5
お祭りは大迷宮で

#カクリヨファンタズム #戦後

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#カクリヨファンタズム
🔒
#戦後


0




 祭囃子が聞こえる。

 浮かぶ色とりどりの提灯、あちらこちらに設置された屋台からは活気のある声が聞こえ、どこからか、盆踊りの音もしてきた。

 心弾むような音に惹かれて妖怪たちが祭りへと参加する。が、はてさてここはなんなんだろう。

 せり立つ壁、道かと思えば行き止まり、はてさてここはさっきも通った気がするぞ?

 そこは大迷宮、まさかのお祭り会場は大迷宮の中に……これはおかしいと思ってももう遅い。なんだかふわふわした夢心地にふらりふらりと誘われて……、

 永遠に盆踊りをしたり、同じ店を何度も巡ったり、水を飲むようにどころではない、浴びるように酒を飲み続けたり……狂った祭りがそこでは繰り広げられていた。

 ――――、

「祭りはなぁ、お店とか巡るの楽しいなぁ」
 ゆるゆると集まった猟兵たちに声をかけて、彼こと八重咲・風鈴(旅する羽衣人・f43372)は緊張感の欠けらも無い笑みを浮かべる。

「んー、でも、迷宮は迷っちゃうからなぁ」
 ゆるゆる、ほわほわ、前にも彼を見た事のある猟兵は、相変わらず要領のない話し方をするなぁと思うかもしれないが、当人はマイペースに笑いながら傍らに寄り添う守護竜を撫でた。

「迷宮がなぁ、いきなりできたんだけどなぁ……祭りもしてるんだってぇ」
 迷宮でまつり?祭りってあの祭り?と首を傾げる猟兵たちにゆるると笑って風鈴が頷く。

「そう、お祭りなぁ。縁日みたいな、盆踊りみたいな……」
 楽しそうだなぁ、オブリビオンが元締じゃなかったらもっと楽しいんだろうけどなぁとさらりと告げてから、風鈴は猟兵たちを見渡して、

「この迷宮の縁日なぁ、おかしな妖気のせいで妖怪たちがおかしくなってるみたいでなぁ……助けてあげてなぁ」
 永遠と盆踊りしたり、異様に酒を飲んだり、同じ店に何度も行ったり……猟兵たちならば妖気にあてられず助けることが出来るだろう。
 なにはともあれ今回は迷宮with縁日が現場ということだ。

「迷宮は中心部、目指してなぁ……んー、でもそうだなぁ、おかしな行動をあえてしながら戦った方が、ぼーがいとか、されないかもなぁ」
 中心地には妖気が多く渦巻いているせいで妖怪たちの多くもオブリビオンと化してしまっている。そのせいで普通に戦っては行動が阻害されてしまう可能性が高い。
 ここはあえて奇妙な行動を取りながら戦った方が妨害されずに戦うことが出来るだろう。とゆるゆると告げてから風鈴はひらひらと手を振る。

「じゃ、いってらっしゃあい」
 緊張感は、一切ない声で猟兵たちは見送られるのだった。


白藤
 お祭りは縁日巡りが大好きですね。なんて思いながら、お祭りシナリオです。

 一章では、なぜだか大迷宮を攻略します。大迷宮のあちらこちらで出店が出たり、盆踊りやらしてるけど、様子がおかしい妖怪たちがちらほら……助けてあげるとプレイングボーナスです。

 二章ではボス戦ですが、普通に戦おうとすると妨害を受けてしまいますので、おかしな行動をしつつボスに近づいて倒しましょう。上手くおかしな行動をしつつ攻撃が出来ればプレイングボーナスです。

 皆様の楽しいプレイングをお待ちしております、よろしくお願いします。
5




第1章 冒険 『無秩序な大迷宮を攻略せよ』

POW   :    気合で走り回って通路を総当りで確認する

SPD   :    通路以外の脱出経路でショートカットを試みる

WIZ   :    無秩序の中に秩序を見出し、最短経路を模索する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アイクル・エフジェイコペン(サポート)
猫っぽい舌足らず口調にゃ。こんにゃ感じで、末尾だけじゃにゃくて途中にも入れてほしいにゃ。めんどいならなくてもいいけど。
ちなみに機嫌悪い時は「に゛ゃ」って濁点入る感じにゃ。

