獣人世界大戦⑳〜対決、闇より生まれし怪物
●はじまりの場所へ
「いよいよこの戦いも大詰めの第三戦線まで来たわね……みんな、最後まで気を抜かずにね。それじゃ、ブリーフィングを始めるとしましょう」
アヤカ・ホワイトケープ(ロストイノセント・f00740)は集まった猟兵達を前すると、早速任務の説明を行う。
「今回はみんなの奮戦もあって遂にその道が開かれた『はじまりの場所』、そこへ向かってもらう事になるわ」
そうアヤカが地図で指し示した場所は、シベリアの奥地の深き森であった。
……そこで、はじまりの猟兵は|第六の猟兵達《君達》を待っている。
だが、彼女の既に寿命は尽き、|世界の敵《オブリビオン》となってしまった。
それ故、彼女は完膚なきまでに倒された時のみしか真実を語る事が出来ないらしく、敢えて第六の猟兵に戦いを挑んでくるとの事である。
「そんな訳で、情報を聞き出すには戦って倒すしかない訳だけど……わたしが見た予知では思わぬイレギュラーが発生するようなの」
そのイレギュラーとは、はじまりの猟兵を包む膨大なる闇が彼女の意志を無視し『怪物』を生み出すそうだ。
しかもその怪物は『戦場にいる猟兵達の真の姿を更に歪めた』ような禍々しき形状で、例えるならば異形化した自分自身のような物……とでも言うべきだろうか。
まさしくイレギュラー的な存在だ。
「この異常事態を受けて、はじまりの猟兵はみんなと共闘して怪物を撃退しようとするわ。さすがにこの状態になってしまうと、戦うどころの話じゃないって事なのかしら?」
どうやら『怪物を生み出す闇』は、はじまりの猟兵のエネルギー源でもあるようで猟兵達との共闘を終えた彼女は消滅するそうだ。
彼女と戦うのではなく共闘する事で、結果的に倒されるとでも言えばいいのだろうか?
「異形の怪物に変化した、自分自身のような物と戦うのは色々な意味でやりにくいと思うけど……それでも、闇を払う事がはじまりの猟兵を救う事にも繋がるわ。彼女と共に戦って、自分自身に打ち勝ってきて。それじゃ、みんなに幸運を……!」
その言葉でブリーフィングを〆ると、アヤカはグリモアを展開。
はじまりの場所へと通じるゲートを開くのであった。
NS
はいどうも、|NS《えぬえす》でございます。
大戦もいよいよ後半戦ですね。目指せ完全勝利!
戦争シナリオ四本目、今回もどうぞよろしくお願いします。
●目的
はじまりの猟兵と共に戦い、彼女が纏う闇から生まれた怪物を倒す。
プレイングボーナス:「はじまりの猟兵」と共闘する/自身の「闇の真の姿」を描写し、それに打ち勝つ。
ボス戦ですが上記の通り、はじまりの猟兵と共闘と言う形のリプレイになります。
敵として戦う事になるのは参加者の皆様の真の姿……が、異形化した物です。
実質、自分自身と戦う事になるため『戦闘能力や行使するユーベルコードはほぼ同じ物』と考えて下さい。
プレイングには『どのような真の姿をしているか』も忘れずお願いします。
内容が分からない場合は異形化した参加者様の姿と言う描写になります。
もしイェーガーカードで真の姿を複数お持ちの方は、どれかを指定していただけるとリプレイ描写が少しだけやりやすくなって助かります。
とは言え、異形化しているのは変わりませんが……。
●ご注意
プレイング受付開始は『OP承認後、導入部を書いた後から』になります。
プレイングをお送りする際にはそれ以降でお願いします。
戦争シナリオは戦況にも影響するため、早期完結を目標としております。
そのため、リプレイは出来るだけ早めにお返し出来ればと思います。
また、クリアに必要な人数が集まり次第プレイング受付を締め切る方針です。
その際には『プレイング受付〆切』とタグに表記します。
受付〆切後に来たプレイングは基本的に対応出来ませんので、予めご了承下さい。
それでは、はじまりの猟兵と共に闇から生まれた自分自身に打ち勝って下さい。
第1章 ボス戦
『はじまりの猟兵』
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POW : ストライク・イェーガー
レベルm半径内の対象全員を、装備した【ライフル】で自動的に攻撃し続ける。装備部位を他の目的に使うと解除。
SPD : プログラムド・ジェノサイド
【予め脳にプログラムしていた連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : キューソネコカミ
【ライフル】が命中した敵を一定確率で即死させる。即死率は、負傷や射程等で自身が不利な状況にある程上昇する。
イラスト:hoi
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●奇妙な共闘
「……六番目の猟兵!! 待っていました。ずっと、待っていました!」
猟兵達がゲートを抜け、はじまりの地へと足を踏み入れると、溢れ出した闇の中に一人の少女が現れる。
彼女こそが『はじまりの猟兵』。
オブリビオンの侵略から助けを求める声に応じ、深い森より現れた勇敢な獣人だ。
獣人戦線の獣人達にユーベルコードを与え、異世界からの侵略者に対抗する力を与えたとされる存在……それが今、目の前に!
