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獣人世界大戦⑮〜『否定』

#獣人戦線 #サクラミラージュ #獣人世界大戦 #第二戦線 #幻朧帝国 #黯党首魁『本田・英和』

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●やまいだれ
 嗤っているのは世界か、笑っているのが世界か、ああ、忌まわしくも世界、病を垂らして獲物を待つ。エモーショナルな物語性を求められたとしても、そう、この苦痛は拭う事が出来ない。何故だ。ああ、何故。世界と呼ばれる悪辣は臥せった我々を玩具にするのか。教えてくれ。教えてくれよ、|悪魔《ダイモン》。我々はいったい如何して虐げられたのだ。
 不治の病を患った者達の咆哮が、嘆きが、影朧となって幻覚を齎す。爛れたのは皮膚だろうか。こぼれたのは臓腑だろうか。ボコボコと増殖していく悪性腫瘍は、さて、まったく留まる事を知らない。……ふむ。ここで私は問わない、などとは口にしない。
 何故、欺瞞に満ちた世界を守る……?
 ソロモンの悪魔『ブエル』は『首魁』の在り方を真似るように手繰ってみせた。お前たちがこの絶望、この悲劇を乗り越える事など万が一にもありえない……!

●グリモアベース
「……カカッ」
 笑い声。
「……クカカッ」
 嗤い声。
「……クカカッ!」
 哄笑――嘲笑。
「嗚呼、悪魔だ。ソロモンの悪魔だ。貴様等、俺には奴と『貌を合わせた記憶』など無いが、兎角。懐かしい気配ではないか。黯党首魁は如何やら想定していた以上に好き物だったと考えられる。さて、貴様等には悪魔『ブエル』自身と戦ってもらう。正確には『悲劇の幻が齎す世界への憎しみ』に打ち勝って後、だがな」
「幻覚の内容、その詳細は不明だが『病』に関するものらしい。悪魔『ブエル』は人に『治療方法』を教える存在とも記載されていた。現に悪魔は教えたのだろう。しかし、人がその術を『止めてしまった』のだ。金銭的な問題など様々なものが挙げられるか」
「嗚呼、貴様等。打ち勝ったとしても油断は禁物よ。何せ悪魔『ブエル』は俺と同じく『否定』する事をユーベルコードにしている。覚悟は出来たな?」
 グリモアが輝いて。


にゃあら
 にゃあらです。
 ソロモンの悪魔。

 プレイングボーナス:悲劇の幻がもたらす「世界への憎しみ」に打ち勝つ。

 齎される幻覚は『不治の病』です。
 ただし、不治の病とは『現代』のものではありません。
 過去の『不治の病』となります。
 宜しくお願い致します。
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第1章 ボス戦 『悪魔「ブエル」』

POW   :    存在否定呪文
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【魔力弾】を放つ。発動後は中止不能。
SPD   :    生命否定空間
戦場全体に【生命否定空間】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【戦場全体の敵から奪った生命力】による攻撃力と防御力の強化を与える。
WIZ   :    損傷否定詠唱
自身が愛する【即時治癒魔法の詠唱】を止まる事なく使役もしくは使用し続けている限り、決して死ぬ事はない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 悪魔は『否定』する。
 されど、その『否定』は悪魔にとって『いらない』ものに対しての|超能力《サイキック》だ。悲劇が、憎しみが、悪魔にとって必要なのであれば――存在しないことはない。
 病が――決して癒える事のない病が――君達の身体に圧し掛かる。それは過去で在ると同時に未知で在り、たとえ幻覚だとしても悉くを死に追いやるか。そう、お前たちはこの病に、絶対に抗えない。悪魔『ブエル』の名において悉くは「生きられない」
 欺瞞と踊れ、最早、鴉のように歌うのみ。
東・御星
さて、自分の悪辣さ、醜悪さ、その数多る全てを受け入れつつある私にとって、奴は自分と同類に見えた。
ブエルが否定の概念を司るというのなら、私は謂わば姦淫の否定と肯定の狭間に立つ概念だ。守護者にして破壊神。相反する2つの間に立つ者。
だとすれば見せられるものなど決まっている。生命が生と性によって成り立つものである以上、その「病」はなくならない。生とはその醜悪さの肯定に外ならず、その事実は実際私を打ちのめすもの…であった。少し前の私であれば。
それなら、来るなら来なさい。ブエル。私はお前と真逆の真理であなたに対抗する。行こう、絶影!私が倒れるのが先か、貴方が滅ぶのが先か、勝負と行こうじゃないの!



