獣人世界大戦⑪〜ディスガイズ・ソング
●ウラル山脈
ウラル山脈の山岳地帯。
そこには超大国が一つ、ワルシャワ条約機構の隠し財宝が存在している。
何故、そのようなものが存在しているのかなど言うまでもない。
そもそもウラル山脈は鉱石資源豊富な土地柄である。
金、鉄、石炭、宝石。
それらを掘り尽くせば、当然山中は蟻の巣のように坑道が生まれる。その坑道を利用しない手はないのだ。
「よいですか。この財宝の多くを死守しなさい」
一人の女将校は、この隠し財宝庫たる坑道にオブリビオン『突撃兵』たちを配する。
彼らの兵種であれば、この坑道の財宝庫を護るに力は十分であるが不向きであるとも言えた。
なにせ防衛しなければならないのに兵種、突撃兵は矛盾しているように思えたのだ。
「貴方達も疑問に思っていることでしょう。兵種が違う、と己たちが突撃するために存在しているのに、と」
女将校の言葉に『突撃兵』たちは黙すれど、態度は肯定を示していた。
「故にこれを授けましょう」
彼女が手渡したのは『紋章』であった。
まるで勲章であった。
宝石のような輝きを放つ鉱石を持つそれは、一瞬で手渡された『突撃兵』たちの胸に張り付くと彼らの体躯を異形の装甲で覆っていくのだ。
力がみなぎっていく。
「それが装着変身。確かに、その紋章は失敗作。けれど、十分です。今の貴方たちならば、例え猟兵と言えど容易く打倒することはできないでしょう」
彼女は視線を巡らせる。
己の姿を予知する存在を知っているかのような所作であった。
「敵が来るのですか」
「ええ、確実に。この財宝庫を襲撃し、蓄えられた財宝を根こそぎ奪おうという不届き者が来ます」
「では、我等の任務は」
「ええ、そうです。襲撃者たちの殲滅。できない、とは思わないでしょう?」
「ハッ!『紋章の失敗作』とは言え、我等にとっては十分であります!」
「では、任せましたよ」
『突撃兵』たちの言葉に女将校は頷き、その場を後にするのだった――。
●獣人世界大戦
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。獣人世界大戦の第二戦線も折り返しへと至りました。此度は、ウラル山脈の山岳地帯に掘り進められていた坑道の一つに超大国が一つ、ワルシャワ条約機構の隠し財宝庫があることを予知しました」
彼女の言葉に猟兵たちは頷く。
ウラル山脈は多くの鉱石資源に恵まれた土地である。
ワルシャワ条約機構の潤沢な資金源となっているのは言うまでもないだろう。だが、ナイアルテが予知したというのは隠し財宝庫。
ここを襲撃し、財宝を奪えばワルシャワ条約機構に打撃を与えることができるだろう。
早速、転移して、と意気込む猟兵達をナイアルテは手で制する。
「お待ちください。逸る気持ちはわかります。ですが、この隠し財宝庫を守護するオブリビオンたちがいるのです」
それはいつものことだ、と猟兵達は思っただろう。
だが、次なる彼女の言葉を聞き認識を改めざるを得なかった。
「配されているオブリビオン『突撃兵』たちは、皆一様に『紋章の失敗作』を以て装着変身しているのです」
そう、紋章。
それはダークセイヴァーにて見受けられ、また五卿六眼の一人『紋章つかい』が生み出していた宝石型オブリビオンである。。
失敗作とは言え、装甲に覆われた異形の如き姿に変じているのだ。
強化されていることは疑いようもない。
そして、猟兵たちも紋章の力の恐ろしさは理解しているはずだ。
「ですが、失敗作である、という点が一つの光明であるかもしれません。『紋章の失敗作』は、一つの弱点を抱えています。それは装甲で体を覆うのですが、完全ではないため、隙間が随所に存在しているということ。装甲に覆われていない部分は強化されていないのです」
つまり、関節部などのどうしても生まれる可動域の隙間は強化されていない。
この弱点をうまく利用すれば、戦いを優位に進められるかもしれない。
加えて、どうやらこの隠し財宝庫のある坑道のあちこちには、オブリビオンが利用する『紋章の失敗作』が散らばっているようなのだ。
「オブリビオンたちの利用する『紋章の失敗作』と同様に同じ弱点を抱えています。ですが、むざむざ彼らだけに強化の力を利用させる手はないでしょう。皆さんも『紋章の失敗作』を手に装着変身することで、パワーアップすることができます」
戦いを有利に進めることのできる点が二重に存在している。
これを幸いと見るべきだろう。
ナイアルテはリスクさえも猟兵たちならば利用することができるだろうと信じて、彼らを送り出すのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『獣人世界大戦』の戦争シナリオとなります。
超大国が一つ、ワルシャワ条約機構の財源となっているウラル山脈の鉱石資源。
この坑道の一つに隠し財宝庫があることを予知によって突き止めました。ここを襲撃し、ワルシャワ条約機構に財源的なダメージを与えるためのシナリオになっております。
ですが、敵もさるもの。
『紋章の失敗作』によってオブリビオンは強化されており、手強いでしょう。
ですが、装甲に覆われた異形であれど、失敗作故に弱点が存在しています。それは可動域などの関越部は装甲に覆われておらず、強化がされていない、という点です。
また周囲にはオブリビオンたちが手にしている『紋章の失敗作』と同様のものが散らばっています。
みなさんもこれを手にして逆に利用することもできるでしょう。
※プレイングボーナス……「装着変身」を行い、敵と同等のパワーアップを得る/敵の装備している「紋章の失敗作」の弱点を突く。
それでは、超大国をも巻き込んだ獣人世界大戦にて多くを救うために戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『突撃歩兵』
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POW : グラナーテ!
【対人柄付手榴弾、対戦車集束手榴弾、火炎瓶】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : アタッケ!
【銃剣による刺突】【自身の爪や塹壕スコップによる斬撃】【取っ組み合いからの殴り合い】で攻撃し、ひとつでもダメージを与えれば再攻撃できる(何度でも可/対象変更も可)。
WIZ : アングリフ!
【着剣した騎兵銃を撃ちながら銃剣突撃による】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【砲兵隊による迎撃を阻害する突撃支援砲撃】の協力があれば威力が倍増する。
イラスト:FMI
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ歓迎
ヒャッハー! 作戦了解!
守護するオブリビオンを撃破して、お宝をお持ち帰りするとしマショー!
坑道に踏み込み、紋章の失敗作には目を向けず。
他世界での交戦記録から集積したデータを活用するのであります!
「骸式兵装展開、樹の番!」
エンケロニエルを模したガスマスクを着用して、坑道内にガスを流し込みマース!
密閉された風通しの悪い空間、超高濃度酸素が充満すればどうなるか!
どれほど強固な装甲に覆われていようと、息絶えるという訳デスネー!
……Oh、見るからにホリブル展開。
(我輩を製造した)ドクターがNBC兵器をワタシに積載しなかった理由が察せられマース。
まー、今は気にせずに! 進みマショー!
『紋章』、それは強大な力を得るための宝石型オブリビオン。
嘗て、ダークセイヴァーにおける大いなる戦いにて現れた五卿六眼が一人、『紋章つかい』が作り上げたものである。
いや、作り上げた、というのは語弊がある。
未だ完成に至っていないのだ。
かの『紋章つかい』さえも、これを完成させられていない。
故に世には『紋章の失敗作』ばかりが散らばっているのだ。
その縮図とも言うべき光景が、ウラル山脈の坑道に在った。
だが、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は、そんな『紋章の失敗作』に目もくれずに坑道をひた走る。
意味がないからだ。
彼女にとって、それは真に意味のない力だった。
「ヒャッハー!」
真っ向から踏み込む。
ただ、それだけだ。彼女は大天使『エンケロニエル』を模したガスマスクを装着し、坑道を颯爽と走る。
作戦はわかっている。
敵が『紋章の失敗作』を以て強化されていることも。
なら、どうするか。
答えは単純である。
「他世界での交戦記録から集積したデータを今、活用する時であります! いざ、骸式兵装展開、樹の番!」
ユーベルコードに輝くバルタンの瞳。
迫るは手榴弾や火炎瓶の炎。
オブリビオン『突撃兵』達は『紋章の失敗作』をもって、装甲に覆われた姿をしている。
この狭い坑道で爆発物を扱うなど自殺行為も甚だしい。
されど、装甲があれば別である。
爆風も衝撃も全て装甲が無きものとしてくれる。故に彼らは踏み出す。
「突撃! 突撃! 突撃!」
号令と共に疾駆する『突撃兵』たち。
彼らは一つの砲弾となって迫りくる猟兵たちへと突っ込むのだ。
だが、彼らの足が止まる。
勢いよく飛び出した彼らは、その装甲に覆われた体躯を一歩進む度に重く、大地に沈むようにして膝を折るのだ。
「……ッ!?」
「……ッ、これ、は……!」
「はい、そうデース! 確かにこの坑道内での爆発物を一方的に使用できるというのはあなたたちの強みデース! ですが、もう一つ、あなたたちには弱点がありマース」
バルタンが膝折る『突撃兵』たちの前に立つ。
ガスマスクを着用しているのは何故か。
そう、毒物である。
「だが、っ、無味無臭だった、ガスならば……!」
「ええ、検知されているデショウ。デスガ」
酸素ならば?
