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獣人世界大戦⑪〜水路逆走、俺達が海賊

#獣人戦線 #獣人世界大戦 #第二戦線 #ワルシャワ条約機構

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 ばさり、と大きな翼を広げて部屋の中央でグリモア猟兵の巨鳥――、
 あめ(勇者の翼・f42444)がご機嫌に叫ぶ。

「作戦は順調に達成されてるぜ!
 だが、オレの予知夢に今まで無かった部分が増えたりしてるんだ。
 一箇所解決すれば、連鎖?って言うんだっけ……事件が変わるってやつだ!」

 部屋はGGOの世界に近い、UIの浮かんだロビーの様な様相。
 作戦を伝えるのにゲームめいているほうが、話しやすいのだ。

「ウラル山脈には、まだワルシャワ条約機構の隠し財宝が沢山あるみたいだ。
 ……わ、ワクワクなんてしてないぜ?
 でもほら、ランダムダンジョン生成系のハック&スラッシュゲームみたいで……。
 おほん!」

 わざとらしく咳払いをしてから、言葉を続ける。

「予知の目的地はウラル山脈……隠し財宝を運び出す港だ!」

 港、という言葉にあたりがザワつく。
 山脈や鉱山とあまり結びつかない。

「鉱山の地下に巨大な水路が出来てる。
 その水路を用いて、えっと……この川なんだっけ……ちょっとこう、右に行ってる……」

 翼で背後のモニターに表示されている地図をぱたぱたと叩いて見せる。
 その場所はオビ川。
 山脈東側に流れる川だ。

「この川を使って、金や鉱石を運び出すっぽいんだ。宝石や武器も含まれてる。
 だから――運び出される前に、山脈地下の水路に作られた港からそれらを奪い取って欲しいぜ!」

 ばさり、と片翼を上に上げて気合を表現するポーズ。
 しかし、情報が足りない。

「待て。何処から侵入するつもりだ?港に直接移動できるのか?」

「予知での位置が正確に分からない!だから出来ないぜ!!」

 まぁ、そうだよね……という顔の猟兵達に、大丈夫だぜ!と気合たっぷりの声で続ける。

「オビ川に繋がっている水路はそこそこのサイズ。
 地下水路のトンネルみたいなものなんだ。
 オレはその出口が予知で見えてる……そこへ飛べる。
 その先は……皆に地下水路を遡り、終点に有る港へたどり着いて欲しいぜ!」

「分かった。ではその、水路の出口から港へ登っていくとして……罠や防衛装置は?」

「敵の侵入を予測していないルートっぽいから、夢の中でオレにとってヤバい印象はなかったかな……」
 厄介事はあるが、これは感覚のズレ。
 顕現している姿は水鳥、そもそも台風なのだ。

「水路のサイズは、このくらい」
 バッ……と翼を広げる。
 所謂UDCアースの高速道路のトンネルくらい。
 水面からの天井までの高さも同じ様なイメージだ。

 かまぼこ型の水路を、上流へと流れを逆らって進む形になる。

「オレは飛べる広さじゃなかった。
 水の流れは、結構足をバタバタしないと進めない感じかな……」

 流れる水が、それなりに速い事は分かる。

「第一関門は、地下水路を上流へと進むこと、だな」

 水面の飛行や、小型のキャバリアならギリギリ移動できるかもしれない。
 水中の適性や泳ぎ、召喚する船などでも突破できるだろう。

「第二関門は……えっと。更に水路が細くなって。
 細くなって……進路正面に、天井までの壁が出来る。
 水中は通れる。
 なので、潜るとか、何とかしてその先へ進んで欲しい」

 防衛システムとしては安易だが、充分効果のある水面から上を覆う壁。
 敵は壁を操作する仕組みを持ち、ゲートのようにオープンするのだろうが……こちらは逆走だ。

「派手な音を立てる破壊は、敵に気づかれるので避けたほうがいいと思うぜ。
 オレは潜るだけで行ける気がするけど」

 ふふん、とちょっと自慢げな顔。

「目的地はその先。地下水路の港、宝物が出発する地点。
 この空間は広い。キャバリアとかも使える、地下の巨大空洞って感じだな。
 そこに、何隻も船が停泊してる。
 既に金塊なんかが積み込まれた後だ。
 破壊でも忍び込みでもいい。それを回収してくれ!
 そこまでバレずに到達できれば、攻撃中に敵の妨害は間に合わない」

「オレも帰還の準備に集中しつつ、遅れて着いていく。
 皆の回収と共にグリモアで帰還する作戦だぜ」

 クソでかアヒルボートが着いてくるので帰還の心配は要らない。
 盛大に金塊を集め、敵船を沈めて大丈夫である。

「作戦の確認をするぜ!」
 パンパン、と翼でモニターを叩くと地図が表示される。
 単純な「川上り」の図だ。

「1つ。地下水路の出口に皆を送り届ける。そこから水路を登って逆走してくれ。
 そこそこに自由が効かない狭さなので工夫してくれ!」

「2つ。進んだ先に、厚い壁があり水中に入るか、もしくは工夫しないと突破できない。
 デカい音は敵に気づかれる。無しだぜ!」

「3つ。目的地の港に着いたら、止まっている船を強襲。金塊を強奪だ、ヒャッハー!」

 分かったよな!とご機嫌な顔で皆に告げた後、小声でボソりと付け加える。

「なんかサメとかワニとかピラニアとかドローンとか、水の中で攻撃してくる何かが居るかも知れない。
 オレの夢では接触しなかったけど……対策しておくのもアリかもしれないな!」

 ――作戦を聞く猟兵達が、分かりやすい溜息をこぼした気がする。
 その辺、いつもいい加減なのだ……。

「それじゃ、出発の準備は良いよな!
 今回は水路での作戦だぜ!」
 巨鳥は姿勢を低くし、皆が乗りやすいように首を下ろす。

「目的地はウラル山脈、財宝運搬の地下水路。目的はワルシャワ条約機構の隠し財宝の奪取!
 いくぜ、勇者の翼!ぶっちぎりで到着だぜ!」

 グリモアの光が道を開く。
 舞い降りるのは水路出口。
 眼の前にはトンネルが空洞を開けている。

 それなりに明かりはあるが、水中までは光が届いていない。

 ちゃぷちゃぷと、巨大アヒルボートは入口まで進み。
 いざ、作戦開始だ!


日向まくら
 日向です。
 ウラル山脈遊園地、遊んでいきましょう。
 逆走ウォータースライダーの時間です。
 テーマは水遊びです!

