獣人世界大戦⑲〜祖狼は広大無辺なり
●予知:m'aiderを捧げた末路は。
「「「すべては|祈り《m'aider》より始まった」」」
満月の灯りが吹き荒ぶ雪を照らす夜。
赤い血で覆われた獣人戦線の極地にある、雪原。
草木も生えない、凡そ生命が感じられないその地に、その存在はいた。
怒りも悲しみも感じられない獣の顔は、静かに虚空を見つめている。
「「「弱き吾々は|罪深き刃《ユーベルコード》に縋り、絶望の海に餮まれていった」」」
超大国『ワルシャワ条約機構』に派遣された、ダークセイヴァーの真なる支配者|五卿六眼《ごきょうろくがん》の一柱。
大呪術|五卿六眼《シャスチグラーザ》にて広大なる領土を闇で覆い尽くし、監視・支配していた全ての人狼の祖。
『始祖人狼』。
ダークセイヴァーに蔓延する『人狼病』を撒き散らした張本人であり、ロシア及び東ヨーロッパを支配するワルシャワ条約機構を率いるオブリビオンである。
「「「全てを識った所で、変わるはずがない。その衝動こそが、猟兵の根源なのだから」」」
頑強な鎧に身を包んだ始祖人狼は、三つの狼頭が乱れることなく唱和する。
巨大化した大剣を軽々と手に握り、風上に立って猟兵たちが現れるだろう領域を限定し、その背中から赤く禍々しい『血脈樹』を生やして、伸ばす。
それは、人狼病の根源ともいうべき恐るべき能力の発露であった。
「「「故に吾々は排除する。はじまりの猟兵を。それを求むる者共を」」」
始祖人狼の周囲に、次々に変化がみられる。
足元の大地や周囲の大気、雪に至るまで。
戦場に存在する『全て』が、『人狼騎士」と化していく。
動植物はおろか大気や水すらも、文字通りすべてが『人狼化』していくのだ。
「「「疾く蔓延れ、吾が人狼病。出で駆け巡れ、吾が人狼騎士。五卿六眼照らす大地のあらゆるものを、吾が走狗と化してくれよう」」」
「「「「オオオオオオ!!」」」」
始祖人狼に尽くすために生み出された人狼騎士たち。
ある者は空を飛翔し、ある者は大地を踏みしめ、ある者は水のように柔軟に蠢き、あるものは不可思議に明滅を繰り返している。
始祖人狼がはじまりの猟兵を排除するために……そして彼女を求める六番目の猟兵を排除するために、世界を侵食し得るその権能を、惜しみなく放つのであった。
●招集:始祖人狼、討つべし! 慈悲は無用!
「ついに、決戦の時ですわね……皆様、どうかご協力をよろしくお願いいたします」
シカの戦闘猟兵であるグリモア猟兵、エドワルダ・ウッドストックは気合を込めた様子でプロジェクターを用意し、猟兵たちを招集している。
獣人世界大戦も大詰めを迎えている今、戦いに終止符を打つ一戦を予知したのだ。
「目標は、ワルシャワ条約機構の首魁、始祖人狼……。
ええ、超大国の支配者を、この戦いで討ち果たしてもらいますわ」
映像で投影されるのは、三つ首の人狼。
ダークセイヴァーに人狼病を蔓延させた諸悪の根源。
|五卿六眼《ごきょうろくがん》『始祖人狼』である。
「始祖人狼自身、油断ならない強敵ですが……それ以上に厄介なのは、奴が駆使する人狼化ですの」
スライドが移り変わり、始祖人狼の周囲を無数の人狼の騎士たちが陣形を作っている光景が見える。
人狼病に感染した戦場に存在するナニカが、鎧を纏い武器を手にした人狼騎士として蔓延っているのだ。
そしてそれらは……瞬く間に数十、数百と数を増していく。
「始祖人狼の能力、人狼化……。
大気や大地など、一瞬前まで足場や空気だったものが突然敵の群れと化す、脅威的な能力ですわ。
何より、発動さえすればタイムラグとか兆候とかなく、スッと出てくるのが厄介なのですわ。
倒しても倒しても無尽蔵に現れるこれら人狼騎士を退けなければ、始祖人狼に攻撃が届くことはありませんの」
猟兵たちに求められるのは、二つ。
無制限に現れる人狼騎士をかわし、始祖人狼を攻撃するか。
無秩序に現れる人狼騎士に対処し、始祖人狼を攻撃するか。
どちらにせよ、人狼騎士と始祖人狼、双方への備えが求めらえることになる。
「戦争終結の刻限まであとわずか……。
獣人戦線をカタストロフから守るために、犠牲となる獣人を無くすために。
皆様の健闘を祈り、送らせていただきますわ」
そして、エドワルダがグリモアを起動して、ゲートを開く。
行き先は雪風が吹き荒ぶ夜の極地……。
始祖人狼の支配下となった戦場で、猟兵たちは大敵を討ち果たすために足を踏み入れるのであった。
リバーソン
こんにちは。リバーソンです。
マスターとして皆様に喜んでいただけるよう、つとめさせていただきます。
今回のシナリオは一章構成です。獣人戦線の戦争シナリオとなります。
舞台はどこかの雪原、雪が降る満月の夜に、ワルシャワ条約機構の支配者『始祖人狼』を撃破することが目的です。
始祖人狼は無数の人狼騎士を生み出し続けており、枯渇することない兵力を伴っています。
通常通りの戦い方では、苦戦を強いられることが予測されます。ご注意ください。
プレイングボーナスは、『無限に現れる人狼騎士をかわし、始祖人狼を攻撃する』もしくは『大気や大地、水や光などが人狼化する現象に対処する』ことです。
また、始祖人狼の命に従って猟兵に襲い掛かる人狼騎士は、下記のようなバリエーションがあります。
プレイングの参考にご活用しても構いませんし、無視しても問題はありません。
ソニックスワロー:大気が人狼化したツバメの人狼騎士。時速3万kmで飛翔して上空から急降下突撃を行って猟兵を襲う。
ガトリングサイ:大地が人狼化したサイの人狼騎士。両腕の機関銃から秒速300発の銃弾を放ち猟兵を襲う。
エレクトロトカゲ:光や電波などが人狼化したトカゲの人狼騎士。エリマキ部分のパラボラアンテナから怪電波を放ち、猟兵の技や術を妨害する。
シヲマネキ:水や雪が人狼化したネコの人狼騎士。大きな蟹鋏を活用して一秒に720回の斬撃を繰り出して猟兵を襲う。
普通の人狼騎士:それ以外のいろんなものが人狼化した人狼の人狼騎士。鎧を纏い剣を手にして無言無感情に猟兵を襲う。
オープニング公開後、断章を公開します。
プレイングの受付期間はタグにてお知らせいたします。
皆様、よろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『始祖人狼』
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POW : 天蓋鮮血斬
【巨大化した大剣の一撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 血脈樹の脈動
戦場内に、見えない【「人狼病」感染】の流れを作り出す。下流にいる者は【凶暴なる衝動】に囚われ、回避率が激減する。
WIZ : 唱和
【3つの頭部】から、詠唱時間に応じて範囲が拡大する、【人狼化】の状態異常を与える【人狼化の強制共鳴】を放つ。
イラスト:UMEn人
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●断章:果てしなく広く、大いなる軍勢。
満月の下の、赤と黒に染まった雪原の中心にて。
|五卿六眼《ごきょうろくがん》『始祖人狼』が大剣を手に油断なく待ち構えている。
その周囲には大勢の人狼騎士がひしめき合い、同系統の騎士同士で固まって猟兵の到来を待ち伏せている。
「上空に敵影があれば直ちにお知らせしましょう!
そして我ら始祖人狼様が四天王『ソニックスワロー』が殺到して、啄み殺してくれる!」
空を飛び交う人狼騎士の群れは、大気が人狼化したツバメの獣人『ソニックスワロー』。
機械の翼とエンジンを取り付け、時速3万kmで飛翔する恐るべき人狼騎士だ。
「ハッハー! お任せください始祖人狼様! 始祖人狼様に歯向かう猟兵たちは!
この始祖人狼四天王『ガトリングサイ』軍団の弾幕で血祭りにあげてご覧にいれましょう!」
大地を埋め尽くす人狼騎士の群れは、大地が人狼化したサイの獣人『ガトリングサイ』。
右腕の重機関銃と左腕の軽機関銃を駆使し、秒速300発の銃弾を放つ恐るべき人狼騎士だ。
「アアー……感じる。猟兵の接近を感じる……。結界の気配、オーラの兆候。
魔術、巫術、仙術、奇術、古今東西のあらゆる術理の反応を感じるぅ……。
そしてぇ、それらを妨害する……始祖人狼四天王『エレクトロトカゲ』の。
ワタシ共の怪電波が活躍する、その予感が感じられるぅ……!」
雪原のあちらこちらに分散して身を隠している人狼騎士の群れは、光や電波などが人狼化したトカゲの獣人『エレクトロトカゲ』。
エリマキ部分のパラボラアンテナから猟兵の技や術を妨害する怪電波を放つ恐るべき人狼騎士だ。
「ニャハハハハ! ワガハイたちがいれば実際安心。
始祖人狼四天王『シヲマネキ』が始祖人狼様に猟兵の刺身盛り合わせを捧げてみせよう」
雪水に足を取られることなく闊歩している人狼騎士の群れは、水や雪が人狼化したネコの獣人『シヲマネキ』。
大きな蟹鋏を活用して一秒に720回の斬撃を繰り出す恐るべき人狼騎士だ。
「…………」
そして、無言で始祖人狼の周囲にて直立不動で警護しているのは、鎧を纏い剣を手にした人狼の群れ。
自らの意思や命もすべて始祖人狼に捧げる忠誠心を宿した、恐るべき人狼騎士だ。
「「「吾が人狼騎士たちよ、傾聴せよ」」」
そして、始祖人狼が口を開く瞬間、辺りは静寂と化す。
大気すらも音を立てることなく、すべての人狼騎士が主人の言葉に意識を集中させる。
「「「もう間もなく、六番目の猟兵が姿を現す頃合いだ。ゆえに、改めて命ずる」」」
多種多様、そして多彩な人狼騎士たちのすべてを、始祖人狼は掌握している。
どの人狼騎士がどこにいるのかも、何をしているのかも、何を考えているのかも。
すべての人狼騎士が、始祖人狼のために心身命魂すべてを活用することも熟知している。
その上で、始祖人狼は声に出して、令を発布する。
「「「そのすべてを振い、猟兵共を排除せよ」」」
「「「「オオオオオオ!!」」」」
力量、数、士気。何一つ劣るべき要素はなく、一分の隙も生じさせない万全の布陣。
この、始祖人狼の広大無辺な軍勢を打ち破るために。
猟兵たちは、自らのユーベルコードを備えてゲートから姿を現し、行動を開始する。
ロラン・ヒュッテンブレナー
連携×
さながら軍隊みたいだね
これだけの拒絶、殺意、いったい何があったの?
一つ言えることは、負けられないってこと
この力を使う、覚悟はできてるよ
右目が闇色に染まり、右頬に紋様が浮かび上がる
結界術多重展開
球面で自分を覆いながらそこから離れた位置に薄い刃状のものを生み出すよ
同時にUC発動
周囲の生物無生物関係なく生命の時間を早送りして風化する波動を放つよ
鳥は刃に自分から飛び込んでくるだろうし、球面の結界は力を逸らす
共鳴で引き上げられた脚力で突撃なの
桃の香りで狂気から意識を保って、空中に結界の足場を作って縦横無尽に走る
ぼくは決して諦めない
あの世界に光を齎せる様になるまではっ!