基本は底抜けに明るいというよりおばか入っている。
「……ちょっと裏に来るに゛ゃ。」

基本はとにかく騒ぐ。そりゃもうハイテンションで。
でも存外気が短いので割とキレやすいとか。
自分ではツッコミだと思っているボケ体質かもしれない。

なわけなので事件の際にはとにかく突撃する。
あんまり考えるのは得意ではないらしい。
「何に゛ゃって?失礼に゛ゃ。」

『せーとーはなれでぃー』を気取っているのでスマートかつエレガントを目指す……つもりではいる。



「おまつり!たのしそうだにゃあ」
 目の前に広がる大迷宮からはなにやら楽しそうなお囃子の音が聞こえてくるのに、ウキウキとアイクル・エフジェイコペン(クロスオーバー三代目・f36327)は目を輝かせる。

 大迷宮だがお祭りだ。あちらこちらに縁日があり、どっかでは踊ってる人もいる。
 ウキウキと心が弾む。ちょっとくらい楽しんでもいいのでは?!とご機嫌に足を踏み出した。とはいえ自分は『せーとーはなれでぃー』なので、ウキウキワクワクという感情を抑えられないながらも、なるべくエレガントに進もうとする。

 まあ、ちょっと浮き足立っているけれど、お祭りなので仕方ない。だってほら、踊っているというか、踊り狂っている人もいる訳だし。

 ウキウキとあちらこちらを見やりながら、本能的に最短な道を選んでいく。が、提灯が飾られた建物が見えてくると、その周りで踊っていたカッパが近づいてきた。

「なんにゃ?」
「なあ、あんた一緒に踊らないか?なあ、踊ろうぜ、楽しいだろ?踊ろうぜ?」

 なにやらそう迫っくるカッパに眉間に皺を寄せた。踊るの自体は楽しそうだが、こうやって迫られると嫌になる。
 ふいっと顔を背け「嫌にゃ!」と告げるが、向こうも諦めない。
 迫ってくるし腕を掴んでこようとするのに、むっかー!となって

『ええいうっとーしーに゛ゃっ!!』
 叫び声と共に全力拒否!!!彼女の拳はカッパの腹部にめり込んで、ごほぉ!!!と動きをとめたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

メリッサ・スー(サポート)
 あなた、獣人化させる組織を知らない?
 突然ごめんなさい、私はメリッサ・スー。
 獣化した親友を元に戻すために、旅をしている者よ。

 いつもは獣化して、敵を倒す戦法を取っているわ。
 獣化形態は狐。獣姿近ければ近いほど、強いはずよ。
 いざという時は、呪われた装備を使うこともあるわ。

 親友を元の生活に戻すために、オブリビオンを容赦なく倒して見せるわ。
 ユーベルコードは指定どおりに、多少の怪我は厭わず積極的に行動てみせるわ。他の猟兵に迷惑をかける行為はしてはいけないわね。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしないわ。

 あとは、そうね……仲間を傷つける敵は、容赦しないかもしれないわね?



「大元はこの奥、ね」
 目の前にある大迷宮を見上げる。そこかしこから太鼓の音、笛の音、なにやら楽しいのか悲鳴なのかよく分からない声などが聞こえてくるが、壁に阻まれてどこに何があるのかはよく分からない。となれば

「上から行くのは、アリかしら?」
 大迷宮の壁の上……獣化したら登ってそこを駆けていくことは出来そうだ。大迷宮を中から攻略するよりも早いだろうと、早速とばかりに自身の体を獣化、狐の姿になると軽やかに壁を駆け上がり走り出す。
 ぱっと場所がわかる訳では無いが、中央あたりがなにやらぽっかりと開けていて、そこがどうやら目的地だと当たりをつける。

