獣人世界大戦⑮〜召喚悪魔ハ蒐集ス
●第二戦線
ヴェルタール・バトラー(ウォーマシンの鎧装騎兵・f05099)は、『獣人世界大戦』、次なるステージの幕開けを告げた。
「皆様の大活躍により、第一戦線は、大勝利といってよいでしょう。そして現在、第二戦線へと移行しております。今回、私めがご案内させていただきますのは、『|黯党《あんぐらとう》首魁であるところの、『本田・英和』との対決でございます」
『サクラミラージュ』における帝都転覆を企む大罪人にして、幻朧帝直属軍令暗殺部隊。
この危険人物が、現在、『獣人戦線』のスタノヴォイ山脈に布陣している。
「これまで本田めは、理不尽な世界を憎む『悲劇なる者』らを巧みに煽動し、争わせてきましたが、ここに来て、本人の出陣でございます。その脅威は、不世出の悪魔召喚士としての能力にこそあります」
本田は、自身の周囲に敷き詰められた召喚魔法陣を起動させ、契約を結んだ強大なる悪魔『ブエル』……その眷属である『ブエル兵』を多数召喚する。
「個々のブエル兵の戦力は、召喚者である本田に及びません。ですが、ブエル兵の真なる恐ろしさは、その学習能力の高さにこそあるのです」
知識を収集する能力や役割を持っているらしく、ブエル兵は、猟兵との交戦を通じて『猟兵の知識』を蒐集。次第に、猟兵に対抗する力を蓄えていく。
そこで、相手に学習させぬよう、速やかにブエル兵を撃破しつつ、本田・英知にも対処しなければならない。
「ブエル兵は、獅子に似た獣状の頭部に、ヤギの如き足を複数生やした、異形の持ち主。その知識吸収速度には、目を見張るものがございます。シュバッ、と素早い対処をお願いいたします」
もちろん、本田自身の攻撃への対処もお忘れなく。
ヴェルタールは忠告したのだった。
七尾マサムネ
こちらは『獣人世界大戦』のシナリオです。一章のみで完結します。
知っている人は知っている、ちょっと懐かしいヤツが出て参りましたが、それはそれとして本田は殲滅しましょう。
●プレイングボーナス条件
湧き出るブエル兵を迅速に倒しつつ、本田・英知と戦う。
●ブエル兵
本田が召喚する、悪魔ブエルの眷属です。
基本的には体当たりで攻撃してきますが、時間経過とともに、ちょっと賢い戦い方を覚えていきます。早めの対処が必要です。
それでは、皆さまのご参加、お待ちしております!
第1章 ボス戦
『黯党首魁・本田英和』
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POW : 汝の業は無力なり
対象のユーベルコードに対し【それらを喰らい破裂する使い捨ての悪魔 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
SPD : 『何故、欺瞞に満ちた世界を守る?』
対象への質問と共に、【邪悪なる混沌の光 】から【盟約の妖獣】を召喚する。満足な答えを得るまで、盟約の妖獣は対象を【呪術、爪牙】で攻撃する。
WIZ : 世を憎む者共よ
いま戦っている対象に有効な【悪魔化した影朧 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
イラスト:ひなや
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「国栖ヶ谷・鈴鹿」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
神酒坂・恭二郎
なるほど、これは厄介な手合いだ
最速でぶち抜くぞ鮫五郎
「同調加速」で人鮫一体の風桜子を帯び、超加速でブエル兵に学習させる間もなく、本田の大将へと突っ切ろう
ブエル兵への攻撃力は鮫五郎の牙と、俺の振う瞬間的に伸びる「風桜子刀」での抜刀術で十分【居合、早業、武器の巨大化】
回避は同調による加速と、俺の技量での【受け流し】による捌きで対処だ
「大将。あんたへの解答はあるさ」
鮫ドリフトで妖獣の攻撃を回避しつつ、問いに正面に応じる
「欺瞞? 世界? てめぇは視野が広すぎる。俺が守るのはな、何時だってほんの小さなもんだ!!」
