躑躅に願いを数えましょ
●
此処はカクリヨ、躑躅の小路。
おや? あんたさん、此処に来るのは初めてかい?
躑躅の小路は今が見ごろさ。梅、桃、桜ときたら次は躑躅ってなもんだ。
この時期になるとね、躑躅の小路に願いを託す奴らが増えて来るンだよ。笹か何かと勘違いしてるのかねえ。
――願いを託すって何か、って?
ははあ、あんたさん、本当に此処は初めてなんだねえ。
ほれ、この短冊を受け取りな。
要領は七夕と同じさ。願い事を書いて、躑躅にくくるンだ。
七夕が来る前の決意表明――みたいなものかねえ。
この時期は此処に|妖怪《ひと》が集まるから、妖怪も出店を出してるよ。
提灯の明かりが綺麗で、躑躅の蜜包みなんていう品も……おんや?
あの蝶は何だろうねえ。
最近よく見るんだよ。一体誰の魂なんだろうねえ。
●
「カクリヨファンタズムが滅びに瀕しています」
佐々・夕辺(咲梅・f00514)は開口一番そう言った。
正直、猟兵たちの心は一つである。即ち、「またか」。
「幽世蝶という存在は覚えているかしら? グリモア猟兵の予知よりも早く世界のほころびを感じてくれる素敵な存在よ。其の幽世蝶がとある場所で見られるようになったの。場所は“躑躅の小路”と呼ばれる場所よ」
カクリヨファンタズムの商店街にほど近い場所にある其の小路は、両側に躑躅の生垣がずらりと並んでいる。躑躅の旬は今頃なので、我ぞ我ぞと咲き誇る様は圧巻の一言だという。
「でね、其の躑躅の小路でお祭りが開かれてるの。躑躅が旬だからでしょうね、なんかめでたいからお祭りしよう……如何にもカクリヨファンタズムらしい考え方だわ。そして、其の中にオブリビオンが隠れて……隠れて?」
首を傾げる夕辺。
思わず同じ方向に首を傾げる猟兵たち。
「いえ、……幽世蝶の性質として、オブリビオン……骸魂と化した妖怪の周りを舞ってることが多いのよ。だから見れば普通に判るというか……まあ、お祭りの間は見守ってあげて、一人になったところで決戦を挑むというのが定石かしらと思うわ」
お祭りを台無しにしたくはないものね、と夕辺は笑う。
「お祭りの品は躑躅に関したものが多いみたい。たこ焼きや焼きそばといった定番メニューに、躑躅の蜜包みとかいう珍しいものもあるそうよ。あとは躑躅の蜜で作ったジュースとか……あ、あとはそうね、躑躅の小路には願いを掛ける風習があるんですって。短冊に願いを書いて、躑躅にそっと結ぶんだとか。生垣ですから、願いを隠すには最適かもしれないわね?」
●
「この焼きそば美味しいですわ~! とっても美味しい! やっぱりお祭りといえば焼きそばですわね。どうしてお祭りだと割り増しで美味しく思えるのかしら。――あ! りんご飴も売っていますの? 後で買いに行きませんと」
こちら、カクリヨファンタズムの躑躅の小路。西洋妖怪――まるで童話に出て来る姫君のような姿をした妖怪が祭を楽しんでいた。
「……ん? 何かしら、この蝶。さっきからずっとわたくしの周りをウロチョロと……あっちへお行きなさい、しっしっ」
光で出来た蝶のような其れを手で祓う姫君。しかし蝶は直ぐに戻って来て、彼女の周りを舞う。
つまり――彼女こそが今回の標的なのである。
key
こんにちは、keyです。
カクリヨファンタズムでゆる~い感じのシナリオです。
●目的
「骸魂を浄化せよ」
●各章
第一章は日常です。
躑躅の小路でお祭りを楽しみましょう。普通の屋台の他、躑躅にちなんだお菓子やジュースも売ってます。射的などの屋台もありますので、遊んでいくこともできます。
第二章は戦闘になります。
骸魂はまだ未熟で、どんな事件を起こそうかと考えている感じです。ですが骸魂は骸魂。スパッと祓ってしまいましょう。
●プレイング受付
受付、〆切はタグ・マスターページにて適宜お知らせ致します。
●注意事項(宜しければマスターページも併せてご覧下さい)
迷子防止のため、同行者様がいればその方のお名前(ID)、或いは合言葉を添えて下さい。
また、アドリブが多くなる傾向になります。
知らない人と共闘する事なども在り得ますので、ソロ希望の方はプレイング冒頭に「🌼」を添えて頂けると助かります。
●
此処まで読んで下さりありがとうございました。
皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 日常
『炎燃ゆる夜』
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POW : 周囲をくまなく歩いてみる
SPD : 効率よく散策してみる
WIZ : 足を止め観察してみる
