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獣人世界大戦⑯〜リテイク・ソング

#獣人戦線 #獣人世界大戦 #第三戦線 #ゾルダートグラード #幼女総統『ギガンティック』 #『A』ubade

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●エンドテイカー
 望まぬ未来を何度でもやり直す力。
 それこそが『魔女』の能力。
 本来は、より良きものを生み出すための能力であるが、しかしこれを私利私欲のため……そこれそ己がためだけに使う魔女もまた存在していた。
 恐るべき力である。
 起こり得た事象がなかったことになるという相対する者にとっては絶望と諦観を与える力だ。
 しかし、同じ『魔女』である幼女総統『ギガンティック』は、そのエンドテイカー能力を十全に扱えない。
 彼女が未だ魔女として未成熟であるが故か。
 そう、本来ならば勝ち目はない。
 なのに猟兵達はこれに勝利を収め、彼女をウラル山脈から撃退したのだ。
「うわーん! あいつら吾輩の足の小指ばっかり執拗に狙ってきおってからに! ブーツ履いててもお構いなしに!」
 ひどいもんである。
 とは言え、数百メートルはあろうかという巨躯を持ち、更にはやり直し能力であるエンドテイカー能力まで持ち得る『ギガンティック』を撤退に追い込んだことは猟兵の力のなせる業であろう。

「こんな屈辱、久方ぶりである! 吾輩プリプリしているのである!」
 巨大な歩幅でもって全力でウラル山脈をどうにかこえてシベリア内陸へと彼女は逃走しようとしている。
 これを阻むのが猟兵であると彼女は知っている。
「くそぅ! 吾輩が未成熟であるばっかりにエンドテイカー能力は『最大にして60秒』までの事象しか対象にできぬ! 連中がこれに気がついていない今ならば、逃げに徹すれば……!」
 歯がゆいことである。
 だが、幼女総統『ギガンティック』は諦めない。
 そう、彼女は絶対にシベリアへと逃げ込んで、あの小指ばっかり狙ってくる猟兵たちに復讐をしてやるのだ。
「見ておれよ、猟兵ども! ぜったいにギタンギタンにしてやる! 次こそは――!」

●獣人世界大戦
 ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)は転移を維持しながら、幼女総統『ギガンティック』が捨て台詞を吐きながらウラル山脈を越えて逃走する背中を見た。
 なんとか撃退することができた。
 これは喜ばしいことである。
 だがしかし、ここで彼女の追撃を諦めるわけにはいかない。
 彼女には恐るべき力、事象をやり直すエンドテイカー能力がある。
 これによって、今回の勝利をなかったことにされてはたまらないし、さらに言えば、獣人世界大戦の戦後において彼女の存在は厄介極まりないものであったからだ。
「皆さん、どうか追撃を!」
 ナイアルテの言葉に猟兵達は頷く。

 彼らもまたナイアルテと同意見であったことだろう。
 ここで彼女を打倒する。
 今度は小指では済まさない。だが、ナイアルテは一気にケリをつけることができないだろうと判断していた。
 そう、やはりエンドテイカー能力が厄介なのだ。
「……ならば、どうして今までの攻撃全てを彼女はやり直さなかったのでしょうか?」
 本来のエンドテイカー能力は汎ゆる事象を巻き戻す。
 なかったことにしてしあう。
 だが、彼女は此度の撤退をなかったことにしなかった。
 何故か?
 そう、おそらく巻き戻すことにできる範囲が制限されているのだ。
 無制限ではない。

「なら……!」
 猟兵たちも理解した。
 そう、『ギガンティック』のエンドテイカー能力は未完成もとい未成熟なのだ。
 ならばこそ、そこには制約が生まれる。
「おそらく、彼女のエンドテイカー能力は『最大60秒』。これを利用して『少しずつ時間をかけて、彼女に気が付かれないようにダメージを蓄積させて』いけば……!」
 此処で『ギガンティック』を撃破する可能性がある、ということだ。
 その『最大60秒』の範囲を越え、さらには彼女にそれを気が付かせぬように、という方策を猟兵達は持ち得ているだろう。
 ナイアルテは即座に転移を維持し続けること決断する。
 自分にできることはこれくらいだ。
 だが、転移さえ維持できていれば、必ずや猟兵たちが『ギガンティック』を打倒するための方策を打ち出すと信じている。
「どうかお願い致します。このまま彼女を、『ギガンティック』を逃すことは恐らく、恐るべき未来が待ち受けることに繋がるでしょう」
 その未来の到来を防ぐために、ナイアルテは猟兵たちの背中を見送るのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『獣人世界大戦』の戦争シナリオとなります。

 ついに幼女総統『ギガンティック』を撤退に追い詰めることができました。
 数百メートルの体躯を持つ巨大な幼女である彼女は、ウラル山脈を超えてシベリア内陸部へと逃走を図っています。
 確かに、このまま放置しても彼女の手勢は『はじまりの猟兵』を狙う余力はないため戦争の趨勢には影響を及ぼさないでしょう。
 ですが、彼女を放置しないとするのならば、恐るべきやり直し能力、エンドテイカー能力を超えねばなりません。

『最大にして60秒』。
 これが彼女のエンドテイカー能力の限界です。
 この60秒間の間の出来事であれば、彼女は時間を巻き戻し、汎ゆることをなかったことにしてしまいます。
 この短所とも言うべき弱点を利用して『少しずつ時間を掛けて、気づかれないようにギガンティックへのダメージを蓄積させていく』ことができれば、彼女を此処で打ち取る可能性がでてきます。

 ※プレイングボーナス……ギガンティックがやり直せないほど時間をかけ、少しずつダメージを蓄積させる。

 それでは、超大国をも巻き込んだ獣人世界大戦にて多くを救うために戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『幼女総統「ギガンティック」』

POW   :    幼女キーック!!!!
単純で重い【幼女キック】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    超超巨大ビィーム!!!!
【超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』】から、レベル×5mの直線上に【超超巨大ビーム】を放出する。【魔力】を消費し続ければ、放出を持続可能。
WIZ   :    斯様な結末、吾輩は断じて認めない!!!!
全身に【終焉を巻き戻す「エンドテイカーの魔力」】を帯び、戦場内全ての敵の行動を【巻き戻されてゆく時間の流れ】で妨害可能になる。成功するとダメージと移動阻止。

イラスト:すずま

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

神酒坂・恭二郎
中々にトンチだねぇ
さて、上手く行ったらご喝采かな

「スペース絵馬」でスペースシャークを口寄せして騎乗。機動力を確保し、射撃を避け、幼女キックを軌道を【見切り】つつ大きめに避けて、隙を伺う

幼女キックの足裏、視界の死角に入った瞬間に鮫五郎と跳ね上り、刀に纏わせた「風桜子刀」を一瞬だけ極大化する抜刀術で太腿の動脈を狙い「痛みすら感じさせぬ雲耀の一閃」を決めて行違う【居合、早業、武器の巨大化、切断】

「よう、幼女総統さん。お疲れかい? “休むんじゃねぇぞ”」
と、煽りを入れて後は幼女が疲れて一息つくまで回避に徹しよう
ダメージが入るのはこの一瞬だが、傷を入れたのは60秒以上前だ
どう判定されるかは天次第だな



 幼女総統『ギガンティック』が持つエンドテイカー能力は未成熟故に『最大60秒』しか巻き戻すことができない。
 しかし、それでも絶大なる能力であることは言うまでもない。
 己が望む結果が得られるまでに延々と賽を振り直すことができるのだからだ。
 あまりにもトンチキが過ぎる。
 インチキそのものであった。
 だが、そのインチキ、トンチキを覆すのがトンチというものである。
「さて、うまく言ったらご喝采かな」
 神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)はウラル山脈を超えて、シベリア内陸へと逃げ込もうとする『ギガンティック』を追う。
 とは言え、此方の攻撃は全てエンドテイカー能力でなかったことにされてしまうだろう。

 それ故に、猟兵達は少しずつ時間を掛けて、気づかれないようにギガンティックへのダメージを蓄積させていくしかないのだ。
「でもまあ、やってみる価値があるってんなら!」
 恭二郎は己が手にした『スペース絵馬』からスペースシャークを口寄せし、騎乗する。
 サメなのだ、空くらい飛べる。
「無茶苦茶な生物呼び寄せおって! だがしかし! 吾輩を前にサメ一匹出した程度ではな!」
 邪魔だと言うように『ギガンティック』の数百メートルはあろうかという巨体から繰り出される幼女キックが恭二郎を襲う。
 ただ振り抜いただけの一撃。
 されど、その巨体から繰り出される一撃は、凄まじい衝撃波を生み出す。

「おっと、とんでもないな!」
 恭二郎はしかし、ひょうひょうとこれを躱す。
『ギガンティック』のブーツの底が見える。
 確かに巨体である『ギガンティック』は巨体故に己より矮躯たる者との戦いに慣れ、また長けている。 
 だが、どうしようもない死角が一つだけ存在しているのだ。
 そう、それは即ち彼女自身の靴の裏である。
「此処だ……!」
 恭二郎はスペースシャークと共に跳ね上がり、一気に『ギガンティック』の内腿へと迫る。
 人体であるのならば、急所の一つ。
 太ももの内側。
 その一点に太い脈が存在している。人の形をしているからこその弱点。