加速を乗せ、渾身の片手一本突きを叩き込む【覇気、急所突き、衝撃波、鎧無視攻撃】
胸に輝く、燦然たる勲章の数々。
本田・英知との対面を果たした神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)。
敵の周りには、既に用意周到たる召喚魔法陣。陣は、本田の命に従い、ブエル兵を吐き出した。
車輪の悪魔、そう呼ぶのが相応しい外見の悪魔が、恭二郎を取り囲んでいる。
「さあ、猟兵。シンプルな暴力の前に屈するがいい。行け、悪魔兵よ」
「なるほど、これは厄介な手合いだ」
本田の合図で、一斉に襲い掛かるブエル兵。圧倒的ともいえるこの光景を前にしても、恭二郎は、口の端を不敵に持ち上げた。
「最速でぶち抜くぞ鮫五郎」
星白鮫に騎乗した恭二郎が、作戦を口にした。
ユーベルコード『同調加速』。人鮫一体の|風桜子《ふぉーす》を宿し、敵陣へと切り込む。
それを迎え撃つべく、行く手を阻むは、多数の悪魔車輪。
物量で攻める作戦。シンプルに厄介な障害にも、恭二郎は、ためらいなく突撃した。
超加速の衝撃が大気を震わせ、敵のたてがみをかき乱す。
速さは力なり。ブエル兵を蹴散らし、進撃。敵にこちらの技を学習させる暇も与えず、本田・英知との肉薄を目指す。
恭二郎の視界の中、飛び掛かってくるブエル兵に、鮫五郎が牙を立てた。そのまま体を食いちぎり、あるいは敵の密集地帯へと放り投げる。
恭二郎自身も、『風桜子刀』を振るう。相手に届かぬ距離だろうと構いはしない。刀身は、瞬間的に伸長し、驚く敵を薙ぎ払った。
脱落していく同胞を乗り越え、恭二郎に食らいつかんとする、ハングリー精神の強いブエル兵も、もちろんいた。
恭二郎はそれを刀で受け流し、あるいは、危機を察知した鮫五郎が加速し、敵を振り切る。
そこに、本田の問いが投じられる。
「そこまでして、何故、欺瞞に満ちた世界を守る?」
言霊がもたらした混沌たる輝きが、盟約の妖獣を、この世界に招き寄せる。
「大将。あんたへの解答はあるさ」
華麗な鮫ドリフトで、妖獣の爪撃から逃れつつ、問いに正面から応じる恭二郎。
「欺瞞? 世界? てめぇは視野が広すぎる」
「広、すぎ……」
「俺が守るのはな、何時だってほんの小さなもんだ!!」
恭二郎の意を汲んだ鮫五郎の尾びれが、空気を打つ。
一層の速力を乗せ、交錯の瞬間、渾身の片手一本突きを叩き込む!
「くっ……見事な覚悟だ、猟兵……」
恭二郎を賞賛する本田。
動きを止めた妖獣こそが、答えが満足である事を表していた。
大成功
🔵🔵🔵
クローネ・マックローネ
絡みOK、アドリブ歓迎
【SPD判定】
ブエル兵、か
ヤツが裏にいるというのなら、早々に全滅させないと不味いね
失われた記憶が疼いて、本田よりも悪魔『ブエル』とその眷属に意識を向けるよ
何故守るか?
いつか自由に世界を渡る旅をする為に、邪魔なアナタ達を先に始末しておきたいだけだよ
欺瞞がどうとか、知らない事はどうでもいいの
ワタシの都合で戦って、結果的に世界が守られてるってだけの事だよ
UCは『ワタシのソロモンの雷』
召喚した『ソロモンの悪魔』の雷で戦場全体を攻撃するよ
攻撃は【範囲攻撃/生命力吸収/怪力/斬撃/鎧無視攻撃/属性攻撃】で行うよ
敵のUCは【霊的防護/オーラ防御/硬化/激痛耐性/呪詛耐性】で防ぐよ
魔法陣を同時起動させる、悪魔召喚師、本田・英知。
召喚された悪魔群の姿を目の当たりにしながら、クローネ・マックローネ(快楽至上主義な死霊術士・f05148)は、呟いた。
「ブエル兵、か。ヤツが裏にいるというのなら、早々に全滅させないと不味いね」
獅子の頭に備えられた5本の足。虚空に浮かび、不気味に回転するその異形に、クローネの失われた記憶が疼いた。
いっそ、敵首魁である本田・英知よりも、ブエル兵、そしてその主たるソロモンの悪魔『ブエル』に意識が向いていた。
「戦の真っ最中に、相手から意識を逸らす暇などありはしない」
ブエル兵を従えながら、本田自身も、クローネへと迫りくる。
「問おう、猟兵。何故、この欺瞞に満ちた世界を守らんとする?」
