「助けてくれて、ありがとう」
そう言って少女は笑った。水に写った月に手を伸ばそうとした少女……ああ、また死んでしまう。水に落ちて、苦しんで、月に届かぬ自分に嘆いて。
届かぬはずのその少女に手を伸ばしたのは本能的なものか、はたまた哀れと思ったのか、あるいは……わからないが、その少女がこちらを見れたのは、たまたまのこと。
見鬼の才能があったのだろうか、彼女は私を見て驚いて、手を滑らせて落ちそうになってしまうのを反射的に支える。やわい人間の体、自分が力を込めればあっという間に死んでしまいそうな……そんなやわい彼女は、けれども私を見上げると、助けてくれてありがとうと笑った。私のことを怖がりもせず、殺そうとしたと詰め寄ることもせず、綺麗に、笑ったのだ。
「ねぇ、お友達になりたいな。また遊びに来てもいい?」
こくり、気づけば頷いていた。お友達、私の初めての……。
「もちろん……ここで、待ってるわ。いつでも」
ここで会いましょう、秘密の遊びをしましょう。なんでもないお話をして、穏やかな時間を過ごしましょう。
だから……ここは私が守る。あなたを待つために。 ずっと、ずぅっと。
水面に写る月が、美しく揺らいだ。
………………、
「大切な人を、待ち続ける。そのための場所を守る……んー、少しだけわかる気がするなぁ」
UDCアース、集まった猟兵たちを前に八重咲・風鈴(旅する羽衣人・f43372)はいつも通りのほほんと告げた。
「なぁ、皆にはたとえどんなことになっても、守りたい約束ってあるぅ?」
そう、たとえ自身が怪物に成り果てても、何もかも分からなくなっても守りたい約束……。そんなものは誰にだってあるかもしれないし、ないかもしれない。自分は果たしてどうだったかなぁなんて思いながら、寄り添う守護龍を撫でてから笑う。
「妖怪がなぁ、大切な約束を守るために、UDC怪物を食い続けてるらしくてなぁ……んー、けど妖怪のことどうにかする前になぁ、集まっちゃった雑魚を倒してなぁ」
とりあえず最初は雑魚戦、喰らうためにおびき寄せられたUDC怪物の群れを倒さなければ、妖怪の元へたどり着くことは出来ない。まあ、猟兵たちならば雑魚相手に関しては心配いらないだろう。本命は妖怪だ。
「その妖怪はなぁ、待つ場所を、守り続けてるんだとさぁ」
大切な場所、待つための場所、守るために喰らう。その約束がもう果たされないことも知らずに。それはあまりにも、
「さびしくて、かなしいなぁ」
ぽつり呟いてからそっと目を伏せるが、すぐに顔を上げて、
「妖怪は約束のことは覚えてるみたいでなぁ……その事を伝えたら、お話、出来るかもしれないなぁ」
結構強そうな妖怪だからなぁ、真正面から戦うのはおすすめしないなぁと零す。長年UDCの怪物を喰らい続けて強くなった妖怪、一筋縄では行かないだろう。だが、その芯は【約束を守ること】、それがもう果たされないとなれば……、揺らぐ可能性は高い。上手く行けば理性を取り戻せるかもしれない。
「……でも、自身が分からなくなるほどに思われるってのも、少しだけ羨ましいかもなぁ」
なーんて零してから、苦笑を浮かべて、ひらりと風鈴が手を振る。
「じゃ、頑張ってなぁ」
白藤
こんにちわ、今回はUDCアースにカクリヨの妖怪が現れたよ、というシナリオです。
一章は雑魚戦なのでサクッとやっちゃいましょう!二章が本番の妖怪退治……けど、約束のことを話せば彼女は理性を取り戻すかもしれません(プレイングボーナスです)。
プレイングお待ちしております。
第1章 集団戦
『悪霊』
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POW : 共食い
戦闘中に食べた【他の個体】の量と質に応じて【自身の傷を癒し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : ミーム拡散
自身が【一般人に認識されたこと】を感じると、レベル×1体の【新たな悪霊】が召喚される。新たな悪霊は一般人に認識されたことを与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ : 不滅
自身が戦闘で瀕死になると【相手の記憶を元に生成された新たな悪霊】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:雨色
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
筒石・トオル(サポート)
「邪魔をしないでくれるかな」
「油断大敵ってね」
「ここは任せて」
正面切って戦うよりも、敵の動きを封じたり、属性防御を固めて盾や囮となったり、味方が倒し切れなかった敵にトドメを刺して確実に倒すなど、味方の安全性を高めるように動く。
ユーベルコード使用はお任せ。
使用しない場合は、熱線銃での援護射撃を主に行う。
人見知りではあるが人嫌いではないし、味方が傷付くのは凄く嫌。
戦うのも本当は好きではないが、誰かを守る為には戦う。
もふもふに弱い。敵がもふもふだと気が緩みがちになるが、仕事はきちんと行う……ホントだよ?