 その内腿を痛みすら感じさせない雲耀の一閃で切り裂くのだ。
 とは言え、数百メートルの巨体である。
 僅かに傷がついた程度で致死には至らない。だが、それでいいのだ。
 痛みを感じさせぬ斬撃。
 これが肝要である。
「よう、幼女総統さん。おつかれかい?」
 狙いが甘くなってるぞ、と言わんばかりに恭二郎は『ギガンティック』の眼前へと挑発するように姿を現す。

「貴様、吾輩をおちょくるか!」
「いやなに、一つだけ言っておこう。“休むんじゃねぇぞ”」
「誰が休むものか! 消し飛べ!」
 振り抜かれる幼女キックの上段蹴り。
 洒落にならんほどの衝撃波が恭二郎を襲う。だが、それでいい。これで『ギガンティック』は神酒坂風桜子一刀流・虎落笛(モガリブエ)の一撃を認識できていない。
 後は、巻き戻し不能になる『最大60秒』まで戦い続ければ良い。
 その間に『ギガンティック』が己が付与したルールを破れば、それでよし。
 そうでないにしても己が出血していることに気が付かなければ、それでもよし。
「どちらに転んでも、お前さんは傷をなかったことにはできない」
 恭二郎は、その長過ぎる60秒を凌ぐように、迫る暴虐の如き幼女キックが生み出す衝撃波に煽られながら、戦い続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
ふふ、同じ時間使いとして楽しみな戦いとなりそうです
彼女が「巻き戻し」を使うのならば──
私は「停止」を使いましょう

オーラに残像を映し出し無数の幻影を空中にばらまいて攻撃を誘惑
超超巨大ビームの乱射を誘発します
その間私自身は光の屈折率を歪ませた結界に身をひそめ
背の翼を使い空中戦で飛翔

彼女に接近したらUCを発動し時間停止
その隙に彼女の唇にキスを
……ふふ、可愛らしく美味しい唇です
もっともそれは吸血を行うため
さらに体内に限界を突破した呪詛を流し込みます
じっくり時間をかけて彼女の体を侵食させるためにね

停止時間が解除された後も
彼女は吸血キスの効果で意識がぼうっとしているでしょう
その隙に逃げ回り時間を稼ぎます



 時間を巻き戻す力。
 それがエンドテイカー能力である。
 幼女総統『ギガンティック』――彼女は己を未完にして未成熟な『魔女』であると言う。
 それ故に力を分け与える必要性はなく彼女の振るう地味なライフル……超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』を反動なしに連発することができる。
 ビームの嵐は凄まじい。
 砲火は戦場を舐め尽くすかのように放たれていた。
「ええい、吾輩が撤退しようというのにまだ追ってくるか! 忌々しい猟兵め!」
『ギガンティック』は苛立ちながらも、己の傷がエンドテイカー能力で巻き戻せないまでに時が進んでいることを知る。

 これは己を謀ったものである。
 猟兵たちの策謀でもあるし、彼女にとっては自身をさらなる窮地へと追い込むものでもあったのだ。
「故に此処は雑に物量で押す!」
 至極シンプルである。
 しかし、猟兵がビームの嵐を前にして立ち止まることはない。
「ふふ、あなたが『巻き戻し』を使うのならば――私は『停止』を使いましょう」
 その言葉を『ギガンティック』は聞いただろう。
 言葉の主、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は笑む。
 空に浮かぶは、彼女の姿。
 いくつもの分身が『ギガンティック』の行く末を阻むように出現しているのだ。

「だったらなんだというのだ! 吾輩の地味なライフルはなあ!」
 分身を尽く貫く極大のビーム。
 これが無反動にして制約なしに撃つことができる、というのが『ギガンティック』の恐るべきところである。
 だが、それはあまりにも雑だった。
 彼女の言葉通り、魅夜の生み出した分身たちを認めれば即座に何も考えずにビームをぶっ放す。
 それはあまりにもシンプル。
 力押しで猟兵を圧倒できるが故の方策であった。

 しかし、魅夜は分身が焼かれていくさまを見やりながら、光の屈折を利用した結界に身を潜め、『ギガンティック』に迫るのだ。
「んなっ! いつのまに!」
「……ふふ、可愛らしく美味しい唇です」
 彼女の口づけは『ギガンティック』にとっては、触れるか触れないか。そもそも体格差が有りすぎる。
 だが、彼女のユーベルコードは、『時』を支配下におく力。
 そう、『ギガンティック』は理解できなかった。
 何故、突如として彼女が姿を現したのかも、そして、それが何を意味するのかも。

「うグッ……貴様、吾輩に一体何を……!」
 唇を拭う『ギガンティック』。
「我が白き牙に喘ぎ悶えよ時の花嫁(ザイン・ウント・ツアイト)……時を支配下におき、時間を止めました。その間に私があなたに与えたのは、呪詛。あなたの体を侵食するもの」
「だったら、時間を巻き戻すまで!」
「いいえ、いいえ。それは無理です。あなたの体感時間では一瞬でも、時は絶えず前に進み続ける。停止されたのはあなたの認識の時間のみ」
 故に、と魅夜は笑む。
 すでに巻き戻し最大時間60秒を過ぎている。
 もはや不可逆なる体内の呪詛の侵食は、確実に『ギガンティック』の体躯を蝕むだろう。

「巻き戻せない!?」
「ええ、そうです。時よ脈打つ血を流せ、汝は無敵無傷にあらぬものですから」
 そう言って彼女は笑み、唇奪われて怒り狂う幼女の地団駄とビームの嵐から逃れるように分身と共に飛翔するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サツキ・ウカガミ
ギガンティックが成熟する、考えただけで恐ろしいね。
逃がさないよ!

行動を[見切り・情報収集]、[忍び足・ダッシュ・軽業]でこっそり近づいて[死角攻撃]の【斬空閃】!
臓腑からダメージを与えていこう。
その後に、気づかれる形で電磁手裏剣を[ナイフ投げ・電撃・マヒ攻撃]。
ダメージは小さいけれど、マヒで行動力低下と、本命の斬空閃でのダメージに気づくのを遅らせる。
シュリヒトゲヴェーアも、マヒが通れば[見切り]やすいね。
臓腑の異常に気づいた時には、もう手遅れ。巻き戻しても、痺れが取れるくらいだよ!
巻き戻されたら間髪入れず、再度【斬空閃】。連続してエンドテイカーは出来ないんでしょ?
外傷なしに[暗殺]してあげる!



 未成熟の魔女。
 それが幼女総統『ギガンティック』である。彼女の力は完全ではない。それ故に彼女の力は本来の用途ではない、己のためだけの力として振るうことができる。
 過去の化身。
 オブリビオンであるが故の特性であるとも言えるだろう。
 しかし、それは同時に弱点でもある。
 魔女の持つエンドテイカー能力。
 己が望む最善の結果を手繰り寄せるためのやり直し能力。
 この恐るべき能力を彼女は『最大60秒』以上、時間を巻き戻すことができないという制約を得てしまっているのだ。

 これによって猟兵達は彼女に気が付かれぬように巻き戻せぬ時間を掛けてじわじわと追い詰めているのだ。
「彼女が成熟する、考えただけで恐ろしいね」
 サツキ・ウカガミ(忍夜皐曲者・f38892)は嘗てエンドブレイカー世界にて活躍した猟兵である。
 彼女が守った世界。
 エンドブレイカー世界において魔女とは不倶戴天の敵であり、恐るべき敵でもあった。
 故に、その魔女の一人としての『ギガンティック』を取り逃がすことなど考えられぬことであった。

「ええい、煩わしい! 吾輩のまわりをうろつきおって!」
『ギガンティック』の放つビームの嵐にサツキは凄まじい衝撃波と熱波に煽られながら戦場を疾駆する。
「させないよ!」
「やかましい! 吾輩の邪魔をするのなら!」
 ビームはあの地味なライフル……といっても、超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』から放たれる。
 熱量がサツキの肌を焼く。
 魔女である『ギガンティック』と違って、サツキはエンドブレイカーであり、猟兵である。受けた傷はなかったことにはできない。
 だがしかし、彼女の中に諦めという文字は存在しいなかった。

 例え、体格差数百メートルであろうともサツキは『ギガンティック』を逃すつもりはない。
 ただその一点の意志のみでサツキは迫るビームを躱しながら、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
 己が振りかぶるは太刀。
 無明の霊気が付与された斬撃は、あらゆる物質を透過し、『ギガンティック』の臓腑へと叩き込まれる。
 それは些細な一撃であったことだろう。
 誰にも、それこそ『ギガンティック』にも感知されぬ一撃であった。

「吾輩の『シュリヒトゲヴェーア』の一撃にて消し炭になるがいい、猟兵!」
「くっ……でもっ、まだ!」
 サツキは『ギガンティック』の前に姿を表し、電磁手裏剣を放つ。
 それは手ぬるい一撃であったことだろう。
 傷を癒やすまでもない。
 まるでゾウに対するアリの一刺し程度であった。
 故に『ギガンティック』は巻き戻さない。
 サツキの攻撃がこの程度であると誤認しているのだ。本命の一撃は既に叩き込んでいる。
 故にサツキは己が目論見がうまく行くことを確信する。

「ぬっ……なんだ、手足のしびれ……!?」
「そう、ボクの電磁手裏剣は麻痺を打ち込むんだ! そのしびれは!」
「貴様の仕業か! だが、意味のないことだ。吾輩はときを巻き戻すエンドテイカー能力で……!」
「そうだね、でも! もう60秒経ったよ! お腹の調子はどう?」
「なに……?」
「電磁手裏剣はあくまで囮! ボクの本命はもう! キミのお腹の中、その臓器に叩き込んでいる!」
『ギガンティック』は己の腹部をさする。
 奇妙な違和感。
 それは、サツキのユーベルコード、斬空閃による臓腑へのダメージ。
 今は無視できる。だが、徐々に戦いが続けば……。
「貴様……!」
「もう巻き戻せない! 連続してエンドテイカー能力は使用できないんでしょ! ならさ!」
 サツキはユーベルコードに輝く瞳で『ギガンティック』を見上げ、不可逆なる傷をさらに押し広げるように彼女と戦うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎、四天霊障

ふむ、なるほどな。ならば、狙いに行くだけよ。
霹靂に騎乗し、空をかけよう。見切りは此度…霹靂に任せた!
わしはな…UCにて奴を祟る!