クローネへの問いかけと共に、光が迸った。
魔法陣とは異なる、しかし、それ以上に混沌をたたえた輝きが、盟約の妖獣を顕現させる。
その力の密度は、ブエル兵以上にみえた。問いが有効である限り、その存在に揺らぎはない。
ブエル兵を率いるようにして、妖獣が、クローネへと飛び掛かった。その呪力を乗せた爪牙は、かすめただけでも肉体を蝕むであろう。
これを打ち破るため、クローネは、答える。
「何故守るか? かんたんかんたん。いつか自由に世界を渡る旅をする為に、邪魔なアナタ達を先に始末しておきたいだけだよ」
妖獣の爪、ブエル兵の蹄から逃れながら、回答するクローネ。
その身は、物理的な硬化のみならず、対霊的、対呪的なオーラで覆われ、敵の攻撃を最小限に抑える。
しかし、いつまでも耐えられるものではない。クローネは、回答を以て破魔を為す。
「欺瞞がどうとか、知らない事はどうでもいいの。ワタシの都合で戦って、結果的に世界が守られてるってだけの事だよ」
「…………」
妖獣の動きが、止まる。
クローネの答えは、疑問を満足させるものであったらしい。
しかし、本田とブエル兵は健在。それらを一挙に駆逐するため、クローネは手を天高く掲げた。
頭上に、魔法陣が描き出される。本田のものと類似性を感じさせるのは、召喚対象が同質であるからか。
それを示すように、召喚されたのは、クローネの『ソロモンの悪魔』。
契約に従い、悪魔は、雷を戦場全体に降り注がせた。
本田はもちろん、ブエル兵達も、逃れる事は叶わぬ。同族の雷にその身を焼かれ、焼滅……あるいは『灼滅』と呼ぶべきか……されていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
オクト・パスフォルド
「敵の数が多いな……ならば」
敵首魁への行く手を幅ぬブエル兵に対し、連中を引き付け
「銀河……流星拳!!」
まとめて吹き飛ばす事で道を開く
「待たせたな、若僧」
歩みを止め、問いを受ける
受けながら、盟約の妖獣と【覇気、鬼の拳】をもって渡り合う
「お前の問いは、前提が間違っている」
「お前はこの世界に、己の真実を見出せなかっただけだ」
満足せぬ答だろう
牙を納めぬ妖獣で分る
「お前の視野は広すぎた。だから、足元の小さき物に気づかない」
「それは小さくとも、世界を守るに値する何かだ」
今は遠き思い出の景色を想う
「男の値打ちは、その手に何を握りしめるかだ」
「それを今、教えてやる」
男と妖獣を目掛け、拳の雨を叩き込む
オクト・パスフォルド(銀河提督・f43245)は、囲まれていた。
敵群を構成するのは、どれも同じ顔。ブエルの眷属・ブエル兵。
頭部から直接生えたような複数の足は、常にゆっくりと回転し、不気味な佇まいでオクトを威圧している。
「敵の数が多いな……ならば」
敵首魁への行く手を阻むブエル兵に対し、オクトは突撃した。
無論、敵が大人しく本田への道を開け放つわけもなく、オクトへと殺到する。
しかし、それこそが、オクトの狙いだ。バラバラになってもらっていては、対処が面倒だ。一か所に集結してくれる分には、願ってもない。
迫りくる獅子頭。オクトは、拳……否、触手を固め、気合を込めた
「喰らえ、銀河……流星拳!!」
「ガるゥぅぅッ!?」
響き渡る獣の咆哮、それは悲鳴。
包囲網を為していたブエル兵達の体が、一斉に宙を舞った。降り注ぐ流星拳によって。
地上に、オクトを阻む者なし。ブエル兵が吹き飛ばされている間に、作りあげた道を駆け抜け、本田の元へ。
「待たせたな、若僧」
本田の前で、オクトは歩みを止めた。
どの銀河、どの世界でもたいてい共通の法則……それは物理。シンプルな力で防衛ラインを突破してきたオクトに、本田は、昏いまなざしを浴びせた。
「お前は、何故、欺瞞に満ちた世界を守る?」
疑問は、魔力、妖力を生み、1つの形を為す。
狐に似た、そして、本田に似た昏さをたたえた瞳の妖獣が召喚される。
盟約の妖獣は、粛々と、オクトへと襲い掛かった。対するオクトは、覇気や鬼の拳……武力をもって渡り合う。
