獣人世界大戦⑲~祈れ、お前の中の獣に
●
唱和せよ。
始祖人狼は斯く語る。
全ては|祈り《m'eider》より始まった。
弱き吾々は|罪深き刃《ユーベルコード》に縋り、絶望の海に餮まれていった。
全てを識った処で何が変わるというのか。
“其の衝動”こそが――猟兵の根源なのだから。
故に。
唱和せよ。
始祖人狼は斯く語る。
吾々は排除する。
『はじまりの猟兵』を、其れを求むる者共を。
さあ征け、疾く疾く蔓延れ、『人狼病』。
|五卿六眼《ごきょうろくがん》照らす大地のあらゆるものを、吾が走狗と化してくれよう。
空よ吼えよ。
木々よ唸れ。
花々よ牙を剥け。
疾く疾く駆けよ、『人狼病』。
吾が瞳に映るのは、ただ狼の群れのみなり。
●
「戦線も深部まで到達した。――今回の敵は|五卿六眼《ごきょうろくがん》、始祖人狼だ」
ヴィズ・フレアイデア(ニガヨモギ・f28146)はいつになく緊張した面持ちで猟兵を見詰める。
「あたしは正直、お前達に|征かせたくない《・・・・・・・》。其処には苦痛しかない。恐怖しかない。あたしには判る、判るのさ、……そうさ、渾沌に呑まれたこの身だから判るのだ」
つまりは――そういう事だ。
比較的いつだって気楽だったヴィズの悲痛にも思える言葉に、……けれど猟兵、君たちは其れでも退かないんだろう?
「……今回の敵、始祖人狼はダークセイヴァーの支配者の一柱だ。そしてワルシャワ条約機構を支配していた張本人でもある」
何処か諦めたように、ヴィズは溜息をつくとあらましを語り始める。
「奴は全ての人狼の祖。つまり、『人狼病』の根源だ。怖ろしいのはね、奴が見詰めたすべて――無機物でさえも何もかも、“人狼化”させてしまうのさ。……怖ろしい目に遭うだろう。猟兵も例外ではない。だが同時に、『人狼病』からは絶大な攻撃力を受け取ることが出来る。だからいいかい、」
一撃だけ撃って帰っておいで。
其れはまるで、おつかいにでる赤ずきんに母親が言い聞かすように。
「一撃。其れがお前達の限界だ。全身から無秩序に狼の頭が生え、死にたくなるような苦痛と凶暴化がお前達を襲う。一撃が正気で撃てる限界だ。……傷を力に変えろ。人狼病が齎す力をこめて、始祖人狼に“意趣返し”してやるのさ」
お前達が思い浮かべれば、あたしは直ぐにグリモアを展開する。
帰らない、はナシだ。これ以上ないくらいの一撃を喰らわせてやれ。
青薔薇を湛える白磁の門が開く。
ああ、だが見てみると良い。其の青薔薇からは、既に獣のように牙が生え始めている。
key
こんにちは、keyです。
始祖人狼怖すぎん?
●目的
「始祖人狼に最大最強の一撃を見舞え」
●戦争シナリオ
こちらのシナリオは1章で終了する「戦争シナリオ」です。
●場所
場所は恐らくワルシャワ条約機構内ですが、不明です。ただ荒野が広がるのみ、其処に始祖人狼はいます。
彼の周囲の植物はまるで“狼のように”ねじくれています。其れは彼が『人狼病の始祖』である事を著明に示しています。
●プレイングボーナス!
「苦痛と狂気に耐えて戦う」
「「狼頭にまみれた真の姿」に変身し、最大最強の一撃を放つ」
あらゆるものが“人狼となる”この地では、猟兵とて例外ではありません。始祖人狼と向かい合った瞬間から“人狼病”は牙を剥き、生命を直接削るかのような苦痛と抗いがたい凶暴化の発作が起こります。
しかしこの“身体の各部位から無秩序に『狼の頭』が生えた真の姿”となった猟兵たちは、同時に絶大な力を手に入れる事になります。
苦痛に耐えられるのはよくて数分。心身が壊れぬよう、最大最強の一撃を加え、素早く離脱して下さい。
●プレイング受付
キャパシティの問題上、プレイング受付は『5月21日の8:31から』とします。(タグにも追記します)断章はありません。
〆切はタグ・マスターページにて適宜お知らせ致します。
●注意事項(宜しければマスターページも併せてご覧下さい)
迷子防止のため、同行者様がいればその方のお名前(ID)、或いは合言葉を添えて下さい。
基本的にソロ描写となります。アドリブが多くなる傾向になります、ご注意下さい。
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此処まで読んで下さりありがとうございました。
皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『始祖人狼』
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POW : 天蓋鮮血斬
【巨大化した大剣の一撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 血脈樹の脈動
戦場内に、見えない【「人狼病」感染】の流れを作り出す。下流にいる者は【凶暴なる衝動】に囚われ、回避率が激減する。
WIZ : 唱和
【3つの頭部】から、詠唱時間に応じて範囲が拡大する、【人狼化】の状態異常を与える【人狼化の強制共鳴】を放つ。
イラスト:UMEn人
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ヴォルフガング・エアレーザー
※アドリブ歓迎
全てを人狼に変える恐るべき力…か
荒涼たる咆哮は、祈りの果て、底なしの絶望を伴って響く
だが今の俺は嘗ての「闘争しか知らぬ獣」とは違う
「彼女」のくれた愛が、孤独な心に光を灯したから
その願いを……世界の平和を守るために
今こそ俺は貴様に立ち向かう!
