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獣人世界大戦⑪〜おやつを強奪せよ！

作者：なるーん

●猫は猫なので猫らしく振る舞います
「にゃんにゃんにゃー」
「にゃんにゃんにゃー」
　グリモアベースに黒猫とキジトラ猫がいた。
「みゃんみゃんみゃー」
「みゃんみゃんみゃー」
　可愛いお手手がそっと銀色の指輪を差し出す。
　――つけろ、って言っているようだ。はい、翻訳機能付きの指輪をお貸ししますので装備してください！
　尚、翻訳機能は自動翻訳機能みたいな機械的な台詞になります。
　個々の猫たちの性格、個性を表現するものではありませんのでそこは予めご了承ください。
　猫は猫なので猫の性格など猫同士だけでわかればいいのです。猫なので。

●猫は猫なのでおやつの大切さを語ります
「ウラル山脈の山岳地帯に複数の【ワルシャワ条約機構の隠し財宝】が存在することを予知で確認しました」
「ウラル山脈は金や鉄、石炭、宝石などなど多くの鉱物資源の産出地としても知られています」
　二匹の猫は手足を揃えてちょこんとお行儀よく座っている。退屈そうにゆ～らゆ～ら揺れる尻尾。
「山脈を制圧し、これらの財宝や鉱脈をワルシャワ条約機構から奪い取ることができれば、条約機構軍の財力を大きく削り取れることが予想できます」
「敵に先んじてこの財宝庫に乗り込み、隠されたお宝をぶんどって速やかに撤収してください」
　かしかしかし、と耳裏を掻く二匹。のんびり毛づくろいしだす。
「但し、行きも帰りも地雷原を突破する必要があります」
「各々、思いつくままの手段で地雷原を突破し、この作戦を遂行してください」
　ふあああーっと二匹揃って大あくび。そしてのびーっと身体を伸ばして。
「また、今回案内する宝物庫にはとても素晴らしいお宝が隠されていました」
「とてもいいものです。とても美味しいものです」
　またお行儀よく座り直す。此処からが本題だとでもいうように、表情もどことなくきりっとしていて。
「我々は猫なのでこの素晴らしさを知っています。また多くの猫たちはこの素晴らしさを否定しないでしょう」
「同志たちよ、このお宝に感激するべきです。プレミアです。金の極上ニャールです。犬用もあります」
　尻尾もぴーーんとしていて猫たちが大変ご機嫌であることを示していた。
　大食いのキジトラの方なんて尻尾を膨らませて、かつ、ビビビって振るわせて。その感激っぷりを隠せていない。
「おやつは我々の大切なモチベーションです」
「彼等にそうであると予想できます。何故なら宝物庫にわざわざ隠しているからです」
　二匹の猫はすくっと立っててっちてっちゲートに向かって歩く。
「人間たちは他人の金で食べる焼肉が美味しいとよく言います」
「我々のおやつもそうであると予想できます。彼等のお宝を奪っておやつタイムといたしましょう」
　さあ、はいれ。とでも言いたげにゲートの両脇に控える猫たち。
「我々の分もとってきてください」
「よろしくお願いします」
　猫たちは揃ってにゃぁ～んととても甘えた声で、ないた。

