤い金平糖を選んだミノアは、ずんずん棧橋を歩いて最先端へ。
 海に向かって釣り竿を橫に寝かせると、腰を斬るような鋭いスイングで投擲した。
「そぉい!!!!」
 いざ刮目して見よ! この巧みなる竿捌き!
 これぞ渭水で文王を釣りあてた太公望というより、華雄を斬った関羽の太刀筋!!
 技能は勿論の事、活きの良いお魚をゲットしたいという欲望を全開に五感を研ぎ澄ませたミノアは、待って幾許――手に稲妻の伝うような感覺を得た瞬間に竿を持ち上げる! 天に鋩を結ばんばかり引く!!
「ヒットー!! ……からの、6月が旬のカツオをゲットですわ~!!!」
 ででーん!!!
 大物GETならではの効果音がめでたさを演出してくれるが、違う、そうじゃない。
「…………本來の目的は作業促進剤でしたわね?」
 實に見事なカツオの一本釣りであったが、目下に欲しいのは時短アイテム。
 わらわら集まってくる猫達にコホンと咳払いした佳人は、先にも活躍した【迷宮メイド】にカツオを預けると、今度こそ欲望を促進剤に絞って釣りを始めた。
「メイドたち、カツオはタタキにしてお仕舞いなさい!!」
『ニャーン』
「切れっ端ならネコチャンにあげてもよろしくてよ~!!」
 大きな聲は|波濤《なみ》を砕いて大海原に広がって。
 まだ島民NPCも冒険者も戻ってはいなかったが、ミノア|單独《ひとり》で充分に賑々しかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カトリーナ・ローデンブルク
無事に猫さん達を助けることができて何よりです。
ここからが本番ですね。

釣りで入手可能な加速アイテムを集めるのが目的と、なるほど。
釣りはあまり経験がありませんがやってみます。餌は金平糖のようなグミのような……何でしょうね?
【フォーチュネイトS】で神々に幸運を祈った後、[動物と話す]ことで猫さん達に良い釣り場を教えてもらいましょう。
加速アイテムが釣れたらアイテムポーチに入れます。
お魚などの食材も大半はこちらで確保し、数匹ほどをお礼に猫さん達に差し上げます。猫缶だけでは物足りないでしょう?

バグプロトコルがいなければ、この景色も良いものなのが分かりますね。
復興を済ませ、再び島が賑わう姿を見たいものです。



 猫は街に。スライムはフィールドに。
 無事にバグが解消され、其々が元の場所に居付くのを見たカトリーナ・ローデンブルク(神殿遺跡都市 冒険者ギルド職員・f42116)は、安堵の息をひとつ。而して「ここからが本番」と海景を見渡した。
「猫さん達は戻りました。次は街の賑わいを取り戻さないといけませんね」
 島の復興に必要なのが、建築。
 その作業を加速するアイテムを調達するのが、|釣漁《つり》。
 これらのクエストは主に冒険者達に「案内」するのが仕事であったカトリーナは、特に釣りに関しては多く経験を持つ訳では無かったが、猫のため島のためにと奮い立つのはアシストNPCの|性《さが》か知れない。
 餌を手にした佳人は、扨て何処で釣りをしようかと海沿いを歩いてみる事にした。
「それにしても、この餌……金平糖のようなグミのような……何でしょうね?」
『ニャァオ』
「ふふ、美味しそうに見えても差し上げられません。猫さん用ではありませんから」
『ニャーン』
 折に相槌を呉れるのは、先に助けた猫達。
 彼女のアイテムポーチに「いいもの」が入っていると知った賢き者達は、何やら期待して連いてくるのだが、その可愛らしさに瞳を緩めた佳人は、くるり振り返って知惠を請うた。
「この島で良い釣り場を御存知ありませんか?」
『ニャゴニャゴ』
「成程、嘗ては棧橋で多くの冒険者さんが釣りをしていたと」
 やはり情報は原住民……否、原住猫に訊くに限る。
 猫達が多くの御零れに与ったように、己も釣果に惠まれますように幸運を祈ったカトリーナは、神々の祝福が光となって降り注ぐのを見ると、早速釣りに掛かった。
「狙うは加速アイテムですが、お魚が釣れたら数匹は御礼に差し上げます」
『ニャンゴ!』
「ほら、猫缶だけでは物足りなかったでしょう?」
 雪嶺の鼻梁は眞直ぐ釣り糸に結びつつ、傍らに群がる尻尾の群れを流眄に|瞶《み》るカトリーナ。
 釣れる食材の大半は確保するものの、猫達に情報料も渡そうとは太っ腹で、食べごろサイズを一匹二匹と呉れる彼女にはお猫樣方も「ハナシの分かる奴」とご機嫌な樣子。
「扨て、次は……――あぁ良かった。私も望むものを手に入れられました」
『ナーン』
 目的の作業促進剤も無事にゲットしたカトリーナは、猫達がじっと見る中でポーチに仕舞う。
 すっかり懷いたか、足元で釣果を見守る猫達とゆったりした時間を過した佳人は、美し靑彩の瞳を緩めて、
「バグプロトコルがいなければ、この景色も良いものなのが佳く分かります」
 早く復興を済ませ、再び島が賑わう姿を見たいものだと――。
 額を寄せてくる猫達をそと撫でつつ、時の許すまで釣りに勤しむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミケーレ・アンジェリコ
釣りはやった事がありませんが楽しそうです。
ただ、ミズ・メグルが資材集めをしてくれている事を考えると早めに加速アイテムは集めてあげたいですね。

餌の色は白を。なければ適当に別の色を。
ひとまずの目的は加速アイテムなので、何度か釣りをして出てくる確率が低そうなら別の色も試します。

焦りすぎは良くないと聞きますので、急ぎつつも気長に頑張りましょう。



「この餌を通し刺しにして、仕掛けが絡まないようにゆっくりロッドを振りかぶるんだよ。頑張って!!」
「慣れるまでは難しいかもしれませんが、樂しめそうです。やってみます」
 釣りの経験は無い。
 だが戸惑う以上に好奇心が大きいと、メグルから一連の作業を教わったミケーレ・アンジェリコ(ノンプレイヤーキャラクターの白聖者・f43592)は、年相應の|微咲《えみ》を零す。
 少年らしい冒険心いっぱいに海辺へ向かった彼は、嘗て多くの冒険者が釣りクエストに勤しんだという棧橋に着くと、早くも魚を強請りに來る猫達を宥めながら準備に掛かった。
『ニャーニャー』
「そうですね、魚が釣れたら差し上げても構いませんが、ミズ・メグルが資材集めをしてくれている事を考えると、早めに加速アイテムを集めてあげたいと――」
『ニャン、ニャンゴ』
「ええ、ええ、先ずは投げさせて下さい」
 好奇心の塊な猫達が揃って覗き込む先、餌を入れた箱から白い金平糖を取り出す。
 身の回りのものを白で統一するからか、最も親しみを覺える色を選んだ訳だが、先ずは試しにと釣り針を潜らせたミケーレは、メグルに教わった通りロッドを耳の後ろまで振りかぶると、手首を返すように輕く振り拔いた。
「よっ、と」
 力まずに投げた方が飛距離が伸びると聽いたが、どうやら釣りはリラックスが大事なよう。
 焦り過ぎるのも良くないと一呼吸置いたミケーレは、気長にアタリを待ち、アワセが決まった瞬間にファイト!
 糸が擦り切れぬよう竿の角度を調節しつつ、冷靜にズリ上げて……――魚をゲット!! 猫大喜び!!
「……動きからして魚でしたが、やはり魚でしたか」
『ニャンッ』
「感覺は摑めました。次も頑張りましょう」
 蓋しトライ&エラーを厭う性格では無い。
 他の色の餌も試してみるなど、回数を重ねる事で確率を感じていこうと五感を研ぎ澄ませたミケーレは、何度か魚を釣って猫達を滿足させた後、これまでと明らかに違う指先の感覺に期待を膨らませた。
「手應えを感じつつも、スルッと海面に上がってくる感じ……これは、間違いありません」
 波間から顏を覗かせた瞬間に確信する。アイテムだ。
 可愛らしい硝子の小瓶に結わえられたリボンに「SHIGOTO・HAYA-I」と書かれてあるのを見た少年は、ホッと安堵の息をついて間もなく――猫がムシャムシャと魚にありつく中を潜り、急いで街に向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファフィール・パラメタライズ
なるほど、加速アイテムを確保するのね。システムをちょっといじれば出てきそうだけど…いえ、それは最終手段よ。そもそも私そんなのできないもの、そうでしょ?

釣るんだったら人手がいるわね?
よしっ、UCでお友達を呼びましょう。配下じゃないわ、お友達ですー!