真の姿はより狼の姿に近い蒼き半獣人の姿
犬歯と爪は鋭さを増し、獣化した四肢の筋力が増す
体中のそこかしこから「俺のものではない狼頭」が生える
身を引き裂くような苦痛と狂気に意識が飛ばされそうになる
恐れるな
屈するな
【守護騎士の誓い】はこんなことで折れたりはしない
逆境に陥ればこそ「ただ一度の好機」はより精度と重みを増す
渾身の力を込め、鉄塊剣の一撃を放つ
●
刮目せよ。
始祖人狼が其の右腕を振り上げる。片手に持った大剣の一撃は、ヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)の持つ鉄塊剣とぶつかりあって酷い音を立てる。
「ぬおぉ……っ!!」
力比べは不利。ヴォルフガングは直ぐにそう判断し、受け流すように始祖人狼の剣を弾いて横合いへと飛ぶ。
始祖人狼の横合いにある“頭”がぎょろりとヴォルフガングを見据えた。
ヴォルフガングの頭は狼の其れであった。真の姿――より狼の姿に近い半獣人の姿をしていた。犬歯は鋭く、爪は伸び、獣化した反動か四肢の筋力が増している。
「ぐ……!!」
ぼごり、と首筋から狼の頭が“生えて”、其の苦痛にヴォルフガングは身体をくの字に曲げた。まさに身を引き裂かれるような苦痛。そして狂気。身を委ねてしまえばきっと楽なのだろう、しかし。
恐れるなと。
屈するなとヴォルフガングは己を鼓舞する。“|守護騎士の誓い《ノブレス・オブリージュ》”はこんな事で折れたりはしない。逆境に陥ればこそ、次の一撃はより精度と重みを増すのだから。
始祖人狼がヴォルフガングへと爪先を向ける。其の瞬間、ヴォルフガングは駆け出していた。
荒野をつんざくのは、誰の咆哮か。荒涼たるそれは祈り、祈り、祈りの果てに底なしの絶望と希望を伴って響き渡る。
――ヴォルフガングの一撃は、届いていた。
刮目せよ。
始祖人狼の鎧がひしゃげて、今にも割れんばかりである。
大成功
🔵🔵🔵
ゾーヤ・ヴィルコラカ
どれほどの苦痛が待ち受けようとも、人狼病に苦しむ人が一人でも減るのなら、わたしの全霊をかけてあなたを倒すわ。いくわよ、始祖人狼!
わたしの身体がどんどん狼に変わっていくわ。今までの思い出や故郷の皆の記憶を支えに〈祈り〉、苦痛に耐えて真の姿へ変身するわね。わたしが正気でいられるうちに〈高速詠唱〉〈多重詠唱〉で〈結界術〉を展開し、【UC:災厄の冬、来たれり】(WIZ)を発動よ。〈浄化〉の魔力を纏った氷の槍衾で〈貫通攻撃〉を放つわ。
|人狼病《いつも》の発作の、何倍も苦しい。痛い、暑い、わたしが、わたしじゃなくなっちゃう。でも、どうかこの一瞬だけは、わたしのままで居させて! 受け取りなさい始祖人狼、これがわたしの願いを籠めた全身全霊の一撃よ!
(アドリブ負傷等々歓迎)
●
――どれほどの苦痛が待ち受けようとも、人狼病に苦しむ人が一人でもいるのなら。
「其れでわたしが戦う理由には十分なの」
ゾーヤ・ヴィルコラカ(氷華纏いし人狼聖者・f29247)自身も人狼病に罹患している身だ。此処で始祖人狼を討って人狼病が無くなる訳ではないが――其れでも、新たな罹患者を生み出さずに済むというのは大きい。
しかし、始祖人狼は其れを緩やかに聞いているだけで周囲のものを狼に変えていく。野草に牙が生え、大地さえも獰猛さを増していく。そして其れはゾーヤも決して例外ではない。
『唱和せよ』
三つ頭の其の一言。其の詠唱一つだけで、
「……っ、ぐっ……!!」
首筋に、二の腕に、足に、狼の頭が生えて来る。びゃん、びゃん、びゃん。けたたましく吼える声が体の内側に飽和して、胸を掻き毟りたくなって、今にも叫んで駆け出してしまいたかった。
其れを、駄目だよ、と幼き日のゾーヤが押し留める。思い出すのはこれまでの記憶、故郷での皆の笑顔。ああ、何の為に村を出て猟兵となったのだったか? 守りたいものが、守りたかったものが、ゾーヤの背中を押す。
詠唱が重なる。高速化した詠唱は氷の結界を展開し、そうして――災厄の冬が来る。
「氷の槍衾よ……! 避けられるかしら!」
『………』
始祖人狼は笑わない。泣きもしない、怒りもしない、何も言わない。
ただ槍衾をゆっくりとした動作で避けていくばかり。
だが、あなぐらのような片目がゾーヤを確かに捉えていた。
――私が正気でいられるうちに、なんとかしなきゃ……!!
|人狼病《いつも》の発作の何倍もの苦しさの中。熱さの中、痛みの中、ゾーヤは氷を手繰る。このまま、違う人間になってしまいそうだ。でも、どうか。今だけは、この戦いの間だけはわたしのままでいさせて!