「邪魔をしないでくれるかな」
こいつらを倒さねば妖怪の元へはたどり着けない……妖怪によって集められた、喰われるだけのUDC達を見渡して筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)は告げる。
なにやら不気味な声を上げて、悪霊がトオルを認識する。どちらが先かなんてことは問題では無い、自身達が認識されたと感じただけで、ずるり、とその数が増えるのにトオルは眉間に皺を寄せる。
生まれた瞬間に襲いかかってくる悪霊の攻撃を見切り、するりと避けるとわずか目を伏せるその瞬間、トオルの隣にもう一人、トオルと瓜二つの少年が現れた。彼はトオルのもうひとつの人格……こうして手助けしてくれる力強い味方だ。
「いくよ」
「うん」
2人が熱線銃を構え地面を蹴る。お互いの戦いを2人は熟知している。だって、自分なのだ。
トオルが銃を構えて悪霊の一体に狙いを定めた瞬間、襲ってこようとする別のをもう1人のトオルが撃ち抜く。数が多いが、そこは範囲攻撃でカバー、無数の熱線が悪霊たちを撃ち抜く中、2人は背中合わせになって互いを守り、援護し、戦う。
この先にいる『妖怪』と会うために。そして目的を共とする仲間の道を切り開くために。鏡合わせのように二人は戦場を舞うのだった。
成功
🔵🔵🔴
セラー・ミメシス
UC【愚者の宝物】を起点に戦うか。
悪霊なー。どうにも貪欲そうだし、効いてくれると思うが……愚者の宝物で生成したオタカラ達を、できるだけバラけるように悪霊の群れに向けてブチ撒けるぜ!オタカラが当たったやつは俺の洗脳の影響下なんで、同士討ちを狙って行くぜ。
「まぶしいなぁ?キレイだなぁ?欲しい奴らにはくれてやるぜ!ただし“同士討ちをしろ”拾った宝の価値を同族を屠った数で示しやがれ」
増えた新たな悪霊もこれで数を減らせるだろう。
悪霊同士じゃ決着がうまくつかねえ感じなら、俺自らエクトブラズムの防御力をアテに体当たりしてとどめを刺していくぜ。
変な呪いとかももらわないように、霊的防御もしっかり固めて突撃だ!
悪霊なー。どうにも貪欲そうだし、効いてくれると思うが……。ぐるり周囲を見渡してセラー・ミメシス(異界渡りの菫色・f43527)は呟く。いかにも貪欲そうな悪霊達……生にも、こういう物にも貪欲だろうとユーベルコードを発動!自身の中からエクトプラズム製の【オタカラ】を勢いよくばらまく!
なるべく広く、なるべく散らばるように。キラキラと美しい光を放って、宝石や金貨がばら撒かれ、床に落ち弾けては更に光を放つ。キラキラとジャラジャラと音を立てる。その光景は悪霊たちの目を釘付けにした。
「オォ……オオォオォ」
綺麗で、美しい、価値のあるもの……それが何からばら撒かれ、何故ばらまかれたのも気にせず、狙い通り、やつらは一目散へお宝へ向かっていく。新たに生まれた悪霊も同じくそう。狙い通りのそれにニヤリと笑って更に煽るように声を上げた。
「まぶしいなぁ?キレイだなぁ?欲しい奴らにはくれてやるぜ!ただし“同士討ちをしろ”拾った宝の価値を同族を屠った数で示しやがれ」
ばら撒かれたものはただのお宝などではない。セラーのエクトプラズムによって作られたもの、そしてそれに触れたものを洗脳する。
悪霊たちの目が互いを見やる。同族たち、だが今は【敵】でしかない。こいつを殺せ、殺せば殺すほど宝の価値は上がる。自身の価値を示せ、宝を全て自分のものに!!
「アァァァァア゛」
悪霊達が同族に喰らいつく!お互いに喰らって、喰らい尽くして、なんとも地獄絵図のような有様。これは自分のものだ、価値を示さねば、殺せ殺せ、殺しつくせ、喰らいつくせ!怨嗟の声が響く。唸るような声、恐ろしい悪霊の声に、けれどもセラーは気にもせず今度は自身も参戦する。自身の体を柔らかな光が包み込んだ。下手に呪いとか受けるのはゴメンなので、霊的防御でしっかりと固めて突撃!