各お友達に数種類ずつ餌を渡して何が釣れたか記録して貰って……データが取れたらその餌を配布してお目当てのアイテムをゲットよ

あとこの子達はお城とかそういうの作るの得意な子だからメグルさんのお役に立てるかもしれないわね。後で手伝ってもらいましょう

さて、後はお目当てじゃない道具どうしようかしら…にゃんこさーん…(釣れた魚で猫を釣ろうと



 決してこの島を管轄している訳では無いが、設定周りについては良く理解る。
 街の発展度と島民の数が比例しているので、建築を加速させるアイテムがあれば早く復興できると納得を得たファフィール・パラメタライズ(自称ノンプレイヤーキャラクターの黒聖女・f42007)は、ここで|不圖《ふと》、管理者ならではの思考が過った。
「システムをちょっといじれば出てきそうだけど……いえ、それは最終手段よ」
 金平糖型の餌をプニプニしつつ、フルフルと|頭《かぶり》を振る。
 抑も、とあるダンジョン攻略を手伝う一介のNPCにそんなチートは出來ないと塊麗の微笑を浮かべたゲームマスター、いや|魔王《ボス》、いやサポートヒーラーは、棧橋付近に用意された釣り竿を持って海辺を歩く。
「釣るんだったら人手がいるわね? ――よしっ、それじゃお友達を呼びましょう」
 効率を上げる第一手は人海戰術!
 杖の頂を飾るハート型の宝石にたっぷり魔力を注いだファフィールは、くるり繊躯を躍らせながら魔法陣を描くと、烈々と燃え上がる炎の中から百を超す配下モンスターを……、
「配下じゃないわ、お友達ですー!」
 ――こほん。
 ようくお話を聞いてくれる仲良しなお友達を喚び、(決して命令とかでなく)釣りをして貰う事にした。
「餌の色別に並んで、何が釣れたか記録してくれる? データが取れたら、加速アイテムのヒット率が高い餌を使って、皆でお目当てのアイテムをゲットよ!」
 云えばお友達は渚にずららららっと並び、一斉に釣りを始める。
 ファフィールが一本の竿で釣る115倍の効率でデータが集まれば、「この|釣り場《ポイント》ではピンク!」と確率を彈き出した彼女は、皆々にピンク色の金平糖を渡して狙い撃ち! つおい!!
 而して続々と釣り上がる作業促進剤に滿足げな麗笑を浮かべた佳人は、運搬係を分けるがてら更に閃き、
「この子達はお城とかそういうの作るの得意な子だから、メグルさんのお役に立てるかもしれないわね。街に行ったら建築も手伝って貰いましょう」
 思考が配下を上手いこと動かす主人そのものだが、今は云うまい。
 とまれ優れた采配によって目的の品を大量入手したファフィールは、その一方でデータを取る爲に釣り上げたアイテム群を眺めると、そのうち魚を大々的にお披露目してみた。
「……にゃんこさーん……こちら獲れたての大物ですよ~?」
『――ニャァァァアアッ!!』
 而してこれほど立派な御馳走に喰いつかぬ猫は居るまい。
 釣れた魚で猫まで釣り上げたファフィールは、その見事なかかりっぷりを|恍然《うっとり》と愛でるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノネ・ェメ
クレさん(f14474)と猫釣り〜
 
 
 
加速→作業速度を自在に、瞬時に全開に出来る的な、技術的な精度
 
と仮定すると。
時速ならぬ自速じたぃを上げるよーな、
純粋な速度UP的アイテム等と併用したりする方が望ましーよーな。
 
速さを連想するカラー。なんだろ。青とか?
わたし自身、自速に自信あるとこもあるし?
わたしっぽぃ青とか白も試してもらおかな?
 
濁ったりしてなければ水の中も多少覗えるかもしれなぃけど、
わたしが耳を澄ました方がもっと全然視れるかも?(UC)
 
相手ゎ見えない上に動くし、実況とかして水中の様子も伝えてみたりなど。
がんばえークレさー。(ん、まで聞こえないこの気の抜け様。観戦どころか、視聴気分?)


暁・紅華
ノネちゃん(o・f15208)と。

桟橋付近に行って釣ろうか。
ノネちゃん、猫は釣らねぇぞ猫は、まぁ詰まる所目的は猫なんだが。

血液パックでさっと補給。
いちにのサンセットでシェードを出して日陰を作ったら釣り開始だ。

釣り餌は、赤色を使ってみるか。
素材も大事だが、魚も狙いたいところだな。

UCで、俺の血液を混ぜて不純物だけ取り除く。
水質が綺麗になれば、魚も寄って来るだろうし、復興の貢献にもなる。
血液に触れたアイテムを近くに寄せておけば、目当てのアイテムも視えやすいし釣りやすいだろ。

魚が釣れたら集まって来た猫をもふもふしてぇな。



 真蒼な潮流が濱辺に打ち上がり、白沫と砕ける――濤聲。
 ザザ……と砂地を轉がる海の音色を|捺擦《なぞ》るように渚を歩いていたノネ・ェメ(o・f15208)は、花唇より零れる佳聲を潮風に運ばせた。
「お次は、クレさんと~、猫釣り〜」
「ノネちゃん、猫は釣らねぇぞ猫は」
 まぁ|強《あなが》ち間違ってもないんだが――なんて。
 爽涼の風に攫われる科白を拾ったのは、|背後《あと》に続く暁・紅華(†・f14474)。
 街といい此の濱辺といい、すっかり人の気配を失った島を再生すべく「|釣漁《つり》」をするのだと肩に担ぐロッドを搖すった彼は、緋色のサングラス越しに周囲を見渡すと、つと目に留まった方向に繊指を結んだ。
「棧橋付近に行ってみるか」
「はーぃ」
 随分のんびりした返事だが、ノネだってちゃあんと考えている。ちゃあんとね。
 此たび二人が海より釣り上げるは「加速アイテム」で、この「加速」というのが作業速度を自在に、瞬時に全開に出来る的な「技術的な精度」と仮定すると、より親和性のある餌の色が判明ってくる。
「然う、それは時速ならぬ自速じたぃを上げるよーな……純粋な速度UP的アイテム等と併用したりする方が望ましーよーな」
「ノネちゃん、すみっこ歩くと危ないぜ」
「速さを連想するカラー。なんだろ。……この、見上げるお空のよーに澄み切った青とか?」
 棧橋の縁を歩きながら思考に耽るギリギリガールを背後から見守る紅華は、片手で血液パックをギュッと絞って10秒チャージ。サッと補給を済ませた後、こちらも手早くシェードを立てて日陰を作る。
「いち、にの、サンセット――で、こちらにどうぞ」
「わ、これ、くるしゅーないってやつ……お邪魔します」
「ん、苦しゅうない」
 他愛ない会話を交わしつつ、餌の容器を開けて色を選ぶ。
 先程からノネが考察していた通り、餌は色によって釣れるアイテムの確率が異なるようだが――。
「わたし自身、自速に自信あるとこもあるし? わたしっぽぃ青とか白を試そかな?」
「俺は……赤色を使ってみるか。素材も大事だが、ここは魚も狙いたい」
「ね」
「うん」
 仲良し兄妹みたいな相槌を挟みつつ、お互いに摘んだ金平糖をプニッと合わせる。たぶん験担ぎ。
 ただ本來の釣りが然うであるように、全く運任せではボウズになると海面を覗き込んだ紅華は、ここに我が紅血を滴らせて不純物を取り除いた。
「水質が綺麗になれば、魚も寄って來るだろうし、復興の貢献にもなる」
「ぁ、さっき血液を補給していたのは、この爲……?」
「これなら目当てのアイテムも視えやすいし、釣りやすいだろ」
 ノネがグッと水際に近付く中、「気をつけな?」と言を置きながら釣り糸を垂らす紅華。
 釣り針に潜らせた赤色の金平糖がゆっくり|海底《みなぞこ》に沈んでいくのを見たノネは、長い睫を閉じ合せるや耳を澄ました。
「── |óʊp(ə)n híɚ《オープン・ヒア》 ── わたしが耳を澄ました方が、もっと全然視られるかも?」
 360°の全方位を目で見る以上に顕かにするは〝音聴〟――。
 波が棧橋の支持杭を打つ音や水平継ぎを跨ぐ音、そして魚が波間を滑る音や|泡《あぶく》を出す音まで聽き分けたノネは、釣り糸の垂れた付近の樣子を細かに“実況”して紅華をアシストする。
「ぁ、小瓶が底を転がってる音が……これは、硝子……?」
「もっと左か? てか魚は?」
「がんばえークレさー」
「ん、が搔き消えるほどの気の拔けよう!」
 ノネの佳聲に從ってロッドを動かす紅華と、その奮鬪を觀戰どころか視聽気分で見守るノネ。
 少々ちぐはぐした二人ではあるが、この微笑ましい遣り取りにこそ好感を抱いた幸運の女神は、二人が望むものを――大きな魚を海面から跳ね上げ、一先ずの成功を授けた。
「加速アイテム……ではなく、魚か」
「ぉさかな、ですね」
「という事は?」

『ニャァァァアアン!!!』

 ――猫釣り、大・成・功!!!
 釣り糸を引き上げるやピチピチと躍り狂う魚には、棧橋を猛ダッシュで走り來た猫が喰らいつき、ブラブラと連結するアクリルキーホルダーみたいな光景が出來上がる。漫画かな?
 凄まじい食欲の塊を見た紅華は、「どうどう」と宥めながら魚を釣り針から外すと、そのまま猫に御馳走を差し出す代わり、撫でさせて貰う事にした。
「っし、もふもふが釣れた。これで次も頑張れる」
「こちらの補給も十分、と」
 もふもふ。もふもふ。
 斯くして「やるきエネルギー」を充電した二人は、鋭く研ぎ澄ませた視覺と聽覺を以て遂に作業促進剤を釣り上げ、街の再建に励むメグルの元へ向かう。
 その堂々たる足跡には、「もっと頂戴!」とばかり味をしめた猫達がトテトテと可愛らしい足音を連ねるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エリシャ・パルティエル
ユディト(f05453)と

メグル、任せて!
アイテム、たくさんゲットしてくるわ!