「お前の問いは、前提が間違っている」
妖獣と攻防を繰り広げながら、オクトは、本田へと言葉を飛ばす。
「お前はこの世界に、己の真実を見出せなかった、ただそれだけだ」
「…………」
本田は、沈黙したままだ。満足に至っていないとみえる。
それを証明するように、妖獣は、未だ爪牙を納めず、オクトへと攻めかかってくる。
「お前の視野は広すぎた。だから、足元の小さき物に気づかない。それは小さくとも、世界を守るに値する何かだ」
そう説くオクトの脳裏に浮かぶのは、今は遥か遠き、思い出の景色。
「いいか。男の値打ちは、その手に何を握りしめるかだ。それを今、教えてやる」
再び、オクトは、流星拳を繰り出す。一層の想念を込めて。
男と妖獣目掛け、拳の雨を叩き込む。
「それもまた、1つの正しき答えか」
想いを受け止めた本田の表情が、苦悶に歪んだ。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
強力な悪魔を召喚する為の儀式は潰してきた筈だが、それでもこれだけの数を呼び出すとは
首魁をやるだけあって、侮れない存在なのは間違いないか
神刀の封印を解除。神気を纏う事で身体能力を強化して、陸の秘剣【緋洸閃】を発動
無数の緋い刀を戦場全体に降らせる事で、まずは邪魔なブエル兵達を始末
更に地面に突き刺さった刀は柵として、ブエル兵の接近を阻んでくれるので、本田と本田が召喚した妖獣への対処に注力だ
ブエル兵への対処そのものはやや遅れるとしても、本田を倒してしまえばそれで終わりだからな
攻撃を仕掛けてきた妖獣にカウンターで一撃入れて、動きを鈍らせた所で本田に向き直り
一気に切り込んでいこう
フィーナ・シェフィールド
ブエル兵が学習によって強化される前に、まとめて倒しちゃいましょう!
白い翼を広げて宙に舞い上がり、シュッツエンゲルにオーラを纏わせて周囲に展開し防御の結界を形成。敵の体当たりを受け流す態勢を整えたら、ツウィリングス・モーントを左右に配置し、イーリスを手に歌い始めます。
「天秤の女神の名のもとに!」
UCを発動し、戦場に破魔の歌声を響き渡らせます。
本田英和と召喚された影朧を含むブエル兵には破魔の力による浄化を。
共に戦う味方には癒しの力で援護します。
ブエル兵を一気に倒せるよう、限界突破していつも以上に想いを込めて歌います。
「サクラミラージュに生きる者として、これ以上、他の世界に御迷惑をかけさせません!」
猟兵との激戦によって、削り取られた兵力。
それを補うように、本田・英知は、再び召喚陣を起動し、ブエル兵達を呼び出した。
全ては猟兵達……フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)や夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)をもてなすため。
鏡介達を制圧せんとするブエル兵の群れ。本田の指示を待ち、しかし、抑えきれぬ蒐集衝動が、邪気として吹き付けてくる。
フィーナ達の前に、新たに召喚されたブエル兵の学習度合いは、ゼロであるはず。
ブエル兵がこちらの戦いを学習し、強化してしまう前に、対処しなくてはならない。そう、たとえば、一気にまとめて倒してしまう、とか。
相手の包囲網から逃れるように、そして、敵の布陣が把握できるように。フィーナは、白い翼を広げると、宙へと舞い上がった。
随伴者として、天使の羽根の如く舞うマルチドローンプレート……シュッツエンゲル。纏ったオーラが、一層神秘的な光景を織り成す。それは、美しくも、敵の体当たりを受け流す、防御結界だ。
ブエル兵達が、フィーナを睨む。一斉に牙を剥き、追い込むタイミングを見計らっているように。
しかし、フィーナもまた、ステージを整えていた。
同調して浮遊するツウィリングス・モーントを左右に配すると、イーリスを手にする。
「それは、歌か、忌まわしい」
地上の本田が、僅かに眉をひそめるのが見えた。イーリスの意図を見定めて。
「天秤の女神の名のもとに!」
イーリスの歌声が、戦場に響き渡った。