「ゥア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ !!」
喰われて弱っていた悪霊の一体が突撃された衝撃で簡単に吹き飛び、岩に激突して消え去る。だが他の悪霊達はそんなもの目もくれず、目の前の同族を喰らうことに夢中だ。
「よし、次だな……」
まだまだ悪霊たちは多い……同族を喰らい、その数は少しづつ減っているようだが、それでもまだいる。次だ、とセラーは再度地面を蹴ったのだった。
成功
🔵🔵🔴
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
生き永らえる手段に貪っているのが悪霊……!?
そりゃあダメだ、ただでさえ障りやすいのにもっと悪い方向に振れちまう!
件の妖怪に最後の一線を越えられる前に、全力で蹴散らしにかかるよ!
ある程度実体を持って襲い掛かってくるんなら、アタシも小手先の細工なしで真正面からぶち当たるよ。
サイキックの力を練り上げて『浄化』の力を纏いながら、『衝撃波』による『範囲攻撃』で周囲の奴らを吹き飛ばす。踏み込んできた奴らにゃ『功夫』と『グラップル』を組み合わせた接近戦で組み打ち、滅していくよ!
もうこれ以上、だれも怪物に堕とさせるものかよ……!
悪霊たちが進む。自覚はないが喰われる為に、滅びるために進み続ける。
その光景を見やって数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は眉間に深いシワを刻んだ。
「生き永らえる手段に貪っているのが悪霊……!?」
この先には妖怪がいる。約束を果たすために、生き長らえるためにUDCを誘い込み、貪っている妖怪が……。だがこんなのはダメだ、と多喜は首を振る。ただでさえ障りやすいというのに、こんなものを喰らっていたら余計に悪い方向へ流れてしまう。そうしてその結果はどう足掻いても破滅だ。
多喜の脳裏にかつての友が浮かぶ……自分は知っているのだ、その末路を。嫌という程に、知っている。
浮かんだ友の姿に一瞬目を伏せて、だがすぐに顔を上げると悪霊たちを睨んだ。
ぐっと両手を構えてサイキックの力を練り上げる。そこにまとわせるのは『浄化』……悪霊たちにはもってこいの技だ。小手先はなし!真正面からぶち当たる!!
「オオオオ゛!!」
こちらへ何体もの悪霊が向かってくる。やつらは互いを喰って喰われて自己再生しながら力を増しているが、
「はぁっ!!」
突き出した手から浄化の力を纏ったサイキックパワーが衝撃波として奴らを吹き飛ばす!何体か、その力に耐えきれず消えていったのを確認する前に、それを掻い潜ってこちらへ踏み込んできた悪霊に組み付き、その体に掌底を叩き込む。
まだ敵は多い、だが間に合うのであれば!
「もうこれ以上、だれも怪物に堕とさせるものかよ……!」
大成功
🔵🔵🔵
サンディ・ノックス
なるほど
このUDCは数が多いし、再発生する能力も持っているみたい
餌にするなら丁度いいか
難点は美味しくなさそうなことくらいじゃない?
彼らの放つ怨嗟の念にうんざりしながらも黒剣を抜き
身に着けている軽鎧と一体化変身を果たす
変化する異形の姿は全身黒鎧
群れへ突っ込んでいって黒剣で切り刻んでいく
斬った結果、彼らが共食いをする様子を見れば呆れ顔をして
生存したいという意欲まで高いんだ、面倒くさいなと零し、UC伴星・傲慢な飛輪を発動
剣で斬るのはやめて腕をチャクラムに変化させ悪霊を刻む速度をアップ
食べて再生する速度よりも早く攻撃すればいいよね
ぉぉ……ぉぉお……。
目の前で不気味な声を上げながら増えていく悪霊たちを見やり、なるほど、とサンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)は頷いた。
数が多い、その上再生する、となれば餌にするなら丁度いいかな、なんて思う。難点は美味しくなさそうなこと、それぐらいだろう。
「おぉ……ぉぉおおおお」
怨嗟の声が響き渡る。全てを恨み、憎むかのようなその声にうんざりしつつも抜き放つのは自身の武器である黒剣、それにより変化する姿は全身を黒き鎧で覆った異形だ。
だっ……!と地面を蹴り怨嗟の群れへとその身を投じる。襲いかかる悪霊たち……だがその手が届く前に黒剣がその身を切り裂く。呆気なく切り裂かれる悪霊たち、そんな仲間の様子に嘆くように声を上げながら、悪霊たちはそれをも食い尽くす。
自身を回復させるために、生き残るために、それは生存への本能だ。
それにサンディは、はぁ、と深々とため息をついた。生存意欲まで高いなんてめんどくさい。ましてや奴らは増える。増えて共食いをして、力を高め、回復する。一種の無限ループだ。
剣で切り刻むだけでは、向こうが増えて共食いをして回復することを上回るのは難しいかもしれないと、剣を収めて片腕をチャクラムに変化させる。
ユーベルコード、伴星・傲慢な飛輪……肉体を変化させ作り上げた漆黒の飛輪が、風を切り裂いて、更に一気に悪霊数体を切り裂いていく。
