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獣人世界大戦⑳〜たとえ、この身がこわれようとも?

#獣人戦線 #獣人世界大戦 #第三戦線 #はじまりの場所 #はじまりの猟兵 #シリアスとトンチキの反復横跳び

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●獣人戦線:はじまりの場所――『はじまりの猟兵』の呼びかけ
 ……六番目の猟兵!!
 待っていました。ずっと、待っていました!
 そう、わたしこそが「はじまりの猟兵」。
 世界はわたし達を罪深き者と呼びますが、それでも、わたしに後悔はありません。
 皆さんだって、その気持ちは同じ筈です。

 本当は、今すぐ皆さんに全てを伝えたいけれど……。
 わたしの寿命はとうに尽き、|世界の敵《オブリビオン》と化しています。真摯に真実を告げようとしても、皆さんに嘘の情報を渡してしまうかもしれません。

 だからすみません……わたしと戦ってください!
 容易には復活できぬ程叩きのめされれば、その末期に少しだけ、真実を語ることができます。
 わたしが今回伝えたいのは、『二番目から五番目の猟兵について』です。
 知りたい方は、私に向かってきてください。

 言っておきますが、わたしは最も古き者……。
 正直言って、弱いですよ!

 ……ってちょっと待ってください。
 突然、周りの闇が、勝手に蠢いて……。

 一体、何が出て来るんですかー!?

●お知らせします。シリアスははじまりの世界で死ぬかもしれません
「シリアス案件に見えるが、そもそも私が予知した時点でカオスの気配もするのだが……」
 シリアスな雰囲気なのに何故それを言っちゃいますかね!? グリモア猟兵藤崎・美雪(癒しの歌を奏でる歌姫・f06504)さん!?
「それはさておき、獣人戦線のシベリアの奥地から、膨大な闇に包まれた『はじまりの猟兵』が現れた話は聞いているよな?」
 もっとも、とっくの昔に寿命が尽きた彼女は、既にオブリビオンと化しており、完膚なきまでに倒された時のみしか、真実を語ることはできないそうで。
「何だか『いっそ紙芝居にすれば……いや……』と伝えるために葛藤しているようだが……」
 なにそれかわいい。
「……ってどこから紙芝居を取り出すつもりなんだ!? まさか紙芝居用の枠まで用意した上で皆を集めてあめちゃん配るんじゃないだろうな!?」
 猟兵さーん、誰か美雪さんのツッコミを止めてあげてー?

 ――ただいま、美雪さんのツッコミを止めております。しばらくお待ちください――

「ぜーぜー、さすがにツッコミが止まらなかった……」
 猟兵達に宥められた美雪さん、息を整えると説明を再開します。
「まあ、紙芝居にしようがどうしようが、意図せず嘘情報を言ってしまう可能性があるので、戦闘中に語ることはできないらしい」
 では、どうやって真摯に、嘘偽りない情報を『はじまりの猟兵』から聞き出すかと言うと。
「彼女と戦って、徹底的に叩きのめしてほしい……と言いたいところなのだが、どうやら猟兵と『はじまりの猟兵』が接触した瞬間、『はじまりの猟兵』を包む膨大なる闇が、彼女の意志を無視して「怪物」を生み出してくるようなのだ」
 しかも怪物の姿は、戦場にいる猟兵の『真の姿』を更に歪めたような、禍々しき形状をしているのだそうで。
 ひょっとしたら、「(ギャグ・ネタ的な意味で)こんな姿や性格は嫌だー!!」と叫びたくなるような怪物が生まれるかもしれませんが、それはさておき。
「戦場内の猟兵の『真の姿』を次々生み出す闇に慌てた『はじまりの猟兵』は、猟兵達との共闘によって、闇を撃退しようとするそうだ」
 共闘するかどうかは自由ですが、もし共闘する場合、はじまりの猟兵は、猟兵の指定ユーベルコードと同じ能力値のユーベルコードを使いつつ、高いレベルの技能も駆使して戦うそうです(メタ)。
「ちなみに、闇は『はじまりの猟兵』のエネルギー源でもあるようなので、共闘を終えた彼女は消滅する。既にオブリビオンと化している以上、如何なる手段を持ってしても救えないので、そこは承知の上で向かってくれ」
 頭を下げる美雪さんに、猟兵達は現れそうな闇の怪物を想像しつつ、頷き返しました。

「なお、彼女を完全に撃破し、なおかつ有頂天道人に連れ去られなかった場合は、戦後に少しだけ『二番目から五番目の猟兵』について語ってくれる。有益な情報を得るチャンスでもあるので、できれば撃破して救ってやってくれ」
 それでも、連れ去りは何とか阻止できそうかな? ……と小声でそっと付け加えつつ。
 美雪さんはグリモア・ムジカから音符を虚空に飛ばしつつ、猟兵達をはじまりの場所へと転送するのでありました。


北瀬沙希
 北瀬沙希(きたせ・さき)と申します。
 よろしくお願い致します。

 ついに『はじまりの猟兵』の居所に辿り着きました。
 そこで皆様には、膨大なる闇から現れた、自身の真の姿を取った「怪物」と戦ってもらいます。
 ただし、美雪さんいわく、「カオスになりそうな気配がする」そうですが……?