「今すぐにでも二番目から五番目の猟兵について、皆さんにお伝えしたいのですが……今のわたしは|世界の敵《オブリビオン》と化してしまいました。だから……えっ?」
わたしと戦ってください。
そう口にする前に、彼女を包む闇が突如として何かを生み出す。
話に聞いていたイレギュラーが来たようだ。
「な、これは皆さんの……!? けど、そう呼ぶにはあまりにも……一体何が!?」
闇より現れた物を目にし、はじまりの猟兵が慌て出す。
どうやらこの事態は予想外だったようだが、すぐにやるべき事を思い出したのか彼女は猟兵達に告げる。
「……すみません、急なお願いになってしまいますが……わたしと一緒に、戦って下さい! この闇はわたしのエネルギー源でもあります。それを断つ事が出来れば!」
ですが、わたしは最も古き者、弱いので戦闘力には期待しないで下さいね!
そう警告すると、彼女は猟兵達の側へと付く。
はじまりの猟兵はその名の通り最初期の猟兵であるため、最新の能力や戦術を修得した六番目の猟兵よりも戦闘力は大きく劣る。
だが、自身の修得したユーベルコードと高水準まで鍛え上げた戦闘技能が、彼女自身の戦力の低さをカバーしてくれる事から、足を引っ張る心配はまずないだろう。
本来なら敵として戦うはずであった、はじまりの猟兵との共闘。
イレギュラーが起こした奇妙な縁と共に、闇より生まれた怪物に立ち向かうのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
了解致しました、参りますぅ。
「闇の真の姿」は『神話風衣装を纏い、大幅に発育が進んだ姿』を基本に、色遣いが黒主体、各『祭器』も黒色に染まっている様で。
『FLS』により|全『祭器』《未装備含》を召喚後、【綰閒】を発動し体内に収め、全機能を『身体能力』として扱える状態にしますねぇ。
お互いに『FPS』による探査と『相手の探査妨害』を行う状況、これに私の交戦傾向を合わせますと「牽制&探り合い」となる可能性が高いですぅ。
そうして「お互いの動きの癖」をはじまりの猟兵さんに見せれば、彼女の技量故に間隙を狙っての横槍を入れてくれるでしょうから、そこで全『祭器』を集中、一気に叩きますねぇ。
●間隙の一撃
「了解致しました、参りますぅ」
今までにない相手と戦う事になった夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は普段よりも真剣な面持ちで、闇が生み出した怪物……闇の真の姿と相対する。
その姿は黒い神話風衣装を纏い、今のるこるより大幅に発育が進んでいる物であった。
これまで猟兵として様々な敵と戦ってきた訳だが、異形と化した自分自身(を模した物)とやり合うのはおそらく初めてだろう。
「わたしには最低限の援護しか出来ませんが精一杯……えっ、何か出してきて……」
はじまりの猟兵がライフルを構えようとした時、るこるの闇の真の姿が黒に染まった祭器を展開する。
相手は猟兵自身を模した物であるがためか、主な戦い方も元のるこると同じく祭器主体で戦うつもりらしい。
「……なるほど、考える事は私と同じと言う訳ですねぇ」
「あ、あれは一体なんですか!? 何か色々な物が出てきましたけど!」
未知の装備を目にして、はじまりの猟兵が一体何事かと慌てた様子で尋ねる。
彼女は本能的に、何か危険な物だと認識しているようだ。
「うーん、簡単に言えば便利な武器とか道具のような物……でしょうか?」