それが毒ガスであると検知されない。なぜなら、生きる者にとって酸素とは必要不可欠なものであるから。
しかし、その酸素の濃度が上がればどうなるか。
そう、酸素中毒である。
中枢神経と臓器が破壊される。
そして、どんなに強固な装甲に覆われていようとも、彼らには関節部などの駆動域をお終えていない。
なぜなら、失敗作であるからだ。
「……oh、見るからにホリブル展開」
バルタンはガスマスクの奥で顔をしかめる。
オブリビオン『突撃兵』たちがどうなったかなど、つぶさに説明したくもない、と言わんばかりにバルタンは天を仰ぐ。
「ドクターがNBC兵器をワタシに搭載しなかった理由が察せられマース。まー、今は気にせずに! 進みマショー!」
そう、本来の目的は、このウラル山脈の坑道に配された隠し財宝庫の中身をそっくり頂くことなのだ。
バルタンは倒れ伏して動かなくなったオブリビオンたちを尻目に、さらに奥へと進むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
神酒坂・恭二郎
紋章か
たまにゃあそう言うのも面白そうだが、今回は要ら無さそうだな
とりあえず、一つ稼いで来るかね
刀をだらりと下げた無形の型で歩く
独特の歩法の緩急で距離感を錯覚させ、呼吸を盗んで一息に間を詰める【見切り、切込み、残像】
間合いを詰めて何もせず脱力。相手の攻撃に対し、刃が触れるまで【覚悟】で見極め、脱力からの「雲耀の一閃」を腕や首の関節部を狙って滑らせ、行違う【カウンター、早業、鎧無視攻撃、切断】
流れを止めることなく、同じ動きで奴等に一閃を通して回り
「“動くな”……そうすりゃあ、死なずに済む」
一言告げて納刀し、隠し財宝へと足を運ぶ
「さて、溜まったツケ分はこいつで払えるかな」
手にした宝石のようなもの――『紋章の失敗作』を手にした神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)は、それを弄ぶように掌で転がした。
これを使用すれば、装着変身によって己が体躯は装甲に覆われる。
強靭な装甲を得れば、当然、オブリビオン『突撃兵』のユーベルコードへの対抗策へとなり得るだろう。
だが、彼は指で弾いて暗がりの坑道の中にてきらめく輝きを目で追うことなく背を向けた。
「たまにゃそういうのも面白そうだと思ったが、今回は必要なさそうだな」
彼の眼の前に迫るのは『突撃兵』たちであった。
装甲に覆われた体躯。
強化されているであろう身体能力は確かに恐ろしいものであったことだろう。
対する恭二郎の構えはあまりにも脱力していた。
だらりとのびた腕。
足取りは軽やかというよりも、いっそ気だるそうでもあった。
刀を下げたまま恭二郎は歩む。
「どうした撃っては来ないのかい」
「貴様ッ! 撃て!!」
『突撃兵』たちは恭二郎の挑発するような言葉に激昂するようにして手榴弾を投げ放つ。
宙に描くは放物線。
緩やかな軌跡であった。
炸裂すれば、凄まじい爆風が坑道の中にて増幅され恭二郎を吹き飛ばすだろう。
だが、それより速く恭二郎は踏み込み、己が手にした一閃――即ち、ユーベルコードの剣閃を叩き込む。
神酒坂風桜子一刀流・虎落笛(モガリブエ)。
それは痛みすら感じさせない雲耀の一閃である。
切り付けた、というのに痛みを齎さぬことに『突撃兵』たちは驚愕する。
いや、それよりも恭二郎が手榴弾の爆発よりも速く己達に飛び込んできたことに脅威を感じるべきだったのだ。
まるで雑踏の中を行き違ったかのような気軽さ。
いや、それほどまでに敵意というものを感じさせないものであった。
戦いの場にいるというのに敵意も戦意もない。
対峙する者が人の形をしているだけで、それ以上でも以下でもないと言わんばかりの歩みであった。
「“動くな”」
「何を……!」
「いや何、簡単なルールさ。“動かな”けりゃ……そうすりゃ死なずに済む」
だがしかし、『突撃兵』たちは振り返る。
恭二郎が己達を超えて、その先へと歩もうとしていたからだ。
当然止めるだろう。
だが、その振り返る所作こそが彼らの命運を分かつ。
「動くな、と言ったんだがな」
「敵を前にして動かない者がいるもの、か……?」
ずらり、と彼らの体が傾ぐ。
いや、傾ぐのではない。
己たちの首がズレているのだ。
「……???」
「だから言ったんだがな。まあ、仕方ない」
恭二郎は息を吐き出し、振り返る。
そこにあったのは『突撃兵』たちが首と胴が分かれたれた、もはや物体であった。
ごろりと転がる首。
それを見やり、恭二郎は息を吐き出す。
「さて、溜まったツケ分は隠し財宝庫のお宝で払えるほどなのかね?」
気を取り直して、というように恭二郎は己が屠ったオブリビオンたちを背に坑道の先、その財宝庫へと歩みを進めるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メイルーン・アルカディア
初のお仕事で戦争っていうのもなかなかだね?
でも良い経験ってことなのかな!
それにつけても財力は大事だからね。
紋章かー……、話には聞いてるけど失敗作なのはちょっとなあ
うん、じゃあ別の使い方をしようかな
大鎌で落ちてる失敗作紋章を貫いて、その生命力と呪詛を吸収して力に変えるよ
それで【羽夜天踊】を発動
翼で飛び回って銃剣突撃を避けながら攻撃しよう
無数の「針」の形状をした「追尾」属性の魔法を放つ
隙間があるんだって? だったらそこを射抜ける技が良いよね
銃撃は翼で防ぐよ
君たちに恨みはないけど、オブリビオンだからね
この紋章見てると思い出すなあ、あの「吸血鬼」名乗ってる奴らもオブリビオンなんでしょ?
許せないよね!
獣人世界大戦。
それは6つの超大国が覇権を争う獣人戦線の世界にて勃発した、世界を巻き込む大いなる戦いである。
その超大国が一つ。
ワルシャワ条約機構のウラル山脈、その坑道の奥に彼らの資金源でもある隠し財宝庫が存在しているのだという。
これを奪い去ってしまえば、ワルシャワ条約機構に大打撃を与えられることは言うまでもない。
「でもさあ、初のお仕事で戦争っていうのもなかなかだね?」
メイルーン・アルカディア(八夜・f43195)は、これを猟兵としての初めての仕事として捉えていた。
世界を救うのが猟兵である。
ならば、世界の危機であるというのならば馳せ参じることは良い経験になると思ったのだ。
「それにつけても財力ってのは大事だからね。お金で大抵のことは解決できてしまうし。お金は信用と力の量だって言うしね」
坑道は暗がりである。
とは言え、吸血鬼である彼にとっては慣れ親しんだものであったことだろう。
足元に転がっている『紋章の失敗作』は宝石型オブリビオンである。
これを装着することによって変身し、装甲に覆われた異形へと変貌することができる。湧き上がる力は凄まじいものであり、この隠し財宝庫が秘されているという坑道を守護するオブリビオン『突撃兵』たちは、すでにこの力を得ているのだという。
「紋章かー……話には聞いているけど、失敗作なのはちょっとなあ」
そう、紋章と呼ばれる宝石型オブリビオンを作っていたのはダークセイヴァー世界の五卿六眼『紋章つかい』である。
彼をして未だ完成していないという紋章。
失敗作と言いながら、強化されている力は凄まじいものである。
「じゃあ、別の使い方ができないか試してみよう」
手にした大鎌で紋章を貫き、その中にある力を吸収しようとする。
だが、元より紋章は宝石型オブリビオン。
貫いてしまえば、破壊されてしまう。
メイルーンが得られたのは僅かな呪詛と生命力のようなものだけだった。
「いたぞ! 猟兵だ!」
「銃剣装着! 突撃用意!」
オブリビオン『突撃兵』たちが次々と坑道の中をメイルーンめがけて突進してくる。
その銃剣の鋭さは恐ろしい。
「うんうん。わらわらとよくでてくるね」
メイルーンの瞳がユーベルコードに輝き、羽夜天踊(エルマカブル)と宙を舞い、実体と非実体を使い分けた攻防一体の翼を羽ばたかせ、坑道の中を跳ねるようにして後退する。
「逃がすな! 突撃!」
「だよね。突っ込んでくるよね。ならさ?」
メイルーンは己が魔法を解き放つ。針の形へと変貌した魔法。それは一瞬にして広がり、一気に『突撃兵』たちへと放たれる。
だが、強靭な装甲に彼らは覆われているのだ。
「無駄だ! この程度の攻撃などで!」
「いいや、止まるよ。君等のそれ、隙間があるんだって? ならさ、この針なんてうってつけでしょ?」
メイルーンは己が針の魔法でもって装甲の隙間から『突撃兵』たちを貫く。