一際強い波動を放つよ
●若き魔術師の覚悟。
「さながら軍隊みたいだね」
五卿六眼『始祖人狼』と彼が生み出す人狼騎士の数々を前にして、古い歴史を持つ魔術師の家系の長男。
ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は、平静を保って戦場に降り立った。
ダークセイヴァーの解放と復興、そして人狼病の研究に力を注ぐロランにとって……始祖人狼との決着は臨むべき好機であった。
「これだけの拒絶、殺意、いったい何があったの?」
「「「……幾千万の言葉を語ろうと伝わるまい。吾々の想いは、貴様等には」」」
始祖人狼はロランの問いかけを拒絶する。
排除する意志を明示するように、戦場に蔓延る人狼病―――人狼騎士たちを走らせる。
空から、地上から、雪の中、木々の合間……全方向から、ロランを殺傷しようと敵が迫る。
だが、ロランの心は微塵も揺らぐことはない。
その身の魔力を練り上げ、自らの全力を発揮する。
「一つ言えることは、負けられないってこと。
封じるべきこの力を使う、覚悟はできてるよ」
ロランの右目が闇色に染まり、右頬に紋様が浮かび上がる。
魔術光が黒い縁取りを伴って赤く輝き、周囲には「死の波動」が黒い靄となって立ち昇っている。
その姿は、生命体の埒外である猟兵達の真の姿ではない。
五卿六眼『腐敗の王』との戦いを経て「死の循環」の継承者候補の一人に選ばれたロランが、ヒュッテンブレナーの魔力と接続して力を引き出す戦闘態勢である。
「ガトガトォ!」「オオオオ!」「手柄ぁ……!」「|CAT《9×8×10》|720《セブンツーオー》!」
「すぅ……」
ロランは殺到する人狼騎士に臆することなく、静かに結界術を行使して多重展開する。
球面で自分を覆いながら、ロランから離れた位置にも薄い刃状の結界を生み出していく。
『ガトリングサイ』の銃弾と『シヲマネキ』の刃は球面の結界に逸らされ、阻まれる。
『ソニックスワロー』は刃の結界に妨げられいくつかは串刺しとなっていくが、唯一距離を保っている『エレクトロトカゲ』が結界を解除しようと妨害電波を発し続ける。
物理的な攻撃は防げても、時間を駆ければ突破される状況……ゆえに、間断なくロランはユーベルコードを発動する。
「―――解放するの」
《【死の循環】駆け抜ける乾風(シノカラカゼ)》。
ロランの結界魔術から、物質を透過し敵に生命力崩壊と風化の状態異常を与える「死の循環」由来の波動を放つユーベルコード。
生命の時間を早送りする「死の循環」の力を制御し、生命の時間を早送りする事で生命の形を変化させ現在の姿を風化させる波動が、痛みも衝撃を生じずに周囲の人狼騎士たちを崩壊させていく。
断末魔もなく配下の人狼騎士たちが風化していく、その光景を見て始祖人狼が動揺を露わに見せる。
「「「それは、腐敗の王の力……! 若き人狼、貴様は……!?」」」
「言ったの、覚悟はできてるって。あなたはどうなの?
何を思って、こんなことをしているの?」
「「「……黙れ、黙れ……! 吾が人狼騎士として再孵化するがいい!」」」
闇色に染まったロランの瞳に射抜かれて、6つの目を見開いた始祖人狼が震えながら《唱和》にて応答する。
3つの頭部から、詠唱時間に応じて範囲が拡大する、『人狼化』の状態異常を与える『人狼化』の強制共鳴を放った。
幼き頃に人狼病を発症し、今も狼化しつつあるロランにとって、そのユーベルコードは脅威的であろう。
正気を奪い、生命を脅かす人狼病の急速促進……それを、ロランは利用する。
「断るの。ぼくは……一人じゃないから」
桃の精から授けられた花びらを入れたサシェ、『魔符桃香』から立ち昇る浄化と癒しの気と香りで正気を保ち、人狼化への悪影響を遮断して強化だけをその身に受ける。
空中に幾つもの結界を張り巡らせて、共鳴で引き上げられた脚力で結界を足場に縦横無尽に走り、始祖人狼に突撃する。
「「「諦観せよ、人狼の猟兵! これ以上の抵抗は、無価値である!」」」
「ううん、ぼくは決して諦めない! あの世界に光を齎せる様になるまではっ!」
ロランは《唱和》を乗り越え、始祖人狼に強烈な初撃を、一際強い「死の波動」を叩き込む。
ワルシャワ条約機構に君臨する超大国の覇者『始祖人狼』に「死の楔」を打ち込むのであった。
成功
🔵🔵🔴
シモーヌ・イルネージュ
……全ての人狼の祖か。
アタシも人狼の端くれだけど、さすがにあれがご先祖だとは認めたくないね。
だから、心置きなく殴らせてもらうよ。
さすがにいくらでも敵がいるというのは面倒だ。
ここは時間をかけることなくスピード勝負。
UC【神速疾駆】で一気に駆け抜けよう。
黒槍『新月極光』を軸に水の流れを集めて、人狼病の流れ諸共、正面の敵を押し流そう。
警戒すべきはソニックスワロー。唯一こちらの速度に追い付く奴だ。
こいつはサイバーアイの動体【視力】で捕らえつつ、攻撃を【武器受け】。
槍で【カウンター】して【吹き飛ばし】しよう。
始祖人狼は【電撃】付きの槍でぶん殴ろう!
館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎
正直、無尽蔵に現れる人狼騎士全てを相手していられない
行く手を遮る人狼騎士だけ斬り、一気に始祖人狼に肉薄したいところだ
…始祖人狼、覚悟しろ!
指定UC発動、白き魂の靄を纏いながら走り出す
黒剣を上下含む全方向に振り回して「属性攻撃(聖)」の「衝撃波」を連射し迫る人狼騎士を退けつつ
「ダッシュ」+UC効果の高速移動で一気に走り抜け振り切ろう
血脈樹の脈動は抵抗せず、凶暴なる衝動を受け入れる
俺自身の憎悪と衝動に突き動かされるまま
始祖人狼に肉薄し「2回攻撃、捨て身の一撃、鎧砕き」で黒剣を叩きつけるように斬ってやる
ダークセイヴァーを、獣人戦線を苦しめた五卿六眼め!
此の地で果てろ!!
スイート・シュガーボックス
ディオちゃんに搭乗して参戦だよ。
ってうわ〜。人狼騎士が沢山いるねッ!
「どうするスイート君!?流石にこの数相手はあり得ないっしょッ!?」
安心してディオちゃんッ!なら人狼騎士の皆には、しばらくおやつタイムに入ってもらうよ。
【甘く香る極上のお菓子街】ッ!
渾身の出来の自慢のお菓子だよ。人狼騎士の皆、存分に味わってね♪
今のうちに始祖人狼といざ尋常に勝負だ。
「うわっ、如何にも自分近接戦強いです…みたいな顔してるじゃん。顔3つあるけど。」
なら空を飛んでディオちゃんの『豊穣葡萄』でお酒を生成、それを高圧カッターとして射出してオールレンジ攻撃だ。
「ヒュー、卑怯とは言うまいな…って奴だね♪」
【アドリブ歓迎】
●騎士と菓子の機動戦。
五卿六眼『始祖人狼』が率いる人狼騎士の軍勢を前に、次なる猟兵たちが参戦する。
魔獣を材料に作られた甲冑に身を包んだ銀髪の傭兵と、無骨な板金鎧に身を包んだ青髪の騎士。
そして、大小様々な無数の宝珠を伴う金色の巨大なキャバリアだ。
「……全ての人狼の祖か」
先陣に立つのは、人狼としての能力を十分に活かし、傭兵として活躍する|人狼騎士《クルースニク》。
シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)は戦場に広がる有象無象の人狼騎士を睥睨し、目を細めて笑みを溢した。
「アタシも人狼の端くれだけど、さすがにあれがご先祖だとは認めたくないね」
オーロラの如く闇夜を照らす穂先の光がきらめく黒檀の槍『新月極光』を担ぎ戦線に立つシモーヌ。
その傍に在るキャバリアの中にいるのは、ケルベロスディバイドでは子供でも知ってる有名な都市伝説。
お菓子を詰め合わせた奇妙なミミックのスイート・シュガーボックス(おかしなミミック・f41114)だ。
スイートは、クロムキャバリアは古代神機皇国ジャパニアの遺跡に眠っていた巨神、幻惑神機『ディオニュソス』に搭乗して参戦しているのだ。
「ってうわ〜。人狼騎士が沢山いるねッ!」
「どうするスイート君!? 流石にこの数相手はあり得ないっしょッ!?」
「安心してディオちゃんッ! 俺には名案があるんだよ!」
|相棒《ズッ友》の契りを交わした陽キャ系ギャルである『ディオニュソス』もといディオちゃんが敵軍の数に泡を食っているものの、スイートは自信たっぷりに胸を張って応答する。
その元気な言葉に、漆黒の鎧を着た騎士も柔和な表情を神機に向ける。
「助かる。正直、無尽蔵に現れる人狼騎士全てを相手していられない」
ダークセイヴァーで生き延びた温和だが熱い心を胸に宿す、冷酷な憎悪と復讐の騎士。
館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)。
黒剣に魂を喰らわせ、魂とともに戦う騎士は意識を切り替え、怨敵五卿六眼を前に冷静に、そして冷酷に戦意を昂らせる。
「行く手を遮る人狼騎士だけ斬り、一気に始祖人狼に肉薄したいところだ。
―――行こう、二人とも」
「任せておくれ!」「う、ウチも頑張るし!」
「ああ、さすがにいくらでも敵がいるというのは面倒だ。頼んだよ」
大地が、大気が、目の前の全てが変質して無数の敵と化していく。
溢れる人狼騎士の群れに向けて駆け出す猟兵たち。
まず先にユーベルコードを行使するのは、スイートであった。
「人狼騎士の皆には、しばらくおやつタイムに入ってもらうよ。
さあ、今からここは夢の街ッ!
顕現せよ、《甘く香る極上のお菓子街(ヘヴンリィ・スイーツタウン)》ッ!」
スイートのユーベルコードが、戦場全体に影響を及ぼす。
出現するのは、古今東西のキラキラ輝くような極上のお菓子で出来た街だ。
《甘く香る極上のお菓子街》。
調理技術と錬金術を組み合わせた至高のお菓子の山は、美味しいお菓子に心惹かれ食べたくなる誘惑を敵に与え、味方には美味しいお菓子をお腹いっぱい食べることでの回復を与え続ける。
その持続時間は、およそ144分。
お菓子をお腹いっぱい食べたオブリビオンは極上の美味に満足し、浄化の力により笑顔で骸の海に還るという。
「渾身の出来の自慢のお菓子だよ。人狼騎士の皆、存分に味わってね♪」
「オオオオ……! ウマイッ! おいしいっ!」
「何ということだ、今日はお菓子をいっぱい食べていいのか!?」
それは凄まじい光景だった。
雪原に出現したお菓子の街に取り込まれた人狼騎士たちが、目の前の菓子を手に取り頬張っていく。
然もありなん。文字通りに生まれて初めて感じた鼻孔をくすぐる香ばしさ。
味覚への暴力は、一時的にでも始祖人狼への忠誠心を忘れてしまうのだろう。
美味しいお菓子には、抗いがたい魅力があるのだ。
「アアー……この菓子には、毒が無い……? 罠ではない……?