でまあ、こうしておるとな…四天霊障でちまちまちまちま攻撃してはおるのよ。巻き上げられた小石がぶつかったりしておろうしな。
さらに、接近したわしが、黒燭炎で密かに斬り付けたり…なんぞ霹靂から離れた羽が傷つけたりな。
これは総じて祟りである。じわじわと、奴を蝕む祟り。


霹靂「クエッ」
前のより大丈夫!直線なら、すいっと斜めに避けちゃえ。



 不可逆なる傷を刻み、その消耗でもって幼女総統『ギガンティック』を打倒する。
 それはあまりにも壮大な戦いであったことだろう。
 数百メートルの巨体を持つ『ギガンティック』の優位は、超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』だけではない。
 そう、エンドテイカー能力である。
 己の望む結果を手繰り寄せるまでやり直すことのできる法外にして理外の能力。
 それこそが魔女である彼女の最大にして最高の能力であった。
 だが、彼女は魔女として未成熟。
 故にエンドテイカー能力は未完成。
 最大にして60秒。
 それが彼女の巻き戻し能力の限界である。

 故に猟兵達は彼女のエンドテイカー能力の限界を悟らせぬように戦う。
「確かに難しい」
 言うは易く行うは難しというやつである。
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵すも者』は、ウラル山脈を超え、シベリア内陸部へと撤退しようとする『ギガンティック』を追う。
『最大60秒』
 それは確かに彼女の限界である。
 だが、猟兵たちでも、彼女にそれと悟られぬように戦うのは難しいことだっただろう。
 だからこそである。
「狙いに行くのよな。俄然!」
 ヒポグリフ『霹靂』を駆り『侵す者』は飛翔する。

「ちょこまかとまた! 吾輩を狙ってきたか!」
 構えるは『シュリヒトゲヴェーア』。
 その超超巨大砲の砲口から放たれるビームの極大なる一撃に『霹靂』の羽毛が焼ける。
 躱したとしても、熱波襲う凄まじい余波があるのだ。
 霊障でも防ぎ切れぬほどである。
 やはり『ギガンティック』の力は規格外である。
「やはり、そうか。こちらが如何に躱す結果を持ち得てもエンドテイカー能力でやり直しておる。やつにとって望む未来はワシらの排除。ならば、この結果も妥当ということか」
「そういうことよ! 吾輩にとって猟兵、貴様らの排除は絶対である。だが、悠長に時間を掛けてはおれぬ!」
 やはり最大60秒という制限が『ギガンティック』を打倒できる可能性なのだ。

 故に『侵す者』は己が悪霊である証左、その呪詛を開放する。
 戦場にありし者たちの運気、霊力、生命力を奪う。
 どんな者であっても、この戦場にいる者たちから奪い続ける。
 例外はない。
 奪い続けた運気と霊力、生命力は『侵す者』の背中を押すだろう。
 だが、奪われ続けたものに降りかかるのはなにか。
 言うまでもない。
 不幸である。

「つまり、こういうことよな。如何にやり直す能力があろうとも。時間を巻き戻すたびに僅かに時が進む。その間に蓄積していく不可逆なる傷は」
「やりなおせない……! 吾輩のエンドテイカー能力の弱点を突くか、忌々しい!」
 じわじわと追い詰めていく。
 これは祟りだ。
 己が悪霊であるという証明。
 どんなにやりなおしたとしても、必ず不幸が訪れる。
 巨体ゆえに躓くだろうし、己たちの放つ攻撃を躱せないこともあるだろう。そうした小さな不幸が、雨だれが石を穿つかのような連続性をもって『ギガンティック』を追い詰めていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
ここで確保しないと不味いか
成長させたら手に負えないしね

蒸気バイクを駆使し、地形を利用して砲撃を巧みに回避しながら算段し覚悟を決める

「コード、ハイペリア……奈落門」
悲鳴のようなSEを気合いで捩じ伏せ、真っ赤な髪と目の姿に変じる

砲撃は紋章に帯びた超重力で受け流し、斥力で跳ねて、天文学的質量に裏付けられた重力を乗せ、ありったけの力で渾身の掌打をボディに叩き込む

「はぁ…はぁ…はぁ」
変身が解け、地面に膝を突く位の全力
巻き戻しを前に無駄な全力なようで、意味はある

「知ってる? 時間ってね、重力で遅くなるの。"重さ"でね」
立てた親指を下にする
「今のあなたに、私の奈落門の乗った重い時間を巻き戻せるかしら?」



 魔女とは恐るべき存在である。
 その力をもって己が望む結果を得るために何度でも時間を巻き戻し、やり直す。
 エンドテイカー能力。
 それこそが彼女たち魔女の最大にして最高の能力である。
 故に、その力を狙う者たちがいる。
「ここで確保、打倒しないと不味いか」
 才堂・紅葉(お嬢・f08859)は、幼女総統『ギガンティック』の危険性を理解していた。
 オブリビオンであるがゆえに、成長は見込めないかもしれない。
 けれど、彼女を如何にしてか操ることのできる者がいるかも知れない。
 ならば、その危険性は更に跳ね上がる。

 故に彼女は蒸気バイクでもって戦場を疾駆する。
「ええい、鬱陶しいのである!」
『ギガンティック』の手にした地味なライフル……否、超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』から放たれるビームの光条を紅葉は見ただろう。
 他の猟兵たちの遅滞戦術によって彼女はエンドテイカー能力の限界から追い立てられていた。
 そう、彼女のエンドテイカー能力は未完成である。
『最大60秒』
 それこそが彼女の巻き戻し限界点。
 これまで猟兵達は、その脆弱性をついてきた。
 紅葉は、しかし己の望む結果を手繰り寄せるまでやり直すことのできる能力故にビームが己を捉える結果を選び取るまで『ギガンティック』がエンドテイカー能力を使い続けると思わなかった。
 なぜなら、彼女は傷を追っている。
 限界点である60秒を越えた傷である。

 故に彼女は猟兵が確実に自分を追い詰める攻撃を使った瞬間にエンドテイカー能力を使用するだろう。
 ならばこそ、紅葉は算段を、そして覚悟を決める。
「コード、ハイペリア……奈落門」
 背に負うははいペリアの紋章。
 赤熱するようにして彼女の髪が真赤に染まっていく。
 彼女の名を示すような赤。
 迸るようなユーベルコードの輝きと共に、己が体躯のシアオ国封じられた奈落への扉の封印が解除されていく。

 踏み込む。
 ビームの光条が迫っているが、己が拳に宿った超重力、その斥力でもってビームを捻じ曲げるようにして踏み込んでいく。
「チッ! こやつ、面倒な能力を! それが貴様のユーベルコードであるか!」
「そうよ。だからこそ、ありったけを!」
 数百メートルという巨体を前にして紅葉は、己が拳に宿る超重力を掌打を叩き込む。
 体格差、質量差。
 そんなもの関係ない。 
 己の拳が届くならば、関係ないのだ。

 だが、時は巻き戻される。

 そう、これがエンドテイカー能力。
 理不尽極まりない専横が如き力。無法にして理外。重ねた力さえも無意味にする力である。
「はぁ……はぁ……はぁ!」
「何度やっても無駄よ! 貴様の攻撃の恐ろしさは理解してる故に、吾輩は貴様の攻撃がインパクトを迎える瞬間にときを巻き戻すまで!」
 それは無駄であると言わんばかりであった。
 だが。
「そう? 知ってる? 時間ってね、重力で遅くなるの。“重さ”でね」
 紅葉は立てた親指を逆さに突き立てるようにして『ギガンティック』に向ける。
「あなたの限界は60秒。たしかに恐るべき力よ。けれど、今のあなたに、私の奈落門の乗った重い時間は……巻き戻せない!」
 解除され続けた奈落への門の封印。
 無論、紅葉の寿命を削るものである。しかし、その解除され続けた力は、即ちエンドテイカー能力をふるい続けるたびに上乗せされる。

「まさか……! 命懸けで!」
 そんなの当たり前だというように紅葉はついに巻き戻せなくなった時間の中で己が拳を『ギガンティック』へと叩き込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鏡島・嵐
嫌なことを巻き戻してなかったことにするとか、子供のワガママかよ。そんな能力があるんならおれだって毎度こんな怖ぇ思いしねえっつーの。
(首を振って)……いや、それは無えか。きっとどんだけ強くなったって、おれはこの恐怖からは逃げらんねえ。
まあ、幾らかはマシになるんだろうけどさ。