不可視であるはずの旋律は、しかし、清浄なる輝きのように広がり、破魔の力をもたらした。
本田・英和と、召喚された影朧、そして、多数のブエル兵を、浄化の力が焼いていく。反対に、共に戦う鏡介には、癒しの力をもたらす。破魔と慈愛、二面の歌声。
「強力な悪魔を召喚する為の儀式は潰してきた筈だが、それでもこれだけの数を呼び出すとは」
殺到するブエル兵と、それを呼んだ召喚陣の数を見て、苦々し気に呟く鏡介。首魁を務めるだけあって、侮れない存在なのは間違いない。
ゆえに、こちらも本気でいく。鏡介は、封じの白鞘から、神刀を抜き放つ。
封印、解除。溢れ出す神気が、周囲の魔の気配を押し返した。
鏡介の全身に纏われる神気。身体に満ちる活力。腕力、脚力……それらが充溢していくのを感じながら、鏡介は、踏み込んだ。
「陸の秘剣【緋洸閃】」
次の瞬間、戦場が、緋色に染め上げられた。
鏡介の技により生み出された、無数の緋い刀が、戦場全体に降り注ぐ。
「ガ、ルルルゥぅっ」
緋雨に斬り裂かれたブエル兵達が、次々と悲鳴と鮮血を上げていく。
「猟兵の戦闘データの蒐集。悪い趣味ではないと思うが、許諾はしない」
邪魔なブエル兵達を排除しつつ、鏡介は、首魁・本田へと歩みを進めた。
その時、残存のブエル兵が、同胞の影から飛び出した。
だが、それを阻んだのは、刀の雨の残滓であった。
「!?」
ブエル兵が刻まれる。
地面に突き立った千刃は、攻性の柵となり、ブエル兵の接近を阻んだのだ。
鏡介の歩みを後押しするように、フィーナの歌声が響く。悪魔を追い払うため、普段以上の想いをこめて。
「サクラミラージュに生きる者として、これ以上、他の世界に御迷惑をかけさせません!」
ブエル兵達の体が、次々と炎を発し、焼滅していく。フィーナの歌のもたらす浄化に、不浄なる魂は耐えられなかった。
「希望の歌では、我が心を震わせる事は出来ぬ」
本田は、フィーナを見据えると、異形を招き寄せた。
描き出された召喚陣より現出したのは、山羊の角を備えた悪魔……焔の影朧。大気をあまねく焼却し、歌の伝播を遮るつもりか。力技だ。
フィーナに対抗するための魔の力が、浄化の力とぶつかり合う。焼却の力が、戦場を征するかに見えた。
だが、火勢がみるみる削がれていく。フィーナの想いの力に敗れ、影朧の体が、塵へと還っていく。
本田自身も免れることは出来ず、その身に浄化を受け、後退した。
「なんとも眩しく、しかし、相容れぬ力だ。お前達は、そうまでして、何故、欺瞞に満ちたこの世界を守らんとする?」
鏡介への問いかけが、妖狐……盟約の妖獣を呼び起こす。
だが鏡介は、本田の問いには答えず、妖獣へと斬りかかった。
これに注力することで、残存するブエル兵への対処はいったん後回しになるが、大半は既に潰した。
それに、緋色の刀柵が、敵の進軍を食い止めている。フィーナの加護が、敵に屈せぬだけの力を与えてくれてもいる。
(「そもそも、本田を倒してしまえばそれで終わりだからな」)
妖獣が、牙を剥いた。虚空を駆け、鏡介へと迫る。
だが、全ては、正面からこの脅威を打ち破るために。妖獣に、カウンターの緋剣を浴びせる鏡介。刃をその身に受けた途端、妖獣の動きが鈍化する。
その間に、妖獣を切り抜けると、控えていた本田へと向き直る。
「これが、答えだ」
神なる緋剣が、本田を切り刻んだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
東天・三千六
戦争、第二波、なんとか対処せねばいけませんね。
ブエル兵…なるほど、ならば迅速に処理を。
御主人様を背に戦場を駆けます。
ブエル兵の首を御主人様が一刀両断、頭部を僕の顎や爪で潰したりと、致命の急所狙いで狩ります。
体当たりで来るならば迎え撃ちましょう。
そして首魁の本田某のもとへ翔んで推参です。
影朧なぞ何のその。僕は悪霊、元より万物を呪う存在です。
ふふ、呪いを振り撒くための世界が失くなってしまうのは、僕としても痛手ですので……
貴殿方には申し訳ありませんが、消えていただきます。
悪魔召喚士崩れが僕の御主人様に勝てるでしょうか?