意味が、意図が、不明瞭……? つまり、これは食べていい……?」
「食っとる場合かーっ! 猟兵を殺せー!」「ハッ、しまっ、グアアアーッ!?」
もちろん誘惑を振り切る人狼騎士もいて、彼らが猟兵のために立ち塞がる。
だが、大多数がお菓子の街に囚われた今、三人を止めるには圧が不足していた。
飛翔する『ディオニュソス』の背中の光輪ユニットが開き、生成したお酒を高出力噴射する。
光輪スラスター『|VOB《ヴァンガードお酒ブースト》』。
超高速飛翔するブーストが上空からアルコールを散布するとともに『ソニックスワロー』を轢いていく。
大気中に高純度の旨い酒が混ざり、空を跳ぶ人狼騎士たちは次々に酔いが回って制御を失い、お菓子の街に墜落していく。
「警戒すべき『ソニックスワロー』を潰してもらえたのはありがたいね。
さあ、一気に行くよ敬輔!」
「ああ。一気に走り抜け振り切ろう」
『ディオニュソス』とスイートが人狼騎士の多くを足止めしたその隙に、地上でシモーヌと敬輔が駆け出した。
息を合わせて二人が発動させたのは、機動力を高めるユーベルコードだ。
「ここは時間をかけることなくスピード勝負。
楔となり、渦となり、敵を蹴散らし給え」
シモーヌが選んだユーベルコードは、《神速疾駆(グラン・ヴィテス)》。
渦巻く水の流れを纏い、時速15200kmで疾走する。
疾走中は受けるダメージが4倍になる代わりに、攻撃力と回避力が4倍になるのだ。
「邪魔だ」「グワァーッ!?」「ニャガーッ!?」
シモーヌは『新月極光』を軸に水の流れを集めると、《血脈樹の脈動》を排除するために渦巻を放つ。
始祖人狼によって戦場に創り出された見えない人狼病感染の流れを、正面に立ちふさがる敵諸共押し流していく。
シモーヌの速度に唯一追いつける大気の人狼騎士『ソニックスワロー』をスイートが排除してくれているうちに、地上にいる『ガトリングサイ』や『シヲマネキ』を、『サイバーアイ』の動体視力で捉えて『新月極光』の一撃で吹き飛ばし、洗い清められた雪原を音速を越えて疾走する。
「喰らった魂を、力に替えて」
そして敬輔は《魂魄解放(コンパクカイホウ)》を発動した。
それは、自身に異端の血を啜る呪われた『黒剣』がかつて喰らった魂を纏い、高速移動と刺突か斬撃による衝撃波の放射を可能とするユーベルコードだ。
非常に強力なユーベルコードではあるものの、纏った魂の感情と同調してしまうために、戦闘終了まで毎秒寿命を削るリスクを抱えることになる。
ゆえに、短期決戦なのだ。
「魂たちよ。共にかの敵を討ち果たそう……行くぞ!」
敬輔は白き魂の靄を纏いながら戦場を走り抜ける。
シモーヌが集めた《血脈樹の脈動》の流れを第六感で察知すると、その地形を利用するべくダッシュで飛び込んで行く。
『黒剣』を上下左右全方向に縦横無尽に振り回し、聖なる属性の衝撃波を連射しながら潜んでいた『エレクトロトカゲ』たちを切り払いつつ、敬輔は《血脈樹の脈動》が引き起こす凶暴なる衝動を受け入れて自己を強化する。
激しい咆哮を上げて、人狼騎士を踏み越えて行く。
そして、敬輔、シモーヌ、スイートは、始祖人狼の前に辿り着く。
「オオオオッ!」
「よし、抜けた」
「うわっ、如何にも自分近接戦強いです……みたいな顔してるじゃん。顔3つあるけど」
「スイート君! お菓子の街が人狼騎士になって追ってきてるよ!? 急いでー!」
通り過ぎた後方では、スイートのお菓子が人狼化して美味しそうな人狼騎士になって迫っている。
時間をかければ挟み撃ちになるだろう。
だからこそ、三人は速攻で攻撃を叩き込んでいく。
始祖人狼が三つ首の眼光を、先頭を走るシモーヌへと向けた。
「「「貴様は……異界の人狼騎士か」」」
「さあ、どうだろうね? 何にせよ、心置きなく殴らせてもらうよ!」
「「「斯様な見え透いた一撃など……」」」
シモーヌが疾走を止めることなく、その勢いのまま始祖人狼を『新月極光』でぶん殴る。
始祖人狼はその手の大剣で容易く打撃を受け止めるが……電撃の効果を付与された槍が、始祖人狼に電流を奔らせる。
シモーヌは止まることなく始祖人狼の脇を駆け抜けて、反転。
連続して、『新月極光』での打撃を繰り返し、始祖人狼に電撃を浴びせ続けていく。
「「「ぬぅ……!」」」
「ハハッ、電撃は効くか? 寄ってたかっては楽しみ切るには勿体ないが、これも真剣勝負だ! やっちまいな、スイート!」
「行くぜ、ディオちゃんのオールレンジ攻撃だ!」
「ヒュー、卑怯とは言うまいな……って奴だね♪」
感電したことにより動きを鈍らせた始祖人狼に向けて、スイートと『ディオニュソス』が上空から攻撃を敢行する。
酒を自在に操る無数の宝珠型神器『豊穣葡萄』から高圧カッターを射出する。
鎧の隙間や露出した頭部が、酒のカッターに切り刻まれていく。
始祖人狼の持つ巨大な大剣は確かに脅威だが、手の届かない高みから一方的に攻撃すれば危険は抑えられる。
「こんな感じでどうかな! おかわりはいっぱいあるよ!」
「いい調子だ、流石ディオちゃん!」
「「「……小賢しい……!」」」
とはいえ、距離を保つということは絶対的に安全を確保できる訳ではない。
シモーヌの電撃に耐えながら、始祖人狼が頭を上げて膝を折り曲げ、『ディオニュソス』に跳躍攻撃を仕掛けようとしている。
距離を詰められ《血脈樹の脈動》に囚われれば回避率が激減して、始祖人狼の攻撃が直撃する危険があるだろう。
だが、始祖人狼が渾身の力を込めるその一瞬を、溢れる衝動を押え込んで待ち構えた騎士が狙い穿つ。
「……始祖人狼、覚悟しろ!」
「「「呪われた武具……! 魂を啜ったか、人が……!」」」
敬輔は自身の憎悪と衝動に突き動かされるまま躊躇なく始祖人狼に肉薄し、『黒剣』を叩きつけるように斬撃を放つ。
捨て身の斬撃と至近距離からの衝撃波による二段構えの攻撃となり、敬輔の膂力は《魂魄解放》と《血脈樹の脈動》により強まっている。
迅速果断な一撃は始祖人狼の虚を突き、防御を抜いて胴体の鎧を打ち砕いた。
「「「ぐ、おおおおっ……!」」」
「ダークセイヴァーを、獣人戦線を苦しめた五卿六眼め! 此の地で果てろ!!」
「ナイス! よし、退くぜ敬輔!」
敬輔の部位破壊攻撃が炸裂する。
始祖人狼に痛撃を与えたことを確認して、シモーヌがすかさず敬輔を担いで距離を取る。
お菓子の街から追いついて来た、そして新たに生み出された人狼騎士たちがシモーヌと敬輔を囲い込もうとし、空を飛ぶスイートたちにも手が伸びているためだ。
《血脈樹の脈動》の凶暴なる衝動と《魂魄解放》の同調に、溢れ出る憎悪によって敬輔は心身共に激しく消耗を強いられていた。
ここが撤退するタイミングであった。
「ハァ……ハァ……助かる……」
「ここいらが退き際だ。離脱頼むぜスイート、ディオちゃん!」
「オッケー!」「帰るまでが遠足ってね!」
「「「おのれ……! 忌々しき、『原獣』が……!」」」
シモーヌと敬輔を手に抱き、『ディオニュソス』が全速力で戦場から離脱する。
確かな戦果をあげて、三人と一機は無事に帰投するのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レヴィア・イエローローズ
…わたくしは、、間違っているとは決して言わない
祈りに答え、助けを求める獣人に手を差し伸べる
これは絶対的かつ普遍的、そして根源的な正義よ
……罪深いのは、貴方の方でしょう!始祖人狼!
エンドテイカーの能力を発動
獣人の命を奪おうとする全ての人狼騎士と人狼化を『巻き戻し』て無力化
ーー今こそ言いましょう
我が黄薔薇よ
大地を癒し、全てを救え
世界の為でも、神の為でも無く
ただひたすら、祈りを捧げた者を救う為
わたくしは『六番目の猟兵』レヴィア・イエローローズ
わたくしこそが、世界の全て!
そう言い切った後、巻き戻しでイニシアチブを得ながら始祖人狼のUCにも対応
わたくしが所持する全ての武器を使って始祖人狼を追い詰めるわ
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
さて、大詰めですねぇ。
『FAS』により飛行、『FLS』で|全『祭器』《未装備含》召喚後、空間歪曲障壁を展開しまして。
『FPS』で始祖の情報と『人狼化』の配置を把握、【斷瑗】を発動しますねぇ。
此方は「自身の周囲を旋回する多数の『環』」を形成するもの、周囲や足元が『人狼化』しても、即座に[切断]されることになりますぅ。
【鮮血斬】は『FPS』で発動時機を測り『FIS』の転移で一時範囲外に退避し対処、多少遅れても『装備&UCの切断』が可能な『環』であれば、時間を稼ぐ程度は十分可能でしょう。
後は各『祭器』の遠距離攻撃を『FIS』で始祖の眼前に転移、庇う間も無い位置から叩きますぅ。
●世界を守護る姫と使徒。
「……わたくしは、間違っているとは決して言わない。
祈りに答え、助けを求める獣人に手を差し伸べる。
これは絶対的かつ普遍的、そして根源的な正義よ」
「さて、大詰めですねぇ。参りましょう」
視界を埋め尽くす人狼騎士の軍勢を前にして、二人の猟兵は泰然としていた。
クロックワーク・ヴィクトリアに国を滅ぼされた変異階梯のシカの戦姫、レヴィア・イエローローズ(亡国の黄薔薇姫・f39891)。
童顔且つ小柄であり美形の少女、『豊饒の女神』を祀る豊饒の使徒の一人、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。
二人の女傑は連携して五卿六眼『始祖人狼』に挑もうとしていた。
「「「……来るか。罪深き刃を振るう者共……」」」
「……罪深いのは、貴方の方でしょう! 始祖人狼!
我が黄色に応じて開花せよ、羨望の深淵!
それは本来の魔女が行使する終焉を回避する力!」
「「「詠唱を完成させは、せん」」」
レヴィアは白夜の輝きと黒檀の艶を宿す二本の魔法杖、未来を照らす『黄薔薇の白夜杖』と過去を見る『黄薔薇の黒檀杖』を構えてユーベルコードを詠唱する。
その威力を察知した始祖人狼は、人狼騎士たちと共に疾駆する。
巨大化した大剣を高く掲げ、敵味方を区別することなく攻撃射程範囲内の全てを高威力で無差別攻撃する《天蓋鮮血斬》を放つべく、まっすぐにレヴィアへと迫りくる。
その突撃を、るこるが防ぐ。
浮遊する札型祭器『フローティング・リンケージ・システム』の機能により所有するすべての『祭器』を召喚しつつ、まずは殺到する人狼騎士たちに向けてユーベルコードを叩き込む。
「「「「オオオオッ! 始祖人狼様のためにぃ!」」」」
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『天環の加護』をお与え下さいませ」
るこるが発動するのは、《豊乳女神の加護・斷瑗(チチガミサマノカゴ・センテンセシリンカン)》。
ユーベルコードや装備の干渉と敵対者を切断する『空』を宿した1540個の、術者を核に旋廻する『環』を射出するユーベルコードだ。
『環』は一部が土星の様にるこるを中心に周回し、残りは衛星の様に周囲を回る性質を持つ。
その旋回は、加速・減速・軌道変更も154回までは自由自在である。
るこるは、自身の周囲を旋回する『環』の数を普段より多めにすることで、るこるとレヴィアの至近距離―――足下の地面や頭上の大気が人狼化すると即座に切断できるように備えた。
「レヴィアさんには触れさせませんよぉ」
るこるは三対のオーラの翼型祭器『フローティング・エアロフォイル・システム』により飛行したまま、涙滴水晶型祭器『フローティング・プローブ・システム』による探知で始祖人狼の情報と人狼騎士の配置を把握する。
空から地から現れて襲来する『ソニックスワロー』や『ガトリングサイ』、辺りの雪の中や木々の間から忍び寄る『シヲマネキ』や『エレクトロトカゲ』、その一体一体を出現する傍から把握して、取りこぼすことなく迎撃していく。
迫りくる人狼騎士たちを、周回軌道する『環』で次々に切断していく。
「アバラッ」「なぁ!? バカな、弾幕が届かばっ!?」
「結界、妨害、障壁、妨害、オーラ、妨害、妨害、妨害ッ、ぼうガッ!」
「そんにゃ、私たちの斬撃よりも二倍以上の斬撃ィ!?」
時速300kmの飛翔も、秒速300発の銃弾も、猟兵の技や術を妨害する怪電波も、一秒に720回の斬撃も。
『空』を宿した1540個の『環』に切断されて、人狼騎士共々無に帰していく。
「さて。これはこれは、始祖というほどの力は、たしかしありますねぇ」
そして、るこるは同時に始祖人狼を相手取り『祭器』を全力で起動させている。
『フローティング・リンケージ・システム』の空間歪曲障壁に加えて、『フローティング・プローブ・システム』の概念結界、重力の操作を行う錫型祭器『フローティング・グラビトン・システム』の斥力結界、16本の水晶柱型祭器『フローティング・インタディクト・システム』の防御障壁、八角形メダル型祭器『フローティング・キネティック・システム』の操速結界、布型祭器『フローティング・エレメンタル・システム』の多属性結界、大脇差型祭器『フローティング・ハリドゥム・システム』の斬撃吸収結界……。
現在のるこるが行使し得る、全結界術を全力で活用することで、始祖人狼の行く手を阻んでいる。
……数百個に及ぶ『祭器』の全ての力を出し惜しむことなく行使することで、ようやくその刃を止めることができているのだ。
「「「……これほどの結界……。いったい、何をそこまで拒絶する……?」」」
「拒絶ですかぁ? いいえ、女神様からの賜りしこの力は。
世界を守るためのものですよぉ」
るこるが微笑みを維持して、始祖人狼の《天蓋鮮血斬》を防ぎ続ける。
人狼騎士を排除し、そして始祖人狼の攻撃からレヴィアを守り続け……レヴィアがユーベルコードを紡ぎ上げる時間を稼いだ。
「鹿と黄薔薇は逆行を用いて前進を成す―――今こそ言いましょう。
我が黄薔薇よ。大地を癒し、全てを救え。世界の為でも、神の為でも無く。
ただひたすら、祈りを捧げた者を救う為!」
レヴィアが発動するのは《黄薔薇開花・正しき魔女の責務の遂行(イエローローズ・エンドテイカー)》。
全身に終焉に抗う力を与える正しき魔女の力を帯び、戦場内全ての敵の行動を生命が望まぬ結末を迎える際に発動する力で妨害可能になるユーベルコードである。
それはすなわち、エンドテイカーの能力。
獣人の命を奪おうとする全ての人狼騎士と人狼化という現象を『巻き戻し』て無力化し、始祖人狼の動きすらも阻止するユーベルコードである。
「「「ぬ……! これは、エンドテイカー……! 猟兵が、魔女の力を振うか……!」」」
「ええ。わたくしは『六番目の猟兵』レヴィア・イエローローズ。
わたくしこそが、世界の全て!