 淫魔の戯言に耳を傾けた結果がこの末路だ。
 突き刺さった桃の柔らかさと脳髄は似ている。
 ……新しい情報ではない、お前が解せないことはない。
 何者かの不満げな声が、遊んでほしいと咲う声が、リアリティを孕んで圧し掛かってきた。腐って落ちた梅の花の強烈な臭いに、くらり、頭の中までこぼれたかのような感覚。ああ、同類だ。目の前で『新しいもの』について思惟している、それを嘲るイメージに溺れている『あれ』は同類だ。自分の悪辣さや醜悪さ、その数多る全てを受け入れつつある「私」にとって、あれの言葉を借りるなら『古い情報』……。ソロモンの悪魔『ブエル』は否定の概念を司る。呼吸するかのように『否定』を撒き散らすサマは何処か、無様だった己の姿見とも思えた。そう、私は謂わば姦淫の否定と肯定の狭間に立つ概念。守護者にして破壊神、破壊神にして再生者。相反する二つの間に立つ者……。
 ……新しい情報ではない。お前のソレは何処までも何処までも、終わりをしらない、只の新しくない情報。ならば、お前には抗体とやらはまったく相応しくない。知っていた。私が『見せられる』だろう『病』の沙汰を。生命が生と性によって成り立つものである以上、その「感染」は永劫だ。生とはその醜悪さの肯定に外ならず、その事実は実際、私を打ちのめし、腐敗させるもの……であった。過去だ。あらゆるものは克服されている。自分の罪を認めて、罰を受けたのかは不明だが、この炎のような矛盾は如何しようもない……。
 来るなら、来なさい。ブエル、私はお前と真逆の真理で『この悲劇』に対抗する。なに……お前は被害者ではない、そのことはお前自身が、理解していない筈などありえない……! 塵よりも積もるのは粉雪か、悪魔を擁するのは崩壊の炎か。行こう、絶影! 私が倒れるのが先か、悪魔が滅ぶのが先か、勝負しようじゃないの……!
 この空間に生命はない、と、
 ……否定する悪魔は存在しない。

成功 🔵​🔵​🔴​

御形・菘
はっはっは、病気に罹ったとしても闘えばよい
もし治らず果てるとしても最後の一瞬まで死に抗おう
先に逝かねばならぬのなら、残す者たちには勇気を示して希望を託す!
受け継ぎ繋ぐもの、それが生命というものだ!
お主を徹底的に否定するぞ、ソロモンだかの悪魔よ!

はーっはっはっは! 楽しい楽しい削り合いをしようではないか!
お主は自身を治し続ける、妾はブチのめして完全に叩き潰す!
妾のコンディションは悪くなる一方であろうが、だからこそ猛るというものだ
病は気からというが本当にその通りだ、
妾は確信しておるよ、お主のことを必ずボコり倒せるとな!
それにむしろ妾はお主を励ましたいぞ、最後まで諦めずに詠唱を頑張れとな!



 ラスボスのクセに食いしばりとは厄介な女だ。
 しぶとい蛇は嫌いではない。
 全知全能――の一歩手前、この拗らせた具合はまさしく悪魔の二文字に相応しいか。マスクの裏側に、仮面の裏側に素顔が存在するとしても、おそらくは虚空めいて『蒼』に違いない。撒き散らされた絶対は、抗い難い超常は、さて、如何様な存在にも効果を発揮する。そうとも例外は存在しないのだ。たとえ埒外の生命だろうと、生命で在る時点で逃れようがない。……はっはっは。蛇が嗤う。いいや、スタァが笑う。自らを邪な神として画面内に君臨するサマは、成程、天上天下唯我独尊の言霊がお似合いか。病気に罹ったとしても、毒物に中てられても、尚、闘えばよい。もし治らず朽ちるとしても、果てるとしても、最後の一瞬まで死に抗おう。つまり、お前は私の否定をより強く否定したいと。しかし、その餓鬼のような思惑は決して叶わない。ああ、先に逝くにしても、だ。残す者たちには勇気を示して希望を託さなければならない。まったく素晴らしい神託ではないか、バトンを渡す勇者ではないか。受け継ぎ繋ぐもの、それが『生命』というものだ! 故に、妾はお主を徹底的に否定するぞ、ソロモンだかの悪魔よ! 不遜、傲慢、そう罵られても結構。罵られている時点で此方が勝ち馬だ。舞台は整った。熱病よりも凄惨な熱狂とやらを叩きつけてやれ。
 はーっはっはっは! 楽しい楽しい削り合いだ、愉しい愉しい禍々しさの押し付け合いだ。左腕でぶん殴る、ぶん殴ったと同時に傷が癒える。癒えた瞬間に再びの左腕。治癒に精一杯なお主と攻勢に出ている妾、さて、何方が有利かは明白であろう。そう、ブチのめして叩き潰している妾の方だ。お前は何を謂っている、どう考えてもお前の勝利はありえない。確かに妾のコンディションは悪くなる一方、いや、既に最悪であろうが、だが、お主は勘違いをしておるのだ。妾は――熱くなればなるほどに猛る獣である。
 病は気から――たとえ壁が高くとも破壊し尽くせば問題ない。
 妾は確信しておるよ、お主のことを必ずボコり倒せるとな!
 おお、ラッシュだ。口を封じるかの如くに顔面へと『神殺し』を!
 まさか、この程度で諦めるワケではなかろう。
 妾はお主を励ますとしよう、最後まで自分を否定せず詠唱を頑張れとな!