 一応シリアス想定ですが、闇の怪物の容姿や性格次第でカオスやギャグに振り切れる可能性もあります。
 アドリブ多め、描写量に著しく差異が生じる可能性大。
 有力敵戦なので難易度はやや難ですが、勢いで突っ走っても多分大丈夫!
 以上3点、ご了承の上での参加をお願い致します。

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「獣人世界大戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

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 状況は全てオープニングの通り。
 今回は冒頭の追記はありません。

●本シナリオにおける「プレイングボーナス」
【「はじまりの猟兵」と共闘する】か【自身の「闇の真の姿」を描写し、それに打ち勝つ】と、プレイングボーナスの対象となります。

 本シナリオに登場する『闇の真の姿』は、PCが指定したユーベルコードと同じユーベルコードで攻撃してきます。
『闇の真の姿』の外観と性格は、イメージのズレを防ぐためにも、プレイングである程度ご指定いただけますと助かります。
 あとは自身の闇に打ち勝つ王道展開にするもよし、あるいは「こんな姿や性格は嫌だ!!」な闇を叩きのめすもよし、思い思いに戦って下さいませ。
 シリアスやダークはもちろん、ギャグやカオスも受けて立ちますが、公序良俗に反する姿と行為だけはダメ、絶対!!

●【重要】プレイングの受付・採用について
 オープニング公開直後からプレイング受付開始。
 受付締切はタグとマスターページ、SNSにて告知致します。

 6月1日(土)16時までの完結を優先しますので、基本的には必要最小限の採用となります。
 ただし、必要成功数を超過しても、締切に間に合いそうなら採用するかもしれません。
 いずれにしても、全採用の確約は出来ませんので、ご了承ください。

 その他、シナリオ運営に関する諸連絡は、マスターページを参照いただけると幸いです。
 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『はじまりの猟兵』

POW   :    ストライク・イェーガー
レベルm半径内の対象全員を、装備した【ライフル】で自動的に攻撃し続ける。装備部位を他の目的に使うと解除。
SPD   :    プログラムド・ジェノサイド
【予め脳にプログラムしていた連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    キューソネコカミ
【ライフル】が命中した敵を一定確率で即死させる。即死率は、負傷や射程等で自身が不利な状況にある程上昇する。

イラスト:hoi

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リリスフィア・スターライト
アドリブ、連携歓迎、NGなし

真の姿を更に歪めた存在…
嫌な予感はしていたけどやっぱり出てきたね。
出現するのは真の姿ではなくて私の闇人格の星夜だね。
正確には真の姿ではないのだけれどね。
お嬢様風な性格だけど、危険な人格だよ。
私だけでなくはじまりの猟兵さんも狙ってくるんじゃないかな。
あくまでも膨大なる闇が生み出した怪物なんだし
遠慮なく倒させてもらうよ。
ここは氷鏡反射でカウンター狙いかな。
向こうも同じUCを使うだろうけれど
自分から攻めるには不利だからね。
星夜を真似た人格ならそこまで
我慢強いという訳ではないから
焦れて手を出してきた所を反撃だね。
はじまりの猟兵さんも隙あれば、ライフルで援護してもらおうかな。



●真っ向勝負で乗り越えるべきは、己が闇人格
 シベリアの奥地にある『はじまりの地』に転送されたリリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)の姿を認めるや否や、彼の地に現れた『はじまりの猟兵』はライフル片手に出迎えた。
「第六の猟兵さん! 待っていましたよ!!」 
 はつらつとした声を耳にしながらも、リリスフィアの表情は固い。
「真の姿をさらに歪めた存在……」
 何処か嫌な予感がするのか、リリスフィアは胸元をぎゅっと握り締めながら、その時を待つ。
 やがて、膨大なる闇の一部が揺らめき、凝縮し……闇を纏ったリリスフィアそっくりの少女に変化した。
(「闇が真の姿を取っていない? どうにも嫌な予感しかしないのだけど」)
 闇リリスフィア? はリリスフィアとはじまりの猟兵の姿を認めると、ニコリと笑いかけながら優雅に一礼。
『ごきげんよう』
「……やはり」
 お嬢様風の所作を見せる闇リリスフィア? を目にし、リリスフィアの背筋に冷汗が一筋、つたい落ちた。
「どうかしたんですか?」
「おそらく、あの闇の人格は……私の闇人格の星夜だね。お嬢様風な性格だけど、危険な人格だよ」
『さすが私、かしら?』
 よくわかっている、とばかりにコロコロと笑う闇リリスフィア……否、闇星夜。
 リリスフィアと同じ穏やかな瞳の奥には、危険で剣呑な光が宿っていた。
「多分、私だけでなく、はじまりの猟兵さんも狙って来るんじゃないかな?」
「闇の怪物ですから、何をしてきてもおかしくはなさそうです」
 片手でライフルを構えるはじまりの猟兵を横目に、リリスフィアは改めて闇星夜の容姿を眺める。
 その要旨は、己が容姿とほぼ同一。
 そして、宿す人格は――危険な己が闇人格。
 だが、目の前の己が膨大なる闇が生み出した怪物であるならば。
 ――躊躇も遠慮も、するつもりはない。
「だから……遠慮なく倒させてもらうよ」
 そう、己に誓う様に口に出しながら。
 リリスフィアは緋色に輝く刀身を持つ、愛用の魔剣を手に取った。

(「悪いね、お返しするよ」)
 リリスフィアは状態異常や行動制限を受けると発動する氷の鏡を仕込み、闇星夜から仕掛けてくるのを待つ。
 闇星夜も、リリスフィアに聞こえない程度の声で何か呟いていた。
「――――」
 唇の動きから、どうやら闇星夜も同じ氷の鏡によるカウンターを狙っているように見える。
 こうなれば、自分から攻めるには不利だけど、目の前の闇が星夜を真似た人格なら――ある程度の傾向はわかる。
「そこまで我慢強いという訳ではないから、焦れて手を出してきたところを反撃だね」
「でも、お互い手を出さなければ、いつまでたっても攻撃の機会は来ないですよ?」
「それもそうね……」
 事実、闇星夜は得物を手にしておらず、攻撃する意思はないように見える。
 あくまでも、リリスフィアが先に仕掛けてくるのを待っているようだ。
「はじまりの猟兵さん、ライフルで援護をお願いできます?」
「わかりました! ジェノサイドプログラム起動! 思いっきり撃っちゃいますね!!」
 リリスフィアの要請を受けたはじまりの猟兵が、ライフルを構え、瞬時に闇星夜に狙いをつけてトリガーを引いた。

 ―――ガガガガガガガガガッ!!

