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獣人世界大戦⑪〜地雷と戦車を突破するにゃ!

#獣人戦線 #獣人世界大戦 #第二戦線 #ワルシャワ条約機構

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「第一戦線突破おめでとうにゃ!」
 元気が掛け声と共に、テーブルの上に料理を並べるのはティットリート・ポルカル(お料理大好きなケットシー・f05382)。並べられたのは、山盛りのおにぎり。おにぎりの上に小さな爪楊枝旗が立っていて、そこに具が書いてある。並んでいる具は、シャケ、昆布、梅干し、シーチキンと定番に加えて、具がはみ出しているエビ天、唐揚げ、なども並んでいる。
「今度の舞台はウラル山脈の山岳地帯にゃ! そこにワルシャワ条約機構の隠し財産があるのにゃ!」
 なんだか楽しそうに説明しているティットリート。ウラルウラル山脈は金や鉄、石炭、宝石などなど多くの鉱物資源の産出地としても知られる。
「この山脈を制圧し、これらの財宝や鉱脈をワルシャワ条約機構から奪い取るにゃ!」
 って事で今回は戦闘ではなく、財宝を奪うのが目標。それが出来れば、条約機構軍の財力を削る事が出来る。
「ただ、ちょっと問題があるにゃ〜」
 まあ、財宝の場所が発見されても、それを容易に運だせないようにしているのが普通だ。今回の隠し場所は、物理的に入れないように崖が行手を阻んでいる。
 さらに『多数の地雷』や『自動迎撃戦車』が行手を阻む。財宝庫には、多くの物資が保存されている。それを運び出すのには単純に崖を越える橋みたいなのを造ってしまうのが楽だとティットリートは提案する。
「橋とかは任せて欲しいのにゃ!」
 とはいえ、そこまでややこしい事をする必要は無い。地雷などの障害を排除し、目的地まで物資を運んでもらえれば後は任せて欲しいとティットリートは言う。
「とにかく、邪魔な地雷や自動迎撃戦車を何とかして欲しいのにゃ〜」
 そう言って、お昼ご飯用のお持ち帰りおにぎりを竹の葉で包んで並べるのだった……。


雪見進
 こんにちは雪見進です。
 第二戦線が開かれましたね。今回はワルシャワ条約機構の財力を削るのが目的です。

 このシナリオは『獣人世界大戦⑪』の特殊な一章構成のシナリオです。

『第一章:物資運搬』
 保管されている資材の場所が分かっているので、そこまでの道を開いて下さい。
 可能であれば物資も運んで貰えると助かりますが、それよりも財宝庫の仕掛けを突破するのに尽力して下さい。
 とにかく大量の地雷と、少数の自動迎撃戦車が待ち構えていますので、それを突破して下さい。

 それでは皆さんの参加をお待ちしております。
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第1章 冒険 『物資運搬』

POW   :    地雷や敵の戦車等を破壊しながら進む

SPD   :    地雷の位置を調べたり、敵の攻撃を躱したりしながら進む

WIZ   :    魔法の力で地雷を撤去したり、バリアを張って敵の攻撃を防いだりしながら進む

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

オヴィリア・リンフォース
アドリブ、連携歓迎

はりきって財宝探索するのです。
ケットシーさんにもらった
おにぎりを食べて元気を出すのです。

銀猫突撃で全身に猫魔力を宿して地雷に
自動迎撃戦車を破壊もしくは
作動しないようにしてやるのです。
全力でダッシュして地雷の爆発や
戦車の砲撃を受ける前に駆け抜けるのです。
安全な場所を見つけたら一休みして再突撃なのです。
後に続く猟兵さん達の安全ルートを確保するのです。
財宝庫に到着しても地雷とか
仕掛けらていないか慎重にチェックして
発見したら破壊するのです。
重い資材は大きな猟兵さん達の任せるけれど、
猫や動物用の非常食とかあれば持ち帰るのです。
一人で食べたりはしないのです。(涎を垂らしながら)