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
猟兵たちがグリモアをくぐると、馨しい香りが鼻を突く。
其れは祭の香りだ。焼きそばにたこ焼き、りんご飴、其れから綿あめ。
遊びがしたいって? なら射的に飴の型抜き、くじ引きなんかもあるからやっていくといい。
躑躅ならではのものが欲しいなら、断然おすすめは「躑躅の蜜包み」だ。甘い蜜の中にさくっとした躑躅の食感が何とも言えず巧い。
甘いものが気になるお嬢さんには躑躅ジュースをどうぞ。花の蜜だからほんのり甘くて美味しいよ。
願い事があるなら、躑躅に願いをかけてみるといい。
要領は七夕と同じだ。短冊に願いを書いて、躑躅の生垣に結ぶ。カクリヨファンタズムでは、七夕とは少し異なってこちらは“決意表明”の意味を示すそうだが……別に非現実的な願いをかけたところで、誰も叱ることはないだろう。
ああ、幽世蝶が舞っている。
黒い髪に白い肌の姫君の周囲をくるくると。でも今は彼女をそっとしておいて。
折角だもの、お祭りを楽しませてあげましょう。
(躑躅に願いを掛けて屋台に行くなど、複数行動可能です。お好きに行動して下さい)
柳・依月
へえ、ここが幽世かあ。
幸いにしてまだ俺はこちらに誘われることはないが……いいところじゃないか。
……幽世蝶か。俺といつも一緒にいるこいつらとは違うのかな?
ま、それはさておき祭りなら楽しまなきゃ損だよな!
わたあめ!りんご飴!射的!
一通り楽しんでいこうか。
ここならではのものも嗜みたいところだ。
躑躅の蜜包み!?何それ美味しそう!
……ヨモツヘグイにはならないよな、これ?
あ、俺人間じゃないんだった。
躑躅に願いをかけるのか。
ここはそうだな……「俺と周りの皆が平穏な毎日を過ごせますように」とするか。これは決意表明でもあるしな。
●
「へえ、此処が幽世かあ……」
あんまりお祭りの景色はUDCアースそのものとは変わらないんだな。
柳・依月(ただのオカルト好きの大学生・f43523)は片手にりんご飴を持って屋台を見て歩く。
幸いにして、新しい妖怪――ネットロアである依月はまだ|こちら《カクリヨ》に誘われてはいないが、誘われたらすんなり行ってしまいそうなくらいにはこの光景を気に入っていた。
「ま、祭といえばってところが揃ってる感じか……おっ、あれは射的かな?」
おいでおいで、良いものが揃ってるよ。
そんな店主の声に引かれて、依月は小銭を支払いコルクの弾を貰う。
ぽん、ぽん、ぽん。何度かキャンディの箱を狙って撃ってみるも、箱は残念ながら倒れてはくれなかった。
「む。おっちゃん、あれって固定してるんじゃないよな?」
「まさかぁ! こんなハレの日にそんなこたぁしねぇよ! ほれ、あっちで躑躅でも食って機嫌直してこいよ!」
ハレの日だから、苦情だってなんのその。店主は笑って他の店へと依月を誘うのだ。
そうして指差された方角へ歩いてみると、躑躅色の暖簾がしとやかな出店に付く。とても甘い香りがする。
「躑躅の蜜包み……?」
「らっしゃい。そうだよ、軽く揚げた躑躅を蜜で包んで固めるんだ。水あめの中にさくっとした躑躅が美味いんだよ」
「へぇー……なあ、これさ。ヨモツヘグイにはならないよな?」
「さあてね。そりゃあ、この祭から帰った人に聞いてみな」
なんとも口の巧い店主だ。依月の言葉をかわすようにしながら、美味そうな蜜の薫りに包み込むのだ。
依月は暫く考えていたが、そもそも己は人間ではないという事に気付き、躑躅の蜜包みを購入。透明なパッケージに包まれてころり転がる躑躅たちを食すのは、このりんご飴を食べてからにしようか。
「其れから、これも」
「これ? ……短冊か。躑躅に願いをかけるってやつ?」
「そうそう。やっていきな」
渡されたのは薄紫の短冊。依月が見回すと、躑躅の蜜包みからそう遠くない屋台が書く場所になっているようだった。
人の賑わいに身を紛れさせ、依月もまた願いを――決意を書く。
『俺と周りの皆が平穏な毎日を過ごせますように』
……これは決意表明だ。叶うかどうかわからない願いじゃない。
だからそっと、依月は躑躅の茂みの中に短冊を埋める。
大成功
🔵🔵🔵
夜鳥・藍
『ツツジの仲間には毒がある物もあるからむやみやたらと蜜を吸わないこと。
そうでなくとも誰かが世話をしている花を無視利用な事はやめなさい。』
小さなころ母に言われた事を思い出します。
ツツジの花の蜜を本で読んで知ったから園芸が趣味の母にお願いしに行ったのよね。
幸いというのか母の庭にはツツジはなかったのだけれど、勝手にとってはいけないって先の事を言い含められて。
でも今回はお祭りです!