どれほどの時間を費やそうとも、どれだけの苦痛を背負おうとも! ……それでも!」
「この世界を守るために戦うのですねぇ」
始祖人狼が動きを止めた、ほんの一瞬。
その一瞬に、レヴィアとるこるが全力攻撃を放つ。
レヴィアは魔法杖を仕舞うと属性に応じた魔弾魔術を行使できるリボルバー銃型の殺竜武器『帝竜の皇の魔弾』を|素早く抜き《クイックドロウ》、ありったけの属性エネルギーを込めた魔弾をすべて撃ち込んだ。
るこるが『フローティング・インタディクト・システム』の瞬間移動機能により『フローティング・レイ・システム』を始めとする各『祭器』による砲撃と爆撃の追撃を始祖人狼の眼前から一斉発射で叩き込んだ。
始祖人狼は防御する間も与えられずに、まともに怒涛の攻撃が直撃する。
そして、その場に膝を着く。
「「「オオオオッ……!!」」」
全身を焦がしダメージによる湯気を立ち昇らせながらも、始祖人狼は猛り立ち上がる。
そして再び人狼病を撒き散らし、周囲の一切を新しい人狼騎士へと変じていく。
だが、その時にはすでにレヴィアとるこるは『フローティング・インタディクト・システム』の瞬間移動により戦場から離脱していた。
二人の卓越したユーベルコードを以てしても、始祖人狼との対峙が長引けば侵蝕されないと断定することはできない。
最大火力の一撃を叩き込み、速やかに撤収を済ませたのだ。
猟兵たちの攻撃は、始祖人狼の生命を大きく削っていく。
五卿六眼は、ワルシャワ条約機構は、確実に追い詰められているのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルテミシア・アガメムノン
【魔王国】
「病気を撒き散らすなんてワル過ぎません?
バイオテロにもほどがありますわよ!
という事でマオさん、さっさと倒しちゃいましょう!」
【地母神の戦域】を発動。
戦場全体を支配。あらゆる場所から湧き出る人狼騎士達をその湧き出た瞬間に全戦場即時同時滅却です!
勿論、始祖人狼さん自体も燃やしておきます。
敵SPDUCの人狼病感染に関してはマオさんもわたくし自身も『癒しの風』の権能で兆しの段階で完治です。
始祖人狼に特攻をかけているマオさんに関しては傷を受けた場合は即時回復です。
「さあ、始祖人狼さん。魔王国の切り込み隊長の力を味わいなさいな」
鬼鉄・マオ
【魔王国】
……仕事か。
誰であろうと、アルテミシアの邪魔をするならば消えてもらう。
勝負だ、五卿六眼『始祖人狼』よ。
アルテミシアに、人狼騎士たちを攻撃してもらっている間に、私は黒鉄とフロレムを利用して始祖人狼へ突撃する。黒鉄の機関銃とフロレムのミサイルで攻撃しつつ、【悪路走破】と【運転】の技術で敵を躱して突き進む。もし足場が消失した場合は、ジャンプしてフロレムに飛び乗って凌ぐぞ。
天蓋鮮血斬は覇気と無銘で受け止め、衝撃は激痛耐性で耐える。この程度、気合いと根性でなんとかなるのだ。そして、怪力を利用して無銘で相手の剣を弾き、体勢を崩したところに【破剛滅壊拳】を食らわせるとしよう。
●魔王が神火とマオの拳。
「「「……吾が人狼騎士たちよ……猟兵共を、排除せよ……」」」
「病気を撒き散らすなんてワル過ぎません? バイオテロにもほどがありますわよ!」
五卿六眼『始祖人狼』の蔓延させる人狼病に物申すのは、デビルキングワールドの|デビルキング《7thKIN》である魔王国の女帝。
アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)だ。
アルテミシアは頼れる部下を伴い、三対六枚の翼を広げて颯爽と戦場に躍り出た。
「という事でマオさん、さっさと倒しちゃいましょう!」
「……仕事か。わかった」
愛用の決して壊れない金属バット『無銘』を肩に担いでアルテミシアの傍らに立ち、鋭い眼光で人狼騎士たちを睥睨するのは、魔王国に戦力補充として雇われた傭兵。
鬼鉄・マオ(怪力特攻傭兵・f33724)だ。
『滅殺』の文字が入った特攻服をはためかせ、好悪の感情を見せることなく粛々と敵を殴り飛ばすぞという意気込みを露わにしている。
「なら、『黒鉄』に乗って吶喊する。行くぞ、フロレム」
「道はわたくしが用意しましょう。この戦場はわたくしの支配下にあります」
マオが、機関銃で武装した武装二輪『黒鉄』とミサイル兵器で武装したワイバーン『フロレム』を呼び寄せる間に、アルテミシアがユーベルコードを発動して戦場全体に視界を妨げない輝く霧を発生させる。
そのユーベルコードは、《地母神の戦域(ティアマト)》。
144分後まで、敵は魂魄まで焼き尽くす金色の神炎の攻撃を受け、味方には状態異常完全回復を含む超再生の癒しの風の回復を受け続けるユーベルコードである。
「アアアアアッ!?」「ゲエエエエエ!?」「アアーッ……! アツイィ……!」「出オチィィィ!!」
「ほほほ、強火でじっくり。良い火加減ですわね!」
戦場のあらゆるものが変化して生み出される人狼騎士たちが、その場所から湧き出る瞬間に即時に金色の神炎に包まれて滅却されていく。
大気も、大地も、雪水も、戦場に在る限り一つとして例外なく。
出現する端から金色の神炎に焼き尽くされていく。
当然のように始祖人狼も、そして始祖人狼の周囲を守っている鎧を纏った人狼騎士たちも、神炎に焼かれている。
新たに生み直した軍勢を瞬く間に焼却されて、その身が焼かれていながら、始祖人狼は動揺することなくアルテミシアのユーベルコードを観察した。
「「「神威の炎か……ならば、それすらも吾が人狼病にて走狗としてくれよう」」」
「まあ、人のユーベルコードにまで病気を感染させようとは! 急いで消毒しなければいけませんわね!」
炎に焙られながら、始祖人狼が《血脈樹の脈動》を働かせる。
戦場内に、見えない「人狼病」感染の流れを作り出すユーベルコードは、《地母神の戦域》の金色の神炎にすら感染の流れをもたらして、人狼騎士に変化させそうと魔の手を伸ばす。
即座に癒しの風の権能を吹き回すことで、兆しの段階であれば人狼化という状態異常を完治させることができる、しかし間を置けばその風すらもいずれ人狼化することは避けられない。
癒しの風が人狼騎士になれば、これまで猟兵たちが与えたダメージを回復されるかもしれない。
だからこそ、アルテミシアは悠長に鎬を削るつもりはない。
「さあ、始祖人狼さん。魔王国の切り込み隊長の力を味わいなさいな」
「ああ。行ってくる」
金色の炎が夜の戦場全体を明るく照らす中、『黒鉄』に跨るマオが輝く霧を切り開いて突撃する。
『黒鉄』に搭載している機関銃と『フロレム』のミサイルで燃え残った人狼騎士の残骸を吹き飛ばし、速度を上げて戦場を突き進む。
下流にいる者に凶暴なる衝動を与える《血脈樹の脈動》に囚われれば回避率が激減するが、アルテミシアの放つ癒しの風を纏ったマオと『黒鉄』そして『フロレム』は悪影響を受ける前に治癒される。
臆することも減速することもなく迫りくるマオに、始祖人狼は巨大化した大剣を向ける。
自身の周囲にいる全員を高威力で無差別攻撃する《天蓋鮮血斬》を放つ構えだ。
「「「……獣ならざる人間が、吾が前に立つか」」」
「誰であろうと関係ない、アルテミシアの邪魔をするならば消えてもらう。
勝負だ、五卿六眼『始祖人狼』よ」
視線が交わったのはほんの一瞬。両者が、攻撃の間合いに入った。
マオは『黒鉄』からジャンプして、始祖人狼に跳びかかる。
対する始祖人狼はその動きに合わせ、《天蓋鮮血斬》を繰り出した。
放たれる無差別攻撃が周囲の人狼騎士を粉砕し、そしてマオも破壊の嵐の中に姿を消す。
あわや……!
「「「……耐えたか」」」
「ふん……!」
マオは空中で『無銘』を構えて、《天蓋鮮血斬》を受け止めていた。
武術の達人が纏う、武器として使用可能な域にまで練り上げられた『覇気』がダメージを抑え、吹き飛ばされた先に飛翔していた『フロレム』に受け止めてもらい、耐え抜いていた。
マオは持ち前の気合と根性で痛みを無視し、『フロレム』を足場に技後の隙を晒した始祖人狼に殴り掛かる。
「この程度、気合いと根性でなんとかなるのだ」
「「「まだだ……!」」」
始祖人狼が巨大剣で『無銘』を防御するも、ユーベルコードを撃った後の緩んだ状態ではマオの怪力を利用したフルスイングを受け流すことはできない。
大剣が弾かれ、始祖人狼は僅かに体勢を崩す。
マオは吶喊した勢いのまま始祖人狼の懐に入り込み、金属バットを手放してこぶしを握り締める。
そして、渾身の一撃を叩き込む。
「ぶっ壊す!」
《破剛滅壊拳(フェイタルブロー)》。
拳が命中した箇所を破壊する、単純にして強力なユーベルコードだ。
敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
先陣の猟兵が砕いた鎧の隙間に叩き込まれ、始祖人狼の心臓を確かに穿ち貫いた。
「「「ぐっ!」」」「ゴフッ……!」「「グゥ……!」」
始祖人狼の三つある首の一つが激しく吐血し、苦痛に堪えるように大剣を地面に突き立て立ち止まる。
心臓を貫かれても、まだ立っている。
目を見開き、口を大きく開けて、血反吐を撒き散らしながら人狼化の状態異常を与える人狼化の強制共鳴を詠唱しようとしている。
「「「ウオオオオッ……!」」」
「む……! 手ごたえはあったが……?」
「おそらく……始祖人狼さんは三つ首、ゆえに心臓も三つあるのでしょう!
十分な戦果は得られましたわ! 離脱しますわよ、マオさん!」
「わかった」
一度目の致命傷を負った始祖人狼が再び人狼騎士を増やしてマオを閉じ込める前に、マオは『黒鉄』に乗り、《地母神の戦域》を駆け抜けてアルテミシアに合流して撤退を開始する。
金色の神炎や癒しの風が人狼化しないようユーベルコードを解除して、アルテミシアはマオと共に悠々と凱帰するのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フローレンス・ナイチンゲール
病が敵だと言うのなら、私は絶対に負けません。
ここは短期決戦で一気に押し切ります。
看護服&ガスマスクを装着。
ガスマスクは味方全員に配ります。
UCを白羊天使111体と共に合唱発動。戦場内全ての人狼病の病原体を根絶する事で、敵UCの状態異常とプレボ:人狼化現象に対処します。私達は神で不老不死なので、このUCを1日にレベル秒以上使用しても死ぬ事はありません。
武装救急車37台に3人ずつほど、自分と天使達と仲間を乗せて団体行動騎乗突撃連携攻撃
立ち塞がる物は跳ね飛ばして轢殺、搭載武装の手榴弾砲で手榴弾各種の範囲攻撃状態異常をばら撒き、注射機銃で敵には麻痺毒を・味方には回復薬を乱射します。
病気は殴り倒します。
●|助けを求める声《m'aider》により生まれ変わりし。
五卿六眼『始祖人狼』が大気や大地を感染させ、全てを人狼騎士と化していく『人狼病』を蔓延させる戦場に。
全環境生存能力付の、丈夫な看護服と毒ガスや有害物質を完全遮断するマスクを装着して、彼女は降り立った。
「病が敵だと言うのなら、私は絶対に負けません」
北イタリアのトスカーナ大公国フィレンツェ出身。
1820年5月12日生まれ、1910年8月13日90歳没した後、看護の神として、そして猟兵として蘇ったヒツジの戦禍階梯の少女。
フローレンス・ナイチンゲール(白き衣の天の使いにしてクリミアの看護神・f40415)は凶暴に微笑んで戦場に殴り込んだ。
「ここは短期決戦で一気に押し切ります」
空を哨戒する『ソニックスワロー』が気づいた時には、フローレンスと彼女の魔力と愛情を注がれて逞しくなり、神の域に至った天使たちを乗せた車両が爆走していた。
重火器と重装甲で武装し、拡声器と血液パックや手術道具を搭載した、ベッド付無菌室仕様の『武装救急車』37台。
1台につきに3人ずつの天使たちを乗せて、フローレンスは突撃吶喊突進を敢行する。
「敵襲、敵襲ー!」
「ほう、ただの武装車両ではありませんか。始祖人狼様の手を煩わせるまでもありません!