栗花落・澪
崖や地雷は飛んでれば回避できる気がするけど…
戦車も含めて確実じゃないしね

オーラ防御で身を守りつつ
翼による素早い飛行で
念のため高速詠唱、属性攻撃、範囲攻撃で
氷魔法を用いて地雷も戦車も凍結させながら進みたいなぁ
あ、戦車の方なら逆に炎魔法で爆発させちゃうのも有り?
火薬とか乗せてるなら簡単だろうし
心配なのは爆発規模による地形被害の方
地雷は地に埋まってる分確実に被害大だろうけど
戦車の方は…どうかな
氷か炎、より安全な方で

通常の魔力量じゃ対処しきれなさそうな場合は指定UC発動
杖を使用しての魔法威力を増強させる事でより効率よく

ついでに無事物資の元まで辿り着いたら
非力を補うように風魔法で物資を浮かせて運搬します



「はりきって財宝探索するのです」
 そんな元気な声なのはオヴィリア・リンフォース(銀色の魔女猫・f25140)。そんな可愛らしい手には、さきほど貰ったおにぎり。最後の一口を食べ終わって元気全開な雰囲気。
「崖や地雷は飛んでれば回避できる気がするけど……」
 そんな隣では、冷静に状況を観察している栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。
「でも、戦車も含めて確実じゃないしね」
「そうですね。後から来る猟兵さん達の為にも、破壊、もしくは作動しないようにしてやるのです」
 おにぎりパワー全開のオヴィリア。全身に『猫魔力』を満ち渡らせる。
「猫の力をみせるのです」
 次の瞬間、全身に満ちた『猫魔力』がオヴィリアの全身を巡りそして纏う。
「駆け抜けるのです!」
 そんな『猫魔力』を纏ったオヴィリアが地雷の敷設してある場所へと突入すると、『猫魔力』に反応して各所で爆発が引き起こされる。
 そんな地雷も各種様々。反応した地点で爆発する地雷もあれば、反応に応じて空中に飛び上がり、周囲へと鉄片を撒き散らす地雷、そして指向性を持ち大量の鉄片を放射するタイプ。名称は同じ地雷として区別されるものの、その形は様々。
「そんなの関係ないのです」
 そんな様々な地雷であってもオヴィリアには関係無い。猫特有のしなやかな動きと全力ダッシュで爆発や鉄片を避ける。それでも、避けられぬ爆発や鉄片は彼女が纏った『猫魔力』が弾き飛ばす。
「ここは安全なのです」
 オヴィリアが駆け抜けた場所はかなりの数の地雷が敷設してあったようで、それを大量に無力化したが、それでもまだ残っている気配がある。さらに奥にはまだ自動迎撃戦車が待っている。
「これは大変だね」
 そんなオヴィリアの切り開いた道を見ながら、作戦を考え直す澪。防御で身を守りつつ、翼による素早い飛行で突破する作戦だったが、それでは大きな被害を受ける可能性がある。
「氷魔法で凍結させながら進みたかったなぁ」
 色々作戦を考える澪だが、それには理由があった。最悪を想定していた切り札を出来れば切りたくないのだ。
「ちょっと一休みです」
 先に進んだオヴィリアはちょっと休憩と、笹に包まれたおにぎりを広げ、一口パクリ。
「美味しいですにゃん」
 少し甘めに味付けされた昆布がとてもおにぎりに合っている。それにケットシーサイズに食べやすい大きさになっている心遣いもありがたい。
 ともかく敵が襲いかかってくる訳ではない。慌てる必要はない。澪は冷静に観察を続ける。
「逆に炎魔法で爆発させちゃうのも有り?」
 火薬とか火で簡単に燃えるイメージだが、これは世界によって様々。ちょっとした火気で引火する火薬もあれば、信管を作動させないと高温でも爆発しない火薬もある。
「……それも難しいかも」
 冷静にオヴィリアが発動させた地雷を調べると、様々な種類が混じっている様子。やはり通常の方法では難しそう。
 だからこそ、敵は物資を保管しているのだろうし、猟兵でないと突破出来ないと判断されたのだろう。
「……やっぱりそうなのかな」
 悩んでいた様子の澪だが覚悟を決めたようだ。
「はっ、恥ずかしいから一瞬で終わらせるよ……!」
 覚悟を決めると、そこからは素早い。小さなバトンを取り出し、そこに魔力を込める。すると、清浄な輝きを放つ『Staff of Maria』が本来の姿を表す。
 『Staff of Maria』を指先で回転させながら、彼の身体が光に包まれていく。その光の中では、彼の服が光に包まれ……豪華絢爛なドレス姿へと変身していた。
「綺麗ですにゃん」
 思わずオヴィリアも言葉を漏らす、そんな美しい姿。とはいえ、似合っていても美しくても、本人が恥ずかしいと感じるのは全く別のお話。
「ま、マジカル☆つゆりんプリンセスフォーム!」
 恥ずかしさを振り払うように声をあげて、そのまま周囲に花びらを舞い散らせながら突撃していく。
 そんな澪の周囲で花びらが強制的に地雷を発動させ、大爆発を引き起こす。しかし、マジカル☆つゆりんプリンセスフォームになった澪には傷一つ付かない。
「このままいきます!」
 さらに、オヴィリアが休憩していた安全地帯よりも先へと、そのまま突撃していく。
「……シンニュウシャ」
「……ゲイゲキカイシ」
 警戒距離に入ったからか、自動迎撃戦車が動き出す。しかし、高速で移動する澪を捉える事は出来ず、花びらに切り刻まれ鉄屑へと姿を変えていく。
「わたしも負けられないにゃん」
 再び『猫魔力』を纏い突撃するオヴィリア。二人の突撃により、かなりの地雷と戦車を破壊する事に成功するのだった。

