獣人世界大戦⑫〜ギガンティア・ギガンティック
●|巨大幼女《エンドテイカーの魔女》襲来
「さあ|機械兵士《ゾルダート》の諸君、吾輩に続け!」
おおよそ『幼女』とは呼び難い巨躯の幼女が、山脈さえ平らかにするような蹴りを放ち、前へ前へと進む。
いや、もはや『巨躯』と表するのも不適格だ。『躯』とは体を意味するが、彼女の大きさは人智の及ぶ域を優に凌いでいる。
「そして見よ、諸君が技術の粋を凝らして作成した超超巨大砲『|シュリヒトゲヴェーア《地味なライフル》』を! ウラル山脈が如き、諸君が行軍しやすいよう、丁寧に平らにしながら進んでくれるわ!」
巨大幼女の名は、ギガンティック。
ゾルダートグラード幼女総統『ギガンティック』。
まことその名を冠するに相応しき者。
そして未成熟な|エンドテイカーの《終焉を巻き戻す》魔女。
●ギガンティア・ギガンティック
幼女総統『ギガンティック』が手にした武器は、超超巨大砲『|シュリヒトゲヴェーア《地味なライフル》』だ。
数百メートルにも達する巨体のおかげで、ギガンティックはいとも容易く超超巨大砲を扱う。
「反動無しってズルいよね」
火力も射程も規格外、挙句の果てに連射までする。
遠くなりがちな眼差しを隠す気もないらしいエルシェ・ノン(青嵐の星霊術士・f38907)は、説き重ねた語尾に重い息を吐く。
厄介な手合だ。関わり合わずに済むなら、それに越したことはない。だがエルシェはどうしても幼女総統『ギガンティック』の存在を無視できなかった。
彼女がよくよく耳に馴染んだ『エンドテイカーの魔女』であったからだ。
エンドテイカー――それは望まぬ終焉を巻き戻すことを可能とする力。言い換えれば、望む未来を引き寄せ得る力。
エンドブレイカー世界に生まれ育ったエルシェにとっては、『物語のはじまり』そのものの力でもある。
今回の戦いでも、幼女総統ギガンティックは容赦なくその力を揮う。
とは言え、必ず、ではない。
「みんなには絶え間ない砲撃を掻い潜って、ギガンティックの足元に飛び込み、そこから攻撃を叩き込んで欲しい」
猟兵の接近を阻む為にギガンティックが用いるのは、『|シュリヒトゲヴェーア《地味なライフル》』の連射だ。
つまり攻撃可能地点まで辿り着ければ、ダメージは与えられる。
ただしこの戦場でギガンティックを斃すことは出来ない。その前に彼女は、巨躯と魔力で以て、撤退を選択し得るからだ。
「かと言って、ほっとくことも出来ないだろ。退けないとウラル山脈を踏破して、ロシア深部の『はじまりの猟兵』を奪取しちゃうんだからさ」
理不尽に唇を尖らせる代わりに、エルシェは両肩をひょいとそびやかす。
それくらいの気安さで、猟兵たちに無理難題を押し付ける。確かに無理難題だが、実現不可能ではないと知っているからだ。
「というわけで、お任せ? よろしく?」
送り出す貌は、変らず苦みを孕む。
しかし春萌えの双眸には、猟兵たちの勝利の確信しかない――。
七凪臣
出さない、という選択肢はありませんでした。
どうも、何をかいわんや七凪です。
●プレイング受付期間
タグならびに個別ページにてご案内致します。
●シナリオ傾向
心情+作戦+戦闘。
●プレイングボーナス
超超巨大砲の砲撃に対処する。
●採用人数
👑達成優先。
●同行人数について
基本、ソロ推奨。
●他
オーバーロードの有無が採用に影響を及ぼすことはありません。
文字数・採用スタンス等は個別ページを参照下さい。
皆様のご参加、心よりお待ちしております。
宜しくお願い申し上げます。
第1章 ボス戦
『幼女総統「ギガンティック」』
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POW : 幼女キーック!!!!
単純で重い【幼女キック】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 超超巨大ビィーム!!!!
【超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』】から、レベル×5mの直線上に【超超巨大ビーム】を放出する。【魔力】を消費し続ければ、放出を持続可能。
WIZ : 斯様な結末、吾輩は断じて認めない!!!!