成功 🔵​🔵​🔴​

フィーナ・シェフィールド
病。
数多くの生命と希望を奪うもの。
それでも。
それによって生命はより強く、輝きを増してきた。
突然変異が劇的な進化を促すように、生命には病を克服して先へ進む力を秘めている。
知識の悪魔なら、その事実も知っているはず。
病の存在が、世界を守らない理由にはならない。
「人も、過去に流行した不治の病を乗り越えてきたから、今の世界があるのよ」
そしてわたしは今、悪魔を乗り越える。

ノーベンバー・レイン。
悲しみを洗い流す慈しみの雨。
魔を祓い、共に立ち向かうものに力を与えましょう。
損傷否定詠唱も、破魔の雨音で打ち消します!

雨に紛れて一気に接近、鍛え抜かれたこの脚、必殺のかかと落としで。
骸の海へと還れ、ソロモンの悪魔!



 此岸と彼岸の綱渡りの最中、ぐらり、足元を掬われたのかと刹那は考えた。されど瞬数、哀れな憐れな犠牲者が、これは『加害者』の存在しない残酷だと理解させられる。シンプルに答えを合わせるならば、遭ってしまうならば、眩暈。引っ張られたかの如くに、攫われたかの如くに不治とやらの鎌にやられたのだ。……病。数多くの生命と希望を奪うもの。生命と病魔の歴史はそれこそ古くもあり新しくもある。犠牲者の怨嗟は未だ失せず、只、狂った牛のように生者へと、オマエへと群がるか。スカスカになった頭の中身のスポンジ、ひどくフワフワとした感覚に今にも錯乱しそうで……。それでも。それによって生命はより強く、輝きを増してきた。突然変異が劇的な進化を促すように、生命は、人は病を克服して先へ進む力を秘めている。そう、新しい情報ではない。故に、死者はそれを良くは思わない。悪魔『ブエル』は否定する。確かに人類は次のステージに上がれたが、その為には弱者を救ってはいけない……! 結局のところは見方や考え方だ。病の存在が、世界を守らない理由にはならない。「人も、過去に流行した不治の病を乗り越えてきたから、今の世界があるのよ」ああ、羨ましい、妬ましい、そんなふうに思える天使が腹立たしい。スカスカだった頭の中身はいよいよドロドロ、犬のようにその場をぐるぐる回っていると宜しい。……わたしは……わたしはここで、いま、悪魔を乗り越える……。
 悲しみや憎しみを洗い流す為には、まず己こそが慈悲で在るべきだ。魔を祓い、共に立ち向かうものに力を与えましょう。新しい情報ではない。何処までも何処までも、猟兵とは、寛容すべき存在ではない。病魔も否定も一切合切、雨粒の沙汰に晒される。もう、十分だ。否定を否定する事は其処まで難しい事ではない……!
 骸の海へと還れ、ソロモンの悪魔!
 鍛え抜かれたこの脚で、磨きに磨いたこの技で、必殺のかかと落とし……。
 白い花は健在だ。たとえ、すっからかんにされようと、身体は自然そのものだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

氷霄・かぐら
うーん何とも言えない嫌な雰囲気…。
幻覚に長く付き合うのもまずいだろうし、影響が少ないうちは無視して一気に攻め込んじゃいましょうか。
元になってそうな方を対処するのが早いと思うのよね。