●プレイングボーナス……財宝庫の仕掛けを突破し、敵より先にお宝を回収する。
 ですので、今回のプレイングボーナスは、

 1・トンネルくらいの水路をどうやって遡るか?
 2・途中に存在する壁をどうやって越えるか?
 3・敵船からの金品の強奪、楽しんでくれよな!

 の3つになります!

●オマケ要素!
「何か妨害してくる変な生き物とかロボがいる!」
 部分は、UCや技能で遊べるギミックなのでボーナスは特にありません。
 対応したり慌てたりお好みでどうぞ!描写します!

 それでは、セーフティーバーは下ろしましたか?
 出港します、よろしくお願いします!
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第1章 冒険 『血路を開け』

POW   :    渾身の力を振り絞って突破する

SPD   :    巧みに撹乱して包囲を乱す

WIZ   :    奇想天外な策で切り抜ける

👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

才堂・紅葉
良いですねぇ、合法的な金品強奪
胸が熱くなります
珠には真っ当な工作員らしく生きますか

「機甲召喚符」からバラバラなガジェットパーツを召喚。これを組み合わせて、潜水セットと両手持ちの水中スクーターのガジェットを組み上げる【メカニック、操縦、推力移動】
第一と第二はこれで丁寧にスニーキングミッション!

第三は自重せずに、「ハイペリアの紋章」の【封印を解く】と金塊の財宝庫にて、片手を金塊に向け重力制御。そこを中心にブラックホールのように金塊を集めて、上手く操作してでっかい金塊玉にします
後は、天井を蹴り破って飛翔して撤退しますね
金塊はあるだけ根こそぎ持って帰ります
そう根こそぎですね



「良いですねぇ、合法的な金品強奪」

 紅葉は真っ直ぐに水路の奥を見つめる。
 に、と口角をあげて微笑み、両手を握りしめ。

「――胸が熱くなります」

「珠には真っ当な工作員らしくいきますか」

 機甲召喚符――特殊鋼の薄い符。
 文様が刻み込まれた魔力を帯びた物――を取り出す。

 符を利用して呼び出すのは、様々なガジェット。
 召喚されるのはパーツ群。
 その場で臨機応変に急造し、組み立あげるのはメカニックの十八番。
 回転するフィンや、操作の持ち手、背中に背負うボンベやゴーグルなどを組み合わせ、
 まさに工作員の水中潜入装備、潜水セットと水中スクーターが見事に完成する。

「潜入開始です」
 グリップを掴み、フィンを回転させれば、紅葉とスクーターはあっという間に水面下に姿を消す。

 水路の中へは光は届かない。
 ちょい、とゴーグルを動かせば暗視機能が作動する。
 ライトも使わず、水面に姿も見せない。
 ガジェットの推力移動は水の流れに負けることもなく。

 音も立てず……水中をぐんぐんと進む。
 水面上だけの予知で見えなかった部分――水中に、何個か分岐がある。
 おそらく、同様の目的地へと続く場所だ。
 工作員は的確にマーカーを射出し、位置を記録しながら奥へと進む。

 この手法ならトラブルはない。
 間もなく壁が水面を遮っている位置。
 この切り替えを利用して、水路の道のりを変更しているのだろう。
 ――データを記録する。
 ……予知で伝えられたルート以外に水中に別のルートを確認。
 そのルート下……水中に沈んでいる金塊らしき影。

 運び出すルートは予知の通りだ。別の猟兵でも回収できる。
「大物」は、こちらだ、と判断すればそっと脇道にそれる。

 順調な進行だが、一切の隙はない。
 カっとばす事もなく、慎重に――完璧なスニーキングミッションを熟していく。

 作戦はどんどん進む。
 港ではなく――辿り着くのは運び出す前の金塊の山、宝物庫。

「――さて、辿り着きましたね」
 潜入任務の指示はここまでだ。到達してしまえば、あとは如何なる手法でもいい。
「強奪」の時間なのだから。

 自重も加減も無しだ。
 躊躇なく、ハイペリアの紋章の封印を解く。
 重力制御と飛翔の力を開放し――金塊の山目掛けて片手を突き出す。

 ブゥン……という鈍い音と、空間にかかる重力波がきしみを上げて。
 宝物庫中央に周囲の物質を吸い込む重力場を生み出す。

 ごとり、ごとり……と浮かび上がった金塊が、ガンガン音を立てて中央に収束する。

「そして、こうです」
 その目は技術者の目。
 浮かび上がる金塊の形状や、ユーベルコードの出力を調整しながら部屋中の金塊を巨大な玉へと集めていく。

「このルートだと、即時合流は厳しいですね。ならば――」
 重力を纏い、飛翔で加速した蹴りを天井目掛けて放てば爆発音が響く。
 その蹴りは通路を貫き……雪降る空へと道を繋げた。

「金塊はあるだけ根こそぎ持って帰ります。
 そう……根こそぎですね」
 満足そうな顔で、貫通した宝物庫を空から眺める。
 パチン、と指を一度鳴らせば引き寄せられるように巨大な金塊玉が浮かび上がってくる。

 運び出される前の宝物庫の金塊を根こそぎむしり取った。
 ――ミッションコンプリート、完璧だ。

 設置されたマーカーが、紅葉の位置を伝えてくる。
 向かえも間もなく来るだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

笹竹・暁子
※アドリブ連携歓迎
ううーん…私のメイガスだとギリギリかしら
ん、飛んでくのは無謀?
大丈夫、私のサウスは|水中《ペンギン》形態の〔ジェン〕に換装できるのよ!
とはいえ装備は減らさないと通れなさそう
うん、ならば!

方針:泳ぎが不得手な人向けのコースター役

今回はコンテナも外すから機体にしがみついてもらって【運搬】する
多少遅くなるけど〔笹竹の金輪〕で機体表面付近は呼吸可能な空気膜を生成

第1・第2関門はそれぞれ【水中機動・水泳】で水中ルート
非武装だから、私を利用する方に障害物の迎撃はお願いするわ

港に着いたら【指定UC】の人員を放ち支援
私は〔ピゴセリス・ビーク〕で敵船の推進機関をこっそり【部位破壊】しておくわね


馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん

なるほどー、ではいきましょうかー。
水に関しては、陰海月が張り切ってますのでー。壁が近づいても、私が陰海月にひっついて潜ればいいですし。

で、着きましたら…忍びらしく悪霊らしく、音もなく忍び込みましょう。陰海月は…別行動ですー。
金塊は、まあUCの中に入れておけば…どんな重さとで大丈夫でしょうし。
そうやっていったら、陰海月の策も効果出てくるでしょうねー。


陰海月「ぷーきゅー」
限界突破のスイムスイム。こうやっておじーちゃん乗せて泳ぐの久しぶり!
そして、お船に着いたら、ぼくは船底へ向かって…そこへ怪力パンチ!穴開けちゃえ!