存分に躑躅を堪能できるのです!誰の躑躅も害する事なく!
蜜包みと躑躅のジュースを購入して、お祭りを楽しむ人々の邪魔にならないよう隅に移動していただきます。
まずはジュースを一口。あぁこれが躑躅の蜜の味なんですね。
●
『良い? 藍』
夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)は昔、母に言い含められたものだ。
『躑躅の仲間にはね、毒がある花もあるの。だから種類も判らないままに、むやみやたらに蜜を吸っては駄目よ。そうでなくとも、誰かが世話をしている花をむしるような事はやめなさい』
――躑躅の花を本で読んで、詳しい事を聞きたいと園芸が趣味だった母に聞きに行ったときの事であったと思う。
幸いというべきか、当然というべきか、藍の母が作っている庭には躑躅はなかったのだけれど、園芸をしているからこそだろう。人が愛している花を勝手にとってはいけないと言われた。
「――けど、今日はお祭りですし」
誰の躑躅も害する事なく、躑躅を堪能できるのだ。
藍は早速躑躅の蜜包みと躑躅のジュースを買って、気ままに屋台を見て回っていた。
「これが躑躅の蜜……ですか」
図鑑で見て心をときめかせた幼少時を思い出す。あの時の夢をまさか此処で叶えられる日が来るなんて。
高鳴る胸を押さえながら、藍はそっとストローで蜜を吸った。
――甘い。とっても甘くて、だけれど少し爽やかで……あぁ、これが。これが躑躅の蜜の味、なんですね。
「子どもたちが吸ってしまいたくなる気持ち、少し判るかもしれませんね……」
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『紅玉姫』
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POW : 紅い林檎に死の口づけを
攻撃が命中した対象に【口づけてから投げる、いくつもの林檎爆弾】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【次々と発生する連鎖爆発】による追加攻撃を与え続ける。
SPD : だれが林檎に毒を塗ったの?
【おとぎ話の世界】から【七人の小人】を召喚する。[七人の小人]に触れた対象は、過去の【罪からくる良心の呵責】をレベル倍に増幅される。
WIZ : 鏡よ、鏡。本当に恐ろしいのはだあれ?
対象に【溶解する、鏡写しの自身の真の姿】の幻影を纏わせる。対象を見て【畏怖】を感じた者は、克服するまでユーベルコード使用不可。
イラスト:なみはる
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ユイン・ハルシュカ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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まずはタコ焼き。
はふはふと湯気の立つ其れに息を吹き掛けて食すれば、柔らかな生地と弾力のあるたこの何とも言えない食感で幸せになれる。ソースにマヨネーズ、絡めて食べればほくほく、天にも昇る心地。
次に焼きそば。
屋台ってなんで濃い目の味が多いのかしら。なんて思いながら啜ると濃厚なソースの味が味覚を支配する。このまま永遠に食べられそうな気がする。紅生姜を途中に挟めば、ぴりりと辛い薬味の味がよいスパイスとなって更に食欲を助長していく。
そしてりんご飴。
りんごは見慣れているのだけれど、りんご飴となればこれは別物。かりりと抵抗する飴を割ってりんごごと齧ってしまえば、まったりと甘い飴の味と爽やかなりんごの味があいまってとても美味しい。
ああ、唇に飴の欠片がついていないかしら。そう思いながらそっと唇の周りを指で拭って――
そうそう、此処ならではの躑躅の蜜包み。
りんご飴とはまた異なった、水あめのとろりとした甘味が癖になりそう。かりっと齧ってしまえば、軽く揚げた躑躅の花弁が内緒話みたいにさくっと音を立てた。まるでスナック菓子に飴をかけたかのような、お祭りでしか食べられないお菓子の気分。きっと健康には悪い。でも、この甘味はやめられない。
……あら、また蝶が寄って来た。しっしっ、あっちに御行き。どうしてこの蝶、やたらとわたくしに絡んでくるのかしら……
「――まあ、理由は判っております」
紅玉姫は言いながら、躑躅の蜜包みを食べ終わった。
ちょっと失礼、と猟兵を引き連れて屋台に挟まれた場所にあるゴミ箱に器をポイ。
「其れは……わたくしが骸魂だから、ですわね? ええ、自分の事ですもの、よく判っております。――でもわたくし、只ではやられません!! 骸魂になったからには全力であなた方と戦ってみたい!! ――そう!! この屋台で!!」
ちょっと待って。今なんて?