全身に【終焉を巻き戻す「エンドテイカーの魔力」】を帯び、戦場内全ての敵の行動を【巻き戻されてゆく時間の流れ】で妨害可能になる。成功するとダメージと移動阻止。
イラスト:すずま
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
イコル・アダマンティウム
「魔女。」
どうせなら……お菓子の家出してほしかった、な
僕は愛機、キャバリアで出撃する、よ
【空から搔い潜る】
「攪乱する、ね」
ビィームが地上の皆にいかないよう
空から攻めて囮になる、よ
[使用UC:空中戦闘<天路走破>]
「こっち。」
空中で<ジャンプ>して移動
ビィームは銃口を<見切って>回避
ジグザグに跳んだりして<フェイント>入れたりする、ね
効果は薄いかもだけど
無駄打ちで魔力の消費を狙う、ね
「無駄。」
【落下ジャンプ】
隙を見て下に向かって、ジャンプ
ギガンティックの足へ
ジャンプの加速とスラスターの加速
それからキャバリアの全重量を乗せて全力の跳び蹴りする、ね
「せいやー。」
<暴力><限界突破><スラスター移動>
ヴィトレル・ラムビー
魔女未満か。確かにあの性格の終わった女よりはまともに見える
まあ手加減する理由にはならんが
足代わりに飛竜を召喚
低空飛行ないし地面を駆けさせ、接近を狙う
高いところは苦手…いや狙いは地形を破壊された時の瓦礫と土煙だ
それらを目くらましとして撹乱を図る
連射が効くってのがきついが、その辺りは他の味方と散開することで狙いを絞らせない形で緩和したいな
場合によっては囮も買って出るぞ
足元まで行けたら一気に上昇
『潰す』軌道の蹴りなら見切りやすいだろう
叶うならユーベルコードで真正面から斬り付けてやりたい
お前は小兵を相手取るのが得意だそうだが、|エンドブレイカー《私達》も散々クソでかい敵と戦ってきたんでな
味わっていけ
●フライ・ハイ
大地が割られる音が轟く。
直前に視界を染めた暴力的な光から目を護った瞼を薄く開き、ヴィトレル・ラムビー(斧の狩猟者・f38902)は上衣を引き寄せ口元を覆う。
未だ強烈な光の余韻が色濃い視界に、トライバル柄の鮮やかな赤が映る。見慣れたそれに、ヴィトレルの口角が好戦的に上がった。
「魔女未満、か」
たわませた布の奥で声をくぐもらせながら、迫るにつれて全容を眼界に収められなくなった巨体を、ヴィトレルは振り仰ぐ。
覚えのある『魔女』たちと同格だ。だが幼げな見目に相応しく、|やりよう《・・・・》が愛らしい。
「確かにあの性格の終わった女よりはまともに見える――まあ手加減する理由にはならんが」
膝をつき、我が身を預けた|飛竜《戦友》――鋼鱗のルガルクの背を空いた手で撫でた刹那、ヴィトレルの赤い眼に炎が灯る。
巨大な獣、強大な獲物。
幼女総統「ギガンティック」は、五十路を目前に控えてなお意慾的な|狩猟者《ヴィトレル》の本能を刺激するには十分だ。そこへさらに『|魔女《エンドテイカー》』というエッセンスが加わるのだ、魂が高揚しないわけがない。
「どうやら、まだまだ楽しめそうだな?」
知らず、喉を鳴らしヴィトレルは飛竜を繰る。翔け征く空は、地表の際だ。放たれ続けるビームに絶え間なく地形は変り続ける。おかげで意を通じたルガルクの翼を以てしても、なかなかに労を要する状況だ。
が、それこそヴィトレルの狙い。
(瓦礫と土煙。目くらましにはうってつけだ)
――攪乱する、ね。
ヴィトレルの耳朶の奥で、瞬く間に舞い上がっていった|少女《猟兵》が残していった声が蘇る。
クロムキャバリアに搭乗した彼女は今ごろ、遥か高みにあるのだろう。
(……うってつけだとも)
こほり。
土煙を吸い込んだわけでもないのに、ヴィトレルの喉を空咳が吐く。
ヴィトレルが極めて低空を飛ぶのは、あくまで作戦に利点があるからだ。決して高いところが苦手なわけではない。苦手なわけではない――はず、だ。
「羽虫じゃあるまいしっ!」
ギガンティックが|シュリヒトゲヴェーア《地味なライフル》の銃口を斜めへ上げる。
直後に放たれた光の奔流を、イコル・アダマンティウム(ノーバレッツ・f30109)はクロムキャバリアの機動力に物を言わせて躱す。
否、キャバリアの性能だけに因る回避ではない。イコルの演算能力が軌跡を見切ることを可能としているのだ。
(そう、それでいい)
風を切りながら、イコルは淡々と思考する。
地上を進む皆へ累が及ばないよう、イコルはこれみよがしに空に在る。軽々に眼下へ目をやられるのは不本意だ。
「アダマンティウム鋼業」のプラントにて偶然生成されたレプリカントであるイコルは表情に乏しい。無愛想といっても過言ではない。けれど彼女は『非情』とは違う。
成すべきことを成すだけではなく、守ることを知っている。『そうせよ』と|インプット《命令》されたのではないのに、『そうしたい』と|アウトプット《行動》できる。
そしてイコルが求める|アウトプット《行動》を、同社製――云わば|同胞《はらから》――のクロムキャバリア【T.A.:L.ONE】が可能としてくれる。
景色も、大気も、何もかもを置き去りにしてイコルは翔ぶ。
