獣人世界大戦⑯〜果ての荒野でつかまえて
「やりおるわ、猟兵どもめ……」
何度目かの|エンドテイカー《巻き戻し》を経て、幼女総統「ギガンティック」は攻め切れない状況に歯噛みする。立ちはだかる猟兵達は各々に手を尽くし、無類の巨躯も、特製の砲も、瞬く間に攻略してしまった。
手痛い一撃を何度も貰い、その度に『なかったこと』にはしてきたけれど、彼女の記憶には幾多の苦戦と敗北が刻み込まれている。
このままではまずい、そう形勢不利を悟ったらしいギガンティックは、方針の変更に踏み切った。
「諸君! 吾輩は一時撤退する! 敵を振り切った後、形勢を立て直すのだ!」
●追いかけっこ
「とりあえず、目下の突撃は諦めてくれたようです! さすがですね皆さん!!」
これもウラル山脈で迎撃に当たった猟兵達の成果だろう。一人で盛大に拍手を贈った白鳥沢・慧斗(暁の声・f41167)は、地図上に、幼女総統「ギガンティック」の予測進路を書き込む。
山脈を平らに変える進撃は諦めたようだが、彼女は山を越え、シベリア内陸部へと逃走を図っている。
戦力的にも時間的にも、彼女とその手勢に、もはや「はじまりの猟兵」を狙う余力はないだろう。しかし問題となるのは、ギガンティックのその巨体だ。
「潔いと言うか何と言うか、彼女はとにかく一直線に、真っ直ぐ逃走しています! 当然道中には山とか川とか市街地とかありますが、あのサイズですと全部踏み越えていけるようですね!!」
大迷惑である。
その凄い歩幅で駆ける彼女は、大地や街に甚大な被害をもたらしながら駆け抜けていく。
「関係ない獣人の皆さんに被害が広まらないよう、何とかカバーしていただけないでしょうか!」
市民や市街があの大きな足に踏まれることを何とか防いでほしい、というのが彼の願いである。そして当然、これ以上被害を広めないためには、これ以上逃走を続けられないよう倒してしまうのが手っ取り早い。
「もちろん総統さんも抵抗してくるでしょうが……何とかしのぎ、人々を救ってください! よろしくおねがいします!!」
よく響く声でそう頼んで、慧斗は一同を戦場へと送り出した。
つじ
今度は追撃戦……いや災害対応の方が近いですかね?
皆さんの協力をお待ちしています。
●幼女総統ギガンティック
体高数百メートルの幼女です。
この作戦の成否は、今回の戦争の決着には直接関係しませんが、今後の展開に影響が出る……かもしれません。
●プレイングボーナス
ギガンティックの歩幅に対処する/周辺地形の破壊を阻止する。
幼女総統ギガンティックは全力逃走中ですが、猟兵達に対しては、適時ユーベルコードでの攻撃も行ってきます。
第1章 ボス戦
『幼女総統「ギガンティック」』
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POW : 幼女キーック!!!!
単純で重い【幼女キック】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 超超巨大ビィーム!!!!
【超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』】から、レベル×5mの直線上に【超超巨大ビーム】を放出する。【魔力】を消費し続ければ、放出を持続可能。
WIZ : 斯様な結末、吾輩は断じて認めない!!!!
全身に【終焉を巻き戻す「エンドテイカーの魔力」】を帯び、戦場内全ての敵の行動を【巻き戻されてゆく時間の流れ】で妨害可能になる。成功するとダメージと移動阻止。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
サツキ・ウカガミ
撤退まで迷惑!
ちょっとは配慮して欲しいよね。
【分霊同化・改】で分身を視界内ぎりぎりに作っては消し、で瞬間移動。
ボクの移動速度から、逃げられるとは思わないことだね!
追いついたら、周囲の状況を[情報収集]して[見切り]つつ
大量の分身でまとわりつき、
[急所突き・暗殺・2回攻撃]や[斬撃波]で削っていこう。
本体を悟らせないように分身から分身へ移動を繰り返し、
何度も攻撃して削っていきたいね。
分身の出現位置・数・傾向や攻撃箇所を調整することで、
足を止めさせたり、街へ向かわせないようコントロールしたり
シュリヒトゲヴェーアを空中に無駄撃ちさせたり出来たら、万々歳。
そろそろ、迷惑も終わりにしてもらうよ!