何人かの……いや猟兵全員が耳を疑った。
「ふふ、普通に戦ったところで最初からボコされるのは判っているのです。此処はお祭り会場ですのよ? なら環境を十全に生かした戦法を取るのが最上でしょう! 其れとも? 猟兵ともあろうお方が、射的や型抜きで負けるのが怖いのかしら!」
――紅玉姫は此処から離れるつもりはないようだ。
だが幸い、屋台などを破壊するつもりもなさそうに見える。ならば敢えて彼女の口車に乗り、屋台で勝負して自滅するのを狙うのが良いだろう。
>>>|骸魂《オブリビオン》のユーベルコードが変化!!<<<
POW:射的で勝負ですわ!
攻撃が命中した対象に【超小型で威力はコルクの弾並の林檎爆弾】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【次々と発生する連鎖爆発】による追加攻撃を与え続ける。
SPD:型抜きで勝負ですわ!
【おとぎ話の世界】から【代わりに型抜きする七人の小人】を召喚する。[代わりに型抜きする七人の小人]に触れた対象は、過去の【もっともプレッシャーを感じた瞬間】をレベル倍に増幅される。
WIZ:くじ引きで勝負ですわ!
対象に【なんか外れそうな気がするくじ】の幻影を纏わせる。対象を見て【敗北感】を感じた者は、克服するまでユーベルコード使用不可。
テケリリケテルリリ・テケリリテケリャア(サポート)
『テケリャア!!!』
バイオモンスターのラヴクラフト神拳伝承者 × 四天王
年齢 105歳 女
外見 243cm 黒い瞳 赤茶の髪 白い肌
特徴 特徴的な声 声が大きい 実は美形 虐殺を生き延びた 奴隷だった
口調 テケリャア(私、呼び捨て、言い捨て)
お腹が減ると ケテルャア(私、呼び捨て、言い捨て)
常に飢餓感に苦しんでいます
てけりゃあ叫んで捕食したり怪力任せに潰すのが得意です
不定形の化け物として描写してください
連携歓迎です
●
「という訳で射的で勝負、なのですが……」
紅玉姫はちらり、と隣に立つ淑女、もといテケリリケテルリリ・テケリリテケリャア(|王冠《ロード・ケテル》・f16871)を見ました。
正確には不定形な軟体の手を見ました。
「テケリ?」
不思議そうにテケリリケテルリリは首を傾げます。
いや何を不思議そうにしていますの!? どう見てもヤバい外見をしているのですわよ!?
「ふ、ふふん! では参りましょうか、わたくしの勝利をとくと御覧なさいな!」
「テケ」
敵に気後れしてしまっては、姫としての矜持が廃るというもの。
紅玉姫とテケリリケテルリリはこうして、射的で勝負をする事になったのですが……
「おーっほっほっほ! ユーベルコード使用禁止、だなんてありませんもの! 頂きですわー!!」
紅玉姫が放った弾丸は、大きめのぬいぐるみにぽこん、と当たりました。一発ではとても落とせそうにない大きさ。しかし、紅玉姫は此処で弾丸に幾つかの林檎爆弾を忍ばせたのです。
コルク弾の威力を持った複数の爆弾が起爆して、ぴょん、と大きめのぬいぐるみが跳ねると、ころんと転げて落ちました。
店主から其れを受け取った紅玉姫は得意げです。
「どうです? わたくしの射撃の腕……」
「テケ、テケリャア……」
あれっ、見てない。
紅玉姫がテケリリケテルリリの視線の先を見ると、其処には箱入りカラメルがありました。お腹が減っているのでしょう。
テケリリケテルリリはがっ、と銃を掴むと――
「ケテルャア!!!」
其れをぶうん、と投げてしまったではありませんか!
