ゴーイングアウト・コーデ
●ハーレム
ドラゴンプロトコルにはゲームマスター権限というものがある。
それはゲームを円滑に進めるために必要なものであり、それゆえにドラゴンプロトコルは強大な力を持つ。
例えば、ダンジョン作成。
エネミーモンスターの作成。
多くの力を付与されている。
その一つに呼び出し権限がある。
不正行うプレイヤーを呼び出し、隔離するためであったり、また致命的なバグが発見された際に救出するために使う力である。
「それで、これが」
「そう。今度の戦争で人手がいるからって呼び出されるかもしれないってこと?」
ヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)のハーレム、その妻たちであるノンプレイヤーキャラクターたちは互いに顔を見合わせる。
彼のユーベルコードであるハーレムの使い方・一(ツマタチダッテキョウリョクシタイ)である。
仔細は承知している。
ゲームマスター権限を応用したユーベルコードである。
「勿論、手伝うわよ」
「むしろ、こういう緊急事態の時のために使う力よね?」
「そうだよ。そのためにノンプレイヤーキャラクターって理不尽に硬い防御力が設定されているんだもの」
妻たちは頷く。
ヌグエンほど強大な力はない。
けれど、それでも彼の手伝いができることには変わりない。
「幸いに今『トイツオック』で開催しているイベントはないものね」
「うん、他のノンプレイヤーキャラクターに仕事を回しても十分できる業務が多いから」
「初心者ゲームプレイヤーたちも旅立っていっているし、無理なんてことはないよね」
「……ヌグエンに連絡しておく?」
「そうね、いつでも喚んでいいわ、と伝えておけば呼び出してくれるでしょう」
なら、連絡だね、と妻たちはヌグエンにメッセージを送る。
彼がこれを見ているかどうかはわからない。
このメッセージに対して何か連絡が来るとも思えない。
頼りがないのは息災ないことだと思うのだが、それでも呼び出す時は急だろう。
というか、12人もノンプレイヤーキャラクターを呼び出さなければならない事態とは一体どんなものなのだろうか。
「とんでもなく大変なことになっていたら……」
「それはそれでやり甲斐があるってものよ」
「女は度胸! だね!」
不安がないわけではないけれど、それでも妻たちは自分を奮い立たせて、呼び出しの時を待つのだった――。
成功
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