ふふ、先ずは一太刀受けていただきますよ。それで仕舞いやもしれませんが、ね。あはは。
東天・三千六(|霹靂霊《かみなりおばけ》・f33681)は、再度整え直された敵陣容を目の当たりにして、こうつぶやいた。
「戦争、第二波、なんとか対処せねばいけませんね」
敵群を構成するのは、ブエルより貸し出された、悪魔の眷属。データを速やかに収集し、行動に反映する権能を持つ、獣の車輪。
「ブエル兵……なるほど、ならば迅速に処理を」
召喚には召喚を。
三千六は、自らを乗りこなすに相応しき主を呼び出すと、その背に迎えた。
『御主人様』……青龍偃月刀を手にした猛将を支え、戦場を駆ける三千六。
「ガるるるうッ!!」
獣らしい咆哮を発し、襲い来るブエル兵。その首を、瞬く間に『御主人様』が一刀両断した。
偃月刀の冴えに負けじと、三千六も、己の顎や爪を振るって相手の頭部を裂き、潰していく。
ブエル兵にとって、頭部は頭脳にして本体。急所と言える場所なのだろう。
「ガるゥうッ」
一心同体にして一騎当千。
三千六達へと、ブエル兵達は、隊列を為して体当たりを敢行した。
しかし、三千六と『御主人様』の連携の前には、練度の低い敵群など、一網打尽。
ブエル兵を速やかに退治した三千六達は、一気に首魁のもとへ翔んで推参を果たした。
「この世に満ち溢れる恨み達よ、集え、集え」
本田の指が、虚空をなぞると、即席の召喚陣が描き出された。
現出するのは、影朧。黒き虎の姿を象った悪魔……恨みの化身。
しかし、高密度の負の念を前にしても、三千六は余裕であった。
「僕は悪霊、元より万物を呪う存在です」
その言葉に偽りなし。
三千六達が駆け抜けた後に残るのは、清浄なる気、神気とは縁遠い。いっそ本田やブエル兵の方が近しいのではないかというほどの、悪しき気だ。
「ふふ、呪いを振り撒くための世界が失くなってしまうのは、僕としても痛手ですので……
貴殿方には申し訳ありませんが、消えていただきます」
本田は、表情筋1つ動かさず、ただ、腕をかざした。
黒虎が、三千六に飛び掛かる。その爪は、妖気をまとい、裂いたものを永劫蝕む毒をたたえているかのよう。
「悪魔召喚士崩れが、僕の御主人様に勝てるでしょうか?」
自身の爪と、敵の虎爪が奏でる金属質の旋律を聞きながら、三千六は嗤った。
「ふふ、先ずは一太刀受けていただきますよ。それで仕舞いやもしれませんが、ね。あはは」
三千六の意志を受けた『御主人様』の振るった一刀が、黒虎を両断する。
斬撃は減衰することなく本田を捉え、その身体さえも斬り裂いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
ソロモンの悪魔、ブエル
情報を重視する悪魔らしく、本体は出ずに眷属を出してくる…か
まあ、こっちの事学習される前に全部倒せばそれで良い!
一緒に黯党も此処で終わりにしてやろうじゃないか!
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
数が多いのならば、纏めて斬り裂き焼き尽くす!
【Unite Dual Core】起動
雷刃を展開、ブエル兵と本田を纏めて斬れる長さまで延長
『なぎ払い』一気に斬る
同時に蒼炎を放出して追撃しブエル兵達を『焼却』
片っ端から斬って対処していこう
あんな悪魔と契約するなんて、見る目が無いね
ま、ソロモンの悪魔である以上強力な悪魔ではあるんだろうけどね
アドリブ等歓迎
月夜・玲(頂の探究者・f01605)が挑むは、悪魔の使い手と、呼び出されし悪魔。
本田・英知の真骨頂、悪魔召喚術によって、この地に呼び出された、ブエル兵。
「ソロモンの悪魔、ブエル。情報を重視する悪魔らしく、本体に先んじて眷属を出してくる……か」
自身が表舞台に出るのは、万全を期した上で、という事か。
「まあ、こっちの事学習される前に全部倒せばそれで良い! 一緒に黯党も此処で終わりにしてやろうじゃないか!」
玲から、ブエル兵、そして本田へと、威風が吹き付ける。『《RE》Incarnation』と『Blue Bird』の同時抜刀がもたらした衝撃だ。
しかし、|鬣《たてがみ》をかき乱されようとも、ブエル兵達が委縮することはない。むしろ、知的好奇心をその魔獣の瞳に宿し、玲を包囲していく。
「数が多いのならば、纏めて斬り裂き焼き尽くすまで!」
玲が、光と熱に包まれた。雷と焔の擬似邪神との一時的な合一。
備わった権能の1つ、雷刃を展開する。玲の要求に答えたその刀身は、ブエル兵と本田を纏めて斬れる程までに伸長した。あとは、構えて、振り抜くだけだ。
