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モーラットハザード

#シルバーレイン #敦賀市攻略戦 #決戦 #モーラット

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#決戦
#モーラット


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●敦賀市にて
 ジューンブライド、6月に結婚式を行うと一生幸せな結婚生活を送れるとされており、多くの女性の憧れであり、各地で結婚式が盛んに行われる時期であると言えるだろう。
 シルバーレイン世界の敦賀市にある小さな教会、そこでも結婚式が行われようとしていた。
 純白のウエディングドレスを纏った一人の少女が、幸せそうに伴侶の手を繋いで祭壇に向かう。
 と、ここまではごく普通の結婚式なのだが。
「もっきゅ!もっきゅきゅ!!」
 祭壇の上に立っているのは、神父服を着た白い毛玉…紛れもないモーラットである。
 神父モーラットは新郎新婦に対して『愛を誓いますか?』と言っているのだ。
「はい、誓いますっ!」
「もきゅ~!」
 そして新郎もまたタキシード服を着たモーラットである。
 能力者でもある少女はモーラットが好き過ぎて、特に幼い頃から仲良くしていたモーラットに求婚を申し入れたのだ。
 種族の違いどころではないのだが、それすらも認められるのが能力者達の学園である銀誓館学園らしさなのだ。
「おめでとう!」
「もっきゅ!」
 結婚式に集まっているのは、少女の友人や同級生である少年少女達とモーラット達である。
「きゅぴ!きゅぴぴぴぴ!」
 神父役のモーラットは新郎新婦に向かって、モーラット語で『では誓いのキスを』と言っている。
 新郎新婦は種族の違い越え、結ばれようとしていた。
 式が最高潮に差し掛かろうとした所で、招かざる客が現れる。
「モッギュウ!!」
 その結婚式待ったとばかりに、扉を開いて飛び込んできたのはモーラットである。
 その頭には偉そうな王冠が頭に付けられ、黒いマントを羽織り、背中には黒い翼を生やしている。
「あ…あればまさかっ!」
 学生の一人がその正体に気付く。
 オブリビオン化したモーラット、モーラット・デビルキングである。
 日本各地で目撃例が報告されており、モーラットを従えるだけでなく、モーラット以外の対象をモーラットに変えてしまう恐るべき能力の持ち主なのだ。
「モギュ!」
「きゃああっ!」
 周りが止める間もなく、新婦の少女がモーラットにへと変えられてしまう。
 そんなにモーラットと結婚したければ、お前もモーラットになればいい。
 祝福の代わりに呪いをかけたのだ。
「も、もきゅ!!」
 新郎のモーラットが庇うように、デビルキングの前に立ちはだかる。
「モギュギュ!」
 だが襲撃者はモーラット・デビルキングだけではない。
「もきゅきゅ!」
 多数のモーラット達が教会内をあっという間に制圧してしまったのだ。
「な、何この子達?」
 デビルキングとは違うようだが、その小さくとも悪魔のような手は、彼等もまたオブリビオンであることを示している。
「キュピ!」
 能力者の少年少女達もまた抵抗する間もなく、モーラットに変えられてしまい、教会に存在するのはモーラット達だけとなるのだった。

●グリモアベースにて
「た、大変だよ!シルバーレイン世界で事件が起きたんだ」
 獣人世界大戦が勝利終わり、はじまりの猟兵から語られた情報の考察と対策が進んでいるグリモアベースに、グリモア猟兵であるリリスフィアが駆け込んでくる。
「敦賀市にモーラット・デビルキングが出現したよ。結婚式を邪魔するように現れ、そこにいた能力者達をモーラットに変えてしまったんだ」
 なんでもその結婚式はモーラット好きの少女と幼なじみのモーラットによる式だったとか。
「人とモーラットが結婚できるかはともかくとして、デビルキングは教会だけじゃ飽き足らず、配下のオブリビオンモーラット達と共に敦賀市内にいる人や動物達をモーラットに変えてしまうんだ」
 このままでは敦賀市はモーラットだけになってしまうのだと、リリスフィアは断言する。
「そのデビルキングなのだけれど、これまでの個体とは一味違うんだ」
 敦賀市に現れたデビルキングは一言で言えば、より強力な存在、メガリスゴーストなのである。
 銀誓館学園に確保され、現在も安全に保管されているメガリス『封神台』。
 かつての戦いで一度破壊され、復活までの期間に発生してしまった、メガリスゴーストがオブリビオン化してしまった存在なのである。
 強大な力で野良モーラット達を神将化オブリビオンに変えてしまい、敦賀市をモーラットだけの都市に変えようとしているのである。
「敦賀市が完全に制圧されてしまえば、それだけに留まらず全国中にモーラット化が進んでしまうよ。でも元凶であるメガリスゴーストを倒せば、神将化オブリビオンとなってしまったモーラット達もモーラットに変えられてしまった人達も元に戻る筈だよ」
 だがそれは猟兵達でも容易な事ではない。
 敦賀市内には神将化オブリビオンのモーラット達だけでなく、モーラビット達まで集まるというのだ。
 モーラビット、モーラットにそっくりな容姿ながらモーラットを好んで食べるオブリビオンである。
 猟兵達や能力者達の活躍のおかげで、ここ最近は目撃報告は殆ど無く、野良モーラット達も平和に過ごしていたのだが、モーラット達が集まっているのを嗅ぎつけ、再び活動を再開したようなのだ。
「無限に湧き続けるモーラビットに神将化オブリビオン、そしてメガリスゴーストであるデビルキングの対処、それにモーラットに変えられてしまった敦賀市内の住人達と野良モーラット達の救助…このままではやる事が多すぎて猟兵達だけでは対処しきれないと思うんだ」
 だが封神台のメガリスゴーストの対処にあたっていた、妖狐七星将『廉貞』と大陸妖狐の精鋭部隊達が援軍として共闘してくれる。
「…筈だったのだけれど、タイミングが悪い事に、他所でも同様のメガリスゴーストが出現しているようで、精鋭部隊の殆どがその対処に向かっているみたいなんだよね」
 『廉貞』自身が現場に駆け付ける事が出来るのだが、同行できる大陸妖狐はほんの僅か、それだけでは到底手が足りない。
「だけど、そこで一つ考えがあるんだ。それはモーラビット達にオブリビオン化したモーラット達をぶつける事だよ」
 モーラットを主食とするモーラビットは、モーラットを優先して襲う、その習性を利用するのである。
「だからまずは敦賀市内に現れたモーラビット達を捕獲して欲しいんだ。相手はオブリビオンだし多少は手荒なことになっても問題ないけれど、オブリビオン化したモーラット達用に一定数は捕まえて欲しいかな」
 モーラビット達はモーラット以外に対しては、それほどまでに敵対芯を持つことはない。
 動きを封じれば大人しくさせる事は難しくはないだろう。
「デビルキングの拠点となってしまった教会に向かう為には、オブリビオン化したモーラット達を抑えないといけない、そこで捕まえたモーラビット達の出番だね」
 モーラビット達はモーラットを狩る事に長けた存在だが、神将化しているモーラット達も黙ってやられる事はない、つまり戦いは膠着状態に陥るという訳である。
「皆はデビルキングを倒すことを優先してくれればいいよ。その間に廉貞や大陸妖狐だけでなく、協力を申し出てくれた能力者達も市内を抑えてくれる予定だからね」
 何でもその能力者達は封神台や封印されていた神将達に縁のあるとの事で、進んで志願してくれたのだとか。
「説明は以上だね。大きな戦いが終わったばかりだけれど、今一度力を貸して欲しいかな」
 説明を終えたリリスフィアは、転送門を開く準備を始めるのだった。


吾妻 銀
 吾妻 銀です。
 シルバーレイン世界での決戦シナリオとなります。
 3章構成となっており、全章白いもふもふを相手にしてもらいます。
 1章はモーラビットとの集団戦となります、殲滅ではなく捕獲が目的です。
 モーラットを食べること以外は、ウサギやモーラットと似たような習性がありますので上手く誘い出して捕まえてもらえればと思います。
 あくまで相手はオブリビオンですので、対象は倒しても次章以降の影響はありません。
 2章はモーラットナイトメアとの集団戦となります。
 神将化している事でほぼ無限に湧き、甘い悪夢を見せてきます。
 まともに戦っても足止めされてしまうだけですので、妖狐七星将『|廉貞《れんちょう》』や大陸妖狐の精鋭、銀誓館学園出身の能力者達と協力して、捕まえたモーラビット達をけしかけて切り抜けるようにして下さい。
 3章はモーラット・デビルキングとのボス戦となります。メガリスゴースト化している事で更に強力になっており、神将化オブリビオンとなったモーラット達をけしかけ、隙あらば猟兵達をもモーラット化させようとします。
 メガリスゴーストであるデビルキングを撃破すれば、神将化オブリビオンとなったモーラット達も元の野良モーラットにへと戻り、モーラット化した者達も元の姿に戻ります。
 残ったモーラビット達は協力者達が対応してくれますので、配慮無用です。

 プレイングの受付は各章共通で断章公開直後からとなります。
 締め切りは参加状況を見て、改めて告知します。

 それでは皆様の参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『モーラビット』

POW   :    兎の牙がモーラットを喰らう
戦闘中に食べた【捕縛したモーラットの肉】の量と質に応じて【全身の細胞が活性化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    兎の耳は剃刀よりも鋭い
【モーラットの毛を一瞬で刈り取る鋭さ】を籠めた【兎の耳】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【毛髪】のみを攻撃する。
WIZ   :    モーラットとなって誘き寄せる
全身を【丸めモーラットそっくりの姿】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。