第1章 冒険 『死地領域』

POW   :    重装備に身を包んで突破する。 SPD   :    身軽な武装で迅速に突破する。 WIZ   :    飛行できる装備で突破する。 👑7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●進め！アニマル探検隊
　ニャールシリーズはミャオ！ニャール、銀のニャール、金のニャールと主に三種類のラインナップ展開があり、その中でも金のニャールシリーズの金の極上ニャールは特にプレミアムなおやつとされている。
　厳選された最高品質のクロマグロ（まぐろ味）、タスマニアサーモン（サーモン味）、ヤイトガツオ（カツオ味）、クルマエビ（エビ＆ホタテ味）などをふんだんに使った、ほぼ天然素材そのままのおやつ。
　その上で香料・着色料は極限まで減らし、毛玉ケアや腎臓負荷への考慮までされた健康への配慮もばっちりおやつだ。
　最高に美味しく食べて毛玉ケア、最高に美味しく食べて腎臓ケア。
　――嗚呼、なんてプレミアム！人間よりいいもの食べてるって？そりゃあお猫様だから当然なのです！
　尚、わんこ用はワオ！ワールです。大体同じラインナップだよ！
　あと獣人戦線にはないけれど、他世界には愛知県某市の有名ブランド鶏肉（チキン味）があります。美味しいぞぅ！
　
　さて、そんな実にプレミアムな金の極上ニャールを強奪せんと集った勇士たちはこちら！
「俺のご飯もあるのかねェ。いやまぁ、その辺埋まってるヤツでも良いんだけどよ」
　ウィズ・ザー（闇蜥蜴・f11239）――3m級の大きな大きなトカゲさん！ブラックタールさんです！
　待ってください、ウィズさん、埋まってるヤツって……え？まさかの？
「金の極上ニャールは必ずゲットするのです。猫まっしぐらなのです」
　オヴィリア・リンフォース（銀色の魔女猫・f25140）――銀色毛並みの超絶可愛い猫ちゃん！
「金の極上ニャール！？その味は一口で屈強なイヌやネコも虜にするとの噂の……！……ジュルリ」
　デボラ・メンデス（雑食系羊・f43439）――モフモフと角のおリボンが可愛い羊さん！……なんと肉食！
「嗜好品は士気に大きく関わるわ！なんとしても確保しましょう！」
　笹竹・暁子（暁を臨む一夜の為に　～雀のお宿の外仲居～・f39919）――エプロン可愛いスズメさん！
「……」
「……」
　そしてオリヴィアさんと暁子さんは見つめあう。両者の関係性は猫ちゃん＆スズメさん。つまりハンター＆ご飯。
「今はニャールなのです」
　……此処に【アニマル探検隊】が結成された！！
　因みにオヴィリアちゃんと違い、グリモア猟兵キャッツはがちでただの猫たちなので、区別なくハントにかかります。
　暁子さん、気を付けてくださいね……！

　まず、アニマル探検隊が挑むのは地雷原！
　ご丁寧に【ここから先は危険】って立て看板が立っていた。親切設計。
　金の極上ニャールにたどり着くにはここを抜けなければならない――どうする、アニマル探検隊！？
　さっと最初に動いたのは暁子さん。
「ここは私に任せて――さあ、見通したわよ！」
　霊刃羽から測量ソナー波を放ち、地雷原を正確に補足！霊刃羽を地雷の上に浮遊させて位置をマークする。
　これなら他の仲間にも一目瞭然だ！そして暁子さん自身はふよふよ浮遊して地雷原を難なくクリア。
「こんな危険地帯におやつを隠すなんて悪い奴らなのです。猫の力をみせるのです！」
　次にオヴィリアちゃんが猫魔力を纏いながら、なんと地雷の上にぴょこんと着地！？
　――でも、大丈夫！猫魔力は物を破壊する不思議な力、猫（が）踏んじゃった地雷は全部不発だ！
　猫の悪戯大成功！地雷原を抜けきるとちょこんとお澄ましポーズで待機。
「この先にとてつもないお宝が待っている……ええ！是が非でも確保しないといけませんわ！」
　この流れに果敢に続くのはデボラさん。アサシネイト・ビーストを発動させて物質透過能力で強行突破だ！
　但しこれ、とってもお腹減るしお喉が渇く。ニャールの味をもわもわ想像し、空腹を耐え凌ぐ。
　またジュルリってなっちゃうのは仕方ない。なんせ地雷原の先にはプレミアムなニャールが待っているからね。
「速攻でイケる。一気に進むぜェ〜」
　そして最後に地雷原に飛び込んだのはウィズさんだ！自身の身体を稲妻の飛龍にボディチェンジ★
　光の速さで地雷原を駆け抜けた！坑道内に黒い稲光が走る……格好いい！！が。