「グルゥぅぅっ!?」
雷刃の性質や威力を身を以て『学んだ』ブエル兵達は、それを蓄積する暇もなく滅ぼされた。刃が触れた瞬間、玲の放った蒼炎に焼却されたからだ。
雷刃を振るい、悪魔兵団を駆逐していく玲。その殲滅速度は、次第に加速していく。
「あんな悪魔と契約するなんて、見る目が無いね。ま、ソロモンの悪魔の端くれである以上、一応強力な悪魔ではあるんだろうけどね」
「覚悟と準備はしていたつもりではあったが、それでも、猟兵の殲滅速度を侮っていたようだ」
無力化されゆくブエルの眷属達を見送りながら、本田が動いた。
即座に召喚魔法陣を描き出すと、内より新たなるしもべを呼び出した。
現出したのは、鉄巨人の如き、悪魔。
斬撃力に耐えうる硬度、焔雷を受け流す防護を備えた影朧が、玲の前に立ちはだかる。
「圧し潰せ」
本田の命に従い、鉄巨人影朧が、前進する。残存のブエル兵を押しのけるようにして。
「私を制圧するためだけの仕様、いいじゃないか。お相手しよう」
双刃を構え直した玲が、影朧を迎え撃つ。
本田が、ある事を失念しているのに、玲は気づいていた。いや、正確には、玲に対抗するため、犠牲にしたものがある。
「確かにその強度は脅威。だが、守りだけでは私を倒す事などできないよ」
玲の言葉は真となる。
やがて、雷と焔の連刃は、鉄巨人の耐久力を凌駕し、砕く。
更に勢いは止まらず、本田へと、焔雷の重奏を叩き込んだのであった。
大成功
🔵🔵🔵
百鬼・甚九郎
ちょいとやってみてー事があるんじゃわいな。
てなわけでまずは露払い。
先制攻撃するぞー
数珠をばーっと伸ばしてな、ぶえる兵とやらをどっさりぎゅっと縛るじゃろ
ほらあれ、投げ縄みたいな
んで怪力で持ち上げて、本田とやらに怪力でおもっきし叩き付ける
本田ァ!!逃げるな本田ァ!!
地形破壊するくらいの威力でえいっとやれば、妖獣とやらに防がせても衝撃波は届くじゃろ
質問への答えなんざ簡単よ、むかーし約束したからじゃ
鬼はな、約束は守るんじゃよ
てなわけで儂も戦闘学習しながら隙見て本田に一発腹パンしてやんよ
そろそろまたぶえる兵が増えてきたのでこの辺でバイバイじゃ
わっはっは、さよーならー!
ブエル兵荒ぶる山脈。
百鬼・甚九郎(茨鬼童子・f17079)には、ちょいとばかり試してみたいことがあった。それも、黯党首魁・本田英和を相手として。
というわけで、まずは、露払い。
甚九郎が投じた数珠が、ばぁっ、と伸長した。その範囲は、一瞬で超常の域に達し、ブエル兵達を、一気に縛り上げた。投げ縄の要領だ。
ぎゅぅ、と甚九郎が怪力をこめれば、ブエル兵の束の出来上がりである。
猟兵ごとに、得意は異なる。そしてブエル兵に、数珠を投げつけられた経験は、ない。
しかし、これで甚九郎の目的が達せられたわけではない。次行ってみよう。
「えーい!」
ブエル兵の塊を、思い切り、振り上げる。作り上げた悪魔の束自体を、武器と為したのだ。
本田は、優れた悪魔召喚士でこそあるが、肉体そのものが特別強靭なわけではない……無論、オブリビオンである以上、常人より頑丈である事は疑いないが。
とはいえ、敵の攻撃をまともに喰らってやるほど、本田もお人好しではない。
従って、本田は後退した。打撃予想地点から。
「本田ァ!! 逃げるな本田ァ!!」
甚九郎が、本田を叱咤した。言っていることは何一つ間違っていないのだが、そこはかとなく理不尽が漂う。
ともあれ振り下ろす。
甚九郎の怪力のもと、魔術的質量を有した即席の打撃武器が、本田に叩きつけられた。
その打撃力はまさに悪魔的。地面にクレーターを生み出し、周囲に、衝撃波が吹き荒れた。
もうもうと立ち込める土煙、その向こうに人影が立ち上がったのを、甚九郎は見た。
「頑丈じゃなあ! さては毎日牛乳飲んでおるな?」
「戯れを……何故、欺瞞に満ちた世界を守る? そのような陽気でいられる?」
本田の問いは、いわば詠唱であった。盟約の妖獣が召喚される。
「答えなんざ簡単よ、むかーし約束したからじゃ。鬼はな、約束は守るんじゃよ」
「約束、か」
漢字にして、たった二文字。しかし、その回答は、本田と妖獣を満足させた……させてしまったらしい。
爪牙は鋭さを失い、呪術も甚九郎には届かない。
本田の動きは、こっそり学習していた。少なくとも甚九郎が対峙したこいつは、近接戦闘に秀でてはいない。
ならば、相手の挙動は読み切れる。
敵が妖獣を失った隙を突いて、甚九郎は、シンプルな打撃……腹パン一発。
「儂は満足じゃ。またもやぶえる兵が増えてきたのでこの辺でバイバイじゃ」
わっはっは、さよーならー!
