獣人世界大戦⑳〜はじまりを知る為に死を叩き込め
●シベリア奥地
深き森の奥に張られていた結界はとうに破れ、闇は解き放たれていた。
いや、伴っていたのだ。
闇を伴う少女の名は「はじまりの猟兵」
寿命はとうに果て、オブリビオンとなってかつてのなれの果て。
「遺書……書くべきだったかしら」
呟いてから、被りを振った。
オブリビオンになったら、真っ先にそれを消去するだろうから。
ならば仕方ない。
溜息と共にライフルを一つ手に取った。
ボルトアクションの騎兵銃、取り回しやすいこの武器が妙に気に入って最後まで使っていた。
「では、やりましょう。六番目の猟兵」
銃を棍棒のように構えて少女は言葉を口にした。
「言っておきますが、わたしは最も古き者……正直言って、弱いですよ!」
●グリモアベース
「というわけで、はじまりの猟兵までたどり着きましたが……こう寿命って概念があるのを、今になって思いだすとは思いませんでした」
グリモア猟兵、流茶野・影郎(覆面忍者ルチャ影・f35258)は溜息一つ漏らすしかなかった。
「別の世界だったら生きていたかもしれませんねえ。とは言えオブリビオンになってしまった以上は、ヒトとしての悪い部分と言うのが働くのでしょう。平和的な交渉は上手く行かず、だまし討ちをしてしまうと本人も思ってしまうらしく。今回は正面切っての勝負となりそうです」
グリモア猟兵が盤上に地図を広げる。
「場所はシベリア奥地の森林地帯。やり方は構いませんがはじまりの猟兵は強力なオブリビオンとなっています。一人一殺の勢いで行かないと倒せないでしょう」
周りの様子を察してか影郎は言葉を続ける。
「要はそれくらいに過去の残滓が刻まれているってことですよ。でも気を付けてください」
眼鏡の位置を直しグリモア猟兵は視線を巡らした。
「過去、皆さんは強敵相手に逆転の一手を叩き込んできました。今度は相手が同じようにやって来るでしょう。それが古い猟兵の戦い方らしいですから」
風車が飛び、道が開く。
「まあ、結局は戦うしかないんですがね……皆さんのご無事を祈っております」
手段はない。
ゆえに単純だった。
みなさわ
定命が故に彼女は死に、残滓となってその場に留まった。
お世話になっております、みなさわです。
今回ははじまりの猟兵との戦いをご用意しました。
●戦場
シベリア奥地の森林地帯。
都合よく開けていたり、木々に囲まれていたりと場所に困りません。
猟兵の皆さんである程度の場所は指定できますが、事前準備はちょっと難しいかと思います。
●敵
獣人戦線の獣人達にユーベルコードを与え、異世界からの侵略者に対抗する力を与えたとされる「はじまりの猟兵」です。
自身のユーベルコードと持てる限りの戦闘技能を駆使した「戦場の戦い方」で皆さんを倒しに来ます。
今回は強敵故に確実に倒しにいく方向をお勧めします。
●その他
マスターページやタグも見ていただけると幸いです。
それでは皆様、はじまりの地への一歩を。
第1章 ボス戦
『はじまりの猟兵』
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POW : ストライク・イェーガー
レベルm半径内の対象全員を、装備した【ライフル】で自動的に攻撃し続ける。装備部位を他の目的に使うと解除。
SPD : プログラムド・ジェノサイド
【予め脳にプログラムしていた連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : キューソネコカミ
【ライフル】が命中した敵を一定確率で即死させる。即死率は、負傷や射程等で自身が不利な状況にある程上昇する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
スージー・ブラックアイド
正義の為に悪を討つ……ッてな戦いじゃあねえが。
それでも真実とやらは知らなきゃなンねーよな。
オマエのこれまでに応える為にも、胸を借りるぜ大先輩!
純粋な技量じゃあちと敵いそうもない。荒っぽい手段で行くか!
呼び出した無数のビットが、それぞれ火焔を吹き上げる。
だが|愚直《ぶっぱ》で仕留められるとは思っちゃいない。
目的は移動経路の制限と目くらまし! 熱と光でライフルの狙いも付けさせねェ。
炎の壁越しに砲撃を間断無くブチかませば、轟音も合わせて思考の暇すら与えずに。
追い詰めたネズミちゃんを確実に碇の一撃で沈めるぜ!