「ここは地雷とかは無いようね」
「そうですね」
 一足先に倉庫へと到着した二人。猟兵であれば崖は容易に超えられる。しかし、物資を持って運ぶには相応の準備が必要だ。
「猫や動物用の非常食とかあれば持ち帰るのですが……」
 残念ながら、食料品などは無いようだ。主に戦闘の物資ばかりで、少し残念そうなオヴィリア。
「少しでも持ち帰りましょうか」
 澪は風魔法で物資を浮かべ、可能な範囲で持ち帰る。
「……あの、よかったら一緒に食べませんか?」
 そんなお腹が空いている様子のオヴィリアに、そっと差し出すのは自分用に貰ってきたおにぎり。
「ありがとにゃあ」
 オヴィリアと澪は仲良くおにぎりを食べながら帰る二人だった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シビラ・レーヴェンス
露(f19223)
財宝庫への最短距離の仕掛けを全て洗い出そう。
パフォーマンスで身体機能を上昇させ限界突破を。
次にリミッターを解除し封印を解き準備を終える。
そして全力魔法で【智慧なる女神】を行使しよう。

地雷の位置とその性能を解析鑑定して解除する。
もし位置特定と性能判明ができない場合は奥の手を。
拡張強化プログラムで【叡智なる女神】をブースト。
地雷の位置は地図に書き込み他者も利用可能にする。
種類が異なる地雷の設置も考慮し一つ一つ解析鑑定。
地味な作業だが慎重に行うことにしようか。

そういえば戦車もあったな。そちらは露に任せよう。
ただ地雷設置のことを伝えておこうと思う。
あの子が怪我でもしたら面倒なことになるだろう。
「…抱きしめられるために、注意したんじゃない、ぞ?」
…作業がし難くなり余計面倒になった…。


神坂・露
レーちゃん(f19223)
地雷群の向こうに相手の大事なものがあるのね。
しかも守るのに地雷とか戦車が置いてあるって。
…へー。そーとーな財産が隠してあるのね~…。

地雷のことはレーちゃんが何とかしてくれるはず。
ならあたしは戦車の相手よね!うん!!頑張るわ♪
リミッター解除してから限界突破して準備完了よ。

戦車が来るまで当然レーちゃんを抱きしめてるわ。
地雷があるって教えてくれた嬉しさもあるけどね。
だってとってもとっても寒いんだもの。わーい♪
レーちゃんからはうっとおしいって言われるけど。
「だってだって、戦車さんまだ来ないんですもの」
レーちゃんぬくぬく温かいわ。温かい。わ~い♪

戦車は【蒼光『月雫』】で一気に片づけちゃうわ。
まずは動きを停める為にキャタピラを破壊するわよ。
それから砲台を破壊するわ。危険だもの!危険よね。
時々破壊する順番が砲台からになっちゃうかもね。
幾つ来ても一つずつ破壊していくわね。
「幾つでも来…いや、一体ずつでいいわ!!」
多いと狙いが困っちゃうもの!