ルク・フッシー
ウミガメの絵を描き、命と知能を与えます(当然のように空中に絵を描く)
狭い水路を進むため、背中に乗せてもらいましょう。お願いしますね、カメさん

途中の壁を越えるため、カメにしっかり掴まり水中を進みましょう
深海適応の魔法を宿す紅いスカーフを口に当てれば、水中でも息ができます

おっと…敵の船。引き続き水中から進み、船のそばで水面に出ます
今度は武器を扱えるくらい知能の高いヒトデ軍団を生み出します。さらさらっと(すげー勢いで絵を描く)

…よし、突入です!(すごく怖いけど)ボクがオーラ防御を貼り前に出るので、ヒトデの皆さんは拾った武器で援護してください!

宝もいいけど、ウミガメやヒトデの引き取り手を探さないと。


スフレ・デザートマウス
「スフレ。試作の水中装備の準備が完了した」

オッケーなのデス!
この|水中活動用特殊吸気システム《スイチュー☆スイスイくん》があれば、サバク出身のミーでも溺れることなく動けるのデスよ!

「毎度のことだが、その名称センスには疑問を呈せざるを得ない」
そんなのカンケーないのデス! エヘンっ!

「……水中スクーターモード、アクティブ。
 いつでもいいぞ、スフレ」
はいデス! エクレアを水中スクーターにして、そのまま水流に逆らってスイスイなのデス
これならカベを壊す必要も無いのデース♪


「目標地点に到達。複数の破壊対象を確認。
 パイルバンカー、超蒸圧準備完了」

さてさて……ココからはミーのオハコなのデス!
いきマスよーッ!


臥待・月紬
水上と水中を征きたい?
まさしくそのためのお船があるじゃないスか!
自分は持ってないスけど。

持ってないなら化ければ良し!

『化術』で潜水艦に変身!サイズは丁度良く調整!
……ちょっと間の抜けた形になった気がするけど、性能は保証するッス。

水上を進み、壁は潜航して潜り抜ける。
ちらほら敵が集まって来てるけど、予知の通り有象無象!
装甲は伊達じゃないし、大丈夫でしょ!

……いや痛い!普通に痛いんですが!?

魚雷とか武装は再現してないし、ここは逃げの一択!
妖力で『オーラ防御』して耐えつつ、全速前進ッス!

見えた!目標の輸送船!
勢いのままに、下から突き上げる感じで思い切り|頭突き《ラムアタック》!
港に座礁させてやるッス!


ベティ・チェン
お宝大好きな2m超え猫背でジャージなドラゴニアン(人化した30m級竜型巨神G-O-リアス|四龍《スーロン》)と参加

「ベティ〜、今度こそホントに本ッ当に大丈夫だろ〜なァ?」
「ダイジョブ!…シノビユニオン、コトダマ要員ぷりーず!」
「バッカ、呼んだら半額になるじゃん?!」
「呼ばなきゃ、ゼロ。半分で、充分」
「…信じらんねェ〜(泣)」

汎用シノビ152体召喚
得た財宝の半額を条件に合力依頼


シノビらしく自力
スーロン補助10人(+100%)

水遁の術で潜水
2人に40人(水中機動水中戦各+100%)

自力船内侵入
スーロン補助10人(+100%)
残りは適宜スキル補助

財宝得たら四龍は直接|異次元潜航《ねぐら》ヘ帰る


エミリィ・ジゼル
水中戦と聞いてやってきました。鮫魔術師にとってはボーナスステージのようなものです。お任せください。

トンネル水路は、サメ子にのって逆流していきましょう。生身で【高速泳法】して上がっていくこともできなくはありませんが楽するにこしたことはありません。自慢の【騎乗】スキルを見せつけましょう。

大きな壁はそのまま潜って対処。
もしも戦闘がある場合は、シャークチェーンソーで返り討ちです。【暴力】はすべてを解決します。

そして巨大空洞ではUC発動。
すべてのサメの父ことサメダディを呼び出し、敵艦隊をもろとも海の藻屑にしてやります。
サメダディ!誰が海の支配者か思い知らせてやる好機です。いっちょかましたってくだち!


シノギ・リンダリンダリンダ
お宝の略奪に!!!!??
水路まで!!!!????
分かりました。海賊のプロフェッショナル。この“強欲”のシノギにお任せください
全て。一切合切を略奪してきます

【幽玄な溟海の蝗害】を使用
水路で。大海賊が。お宝の略奪をしにいく。無敵じゃなくてなんだ、という組み合わせです。どんな事があっても負けない自信があります

無敵の海賊船シャニムニーは大きさだけ水路を通れるくらいの大きさで創造し、2つ目の関門も、無敵の海賊船が、海を統べる者の海賊船が『水中に適応しないはずがありません』。水中を爆速で進みます

後は、全力で略奪です
全てのお宝を積み込むくらいの気持ちで行きます
あぁ、とても楽しい!今、とても楽しいです!!



 川へ流れ出る水路の水。
 そこそこの大きさのトンネル――巨鳥の背の上からでは、今ひとつ水中は判断しかねる。

 暁子(暁を臨む一夜の為に ~雀のお宿の外仲居~・f39919)がトンネルを見つめながら、改めて作戦を考える。
「ううーん…私のメイガスだとギリギリかしら」
 翼をちょい、と広げて眼鏡越しに目を細める。
 水上を飛ぶには、若干ギリギリか。
 動きもだいぶ制限されてしまう。

「暁子サンの機体だと、狭いかもしれないぜ?」
 首を回して巨鳥が声をかける。
 かくいう巨鳥も鳥型キャバリアを使う――飛行型ではやや厳しそうだと分かるからだ。

「大丈夫、私のサウスは|水中《ペンギン》形態の〔ジェン〕に換装できるのよ!」

 機動甲冑の水中活動・潜水形態[ジェン]――水中での機動力は空中を上回る。
 ただし、形態のデメリットして他形態に搭載されている武装の使用が不能である。

 ――お子様は形態や変形という単語に弱い。
 クソデカい声で「すげえ!」と鳴いている巨鳥の上で、もう一人絶叫する者あり。

「換装デスか!?……水中活動形態!ガジェッティアとして気になるデス!」
 瞳に十字の輝きを湛え、真剣に暁子のメイガスを見つめるのは、ネズミのスフレ(宇宙そらをかけるネズミ・f42505)。