燃料として消費される生命エネルギーは有限だ。それでも魂を燃やす。限界を超えるなんて、どうということもない。
「いい加減に墜ちろ」
雷鳴めく癇癪を響かせて、砲身を手にしたギガンティックがイコルをねめつける。
大きな金色の眼と視線がかち合う。吸い込まれてしまいそうな眩しさに、意識がくらむ。なれどそれだけだ。
定期的に覇気を消費しないと、イコルの身体には負荷がかかる。つまり強大な敵と対峙する今は、イコルにとってメモリ・リフレッシュも同然だ。
直線的に伸びて来た|光《ビーム》を急旋回で躱す。そのままジグザグに飛べば、小さな的を捉えきれないギガンティックの攻撃は、放射状に散るばかりの花火にも似る。
「魔女」
ただし。
(どうせなら……お菓子の家出してほしかった、な)
思考の隅で余計な事を考える余裕があるのは、肉薄しきる決定的な機会を得られないせいだ。何せ、魔力を頼りに|シュリヒトゲヴェーア《地味なライフル》を撃ち続けるギガンティックは、ビームのハリネズミ状態である。
永遠に魔力切れを起こさないわけではないだろうが、そこはさすがの『魔女』であるらしい。
しかしイコルは独りではない。
「っ、いつの間に!」
不意にギガンティックが足を振り上げる。
足元にまとわりつく不快を踏み潰そうとでもするその一瞬、ギガンティックの意識は|シュリヒトゲヴェーア《地味なライフル》には無かった。
「お前は小兵を相手取るのが得意だそうだが」
昇り往く恐怖心を、格好の獲物を前にした高揚感で捻じ伏せ、ヴィトレルは飛竜をめいっぱい羽搏かせる。
足元にいたヴィトレルへ繰り出されるギガンティックの蹴りは、踏み潰す為のモーションであり、挙措を読むのはさほど難しくない。
「|エンドブレイカー《私達》も散々クソでかい敵と戦ってきたんでな」
翔け、翔け、翔ける。
彼の大魔女と対峙した時と変わらぬウサギを模した頭飾りをなびかせ、ヴィトレルは翔ける。その胸にあるのは、獲物への敬意と、強大な相手を捻じ伏せようとする好戦的な本性の二つ。
然して男は、愛くるしい面立ちの真正面まで昇りつめ、ルガルクの背に仁王立ち魔獣狩りの斧を振り被る。
「味わっていけ――どちらが狩る側か、教えてやる」
鼻先を目掛け、無骨な刃が唸りを上げた。
そこへ「せいやー」と僅かに間延びした気勢が重なる。
まさに急転直下。空を蹴るジャンプの加速と、スラスターの加速と、重力に引かれる加速で、イコルとヴィトレルがすれ違う。
「っ、なにを――」
鼻っ柱をへし折られる衝撃に、ギガンティックの声が途切れた。巨大幼女が鑪を踏む。その機を狙い澄まして、イコルは全身全霊を賭した飛び蹴りをギガンティックの鳩尾へ見舞う。
猟兵がもぎ取る好機は寸かのみ。
けれど空を制した二者は、ゾルダートグラードの総統に尻をつかせる。
「まさか吾輩がこのような無様を晒すとは……っ」
衝撃による大地の鳴動と悔恨は、勝利の凱歌そのものだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
|幼女総統であそびたい☆《欲望解放》ならばどうする?|体外離脱《脱衣早着替え》するわ、私にとって|肉体は替えのきく衣装程度のものよ。《人造生命の創造》
星辰体、ようは幽霊になった私に物理的な砲撃は意味をなさないわよ?もちろん、幼女キックの質量攻撃もね。で、十分に近づけたら混沌魔術で|憑依《降霊》して……|私の妄想で脳内を満たしてあげる❤《精神汚染、情報伝達、脳を部位破壊》
頭の中がずいぶんと変態もとい大変なことになってるけど容赦はしない、|発生した感情エネルギーをおいしくいただくわ♪《料理、大食い✕魔喰✕エネルギー充填》
●欲望解放
――くすり。
かわいらしくアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)は笑う。
絵に描いたような小悪魔の微笑だが、それを視る者は誰もいない。
何故なら今のアリスは|星辰《アストラル》体――つまり幽体離脱した状態なのだ。正しくは、離脱ではなく変異なのだが、達そうとしている目的の前では二種の差は些事に過ぎない。
(さあて、どうやって遊ぼうかしら)
尻もちをついたギガンティックは、巨躯でこそあれ幼女そのもの。
その愛らしい姿を無骨な軍服に包みこんでいるところなど、これまたアリスの欲望をそそる。
惜しむらくは、男の娘でないことだ。
いや、男の娘でなくてよかったかもしれない。だって男の娘であったなら、アリスが迸らせるリビドーが他の猟兵にまで影響を及ぼしていた可能性すらある。
アリスとしてはそれでも構わないが、戦闘が立ち行かなくなるのは、さすがに拙い。
だからギガンティックが男の娘でないのは好都合なのだ、たぶん、きっと。
(それにしても――)
間近に見る幼女の柔肌に、アリスはこくりと喉を鳴らす。
星辰体ゆえ、ビームだろうが蹴りだろうが何だろうが関係ない。アリスは極めて悠々とギガンティックの元まで至った。
所詮、アリスにとって肉体は替えの効く衣装のようなもの。置いてきた|アリス本体《肉体》の状況なぞ二の次、三の次だ。それより眼前の玩具でどう遊ぼうか思案するのが重要である。
(折れた鼻、痛いかしら?)