絲に縋るような祈りを米て撃ち出された氷の槍衾が、始祖人狼の脚を貫いた。其の足元に咲いていた花が、人狼化を遮られて優しく凍り付く。
祈りは届く。いつだって。例え祈るものが誰であろうとも。
大成功
🔵🔵🔵
鳴北・誉人
真の姿
紺瞳の黒毛の大狼
体長はヒト型と一緒
狼の間は人語を話さない
人狼病の根源って言われたってなァ
てめえさえいなけりゃァって思いはどうしたって拭えねえ
怒りが過ぎて言葉でねえわ
弟も
母も
兄も
姉も
村の死んでった子も
どんな思いで
無念抱えて
絶望して…
ただ一時の苦痛だ
過去の痛みに比べりゃこんなもの…耐えてやる
一太刀浴びせなきゃ気が済まねえ
UDで脇差を展開
その全部を始祖人狼へ突き立てよう操る
人狼病の流れってのは
つまりアレから流れ出してるってことだろ
上流がヤツだ
疾駆けして肉薄
咥えた太刀で何度だって切り込む
絶望苦痛慟哭怨嗟怨恨非業悲痛諦念憾怨苦艱…
こんなもんじゃねえ
しっかり味わって
魂まで刻み込んで
くたばっちまえ
●
鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)は人狼だ。つまり、人狼病の罹患者である。
始祖人狼を前にして、“てめえさえいなけりゃァ”と思ってしまうのは、きっと当然の帰結なのだろう。怒りも過ぎれば凪となり、言葉を失うものだと知った。罵詈雑言ならいつだってすんなり出て来るのに、今思い浮かぶのは家族の事ばかり。
弟も。母も。兄も。姉も。そして村の死んでいったあの子も。どんな思いで? 無念を抱えて? 絶望して?
足を食い破って、人狼化の余波が誉人を襲う。這いずるように生まれた狼の頭が嗤うように吼えた。
だから誉人は抗う。真の姿――黒毛の大狼へと変化して、そうして唸り声で|始祖人狼《おまえ》へと宣戦布告してやるんだ。
この足の痛みなどただ一時の苦痛。過去の痛みに比べりゃこんなもの。
――一太刀浴びせなきゃ気が済まねえ。
其の顎に太刀を一本加えて、誉人は声なき遠吠えを上げた。
100を越える数に複製された脇差たちが、一斉に始祖人狼へと迫る。
『――唱和せよ』
始祖人狼から、禍々しい流れが生まれる。其れは下流にいる誉人に凶暴化の衝動を植え付けるが……だが、誉人の凶暴化は全て始祖人狼に向けられた。
獣の速さで追い付いてきた誉人が咥えた太刀で何度も斬りつける。
絶望。苦痛。慟哭。怨嗟。怨恨、非業、悲痛諦念憾怨苦艱……
こんなもんじゃねえ。
あいつらが持って逝っちまったものはこんなもんじゃねえ。
なあ、しっかり味わえよ。魂まで刻み込んで、くたばっちまえ。
大成功
🔵🔵🔵
ロラン・ヒュッテンブレナー
人狼病の苦しみを撒き散らして、何の祈りのために、どうしたかったの?
これは絶望からだったの?
もしそうなら、絶望からでも希望を紡げることを見せたい
これ以上の苦しみを増やさないためにも
共鳴を受けて苦痛と狂気、狼の頭が浸食してくるなら、ぼくも長年の研鑽を見せるの
UC発動、竜胆色の狼に変身
魔術陣の首輪と魔術回路の鎖で生えた狼頭の口を縛って意識を保つよ
封神武侠界の桃の精さんたちの香りもぼくを守ってくれる
少しの時間でも持てばいいっ!
一咆えして人狼魔術発動
自身に満月の魔力を纏って月光の魔弾となって狼の脚力で突撃するの
ぼくには一緒に生きたい人たちがいるから、諦めない
あなたの言う様に、そこは譲れない
だから、抗うの
●
――人狼病の苦しみを撒き散らして、誰の祈りの為に、何をしたかったの?
ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は心中で問う。
静かに佇む始祖人狼は答えない。
――これは絶望からだったの?
始祖人狼は答えない。ロランが心中で問うているだけだからだ。
きっと問うたところで答えは返って来ないのだろう。だからロランは静かに頭を振る。其の頸筋には既に、小さめの狼頭が顔を覗かせている。食い破った首筋の血液をべろりと舐めて、にいやりと嗤った。
「――ぼくも猟兵になって、何もしなかった訳じゃないの。長年の研鑽を見せるの!」
夜の灯りを呼びし遠吠え、大いなる円の下、静寂を尊ぶ。
竜胆色の狼へと変じたロランは、魔術人の首輪と魔術回路の鎖でまず次々に生まれて来る狼頭の口を縛る。
ほのかに桃の薫りがする。これは封神武侠界の桃の精がくれた香り。
少しで良い。少しだけもてばいい! ロランはただ一声、遠吠えを空へと撃ち上げた。自身に満月の魔力を纏い、一気に駆ける。人狼化の共鳴など待ちはしない。ぼくはぼくの足で、駆けるの!
一陣の風となり、一筋の弾丸となったロランの身体が、始祖人狼の脇腹を貫いた。
――ぼくには一緒に生きたい人たちがいるの。だから、諦めない。
――あなたの言うように、其処は譲れない。だから、抗うの。
大成功
🔵🔵🔵
アレクシス・ミラ
アドリブ◎
真の姿:薄明纏う白い鎧。暁と朝空の四枚光翼
出身であるダークセイヴァーで人狼の者は何人も見た
猟兵にも、お世話になっている桜花の旅館でも…
…始祖であり元凶、絶たせてもらう
─真の姿に襲いかかる病
…彼らは満月の度にこの衝動に苦しんだのか
日々の中でも生命を蝕まれたのか
世界と彼らの痛みに比べれば僕を襲う痛みなど…!