 ちゃっ、ちゃっと爪がリズミカルに足音を立てる。聞き耳を立てて当たりを警戒しつつも先へ進んでいけば、ふと耳がピクピクと揺れて小さな音を拾う。

「……たすけて!」
 小さな助けを求める声、そちらを見やれば子供らしき妖怪が明らかに異質な雰囲気をしている妖怪に囲まれていた。多分、囲んでいるのはここの妖気でおかしくなってしまった妖怪だ。異様な笑いを浮かべながら子供妖怪へと手を伸ばそうとするのに、体勢を低くしてスピードを上げる。

 たっ!と壁を蹴ると同時に上空に浮かぶのは偽物の満月……力が湧いてくるのを感じながら、真下にいるおかしくなった妖怪たちに向けて爪を振り下ろした。

 ばたり、と妖怪たちが呆気なく倒れる。と言ってもせいぜい気絶させた程度、少しすれば目を覚ますだろう。

「大丈夫?」
 
 恐怖からか座り込んでいた小さな妖怪に声をかければ、その子はこちらを見上げてぽかーんとした後、

「ありがとうおねえちゃん」
 そう、にっこりと無邪気に笑ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

藍沢・瑠璃(サポート)
【性格】
自分に自信がなくて基本的にネガティブな思考ですが臆病というわけではなく意外と思い切りはいい性格をしています。
強い相手には相応にビビりますが弱そうな相手(集団敵)には基本的に強気です。
普段は敬語で一人称は「ボク」です。
【戦闘】
ボス的にはビビりつつもなるべく油断させて隙に怪力を生かした接近戦で圧倒しようとします。基本は接近戦しか能がありません。
集団的では一転して強気になって敵陣に突っ込んで格闘で蹂躙したり怪力で(文字通り)ちぎっては投げして戦います。
基本的に接近戦しか能がありません。



「……うう、これ攻略出来るのかな…」
 目の前に広がる大迷宮に不安げに小柄な少女、藍沢・瑠璃(ヤドリガミのゴッドハンド・f37583)は呟く。あちらこちらから聞こえる音、いわゆる祭囃子は楽しそうだが妖気が渦巻く大迷宮は言ってしまえば不気味だ。
 とはいえ進まなければ何にもならない。不安はあれど、ひとまず行ってみようと足を踏み入れる。

 とはいえ、大迷宮、いゆる巨大迷路の攻略法は浮かばないので、壁に手をつけながら通路を総当り、ということになるが……あちらを見て、こちらを見て、行き止まりだったら素直に退いて……ゆっくり、ゆっくり、時間をかけながらも進んでいく。

「おい、見てみろよ、子供がいるぞ」
「こどもだ、ごちそうだ、くってやれ」
 そしてとある通路を曲がった時、数体の妖怪に囲まれてびくりと震えて立ち止まる。ケタケタと笑う妖怪たち、その目はおかしい。
 なるほど、これが妖気に当てられておかしくなってしまった妖怪たちか、と当たりをつけながらぎゅっとスカートの端を握りしめる。
 だがわかる、この妖怪たちは自分より格下だ。握りしめていたスカートの端を離すと、じとり、と睨みつけた。

「そこをどいてください。痛い目に合わせますよ」
 この程度なら負けはしない。正常であればこの妖怪たちもわざわざ喧嘩を売ってくることはないだろうが、今は妖気に当てられておかしくなっているせいか、ケタケタ笑って引きそうにはない。むしろ、鋭い爪を振り上げて襲ってくるのに、ぎゅっと拳を握りしめて、その攻撃を避けると腕を強く握る。

「いてぇ!!」
 警告はした、おかしくなっていようと攻撃を選んだのはこいつだ。痛みに呻く妖怪をそのまま勢いよく放り投げる。がんっ!!と壁に当たる音、いてぇと言う間もなく気絶する妖怪を見ながら、もう一度じとり、と残った奴らを睨みつける。

「どいて、ください」
 次は手加減しないですよ、と、足を少し下げて体勢を低く、いつでも力を出せるようにしながら、小柄なヤドリガミは告げたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アレクサンドラ・ヒュンディン(サポート)
人狼の力持ち×ミュータントヒーローです
普段の口調は「私、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?」、気にいったら「私、あなた、~さん、ね、よ、なの、なの?」