　だが、しかし。だが、しかし！
「ちょい、摘み食いしても良いよなァ……？？」
　トカゲフォームに戻ったウィズさん、何やら14本の触手を生やして地雷原の方にくるぅり振り返る。
　他3名、え？ってお顔をしながらウィズさんの行動を見守る中――ウィズさん、なんと。
「いただきまァ～スっと」
　まってまってまって好奇心は猫をも殺すって知ってるかい、ウィズさん！？
「！！？」
　ウィズさああああん！？地雷掘り返して食べちゃったよ！！
　カチリ★なんて嫌な音がしてやっぱり地雷が大・爆・発！！さもありなん！！
　爆音に驚いたあまりに暁子さんは坑道の天井まで飛び上がっちゃって、オリヴィアちゃんは尻尾膨らませてその場で高くびょいんと跳んじゃって、デボラさんは大きなお目目を見開いて固まってしまった！！
　当のウィズさんのボディは、バウンドボディの様にボンっと膨らんで――しおしお元に戻っていく。
「……」
　ウィズさん、黙ったままのしのしニャールの眠るお部屋へ。他3名、その背中を見守る。
　ウィズさん？ウィズさーん？地雷、美味しかった？不味かったよね？だめだったよね？　
「たんまりある金の極上ニャールは、全て、頂いたぜェ……！！」
　ほらーーーーーー！！
　ウィズさん、二足歩行になって両腕で抱えられるだけニャールを片っ端から抱えていく。
「は。私も持ち帰られるだけ持ち帰るのです！ひとりじめはだめなのです！」
　我に返ったオヴィリアちゃんも負けじとニャールをくわえたり、抱えたり。
　きらきら豪華な包装がまた食欲をそそるものだからすぐに食べたくなったけど、ちゃんと我慢した。
「そうでしたわ！極上ニャールが！私を！待っているのでしたわ！」
　デボラさんも我に返って宝物庫に突入だ！その身体に背負えるだけ背負って、ついで一口食べそうになるけれど。
「おやつタイムは帰ってからです！」
「え？そんな殺生なぁ……」
　オリヴィアちゃんに止められてデボラさんしょんぼり。おやつタイムにいっぱい食べていいですからね！
　そして慎重な暁子さんは地雷原に地雷がないかソナーで再チェックしてから、霊刃羽を台車かわりにどんどん積み込んでいく。
　――第一の宝物庫のニャールはすっかり空っぽだ。
「よし。これだけあれば、後のおやつの時間も大丈夫そうね。さあ、みなさん帰りましょう。地雷は引き続きマークするわ、気を付けてね」
　行きはよいよい、帰りはこわい。
　手ぶらのときは好き放題できたけど、帰りはニャールを守らないといけない。
　マークに気を付けて踏まないように、そーっとそーっと慎重に。ひとりひとり気を付けて地雷原を無事、抜けたなら。

　さあ、帰りましょう！お待ちかねのおやつタイムです！グリモア猟兵キャッツにお土産、ありがとね！
　――尚、暁子さん、帰りはいつの間にか人型になっておりましたとさ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●集え！愛猫家たち
　――猫や犬は何故、可愛いのか。
　ある動物学者が提唱したベビースキーマという概念がある。
　人は本能的に手足が短い、やわらかそう、全体的に丸みを帯びている生き物を見ると可愛い思う心理のことだが、人間の幼児や猫の特徴がそれに該当するそうだ。
　あと鳴き声。これは特に猫の鳴き声なのだが、猫の鳴き声は幼児の泣き声と同じく、人間に何かしてあげなきゃ！と思わせる効果がある……らしい。
　つまりついつい人間が、猫が可愛い、猫が鳴いたら何かしてあげなきゃ！思うのは、割と本能的なもの、なのかもしれない。
　猫に魅了され、猫にせっせと尽くす人間を、猫奴隷や猫の下僕と人は称するがそれはもうきっと仕方ないことなのだ。
　人間は本能より猫に魅了されるらしいし、猫好きはそんな難しい理屈抜きに猫が可愛いくて仕方ないのだから！

　そしてここに集うは（主に）愛猫家たちだ！！※全員ではない。
「極上ニャールと聞いて！これは何としても強奪せねば……！」
　キリッとした表情で猫妖精ラトナさんを抱っこするのはスキアファール・イリャルギ（抹月批風・f23882）
　ラトナさんも極上ニャールと聞いて興奮が隠しきれない様子。お鬚も尻尾もぴんぴんで、目はらんらんだ！可愛い！！
　――めっちゃラトナさんモフりたーい……。
「食料というか、プレミアのおやつとかも隠してあるとか……うん、これ強奪したら確かに敵陣営にとっても大打撃、だね」
　苦笑まじりで頬をかくのは鳳凰院・ひりょ（天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864）
　特別猫が大好きってことではないご様子ですがこちらに配属させて頂きました！――ストッパーって、大事。
「ニャールねぇー、欲しいよねぇー。犬猫さん達に喜んでもらえるなら頑張ろうかな」
　いらっしゃいませ、栗花落・澪（泡沫の花・f03165）澪君はモフリストです！！モフリスト・スペシャリスト！
　――ニャール食べる？具材そのままのスープタイプは割と美味しいよ？人間にはちょーっとばかり味、薄いけど。
「……孫的存在の陰海月が張り切ってるんですよー。あの子、猫好きなので」
　まるでおじいちゃんのようなことを仰るのが馬県・義透（死天山彷徨う四悪霊・f28057）
　お隣でふわふわ浮いているミズクラゲさんが陰海月さんだそう。
　ぷきゅ！ぷぅぷきゅきゅ！と鳴いてらっしゃる。多分、可愛い。
　では、今回はこちらの４名で地雷原を抜けて頂きます！それではレッツゴー！