クリスティアーネ・アステローペ
物資の徴発…の為の道を作るのがメインなのね
確かに、こうしっかり待ち構えられてると突破するのは大変そうねぇ
(ありがとう、とおにぎり一つ貰って食べながら手段を模索)

…地雷を残しておいてもですし、全部耕してしまう気で行きましょうか

雲がかかって周囲に広く影が落ちたタイミングで【消失する地平】を起動
魔獣の一部を盾にして、残りで周囲の地面を叩いて《蹂躙》、起爆していきましょう

更に戦車もいるのよね
私の守りは《結界術》に切り替えて、残った影の魔獣で《吹き飛ばし》てやりましょう
崖も近いハズですし、そこから落としてやれば登っては来れないでしょう

運搬も《怪力》を用いて手伝うわ
…この石とか、幾つか貰ってもいいかしら?


祓戸・多喜
お宝探しね!つまりは青春!
危険もつきものだけど全力で突破すれば怖くない!
さー張り切っていくわよー!

空中浮遊でほんのちょっと浮いて移動すれば地雷はどうにかなるかしら。
橋を架けるならこう、矢に紐括り付けて弓で対岸に打ち込んで、それを足場に作るとかもできるかしら。
こっちを狙ってくること間違いなしな戦車には弓構えて矢弾の雨で片っ端からぶっ壊す!
防御はオーラ防御で前方のガード固めつつ勘と見切りで凌ぐわ!
…一々キリがなさそうならUC起動、全力で引き絞った弓で直線上を地形ごと…地雷も行けるかも、纏めて破壊するわよ!
財宝持ち帰りは…力仕事も頑張るわよ!
抱えられる量もそれなりにあるし。