それに騎士は守る為にこの剣で討つんだ
守護を決して違えないと鎧越しに指輪とガラスドームペンダントに触れ、誓う
正気で在り続ける為の狂気耐性に、狼頭ごと己に浄化の光を纏わせ激痛耐性で耐えながら
病よりも大剣が振り下ろされるよりも疾く光翼で翔ぼう
剣の直撃は瞬間思考力で見切って回避し
生じる衝撃には…盾に荒野の瓦礫を地属性で纏わせ巨大な盾を形成
さらにオーラ『閃壁』を己を包む様に重ねて展開
衝撃は重くとも長くはない筈
剣の光が届く距離に辿り着くまで押し負けるものか
限界超える覚悟で衝撃を受け流してみせる!
耐え凌げられたら
【新星剣】
痛みを力に変え…貴様という絶望を乗り越えて征く僕達生命の一撃を
思い知れ!
●
アレクシス・ミラ(赤暁の盾・f14882)の出身はダークセイヴァーである。
其処には人狼病に罹った者が大勢いた。苦しいと藻掻いて、発作に必死に耐えている者を何人も見た事がある。
そして猟兵になっても、世話になっている旅館でも、人狼病の者を見受け、此処まで広がっているのかと驚いたものだ。
――今、其の始祖が此処にいる。
ならばアレクシスには剣を抜かない選択肢などない。
「始祖人狼。人狼病の祖たる貴方を討たせて貰う」
アレクシスの鎧が輝く。薄明色が入り混じる白い鎧に、暁と朝空の色をした四枚の光翼が背中を彩る。
しかし。
「ッ、ぐあ……!!」
其の美しい姿をしたアレクシスの肩口から、醜い狼の頭が肉を食い破り現れた。
びゃんびゃんびゃんびゃん!
けたたましく吼え立てる。お前も早く墜ちてしまえば楽になれるとでも言いたげに。
――彼らは満月の度に、この衝動に苦しんだのか?
アレクシスの心に炎が灯る。其の炎の名は“怒り”といった。
彼等は日常のなかでも、生命を蝕まれていたのか。世界と彼らの痛みに比べれば、僕を襲う痛みなど……!!
鎧越しにそっと、指輪とペンダントに触れる。
君の為に盾であろうと誓ったから。
貴方の為に守り抜こうと思ったから。
だから、アレクシスは征くのだ。狼の頭ごと己を浄化の光で包み込んで。
『唱和せよ』
ああ、刮目すると良い。
始祖人狼は静かに歩を進め、巨大化した剣を片手で掲げている。
速く。誰よりも、速く、疾く。
アレクシスは大剣が振り下ろされるよりも、病が進行するよりも早く光翼で飛んだ。
剣戟は避けた。しかし、衝撃波がアレクシスを圧し潰してしまわんと襲う。
「この程度……!」
盾に荒野の瓦礫を纏わせて生成した盾が、衝撃波を真っ向から受ける。びりびりと盾持つ手を痺れさせる衝撃に、オーラを更に重ねて対抗し――そうしてやり過ごした一瞬の隙を突く。
再びアレクシスは光纏って飛ぶ。其の間にもあらゆる処から狼頭が肉を、皮を食い破って現れたが、最早痛みよりも使命感がアレクシスを衝き動かしていた。
「貴様という絶望を乗り越えて征こう! 僕たちの……生命の一撃を思い知れ!!」
|新星剣《ブレイズノヴァ》――!!
闇を貫き、星をも拓く光輝の剣。
魔力で構築した光の剣から放つ光が、始祖人狼を包み、灼いた。
大成功
🔵🔵🔵
館野・敬輔
【POW】
アドリブ連携大歓迎
俺も渾沌に呑まれた身だし
何度も始祖人狼と相対し、その都度苦痛と狂気に晒されてきた
数分と持たないのは経験でわかっているから
その僅かな機会を逃さず、始祖人狼を討つ!!
真の姿解放し、「ダッシュ、地形の利用」で始祖人狼に肉薄
天蓋鮮血斬は大剣が巨大化している分「見切り」やすくなるはずだから
「視力」で大剣の軌道を見極め、身を屈めて大剣の下を潜り抜けるようにして回避
大剣を振り切った一瞬が攻撃チャンスだ
あえて凶暴化の発作を受け入れ、始祖人狼に密着し
黒剣を大きく振りかぶって、力まかせに「怪力、鎧砕き」+指定UCの一撃を叩き込んでやる!
どうだ!? 討つべき輩に殴られた今の気分は!!
●
――まあ、俺も渾沌に呑まれた身だし。
館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)は思い返す。
此処に来るまでも、何度も始祖人狼と相対し、其の都度苦痛と狂気に晒されてきた。だから判る、“数分ももたない”。
「チャンスは僅か、か。良いぜ」
そういうの、悪くないって思ってたんだよな。
全身を赤黒い鎧で覆って真の姿へと変化しながら、敬輔は微かに笑っていた。
――…首。
其れから? 足に、頭?
