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獣人世界大戦⑪〜属性技をぶつけるな！

作者：椿油

●ウラル山脈
　ここはウラル山脈。その山岳地帯に、複数の「ワルシャワ条約機構の隠し財宝」が存在することが確認された。また、そもそもウラル山脈は金や鉄、石炭、宝石などなど多くの鉱物資源の産出地としても知られている。山脈を制圧し、これらの財宝や鉱脈をワルシャワ条約機構から奪い取ることができれば、条約機構軍の財力を大きく削り取れそうである――。

『ヒャッハー紋章だぁ!!』
『持ってけ持ってけ!!』
『使い放題だぜーー!!』
　と、何故か火事場泥棒の如く『紋章』をかっさらって装着していく火炎放射兵達。なお、その拾っているモノは全て「紋章の失敗作」である。

『火炎耐性！　水にも強い！　属性攻撃なんか屁でもねぇぜ～！』
『ヒャッハー!!』

　だが、彼らは気づかなかったのだろうか。耐性が付いたのは属性攻撃だけである事を……。

●グリモアベース
「皆様、第二戦線が開かれました」
　グリモア猟兵のスリー・サクセス（猟兵サポート型AIプログラム・f34842）がウラル山脈を漁る火炎放射兵達をバーチャルビジョンに映し出している。

「いずれも失敗作ばかりなのですが……この紋章は始祖人狼の故郷、ダークセイヴァーにあった物と同一と思われます。なので、皆様が装着してパワーアップする事も可能です」
　つまりあの紋章を身に着けていた｜五卿六眼《ごきょうろくがん》『紋章つかい』と戦った者は分かるだろう。同じ強化戦法で戦える訳である。

「落ちている紋章のどれが当たりかは分かりませんが、火炎放射兵に対応したパワーアップをする事が望ましいですね。それでは、行ってらっしゃいませ」
　グリモアでの転移を開始する、サクセスだった。

第1章 集団戦 『火炎放射兵』

POW   :    ステーキになりやがれ〜！ 【火炎放射器】から【燃え盛る炎】を放ち、敵及び周辺地形を爆発炎上させる。寿命を削ると、威力と範囲を増加可能。 SPD   :    10秒後が楽しみだぜ〜！ 敵を狙う時間に比例して、攻撃力・命中率・必殺率が上昇する【火炎】を武器に充填し続ける。攻擊すると解除。 WIZ   :    吠え面かかせてやるぜ〜！ 【火炎放射器】を使って「どのように攻撃するか」を予想できなかった対象1体に、【火炎放射】の一撃が必ず命中する。 イラスト：うぶき 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「属性耐性ですか。面白い紋章もあったもんですね」
　そう言いながらエミリィは当たり前のように炎耐性の紋章を拾う。
「相手が耐性でメタを張るならこちらもメタを張って対抗します」

『あっズルいぞお前！　火炎放射効かないじゃねぇか！』
『最初から拾っておくべきだったぜ！』

　そんなブーイングと火炎放射の爆発炎上も何のその、UC《増える！囲む！ボコる！ＤＸかじできないさんズ》を発動したエミリィ。大量のかじできないさんが召喚される。
「おらぁ！」
「そこだいけ！」
「脛ねらえ脛！」
「数でボコるのがケルベロスの流儀よ！」
「思い知ったか！」
「おくすまポジクラ」
「いま!?」
　数を増やして物理で殴ればいいとばかりに、チェーンソー剣とエクスカリバールと爆破スイッチを用いて、数の暴力で攻めていくかじできないさんズ。
『『『グワーーーッ!!!』』』

　そして、【幻想殺し】の獣人特攻フライパンで一叩きするエミリィ。
「やはり数の暴力、数の暴力はすべてを解決する」
『そんなのアリか……よ……』
　火炎放射兵はクラクラと眩暈がしたのち、倒れたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「第一戦線は順調に全部制圧できたみたいね」
　静夏がウラル山脈で白い安堵の息を出す。
「(とはいえまだ第二、第三の戦線が残っていて、きっと敵もより強くなっていくと思うから、期待しつつ油断しないようにしないとね)」
　そう思いながら、炎に強くなる紋章を手に取る。