この『ガトリングサイ』のガトリング弾幕で片っ端から蜂の巣に」
「邪魔です」
「グギャアアア!!」「ガトリングサイーッ!? ぐえっ」「シヲマネキーッ!?」
フローレンスたち『武装救急車』部隊は、立ち塞がる敵は跳ね飛ばし轢殺していく。
銃撃も斬撃も強固な重装甲には歯が立たず、攻撃してきた人狼騎士諸共踏み潰していく。
遠巻きに身が構える『エレクトロトカゲ』は救急車に搭載している手榴弾砲で各種手榴弾をばら撒いて排除し、空から迫る『ソニックスワロー』は麻痺毒や回復薬等の多種多様な薬品を装填した注射器を乱射する特殊銃『|注射機銃《アサルトインジェクション》』で撃ち落としていく。
「「「民衆の、人々の祈りが、神格化した存在……! 断じて、認めぬ、看過できぬ……!
斯様な存在、|祈り《m'aider》により生まれた存在……! 吾々は、貴様を排除する……!」」」
そして、憤り激しく口を開く、始祖人狼の放つ人狼病……人狼化のという状態異常。
唱時間に応じて範囲が拡大する、3つの頭部から放たれる人狼化の強制共鳴を放つ《唱和》。
迫る悪疫に対抗するべく、フローレンスはユーベルコードを発動する。
「我が生涯を清く過ごし、我が任務を忠実に尽くさん事を。
我は総て毒有る物、害有る物を絶ち、我が手に託されたる人々の幸の為に身を捧げん」
始祖人狼の《唱和》を打ち消さんと、111体の『白羊天使』と共にフローレンスが合唱する。
《我は此処に集いたる人々の前に厳かに神に誓わん(ナイチンゲール・プレッジ)》。
フローレンスの誓いが正義な程、敵の全能力を極超弱化するから全味方の全傷病・疲労・状態異常を癒す誓詞を放出し、戦場内全ての味方への有毒物・有害物を根絶して不幸と敵を無力化するユーベルコードである。
戦場内全ての人狼病の病原体を根絶されていき、人狼騎士たちが断末魔を上げて無力化されていく。
フローレンスたちの『武装救急車』から、始祖人狼に至る道が拓かれる。
「緊急治療を開始します。覚悟は……宜しいですね?」
「「「フローレンス・ナイチンゲール……!」」」
「病気は殴り倒します」
始祖人狼は大剣を振り回すも、《我は此処に集いたる人々の前に厳かに神に誓わん》により極超弱化しているために重装甲に弾かれ、自らの致命傷を防ぐことで精いっぱいであった。
そして、フローレンスは『武装救急車』で始祖人狼を轢き潰すこと、37回。
存分に蹂躙し尽くしたうえで、朗々と合唱を続けながらフローレンスたちは戦場から堂々と去っていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
ルー・ガルフィオン
アドリブ・連携歓迎
ひとまず始祖人狼を狙撃できそうな位置に潜伏してみたけれど……。
この人狼騎士の数を前に位置を明かすのは無謀。きっと包囲される。
本来なら慎重に機を窺うべき……、けれど、蔓延し続ける人狼病を無視することはできない。
マリス(パートナーの悪夢)、こちらから仕掛ける。
人狼騎士たちの相手はマリスに任せた。私は後で合流する。……サボりじゃない。
UCで切り込んで、地形もろとも蒼炎で焼き尽くすほどに、暴れまわって。
この地は夢に落ちた。マリス、完璧。
UCの効果を活用。夢が見せる幻影に身を潜め、取り巻く人狼騎士たちを欺きながら遠距離から始祖人狼を狙い撃つ。
……捉えた。
結城・有栖
無尽蔵の戦力ですか…厄介ですね。
「無限湧きするなら、吹き飛ばして進めば良いサ。
でも、敵の攻撃には注意しなヨ」
了解です、オオカミさん。
今回はトラウムに搭乗し、シュトゥルムで飛翔して出撃。
近づく人狼騎士は【野生の勘で見切り】、【空中機動】を活用して回避。
更に、すれ違いざまにシュトゥルムで風を起こし、風の【属性攻撃】で切り裂いて攻撃です。
移動とする際に【残像】も残し、敵の撹乱もしましょう。
始祖人狼が攻撃してきたら、UCで鏡の盾を【召喚】し、【野生の勘で見切り】、トラウムの前面に展開して防御。
受けた衝撃を反射させて体勢を崩してあげます。
そして、その隙を狙って、蒼星の書の【レーザー射撃で追撃】です。
デアボリカ・スナイパーライフル
任務了解……目標、始祖人狼……
敵から遥か遠い場所に転送を希望
隠密気の迷彩で目立たない様に正体を隠す
偵察査眼と索敵偵察気配感知心眼で始祖人狼の位置と、敵のUCの影響を受けない上流になる位置を特定
収納魔法陣を現在位置と対象位置に展開。自分自身を収納し、召喚術で魔法陣展開先に自己召喚
呪殺狙眼で敵を見つめて状態異常マヒ攻撃で動きを封じ
器物本体で標的のみを狙い、UCを使って毒使い呪殺弾終末時針を放ち、両足を|狙撃《スナイパー》で破壊して機動力を殺す
こちらの位置を特定されない様に魔法陣で再転移して、次は3つの頭部を狙ってUCで破壊していく
恐ろしい……?
怖い……?
脚が竦んで動かない……?
そう、それが恐怖……
●嵐夢と狙撃のアンサンブル。
度重なる猟兵たちの襲撃により、人狼騎士は幾度となく全滅していた。
しかし五卿六眼『始祖人狼』は逐次人狼病を広げて再度人狼化を蔓延させることで、人狼騎士は無限に湧き出し続けていた。
終わりのない戦いに思える、が……中核である始祖人狼は、確実に消耗し続けている。
人狼化に際限はなくとも、始祖人狼には限界があるのだ。
「任務了解……目標、始祖人狼……」
「ひとまず始祖人狼を狙撃できそうな位置に潜伏してみたけれど……」
「無尽蔵の戦力ですか……厄介ですね」
鎧を砕かれ心臓を一つ失い、全身満身創痍の始祖人狼を、遠方から観察する猟兵たちがいる。
敵から遥か遠い場所に転送を希望したのは、二人の狙撃手と一人のオウガブラッド。
ルー・ガルフィオン(夢幻の狙撃手・f41066)と結城・有栖(狼の旅人・f34711)、そしてデアボリカ・スナイパーライフル(神をも呪い殺す悪魔の魔弾で狙い撃つ死神の射手・f40208)だ。
戦場では冷徹な狙撃手であるヒツジの睡眠愛好家と不思議の国を旅したレッドフードのアリスナイトは、火器完全合一型生物兵器のヤドリガミと共に、始祖人狼の座す戦場から遠く森の中から状況を観察していた。
デアボリカは左の目に宿した魔眼『偵察査眼』で見えない「人狼病」感染の流れを感知し、始祖人狼のユーベルコード《血脈樹の脈動》の影響を受けない上流になる位置を特定し、ルーと有栖を連れて潜伏しているのだった。
「この人狼騎士の数を前に位置を明かすのは無謀。きっと包囲される」
「無限湧きするなら、吹き飛ばして進めば良いサ。でも、敵の攻撃には注意しなヨ」
「了解です、オオカミさん」
「……|道具《わたし》は、敵を殺すもの……作戦成功のためには、協力する……」
「本来なら慎重に機を窺うべき……、けれど、蔓延し続ける人狼病を無視することはできない」
ルーはパートナーの夢の世界より出でし大狼の|悪夢《ナイトメア》『マリス』と、有栖は相棒のオウガである『オオカミさん』と共に居る。
デアボリカもまた、如何なる不死神も呪殺する必殺魔弾を放つ極超長距離狙撃銃である|本体《器物》『対神呪殺魔弾狙撃銃「デアボリカ・スナイパーライフル」』という一身同体の|道具《自身》と共に在る。
単独であれば困難な戦いも、仲間との絆の力を合わせて連携すれば踏破できるだろう。
「では、私たちが『トラウム』で敵の注意を引きつけてます。
お願いしますね、ルーさん、デアボリカさん」
「そっちはよろしく頼んだヨ」
「わかった。私は後で合流する。……サボりじゃない」
「|私《じゅう》は役目を果たす……仕事は必ず遂行する……」
慎重に、されど臆することなく、少女たちは行動を開始する。
有栖は『トラウム』に搭乗すると、搭乗したキャバリアに飛翔能力を与える『シュトゥルムシステム』を起動して飛翔する。
ルーとデアボリカ、二人の|狙撃手《スナイパー》が攻撃する隙を作るため、先陣を切って出撃する。
一瞬の間に森林から飛び出し、迂回飛行を経て始祖人狼が陣取る人狼騎士の軍勢の中へ突入する。
「! 猟へ、」「来る、はやっ」
「行きますよ、オオカミさん」「あいよー」
有栖は近づく人狼騎士の動きを野生の勘で見切り、『シヲマネキ』の斬撃や『ガトリングサイ』の弾幕を空中機動を活用して回避する。
更に、すれ違いざまに『シュトゥルムシステム』の鋼をも切り裂く烈風の力で切り裂いて、大気も大地も刻んでいく。
高速で戦場を飛翔する際に残像も残し、全周囲に存在する人狼騎士たちを撹乱していく。
「キャバリア一機、始祖人狼様の下に通すなぁ!」
「アアーッ……速い……妨害電波が、間に合わない……」
「『ソニックスワロー』ただいま誕」「そこですね」「アバーッ!?」
人狼病の感染が風のオーラに侵食して新たな人狼騎士を生み出しても、その端から『蒼星の書』から放たれるホーミングレーザーに貫かれる。
魔法陣を展開し複数の蒼い流星を放つ2台の魔導書型浮遊砲によって、制空権を保持している。
『トラウム』が人狼化しないよう、油断なく戦場を飛び回る有栖に人狼騎士たちの意識が集中した。
そして、人狼騎士たちの相手を有栖たちに任せている間に、デアボリカとルーが始祖人狼を撃ち穿つ準備を進めていく。
「……魔弾術は殺人術……|銃《わたし》は人殺しの道具……任務は、やり遂げる」
デアボリカは透化・消臭・消音・消温・気配遮断のオーラを纏う『隠密気』の迷彩効果で目立たない様に正体を隠し、様々な物の収納が可能となる自作の『収納魔法陣』をあちらこちらに仕掛けて回る。
始祖人狼や人狼騎士に発見されても『収納魔法陣』に自分自身を収納し、召喚術で魔法陣展開先に自己召喚して距離を取るためだ。
そして布石を済ませると、上流に潜み状態異常を与える右目の魔眼『呪殺狙眼』で始祖人狼を見つめて、いつでもマヒ攻撃を放つ準備をしていた。
「マリス、こちらから仕掛ける」「―――」
ルーは姿勢を低く保ち移動しながら、ナイトメアである『マリス』を切り込ませる。
先行した『マリス』は静かに走り、ルーが選んだ狙撃ポイント近くへ到達すると、《現実浄化(ピュルガトワール)》を発動する。
「……戦況好転。夢に惑え」
『マリス』による蒼炎を纏った爪牙での攻撃が命中した対象にダメージを与えるユーベルコード。
瞬く間に『マリス』が人狼騎士たちを一蹴するが、その真価は地形に突き立った爪牙が現実性を焼滅し、夢と置換する効果である。
敵を地形もろとも蒼炎で焼き尽くすほどに暴れ回って攻勢を仕掛けた『マリス』が、大地に爪を突き立てる。
「この地は夢に落ちた。マリス、完璧」「バウッ」
『マリス』に合流したルーは、準備された夢と置換された狙撃ポイントの上に身を置く。
夢と置換された地形の上に立つ間、ルー自身の戦闘力は高められるのだ。
そしてルーは《現実浄化》で夢と置換された地形の効果を活用して、夢が見せる幻影に身を潜める。
戦場を飛び交う人狼騎士たちの感知を欺きながら、ルーは『マリス』と一緒に攻撃の瞬間を待つ。
デアボリカとルー、二人のデアボリカスナイパーが準備を完了させてまもなく。
『トラウム』がついに始祖人狼と接敵した。
血に塗れ、全身を焦がし、傷だらけになっていても、それでも始祖人狼は一向に戦意を損なう様子はない。
空中を飛翔する『トラウム』に狙いを定め、回避ができないタイミングを見計らって跳躍する。
「「「貴様は……ここで排除する」」」
「来るヨ、有栖」「わかりました、オオカミさん」
始祖人狼が『トラウム』に迫り、巨大化した大剣を振り上げて《天蓋鮮血斬》を放つ。
自身の周囲の全存在を無差別攻撃する高威力の破壊は、直撃すれば『トラウム』であっても一たまりもない。
故に、有栖は温存してきた、ユーベルコードを、《想像具現》の力をここで行使する。
「鏡の盾さん、私を守って」
《想像具現・鏡の盾(ソウゾウグゲン・カガミノタテ)》。
無敵の浮遊し、攻撃を反射する4枚の鏡の盾を想像から創造し、戦闘に利用できるユーベルコード。
野生の勘で始祖人狼の動きを読み切った有栖は、『トラウム』の前面に《鏡の盾》を展開して防御した。
強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する《鏡の盾》だが……有栖の想像力は、空中で踏ん張りの効かない始祖人狼の斬撃を上回った。
受けた衝撃を反射させて、始祖人狼が空中で体勢を崩す。
「「「なんと……!」」」
「今です」「やっちゃいナー」
驚き、6つの目を開く始祖人狼が地に着く前に、デアボリカとルーの攻撃が完了した。
「(仕留める……)」
デアボリカが『|器物本体《デアボリカ・スナイパーライフル》』で標的である始祖人狼のみを狙い、《宿神魔弾獣呪術「仕留めの魔弾」(デアボリカ・バレットカース)》を放つ。
およそ1500kmkまでの対象の、狙った部位に必中の弾で攻撃する。
敵対者を音もなく葬る暗殺用の鋭利な魔弾『終末時針』を放ち、始祖人狼の両足を|狙撃《スナイプ》して破壊する。
合わせて送り込んだ『呪殺狙眼』の視線で動きを封じ、回避できぬようにして着弾させたのだ。
そして込められた呪殺弾により、強大な存在である始祖人狼にすら恐怖の感情を覚えさせ、再度攻撃する際の命中力と威力を増強する。
「「「……これは、この感覚は……? 懐かしき、忌まわしき、愛おしき、この感覚は……!」」」
「恐ろしい……? 怖い……? 脚が竦んで動かない……?