ともかく、今度は我慢比べになりそうだ。力貸してくれ、クゥ。
デカいビーム砲で砲撃されるんはおっかねえけど、〈第六感〉を活かして〈見切れ〉ば、直撃は何とか避けられるはずだ。

大ダメージを与えて一気に勝負決めてえけど、我慢我慢。
〈スナイパー〉ばりの正確な一射を積み重ねて、じっくり体力を削いでいく。雨滴が岩を穿つみてえに、な。



 時は逆巻くことはない。
 事象はやりなおせない。
 世界とはそういうものだ。殆どの存在においてはそうだ。
 だが、魔女は違う。
 己が望む最善の結果を得るためのやり直し能力。それがエンドテイカー能力である。
 嘗ての大魔女スリーピングビューティがそうであったように、己が私利私欲のためだけにエンドテイカー能力を手繰るのならば、それは本来の役割とは大きく異なるものである。
「嫌なことを巻き戻してなかったことにするとか、子どものワガママかよ」
 鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は思う。
 世界には、ままならぬことばかりが溢れている。

 どんなに泣いてもぐずっても、やり直せないことばかりが溢れているのだ。故に人は成長していく。
 例え、失敗しても、喪っても、それでもなお前に進むことを知るのだ。
 そういうものだ。
 人生とは常に失い続けて、多くを棄てながら前に進むことしかできない。
 だからこそ、尊いのだ。
 恐怖に震えながらも、前を見ることをやめない強さを手に入れることができる。
 だが、幼女総統『ギガンティック』は違う。
「そんな能力があるんなら、おれだって毎度こんな怖ぇ重いしねえっつーの!」
「黙れ! 吾輩の撤退行を邪魔するのならば! この『シュリヒトゲヴェーア』の光条に消えよ!」
『ギガンティック』の構えた地味なライフル――超超巨大砲がビームの嵐を解き放つ。
 それはあまりにも凄まじい熱量であった。

 恐ろしいと思う。
 どんなに困難を乗り越えてきても、どんな能力を得ても、嵐は恐ろしいという感情からは逃げられない。
 一生こうなのかもしれない。
 多少はマシになったかもしれないという思いはある。
 けれど、それでも心に恐怖は住み着いているのだ。
「……力を貸してくれ、クゥ!」
 嵐の瞳がユーベルコードに輝き、焔を纏った黄金のライオンを召喚する。
 またがるライオンの『クゥ』の体温は己が心にこびりついた恐怖を溶かすようだった。獣の俊敏性でもって一気に迫る向上を躱す。
 直撃を避けることしかできない。
 熱波と衝撃波が己が体躯を打ち据える。
 痛みが走り、嵐は顔をしかめる。それでも、戦うことはやめない。
 己が諦めない限り、『クゥ』だって戦ってくれるだろう。

 故に嵐はスリングショットを構える。
 引き絞り、弾を放つ。
 それはまさしく雨粒が『ギガンティック』にあたった程度のものでしかないだろう。
「フハハハ! 破れかぶれか、猟兵! この程度巻き戻すまでもない!」
「だろうな!」
 だが、嵐は弾を放ち続ける。
 ピンポイントで同じ箇所へと叩き込んでいく。
『ギガンティック』は確かに嵐の攻撃を巻き戻すまでもないと言った。けれど、それは過ちだ。
 彼の精密な射撃は、一射目と変わらぬ場所へと叩き込まれ続けていく。
 そう、最大にして60秒。
 これが『ギガンティック』のエンドテイカー能力の弱点。
 故に彼女は気が付かなかったのだ。
 嵐がビームを躱しながら、60秒きっかりに射撃を続けていることに。

「嵐のような強さはいらない。おれに必要なのは、雨滴が岩を穿つような根気強さだけだ!」
 それがいつかは『ギガンティック』という巨岩を打ち砕く。
 そう信じるように嵐の攻撃は徐々に『ギガンティック』の体力を知らず知らずに削っていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
やや、ずいぶんと小指への攻撃を警戒しているみたいでしてー。
ならそれを利用しちゃうのでっす!
藍ちゃんくんでっすよー!
ファンの皆様、お嬢さんの弱点は小指なのでっす!
あやー、キックがー!?
そう何度もやらせてはくれませんかー!
ですがまだまだこれからでっすよー!
と、とにかく小指を狙ってるよう印象付けて、小指周りがいい勝負になるよう演技!
少数のファンの方々に小指を通すための囮のフリして小指以外を攻撃してもらうのでっす!
小指以外の攻撃が通っても、「小指を防がれちゃいましたか! 失敗なのでっす!」と強調!
小指を護れたのだから成功だ、巻き戻して小指リトライたまったものではないと幼女さんに思わせちゃいましょう!



「くっ、どこまでもしつこい!」
 幼女総統『ギガンティック』は呻く。
 猟兵たちの追撃は彼女にとって、そこまで大層なものではなかった。
 だが、しつこいのだ。
 まるで遅滞戦術である。彼女がウラル山脈を越え、シベリア内陸部へと逃亡を画策してもなお追いすがってくる。
 がく、と足が揺れる。
 何故、と『ギガンティック』は呻く。
 如何にエンドテイカー能力が時間を巻き戻すやり直し能力であったとしても、彼女は魔女として未成熟。
 故に『最大60秒』しか巻き戻すことはできない。
 猟兵達は、それを知るからこそ不可逆たる60秒を稼ぐのだ。

「クソッ、吾輩が足に来ているだと……?! これも小指ばっかり狙ってきた猟兵どもの……!」
「やや、随分と小指への攻撃を警戒しているみたいでしてー」
「ヒッ!」
 紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)はなるほど、と思った。
 追撃戦に至る戦いの道程において猟兵達は『ギガンティック』の足の小指に集中的に攻撃をしていた。
 巨体であるが故であるが、それでも一点を攻撃し続ければ、雨だれが岩を穿つのように彼女を打倒することができる。

「貴様らが吾輩の小指ばっかり狙うからだろうが!」
「なら、それを利用しちゃうのでっす! 藍ちゃんくんでっすよー!」
 藍の瞳がユーベルコードに輝く。
 その輝きを灯火にしてあr割れるは、藍のファンの皆様方であった。
 集結するは、藍ちゃんくんファンクラブ、戦場支店!(ココヲセイチニシチャウノデッス)である。
 藍のコールがあれば、どこからともなく現れるファンたち。
 恐るべき行動力である。
「ファンの皆様方! お嬢さんの弱点は小指なのでっす!」
「させるか、そう何度も! 喰らえ、幼女キーック!!」
 踏みつけるようにして『ギガンティック』の巨大な靴底が迫る。

 衝撃が迸り、大地が割れて激震する。
 その最中を藍とファンたちはみんな命からがら逃げ回る。
「あやー、そう何度もやらせてはくれませんかー! でっすが、まだまだこれからでっすよー!」
 藍は迫る幼女キックという名のスタンピングの合間を縫うようにして走る。
 肝要なのは。
 そう、如何に此方が小指を狙っているか、である。
 故に藍の瞳がきらりと輝く。

 以心伝心。
 藍の思いは寸分たがわずファンに伝わる。
「こなくそ! ちょこまかと! 吾輩の小指はもうこれ以上傷つけさせはせんのである!」
「あやー! 小指を守られちゃいます! 失敗なのでっす!」
 ちょこまかと藍ちゃんくん親衛隊のファンたちが『ギガンティック』の体躯へと攻撃を叩き込んでいく。
 それはブラフであった。
 そう、小指を狙うというブラフ。
 これによって『ギガンティック』は否応なしに小指を守ることを選択するだろう。となれば、小指を守れたのならば、他の傷は気にしないだろう。
 そこに突破口があるのだ。
 そう、巻き戻しをさせぬための口実にし小指の痛みを利用したのだ。
「ふふっ、やはりエンドテイカー能力を使ってきませんねー!」
 藍は笑む。
 そう、ここに来て前回の戦いが生きてきているのだ。これが猟兵たちの戦いだ。
 紡ぎ、強大な敵を穿つ。
 それを示すように藍は親衛隊と共に『ギガンティック』のエンドテイカー能力を封殺するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アウル・トールフォレスト
せっかくの機会だもんね。わたしも追いかけて来ちゃった

お茶会を待たせているでもないのに、急いでどちらに行くのかしら
逃げるなんてつまらない。どうか最後まで楽しみましょう、小さな魔女さん
わたしも、とっておきを見せてあげる!

【生命圧縮・熱狂生物】
ギュギュっと集めて詰め込んだ、小さなわたしで相手だよ!
小さくたってパワフルなんだから!ほら、ジャンプ一つであなたの目線の高さまで。あはは!まるでノミにでもなったみたい!
けれど油断しないで。きっとパワーはあなたの想像以上。その気になれば、あなたくらいに大きくなれるわたしの、凝縮された力、味わってみて!
蹴っ飛ばされてもへっちゃらだよ!ギュギュっと詰まっていつも以上に頑丈だからね
そうして何事もなかったように、またビュンビュン飛び跳ねながら何度も何度も突撃していくよ!

けれどけれども、小さな魔女さん。懐中時計は気にしてる?
楽しい時間はあっという間。そう、わたしを見ていると楽しく感じたでしょ?
巻き戻るには、少し時間が過ぎてるかもね

さあ、それじゃ続けていきましょう!