「そんな物が……第六の猟兵は進んでいるのですね……」
「あの相手は私が引き受けますので、はじまりの猟兵さんは隙を見て何かしらの援護をお願い出来ればと」
驚くはじまりの猟兵にそう告げると、るこるは一歩前に出る。
おそらく狙いは自分自身、彼女を巻き込む訳にもいかない。
るこると闇の真の姿の戦いが始まると、まずはるこるが祭器『FLS』で全ての祭器を召喚し『|豊乳女神の加護・綰閒《チチガミサマノカゴ・レンカンノケイコク》』を発動。
祭器を体内に収め、全機能を『身体能力』として扱える状態にした上で戦闘を開始する。
それを見た闇の真の姿は何かの異常を感じ取ったのか、探査などに使用する涙滴型の水晶・祭器『FPS』で探査を行おうとする。
「やはりそう来ますか。情報収集は戦いの基本、ですからねぇ」
一方でるこるは同じく『FPS』で相手の探査を妨害。
情報収集をさせまいと動く。
このまま探査と妨害合戦がいつまでも続いては埒が明かないと思ったか、闇の真の姿は祭器による牽制攻撃を行い、軽く様子見に走る。
「まるで私自身と戦っているようで、変な感じですぅ……」
行動が見透かされているような感覚を覚えたか、るこるは少し渋い顔をしつつも綰閒で取り込んだ祭器を生体化する事で反撃牽制しつつ、互いに腹の探り合いをしていく。
共に一進一退の攻防を繰り広げ、一見すればはじまりの猟兵が介入する隙など全くないようにも思えたが、はじまりの猟兵はるこると闇の真の姿との戦いぶりを一挙一動、真剣に観察している。
おそらく、お互いの動きの癖から生じる隙を見て仕掛けてくれるに違いない。
……そして、そのチャンスはすぐに来た。
「そこっ!」
相手が牽制からの一撃を狙わんとした時、横槍のストライク・イェーガーによるライフル連射を絶妙なタイミングで放つ。
一瞬の隙を突いた攻撃を受け、闇の真の姿の意識がはじまりの猟兵へと向けられる。
狙いはるこるから……逸れた!
「……いただきですぅ!」
そしてそのチャンスを待っていたとばかりに、るこるが全祭器を集中。
攻撃力を五倍にした上で最大の一撃を叩き込むと、一瞬はじまりの猟兵へと意識が逸れた事もあってか、攻撃を躱す間もなく直撃を受け、るこるの闇の真の姿は消滅したのであった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
真の姿:真の姿全身参照
二対の翼に赤と銀の目
外せない天竺葵の足枷
12歳程度の幼い容姿
感情の起伏に乏しい性格
真の姿を澪は知らず、無意識に恐怖する対象
(嫌な記憶や感情の澪が忘れた部分を知っているため、忘れたいが正確)
―――
無意識に手が震える
あの異形が怖い
…どうして?
わからない、けど…
猟兵さんと連携
僕は対銃器は苦手
オーラで身を守る以外は逃げるしか無い
僕もオーラ防御を纏いつつ空中戦
指定UCに破魔、破邪を乗せる
同じ技を撃たれても僕に破魔は効かないし
火傷は耐える
相手が闇なら、きっと
炎鳥達に四方八方から攻撃させ動きを制限
破魔を乗せた光魔法の属性攻撃で防御の破壊+目晦まし
そこに猟兵さんのUCを叩き込んでほしい
●恐怖に立ち向かえ
「あの異形が怖い……どうして? わからない、けど……」
はじまりの場所へと足を踏み入れた栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が自身の闇の真の姿を目にした途端、無意識に手が震え出す。
本能的な恐怖と言う物を感じたのだろうか?