時を巻き戻す余裕がないらしいギガンティックの鼻は、先んじた猟兵によってへし折られたままだ。
その痛々しい傷にアリスはそっと口接ける。
血の味を感じられないのは、正直惜しい。けれどこれからもっと極上の感情エネルギーを頂くと思えば、留飲も幾らか下がる。
(さあ、わたしを視て……?)
「――!?」
直後、ギガンティックが白目をむく。
「あ、あ、あ――ああああああああああああああっ」
続いたのは、混乱による絶叫だ。
ギガンティックは今、ありとあらゆるアリスの幻影を視ていた。それが己に憑依したアリスによって視せられているものだとは気付きもせずに。
(ふふ。頭の中がずいぶんと変態――もとい、大変なことになっているでしょう?)
ギガンティックは偉大な魔女であると同時に、幼女である。
|蠱惑的《エロティック》なあれやそれやに対する免疫は、さほど高くない。よしんばあったとしても、常人なみだ。アリスの『あれやこれや』に耐えられようはずもない。
「えっ、あ――あっ、ちがっ、吾輩……吾輩はっ――くうううっ」
(ああ、美味しい。美味しいわ!)
苦悶にのたうつ先。仕掛けられた罠を『魔女』としてギガンティックが解くまでの間、溢れる混沌の感情エネルギーをアリスは喜々として喰らう――。
大成功
🔵🔵🔵
サツキ・ウカガミ
エンドテイカーの魔女。
好きにさせるわけにはいかないね。
ここで撤退して貰うよ!
真正面からまっすぐ突撃。
[威圧]しつつ、撃たれる[覚悟]を決めて
[見切り]のための[集中力]を切らさないように。
お、こっち見てる、見てる。
大きいからさ、動きはよく見えるね。[気配感知]もしやすいよ。
さぁ、『シュリヒトゲヴェーア』の狙いがボクに向いたね……!
撃たれる瞬間を[見切り]、【霧影分身術・改】で受ける!
転移する場所はギガンティックの真下!
全身を、ご自慢の地味なライフルで撃ち抜いてあげるよ!
ビームを返す[不意打ち]で隙が出来たなら、
そのまま刀を抜いて[ダッシュ]、[急所突き]で[暗殺]。
今回は、ここで終わりだよ!
マウザー・ハイネン
こんな所に|魔女《エンドテイカー》がいるとは…イヴ様とお知り合いだったり?
私達の世界との関係も気になりますが無慈悲な侵略を行う超大国の総統、ここで絶対に食い止めましょう。
UC起動し戦場地形を非常に滑り易い不融氷で覆い滑走で接近します。
地形を利用して身を隠しつつ加速、フェイントで加減速調整や方向転換して直撃回避狙います。
この不融氷は魔力を弾く。その砲のビームも魔力でしょうから氷に覆われた地形を盾にすれば少しはマシかもしれませんね。
加速しながら側面へ回り込むように移動し向こうの方向転換を誘導、滑り易い氷での体勢崩れを狙い、隙ができたら一気に切り込み氷槍での一撃を叩き込みましょう。
※アドリブ等お任せ
●エンドテイカーvsエンドブレイカー
「どうしてだ!?」
巨大幼女の驚愕の声が大地へ降る。
撃ったビームが、破砕するはずの地面に弾かれたのだ。起こり得ない事象だ。否、起きたのだから、起こり得た事態なのは理解する。しかし経験が無いのは事実だ。
(この不融氷は魔力を弾く)
――|封印の凍土《コキュートス》。
氷の星霊であるクリンの力を用いて戦場内を不融氷で覆ったマウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)は、凍った大地を風のように滑り駆く。
幼女総統「ギガンティック」は魔力を消費してビームを放っている。
そこに着目したマウザーの判断は正しく、早かった。だからと言って万全ではないことはマウザーも理解している。
相手は魔女だ。その魔力量は計り知れない。つまりマウザーの不融氷も、そう遠くない未来に破砕されてしまうだろう。
(私が足元まで辿り着くまで保たれれば十分です)
疾く、疾く、疾く。
山岳地帯特有の複雑な地形を物ともせず、マウザーは疾走する。
(それにしても――)
振り仰ぐ巨体に、マウザーの氷の眼に熱が兆す。
よもやまさか、こんな所に|魔女《エンドテイカー》がいるとは思いもしなかった。
(イヴ様とお知り合いだったりするのでしょうか?)