「シゴトハヤーイ」に「ホンキダース」…
これ、ゲームの世界以外でも欲しいわね!
何言ってるのよ
コスパもだけどタイパも大切なのよ

釣りはユディトの方が得意だったわね
UCで行動を強化しつつ
あたしもやってみるわ
まず、メグルにもらった金平糖を色別に分けて
同じ色ばっかり試して何が釣れやすいか調べるわ

これはお魚が多め?
うふふ、長靴なんかも釣れるのね
あら、猫ちゃんいらっしゃい

分析が済んだらあたしは猫ちゃんとも遊びつつ…
ふふ、お魚欲しいの?
いいわよ~
釣りはユディトに任せつつ
あたしはアイテムを仕分けたり猫ちゃんをマッサージしたりするわね!


ユディト・イェシュア
エリシャさん(f03249)と

無事猫さんたちとスライムの分離が出来て良かったです
次は復興のためのアイテム集めですね

さすがゲームの世界だとこんな便利なものがあるんですね
エリシャさん便利アイテムに熱視線ですか…
そうですね
ここも早く復興させましょう

はい、釣りは何度かやったことがありますので
確率を確かめるんですね
ではそれがわかれば俺は作業促進系を中心に狙いましょう
金平糖が足りなそうならUCで似たようなのを作っても大丈夫でしょうか
このメダルは何でしょう?
集めるといいことある系?
大切にとっておきましょう

エリシャさんは猫さんと遊んで…
この島の復興は猫さんにもかかっていますから
ある意味接待なのかもしれませんね



 猫は居住エリアへ、スライムは冒険エリアへ。
 元通りに分離した兩者が其々に活躍できる場所に戻りゆくのを見届けたユディト・イェシュア(暁天の月・f05453)は、ふう、と零れる安堵の息を潮風に運ばせた。
「お互い無事に棲み分けが出來て良かったです。――扨て、次は復興の爲のアイテム集めですね」
「手伝ってくれるの!? やたっ、ありがとー!!」
「勿論よ、メグル! 私達が加速アイテムをたくさんゲットしてくるわ!」
 任せて! と溌剌としたウインクを返すはエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)。
 この『キャッ島』に縁を結んだ者同士、がんばろ!(ぐっ)と意気投合した後は、メグルは街へ建築に、義姉弟は海へ釣りに出掛ける。まるで昔話のお爺さんとお婆さんみたいな展開だが、分業は効率化の第一歩。
 そして第二歩となるのが、この加速アイテムの調達なのだと棧橋に向かった二人は、メグルから餌と一緒に貰ったメモを手掛かりに|釣漁《つり》の準備を始めた。
「えぇと、『シゴトハヤーイ』は硝子の小瓶のカタチをしていて、『ホンキダース』は箱型で12本入り……」
「流石と云いますか、ゲームの世界だとこんな便利なものがあるんですね」
「……これ、ゲームの世界以外でも欲しいわね!」
 二人、メモに書かれた絵を見ながらアイテムの形状を確認する。
 其々の効能を読む裡、エリシャの|黃金《きん》の瞳が星々を集めたように煌くのを見たユディトは、その素直な|赫耀《かがやき》が眩しいとばかり目を緩めて云った。
「エリシャさん、便利アイテムに熱視線ですか……」
「何言ってるのよ。コスパもだけどタイパも大切なのよ」
「それは慥かに。便利アイテムを使って、|島《ここ》も早く復興させましょう」
 早速、メグルに貰った餌を容器の中で色別に分け始める義姉に、義弟が首肯をひとつ。
 周辺一帯をキャンプ地とすれば、ワンダーフォーゲルの一環として成功率も高まるかと行動を強化したエリシャは、而して幾許か思案すると、長い方のロッドをユディトに渡す事にした。
「釣りはユディトの方が得意だったわね」
「はい、何度かやった事がありますので」
「経験も上背もあるユディトなら、より遠方の広い範囲が狙えるとして……問題は確率よね」
「今、色別に分けて頂いた訳ですけれども。順に試して、何が釣れやすいか調べていきましょう」
 そう言う間にユディトは長い腕を活かしてヒュッ。
 心地よいキャスト音を掠めて飛距離を伸ばし、広大な海の惠みを探りに掛かる。
 なるほど経験者の手並みだと感嘆を置いたエリシャは、己は棧橋付近の波が小さい場所を狙おうと、こちらも釣りに精を出した。

「! 釣れました。……この小瓶、矢張り『シゴトハヤーイ』ですね」
「あたしも釣れたけど……うふふ、誰かさんの長靴! こんなも釣れるのね」

 それからヒットが出たのは数分後。
 ユディトがめでたく作業促進剤を釣り上げる傍ら、同じく竿を引き上げたエリシャの釣り針にはゴム長。
 重たいっと笑聲を零す義姉を手伝って棧橋に寄せたなら、たっぷりと海水を含んだ長靴の中から更に魚が出てきて、これまたエリシャを笑わせる。どうも魚の持ち家だった樣だ。
「面白いものが釣れましたね。……それで次に掛かったこれは何でしょう? メダル?」
「あら、それは集めるといいことある系のアイテムよ」
「集……?? ともあれ、大切にとっておきましょう」
 ティローン♪ と効果音まで釣れる不思議も味わいつつ。
 二投目、三投目……と、釣れては記録を取って確率を割り出した二人は、この|釣り場《ポイント》では「緑色がイイ感じ」と読み取ると、いざ勝負に掛かった。
「俺はこれから作業促進系を狙っていきます。この緑色の金平糖を“複製”しても大丈夫でしょうか」
「此処はお魚が多めだから、確率を上げるのは有効……――あら、猫ちゃんいらっしゃい」
 ユディトが疑似餌の量産に掛かろうとした時、棧橋に駆け寄ってきたのは猫、猫、猫。
 餌とアイテムの相性を探る裡に釣り上げた魚を目當てにやって來たようだが、この賢さに瞳を細めたエリシャが繊手をヒラヒラ。おいでおいでと手招きした。
「ふふ、お魚欲しいの? いいわよ~」
『ナァン』
「お腹いっぱいになったら遊びましょうね~」
 猫だから猫かわいがりするのは當然か。よく來てくれたと佳聲を柔かくした佳人は、釣りは腕の立つ義弟に任せ、アイテムを仕分けるがてら魚を差し出し、集まってきた尻尾の数だけ遊んであげる事にする。
「この脇のところ。マッサージしてあげる」
『ンナァァアアア……』
「エリシャさん、気付けば猫さんが大漁ですね」
 御馳走、遊び、マッサージと、フルコースを浴びた猫達はすっかりヘソ天。
 打ち解けるのが早いと喫驚の|表情《いろ》を兆したユディトは、若しか目の前の光景こそ嘗て島でよく見られた冒険者と猫の交流かもしれぬと微笑して、
「この島の復興は猫さんにもかかっていますから、ある意味接待なのかもしれませんね」
 彼等がこんな風に懷いてくれれば、冒険者の足も戻るだろう――と。
 まるで未來を見るかのように、蘇芳色の虹彩は光を湛えて輝くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シビラ・レーヴェンス
露(f19223)
求められたアイテムはともかくのんびりしたいものだ。
釣りは最適だろ…ん?渡された金平糖の理由は何だ?
「…そうか。これが餌になるのか…」

金平糖が餌と言われたが…電脳世界はこうなのか?
よくわからないが海面に糸を垂らして釣りをしよう。
中々釣れないもののようだから気長にいこうと思う。
暫く経過すると私の元へ猫達が寄ってきて居座るな。
…。
私の膝へのっかってくる子や隣でのんびりする子。
じっと見つめてくる子と各々気ままに過ごしている。
露はというと反対側でくっついて来てうっとおしい。
そんな露の膝や周囲にも猫達は居るのだがな。

「これは君たちの餌ではないよ。悪戯はしないでくれ」
『魚はやる』と言えば通じたのか大人しくなってくれた。
露よりも落ち着きがあるのかもしれないな。猫達の方が。
「…君も大人しく釣りをしていてくれ。うっとおしい…」


神坂・露
レーちゃん(f14377)
今度は釣りをするのね?楽しみだわ楽しみだわ♪
餌が金平糖ってところも斬新で素敵よねー!
「どんなのが釣れるのかしら…ね♪ レーちゃん」