当然銃が当たった弾の品物は全部倒れてしまいます。店主は何をするんだ、と怒り心頭です。
「あ、あわわわわ……! ご、ごめんなさいですわ! この子お腹が減っていたみたいですの! ね! ね!」
「テケリャア」
「ええ、りんご飴買ってさしあげますから! 此処は落ち着いて下さいまし!」
テケリリケテルリリは一先ずはりんご飴で満足したようです。
一方で射的という勝負に買った筈の紅玉姫は、何故か骸魂としての力を削られてげっそりしていました。
成功
🔵🔵🔴
ミスティ・ストレルカ(サポート)
基本方針は専守防衛・他者フォローです
サポート故、連携重視のお任せ
知らない人にはどうにも気後れしてしまうけど
それでも他の人が怪我するのも嫌なので押すところは押すのですよ
主にサモン・シープ等攻撃系のUCで他者行動の隙を消す様に立ち回るのです
中遠距離をとり全体を掴む感じですね
防御系の技能で時間稼ぎも行けますので
生まれながらの光での前線維持、魔力性防御障壁の囮役も…ちょっと怖いけど
でもでも、みんなの居場所を守るのですよー
そうそう、えっちなのはいけないと思います。
興味がない…訳ではないですがひつじさんが怖い雰囲気纏って凄い勢いで止めにツッコんでくるのです
年齢制限がどうとか、らしいです
●
「じゃあ私とは、型抜きで勝負ですね」
「……話が通じる相手で助かりましたわ」
「?」
紅玉姫の言葉にミスティ・ストレルカ(白羽に願う・f10486)は不思議そうに首を傾げました。まあそうね、さっきは通じない相手と勝負をしていたので、紅玉姫も疲れているのでしょう。
しかし、と気を取り直して、二人は型抜きへと向かいます。
「型抜きってした事がないのです。ルールを教えて貰ってもよいですか?」
「ええ、宜しくてよ! この四角の飴の固まりに針を刺して、ちまちまと形を抜いていくのですわ! 形には動物や星型など色々あります、お好きなのをお選びなさいな!」
「ほぉー、面白そうなのです。じゃあ私は星の形にするのです」
「わたくしは動物の形にいたしますわ! そして――七人の小人よ、カモン!」
なんと!
紅玉姫ったら大人げなく、七人の小人を呼び出してしまいました。
そして其の小人たちに銘じて、とんてんかんてん型抜きを始めたではないですか。
なんだかずるいなぁ、ってちょっぴり思ったけれど、どうせずるいならこっちもずるいことをしてしまいましょう、と思い付きました。
「トリさんトリさん、おいでなのです」
そっとミスティは、にわとりさんの姿をした精霊を呼び出します。
そうして――七人の小人に型抜きをやらせて悠々としている紅玉姫の膝の裏辺りに、ニワトリさんを放ちました。
「あうちッ!?」
おおっと!
余裕の表情だった紅玉姫、見事に膝の裏ににわとりさんがクリーンヒット!
ぐらりと体勢を崩すと、七人の小人を圧し潰すように転んでしまいました。
「な、何ですの……って、あー!! 飴が粉々ですわー!!」
「其れは残念なのです。私はこれからゆっくり型抜きをするのですよ」
どうせ初めてだし、ゆっくりじっくりやりたいのです。
改めて席に座って型抜きを始めたミスティ。紅玉姫は骸魂としての力を削られながら、ぐぬぬ、と見詰めるよりほかないのでした。
成功
🔵🔵🔴
シン・クレスケンス(サポート)
◆人物像
落ち着いた雰囲気を持つ穏やかな青年。
窮地でも動じず冷静な状況判断で切り抜ける。
◆戦闘
射撃武器(主武器は詠唱銃。【破魔】の魔力を込めた銀の銃弾)による攻撃、魔術による広範囲攻撃が主。
魔力のコントロールに長け、射撃の腕も確か。
作戦次第では、闇色の武器を召喚(UC【異界の剣の召喚】)して前衛を務めることもある。
◆特技
・情報収集や追跡、索敵など
・料理も得意
◆UDC『ツキ』
闇色の狼の姿をしており、魂や魔力の匂いを嗅ぎ分けての追跡や索敵が得意。
戦闘は鋭い牙や爪で敵を引き裂き、喰らう。
◆口調
・シン→ステータス参照
(※使役は呼び捨て)
・ツキ→俺/お前、呼び捨て
だぜ、だろ、じゃないか?等男性的な話し方
●
「大丈夫。こういうのはね、銃を撃つ時と同じですよ」