イラスト:イツクシ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「「もきゅうう…」」
 福井県敦賀市、白きもふもふの浸食が進む都市で、白き者達が毛づくろいをしながら刃を研いでいた。
 モーラットそっくりの兎型オブリビオン『モーラビット』である。
「もきゅきゅ!」
 猟兵に能力者、そして野良モーラット達の警戒も強くなり、最近では狩る事が出来ない日々が続いていたが、久しぶりに狩りのチャンスがやってきたのである。
 敦賀市に集まっているモーラット達がオブリビオンである事は、モーラビット達も本能で理解している。
「もきゅ!」
 でもだからこそ、モーラビット達は集まってきたのだ。
 モーラットとはいえオブリビオンであるなら、猟兵や能力者達が彼等を守ることはない、そう考えているのである。
 実際には敦賀市にいるモーラットはオブリビオン化しているものだけではなく、野良モーラットやモーラットにされた住人達も混ざっているのだが、そんなことは知った事ではない。
「もっきゅ~!」
 モーラビット達は久しぶりに、モーラット達の肉血が味わえると、期待に胸を膨らませながら散開するのだった。
アンジェリカ・ディマンシュ
モーラットを食べさせるわけにはいきませんわね
UCを使い、催眠術を行使
高速移動しながら甘いお菓子を用意し、誘い出された所をUC化した催眠術を行使
モーラビットの精神を従属させ、そのまま他のモーラビットを誘い出して催眠術を仕掛けていきますわ

オブリビオンゴーストである以上、モーラットの天敵であるモーラビットは容赦できませんが……今はモーラットとモーラット化した人々の為、捕獲させて貰いますわ

そう言いながら複数体のモーラビットに催眠術をかけ、その個体を囮としてモーラビット達を誘い出し、催眠術をかけて捕獲していきますわ



「もきゅう…」
 メガリスゴースト化したモーラット・デビルキングによって、敦賀市はモーラット達だけの都市にへと変わろうとしている。
 市内のあちこちではモーラット達の戸惑いの声が聞こえる。
「もきゅぅぅぅぅ!」
 そして彼等を狙うモーラビット達も既に市内に入り込んでいるのだ。
「モーラットを食べさせるわけにはいきませんわね」
 事態を解決する為に馳せ参じた、アンジェリカ・ディマンシュ(ケルベロスブレイド命名者・f40793)は早速モーラビットと思しき群れを目撃する。
「もきゅぅぅぅ!」
 丸まっている姿こそモーラットとさほど見た目は変わらないが、市内を徘徊しているモーラットに向けている殺気は、アンジェリカにもはっきりと伝わってくるのだ。
「でも今回は捕獲が目的ですのよね」
 普段なら早々に討伐すべきオブリビオンゴーストなのだが、今回ばかりは事情が違う。
 神将化オブリビオンとなったモーラット達に対抗する為に、モーラットの天敵である彼等の存在が必要なのである。
「ひとまずは眠ってもらいますわ」
 アンジェリカはこの時の為に用意していた、甘いお菓子を手早く配置して、モーラビット達の注意を引く。
 集まってきた所で催眠術をかけて大人しくさせるのだ。
「もきゅ?」
「もっきゅきゅ♪」
 モーラットが主食のモーラビット達だが、お菓子も好きらしく、涎を垂らしながらお菓子に飛びついた。
 と、ここまでは順調だったのだが思わぬハプニングが発生する。
「もきゅ~♪」
「いけませんわ!」
 野良か変えられたのかはわからないが、モーラット達までお菓子に釣られて集まってきてしまったのだ。
 よほどお腹を空かせていたのだろう、モーラビット達の姿も目に入っていないようである。
「もぎゅぅぅぅ!!」
 獲物であるモーラットを見つけたモーラビット達はお菓子よりも優先して、モーラットにへと飛び掛かろうとしている。
「こうなれば仕方ありませんわね」
 アンジェリカはやむを得ず、UC化した催眠術をモーラビット達だけでなくモーラット達にもかけるのであった。
 下手に逃げられても、守り切れないと判断したからである。
「もきゅ?」
「もきゅぅ…もきゅぅ…」
 催眠術にかかったモーラットとモーラビットは、その場に転がり気持ち良さそうに寝息を立てる。
「Zzzzzz…」
 無防備にお腹を上にして眠っている両者の口元には、お菓子の食べかすがついていた。
「危ないところでしたわね」
 甘いお菓子の効力が思いの外、強過ぎたようである。
「本来なら容赦は出来ませんが……今はモーラットとモーラット化した人々の為、捕獲させて貰いますわ」
「もきゅ……」
 すやすやと眠っているモーラット達を、安全な場所まで運んで寝かせたままにしてから、アンジェリカはモーラビット達を捕獲しにかかる。
 その為の檻はグリモアベースで用意してもらっているのだ。
 眠っている姿も、モーラット達に似て可愛らしいのだが、彼等もまたオブリビオンである事は忘れてはならない。
「早速役に立ってもらいますわね」
「もきゅ?」
 アンジェリカはモーラビットの1体を催眠をかけた状態で、起き上がらせる。
 今度はモーラビットを囮にして別のモーラビットを誘い出そうとしているのだ。
「見つけましたわね、さあお行きなさい」
「きゅ~…」
 新たなモーラビットの群れを見つけたアンジェリカは、催眠術をかけたモーラビットを向かせるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

高崎・カント
遠藤(f42930)もいるが殆ど視界に入っていない

「も、も、も、もぎゅううううっ!!」
大事な大事な結婚式を台無しにしちゃうなんて……!
カントもゆーいっちゃん(最愛の花嫁)と結婚式を挙げたのです
これは宣戦布告と見るのです!
カントはめちゃくちゃ怒っているのですー!

この怒りはモーラビットにぶつけるのです!
ぴょんぴょこ跳ねまくって、モーラビットを引きつけるのです!
ほら、可愛くて元気なモーラットなのですよ!!
何か悪口言われてる気がするけど、知ったこっちゃないのです!
さっさと出てくるのですー!!

モーラビットを罠に嵌めるのです
正面からの攻撃は【UC】でガードなのです
罠までおびき寄せて一網打尽なのです!


遠藤・修司
カント(f42195)と一緒だが顔見知り程度で名前は知らない

うーん、モーラットと結婚?
人それぞれとはいえ、シルバーレイン世界は随分変わってるね
ともあれ事件解決しないと被害が酷そうだ……
え、なんかすごく怒ってるモーラットがいるけど、こっちは猟兵だよね?

モーラビットを見つけたら、モーラットを指差してけしかけるよ
可愛くて元気……?
ああ、うん、そうだな……あれは凶暴なオブリビオンだなあ
オブリビオンは守らなくていいかなあ

誘導して仕掛け罠(投網)で捕まえるよ【UC使用】
……モーラビット、なんだか怯えてない?
ほら、大人しく網の中に入っておくんだよ
じゃないとあのモーラットが何をするか分かったものじゃない



「も、も、も、もぎゅううううっ!!」
 モーラットの猟兵、高崎・カント(夢見るモーラット・f42195)は、めちゃくちゃ怒っていた。
「……」
 隣でため息をついている多重人格者の猟兵、遠藤・修司(ヒヤデスの窓・f42930)の存在も殆ど視界には入っていない程である。
「もきゅぅ…」
 敦賀市街のあちこちでモーラット達の悲しそうな声が聞こえる。
 彼等の平和で幸せな日常が、メガリスゴーストによって滅茶苦茶にされようとしているのだ。
「大事な大事な結婚式を台無しにしちゃうなんて……!」
 そのことが何よりカントには許せないのである。
 カントもまた種族を越えて|最愛の花嫁《ゆーいっちゃん》と結婚式を挙げた幸せな経験がある。
 そんな結婚式をぶち壊しにされ、相手が同じモーラットだろうと感情を抑えきれずにはいられないのだ。
「うーん、モーラットと結婚?人それぞれとはいえ、シルバーレイン世界は随分変わってるね」
 修司はカントとは顔見知り程度でしかなく、名前も知らないのである。
「もきゅぅぅぅぅ!!」
「え、なんかすごく怒ってるけど、猟兵だよね?」
 今の発言が気に入らなかったのか、カントに睨まれているような気がして、修司は誤魔化すように目を反らす。
「ともあれ事件解決しないと被害が酷そうだ……」
 そして修司は周囲を注意深く観察して、モーラビットの群れを発見した。
「もきゅきゅ!」
 見た目こそモーラットそっくりの兎であるが、危険なオブリビオンなのである。
 特にその兎耳の鋭さは一瞬でモーラットだろうが人間だろうが、容赦なく毛髪を刈り取られてしまうのだ。
「も、もきゅうううう…」
 そして今まさに逃げ場を失ったモーラット達に襲い掛かろうとしているのだ。
「ほら出番だぞ」
 修司はモーラビット達の兎耳を警戒し、気づかれない程度に離れた距離から、カントをけしかける。
「もきゅ~!」
 カントは抗議の意味を込めて、修司に体当たりをした後で、ぴょんぴょこ跳ねまくって、モーラビットの注意を引きつける。
 初めてモーラビット達と遭遇した時は怖がっていたカントだったが、数多くの戦いを経験してきた今では恐れる理由はないのである。
「もきゅ?」
 ほら、可愛くて元気なモーラットなのですよ、と言わんばかりのカントのアピールにモーラビット達はしっかりと反応した。
「もぎゅぅぅぅ!!」
 モーラビット達、狩猟動物のように目をギラギラとさせて一斉に襲い掛かる。
「可愛くて元気……?」
 修司の目にはカントが凶暴な獣にすら見えているのだが、相手もまた凶暴なオブリビオンであるのであまり気にしないことにした。
「もきゅ~!!」
 後ろから失礼な目で見られているような気がするが、そんなのは知った事ではないと、カントはマントを翻して、モーラビット達の攻撃を正面から受け止める。
「もきゅきゅぴ! もっきゅー!」
「「もっきゅ!!」」
 マントから発している、パチパチ静電気による電磁バリアでモーラビット達の兎耳を防御し、すかさずカントは強力なパチパチ火花で反撃する。
「もきゅもきゅ!」
 そしてさっさと出て来いと言わんばかりに、カントは修司を急かす。
「誘いに乗ったってことでいいんだよな?」
 修司はため息をついてから、仕掛け罠である投網を、カントの反撃で怯んでいるモーラビット達に向けて投げつけた。
「「もきゅ~っ!!」」
 修司が実物を模して作成したレプリカだが極めて精巧で頑丈な投網は、モーラビット達の動きを拘束し、兎耳の鋭い刃も通さない。
「もきゅ!」
 そしてこれ以上暴れるなら容赦しないとばかりに、カントは全身から静電気をバチバチとさせて、モーラビット達を威嚇する。
「もきゅ!?」
 カントの剣幕に驚いたモーラビット達は、投網の中で大人しくなるのだった。
「……モーラビット、なんだか怯えてない?」
 カントの怒りっぷりに、修司の額にも冷や汗が浮かぶ。
「もきゅ~ん♪」
 恐れおののく修司とモーラビット達とは対照的に、窮地を救われたモーラット達は、喜んでカントの元にへと駆け寄ってくる。
「きゅきゅきゅきゅ!」
「もきゅ♪」
 モーラット達に感謝され、幾分か機嫌を取り戻したカントは、えっへんと胸を張りながらモーラット達を安全な場所まで誘導する。
「ほら、このまま大人しく網の中に入っておくんだよ。じゃないとあのモーラットが何をするか分かったものじゃない」
 その間に修司は、これ以上カントを怒らせるなよと念を押し、大人しくなったモーラビット達はただ頷くのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ティエル・ティエリエル
むむむー、結婚式を邪魔するなんて悪いモーラットだ!
王様にふさわしくないデビルキングはお帰り願うよ!