 予めプログラムされていたかのように、はじまりの猟兵は目にも止まらぬ速度でライフル弾をばら撒き、闇星夜の動きを制する。
 トリガーを引き続けているとあっという間に弾倉が空になるが、はじまりの猟兵は切れるや否や、流れるような動きで弾倉を交換し、撃ち続けた。
『くぅ……っ!!』
 弾丸の暴風雨に全身を撃ち抜かれ、全く身動きが取れずにいる闇星夜。
 痺れを切らして手を出して来るか、とリリスフィアが警戒し始めた、その時。
 ――闇星夜の口元に、不気味な笑みが浮かんだ。
『でも、銃弾で行動が制限されているなら……鏡で反射できますわね?』
 闇星夜がくすっと笑うと同時に、闇星夜の前に磨き上げられた氷の鏡が現れる。
 どこか闇を含んだような、表面がくすんだ氷の鏡を見て、リリスフィアの顔色がさっと変わった。
「はじまりの猟兵さん、銃撃を止めて下さい!」
「これ、1度始めたら撃ち尽くすまで終わらないですー!!」
 予め脳にプログラムしていた連続攻撃ゆえ、途中では止められないはじまりの猟兵の悲鳴と共に、闇星夜にばら撒かれたライフル弾の一部が氷の鏡に命中し、反射される。
 行動を制約するほどの勢いでばら撒かれた弾丸は、そのままの勢いではじまりの猟兵とリリスフィアに襲い掛かった。
「くぅ……っ!!」
「はじまりの猟兵さん!?」
「大丈夫です!! 連続攻撃は終わりましたから!!」
 リリスフィアが魔剣でなんとかライフル弾を弾き落としている間に、はじまりの猟兵は改めてライフルを構え、反射された弾丸を狙撃し撃ち落としてゆく。
 その精密な射撃能力に、リリスフィアが舌を巻いていると、闇星夜が魔剣を手に突撃してきた。
 リリスフィアの緋色の魔剣と異なり、闇星夜の魔剣は――刀身が漆黒。
『さあて、主人格にはご退場願いましょうか?』
「ようやく来たね。終わらせようか」
 おそらく痺れを切らして突撃してきたのだろうが、それこそがリリスフィアが狙ったタイミング。
 闇星夜が魔剣を突き出すと同時に、リリスフィアもまた、手にした魔剣を闇星夜の心の臓に向けていた。

 ――ザシュッ!!

 状態異常も行動制約も発生させない単純で真っ直ぐな一突きは、闇星夜の魔剣を弾き飛ばしながら心臓を貫く。
『短気、だったのが、運の尽きでしたわ……』
 大量のライフル弾で存在を削られていた闇星夜は、その一突きで頽れ、闇となって霧散した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

澄清・あくあ
(アドリブ大歓迎)
闇姿の二人は灰色交じりの朱色の子と、くすんだ黄色で深緑の目が見える子
UCがあくあは「正体不明の近接攻撃」あるまは「触れた物を無に帰す暗刃」へ変質
-
「…言葉は不要ね」
『うん』
相手と同タイミングに光輪、結晶翼を展開
爪の引き撃ちで可能な限り体積を減らすのです

相手の射撃は【オーラ防御/受け流し/ジャストガード】で跳弾させて防ぐのです

優位な相手に勝つには、瞬間的でも相手と同じ位置にならなきゃだめだから…

回避は|核《致命》を避ける最低限に済ませ、まだわかりそうな「暗刃」を避けながら近距離で観察なのです

隙を見てあるまちゃんに魔力等を集中させて「暗刃」を真似て、闇より暗い『無』に還すのです



●藤と朱、蒼と黄、対なる存在は闇の対なる存在を見極めて
 シベリアの奥地にある『はじまりの場所』に、澄清・あくあ(ふたりぼっちの【原初の一】・f40747)が、もう一人の自分たる存在『澄清・あるま』と一緒に足を踏み入れると、ふたりの存在を感知した膨大な闇がふたつの人の形を取る。
 ひとりは全身が灰色混じりの朱色の子、もうひとりはくすんだ黄色で深緑の目が見える子。
 おそらく、朱色のほうが、体液が煌めいてる藤色のあくあの対――闇あくあで。
 そして、もうひとり、くすんだ黄色と深緑の目のほうが、蒼色のあるまの対――闇あるまだろう。
「……言葉は不要ね」
『うん』
 己が闇を顕現させたようなふたりを見て、あるまもあくあも息を呑む。
「あの、六番目の猟兵さんたち……」
 そんなふたりに、はじまりの猟兵が恐る恐るといった様子で声をかけるが、あるまとあくあは答えない。
 やむなく、はじまりの猟兵はマスクの下から目を凝らし、闇あくあと闇あるまを観察し始めた。
「あの身体だと、ライフルは効果が薄そうですね……」
 セイレーンのあくあとあるまは、体内にある核を破壊されない限り致命にならないが、裏返せば核を破壊されれば消滅する。
 もっとも、核を破壊されれば消滅するのは、闇あくあと闇あるまも同じのようだが、2対2の混戦になったところにライフル弾をばら撒けば、あくあとあるまを巻き込みかねない。
「ひとまず、見守っていましょうか……」
 一抹の不安を胸に秘めながら、はじまりの猟兵はライフルを手にしたまま、あくあとあるま、ふたりの戦いを見守ることにした。