「私が猟兵になったのは闇の救済者戦争の後だったのだけれど、こんなところで紋章の失敗作を使う機会がくるなんてね」

　それを見た、火炎放射兵は。
『お前も炎耐性か!!』
『いや、割と鉄板の対応なんじゃないか？』
『確かに……？』
『いやそもそも何で炎耐性ばっかり落ちてるんだよ』
　と、訝しみつつ火炎放射をしてくる。もちろん、静夏には効かない。

「強気にどんどん攻めていくよ」
　UC《重力夏の祝福》で夏の力による攻撃力強化を得つつ、近接攻撃を決めていく静夏。火炎放射の炎は無慈悲に積雪だけを熱で溶かしていく。そして、爆発する。

『だっダメだ効かねぇ……！』
『おいお前ら！　そこらに落ちてる炎耐性拾っておけ！　後がヤバいぞ！』
　そう言いながら退散する、火炎放射兵だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「……なんという間抜け面。知性は顔にでるものですね。まったく」
　シノギの言葉にキレ気味に怒る火炎放射兵。
『あんだってテメー!!!』
「私のように、知性溢れる略奪と暴虐を良しとしなさい」
　そう言いながらシノギはUC《強欲な月の欠片》を発動し、｜月の欠片《肉の塊》から魔改造された『鮫牙』ザンギャバス大帝だったものを召喚する。

「ふしゅうるるるるるるるる!!!」

　それを見て沈黙した火炎放射兵。
『ヤバイなこれ』
『どうする？』
『……倒せるよな？』

「歯向かうなら、コロす」
　火炎放射兵を攻撃し始めるザンギャバス大帝だったもの。そして、しれっと火炎耐性の紋章を装着しているシノギは余裕で観戦していた。

「さぁ、どんどん暴れて、どんどん物理で踏み潰しなさい、元鮫牙」
「分かった。コロす」
「あ。財宝とか財宝がありそうな場所は壊さないように。好きなだけ暴れていいとは言っても限度はありますよ？」
「ふしゅるるるる!!!!」
「あそこの山に金と銀が大量に……元鮫牙？　さっきから私を潰しかけないで下さいよ？」
「おっとうっかり。シノギ以外コロす!!」
　火炎放射兵がザンギャバス大帝だったものに蹂躙されながら、その間に財宝の山に目当てをつけていくシノギであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「？　……これが紋章ですか」
　無意識にUC《超越者の肉体》を発動して自己強化をしながら紋章を拾う久恩。頭から風船が生える紋章だった。どうやら浮力は無いようだが。

「風属性耐性……外れですね。まあ、いいや物理攻撃は得意だし」
　と言いながらチャージ中の火炎放射兵を殴る久恩。
『いてっ!!　なんだコイツ、物理特攻の紋章でも付けやがったか!?』
　素の力でそう言われながらも、久恩はチャージしきった火炎放射を躱しつつ衝撃波で反撃に転じる
「これ、物理攻撃何ですけど……」
『いてぇ!!』
　思わず頬を抑えながら後ずさりする火炎放射兵。

「無限天理陰陽術式……」
『な、何だ!?　今度は何が来やがる!?』
「飛竜乗雲！」
　上手く位置取りを考えつつ接敵しながら、UC《無限天理陰陽術式『飛竜乗雲』》を発動する久恩。千乗ずつ増える拳が扇状に火炎放射兵を殴り飛ばした。
『ぐわーーっ!!』
『ガハッ……!!』
　ドシャリと吹っ飛んで落ちる火炎放射兵。

「……これが無限天理陰陽術式です」
　車田落ちで倒れる火炎放射兵に言い残し、風船を揺らしながら場を去る久恩であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「これが紋章か……変身！」
　ヴェイルは炎耐性の紋章を持って装着変身する。
「これが紋章ですね！　ヴェイルみたいに炎耐性を手に入れますよ！」
　そう言ってリュールが紋章を身に着けると。
「えっ?!　お姉ちゃん……それ」
　思わず驚愕するヴェイルの目線の先には。

『ちんあなご～！』
　――リュールの頭から喋るチンアナゴが生えていた。

「えっ……ちんあなご?!　何で?!　レントの側にいた変な生物じゃないですか〜！」
　しかも踊っている、チンアナゴとは思えない奇妙な見た目のチンアナゴもどき。
『な、何だそりゃあ……』
『ちんあなご～！』
　思わず火炎放射兵もだんまりを決め込んだ。