「――スフレ。試作の水中装備の準備が完了した」
 側に浮くのは、巨神エクレアのコア。
 巨大な機体は探索に向かない。
 ゆえに、コアだけの活動形態でのサポートを行う。

「オッケーなのデス!エクレア、水中形態に換装デス!」

「――換装とはまた違うと思うのだが……」

「この|水中活動用特殊吸気システム《スイチュー☆スイスイくん》があれば、
 サバク出身のミーでも溺れることなく動けるのデスよ!」
 えへん!とスフレが胸を張るが。
 見慣れないパーツを搭載され、いつももながらのネーミングセンスにエクレアのモノアイが泳いでいる。

「試作なのでしょう?困ったらいつでもサウスに掴まってね!
 とはいえ、装備は減らさないと通れなさそうね。
 うん、ならば!」

 バシュゥ、とサウスからコンテナが切り離される。
 サイズも重量も小さくなり……正面の水路へ向かうのに準備が整った。

「ほら、ちゃんと準備してる。|四龍《スーロン》」

 ザナドゥのサイバーニンジャ、ベティ(迷子の犬ッコロホームレスキリング・f36698)が、
 別の巨神をチラと見てから、相棒の巨神G-O-リアス|四龍《スーロン》に声を掛ける。
 今、四龍は身長2mを越える猫背でジャージのドラゴニアンに人化している。
 竜型巨神らしく、大好きなものはお宝。今回も目的は間違いなくソレだ。

「ベティ〜、今度こそホントに本ッ当に大丈夫だろ〜なァ?」
「ダイジョブ!…シノビユニオン、コトダマ要員ぷりーず!」
 ――シノビを召喚し"雇う"ユーベルコード。報酬の支払いが必要な、シノビデリバリー能力。

「バッカ、呼んだら半額になるじゃん?!」
 四龍が姿勢を正すほど大慌てでベティに食らいつく。
 お宝が報酬、それは四龍の取り分が減るということ。

「呼ばなきゃ、ゼロ。半分で、充分」
 作戦を完璧に遂行するのがニンジャ。仇花にシードはならぬ。
 マッポー的な世界でも、依頼には報酬が必要。
 偉大なるワザでもショギョームジョーである。

「…信じらんねェ~!」
 涙目で肩をガクっと垂れる四龍。

 遠目に見ていた巨神エクレアが、
「スフレ、先程の装備の事だが……あの反応が良さそうだ。
 毎度のことだが、その名称センスには疑問を呈せざるを得ない。
 信じられねェ」
 と呟いていた。

「おっ、サイバーな忍者さんッスね……!」
 ぴこり、と狸の耳を動かしてベティを見つめるのは月紬(超級新兵(自称)化け狸・f40122)。

「ふむ……」
 と水路へ視線を戻す。
 ――水上と水中を征きたい?
 まさしくそのためのお船があるじゃないスか!
 自分は持ってないスけど。

 ウサギが乗っていたというアレのこと。
 だが、そんなに都合よくこの場所にあるわけではない。

「持っていないなら化ければ良し!」
 肉球を合わせて素早く印を組む。
「|陣中変化・808式《化け術の基本にして深淵》!」
 どろん、と煙が足元から吹き上がる。

「構造定礎、質量仮定、認知侵蝕防護――ヨシ!」
 もやもやと纏う煙で月紬の姿が見えなくなる。
 大きさは――潜入用に少し小さく。
 水中での機動力を考慮して、推力を増強。
 不必要なパーツは削って――!

 煙が巨鳥の背から飛び出し水に滑り込む。
 ボン!という音と共に姿を現すのは、丸みを帯びたUボートのような潜水艦。
 加速度強化に着けた後部の推力が、回転する尻尾っぽい。かわいい。

「……ちょっと間の抜けた形になった気がするけど、性能は保証するッス」

「おぉ、化術ですかー。流石ですねー。
 忍の方もいらっしゃいますし、良い勉強にもなるでしょう」
 のほほんとした空気で笑うのは、クラゲの陰海月をポンポンと撫でる義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)。

「ぷきゅ!」
 と陰海月がご機嫌に鳴く。
 ――おじーちゃん乗せて泳ぐのは久しぶり!がんばるよ~!

「ふむ――なるほどー」
 じ、と水路と流れを観察し、ポン!と陰海月の背を優しく叩く。
「ぷきゅ!!」
 ――行けるよ!と、鳴いたような前向きな声。

「では、いきましょうかー」
 その声に合わせて、陰海月が水へと飛び込む。

「水に関しては、陰海月が張り切ってますのでー」
 穏やかな笑顔のまま。音も無く。飛んだのも見えず。
 声が聞こえるのは、水から少しだけ頭を出す陰海月の上。忍の動き、だ。

「うん!乗るのは有りです!水中戦と聞いてやってきました!」
 陰海月に飛び乗る義透を見て、声を張って駆け出すのはエミリィ(かじできないさん・f01678)。

「鮫魔術師にとってはボーナスステージのようなものです!」
 飛び出し、くるくると回りながら水へと跳べば――。

 超高速で接近してくる三角の背びれ。
 ぴょーん!と飛び出し……空中でエミリィを受け止める。
 鮫だ……!その名はサメ子。彼女は相棒にライドする。

 どぷん!と大きな飛沫を上げ、一度水中に沈んだ後、水面まで素早く浮上し進軍に備える。

「サメ……ッスね」
 潜水艦から声が聞こえてくる。
 サメだ。

「サメです!」
 サメだ。
 エミリィが元気よく答えれば、サメ子もまたパシャリ、と尾を振って水を起こす。
 サメだ!という合図だろう。

「きゅぷ……!」
 陰海月の柔らかな背中が、少し緊張で固まったような気がする。
 義透が優しく背中を撫でれば、和らいで行くだろうか。

「大丈夫ですよー。お友達のサメさんですー、噛んだりしませんよー」
 陰海月はサメさんが怖い。
 ので、少し緊張してしまう。

 サメ子もその様子を見て、ぱちゃぱちゃ、と水面を叩き大丈夫アピールをする。

「サメデス!……!?サメって砂漠以外も泳げるんデス!?水陸両用デス!」
 スフレが声を上げる。
 宇宙は広い。砂漠の惑星に生息するサメと、この世界のサメは異なる。
「スフレ、サメは6割程度で水中活動を行う。3割程度の個体が飛行し、1割が砂への潜航能力を持つ」