　というわけで彼等が送られた坑道の先には、デデドン★っというくらい大きいサイズの立て看板が突き立っていた。
　立て看板の内容は可愛い丸文字で【ここから先は安全です】――嘘やん。
　広がるフロアの片隅に、あーあ、っていう人骨がころころ転がっているし、なんかわざだろうとわかる程あからさまにぼこっと盛られた土ばかりだし。
　さぁ、この見え透いた悪意の地雷原をどう攻略するか！！万が一の巻き込み事故に備えてひとりずつひとりずつ抜けていくとして――。
　まず動いたのは義透さん＆陰海月さん！
「地雷原ねぇ……まあ、私、悪霊なんで、ちょっと空中浮遊すれば、起爆も何もないですよねー。陰海月も浮いてますしー」
「ぷきゅぷきゅ！」
　なんっと便利ですね、悪霊！まあ、そもそも幽霊に重量ないですしね！例え踏んじゃっても起爆しないのはあきらか。義透さん＆陰海月さんはふよふよ～んと水中を漂うクラゲの如き自由さで楽々突破する。流石！
　陰海月さんは地雷原を抜けた後、ぷっきゅぷっきゅ！とニャールへの意気込みを義透さんにお伝えしていた。
「そうですねぇ、玉福もきっと喜びますねぇー」
「ぷきゅー！」
　――今のはわかった、だよねー！みたいなお返事ですね？陰海月さん、本当に可愛いですね！？
「よし、僕も。犬猫さん達の為なら僕はプライドも捨てれる」
　次に続いたのは澪君！マジカル☆つゆりんプリンセスフォームで豪華絢爛なドレスにつゆりん★チェンジ！
　舞い散る花弁と共に得た飛翔能力で、ひらぁり優雅に地雷原を翔け抜けた。
「これは犬猫さん達の為、犬猫さん達の為だから……」
　自分に言い聞かせるように呟く澪君。グリモア猟兵キャッツを存分にモフって癒されておくれ……！
「じゃあ俺も。依頼通り猫用おやつもゲットしてくるとしようか！」
　そしてその後に続いたのはひりょさん！【も】ってことは財宝も盗ってくれるんですね、助かります！
　ひりょさんは黒白のオーラでその身を包み、飛翔能力で地雷原を軽やかに飛んで抜けた。
「さて、財宝とおやつはどうやって持ち帰ろうか……」
　ひりょさんは腕を組み、ふーむとこの後のことをしっかり計画する。
　さあ、最後はスキアファールさんの番！
「帰りの安全を先に確保してしまいましょうか、ラトナもいることですしね」
　スキアファールさんは肩にちょこんと落ち着いて、すりっと頬にすり寄るラトナさんに微笑んで。
　スキアファールさんがすっと地雷原に向けて手をのばすと、地雷が影の塊となってぼこり地中から顔を出す。
　そのまま地上を走るように影の塊が坑道の片隅、宝物庫から大分離れたところに集まって――そして、音もなく綺麗に積み重なると無機物な地雷に戻る。わーい、片隅が地雷の山だぁ……。
「一旦はこれで大丈夫ですね。あれは帰りに処理しましょう」
　たくさんの地雷が一気に起爆したら少々衝撃が心配なので、それはお宝盗ってから。
　念のためオーラ防御を特にラトナさんに厳重に重ねながら、慎重に慎重に徒歩で地雷原を抜けたスキアファールさん。
　こうして4人無事に地雷原を抜けたなら――さあ、楽しい楽しい強奪タイムだーーー！