レーちゃんの隣で吊してると猫さん達が寄ってきて…。
わ♪わ♪猫さん達やっぱりレーちゃんが好きみたいね♪
可愛いから釣りのことを少し忘れてうきうき観察するわ。
わー♪膝に乗ってる子気持ちよさそうだわ~。いいなー。
わわ♪隣に座って大きな欠伸してる猫さんいるわ~♪
レーちゃんにくっついてると落ち着くのが解るのかしら?
うふふ♪とっても可愛いわ~♪ね!レーちゃん♪

あたしやレーちゃんの竿が小さく跳ねると猫さんが反応して。
お魚さんが欲しいのかしら?これも可愛いわね♪ふふふ~♪
「ちょっと待っていてね。すぐお魚さん釣るから♪」
「えー! くっついて釣ると釣果が抜群なのよ~♪」



 濱辺に打ち寄せる濤聲も、崩れて白沫と轉がる音色も、海の呼吸と思えば煩わしくない。
 都会の諠譟より餘程良いと、美し白銀の髮を潮風に晒して歩いたシビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)は、棧橋に立てかけられた釣り竿を手に呼び掛ける友人に烱瞳を結んだ。
「二本あったわよー♪ これで釣りをしましょ♪」
「……あぁ、のんびり過ごすに釣りは最適だろう」
「うふふ、樂しみだわ♪ 樂しみだわ♪」
 視線の先、ワクワクを隱さず|雀躍《こおどり》するは、神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)。
 同じくキャッ島を訪れたメグルより「加速アイテム」を釣るよう求められた二人は、島の玄関口である棧橋を|釣り場《ポイント》に決めたのだが、一足先に街へ行くという彼女から渡されたのが、この小箱。
「中には色取り取りの金平糖が入っているが……どういう事だ?」
「これが餌になるみたい。カタチが斬新で素敵よねー!」
「……そうか。これを釣り針に通すのか……」
 釣りの餌と云えば、釣る場所や狙う魚によって選ぶ必要があるが、そのような手間は要らぬよう。
 餌を調達するにも時間が掛かるものだから、有難い話ではあるのだが……想像していたモノとは随分違うと、シビラが長い睫をぱちぱち|瞬《しばた》く。
「……[GOD.GAME//ONLINE]はこうなのか? よくわからないが、電腦世界にもローカルルールがあるのなら、私は從おう」
「どんなのが釣れるのかしら……ね♪ レーちゃん」
 金平糖と云いつつ、突起までプニプニと柔らかい餌を針にくぐらせる。むにっ。
 なにやら色によって釣れるアイテムの確率が變わるらしいので、取り敢えずは気長にアタリを待ってみようと糸を垂らした二人は、悠久の時を過ごす間もなく“別なるヒット”を得た。

「……海の中はそうでも無いが、陸の上には集まってきたな……」
「わ♪ わ♪ 猫さん達、やっぱりレーちゃんが好きみたいね♪」

『ニャァン』
 沖から吹く潮風に馨気を嗅ぎ取ったか、棧橋をトテトテと歩いてきた猫が一匹、二匹……たくさん!
 小さな鼻をスンスンと動かしてシビラに近付いた猫達は、まるで其が自然の流れであるかのように彼女の隣で香箱座りになったり、膝へのっかったり。これがデフォルトであるとばかり居座り、まろやかな表情で眠り出す。
 中にはごろんっと腹を見せて寝転がる猫も居て、その自由で気儘な仕草に露は首ったけだ。
「わー♪ お膝に乗ってる子、気持ちよさそうだわ~。いいなー」
「露、君の感想も交じっているようだが、釣りはどうしたんだ」
 餘りにリラックスした猫達の樣子にウキウキ、釣り竿から少し離れて觀察し始める露。
 猫は好奇心の塊と云うが、露も興の赴く儘に猫の視線まで身を屈めると、そのふわふわの毛並みを撫でた。
「わわ♪ 猫さんったら大きな欠伸して……レーちゃんにくっついてると落ち着くのが解るのかしら?」
「……。…………|木天蓼《マタタビ》を焚き染めたつもりは無いんだが」
「うふふ♪ とっても可愛いわ~♪ ね! レーちゃん♪」
「露までくっついてくると、手元が搖れる……」
 畢竟、くっついて落ち着くのは猫だけで無し。
 シビラが|瞥《チラ》と視線を眼眦へ流せば、露は猫が集まる反対側にピッタリとくっついており、こちらも幸せそうに玉瞳を緩めている。猫に較べれば質量があるものだから、寄り掛かられれば|相應《それなり》に重いのだが、振り解こうとはしないのが|麗人《シビラ》の優しさ。
 而して甘えん坊の露は猫と一緒にシビラにすりすり、
「猫さん達もレーちゃんの魅力や優しさに気付いているのね♪ 気付いているのよ♪」
「そう云う露の膝元や周囲にも猫達は居るのだがな」
「あら? 猫だまりになってて素敵だわ~♪」
 ――なんて。これでは猫を釣りに來たよう。
 肝心の作業促進剤はどうしたと、二投目に移ったシビラが餌箱に手を伸ばしてみれば、その動きが気になった猫達が同じく容器に手を突っ込もうとする。その勢いで箱がガタつく。
「これは君たちの餌ではないよ。悪戯はしないでくれ」
『ニャーン?』
「魚が釣れれば渡すから、今は大人しくしていて欲しい」
「そうそう、ちょっと待っていてね。すぐお魚さん釣るから♪」
『ニャゴニャゴ』
 流石と云うべきか、人慣れした猫達は聲色や語調で理解るらしい。
 御馳走に与れるならと手を引っ込める猫達に「おりこうさんね♪」と咲んだ露は、気合を入れて三投目!
 シビラにぎゅっと密着した状態で糸を垂らし、仲良く二本の釣り竿を並べた。
「……手元が狭められるし、うっとおしい……」
「えー! くっついて釣ると釣果が抜群なのよ~?」
「やれやれ、露より猫達の方が落ち着きがあるのかもしれないな……君も大人しく釣りをしていてくれ」
「勿論、釣りは頑張っ……――ほら、掛かったわ!」
 もう少し穩やかに釣りをしたいと、シビラが翠眉を顰めた時だった。
 露の釣り竿が小さく搖れ始め、間もなく海面にパチャパチャと飛沫が跳ねれば、獲物が掛かった音に猫達は三角の耳をピクッ。全員が一斉に棧橋の縁を覗き込み、間もなく釣り上げられる魚をお迎えする。
「――約束したものが釣れたか」
「あらあら、お魚さんが欲しいのね? 釘付けになるお目々も可愛いわね♪ ふふふ~♪」
 海面から現れた御馳走に猫は大喜び! 露も大喜び!
 パァァアア……ッと喜色を揃える皆々を見渡したシビラは、これで約束は果せたと吐息を置くと、扨て次こそ「加速アイテム」をと、もう少し釣りを愉しむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『街のレストラン!』

POW   :    がっつり肉料理でPOWアップ!

SPD   :    ヘルシーな野菜でSPDアップ!

WIZ   :    甘~いお菓子でWISアップ!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「皆、本当にありがとう! お陰で街がぎゅんぎゅん再生して……この通りだよ!!」
 猟兵が釣り上げた「シゴトハヤーイ」が、メグルの資材調達を超スピードアップさせた。
 次いで取り掛かった復興作業は、「ホンキダース」によって経過時間をグンと短縮させた。
 結果はこの通りだと、元通りになった街並みと人々の賑わいを兩手に示したメグルは、嬉しそうに御礼を云うと、今度はお腹をさすって云った。
「……それでね、いっぱい頑張ったからお腹空かない? お店で何か食べていこうよ!」
 實はもうハラペコなのだと、恥ずかしそうに指に示すは街のレストラン。
 すっかり機能を取り戻した店では、体力を回復させるメニューや、これから冒険フィールドに出掛ける者の爲に樣々なバフ効果を得られるメニューも揃っており、その全てを美味しく頂ける。
 ファミリーなレストランくらい品数は豊富だと垂涎したメグルは、つと猟兵のアイテムポケットに先の釣りで得た魚を発見すると、パッと花を咲かせたように云った。
「わ、お魚も釣ってきたんだね! お店に持ち込めば換金できるし、パワーアップメニューとしても注文できるよ!」
 然う、この魚も立派なアイテム。
 猫に渡せば親密度は上がるし、店のマスターに提供すればレストランがレベルアップする。
 フィールドでは手ずから調理して食べる事も出來るが、お店に持ち込めばバフ効果を掛け合わせたスーパーなメニューにもなるのだ。
「皆がゲットしたアイテムだから、お魚は自由に使って貰うとして……今は食べにいこ!! ね!!」
 猫の島らしく、殆どの料理に三角の耳が添えられている猫寄りのメニューなのだ、と――。
 空腹のメグルが強めに誘うが、釣りに勤しんだ猟兵とてお腹と背中がぺったんこ。
 折角訪れたのだから、土地の味を堪能するのも良いと首肯を置いた一同は、侘しい廃屋から輝かしく復活したレストランへ、足取りも輕やかに向かうのだった。
カグヤ・アルトニウス
○猫の島