その姿は二対の翼に赤と銀の目、外せない天竺葵の足枷、年齢は12歳程度の幼い容姿。
そして感情の起伏に乏しいような表情であった。
己自身の真の姿を知らず、無意識に恐怖する対象であるが故に澪は思わず怖いと口にしてしまったのか。
「あ、あの……大丈夫ですか?」
そんな澪の様子を見たはじまりの猟兵が、彼を気遣うように言葉をかける。
無意識の恐怖に打ち震えているのを目にして、共に戦えるかどうかと不安に思ったのだろう。
「大丈夫……僕は、大丈夫」
自分を見失わないよう、澪は自らに言い聞かせるように答える。
猟兵の真実を知るためには、異形化した闇の真の姿に戦って勝つしかない。
例えそれが本能的に恐怖を覚える存在であっても、だ。
「うん、行こう。僕がなんとかやってみるから、上手く援護してもらえると助かるかな」
「……分かりました、わたしも出来る限りの事はやってみます」
何かしらの覚悟を決めて澪ははじまりの猟兵に連携の旨を伝えると、背中の翼を羽ばたかせて飛び立った。
今こそ恐怖と向き合い、戦うべき時だ。
「鳥たちよ……」
闇の真の姿との戦いが始まると、澪はオーラ防御を纏いつつ空中戦を挑み、『|浄化と祝福《ピュリフィカシオン・エト・ベネディクション》』で鳥の姿を模した飛翔する炎に破邪と破魔の力を乗せて放つ。
闇を切り裂くかのように炎の鳥が舞うと、そのまま異形化した自分自身へ向けて、次々と襲い掛かる。
その直後、向こうも澪と同じようにオーラ防御を展開。
飛び交う炎の鳥の襲来を防いでいく。
(やっぱり考える事は同じ……だとすれば)
澪が相手の行動パターンを予測した次の瞬間、闇の真の姿も反撃として同じく『|浄化と祝福《ピュリフィカシオン・エト・ベネディクション》』を放つ。
おそらくこの攻撃にも破邪と破魔の力が乗せられているに違いない。
「来た……! く、熱っ……!」
予想通り、澪への反撃で放たれた炎の鳥には破魔の力が乗っていたが、彼は邪悪なる者ではないため効果はないも同然。
しかし炎のダメージまでは無視出来なかったか、高熱に思わず顔を歪めつつも必死にオーラ防御を全開にして耐え凌ぐ。
「相手が闇なら、きっとこの手が使えるはず……」
それから少しの間、双方とも炎の鳥による応酬が続く中で澪は勝負に出た。
炎の鳥達をコントロールして四方八方から攻撃させて動きを制限、そこから破魔を乗せた光魔法の属性攻撃でオーラ防御の破壊と目晦ましを試みる。
元より闇から生まれし存在であるが故に、破魔の力で闇のオーラ防御を破壊し、眩い閃光が相手の目を焼くと、澪の闇の真の姿の体勢が大きく崩れた。
……そこへ一発のライフルの銃声が鳴り響く。
はじまりの猟兵がこのタイミングを狙い、キューソネコカミによる遠距離狙撃を一発で決めたようだ。
この狙撃で頭を撃ち抜かれた事が致命傷となったか、澪の闇の真の姿は体が一気に崩壊し、そのまま消滅していった。
「あの異形が消える瞬間、僕に何かを言おうとしていたようにも見えたけど……」
そして戦いの後、澪は一人呟く。
……一体あの怪物は、最後に自分へ何を伝えようとしていたのだろうか?
その答えは、分からない。
大成功
🔵🔵🔵
グラディス・プロトワン
アドリブ歓迎
俺を模倣するとはどういうつもりなのか
体の内側に何か生物的なものが詰め込まれて装甲ごと肥大化しているような不気味さがある
装甲内に収まりきらなかったモノが触手のように蠢き、全ての生命を喰らい尽くそうとしているような禍々しさを感じる
考えたくはないが、まるで俺の本性が具現化して暴走しているようだ
だが戦うのは俺一人ではない
はじまりの猟兵にはライフルでの援護射撃を頼もう
俺が接近戦を、彼女が遠距離でのサポートと分担すれば勝機はあるかもしれない
奴に接近戦を挑むのは正直危険だろう
闇のエネルギーの味に興味はあるが、もし奴に捕まってしまえば恐らく…
その時は俺が喰い尽くされる前に援護して欲しいところだ
●はじまりと、第六と
「俺を模倣するとはどういうつもりなのか」
異形化した自分自身を前に、グラディス・プロトワン(黒の機甲騎士・f16655)は少しばかり困惑した様子であった。