　地雷原を抜けてすぐの宝物庫に意気揚々と入る4人。
　ひりょさんはポケットに詰められるだけニャールを詰めて、抱えられるだけの財宝をたくさん抱える。
（この世界の復興支援の際に使ってもらうよう、寄付しよう）
　うーん、お優しい！
　澪君は風魔法を巧みに操り、ニャールと財宝をごっそり運ぶ。風が運んでくれるなら重たい財宝だって、力がなくても大丈夫だ。
　義透さん＆陰海月さんは――わぁ、これはすごい！陰海月さんがぽいぽいってしたニャールや財宝が、義透さんが召喚したねじれ双四角錐の透明結晶に触れた途端、ぎゅいーんとバキュームされていく！
「ぷきゅぷきゅー！」
「はい、金銀財宝は復興資金に。ニャールはグリモア猟兵さんたちのお土産用も入れましょうねー」
　張り切る陰海月さんにおじいちゃんのような微笑みを浮かべる義透さん。
　そしてスキアファールさんはというと、持参した大きな大きな登山用リュックやボストンバッグに財宝とニャールを詰めていく――尚、登山リュックがニャール用で、ボストンバッグが財宝用です。
　気持ちニャール多め（キリッ）そうですね、ラトナさんもいるしね！！
（指輪を差し出す猫さんたち可愛かったなぁ……猫さんたちの分も持って行かねば）
　猫好きはついつい他猫にも現を抜かしてしまうもの。
　しかしそれを見抜いたラトナさんが尻尾を不機嫌に振って、スキアファールさんの足をぺしぺしぺし。
　自分の分も！とサイレントニャーしながら前足でもたしたしたしとアッピール。
「おふ……っ！ふふふ、分かってますよ。ラトナの分を一番多めにしますからね」
　愛猫の可愛さって心臓に悪いですよね！！一瞬、悶えるスキアファールさん。
　ラトナさんを安心させるようにひと撫でしてから、ラトナさん好みの味のニャールをとても多めに詰めていく。

　4人それぞれ満足できるだけ盗ったのならば、さあ、あとは帰るだけ！

　スキファールさんが引き続き無機物の影化で、地雷がないことを確認して。
　地雷の山の起爆処理の際は澪君が氷魔法で壁を形成することで、周囲の岩壁へ伝わる振動を極力抑えて。
　あらまあ、危険地帯はすっかり安全地帯。立て看板は嘘から真に。
　されど第二の宝物庫はすっからかんのがらんどうに。
　おやつを取りに来た敵さん方はきっと誰も彼も驚くことでしょう！これはもう士気の低下は甚大はなず。
　顔を白黒させて慌てふためき、しょんぼりする敵さん方――
　ちょっと可哀想かもしれませんが、そもそも侵略行為が悪いのですからね。
　そんな想像を肴にでもして、おやつ？……モフりタイムといたしましょう！
　一仕事終えた後のモフモフは、大仕事終えたビールと焼肉に匹敵するほど極上の筈なのですから！

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●集え！猫（好き）神社隊
　神が人をつくりたもうたならば、人というのは神の意志の賜物といえよう。
　人の在り方、形、理性、欲、その全てに神の意志が僅かにでもあるのならば。
　――神が猫にメロメロするのは、割と在りえるのかもしれない。
　だって、ねぇ？人が猫にメロメロするのは本能だと先も述べたろう？
　それに、ご覧。現に、ほら、このように。一柱の神様が、猫にメロメロだったりする訳で。
　
「金の極上ニャール！神社の地域猫さん達が大喜びしそうです♪」　
　大町・詩乃（｜阿斯訶備媛《アシカビヒメ》・f17458）は神である。
　普段は神社の巫女さんだがれっきとした神である。そして猫が大好きである。
　なので詩乃は思った。
　金の極上ニャールに大喜びした神社の猫さんたちが、ゴロゴロ喉を鳴らしながら詩乃に感謝のへそ天とか、すり寄りとか、なんなら全身モフモフだって、あまつさえぎゅ～だって……ゆるしてくれるかもしれない！！と。
　そんな光景、妄想するだけでメロメロになっちゃうし、やる気だって満ち満ちてしまうわけなのだよ。
　神様が欲に支配され気味？普段は神様より巫女さんなんだから良いんじゃないかな！！
　巫女さんって人間な訳だし？つまり普段は人間のふりしているようなものだし？
　だから人間っぽいことしても全然OKなわけだ。猫、可愛いしね！
「ほう、金の極上ニャール、そういうのもあるのか。美味は生の活力というもの。是非とも猫の皆に与えて喜んでもらおう」
　詩乃と共に坑道に訪れたネフラ・ノーヴァ（羊脂玉のクリスタリアン・f04313）もまた、猫に喜びを与えんとするくらいには猫が好きだった。
　つまり此処に集うは猫――が大好き――神社隊なのである！