 エクレアが補足するのを聞きながら、四龍がジト目で呟く。

「サメってそんな率で飛ぶのかよ……」
「可能性は、高い。警戒すべき。
 そろそろ、出発する。」
 猟兵をやっていれば、サメは良く飛ぶものなのだ。
 ベティの言葉に「仕方ねえなぁ」と項垂れる四龍。
 周りには10人のサイバーニンジャが音も無く膝を着いている。
「ワッショイ!」
 声を重ねた忍びが四龍を抱え、水に飛び込んでいった。
 これがゼロの正体……彼が奥へ進むためにはこの補助が必要だったという事。

「それでは、お先にシツレイ」
 丁寧なサイサツとオジギの後、ベティは単身で水に飛び込む。
 シノビのワザで、水路を進む。

「良い、インストラクション」
 義透と陰海月の横をベティが通り抜けながら、コトダマをかける。

「ぷきゅ!」
 陰海月も、その声にキアイを高める。

「それじゃ、出発できるかしら?」
 暁子が次々飛び込む猟兵達を見て、声を掛ける。
 バシュゥ――とメイガスが水へと飛び込み、いつでも出発できる状態に整う。

「は、はいっ、できましたっ!」
 ルク(ドラゴニアンのゴッドペインター・f14346)が、その言葉に少し緊張した声をあげる。
 つるぷにな鱗が水の反射光で滑らかに輝く。

 猟兵達が準備を進め、盛り上がっている頃。
 黙々とその筆は空を彩り続けていた。
 空中に描かれていたのは美しいウミガメの絵。

「いきますっ」
 ユーベルコード、|生命描画《ライフドロー》。
 自分の創造物に命を与え、一つの力を人間以上にできる力。
 ふわり、と淡い光で絵が輝けば、美しい絵姿のまま。
 ウミガメが水へと飛び込み、その場に留まる。

 与えた力は知性。
 とても賢いウミガメの相棒が、今生まれた。

 ――狭い通路を進むため、背中に乗せてもらいましょう。
「お願いしますね、カメさん」
 優しい声でペコリ、と丁寧なお辞儀をすれば、ウミガメが「まかせて」と前足でぱちゃん!と水を叩く。

「凄いわ!カメさんなら安心ね」
 ぱたぱた、と暁子がルクの側へと飛んでくる。

 返事を返そうと、暁子の顔を見た後。
 言葉に詰まって――照れくさそうに目を伏せた後小さく頷いて笑う。

「それじゃ、がんばりましょ!」
 柔らかいお姉さんの声。チュン、と笑顔を一つ残し――暁子はメイガスへと羽ばたく。
 側面に捕まれば、水中潜航モード――ジェンが起動する。 

「カメさんも……水に入るデス」
「カメの飛行率も比較的高い。また、星を背に乗せるなどの事例も――。
 そろそろ出発するぞスフレ、遅れている」

「わっ……そうデス!
 ルクも行くデス!」
 たたた、とスフレがルクに駆け寄り。
 自信満々の顔で親指を立ててから水へと飛び込む。

「何も持たないでいっちゃった……」

「いつも、こんなものだ」
 巨神エクレアのコアが呆れた声を出しながらスフレの前に滑り込み――水中装備を展開する。
 それは、まるでスパイ映画の水中スクーター。

「……水中スクーターモード、アクティブ。
 いつでもいいぞ、スフレ!」
 蒸気を利用した圧縮加速の準備が整う。
「はいデス!出発です!」

 水しぶきを立てて、スフレ達が水路へと向かう。

 二人を見て、くすり、と笑ったルクがぎゅ、と両手を握って勇気を蓄えてから水へと飛ぶ。
 待っていたウミガメが相棒を受け止め……ルク達二人も進み出す。

「それでは私達も参りましょうー」
 義透の声に合わせ、陰海月もぷきゅ!と答えて泳ぎだした。

「自分も出港ッスね!」
 月紬も自分のスクリューを回転……潜水艦として水路へと向かう。
 並走する陰海月の触腕に船体でハイタッチしてから。

 エミリィも、サメ子へしっかり騎乗する。
 素晴らしいフォーム、競鮫でも間違いなく1位、コーナリングも完璧そうなスタイル。
 無論、エミリィ自身も素晴らしい高速泳法を身につけている。
 だが――サメ子さんの力も確かだ。自慢の騎乗スキルでジョーズに疾走するのは賢い選択。
 力の温存は、潜入任務で大事だからだ。

 その矢先。
 アイドリングしていたサメ子の尾が強く振られる。
「出発です!」
 元気な掛け声と共に、ものすごい速度で泳ぎだす……!

 その時だ。
 豪快な声が響き渡る。

「お宝の略奪に!!!!??」

「水路まで!!!!????」

 作戦を聞きつけて、駆けつけたのは大海賊――シノギ(|強欲の溟海《グリードオーシャン》・f03214)。
 財宝を根こそぎ奪う仕事。
 しかも侵入は水路……!

 これ以上にないくらい、完璧な任務。
 上がったテンションを丁度よい辺りに調整して、巨鳥へと言葉を刻む。

「分かりました。海賊のプロフェッショナル。この“強欲”のシノギにお任せください。
 全て。一切合切を略奪してきます」

 間違いなく頼れる言葉。
 そして、やっぱり海賊なんて言われてしまえば……デビルキングワールド生まれの巨鳥には興奮しか無い。
 皆の出撃を黙って見つめていたが我慢ならない。

「シノギサン、全部やっちゃってくれ!!
 先行した猟兵から道が一本じゃねえって聞いてる……!そっちの宝も全部!やっちまってくれ!」
 キッ、と悪そうな顔でお願いすれば。

「|幽玄な溟海の蝗害《ウェイクアップ・シャニ・ムニー》!」
 ユーベルコードで生み出されるのは、無敵の海賊船シャニムニー。
 水しぶきを立ち上げて、水面に姿を現す勇姿。
 帆の高さも、水路に完璧に合わせ……まさに無敵。

「出港――!」
 皆の後を追うように、爆速で海賊船が走り出す。
 間もなく追いつき、追い抜いていくだろう、そんな速度で。

「やべえ、カッコいい……。しゅっこー!」
 帰還のためにグリモアの準備に集中し。
 巨大なアヒルさんボートはのんびりその後ろを追いかけていくのだった。

 水路進行の為の準備は全員万全。
 何かの問題が発生してもカバーリングできる。
 順調な進行――このまま、問題の壁まで到達するであろう、という速度。

 水中スクーターとメイガスが並走し、ジリキで泳ぐシノビとしんどそうな巨神も頑張っている。
 カメさんとクラゲさんは時折コンタクトを取りながら、
 その背の者達と潜水艦も並んで情報を伝え合う。
 ご機嫌に爆走するサメさんもその横を走り、その後方から帆船が突き進んでくる。
 無敵の布陣だ。