ギガンティックの来歴を気にかけるな、という方が無理な話だ。マウザーもまた猟兵である前に、エンドブレイカーであったのだから。
なれど。
(私達の世界との関係も気になりますが無慈悲な侵略を行う超大国の総統、ここで絶対に食い止めましょう)
歴戦の星霊騎士の意思は永久凍土よりなお固い。
「はわー」
気が付いたら凍っていた地面で、二度、三度と跳ねたサツキ・ウカガミ(|忍夜皐曲者《しのびよるめいはくせもの》・f38892)は幼さを残す頬を桜色に紅潮させた。
人それぞれの戦い方を知れるのは、世界の広さを感じるようで楽しい。
自分の忍法にも取り入れられないかな、と考えたりもする――けれど、その前に。
「エンドテイカーの魔女、と来たら。好きにさせるわけにはいかないよね」
忍んでいた森陰を抜け、サツキはひたすら直線に走り出す。
|エンドテイカー《巻き戻し》の力はサツキもよく知っている。サツキが暮らす霊峰天舞アマツカグラにも、人類の魔女たる此華咲夜若津姫がいた。
有す力を、世界に善いように使ってくれるのならいい。だが彼の|大魔女《スリーピング・ビューティ》のように我欲の為にのみ用いるのならば――。
「ひとまず撤退にまでは持ち込むよ!」
軽やかに走る。深い山をもすり抜ける風のように直走る。
ギガンティックの意識は、もっぱらマウザーの方にある。お陰で走りやすい事この上ないが、それはそれで|厄介《・・》だ。
(ボクへ攻撃を向けさせなきゃ)
ツインテールに結い上げた髪を颯爽となびかせながら、サツキは絶え間なく観察と思案を続ける。
さすがの敵将だけあって、|シュリヒトゲヴェーア《地味なライフル》を撃つのに無駄はない。でも、とにかく大きい。大きいからこそ、よく視える。加えて軌跡は直線のみだ。
(――よし)
ギガンティックの足元までもう一息、となったところでサツキは意を決す。
「鬼さんこちら!」
「――っ、おまえ!」
詠う口振りに潜ませた威圧に、ギガンティックの反応は速かった。
即座に巨大な砲口が下方を――サツキの方を向く。そこから撃ち放たれるまでのラグはほぼない。
されど|そこ《・・》にサツキは完璧に合わせた。
「は?」
逃げるのではなく立ち止まり、だらりと全身から力を抜いたサツキを見止め、ギガンティックが不審を呟く。直後、既に引き金に指がかけられていた|シュリヒトゲヴェーア《地味なライフル》からは光の奔流が溢れ出る。
「残像だ!」
全ては一瞬。
無防備な状態で砲撃を受けた――はずの――サツキは、浴びるエネルギーを無効化すると同時に、ギガンティックの直下への転移を果たしていた。
さしかもただ転移したわけではない。
「その技、そっくり返すよ!」
霧影分身術・改。失敗をすれば倍の損害を被る覚悟の元に成り立つ、転移と呪詛返しの|忍法《UC》。
ざあっとサツキが両手で広げた巻物から、ギガンティック自身が撃ったビームが放たれる。
「――ま」
足元から立ち昇る真白の光に、ギガンティックの金色の眼が大きく見開かれた。
一撃浴びせたばかりだというのに、サツキは暗器を手になおも果敢に跳ねている。
「負けていられませんね」
フロスティブルーに色付いた唇で微かな弧を描き、ギガンティックの背後をとったマウザーは氷荊と白百合に飾られた槍を構えた。
見目に華やかな武具だ。しかし『教皇の氷槍』の名を冠するに相応しく、有す破壊力は唯一無二。
しかも針孔めく隙を狙うのではなく、絶対的な好機が目の前にある。
「人の形をしているならば、相応の部位ではあるでしょう」
両手で柄を握り、全身の力を余さず銀の切先に注ぐ。
そうしてマウザーが繰り出した突撃に踝を穿たれたギガンティックは、苦悶の声を上げるより他に無い――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヲルガ・ヨハ
“えんどていかぁ”
嗚呼……その名には憶えがある
世界が思い通りになる等と傲った憐れな大魔女のそれと、同じ
なればこそ気に喰わぬ
幼き魔女たるお前が何者であろうともだ
往くぞ、“おまえ”
からくり人形の腕に擁かれた儘
命ずるはただ駆けよと
埋尽くすよな砲撃の中へ
臆する事等在りはしまい
前へ、前へ、前へ
煙(けぶり)のオーラ防御纏い目指すのみ
為れど避けきれぬと察すれば
“おまえ”と呼び実行する
われの頚にかかる温度無き土塊の手
嗚呼、既に一度は死せる悪霊たるわが身の
死とは果たして何であるのか
開眼したわれらは"片割星の龍のつがい"
無敵を利用し足許を得たなら
黒き爪得た“おまえ”の拳と
われの白銀の龍尾で薙いで
打ち据えてやろうぞ
●神の所業
いずれも素晴らしき戦いぶりだ。
ふとそういう風に感じた気がするのは、ヲルガ・ヨハ(片破星・f31777)が猛き|軍神《いくさがみ》だったからやもしれぬ。
なれど今のヲルガに|思ひ《記憶》は無い。自ら喰らい尽くしてしまったが為に、欠片も無い。常に傍らに侍らす|土塊《人形》の下僕が|何《・》であったかすら、思い出せない。