グラディスの闇の真の姿は体の内側に何か生物的な物が詰め込まれ、装甲ごと肥大化しているような姿で、装甲内に収まりきらなかったモノが触手のように蠢き、全ての生命を喰らい尽くそうとしているような禍々しさすらも感じられる。
「考えたくはないが、まるで俺の本性が具現化して暴走しているようだ」
敵だけでなく、味方のエネルギーや生命力まで奪うエネルギー吸収機構を備えている彼だからこそ、このような異形のモノとなって具現化したのだろう。
そう言った意味では、この姿にも幾分か納得出来なくもないと言った様子である。
「わ、わたしもこうなる事は予想外で……その、色々とすみません……」
一方でその怪物を生み出す大元となってしまった、はじまりの猟兵が申し訳なさそうにグラディスに言う。
この闇を払えば結果的に彼女を救う事になるとは言え、違う意味で迷惑をかけてしまったとも思っているのだろう。
「気にするな、倒さねばならない相手が変わっただけの話だ」
グラディスははじまりの猟兵にそう返した。
どんな状況であれ、倒すべき敵は倒すのみ……それが第六の猟兵の仕事なのだ。
「さて、共に戦ってくれると言う話だったが……見たところ、ライフルを持っているようだな。それならば援護射撃を頼めるか?」
「分かりました。わたしは正直弱いですが、全力でやらせてもらいますね」
グラディスがはじまりの猟兵に援護を要請すると、彼女はそれに頷き同意する。
「では任せたぞ」
その言葉の後、グラディスは自身の闇の真の姿へ向けて急接近。
接近戦を挑むつもりのようだ。
だが先にも説明した通り、彼はエネルギー吸収機構を備えている。
そしてそれは相手にとっても同じ事であり……
(奴に接近戦を挑むのは正直危険だろう。闇のエネルギーの味に興味はあるが、もし奴に捕まってしまえば恐らく……)
喰われてしまうのは自分だ。
そうならないためにも、援護担当のはじまりの猟兵がどれだけやってくれるか……それに尽きると言う訳である。
「俺の模倣を喰らうと言うのも複雑な気分だが、やらせてもらうぞ」
一気に至近距離にまで近付いたグラディスは『スターヴィング・スクウィーズ』で相手を拘束グラップルすると、超至近距離エネルギー吸収攻撃を敢行。
相手も同じくスターヴィング・スクウィーズで掴み返し、同じくエネルギー吸収を行う事で対抗する。
「フ、ハハッ……これが闇のエネルギーの味か! 存外悪くはない……ッ!」
双方のエネルギーを喰い合うと言う奇妙な光景が繰り広げられる中、初めて味わうであろうエネルギーの味にグラディスが思わず笑う。
だがエネルギー吸収力は向こうの方が上なのか、少しずつだが彼自身のエネルギーが枯渇しつつあった。
このままでは危険だ。
……そこへライフルの絶え間ない連射音が戦場に鳴り響く。
はじまりの猟兵がプログラムド・ジェノサイドで闇の真の姿へ向け超高速連続射撃を行い、グラディスを援護する。
放たれた無数の銃弾が異形化した装甲の内側から溢れる触手めいた物を次々と撃ち抜き、相手の生命力吸収力を低下させる事でグラディスを次第に優位へと立たせていき……
「ふむ、的確な援護だ。ならば最後まで……いただくぞ」
最終的にグラディスが自身の闇の真の姿をそのまま喰らい尽くし、消滅させた。
仮にはじまりの猟兵の援護がなければ、逆に彼が喰われていた事だろう。
大成功
🔵🔵🔵
ルルティア・サーゲイト
妾のオリジナルは恐らく、はじまりの世界に居る筈なんじゃが。
「まー、出てくるのはどうせ最後じゃろう」
妾の真の姿は混獣、つまりヒトに化け物の要素が加わった存在じゃ。元より異形化しているのではあって、あっちの方が純粋なパワーは優る。
「しかし、元々は尻尾一本のみ。ストライダーの狂戦士こそが違う意味で真の姿とは言えよう」
猟兵始めてから混獣の力使い放題じゃったが、たまには初心に帰るとしよう。
「どんな相手であろうとも、一太刀当てられるなら十分よ」
重心の位置が妙な所にあるこの大鎌一刀流を真に使いこなせるのは余計な物が無い今の姿じゃ。
「数多の世界を渡り歩いた戦闘経験。模倣して使いこなせる物であるものか」
●経験は力にも勝る