そう。
それが恐怖……」
そして、始祖人狼が3つの頭部で《唱和》を放つ隙を与えずに。
「……捉えた」
ルーが遠距離から始祖人狼を狙い撃った。
遠距離狙撃に特化したセミオート式のデアボリカライフル『ヴォルコフSVV』から放たれた、《現実浄化》で著しく戦闘力が向上したルーの呪殺弾は、胸に開いた鎧の隙間を通じて始祖人狼の心臓の一つに着弾する。
「「「グォッ!?」」」「ガフッ」「「ヌ、グゥゥゥ……!」」
足を壊され、三つある心臓の二つ目を穿たれた始祖人狼。
まともに着地することはできず、下の人狼騎士たちをクッションとして押し潰して墜落する。
その隙を狙って、有栖は蒼星の書のレーザー射撃で追撃を行い、デアボリカは頭部に目掛けて《仕留めの魔弾》を速射していく。
全身が貫かれ、顔も足も破壊された始祖人狼は、それでもまだ吼え猛る。
「「「グゥ……ゴォアアアアアッ!!」」」
三つの顔すべてを血に塗れながら、ユーベルコードがいっそう高まっていく。
始祖人狼の放つ人狼病は、なおも戦場全体に広がり人狼化を蔓延させていく。
そして現れた無尽蔵の人狼騎士たちが狙撃手を排除するべく虱潰しに地上を制圧し始める。
上空を飛翔する『トラウム』にも包囲しようとする空中戦人狼騎士の密度が増してきており、有栖はこの辺りが潮時であると判断する。
「これ以上はリスクが大きいですね。帰りましょう」「ダネ。撤収の合図を出すヨ」
合図を送り、有栖は『トラウム』を最大速度で飛翔させて戦場から遠ざかっていく。
ルーと有栖、デアボリカは見事な連携を発揮して、十分な戦果を上げた。
始祖人狼は満身創痍を越え、あと一押しで討伐が叶うだろうほどに追い込むことに成功した。
ゆえに手負いの獣は危険であり、手の内が察せられた狙撃手たちは退き際を見誤ることなく離脱を選択する。
「ん、わかった」
「……了解」
デアボリカは『収納魔法陣』を駆使して、ルーと『マリス』を回収して戦線から離れる。
三人の猟兵は、誰一人傷を負うこともなく一方的に始祖人狼に痛撃を与えて行くのだった。
そして、死の臭いが濃くなった始祖人狼に……残る猟兵たちが、天誅を下すことになるだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
サーシャ・エーレンベルク
これ以上語ることはない。
ここまで数多のあなたと戦ってきた。ならば成すべきことはただ一つ。
決着を付けましょう、始祖人狼。
【白冰冬帝】を発動。冰の女王の真の姿へ変身し、凍結嵐を放つわ。
始祖人狼との勝負の邪魔よ。人狼騎士、疾く冰りなさい。
それとも――その冰り悴んだ手と身体で私に刃向かうのかしら。(オーラの波濤と共に殺気を放つ)
絶望の感情を与えることで、周囲の人狼騎士の行動を鈍らせましょう、
パラボラアンテナを凍結させて無力化、飛翔する翼を冰らせて墜落させるわ。
機関銃はそもそも機構が冰り作動しないかもしれないわね。
シヲマネキ、あなたの腕と足はすでに冰りついた。地面から足を無理やり引き剥がす勇気はあるのかしら?
これ以上人狼騎士を生み出しても無駄よ、須らく凍結嵐の餌食になる。
……強化された身体で駆け出し、人狼騎士たちを斬り裂き、始祖人狼に、竜騎兵サーベルの一撃を!
久遠寺・遥翔
アドリブ連携歓迎
大気まで人狼化とかとんでもないなぁ
どこまで対抗できるかはわからないけどやれるだけやってみるさ!
UCを発動して世界を雪国から原初の焔の領域へ書き換える
この戦場はしばらくは俺がルールだ
完全に人狼化を防ぐことはできなくてもこの領域に現れた人狼は全ての敵を焼く黒焔が即座に[焼却]する
俺自身はオーバーロード、イグニシオン・ソーリスに[騎乗]し、始祖人狼に一直線
「おぉ、本当に三本の首。禁獣ケルベロスみたいだな。しかも綺麗にハモって喋ってる」
[空中戦]を展開し、[残像]が残るほどの高速[ダッシュ]で戦場を翔け抜ける
常に風を[見切り]、奴が作る流れの風下に立たないようにしながら白焔の回復と[生命力吸収]で継戦能力を高めながら焔の太刀と焔の波動による[2回攻撃]で攻め立てる
「ところで三本の首ってどいつが一番強いんだ? やっぱり一番大きい真ん中??」
とそれぞれが思考能力を持っているのであればその和を乱すような煽りを入れて隙を作るなども試してみよう
はじまりちゃんを見習ってやれることは全部やるぜ
雨飾・樒
人狼化、生き物以外にも効果があるなんて厄介過ぎる
……どこまで通用するか分からないけど、やるしかない
人狼騎士、攻撃回数が多かったり速い奴は進路を邪魔する奴だけ排除、最短を最速で始祖人狼に接近する
人狼化前のものが何にせよ、"眠り薬の魔弾"なら命中させれば効くはず
問題はトカゲの怪電波、あらゆる術を妨害できるのが誇張じゃないなら、私の魔弾もダメそう
トカゲ共が電波を放射する前に撃つか、妨害が及ばなそうな至近距離まで近付いて撃つ
魔弾が撃てる状況さえ保てれば、始祖人狼を狙える
生き物以外から出てきた人狼騎士は物質として扱われ、魔弾は透過できるのか、これは賭けになる
私自身もどうなるか分からない、できると信じれば通用するのかもしれない
護衛の数が多過ぎて射線の確保は難しい、人狼化は猟兵にも症状が出るって話だし時間はかけられない
可能な限り近付いたら始祖人狼に向けて全力を込めて、魔弾を撃ち込む
笹竹・暁子
【雀蛇】/他連携歓迎
この大戦ではほんと様々な事を体験した
特に猟兵の在り方を
だから、私も最後まで自身の信念を貫くわ
――補助ロケットパージ
弾道飛行、最終再突入角度…調整完了
さあみんな、アテンション・プリーズ!
方針:衛星軌道上から味方を【運搬】し活路を開く/弥千代を大技まで守り抜く
大気も敵なら強襲するにはサウスの設計外だけどその外から行くしかない!
第一外装は最も高気密で頑丈な〔ジェン〕形態で大気圏に再突入!
溶解した外装はパージ!
第二外装の〔オウル〕形態で高速降下しながら【落下耐性・早業・索敵・情報収集・情報伝達・道案内】で味方に共有!
〔霊刃羽〕を射出し【指定UC】を前方に多数展開
空戦部隊からの襲撃を防ぐ!
充分情報を得たら炸薬でコンテナ以外はパージ!
吹雪空域に入ったら外付け射出口から〔金の極上ニャール〕を一斉散布!
こんな形で使うとは思わなかったけど!
【空中機動・軽業】でコンテナからの出撃や射撃を支援しつつ、チヨさんが示した目標地点に向かう!
大丈夫よ!まだ、まだ飛べる!
「その時」まで、諦めないわ!
斐伊・弥千代
【雀蛇】/他連携歓迎
もともと私は、恩を返すため医療を学んだ
けれどこの大戦で自身の本性と猟兵の激闘を見て、触発されたのだ
返すべき相手がこの世界なら、力を振り絞れ、と
降下の浮遊感に目が回りそうな中、私は全てを賭けると決めた
方針:最大効果を発揮する地点を割り出し、目標地点で己を賭ける
暁子さんには全て話しているし、その為に頑丈に防護された席につく
渡された情報を【瞬間記憶・解読・瞬間思考力】で解析し、目標地点を算出
周辺情報の他、得た情報を〔錬金籠手〕に入力し続ける
…ああ、何てこと
目標地点は始祖人狼の真上上空
そんな所までは…
諦めないと声を聞いた
信じられ、託された
私は――応えなければならない!
コンテナ口に立ち錬金籠手のスロットに〔万能薬〕と、〔念糸〕で採取した人狼病サンプルを叩き込み【錬金術・リミッター解除・薬品調合】!
あらゆる病理に対応する薬に、対応すべき病理と〔呪毒の血〕で錬成増幅!
最大稼働展開した籠手を広げ【指定UC】を解き放つ!
この一瞬が、勝利の鍵になると信じる!
世界よ、在るべき姿を思い出せ!
レナータ・バルダーヌ
何を言っているのかよくわかりませんけど、こちらは識らないままでは何も判断しようがないんです。
意外と始祖人狼さんの思い込みかもしれませんし、その言葉の意味とかあなた方の思惑とか、教えてもらえないでしょうか?