からりとした挨拶を置いて、甚九郎は本田に別れを告げたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
国栖ヶ谷・鈴鹿
◎
【艦隊決戦】
超弩級艦隊決戦!発令!
目標、ブエル兵軍団!全砲塔回頭、砲撃、爆雷、噴進誘導弾、超電磁砲、射出後、戦闘機部隊は各個撃破!
直掩機はぼくと一緒に戦陣の切れ目から本田英和を叩く!
【首魁、会敵】
きこやんの結界術と紅路夢の機動力で肉薄。
欺瞞の問答には、ぼくが一番知っている。
滅びの雲に対峙した勇士がいた、血の洪水に立ち向かった戦士がいた、どの世界でも諦めなかった人がいた、欺瞞が全てじゃない。
正しさも過ちも、全てが人間だ、それを否定して超越者を名乗るなんて滑稽だ。ハイカラさんに相応しくない。
撃ち込むのは阿穹羅の遠隔からのレーザー砲撃と銃技の数々、釘付けになった所に打ち込む爆撃機の一撃で止めだ!
会敵、ブエル兵部隊!
本田・英知を指揮官とする、悪魔兵団。
対するは、近代兵器の群れだ。
「超弩級艦隊決戦! 発令!」
国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ|乙女《ハイカラさん》・f23254)は、決着に向けて陣容を整えた。
「目標、ブエル兵軍団! 全砲塔回頭、砲撃、爆雷、噴進誘導弾、超電磁砲、射出後、戦闘機部隊は各個撃破! 直掩機はぼくと一緒に戦陣の切れ目から首魁、本田・英和を叩く!」
立て板に水、鈴鹿のよどみなき指令を、編成された決戦艦隊が、速やかに実行した。
艦砲、雷撃、空爆、迎撃。
鈴鹿の号令一下、ブエル兵を、ありったけの火力が駆逐していく。
猛攻から逃れるべく、虚空をその足で翔けるブエル兵達。しかし、たとえ標的が分散しようとも、決戦艦隊は、敵を逃さない。
数には数、ブエル兵から制空権を奪取すると、完膚なきまでに殲滅せしめる。
塵芥1つ残さぬ猛攻……果たして、戦場に立つ影は、鈴鹿艦隊を除けば、ただ一つとなった。
すなわち、本田・英知。
きこやんの結界術に守られながら、百弐拾伍式・紅路夢の疾駆にて、敵の元を目指す。狐とテクノロジヰの共闘。
迫りくる鈴鹿を、本田の眼光が射抜いた。
「お前にも問おう。何故、欺瞞に満ちた世界を守る?」
本田の言霊の渦に導かれるようにして、盟約の妖獣が、召喚される。
相応しき答えを得られなくば、命であがなってもらう。獣は、被質問者の首に押し当てられた死神の鎌に等しい。
命を懸けた試しに、鈴鹿は、答えを返した。
「欺瞞の問答、ぼくが一番知っている。滅びの雲に対峙した勇士がいた、血の洪水に立ち向かった戦士がいた、どの世界でも諦めなかった人がいた、欺瞞が全てじゃない」
本田の圧、妖獣の脅威に臆することなく、確信を以て、回答を紡ぐ鈴鹿。
「正しさも過ちも、全てが人間だ、それを否定して超越者を名乗るなんて滑稽だ。ハイカラさんに相応しくない」
その時、光が迸った。超人型決戦機『阿穹羅』の、遠隔からのレーザー砲撃、そして、銃技の数々である。
鈴鹿の信念に満ちた火力が、本田を釘付けにした所に、爆撃機の一撃が、炸裂した。
それが、致命傷となった。本田・英知は、妖獣とともに、焔の向こう側へと消えていく。
「……!」
本田が発した最期の言葉。それは、不思議と鈴鹿の耳には届いていた。
激しい爆音にも、かき消されることなく。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2024年05月15日
宿敵
『黯党首魁・本田英和』
を撃破!
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