はじまりの猟兵を取り巻く闇が異形化した猟兵の真の姿を生み出す。
ルルティア・サーゲイト(はかなき凶殲姫・f03155)を模倣した闇の真の姿は混獣……つまりはヒトに化け物の要素が加わった存在だ。
それが異形化した事で、ますます怪物と呼ぶに相応しい外見をしていると言えよう。
「むう、これが妾の闇の真の姿とやらか。オリジナルは恐らく、はじまりの世界に居る筈なんじゃが」
ルルティアは一人、自身の闇の真の姿を見てどこか複雑な表情を浮かべる。
はじまりの世界とは、まだ観測されていない世界の事を指しているのだろう。
「まー、出てくるのはどうせ最後じゃろう」
「出て……くる? 一体何の話です……?」
「ん、こっちの話じゃ。気にするな」
はじまりの猟兵の問いかけを軽く流しつつ、ルルティアは倒すべき敵へと意識を向ける。
相手が異形化している以上、パワーは彼女よりも明らかに上なはずだ。
「しかし、元々は尻尾一本のみ。ストライダーの狂戦士こそが違う意味で真の姿とは言えよう」
「ですが、なかなかに強そうな相手です……やれるのでしょうか?」
「なに、勝てぬ相手ではないさ」
と、ルルティアは身の丈以上の大きさを持つ巨大鎌『凶鳥の翼』を構える。
威圧感すら覚える怪物を前にしても、一切取り乱す様子は一切見られない辺り、彼女は相当な強者である事が窺えるだろう。
「確か援護をしてくれると言う話じゃったが、そこは適当にやってもらって構わん」
「え、適当にって……」
「妾の邪魔をしなければいいと言うだけの話じゃ。では、行くとするかのう」
困惑するはじまりの猟兵を尻目に、ルルティアは討つべき敵――自身の闇の真の姿へと向けて駆け出した。
「さて、妾の模倣体はどんな物か見せてもらうとしよう」
凶鳥の翼を大きく振りかぶり、まずは様子見とばかりに先制攻撃を仕掛ける。
ルルティアの攻撃に対し、闇の真の姿は体の一部を刃に変化させ易々と受け止めると同時に、猛烈なパワーで瞬時に押し返す。
「なるほど、これは確かに力は相当な物のようじゃのう」
予想通り、自身よりも力に優れている事が初手の攻撃で分かり、ルルティアがニヤリと笑う。
先の攻撃が押し返された直後、今度は闇の真の姿が飛び出すようにしてルルティアに肉薄すると、刃と化した体の一部を次々と振り回して反撃に移る。
この激しい猛攻、少しでも喰らってしまえば体の一部など易々と斬り飛ばされてしまう事だろう。
「これは油断したら妾がやられてしまうな。じゃが、どんな相手であろうとも、一太刀当てられるなら十分よ」
相手からの攻撃に対しルルティアは『|熟練の多世界同位体《ジュクレンノタセカイドウイタイ》』を発動すると、まるで攻撃の軌道が見えているかのように次々と躱していく。
「数多の世界を渡り歩いた戦闘経験。模倣して使いこなせる物であるものか」
相手の猛攻を何度となく避けた後、ここ一番のタイミングで反撃として凶鳥の翼を横薙ぎに振るうと、闇の真の姿がバッサリと両断される。
重心の位置が妙なところにある、この大鎌一刀流を真に使いこなせるのは余計な物が無いルルティアの今の姿だ。
いくら自身の模倣体とは言え、同じユーベルコードは使えたとしても戦闘経験そのものまではコピーする事は出来なかったようである。
「……うむ、こんな物かのう。猟兵始めてから混獣の力使い放題じゃったが、たまには初心に帰るのも悪くないのう」
ルルティアは自らの戦いぶりに満足げな表情を浮かべる。
その一方で、全く出番すらなかったはじまりの猟兵は、ただただ唖然としていた。
これが第六の猟兵の力なのか、と。
大成功
🔵🔵🔵
鳥羽・白夜
闇の真の姿は紅い瞳に蝙蝠の羽を生やした吸血鬼という点は同じながら漆黒のオーラを纏い、禍々しい形状に変化した大鎌を手にした姿。
へぇ、あれお前(はじまりの猟兵)の闇からできてんのか…
上等だ。元々真の姿は好きじゃないんでな、思いっきりぶちのめしてやるよ。
お前も遠慮なくやっちゃってくれ。
|起動《イグニッション》!
紅い刃の大鎌を手に。
真の姿にならずに倒してやる…助っ人もいるしなんとかなるだろ。
やっぱり"俺"なら闇に紛れて仕掛けてくるか?