●
踏み締められた大地が沈んで、山のような巨体が地面を離れる。一瞬の浮遊、慣性で前進しながらも、それは重力に引かれてまた地面に降りる。走る幼女総統ギガンティック、その前に突き出した爪先が大地を抉り、衝撃が周辺の地形を爆裂させる。彼女からすれば小規模な、しかし普通の人間サイズの獣人達からすれば甚大な被害をもたらす土煙を巻き上げて、逃走は続く。
「ちょっと配慮とか……」
してほしいな、とサツキ・ウカガミ(|忍夜皐曲者《しのびよるめいはくせもの》・f38892)が呟く。よっぽどのことがなければ見逃さないであろうその後ろ姿は、追走する側としてはありがたいが、やはり迷惑極まりない。
とはいえ、このままでは追いかけるのも難しいほどの歩幅の差があるわけだが、そこは忍びの腕の見せ所。
「ボクの移動速度から、逃げられるとは思わないことだね!」
印を切ると同時に生まれる分身、視界のぎりぎりに作ったそれを消すと同時に、入れ替わる――『分霊同化・改』。ひと手間かかるとはいえ、視界内であればほぼ瞬間移動に等しい移動が可能となるのだ。順に生み出した分身を、次々に乗り継ぐようにして、サツキは圧倒的なスピードでギガンティックとの距離を詰めていく。
「この辺かな……?」
一定距離以降は敵の移動に伴う土煙が視界を塞いでしまう。ただただ前進しているのみではいずれ移動不可能になってしまうが、その前に、ぎりぎり見えるギガンティックの頭を狙って。
「行くよ!」
「うわっ、何事だ!?」
分身との入れ替わり。ギガンティックの頭上に転移したところで、サツキは一気に多数の分身を展開した。総統からすれば小さな相手だろうが、突然目の前に現れた100を超える人影に、面食らってその走りが乱れる。
虫の群れに突っ込んだような感じだろうか、と想像して一瞬微妙な表情を浮かべながらも、サツキはこの機を逃さず攻撃にかかった。
取り付いた肩口、首の反対側、頬――次々に分身と入れ替わりながら斬り付けて、敵が身体を揺すれば空中へと流れる。
『えーい、我輩に集るな、鬱陶しい!』
我慢ならぬ、とばかりに雑に振るわれた|地味なライフル《シュリヒトゲヴェーア》が、銃口から発した光線で空中を薙ぎ払い、サツキの『影』をごっそりと吹き飛ばす。
「残念、本物のボクは一人だけ!」
耳元で聞こえたそれに、ギガンティックが平手を振るうが、瞬間移動したサツキはそこにはもういない。
「そろそろ、迷惑も終わりにしてもらうよ!」
大きさの差は言うまでもない。だがそれにもかかわらず、サツキは単騎で巨大な敵を翻弄し、足止めすることに成功した。
生ずる傷がエンドテイカーになかったことにされようとも、いずれその牙は彼女に届く、はずだ。
大成功
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清里・柚月
あんなでっかいのに走り回られたら酷いコトになるしね!
早いところ止めないと!
Reviathan車両形態で全力走行、【悪路走破】で突っ切ってギガンティックに追いつくよ。
敵の砲撃は【推力移動】での瞬間加速やハンドル捌き(【運転】)を駆使して回避。
間合いに捉えたらコード・ネオンマイト起動、パイルをギガンティックの身体に撃ち込んでエネルギーを吸収。
吸い上げたエネルギーでコード・ブレイクショットを起動、氷属性を付与したミサイルを叩き込む。
凍らせて動きを止められればよし、駄目でも低温で動きを鈍らせられないかなって。
後はFogShadowで山の幻を展開(【幻影使い】)、進行方向を迷わせ足止めできればと。
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「あんなでっかいのに走り回られたら酷いコトになるしね! 早いところ止めないと!」
そんな予想の通り、車両形態となったReviathanを走らせる清里・柚月(N.D.O・f26171)の前には、凄まじい荒れ地が広がっていた。陥没と隆起、巨大な両足が走行によって刻んでいった轍は、オフロードレースのコースなど比にもならない有様だった。
しかしながら、悪路を走るのもこの車体にはお手のもの、踏み込んだアクセルの同量の推力で以て、彼女は先を行くギガンティックに向けて走っていく。
「む……追ってきておるな、性懲りもなく!」
他の猟兵達に足止めされたり痛い目に合わされたりしたのだろう、敏感にその接近を察知したギガンティックは、振り返り、|シュリヒトゲヴェーア《地味なライフル》を構える。自らの足跡をなぞり、まとめて吹き飛ばすような超巨大な光線が放射され、一帯を白く染め上げる。光の奔流は道中の地面を捲りあがらせ、爆風を巻き起こし――。
「やったか!?」
ギガンティックが飛び散る瓦礫の向こうを見通そうと目を凝らす。徐々に晴れていく土煙の向こうは、期待通りの更地が広がっていたが。
「パイル射出!」