 あくあとあるまがそれぞれ光輪と結晶翼を展開するのと同時に、闇あくあと闇あるまも闇に侵された光輪と結晶欲を展開する。
「“私”はふたりもいらないよね」
 闇あくあの光輪が光った瞬間、光輪がぐにゃりと変化し、ナニカに変化した。
 嫌な予感が頭を掠め、あくあとあるまは急ぎその場を飛び退く。
 直後、先ほどまであるまとあくあがいた場所を、得体のしれないナニカが通り過ぎていった。
「正体不明過ぎてわからないです!?」
『一体、なんだろうね』
 どうやら闇あくあの攻撃は近接攻撃のようだが、あまりにも形がなさすぎて正体が掴めない。
 ふたりが戸惑っている間に、闇あるまが闇結晶翼から、ふたり目がけて暗刃を発射した。
『これもまずいかも?』
「うん」
 ふたりはタイミングよくオーラを展開し、暗刃を跳弾の要領で弾こうとするが、暗刃はオーラを易々と切り裂く。
 切り裂かれたオーラは、まるで最初から存在しなかったかのように消滅した。
「あの刃は、|高周波波紋刃《パルスブレード》?」
『おそらく、触れた物を無に帰す刃に変質しているかも』
 もし、あの刃で直接身体を切り裂かれたら――たとえセイレーンであっても受け流すのは至難だろう。
 現状、闇あくあと闇あるま――特に暗刃を持つ闇あるまが、圧倒的に優位と言わざるを得ない状況。
 それでも、ふたりはオーラでタイミングよく正体不明の攻撃をジャストガードし、暗刃を回避しながら、結晶翼から爪を引き打ちし、少しずつ闇あくあと闇あるまの存在を削ってゆく。
 闇あくあの攻撃の正体は、未だ掴めないが、光輪を変形させての攻撃はどうやら近接攻撃しかできないようで、ある程度距離を取れば回避は難しくない。
 むしろ、闇あるまの触れれば無に還す暗刃のほうが、射程が長い分危険だろう。
 ――では、闇のふたりに勝つには、どうすれば?
 手詰まりとも言える状況に、あるまがあくあにひとつの提案をする。
「優位な相手に勝つには、相手と同じ様にならなきゃだめだから」
『なら、|理解《わかり》そうな「暗刃」を、避けながら観察してみる?』
「でも、闇の私の攻撃をどうするか……」
「だったら、わたしが足止めします!! おふたりはその間に暗刃を見極めて下さい!!」
 ふたりの話を聞いていたはじまりの猟兵が、ライフルを構え、闇あくあだけを狙い撃つ。
 ライフル弾が闇あくあの身体を撃ち抜くたび、灰色混じりの朱の液体が飛び散り、少しずつ闇あくあの存在を削っていくが、闇あくあは気にせずあくあに呼びかけた。
「|ご主人様《ますたー》が必要としているのは、わたしたち。だからさっさと消えて?」
「……っ」
 |ご主人様《ますたー》の名を聞くと、記憶の奥底が揺らぐ気がしたが、深く考えている余裕はない。
 闇あるまの暗刃を回避しながら、あくあとあるまは暗刃の正体を見極めるために目を凝らし、魔力の流れに注意を払い続けた。

 しばし一方的な攻撃が続いた後、魔力の構造が|理解《わか》ったのか、あるまが叫ぶ。
『見えた!!』
「あるま、お願い」
 闇あるまの暗刃が途切れた隙に、あくあもあるまに魔力を集中させる。
「させない……」
「いえ、わたしが攻撃させませんっ!」
 闇あくあが再度正体不明の近接攻撃であるまを狙おうとするが、はじまりの猟兵の的確、かつ闇あるまをも巻き込む射撃に阻止され、動けない。
『着剣……いえ、着刃! です!!』
 あくあから魔力を受け取ったあるまが、結晶翼から爪――否、刃を撃ち出す。
 撃ち出された刃は、闇に沈んだかのように真っ黒に染まっていた。

 ――ザクッ!!

 あるまが闇あるまの真似をして射出した『暗刃』の模倣品は、闇あるまの胸を貫く。
『さすが、魔法が得意な“わたし”だね』
『暗刃』に貫かれた闇あるまは、その存在を核ごと闇より暗い『無』に還されながら消滅した。
「でも、私はまだ」
「そちらも終わり、です」
 対の存在を失っても尚、攻撃の意思を見せる闇あくあに、あくあは結晶翼から爪を引き撃ちし、核を貫く。
 存在の根源を失った闇あくあは、そのままもとの闇に戻り、霧散した。

大成功 🔵​🔵​🔵​


 膨大なる闇から現れた己が闇に対し、猟兵達はそれぞれの想いを持って対峙して行く。
 その甲斐あってか、はじまりの猟兵が纏う膨大なる闇は、少しずつ薄れつつあった。

「ですが、此処から先は……なんだか嫌な予感がします」
 嫌な予感、とは?
「そう、カオスやトンチキという……って早速来そうですよー!!」
 どこからその知識を得たのかはさておき、ワクワクしながら待ち構えるはじまりの猟兵さん。
 まあ、カオスだろうがトンチキだろうが、闇の怪物を倒せば問題ないですからね!!

 と、いうわけで、ここからはカオス、ないしはトンチキで対峙した記録をお送りいたします!
 よって、リプレイのノリと文体ががらりと変わる上、呼び捨てだったお名前に「さん」をつけて表記していきますので、その点ご了承くださいませ!!
バルタン・ノーヴェ
アドリブ連携歓迎
シリアスでもトンチキでもカモン!
闇の真の姿:人間無骨を装備した猟書家『クルセイダー』を模した姿のバルタン。

神シヴァ威!
はじまり殿は古きインド神話知識に精通して……違う?
HAHAHA!
小粋なジョークで和ませてから、真なる闇とのバトルと参りマショー!
超高レベルのスナイパーによるUC攻撃に期待しマース!
背中は任せマスネ、はじまり殿!