狼が生えている箇所を数えたらキリがない。
始祖人狼が振り上げた剣を、其の巨大化を利として潜り抜けるように回避する。
大地を揺るがす一撃が衝撃波を巻き起こす。しかし敬輔は敢えて、|始祖人狼に密着する《・・・・・・・・・》という手段を取った。
目の前が赤く染まる。己の中の凶暴な本能が牙を剥き、――そして敬輔は其れを受け入れる。
黒剣を振り上げ、
「なあ、どうだ!? 討つべき輩に殴られる今の気分は!!」
憤怒と憎悪と闘争心のままに。
一気に降り落とした黒剣が始祖人狼の鎧を砕き、――まさに“人狼”たる彼の姿を露にした。
大成功
🔵🔵🔵
神樹・鐵火
(真の姿を開放)
元は私も醜い女神だったさ、お前と同じ戦いしか能の無い神でな
狼大神のツラまみれになるのも悪くはない、気分は最悪だがな
ああ、でもこの感じは…神話時代以来だ
お前を殴りたくて仕方が無い
どうせ死にたくても死ねない身だろうが、全力で殴らせろ
上半身が吹き飛んでも平気だろう
無様な肉片になっても生きていられるだろう
その様にしたのはお前らだろう
生に執着したばかりに
だから受け止めろ
『殺戮反魂』の鉄拳制裁
人狼病で受けた苦痛や殺戮衝動も、何もかも上乗せしてそのまま返してやる(怪力・覇気・カウンター)
●
神樹・鐵火(脳筋駄女神・f29049)――其の真の姿を一言で表すならば“異形”であった。
鋼鉄と炎を司るからか、其の姿はフルアーマーにも見える。だがまるで、焔の竜を模した姿のようにも、見える。
「元は私も醜い女神だったさ。お前と同じ、戦いしか能のない神でな」
ぐおんぐおん。
鎧越しに狼の吼える声が聞こえる。鎧を食い破れずに、鎧の内側で狼たちが咲き誇っているのだ。
「大神のツラまみれになるのも悪くはない、……まあ気分は最悪なんだが。だが、……神話時代以来か。お前を殴りたくてしょうがないよ。どうせ死にたくても死ねない身なんだろうが、全力で殴らせろ」
――上半身が吹き飛んでも平気だろう?
――無様な肉片になっても生きていられるだろう?
其のようにしたのは|お前ら《・・・》だろう。生に執着したばかりに!
だから……受け止めろ。其れがお前達の義務だ。
始祖人狼が大剣を振り下ろす。
すれすれのところで其れを避けた鐵火を、更に衝撃波が襲うが……この程度は真の姿を解放した鐵火の妨げにはならない。
受け止めた攻撃に応じて、氣の圧は強くなっていく。
「人狼病で受けた苦痛、そして殺戮衝動も全部乗せだ。|死ぬほど痛め《・・・・・・》!!」
鐵火の鉄拳が始祖人狼の右の顔にめり込み、殴り飛ばす。
巨躯が嘘のように吹き飛び、そして鋼鉄と炎を司る神「イクサビノヒメ」は――内側を狼に食い破られながらも、其処に凛と佇んでいるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ロロ・ラリルレーラ
「あッはァ☆★ カワいいオオカミくん☆★ みんなでウタってタノしそう☆★☆」
「ロロもオナジにしてくれるの★☆★ じゃあじゃあ、ロロたちもうオトモダチだねッ☆★☆★」
苦痛に狂気に病に毒に、そんなことはいざ知らず。
連れてきたオトモダチからガルルな頭が生えてきたって。
自身もなんだかちょっぴり名状し難いふしぎな姿になったって。
指を喉を眼球を内から食い破られたって、いやむしろ、だからこそ。
もっと|狂《オオ》きく|大《タノ》しく|楽《クル》おしく、歓喜の歌を唱和しよう。
数もサイズも二倍になったオトモダチの狂乱が大剣の一撃を抑え込む。
狼くんへの親愛を込めて、狼頭まみれのパラボランス。
病毒電波を送信します。
●
「あッはァ☆★ カワいいオオカミくんだねぇ☆★」
ロロ・ラリルレーラ(猛毒電波を送信します・f36117)はご機嫌です! なんていったって、この荒涼とした荒野にオトモダチになれそうな人材を見付けたのですから!
「みんなでウタってタノしそう☆★☆」
ロロはそう言ってまるでミニチュアみたいなオオカミさんを覗き込みます。キラキラきらめくヒトミの中に、素敵なオオカミくんが映ってる!
オオカミくんがこっちを見た! やった! と思ったら、あれれ? ロロの背中と腕になにか生えて来たぞ?
見てみると、WAO! なぁにこれ! オオカミくんの頭が生えちゃってる!
「わァあ☆★ ロロもオナジにしてくれるの★☆★ じゃあじゃあ、ねえねえ、ロロたちもう、“オトモダチ”だねェッ☆★☆★」
苦痛。狂気。病。毒。
そんなことはいざ知らず。連れて来た“オトモダチ”からガルルな頭が生えて来たって?
ロロ自身もなんだかちょっぴり名状しがたいふしぎな姿になっちゃって。
あ、右目を食い破られた。ちょっと視界は狭まっちゃったけど、でもね、だからこそ!
もっと|狂《オオ》きく|大《タノ》しく|楽《クル》おしく、歓喜の歌を唱和しましょう! だってオオカミくんも言ってたもんね? 唱和せよって!
数もサイズも二倍になったオトモダチは半狂乱。お祭り気分で始祖人狼を抑え込む。
ねえねえねえねえ、ロロのオトモダチになってよ、オオカミくん!!