連れている闇色狼のUDC『ツキ』にそう語り掛けるのはシン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)です。
「あなたが骸魂ですね」
「其の通り。人は紅玉姫とわたくしを呼びますわ。今回はわたくしと型抜きで勝負して頂きます」
白く細い指でシンを指差すのは、見目麗しい姫君でした。
彼女が骸魂になっただなんて、周囲を幽世蝶が舞っていなければ誰も気付かなかったでしょう。
そうして二人は型抜き屋へ向かいます。大丈夫か、とシンに訊いたツキへと、シンは最初の言葉を投げかけたのでした。
「おーっほっほっほ! さあ七人の小人たち! 秒で型抜きを仕上げなさいな!」
紅玉姫は七人の小人を召喚し、型抜きを肩代わりさせています。
『おいおい、ありゃあ反則じゃねえのかよ』
「彼女なりの戦い方なのでしょう。こちらも誠意をもってやらねばなりませんね」
シンはあくまでも真剣に、型抜きに挑戦するようです。ツキは獣の手ではお手伝い出来ないので、静かに見守る側。
そう、これは銃を撃つ時と同じ。相手に気付かれないように確実に撃てる時を狙って、着実に仕留める。
シンの持っている針は確実に型抜きの僅かな輪郭を射抜いていきます。其の速さは紅玉姫も目を瞠るほど。
「あ、貴方達! もっと速くなさい!」
『そうはいっても姫様ァ』
『これ結構難しいんですって、七人でやると役割分担が』
そうこう言っているうちに、シンは見事に羊型の型抜きを完成させてしまいました。
一方で紅玉姫の型抜きは途中のまま。悔しいですわ、と地団駄を踏む姫に、シンは僅かに苦笑します。
「でも、なかなか楽しいものですね、型抜き。姫も次はご自分でなさってみてはどうでしょう」
「……自分で、ですの?」
「ええ。割れてしまっても其れは其れ。良い思い出になると思いますよ」
「……ふうん」
また少し、骸魂としての力を削がれた紅玉姫。
けれど代わりに少しずつ、猟兵との思い出が積み上がっていました。
成功
🔵🔵🔴
アトシュ・スカーレット(サポート)
性格
悪ガキから少し成長したが、やっぱり戦うのは好き
大人に見られるように見た目的にも精神的にも背伸びしている
目の前で助けられる人がいるなら積極的に救おうとする
口調は「〜だな。」など男性的
戦闘
【呪詛(腐敗)】と「棘」を組み合わせ、万物を強引に腐敗させる方法をついに編み出した
前衛も後衛もやれる万能型だが、前衛の方が好き
複数の武器を同時に操ることも可能
高速戦闘も力任せの戦闘も状況に応じて使い分ける
(装備していれば)キャバリアにも対応可
光や聖属性は使えません
非戦闘
聞き耳などを駆使した情報収集を中心とする
化術で動物に化けて偵察することも
●
「あんたが今回の標的か? オブリビオンなのに、そうは見えねぇな」
「カクリヨは其の辺りのコトワリが少し違いますからね。そう見えるのも仕方ないというものですわ」
アトシュ・スカーレット(神擬の人擬・f00811)は紅玉姫を見た時、最初は普通の妖怪かと思ったものでした。
だが彼女の足元からふわりと舞っている青黒い塵からは、確かにオブリビオンの気配がするのです。なんとも不思議な気配に、アトシュは首を傾げました。
「貴方はわたくしと型抜きで勝負ですわ! ささ、こちらに!」
「型抜き?」
「ええ! 飴から様々なモチーフを針で抜き取る遊びです。これがなかなか難しいんですのよ」
今回は小人には頼りません。
わたくし自身が型抜きを致します、と紅玉姫は自身満々です。
アトシュは首を傾げながら、紅玉姫から渡された飴の板――らしきものを見詰めていました。飴といえば丸くてころんとしているイメージなので、このような板が飴と言われてもいまいちピンとこないのです。
「今回は二人とも同じもの、雲の型抜きに挑戦ですわ! では……始め!」
アトシュと紅玉姫は、それぞれ飴に向かい合いました。
とん、とん、とん。針が飴を抜いていく音が静かに響きます。
そんな中でアトシュは考えました。『これ、両手でやった方が速いんじゃねえか』と。
「――やってみるか」
要領はつまり、両手で剣を振るうのと同じだろう。というのがアトシュの結論。
持っている針を武器と見立て、目の前の飴を敵と見立て……いざ!