剣で切り裂くのが追いつかない、それならば簡単なこと、それよりも早く奴らを切り裂けばいい。
「食べて再生する速度よりも早く攻撃すればいいよね」
そう呟いてから笑みを浮かべると、サンディは再度腕を振りかぶり、悪霊たちの群れに漆黒を投げつけたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
鳶沢・成美(サポート)
『え、これが魔導書? まあどうしよう?』
『まあどうでもいいや、オブリビオンなら倒すだけですよ』
故郷UDCアースの下町の古書店でたまたま見つけた魔導書を読んで覚醒した自称なんちゃって陰陽師
昨今でいう陽キャラ? みたいな行動は正直よくわからないのでマイペースに行動
でも集団での行動も嫌いじゃないですよ
元ボランティア同好会でつい気合い入れて掃除しちゃったりしなかったり
一応木工好きでゲートボール好きキャラのはず……たぶん
例え好みの容姿だろうと、事情があろうと敵ならスパッと倒すだけですよ
実はシルバーレイン世界の同位体である自分と融合していたことが判明
三角定規型詠唱定規の二刀流で戦う様に
アドリブ・絡み・可
「こいつらを倒せばいいんだね」
悪霊たちを見やりながら直角三角形型のでかい木製三角定規を構える。よく学校で使われる教材、いや、下手したら今はあまり使われないかもしれないそれが、鳶沢・成美(三角定規の除霊建築士・f03142)の武器だ。
悪霊たちが鳶沢に『認識』されたが故だろう、数が増える。まるで体が半分に割れるかのように。パニックホラーのような様相に、けれども慌てたりはしない。なにせ、悪霊相手とならば、除霊建築士として払うことはいわば本職なのだから。
結界術を自身の体に纏わせて地面を蹴る。相手の数は多いが、ある程度密集してくれているのは鳶沢にとって逆に好都合だ。
息を吐き出して集中、第六感である程度敵の攻撃を掴み避けながら
「舞え、氷の竜よ。アイストルネード……なんちゃって」
吐き出される言の葉の詠唱に応じて無数の氷の粒が、正に猛り狂うドラゴンのごとく悪霊たちへと襲いかかる。ただの氷の粒と侮るなかれ、高速で舞うそれは、悪霊たちの体を細かに削っていく。それこそ、他の奴らを喰らって回復する間も無いほどに。
「よし!」
自身の周囲の悪霊が倒れたことに頷いてから、それでもまだまだいる悪霊たちを倒すために、詠唱三角定規Aを持ち直して戦いへと戻るのだった。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『捉月』
|
POW : ―――……来て、触れて。そしてひとつに。
自身の【周囲を飛び交う「月」】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[周囲を飛び交う「月」]から何度でも発動できる。
SPD : ―――……満ちては、欠けて。いつしかひとつに。
自身が【操作する「月」と共に呪歌を多重詠唱して】いる間、レベルm半径内の対象全てに【新月から生じる死の波動】によるダメージか【満月から生じる再生の波動】による治癒を与え続ける。
WIZ : ―――……願って、捉えて。やがてわたしのものに。
戦場全体に、【あなたが欲するもの幻を映し出す、水の帳】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
イラスト:えな
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「小泉・飛鳥」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
悪霊たちが倒されていく。他を喰らって回復する間も無いほどに。
猟兵たちの活躍は悪霊たちを倒し、彼らを妖怪の元へと進ませる。古の約束にすがり、堕ちてまでも留まろうとする妖怪の元へ。
「あぁ、ああああぁっ!!」
叫び声、あるいは嘆きの声が響き渡る。どれほど彼女に理性が残っているのか……美しい尾鰭が震える。自身を邪魔する奴らを殺そうと血走った目で猟兵たちの方を睨みつける。
それを感じながら、風鈴はそっと目をふせ、傍らの守護龍を優しく撫でた。もはや叶うことの無い約束に縋り続けるその様は、哀れにも切なくにも見える。
だが夢はいつか終わる、この悪夢も終わらせなければならない。きっとここまで来た彼らなら大丈夫だろう。
「頼むなぁ……思い出させてあげてなぁ」
古の約束を、本当の約束を……望まれたのはあの妖怪が堕ちることでは無いことを、思い出させて欲しい。
どうかこの悪夢を終わらせてあげて欲しい。
そう願いながら、そっと風鈴は目を閉じた。
サンディ・ノックス
異形への変身を解き
「綺麗な場所だね」
声をかけて彼女の反応を見る
彼女の反応がどうであれ言葉はかけ続ける
「邪魔をしてごめんね」
攻撃されてもしばらくは反撃しない
この場所はおそらく彼女が約束をした、守るべき場所なんだと思うけど