 水中を進行している者達には、周囲の脇道が認識できる。
 が、これの繋がる先は宝物庫や港では無い、と分かる。
 脇道は細すぎる。
 運搬には適さないし、使われることはないだろう。

「横道は問題なさそうデス!」
「うーん、敵とか来ないッスかね」

「どうですか?」
 ウミガメがルクの顔を見る。瞬膜で瞬して、大丈夫そうだ、と伝えてくる。

「問題ない、来たら成敗。
 気配も、ない」
「それならいいけどさァ~」

「だそうですー。どう感じますかー?」
「ぷーきゅ……きゅ!」
 水から感知できる気配は無いよ、おじーちゃん!という元気な動き。

「わたくしが見てきます!」
 エミリィがサメ子に捕まると、水しぶきと共に水中に飛び込んでいく。
 ぐるり、とあたりを回るように旋回、戻って来る。
「おそらく何も無いですっ!あるとすれば、この先、壁の先ですね!」
 サメ子も頷きながら頭を水面に出す。

「少し速度は遅くなるけれど、わたしのサウスの機体表面に呼吸が出来る空気膜を作るわ!
 潜る時に使ってちょうだいね!」
 創造の輪、[笹竹の金輪]が輝き、暁子のメイガス周囲に呼吸用のエリアが生み出される。

「でも、非武装なの。障害物や敵の迎撃はお願いするわね」

「ならば、その時はシャークチェーンソーで返り討ちです!」
 サメ子の上でエミリィがガッツポーズを見せる。

 そして、程なく目の前には壁が現れる。

 ――皆、準備は万全だ。
 一斉に潜水を開始――壁を破壊する事はなく、的確にその下のルートを選ぶ。

 少し前に伝えられた情報……ルートは1つではない。
 潜水した皆の前に現れたのは、多数の通路。

 皆歴戦の猟兵だ。
 分散して宝を集めるのが正解だ、とアイコンタクトで伝え合う。

 その時。
「無敵の海賊船が、海を統べる者の海賊船が水中に適応しないはずがありません!」
 豪快な声が水中でも響く。
 海賊の声は武器の一つ。無敵の海賊船は酸素すら纏う。
 追いついた海賊船シャニ・ムニーの勇姿は水中でも全く衰えないばかりか、より強い力を感じる。
 無敵である――!その意思の前に、船は突き進むのみ。

「略奪の限りを尽くしましょう!」
 シノギの上機嫌な声が響く。
 そして、海賊のカンは鋭い。

 奪うべき宝の位置を嗅ぎ分ける。
 面舵いっぱい――!
 海賊船は水中で思い切り右に曲がり、脇の通路へ突き進んでいく。

「わっ……ん」
 ルクが一瞬驚き、ズレたスカーフの隙間から泡を吐き出す。
 慌てて深海適応の魔法を宿した紅いスカーフを口元にひっぱり。
 水中呼吸を戻す。

「いやぁ……豪快ッスね。
 大丈夫スか?」
 月紬が水流を起こさないようにルクの横に着く。
 こくり、と頷く顔を見て安心し……進行方向に意識を向ける。

「分かれ道、どうしようかしら」
 暁子のサウスの周囲は空気の膜がある。
 水中での情報交換には適した位置だ。

 シノビパワーで潜水しているベティと四龍が一度近づき、酸素を補給し。
 水遁の術を組み直す。
 ココからは酸素の補給は無し。
 シノビとて油断したらイチモーダジンだ。

「ベティ~、あっちだ!間違いねえ!」
 四龍が左の通路を指差す。
 宝が好きな竜の感覚、これは確かなもの。

「分かった」
 そう答えると、周囲にシノビが再び姿を現す。
 ここまで50人。得た財宝の半額が報酬になる……ようだ。

「やっぱり信じらんねェ……」
 涙目で四龍がベティを見るが、もはや回答はない。
 シノビ達が二人を補助し、左ルートへの進行を手助けする。

 プロのニンジャとその巨神。心配はないだろう。

 皆にアイサツを残し、二人と多数は左ルートへ進んでいく。

「それじゃ、本命のルートで向かうデス!」
「了解だ、スフレ」
 水中スクーターと化した巨神のコアと共にメイガス――サウスの横に並ぶ。

 陰海月と共に義透も側に寄る。
「では、このルートでいきましょうー。
 陰海月も張り切っていますしー、目的に到着しても頑張ってくれるみたいですー」
「ぷーきゅー!」

「じゃ、自分達も一緒に行くッス!」
 機動力と防御力もある。月紬こと潜水艦が一番前に出る。
 見た感じの装甲は伊達じゃない、大丈夫そうだ。

「ボクもサポートしますっ……!」
 困った顔……緊張と怯えはもちろんある。それでも、やるぞ、という意思を感じる顔。
 ウミガメがそれに答えるように前へと進む。

 いざという時の補給地点になりうる、メイガス――サウスを守る布陣。

「助かるわ、いつでも補給に来てちょうだいね!」

「それじゃ、先行は任せてください。
 サメの得意分野です!ボーナスステージです!」
 エミリィがにこやかに笑うと、サメ子の背を叩き――爆速で!敵地へと突撃して行った。
 
 それを追うように全軍進行。
 右ルート、シノギ。
 左ルート、ベティ達。

 そして先行偵察のエミリィ――当然のように道は2つに別れている。
 そう――なんだか細かい魚みたいなロボが蠢いている道と、見た感じ何も居ない道。
 そりゃあ、サメ魔術師なら入っていくだろう。
 敵だらけの方に。

「暴力は!すべてを!解決します」
 それはあまりにもあまりな斬撃だった。
 シャークチェーンソーを構え突進すれば、魚型ドローンなど切り身のプラモデルだ。
 水流のごとくサメ子とのコンビネーションで水中を駆け回るエミリィに、
 正面脇道の敵はすべて殲滅されていくのだ。

「行っちゃったッスね……。
 ん!?」
 少し遅れ、分かれ道に到着した皆の前に現れたのは……分かれ道から流れてきた有象無象の敵。
 魚とか、ロボとか、ワニとか。

「問題ないッス、装甲は伊達」

 ――じゃない、の前にワニっぽい何かが月紬潜水艦に噛みついた。

「……いや痛い!普通に痛いんですが!?」
 ぷるぷる!と潜水艦が震える。
 スクリューっぽい尻尾がぽん!と膨らむのが見える。

「ぷっきゅー!」
 心配した陰海月が、触腕を揺らす。

「月紬さんっ……大丈夫ですか……!」
 震えた声、振り絞るような声。
 やっぱり、怖いものは怖い。それでもやるんだ、というルクの声。

「武装とかは再現してないし、ここは逃げの一択ッス!」
 妖力を集中し、オーラ防御を纏う。
 これで、潜水艦、並の防御力には届きそうだ。

 ウミガメと共にルクが一気に前に出る。
 すごく怖い、けど――!