 幼女総統『ギガンティック』はウラル山脈を超えてシベリア内陸へと逃走を画策した。
 だが、これを打倒せんとするのが猟兵達である。
 彼らは『ギガンティック』を逃さない。
 ここで彼女を捨て置けば、彼女の理外たる能力、時間を巻き戻すエンドテイカー能力によってさらなる災厄が訪れるからである。
「せっかくの奇怪だもんね。わたしも追いかけてきちゃった」
「来ちゃったではないのである! しつこにもほどがある!」
 アウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)はニコリと微笑む。
『ギガンティック』は己が撤退行を阻まんとする猟兵たちが次から次に湧き上がってくることに、いい加減うんざりしていた。
 どうしてここまで追うのか。
 理解できなかった。
 なぜなら、彼女にはエンドテイカー能力がある。
『最大60秒』しか巻き戻せないのだとしても、それでも大きな徒労を生むだろう。

 なのに、何故。
「お茶会を待たせているわけでもないのに、急いでどちらに行くのかしら」
「シベリアに決まっとろーが! 吾輩は撤退するのだぞ!? それを追撃するなど!」
「逃げるなんてつまらない。どうか最後まで楽しみましょう、小さな魔女さん」
「つまらない!?」
『ギガンティック』はめまいがした。
 楽しむ?
 このような戦場において、眼の前の猟兵、アウルは楽しむと言ったのだ。
「わたしも、とっておきを見せてあげる!」
 ユーベルコードにアウルの瞳が輝いた瞬間、彼女の本来の体躯が縮む。
 それは『凝縮体』と呼ばれる形態であった。
 大きさにして三分の一。
 その体躯は幼子と呼ぶに相応しいものであったかもしれないが、しかし、内情はことなる。
 そう、アウルのユーベルコード、生命圧縮・熱狂生物(エキサイト・オーバーチャージ)は己よりも強い敵へと立ち向かうための力。
『ギガンティック』はアウルよりも掛け値なしに強い敵である。
 だからこそ、彼女は踏み込む。
「これがギュギュッとわたさいの力を集めて詰め込んだ、ちいさなわたし!」
「巨大化ではなく、さらに小さくなって吾輩を撹乱するつもりか! だが、無駄よ! 吾輩は己より矮躯なる者と戦うことに慣れておる! 即ち! 答えは! こうよ!!」
 放たれる幼女キック。
 その大質量を持って放たれる蹴撃の一撃がアウルを捉える。
 蹴り上げられアウルの体躯が『ギガンティック』の目線の高さまで飛び上がる。

 まるで自分がノミにでもなったかのようだとアウルは笑った。
「あはは! すごいわ、でも油断しないで!」
「誰にものを!」
「確かにわたしはあなたより小さい。けれど、パワーはあなたの想像以上。だって、その気になればわたしだってあなたくらいに大きくなれるの。そのわたしの、凝縮された力、それが」
 アウルのパワーは最高潮に達する。
 漲る力が拳に爆縮されていく。
 蹴り飛ばされても彼女はまるで意に介していなかった。
 そう、人がノミを蹴り飛ばしたとしてもノミを潰すことはできない。
 潰すには地面と己の指という圧力をもってしてでなければ潰すことすらできない。今のアウルはそれと同じだった。

 どれだけ蹴り飛ばされても彼女は弾けるように爆散もしなければ、潰れることもない。
 まるで何事もなかったかのようにアウルは『ギガンティック』の周囲を飛び回る。
「ねえ、小さな魔女さん。懐中時計は気にしてる?」
「貴様、吾輩のエンドテイカー能力のことを……!」
「楽しい時間はあっという間。そう、わたしを見ていると楽しく感じたでしょう?」
 打ち据える拳。
 だが、それはすでに幾度となく繰り返されてきたときの流れの中の一幕でしかない。
『最大60秒』
 それが限界点。
 故にアウルは、繰り返し爆縮された己が拳の一撃を叩き込み続けた。
 そして、同時に『楽しい』という感情を『ギガンティック』に与え続けていたのだ。

 楽しいのならば、時は速く過ぎるだろう。
 ならば、こそ己が思う以上に背角に時間を図ることのできなくなっていた『ギガンティック』は遂にアウルの一撃を受けてなお、巻き戻すことができない不可逆なる制限時間を過ぎてしまうのだ。
「まさか、これもユーベルコード……!」
「ええ、そうよ。楽しいものね。わかるわ、わたしも楽しい。だから、続けていきましょう」
 そう言ってアウルは笑い、そのすさまじい拳の一撃を持って『ギガンティック』を打ち倒すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラピリナ・ラピルバール
……逃しませんよ幼女総統!貴女は逃げ延びこの世界の民にまた無体を働くのでしょう!ならばまだお仕置きが足りていないという事!

こちらの攻撃が届く距離までは危険察知に優れる『てぃれっくす』に乗り追いかけます
てぃれっくすが逃げようとするなら飛び降り(てぃれっくすは勝手に逃げる)、『サードアーム』で武器と盾を構えて更に接近、足に抱きつく様に飛びつき【ビーストクラッシュ】を!
確かにこれで与えられる傷など微々たるもの。ですがこの傷は「止血不能」
この傷が増えるほどに消耗は激しくなります、なので、肌の露出してる部位を狙うのは戦術的な判断の結果であり決して幼女の肌が目当てではないのです!本当です!



「……逃がしませんよ幼女総統!」
 数百メートルを超える巨体でもってウラル山脈を超え、シベリア内陸部へと逃げ込もうとする幼女総統『ギガンティック』の背を追うのは、ラピリナ・ラピルバール(女騎士、ラビシャンに転生する・f39113)であった。
 彼女は『ギガンティック』を放置すれば、必ずや厄災を齎す存在であると知る。
「しつこいな、猟兵! 吾輩は撤退すると決めたのである。ならば!
「いいえ、貴女は逃げ延び、この世界の民に無体を働くのでしょう! ならばまだお仕置きが足りていないということ!」
「そうであるが!? だからなんだというのだ!」
 ゾルダートグラードの幼女総統。
 それが『ギガンティック』である。
 獣人たちを機械兵士へと改造し、生命を奪ってきた彼女に対して、ラピリナは怒りを燃やす。

 いたいけな幼子たちとて、犠牲になっただろう。
 そんなの。
 そんなの……。
 絶対に許しておけるわけがないのである。
 ラピリナの瞳がユーベルおk-度に輝く。
「吠えなさい、『てぃぃれっくす』!」
 乗騎のオオトカゲの手綱を握りしめる。安全地帯に逃げようとする『てぃれっくす』を無理矢理強引にラピリナは『ギガンティック』へと引き戻しながら、足場としてラピリナは飛ぶ。
 すたこらさっさと『てぃれっくす』は安全地帯に逃げ込んだが、捨て置く。
 いつものことである。 
 それでいいのかと思わないでもないが、しかし、ラピリナは構わなかった。
 彼女の瞳にあるのは、多くの幼子の命が弄ばれたという事実のみ。

 そんなの許せるわけがないのである。
「邪魔だ! 喰らえ、幼女キックッ!」
 前蹴りのように雑な『ギガンティック』の足が振りかぶられ、ラピリナを蹴り飛ばそうとする。
 だが、ラピリナは己がサイドアームと共に武器を構え、振りかぶられた足に抱きつくようにして勢いを殺す。
 凄まじい重力を感じる。
 内臓がひしゃげるのではと思うほどの勢いでラピリナは『ギガンティック』の足にしがみついたま宙に放り投げられる。
 しがみついていた『ギガンティック』の足に己が獣爪の傷跡が刻まれる。

 カミソリの刃で傷つけられたような痛みに『ギガンティック』は呻く。
 しかし、時間を巻き戻される。
 そう、これこそがエンドテイカー能力である。
 未成熟故に『最大60秒』しか巻き戻せないが、しかし、凄まじい力である。
 ラピリナの与えた傷がなかったことになってしまうのだ。
「ですが!」
 諦めることはない。巻き戻しは僅かなタイムラグが生まれる。 
 ならば、何度だってラピリナは己が爪を『ギガンティック』に刻むだろう。
 徐々に時は進む。

「ここからは根比べ! あなたが巻き戻せたのは、私が足に組み付いた後まで!」
 ならば、諦めずに何度も傷を与えれば。
「必ずや貴女に仇為す止血不能な傷を与えられる。不可逆なるその時まで、私は、諦めません!」
 ラピリナの瞳がユーベルコードに輝く。
「貴様っ、そんなこと言って吾輩の足に抱きつくことが目的ではあるまいな!? なんか息荒い気がするのだが!?」
「そんなことはありません! 決して! 肌を狙うのは、露出しているが故! 戦術的な判断であり決して幼女の肌が目的ではないです! 本当です!」
 その割には早口だな!? と『ギガンティック』はぞわぞわ来るものを感じながら、しかし、ラピリナの不屈の意志に折れるようにその肌に血潮止まらぬ傷跡を刻まれるのでった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
「今倒せればそれに越した事はねぇが…」
SPD

「できるかはともかく、とにかくやってみるさ」
UC発動。超超巨大ビームを騎乗したテスタロッサのダッシュ、推力移動と第六感で射線を見切り、避けるぜ
そして流星と彗星を乱れ撃ち、2回攻撃で倍になった弾幕を浴びせる
更にエネルギー充填したBRTでギガンティックの顔のすぐ横を体勢を崩したフリをしながら砲撃、わざと外す
これで本命の攻撃が外れたから能力を行使する程じゃないと思わせて真の本命のマヒ攻撃の蓄積から目を逸らさせるぞ
その巨体からすりゃ熱線銃の痛みなんて微々たるもんだろうしな多分