……ワーオ。クルセイダーを模した姿?
彼奴の骸式兵装は出力していないのデスガ……はじまり殿のエッセンスで出力されマシタ?
ならば好都合! 湧き出る闇姿と戦ってデータを蓄積しマショー!
骨を溶かすビームを回避しながら接近を試み、ファルシオンによる斬撃を狙いマース!



●シリアスでもトンチキでもカモン! と言われればトンチキしかないよね?
「神シヴァ威!」
 シベリアの奥地にある『はじまりの場所』に足を踏み入れたバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)さん、出だしから困惑するような挨拶ひとつ。
「え、突然なんでしょう?」
「はじまり殿は古きインド神話知識に精通して……違う?」
「な、何のことかワカラナイデスネー」
 はじまりの猟兵さん、困惑しているのか、返事が明らかに片言になっていますねー。
「HAHAHA! ジョークデース!!」
「じょ、ジョークだったの……?」
「ジョークデース!! では、気を取り直して、真なる闇とのバトルと参りマショー!!」

 小粋なジョークお披露目会の最中にも、膨大なる闇は少しずつ人のかたちを為し始めております。
 え、やけにゆっくり変形していると? バルタンさんの挨拶が終わるのを待っていてくれたのでしょう(適当)。
 それはさておき、変化した闇の姿を見て、バルタンさんは思わず目を見張りました。
「……ワーオ」
「六番目の猟兵さん、どうかしました?」
「これは、クルセイダーを模した姿?」
 確かに衣装は、サムライエンパイアの幹部猟書家『クルセイダー』によく似ていますが、その衣装を纏っているのはバルタンさんそっくりの闇バルタンさん。
「彼奴の骸式兵装は出力していないのデスガ……はじまり殿のエッセンスで出力されマシタ?」
「わたしだって何が出て来るかわからないんですー!!」
 この闇、何でもアリのびっくり箱ですからねぇ……。
 それはさておき、クルセイダー姿の闇バルタンさん、クルセイダーが手にしていた十字槍『人間無骨』と同じ形状の槍を持ちつつ、どこか着心地が悪そうにしております。
「オーゥ、嫌々着させられているようにも見えるのは、気のせいデショウカ?」
 もともとデータとしてないものを無理やり模倣したからか、それとも膨大なる闇がバルタンさんと妙な化学反応を起こしたか、あるいはバルタンさんを邪悪っぽくするのに苦労した結果、衣装と合わなくなっちゃったのか。
 いずれにせよ、現れたからには倒さねばならない敵……のはずですが。
「ならば好都合! 湧き出る闇姿と戦ってデータを蓄積しマショー!」
「い、いいんですかそれで!?」
 妙にノリノリのバルタンさんに、はじまりの猟兵さんも思わず突っ込みますが、バルタンさんは華麗にスルーしつつ突撃!!
「良いのデース! 背中は任せマスネ、はじまり殿!」
「あ、はい!!」
 勢いに押されたはじまりの猟兵さん、ライフルを構えたまま、走り去るバルタンさんを見送るのでありました。

 射撃が得意そうな(?)はじまりの猟兵さんに背中を任せて、真っ向から切り込んだバルタンさん。
 警戒すべきは、十字槍『人間無骨』から放たれるはずの、骨をも融かすビームのはずですが。
『ビームは撃てないので、普通に斬りマース!!』
「オーゥ……骨を融かすビーム……ではナイ?」
 普通に十字槍で斬ろうとする闇バルタンさんを見て、バルタンさんも思わず目を点に。
 今回の戦場ルール上、『闇の怪物は猟兵の指定ユーベルコードと同じユーベルコードを使う』ので、今回は人間無骨からのビームではなく、十字槍の穂先で切断して来るということになってしまいますね……。
「ということは、命中すれば切断する十字槍をかいくぐりつつ、ファルシオンでずんばらりんと斬るしかないということデスカ!?」
 はい、そういうことなので頑張ってくださいねー!!
「天の声サン、さらりと無茶を要求してきていマース!!」
 どこかに苦情を言い立てながらも、振り回される十字槍の軌道を見極めながら頑張って回避しするあたり、バルタンさんも歴戦の傭兵かつ猟兵でして。
「オーゥ、槍の柄が長すぎて、思ったより回避が難しいデース!!」
『こっちはこっちで、得物が長すぎて取り回しが難しいデース!!』
「闇のワタシが困っていらっしゃる!?」
 バルタンさん、槍使いと言うイメージがないので……ちょっと困るかな? と。
 でも、困るほど取り回しが難しいのならば、チャンスではありますよね?
「それならそれで、はじまり殿、頼みますヨ!!」
「任せておいてください!! 撃ち抜いちゃいます!!」
 というわけで、バルタンさんから要請を受けたはじまりの猟兵さん、嬉々としてライフル構えて、狙撃開始!!

 ――ズキューン!! ズキューン!!

 明らかに狙撃向けではないライフルで、某有名スナイパーも真っ青の超高レベルスナイパーっぷりを見せつけながら、はじまりの猟兵さんは的確に闇バルタンさんの四肢を狙い撃ち。
 結果、超精密射撃で四肢や人間無骨まで狙い撃たれた闇バルタンさんは、大きく煽られるように姿勢を崩してしまいました。
「今のうちデース……じゃなかった、今のうちに斬っちゃってください!!」
「はじまり殿、感謝デース!!」
 すかさず懐に飛び込んだバルタンさん、ファルシオンを袈裟に振り下ろそうとしますが、耳に入ったのは闇バルタンさんからの宣言!!
『人間無骨ビーム、発射デース!!』
「闇のワタシ、撃てないのではなかったのデスカ!?」
『だって、データがほしいのでショウ?』
「それはほしいデース……」
 というわけで、この1発だけなんとか再現できたということで、人間無骨ビーム、発射!!
「さっきと話が違いマース!!」
 だってトンチキですから、何が出てもおかしくないですし?(偏見)
 とにかく、至近距離から発射された骨をも融かすビームを、バルタンさんはなんとか気合で回避して。
「まあ、データが取れたのでよしとしマース!!」
 回避した勢いに任せて、バルタンさんはファルシオンを袈裟に振り下ろし、闇バルタンさんを人間無骨ごとずんばらりんと切断したのでありました。