その一角、光線の作った轍を乗り越え飛び上がったReviathanの車体から、杭が発射される。
瞬間的な加速とハンドル捌きで光線を凌いだ柚月は『Code-LR/VR3"Neonmite"』を起動、迎撃のために足を止めたギガンティックへとパイルを打ち込むことに成功した。
「おのれ、チクッとしたぞ今の!」
ユーベルコードの杭もあの巨体にとっては小さな棘に過ぎないのか、幼女らしい反応が返ってきたが、その真価はここからである。
「そのエネルギー、使わせてもらうよ!」
特殊素材でできたそのパイルは、命中した対象のエネルギーを吸い上げる。その巨体に見合った底無しの力を利用して、柚月はすかさず次のコードを走らせた。
「まとめて叩き込んであげる!」
生じた無数のミサイルが一斉に発射され、四方に弾頭が飛び散っていく。澄んだ青色の煙を巻き上げたそれらは、すぐに対象へと向きを変え、それぞれに煙の尾を引きながら殺到した。
『ええい脛を狙うな、脛を!』
当たると痛いらしい、敵の反応はその程度だったが、その爆発は衝撃と共に秘めた属性、今回の場合は冷気となって爆ぜる。
膝下を重点的に狙われたギガンティックは、両足を氷漬けにされ、地に縫い留められることになった。
『くっ、これでは走れんではないか!』
「しばらくそこで止まっててね」
しかも寒いし。あの巨体と怪力で氷を脱するにしても、もう少しはかかるだろう。攻撃に回る他の猟兵達のため、時間を稼ぐことには成功したはずだ。
大成功
🔵🔵🔵
ミーガン・クイン
楽しい追いかけっこの始まりねぇ。
私のかわいい天使。
守護大天使『ミュールフォン』を【武器巨大化】するわぁ。
【拡大魔法・重】を【拡大魔法】に合わせて発動させましょう。
謹製の巨大化薬も加えてあげる。
どこまで大きくなってくれるかしらぁ。
さぁ、私を乗せてギガンティックを追いかけなさい。
一歩が大きいならそれよりも大きな一歩を。
【重量攻撃】を乗せた【踏みつけ】でギガンティックちゃんを押さえつけなさい♪
●
大地を揺るがす足音と、巨大さに見合ったその歩幅。遠目に見ればただの走る幼女だが、総統「ギガンティック」のそれは、一歩で川を越え、山をも飛び越す規格外の知り者だ。
しかしながら、その辺りはミーガン・クイン(規格外の魔女・f36759)も負けてはいない。
「楽しい追いかけっこの始まりねぇ」
描き出された魔法陣の上、彼女の守護大天使『ミュールフォン』が、ミーガンの拡大魔法を受けて翼を広げる。
大きくなぁれ、もっと、もーっと。魔女の秘薬と魔法、さらにはもうひとつ、もうひとつと多重に拡大魔法をかけていけば、巨大幼女総統を凌ぐ超巨大守護天使の出来上がりだ。天を突く威容を誇る守護天使は、指先で運んだミーガンをその身に乗せる。
高く高く、地上から遠く離れたそこからならば、走り去ろうとしているギガンティックの背中も容易に見下ろすことが出来るだろう。
「さぁ、ギガンティックを追いかけなさい」
ミーガンの命を受け、巨大なミュールフォンが走り出す。
敵の一歩が大きいというのなら、こちらはさらに大きな一歩を。巨大対超巨大、大人と子供のサイズ差によって、ミーガンを乗せたミュールフォンが素早く距離を詰めていく。自分を超える足音にギガンティックも気付いたのだろう、後ろを振り返ると、素早くその銃を構えた。
「我輩を見下ろすとは、不届きな!」
煌めく閃光、全てを薙ぎ払う|シュリヒトゲヴェーア《地味なライフル》からの砲撃。だがそれを、巨体に任せて掻き分けるようにしてミュールフォンは前進する。
「この戦争で何度も味わったでしょうに、あなたより大きなものなんて沢山あるのよ?」
爆ぜ飛ぶ光線の束の向こう、ミーガンの声は果たして敵に届いたかどうか。
「さあ、ギガンティックちゃんを押さえつけなさい♪」
とにかく、ミュールフォンはそこで踏み切って高く跳躍すると。ギガンティックをその足裏で思い切り踏み付ける。
「あーーーーっ!?」
巨体二つ分の体重を乗せて、荒野に巨大な人の形が刻まれた。
大成功
🔵🔵🔵
七那原・望
逃がしません!
こうなってはもう身長よこせとか言ってる場合じゃないのです。あんな身長おばけがどすどす走り回ったらどれだけの被害をもたらすか。
強化属性全力魔法でスピードを限界突破させ、念動力で浮力を与えたスケルツァンドに騎乗し、高速空中機動でギガンティックに追いつきます。
目隠しはあらかじめ着けておき、第六感と心眼と気配感知と聞き耳でギガンティックの行動を見切り、幼女キックを掻い潜りながら早業二回攻撃の絶・蘇威禍割で頭部を概念ごと砕き、一撃即死を狙います。
倒れるギガンティックは風属性全力魔法とオラトリオをクッション代わりにして受け止めましょう。こんなの倒れるだけで地震が起きますし。
オリヴィア・ローゼンタール
見た目は可愛らしいのに、巨大であるというのはただそれだけで対処に困りますね!