取り巻きのモーラットとモーラビットを共食いさせる作戦だね♪
それじゃあ、モーラビットをいっぱい捕まえちゃうぞ☆

街中を飛び回ってモーラットを襲おうとしているモーラビットを【フェアリーランド】に吸い込んじゃうぞ☆
フェアリーランドの中にはボクのとっておきのおやつを入れてあるから外に出たいだなんて思わないはずだよ♪
おやつを食べられるのは悲しいけど、これも世のため人のためモーラットのため、涙を呑んで我慢するよ!

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


龍巳・咲花
昨日の敵は今日の友作戦でござるな?
まあオブリビオン同士で潰し合ってくれるならば上々でござるな
廉貞殿との久しぶりの共闘でござるし此方も気合を入れるでござる!

ウサギやモーラットと習性が似てるということは、ニンジンやお菓子で釣れるのでござろうか?
狩猟は野山での忍びとしての訓練でばっちりでござる!
古典的ではござるが、|野菜《ニンジンやレタス》と|お菓子《キャンディー》を呼び餌として仕掛けて、集まってきた所を龍脈鎖で作った籠に閉じ込めるでござるぞ!
ついでに、この後ちゃんと|モーラット《オブリビオン》を狩り放題に連れてくでござる故、今は大人しくしてて欲しい旨を伝えるでござるな



「むむむー、結婚式を邪魔するなんて悪いモーラットだ!王様にふさわしくないデビルキングはお帰り願うよ!」
 ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)は、以前にもモーラット・デビルキングと戦ったことのあるフェアリーの猟兵である。
 その時の悪さぶりもかなりのものだったが、敦賀市に出現したモーラット・デビルキングはそれ以上の悪逆ぶりである。
「その前にモーラビット達の捕獲作戦でござるな?昨日の敵は今日の友作戦でござる」
 能力者から猟兵へと覚醒を果たした龍陣忍者の一人である龍巳・咲花(バビロニア忍者・f37117)は、周辺を注意深く索敵し、早速モーラビット達の群れを発見した。
「見つけたでござる!今は眠っているようでござるな」
「もきゅう…」
「Zzzzz…」
「うん…寝ているね。間違いなくモーラビットだよ」
 丸くなって気持ち良さそうに寝ている姿はモーラットそのものだが、これまでの経験からその僅かな違いをティエルは見分ける事が出来た。
 無防備のように思えるが、油断してはならない。
 彼らはこうやってモーラットのフリをして獲物が引っ掛かるのを待っているのである。
「取り巻きのモーラットとモーラビットを共食いさせる作戦だね♪それじゃあ、モーラビットをいっぱい捕まえちゃうぞ☆」
「まあオブリビオン同士で潰し合ってくれるならば上々でござるな。廉貞殿との久しぶりの共闘でござるし此方も気合を入れるでござる!」
 意気込み十分な、2人の少女は早速行動を開始する。
「ウサギやモーラットと習性が似てるということは、ニンジンやお菓子で釣れるのでござろうか?」
 咲花は手早くモーラビットを捕獲する為の罠を仕掛ける。
「わわ。もう出来ちゃったよ」
「これでばっちりでござる」
 忍びとして野山での狩猟訓練を受けてきた咲花にとっては、お手のものである。
 あとは餌に釣られたモーラビット達が引っ掛かるのを待つだけ…という状況にはならなかった。
「もきゅ~♪」
 モーラビット達を仲間だと勘違いしたのか、それとも餌に釣られたのか、モーラット達が近づいてくるではないか。
「もきゅ!」
 餌とモーラット達に気付いた、モーラビット達が目を覚まし、まずは油断して近づいてくるモーラット達に目を付け、その鋭い兎耳で、もふもふな毛を刈り取ろうとしていた。
「もきゅ~!!」
「そうはさせないよ!」
 ティエルが間一髪のところで割って入った。
「もきゅ~!!」
 モーラットに飛び掛かろうとしていた、モーラビット達はティエルが持っていた小さな壺に吸い込まれてしまったのである。
「もきゅ?」
 何が起きたのかわからないモーラット達は目をぱちくりさせる。
「ここは危ないから。隠れているんだよ」
 ティエルは言葉が通じないモーラット達に身振り手振りで事情を伝え、避難を促した。
「お菓子もあげるから仲良く分け合うんだよ」
 そしてお土産代わりに、おやつを渡してあげる。
「もきゅ~♪」
 モーラット達は機嫌良さそうにおやつを手にして、その場から離れていった。
「「もっきゅ~♪」」
 そして壺の中からもモーラビット達の歓喜の声が聞こえてくる。
 中はフェアリーランドになっており、そこにはティエルが貯蔵していたとっておきのおやつが隠されているのだ。
 今頃そのおやつが食べられているのだろう。
「おやつを食べられるのは悲しいけど、これも世のため人のためモーラットのため、涙を呑んで我慢するよ!」
 楽しみにしていたおやつタイムが無くなっていくのを感じながらも、これも作戦の為だと悲しみを堪えるティエルであった。
「こっちも成果は上々でござるよ」
「もきゅ~!!」
 その一方で咲花もまた、モーラビット達の捕獲に成功していた。
「もぎゅぅぅぅ!!」
 |野菜《ニンジンやレタス》と|お菓子《キャンディー》を呼び餌に、モーラビット達が集まってきた所を、龍脈鎖で作った籠に閉じ込めたのだ。
 籠の中はモラ詰まりならぬ、モーラビット詰まり状態となり、餌もあっという間に平らげられてしまった。
「もぎゅぎゅ!!」
 早くここから出せと、捕まったモーラビット達は抗議の鳴き声をあげる。
「落ち着くでござるよ。いい話があるでござる」
「もきゅ?」
 敵である筈の猟兵からの、提案にモーラビット達は興味ありげに耳を傾ける。
「実はお主達の力を見込んでやっつけて欲しいモーラット達がいるのでござる。モーラットの狩り放題でござる」
「もきゅ~!」
 そのモーラットがオブリビオンである事は伏せておいた。
 咲花の提案をモーラビット達は素直に聞き入れ、大人しくなったのである。 
「まずは上々でござるな」
「これだけ集めれば大丈夫かな?」
 籠の中もフェアリーランドの中も白い毛玉で埋め尽くされた。
 次は廉貞達と合流して、彼等をオブリビオン化しているモーラット達にぶつければいいのである。
 少し悪い顔をしているかなと咲花は自覚するも、忍びは時として非常に徹しなければならないのだと自分に言い聞かせる。
「これもみんなの為、そして無くなっていくおやつの為なんだよ」
 失う事の悲しさを現在進行形で味わいながらも、ティエルも心を鬼にするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クリオザ・リコル
モーラビット……GGOのカミツキウサギみたいなのでしょうか?
どんなコなのか、わたし気になります!

って、なっ、なんですかこのコたちは!
このキューティクルは反則級ですって!
あまりにもかわいすぎですよこのモンスター、もといオブリビオン……!
はぁ……こんなコたちでも、時には倒すべき敵にもなっちゃうんですよね
ううっ……

で、でもっ!とはいえ!今回の目的は捕獲!
聞くところだと、このコたちは獲物をおびき寄せるために、モーラットの姿になれるらしいですね

なら!その性質を利用してやりましょう!
このコたちの擬態方法を観察、記録ですっ!
そして、このコたちのUCスキルをマネられれば……

ひあはぁ゙~~もふもふでひぅ~っ!