血しぶきが舞うことはない。
なぜなら、それらは全て『突撃兵』たちの装甲、その内部にて起こっていることだからだ。
「君たちに恨みはないけれど、オブリビオンだからね」
微笑み、メイルーンは己が魔法でもって倒れ伏す『突撃兵』たちを見下ろす。
そこらに散らばっている宝石型オブリビオン『紋章』を見やる。
ダークセイヴァーにてはびこるオブリビオン。
彼らもまたヴァンパイア、吸血鬼と名乗っているのだという。
なら、メイルーンはそこにこそ怒りを覚える。
「吸血鬼を名乗っている不遜な連中がいるっていうのが、許せないよね」
そいつらを打倒するまで止まれない。
この隠し財宝庫の中身を奪うことが、そんな彼らに対する痛烈なる一打になるというのならば、メイルーンは俄然、意気揚々と坑道の先へと歩みを進めるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
オクト・パスフォルド
成程、これは面白い仕組みだ
だが私とは相性が悪そうだな
関節のない私が用いると、最悪防御力が無くなるかもしれない
さて、敵の戦術なのだが、紋章の守りのせいで脊椎生物の悪い所が前面に出ている
骨格の支えや守りの厚さに、動きまで固く硬直化しているのだ
銃弾が無意識に胴の高さに集中している事からも、対無脊椎生物戦の素人だと分かる
それでは私は捉えられない
無脊椎生物特有の重心の捉え難い動きから、跳躍と地滑りの上下の揺さぶりを組み合わせ翻弄し、間合いを詰める
「間接狙いは対脊椎動物戦の基本だ。苦にもならん」
空間鞘からのコスモカトラス六刀流からの居合で、奴等の間接部を切断して回ろう
異形の装甲に覆われた体。
オブリビオン『突撃兵』たちは何れもが『紋章』と呼ばれる宝石型オブリビオンを得て強化されていた。
強靭な防御力。
そして、狭い坑道において突撃する、という点に置いて彼らは厄介な敵へと変貌を遂げていたのだ。
「突撃! 敵猟兵が迫るのならば、これを撃滅せよ!」
彼らは坑道をひた走る。
すでに多くの猟兵たちがウラル山脈に存在する隠し財宝庫に迫っている。
この掘り進められた坑道は迷路のようになっているが、しかし、確実に最奥へと猟兵達は近づいている。
「なんとしても奴らを食い止めろ!」
「銃剣装着! 構え!」
彼らの姿を認め、オクト・パスフォルド(銀河提督・f43245)は足元に落ちていた『紋章の失敗作』を手にする。
「成程、これは面白い仕組みだ」
装着すれば、装甲が体を覆う。
圧倒的な防御力であろう。これを相手取るのは厄介だといえる。これを此方も利用できる、という点はありがたいこと言えるものであった。
だが、まるで蛸のような体躯を持つマルス星人である彼とは相性の悪い力であると言えるだろう。
そう、彼には関節が存在しない。
装甲で覆われる、ということは当然オクトの体躯全身をくまなく覆うということだ。そうなってしまえば、軟体であることの利点がなくなってしまう。
加えて、駆動域が装甲に覆われていない、という欠点を持つ『紋章の失敗作』である。最悪、関節部だらけである軟体であることが災いして防御力が無くなってしまう可能性だってあるのだ。
「なら、必要ない。何も問題もない」
オクトは迫る『突撃兵』たちを見やる。
装甲に覆われた体躯でもって一気に此方の距離を詰める凄まじい突撃である。
だが、スペースオペラワールドに生きる彼にとって、それは通常の戦術というより、脊椎を持つ存在特有の悪手であると定める。
「諸君らは、骨格が存在する。そのため、守りの厚さにかまけて動きまで固くなっている。硬さを前面に押し出す、というのならば悪くはないが……それでも戦術をたぐろうというのながら、それはかえって邪魔というものだ」
オクトは銃剣装着されし突撃銃を振り上げる『突撃兵』を見やる。
その突き出す一撃を彼はぬるりと柔らかな動きで躱すのだ。
「な……!?」
「わかっているだろう。諸君らと私の動きは違う。生物として違うのだから当然だ。だからこそ、私は無脊椎であることを利用する……いいや、この言葉は正しくはないな。私にとっては、これがイージーなのだ」
オクトの瞳がユーベルコードに輝く。
対脊椎生物戦術(アンチヴァータヴラタタクティス)ならば、お手の物である。
そう、互いの特性を理解し、それを活かす。
これは経験則だ。
故にオクトは一気に飛び込み、地滑りのごとき上下の動きを加えて『突撃兵』を翻弄し、詰めた間合いのままに、ずらりと引き抜かれたコスモカトラスの六刀でもって『突撃兵』たちの体躯覆う装甲の隙間へと刃を走らせて、その体躯を切り裂くのだ。
「な、なんだ、あの動きは……!?」
「これが脊椎生物と無脊椎生物の間に横たわる差……いや、ギャップというやつだな、これは。私はそれを習熟しているのだ。ならば」
己を知り、敵を知る。
ならば、百戦危うからず。
オクトは手にしたコスモカトラスを振るい、嵐のような斬撃を迫る『突撃兵』に叩き込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
四之森・曼珠
何をするにも資金は大事!
其を奪うことは敵の弱体化と味方の強化を兼ねられとても効率的ですわね!
確とこなして参りましょう!
して、戦場には紋章の失敗作があるとか。
失敗作とはいえ紋章には興味ございましたから丁度良いですわね!
早速装着し変身ですわ!
(全身に蔦を纏ったような姿へ変身)
敵は頑丈ながら防御に隙があると。ならばこれで仕掛けて参りましょう。
魔法薬散布:爆発性神経麻痺毒。
爆発の衝撃は装甲越しでも伝わりますし、散布されるお薬は装甲の隙間から浸透します。
これで動きの鈍った敵へ、Evergreenの触手を振るい攻撃。
関節部を狙って【切断】を試みていきましょう。
あ、紋章は研究サンプルとして持ち帰りたく♪
「何をするにも資金は大事! ですものね!」
四之森・曼珠(未来形魔女・f38525)はとても、とても深く頷いた。
彼女は飛び級で大学に通う学生である。
同時に化学、生物の教師をも務めている。そんな彼女は研究者として、資金がどれだけ大切なものかを身を以て知っていた。
お金がないと研究ができない。
維持することも、研究の結果を保全することだってままならないのだ。
悲しいけれど、理想とは別にお金を集める力だって研究者には必要なのだ。
故に、それは超大国においても変わらないだろう。
戦線を維持するためには兵器や人材が必要だ。
それを生み出すにしたってお金がいる。何にせよ、マネー・イズ・パワーなのである。
「なら、それを奪うことは敵の弱体化と味方の強化を兼ねられて、とても効率的ですわね!」
ないなら奪えば良い。
奪えば敵の資金は底をつき、身動きが取れなくなる。
そこを奪った資金でぶん殴る。
これ即ち、戦の常道であろう。
故に、ウラル山脈、この坑道の奥に隠し財宝庫がある、というのならば曼珠は乗り気だった。
「して、これが『紋章の失敗作』と呼ばれるものでしょうか?」
彼女が手にしているのは宝石型オブリビオンである。
ダークセイヴァー世界において五卿六眼と呼ばれるオブリビオンが開発を行っていたと言われるものである。
しかし、失敗作である。
この紋章には重大な欠点がある。確かに強化はされる。だが、装甲覆う異形へと変身しても、その駆動部、関節部が装甲で覆われていないのだ。
この欠点が弱点へと成り代わっているのだ。
「興味がございましたの。実験は即座に行える我が身、ということですわ!」
躊躇なく曼珠は紋章を装着し、己が五体を装甲で覆う。
異形の姿。
確かに装甲は頑強であり、また己の能力が強化されちれていることを知るだろう。
「……猟兵が紋章を使うだと!?」
オブリビオン『突撃兵』たちは驚愕する。
これは彼らにとってのアドバンテージを無に帰すものであったからだ。
構えた銃剣が曼珠へと叩きつけられる。
だが、銃剣は装甲と激突して火花を散らすばかりだ。
「なるほど。頑丈ですわね。これならば、無理に躱す必要はございませんね」
曼珠の瞳がユーベルコードに輝く。
手にした如雨露型デバイスからシャボン玉がふわりふわりと飛び立つ。
あまりにも場違いな光景であったことだろう。
だが、そのシャボン玉の恐ろしさを知っているのは曼珠だけだった。
「危険ですのでご注意くださいませー?」
「何が危険か! ただのシャボン玉など!」
『突撃兵』たちが曼珠との間に隔てるようにして浮かぶシャボン玉を押しのけて彼女に迫ろうとした瞬間、それが破裂し、一瞬で魔法薬散布:爆発性神経麻痺薬(パラライズ・ボム)をぶちまけるのだ。