幻覚もまずいけど攻撃に当たるわけにもいかなさそうだし、アームドフォートを回避形態に。
魔力弾を避けつつ上手く近づいて、斬霊刀で攻撃しましょう。



 ティーカップに飛び込んだのはかつてのオマエか、行き場を失って右へ左へと忙しない。懐かしいようなそうでもないようなアルバム、その反吐の中に再度投げ込まれた気分か。サイキックとグラビティ、衝突する冷ややかな精神性。
 人生とは勉強の連続である、故に、不死性に焦がれている暇はない。
 地獄巡りの為に使用した船、その大きさに関しては記憶に『新しい』だろうか。脳裡にこびりついた鋭利さと筆舌に尽くし難いほどのロマンは、さて、如何様なドラマを孕むと謂うのか。兎も角――頭を抱えたくなるほどの、思わず唸ってしまうほどの形容のし難さだ。言の葉では一切を表現出来ない、まるで混沌とした悪辣からの贈り物。幻覚に長く付き合うのもまずいだろうし、影響が少ないうちは無視して一気に攻め込んじゃいましょうか。つまりはクラッシャーかスナイパーと謂うワケだ。勝利の女神が|神《デウスエクス》でないのならばサッサと招き入れると宜しい。それじゃ、とりあえずやってみようか。撹拌されるよりも素早い攻勢、この戦闘慣れこそがケルベロスの強みである。
 病は物理で治せる。たとえ不治の病と恐れられていようとも「わたしたち」が強ければまったく問題がない。ぐしゃりと、圧し掛かってきた重さの価値に関しては置いておいて、嗚呼、幻覚よりも厄介な『悪魔』の権能が飛んできた。そうか、お前は私にとって古い情報ではない。古い情報とは別の、私が知っていない世界の埒外か。突如として迫りくる存在否定、あの魔力に中てられた場合、猟兵、オマエが如何に百戦錬磨でも消滅からは逃れられない。そうくるならこっちにも手はあるよ。装備していた固定砲台の変形、スタイリッシュなフォルムは確かに秒間地獄すらも抜け出せてしまいそうな超常だ。悪魔だろうと神だろうと殺せるならばおぞましくない。ばら撒かれた弾幕を縫って貫き、只、魔を祓う。病は時に薬になると何処かの種族が謂っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

四王天・燦
石化病に感染
灰色の固い斑点が広がる
咳込めば石粉を吹き、濁った涙が溢れ出す

げふっ、ぅ、ぁ…

とある王は意図的に側室を石にして蒐集したと謂う(猟兵書房『狂気伝承』より)

這う這うの体で攻撃を避ける
石死病と思い当たれば、身も蓋もなく浄化・破魔の現代符術って治すぜ
|弱点属性《石化》の知識は当然ある

悪魔がでかい顔をできた時代はとうに終わっている
これほど|過去の遺物《オブリビオン》と感じる敵も珍しい
可哀想だね

攻撃を捌きながらフォックスファイアを撃ち込むよ
何発か当てずにブエルを炙るように操作する
治癒に専念し始めりゃ詰みだ
口元まで炙って、悪魔にあるか分からんが肺まで焼くぜ

哀れな悪魔にせめて葬送の炎をくれてやるのさ



 業々とヤカマシイ漿液は即座に停滞した。
 肺胞が爆ぜる事など、気胸を患う事など、たとえ世界がひっくり返っても有り得ない。全身に広がっていく灰色のひどく硬い斑点は、さて、いったい何者からの贈り物だろうか。この情報は新しくない。何処までも何処までも新しくない、在り来たりな不治の病か。咳込めば宙へとおどる石粉、我慢できずに垂れてきた涙は濁りに濁った有り様だ。げふっ……。祈るようなサマは、縋るような無様は、いつの日かの沈黙の反芻にも似ている。まるで莫迦みたいじゃないか猟兵よ、まさか、否定を権能とする悪魔に恐怖を肯定されて終うとは。小さな小さな悲鳴のような音がこぼれる。ぅ……ぁ……。幻覚にしてはリアルを極めていないか。それも仕方のないこと、何故ならば猟兵、オマエはこの病に既に罹っている。
 石化病――いいや、石死病だ。表面だけの石化ではなく、内側からの石化だ。意識を徐々に徐々に奪われ、最終的には正真正銘の『石』となる奇病。這う這うの体が『できる』今こそが唯一のチャンスだと思うが好い。そして幸運な事に悪魔は攻撃的なユーベルコードを使ってこなかった。通常攻撃とでも宣うべき一撃、かろうじて避ける。
 猟兵書房『狂気伝承』より、とある王は意図的に側室を石にして蒐集したと謂う。なあ、悪魔がでかい顔をできた時代は終わっているんだぜ。そう考えてしまえば、理解してしまえば何が一番『旧い』のかも容易に導き出せる。これほど|過去の遺物《オブリビオン》と感じる敵も珍しい。当然、オマエには知識があった。何度も何度も味わってきた硬直の絶望。そんな沙汰は魔を拭うかの如くに浄化してしまえば問題ない。……可哀想だね。
 可哀想だと……? その情報は古くはない。悪魔を可哀想などと口にしていた生命は今まで一度も見たことがない。興味を抱いたのか、気を逸らされたのか、悪魔『ブエル』の動きに若干の遅れが生じる。狐、妖狐、悪魔を抓むのに必要なのは言の葉だった。
 炎がわらう。焼け石に水だと悪魔を嗤う。
 ……詰みだ。チェックメイトだ。
 損傷を否定する為には詠唱を続けなければならない。
 口元まで炙ってやれ、悪魔の面の皮を燻してやれ、悪魔に肺が存在するのか、否か。何方にしても文句は止まった。哀れな悪魔にせめて葬送の炎をくれてやるのさ……。

 お前たち猟兵は情報として古くはない。
 骸の海への土産として、不足などと謂う事は決してない……。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年05月16日


挿絵イラスト