白いパイロットスーツに身を包み、召喚したヘラクレスに【騎乗】
いつもは頼もしいヘラクレスの巨躯が、こうも小さく感じるとは……
それでも、ほんの少しですが、生身よりはあの歩幅に近づける筈
全力疾走で必死に追いかける(ダッシュ・追跡)
街を踏み潰しそうになれば、その一歩前で足の裏に跳び込む(覚悟)
踏ん張りなさい! ヘラクレス!!
アトラスに代わって天空を支えたのに比べれば、どうということはないでしょう!!(負けん気)
全身全霊を【振り絞り】、【限界突破】した【怪力】で別方向へ【暴君投擲】!!!
せぇええい!!(投擲・吹き飛ばし)
●
進軍から一次撤退へと方針を変え、踵を返したギガンティックの背を、七那原・望(比翼の果実・f04836)が追う。色々と憎たらしい相手ではあるが、こうなってはもう身長よこせとか言っている場合ではない。その巨体のままにどすどすと走り回られては、周辺地形にどれだけのダメージが行くか。そしてそれが人の住む場所に至ればどうなるか――。
「逃がしません!」
宇宙バイク、スケルツァンドに跨った彼女は、そこに念動力で浮力を与える。重力に反するように浮き上がったそこに、魔力による加速も加えて、文字通り飛ぶように前へ。高速で空を舞う純白の鳥は一気に敵との距離を詰めにかかる。しかしそれでもなお『一瞬で』とはいかないのは、やはりそのサイズ差のせいもあるだろうか。
「見た目は可愛らしいのに、巨大であるというのはただそれだけで対処に困りますね!」
同様にギガンティックの背を追うのは、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)の駆るスーパーロボット、ヘラクレスだ。
強靭無比の膂力を活かし、生身のそれを遥かに超えるスピードで走る機体は、敵の足跡というなのクレーターを踏み越えて、敵へと迫る。
「それにしても、いつもは頼もしいヘラクレスの巨躯が、こうも小さく感じるとは……」
中々ない機会、と言えるかもしれない。白いパイロットスーツに身を包み、ヘラクレスに騎乗したオリヴィアの位置からでも、ギガンティックの背中は遥か高く、近付けば近づくほどに視界の上へと消えていく。
だがそれは、こちらが足を止める理由にはならない。必死に駆けて、激しい地鳴りの響く、ギガンティックの足元という破壊の嵐が吹き荒れる現場へ――。
と、そんな追走する二人の存在に気付いているのかいないのか、ギガンティックは定めた方向へとペースを落とさず走り続けている。当然、その歩みは目前の小さな街程度で緩むはずもない。規則正しく、無造作なその一歩が人々の住む街を丸ごと踏み締める、その目前に。
「これだから身長おばけは――!」
望の呼び寄せた逆巻く風と、地面から伸びたエクルベージュ色の影が、ギガンティックの足が着地するのを妨げる。一瞬速度の緩んだ機を逃さず、続けてオリヴィアの乗ったヘラクレスが飛び込んだ。
「行きなさい、ヘラクレス!!」
疾走してきた勢いで地面に轍を刻みながらも、振り返った機体は大地を踏みしめ、両腕を高く掲げる。
降り来るのは流星よりも重いギガンティックの靴裏、全てを平らにするそれを、ヘラクレスはその身を呈して受け止めた。
「踏ん張りなさい! アトラスに代わって天空を支えたのに比べれば、どうということはないでしょう!!」
関節どころか堅い装甲さえも軋む、その衝撃と重量。だが神話にある英雄の名を冠した機体は、その名に負けぬ力を絞り出す。
「せぇええい!!」
オリヴィアの気合に応じて限界を超えた力を発揮し、ヘラクレスは両腕で掴んだそれを投げ飛ばす。自分より遥かに大きな身体――そんなものは関係ないと言わんばかりの一振りに、ギガンティックの巨体が街から遠く、荒野へと向けて宙を舞う。
「おおお!?」
足元から引っ繰り返される経験などそうそうなかったのだろう、放り投げられたギガンティックは成す術もなく空を掻いた。
空中の無防備なその一瞬、タイミングと敵の姿勢を目隠し越しの心眼で見切った望は、スケルツァンドを操り風を裂く。豪風の合間を裂くように、暴れる四肢とそれに伴う気流の壁を超えて、ギガンティックの後頭部へ。
「――絶対に割ります」
『絶・蘇威禍割』、強い意志と飛翔の勢いを乗せた一刀を、真っ直ぐに叩き込んだ。
大成功
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