「……!?」
「お伝えしましたのに。その装甲は確かに強靭な防御力を有しているのでしょう。ですが、その装甲の隙間から入り込む、こちらの神経麻痺薬の浸透は防げないようですね?」
彼女の言葉通りだった。
『突撃兵』たちは、染み込む神経麻痺薬によって膝をつく。
声を発することもできなかった。
思考が回わらない。これが、あの猟兵のユーベルコードなのか、と思いつくこともできない。
「さあ、これでおしまいです。あ、この紋章はサンプルとして持ち帰らせていただきますね?」
承諾を得るような言葉であったが、植物を思わせる触手を振るう曼珠は、次々と『突撃兵』たちを叩き潰し、悠然と坑道を歩み、点在する『紋章の失敗作』を持ち帰るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
シャルロッテ・ヴェイロン
ああ、「紋章つかい」ですか。確か「お前は正義か?じゃあ殺そう」とかほざいてたやつでしたね。
(で、「紋章の失敗作」で強化された兵士たちを見て)
なるほど、確かに装甲は厚そうですね。でも脳を直接【ハッキング】すれば問題ないでしょう(【精神攻撃・データ攻撃】)。あとは同士討ちとかさせて兵力を減らしておきますか。
無事なのがいたなら装甲の隙間を光線銃で狙い撃ったり(【スナイパー・レーザー射撃】)、こちらも「紋章」で強化して【連続コンボ】で叩きのめしちゃいましょう。
※アドリブ・連携歓迎
五卿六眼。
それはダークセイヴァーを巡る大いなる戦いにおいて姿を表したオブリビオン『紋章つかい』のことを示す言葉であった。
彼がこれまで生み出してきた紋章は何れも完全ではなかった。
彼をしてもなお紋章は完成を見なかった。
その『紋章の失敗作』がどういう経緯を以て、このウラル山脈の坑道に点在しているのかはわからない。
けれど紋章は須らく装着したオブリビオンを強化する。
絶大な力と、体躯を覆う装甲によって異形へと変貌するのだ。
「ああ、『紋章つかい』ですか。確か正義がどうとかほざいてましたね?」
シャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)は思い出した。
あの戦いは確かに厳しいものであった。
そして、彼の研究の残滓というものが、こうして他世界に影響を及ぼしているというのならば、これを滅しなければならない。
「いたぞ、猟兵だ! 撃滅せよ!」
オブリビオン『突撃兵』たちは皆、紋章によって強化されている。
異形の装甲に覆われた体躯。
彼らはその兵種故に装甲を強化されることによって、この坑道内を疾駆する砲弾へと変貌していたのだ。
シャルロッテは確かに、と思う。
装甲は分厚く、これを正面から叩くことは難しいかもしれない。
けれど、シャルロッテは余裕があった。
彼らが迫る姿は恐ろしげえあった。だが、それだけだ。恐ろしいように見えているだけで、その実害がシャルロッテ自身に及ぶことはイメージできなかった。
なぜなら。
「如何に装甲が分厚かろうが、中身はオブリビオン。なら脳を直接ハックすれば、問題なんてないんですよ」
ユーベルコードに輝く瞳。
同時にシャルロッテは『突撃兵』たちの脳に直接ハッキングツールを生やすことによって、受信機として彼らをデータでもって汚染していくのだ。
「視界が、暗く……!? いや、なんだ、これは!?」
「敵兵がこんなに近く!? 撃て! 撃て!!」
「がっ!? なんでこんな銃弾が後ろから!?」
『突撃兵』たちは皆、混乱していた。
それはシャルロッテがデータでもって彼らの脳に互いを敵兵と認識させているからである。
「これがBRAIN HACKING(ブレインハッキング)というやつです。悪いですけど、あなたたちの頭脳を頂いたのです」
そう、シャルロッテのハッキング技能とユーベルコードが合わさることによって『突撃兵』たちは視界を塗りつぶされ、互いを敵兵と認識し、同士討ちを開始しているのだ。
「さ、これだけではすみませんよ」
シャルロッテは、さらに仕上げと言わんばかりに『紋章の失敗作』を掲げる。
そこらに点在している宝石型オブリビオン。
これを用いて己の力を強化するのだ。
確かに敵は己のハッキングによって同士討ちをしている。けれど、それで終わるほど敵も愚かではない。
なら、ここで押し込む。
「紋章に寄る強化……確かに凄まじいですね!」
出力の上がった光線銃。
引き金を引けば、そのレーザーが『突撃兵』たちの体躯を覆う装甲の隙間へと叩き込まれ、その身を焼き滅ぼすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
鏡島・嵐
宝に色気出してっと宝で身を滅ぼすっていつか祖母ちゃんから聞いたな。まあ、こんなトコで欲をかく気はさらさら無えんだけどさ。
それにしても、失敗作とは言え紋章で強化とか、おっかねえことしてくれやがって。ただでさえ怖ぇってのに……(ぶつぶつ)
ともかく、きっちりやることやらねえとな。
《二十五番目の錫の兵隊》を呼び出してサポートさせる。〈援護射撃〉や〈武器落とし〉を狙わせて、決定的な隙を作り出せるように。
〈第六感〉を働かせつつ攻撃をいなしながら、チャンスが訪れたら〈スナイパー〉ばりの狙撃で関節部に〈限界突破〉した一撃を叩き込む。
状況によっては援護役と狙撃役を交替しつつ、《錫の兵隊》と連携して戦っていく。
宝、というのは浪漫を感じさせるものであった。
金銀財宝であれば、一生遊んで暮らせるかもしれないという期待感を覚えるのも無理なからぬことであろう。
ともかく、人にとって宝というのはどうしたって欲望掻き立てるものであった。
だからこそ、先人は咎めるのではなく諌めるように言葉を残している。
「宝に色気出してっと宝で身を滅ぼすって祖母ちゃんから聞いたな」
鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は、祖母と祖母の言葉を思い出す。
此処はウラル山脈。
金銀や鉄、鉱石の類が豊富に算出される地方である。
此処こそが超大国が一つ、ワルシャワ条約機構の財源となっていることは言うまでもない。
坑道の奥に隠し財宝庫なんてものを用意しているのだ。
ここを潰せばどれだけワルシャワ条約機構に打撃を与えることができるかわからない。
「まあ、こんなトコで欲をかく気はさらさら無えんだけどさ」
それでも、と嵐は思う。
気を引き締めなければならない。
なにせ、敵は失敗作とは言え、紋章によって強化されたオブリビオン『突撃兵』たちなのである。
「まったくおっかねえことしてくれやがって」
ただでさえ、こちらは戦いに対してネガティヴな感情を抱いてしまうのだ。
けれど、彼が此処に来たのは戦うためだ。
やることはきっちりやる。
これもまた祖母の言葉であろう。
「胸に燃ゆるは熱き想い、腕に宿るは猛き力。その想いを盾に、その力を刃に。……頼んだ!」
敵の数が多いのならば、此方も二十五番目の錫の兵隊(フェモテューヴェ)を駆り出す。
片足が義足の武装した兵士たちの霊を嵐はユーベルコードによって呼び出し、彼らを坑道に進めさせる。
「敵兵!」
その存在に気がついたであろう『突撃兵』たちが迫る。
対応が早い。
他の猟兵達が侵入したことで、すぐさま戦闘になると理解していたのだろう。
装着された銃剣と銃剣が激突し、暗がりの坑道に火花を散らす。
電撃が穂飛ばしり、嵐が呼び出した兵士たちが『突撃兵』たちを押しやる。良く戦っている、と言えるだろう。
彼らは失敗作とは言え、紋章で強化されている。
異形の装甲を纏う姿からも、容易く打ち倒せないと理解できるだろう。
「でも、欠点が、弱点があるってわかってんだ。やれる。やるさ!」
嵐はスリングショットを構える。
兵士の霊たちは、彼らに決定的な隙を生み出すためのサポートだ。
彼らにとどめを刺すことはできない。
だからこそ、嵐は集中し、狙いを定める。
狙うは、装甲と装甲のつなぎ目。
即ち、可動域を確保するための関節部。
「そこだ!」
放つ一撃が見事に装甲の隙間へと飛び込み、その体躯を貫く。
「ぐおっ!? 装甲を抜いてくる……!?」
「いいや、その隙間を撃っただけだ! 行くぜ、みんな!」
嵐の言葉に兵士の霊たちが次々と『突撃兵』へとなだれ込むようにして襲いかかり、嵐は更に坑道の奥まで敵を追い込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ヌグエン・トラングタン
なんてーか…オブリビオンも様々なんだな。