「見切れるものなら見切ってみせな!」
「なっ、速……!? ま、負けていられませんわ!!」
両手で飴を抜いていくアトシュに、負けないと片手で対抗する紅玉姫。
普通に考えれば両手のアトシュの方が有利なのですが――問題は、アトシュは両手で針を持っているが故に飴を支える手が足りない事にありました。
そして紅玉姫は単に焦り過ぎた事により……二人の飴がぱきん! と予想外の音を立てたのは同時の事。
「「あ」」
ほぼ同時に発した声、紅玉姫とアトシュは顔を見合わせ、お互いの飴を見比べます。なんと、二つとも見事に真っ二つになっていました。
「……ほぼ同時でしたわね」
「そうだな」
「これでは勝敗がつきませんわ~~!! ……ふふっ、あはは!」
なんだかおかしくなってしまって、紅玉姫は其の白い頬を赤くしてけらけらと笑い始めました。
其の姿を見て、アトシュも僅かに笑みを浮かべます。だって救える命なら、救いたいじゃないですか。
また少し紅玉姫から青黒い塵が立ち上るのを見て、アトシュは彼女が救われるのを祈るのでした。
成功
🔵🔵🔴
数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」
基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。
探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。
情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。
戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。
●
「よくいらっしゃいました、猟兵様! さぁ、わたくしと射的で勝負ですわ!!」
突然そんな事を言われたので、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は少し面食らってしまいました。
「――射的?」
「ええ!」
「物騒な意味じゃないよな?」
「違いますわ! 屋台の射的です。此処はカクリヨのお祭りなのですわ! どうせならお祭りで勝負をつけたいというわたくしの希望です!」
数々の猟兵と勝負を繰り広げてきたのでしょう。紅玉姫の身体のあちこちからは青黒い塵が舞っていました。
カクリヨファンタズムでは、骸魂は消滅ではなく浄化されるもの。骸魂となってしまった妖怪は一度倒す事で元の妖怪へと戻ります。
ならば多喜の取るべき行動は一つでしょう。
「いいよ! どんな勝負でも受けてやろうじゃないか!」
「其の意気ですわ~! では射的屋へ移動いたしましょう」
そうして二人が移動した射的屋。昔懐かしのぬいぐるみやブリキのおもちゃが並んでいます。
「勝敗はどうやって決めるんだい?」
「より多く、より大きなものを落とした方が勝ちといたしましょう! わたくしはもう狙うものは決まっております……あのぬいぐるみですわ!」
紅玉姫が指さす先には、大きなうさぎのぬいぐるみ。成る程、確かに難易度が高そうです。
じゃあ、と多喜も狙うべき獲物を見定めます。あれと、これと、これかな。
「よし、じゃあ始めようか! お嬢さんが先攻で構わないよ?」
「あら、良いんですの? わたくし、こう見えても強いんですのよ」
にやりと笑った紅玉姫は、コルク弾を込めた銃を構えます。
そうして、ぽん! と弾を打ち出した先は間違いなくぬいぐるみ。ぽこん、と弾が当たりました。しかしぬいぐるみはびくともしません。
「――此処からが本番ですわ!」
ぽこぽこぽこ。
なんと、紅玉姫が狙ったぬいぐるみに小さな林檎爆弾がくっついて、連鎖爆発を起こしたではありませんか。
これにはさしものぬいぐるみもひとたまりもありません。ぐらりと揺れて、見事に落ちて、紅玉姫が取りました!
「ほーっほっほ! どうかしら、この大きさに勝てるものを落とせるかしら?」
「勝ちの条件は大きさだけじゃないだろ? 其れに、あんたの|鍵穴《じゃくてん》はもう見付けた」
「……。なんですって?」
「あんたは今ユーベルコードを使ったみたいだけど……其のユーベルコードじゃあ、|一つの品しか落とせない《・・・・・・・・・・・》。コルク弾を当てる事がトリガーになってるみたいだが、弾は一つの品にしか当てられないからね」
「うぐっ」
「其れに、見なよ。其のぬいぐるみ、もうボロボロじゃないか。いくら威力を弱めたところで爆弾は爆弾。其れじゃあ折角取れても楽しくないってものさ」
「うぐぐっ……!!」
見事に相手のユーベルコードによる反作用を見抜いてみせた多喜。すると、紅玉姫を覆う檻と錠前が現れて、紅玉姫を閉じ込めてしまいました。
「な!? なんですのこれ!?」
「大丈夫、3分経ったら消える檻さ。……まあ? 其の間に、あたしは何個でも取らせてもらうけどねえ」
多喜は持ち前のコントロール力で、180秒の間に見事に沢山の品物をゲットしたのでした。
勝負は言わずもがな多喜の勝ち。紅玉姫は地団駄を踏んで、再戦を挑むのでした。
成功
🔵🔵🔴
御形・菘(サポート)
※語尾に「のじゃ」は不使用
はっはっは、妾、推っ参!