もう少し手間取るかと思いましたけど、案外早く出来ましたね
ただ、少し…薬の副作用が心配ですけど

(行動)
ひとまず、前回の戦利品は全部新鮮な内に海の様子と共に提供します
後は、観光を兼ねて島を一通り見て回ってから今後の細かい所の追加改修や島中にいる猫の扱い等を相談したいですね
あと、個人的にはここを「魚の美味しい島」としても広めてみるのはいいとは思うのですけど…まあ、これからですね

因みに、私はここでの食事には手を出しません
何せ、このアバターは対バグ仕様の急造品なので違和感なく動かせる様になるにはもう少し掛かりそうですからね



「ひぇえ、これだけの魚を一本釣りだなんて……おたく、どんな腕しているんだい!?」
「腕と云うより情報でしょうか。丁度良い潮目があって、好漁場になっていました」
「それを読むのが大変なんよ……? とにかく、本当に貰っていいのかい?」
「どうぞ使って下さい。今がご入用でしょう」
 或るレストランの裏手に回り、獲れたての魚を提供する。
 島が急速に再生した影響で、どっと押し寄せた冒険者達がクエスト受注後に挙ってバフ効果を得んと集まっていると、表通りの行列に目を遣ったカグヤ・アルトニウス(とある辺境の|私掠宇宙海賊《プライベーティア》・f04065)が苦笑を零す。
「暫くは忙しそうですね」
「ははは、お陰樣で繁盛しそうだよ。ありがとうな!」
「こちらこそ、これだけの活気を見られて良かったです」
 もう少し手間取るかと思ったが、思いのほか『キャッ島』の復興は早かった。
 促進剤の副作用と云うべきか、スタートダッシュのような忙しさで賑わう街を見渡した彼は、觀光を兼ねて島の樣子を一通り見て回りたいと、このまま裏通りを行かんとする。
「おや、食べていかないのかい?」
「遠慮しておきます。折角の料理を味わうなら、もっと調節してからでないと」
「?」
 店の給仕は首を傾げるが、今のカグヤは|即席《インスタント》のアバター。
 対バグプロトコル用に振り切った急造仕樣にて、他の活動に於いても違和感なく動かせるようになるには、もう少し掛かりそうだと食事を辞退した彼は、給仕から感謝の言葉のみ受け取って散策に出る。
 今後に必要となる細かい所の追加改修や、島中にいる猫の樣子などを知っておきたいからだ。
「気になった箇所は|組合員《ギルドスタッフ》に相談すれば、クエストとして発行してくれるでしょうか……」
「ニャンニャン」
「……あと、個人的にはここを『魚の美味しい島』として広めてみるのも良いとは思いますが……まあ、これからですね」
「ニャゴニャゴ」
 こうして見て回るだけでも、いつの間にか跫音に連なる程には数の多い猫。
 今後は彼等が看板役として活躍してくれるかと、チラと足元を見遣ったなら、猫達は己に残る魚の匂いを察して分け前を催促している樣子。
「……何も持ってませんたら」
 而して身の潔白を示すようアイテム欄を表示して見せるカグヤ。
 本当かな、と訝しむ猫達と暫し見つめ合った彼は、これほど賢いなら逞しく暮らしていけそうだと、吃々と|咲《わら》うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミノア・ラビリンスドラゴン
無事に復興できたようでなにより!!
では憂いもなくなったことですし、お待ちかねのレストランですわ~!!!

やはりこういうのはその土地の特色を活かしたものを食べたいですわね!
データ上のステータス効果が同じでも気分が上がるというものですわ~!!!
というワケではいドーン!!
先に釣り上げたカツオ!!! 血抜きなどの下処理は先にメイドにさせておきましてよ!!
これでいい感じの料理をお願いいたしますわ~!!

ビタミン豊富なカツオはリアルだと疲労回復に効果あり!
ゲーム内だと……きっとスタミナ回復速度アップとか付きそうですわね!!
メイドも呼んで新鮮な魚料理に舌鼓ですわ~!!!



 寂しげに鳴いていた風が人聲に變わった。
 猫の数には及ばないが、島民NPCや冒険者達も戻ってきた。
 これが『キャッ島』の本來の姿なのだと、堂々たる仁王立ちで街の賑わいを浴びたミノア・ラビリンスドラゴン(ポンコツ素寒貧ドラゴン令嬢・f41838)が、ピカッと笑顏を輝かせる。眩しっ!
「無事に復興できたようでなによりですわ~!!」
 これで憂いは無くなったと、聲高に大通りを歩き始めた令嬢はずんずんずん!!
 進路は眞直ぐド正面、竈と思しき白煙を立ち昇らせるレストランへ、ふわふわと溢れるお花のエフェクトを纏って入っていった。

「ごめんあそばせ!!!」
 ご機嫌な挨拶と共に強インパクトを与えたのが、先に釣り上げたカツオ!! はいドーン!!!
 喜色に滿ちた麗人の背後、ずららららっと整列した149名(ふえた)の【迷宮メイド】が御輿に乗せて運び込む巨魚に度肝を拔かれる中、ミノアはコックに注文を入れる。
「血拔きなどの下処理は、先にメイドにさせておきましてよ!!」
「い、色々と凄い」
「これでいい感じの料理をお願いいたしますわ~!!」
 めでたく島が再生したのだ。
 折角なら料理は土地の味を、風土や特色を活かしたものを味わいたいと、獲れたての地魚を持ち込んだミノアは、その|画《え》のデカさに圧倒されているコック達に咲み掛ける。
「ざっと150人前!! お頼みしましてよ~!!」
「お、おぉぉおー!」
 これは一大商機。店の看板メニューを作りたいと考えていた彼等は、ミノアの勢いに觸発されたか、腕捲りしてカツオに向き合うのだった。

 そうしてミノアが大人しく着席して幾許。
 御輿で厨房に入っていったカツオが、銀製の蓋皿に運ばれて帰ってくれば、パカッと開けられる中から極上の香味が広がった。
「しょうが煮、漬け丼! かおり揚げにステーキ!! マリネや刺し盛りも豪華ですこと!!!」
 慥かに立派なカツオを釣り上げたが、その變身は見事と云うしか無い。
 焼いて良し、和えて良し、万能食材なカツオはビタミンが豊富で、リアルでは疲労回復に効果があると云われるが、ゲーム世界ではスタミナ回復速度アップ!! やっぱり元気にしてくれる。
「気になるお味は……美味しゅうございますわ~!!! これは上昇しますわ~!!!」
 データ上では他の店で提供される料理と効果は同じでも、気分が上がるというもの。
 次々と登場する猫耳つき料理に咲んだ竜の御令嬢は、メイド達と共に舌鼓を打ち、至福の時を過ごすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カトリーナ・ローデンブルク
街を復興できてようやく一息つけますね。お魚をお店に渡せば料理をいただけるそうですし、何か作っていただきましょうか。

窓際のちょうど眺めが良さそうな席に座り私はシーフードグラタンを、猫さん達のお礼用として焼き魚も注文します。
猫型の器で可愛らしいですね。味もとても美味しいです。

焼き魚が来たら猫さん達を呼び、机の上で食べていただきましょう。
猫さん達が活躍してくれたからこそ解決できた場面もありますし、労いつつ頭や顎の下を撫でさせていただきます。
「今後ともギルドと街の皆さんをよろしくお願いしますね」



 南國風の街並みが輝く中、島民が慌しく動き、冒険者が溢れ。
 間もなくしてギルド前の掲示板に続々とクエストが張り出されるのを見たカトリーナ・ローデンブルク(神殿遺跡都市 冒険者ギルド職員・f42116)は、|靑天《チェレステ》の佳瞳を細めると、賑やかな街の空気を胸いっぱい吸い込んだ。
「――これで漸く一息つけますね」
 噫、この感覺。なんて|心快《こころよ》い。
 雜多な聲、雜多な色彩に溢れる道を笑顏で歩き始めた佳人は、小高い丘の上にレストランを見つけると、己も島料理を堪能しようと爪先を向けた。
「このお魚で何か作って戴きましょう」
 先の釣りでは、幸運に惠まれて良質な魚を得た。
 是非に買い取らせて欲しいと云うコックと交渉したカトリーナは、御代の代わりに見晴らしのよい席を所望すると、爽やかな潮風の吹き拔けるテラス席に案内され、そこで料理を待つ事になった。