話でしか聞いたことねぇが…そんな物もあるのか。
だが、やることは単純明快。守備についてる奴らをぶっ飛ばし、財宝を奪取するだろ。
坑道か…かつての俺様が居たところより狭いが…敵がいる方向が明確になるのは利点だな。
今回は近づかれたらマズそうだし、視認した瞬間にUC使う。
…さて、関節部分は強化されないっていうのなら、そこから入り込んだりするよな。まして、『凍れる炎』は不定形だからな。
なら…そのまま、関節部分を凍結させてやる。動けねぇなら、その攻撃も無意味だろうよ。
ま、放っておくと、装甲関係なく全部凍るからな?矛盾した感覚、味わってみろ。
過去の化身であるオブリビオン。
その姿や種族は様々である。
まるで鏡合わせであるように思えただろう。
猟兵もまたそうであるからだ。一口に猟兵とカテゴライズされているが、そのあり方は千差万別。真の姿まで合わせるのならば、統一性はまるでないと言えよう。
「なんてーか……オブリビオンも様々ななんだな」
話に聞いていたが、とヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)は坑道内部に転がる宝石型オブリビオン、紋章を手にして呟く。
この紋章と呼ばれる宝石型オブリビオンは、装着した者の能力を著しく強化する。
これを研究開発していたオブリビオン、五卿六眼『紋章つかい』をして、完成を見ていなかった。
転がっているのも『紋章の失敗作』である。
この製造にはおぞましき肯定が必要であるが、一体どれだけの生命が失われたのかなど考えたくもない。
「こんなものまであるなんてな……だが、やることは単純明快。守備についている奴らをぶっ飛ばして財宝を奪取する、だろ」
なら、己ができないわけがない。
むしろ、坑道内部に存在しているオブリビオンを撃滅し、宝を奪うなんて、自分がゲームプレイヤーの立場に立っているような錯覚さえ覚えてしまう。
「いたぞ、猟兵だ!」
「構え!」
「おっと、マズい」
ヌグエンはついつい坑道内部に見入ってしまっていた。
自分のダンジョンと違う点を参考にしようとしていたのだ。坑道はたしかに狭い。けれど、それは敵の存在、その方角が明確にわかる、ということだ。
だが、それは同時に己の存在をも敵が察知することが容易い、ということでもある。
「だがまあ、構わねぇよな!」
暴れることに代わりはない。
己のドラゴンとしての魔力が膨れ上がっていく。
その魔力を細分化し、凍結属性を持つ凍れる炎の柱を迫るオブリビオン『突撃兵』へと叩き込むのだ。
「無駄なことを! この装甲を前にして炎が効くとでも!」
「それは氷柱のような(ソレハヒバシラデアル)もんでな。炎だが、凍りつく。なら、どうなるかなんてわかるよな?」
「何を……!?」
『突撃兵』たちは気がつく。
己たちの体躯が動かぬことを。
そう、ヌグエンのユーベルコードの炎は、炎でありながら燃やすのではなく凍らせるのだ。
異形の装甲を持つ彼らの体躯は装甲で覆われているがゆえに、凍結してしまい、動きが取れなくなるのだ。
だというのに炎としての特性は有している。
装甲の隙間に入り込む炎は、その内側までも凍りつかせていくのだ。
「動けねぇなら、こっちに攻撃してくることもあるまいよ。ま、これで終いだな。装甲がどれほどのもんかしらねぇが、不用意にこっちの攻撃を受けすぎた」
ヌグエンは笑う。
敵の迂闊さが、敵を殺すのだ。
己の能力など些細なものだ。油断、迂闊さ、そうしたものは、いつだって容易く生命を奪うものだ。
「凍る……燃えているのに凍る!?」
「その矛盾した感覚、味わいな」
ヌグエンは、狭き坑道の中にて凍りついていくオブリビオンたちを尻目に、坑道の奥にあるであろう隠し財宝庫へと歩んでいくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
エアリーネ・シルベンスタイン
……以前は出遅れましたからね……今度はちゃんと貰って帰りましょうか…
確か場所は坑道でしたね……?ならこうしましょうか……
気配を隠して忍び込み、『鈍く光る火を噴く筒』を取り出して【焼滅竜の吐息】を…。未だ仕組みは解りませんが……敵と味方は区別しますし遠慮なく閉鎖空間内へと炎の渦を放ちますね…。炎はその異形の鎧の隙間からも入り込みますし、加えて「装備品そのものが高熱を放つ」ようになりますから…脱がないと大変ですよ……。
まあ、脱がなくても隙間に武器を突き刺してとどめを刺しますけど……
勿論、刃には毒を塗ってあるし、その際に盗める物は奪わせてもらいますね……
あ、紋章ですけど、見つけ次第持ち帰りますね……
エアリーネ・シルベンスタイン(びんぼうエルフ・f26709)は、嘗て大いなる戦いに出遅れたことを後悔していた。
それは研究者として興味深い対象を得られなかった後悔であったことだろう。
紋章。
そう、ダークセイヴァーを巡る大いなる戦いにおいて姿を表した五卿六眼『紋章つかい』が開発したという宝石型オブリビオンである。
これを装着したものは強大な力を得ることで知られている。
そして、その紋章の製造過程はおじましいものであるとも。
故にエアリーネは、研究のためにも、これを持ち帰らねばならないと思っていたのだ。
「坑道……奥には隠し財宝庫ですか。まったく」
超大国であるとはいえ、やはり財源というのものは必要なのだろう。
万が一にも、と想定して隠し財宝庫を用意したのだろうが、それが仇となった形である。オブリビオンたちは、これが奪われないようにと画策したのだろうが、猟兵の予知はこれを上回るのだ。
「面倒ですが」
手にしていたのは鈍く光る火を噴く筒である。
彼女の発明品の一つであろう。
呪いで擬似竜化した筒から噴出するのは、吹き荒れるようにして迸る竜炎の渦であった。
「焼滅竜の吐息(フレイムストーム)で熱せられた装甲は、釜のようなものでしょう」
しかも、坑道という限定された空間である。
このような場所において炎は坑道に沿って形を変え、敵を熱する。
凄まじい熱は、それだけでは装甲を貫くことはできないだろうし、これを焼き滅ぼすことはできない。
それは十分に理解している。
それほどまでに紋章の齎す装甲の有用性は理解できている。
だが、内部のオブリビオン『突撃兵』はどうだろうか?
「装備品そのものが熱を持つ、のなら?」
エアリーネは、その検証結果を見定めるために炎の渦の先へと足を踏み入れる。
そこに在ったのは黒煙を上げる『突撃兵』達であった。
坑道に充満する肉が焼ける匂い。
食欲がでなくなる匂いだった。そう、黒い装甲は炎で熱せられ、その内部にあった『突撃兵』たちの体躯を蒸し焼きにするようにして焼き滅ぼしていたのだ。
「脱がないと大変なことになるとは想いましたが、脱ぐことができなかったのですね」
エアリーネは消し炭のように装甲の中で絶命している『突撃兵』たちを見やる。
やはり、装甲は焼けただれていない。
強靭な装甲は、やはり厄介だった。
「これだけの炎を受けてまだ健在とは。宝石型オブリビオン……寄生虫のように宿主を強化する力……」
ふむ、とエアリーネは一つ手に取る。
これを研究していけば、何かがわかるのかもしれない。
わからないことだって当然あるだろう。
けれど、それで思考を止めることは愚かしいことだ。
わからないことを理解する。それもまた知識の一つだ。愚か者は、それさえもしないから、愚かなままなのだ。
「さあ、収穫はありました。持ち帰って、これを研究してみましょう」
エアリーネは坑道の奥にある財宝よりも、むしろ、点在する紋章にこそ勝ちを見出しながら、さらなるサンプルを得るために坑道の中を炎と共に進むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ティグリ・ブリヤジール
「ちょーたいこくのざいほーならちゃんとしーたげられたたみのためにかんげんしなきゃいけない」
……って部隊の先輩の一人が言ってたのだー!(意味わかってない顔)
坑道に突撃なのだ―!まずはその「もんしょー」を探すのだ―!
見つける前に敵兵に遭ったら閃光/音響/悪臭手榴弾のトリプルセットを投げて逃げるのだ―!
もんしょーを拾ったら早速使うのだ―!これで互角だけど、それじゃダメだからUCで【きょーこーとっぱ】なのだー!
当たらなくてもそれはそれでそのまま制圧して「陣地」にしちゃうのだ―!
後は防護壁と銃座を利用して、ライフルとグレネード、その辺の石(即席武器)も使って相手の突撃からこの陣地を死守するのだ―!