自身も闇のオーラを纏い【オーラ防御】【気配感知】で備え【カウンター】で指定UCの一撃を叩き込む。
…はじまりの猟兵に何で俺が猟兵に、とか聞いたとこで分かるわけねーよな…
●己を、斬れ
「へぇ、あれお前の闇からできてんのか……」
現れた自身の闇の真の姿を目にした鳥羽・白夜(夜に生きる紅い三日月・f37728)は、どこか複雑な表情をしながらはじまりの猟兵に言葉を向ける。
紅い瞳に蝙蝠の羽を生やした、吸血鬼という点は同じながら漆黒のオーラを纏い、禍々しい形状に変化した大鎌を手にした姿……それが彼の闇の真の姿であった。
「す、すみません……あまり見たくない物を見せてしまって……」
「上等だ。元々真の姿は好きじゃないんでな、思いっきりぶちのめしてやるよ」
はじまりの猟兵が謝る中、白夜はやる気十分と言った様子で返す。
元々あれは闇が生み出した怪物……倒す以外に道はない。
自分の顔をしている敵を相手にするのはやりにくいと感じる者もいるだろうが、彼はそうでもなかったようだ。
「そんな訳だから、お前も遠慮なくやっちゃってくれ」
「わ、分かりました。援護の方は精一杯やらせてもらいます……!」
「それじゃあ、いっちょやるか」
いつものように白夜は懐からイグニッションカードを取り出すと、お決まりのセリフを口にする。
「|起動《イグニッション》!」
叫びと共にカードの中から愛用の得物『ブラッディサイズ-Red moon-』が飛び出すと、それを軽々とキャッチ。
そのまま武器を構えつつ、戦闘体勢に移る。
(真の姿にならずに倒してやる……助っ人もいるしなんとかなるだろ)
ここで力を解放すれば戦いは楽になるかもしれないが、それは相手と似たような姿になる事を意味する。
はじまりの猟兵も援護してくれる以上、そこまでする必要はないだろう。
戦闘開始と同時に、漆黒のオーラを身に纏った白夜の闇の真の姿が襲い掛かる。
禍々しい形状に変化した大鎌を軽々と振るうその姿は、吸血鬼よりも死神を思わせると言ってもいいだろう。
「……っ! 向こうの方がパワーもあるって事かよ……!」
大鎌の攻撃を受け止めるも、その力強さに白夜が思わず舌を巻く。
異形化している分、力も増している辺りは実にタチが悪い。
「援護します! 当たれぇっ!!」
そこへはじまりの猟兵がストライク・イェーガーでライフルを連射。
弾幕を張って相手にプレッシャーをかけようとするが、漆黒のオーラが銃弾を難なくバリアのように弾いてしまう。
「やっぱそう簡単にはいかないってか! 面倒だな、全く!!」
バックステップで一度距離を取った後、白夜が踏み込むと同時にブラッディサイズを振り下ろし反撃に転じる。
だが、この攻撃も絶妙なタイミングで受け止め、弾き返されてしまった。
まるで自分の戦いの癖が全て把握されているとでも言うべきか。
(戦い方が読まれてるって事は、やっぱり"俺"なら闇に紛れて仕掛けてくるか?)
何度か刃を交え、もしやと思った直後、相手の姿が闇へと消える。
ならばと白夜も闇のオーラを纏ってオーラ防御を全開に、精神を集中して気配感知しつつ、向こうからの攻撃に備える。
(心を落ち着けるんだ、どっかからか"俺"は必ず……来た! 後ろからか!)
相手は自分を模倣した存在である以上、動きや癖を逆手に取ればいいだけの事。
僅かな時間の静寂……闇の中から明確な殺意が後ろから向けられている事を察知した白夜は、振り返ると同時に僅かに姿勢を低くして相手からの斬撃を躱し、そこからカウンターで斜め上に『|血塗れの大鎌の一撃《ブラッディサイズ》』を叩き込んだ。
確かな手応えを感じた直後、白夜の闇の真の姿の体に大きな切傷が深々と刻み込まれると、その場で膝を突く。
勝負ありだ。
「ふぅ、どうやらやれたようだな。……はじまりの猟兵に何で俺が猟兵に、とか聞いたとこで分かるわけねーよな……」
そして致命傷を受けた事で消滅していく闇の真の姿を見て白夜が一人、答えの出ない疑問を呟く。
何故自分が猟兵になったのか……その答えを出せる者はどこにいるのであろうか?
大成功
🔵🔵🔵
ツキカ・アシュヴィン
アレがウチの真の姿…けったいな姿やけど強そうやな。
(普段の姿から全体的に禍々しくなった感じ)
でも負けへんで! 手伝うてくれる猟兵さんもおるんやでな!
頼りにしとるで、はじまりの猟兵さん!
ちゅうワケではじまりの猟兵さんと共闘。
敵はウチと同じ技を使えるっちゅう話やけど、ウチの戦闘技術はユーベルコード含めて大体普通の人間ができるコトの延長や。
銃での【牽制攻撃】で動きを制限したり、遮蔽物で射線を切れれば対処はしやすいんやないかと思う。
せやから、はじまりの猟兵さんにストライク・イェーガーで【制圧射撃】して貰て、うまいこと敵を足止めしとる隙にウチが敵に狙いを定め、UCブチ込むっちゅう連携で戦って行こかと!
