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メシ食って歯を磨かず寝るだけの映画

作者：宅地タスキ

●魔界ではグルメがナウい！
　デビルムービー！それはデビルキングワールドで常に大人気のコンテンツ！！
　DVDで、映画で、動画で……ありとあらゆるジャンルがワルい奴らに開拓されてきた！！

　どんな層でも安定して盛り上がれる『シャーク・エンド・ブラッド』や『ゾンビーム発射準備』などの笑えて騒げるパニック作品はもちろん、『Love is demon 愛は魔界を救う』や『わんわん王物園』などの恋愛モノや動物モノもワルい物こそ素敵というデビルキング法に真っ向から喧嘩を売る姿勢が逆にワルいと評判！

　魔界の悪魔達はこそっで新しいネタを思いついてはワルいデビルムービーを作る！映画館もレンタルショップも毎日新作を求めて大盛況！

　そして……最近開拓され始めたデビルムービーの新しいジャンルがグルメ系！
　生き物の欲求の1つである食欲のままに用意された料理を豪快に貪り、栄養バランスやカロリーも一切気にせずたいらげる！！それがまた夢中になる。
　ただ食べている姿を写すだけだが普通に見るのはもちろん、ただ適当に流しておくだけでもいい、音を聴くだけでもいい、別の作品とセットで視聴するのも、一緒になって食べるのも！！ただ見るだけでは無い様々な見方をさせてくれる、しかも簡単に作れる！！

　様々な料理を食べて食べて食べまくる、まさに七つの大罪『暴食』を象徴しているこのジャンルはデビルムービー界隈を特段盛り上げることになるだろう！

「ムシヴァァァァ！！！」

　………しかし、動画を撮った後ワルを目指す悪魔達はちゃんと歯磨きをするはずもなく、その代償がじわりじわりと身体を蝕んでいき……？

●グリモアベース
「ハッハッハッハァァッ！！デビルムービーとは実に愉快ッッ！！我輩も堪能しておるぞッッ！！」

　グリモアベースで存在感を放つのは焼肉奉行・特上丸。
　デビルキングワールドから持ってきたデビルムービーのDVDを猟兵達に見せる、どれもグルメ系の物だ。

「特にコレらはいい！！悪魔が思うがまま肉を貪る姿は実に愉快であるな！！最近はこのような物が流行りであるようだが……本題！！！グルメ系デビルムービーの撮影現場にオブリビオンが現れることが分かったぞッッッ！！！」

　いちいち声がデカいので聞き取る方も大変である。

「グルメデビルムービーの真似をしたり撮影していた悪魔共が暴食に暴食を重ねてムシヴァードラゴンなるモノに変化した！！仮にもオブリビオン判定だが焼肉奉行たる我輩でも虫歯の塊を捌いて焼肉にしようとは思えん！！そこでそなたらが動くのだッッッ！！」

　ムシヴァードラゴンになった悪魔達はほぼ虫歯の生命体となりながらもグルメ系デビルムービーに参加して貪ろうということらしい、どれだけ食べるのが好きなんだろうかこの悪魔達は。

「前もって我輩が撮影許可は掴んでおいた！！猟兵共には身分を隠して新たなグルメ系デビルムービーに参加し、撃退しろッッ！！だがくれぐれもカメラから見えない所で神聖なる食物、主に肉を粗末にすれば……わ か っ て い る な！！？」

　焼肉奉行は何より肉に厳しい、目を光らせながら圧をかけて包丁を研ぐことで、ワルい事はカッコイイとされるデビルキング法といえどやっちゃダメなこともある事を表現している。
　門は既に開いてある、数多くの料理の濃い香りとカメラのようなものが見える光……入ってすぐ撮影する準備は万端のようだ。

「では各自！！！行動に移ってもらおう！！！」

第1章 日常 『暴食の宴』

POW   :    とにかく肉だ肉！がっつり食いまくるよ！ SPD   :    流行の波に乗って、ネットでバズった人気メニューを食いまくるよ！ WIZ   :    あま～いスイーツは心のご褒美！食いまくるよ！ 👑5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●むさぼって、かじって。

「今日はなんとなくお肉の気分★豪快にいきたいからガッツリとした感じでよろしく♪」

デビルキングワールドでガッツリとした肉というと何を連想するだろうか、ドス黒い魔獣のステーキ？それとも角が生えた動物を丸ごと豪快に焼き上げたもの？色々あるが、グルメ系デビルムービーの肉系で人気なのは『｜暗黒《ダークネス》ボーンステーキ』、我々で言うところのTボーンステーキのような物だが、悪魔達はこの肉を骨ごと噛み砕いて全部喰らい尽くす事がトレンドとなっている。
それが今、クローネ・マックローネの元に大量に置かれた。

「うーん、これは凄そう♪骨まで味わって欲しい……？クローネちゃん頑張っちゃおうかな★」

クローネちゃんは食事の前に｜クローネちゃんの愛用品★《ブラック・アイテム・クリエイト》を発動、ステーキといえばナイフなのでその場で作り出して……このユーベルコードで作ったものは任意の技能力を増幅させられる。