ワルシャワ条約機構、それは超大国の一つである。
ウラル山脈を要する国土は、豊富な鉱石資源を背景に膨大な資金を手繰り世界の覇権を握るために攻勢を仕掛ける。
彼らの潤沢な兵力や兵器、そうしたものを支えるのはやはり潤沢な資金であることは言うまでもない。ならば、この潤沢な資金を奪うことはワルシャワ条約機構を追い込むことに繋がるといえるだろう。
故にウラル山脈の坑道へと集う猟兵達は次々と最奥に存在する隠し財宝庫へと迫っている。
ティグリ・ブリヤジール(トラの戦闘猟兵・f40385)もまたその一人だった。
「ちょーたいこくのざいほーならちゃんとしーたげられたたみのためにかんげんしなきゃいけない」
うん言えた。
ティグリは己の部隊の先輩がそう言っていた事を思い出す。
細かい意味はわからない。
けれど、それがきっとみんなのためになるのならば、ティグリはいつだってがんばれるし、がんばるのだ。
例え、それがあまりにも危険な敵が潜む坑道なのだとしても臆することなく突き進むのだ。
「えっと確か、突撃するにしてもまずは『もんしょー』を探すのだー!」
坑道のあちこちに点在している宝石のようなもの。
これが紋章と呼ばれる宝石型オブリビオンである。
かつてダークセイヴァーにて起こった大いなる戦い、その戦いの中に手現れた五卿六眼『紋章つかい』と呼ばれるオブリビオンが開発、研究していたものである。
この紋章を作成するための過程、肯定はおぞましくもあるが、ティグリは今は気に留めていなかった。
これが多くの獣人たちを苦しめる者たちの手にわたっていて、対抗するために必要な術だというのならば、彼女は坑道の中をひた走る。
手にした紋章。
怪しくきらめくような雰囲気を持つ宝石。
「敵は変な装甲の、変なやつになっているのだー!」
「猟兵だ! 見つけたぞ! こっちだ!」
「わー! 見つかったのだー!」
ティグリは坑道で遭遇したオブリビオン『突撃兵』の姿を認めた瞬間、閃光と音響、そして悪臭を放つ手榴弾を投げて走る。
「うわっ!? なんだこの匂いは!?」
装甲の隙間から入り込んでくる悪臭に『突撃兵』たちは顔をしかめる。
だが、それが決定的な隙となった。
「さくっと陣地確保なのだー! そうちゃくへんしーん、なのだー!」
ティグリは紋章を己が体躯に装着し、異形の装甲を持つ姿へと変貌していく。
これで五分。
条件は対等になったと言えるだろう。だが、決定的ではない。
ならば、何が決定的となるのか。
そう、それはティグリのユーベルコードである。
装甲に覆われたティグリの体躯は砲弾のように『突撃兵』のお株を奪うように突撃し、彼らを弾き飛ばす。
そう、これこそが彼女の戦法。
「きょーこーとっぱ(キョウコウトッパ)なのだー! 邪魔しないでほしいのだー!」
突撃と銃撃が外れても気にしない。
もとより狭い坑道である。即座に防護壁と自動車激銃座を敷設し、陣地化した坑道をティグリは一方的に『突撃兵』たちを蹂躙していくのだ。
「この先にかくしざいほーこがあるのだ? なら、ここで敵をティグリは食い止めるのだー!」
そう、敵を近づけさせない。
それこそがティグリの方策である。己の背後の坑道の先に隠し財宝庫があるのならば、なおさら敵は此処を攻めようとするだろう。
これを阻むティグリは鉄壁の要害となってオブリビオンたちを寄せ付けぬよう、砲火をもってこれに対抗するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
例の紋章……か。アレがその辺に転がっているというのは勿論だが、使っている奴らがいるというのも、あまり愉快な話じゃないな
ああいうものは、さっさと壊してしまうに限る
利剣を抜いて、陸の型【爪嵐:響】の構え
坑道の広さを考えれば、一度に相手をする敵の数はそう多くないだろうが、包囲されたりしないようには注意しながら移動
一旦防御を優先して相手の攻撃を捌き、そしてカウンター
敵の動きを崩した後とはいえ、装甲の隙間を狙うのはそう簡単ではない
だが、何度かやっていけば相手の動きを把握してコツも掴めるさ
しっかり隙間を狙って斬り、敵の動きを止めていく
関節部をやってしまえば相手の戦闘力は落ちるし、楽でいいな
「例の紋章……か」
ウラル山脈の坑道。
その中にて点在する宝石。
それが宝石ではないことを夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は知っている。宝石のように見えるそれは宝石型オブリビオンである。
紋章と呼ばれるダークセイヴァー世界にて確認された装着したものの力を著しく強化するものである。
「コレがそのへんに転がっているというのはもちろんだが、使っている奴らがいるというのも、あまり愉快な話じゃあないな」
紋章の製造過程、その工程を知るのならば当然の反応であろう。
あれが如何にして生み出されるのか。
どれだけの命が犠牲になったのか。
それを思えば、散らばるようにして点在している『紋章の失敗作』は、それ一つで多くの命が失われている証明である。
「ああいうものは、さっさと壊してしまうに限る」
使わない。
あの紋章は、作成者である『紋章つかい』をして未だ完成していないというものである。故に、欠点はある。
例え異形の装甲に覆われた姿で、強靭なる防御と強大な力を有するに至ったとしても、その駆動域、関節部に隙間があるのならば鏡介は手にした利剣を構える。
恐れるに足りない。
己の剣は正しく、その剣閃を敵に叩き込むだろう。
「こっちだ! 猟兵たちが隠し財宝庫への道を塞いでいる。突破するぞ!」
オブリビオン『突撃兵』たちがせわしなく坑道を移動してくるのがわかる。
坑道という状況を考えれば、必ずどこかで鉢合わせすることは分かり得ることであった。
そして、加えるなら坑道の狭さである。
敵にとっては数を活かせぬ地形である。それが鏡介に利するところであったのだ。
「包囲の心配はない。なら」
「猟兵か! 構え!」
「させない」
迫る『突撃兵』たちは己たちの体躯を覆う紋章に寄る装甲を過信している。
こちらの攻撃が届かないと確信しているからこその突撃。銃剣の鋭さは重要ではない。あの体躯で組み付くことこそが目的なのだ。
ならばこそ、鏡介の瞳はユーベルコードに輝き、その一部の隙……即ち、駆動部の隙間へと剣閃を走らせるのだ。
「響け剣戟、一切を逃さずに――陸の型【爪嵐:響】(ロクノカタ・ソウラン・ヒビキ)」
放たれる剣閃。
翻るような煌き。
その一閃は『突撃兵』の首元へと放たれ、一刀のもとに切り裂く。
まるで装甲がバターのように切り分けられたかのような光景だった。事実、それは装甲を切り裂いていない。
僅かな、それこそ剃刀の刃一枚が通る程度の隙間を鏡介の斬撃は走ったのだ。
ただ、それだけのことだったのだ。
「……!?」
だが、何が起こったのか『突撃兵』たちは理解できなかっただろう。
己たちの頼みしていた装甲がまるで役に立たない敵が目の前にいるという事実を受け入れられずに混乱するばかりだったのだ。
「この程度で動揺するようじゃ、肝心の装甲も宝の持ち腐れだ」
鏡介はそう言って、己がユーベルコードの輝き宿す刀身でもって彼らの決定的な隙……弱点たる間隙を剣閃で切り裂くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
暗躍というか、こんなことするの『ノイン』さんくらいしかいないっていうか。
いやそんなことよりステラさん、ついに『エイル』さん以外の香りまで……。
強火も過ぎるとこうなっちゃうよ。
っていう良い子のみんなに悪い見本のやべー二人ですよね。
ちょ!?
なんかいま酷いこと言いませんでした!?
せめてルビ芸で言ってくださいよー!
ま、まぁいいです。
演奏していいみたいですし、見なかったことにします。
確かにわたしの奏魔法なら、隙間潰しにはもってこいですもんね。
それではいきますよー♪
あなたの装甲の隙間、お埋めします! どーん!!
音も水と同じ!
狙う必要もありません。『波』はどこにでも潜り込んでいくものなんですよ!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!!
強火ストーカー同担拒否な|女《ノイン様》の香りがしまぁぁぁぁぁす!!
絶対暗躍してそうですよね
そう思いませんかルクス様?
何ですかその視線は
誰がやべーメイドですか
ここは破壊の勇者にお任せ…
おっとついに混ざって(?)
改めて光の勇気にお任せしましょう
私は紋章の失敗作を利用しましてっと
真正面から
【スクロペトゥム・フォルマ】で
叩き潰します!
ええ、仮にまとめて破壊音波に巻き込まれてとて!
この装甲がルクス様の破壊音波を遮りますから!
隙間さえ狙われなければ
今日の私は無敵です!
なんかフラグっぽいですが気のせい!
それにしてもちらちら見える女の影
いったい何を企んでいるのやら?