「モーラビット……GGOのカミツキウサギみたいなのでしょうか?どんなコなのか、わたし気になります!」
 いわゆる『ケモナー』である、クリオザ・リコル(生粋の|魔物《ケモノ》狂い・f43194)は、まだ見ぬモーラビット達の姿に期待を隠せないでいた。
 GGOでも可愛い見た目の魔物を倒せないまま避けることもある、リコルだが果たしてモーラビット達を見てどんな反応をするのだろうか。
「もきゅ?」
 まるで狙っていたかのようなタイミングで、リコルはモーラビット達と遭遇したのである。
 見た目こそ可愛らしいモーラットのような兎型のオブリビオンである。
 モーラットではない、リコルに対してはさほど敵対心も無いらしく、可愛らしい仕草で毛づくろいをしながらじっと見つめてくるではないか。
「って、なっ、なんですかこのコたちは!このキューティクルは反則級ですって!」
 リコルはたまらずに胸がキュンとなって、モーラビットを抱きしめたくなるような衝動に駆られる。
 だが油断してはいけない。
 こんな見た目でも、その兎耳はもふもふな毛髪も一瞬にして刈り取ってしまうのだ。
「もきゅきゅ!」
 モーラビット達は自分達は無害だと言わんばかりに、素早く身体を丸める。
 その姿はモーラットにもよく似ており、見間違えてしまう程である。
「あまりにもかわいすぎですよこのモンスター、もといオブリビオン……!」
「もきゅぅ!」
 大人しいモーラビット達とは対照的に、リコルの興奮は高まる一方である。
「はぁ……こんなコたちでも、時には倒すべき敵にもなっちゃうんですよね。ううっ……」
 だがその事実を思い出して、クールダウンする。
「で、でもっ!とはいえ!今回の目的は捕獲ですよね!」
 それならばとリコルは気持ちを切り替えて、モーラビット達をじっくりと観察する。
「聞くところだと、このコたちは獲物をおびき寄せるために、モーラットの姿になるんですよね」
「もっきゅ!」
 事実、リコルに観察されている間もモーラビット達は、モーラットが仲間であると勘違いして近づいてくるのを待ち構えているのである。
 そしてモーラットが近づいてきた瞬間、モーラビットは獰猛な獣にへと変わるのだ。
「なら!その性質を利用してやりましょう!このコたちの擬態方法を観察、記録ですっ!」
 リコルは意識を集中して、モーラビット達の細かい仕草まで観察し、脳内にしっかりと記録する。
 時間をかけすぎても、本物のモーラットが近づいてくるという事態になりかねないのだ。
「これでよしっと…そして、このコたちのUCスキルをマネられれば……」
 記録はバッチリだとばかりに、リコルはモーラビット達のUCをコピーして、自身もまた姿を変えモーラットのように丸くなって見せたのである。
「もきゅ?」
 そんな超常現象を目の当たりにして、モーラビット達はびっくりしたが、近づいて正体を確かめに集まってくる。
「もきゅ…もきゅぅ!」
 今度はモーラビット達がリコルを観察する番となった。
 くんくんと、モーラビット達は匂いを嗅ぎながら、モーラットに擬態したリコルの様子を伺う。
「う、うう…」
 ある意味攻撃されるよりも、厳しい状況に立たされるリコルだった。
 だがモーラビット達を捕獲する為には、まだ大人しくしている必要がある。
「もきゅ!」
 じっと我慢してきた苦労の甲斐あって、モーラビット達はリコルをモーラットに擬態している仲間であると判断したようで、友好的にすり寄ってくるではないか。
「ひあはぁ゙~~もふもふでひぅ~っ!」
 リコルは暫くの間、本来の目的を忘れ、そのもふもふな感触を堪能するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『モーラットナイトメア』

POW   :    もふもふナイトメアイベント!
小さな【もふもふな悪夢 】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【悪夢のイベント会場で、催し物を楽しむこと】で、いつでも外に出られる。
SPD   :    もきゅっとナイトメア祭!
レベルm半径内を【悪夢のお祭り会場 】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【お祭りを楽しむ全ての行動】が強化され、【お祭りを邪魔する全ての行動】が弱体化される。
WIZ   :    きゅぴきゅぴナイトメアパーティー!
戦場内を【悪夢のパーティー 】世界に交換する。この世界は「【パーティーを全力で楽しむこと】の法則」を持ち、違反者は行動成功率が低下する。

イラスト:熊谷狼

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「もっきゅきゅ!」
「もきゅ~!!」
 敦賀市は今やモーラット達で溢れかえっていた。
 その多くがメガリスゴースト化したモーラット・デビルキングの呪いによるものである。
 そしてその代行者たる存在が、神将化オブリビオンであるモーラットナイトメアなのだ。
 彼らは見た目こそ悪魔の詰めが生えている以外は、ただのモーラットと変わらないが、敦賀市の住人達とってはその名の通り悪夢の名に相応しい存在なのである。
「きゅぴぴぴぴ?」
「え~ん…怖いよぉ」
 幼い子供がモーラットナイトメアに詰め寄られて泣いている。
 その子供は知っているのだ。
 ナイトメアモーラットこそ、自分の両親をモーラットにへと変えてしまった、恐ろしい存在なのだという事を。
「もっきゅ!」
「きゅるるるる~!」
 それでもモーラットナイトメア達は無邪気に、お菓子を浮かび上がらせてちらつかせる。
 どうやら彼等は遊びたがっているようだが、幼い子供はただ泣きじゃくるだけである。
「もきゅ?」
「きゅきゅきゅ!」
 遊んでくれないなら用はないとばかりに、モーラットナイトメアは目を怪しく光らせると、幼い子供はモーラットに変えられてしまうのであった。
「も、もきゅ~!!」
 モーラットに変えれた幼い子供は泣きながら、壁の隅にへと逃げ込んだ。
「もきゅぅぅ…」
 そこには同じくモーラットに変えられた、住人達が身を寄り添うようにして慰め合っているのだ。
「も~きゅっ!!」
 そんなモーラット達の事など気にも止めず、モーラットナイトメア達は他に遊んでくれそうな相手がいないか探し回るのであった。

「万夫不当たる猟兵よ、汝等の直往邁進を妨げる故何処に在らんや。七星将たる我廉貞、これより汝等の後背にて黄泉路の駆逐者足らん」
 モーラビット達の捕獲を終えた猟兵達を出迎えたのは、妖狐七星将『廉貞』である。
 猟兵達は廉貞が何を言っているのか理解できなかったが、そこへ思わぬ助け舟が入る。
「強き猟兵の皆さん、あなた方の勇猛な進軍をここで足止めさせる訳には行きません。妖狐七星将である私、廉貞がこれより皆さんの背中を守り、オブリビオンと戦います。と言っているのよ」
 翻訳してくれたのは大陸妖狐の精鋭部隊ではなく、長い銀髪が特徴の女性の能力者であった。
 グリモアベースで説明のあった、神将達に縁のある能力者達の一人なのだろう。
「神将化オブリビオンは増え続ける一方で、相手にしていてもキリがないわ。だから手筈通りモーラビット達にモーラットナイトメア達の相手をしてもらう必要があるのよ」
「白兎共よ。此度は奇縁にて共闘するものなり。然り悪心あらば容赦無用なり」
「ええと、今回は仕方なく共に戦うけれど、少しでもおかしな真似をしたら容赦しないかしら?」
「「もっきゅ~!」」
 解き放たれたモーラビット達は早速モーラットナイトメアの気配を嗅ぎつけて、その現場にへと向かう。
「「もきゅきゅ?」」
 向った先ではモーラットを追いかけまわしてモーラットナイトメア達が遊んでいた。
「もきゅぅぅぅ…」
 モーラビット達の目の色が変わり、モーラットナイトメア達に向かって素早く飛び掛かった。
「もきゅきゅ!!」
 モーラットにとって天敵であるモーラビットでも、神将化オブリビオンであるモーラットナイトメア達にとっては新しい遊び相手が来たと思い込んでいるようである。
「きゅきゅ!」
 モーラビット達もモーラットナイトメア達がただ者ではないと気づき、一旦距離をとった。
「もきゅぅぅぅぅ!」
 そして互いにつぶらな瞳でにらみ合いが続く。
 後に続いて駆けつけた廉貞と猟兵達が刺激しないよう通り過ぎようとするが、思わぬハプニングが起こる。
「もきゅ!」
 モーラットナイトメアの一匹がチョコレートを食べようとして落としてしまったのだ。
「もっきゅ~!!」
 チョコを拾い上げようとした所で、モーラビット達が襲い掛かってきたのである。
 あっという間に周囲一帯は白い毛玉達による悪夢のお祭り会場と化してしまうのだった。
 そして元凶であるモーラット・デビルキングがいる教会に辿り着くためには、このお祭り会場を突破しなければならない。
 廉貞や能力者達も協力してくれるが、神将化オブリビオン相手に一筋縄ではいかないだろう。
龍巳・咲花
廉貞殿は第二次聖杯戦争以来でござるなあ!
あの時は感謝にござると、再びの共闘よろしくお願いしますでござるよ!
(廉貞殿の言葉には「???」な顔になったり、なるほど○○でござるな! と勝手に良い方向に解釈したり大体正答率3割位)

壁際の元人のモーラットを守る様に龍脈鎖のフェンスを作りつつ、奥に進むために必要なルート上の神将化モーラットを、龍牙葬爪でバレーのトスやアタックの如くモーラビットの渦中の中で放り込んでいくでござる!
こ奴とか美味しそうでござるよとモーラビット達に声を掛けてやればきっと乗ってくれるでござろう
もふもふ悪夢に関しては抵抗してやれば問題ないでござろうし、最短距離で突っ込むでござるぞ!