教えろよその罪、その真、その涯を。
このスージー・ブラックアイドが紙芝居にして語ってやらア!
●最初の死は炎の向こうへ
まず闇が払われた。
120を超えるビットによる炎熱。
炎の主はスージー・ブラックアイド(その正義について・f29739)という。
「正義の為に悪を討つ……ッてな戦いじゃあねえが」
これは黒い目のスージーが問い、考え続ける戦いとは違う。
「それでも真実とやらは知らなきゃなンねーよな」
だが答えの一端となろう戦いであった。
「オマエのこれまでに応える為にも、胸を借りるぜ大先輩!」
ゆえに六番目は「はじまり」に挑むのだ。
炎は壁となり、熱は足元を溶かし泥濘化させる。
最早、それは炎の御業。
|FIREWORKS.《ファイアワークス》
はじまりの猟兵の視界は紅蓮で塞がれ、その向こうから鉛が襲い掛かる。
鬨の如き響きが戦場に木霊した。
砲弾が炸裂し、木々も泥も、人だったモノの吹き飛んでいく。
普通の人間ならここで勝利を確信するだろう。
しかしスージーは敢えて炎の中に飛び込んだ。
窮鼠が猫を噛むような一撃、ユーベルコードを警戒するが故の徹底攻撃からの突撃。
堅実且つ丹念にすり潰す兵道の常道。
「教えろよその罪、その真、その涯を」
悪を断ち、正義を繋ぐ碇とならん凶刃片手にスージーは問う。
「このスージー・ブラックアイドが紙芝居にして語ってやらア!」
「でも、この炎ですと紙芝居も燃えてしまいますね」
視界に見えるのは深淵の如き銃口。
そこに立つのは爆発で片腕を失ったはじまりの猟兵が闇で腕に縛り付けた一丁のライフル。
「!!」
「!!」
互いの覚悟が碇を振り下ろし、小銃の引鉄を引く。
|キューソネコカミ《はじまりのユーベルコード》
肉が避ける音、火薬が弾ける音、鼻につく硝煙、粘つく赤。
そして倒れゆく二人。
全てが混ざり合った結果、はじまりの猟兵は最初の死を遂げた。
成功
🔵🔵🔴
バルタン・ノーヴェ
アドリブ連携歓迎
はじまり殿は優秀な猟兵でありますな!
自分のパフォーマンスを把握してできる手段を最大限に活かすとは、古強者デース!
なので油断せず、容赦なく。遠慮することなく全力で殺りに参りマース!
「六式武装展開、炎の番!」
つまるところ圧倒的な暴力!
はじまり殿が潜む森林を丸ごと焼きマース!
強敵相手に環境配慮はできマセーン!
火を強行突破してくれれば粘着性の炎でこんがりできマスガ、そう簡単に行かずに対処してくることを予測してスタンバイ!
逃走経路を一つだけ残しておくことで動きを誘導し、火に紛れて奇襲を仕掛けマース!
この炎は任意に消去可能なのでワタシや味方は突破できる訳デスネ!
ダブルファルシオンアタック!
●炎は続く、死に果てるまで
次に赤が森を侵食した。
またしても炎だ、だがこの粘性は違う。
はじまりの猟兵の経験と嗅覚が働く。
おそらくは|油脂性焼夷燃料《ナパーム》……水では消えない「やっちゃいけない使い方」ができる武器だ。
「はじまり殿は優秀な猟兵でありますな!」
バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)が内蔵している火炎放射器を振りまわす。
「自分のパフォーマンスを把握してできる手段を最大限に活かすとは、古強者デース!」
ナフサが次々と木々に纏いつき、焼く。
「なので油断せず、容赦なく。遠慮することなく全力で殺りに参りマース!」
バルタンもやはり古強者、だからこそ丹念に炎をまき散らす。
|火炎放射器《Flammeværfer》
六式武装から展開された炎が圧倒的な暴力を見せつけていた。
「環境配慮もなにもありませんね!」
ポテトマッシャーを思わせる手榴弾を放り投げ、爆風で吹き飛んだ炎の間隙をはじまりの猟兵が走る。
一度死に、失った肉体は闇によってまた形作られている。
それほどまでに残滓は強い。
だからこそ、炎の檻を抜けたオブリビオンは泥濘の大地を転がり泥まみれになりながらライフルを構えた。
「――いませんね」
当然のことだろう。
あの炎の中、バルタンの姿をはじまりの猟兵が見つけるのは至難に等しい。
勿論、それはオブリビオンの側も同じ。
紅蓮の檻は決して見通しの良いもので無かったのだから。
そう……都合よく薄い個所があることを除き。
「スミマセーン! 強敵相手に環境配慮はできませんデシタ!」
炎の中から赤を纏ったノーヴェが飛び込んできたのはその時であった。
誘導された!?