「本當、いい食材を獲ってきてくれたよ。さぁ出来立てをどうぞ」
「わ……なんて佳い馨り……」
 街の景色を眺めていた麗人を振り向かせたのは、ふわっと香味を広げたシーフードグラタン。
 猫耳のついた小皿が仲良く並んでおり、海老と帆立、鮭とほうれん草と、二つの味が樂しめるようになっている。見た目は勿論、キャッ島ならではの器に、思わず艶笑が零れる。
「猫型の器で可愛らしいですね。……そして、お味も……とても美味しいです」
 店主の腕前も見事だが、自分で釣った海の幸を食べられる倖せといったら!
 頑張った甲斐あったと、舌に広がる美味にふくふく咲んだカトリーナは、|不圖《ふと》、先に仲良くなった猫達が手摺に集まっているのに気付くと、おいでおいでと手招きした。
「お待ちしてましたよ。さぁ、こちらへ」
『ニャー』
「皆さんが活躍してくれたからこそ解決できた場面もありましたし、御一緒しませんか?」
 而して頃合に運ばれるは、猫用に焼き上げた白身魚!!
 先に「猫さんへの御礼用に」と|注文《オーダー》を入れていた彼女は、香ばしい匂いに色めく猫達をテーブルに促すと、存分に食べて欲しいと頬笑む。
「立派な鯛でしょう? 皆さんが良い|釣り場《ポイント》を教えて下さったお陰です」
『ニャンゴニャンゴ』
「骨も取って頂きましたし、美味しく食べられますよ」
 感謝と慰労の気持ちを込め、頭や顎の下をいっぱい撫でる。
 嬉しそうに、そして誇らしげに咽喉を鳴らす猫達を見たカトリーナは、莞爾と咲みつつ、
「今後ともギルドと街の皆さんを宜しくお願いしますね」
 と、頼もしい看板役達に未來を託すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ノネ・ェメ
クレさん(f14474)と



RPGって、推理モノに通ずる所もあるんじゃなぃかな、って。
通りすがりの人々に話しかけて必要な情報を得たり、とか。

レストランの方々にこの辺りの猫たちの食の好みを伺いつつ、
自分たちの猫耳メニューも忘れる事なく。
加ぇて、猫用メニューもオーダー。

みんなってったら、猫たちも含めたみんな。
猫たちがここの主役、まであるのだし?
みんなで一緒にパーティを。

てゆか、クレさん料理したりするんだ。
今度わたしにもまかなっていただぃて〜、 なんて。

ぉゃ。珍し。
な〜に〜ふよふよ〜、何かを食べたり飲んだりするとことか、いまだに見た事なぃんですけど〜?
興味だけゎあるのかな。
↑何をするでもない感じでOK


暁・紅華
ノネちゃん(o・f15208)と。



メニューが豊富すぎて、全部食うってことはできねぇから、情報収集は大切だよな。
そういや、さっきの猫たちにもごちそうしてやれば、もっと仲良くなれんじゃねぇかな。

料理人に話を聞くなら、猫耳メニューのレシピをいくつか教えてもらえねぇかな?
今度、お菓子でも作るときの参考にしてぇからな。

集めた情報から猫耳メニューと猫用メニューをオーダーしたら、みんなでちょっとしたパーティーってのも悪くねぇよな。



 目覺ましく再生した『キャッ島』に住民が戻り、街としての機能が復旧する。
 間もなく掲示板にクエストが貼り出されると、ギルドを中心に多くの冒険者が集まって來るが、斯くして賑わう大通りに爽涼の風が吹き拔ける。
「クレさん、こっち。トントンとかクツクツとか、ぃぃ音が漾ってる」
 心地よい料理の音がするのだと、聡い耳に音色を辿るはノネ・ェメ(o・f15208)。
 蘭麝の髮をふわり搖らして雜踏を擦り拔ける――まるで風のような彼女を赫の麗瞳に映した暁・紅華(†・f14474)は、輕やかな蓮歩の向こう側にレンガ造りのレストランを見ると、そと眼眦を緩めた。
「腹の虫が鳴き叫ぶ前で良かったぜ。――扨て、何を食べようか」
 店の前に來てみると、看板に樣々なメニューが書かれてある。
 攻撃力倍化や命中率上昇、アイテムドロップ率アップなど、多くのメニューがステータスを強化する効果を有しているので、クエストを受注した冒険者が出発前の準備として立ち寄っている|樣子《よう》だが、看板を一通り眺めた二人は、最後に互いを見合って云った。
「メニューが豊富すぎるな。全部食うってことは出來ねぇ」
 折角なら地元の味を|完全制覇《コンプリート》したいが、そうなると腹は破れる。
 腹を縫うなんて|童話《メルヘン》は御免だと、紅華が冗談交じりに肩を竦めてみせれば、うむうむ頷いて同意を示したノネは、暫し思考した末に花唇を開いた。
「……RPGって、推理モノに通ずる所もあるんじゃなぃかな、って」
「調査とか聞き込みとか?」
「そそ。通りすがりの人々に話しかけて、必要な情報を得たり――とか」
「成程、情報収集は大切だよな」
 街が機能を取り戻したなら、今や此処は情報の宝庫。
 薫香に誘われるようにレストランに入店した二人は、オススメのメニューを訊ねる傍ら、島の猫情報についても色々と聽いてみる事にした。

「料理を運ぶクロッシュにまで猫耳がついてるなんて……――ぁ、美味し」
「島の住民に愛されてるのが佳く理解るぜ。……ん、見た目も味も最高だ」
 まあるい輪郭に三角耳のついた猫テーブルに向き合って座り、店主ご自慢の料理を堪能する。
 食事に來た冒険者や、元気のよい給仕に話を聞いて回った二人は、而して得られた情報を元に「肉球型ワッフルプレート」と「猫耳チョコレートパフェ」を注文すると、美味を堪能する傍ら会話を愉しんだ。
「キャッ島の猫さん達がお魚好きなのは、島の皆さんが魚食文化だからだそーで」
「そういや、さっきの猫たちにもごちそうしてやれば、もっと仲良くなれんじゃねぇかな」
 デコ用チョコペンで、手元の猫パンケーキにヒゲを描くノネ。
 お向かいの紅華は、くるんっと巻いた尻尾型スティックをつんつんしながらアイスをぱくり。
 諸有る料理に猫耳が添えられている他、器や食器までも猫型になっている、徹底的な猫推しレストランで主にデザートを味わった二人は、メインはテイクアウトする予定。
 猫の集会場があるとの情報を得たので、皆で一緒に街の復興パーティーをするつもりだ。
「みんなってったら、猫たちも含めたみんな。猫たちがここの主役、まであるのだし?」
「噫、折角なら猫達と一緒にちょっとしたパーティーを開くのも悪くねぇよな」
 そうとなれば……と揃って「ごちそうさまでした」と手を合わせた二人が向かうは、レストランの裏手。
 ちょっと一服をと勝手口で休んでいる料理人に、特別な情報を求める事にした。
「猫耳メニューのレシピをいくつか教えて貰えねぇかな? 今度、お菓子でも作る時の参考にしてぇんだ」
「てゆか、クレさん料理したりするんだ」
「まぁな。意外だった?」
「それなら今度、わたしにもまかなっていただぃて〜、 なんて」
「……餌付け?」
「にゃん」
 流れるような掛け合いをする二人に吃々と笑った料理人は、先に食べてきたというデザートのレシピを伝授してくれる。猫耳は60℃に揃えるのが“KAWAII”のコツなのだそう。
 斯くして多くの情報を得たノネと紅華は、バスケットを手に郊外の広場へ。
 猫の集会に手土産持參で合流し、靑空の下でランチを愉しむ事にした。

「――それでは、キャッ島の再生を祝いまして」
「おめでとうございまーす」
『ニャーン』
『にゃごにゃご』
『ゴロニャン』
「……多いな」
「ふふ、猫だくさん」
 流石は猫の島と云うべきか、人の気配が戻って猶もこれだけの数。
 沢山の猫に圍まれた紅華とノネは、この可愛らしい尻尾達の前途を祝して焼き魚パーティーを開いた。
 人の往來も疎らな広場ではリラックスするのか、猫達が自由気儘に食事を愉しむ中、平和な空間に招かれたものが、またひとつ。メカサンタさんから贈り物が、ふよっと姿を現した。
「ぉゃ。珍し。な〜に〜ふよふよ〜、何かを食べたり飲んだりするとことか、いまだに見た事なぃんですけど〜?」
 聲も音も無く、人語を解するかも分からない。現れるも消えるも気儘なふよふよは、何をする訳でも無く空間を漾って、ノネと紅華の間を、猫と猫の間をふよふよと游いでいる。
「興味だけゎあるのかな」
「いいじゃん。賑やかになって」
 双瞳をぱちくり瞬くノネの隣、紅華は莞爾と双眸を細めて。
 麗らかな昼下がり、「みんな」で過ごす時間はゆっくりとまったりと過ぎるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミケーレ・アンジェリコ
しまった、僕が釣った魚はすぐにねこさん達に渡してしまいましたね。
他の人たちの魚で復興に十分な量が集まって入れば良いのですが。

フラグメントの内容とすこし異なりますが可能なら島の復興の手伝いや帰り支度をしながらねこさん達と戯れたいです。
僕は聖者として島の人やねこさん達にも親切に接しようとしているだけですが、背後霊の視点では猫の親愛度をあげた時に何か起きないか見ていたいようです。