仮に別のところだったとしても俺の言葉は嘘にならない
だって場所そのものじゃなくて約束を守ろうとする彼女の心を綺麗だと思っているのだもの
「ねえ、どうしてそんなに一生懸命なのか覚えてる?」
彼女から言葉を引き出すために、穏やかな表情、所作で語り続ける
「大切なヒトとまた出会うためでしょう?」
声が届くと信じているから攻撃はせず
召喚するUCは攻撃手段ではなく
出現する盾で身を守るために使う
悪霊たちを倒し辿り着いた先は、林の中にぽつりとある湖だった。長年妖怪が守り人の手が入っていなかったゆえか、そこは静かで美しい。
澄んだ水面は空の星や月をまるで鏡のように映し出し、手を伸ばせば届きそうなほど……この月にこがれ、落ちた者もきっといるのだろう。
それほどに美しい場所であった。
さく、さく……足元の草を踏みつけてゆっくりと足を進めていけば、その湖畔でひらりと舞うように靡く月のような鰭を見つけ、サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)は異形の姿を解く。全身黒の甲冑から、穏やかで線の細い中性的な青年は、黒剣を鞘に収めて彼女へ笑いかけた。
「綺麗な場所だね」
先程の悪霊たちへの無感情なものとは違う、柔らかな声……その声に妖怪が反応して顔を上げる。元は穏やかだったろうその瞳は長年の『捕食』により暗く淀み、『侵入者』を睨みつけた。
「邪魔をしてごめんね」
敵意を向けられているのはわかる、痛いほどの殺気もわかる。入ってくるな、邪魔をするなと言う拒絶の意志もわかる。それでも
「ねえ、どうしてそんなに一生懸命なのか覚えてる?」
彼女のヒレがこちらを攻撃しようと強く振り上げられるのを伴星・怠惰の黒盾で防ぎつつも、攻撃は行わない。穏やかに柔らかに声をかける。古の約束に縛り付けられ、その約束そのものさえも下手をしたら曖昧になってしまった彼女に、こちらを拒絶する彼女に、それでもこの声は、この言葉は届くと信じて。
だって、彼女はここを守り続けてきた。この美しい場所を、美しいままに。
その手段故に堕ちてしまっているが、ここは淀んでいない。美しい湖畔の月は変わらぬ姿のまま……ならばまだ希望はあるはずだ。
盾にふせがれ、攻撃が通用しないのに、彼女が喉の奥から絞るように声を上げた。その声に反応して、空から水の帳が降りていく。彼女の姿を隠し、その場に迷宮を作り上げていく。それはまるで彼女の涙のようで、サンディはそっと手を差し出た。彼女の言葉を導き出すために。
「それは……大切なヒトとまた出会うためでしょう?」
ぴたり、帳が作られる途中で止まる。大きく目を見開いた彼女がその視線をサンディに合わした。ああ……やっとこちらをしっかりと見るのに、やはりまだ通じる、まだ間に合うとサンディは柔らかく微笑んだ。
さあ、話をしよう。約束を思い出し、そして果たすために……。
大成功
🔵🔵🔵
セラー・ミメシス
ちょいと賭けになるとおもうが、大事な物を覚いだせねえかアイツの力を転用して試すぜ。
やりたいことは、UC【魔法鹵獲術】で相手のユーベルコードのWIZを記録し、それを使ってやることだ。
既に迷路が出来上がってるみてえだし、俺にはどういうもんが見えるかを確認する。俺がセラーと名乗る前、誰かと旅や日常を過ごしてた景色とかが見えるんなら相手にも“約束の相手”が見える可能性は高いと思う。
UC【魔法鹵獲術】で相手のユーベルコードをこっちが使用してアイツの望みを迷路に映す!約束の相手が映ると、信じる!
「アンタのとこの水の帳に映ったものは何だ?餌や、呪いで黒ずむお前か? 違うだろ?大事な事を、思いだす時だぜ!」
よしよし、上手いこといった。と悪霊たちを退けてセラー・ミメシス(異界渡りの菫色・f43527)は先へ進む。
林の中を進んでいけば、辿り着いた先は美しい湖畔……のはずなのだが、今やそこは、月光に輝く水のカーテンによって隠されていた。
それは水の帳の迷宮。
妖怪の姿はその奥にあるのか今は見えず、水の帳に写るのは自身だけ、のはずが、そこに映るものを見て、セラーは、んん?と首を傾げた。
「こいつは……ちょいと賭けになるとおもうが……」
ひとつ思いついた、と、水の帳で作られた迷宮を見つつ、ユーベルコードを発動。パラパラパラと本のページをめくりながらセラーの前に魔導書が現れる。それは、この水の帳のユーベルコードを記載した魔導書……これにより、セラーは今、同じものを使うことが出来る。
だがそれは攻撃のためでも、身を守るためでもない。
この水の帳の迷宮に入った時、セラーの目に見えたのはかつての旅の記憶、セラーと名乗る前に過した何気ない日々の記憶だった。そこには何気なさすぎて忘れてしまったものもいくつか……だが、自分にこれが見えるのであればきっと
「よしっ!行くぜ!」
セラーが水の帳の迷宮を作り上げる。それは今の迷宮を上書きし、そこに映し出すは彼女の記憶。彼女が長い時間の中で忘れ去ってしまった本当の望み……それが写し出せれば!