ロロは|狂気《ヨロコビ》と|親愛《オサソイ》を込めてパラボランスをオオカミくんに突き立てるのだ。
病毒電波を受信します。
電波障害にご注意下さい。
大成功
🔵🔵🔵
ネフラ・ノーヴァ
【標石】
狼の首級、相手にとって不足無し。さあ、血の花を咲かせて踊ろうじゃないか。
牙印の攻撃で怯むタイミングを見計らって肉薄、真の姿は「赤い瞳」が開く。理性が薄らげば苦痛とて甘美。
腹部に生じた狼頭共々自らを刺し貫けばUC瀉血剣晶、血の刃を振り抜き始祖人狼を断ち、返り血で愉悦に浸ろう。
黒田・牙印
【標石】
三ツ頭の狼、ケルベロスの獣人ってところか。
出所がダークセイヴァーで人狼病の根源ってのがいかにも、だが作戦は単純明快だな。
でけぇのを一発いれるのは大得意なんだ。ネフラと一緒に狼狩りといこうか!
俺の真の姿はただのでっかいワニだ。で、ワニ頭の両隣に狼の頭が生えれば噛みつき攻撃も単純計算で3倍だな。
使うUCは【ギガ・デスロール】。
【怪力】を使って突進して強引に間合いに入り、3つの頭でぶちかましてやるぜ。
ネフラ、間合いまで俺の後ろに控えててくれ。
俺のUCで血まみれにすればお前の独壇場だ!
●
「狼の首級か。相手にとって不足なしだな」
「出所はダークセイヴァー、人狼病の根源なんて“いかにも”だな。だが、でけぇのを一発ってのは大得意だ」
ネフラ・ノーヴァ(羊脂玉のクリスタリアン・f04313)に、狼狩りといこうかと黒田・牙印(黒ワニ・f31321)は拳を手にぶつける。
だがこの「でかいのを一発ぶち込む」というのが案外骨が折れるもので。
赤い瞳煌めく真の姿になったネフラはあちこちから狼の頭が生え。牙印もまた、真の姿であるワニ姿の頭の両隣に狼の頭が生えていた。
「ネフラァ! 生きてるか!」
「生憎まだ生きている。貴殿こそ元気そうだな?」
「あたぼうよ、これからが楽しい所だろう、なあ!」
ワニの頭と狼の頭で始祖人狼に噛み付こうとする牙印。始祖人狼は其れを“敢えて”受け、片手で巨大化させた剣を振り上げ、振り下ろした。
『滅せよ』
「おいおい、口の少ない男はモテないぜ? そりゃ女も一緒かも知れねえが……まあつまり、もっと喋った方が、あんたは世界を楽しめたかもなァ!!」
とはいえ、此処から先に始祖人狼を逃がすつもりがある訳でもなし。
牙印は噛み付いていた口を離し、したり顔でにやりと笑うと――高威力高命中! デスロールを繰り出した!
振り下ろされた刃が牙印を深く裂くが、狼頭が幾つか取れてくれるなら万々歳ってものだ。
鮮血が荒野に染み渡っていく。凶暴化した大地がまるで其れを飲み干すかのように滲んでいく。
「今だぜネフラァ! お前の独壇場だ!」
「フ……自らはお膳立てに徹するとは、貴殿の覚悟もなかなかだな」
ネフラは腹に生えた狼頭に狙いを定めると……其の喉に突き刺すような形で|己の腹を刺し貫いた《・・・・・・・・・》。
血が流れていく。人狼化している野草がまるで其れを吸うかのように地面に滲んでいく。
「始祖人狼。我が血の刃を受けよ」
血塗れの戦場に恍惚としたネフラだが、精製した血の刃には一切の迷いがない。
血を代償とする武器の封印は十全に解かれている。
牙印と入れ替わるように始祖人狼の懐へ飛び込むと、先の猟兵との戦いで割れたのだろう。鎧を壊された始祖人狼の胴体目掛けて刃を振り抜いた。
鮮血が飛沫く。
「……はぁ……凄まじい血の薫りだ、かぐわしいものだな」
「俺は嗅覚が死にそうだけどな……あーいって」
ネフラの赤い瞳が輝いて、まだ血が足りないと言っていた。
其の様を見て、牙印はやれやれ、と狼頭まみれの身体で肩を竦めるのだった。
大成功
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葛城・時人
ダチの神臣(f35429)と
この外道は此処で滅ぼす
神臣にも強い決意が見えるね
どうあれ今日は止めないよ
「手段は選ばない…だろ?」
笑みを交わし覚悟を決め二人で征こう
直ぐ音を立て骨が歪み
激痛と共に手足構わず狼の顔が浮き
多頭黒毛の人狼に成る
脳から奔る激烈な破壊欲
狂獣の血への渇望が心を覆い
俺の魂を消し去ろうと襲い掛かる
視野の広い狼の目に銀毛の人狼が映る
ソコニエモノガ
「違う!そこにいるのは!俺のダチだ!」
絶叫で使嗾を振り払う
「敵は向こうの奴だ!力を貸してくれ…!」
希うと全身に力が満ちた
時は今!
神臣のレギオンが奴を次々撃つ
なら俺は全力のアークヘリオンを
肉薄し目の前で展開!