敵は決してディスらんよ、バトルを彩るもう一人の主役なのでな!
強さも信念も、その悪っぷりも誉める! だが妾の方が、もっとスゴくて強い!
バトルや行動は常に生中継+後で編集しての動画配信(視聴者が直視しては危ない系は除く!)
いかにカッコ良く魅せるか、見映えの良いアクションが最優先よ
とはいえ自身の不利は全く気にせんが、共にバトる仲間にまで不利を及ぼす行動はNGだぞ?
戦法は基本的に、テンションをアゲてボコる! 左腕とか尾で!
敵の攻撃は回避せず、受けて耐える! その方がカッコ良いからのう!
はーっはっはっは! さあ全力で来るがよい、妾も全力で応えよう!
●
「という訳で妾、推ッ参!! 今回は屋台で勝負と聞いたが?」
「ええ、わたくしと勝負して下さいまし! お題目は――くじ引き! ですわ!」
御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は悪です。だが紅玉姫も其れなりに悪なのです。菘はくじ引きだからといって手加減するつもりはありません。例えどのような勝負であっても、受けて勝つのが悪の矜持というもの!
「という訳でドローンで撮影しながらの勝負である! 後で動画配信するからのう! チャンネルは此処!」
きっと視聴者越しには「チャンネル登録よろしくね」の文字が出ているであろう画面を予想しながら、菘は動画と聴いて慌てて引っ込んだ紅玉姫が化粧を直すのを待っていました。
矢張り女子であるからな、美しい姿で画面に映りたいというのは当然というものであろう!
「お待たせ致しましたわ!」
「うむ! して、くじ引きで勝負という事は――」
「ええ! 当然ながら純粋に運で勝負ですわ! よりよい等を取った方の勝利! 簡単でしょう?」
「良い良い。そういう勝負もまた燃えるというもの! バトル動画は当然視聴率が良いが、こういった勝負も箸休めには良いものよ! ではテンションを上げて参ろうか!」
「え?」
てんしょん? と紅玉姫が首を傾げると、菘の背後からスピーカーらしきものが現れました! 超高性能の爆音スピーカーです! ちなみに推進装置と機械の翼が生えているので、移動しても大丈夫!
「はーっはっはっは! 好きなBGMのジャンルはあるか!? 可能な限り答えるぞ!」
凄まじい音量でロックな音楽を奏で始めるスピーカー!
紅玉姫は――周りの屋台の人もだけど――耳を塞いで至近距離での轟音を抑えようとしますが、其の掌すら貫いて轟音は耳を揺さぶります。
「す、凄まじい音圧ですわ!!? 自分が何を言っているかも判りませんわ!! こ、これではくじが引けない……!!」
「んん? 引かぬのか? では妾が先に引くが良いかのう」
「か、構いませんわ~~!」
骸魂としての力を着実に削られているのでしょう。身体の各所から青黒い塵を散らしながら紅玉姫が答えました。
勿論この程度の爆音は菘の妨げにはなりません。いつだってこの音量なので慣れ切ってしまったです。
では、とくじの箱に右手を突っ込んでくじをひょいと引く菘。自分でめくってくれ、と両耳を押さえた店主が言うので、ぺらりとくじをめくると……
「おお! はっはっは!! これはこれは、一等である!!」
「――は!?」
「嘘ではないぞ? ほれほれ、見るがよい」
なんという剛運。なんという轟音。
菘が見せつけるくじには、確かに“一等”と描かれているではありませんか!
きっと今頃画面には「流石菘さま!スゲー!」というコメントが流れているに違いありません。
「あ、あ、あ、ありえませんわー!?」
「其れがありえるのだなあ。さあ、観念せよ。そろそろ限界であろう?」
「うう、うううう……!! また、」
「また?」
「また来年も、お祭りを楽しみに来ますからね~~!!!」
捨て台詞なのか、遠回しの“ありがとう”なのか。
紅玉姫はこうして普通のアヤカシへと戻り、カクリヨファンタズムには平和が訪れたのでした。
一羽の蝶がひらひらと飛び、菘の指で休息を取ります。
「――うむ! 今回はある意味不戦勝という形になったが……また次の配信も楽しみにしておれ! 熱いバトルを繰り広げるからな!」
そうして蝶を空に放つ菘。
蝶はひらりひらり、轟音の中を泳ぐように空へ上って……光の粒となってきらり、光って散って行きました。
成功
🔵🔵🔴