「……はっ!?」
がばっと、それはもう凄い勢いで飛び起きて。
まだ異様に鼓動が早いままの胸を抑えつつ。
虹目・カイ(○月・f36455)は寝汗が酷い状態であることに気付くけれど。
それ以上に、大きく息を吐いた後、苦笑する。
「……あー……夢か」
正直、夢見はあまり良い方ではない。
いや……結構悪いのではないかと、思う。
ならばいっそ、何も見ない方がどれだけ良いか。
自分がどうこうなる夢も、当然願い下げであるのだけれど。
よりによって、今日の夢は――。
カイはちらりと視線を移し、時計を確認してから。
「時間は……まあ、連絡入れても常識的な範囲か」
そう呟きを落とせば、スマートフォンを手にして。
起動するのは、メッセージアプリ。
相手は――最近再び連絡を取るようになった、例の後輩の彼である。
『おはよう。よく眠れた?』
暫く既読がつかない状態の時は、落ち着かなかったが。
おはよう、と律義に返ってくれば、ホッとして。
『実はちょっと寝覚めが悪くて』
『君はどんな夢見た? 忘れちゃってたら嫁さんとの日常話でもよいよ、是非幸せのお裾分けをだな……』
人の惚気、それも可愛い後輩の幸せ話とあってはとても聞きたいのも本音……ではあるものの。
どうした? とただの雑談ではないと察せられれば。
やがて自分に対して観念し、カイは正直に打ち明ける。
『……ごめん。嫌な夢を見たんだ』
『昔親しかった人達に、面と向かって縁を切られる夢でさ』
それから少し躊躇するかのように、その手を止めてから。
ひとつ深呼吸してから、こう送信する。
『……その中に、君もいた』
『だから、うん。夢だって確認したかったの。普段と変わらない話を聞きたかったの』
けれど瞬間、思わず少し笑ってしまう。
大丈夫! と、異様にキュートなゆめかわスタンプで返ってきたから。
そんな彼とのギャップがありすぎる返事は、きっと意図的ではなく天然なのだろう。
だから相変わらずな様子に心底ホッとしつつも。
『……ごめん、……いや。ありがとう。いつもね』
そう送った後、カイもぽんと押して返す。
もふもふ尻尾な狐さんのスタンプで、ありがとう、って。
成功
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