「アンタのとこの水の帳に映ったものは何だ?餌や、呪いで黒ずむお前か? 違うだろ?大事な事を、思いだす時だぜ!」
キラキラと月光に輝く迷宮……そこに映し出されるのは……人を想う妖怪と、柔らかに笑う少女の、大切なひとときだった。
大成功
🔵🔵🔵
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
満ちては、欠けて……そしてそれを繰り返して、か。
アンタが経験してきたその歳月、とんでもないんだろうね。
けれど、その長い間を耐え忍ばんとした思い、まだ消えちゃいないはず……どれだけ闇の淀みや絶望の底にあろうとも、浚い出してみせる!
月の満ち欠けと呪歌による波動がダメージの元なんなら呪詛への耐性で必死に堪え、彼女へ見えない思念の腕を伸ばす。
決して殴りつける為じゃない。手と手、心と心を繋ぐ、その為に。
そうさ、アタシは「彼女」じゃない。
でも、似たような力はあるみたいだ。
教えておくれ、彼女との思い出を。見せておくれ、交わした約束を。
そして奥底に眠ってる優しさを思い出しておくれ!
満ちては、欠けて、欠けては、満ちて……それを幾度繰り返したのだろうか。
空に登る月の満ち欠けを、幾度見続けたのだろうか。
長い、長いその月日を……悪霊を喰らってまで生きながらえ耐え続けた日々を、その理由を……例えどれだけ淀んでも、例えどれだけ絶望の底に堕ちていても、まだ消えてはいないはずだ、と数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は、辿り着いた、美しい湖畔の畔で彼女を見つめながら想う。
『……アア……アアアアアッ !!』
『敵』を認識し、彼女の口から迸る『歌』。周囲を浮遊する月が欠けて行く。暗く、暗く……それは死の波動、人を死へと誘う子守唄。
普通の人間ならひとたまりもないが、呪詛への耐性がある多喜ならば耐えられる。
ぐっと唇を噛み締めて、死の波動を耐えながら伸ばすのは、思念の腕……本来ならば相手のユーベルコードを封じ、攻撃力を減らすその力を、今は知るために伸ばす。
こうなってまで守りたかった、約束。その大切なものを取り戻すために。
自分は『彼女』ではない。この妖怪が待ち続けている者ではない。
けど、繋ぐことは出来る。
手と手を……心と心を……!
「教えておくれ、彼女との思い出を。見せておくれ、交わした約束を」
多喜の想いが乗った思念の腕は、妖怪の手をしっかりと握りしめた。途端、多喜の脳内に溢れるのは、何気ない日常の風景で。
湖の月に手を伸ばそうとして落ちかけたのを妖怪が助けた少女。彼女は友達になりたいと笑い、日を開けず妖怪の……大切な友達の元へ訪れた。何気ないお喋りをして、湖畔で遊んで。
そんな、本当に何気ない日々が蘇る。
それに多喜は小さく笑う。ほら、やっぱり覚えてるじゃないか……そうして動きを止めた妖怪を見据えた。
ぽろり……その淀んだ瞳から一粒流れる涙を見つめ
「……さあ、奥底に眠ってる優しさを思い出しておくれ!」
彼女の周囲を浮遊する月が、満ちていく……。
大成功
🔵🔵🔵
黒風・白雨
|友達《人》との約束のために大切な場所を守り続ける、か。
じゃが、人の寿命は百年にも満たぬ。
加えて怪我や病気で簡単に動けなくなり、そのまま死ぬ者も多い。
突然この地を訪れなくなったのだとしたら、その身に何がしかの不幸があったのじゃろう。
おぬしの約束はもはや思い出の中にだけ存在するもの。
その事実から目を背け、このまま邪神どもを喰らい続ければ、いずれ身も心も完全に邪神に堕ちよう。
さすれば思い出さえも失い、おぬしが守ってきたこの地ごと世界を壊しはじめるかもしれぬ。
自ら目を覚ますか。
殴られて正気に戻るか。
殴られて砕け散るか。
好きなものを選ぶが良い。
その身に溜まった邪を引き剥がすと言うなら手伝ってやるぞ?