だが“えんどていかぁ”の響きは記憶にあった。近頃耳にしたものか、はたまた|いつか《・・・》駆けた誰かから聞き及んだものかは、全く以て定かではないけれども。
その響きは、世界が思い通りになる等と傲った憐れな大魔女のそれと、同じ。
なればこそ――。
(気に喰わぬ)
しゃらら。
巻き起こった風に、絹糸が如き銀の髪が波打つ。かんばせを覆う面紗もいくらか翻る――が、瞳が顕わになることはない。
ヲルガの瞳は、神罰を下す。正しくは、映した者へ神罰を下す。しかし映されずとも、罰の一つも与えようと滾る|裡《おもひ》はある。
「往くぞ、“おまえ”」
ヲルガの一声に、ヲルガを両手に抱いた土塊が深い山中を駆け出す。
直向きな走りようだ。ともすれば魔女の目に留まってしまいかねない。が、真下からの光を浴びたばかりの魔女に、ヲルガ達を認識する余裕はない。
分かりやすい好機だ。乗らぬ手はない。卑怯だと断じる内なる聲もない。その必要性のない相手だ。
幼き魔女が何者であるかを、ヲルガは知らぬ。知らずとも、“えんどていかぁ”の力を利己的に揮う以上、斟酌など牛に対して琴を弾ずるようなものだ。
前へ、前へ、前へ。
|煙《けぶり》のオーラを纏い、森を漂う霧に似せ、走る。
黒風が如き走りに、ヲルガの髪だけでなく竜尾も揺れた。その柔い先端が不意に、チリリとざわめく。
ギガンティックの目が、己を捉えたことを知るのに、振り仰ぐ必要はなかった。
銃口は狙いを定めているだろう。そしてそれを躱すことは出来ない。ゆえにヲルガはさらりと口にする。
「――“おまえ”」
直後、土塊の手がヲルガの頚にかけられた。
まばたきほどの前まで恭しくヲルガを抱きかかえていた手が、ぎりりとヲルガの頚を締める。温度無き土塊の手が、今まさにヲルガを死に至らしめんとする。
(嗚呼、既に一度は死せる悪霊たるわが身の死とは果たして何であるのか)
ぐきり。
厭な音がして、ヲルガの頚が折れた。
そこでひとたび、ヲルガの命は途絶える。
「いったい何が、どうなって!?」
まさかの自死を目の当たりにしたギガンティックは、直後に生じた龍のつがいに慄いた。
其は|開眼《・・》せしヲルガと、寵愛するからくり人形が転じた"片割星の龍のつがい"。
赦された時間は二分と少し。
されど文字通りの『無敵』を得た黒と白銀のつがい龍は、獰猛に熟さぬ魔女へと襲い掛かる。
黒き爪が、柔肌を裂く。白銀の龍尾の閃きが、肉を断つ。
猛き振る舞いはまさに|軍神《いくさがみ》と呼ぶに相応しく。
けれど蘇生に日を跨がねばならぬヲルガに、戦いの末を知る術はない。
それでもヲルガが識る|勝利《未来》に僅かも揺らぎはない。
大成功
🔵🔵🔵
クロウ・デイクロス
デカさ自体は此華咲夜若津姫で見慣れているが…そうか、幼女か。
なんかこう、歪みそうだな、色々と、うん。
(深く突っ込むべきではないと悟り、取りあえず武器を構える)
ま、こんだけお互いの大きさに差があれば幾らでもやり様は在るだろ。但し、小兵と侮れば痛い目を見るぜ?
外套を羽織って【闇に紛れ】、【迷彩】で周囲の景色に溶け込みながら【目立たない】ように接近。ロシアのウラル山脈ってなら、まだこの時期でも雪が深い筈。雪中迷彩で進むぜ。後は運悪く着弾しない事を祈るのみ。
無事に相手の元まで辿り着いたら、狙うのは顔、胴体…いや、ここは手だな。巨大砲を持つ手を攻撃する事で、今後の命中精度や取り回しを阻害するぜ。(幾ら巨大とは言え幼女なので、急所を叩く事が憚られた模様。なお、大魔女の場合は遠慮なしに全力だった)
目には目を、歯には歯を、腕には腕を。ちぃとばかし熱いだろうけど、それくらいは大目に見て貰わなきゃあな?
【D】を召喚。ありったけの魔力を拳に乗せ、灼熱の鉄拳でぶん殴る。ま、文字通り手傷を与えられれば御の字さ。
アレクシス・ミラ
アドリブ◎
真の姿:薄明纏う白い鎧。暁と朝空の四枚光翼
全てが桁違い…敵は僕達を正確に狙う必要は無いだろうね
だが砲撃と砲撃、砲撃と地面の間に隙間が生じる筈
僕の作戦は鎧を『白夜・竜騎士形態』へ変形させ
第六感と瞬間思考力で砲撃を予測、見切りながら
その隙間へと飛行し回避を重点とする事
…それでも回避が難しい時は
もう一つの作戦だ
地属性で瓦礫を盾に集めオーラ『閃壁』で固定し
【天廻聖盾】をより巨大にする盾を作り出す
そして次に来る砲撃との隙間を広げさせるように砲撃を防がず逸らす
…無茶をするなときっと友に怒られ…いや、既に指輪から怒られている気がする
けれど─守るべき世界が
それにいつだって“君”がいるから
僕はこの戦場でも戦えるんだ
衝撃と激痛が体を襲おうとも
必ず皆と生きて帰る誓いと限界越える意志で耐え切ってみせる…!
耐え切れれば…同じ物を出せなくとも驚かせたり相殺を試みるくらいは!
天廻聖盾発動
脅威を撃ち返し
そのまま真の姿解放!
光と機械…六枚の翼で加速し翔る
敵の足元へと辿り着ければ
天廻聖盾で今度は撃ち抜いてみせる!