同じものが好きな者同士を同好の士と呼ぶ。
それは共通する認識と嗜好を持つがゆえに、手に手を取り合って進むことのできる者同士を示す言葉であったことだろう。
けれど、世の理というか、世俗というのは言葉、その文字通りには行かぬのもまた道理なのである。
人というものは、同じものを好むのだとしても、たった一つしか無い席があるのならば、それを巡って争うものである。
それを醜いと断ずることは簡単であろう。
だが、感情は容易く割り切ることのできない複雑怪奇な魂の影。
ならば、如何様にも形を変えるであろうし、切っても切り離せぬものであるのもまた自明。
「|『エイル』様《主人様》の!! 強火ストーカー同担拒否な|女《ノイン様》の香りがしまぁぁぁぁぁす!!」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の雄叫びはいつもの声量であったが、しかし、遂に嗅ぎ分けることが可能となってしまった紫メイドの凄まじさはもはや語るまでもないだろう。
というか、ちょっと語るのが怖くなってきている。
少なくとも同行しているルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は思った。
「絶対暗躍している、そうは想いませんか、ルクス様!?」
「暗躍というか、こんなことするの『ノイン』さんくらいしかいないっていうか。そんあことより、ステラさん、遂に『エイル』さん以外の香りまで……」
嗅ぎ分け可能になったんですね、とルクスは引いた。
ちょっとどころではない感じで引いた。
引きまくっていた。ドン引きってやつである。今までのがドン引きしなかったのかと言われたら、それは違うけれど、まあ、ドン引きである。
「なんですかその視線は。誰がやべーメイドですか」
流れるようにスムーズな展開である。
ステラが叫ぶ。ルクスが引く。
もはや恒例行事と言っても過言ではないやり取りである。
「いえ、強火も過ぎるとこうなっちゃうよっていうよいこのみんなに悪い見本のやべーお二人ですよね」
ルクスは『ノイン』も大概だなって思った。
こんなこそこそ暗躍しないで真っ向勝負を挑んでくればいいものを、と思ったのだ。
「いたぞ、猟兵だ! 突撃用意!」
そんな二人の漫才っていうか、前説っていうか、そういうやり取りの最中に迫るな闖入者、否、オブリビオン『突撃兵』である。
彼らはこの坑道にて隠し財宝庫を守護するために配置されたオブリビオンだった。
紋章の失敗作であれど、その身を覆うは異形の装甲。
強靭な装甲と底上げされた戦闘力。
これを持って迫る敵の突撃は看過することはできない。
「おっとここは破壊の勇者にお任せ……おっとついに混ざってしまいました。改めて光の勇気にお任せしましょう」
「今んか酷いこと言いませんでした? もはやルビ芸もないとか、そこまで直接ディスられるんです、わたし!?」
「気の所為ではないでしょうか。というか、こんなやり取りしている暇などありませんよ、ルクス様」
「そうでした! 敵が来ているんでした!」
二人のやり取りはいつも通りである。
ということは、即ちルクスのやることもいつも通りなのである。
そう、演奏である。
そして、ここは坑道である。
演奏すれば、当然のように音は反響して相乗効果でもってさらなる力を発揮する。
それがわかっているので、ステラはそこら辺に転がっていた紋章の失敗作を手にとって装甲でもって己が体を、っていうか鼓膜を護るのだ。
「それではいきますよー♪」
戦いにあるというのルクスはごきげんである。
なにせ、思いっきり演奏ができるのだ。ふ、それに最近ではステラの耳栓すらも貫通することができるようになっているのだ。
装甲に覆われていても問題なんて無い。
故に、彼女はにっこり笑ってバイオリンを構えた。
「あなたの装甲の隙間、お埋めします! どーん!!」
どーん、じゃないが、とステラは思った。
そんでもって、自分が悪手を打ったことも理解したのだ。
そう、この場にある紋章は全て失敗作。
必ず隙間が生まれてしまっている。
本日のメイドは装甲メイド。耳栓装備の上にしっかりケアも行われているから無敵メイド。そう思っていたのだ。
だが、隙間がある。
なんかフラグっぽいな、とも思ったが、フラグであった。
「Canon(カノン)! さあ、一杯聞いてくださいね!」
ルクスの不協和音という名の破壊音波が迸り、坑道に反響してオブリビオン『突撃兵』たちを飲み込んでいく。
「この音は何だ、頭が割れる……!?」
「ああああっ!? なんか、やっぱりフラグでした! 主人様、私を守ってください! 主に鼓膜を!!」
絶叫が迸る。
オブリビオンだけではなく、ステラの絶叫も混じっているのは御愛嬌である。
ルクスは大変満足した面持ちで、ふんす、と息を吐き出す。
そんな彼女の足元には坑道の地面に『おのれのいんさま』と文字が刻まれていたが、それを見る者はきっと……まあ、いないであろう。
これはダイイングメッセージではないからだ。
まだメイドは生きている。
遠き主人様への道のりをたどるために――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
薄翅・静漓
忠実で恐れを知らない兵士たち
侮っていい相手ではないのでしょう
『しるべ』を発動し、敵の攻撃をかいくぐり、紋章を奪取するわ
禍々しくも美しい宝石のような『紋章の失敗作』
その力、試してみたいわ。私も『装着変身』して戦いましょう
『プラクト』でプラモデルとシンクロするように、装甲と自分を一体化させて戦場を駆けるわ
一番慣れた戦い方で挑むの、危ういほどに膨れ上がる紋章の力は気を抜くと暴走してしまいそうだから
けれどしるべを失わない限り、私は自分を律する事ができる
冷静に着実に、敵の弱点を狙って光の矢を撃ち放つわ
オブリビオン『突撃兵』たちは己が命を捨てることに対してなんの呵責も抱かない。
なぜなら、それが『突撃兵』という兵種であるからだ。
そうあるべきだと信じているし、そうでなくてはならないとも思っているだろう。
他者の命を奪うことも、己の命を捨てることも、全てが等価値なのだ。
故に、こんな坑道の中であっても臆することなく迫る猟兵に対して果敢なる突撃を行うことができるのだ。
「突撃! 突撃! 接敵すればこちらのものだ!」
「銃剣を、シャベルを奮え!」
彼らの声が坑道に反響している。
それを薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は聞いただろう。
彼女の心は波立つことはなかった。
なぜなら、彼女は敵を侮っていなかったからだ。
恐れを知らぬ忠実なる兵士たち。その恐ろしさは言うまでもないことであった。けれど、迫る銃剣の鋭さを静漓はかいくぐり、坑道に点在している宝石を手に取る。
「これが紋章……」
禍々しくも美しい宝石。
宝石型オブリビオンである紋章は、その製造過程も、工程も、全てがおぞましきものである。
数多の命が費やされ、その全てが尽く失敗しているのだ。
そして、多くがこの坑道に点在しているということは、己が思う以上の命と血が流れたことを意味するのだ。
「試しましょう。恐れも不安も、全て前に進むことでしか払拭できないというのなら」
彼女はためらうことなく紋章を手に、装着変身を果たす。
装甲に覆われた姿。
己が体躯の表面に広がる装甲。
強靭な防御能力を得ると同時に、致命的な欠点、弱点を抱え込むことになるが、迫る銃剣の一撃を静漓は躱すことなく装甲で受け止める。
火花が散って、坑道の暗がりをテラス。
悪魔の加護を纏う彼女にとって、装甲のデメリットはない。
一瞬で『突撃兵』を上回る速度で踏み込み、彼らを吹き飛ばすのだ。
「ガハッ!? 装着変身したてだというのに、この動き……!」
「別に難しいことじゃあないわ。慣れているもの」
静漓は知っている。
己が他世界で学んだ、知ったことと紋章に寄る装着変身はにていたのだ。
違いは、己が作り上げたものか、そうでないかの違いでしかない。
装甲に覆われようとも、己の体躯の延長線上。
いつだって己の経験が己を突き動かす。
速さ。
その一点において静漓の瞳はユーベルコードに輝き『突撃兵』を上回るのだ。
「何故、そこまで動ける!? 同じ紋章でありながら……!」
「力に振り回されないこと。そして、常に己の五体を意識すること……もう何度も繰り返してきたことだもの」
あの遊びの中で彼女は知ったのだ。
教えてもらったのだ。
そうやって、他者とのつながりが彼女の心を豊かにしていく。
彼女にはもう見えている。
決して見失わない閃光のようなしるべ(シルベ)を。
恐ろしいほどに強烈な力であっても、己を律することができる。
いつだってそうだ。
力は力でしかない。
それを手繰るものがいるからこそ、悪性にも善性にも転がることができる。
静漓の手に生み出された光の矢が宙を走り、『突撃兵』たちの装甲の隙間を射抜く。
穿つ一撃は彼らを打ち倒し、坑道の中に静漓の力強さを知らしめるだろう。
「私は止まらないわ。まだ、私のしるべは、遠くに輝いているから――」
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
うおー財宝だ!
そう今こそ『お金稼ぎ』!
敵の資金を削りつつ、こっちはガッポガッポ!
最高か?
…失敗作といえど紋章ね
全く、趣味の悪い物を持ち出してくる
色んな世界からの、商品見本市かな?
ま、でも装甲式で関節部に脆弱性があるなんて…典型的過ぎてちょっと笑っちゃうね!
さあていこう、《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
先ずは突っ込んで、『なぎ払い』や『串刺し』…剣戟で敵をこっちに引き付けよう
『オーラ防御』でシールド展開
ひたすら派手に、暴れまわる!
さて、敵がある程度こっちに集まってきたら纏めて倒そう
【エナジー解放】起動!
広範囲無差別攻撃!
範囲攻撃で装甲の隙間からエネルギーで焼き切る!