人狼化現象は距離も障害も関係なさそうですし、攻撃を回避できるとは考えないほうがよさそうですね。
幸いというべきか、耐える戦いは得意分野ですから、一撃くらいは与えてみせましょう。
敵の攻撃はサイキック【オーラで防御】……といっても負傷は覚悟の上で、致命傷さえ防げれば【痛みには耐えて】みせます。
両翼の痕から炎の翼を形成して飛行すれば、群がる敵の数もいくらかマシになるでしょうか。
あとは運次第になりますけど、始祖人狼さんを一瞬でも視界に捉えられれば【A.B.エンパシー】で【カウンター】の一撃を放ちます。
●それでも、対話を望む。
五卿六眼『始祖人狼』。
度重なる猟兵たちの猛攻を受けて、両脚破壊、全身裂傷、全身打撲。
三つある心臓のうち二つを潰され、電撃や砲撃により焼け焦げた姿は、もはや立つことがやっとであり、破綻寸前であった。
開戦時にとある人狼の少年に撃ち込まれた「死の楔」が、ほどなく始祖人狼に終わりをもたらすことになるだろう。
だが、その時まで、始祖人狼は止まらない。
オブリビオンとして出現した始祖人狼は、その生命活動が停止するまで人狼病を撒き散らす。
ワルシャワ条約機構の支配者として、生ける獣人を殺し、猟兵を殺す存在として在り続ける。
だからこそ。
「何を言っているのかよくわかりませんけど、こちらは識らないままでは何も判断しようがないんです」
「「「…………」」」
だからこそ、レナータ・バルダーヌ(護望天・f13031)は正面から始祖人狼に対峙していた。
いつも笑顔で朗らかなオラトリオであるレナータは胸中に抱いた問いを直接告げるため、視界を埋め尽くす人狼騎士たちの向こうにいるだろう、始祖人狼に向けて声を投げかける。
レナータは、無限に現れる人狼騎士の攻撃を回避して始祖人狼を攻撃することは困難だと自覚している。
大地や大気、水や光などが人狼化する現象―――人狼病は、距離も障害も関係なく影響を及ぼす。
数百数千の軍勢の殺意を一身に浴びながら、サイキッカーとしての力を振って侵食する人狼化にも抗い、懸命に言葉を紡いでいる。
「意外と始祖人狼さんの思い込みかもしれませんし、その言葉の意味とかあなた方の思惑とか、教えてもらえないでしょうか?」
「「「相互理解は、不要である……。昏い星が、夙に滅びていることを教授しても……貴様等は抗うだろう。そして、吾らの死を踏み、生きるのみ……ならば、排除する他に道はない」」」
「そんなことは……! ……星? それは、いったいどういう」
「「「最早問答は無用……全てが土へと還るのだ……! 滅びよ……六番目の猟兵……!!」」」
レナータの言葉に応じたものの、始祖人狼は殺戮を止めはしない。
和解は為されない。矛を収めることは、無いのだ。
人狼病を《唱和》する始祖人狼の、人狼化の状態異常を与える強制共鳴の咆哮。
レナータを蝕もうとする感染源と共に、無尽蔵に出現し続ける人狼騎士たちが武器を構えて殺到する。
「「「オオオオオオーッ!!」」」
「っ……幸いというべきか、耐える戦いは得意分野ですから、一撃くらいは与えてみせましょう」
始祖人狼の攻撃を、レナータは必死にサイキックオーラで防御する。
無論、無傷とはいかない。正面からの直撃は、レナータの心身に大きな負担をかけていく。
それでも、負傷は覚悟の上。全身に裂傷を帯び、流血しようと致命傷さえ防げれば痛みには耐えてみせると、レナータは前を見続けて立ち向かっている。
音速を越えた突撃、機関銃の弾幕、オーラをかき乱す怪電波、無数の斬撃……。
数多無数の攻撃を、レナータは耐え凌ぐ。群がる敵の注意を引き続け、戦い続けている。
「護ってみせます―――一緒に明日を迎えるために!」
レナータが一人、人狼騎士たちの前に立っている理由。
それは対話をするためだけではなかった。
それは……他の五名が下す|天《・》|誅《・》に気づかれぬようにするという、陽動の意図もあったのだ。
●獣人戦線世界の外からお届けします。
「この大戦ではほんと様々な事を体験したわ。特に猟兵の在り方を。
だから、私も最後まで自身の信念を貫くわ」
始祖人狼の人狼病は、戦場に存在する『全て』を人狼化し、人狼騎士へと変化させる。
それはどれほどの距離が開けようと、安全圏は得られないほどの権能である……そのはずだった。
誰もが思いつかなかった、意表を突いたのは互助組織『雀のお宿』のスズメの外商仲居。
笹竹・暁子(暁を臨む一夜の為に ~雀のお宿の外仲居~・f39919)は、大鳥型の魔導甲冑『サウス』に乗って衛星軌道上を航行していた。
流石の人狼病も、何もない宇宙空間へは侵食しようがないのである……!
「大気も敵なら、強襲するにはその外から行くしかない! 『サウス』の設計外だけど」
「大気まで人狼化とかとんでもないなぁ……って思ってたら、大気圏外か。たまげたなぁ」
『サウス』には、暁子の作戦に同行している猟兵たちが乗っている。
中でも一際場所を取るために『サウス』の増設コンテナに収められているのは、蒼く輝く相棒のキャバリア『イグニシオン・ソーリス』に搭乗している|焔黒騎士《フレアライザー》。
久遠寺・遥翔(焔の機神イグニシオン/『黒鋼』の騎士・f01190)だ。
「人狼化、生き物以外にも効果があるなんて厄介過ぎる。これくらいしないと」
「得難い経験ね。……ここまで数多の始祖人狼と戦ってきた。決着を付けましょう」
黒鼠の”眠り薬の魔弾”使い、雨飾・樒(Dormouse・f41764)と、
白狼の少女兵サーシャ・エーレンベルク(白き剣・f39904)は、
シートベルトを着用して、突入後の突撃に備えてそれぞれの武器を握り締めている。
獣人世界大戦で八面六臂に活躍する二人も、『サウス』に乗って故郷の遥か上空にいた。
すべては……この戦いに決着をつけるために。
「―――補助ロケットパージ。弾道飛行、最終再突入角度……調整完了。そろそろ時間ね」
「……もともと私は、恩を返すため医療を学んだ」
そして、暁子と共に作戦立案の段階から行動しており、内容の一部始終を共有しているのは、斐伊・弥千代(蝕の血は|灯《あかり》となりて ~血清錬金薬師~・f40486)。
どこか艶めかしい雰囲気が漂う、誠実で献身的な蛇の女性医師である。
弥千代は作戦遂行のために、暁子と隣接する特別に頑丈に防護された席に着いている。
この決戦の趨勢を左右するだろう大技を放つその時まで、そしてその後も、暁子がしっかりと守り抜くための配置であった。
「けれどこの大戦で自身の本性と猟兵の激闘を見て、触発されたのよ。
返すべき相手がこの世界なら、力を振り絞れ、と……だから」
「ええ……いっしょに行くわよ!
さあみんな、アテンション・プリーズ! 当機は始祖人狼までの直行便!
これより大気圏に再突入するわ! ……3,2,1,ゴー!」
第一外装は最も高気密で頑丈な|企鵝型《ペンギン》潜水形態『ジェン』の状態で、『サウス』は猟兵たちを|大気圏再突入《atmospheric re-entry》する。
摩擦熱で真っ赤に燃える機体は、高熱にも耐えうる頑丈性を発揮している。
それでも溶解していく外装は順次パージして、第二外装の梟型輸送形態『オウル』が露出してもなお高速降下していく。
その最中にも、暁子と弥千代は情報収集を怠らない。
軌道を微調整しながら弥千代が示した着陸目標地点に向かい、同時に始祖人狼と戦場に蔓延る人狼騎士、そしてレナータの位置情報を即座に仲間たちに共有する。
「予定通りレナータさんがしっかりと引き付けてくれているわ。この分なら!」
「……目標地点を算出、状況再計算……周辺情報、演算……行ける、これなら」
弥千代は降下の浮遊感に目が回りそうな中、気をしっかりもって演算を続けていく。
弥千代はこの一戦に全てを賭けると決めたのだ。
自らのユーベルコードと仲間たちの強襲が最大効果を発揮する地点を割り出して、目標地点で己を賭けるのだ。
そして、炸薬でコンテナ以外はパージされて、『サウス』が大気の中へと戻って来る。
●毒と薬は紙一重。献身の錬金術。
「お? 隕石?」
「……い、いや、違う、あれ、嘘だろ!?」
「始祖人狼様に報こ」
一番最初に出くわしたツバメの始祖人狼『ソニックスワロー』の群れを|撥ね飛ば《ピチュン》して、凄まじい落下速度を維持したまま『サウス』が吹雪空域を滑空して始祖人狼に向かっていく。
『ソニックスワロー』に続いて空からの襲撃者に気づいた人狼騎士たちが迎撃に動くが、レナータに集中して包囲していた彼らの動きは間に合わない。
だが、始祖人狼の人狼病が、『サウス』に纏わりつく雪を『シヲマネキ』に変える。
新たに現れたネコの人狼騎士『シヲマネキ』たちがその手の蟹鋏の切断能力で機体に穴を開けようと試みる。
それすらも、予想していた暁子が一手早く対処する。
『サウス』の外付け射出口を開放して、『ソレ』を散布する。
「こんな形で使うとは思わなかったけど!」
「ニャニャ!?」「良い匂いするっ!」
暁子が一斉散布したのは、『金の極上ニャール&ワール』。
それは獣人大戦で確保した、獣人向け高級おやつ群であり、犬・猫種族は特に目の色を変える逸品だ。
狼である始祖人狼は耐えられても、ネコの獣人である人狼騎士『シヲマネキ』は我慢できなかった。
まんまとおやつに気を取られた『シヲマネキ』たちに、暁子は『サウス』の羽型自律機動兵装『|霊刃羽《クイル・ビット》』を射出しユーベルコードを展開する。
「鳥型だけど―――「手」は貸せるのよ!」
《|霊網羽掌《ビット・ハンズ》【メイガス】(ハンド・オブ・アルゴス)》。
見えない霊力を網状に中継展開した巨掌形態の『霊刃羽』を放ち、遠距離の対象を攻撃するユーベルコード。
『霊刃羽』は思念指揮型で、遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能なのだ。
根本は力場の網になっており、複数同時に展開できる《霊網羽掌》は防御や捕縛、漁など……今回のように多勢を相手にする時に、特に効果を発揮する。
『霊刃羽』が前方に多数展開して、『シヲマネキ』たちを一網打尽に絡めとる。
そのまま大気圏突入の勢いで引っ張られた『シヲマネキ』は、哀れな残骸と化した。
「もう一息よ、みんな攻撃の準備を……っ! 気づかれた!」
暁子はコンテナから随時射撃や弾幕による支援しつつ、弥千代が示した目標地点―――始祖人狼の真上上空に向かう。
仲間たちを送り届けるために、始祖人狼に少しでも近づくために、立ち塞がる人狼騎士の壁を『サウス』が突破していく。
そして、始祖人狼が『サウス』を認識した。
「「「……|天《宇宙》より来たるか……! ならば、射ち落とす……!」」」
始祖人狼は迎撃のためにその手に握る大剣を構え、《天蓋鮮血斬》の一撃を放とうとする。
射程距離数百メートルの斬撃は、上空であろうと間合いの半径内である。
人狼騎士諸共無差別攻撃するそのユーベルコードが叩き込まれれば、『サウス』も、そのコンテナにいる猟兵たちも、無事ではすまない。
かといって始祖人狼が攻撃するより早くコンテナを開放すれば、弥千代の大技を繰り出すのが遅くなる。猟兵たちは人狼騎士に阻まれ時間を稼がれ、始祖人狼に到達する前に人狼病の被害を受けるだろう。
ほんの一瞬の判断のズレが、この戦いに影響を及ぼすことになる。
「……ああ、何てこと。目標地点は、まだ……そんな所までは……」
「大丈夫よ! まだ、まだ飛べる! 『その時』まで、わたしたちは諦めないわ!」
「―――! 暁子さん……!」
暁子の叫びが、弥千代の迷いを取り払った。
自らの割り出した計算式を信じて、より多くの情報を得るために。
意を決して、弥千代は高速で飛翔するコンテナの口を開き、立ち上がる。
「―――諦めないと声を聞いた。信じられ、託された。
私は―――応えなければならない!」
戦場の、人狼病が蔓延する空気がコンテナに入り込む。
弥千代は機甲式|錬金籠手《ガントレット》『ファースト・エイダー』のスロットに、周辺の人狼病サンプルを念糸『|大蛇《オロチ》』で採取して叩き込む。
そして、その場で自身の血と、獣人大戦で確保した即時特効万能薬……『|非異常性病理治療薬《ワルシャワ製》』を組み合わせて調合を開始する。
弥千代に流れる、荒神とも呼ばれる呪毒の血『八岐』と対応すべき病理。それをあらゆる病理に対応する薬を錬成で増幅し、人狼病に対抗する薬物作成を完了させる。
一呼吸の間に作業を終えた弥千代が、最大稼働展開した『ファースト・エイダー』を広げユーベルコードを解き放つ!