 同時に、オーラ防御を展開し後続の壁となる。
 2つのオーラ防御で、有象無象の襲撃を防ぐ。
 ただ、この場でゆっくりしている余裕はないだろう。

「全速前進ッス!」
 月紬の声が響く。

 その声に合わせて、陰海月と義透、スフレが続く。
 敵の数も多い。戦う必要はない。
 一気に抜けてしまうべきだ、という判断。

「こっちは任せるデス!」

「きゅぷ!」「はい、こちらも大丈夫ですよー」

 最後尾の暁子がメンバーの状態をしっかりと確認し――判断する。
「加速しますね!目標地点も近いわ、空気膜を解除するわね!」」
 サウス[ジェン]のフリッパーが真横に展開する。
 足を揃え、水中を飛ぶ姿勢。

 息を合わせ、中央チームは一気に目的地へと突き進むのだった。

 一方その頃。
 シノギの海賊船シャニムニーは、右通路の終点へと辿り着く。

 そこに並ぶのは多数の船舶。
 積み込まれた黄金や財宝。
 ドローンや兵の姿も見える。

 言わば、地下水路に現れた――荒くれの港。
 まさにそこは、強き海賊が蹂躙し奪い取る「海」そのもの。

 ――後は、全力で略奪です。
 口角がぐい、と跳ね上がる。

 眼の前に広がるのは、獲物の山。
 興奮しないわけなどないのだ。

「全速前進!!」
 シャニムニーのラムが、手前の船に突き刺さる。
 無敵の海賊船――それが突然現れた。
 砲撃も、体当たりも――すべてに為すすべ無し。
 ……間もなく、港は残骸だけが浮かぶ世界へと変わる。

 すべての船は沈み……シャニムニーには大量の金銀財宝。
 完璧な蹂躙……これぞ、海賊。

「あぁ、とても楽しい!今、とても楽しいです!!」
 響くシノギの歓喜の声に、1つの港は消滅したのだった。

 続いて……左の通路。

「なぁ、ベティ~。やっぱり割引とかしてもらえないのか?」
「なら、ここでシノビは帰ってもらう。
 四龍、自分で来る」
「そりゃないって~」

 そんな他愛もない会話の先。辿り着くのは第二の港。
「アイサツはしないのか~?」
「そもそも誰も、居ない、はず。
 でも、確かにシツレイ。
 ドーモ、ワルシャワ条約機構=サン、ベティです」

 静かにオジギをして――シノビ達は船へと乗り込む。
 アナヤ!防衛用のメカやら、魚ロボは乗っていた。
 しかし、そんなものでどうにかなるシノビ達ではない。

 サヨナラ!と声が響くたび、爆炎が上がり敵は吹き飛ぶ。
 その裏で、黙々と宝物は運び出される。

 ワッザ!すべての船の制圧はあっという間だった。

 運び出された金塊や財宝は、四龍が抱え、
 直接|異次元潜航《ねぐら》ヘ持って帰る。

 しかし、徴収はゼッタイ。持ち帰った財宝は、いつの間にか半分、回収されていた。
「トホホ、やっぱシノビはこりごりだぜェ……」
「四龍、次は大丈夫」
 ――ほんとにほんとに、大丈夫……かもしれない。

 そして、時は少し前。
 エミリィとサメ子は真っ直ぐに突き進む。
 飛びかかってくる、まさに雑魚をサメチェーンソーが切り刻み、ジョーズにぐんぐんと進行していく。
 それはまるで竜巻の如く。

 飛び出してくる妨害にすらならない敵を片付けて、辿り着くのは巨大空洞。
 港――いや、艦隊の準備をしているスペース。
 ここからメインの港へと船を移動させて居たのだろう。

 絶好調のエミリィが、大いなる力、ユーベルコードを編む。
 |サメ召喚「すべてのサメの父」《シャークサモン・リヴァイアサン》!

 ヴン……と周囲の空間が歪む。
 歪んだ空間にひび割れが走り、どろり……と海水が流れ出る。
 その流れは一気に加速し――大空洞を飲み込むほどの津波と変わる。

 溢れ出た海の中から姿を現すのは――通称リヴァイアサン。
 すべてのサメのお父さんだ。

 しかし、やっぱりお父さんに動いてもらうには事情の説明も説得も必要だ。
 サメダディは腕を組んで、波の上に座っている。

「サメダディ!誰が海の支配者か思い知らせてやる好機です。いっちょかましたってくだち!」
 エミリィの声が響けば……お父さんの眉間に。眉間どこだろ……。
 に皺が寄る。目を細めた後……がぱ、と口を大きく開いて笑ったように見えた。

 お父さんは納得してくれたようだ。

 そこから先は、ただの蹂躙だった。
 敵艦隊、船、乗せかけの財宝、通路――暴れまわる海と、お父さんのせいで全てが藻屑になった。
 これで、艦隊の再製造は不可能だろう。

 というか、山脈内にも海が少し流れ込んだ。
 その被害は充分だ。
 サメダディも、満足そうに笑っていた。

 そして、予知ルートを進む一行。
 雑魚の襲撃をオーラ防御で月紬とルクが防ぎ、義透とスフレがカバーする。
 暁子も加速し、目標地点――予知の港の手前。船が遠くに見える位置に到着する。

「ぷーきゅー」
 陰海月が鳴く。
 ――お船に着いたら、ぼくは船底へ向かって……そこへ怪力パンチ!穴開けちゃえ!
 義透との作戦だった。
「では、いってらっしゃいー」
 陰海月はおじいちゃんに、きゅ!と無くと単身深く潜っていった。