「もきゅうううう…」
 ゴーストタウンならぬモーラットタウンと化した片隅で、モーラット達がぶるぶると震えている。
 彼等は無害な野良モーラット、もしくは呪いをかけられモーラット化してしまった敦賀市の住人である。
「きゅぅぅぅ…」
 悲しそうに誰か助けてとモーラット達は泣いているのだ。
 そんな彼等の元に待ち望んでいた助けが現れる。
「もう大丈夫でござるよ!」
 モーラビット達の捕獲を終えた、龍巳・咲花(バビロニア忍者・f37117)が駆けつけたのである。
「もっきゅ~!!」
 咲花に興味を持ったのか、神将化オブリビオンであるモーラットナイトメアが次々と集まってくる。
 彼等に悪意は感じられないものの、増え続ける一方でこのままでは先に進めそうではない。
「悪の手先共、龍巳の邁進を妨げる事勿れ」
 咲花の元に妖狐七星将『廉貞』が合流する。
 久しぶりの見る顔に咲花の表情は明るくなる。
「廉貞殿は第二次聖杯戦争以来でござるなあ!あの時は感謝にござると、再びの共闘よろしくお願いしますでござるよ!」
 先ほどの廉貞殿の言葉は理解できていないが、恐らくは咲花の邪魔はさせないと言っているのだと解釈する事にした。
「もぎゅ!!」
「おっと、そこから先は通行止めでござるよ」
 からかってやろうと思ったのか、モーラットナイトメアの数体が隅で震えているモーラット達に飛び掛かろうとしたのを、咲花は瞬時に龍脈鎖のフェンスを築き上げて阻止したのである。
「遊び相手は他にいるでござるよ!」
「もきゅ!」
 そしてモーラットナイトメア達をボールに見立てて、まとめて上空にへと放り投げると、バレーのアタックの如く飛び上がって、ある場所にへと叩き込んだ。
「きゅぴぃぃぃ!!」
 モーラットナイトメアは勢いよく放り込まれた先には、モーラット達の群れではなくモーラビット達の群れが集まっていたのである。
「こ奴らとか美味しそうでござるよ」
「もっきゅ♪」
 咲花の許可も得られた事で、本性を現したモーラビット達は我先にへとモーラットナイトメアに襲い掛かる。
「もきゅぅぅぅ!!」
 神将化オブリビオンであっても仲間意識はあるのか、襲われているモーラットナイトメアを助けようと、勇敢にも他のモーラットナイトメア達が次々とモーラビット達に飛び掛かる。
 たちまちこの場は大乱闘となるのであった。
「おお、これは中々に見ごたえがあるでござるな」
 普段は瞬時にモーラット達の毛を狩り取れるモーラビット達なのだが、モーラットナイトメア達の悪夢の力で、その力は制限され動きも数段鈍らされている。
「モキュゥゥゥ!!」
 それでもモーラビット達はモーラットに負けてなるかと、果敢に立ち向かう。
「もきゅもきゅ!」
 モーラットナイトメア側も悪夢のパーティーを開いたり、悪夢を見せること以外には、モーラビットに対して決定打を与えることは出来ないでいる。
 その結果戦いは決着つかず、取っ組み合いが延々と続くのであった。
 彼等は真剣に戦っているつもりなのだが、咲花からは白い毛玉同士がじゃれ合っているようにしか見えない。
「此れ即ち邪悪な策略なり、疑惑を捨て行軍こそ唯一為す事なり」
「??…わかったでござるよ!」
 廉貞はここは自分達に任せて先に行けと言ってくれているのだと、咲花は解釈する事にした。
 確かにこのまま両者の争いを見ていても時間を無駄にするばかりである。
 咲花は気を取り直して、元凶がいるであろう教会に向かって、最短距離で駆けだした。
「きゅぴ?」
 だが咲花の進む先には新たなモーラットナイトメアの一団が出現する。
 彼等のつぶらな瞳は遊んでくれないの?と訴えているようだ。
「もふもふ悪夢には負けないでござるよ!」
「きゅぴぴ!」
 幸いな事に数はそれほど多くはない。
 咲花はモーラットナイトメアは振り払い、教会に向かって一直線に駆け抜けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

遠藤・修司
えっと、白いのが救助対象で、紫のは敵……?
あ、あれ? これはモーラビット?
困ったな、見分けがつかない……

『元締を倒せば戻るんだろう? 早くそちらに向かいたまえよ』
あ、“僕”。そうは言うけど、あの状態だと無理そうだ
『ふぅん、なら僕がやってあげようか』

人格交代して【UC使用】
モーラビットをけしかける

お腹が空いたのかい?
うんうん、そうだろうとも
あのモーラットに散々脅かされてずっと網の中ではね
では、あちらの紫色のモーラットを食べてはどうかね?
少々手強いが、あれを食べる分には誰も咎めないだろうさ

……あ、“僕”のおかげで道がちょっと開いた
あれなら通れるかな?
向かって来るのを炎の魔弾で追い払いながら進むよ


高崎・カント
「もきゅ! もっきゅうううっ! きゅいきゅい!!」
け、毛玉地獄なのですー!?
早く結婚式を台無しにした悪モラのとこに行きたいのにー!

もっきゅ! いいことを思いついたのです!
まず溝とか土管とかトンネルとか、筒状の物を探すのです

【UC発動】して、毛玉地獄の上をバビューンと飛ぶのです
おいしいおやつを投げて注意を引き付け、奴らにカントを追わせるのです
カントと手下悪モラが移動したらウサギもついてくるのです

そうして引きつけたら、さっき見つけた筒をビューンと潜るのです
……モーラットは詰まる!

詰まった隙に通り抜けて、悪モラ大のとこに向かうのです!
結婚式を台無しにした罰、たっぷり受けてもらうのです!!



「もきゅ!もっきゅうううっ!きゅいきゅい!!」
 辺り一面の毛玉地獄に、高崎・カント(夢見るモーラット・f42195)は悲鳴をあげる。
 じゃれ合うように争っている紫の爪を持つモーラットと、モーラットによく似た白兎、そして怯えて逃げ惑うモーラット達と、敦賀市の各地で毛玉地獄が発生しているのだ。
 早く結婚式を台無しにした悪モラのとこに向かいたい、カントなのだが、このままではまともに通行する事すらもままならない。
「えっと、白いのが救助対象で、紫のは敵……?あ、あれ?これはモーラビット?困ったな、見分けがつかない……」
 遠藤・修司(ヒヤデスの窓・f42930)もまた、目の前の毛玉地獄にただ困惑するばかりである。
「もきゅ!!」
 ついでにカントをモーラビットと間違えてしまい、抗議の声があげられる。
「もっきゅきゅ!!!」
「きゅっぴぃぃぃ!」
「も~きゅぅぅ…」
 毛玉同士の争いは延々と続くばかりで、まさに悪夢のような光景である。
『元締を倒せば戻るんだろう? 早くそちらに向かいたまえよ』
 そんな中、修司のもう別人格が語り掛ける。
「あ、“僕”。そうは言うけど、あの状態だと無理そうだ」
『ふぅん、なら僕がやってあげようか』
 煮え切らない様子の修司だったが、別人格にへと切り替わり、行動を開始した。
 先程捕まえ、檻の中に閉じ込めていたモーラビット達に問いかける。
「お腹が空いたのかい?」
「モッキュ!」
 修司の言葉にモーラビット達は涎を垂らしながら頷く、速くここから出してモーラット達を食わせろと言わんばかりである。
 それに対して修司は同情した様子で問いかけを続けた。
「うんうん、そうだろうとも。あのモーラットに散々脅かされてずっと網の中ではね。では、あちらの紫色のモーラットを食べてはどうかね?」
「もきゅっ!!」
 普段は阻止する側の猟兵にそんな提案を持ち掛けられ、モーラビット達は歓喜の声をあげる。
「少々手強いが、あれを食べる分には誰も咎めないだろうさ」
「もきゅん!」
 神将化オブリビオンであるモーラットナイトメアは容易く食べられる相手ではないが、モーラビット達は望むところだとばかりに力強く頷いた。
「でもその代わりに“僕”たちをここから先に向かわせてくれないかな?邪魔な毛玉達はいくらでも食べてくれて構わないからさ」
「もぎゅん!!」
 実は交渉の際にUCが使用されており、モーラビット達は修司の要求を否定しなかったことにより、語彙力や論理的思考力が奪われつつあるのだ。
「MOGYUUUU!!」
 檻から解き放たれたモーラビット達は我を失ったかのように、わき目を振らずにモーラットナイトメア達にへと飛び掛かるのであった。
「もっきゅ!」
 カントはカントで、この場を切り抜ける為のアイデアを思いつく。
 そのアイデアを後押しするかのように、建物と建物の隙間がトンネルのようになっている、おあつらえ向きな場所を見つけたのである。
「もっきゅうううっ!」
 モーラットナイトメア達の注意を引きつけるべく、カントは全身を黄金のオーラを纏わせ、毛玉地獄の上に突撃する。
「もきゅきゅきゅきゅきゅ!!」
 その際においしいおやつを投げて、モーラットナイトメア達に自身の存在をアピールも忘れない。
 自分が後で美味しく食べる予定だったが、これも悪モラを成敗する為である。
「もきゅ?」
「もきゅ~ん♪」
 黄金のモーラットがお菓子をばらまく姿に、モーラットナイトメア達は否応なしに興味を引かれ、モーラビットなど気にせずにカントを追いかけることにした。
「もっきゅ!」
 そんなモーラットナイトメア達を追いかけるモーラビット達、カントの狙い通りの展開となる。
 十分に注意を引きつけた所でカントは先ほど見つけた建物の間の隙間に向かって、ビューンと駆け抜ける。
「もきゅ~う♪」
 それを楽しそうに追いかけ、隙間に入り込むモーラットナイトメア達、ようやく遊び相手が出来たと喜んでいるようだ。
 だがそこでモーラットナイトメア達は過ちに気付く。
「もきゅ?」
「も、もきゅ~!!」
 そうモーラットは詰まるものなのである。
 隙間にびっしりと詰められたモーラットナイトメア達は身動きが取れなくなってしまったではないか。
 神将化オブリビオンになってもモーラットはモーラットなのである。
「もきゅ!」
 通り抜けるなら今の内だとばかりに、カントはモーラットナイトメア達を抜き去って、目的地である教会にへと急ぐ。
「も、もきゅううう~!!」
 カントの背後からモーラットナイトメア達の悲鳴が聞こえる。
 身動きが取れなくなった所に、解き放たれたモーラビット達に襲われ、自慢の毛を狩り取られてしまっているようである。
「もきゅぴきゅ!」
「きゅぴぃぃ!」
 毛を狩られ剥き出しとなったモーラットの肌にぺろぺろと舌で舐めるモーラビット達。
「これなら通れるかな?」
 オブリビオン化しているモーラットナイトメア達に同情する気にもなれず、修司はモーラビット達にその場を任せて、カントの後に続くことにした。
「もっきゅ!」
「おっと、まだ居たようだね」
 モラ詰まりの被害を受けなかったモーラットナイトメアの襲撃を受けるも、修司は炎の魔弾は放って退けた。
「もっきゅきゅ!!」
 炎の魔弾を避けきれず、火の玉となったモーラットナイトメアはしばらく暴れ回った後、他の個体に救助されるも、その自慢の毛は焦げてしまう。
「もきゅきゅきゅきゅ♪」
 その様子を見て楽しそうに笑っているモーラットナイトメア達。
 モラ詰まり状態となり、モーラビットの襲撃を受けながらも、モーラットナイトメア達は悪夢のパーティーを楽しむのを止めるつもりはないようだ。
「もっきゅうううっ!も~っきゅううう!!」
 結婚式を台無しにした罰、たっぷり受けてもらうのですと言わんばかりの剣幕で、カントはモーラットナイトメア達を無視して突っ走る。
「…君子危うきに近寄らずだね」
 修司はとにかく敵味方関係なくモーラットには近寄るまいと心に決めながら、彼等に目を付けられないよう慎重に教会にへと向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティエル・ティエリエル
おー、すっごいモフモフだらけだね♪
ようし、モフモフに負けないように駆け抜けちゃうぞー☆