「ところで天の声サーン、シリアスだったらどうなっていたのでしょうカ?」
 多分、バルタンさんが人間無骨に引っ掛けられて細切れにされかけていたかなー……と。
「え?」
 まあ、その場合でもはじまりの猟兵さんが的確に四肢を射抜いてくれたでしょうから、最終的にはなんとか追い返せたとは思いますが、重傷は免れなかったでしょうね……。
「ワーオ、トンチキでよかったデース……」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビスマス・テルマール
●Pow
ビスマス結晶が宇宙服の様に歪んだ、わたしの闇の真の姿が、また忌まわしき未来のわたしに似た、性懲りも無く(アポカリプス・ランページ⑮〜NO FEAR 参照)

今回は何かガタイ大きいく
カオスの予感が

彼女と『団体行動&集団行動』連携援護受け【ウルシ】さんの『一斉発射&制圧射撃』から『早業』UC発動

攻撃力重視【南瓜のなめろうビームハリセン】生成『第六感』で『見切り&残像』回避

相手の避け方が
余計にムカつきます

では、回避しづらい様に『怪力&属性攻撃(重力)』込め相手の動き制限し『鎧無視攻撃&2回攻撃&斬撃波』ツッコミ

あっ、頭から埋もれて犬●家にっ!?
その倒れ方もムカつきますっ!

※アドリブ絡み大歓迎



●なめろう猟兵同士の戦いはツッコミ乱舞となるもので?
 シリアスから一転し、カオスとトンチキの場と化した、シベリアの奥地にある『はじまりの場所』。
 早々に陽気さとツッコミが溢れた形跡のある戦場に、次に足を踏み入れたのは、ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)さんでした。
 そんなビスマスさんの気配に反応し、さっそく膨大な闇が揺らめき、人のかたちをとり始めます。
 やがて、完全に変化した姿を見て、ビスマスさんは思わず眉を顰めていました。
「あれが、私の闇の真の姿」
 ――それに。
「また忌まわしき未来のわたしに似た、性懲りも無く」
 現れた闇ビスマスさんの真の姿は、ビスマス結晶が宇宙服のように歪んだ姿をしております。
 かつてビスマスさんは、廃遊園地で呪詛型UDCを相手にした依頼で、奇妙な宇宙服を纏った存在を相手にしたことがあったのですが、どうやら、その相手に恐怖を感じてしまったらしく、恐怖の存在を『恐るべき敵の幻影』として再現するアポカリプスヘルのメンフィス灼熱草原にて再度遭遇したようで。
 あの時は、幻影に心折られかけながらも、信念と絆を胸に幻影を倒し、乗り越えたはずだったのですが、今、闇の真の姿としてここに現れるということは、そういうことなのでしょう。
「でも、今回は何かガタイが大きくなっていきます……?」
 目の前の宇宙服姿に、どこか妙な違和感を覚えつつ、ビスマスさんは諦め気味に大きくため息をつきました。

 ――この戦い、カオスの予感しかしない、と。

「はじまりの猟兵さん! ライフルで援護をお願いします!」
「はいっ! なんだかよくわからない相手ですが、気を付けてっ!」
 気を取り直して、ビスマスさんは可変漆塗りスッポン型グルメツール『ウルシ』さんをすっぽん型メカに変形させ、周囲を制圧するよう一斉射しつつ、ビームウェポンを生成します。
『生成開始(ビルド・オン)っ! なめろうビームウェポンっ!』
 その声に喚ばれて現れたのは、柄に南瓜があしらわれ、ビームの板が蛇腹に折られたような、聊か奇妙な武器でした。
 一見するとすぱこーんと小気味よい音を立てそうな形状をしておりますが、この武器は攻撃力重視にカスタムされているらしく、そこかしこが頑丈になっている気がします。
 つまり、叩かれるととっても痛い……どころではすまなさそうですが、その形状に興味を引かれたか、はじまりの猟兵さんが早速ツッコミ!
「六番目の猟兵さん、その武器は何と呼べばいいんでしょう?」
「南瓜のなめろうビームハリセンですっ!!」
「なめろうって、あのなめろうですか!?」
「はいっ! お察し通りのなめろうです!!」
 いつもの癖で食べます? となめろうを取り出しかけたビスマスさんでしたが、はっとして慌ててなめろうをしまい。
「いやいや、今はそれどころじゃないですって!!」
「じゃあ、後でいただきますねっ!!」
「はじまりの猟兵さんも食べるんですか!?」
「だって、気になりますから……ってそれより!!」
「あっ」
 なめろう談義はさておいて、ビスマスさんは同じくビームハリセンを生成し振り回す闇ビスマスさんの攻撃を見切って回避しつつ、反撃がてら南瓜なめろうビームハリセンをフルスイング!