●伝承
それは世界を我が物にしようとする大魔女に抗う勇者たちの物語。
遥か遠い昔のことだ。
遠く、遠く、気が遠くなってなお辿り着けないくらい昔のことだ。
大魔女が定めた未来は覆せない。大魔女は己が意のままに『時を巻き戻す』ことが出来たのだ。
そう、大魔女はエンドテイカーの能力を有していた。
そして勇者の一人は未来を識ることが出来た。だから勇者たちは自分たちの敗北を知っていた。
だのに大魔女に抗ったのは、たった一人『定められた終焉を終焉させる力』を持つ勇者がいたからだ。
この力が多くの者に宿ったなら、その者たちが大魔女へ抗ったなら、大魔女を倒すことが出来る。
一縷の望みに賭け、勇者たちは『たった一人』の力が、血によって継承され、世界に広がる時間を稼ぐことにした。
こうして大魔女と勇者たちの攻防は、数千回、いやもしかすると数万回、繰り返されることになる。始まりが、後の世に『伝承』として語られるようになるまで――。
●伝承の先
空を遮る木立を見上げ、クロウ・デイクロス(悲劇を許せぬデモニスタ・f38933)はゆっくりと瞬いた。
ひりつくような感覚は膚に残っている。尋常ではない圧に、心臓がうるさく跳ねる息苦しさだって真新しい。
だのにクロウは今、沈んだ緑がはびこる森の際に立つ。重量に耐えかねた大地が自壊する、巨大敵の足元ではない。
(これを数千、数万――)
「――よくもまあ耐えたもんだよ」
伝承を生き抜き、先ごろの大戦にも参じていた大勇者を思い出し、クロウは肩をすくめる。
よくよく見渡せるよう一歩を踏み出すと、健在そのものなギガンティックの全容を一望できた。
彼の魔女はエンドテイカーの能力を発動させたに違いない。
直感というより本能に近しい部分で察した事実に、しかしクロウは口角を上げる。
「デカさ自体は此華咲夜若津姫で見慣れているが……そうか、幼女か」
さすがに数千、数万回の巻き戻しは御免被りたい。何より自分たちには『終焉を終焉させる』力が受け継がれている。
むしろ絶賛気掛かりなのは、新たに遭遇した魔女の容姿だ。
なんだか、こう、色々と歪みそうな気がしてならない。常識的な大人でありたいなら、踏み込んではいけない領域だ。おそらく。
「うん……うん、うん。よし」
意味のない首肯をこくりこくりと繰り返し、クロウは発芽前の何かを意識の外へ摘み出し、予備動作なしで走り出す。
空が明るくないのは上々だ。羽織った黒の外套が、クロウの存在を影に隠してくれる。幸い、ギガンティックの歩みに荒んだ大地も、影には事欠かない。何せ最大の影の要因が、ギガンティック当人なのだ。
(こんだけお互いの大きさに差があれば幾らでもやり様はあるだろ)
一度は走り果せた道のりだ。ならば幾度だって成し遂げてみせる。連射可能なビームは厄介だが、的にならなければ怖れることはない。
「――小兵と侮れば痛い目を見るぜ?」
なりをひそめたはずの無鉄砲さに頭をもたげさせ、クロウは影から影を、景色に溶け込みながら走り征く。
(どれだけ時を巻き戻しても無駄だって、教えてやるさ)
騎士として育ったアレクシス・ミラ(赤暁の盾・f14882)にとって、『勇者』と称されることは誉れであろう。
アレクシス自身、そういう騎士でありたいと思う。
でも伝説に謳われる勇者には、きっと及ばないことをアレクシスは知っている。
(だって僕は。最後にはたった一人を護れればいいんだ)
正しく在りたいと思う。正しく在ろうとしている。
弱者に手を差し伸べ、悪行を成す者には容赦しない。しかしもし、世界と唯一無二の星を天秤にかけられたなら、アレクシスは迷いなく星を択ぶ。
(だから――ごめんよ?)