　で、やっぱり第三の宝物庫へ続く道には立て看板があった。
　此処を保管庫に使っている敵方さんたちはこういうあからさまな罠が好きなのかもしれない。
　ご丁寧にわんにゃんの可愛いイラスト付きで【ご自由にお通り下さい】とか書いてある。
　道の岩壁には煤けた痕跡があるので、ああ、誰か地雷を踏んだのね、ってわかるくらいだから、勿論、立て看板の内容は全くの嘘でむざむざ通す気はなんだけど。
「では、参りましょう」
　そんなことは関係ない詩乃がふんわり宙に浮かんで空中を舞うように移動する。
　嗚呼、悲しきかな地雷原は軽々易々と突破されてしまった。
「帰りは荷物が多いだろうからな。今のうちに処理をするか」
　続くネフラは高速移動と刺剣による超電磁砲の発射で地雷そのものを処理しながら進む。
　一個一個の起爆くらいならば流石に岩壁が崩れることはない。ちょっと煤けるだけなので大丈夫。
　そうして帰り道の安全までしっかり確保されてしまった地雷原は、ただの通路と成り果てるのだった。
　まさに【ご自由にお通り下さい】である。

　そうして坑道（元地雷原）を抜けた先の宝物庫には――棚一杯の金の極上ニャール！と棚の一画に積まれた財宝。
　うん、此処では何が重要視されていたのか一目瞭然の保管状況ではありますが、全部根こそぎ奪っていくのでよいのです。
「では、お宝をがっつりと回収いたしましょう」
　じゃじゃーん！詩乃が取り出したるは青磁香炉。
　香炉の香りを念動力で操作して、アシカビヒメの神域にがんがん収納していく。
　いいんですか神域を収納ポケットにしちゃって……！と地の文思わなくもないが、神域の持ち主が収納ポケット扱いしているので問題ないのでしょう！！
　ネフラは香りが通りにくそうな箇所に積まれた財宝を詩乃の近くに持ち寄って、回収作業に協力しつつ、戯れに手に取った装飾を自らに着飾ってみたりした。
　例えば金の装飾が豪華なバイカラーアメジストの指輪、花の趣向が凝らされたワインレッドのアメジストの髪飾り、など。特に後者はネフラの髪色のよく映えた。
　ネフラはクリスタニアン。やはり宝石には興味が湧くものだ。ワインレッドのアメジストは希少なので、そのまま頂くことにした。あとはレムリアンシード水晶の原石などをいくつか。
　こうして特に大きな問題なく、強いて言うならレムリアンシード水晶の原石のひとつがとんでもサイズだったので、ちょっと重たかったな？くらいしか苦労することはなく、回収作業もつつがなく終了！
　
「各種財宝の8割ほどを獣人戦線の皆さん、グリモア猟兵の猫さん、にお渡ししたいと思います。残り2割は地域猫と神社の為に使いますよ～♪」
「そうだな。復興資源も必要になるからには、それくらいがちょうどいいだろう」
　行きも帰りも怖いことなし！
　詩乃とネフラは、まるでお買い物帰りのような気楽さで財宝の配分計画を相談しながら、帰りを待ってくれているだろう神社の地域猫さんたちに思いを馳せて、帰路につく。
　地域猫さんたちはそりゃあもう大層喜んで、いつも以上に二人にそのモフモフ毛並みをゆるしたのだった。

　――そしてこれは余談だが、大量の財宝を受け取ったグリモア猟兵キャッツ、ニャール以外には全く興味を示さずで。結局、そのほとんどが後々の復興資源に宛がわれたという。
　また、金の極上ニャールと財宝を失った敵さん方の落胆っぷりは、それはそれは目も当てられないくらい悲惨な落ち込みっぷりで、士気に甚大な甚大な影響を及ぼしたそうだ。食って大事。マジで。
　
　まあ、とにもかくにも作戦は大成功ということです！お疲れ様でした！！

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2024年05月18日