普段ステーキを食べる時は均等に綺麗にカットしてテーブルマナーをしっかり守り食すのだがここはデビルキングワールド。
｜食事作法《いただきます》も言わないこの場所なら遠慮なく食べられる、用意したナイフを暗黒ボーンに勢いよく突き刺して丸ごと口に入れる。

(ガプッ……メニ……ヌポッ……♪)

口の中に全部詰め込んで食べ尽くし、クローネちゃんは骨を噛み砕く程のパワーは無かったので口から取り出して手で掴み……奥までしゃぶり尽くすように咥えて残った味を堪能する。

(じゅるっ……ちゅ……じゅぶ…れろ……★)

味がしなくなったら吹き落として、また新しい肉にナイフを突き立て………こうしてクローネちゃんはがっつりとボーンステーキを文字通り骨の髄まで味わい尽くした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

●0.5速視聴推奨！！
ムービーは主人公が目立たなくては話にならない。
グルメ系ムービーにおける主役とは何か、当然料理だ、悪魔は贅沢なので時に1つの動画で沢山の料理を見たいと思う。
そんな視聴者にオススメな物がフルコース一式である、フルコースといってもサラダもスープも〆のコーヒーも存在しない、牛・豚・鶏・馬・羊………全席全皿肉1色でデザートまで肉を使うこだわりである。

そして奥に一際大きい立派な羊が丸ごと……失敬、こちらはメニューの品ではなくそれを全て食べる人、デボラ・メンデスである。

「食事するだけの映像作品とは素晴らしいですわね！最近は食べ過ぎないよう心掛けてましたが…仕事ですので仕方ありませんわね！ええ！」

本来は1人で食べる分にはお金も量も躊躇ってしまう物だが今回は撮影でデビルキングワールドなのだ、素直になれる名分がいくらでもある。
皿によっては羊が羊を食べている光景になるのだが、悪魔だってたまに悪魔を食べることがある……はずなのでここで映すなら大した問題にもならない。
とはいえ映せる時間にも限りはあるので悪魔から『なるべく巻いて！』とカンペが出される。

「なら手早く済ませますが床にこぼしたりお残しはしないよう気を付けますわよ！」

デボラはフルコース目掛けて突っ込みながら｜強襲立喰《バフェイ・アヴォロンテ》を発動、猛スピードで接近しながら飛び上がって回転、料理に向かって捕食開始。
まるでカートゥーン映画の如く突っ込むだけで料理は消え去って綺麗に腹の中。

後でスーパースロー映像の編集も必要になるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

第2章 集団戦 『『虫歯竜』ムシヴァードラゴン』

POW   :    何故か噛まれて歯が痛くなる～ムシヴァーバイト～ 【噛みつき攻撃】が命中した対象の【歯を1本を虫歯にし、虫歯を刺激する方向】から棘を生やし、対象がこれまで話した【歯磨き不実行期間】に応じた追加ダメージを与える。 SPD   :    その吐息は歯を侵蝕する～ムシヴァーブレス～ 【戦場全体に向けて放つべく跳び上がって】から、戦場全体に「敵味方を識別する【虫歯属性のブレス攻撃】」を放ち、ダメージと【虫歯】の状態異常を与える。 WIZ   :    歯が痛くても押さえられない～ムシヴァーバインド～ 【締め付け攻撃】から【何故か対象の歯だけを刺激する痛み】を放ち、【歯が痛くても手で押さえられない苦痛】により対象の動きを一時的に封じる。 イラスト：グリコーゲン 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

●ムシヴァードラゴン襲来！

「ムシヴァァァァァ！！！」

猟兵達が好きなように料理を味わっていた最中、ムシヴァードラゴンの大群が乗り込んできた！
歯磨きもせずに自堕落にグルメ系デビルムービーを撮っているとこんな姿になってしまう……ある意味この系統の反面教師のような存在だ。

こんな残念なワルモノ達は遠慮なくカメラの前で倒してしまおう！


●盛り上がる程に燃え上がる

「もぉ～！まだクローネちゃん達が食べてる最中でしょうが！」

クローネちゃんはまだまだ暗黒ボーンステーキを堪能中、せっかく気分が良くなってきたところを悪魔に邪魔されては堪らない。
しかし、まだまだ味わい尽くして手を止めたく無かったので、カメラをムシヴァードラゴンが見える位置に動かして、巻き込まれないように射線の料理を回収して迎撃の準備を整える。
ただし、相手をするのはクローネちゃんではない。

「アツアツな子達にはちょっと頑張ってもらおうかな★」

｜クローネちゃんのアツアツなお友達★《ブラック・ドラゴニアン・レギオン》を発動、クローネちゃんの周囲から覆い尽くすように100体余りの漆黒の肌をした人に近い見た目のドラゴニアンが召喚される、量で言えばムシヴァードラゴンの大群にも引けを取らないだろう。