 ――ぶぅんっ!!
 ――スカッ。

 しかし、闇ビスマスさんは、ガタイの大きさから考えられぬ敏捷性で、さっと回避してしまいました。
「あああっ、相手の避け方が余計にムカつきます!」
「それなら、回避しづらいようにしますねっ!!」
 はじまりの猟兵さんがライフルを構え、四肢を狙って狙撃開始!!
 ――ズキューン!! ズキューン!!
 躊躇なく連射したライフル弾のほとんどは、ビスマス結晶にめり込むように受け止められてしまいましたが、それでも動きをけん制するには十分過ぎたのか、闇ビスマスさんの動きが見るからに鈍りました。
「なんだかムカつくので、張り飛ばしますっ!!」
 回避しづらいように南瓜なめろうビームハリセンに目いっぱいの怒りの重力属性を籠めながら、今度は怪力任せに下から上に振り上げるようにフルスイング!!
 四肢を徹底的に叩かれていては、さすがに闇ビスマスさんもかわせないのか、南瓜なめろうビームハリセンの先端は闇ビスマスさんの頭をしっかり捉えておりました。

 ――すぱあああああああああああん!!!
 ――ひゅるるるるる~……。

 かくして、重力属性込みのフルスイングをお見舞いされた闇ビスマスさん、そのまま空高く飛ばされた後、重力に引かれて急速に落下し……。

 ――どすんっ。
 ――づぼっ。

 闇ビスマスさん、頭を下にして落ちてしまったのか、上半身を地面にめりこませ、下半身だけを地面から生やしてぢたばたしはじめました。
「ああっ、闇の怪物が頭から埋もれて、見た目が犬がつくような家が出るホラー映画の死体っぽく!?」
「なぜはじまりの猟兵さんがそれを知っているのですかっ!?」
 高レベルの世界知識が為せる技ですかね?
「……ってそれは置いといて! その倒れ方もムカつきますっ!!」
 どうにも同族嫌悪めいた何かが拭えないのか、ビスマスさんはまだ重力属性が残ったままのなめろうビームハリセンで、三度怒りのフルスイング!!

 ――すぱこおおおおおおおおん!!

 本日一番の大スイングとなったなめろうビームハリセンは、ぢたばたしている闇ビスマスさんの両脚を吹き飛ばす勢いで思いっきりどつき、無事に(?)消滅に追いやりました。
 消滅を見届けつつ、肩を上下させつつぜーぜーと息を荒げるビスマスさんを、はじまりの猟兵さんが心配そうにのぞき込んでいます。
「あ、あの……大丈夫、ですか?」
 どこか気遣うようなはじまりの猟兵さんに対し、ビスマスさんは疲れた声でぽつりと一言。
「なんかムカつく相手でした……」

 ちなみに、このあとビスマスさんとはじまりの猟兵さんがなめろうを一緒に食したかどうかは……本人たちのみぞ知る、ということで。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水森・ふうか
※アドリブ超歓迎
伝える為に戦わないといけないなんて、モヤモヤしますけど…覚悟を決めてる人には応えなきゃ!

わっ、闇が吹き出して…え、私?
すごい自信たっぷりで、落ち着きがあって…〔八百耶刀〕も難なく抜いてる?!
「情けないわ、私」
始まりの人、気をつけて!
あれは斬撃を無数に召喚する…わあっ!
強い…何かブレない芯を感じる…!
まるであの人のような、真っ直ぐな意志!
「そう、岬さんは…渡さない」
――へ?
「私はあの人を、愛しているもの!」
ちょ――ちょっと待って何ソレーっ?!

方針:本当の所、どうなん?

方針まで変な事になってる!
ええと、待って、そもそもなんで八百耶刀が…
「私に迷いなんてない。あの人と死合う事は嬉しいの!」
…これ、闇の偏向入ってません?
でもブレない事で抜けるなら落ち着けば…
「逃げるの?なら、私の勝ち」
ぐっ…強い…!
始まりの人もなんかワクワクしてる気が…
わ、私は――

分かりません!

好きとか嫌いとかは分からない
分かるのは、一緒にいるとなんか落ち着く
それだけです――!
(真っ赤な顔で【指定UC】を発動)



●最後はコイバナ(?)で締め……られるのでしょうか?
 何だかカオスとトンチキの風が吹き荒れ始めた、シベリアの奥地にある『はじまりの場所』に、セーラー服によく似た智慧の制服【人智】姿の水森・ふうか(輝きは未だ眠る ~夢現の斬影~・f27640)さんが足を踏み入れました。
「伝える為に戦わないといけないなんて、モヤモヤしますけど……覚悟を決めてる人には応えなきゃ!」
「はいっ、六番目の猟兵さん、徹底的にやってもらって構いませんから、よろしくお願いしますっ!」
 溌溂と挨拶するはじまりの猟兵さんが纏っている膨大な闇も、ここまで対峙して来た猟兵さん達のおかげで、あと少しのようです。
 その残った闇が、ふうかさんに反応したのか、渦巻きながら収束し始めました。
「わっ、闇が吹き出して……というか、収束しています?」
 目を丸くするふうかさんの前で、残った闇が人のかたちを取り……やがて見覚えのある人影へと変化します。
 その人影の姿は、闇色に沈んだ外套を羽織りながら、やはり闇色の制服を纏った――ふうかさんでした。
「……え、私?」
 驚くふうかさんとは対照的に、現れた闇ふうかさんは、抜身の刀を手にしながら、すごい自信たっぷりで落ち着いています。
 あまりにも自分と異なる姿に、ふうかさんも戸惑いを隠せませんが、驚くのはそれだけではなく。
「……え、〔八百耶刀〕も難なく抜いてる?!」
 普段は封印されているはずの〔八百耶刀〕を抜身で手にしていると気がついたふうかさん、慌てて己が得物の封印状態の〔八百耶刀〕を手にとりますが、もちろん鞘からは抜けません。
 そんなふうかさんの慌てっぷりを見て、闇ふうかさんはため息ひとつ。
「情けないわ、私」
 呆れたような、見下げたような声音と共に、闇ふうかさんは抜身の〔八百耶刀〕を正眼に構え、思いっきり振り上げます。
「始まりの人、気をつけて! あれは斬撃を無数に召喚する……わあっ!」
 解放状態の〔八百耶刀〕の特徴をふうかさんが警告した直後、闇ふうかさんが〔八百耶刀〕を静かに振り下ろし。無数の斬撃を召喚しました。
 ――ザザザザザッ!!
「わ、わあああっ!!」
「これはなかなかきついですね!!」
 無数の斬撃が暴れまわる空間を、ふうかさんは必死に逃げ回るしかできません。
 一方、はじまりの猟兵さんは必死に斬撃を見切り回避し続けていますが、膨大なる闇から生まれた怪物が召喚した斬撃だけあって、ライフルを構える隙すら見いだせず、反撃できないようです。
「強い……何かブレない芯を感じる……!」
(「まるであの人のような、真っ直ぐな意志!」)
 いつしか、ふうかさんの脳裏に、ある方の影がちらつき始めています。
 その影の存在を察したのか、闇ふうかさんは〔八百耶刀〕を正眼に構えながら、静かに、凛とした声で告げました。