裡で語りかけながら、アレクシスは甲冑越しに胸元の一点をそっと突く。そこには鎖に通された指輪がひとつある。本当は指に通していたいが、重装備な今ばかりは仕方がない。
だのにそんな気遣いや詫びを、指輪が不満に感じているような気がしてならないアレクシスだ。
黒猫がツンとそっぽをむく様子が脳裏に浮かぶ。
途端、無茶を成し遂げようとしている間際なのに、アレクシスは頬をほころばせる。
「大丈夫。君の元へ必ず帰る」
――直後、アレクシスは空を飛んだ。
想像した形に架空元素を集中、固定させることで、アレクシスは自らの鎧を、戦い方を、複雑に変容させて使い分ける。
そのひとつ『白夜・竜騎士形態』は、竜騎士の名に相応しくアレクシスに翼と速さを与えるものだ。
「魔女、私が相手です!」
「っ、わざわざ挑発なんてくれずとも、吾輩の目にはよく見えている!」
朝焼けの気配を連れて、アレクシスは鈍い紫色の空を翔ける。
ギガンティックの砲口がアレクシスに向くのは一瞬だ。ビームも間髪入れずに放たれる。
立て続けに撃ち放たれるビームは、四方に伸びる稲妻の如く。その狭間をアレクシスは速さを頼りに飛翔する。
息を継ぐ暇さえない。
それほどまでに意識を研ぎ澄まし、アレクシスは迸る光を掻い潜り、ついにギガンティックの足元へ辿り着く。
「足元だろうと、撃ち抜くのに何の障りもないわ!」
気勢で大気を激震させたギガンティックが、真下へ狙いを定める。その一点にこそ、アレクシスは全霊を注ぐ。
「我が盾は、守るべき者の為に!」
地を踏むより早く空へと突き出した白銀の大盾を礎に、アレクシスは聖なる暁光の守護障壁を展開する。
破壊の光と、護りの光がぶつかり合う。
圧倒的な魔力を持つ魔女が相手の凌ぎ合いだ。当然、利はギガンティックにある。
僅かでも気を抜けば、アレクシスは盾ごと圧されてしまうだろう。だがその差を、アレクシスは胸に点る一等星の輝きで埋める。
(世界にはいつだって“君”がいる)
一向に収まる気配のない直上からの光に、アレクシスの額に汗が浮く。でもアレクシスの顔にあるのは誰かを想う笑顔だ。
(だから僕は、この|世界《戦場》でも戦えるんだ)
先に詫びておいた指輪は、アレクシスの胸元で大人しくしている。その様が|友《・》が怒りを爆発させる寸前のようで、アレクシスはまた可笑しくなる。
(――)
心の中で、彼の名を呼ぶ。そして請う。
「僕に力を貸して」
――そんなん、言われなくても貸してやるに決まってるだろ!
聞えた気のする聲に、アレクシスは眼底に力を入れて目を見開く。そうしてぐいっと一歩、今まさに割れてひずみゆく大地を踏み締めた。
「ゾルダートグラード総統、貴殿の攻撃はもう映しました」
「っ、まさか貴様も!?」
ギガンティックの反応が、アレクシスの声が届いてのことかは分からない。
なれどギガンティックは確かに慄き、その慄きに相応しくあるよう、アレクシスは展開したままの守護障壁から、魔女のビームをそのまま|打ち返す《・・・・》。
否、そのままではない。
白銀の鎧は今や薄明を纏い、アレクシスの背からは暁と朝空の四枚光翼が伸びている。
それはアレクシスの真の姿。守護騎士としての究極の在り様。
「今度は此方から撃ち抜いてみせる!」
エンドテイカーの魔女が、足元から立ち昇る光に全身を灼かれている。
口振りからして、この手の攻撃を浴びたのは初めてではないのだろう。
(何度目の正直ってな)
|形《ナリ》に見合った縫い目を足場に、クロウはギガンティックの身体を|駆け上がる《・・・・・》。
熱と衝撃に仰け反るギガンティックは、クロウの存在に気付いてはいた。
けれどクロウを見つめる印象的な金の眼は、ずいぶんとかげりを帯びている。
(これはポッキリいったか)
重力に逆らって、上へ上へと駆けるのは、山中を分け入り走るよりも難が多い。だというのに、クロウはますます加速していく。
びりびりとひりつく膚は、痛みを覚えている。悪くない緊張感だ。
(狙うのは顔、胴体……いや、ここは手だな)
巨大なベルトのバックルに足をかけたクロウは、開きかけていた古ぼけた魔導書を閉ざす。因縁の|大魔女《スリーピング・ビューティ》相手なら微塵も遠慮はしないのだが、ギガンティックの幼げな容姿に、多少なりとて思う処が生じたせいだ。
――やはり何かが歪みそうだ。
(いや、歪んで堪るかよ)
落下したら『痛い』で済まない高みを、クロウは命綱の一本もなく走る。
(目には目を、歯には歯を、腕には腕を)
間もなくギガンティックは転進するだろう。その前に、対峙した記憶を植え付けておきたい。それはきっと、いつかの『完全勝利』への呼び水になるはずだ。
「っ、」
ヴゥン。
不意にクロウを浮遊感が襲う。とりついたクロウを払い落とそうと、ギガンティアが腕をしならせたのだ。
当然、クロウは空へ放り出される。だがクロウはしがみつこうとするのではなく、魔導書を開いた。
「自分から的を差し出してくれるとは、ありがたいことだぜ」
急激に落ちゆきながら、クロウは眼前にある|シュリヒトゲヴェーア《地味なライフル》を持つ手へ意識と魔力の一切を注ぐ。
「一撃必滅、とまではいかねぇが……こいつの鉄拳はかなり効くぜ?」
――|邪悪を断つは機神の鉄槌《アーム・オブ・デウスマキナ》。
召喚した機械仕掛けの神を冠する|機体《スーパーロボット》纏ったクロウは、流れるように拳を突き出す。
灼熱を帯びた一撃は、文字通り『鉄拳』。
「ちぃとばかし熱いだろうけど、それくらいは大目に見て貰わなきゃあな」
炸裂した強打に、ギガンティックは|シュリヒトゲヴェーア《地味なライフル》を取り落とした。
「これで吾輩に勝ったと思わないことだ!」
大地を鳴動させた巨大な背中が残した言葉は、幼子の負け惜しみのようでもあった。
大成功
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