性格は内気で人と目を合わせるのが苦手ですが、人嫌いなわけではなく事件解決には積極的です
戦闘スタイルは力任せで、ダメージはライフで受けるタイプです

日常や冒険の場合、食べ物があるとやる気が増します

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 大迷宮をおろおろと見上げてから目を伏せる。ひとまずこの迷宮を攻略しなければならない。あちらこちらから聞こえてくる太鼓や笛の音、どこからか少しいい匂いもしてくる……どうやら出店も出ているらしい。迷宮、だが。

 とりあえず進んでみようと足を踏み出す。くんくんと鼻を鳴らしてみるといい匂い……少しならいいだろうか、とそちらへと足を向けてみる。どちらにせよ、進んで攻略せねばならないので、間違った行動では無い。

 辿り着いた先ではやはり縁日が出ていた。あちらこちらで楽しげな屋台が並び、楽しそうに射撃をする者、美味しそうに食べ物を食べる者……笑いながら四方八方に射撃を撃ちまくったり、腹がはちきれんばかりだというのに食べ続けたりと、少しアレな行動をする者が、いわゆる妖気にあてられた者だと当たりをつける。
 どう、助けるべきか……思案しながら辺りを見渡していると、不意にグイッと目の前に差し出される何かの焼串……のようなもの。

「お嬢ちゃん!こいつを食べていきな!!」
 獣の頭を持つ妖怪が笑いながら串を差し出してくる。

「あ、え……で、でも……」
「さあ!食っていきな!さあ!!!!」
 ぐいぐいと差し出される焼串、刺さっているものはなんだろうか……なにやら変な色の煙を出して、小さく破裂しては青い汁を出す、肉……のようなもの。

 はっきりいって食欲はそそられない、だが店主らしきものはぐいぐいと押し付けてくる。よくよく見ればその目はぐるぐると回っていて、明らかに理性の色がない。アレクサンドラ・ヒュンディン(狗孤鈍狼・f25572)の野生の勘が告げる。

 これは、まずいものだ、と。

「ご、ごめんなさいっ!」
 思わずそう叫びながら自身の体をぺろりと舐める。ユーベルコード【猫の毛づくろい】。
 自身の体の摩擦抵抗を極限まで減らすと一気に地面をけってその場から立ち去ることにしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『あやかしきつね『黒檀』』

POW   :    あやかしメダル「あぶらげ妖狐」
妖怪【あぶらげ妖狐 】の描かれたメダルを対象に貼り付けている間、対象に【揚げ物を無性に食べたくなる】効果を与え続ける。
SPD   :    骸合体「三尾ノ狐」
骸魂【三尾ノ狐 】と合体し、一時的にオブリビオン化する。強力だが毎秒自身の【あぶらげ】を消費し、無くなると眠る。
WIZ   :    トリプルぼわんチェンジ
戦闘力が増加する【一尾狐 】、飛翔力が増加する【野衾】、驚かせ力が増加する【すねこすり】のいずれかに変身する。

イラスト:ななの

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 クスクス、くすくすと笑い声が響く。あちらこちらでおかしな行動をとる妖怪たちをみやって、楽しげにわらう少女の姿が一人。

「おっかしいの!」
 ケラケラ、キャラキャラ、もふりとした漆黒のしっぽを揺らして、高台から迷宮を見下ろしながらわらう、笑う、嗤う……。

「もっと、もっとおかしくなっちゃえ!」
 妖怪たちをおかしくさせている妖気の主はそう叫んでキャラキャラと笑い声を上げた。

「おまえが原因か!!」
 ふとそう叫ぶ姿に目を向ける。妖気に当てられていない妖怪の姿……こういうのも、まま、いる。抵抗力が強いのかなんなのか、当てられずに原因となるこちらを倒そうとする妖怪……。それを見て目を細めると、むすりと眉間に皺を寄せた。

 せっかく楽しんでいたのに、せっかく遊んでいたのに。

「無粋なやつは、こうしちゃうんだから!」
 懐から取り出されるは【あぶらあげ妖狐】が描かれたメダル……ぴょん!ぴょん!と軽やかに跳ねてあっという間に妖怪へ近寄ると、その額にメダルを力強く貼り付けた。