※アドリブ絡み等お任せ🐘



「物資の徴発……の為の道を作るのがメインなのね」
 作戦の内容を確認しながら、『ありがとう』と言って貰ってきたおにぎりを食べているのは、クリスティアーネ・アステローペ(朧月の魔・f04288)。
「物資の徴発でもあり、お宝探しね!」
 そんな状況を非常にポジティブに解釈するのは祓戸・多喜(白象の射手・f21878)。
「つまり青春ね!」
 ……ポジティブが飛躍して、青い春へと飛翔した気もするが、たぶん気のせいだ。
「確かに、こうしてしっかり待ち構えられてると突破するのは大変そうねぇ」
 最後の一口を食べおわり『ごちそうさま』をしてから、多数の地雷が敷設されている場所を多喜と一緒に眺めるクリスティアーネ。
「危険もつきものだけど、全力で突破すれば怖くない!」
 青春に危険が付きものなのは……まあ、猟兵ならよくある事……だろう……たぶん。
「さー張り切っていくわよー!」
「全部耕してしまう気で行きましょうか」
 とはいえ、二人の勢いが違っていても、青春であってもやるべき事は変わらない。空模様を確認しながら、先に動くのはクリスティアーネ。
「……今ね」
 雲がかかって、周囲に広く影が落ちたタイミングでユーベルコードを発動させる。
「我、流るるものの簒奪者にして……」
 雲により地雷原は大きな影に包まれる。その影に、そっと手で触れる。
「……領を侵せしものへの誅戮者なり」
 静かに響くクリスティアーネの声が影と同化するように地面に吸い込まれ、影と彼女の手が二次元と三次元の境界を曖昧にしていく。
「然れば我は求め訴えたり」
 次の瞬間、影と同化していた手が無数の魔獣の頭部となり、咆哮を上げる。
「喰らえ、ただその闇の欲する儘に」
 無数の魔獣の頭部が顎を開き、地雷ごと地面を喰らい尽くし、地面を消滅させた……。
「まだ、あるようね。地雷を残しておいても……ですし」
 さらに地面の奥の地雷を魔獣の頭で起爆させ、さらに地雷を除去していくクリスティアーネ。
(「この地雷の種類など、空中浮遊でちょっと浮いで移動てのはだめなのね」)
 クリスティアーネが除去する地雷の中には、空中でも反応し、対空に鉄片をばら撒くタイプの地雷も混じっていた。
 古来から非人道兵器として悪い方向に試行錯誤された地雷は、善意を破壊する悪意が込められているのだ。
「……テキハッケン」
「コウゲキカイシ……」
 そんなド派手な地雷撤去と爆発に、奥で待機していた自動迎撃戦車が機動し、砲撃を開始した。
「更に戦車もいるのよね」
 戦車の砲撃を結界と魔獣で自分を守る。
「……ガピっ」
 そんな戦車に矢が突き刺さり、砲撃があさっての方向へと向かう。
「片っ端からぶっ壊す!」
 戦車に対抗したのは多喜。弓矢で金属の装甲を貫くのは、さすが猟兵。
「……一々キリが無さそうね」
 とはいえ、地雷ほどではないが、一体づつ矢で撃ち抜くには数が多い。
「射法・弓張月……」
 クリスティアーネの地雷除去によって動きやすくなった戦場を移動し、一矢で打ち抜ける位置へ移動し、強弓ハラダヌを構える多喜。
 それは、弓と呼ぶには大きく常人では引く事も困難な巨大な和弓。それを易々と引く。そして象獣人の特商である鼻を使い、器用につがえるのは、やはり非常に巨大な矢。
「この一矢で決めるわよ!」
 次の瞬間、放たれた矢が戦車の装甲をまるで紙のように貫き、続けて三機ほどの戦車を串刺しにし機能を停止させた。
「ここから落とせば登って来れないでしょう」
 そんな隣では、距離を詰めたクリスティアーネが魔獣の頭部で戦車を噛み掴み、崖へと投げ落としていくのだった……。
 そして、一通り地雷と戦車を排除したところで一度撤退する二人だった……。

 これまで猟兵たちがかなりの数の地雷を除去し、戦車を破壊したが、それでも残っているのが地雷の問題点。奥で後発的に機動開始している戦車もいる。まだ、安全に資材を運び出すには至らない。
「財宝庫への仕掛けを全て洗い出そう」
「地雷群の向こうに相手の大事なものがあるのね」
 そんな最後の一仕事をする為にシビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)と神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)が現着した。
「しかも、守るのに、地雷とか戦車が置いてあるって」
 そんなシビラに楽しそうに声をかける露。シビラは地雷の対策を考えているようだが露はお任せな雰囲気。
「……へー。そーとーな財産が隠してあるのね〜……」
 そんなシビラを邪魔しないように……でも、ちょっと邪魔したいように楽しそうな声を響かせる露。一歩距離を詰めてシビラの様子を見て……ちょっと距離を取ってくるっと両手を広げたり。
 そんな露の様子はもちろん気づいているが、あえて反応せずに地雷の除去に専念するシビラ。
「身体機能上昇……限界……突破」
 シビラは電脳魔術士としてのリミッターを解除し、万物の解析と鑑定を行うプログラムを起動させ放つ。
「Înțelepciunea de a debloca...…」
 展開されたプログラムにより、周囲に存在する地雷の位置を調べる事が出来る。さらに、それだけでなく、地雷の種類や解除方法まで一つ一つ解析を行う。地雷というのは本当に多種多様。それに製法、製作部品が一緒でも個体差があり、それがブービートラップとして機能する場合もある。本当に厄介なものだ。
「拡張強化プログラム……起動。『叡智なる女神』をブースト」
 それが分かっているから、さらに彼女の出来る限りの力を尽くし調べる。その結果、そんな個々の個体差まで全て解析に成功した。
「除去……」
 そのまま、可能な限り自壊させ地雷を除去し、残った自壊すらしない不良品も地味な作業ながら撤去していくシビラだった。