「凄いです……!」
 ルクがその姿に、少し勇気を貰う。

「ボクも行きますね……!」
 ウミガメの背を優しく撫でれば、敵船群へと水中から向かっていく。
 そして……しっかり接近して。
 水面へ飛び出れば、筆が奔る。それはヒトデ。
 舞うように、走るように。夜空の星を一筆書きで書き上げるかのごとく、素早い動きでヒトデを書く。
 それは――水面に映るたくさんの星。
 ユーベルコードが命を注ぎ、頭の良いヒトデ達の群体が完成する。

「……よし……」
 ごくり、と喉が動く。
 怖いけれど。単身向かったクラゲの子も居る。負けてなんていられない。
「……よし、突入です!」

 気合の声と共に船に飛び乗る。
 眼の前には、防衛用のロボットが数体。
「ボクがオーラ防御を貼り前に出るので、ヒトデの皆さんは拾った武器で援護してください!」

 その声に合わせ、ヒトデ達は船に置かれた槍などを構えロボットへ突撃していった。

 ゴォン!と船舶の下から音が響く。
 これは……!と思って下を覗けば、水面で触腕がぴょこ!と力こぶを作っている。

「一番槍はされちゃったッスね、ならば!」
 月紬の尾が回転する。
 潜水艦は加速……爆速で正面から敵船へ突っ込む。

 勢いのままに、下から突き上げる一撃!
 頭突き――いや、潜水艦の|頭突き《ラムアタック》だ!

 ガアアアン!という激しい衝突音。
 上空にカチ上げられ、バラバラになる敵船1隻。

「港に座礁させてやるッス!」
 叫び声と共に、全身を押し込めばもう一隻が頭突きで弾き飛ぶ。
 威力相応。
 ちょっと、潜水艦にしては……丸いでっぱりが増えてしまったかもしれない。

「……」
「スフレ、準備は出来ている」
 月紬の姿に誘発され、うずうずを隠せないスフレにエクレアが伝える。

「!」
 パァァ……と顔に光が差したような。

「任せたわ、いってらっしゃい!」
 暁子の声に、親指を立て。
 エクレアを掴み、一気に敵船へと突き進む。

「目標地点に到達。複数の破壊対象を確認。
 パイルバンカー、超蒸圧準備完了――」
 ガシャン、と腕の機構から音が響く。
 シャフトを装填……いつでも叩き込める。

「決めてやれ、スフレ」

「な ん で も ☆ パ イ ル バ ン カ ー !」

 それは水しぶき。
 大空洞の天を貫くような、水しぶき。
 上がった場所は船のど真ん中……射出されたシャフトが凄まじい威力で船を突き上げ、空中で爆散させた。

「……!?何ッスか今の……?」
 月紬が進路を変えた頃には、藻屑が雨となって降り注いでいた。

「こりゃ、負けてられないッスね!」
 再び頭突きで船を跳ね上げる。ちょっとだけたんこぶが増えちゃうかも知れない。
 それでも、その威力も折り紙付きだ。

 隣の船でも水しぶきがあがる。
 船の横からの浸水――対応しようとした防衛システムはヒトデに殴り壊される。
 皆を狙う飛び道具は、ルクが適切に防いでいる。

「みんな、元気にやっているわね!」
 暁子が状態をしっかり確認し。

「そうですねー、そろそろ回収もしてしまいましょー」
 義透もユーベルコードを編み……手元に透明な結晶を作り出す。
 これは夕焼け空の、日本家屋の領域へと無抵抗な存在を吸い込む力。
 つまり――容量無限のインベントリだ。

「では、行ってきますねー」
 にこり、と笑った瞬間。そこに義透の姿はない。
 忍者かつ霊体。その存在を感知することすら難しい。

 皆が雑に破壊した船の残骸の上を走りながら、金塊を回収し――次の船へと飛ぶ。
 吹き抜ける風の如く、資源の一つも無駄にしない。

 放たれたパイルバンカーで粉々になろうとも、
 頭突きで吹き飛ぼうとも、
 沈んでいこうとも……その早業でキッチリ回収する。

「それじゃあ、お手伝いしてきてあげてね!」
 暁子が使うのはユーベルコード、出撃!「雀のお宿」の仲間たち。
 お助け人員の召喚技だ。
 現状、破壊工作も忍び込みも充分。運び出しのカバーに手が足りない。
 ならば、第5階梯で戦闘猟兵相当のスズメの二人組が正解だ。

「私たちにお任せを!」
 そう頭を下げた二人が飛び立った。
 義透の回収のサポートに入り、沈む船の中から金塊などを運び出していく。

「わたしもこっそり、破壊しておきましょう!」
 メイガスが動く。
 ペンギンは潜水し……素早く、そして正確に敵船へと迫る。
 [ピゴセリス・ビーク]、それはクチバシに搭載された単分子カッター。

 狙うのは推進機関。
 この状態から逃亡も考えられない、が、そこさえ破壊すれば全ての船を絶対に逃さない。
 的確に部位破壊し、沈めることもなく動きを奪う。
 回収にもベストな、丁寧な仕事だ。

「さてさて……ココからはミーのオハコなのデス!
 いきマスよーッ!」
 スフレの叫びと共に船が弾け飛んだ瞬間、それは起こった。

 ドガアアアアアアン!という破壊音。
 強烈な破壊音――右の壁が吹っ飛んだ。
 溢れ出してくる海水。
 そして何かヤバそうなサメ。
 お父さんのエントリーだ。

「何ッスか!!」
 月紬が旋回すれば、再び轟音が響く。

「ああああああ!」
 ルクが引きつって、オーラ防御が強固になる。

「まだあるのでしょう!略奪です!」
 聞き覚えのある、豪快な声。
 海賊船シャニムニーが壁を突き破って突っ込んでくる。

 サメと大海賊が揃ってしまった。

「無敵の海賊船と!」
「海の支配者のコラボレーションです!」

 支配者のジャンル違いは仲良しの証。
 破壊の流れは爆発的に加速していくのだった。

「とっても元気ね!」
「そうですねー」
 と二人の穏やかな声は、盛り上がりを見せる戦闘集団には届かない。

 一方……左側は静かだ。
 大声をあげる竜は、自分の空間で大好きな財宝と一緒。
 シノビとして全てを片付けたベティは、クライアントが合流するであろう中央に静かに戻ったからだ。

 ここから先、語るまでもない……。
 壁は破壊され。
 突き進む集団により、地下水路に設置された港や宝物庫は破壊され尽くし。
 全てを持ち出され……力を失った。

 まもなく、とても広くなった通路に帰還用のアヒルボートが到着する。

 作戦大成功だ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年05月14日


挿絵イラスト