『そう、岬さんは……渡さない』

「――へ?」
「え?」
 突然出された名前に、思わず呆気に取られてしまうふうかさんとはじまりの猟兵さん。
 一体全体、なぜその名前を……とふうかさんが聞くより早く、闇ふうかさんは静かに叫びました。
『私はあの人を、愛しているもの!』
「ちょ――ちょっと待って何ソレーっ?!」
 一瞬の沈黙ののち、驚きながら素っ頓狂な声をあげるふうかさん。
 なんでそういう方向に行くの!? と声をあげようとしたふうかさんの前に、突然立体文字がポップアウト!

【方針:本当の所、どうなん?】

「方針まで変な事になってる!」
「というか、どこから出てきたのですかコレーっ!?」
 そりゃ、立体文字が空中に現れたら、ふうかさんはもちろん、はじまりの猟兵さんも驚きますわな。
『二人とも落ち着いてくれ。私もわからんぞこれは!!』
「グリモア猟兵さんも無責任ですーっ!?」
 これぞトンチキシナリオのなせる業……っていや何故こうなったのかは筆者にもわかりません!
 とにかく、流れを戻しますよ、いいですね?
「ええと、それどころじゃない待って、そもそもなんで〔八百耶刀〕の……」
 封印が解けているの? とふうかさんが突っ込むより早く、闇ふうかさんが凛とした声で言い放ちます。
『私に迷いなんてない。あの人と死合う事は嬉しいの!』
(「……これ、闇の偏向入ってません?」)
 その声音に、微かな愉悦が含まれている気がして、背筋がゾクッとするふうかさん。
 膨大なる闇が生み出した怪物ですから、入っていてもおかしくはないですが……。
「でもブレない事で抜けるなら、落ち着けば……」
「逃げるの? なら、私の勝ち」
 闇ふうかさん、再び斬撃を召喚し、ふうかさんを滅多切り!!
 今度は封印状態の〔八百耶刀〕で受け切り、なんとか負傷を最小限に止めますが……。
「ぐっ……強い……!」
 ふうかさん、思わずはじまりの猟兵さんに助けを求めようとして……ふと何かに気づいてしまいました。
「ってなんだか始まりの人、なんかワクワクしてる気がするんですが!!」
「だって、どっちなのか、わたしも気になりますからっ!」
 いつの間にか、はじまりの猟兵さんはライフルの銃口を下におろして、すっかり観戦モード。
 マスクの下の表情も、そして声音も、「どっちなの、ねえどっちなの!?」と聞きたげに弾んでおります。あっこれ完全にコイバナ待ち受ける女子高生や。
「さて――」
 答えないともう1度斬撃を召喚する、と言わんばかりに、闇ふうかさんはゆっくりと〔八百耶刀〕を振り上げ始めます。
 その姿にとうとう観念したか、ふうかさんは声を震わせながら叫びました。
「わ、私は――」

 ――分かりません!

『分かりません、ってどういうことかしら?』
 相変わらず冷たい声で問いかける闇ふうかさんに、ふうかさんは僅かにうつむき、顔を徐々に赤らめながら叫びます。
「好きとか嫌いとかは分からないですっ!」
『分からないことはないでしょう?』
 闇ふうかさんの詰問(?)とも誘導(?)ともとれる一言に、とうとうふうかさん、顔を真っ赤に染めながら思いの丈を叫んじゃいました。

「分かるのは、一緒にいるとなんか落ち着く。それだけです――!」

 本音を口にした……というか言わされたふうかさん、とうとう恥ずかしさMAXに。
『いい加減に――しろおおおおおおおおおおおっ!!!!!!』
 顔を真っ赤にして恥ずかし気なオーラを纏いながら、ふうかさんは闇ふうかさんから受けた気迫や恐怖、そして恥ずかしさと言った感情を戦闘力に変え、封印されっぱなしの〔八百耶刀〕を豪快にフルスイング!!
 怒りと恥ずかしさが綯い交ぜになったフルスイングを、しかし闇ふうかさんはあえて回避も受け止めもせず、己が身体で真っ向から受け止めていました。
「……へ?」
『お見事ね』
 呆気にとられるふうかさんの前で、胴を強打された闇ふうかさんは、その場に崩れ落ちます。
 そして、何か憑き物が落ちたかのような表情を浮かべながら、再び闇となって霧散していきました。

 ――岬さんへの想いが、闇であっても、愛であっても。
 ――もっと素直になっていいのよ?

 そう、ふうかさんに向けて言い残しながら。

●かくして、闇は消え去りました
 闇ふうかさんが消滅した後、はじまりの猟兵さんが纏っていた膨大な闇も完全に消滅していました。
「六番目の猟兵さんたち、ありがとうございましたっ!! このわたしはここまでのようですっ」
 猟兵さんたちの目の前で、はじまりの猟兵さんの姿はゆっくりと薄れ始めています。
「もし、わたしが完膚なきまでに倒されていたら――最期に少しだけ真実をお話しできますから、待っていてくださいね!!」
 じゃあね、と元気に手を振りながら、はじまりの猟兵さんは猟兵さん達の前から姿を消したのでありました。

 おしまい。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年06月01日


挿絵イラスト