「ムシヴァァァァァ！！」

カメラに広がる黒い竜同士の大戦争、ムシヴァードラゴンの噛めば相手を虫歯にする牙を掻い潜り、ドラゴニアンが顎にカウンターパンチ、そして別のドラゴニアンが後方からブレスによって何体かが焼きムシヴァードラゴンへ。
大群と大群の戦いを、クローネちゃんは暗黒ボーンステーキの骨を咥えながらじっくり眺めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

●ウェムカム！

「あら、肉料理のお代わりがやってきましたわ！」

フルコースが入ってた皿を片付けていたデボラは少し後にムシヴァードラゴンの大群に気が付いた。
虫歯から生まれた悪魔にも手を、というか歯を出そうとするのはもう雑食という領域を通り越しているだろう。

………デボラ自身も分かっていると思うがガチで全部食べるような事をする前に他の猟兵達に止められるだろう、何せ相手は変化した魔界の住民達なのだ、オブリビオンとは少々勝手が違う。
しかしまあ……ちょっとだけなら問題ないだろう、多分、雑食性歯牙が唸るぜ。

ということで再度｜強襲立喰《バフェイ・アヴォロンテ》を発動、ムシヴァードラゴンに特攻をかけて一直線。
鋭い牙によって対象を虫歯を生やすムシヴァーバイトがアメフトのタックルのように襲い掛かるが、元々歯磨き不実行期間が少ないのも幸いして激痛耐性でどうにか耐える。


「このムービーを見てる皆様！あれらのように私の食事になりたくなければきちんと歯を磨くのですわよ！」

なお、今作られているものは｜デビルムービー《ワルい奴の為の作品》なので残念ながら最後の台詞は無慈悲にカットされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

●聖なる治療開始！

「………少し、試したいことがありますの」

響納・リズは離れた所からムシヴァードラゴンを見て思いついた。
あれらは虫歯が限界まで進行した悪魔が変質したもの、明確な病気によるもの。
ならば……自身の持つ癒しの力で虫歯を治療する事が出来るのではないか？
思い立ったリズはムシヴァードラゴンの群れに近付き、ドラゴン達の虫歯まみれの真っ黒な歯に生まれながらの光を発動。

「不衛生な虫歯を少しでも綺麗な歯に戻しますわ！」

聖なる光が歯医者ドリルのように虫歯に接触して、ほんの一瞬で歯の色が良くなったように見える。
完治とまではいかないが、虫歯の状態としてはマシな状態になっただろう、治療されたムシヴァードラゴンの一部は力が薄れていく。
しかし複数体に向けて聖なる光を出したリズも代償として体に一気に疲労感がかかり、なんとかカメラに入らない場所に移動するのがやっとで即座に座り込んでしまう。

「私に出来ることはここまでのようですわ……後は頼みますわ、皆さん」

成功 🔵​🔵​🔴​

●虫歯は嫌なのデス

「まだまだまだまだキリがないデスね、あの虫歯は…状態異常扱いなら多分アレが通じるはずデスが」

試作機・庚はムシヴァードラゴンの放つ攻撃を見て｜到達点《グランド・フィナーレ》からの｜箱の中の猫は「生きている」《バックワード・コーゼイション》を発動。

「ムシヴァァァァァ！！！」

上空に飛び上がってのムシヴァーブレス、吐き出されるその黒い煙のような息は味方のみを対象に虫歯に関係する状態異常を発生させるのだが……
そもそもの話レプリカントは虫歯になるのだろうかという疑問はさておき、この虫歯属性はれっきとした状態異常、試作機の傍で事象が改変されて虫歯の効果がブレスを放ったムシヴァードラゴンに反射されていく。

ダメージまでは防げないが、厄介な虫歯ブレスの効果を押し付けることは出来るだろう。
空に居たムシヴァードラゴンはより悪化した虫歯によって浮力を失い、大きな地響きと共に地面に落下するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

●【このリプレイは(検問)されました】

【ピーーーー！】

貴方は規制音を知っているだろうか、そう、あの言っちゃいけない事を言った時とか、パロディ的なセリフを言っちゃった時に番組側で規制する時に被せられるピーという音である。

「(規制)(規制)(規制)」

今、喋ってる言葉全てに規制音が被せられているこの猟兵はアイクル・エフジェイコペン。
せっかく好きなように食える機会が出来たというのにムシヴァードラゴンに邪魔されて騒がれて虫歯の汚い臭いブレスなんてされるものだから正統派なレディの大激怒、バトルアックスを担いでカメラの前で残虐にならない程度に地獄絵図。

デビルムービーでは無論こういう物がウケがいいのでスタッフも止めずにカメラを回しまくり、さらに言うと………規制音というのは理由は分からないが流すと面白いのである。
ワルい奴向けコメディデビルムービーはとにかく危ないネタでピー音出してれウケるのだ、しかも内容も下手すればモザイク物、これで悪魔に笑うなという方が無理だ。

こうして、前半には猟兵達が欲望のままに肉を食べ尽くし、後半には規制音付きで力のままに暴れ回り、乱入してきた悪魔を叩きのめす姿(セリフと規制音はほぼアイクルによるもの)を映したこの作品はやりたい放題部門でデビルムービー大賞に選ばれたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

最終結果：成功 完成日:2024年06月09日