「さて、根競べと行こうか。600秒でも1200秒でも付き合ってやらぁ!」

アドリブ歓迎



 未成熟なれど魔女。
 それが幼女総統『ギガンティック』である。
 彼女の持つやりなおし能力、エンドテイカーは恐るべき力だ。己が最善を得るために何度でもやりなおすことのできる力。
 しかし。
「巻き戻し時間は『最大60秒』……今倒せればそれに越したことはねぇが……」
 その制約があってなお、『ギガンティック』は倒し難い敵である。
 なにせ、そもそもの体躯が数百メートルはあろうかという巨大な幼女なのだ。
 星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)はやはりどう考えても、難しいと思った。
「できるかはともかく、とにかくやってみるさ」
 そう、できるできないではないのだ。
 やらねばならない。
 やらなければ、世界が滅びる。故に猟兵達は戦うのだ。

 それに、どんな壁も限界も、己が腕一本でこれまで乗り越えてきたのだ。
 ならばこそ、絶望にはまだ速く、エンディングを告げるカーテンコールにさえ、また至っていない。
「やるさ!」
 宇宙バイク『テスタロッサ』が唸りを上げるようにして戦場を疾駆する。
 迫るは『ギガンティック』の放つビームの嵐。
 凄まじい熱波と衝撃波が遊ぶ中を飛ぶようにして駆けるのは至難の業であった。
 だが、『ギガンティック』も度重なる猟兵たちの遅滞戦術に性も根も尽きようとしていた。追い込めば、追い込むほどに彼女を打倒する確率があがる。
 ならばこそ、祐一は己の熱線銃を放つ。

「鬱陶しくも吾輩を追うか!」
「そりゃもちろんな!」
 放たれた熱戦は『ギガンティック』の頬をかすめる。
 それは祐一の砲撃が拙いと思わせるに十分なものであった。
「口だけは大層なものだがな、吾輩をこの程度でどうこうしようなどと!」
「確かにな」
 祐一は理解している。
 己たちが放つ攻撃が致命的であればあるほどに『ギガンティック』はエンドテイカー能力で時間を巻き戻す。
 だが、制約があるがゆえに乱発はできない。
 乱発すれば、必ずタイムラグによって徐々に時間が進み、不可逆たる時間だけが積み重なっていくのだ。

 故に『ギガンティック』は慎重にならざるを得ない。
 祐一が放った一撃がやりなおすほどではないと認識しているのならば、些細なことにかまってはいられない。
 だからこそ、祐一の本命たるマヒの蓄積が意識の外にあるのだ。
 祐一は自分が彼女を打倒できるとは思っていない。
 だが、己以外の誰かが必ずや打倒すると信じている。ならば、この熱戦に付与したマヒはいつか致命的な打撃となって『ギガンティック』の足を取るだろう。
「この程度の熱線などは!」
 吹き荒れるビームの嵐をかいくぐりながら、祐一は歯を食いしばる。
 そう、これは。

「根比べといこうか。600秒でも1200秒でも付き合ってやらぁ!」
 壮絶なる遅滞戦術なのだ。
『ギガンティック』の注意を引き、意識を釘付けにし、彼女が認識できぬ程の傷を積み重ねていく綱渡り。
 だが、それでもやってみると自身で祐一は決めたのだ。
 ならばこそ、祐一はこれを壁と捉え、己が乗騎である『テスタロッサ』と共にビームの嵐の中を走るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
巨体による単純な戦闘力に加え、エンドテイカーの能力
相当な能力を持ちながら、表立って行動しなかったのは己の力が未成熟だったが故……か?
勿論、機を窺っていたのもあるのだろうが
ま、その辺りがどうあれ。倒す好機を逃す理由はない……か!

神刀の封印を解除。神気により身体能力を強化して、ダッシュで接近しながら陸の秘剣【緋洸閃】を発動
敵の射撃にあわせて緋い刀を降り注がせて攻撃
ダメージは微々たるものでも、奴の動きを僅かに鈍らせるくらいは可能な筈
それによって生まれた隙に、射線から外れて敵に取り付こう

継続ダメージに対して奴がどう動くか不明なので接近後少しの間だけ身を潜め
頓着しないようであれば、徐々に追撃を加えていく



 魔女という存在は掛け値なしに脅威であった。
 あれだけの巨体とやりなおし能力。
 その2つを兼ね備えている時点で対峙する者には諦観と絶望しか齎さないだろう。
 だが、それでもこれまで超大国ゾルダートグラードにて表立って彼女が現れなかったのは、彼女自身が言うように魔女として未成熟であるからだろう。
 加えてオブリビオンであるというのならば、それ以上の成長はないのかもしれない。
 故に、彼女はこの獣人世界大戦という好機を伺っていたのだろう。
「どの道、どうであれ」
 夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は関係ないとばかりに神刀の封印を解除し、神気によって身体能力を強化しながら踏み込む。

 あれだけの巨体が逃げに徹しているのだ。
 恐るべきことにウラル山脈を障害物程度にしか思っていないのだ。
 踏破したウラル山脈から向こうはシベリア内陸部である。そこに逃げ込まれては猟兵たちも追う手立てがない。
 ならばこそ、此処で打倒するしかない。
 むしろ、これこそが絶好の好機なのだ。
「ええい、まだ追ってくるか!」
 忌々し下に構えた地味なライフル……いや、超超強大砲『シュリヒトゲヴェーア』からビームを放ち、追いすがる鏡介を討ち滅ぼさとする『ギガンティック』。
 その一撃は凄まじい。
 衝撃波と熱波が荒び、鏡介の強化された神気をも引き剥がすようであった。
 躱すことはできても、余波だけで此方を削ってくる凄まじさ。

「取り付くことができれば!」
「無駄よ! 吾輩は小さき者との戦いになれておるわ! この吾輩の玉体に組み付くことなど!」
 させるか、と『ギガンティック』の体躯に取り付く鏡介をまるで虫でも払うかのように手で叩き落さんとする。
 その掌を躱しながら、一気に駆け上がっていく。
「遅い……! やはり他の猟兵たちのダメージが蓄積しているか」
「くっ、体が鈍い……! 動きが制限される……何故だ?」
『ギガンティック』は理解していなかった。
 これまで猟兵達は不可逆なる傷を彼女に与えてきた。
 だが、それはただ消耗させるためだけのものではなかったのだ。

 そう、出血であれ、マヒであれ、彼女の体躯は今まさに巻き戻すことのできぬ傷跡によって、その身体能力を奪われ続けているのだ。
 故に、鏡介はユーベルコードを放つ。
「神刀解放。斬り穿て、千の刃――陸の秘剣【緋洸閃】(ロクノヒケン・ヒコウセン)」
 放つは刃。
 されど、その刃は神気を帯びた緋色の方なであり、その斬撃が生み出した傷跡と『ギガンティック』の行動を低速化させる力によって、巻き戻しの最大時間を大きく超過捺せ続けていくのだ。
「例え、これで仕留めきれなくても。他の猟兵がいる。なら『ギガンティック』、お前は」
 もはや進むも戻るもできなくなる。
 そういうように鏡介は『ギガンティック』が巻き戻す時間がどうあれ、己が役目を果たすように剣閃を叩き込み続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
(飛行式箒【リンドブルム】に搭乗)
…時間を戻すのは厄介だね…最大60秒・連続使用不可と言う辺りを突いていくか…

…電子型解析眼鏡【アルゴスの眼】で視界の隅に現在時刻を表示して巻き戻りのタイミングを把握…対処をしよう

…ギガンティックの周囲を飛び回りながら術式のよる攻撃に混ぜて周囲に遅発連動術式【クロノス】の刻印を打ち込んで行こう…
…操音作寂術式【メレテー】による轟音や現影投射術式【ファンタスマゴリア】による閃光の幻で円状に撃ち込んだ刻印の内部にギガンティックを60秒間足止め…そして【夜空染め咲く星の華】を発動して攻撃…
…時間を巻き戻されても既に準備は完了しているので即座に発動して光柱を叩き込もう…



「……時間を戻すのは厄介だね……」
『最大60秒』――それが幼女総統『ギガンティック』の持つやり直し能力エンドテイカーの限界である。
 幼女であるが故。
 それは彼女の力を制約なしに使うことができる代償であった、というのならば、あまりにも大きな代償である。
 だが、『ギガンティック』にとって、それは些細な問題であった。
 巨大な体躯と超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』があれば、大抵の敵はどうにかすることができたのだ。

 だが、例外がある。
 そう、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)たち猟兵である。
 彼らは巧妙にも時間を巻き戻す能力の欠点を知り、ついてくるのだ。
「……タイム、セット。巻き戻すタイミングはシビア。けれど、それはあっちも同じでしょう……」
 メンカルの電子型解析眼鏡『アルゴスの眼』を起動し、タイムカウントを始める。
「しつこいが過ぎるぞ、猟兵! 吾輩の道を阻むな!」
 やり直し能力。
 全てをなかったことにする暴虐の如き力。
 これを持って彼女は時間を巻き戻す。
 だが、そんな能力にも不可逆たる時間が存在する。
 即ち、60秒より前の時間である。