●そしてはじまりは闇と共に消える
「アレがウチの真の姿……けったいな姿やけど強そうやな」
他の猟兵とは違い、それほど姿が変わった訳ではないが全体的に禍々しくなった自身の闇の真の姿を見て、ツキカ・アシュヴィン(星追いの渡り鳥・f24375)は油断ならぬ表情を浮かべる。
真の姿とは猟兵に眠る力を解放する事と同じであり、その強さは相当な物であろう。
「でも負けへんで! 手伝うてくれる猟兵さんもおるんやでな!」
と、ツキカははじまりの猟兵へと視線を向ける。
彼女とは奇妙な縁で共闘する事となってしまった訳だが、その戦力は決して侮れない。
「……はい! やるからには全力を尽くして行きます!」
「頼りにしとるで、はじまりの猟兵さん!」
ツキカとはじまりの猟兵がそれぞれ武器を構え、闇の真の姿へと立ち向かう。
一人では厳しい戦いになるだろうが、二人ならば大きく違ってくるはずだ。
一方でツキカの闇の真の姿も、彼女の得物を模倣した銃火器『CR-WA96AR3/CST』のコピーを構え、抗戦の意思を見せる。
奇しくもこの戦いは銃火器による銃撃戦となるようだ。
(さて、向こうはどう出る……ウチと同じなら、考える事も同じ、なんやろな)
双方が無言で銃火器を構えつつ、適度に距離を取りながら様子見を行い……やがて、誰が合図をした訳でもなく、ほぼ同じタイミングで双方が引鉄を引き、発砲音が鳴り響く。
それが戦闘開始の幕開けとなった。
「やっぱ射撃の腕もウチと同じくらいか。ウチ自身と戦うのも変な感じやな」
「何と言うか、的確な射撃の腕ですね。これは手強いです……」
「ま、そりゃウチやしな!」
飛び交う銃弾を躱しつつ、地形に隠れたツキカとはじまりの猟兵は、戦っている相手がツキカ自身のコピーである事を痛感させられていた。
ツキカはアポカリプスヘルで生まれ育ち、生きるために戦う術を体に叩き込まれてきた事もあって、戦闘技能は本物である。
それに加え、彼女が行使するユーベルコードも同じく使えるとなると……
「このまま下手に出てしまえば狙われる可能性は高そうです。どうすれば……」
「敵はウチと同じ技を使えるっちゅう話やけど、ウチの戦闘技術はユーベルコード含めて大体普通の人間ができるコトの延長や」
そのため銃の牽制攻撃で動きを制限したり、遮蔽物で射線を切れれば対処はしやすいのではないかとツキカは言う。
「って事で、これこれこう言う感じで行こうかと思うんやけど……」
「わ、わたしがですか!? ……いえ、この場においてはそれが適切ですね」
ツキカに作戦内容を告げられたはじまりの猟兵は一寸驚くも、相手を倒すにはそれが一番の手だと理解し、作戦に乗る事を同意した。
「それでは、行きます! ……やぁぁぁーっ!」
はじまりの猟兵が勇ましい叫びと共に、ストライク・イェーガーで相手のいる側へと制圧射撃を行いつつ、走り出す。
対するツキカの闇の真の姿は反撃に転じようとするも、足元を釘付けにされている事もあってか迂闊に動けず、その場で撃ち返すのが精一杯のようだ。
「よう狙って、よう狙って……そこやな!」
そして、相手の意識がはじまりの猟兵に向いている間、ツキカは『|針星、致命を齎す《シャウラ・スティング》』で狙撃する。
はじまりの猟兵が出来る限り時間を稼ぐ中、ツキカが針星、致命を齎すで狙い続ける事で攻撃力・命中率・必殺率を上昇させつつ、なおかつ銃身に死の概念エネルギーを充填。
そのまま発砲し解放すると必殺の一撃となり、ツキカの闇の真の姿を貫いた。
そしてこの一発が致命傷となったか、倒すべき敵は闇へと溶けて消滅していく。
ツキカの狙い通りだ。
「よしっ、|ブルズアイ《大当たり》や! ……って、はじまりの猟兵さん!?」
敵を倒した直後に闇が消え、はじまりの猟兵の姿が薄れている事に気付いたツキカが慌てて声をかける。
「どうやら皆さんのおかげでわたしのエネルギーが尽きたようです。これでわたしも消える事が出来ます」
自身を覆っていた闇が消えた事でエネルギー源が消失し、彼女は今まさに消えようとしていた。
「待った待った! まだ大事な事を聞いとらんで!?」
「それは然るべき時に必ずお話します。……第六の猟兵、皆さんの力は存分に見せてもらいました。これなら、わたしも……」
最後まで言い終える事なく、はじまりの猟兵は消滅した。
――その様子はどこか満足げでもあったと言う。
大成功
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