『って、ボーっとしてる場合じゃねぇ！』
　チャージしていた火炎放射を放つ、火炎放射兵。避けるヴェイル。
「私は魔法使いだけど……これでも喰らえ！」
　【ドラ棍棒】を思いっきり叩きつけて、火炎放射兵を地に伏せさせた。
「属性誓約は使えないなら……！　これで！」
　斬撃波を放つリュール。火炎放射器に当たり、パックリ割れて壊れる。
『うわっ何しやがる!!』
　火炎放射兵は揺れるチンアナゴもどきに目線を持っていきながら叫んだ。

『喰らいやがれ！』
　それに対し、別の火炎放射兵が火炎放射を放つ。
「危ない！」
　回避し、UC《解放する真実の剣》を発動するリュール。
「属性耐性を書き換えろ……解放する真実の剣！」
　時間を飛ばして起源を書き換えた事により、火炎放射兵の武器が効かなくなる。
『ん!?　あれ!?』
　故障ではないが、狼狽える火炎放射兵達。

「喰らえ……邪龍龍星煌！」
　ヴェイルはUC《邪龍流星煌》を発動して超強力な流星を降らせる。
『ガハッ!!』

「でもね……本命はこっちだよ？」
　更にUC《一撃必殺》で、体勢を崩した火炎放射兵へと打撃を喰らわせるヴェイル。
「セイクリッドスライサー・星！」
　リュールは更にUC《セイクリッドスライサー・星》を発動し、聖星斬撃を放った後、虚空から星型の斬撃が現れ、それが敵を切り裂くのだった。

「(レントの言う通りになっちゃったよ……筋トレしていてよかった)」
　ヴェイルの目線の先には、その拳により気絶している火炎放射兵がいた。
『ちんあなご～！』
　チンアナゴもどきも喜んでいるようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「よっしゃ！　ぶっ飛ばすぜ！」
　エリンが炎耐性の紋章を手にし装着変身する。
『ミディアムニシテアゲマショウネ！』
　喋る武器【崩壊邪神王龍ブラッドムーン】もノリノリだ。

『何で炎耐性の紋章がそんなに落ちてやがる！』
　火炎放射兵の顔が引きつる。火炎放射を放つが、回避したエリンの手にあるブラッドムーンから衝撃波が放たれ、火炎放射兵はその場に倒れる。
「さっさと落ちな！」
『ガチデビルハンセイカイノシュギョウノセイカガデテマスネ！』

「じゃあ反撃させてもらおうか！」
　エリンがUC《虹炎魔皇・虹炎神皇鳥》を発動し、虹炎の力で自身を強化して究極の破壊エネルギーを火炎放射兵に放った。
『ぐはっ!!!』
　この時、火炎放射兵の属性耐性を破壊している虹炎。
『説明しよう！　虹炎は耐性、吸収、無敵を破壊してそのままダメージを与えられるんだ！』
　【邪神スマホ龍エキドゥーマ】が解説に入りつつ、属性耐性が破壊された事により効くようになった電撃の雨を降らせる。
『ぎゃああーーーッ痛い!!』

「今度は虹炎の衝撃波だ！」
　耐性を破壊しながら当たる衝撃波が、周囲に広がるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「よし！　うちも変身するぞ〜！」
　リュカシオン、通称シオンが意気込む。
「はい、紋章です」
　それを見て精霊王アロナフィナ、通称アロナが紋章を手渡す。
「行くぞ……変身！」
　リュカシオンが紋章を身に着けると、イカ焼きの姿になっていた。
「紋章の効果は炎耐性……当たりだ」

『うおぉぉこぞって炎耐性の紋章探しやがってぇぇ!!』
　特攻する火炎放射兵達は火炎放射をするも、防御の構えを取りながら衝撃波を放つリュカシオン。爆発炎上を防ぎ、リュカシオンは微笑む。

「これが炎耐性の力か！　反撃だ！」
　UC《虹炎の神フォービドゥン・フェルレイニアス》を発動し、UC無効消滅攻撃の弾幕を放ち続け火炎放射を封じる。
『くっ、火炎放射器が作動しないぞ！』

「無重力って以外と訓練しないと動き辛いんだぜ？」
『うわーーっ!?』
　極限の自由の力を駆使し、周囲の火炎放射兵を浮かせつつリュカシオン自身は超次元能力で無重力にならないまま――概念干渉撃の衝撃波を放って属性を無視したダメージを与えて、火炎放射兵は息絶えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2024年05月14日