 ここまで他の猟兵たちが刻んできた傷跡は、確かに『ギガンティック』を消耗させてきた。それが今の彼女の窮地を決定づけているというのは真である。
 故にメンカルは『リンドブルム』で飛び回り、術式による攻撃を混ぜながら、遅発連動術式を戦場に刻印として巻き込んでいく。
「……セット」
「巻き戻せば同じことよ!」
 エンドテイカー能力で持って発動前に戻る時間。
 なかったことにされた時間の中でメンカルは理解していた。
 やはり『ギガンティック』は追い込まれている。

 こちらの仕掛けに過敏になっているのだ。
 ならばこそ、メンカルは己の術式がハマることを理解した。
 音を操り、幻影を投射する術式によって『ギガンティック』は此方の挙動を頭から潰していると認識しただろう。
 そこに落とし穴がある。
 知らず知らずの内に進行していくメンカルのユーベルコード。
 多大な労力を有するが、しかして『ギガンティック』は既にメンカルのユーベルコードの中に収まっている。

 立ち上がるは障壁。
 それらは一瞬で『ギガンティック』を取り囲む。
「……ッ!? 何故、障壁が吾輩を取り囲んでいる!? 一体いつの間に……」
「……簡単なこと。お前が今まで見て、巻き戻していたのは幻影の術式。私の本来の術式はすでに完了している。なら……」
 後は、と数多の星の力を宿した光柱が『ギガンティック』の頭上より降り注ぐ。
 それは凄まじい一撃の連続であった。
 巻き戻そうとしても、すでに光の柱が彼女の頭上より降り注ぐ時点までしか巻き戻せない。
 緻密な計算によって導き出されたメンカルの夜空染め咲く星の華(ダイ・ザ・スカイ)たる一撃は不可逆の痛打となって『ギガンティック』を打ち据えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
【ステルク】
ふむ、珍しく勇者がやる気
それではメイドも追従するとしましょう
っていうか、皆様もっと幼女の真正面から攻めてあげて
小指が可哀想なことになってるじゃないですか

巻き戻せる限界があるのなら
そこを狙っていくのがメイドスタイル!
ルクス様の提案が珍しく、100回に1回レベルの有効打
その作戦乗らせて……コンサートぉぉぉぉ!?
ダメですルクス様それだけはダメです!
巻き戻し以前に世界が滅びますので!?

ええい、もう!!

地獄の2時間を乗り切って見せましょう!
【アウルム・ラエティティア】!
私に向かってくる破壊音波は相殺しつつ
ダメージのみを幼女総統へ!

生きてるだけで世界を壊すとか
どこの光の勇者ですか!


ルクス・アルブス
【ステルク】

前回は逃がしてしまいましたけど、ここで捕まえればいいんですよね!
あの小指では遠くまでは逃げられないはずです。

すっごい腫れてましたからね。
あれはもう、なにかちょっと当たっただけで泣いちゃうレベルですよ!

といっても、厄介能力は健在なんですよね。
そしてそれをなんとかするためには、長期戦ってことですよね。

ふっふっふっ。お任せくださいステラさん。
わたしに秘策あり、ですよ!

さぁコンサートを開きましょう!
コンサートなら少なくとも2時間は演奏しっぱなしです。
多少巻き戻しができるくらいでは、揺るがないですよ!

さぁさぁステラさんもいっしょにセッションですよ。
2人の演奏で幼女を虜にしちゃいましょう!



 珍しいこともあるものだ、とステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は思った。
 何がそんなに珍しいのかというとルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)がとてもやる気なのだ。
「前回は逃がしてしまいましたけれど、ここで捕まえれば良いんですよね!」
 ふんすふんすと鼻息荒い。
 ステラはどうしてか己の直感が嫌なイメージを払拭できていないことに訝しみながらも、しかし、追従することを選んだ。
 それが間違いの元である。
 だが、今のステラには伺い知れぬことであったし、当然でもあったことだろう。

「勇者がやる気ならば、メイドも追従する、といもの」
「はい! あの小指では遠くまでは逃げられないはずです!」
「とは言え、我々とは歩幅というものが違いすぎますが……」
 そうなのだ。
 幼女総統『ギガンティック』の体躯は数百メートル。
 即ち、一歩の歩幅も凄まじい距離を稼ぐことができる。
 実際、すでにウラル山脈を彼女は超えて、シベリア内陸へと迫らんとしていた。
「とは言え、皆様もっと幼女の真正面から攻める、ということはないのでしょうか。小指が可哀想なことになっていたではありませんか」
「すっごい腫れてましたからね。あれはもう、なにかちょっとあたっただけで泣いちゃうレベルですよ!」
 ルクスはステラの言葉に同意する。
 そう、前回の戦いで猟兵達は『ギガンティック』に対して凄まじいまでの小指への集中攻撃を仕掛けていたのだ。

 それにより彼女は撤退に追い込まれ、今もなお執拗に追撃されているのだ。
「と入っても、厄介能力は健在なんですよね」
「ええ、エンドテイカー能力。恐るべき力です。ですが、巻き戻せる限界があるのならば、そこを狙っていくのがメイドスタイルというもの!」
「それって先程ステラさんが言っていたのと矛盾しません?」
 真正面から向き合って。
 だが断る。
 弱み辛みにつけ込むのが戦場の常であるというのならば、此処は戦場。情け無用の残虐ファイトレディーゴーである。

「ふっふっふ。お任せくださいステラさん。わたしに秘策あり、ですよ!」
 なんだかとっても極めて優秀な勇者な顔をしてルクスはステラに胸をはる。
 そう、巻き戻し時間に限界があるのならば、長期戦を行わなければならない。なら、どうするか。
 そう、簡単な話なのだ。
「さぁ、コンサートを開きましょう!」
「はいはい、コンサートですね。ルクス様にしては珍しく百分の一のレベルで有効打。その作戦乗らせて……」
 ん?
 今なんて?
「コンサートです。少なともに時間は演奏しっぱなしです。多少巻き戻しができる程度では揺らがないですよ!」
「……コンサートぉぉぉぉ!? ダメですルクス様それだけはダメです。巻き戻し以前に死人がでますので!?」
「音楽の可能性は無限大です!」
 聞く耳なんてなかった。

 ルクスの瞳がユーベルコードに輝き、戦場がルクスのコンサート会場へと変貌する。
 これが音楽の可能性・そのに(オンガクノカノウセイソノニ)だ!
 そういうものかな、と思ったがステラはこれから地獄が始まることを理解した。
「やめっ、えっ、本当に二時間も!?」
「はい!」
 にっこり笑顔のルクスである。
 ならばもうダメである。
「ええい、もう!!」
 ならば、二時間の地獄を乗り切るまでである。
「いま、此処に在れる喜びを歌に! やけくそです!」
「いえーい、ステラさんとのセッション!」
 ステラの歌声が響き渡る。己の向かってくる破壊音波を相殺しつつ、幼女総統『ギガンティック』へと叩き込むのだ。

「ぐおっ?! 何だ、この音は……!? 騒音? いや、もっとひどいなにか…!?」
 響き渡る音と旋律。
 もうそのように表現することすらおこがましい破壊音波のレゾナンス。
 いい感じに表現しても、有り余るほどの破壊の音。
 それは如何に巻き戻そうとしても二時間たっぷり鳴り響き、『ギガンティック』の自律神経やらなんやらに甚大な被害を齎すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

時間をかけてぇー?んもー

●こういうときは他人(本人)任せ
問:キミのすごい秘密聞かせて?に設定!
UC『神門』により現れるギガンティック!
そう彼女はボクの真摯な訴えを聞き届け全ての世界のために力を貸してくれるホワイトギガンティック!
え?く…っ、許せ吾輩はこの邪神に逆らえんのだ…!とか言ってる?やだなあそんなわけないじゃない
ね!!

そう例えばもし出力がこの世界の彼女に及ばなかったとしてもボクが【第六感】で感じたいい感じのタイミングで力を貸せば戦況は覆しうる!
えいえいとドカデカミン級の[球体]くんたちを巻き戻しを使ったところに投げてこー!
友情!努力!勝利!ってやつだね!イェイ!



「んもー」
 正直に言えば面倒くさい。
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は紛うことなく、そう思っていた。
 幼女総統『ギガンティック』の能力は、己が望む最善を手繰り寄せるやり直し能力。
 エンドテイカー能力と呼ばれる恐るべき力。
 その欠点は彼女が未成熟であるが故の『最大60秒』の時間の巻き戻し。
 故に長期戦を仕掛けなければならないのだ。

 ロニはいつだった短期決戦ばかりを望む。
 というか、ワンパンでいつもどうにかしてきた。
 だからこそ、ロニは面倒だな、と思ったのだ。
 時間を掛けて良いのは、そんなに多くはない。いつだってインスタント。3分待てれば上等なものなのである。
 故にロニはユーベルコードを発露する。
 なんやかんやで並行世界などへと通じる門を持って幼女総統『ギガンティック』の並行世界同位体を召喚したのだ。
 居並ぶは、二人の幼女。
 それも巨大な幼女が二人である。
「こういう時は他人任せに限るよね!」
 神門(ゴッドゲート)より現れたもう一人の『ギガンティック』に、本人が目を見開く。

「何故、吾輩がいる!? これは鏡か!?」
「ううん、違うよ! キミ自身さ!」
 ロニは笑って、『ギガンティック』の肩に腰掛ける。
「そう、彼女はボクの真摯な訴えを聞き届け、全ての世界のために力を貸してくれるホワイトギガンティック!」
「くっ、殺せ。吾輩はこの邪神に逆らえんのだ……!」
「……本当か?」
 というか、時間を普通に巻き戻しては、また同じやり取りを何度も行っている。
 しかし、エンドテイカー能力同士がぶつかればどうなるかなんてわかっている。
 巻き戻しは起こり得ない。
 ならば、この会話も意味がないことであった。
 正しいことも間違ったことも意味がない。
 
