ディヴァージョン・コーデ
#獣人戦線
#ノベル
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●理由
些細なことだったのかもしれない。
いいや、些細なことではなかった。
それは緊急を要するものであっただろうし、一つ間違えば世界が破滅に向かう戦いだった。
猟兵の戦いとは元来そういうものである。
敗北、即ち世界の破滅。
世界は不安定だ。
自分たちが思う以上に。
故にヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)に呼び出された以上、これが世界の命運を賭けた戦いだと彼のハーレムの一員たる妻たちは理解するのだ。
とは言え、である。
「すぐに別行動ってどういうこと!」
「一緒に戦うんじゃなかったの!?」
全員が全員、そう思っていた。
ヌグエンにユーベルコードで呼び出されたのだから、きっとそうなのだと思っていた。
けれど、実際にはヌグエンが囮になって自分たちは敵の前線基地にて『悪魔の王』召喚の大規模儀式魔術を構成する魔法陣を破壊するという役割分担だった。
共同作業と言えば聞こえが良い。
けれど、それとこれとは話は別である。
「人海戦術は尤もだけどさぁ!」
「期待されてるんだよ。なら、魔法陣っていうオブジェクトを壊せばいいんでしょ!」
「他の猟兵の人達が壊した痕がこっちにあるよ!」
「じゃあ、そっちにはもうないでしょ。なら、次はこっち!」
これではまるで、下手なゲームのマッピング作業だ。
「敵はこっちに任せて! 爪でバリバリってやっちゃうから!」
「包丁でも大丈夫?」
「みんな、これを使って!」
鍛冶屋の娘であり、武器屋である妻の一人が魔法陣を見つけた時に破壊するために必要な武器を皆に手渡す。
「なんだか厳ついのばっかり」
「仕方ないでしょ。壊すって言ったら、鎚一択! しかもデータで作ってるから軽くて丈夫!」
「なんだか気合入ってるよね」
「頼られたのが嬉しいんでしょ。かわいい所あるじゃないの」
活き活きとした表情を浮かべる妻たち。
「見つけた、魔法陣!」
「敵が来る前に破壊しよう。それでさっさと次に!」
「ヒットアンドアウェイってやつだね」
「『黯党』の党員たちが私達より弱いっていう保証はないから。見つからないに越したことはない」
「じゃあ、さくっとやっておこうか!」
振るい上げた鎚が見つけた魔法陣を破壊する。
砕ける音と共に魔法陣が瓦解していく。
基地の外ではまだ戦いが続いているのだろう。ヌグエンが振るうユーベルコードの輝きが見えるようだった。
「さ、行こう。私達が足を引っ張ったら元も子もないからね――」
成功
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