「釣ったお魚をお店に持ってって調理して貰う事も出來るけど、どうしよっか」
「――しまった。僕が釣った魚は、直ぐにねこさん達に渡してしまいました」
 何せ加速アイテムを釣り上げるなり、一目散にメグルの元に持ってきたのだ。
 自分が食事や換金する分は兎も角、レストランがレベルアップするならもっと釣っておくべきだったと頭を搔くミケーレ・アンジェリコ(異端の白聖者・f43592)の前、メグルはふるふると|頭《かぶり》を振って云った。
「でもキミがいの一番にアイテムを持って來てくれたお陰で、アタシはすっごく助かったよ!」
「そう言って頂けると、|奔走《はし》った甲斐があります」
 一人の少女を笑顏にする事は出來たと、安堵の息を置く少年。
 己が利より他の益の爲に尽くさんとする姿勢は、次に發せられる言からも佳く判然って、
「他の人たちの魚で復興に十分な量が集まっていれば良いのですが……」
「キミって眞面目というか、献身的というか……優しいんだね!」
 だからなのかとメグルが下を見れば、ミケーレの足元には先に魚を貰った猫達がニャアニャアと集まっている。
「ほら、猫達には伝わってるみたいだよ」
「離れませんね……それなら、この子達と一緒に少し島を巡って、復興のお手伝いをしに行ってきます」
 再生した島の樣子も見たいし、不足あらば手を貸したい。
 島を引き上げるまでに猫達と出來る限り觸れ合っておきたいと、メグルと手を振り合って別れたミケーレは、賑わいを取り戻した街を猫達と巡りつつ、荷運びやレンガ積みなどを手伝い、時に腹を見せてナデナデを要求する猫のリクエストに應えてやったりもした。
「……日が暮れるまでには島を発たねばなりませんね」
『ニャア?』
「だって、此処に住む訳にもいきませんから」
 己に群がる猫達に、お別れの時間が近付いてきたと告げたのは日没前。
 離れがたいと額を擦り寄せる猫達を心苦しく思ったミケーレは、そっと身を屈めて頭を撫でると、ふと思いついた事を提案する。
「またいつか訪れると約束し、皆さんにお名前を差し上げても?」
『ニャッ』
 其は親密度がMAXになった時だけ猫が認める命名の絆。
 島の猫は家々で飼われている訳では無いので、住民に何となくそう呼ばれるか、とても親しくなった者にのみ名前を貰うのだが、ミケーレも自然とその流れに行き着いた樣子。
 斯くして一匹一匹に可愛らしい名前を付けてやった少年は、いつまでも棧橋に立って見送る猫達に、一時の別れを惜しむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリシャ・パルティエル
ユディト(f05453)と

まあ、本当に一瞬で素敵な街に復興したわね!
これからどんどん賑わっていくわね
楽しみ!

手に入れた魚は半分は猫ちゃんたちに
半分はレストランにお裾分け
促進系ばっかり狙ってたからお魚はそんなに多くないけど

猫ちゃんたちにこの街の未来を頼むわよって伝えてから
レストランに向かうわね

まあ、まあ!
可愛いメニューがいっぱい!
このサンドウィッチにするわ
見た目だけじゃなくて味もばっちりね!

そうだとっても可愛くて映える猫ちゃんメニューがあるのよ
猫ちゃんのおふとんオムライス!
って言いながらスマホで写真を見せるわね
きっとこの街でも流行ると思うわ

キャッ島の今後の発展を祈っているわね
あたしもまた来るわ!


ユディト・イェシュア
エリシャさん(f03249)と

さすがゲームの世界ですね
あっという間に完全な街が…
メグルさんもお疲れ様でした
少し猫さんと遊んでからレストランに向かいますね

猫さんたちにとっても
こうしてたくさん冒険者が増えれば
お魚をもらえる機会も増えるでしょうし
お互いがいい関係でいられそうですね

レストランもメニューが豊富ですね
これは…
エリシャさん大喜びなメニューばかりですね
さすがキャッ島です
では俺はハンバーグを
耳がついてるだけで愛らしく思えますね

エリシャさんそのオムライス気に入ってましたもんね
きっと街の名物は他にもたくさんあるのでしょうが
そのひとつになれば嬉しいですね

はい、猫好きの仲間を連れて
また是非来たいですね



 こっちだよ! と手を振るメグルの背景に、赤レンガの明るい色彩。
 潮風をいっぱいに浴びて回る風車や、坂道を往來する人の賑わいを見たエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)は、芙蓉の|花顏《かんばせ》に紅潮を兆した。
「まあ、本当に一瞬で素敵な街に復興したわね!」
「さすがゲームの世界ですね。あっという間に完全な街が戻りました」
 街の機能も再生したと、ギルドに集まる冒険者を認めるはユディト・イェシュア(暁天の月・f05453)。
 掲示板に次々とクエストが貼り出される――お馴染みの光景に安堵の息を置いた彼は、ふわと緩めた眼眦に蘇芳色の彩を流した。
「メグルさんもお疲れ樣でした。建築がうまくいって何よりです」
「こちらこそ! 加速アイテムに助けられたよ!」
「冒険者の足も戻って、どんどん賑わっていくわね。これからが樂しみ!」
 嬉しそうに聲を彈ませるメグルには、エリシャも莞爾と微笑みをひとつ。
 己もこれで大冒険ができそうだと、先ずは腹拵えに行くという少女に對し、自分達は少し猫と遊んでから向かうと云って別れた二人は、親密度を爆アゲして仲良くなった猫達と一緒にレストランの裏手へ。
 棧橋で釣った魚の半分を猫達に、もう半分はレストランにお裾分けする事にした。
「促進系アイテムばっかり狙ってたから、お魚はそんなに多くないけど。どうぞ貰って下さいな!」
『ニャンニャン……?』
「いえいえ、これが等分で半々です。贔屓なしですよ」
『ナァ~オ』
 ちょっと店の取り分が多いのではと訝しむ猫達に苦笑しつつ、双方に同量ずつ譲る。
 自分達の分が渡されるや、あむあむと頬張る猫達の傍に屈んだ義姉弟は、腰をぽんぽん、脇をむにむに、其々が好きなポイントを撫でながら呼び掛けた。
「猫ちゃんたち、これからも逞しくいてね?」
「こうして冒険者が増えればお魚を貰える機会も増えるでしょうし、お互いが良い関係でいられますように」
「いっぱい食べて、大きくなって。この街の未來を頼むわよ!」
 とても賢い猫達にて、きっと島を賑わしてくれる。任せられる。
 健啖な彼等に頬笑みを置いて裏路地を拔けたエリシャとユディトは、表に回って店先へ。クエストを受注した冒険者達がバフ効果を得るべく行列を作るのに合わせて竝ぶと、その傍、|大衆食堂《ファミレス》ならではのサンプル群にキラキラと瞳を輝かせた。
「まあ、まあ! 可愛いメニューがいっぱい! くまなく猫ちゃんだわ……!!」
「これは……エリシャさん大喜びなメニューばかりですね。さすがキャッ島です」
 魚に飛びつく猫型の大根おろしがユニークな焼き魚定食に、ツンと三角耳を立てた猫型にくまん。
 猫のお顏型のアイスが乗ったフラペチーノや、カップから身を乗り出す泡立てミルクの猫ラテアートなど、輕食から飲み物まで充実しているが、食材から器に至るまで猫推しがすごい。
「あたし、このサンドウィッチにするわ」
「良いですね。では俺はハンバーグを」
 硝子越しに繊指をぴったんこ、まるで子供のように星のきらきらエフェクトを溢れさす義姉に頬笑みつつ、義弟も事前に注文する。
 而して席に着くなり運ばれる猫型の|鐘蓋《クロシュ》がパカーンと開けば、二人の佳唇は揃って喫驚を零した。
「わ、わ……やっぱり可愛い! みんな表情が違ってて細かいわ!」
「耳がついてるだけで斯くも愛らしく……食べるのが勿体無いくらいです」
 肉球型に閉じ合せたものと、カット部から苺の猫がひょっこり姿を現しているフルーツサンド!
 まあるいお皿ながら、ソースを浸せば猫型に凹んでいるのが判然る、ユーモアたっぷりのハンバーグ!
 見た目は勿論、味も良いとは二人の笑顏が言葉を代わろう。姉弟なかよく幸せの四ツ葉エフェクトをシンクロさせ、ふふっと咲み合う。
 美味を含めば会話も彈もうか、それから二人は食事と歡談を愉しんで、
「そうだ、とっても可愛くて映える猫ちゃんメニューがあるのよ。これ、猫ちゃんのおふとんオムライス!」
「エリシャさん、そのオムライス気に入ってましたもんね」
「方向性が似ているこの街でも流行ると思うわ」
「慥かに。島の名物は他にも沢山あるのでしょうが、そのひとつになれば嬉しいですね」
 ――なんて。
 スマホを手に和気藹々と話していたら、給仕がチラッ。後ろに座っていた冒険者がチラッ。
 餘りの可愛さに情報は瞬く間に厨房へ飛んでいき、料理長も魅了されたなら商品化決定。流行も確定。
 而して皆々の凄まじい喰いつきようを見たエリシャとユディトは、この島の住民が猫好きなのは勿論、冒険者も猫を愛しているのを実感し、|和々《ニコニコ》と雪嶺の鼻梁を結び合う。
「あたし、また島に來たいわ。絶対來るわ!」
「はい、俺も猫好きの仲間を連れて、是非再訪したいですね」
 キャッ島の今後の発展を祈りつつ、その未來を見ようと意気込みつつ。
 至福の時間を得た二人は、また一口、かけがえのない美味を舌に広げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シビラ・レーヴェンス
露(f19223)
……元通りに戻りつつあるようだから私は帰ろ……。
(露にずるずる引きずられメグルとレストランへ)