黒風・白雨さん
周囲に月が浮かぶ。いくつもの月はその妖怪が出現させたもの……こちらを拒絶し、約束に縛り続けられる存在に……。
|友達《人》との約束のために大切な場所を守り続ける、か。自身と同じように人とは違う時間を生きるもの、故に置いて逝かれた者の嘆きに黒風・白雨(竜神・f31313)は目を伏せた。
この妖怪が果たして幾年前にその約束をしたのかは分からないが、自分たちに比べ人の生とはあまりに短く儚い……その上、猟兵でもなければ仮に若くとも呆気なく儚くなってしまう。
あれだけ嘆き待ち続けているのだ……|友達《約束の相手》は、下手をすればその身に何かが起きて別れを告げることも無くこの世に別れを告げてしまったのかもしれない。
それは想像にしか過ぎないが、なんにせよ……もはやその相手が来ないことだけははっきりと分かる。
ユーベルコードを発動、こちらを喰らおうと襲いかかってくる無数の月を逆に弾き、砕き、あるいは喰らう。そうしてから、黒風は優美に笑って見せた。
「自ら目を覚ますか。
殴られて正気に戻るか。
殴られて砕け散るか。
好きなものを選ぶが良い」
このまま、邪を喰らい続け生き延びてはいずれはその身だけでなく彼女が大切にしているこの地すら壊し始めるかもしれない。それが嫌だと言うならば
「その身に溜まった邪を引き剥がすと言うなら手伝ってやるぞ?」
まあ、些か力づくなのは勘弁、なにせこちらは暴風雨への畏敬から生まれた竜神、嵐の化身なのだ。まあ、もしかしたら、それぐらいの方が彼女の正気を戻すにはいいかもしれないが……なんて思いながら、黒風は妖怪を見据えたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『空中庭園』
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POW : 散策する
SPD : 観察する
WIZ : 景色を見る
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちの言葉で、思いで、あるいはほんの少しの力づくで、その妖怪はその瞳に正気を取り戻した。
澱んでいた空気は正常なものとなり、その湖畔は静けさを取り戻す。
「そう……あの子はもう、いないのね……」
大切だった。とても、とても大切だった。けれど、人の生は儚く、仮に長く生きたとしても、もはやこの世にはいない。それほどの時間が気づけば流れてしまっていた。
「ありがとう……私を止めてくれて……」
あと少しで全てが分からなくなり、全てを破壊することだった。大切な約束も、この場所も……。
「私は、カクリヨへ行きます」
この地に妖怪はもはや生きられない……カクリヨならば、自分を受け入れてくれるところもあるだろう。そう語って妖怪こと捉月は目を伏せた。大切な思い出がある場所、別れるには寂しいが、またあのような事になっしまっては目も当てられない。
「んー、ならなぁ、思い出、作るといいなぁ」
ゆるり、風鈴が笑った。相変わらず的の得ない言葉で、けれどもゆるゆると。
「みんなもなぁ、良かったら思い出、作ってあげてなぁ……この世界の、楽しい思い出……そうすればきっと寂しさも薄くなるからなぁ」
失ったものは戻らない。それでも先へ進まねばならない。けれどほんの少し、その背中を押す思い出があってもいい。そう伝えて風鈴は守護龍を撫でながらゆるゆると微笑んだのだった。
マスターより
三章では妖怪捉月とのんびりと日常をすごしてもらいます。なんでも構いません。湖畔で話をしてもいい、ちょっと街に出てショッピングをしてもいいでしょう。
彼女がカクリヨへ渡る前に、ほんの少しの思い出をお願いします。
セラー・ミメシス
「アンタ、捉月だったか?ちょっとさ、身に纏ってる月じゃなくって、この世界の月をみていかないか?」
「夜空が瞬くキレイさは日々同じようで違うらしいんだよ。ここの夜とも最後の別れだ。しっかり眺めて、思い出にしてこうぜ」
そんないいもんは持ってないけど、飴ぐらいならある……今あるのミント系だけだな……1つ飴を渡したら後はぼーっと月見しよう。
捉月が苦しみながら待っていた時もここの空は見守ってた。この世界の夜をただの背景として忘れるんじゃなくて少しだけ好きになってくれたらいい。
月がきれいな時期からは外れちまうけど、摩耗した記憶の中に約束だけじゃなく「そういえばきれいな月もあった」と思える日が来たらいいよな。
淀んだ空気が払拭され、澄んだ空気を取り戻した湖畔には空と同じように輝く月と星……。それを見つめてから、セラー・ミメシス(異界渡りの菫色・f43527)は正気を取り戻した妖怪こと、捉月を見やる。