【ライオンライド】で相棒の子ライオンくんを呼び出してうりゃーと突撃だよ♪
ふふーん、モーラットナイトメアもモーラビットもライオンくんに齧られたくなければ道を開けるんだ☆
モーラットナイトメアがもきゅっとナイトメア祭!で邪魔してきても、すれ違い際にお菓子を横取りしてお祭りを楽しんじゃうぞ♪
お菓子の差し入れありがとうだよ♪

廉貞が難しい言葉で話してるけど、つまりこのまま突撃しろってことだよね♪
おっけーおっけーボクにお任せだー☆

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


アンジェリカ・ディマンシュ
全くの乱戦ですわね……
では、わたくしもお菓子を提供しましょうか
UC発動
大量のチョコレートお菓子を海嘯の如く顕現させ、そのまま神将化したモーラットオブリビオンに食べさせますわ

これなら他の子達も被害を受けないでしょう……
被害を受けるのは、敵の神将オブリビオンのモーラットのみ……
そう言ってチョコレートマカロンを口にして『パーティーを全力で楽しむ』事にしますわ

一口齧ればわたくしの味方は回復を――敵には末期生活習慣病、高血圧に糖尿病等の疾病が心身に浸食していきますわ

指を鳴らしてチョコレートケーキを神将オブリビオンの波を分ける様に配置し、そのまま教会に突入しますわね



「きゅぴきゅぴ」
「もきゅっ♪」
「モキュ~!!」
 悪夢のイベント会場と化した敦賀市内。
 その主催者であるモーラットナイトメア達の勢いは留まる事を知らない。
 モーラットを主食とするモーラビット達も果敢に挑み続けるが、悪夢の力で弱体化され、本領を発揮出来ずにいる。
「おー、すっごいモフモフだらけだね♪ようし、モフモフに負けないように駆け抜けちゃうぞー☆」
 そんな大乱闘が続く中で、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)は相棒の子ライオンくんを呼び出して突撃のタイミングを見計らっていた。
「もきゅう!!」
 ティエルのすぐ側には先ほど捕獲したモーラビット達が加勢すべく、兎耳を研ぎながら姿勢を低くして指示を待っている。
「全くの乱戦ですわね……では、わたくしもお菓子を提供しましょうか」
 アンジェリカ・ディマンシュ(ケルベロスブレイド命名者・f40793)もお菓子を持参して、突破を試みようとしていた。
 だが一つ問題があった。
「もきゅ……」
 彼女達の背後ではモーラット達が悪夢にうなされ続けている。
 猟兵達よりも長い時間、悪夢を見せられ続け、精神的に衰弱しつつあるのだ。
「も、もきゅ~!!」
 突如、モーラットの1体が悲鳴をあげた。
 どうやら悪しき者に捕まり唐揚げにされる悪夢を見せられている。
 そのような目に逢っているモーラットがいると、モーラット達の間の都市伝説として伝わっているのだ。
「むむむ、何だかひどい夢を見ているようだよ!」
「これ以上、被害を広げる訳にはいきませんわね」
 一刻も早くこの場を突破したい2人であるが、弱りきっているモーラット達も気がかりであった。
「万夫不当たる猟兵よ、汝等の直往邁進を妨げる故何処に在らんや。七星将たる我廉貞、これより汝等の後背にて白毛玉達を守らん」
 そんな二人の心情を察してから、妖狐七星将『廉貞』と能力者達が駆けつける。
 彼自身は何を言っているのか、今一つ伝えられなかったが、能力者達の翻訳によって、この場は自分達に任せて先に進んで欲しいと伝えられる。
「いくよ、ライオンくん!うりゃー」
 モーラット達の心配も不要となり、ティエルは心置きなく行く手を阻むモーラットナイトメア達に向かって突撃する。
「も、もきゅ~!!」
「ふふーん、モーラットナイトメアもモーラビットもライオンくんに齧られたくなければ道を開けるんだ☆」
 ティエルが脅かし文句を発しながら、勢いよく突撃するも、モーラットナイトメアのもふもふの壁は思いの外分厚く、ティエルを乗せたライオンくんも思うように進めずにいた。
「むむむ、もふもふだよ☆」
「それなら私の出番ですわね…その津波は多くの偏りし豊穣を宿し、味方に味わいを、敵に病理を与える。壊れた糧の波濤は海嘯となり、やがて全てを飲み込むだろう」
 それならばとアンジェリカは大量のチョコレートお菓子を海嘯の如く顕現させる。
「もきゅ~!!」
 神将オブリビオンといえども、モーラットはモーラット、チョコレートの津波に飲み込まれたモーラットナイトメアは歓喜の悲鳴をあげながら、津波に流され白い毛玉をチョコレート色に染まっていく。
「ついでにお菓子も横取りしちゃうぞ☆」
 ティエルは津波に巻き込まれる前にライオンくんにジャンプしてもらって回避させ、流されているモーラットナイトメアから浮かんでいるお菓子を次々と奪っていった。
「お菓子の差し入れありがとうだよ♪」
「もきゅ~うう!!」
 お菓子を取られたモーラットナイトメアからは抗議の声があがっている。
「皆様には代わりにこれを差し上げますわ」
「もきゅ?」
 チョコレートマカロンを口にして、パーティーを全力で楽しむ心を持ちながら、アンジェリカは指を鳴らして、新たにチョコレートケーキを出現させた。
「も、もきゅ~!!」
 お菓子好きな性質は変わっていない、モーラットナイトメア達は目の色を変えてチョコレートケーキにへと殺到する。
「お、ライオンくんも、美味しそうに食べているね☆」
 ティエルが乗っているライオンくんもケーキをぱくりと食べて、元気になったようである。
「きゅぴぴ♪」
「もっきゅ!!」
 一方でモーラットナイトメア達は我先にとばかりにチョコレートケーキを奪い合っている。
 味方には活力を与えるが、敵対する者には毒なのである。
 しかも極度の興奮状態にし、中毒性もある為、モーラットナイトメア達は食べるのを止める事が出来ないのだ。
「きゅぅぅぅぅ…」
 そんなモーラットナイトメア達の様子を見て、チャンスだとばかりに目を光らせるモーラビット達。
「きゅぴ!きゅぴ!」
 そしてティエルとアンジェリカに向かって力強く鳴いた。
「何言っているのかわからないけれど、このまま突撃しろってことだよね♪おっけーおっけーボクにお任せだー☆」
 モーラビット達に後押しされ、ティエルは開けた道をライオンくんと共に一直線にへと進む。
「ええ、そのまま教会に突入しましょう」
 一時的にとはいえモーラットナイトメア達の妨害がなくなった今がチャンスである、アンジェリカもあとにへと続き、教会の前で同じく突破に成功した猟兵達と合流するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『モーラット・デビルキング』

POW   :    モーラット・スタンピード
【圧倒的もふもふ力】を籠めた【体当たり】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【敵対心】のみを攻撃する。
SPD   :    モーラット・オーバーラン
【周りを埋め尽くすモーラットの群れ】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    モーラット・カース
指定した対象を【モーラット】にする。対象が[モーラット]でないならば、死角から【大量のモーラット】を召喚して対象に粘着させる。