「この一瞬が、勝利の鍵になると信じる! 環境情報入力! 最終プロテクト解除!
世界よ、在るべき姿を思い出せ!
―――錬成アクセス、|環境改善《テラフォーム》ッ!!』」
《理想世界の処方箋【環境錬成】(テラフォーミング・プリスクリプション)》。
それは、弥千代自身の意識喪失を代償に、封印解除した『ファースト・エイダー』から、戦場の仲間が受けた負傷・状態異常と、周辺環境の不利度に比例した威力と攻撃範囲の環境錬成による浄化攻撃と、味方の治療波を放つユーベルコード。
シベリアの雪原という極地、始祖人狼が蔓延させた人狼病。
周辺環境の不利度はとても高く、その分《理想世界の処方箋【環境錬成】》の性能を向上させていく。
無制限に湧き続けてきた人狼騎士の出現速度が……感染したすべてが人狼化する現象が、まるで止まったかのように劇的に遅延する。
「「「……! 吾が人狼病を、吾が人狼騎士を……抑止する、だと……!?」」」
「これで、大丈夫……始祖人狼に届く……! あとは、みなさん、任せ、ます……」
「お疲れ様。……さあみんな! やっちゃってちょうだいー!」
《理想世界の処方箋【環境錬成】》の放つ治療波により、猟兵に侵食する人狼化は抑制されている。
長くは持たない、それでも値千金の時を得ることができる。
「ああ! どこまで対抗できるかはわからないけどやれるだけやってみるさ!」
「……どこまで通用するか分からないけど、やるしかない」
「……静寂の奥底に、沈める」
「わたしもまだ頑張りますよ!」
始祖人狼の《天蓋鮮血斬》が『サウス』に向けて叩き込まれる寸前に。
見事役割を全うした弥千代が崩れ落ち、暁子が彼女を受け止めて、『サウス』から脱出する。
そして、コンテナから射出された遥翔と『イグニシオン・ソーリス』が。
『サウス』から飛び降りたサーシャと樒が。
戦場で一人立ち向かい続けた、レナータが。
「「「「―――オーバーロード―――」」」」
六番目の猟兵たちが、|超克《オーバーロード》する。
暁子と弥千代。【雀蛇】の二人の助力によって始祖人狼に刃を届かせる距離まで接近できた。
大剣の一撃を受けた『サウス』が形状を保ったまま勢いよく吹き飛び、地面に落ちるまでの数秒の間に。
超大国ワルシャワ条約機構を支配する五卿六眼、その命脈にトドメを刺しに、猟兵たちが戦場を行く。
●終焉は焼き却き、再誕が癒し巡る。
「原初起動(イグニッション)。最先より在りし焔よ、醒めよ」
「ば、バカなぁぁぁ!?」「ぎゃあああまた燃えるぅぅぅ!?」
遥翔が発動するのは《真焔なる世界(プリミティブ・イグニッション)》。
戦場全体に原初の真焔結界を発生させるユーベルコードである。
153分後まで、戦場は雪国から原初の焔の領域へ書き換えられ、完全に人狼化を防ぐことはできなくてもこの領域に現れた人狼騎士は全ての敵を焼く終焉の黒焔が即座に焼却していく。
『ガトリングサイ』の所持する機関銃の弾薬が爆発し、次々に消し炭と化していく。
遥翔の生み出す焔は弥千代の《理想世界の処方箋【環境錬成】》の|環境改善《テラフォーム》と相殺することはなく、味方を回復させる再誕の白焔は治療波と相乗して人狼病から猟兵たちを守っている。
この数瞬の間、この戦場では猟兵たちがルールとなっている。
「「「おのれ、六番目の猟兵共……!」」」
「おぉ、本当に三本の首。禁獣ケルベロスみたいだな。しかも綺麗にハモって喋ってる」
『イグニシオン・ソーリス』に騎乗する遥翔は、始祖人狼に一直線に接近すると空中戦を展開する。
常に風の流れを見極めて風下に立たないよう注意しつつ、残像が生じるほどの高速機動で戦場を駆け抜け、始祖人狼を翻弄する。
「ところで三本の首ってどいつが一番強いんだ? やっぱり一番大きい真ん中??」
「「「吾々の頭に上下はない、吾は吾らであり、吾らは吾である」」」
「うーん、つまり一人芝居か何かかね? かわいそ」
などと、遥翔は始祖人狼の冷静さをかき乱すような煽りを入れていく。
はじまりの猟兵を見習って、やれることは全部やるという強かさを露わにして。
イグニスの黒焔を動力にしたキャバリア用の焔の太刀『機神太刀"|迦具土《カグツチ》"』を抜き、焔の波動砲を実現する掌の機構『機神焔砲"|天照《アマテラス》"』を構える。
●裁きの氷結は下される。
「凍てつき、冰れ」
サーシャが発動するユーベルコードは、《白冰冬帝(スカディ)》。
真の姿である冰の女王に変身し、同時に戦場を包み込む凍結嵐が放たれる。
《真焔なる世界》で燃え盛る戦場に再び、人狼のみを凍て付かせる嵐が吹き荒び、サーシャや樒を敵の索敵から隠し包む。
速度や攻撃力が上昇したサーシャが始祖人狼に迫る道中で優先して狙うのは、物陰に潜む『エレクトロトカゲ』だ。
「アッ、エェ……?」
「始祖人狼との勝負の邪魔よ。人狼騎士、疾く冰りなさい。
それとも―――その冰り悴んだ手と身体で私に刃向かうのかしら」
「そんな、最強のガトリングがっ」「ア、アッ、アーッ……!」「ニャン、とぉ……」
技や術を妨害する怪電波を放つ『エレクトロトカゲ』も、上昇したサーシャの隠密力を見抜くには力量が足らず、速度にも追いつけなかった。
仲間の人狼騎士が凍結したことでサーシャに気づきパラボラアンテナを向けた個体も、サーシャを目視したことで慄き震えて立ち竦む。
真の姿を開放したサーシャは、自身を目撃した全員に絶望の感情を与えるのだ。
凍て付くオーラの波濤と共に殺気を向けられた『エレクトロトカゲ』たちは動きが鈍り、そのまま仲間と同じように凍結して無力化されていく。
『ガトリングサイ』の機関銃も、『ソニックスワロー』の機翼も凍てついては役に立たず、『シヲマネキ』はその手の蟹鋏を届かせる間もなく全身が冰りついた。
「「「オオカミ……人狼ならざる獣人……!」」」
「これ以上語ることはない。
ここまで数多のあなたと戦ってきた。ならば成すべきことはただ一つ。
決着を付けましょう、始祖人狼」
そして、始祖人狼の前に駆け寄ったサーシャは、問答無用とばかりに愛用の竜騎兵サーベル『ヴァイス・シュヴェルト』を抜刀する。
●永遠の眠りを与える。
樒は、最短距離を最速で移動して始祖人狼に接近する。
戦闘服の腰部に仕込まれた、走行動作時の脚力強化と静音の効果がある『零式脚部運動強化符』と戦闘靴の底部に仕込まれた、空中での跳躍移動を可能とする力場を発生させる『零式空中跳躍符』を併用することで、戦場を自由に駆け抜けていく。
《理想世界の処方箋【環境錬成】》と《真焔なる世界》のおかげで人狼病の感染は抑えられているため、臆することなく始祖人狼に接近することができる。
「人狼化前のものが何にせよ、"眠り薬の魔弾"なら命中させれば効くはず」
人狼騎士の大半は、仲間たちが排除している。これ以上沸いて増えることも、今は無い。
樒が魔弾を怪電波によって妨害されることを懸念していた『エレクトロトカゲ』も、凍てつき、焔で焼き滅ぼされている。
だから、樒は順調に進んでいく。
通り道に残る、進路を邪魔する人狼騎士だけを排除して突き進み、始祖人狼に魔弾を撃てる距離にまで迫っていた。
射程距離に辿り着いた樒の眼前には、焔に包まれながらも始祖人狼を守ろうとする人狼騎士―――鎧を纏い剣を手にした人狼の壁が立ちはだかる。
「……」
一瞬の、逡巡。
樒の《眠り薬の魔弾(ヒプノティク)》は、愛用の『六式拳銃丙型』から物質を透過し敵に【睡眠】の状態異常を与えるペールブルーの魔力弾を放つ致死性の高い魔弾である。
生き物以外から出てきた人狼騎士は物質として扱われるのか、魔弾は透過できるのか、樒自身もどうなるか分からない。
護衛の数が多過ぎて射線の確保は難しく、迂回しようにも全方位を守っている騎士を避けることは難しい。
仲間が排除するまで待ち続けるのか……。
「これは賭けになる、できると信じれば通用するのかもしれない」
思索の末、樒は速やかに『六式拳銃丙型』の照準を、|遮蔽《人狼騎士》越しに立つ始祖人狼に合わせる。
●希望をもたらす守護者たち。
そして。
弥千代を抱えた暁子が見守る中、獣人世界大戦の雌雄が決する。
「「「滅びよ、滅せよ……! この|現実《せかい》より消えよ、猟兵……!」」」
始祖人狼の3つの頭部が《唱和》する。
浄化され、焼却され、氷結された戦場に見えない人狼病感染の流れを作り出す《血脈樹を脈動》させ、あらゆる加護を貫いて猟兵たちに人狼化の強制共鳴を放つ。
まとめて巨大化した大剣の一撃《天蓋鮮血斬》を放って猟兵たちを殲滅するために、人狼化に抗う一瞬の隙を作り出そうとしている。
肉を斬らせて骨を断つか。
サーシャと遥翔が覚悟を決め、樒が賭けに出ようとした、その時だ。
「来てくれた皆さんのために、もう少しだけ……頑張りますよ!」
レナータが両翼の痕からブレイズキャリバーの能力で『獄炎の翼』を形成して、空高く飛翔する。
仲間たちの奮闘を視界に収めながら始祖人狼を睥睨する。
五人の連携により人狼騎士は数を減らし、再出現することがなくなったことで密度が薄くなっていた。
それ故に、レナータの視界に始祖人狼を収めることができた。
「この身に受けた痛み、すべてあなたにお返しします!」
《A.B.エンパシー(アゴニーブランド・エンパシー)》。
レナータが負っている傷から、体感的苦痛と同等の痛みを与える感覚転写を放ち、脳の錯覚が引き起こす自然発生的外傷により対象の動きを一時的に封じるユーベルコードだ。
一瞬でも始祖人狼を視界に捉えることで放つことのできるカウンターユーベルコードは、この戦いでレナータが受けたすべての傷の数だけ効果を強める。
その効力は相手の体感に寄るために、始祖人狼がどれほど強大であったとしてもその体力に比例した傷を与えられる。
「「「―――!?」」」
「今です!」
《A.B.エンパシー》が始祖人狼の動きを、止める。
大剣を振り回そうとした寸前で封じられた体幹は揺らぎ、その隙を猟兵たちが見逃すことはない。
「行くぜーっ!」「ここでっ!」「眠れ」
「「「オオ……オオオオッ……!」」」
遥翔が、超高速機動からの焔の太刀を叩き込み、至近距離から焔の波動による2回攻撃を繰り出す!
サーシャが、強化された身体で駆け出し、人狼騎士たちを斬り裂き、始祖人狼に、竜騎兵サーベルの一撃を叩き込む!
樒が、始祖人狼に全身全霊全力を込めて、《眠り薬の魔弾》を撃ち込む!
「「「―――嗚呼……また、堕ちるのか―――」」」
猟兵たちの連携攻撃が、始祖人狼を滅多打ちにする。
そして、『サウス』が地面に墜落した衝撃と同時に……始祖人狼が、地に伏した。
始祖人狼が塵となって消えていくと、人狼騎士たちもそのまま静かに崩れ落ちていく。
ここに……五卿六眼『始祖人狼』の討伐が成功したのだ。
「……やったか?」「ええ、……やったのよ」「よかった」
「お疲れ様ですね!」「コングラチュレーションなのよ!」「……うん、うん……!」
遥翔、サーシャ、樒がその場で立ち尽くし、離れていた暁子と弥千代、そしてレナータが合流する。
戦場から離脱していた他の猟兵たちも、戦いの終わりを察して集まって来る。
ある者は諸手を上げて歓喜の声を上げて、ある者は静かに微笑みを浮かべている。
長かった夜が、ようやく明けるのだ。
満月が照らす雪原で、猟兵たちは勝利の余韻を味わうのであった。
大成功
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