彼女はもう敵意もない、正気を取り戻し、大切な約束を取り戻し、ここではなくカクリヨへ渡ることに決めた。もう約束の相手は来ないと知って、それでもその思い出を胸に旅立つ事を決めたのだ。
「アンタ、捉月だったか?ちょっとさ、身に纏ってる月じゃなくって、この世界の月をみていかないか?」
ぱちり、と捉月が目を瞬く。そうしてからこてりと首を傾げた。
「この世界の、月……」
呆然と呟いて、湖畔の月を見るのにそうじゃなくてさ、とセラーは空を指す。湖畔ではなく、空の月。手が届かない、けれどもそこにずっとある、月を。
「夜空が瞬くキレイさは日々同じようで違うらしいんだよ。ここの夜とも最後の別れだ。しっかり眺めて、思い出にしてこうぜ」
えー、と……とセラーはがさごそと自身の荷物を漁る。あったあったと取り出したのはミント味の飴。
「ほい」
「え、あ、ありが、とう」
目をぱちくりとさせつつも捉月がそれを受け取り、そっと封を開けて口にはむり。ミントの清涼感に一瞬驚いた顔をするも、嫌ではないようだ。不思議そうに、けれども美味しそうに飴を舐めている。
それを見てから、2人並んで湖畔ではなく空の月を見上げよう。
捉月が苦しみながら待っていた時もここの空は見守ってた。ずっと、ずっと……少しづつ変わりながら、見守ってきた。
季節柄、月の綺麗な時期とは外れちまうけど、とそっと捉月を見やる。彼女はじっと空の月を見上げて、そっとその瞳から静かに涙を零す。
「……あぁ……綺麗……」
ぽつりと零れた言葉……彼女の心の底からの言葉にセラーは小さく笑う。
カクリヨへ行ったあとも、摩耗した記憶の中に約束だけじゃなく「そういえばきれいな月もあった」と思える日が来たらいいよな。そんなことを思いながら、静かに時間は流れていった。
大成功
🔵🔵🔵
サンディ・ノックス
妖怪の捉月さんは写真という概念を知ってるかな
たぶん知らないと思う
目に映るものを形にして残すことができるんだよって教えて
…だって、ここも貴方もすごく綺麗なんだもんと笑ってみせる
この場所や捉月さんを撮っていいか許可をもらってから撮影する
俺の撮影機器のスマートフォンだと
すぐ紙には印刷できないんだけど
幽世のカメラなら紙に焼くことができるはず
もし良ければ
カクリヨに行ってから趣味にしてくれると嬉しいなあ、なんて思ってる
捉月さんに撮影の楽しさも知ってほしいから被写体を出そう
招集・星夜で水晶でできた小人達を出して好きに撮影してもらう
小人達は綺麗な景色にはしゃいでじっとしてないだろうからちょっと大変そうだけどね
澄んで光る湖面が空の月を映し出す。なるほど、これは手を伸ばしてしまいそうだと思いながら、サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)は傍らで正気を取り戻し、約束を取り戻したことでもはや果たす相手もいないことを悟ってしまった妖怪こと捉月を見る。
彼女はここを去り、幽世へ行くという。ここに捕らわれ悪霊たちを喰らうよりも余程良いだろう。その顔に浮かぶ寂しさは隠しきれないが。
「捉月さん、写真って知ってるかな?」
「しゃし、ん?」
きょとりとして捉月が首を傾げるのに柔らかく笑う。
「目に映るものを形にして残すことができるんだよ」
絵よりもよほど鮮明にね……だって、ここも貴方もすごく綺麗なんだもんとサンディが笑ってみせるのに、ぽっと捉月が少しだけ頬を染めた。純粋な褒め言葉が嬉しいと照れる彼女の姿に目を細める。
「ねぇ、撮ってもいいかな?ここと……貴女を」
「え?ええ、大丈夫よ」
こくりと頷いたのを確認してからスマートフォンを取り出して、まずこの風景を背景に彼女をパシャリ。フラッシュに少し驚いたようだが、撮った写真を見せればぱああと瞳を輝かせた。
「すごいっ……私がいるわ」
「俺のだとすぐに紙には出来ないんだけど……幽世なら、紙に焼くことカメラがあるはずだよ」
そうしたら思い出として残すことが出来る。約束しか残っていなかった彼女の新たな旅立ちに、新しい趣味をなんてのも良いだろうと笑って招集・星夜を発動。
「わっ、きゃっ」
現れた水晶で出来た小人達が美しい風景にはしゃぐのに、驚きながらもどこか楽しげな捉月にスマートフォンを差し出す。
「ね?撮ってみて?」
「い、いいの?」
「もちろん」
撮影方法を教えながら彼女の傍でその様子を見守る。好き勝手にはしゃいで動く小人達を被写体として撮るのは中々に大変そうだが、その顔に笑みがこぼれるのが見えてサンディも柔らかに笑った。
大成功
🔵🔵🔵