「苦しんだ全ての人達の痛みを知れ!」
神臣・薙人
葛城さん(f35294)と
そこに苦痛しかなくとも
恐怖しかなくとも
足を止める理由にはなりません
始祖人狼を討たなければ
更なる悲劇が待っているのですから
葛城さんにはお見通しですね
はい
手段を選ぶつもりはありません
今回ばかりは守りも癒しも捨てます
全身に苦痛が走ろうと
体から狼の頭が生えようと
歯を食い縛って耐えます
私の真の姿は小さい
きっと全身が狼のようになっているでしょう
怖いと思っても
それを表に出すのは今ではない
葛城さん
大丈夫
隣にいるのは私の友達です
私の最大最強の一撃はこれしかありません
始祖人狼が射程に入った時点で
恐怖を解き放ちリアライズ・バロック使用
呼び出されるレギオンは151体
1体残らず叩き込みましょう
●
葛城・時人(光望護花・f35294)は、同じくグリモアを抜けて降り立った神臣・薙人(落花幻夢・f35429)の瞳に決意の輝きを見た。
いつもなら無茶をするなと止めるところだが、相手はこの戦役の首魁。
「手段は選ばない、……だな?」
確認するように言えば、薙人は秘密がバレたかのように首元の布を下げ、ほんのりと笑った。
「ええ。葛城さんにはお見通しですね、手段を選ぶつもりはありませ、ん……ッ!」
「神臣!」
人狼化の余波は思ったより早く二人に訪れた。幼子のような真の姿をとった薙人の肩を食い破って、狼の頭が現れる。
そして其の余波は時人にも及ぶ。音を立てて骨が歪む。激痛と共に手も足も頭すら構わずに狼の顔が浮き、皮と肉を食い破って頭が飛び出す。
「葛城、さん……ッ!」
銀色の狼頭獣人に変わろうとしていた薙人は今回、守りに徹する事をやめていた。
全身に苦痛が走ろうと、身体から狼の頭が生えようと、歯を食いしばって耐えた。
其の“隣にいる”友人が――時人にはエサに見える。頭のてっぺんから足までを奔る強烈な破壊欲と凶暴な心。
ああ、全てを食い破ってしまいたい。其の赤い血を啜って、肉の味に舌鼓を打ちたい。
丁度良いのがいるじゃないか。となりに、ほら。銀毛の狼が――
「違う!!!」
衝動に身を任せかけていた時人は、無意識に放った己の言葉で意識を引き戻された。
俺は今何を考えていた? 神臣を、大事なダチを、食糧だと……?
「……大丈夫です、葛城さん。あなたの隣にいるのは、友達です。私の隣にいるのも……私の、友達です」
始祖人狼は静かに立つ。
其れだけで全てが人狼と化していく。風は絶え間なく時人と薙人を打ち、其の理性をかっさらおうとしているかのようだ。
「此処からなら、射程内です……!」
そう、其れでも二人は歩むのをやめていなかった。
薙人は解き放つ。始祖人狼に相対している恐怖、狼の頭が生えて来る恐怖、狼になろうとしている恐怖を全て解き放つ! 現れるのはバロックレギオン、其の数は100をゆうに越える。
一斉に襲い掛かったバロックレギオンたちを始祖人狼は剣で薙ぐ。
『有象無象――』
「ならこれならどうだよ!」
そう、薙人は一人ではないのだ。
始祖人狼の至近距離で声が聞こえて――バロックレギオンに紛れて肉薄していた時人が、輝く始まりの刻印を展開する。
「苦しんだ全ての人達の痛みを知れ!! 創世の光、敵を討て!!」
バロックレギオンに切り裂かれ、引き裂かれ、そして創世の光に焼かれていく始祖人狼。
だが、まだ討滅には至らぬ。ワルシャワ条約機構を束ねている五卿六眼だけあって、其の耐久力も怖ろしいものがあった。
其れでも一撃は入れた。時人がちらり、と薙人を振り返ると――安心させるかのように、銀毛をした人狼が頷いてみせたのだった。
大成功
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ヴァシリッサ・フロレスク
シキ(f09107)と
Hey?Cute Pup♪お手は出来ンのかい?
敢えて貴方の前でそう茶化すのも
この身を苛む狂気を目の当たりにして
人一倍思い煩う貴方の優しさを知っているから
少しでも安心させたいから
限界、ね。
ま、ハナから|正気《理性》で殺り合う気なンざ無いサ?
力競べは|本能《マジ》でヤるのが一番だろ
スヴァローグとディヤーヴォルを担ぎUC発動
A-HA♪格の違いを訓えてやンよ
ブラフだ
UCと半魔の身に依る膂力・耐久力を以てしても
箍が外れた状態でこの敵に渡り合えると思う程
奢っては無い
此処は極限下でも冷静な|貴方《シキ》に
その一手に全てを託す
それに貴方は
先の大戦で己の|仇《ライトブリンガー》討ちに際しては
身を挺し私にチャンスを呉れたのだ
|ココ《囮》は、任せなよ
去り際に其れだけ告げて
彼の者へ鉄槌を下すのは
その苦しみを知る
貴方こそ相応しい
狂気も省みず
至高の暴力を以て
陽動と悟られぬよう苛烈に攻める
唯、貴方の牙の導として
貴方の声を|拾う《知る》のに理性など最早必要無い
|魂《こころ》から
通じているのだから
シキ・ジルモント
ヴァシリッサ(f09894)と
こんな戦場にも共に立ってくれるのは嬉しい反面、複雑でもある
…自身を苛む人狼病より酷い苦痛を、愛する者にまで味わわせる事になる
そんなものを撒き散らす敵にも、腸が煮えくり返る思いだ
それでも彼女が任せろと言ってくれるなら、怒りも凶暴化の衝動も意地でも抑える
普段通りの様子に安心した事もある