「なら、あたしは戦車の相手よね! うん!」
「まだ、地雷が残っているから注意だぞ」
 残った地雷を撤去しながら露に声をかけると、返事代わりに、ぎゅっとシビラを抱きしめる。
「……抱きしめるために、注意したんじゃない、ぞ?」
 そんな抱擁を振り払うような素振りは一切見せずに、そのまま作業を続けるシビラ。
「うん! だって、とってもとっても寒いんだもの。わーい♪」
 抱きしめる力は、強すぎず弱すぎず、ちょっと作業が難しくなって、余計に面倒になったけど、それでもシビラは淡々と作業を続ける。
「だってだって、戦車さんまだ来ないんですもの」
 シビラをぎゅっとしながら露の注意はしっかりと戦車を捉えている。実際、戦車は動いていない。
「レーちゃんぬくぬく温かいわ。温かい。わ〜い♪」
「全く……」
 シビラの口調はぶっきらぼう。だけど、露には伝わる温もりのある言葉だ。だから、抱きしめられる露の腕から伝わるのは温もりだけではないのだろう。
「頑張るわ♪」
 たっぷりぎゅってしてから、戦車の相手をすべく露はシビラと同様に、自身のリミッターを解除する。
「闇に散れ〜♪」
 楽しげな掛け声と共に、水晶のような蒼白い棘を無数に作り出す露。その棘が幾何学模様を描き複雑に飛翔したかと思うと、戦車の無限軌道を破壊し、移動力を失ったところで砲塔を破壊し、戦闘能力を失わせる。
「いくらでも来……」
 楽しそうに戦車を無力化していく露。思わず軽口が漏れる。
「……ショウガイヲハイジョスル」
「センメツセヨ……」
 売り言葉に買い言葉ではないだろうが、最後の障害と言うべき、自動迎撃戦車が群れで露へと襲いかかってきた。
「いや、一体ずつでいいわ!!」
 慌てて、蒼白い棘を操り、戦車を迎撃する。最初は機動力から削っていたが、その猛攻に先に砲塔を破壊するようになる。
「多いと狙いが困っちゃうもの!」
 それでも戦車程度に苦戦する猟兵ではない。ほどなく、全ての地雷と戦車の無力化に成功するのだった……。

「橋を架けるならこう、矢に紐括り付けて弓で……」
 少しでも先に作業を始めようと、多喜は橋の建築に必要な足場の作成に取り掛かっていた。
「……この石とか幾つか貰っていいかしら?」
 投石用だろうか、それともバリケード用なのか倉庫に保管してあった石を軽々と持ち上げながら呟くクリスティアーネ。一緒に運搬も手伝っているのだから、凄まじい怪力だ。
「財宝持ち帰りは……力仕事も頑張るわよ」
 多喜も力仕事は得意のようで手伝っているし、澪やオヴィリアも戻ってきて運搬を手伝ってくれている。
 今回は、財宝庫までの仕掛けを突破するのが主な任務だが、それ以上に手伝いをしているのはとても猟兵らしいと言える。

 そんな中でも、自由気ままな猟兵もいる。
「手伝わなくていいのか?」
「うーん、もうちょっと〜♪」
「まあ、そうだな」
 基本的に後は任せれば大丈夫だ。手伝う猟兵たちが気配りなだけだ。そんな中で露はシビラを抱きしめ、のんびりしている。
 まあ、シビラは万が一に備え、地雷の見落としが無い事を確認しているのだが、露は完全に温もりモードだ。

 しばらくすれば、グリモア猟兵が手配した橋の建築する人や、荷物を運ぶ重機やキャバリアが到着するだろう。そして運び出せばワルシャワ条約機構の財力を削る事が出来る。
 まだ戦争は続いている。ただ、慌てる状況ではない。これから続く戦争に備え、少し気を休める猟兵たちであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年05月13日


挿絵イラスト