はじまりの猟兵はバルタン・ノーヴェの罠に気づいた。
火炎放射も薄い個所も罠。
全てはこの場所、この一瞬にバルタンは賭けていたのだ。
自身のユーベルコードだからこそ、炎を消去できる。
最短距離で二つのファルシオンを振るう六番目の猟兵にオブリビオンはライフルを構える。
|ストライク・イェーガー《はじまりのユーベルコード》
機械が如き半自動で攻撃し続けるライフル。
その弾丸に孔を穿たれつつもメイド姿の猟兵が一歩踏み込んだ。
はじまりの猟兵の背中より刃が生える。
少女が崩れ落ち、そしてバルタン・ノーヴェが一人戦場に立っていた。
炎、未だ、残る中。
はじまりの猟兵は二度目の死を迎えた。
成功
🔵🔵🔴
オリヴィア・ローゼンタール
私たちは力、彼女は技、それぞれを極限まで高めている
ならば、勝敗を分けるのはただ一つ……【気合い】だッ!!
全身に【覇気】を漲らせ、狙うのは真っ向勝負
極まった【集中力】と研ぎ澄まされた【第六感】からなる【心眼】で、超高速連続攻撃を【見切る】
超絶技巧の極致、殺戮の躱し切ることは不可能
しかし弾丸に身体を穿たれようと【根性】で堪え、鎖を【怪力】で引き千切り、道を【こじ開け】、じりじりと距離を詰める
それを為すは精神論(覚悟・負けん気)、即ち【因果超越・永劫の勇士】による【限界突破】を越えた【限界突破】
渾身の力を【振り絞り】、全身全霊の突きを放つ!(串刺し・ランスチャージ)
●力と技と覚悟の向こうに
ランスと銃剣がぶつかり合う。
オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)の覇気漲るの一撃を黒髪の少女がいなす。直後、銀髪の女の顔に樫材の銃床が叩き込まれた。
そして流れるように放たれる闇を纏いし鎖。
はじまりの猟兵がライフルの引鉄を引けば、銃声一つ雪原に響いた……。
「私たちは力」
銃撃を根性で耐え抜きオリヴィアは唇を動かす。
少女は技。
それぞれを極限まで高めている。
ならば――勝敗を分けるのはただ一つ。
「気合いだ!」
鎖を引き寄せ、女の膝がはじまりの猟兵の顔面にめり込んだ。
たたらを踏む少女。
すぐにクルースニクがランスを構えれば、踊るようにステップを踏みオブリビオンは全てを武器を解き放つ。
|プログラムド・ジェノサイド《はじまりのユーベルコード》
脳にプログラムのように刻んだ超高速攻撃がオリヴィアを襲い、対する銀髪の女は精神を研ぎ澄ます。
オリヴィアは言った。
勝負を分けるのは気合いだと。
それは猪武者のような勢いというわけではない。
極まった集中力と研ぎ澄まされた第六感、これが敵の攻撃の軌道を仮想する――すなわち心眼を持って、見切るのだ。
はじまりの猟兵と第六の猟兵がすれ違い、少女を勢いを殺せず、女はランスを構える。
そう――ここしかないのだ!