「…食事をしてから帰っても…いいか…」
入口で露と…メグルが瞳を潤ませていたら何もいえない。
席についてから魚類のメニューと食後の紅茶を注文。
白身なら蒸した料理か茹でた料理を。赤身ならばそのまま。
なるべく魚に油を利用しないよう料理人に頼もうか。
猫の胃に負担のかからないような料理の方が渡しやすい。

「油を使った料理は、猫に譲渡し難いだろう?」
料理人に注文をつけた理由を露に聞かれて簡単に答える。
それにしても密着するようにくっつく露がうっとおしい。
メグルは楽しそうに私達を見守っているしな…。

「幼馴染でも姉妹でも無く、腐れ縁だ」
幼馴染かとメグルに質問され否定しておく。
肯定したら面倒なことになるのは想像できるからな。
「…私が助けたから興味を持ったのだろう? 君は」
薄っすらとした記憶しかないが私は命の恩人らしい。
豪雪地帯の私の故郷で遭難したのを私が助けた…ようだ。
…妙な縁だな…。(租借しつつ)


神坂・露
レーちゃん(f14377)
帰ろうとしてるレーちゃんの腕を掴んで行くわ♪
勿論メグルさんも一緒にご飯食べるわよ~。

「えー。一緒にご飯食べないの? レーちゃん!」
暫く見つめていたらレーちゃんから折れてくれたわ♪
わーい♪じゃあじゃあメグルさんと席に…。
「何にしようかしら…んー。焼き魚がいいかしらね」
メニュー見ながら考えてたらレーちゃんの注文が耳にはいって。
「蒸しか茹でなの? …焼きも美味しそうなのに?」
返ってきたセリフがレーちゃんらしくて微笑んじゃったわ♪
だって猫さんに渡すことが前提だったんですもの。優し♪
だからレーちゃんにぎゅぅーってしちゃったわ♪ぎゅぅー。

そんなことしていたからかしら。
メグルさんが面白いことを言い出して…え?幼馴染さん❤
「えへへ…。そーみえるかしら?あたし達って」
照れていたら即答で否定してきてむぅってなっちゃうわ。
「…むぅ。確かに最初は興味持ってだけど…」
興味持ったメグルさんに出会いのお話するわ♪
レーちゃんの故郷で道に迷って遭難したこと。
回復してから探し廻ったこと…とかね。



 色鮮やかな南國風の景觀が戻り、|往來《とおり》に人が溢れ出す。
 街の機能が復旧すれば、ギルド前の掲示板に貼り出されるクエストが冒険者たちを招こう。
 猫と、島民と、冒険者……嘗ての『キャッ島』の活気が此処にあると街を見渡したシビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)は、颯爽と踵を返した。
「……島が本來の姿を取り戻した。一仕事終えたなら、そろそろ帰……」
「ほんと、お腹空いたわ~。いっぱい食べていきましょ♪」
 刹那、港へ行こうと後ろを向くシビラの腕が摑まれる。ぐい。
 莞爾と咲んで麗人をホールドした神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)は、メグルの待つレストラン前までずるずるずる。シビラを引き摺るようにして歩く。
 このやや強引なエスコートにはシビラも|殆《ほとほと》と呆れるが、振り解いて逃げでもすれば、メニュー看板を見てワクワクしているメグルが哀しむだろう。
「……食べてかないの……? そんな、寂しいよ……」
「バグは解消し、街は再生した。私の仕事は終わった」
「えー。皆で一緒にご飯食べましょ? レーちゃん!」
「……。……食事をしてから帰っても……いいか……」
 門扉に手を掛けた露とメグルが揃って瞳を潤ませたら、何も言えない。
 觀音開きに開かれた扉が、ふわっと極上の香りを連れて中の景色を暴いたなら、シビラ(折れた)は自身の足で店内へ。次いで露とメグルが嬉しそうに後に続いた。

「折角だもの、街を一望できるお外が良いわ♪」
「じゃテラス席にいこっ! 風が心地良いよ!」
 蓋し結局は、レストラン樂しみたい勢の露とメグルが先行して席選び。
 丸形の天板にも猫耳のついた、猫脚のテーブルに着席した三人娘は、眞ん中に置いたメニュー表に視線を結び、どのページを捲っても猫、猫、猫なモチーフの料理をまじまじと見る。
 猫型にご飯を盛ったカレーライスや、猫の顏を模した「ねこさまランチ」、猫型パンケーキや肉球サンドウィッチ等々、どれも猫推しなメニューばかりで、島の住民の愛が伝わる。
「何にしようかしら……んー。焼き魚がいいかしらね」
「いいね、美味しそう!」
 露とメグルがメニューを見ながら会話する傍ら、シビラは猫型ベルをちりん。
 既に注文が決まったか、彼女は繊指を紙面に滑らせながら給仕に要望を告げていた。

「料理長のお薦めが赤身ならばそのまま焼いて構わないが、白身なら蒸した料理か茹でたものを戴こう」
「成程、では油は少なめに?」
「噫、なるべく胃に負担のかからないよう頼みたい」

「後は、食後に紅茶を……――」
「レーちゃん、蒸しか茹ででお願いするの? ……焼きも美味しそうなのに?」
 シビラの佳聲を拾った露が、思わず語尾を持ち上げる。
 魚料理は使う油の風味も愉しめるのにと疑問が湧くところ、「自分が」食べるものなら然うしたろうと首肯を置いたシビラは、既に意図を汲んだ給仕の傍らで口を開いた。
「油を使った料理は、猫の身体に佳くない」
「……それって」
「猫達に譲渡し難いと云う事だ」
 畢竟、猫に与えるつもりだったのだ。
 シビラにとっては訳も分からず慕われ、ニャンニャンと一方的に群がられたのだが、それでも粗雜に扱う事もなければ、レストランに行っては彼等の爲の料理を注文している。
「猫さんに渡すことが前提だったなんて、やっぱりレーちゃん優し♪」
 素気無いようでいて、實はとても面倒見が良いのだと頬笑んだ露は、思わず近寄ってぎゅぅー。
 毎度のようにくっつく露を鬱陶しいとは思っても、決して突き放す事は無いシビラは、とりあえず露が落ち着くまで抱擁を甘んじる。涼やかな|花顏《かんばせ》で待つ。
 その樣子をニコニコと見ていたメグルは、二人はどういう間柄なのかと問いかけた。

「――ねね、二人はとっても仲が良いけど、姉妹か幼馴染なの?」

「……え? 幼馴染さん❤ そーみえるかしら? あたし達って……えへへ……♪」
 仲良しだと言われたのも嬉しいが、幼馴染とは何て良い響きだろうと照れる露。
 而して猶のこと抱擁を強められたシビラは、淸冽と澄み切った佳聲で確言した。
「|否《いいや》、幼馴染でも姉妹でも無い。ただの腐れ縁だ」
「そんな、腐れ縁だなんて。腐ってないわ」
 即座に否定するなんてヒドいと、露の花唇が恨めしそうに尖るが、シビラは涼しい顏をした儘。説明するのが億劫だと安易に肯定しようなら、必ずや面倒な事になると見極めての返答だ。
「ふふ。でもでも二人には縁があったんだよね?」
 切っても切れぬ間柄とはいえ「縁」なのだろうと、メグルが可笑しそうに訊ねてみれば、シビラは小さく吐息ひとつ。最初の出逢いを語り始める露の記憶に任せた。
「そーいえば、あたしが最初にレーちゃんと邂逅った日は、とても靜かで……とても寒かったわ」
「私の故郷は雪深い極寒の地で……いつだったろう、遭難していた露を私が助けた……ようだ」
 まるで伝聞のように言を添えるのは、シビラ自身も薄っすらとした記憶しかない故。
 気の遠くなる時間を過した彼女だからか、露に視線を遣って水を向けると、それこそ窮地を救われた本人は、意識が戻ってからの思い出を辿って云った。
「慥か道に迷ってて……奇跡的に回復してからは、命の恩人を一生懸命探し廻ったわ」
「それで私に興味を持ったのか、君は」
「……むぅ。確かに最初は好奇心が湧いたからだけど……」
 シビラは淡々と云ってみせるが、今の露が只の興味だけで傍に居る筈は無かろう。
 靜默と紅茶を愛するシビラ、美しくも冷たい印象を与えがちな麗人の心の中に、優しさや細かな気遣いのある事を知った露なればこそ、彼女を|愛《いつく》しむように腕に抱くのだと――メグルは思う。
「んふふ、素敵な仲だね! 羨ましいよ!!」
 とても良い縁を見せて貰ったと少女が聲を彈ませれば、露は照れがちに咲み、シビラはついと別方向を見て、
「えへへ……お似合い? 嬉しいわ嬉しいわ♪」
「……。……食べたら早く出よう」
 と眞逆の反應を示し、やっぱりメグルをほっこりさせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年07月02日


挿絵イラスト