『狂気に呑まれず、必ず共に帰る』とヴァシリッサに誓い、ユーベルコードを発動
真の姿を晒し、更に獣人の姿に変じる
狼の頭が増えれば、敵と似たような姿になるだろうか
狂気と衝動は敵にだけぶつける
激痛に加え普段は翻弄される凶暴化の衝動だが、ヴァシリッサとの誓いを思い出し正気を引き戻したい
ヴァシリッサが敵を引き付ける隙に回り込んで大剣を避け、鎧の無い部位を狙って拳と爪による攻撃を叩き込む
敵への憎悪ではなく、病の元凶を止める為
そして彼女の奮闘を無駄にしない為に
一撃を入れるか敵の討伐後、ヴァシリッサを連れ帰る
狂気の中に在っても届くと信じて声を掛け、手を差し出す
「仕事は終わりだ。帰るぞ、ヴァシリッサ」
●
「Hey, Cute Pup♪ お手は出来ンのかい?」
ヴァシリッサ・フロレスク(|浄火の血胤(自称)《エンプレス・オブ・エンバー》・f09894)はシキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)に向けて軽口を叩く。
人一倍思い煩うシキの事だ。きっとこの病にヴァシリッサを巻き込む事に後ろめたさを感じているのだろう。
だが、其れが何だ。ヴァシリッサは優しく心中で言い捨てる。優しい貴方の為に、私は此処にいるのだから。
「……ヴァシリッサ」
「おーっと、真面目なやりとりは後にしようぜPup。今はあっちのPupが遊びたがってる。オーケイ?」
「……。判った」
普段通りに見えるヴァシリッサの挙動は、其れだけでシキを安心させるものだった。始祖人狼の前に立っただけで、怒りが湧いてくる。凶暴化の衝動が身を突いて噴き出しそうになる。けれど、隣で戦う彼女がいるから。だから、シキは最後の一線を越えずにいられるのだ。
「必ず共に帰ろう。狂気に呑まれないように」
「Umm、真面目なやりとりは後にしろッつったろ。だがまあ、悪くねェさ。 A-HA! 格の違いって奴を教えてやらなきゃな。ま、ココは任せなよ」
片手には射突杭。片手にはライフル。
そうさ、ハナから|正気《まとも》にやろうなンて思っちゃいない。力比べなってのは|本能《マジ》でヤるのが一番だろ?
――奇しくも二人は、似た姿に変異する。
ヴァシリッサは餓狼の血を暴走させた姿に。そしてシキは、狼としての獣人の姿に。
理性を失わねば、この埒外の存在には対抗できない。そう判断した二人の帰結だった。
ゆっくりと始祖人狼が動き出す。
其れをヴァシリッサは逃しはしない。片手に持った“.50口径重機関銃「|Дьявол《ディヤーヴォル》」”の弾を放つ。片手で撃ったが何だ、反動など超耐久力を持ったヴァシリッサには何の意味もない!
「オオオォォオオ!!」
シキが始祖人狼に迫る。
其の動きはともすれば、ヴァシリッサに捕捉されるかも知れなかった。けれどシキは信じている、必ずヴァシリッサと二人で生きて帰るのだと。
狼の頭が背から生える。あちこちから生える。其れは始祖人狼に近付けば近づくほど増えていく。激痛の中で湧き上がる、“全てを壊してしまいたい”という衝動。
しかしシキは歯を噛み締める事で狂気を退け、正気を手繰り寄せた。ヴァシリッサと約束したろう。必ず帰ると!
――一方でヴァシリッサもまた、何処かで冷静な自分が考えていた。
例え超攻撃力と超耐久力を得たと言っても、其れで始祖人狼と渡り合えるなどと莫迦な事は考えちゃいない。
だから、シキに託すのだ。
いつだって彼は、例え何に晒されようとも、どんな極限下でも、最後まで冷静なのだから。
――ココ《囮》は、任せなよ。
嘗てダークセイヴァー上層で繰り広げられた大戦で、己の|仇《ライトブリンガー》討ちの際には身を挺してまで私にチャンスをくれたんだ。
だから同じだけのものを返さなきゃ、天秤は釣り合わない。だろ?
ヴァシリッサが弾丸で始祖人狼の注意を引いている間に、シキは素早く回り込む。始祖人狼が薙ぐように横合いに剣を取り回したが、シキは其れを素早い身の動きで避け、鎧のない部位――其の頭部に向けて拳と爪による攻撃を叩き込む。
憎悪に駆られてではなく、病の元凶を止める為に。そして、ヴァシリッサの奮闘を無駄にしない為に。
そうしてシキの爪の一撃が、始祖人狼のあなぐらのような瞳を貫いた瞬間。
「――」
始祖人狼は青黒い霧となって、まるで風船が弾けるかのように四散した。
青黒い砂の嵐に、ヴァシリッサとシキは顔を覆う。そして嵐が過ぎ去ったのち、……其の空が晴れ渡っている事に気付いたのだった。
「……ッ、は~~……」
ヴァシリッサは座り込む。
あと少し。あと少し始祖人狼が頑丈だったなら、形勢は逆転していたかもしれない。そういや狼の頭は? と身体を確認するが、……其れもまた、青黒い霧となって消えたのだろう。何処にも何も、見当たらなくて。
そうしてヴァシリッサの視界には、武骨な男の手が入り込む。見上げれば、いつも通り何処かいかめしい、何処か困ったような顔をしたシキがいた。
「仕事は終わりだ。帰るぞ、ヴァシリッサ」
余りにも其の物言いが普通だったから。
人狼病の祖を断ったにしては、いつも通り過ぎるから。
ヴァシリッサはおかしくなってしまって、暫く笑い転げるのだった。
そうだ、笑えるのだ。
笑える未来が、此処にはある。
大成功
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