イラスト:熊谷狼

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アルミィ・キングフィッシャーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「きゅぴぴ!」
「もっきゅう!」
 猟兵達が教会に辿り着いた頃、市内ではモーラットナイトメアとモーラビットとの戦いは、今でも続いていた。
 一時的には勢いは衰えたものの、神将化オブリビオンである彼等は、狩り取られた毛も元に戻り、その数も増やし続けているのである。
「もきゅうう!」
 そんな終わる事にない戦いに不安そうにしている、モーラット達である。
 モーラット化の呪いも解ける様子も無く、モーラットナイトメアに見せられている悪夢も覚める事はないのだ。
「心配無用、後猟兵の活躍を期待するもの也」
「ええ、後は皆を信じるだけね」
 妖狐七星将『廉貞』と長い銀髪が特徴の女性を始めとした能力者達は、モーラット化されてしまった住人達の保護と、モーラビットがやり過ぎないように監視を続けている。
 猟兵達に加勢することは出来ないが、後顧の憂いを断つ事は彼等に任せても問題ないだろう。

「も~きゅっきゅきゅ!」
 その一方、教会内部ではメガリスゴースト化したモーラット・デビルキングは我が物顔で好き勝手に遊んでいた。
 結婚式に参加していた者たちは例外なくモーラット化の呪いを受け、配下であるモーラットナイトメア達の悪夢を見せられ、無力化されていた。
「も、もきゅう…」
「ぴぃぃぃ…」
 教会の隅で悪夢にうなされているモーラット達。
 今頃悪夢の中ではモーラビット達に毛を狩り取られ、そして唐揚げにされそうになっているのだろう。
「もきゅきゅきゅきゅ!」
 そんなモーラット達の様子を楽しそうに笑いながら、モーラット・デビルキングとモーラットナイトメア達はお菓子を押しそうに食べているのだ。
「もっきゅもきゅ!」
「も、もきゅうう…」
 そんな中でも唯一正気を保っているモーラット達がいた。
 モーラット化した花嫁の少女と花婿であるタキシード姿のモーラットである。
 タキシード姿のモーラットは勇敢にも悪夢にも負けずに、花嫁のモーラットを守っているのである。
「もきゅ!」
 花嫁に近づこうとする悪モラたちを電撃をバチバチとさせて遠ざけさせる。
「もきゅう…」
 そんな花婿モーラットの孤軍奮闘ぶりに励まされ、花嫁モーラットも懸命に援護する。
「きゅ~…もっきゅ!」
 そんな彼等を目障りに思ったのか、モーラット・デビルキングも悪そうな顔をして、目を光らせる。
 モーラット化だけでは生温いとばかりに、モーラットナイトメア達を集結させ、2人の中を引き裂くかのように粘着させようとしているのだ。
 まさにモーラット危機一髪の状況となっていた。
高崎・カント
「もっ! もきゅぴぴぴっ! もきゅー!!
式場のドアをバーン!と開けて、飛び込むのです!
愛する二人の仲を裂くなんて、カントが許さないのですー!!

悪モラ大と花嫁さん達の間に割って入るのです
もきゅ! もう大丈夫なのです!
悪モラはカントが倒すのです
花婿さんは花嫁さんを守ってあげるのです

もぎゅううううっ!
結婚式を邪魔するなんて、絶対絶対許さないのです!
【UC使用】してゆーいっちゃんを呼ぶのです!
もきゅーん! カントもゆーいっちゃんが大好きなのですー!!

ゆーいっちゃんからの愛でパワーアップなのです!
悪モラ大をパチパチ火花で攻撃なのです!
人の恋路を邪魔する奴は、モラに蹴られて地獄に落ちるのですー!!


ティエル・ティエリエル
うりゃりゃー、勇敢な花婿モーラットくんを助けにきたぞー☆(ばーんと飛び込んでくる)
うんうん、それでこそ立派な花婿さんだ☆
あとはボク達に任せておいて花嫁さんを守っててあげてね♪

背中の翅で飛び回って、デビルキングの毛をレイピアで刈り取っていくよ!
ふふーん、もふもふがなくなれば魅力半減いやいやマイナスになっちゃうね♪
ようし、それじゃあ、結婚式を邪魔する悪いモーラットは一毛打尽だーと【お姫様ビーム】をどかーんと撃っちゃうぞ☆

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


龍巳・咲花
人の恋路を邪魔する物は馬に蹴られるというでござるが、お主らはもっと悪い事をしてるでござる故、業火の炎の代わりにムシュマフの首に焼かれると良いでござろう!
その空気をたっぷり含んだオブリビオンもふもふはさぞかしよく燃えるでござろうな!

二体のムシュマフの首を呼び、一体はモーラットの参加者と花嫁婿を回収しながら守るように、もう一体は拙者と共に諸悪の根源へと向かうでござる!
相手のオブリビオンモーラットの群れはムシュマフの火炎放射で押し返してやるでござろう!
その炎の壁を目晦ましに拙者は一気に近付いて鎖鎌を巻き付け引き寄せながらの一撃を加えるでござるよ!


遠藤・修司
うわ、モーラットの群れ……。
あのいかにも悪そうなのが、元締だね
モーラットになるのはちょっと……いや大分嫌だな……

救助対象達が巻き込まれないように気をつけるよ
ええと、味方なら巻き込まれないよう避難してほしい
フック付ワイヤーをシャンデリアに引っかけて道を作り、新郎新婦達を離脱させる

『毛の塊なら燃やしてしまえばいいんじゃないかい?』
それなら、“僕”も手伝ってよ
『よしよし、なら僕の式神を貸してあげよう』

人格後退し【UC使用】
八咫烏を飛ばし、毛玉達を焼いてしまおう

もふもふ、よく燃えるんだな……
“僕”のしたこととはいえ、あれはやり過ぎじゃ……
いくら見た目が可愛くても、しばらくモーラットは見たくないな


アンジェリカ・ディマンシュ
そこまでですわ
大量のモーラットを時間操作による時間逆行で押し返し、そのまま時間停止でモーラットやモーラット化した人々を避難させていきますわ
時間制限はケルベロスには存在しない寿命……わたくしの世界で、ケルベロスが寿命で死亡した例は確認されていない
つまり、寿命が削れる苦痛のみ……無辜の民を思えば大したことはないですわ

時間停止空間で人々とモーラットを避難させた後、時間停止を解除して次はわたくしの時間を加速
加速した勢いを利用した徒手空拳で、モーラット・デビルキングを打ちのめしていきますわ