「!!」
 妖怪が目を大きく見開く、そうしてからがくりと一瞬体から力が抜け、そしてフラフラと動き始めた。

「あ、あげもの……てんぷら……かつ……ころっけ……くわせろぉ!!」
「きゃははははっ!!」


「揚げ物が無性に食いたくなるってのも、平和なような、そうでないような、だなぁ」
 んーと口元に指を当てて呟いてから、風鈴はいつも側にいてくれる守護龍を優しく撫でる。

「警戒心が強いのかもなぁ……普通に近寄ろうとすると、妨害を受けるみたいだなぁ」
 けど、きっと猟兵たちなら平気だろう。そう思いながら柔らかにわらう。

「早く、普通のお祭り……楽しみたいなぁ。なあ?お父さん」
 
ジード・フラミア(サポート)
『2つで2人』12歳 男

ジード 内気 一般人の安全が優先
セリフは「」でぼく、~さん、です、ます
独り言やメリアに対してはですます無し
例「……よろしくお願いします。」
スクラップビルダーの力をよく使う

メリア 元気 どちらかと言えば撃破が優先 ジードに合わせることが多い
セリフは『』でワタシ(ごく稀にボク)、~さん、デス、マス
例『よろしくお願いシマス!』
人形遣いの力をよく使う

メリアの方が行動力があり、普段はジードを振り回してる

メリアはアイコン右の人形、及びその人形を動かす人格の仮の名前
ジードの人格が表でも、まるで自分の体の様に人形を動かす。


UCを使っていない時、メリアの五感はジードの体or遮断している。



 キャハハハ!と笑うあやかし狐「黒檀」の前に2人の小さな影が現れ、きょとりと黒檀は首を傾げる。
 方や10代後半の、方や同い年くらいの女の子……いや、よくよく見ればそれは人とよく似せて作られた愛らしい人形だ。

「……あのこんにちわ」
『コンニチワ!』
 ジード・フラミア(人形遣いで人間遣いなスクラップビルダー・f09933)が小さく頭を下げると、メリアが元気に挨拶をする。それに黒檀は興味深そうに目を瞬いてから笑った。

「わあ!可愛らしいのね!」
 まるっきり警戒していない様子で2人に近寄る。銀の髪と金の髪、青の瞳と赤の瞳、白い礼装と黒いドレス。一対の2人は黒檀の興味を酷くそそったらしい。それが誘惑の結果とも知らず、キャラキャラと無邪気に近寄って笑う。
 相手が外見は若くどこかおどおどとした様子の青年と、それに操られている可愛らしい人形という事もあるのだろう。敵とも思っていない様子だ。

 それが狙いとも知らずに。

 確かに外見だけを見れば穏やかな青年と可愛らしい少女の人形……だが彼らはただの青年と人形ではない、猟兵である。

「えっ」
 無邪気に近寄ってきた黒檀の体をスクラップを組み合わせて作られた武器、バラックスクラップが掠める。驚き硬直した黒檀にクスリとメリアが笑った。
 
『ワタシはこちらヲ、ジードはあちらヲ!』
「わかった!そっちはよろしくね!」
 2つで2人、この事件の元凶を倒すため2人は地を蹴ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

中嶋・李良(サポート)
箒で空を飛び、ガスやらで範囲攻撃をします。魔法等での援護もします。
出来る限りおのれの安全を優先します。死にたくないのです。



 そっと建物の影から相手の様子を伺う。着物を着た妖怪……あれが今回の敵だろうと当たりをつけて、中嶋・李良(トラのBCアルケミスト・f43760)は小さく笑う。

「遠くからなら、平気かなぁ」
 多少臆病なところのある中嶋だ。尻尾を揺らしながらそっと箒に跨った。あの妖怪の動きは早いが、こちらも機動力ならなんとかなる。それに、動きを見るにあの妖怪はこちらを倒したりするよりも『イタズラ』をメインに動いている節があるので、多分、なんとかなる。