隠し財宝庫。
なんとも甘美な言葉の響きであろうか。
財宝庫という言葉だけでも心躍るってもんであるのに、さらに隠し財宝庫ときたものである。
これは浪漫である。
ワクワクが止まらないってやつである。
「うーおー財宝だ! そう、今こそお金稼ぎの時! 敵の資金を削りつつ、こっちはガッポがポ! 最高か?」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、ハスハスしていた。
何がハスハスって鼻息である。
眼の前にある浪漫。お宝。
しかも、お宝を簒奪するお題目までついてきている。
正義の代紋は此方に有り。
ならば、好き勝手にやってもいいってことである。
そんな彼女の足元、坑道に点在する宝石が音を立てる。
「まったく、趣味の悪いものを持ち出してくる」
紋章の製造工程を知っているのならばこそ、その存在に顰めっ面にもなろうというものである。この紋章を作り上げるために多くの生命と血が流れる。
ダークセイヴァー世界にて遭遇した五卿六眼『紋章つかい』。
彼をして、まだ紋章は完成を見ていないと言った。
そして、その紋章の失敗作が此処に溢れている。
「いろんな世界からの、商品見本市かな? ま、でも装甲式で関節部に脆弱性があるとか、典型的すぎてちょっと笑っちゃうね!」
そこ、一番先に潰すところでしょ、と玲は技術者としてそう思った。
まあ、問題点を解決できないから失敗作というのだろう。
「前置きはこの程度にして、やろうか!」
玲は模造神器を抜刀し、坑道を一気に走る。
後先を考えない突撃めいた直進であった。
もとより、此処は坑道である。どのみち、敵を避けようなんてできるものではない。なら、後は早いか遅いか。それだけなのだ。
「て、敵襲!」
オブリビオン『突撃を』たちは突如として突っ込んできた玲の姿を捉え、動揺する。
遅い。
「せっかくの装甲を纏ってんだから、どっしり構えてなよ!」
振るう剣戟。
装甲と激突して火花が散る。
派手な音と光。この暗がりの坑道であれば、さぞや目立ったことだろう。
「猟兵はあっちだ! 攻撃準備!」
「集中砲火を与えてやれ! 無策にも突っ込んできた猟兵に目にもの見せてやるのだ!」
「威勢だけはいいんだから!」
玲は暴れまわる。
己の剣の一撃が装甲に阻まれていることは理解している。けれど、派手に暴れまわる。敵の注目耳目を集めに集め、玲は不敵に笑う。
「こういう入り組んだ坑道の中に点在する敵を一つ一つ虱潰しにするなんて、時間の無駄ぁ! ならさ、どうするかって簡単でしょ!」
派手な大立ち回り。
それは敵を集めるための方策だったのだ。
彼女の策に『突撃兵』たちはまんまと引き寄せられ、集まってきていた。
だが、それは同時に彼女を撃滅するチャンスでもあったのだ。
「押し込め! 袋叩きに……」
「いいや、まとめてボンってわけ!」
玲の瞳がユーベルコードに輝く。
エナジー解放(エナジーバースト)された模造神器の刀身より放たれる高エネルギーの波は一気に『突撃兵』たちの装甲の隙間へと入り込み、強引に焼ききったのだ。
後に残るのは、焼け焦げた装甲纏う『突撃兵』のみ。
その躯の頂きのうえに玲は立つ。
「さあ、見晴らし良好。後は財宝だ! がっぽり!」
ぐ、と拳を握りしめ玲は隠し財宝庫への道をひた走るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
わ~い!おったからおったから~♪
世界の宝はみんなボクのもの~♪
そしてこの世のすべてをどこかに置いてこよお~♪
ワン以下略!
●探検
つまり迷路ってことだね!
わーい迷路って好き!
と【第六感】に従って迷宮探検…もとい彼らの背後を取って不意打ちできるように移動してこう!
スニーキングミッションできて二度楽しい!
そしてその道中に見つけておいた変身ベルトで変身!
UC『暴風の化身』を使って強化された?風となって彼らのアーマーの隙間を貫こう!
…あれー?変身の意味があんまり無い?ま、いっか!
わ~いお宝だお宝~♪
さーてどこに埋めようかな~?
宝の地図も世界に配布しなきゃ!
探せ!この世のすべてry
「わ~い! おったからおったから~♪」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)はごきげんだった。
超ご機嫌であった。
なぜなら、世界のお宝というものは、全て自分のものであったからだ。
「世界の宝はみんなボクのもの~♪ そして、この世の全てをどこかに置いてこよお~♪ ワン――」
それ以上はいけない。
訴えれられたら負けるのは神と言えど、ロニである。
「おっと危ない橋! でも、危ない橋ほどスリリングだって思わない? 思わない? そう」
ロニは坑道を探検するように愉快に進んでいく。
まるで迷路である。
迷宮より迷路のほうがなんかよい響きがする。
迷宮は入ったら出ることのできないイメージがつきまとうが、迷路は最後にはゴールにたどり着くことができそうな気がする。
まあ、どっちにしたって言葉にイメージでしかないのだ。
「此処でも大活躍、第六感! 大丈夫大丈夫、面倒なことは全部第六感でなんとなーくいい感じの方角に進めばなんとかなるってもんさ!」
ロニは雑に坑道を踏破していく。
そもそも他の猟兵たちも突入しているのだ。
大分敵の数は少なくなってきている。
スニーキングミッションを適度に楽しみながらロニは、こそこそと道中にあった紋章の失敗作を手にする。
「これって宝石みたいだけど、オブリビオンなんだよね~……いやまったくもって二度美味しいってやつじゃない?」
手にした紋章の失敗作を装着し、変身ベルトのような要領で回す。
「一回やってみたかったんだよね、装着変身!」
ビューって吹いてバーってなる感じのいい感じのエフェクトがロニを包み込む。
己が体躯を暴風の化身(ゴッドウィンド)へと変貌させたロニは一気に坑道を走る。
残すは隠し財宝庫を護るオブリビオン『突撃兵』たちだけだ。
「敵襲だ! なんだ、あの風……!?」
「これぞ神砂嵐!」
ロニのユーベルコードによって変異した肉体派、有形無形全てを粉砕する嵐となって『突撃兵』たちの装甲の隙間に入り込んで、その内部をずたずたに切り裂いていくのだ。
「……」
敵を撃滅しながらロニは思った。
なんか違う、と。
せっかく装甲に覆われたというのに、その特性をまるで活かしていない気がする。
なんていうか、ただ変身しただけである。
「……ま、いっか! そんなことよりわ~い、お宝だお宝~♪」
ロニは隠し財宝庫の奥にある金銀財宝を前にして目を輝かせる。
「さ~て、どこに埋めようかな~?」
まずは宝の地図と暗号とかそういうのを用意しなければならない。そんでもって世界中に配布しよう。
あとは、なんかこうテレビ放送でいい感じに処刑場とか作って自分が言えば良いのだ。
あのお決まりにして冒頭の台詞。
もう何度こすられたかわからないあの台詞を言えば完璧!
「探せ! この世の全て――」
あーっと、ここでお時間でーす――!
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
なるほど、隠し財産に守備兵。理屈はわかります。
そして、ここにも紋章あるんですねー。しかも活用してくる、と。
まあ、失敗作とはいえ強力ですからね…考えはわかりますー。
ですが、隙間があるならば。
UC使用。手榴弾だろうが火炎放射器だろうが、霧の前には無力というもの。
坑道ですから、散らすにもできないというやつですよ。
さらに、隙間から入り込み…その生命力をいただきましょう。オブリビオンなんですから、そこは加減などなく。
ええ、四悪霊は…こういったオブリビオンを呪う存在なれば。
ウラル山脈の坑道、その最奥に隠し財宝庫がある。
その予知は正しいものだった。
この坑道の先に超大国が一つ、ワルシャワ条約機構の資金源となっている鉱石資源の山があるというのならば、これを奪うことで敵の弱体化を狙うのは頷けるところであった。
「なるほど、隠し財宝庫に守備兵。理屈はわかります」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は頷く。
足元に転がる紋章。
宝石のようなそれは、ダークセイヴァー世界で散見されるものであった。
多くの生命と血を持って生み出されるおぞましき宝石型オブリビオン。
その紋章を装着したオブリビオンの力の強大さは言うまでもない。
「この場所を護るには失敗作であっても十分、いえ、脅威であると言えるでしょう。活用してくるのが厄介ですねー」
わからないでもない。
理屈だけで言うのならば、失敗作とは言え、オブリビオンの地力を底上げし、さらには絶大な防御能力まで得ることができるのだから。
「ですが、隙間があるというのならば」
『疾き者』は坑道を駆け抜ける。
そう、絶対無敵の如き敵であったとしても、弱点とも言うべき可動域の隙間という隙間があるというのならば、四悪霊・『拐』(シアクリョウ・カタル)こそが最適であった。
生命力を吸収し、幻覚を見せる四悪霊の呪詛霧。
『疾き者』の体躯は変異し、即座にオブリビオン『突撃兵』たちの装甲の隙間に入り込む。
「……なんだ、めまいが……」
「視界が暗く……」
次々と『突撃兵』たちは己が身の不調を訴える。
そう、『疾き者』は彼らにさとられることなく、四悪霊の呪詛霧でもって彼らの生命力を奪い去っていくのだ。
倒れていく『突撃兵』たち。
容易いことだった。
「さて、大分簡単に奥まで来れましたね」
これも他の猟兵たちが坑道に存在していたオブリビオンたちを打倒していたからだろう。
最奥たる財宝庫を守備していた敵兵も打倒されている。
残敵は存在しないと言っていいだろう。
「それにしても随分と溜め込んだものです」
『疾き者』は隠し財宝庫の扉の奥にある金銀や宝石、石炭や鉄と言った潤沢な資源を見やる。
これだけあれば、確かにワルシャワ条約機構が、この獣人世界大戦にて敗れても立て直すことはできるかもしれない。
だが、それはさせないのだ。
この財宝を根こそぎ奪う。
此方には潤沢な資金と資源が。
敵には空になった財宝庫が得られるというわけだ。
「これもオブリビオンを呪う存在である悪霊の仕業、ということになれば」
『疾き者』は在宝庫の扉を開放し、共に戦った猟兵たちを呼び込む。
彼らとともに運び出せば、根こそぎ財宝庫の中の資源を奪う事もできるだろう。
「急ぎましょう。戦いはまだ中盤戦。この先にこそ、敵の首魁がいるのですから」
そう、今はまだ第二戦線。
迫る第三戦線の戦いを控えた今、猟兵達は新たなる戦いへと再び身を投じるように財宝を運び出し、戦後に至ってようやくワルシャワ条約機構は、その痛手の意味を知るのだ――。
大成功
🔵🔵🔵