勝利のチャンスは。
オリヴィアが駆け出す。
既に限界は突破している、ならばそれ以上を今は引き出すだけ!
|因果超越・永劫の勇士《Ascension Einferia》
踏み込みは音がしなかった……いや、遅れて音が響いた。
最早それは突撃やランスチャージといった甘いものではなく、ただ一つの一撃。
「――喰らえぇえええええっ!!」
渾身のランスがはじまりの猟兵を貫いた時、衝撃を少女の胴体が吹き飛び、上半身は二度三度とバウンドし、下半身はその場に崩れ落ちた。
オリヴィアが膝を着く、息は荒く、痛みは熱のように襲う。
それでも視界に入った骸を前に祈るのだけは怠らなかった。
見守られ、はじまりの猟兵は三度目の死を迎えた。
成功
🔵🔵🔴
御鏡・幸四郎
あまり時間はかけられませんが、
戦いながら彼女に言葉をかけて人となりを観察します。
オブリビオンとしての性質があると言っても、
基本的な人格は変わらないでしょう。
ブラフを応酬しながら、思考パターンを読み取ります。
たった一人で、ずっと私たちを待っていた彼女は、
真摯で忍耐強く聡明ながら、
普通の少女らしい感性も持ち合わせている。
心中彼女への畏敬の念を抱きますが、それはおくびにも出しません。
狙いは『キューソネコカミ』。
UC発動に入る瞬間を推測。3倍増しの回避力でライフル弾を躱し、
流れるようにガンナイフを全弾撃ち込みます。
即死するかもしれないのに、怖くなかったのか?
大丈夫です。材料は揃っていましたから。
●畏敬を以って
炎が収まり、深き森に再び静寂が起きた時。
そこに立つのは男と女。
(あまり時間はかけられませんね)
御鏡・幸四郎(菓子職人は推理する・f35892)は思考の迷路に沈み込む。
それは観察であり、情報の蓄積。
「もうちょっとこう……お亡くなりになる前に物的証拠を用意とかできなかったんでしょうか?」
「いくつか考えたんですがなんか壊れたかどこかへ行ったみたいで、上手く行きませんね」
幸四郎の言葉にはじまりの猟兵は苦笑しつつ答える。
明らかにブラフだ。
今の少女なら欺瞞情報を教えて他の戦場へと誘導していくだろう。
それがオブリビオンの性であり。
……はじまりの猟兵の性分であった。
「でしょうね」
幸四郎も笑みを隠せなかった。
勿論これも嘘の笑み。
戦いはもう始まっていた。
銃火ではない、思考の探り合いという名の見えない詰将棋が。
「そういえば、ずっと一人と聞いておりましたが」
「貴方にはそう思えますか?」
探偵騎士の言葉に少女は問い返す。
予兆とは違う言葉、真実に誘導しようとしつつ隠したナイフを刺してくるだろうかそれとも……。
「他に誰もいませんもの」
「そうですよねー」
自分の言葉に対してはじまりの傭兵が笑う姿をみて、幸四郎は何とも言えない表情を浮かべた。
こうやって少女は小さな方に大きなものを背負って生き抜いたのだろう。
ならばと六番目の猟兵は彼女の為にオックスフォードシューズの爪先を曲げる決意をした。
――革靴の爪先に皺が走ることは相手への礼節を意味するのだから。
男がガンナイフのホルスターに手をかけ、女はライフルを構える。
もう言葉は要らない。
互いに観察は終わっている。
後はどちらがそれを活かし、チェックメイトへとつなげるかだ。
長い沈黙。
口を開くのは木々と寒さと伴う風と雪の大地のみ。
そして新たな客人がこの沈黙の会話に紛れ込む。
最初に放たれたのは御鏡のガンナイフの弾だった。
空気を切り裂く鼓動が二人の間に伝わる中、はじまりの猟兵はゆっくりと引鉄を引く。
|キューソネコカミ《はじまりのユーベルコード》
自らの危機と引きかえに殺傷力が増す一撃を少女は放ち、同時に肩を撃ち抜かれる。
これで良いのだ、ギリギリのチキンレース。
ギャンブルに近い戦いの中、繰り出すユーべコードは確実に目の前の男を殺すに至るだろう。
そうやって寿命まで生き残ってきたのだから……。
だが、帰って来たのは五発の銃声だった。
|Detective recipe《スイリノレシピ》