 故に相殺されるのだ。
 互いの力が同じなら、対消滅を起こしてしまう。
「というか、一体全体どのような説得を行えば、このような事態になるのだ!?」
「それは企業秘密かな! ていうか、言ったでしょ、ボクの真摯な訴えを聞き届けてくれたって!」
「許せ、逆らえんのだ……!」
「そればっかりだな!?」
 二人の『ギガンティック』の困惑ばかりが戦場に伝わっていく。
 うん、とロには頷く。
 確かににっちもさっちも行かない状況である。
 ならば、この戦況を動かすのは最後には自分なのだ。
 このエンドテイカー能力が相殺されている状況であれば、普通に攻撃が通る。

「これが友情! 努力! 勝利! ってやつだね!」
 イェイ! とロニは巨大な球体を呼び出し、『ギガンティック』の後頭部にぶつけ相殺されたエンドテイカー能力を発動させるまでもなく彼女を消耗させるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヌグエン・トラングタン
本来持つ力を存分に使えない、ってのは…未成熟ならあり得る話だわな。
生来の力ってのも、使い慣れるのは必要だからな…。

が、それが付け入る隙というのなら、存分にやってやろうじゃねえか。
UC使って、金翅蝶を凍炎まとう金翅蝶へ変形させる。
そして、それで脚部に攻撃したあとは、凍炎不死鳥で顔のあたりを攻撃してもらう。凍るとは言っても、炎は目立つからな。目は釣られる。そうして時間を稼ぐ。

そして、そのキックは一度見た。見切っていって避けるしかないだろうな。
…まあその時まで、足が無事だったらいいな?
凍ったものが急に解けるとどうなるか。そういう話だ。



 幼女総統『ギガンティック』は未成熟な魔女である。
 それ故に魔女であれば際限なく時間を巻き戻す力、エンドテイカー能力に制約が課せられている。
『最大60秒』
 それが彼女のエンドテイカー能力の限界である。
 故に、不可逆たる時間を重ね、猟兵達はユーベルコードに寄る打撃を『ギガンティック』に叩き込んできたのだ。
 消耗しきっている。
 彼女の姿はいっそ痛々しいものであったが、しかし、ここで彼女を打倒できなければ
『ギガンティック』はさらなる世界の脅威へと変貌するだろう。
「本来持つ力を存分に使えない、ってのは……未成熟ならあり得る話だわな」
「貴様ら猟兵なぞ、それで十分であったはずだ。それが!」
 ヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)の言葉に『ギガンティック』は呻く。

 それは侮っていたからだ。
 猟兵達一人ひとりが紡いできた力が、雁字搦めのように『ギガンティック』の時間を不可逆へと落としたのだ。
 故に彼女は傷跡をなかったことにできず、消耗の果にるのだ。
「生来の力ってのも、使い慣れるのに時間が必要だからな。だからこそ、未成熟なままで止まっているお前は」
 ヌグエンはユーベルコードによって『金翅蝶』に凍れる焔を注ぎ込み、炎纏う蝶へと変貌させる。
 放たれる攻撃に『ギガンティック』の脚部が切り裂かれる。
 しかし、即座に巻き戻され、傷跡が消えている。いや、なかったことにされているのだ。
 だが、止まらない。
 巻き戻しの最大時間が60秒であるというのならば、それだけ時間を稼げば良いのだ。

「鬱陶しくも飛び回りおって!」
 踏みつけるような『ギガンティック』の一撃が大地を砕く。
 ただ足を踏み出しただけでもこれなのだ。
 さらに己が力を込めた一撃は、ただ踏みつけるだけで『金翅蝶』を砕く。
 しかし、その砕いた一撃の最中にヌグエンは煽られながらも笑む。
「おいおい、それを踏んで大丈夫か?」
「なに……?」
「だから、それは凍れる炎だぜ? 万物を凍結させ、融解させる性質を持つ炎ってことだ。なら」
 ヌグエンの言葉と共に『ギガンティック』の足元から立ち上る炎。
 踏みつけた靴底から凍結し融解していくのだ。
 それはすでに巻き戻せぬ時間まで進んでいた。例え、巻き戻したとしても、凍れる炎が『ギガンティック』によって踏み潰された事象はやり直せない。

 ならば、すでにその結果は、因果は決定づけられているのだ。
「貴様……!」
「凍ったものが急に溶けるとどうなるか。そういう話だ」
『ギガンティック』のブーツが焼け落ちるようにずたずたになっていく。
 そのさまをヌグエンは見やり、怒りの咆哮を上げる彼女に、それはまるで厄災の前兆(コオリテトケル)を告げるように笑うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ワルルーナ・ティアーメル
むむむ……だが幼女大総統や他の敵の糧とかになられても面倒だ
ここでボコボコにしてやり直す気力も奪ってやろう!

という訳で、翼で飛翔して後を追っ掛ける!ビームはおまけで魔王オーラをはっておき、大きく迂回して回避するぞ!向こうとて逃げる最中、余計な消耗は避けたいであろうからな!
そして追い付いたら『ワルルーナアイ』で奴の内心の願望を読み取り、そこから【ワルルーナ羨望ブレス】を浴びせてやろう!
このブレス自体は単に「相手を相手自身が望んだ姿へと変える」だけだ。だが我の問いに真実を返せば理想の姿は失われ、返さねば理屈は解らんがダメージが入り続ける!勿論、やり直しても理想の姿は失うがな!
さあどうする幼女総統!



 己が最善を得るためのやりなおし能力。 
 それがエンドテイカー能力である。
 時間を巻き戻すという理不尽極まりない力。これを狙う者がいるということをワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)は知る。
 ならばこそ、戦わねばならない。
 あの数百メートルの巨体を誇る幼女総統『ギガンティック』と。
 正直に言えば、こちらの損害が甚大になるのは目に見えていた。
 先立っての戦いだってそうだったのだ。
「むむむ……しかし、いや、しかし! 幼女総統や他の敵の糧になられても面倒だ。ここでボコボコにしてやり直す気力も奪ってやろう!」
 ワルルーナの言葉に『ギガンティック』は怒り心頭であった。

「ぬかせ! 吾輩は未成熟なれど、エンドテイカー能力は依然、貴様らにとっては脅威そのものであろうが!」
「だからなんであろうか! 我は百胎堕天竜魔王なるぞ! 魔女なにするものぞ!」
 ワルルーナは翼でもって飛翔し、撤退しようとしてる『ギガンティック』に追いすがり、ビームをぶっ放す。
 その一撃と超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』の放つビームが激突する。
 迸る力の奔流。
 その余波だけで周囲の地形がずたずたにされてしまう。
「ええい、しつこい!」
「それもまた我の専売特許よ!」
「専売特許、多すぎであるな!?」
 大きくワルルーナは空中を迂回して『ギガンティック』に回り込むようにして前方へと陣取る。

 どうあっても撤退さえぬという意思を感じさせた。
「くっ……」
「であろうな。やりなおし能力は確かに恐るべきものであるが、欠点もある。特に貴様においては顕著! 時間制限があるからこそ、貴様は、これまで猟兵にもボコられてきたのだ!」
「黙れ!」
 ビームの嵐がワルルーナを襲う。
 そう、他の猟兵達がそうしたように遅滞戦術である。
『ギガンティック』は知らず知らずの内に消耗しているのだ。
『最大60秒』という制約のあるエンドテイカー能力では、じりじりと彼女の体力が削られてしまう。
 やりなおすには戦いに費やした時間が多すぎたのだ。

「貴様の願望を叶えてやろう! 見よ、この『ワルルーナアイ』を!」
 ワルルーナは己が魔眼でもって『ギガンティック』の願望を読み取る。
 肝心なのは彼女が望むこと。
 即ち、この戦場からの撤退である。

 故に。
「な、なんだ、貴様その姿は……!?」
『ギガンティック』の眼の前にあったのは成熟した己の姿であった。
 自身の魔女としての姿。
 得られなかった姿であるとも言える。幼女は未成熟であるがゆえに幼女。だが、ワルルーナの放ったワルルーナ羨望ブレス(ミラージュブレス)は彼女の望みの姿を生み出し、幻覚ブレスとなって襲いかかったのだ。

「くっくっく、恥じることなぞないぞ? 誰にだってなりたい自分ぐらいあるのだからな」
 ワルルーナは笑む。
 ワルな笑みであった。
 己が望む姿を肯定すれば、この幻影は解除される。
 だが、逡巡すればするほどに時間は過ぎていく。巻き戻すことができなくなってしまう。
 否定すれば。
「ところで……“この姿は気に入ったか?”」
「ち、違う、吾輩は、幼女、幼女総統である……そんな、成長仕切った姿など!」
「偽りだな!」
 ワルルーナの言葉と共に『ギガンティック』の体が引き裂かれるようにして血しぶきが舞う。
 そう、成長するという未来の己の姿を否定することこそ、彼女のアイデンティティを保つためには必要なこと。
 だが、己を否定するという行いそのものが、そこに至る可能性を棄てたことなのだ。
「幼女総統、破れたり!」
 大地に沈む巨体を見下ろし、ワルルーナは己たちの勝利を確信したのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年05月22日


挿絵イラスト