「もっ!もきゅぴぴぴっ!もきゅー!!」
「うりゃりゃー、勇敢な花婿モーラットくんを助けにきたぞー☆」
 結婚式の会場となっていた教会のドアをバーン!と開けて、飛び込んで来たのはモーラットの猟兵、高崎・カント(夢見るモーラット・f42195)と、フェアリーの猟兵、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)である。
「もきゅ~?」
 結婚式をぶち壊しにした上に、我が物顔でふんぞり返っている悪しきモーラット、彼こそがメガリスゴーストのモーラット・デビルキングである。
 メガリス『封神台』が復活するまでに生まれた存在であり、猟兵達が倒さなければならない相手なのである。
「も、もきゅ!」
 そのモーラット・デビルキングの背後には、この教会で式を挙げていた花婿モーラットが花嫁モーラットを庇うように静電気をバチバチとさせている。
 勇敢にも立ち向かおうとしているが、劣勢なのは明らかであった。
「もきゅ!もきゅ!(愛する二人の仲を裂くなんて、カントが許さないのですー!!)」
「うりゃりゃー!」
 カントとティエルは突入して即座に、デビルキングと花嫁婿モーラットの間に割って入るのであった。
「人の恋路を邪魔する物は馬に蹴られるというでござる」
 2人の後に続いて会場に飛び込んで来たのは、龍陣忍者の少女、龍巳・咲花(バビロニア忍者・f37117)である。
「お主らはもっと悪い事をしてるでござる故、業火の炎の代わりにムシュマフの首に焼かれると良いでござろう!」
「もきゅっ!」
 燃やすと言われ、デビルキングと配下であるモーラットナイトメアもびっくりする。
 そしてこんな可愛い自分達を残酷にも燃やすのかと、つぶらな瞳で訴えかける。
「うん、毛の塊ならよく燃えそうだよね」
 だがそんなモーラット達の訴えを気にすることなく、多重人格者の猟兵である遠藤・修司(ヒヤデスの窓・f42930)は咲花に同意する。
 教会内は元締であるデビルキングを始め、モーラットナイトメア達で埋め尽くされている。
 何よりも彼等は倒すべきオブリビオンなのだ。
 まとめて燃やしたくなる気持ちも頷けるというものである。
「も、もきゅぅぅぅぅ!」
 それならばお前達もモーラットにしてやると言わんばかりに、デビルキングは配下をけしかける。
「「もっきゅ~!」」
 モーラットナイトメア達も燃やされてたまるかとばかりに、襲い掛かってきた。
「モーラットになるのはちょっと……いや大分嫌だな……」
 迫りくる毛玉達を前に修司はげんなりとした表情になる。
「もきゅぴ!」
 その反応にカントも思わずツッコミを入れてしまう。
 早々に燃やしてしまいたい所なのだが、一つ問題があった。
「もきゅぴぃぃ…」
 教会内には花嫁婿モーラット達だけではなく、悪夢にうなされているモーラット達もいる。
 このまま下手に燃やしてしまえば、罪のないモーラット達も巻き込んでしまいかねないのだ。
「その心配は無用ですわ。あなた達の悪行はそこまでですわ」
 そこへケルベロスでもある令嬢、アンジェリカ・ディマンシュ(ケルベロスブレイド命名者・f40793)が姿を見せる。
「もきゅ?」
 アンジェリカ迫りくる大量のモーラットメイトメア達を時間操作による時間逆行で押し返した。
 そしてそのまま時間停止させ、その間にモーラットやモーラット化した人々を教会の外にへと避難させる。
「も、もきゅっ!!」
 デビルキングも何が起きているのかと動揺する。
 デビルキングの視点からは教会の隅で悪夢にうなされていたモーラット達が一瞬で消えたように見えているのだ。
 時を止める言葉にすれば簡単に思えるが、実際は途方もない負荷がかかる行為である。
 避難活動をしているだけでも、時間操作の能力は代償で寿命を削らなければならない程なのだ。
 だがアンジェリカは、UCで寿命が尽きたその実例を知らない。
 だから代償として受けるのは苦痛のみ……それも無辜の民を思えば大したことはないのだと、アンジェリカは自分に言い聞かせ、時が止まった中で避難活動を続けた。
「もきゅ、もきゅううう!!」
 その一方で折角の楽しみをぶち壊しにされたことに怒ったデビルキングは、猟兵達にドス黒いオーラを解き放つ。
 そのオーラこそが狙った対象を、モーラットにへと変えてしまう呪いなのだ。
「きゅきゅきゅぴぃぃぃ!」
 それだけに留まらず、猟兵達の死角から新たなモーラットナイトメアを呼び出して、動きを封じるように粘着させた。
「きゅきゅきゅきゅ!」
 呪いと悪夢による2重苦が猟兵達を攻め立てる。
「もぎゅううううっ!」
 圧倒的もふもふに圧し潰されそうになるも、カントは結婚式を邪魔するなんて絶対に許さないという思いを胸に、UCを発動した。
「カント君、助けに来たよ!」
 そして颯爽と駆けつけたのは、カントがよく知る|青年《ゆーいっちゃん》である。
「もきゅーん!」
 カントは粘着して来るモーラットナイトメアを跳ね除け、嬉しそうに青年に飛びついた。
「うん、よく今まで頑張ったね。さあ、一緒に結婚式を邪魔する奴らをやっつけよう!」
「もっきゅ~♪」
 ゆーいっちゃんに撫でられ、パワーアップしたカントはデビルキングへの逆襲を開始する。
「も、もきゅ~!!」
 パチパチ火花による攻撃を受けたデビルキングが怯み、隙を見せた所でカントは突撃する。
 モーラットナイトメアも邪魔しようとするが、ゆーいっちゃんによって阻止される。
「もっきゅ~!!(人の恋路を邪魔する奴は、モラに蹴られて地獄に落ちるのですー!!)」
 カントの渾身のキックが、デビルキングに直撃し、大きく吹き飛ばされる。
「隙ありだね!」
 そこへモーラットナイトメアを振り払った、ティエルが斬りかかる。
「も、もきゅううう!」
 背中の翅で飛び回り、手にしたレイピアでデビルキングの自慢の毛を狩り取っていく。
 その素早い動きは目にも止まらず、この場にモーラビット居たら、彼等もびっくりしていただろう。
「ふふーん、もふもふがなくなれば魅力半減いやいやマイナスになっちゃうね♪」
 フェアリーらしく笑顔を振りまきながら、ティエルは自慢げにレイピアを掲げる。
「もきゅううう!」
 アイデンティティを失ってしまい、哀れとも言えなくもないが、デビルキングはそれ以上の悪さをしてきたのだ。
 弱者を放っておけない心優しいティエルといえど、心を痛める理由など何一つとしてないのである。
「ようし、それじゃあ、結婚式を邪魔する悪いモーラットは一毛打尽だー」
 ティエルは容赦なくレイピアから『お姫様ビーム』をどかーんと発射し、デビルキングだけでなく近くに居たモーラットナイトメアもまとめて吹き飛ばすのだった。
「きゅるるるる~!」
 だがそれでもまだ懲りた様子はなく、ビーム攻撃を受けていなかったモーラットナイトメア達はまだ避難できずにいた花嫁婿モーラットに襲い掛かろうとしている。
「まだ反省が足りぬようでござるな」
 そうはさせまいと咲花は、二体の炎竜ムシュマフの首を呼び出し、一体を花嫁婿モーラットの護衛に向かわせる。
 呼び出されたムシュマフも心なしか、デビルキング達の悪行に怒っているようであった。
「きゅぴっ!きゅうう……!!」
 蛇に睨まれた蛙の如く、モーラットナイトメアは一歩も動けなくなる。
 その隙に咲花はもう一体のムシュマフと共に諸悪の根源へと向かう。
「もきゅきゅきゅ!」
 デビルキングは負けてなるかとばかりに、マントに身を包んで懸命に新たなナイトメアの群れを召喚する。
 圧倒的なもふもふで圧し潰すつもりなのだろう。
 だが咲花にとってはかえって都合が良かった。
「前言通りに、ムシュマフの首に焼かれると良いでござろう!」
 咲花の命を受け、ムシュマフの首から火炎放射が発射された。
「も、もきゅううう!!」
 呼び出されたばかりのナイトメアの群れは炎に焼かれ、全身火の玉と化してしまう。
「よしよし、なら僕の式神も手を貸してあげよう」
 ここぞとばかりに修司も式神である八咫烏を呼び出した。
 アンジェリカの避難活動によって、オブリビオン以外のモーラット達を巻き込む心配もない。
 八咫烏の全身が太陽のように輝いたかと思えば、紅の炎がナイトメア達を包み込む。
「もぎゅううううう!」
 教会内を照らす見事なモーラットキャンドルの出来上がりである。
「さあ、今の内に逃げるんだ」
 モーラットナイトメアの群れが燃えている間に、修司はフック付ワイヤーを教会の天井にぶら下がっているシャンデリアに引っかけ道を作り、逃げ遅れていた花嫁婿モーラットを避難誘導させる。
「もきゅ……」
「もきゅっ!」
 いつシャンデリアに炎が燃え移って、崩れ落ちてしまうかもしれない状況である。
 花嫁モーラットが躊躇いの様子を見せるも、案外勇敢な花婿モーラットは花嫁モーラットの手を取ってワイヤーからシャンデリアに駆け上がった。
「もきゅ♪」
 そして花嫁婿モーラットはシャンデリアの上から教会の外にへと避難していく。
 この場に残っているのは猟兵達とよく燃えている悪モラ達だけとなった。
「もぎゅううううううう!!」
 その間にもモーラットナイトメア達は火に油を注いでいるかのようによく燃えている。
 彼らにとってはまさに悪夢のパーティーである。
「もふもふ、本当によく燃えるんだな……」
 “僕”のしたこととはいえ、やり過ぎたかなと、さしもの修司も心を痛めるのだった。
「ですから、もう終わらせますわ!」
 他のモーラット達の避難を完了させた、アンジェリカは時間停止を解除し、今度は自身の時間を加速させる。
 身体に新たな負荷がかかるが、一刻も早くこの悪夢を終わらせたいという思いが、アンジェリカを加速させるのだ。
「もぎゅうううううん!!」
 そして加速した勢いを利用した徒手空拳による制裁が、モーラット・デビルキングを徹底的に打ちのめしていく。
「成敗でござるよ!」
 更に追い打ちをかけるべく、炎の壁と化したナイトメア達を目晦ましにして、一気に接近した咲花は、鎖鎌を巻き付け、デビルキングを引き寄せてからの一撃を加えた。
「モーラットさんトドめだよ☆」
「これで終わらせてくれよ」
「も、もきゅぴぴぴぴっ!」
 そしてティエルと修司の声援を受け、カントとゆーいっちゃんの愛のコンビネーションが炸裂した。
「きゅ、きゅうううううう!」
 猟兵達の総攻撃を受けたデビルキングは、もう降参だと言わんばかりの悲痛な鳴き声を上げながら、消滅するのだった。

 メガリスゴーストの消滅により、敦賀市内のモーラットナイトメアの群れも消滅もしくは、元のモーラットにへと戻った事で害をなす存在は完全に消滅した。
 尚も野良モーラット達を食らい尽そうとするモーラビット達だったが、妖狐七星将『廉貞』を始めとした大陸妖狐の精鋭たちと能力者の尽力のおかげで、新たな被害を出す事もなく、モーラビット達は追い払われた。
 彼等は再び元のひっそりとした生活にへと戻る事だろう。
 モーラット化されていた者達も、すぐに元の姿にへと戻り、多少の混乱はあったものの、事態は落ち着きつつあった。
「これで元通りですわね」
 アンジェリカの時間逆行能力の応用によって、滅茶苦茶にされていた教会は結婚式を挙げていた時の状態に修復された。
 悪夢から解放された人々の幸せそうな様子を見れば、代償による苦痛など気にもならない。
 そして結婚式の続きも行われ、猟兵達に協力者である廉貞と能力者達も新たな参列者として加わったのである。
「万時事を為せり」
 廉貞が満足そうにしているのだけは、この時ばかりはわかりやすく全員に伝わるのだった。
「ふふーん☆結婚おめでとうだよ」
「おめでとうでござるよ」
 ティエルは他のモーラット達と一緒になって飛び回りながら祝福し、咲花も花束を手に満足そうにうんうんと頷く。
「もきゅぴぴぴっ!もきゅーん♪」
 そして誰よりも心の底から祝福しているのは、同じく愛する人と式を挙げことのあるカントだった。
 ゆーいっちゃんに両腕で抱かれながら、嬉しそうにはしゃいでいる。
「やれやれ…いくら見た目が可愛くても、しばらくモーラットは見たくないな」
 そんな中でただ一人、戦いの後を引きずっている修司は、誰にも聞こえない程度の小声でそうつぶやいた。
 オブリビオンだったとはいえ、モーラットを燃やしたことに罪の意識を感じてしまっているのだろう。
「もっきゅ!」
 そんな修司の心情を察してか、モーラットの1体がすり寄ってくる。
 助けてくれたことに感謝しているのだろう。
 こうして敦賀市の平和は守られ、能力者の少女の花嫁とその伴侶であるモーラットの花婿による、結婚式は無事に終わりを迎えたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年06月20日


挿絵イラスト