「よし……行くぞぉ」
 最優先すべきは自分の安全、死にたくないしのだ。不健康そうな顔で、よし、と頷いて一気に飛び出る。

「え?!」
 虚をつかれた妖怪の呆然とした顔を見ながら、ユーベルコードを発動。現れるのは100本の魔法剣、それが幾何学模様を描きながら不規則に妖怪へ襲いかかる。

「きゃあっ?!」
 向こうが驚き、あわあわと対処しようと、その姿をぼわん!と変化させる。飛翔能力の上がる野衾の姿、それにより魔法剣を避けようとするが精度が高くなくてもさすがに100本の剣は避けきれない。
 あわあわおろおろ、逃げ出してその場を離れることしか妖怪には出来なかったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

クリスティア・レインベルグ
揚げ物……没落して早や十数年、すっかり庶民派の舌になってしまいましたわ
ここは一つ、陽気に揚げ物讃美歌など即興で歌い上げましょうか
「美味なるかな、美味なるかな、嗚呼麗しき油の艶めき。香しき黄金の衣よ」
……揚げたてのコロッケは正義ですわ
斯様に歌い、時にくるりと回ればおかしな行動に見えますわね
黒檀の油断を誘い、十分に引き寄せられれば鎖鎌の【捕縛】を使用します
更に UC【三点封印】でダメ押しを
「おいたが過ぎますよ……観念なさい!」
妨害阻止のため先程のように歌い舞いながら接近し、拷問具で他の猟兵がつけた【傷口を広げる】……絵面がひどいです私ちゃんと淑女ですのに(早口


アドリブ・共闘歓迎、お任せします



 迷宮を抜けた先、人を油揚げに夢中にさせるという中々にアレなイタズラをしている妖怪を見やり、クリスティア・レインベルグ(ポンコツ転落令嬢・f42414)はふうとため息をこぼした。

 揚げ物……と言われて脳裏に浮かぶのは、黄金色のコロッケ(1個80円、サクサクほこほこ美味しい上にお手ごろ価格)。ここでパッとお手ごろコロッケが浮かぶ時点で、没落してから早ん十年……すっかり庶民の舌になってしまいましたわ、と嘆きつつも美味しいは正義なのでとりあえず置いておく。

 はてさて、あのイタズラ妖怪にはちょっと変な行動をしながらでないと、簡単に近づくことは出来なさそうだ。なんの策もなしに近づくと、先程の人のように油揚げに夢中にさせられてしまう。ので、少し考えてから声を上げ始める。

「美味なるかな、美味なるかな、嗚呼麗しき油の艶めき。香しき黄金の衣よ」
 脳裏に浮かぶサクサクほくほくなコロッケ讃歌。特に揚げたては美味しい上にお手頃価格、更にはお腹にもたまる逸品、つまりは正義なのだ。

 時にくるりと優雅に回って見せれば妖怪はクリスティアを見てキャラキャラと笑う。どうやら疑っている様子もない。

「へぇ!貴方はコロッケが好きなの?」
 案の定、あっさりとおびき出されてきた彼女、その足が自身の攻撃範囲に入った瞬間、バッと顔を上げて鎖鎌で捕縛!

「えっ?!きゃあ!」
「おいたが過ぎますよ……観念なさい!」
 更にはダメ押しでユーベルコードを発動!念の為、それでも油断を誘うために歌い続けながら近寄り、拷問具を手に取る。

「はぁ……美味なるかなコロッケ……!」
「いたぁい!!」
 広がる傷口、口から出るのは念の為のコロッケ讃歌……

(絵面が酷いです……私ちゃんと淑女なのに……!)
 そんな嘆きは誰にも届くことはなかったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゾンビーヌ・ロッテンローズ(サポート)
デッドマンのコミックマスター×自由農夫、18歳の女です
普段の口調は「女性的(わたくし、~様、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」、心を許したら「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です

ゾンビとして蘇った文字通りの『腐』女子
男性が好きですが恋愛対象でなく、妄想のネタとして男同士でくっつけることを好みます
口調は作っているもので、本性は内気な陰キャです