観察情報から得られる行動推理。
はじまりの猟兵のユーベルコードを予測した場合の御鏡・幸四郎は通常の三倍の回避力を得て窮鼠が猫を噛むが如きの逆転の一手を躱し、撃ち込む。
二発、三発、四発、五発。
四肢、心臓、そして仮面を撃ち抜いた詠唱兵器の弾丸は少女を雪のキャンバスへと横たえさせた。
怖くは無かった、材料はそろっていたのだから。
死と隣り合わせの青春を過ごした男はたむけたのは四つ目の死であった。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
俺達は『はじまりの猟兵』をオブリビオンから守る為にここまできた筈だが
なんだってその守る対象と戦う事になっているんだ……いや、事情は理解したけれど
神刀の封印を解除。神気によって身体能力を強化
銃器相手に接近するのは難しい
故に、廻・肆の秘剣【黒衝閃】で行く。まずは各地に刀傷を刻んでいくところから
だが、俺が距離を詰めようとしないならそれも怪しい
時折、真正面から近付く動きも混ぜる事で目的を偽装し、そして技の範囲から離脱されないように誘導
此方が防戦をしている以上、敵の射撃による即死率はそう高くない筈……そう信じる
準備ができたらUCを発動。神気の噴出で攻撃すると共にそれを目眩ましに接近。一撃加えにいく
●終わりは傷跡と共に
深き森の中から一人の男が現れる。
白に筆を塗られた様に横たわっていた女もそれに応えるように立ちあがった。
「俺達は『はじまりの猟兵』をオブリビオンから守る為にここまできた筈だが」
夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は戸惑いを隠せない。
「なんだってその守る対象と戦う事になっているんだ……いや、事情は理解したけれど」
「では、嘘の情報をお渡ししましょうか?」
鏡介の言葉に少女が返した。
「いや、それは困る」
「そうですよねー」
男の拒絶に女も頷く。
「だから、全力で倒してきてくださいね」
それがはじまりの猟兵の願いであり。
それが分かっているからこそ鏡介は神刀の封印を解き放った。
神気が鏡介の身を纏い、身体能力を引き上げる。
構えるは下段。
文字通り大地を切りながら距離を詰めると切り上げ一閃。
はじまりの猟兵が小銃の先に取り付けた銃剣で軌道を逸らし、一歩踏み込めば返礼の銃床打撃。
男が伏せて足元を薙ぎ払わんとすれば切っ先は土にめり込み。鼓膜を火薬が吼えが叩く。
咄嗟に鏡介が飛んだ直後に銃弾が大地を穿つ。
雪面を転がりながら六番目の猟兵が刀を突きたてて立ちあがると、はじまりの猟兵はライフルの引鉄を引き、咄嗟の斬鉄にて男は死を免れた。
いつの間にか、はじまりの地に音が無くなっていた。
互いのぶつかり合う音を除いて。
大地を踏む音、息遣いの吐息、甲高く響く金属の合唱、空気を切り裂く銃弾の打鐘。
はじまりの地ではじまった、はじまりの猟兵の詩はそろそろ終わりに近づく時が来た。
互いに間合いを取る。
男と女、二人の周りを彩るのは大地に刻まれた無数の刀傷、そして鮮やかな紅。
ここで六番目の猟兵は初めて刀を正眼に構え、それに気づいたはじまりの猟兵は銃床を肩につがえた。
時が――来た。
先に動くのは夜刀神・鏡介。
大地に神刀を突き刺した直後、地を穿つ程の勢いで噴出した黒の神気の中を走る。
|廻・肆の秘剣【黒衝閃】《カイ・シノヒケン・コクショウセン》
対するはじまりの猟兵は黒の奔流の中、必死に足を踏ん張り、引鉄に指をかける。
ただ、ただ……鏡介の刀が迫るその時まで。
二人の視線が合った時、鳴った銃声は一つ。
|キューソネコカミ《おわりのユーベルコード》
螺旋を描く鉛が空を貫き、雪原の白は赤に染まる。
黒の神気も闇も消え、立つのは男、倒れるのは女。
死線の末、はじまりの猟兵は五度……いや、本来の死を加えると六度の死を迎え、戦う意味を終える。
時代はもう、第六の猟兵の手に移ったのだから。
大成功
🔵🔵🔵