ユーベルコードは所持する物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 キャッキャっと楽しげにおかしくなった妖怪たちを笑いながら眺めている妖狐こと黒檀を見る。外見は愛らしい妖狐なので、ゾンビーヌ・ロッテンローズ(元カルト組織「リビング・デッド魔導会」の腐薔薇姫・f40316)の趣味嗜好からは外れるので、サクッと仕事を済ませてしまおう。

「どうもこんにちわ」
「ん?」
 声をかければ目をぱちくりとさせ黒檀がゾンビーヌを見ると、にぱ!と笑う。また獲物が来た!とでも言いたげな顔だ。その手には一個のメダル……先程、妖怪のひとりを揚げ物食べたくさせていたあれ。つまり、あれを貼り付けられたらゾンビーヌも揚げ物を無性に食べたくなるというわけで……いや、ゾンビなのでどうだろ?と思いながらもろくな事にならないのは確実なので、貼り付けられる前にと自身の【左腕】を犠牲にすることにする。

【左腕】がぼろりと明らかに体から離れるのを見て、黒檀がひえっと息を飲んだその瞬間、強烈な雷撃が彼女を襲う。

「きゃあああ!」
 自身の【左腕】を犠牲にした雷撃……それは、狙い通りに黒檀へと直撃したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

バジル・サラザール(サポート)
『毒を盛って毒で制す、なんてね』
『大丈夫!?』
『あまり無理はしないでね』

年齢 32歳 女 7月25日生まれ
外見 167.6cm 青い瞳 緑髪 普通の肌
特徴 手足が長い 長髪 面倒見がいい 爬虫類が好き 胸が小さい
口調 女性的 私、相手の名前+ちゃん、ね、よ、なの、かしら?

下半身が蛇とのキマイラな闇医者×UDCエージェント
いわゆるラミア
バジリスク型UDCを宿しているらしい
表の顔は薬剤師、本人曰く薬剤師が本業
その割には大抵変な薬を作っている
毒の扱いに長け、毒を扱う戦闘を得意とする
医術の心得で簡単な治療も可能
マッドサイエンティストだが、怪我した人をほおっておけない一面も

アドリブ、連携歓迎



 ふぅとキャラキャラとイタズラをしては笑う妖狐こと黒檀にため息をついて、バジル・サラザール(猛毒系女史・f01544)はさて、どうしようかしらと首を傾げる。

「こんにちわ、お嬢さん」
「あら、あなたも遊んでくれるの?」
 くすくすと笑ってしっぽを揺らす様子は幼い子供のようだが、その目が輝くのにバジルは少し考えて

「では、ここでクイズです。私はなんの種族でしょう?」
「へぁ?」
 先手必勝とばかりにそう声をかける。まともに相手をしては、先程の妖怪のように妨害を受ける。あえて、彼女が身構える前にそういえば黒檀は間抜けな顔でバジルを見上げた。

「あなた、何言ってるの?」
 え、なにこいつ?みたいな顔をされるがそれも計算のうち。【疑問】を持たせればこちらのもの。
 こいつは何を言ってるんだろう?何をしたいんだろう?そんな【疑問】にでも、発動してくれる。

 ねちゃり……どこからか粘着質な音が響く……次の瞬間、黒檀に向かって【触手の塊】が発射された。

「きゃあ?!なにこれ?!」
「さて、もうイタズラはおしまいよ」
【疑問】を抱けば抱くほど、触手は現れる。彼女の【疑問】を喰らおうと。つまり、ここで王手だ。

 くすりと笑うバジルの背には、ゆらゆらと揺らめく紫色の触手が見えたのだった。


◇◆◇◆


 乱痴気騒ぎは幕を閉じ、おかしなお祭りも終わりを告げる。

 その前にこの大騒ぎを収めてくれた猟兵たちには、妖怪からのありがとうの声と、屋台では食べてってくれ!と声をかけられるだろう。

 そこにあるのは楽しい夏祭りの風景、祭囃子が鳴り響き、誰もが笑顔で楽しんでいる。

 こうして、今回の事件は無事閉幕となったのだった。めでたし、めでたし。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年07月13日


挿絵イラスト