#ダークセイヴァー
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「良いかしらアンタ達!」
ダークセイヴァーのとある屋敷。
黒いベビードールから美しい肉体を見せる化け物がいた。
ムキムキとした上腕二頭筋と、スカート部から覗く大腿二頭筋は深く掘りのある筋肉だ。
「いーい?」
再度の言葉を作った化け物は、目の前に控える配下へ言う。
「アタシ、もっと綺麗になりたいの。言えね、確かにアタクシ達、成長なんてしないわ。でもね、向上心は必要よねぇン。停滞は何にも勝る敵だわ、そうでしょう?」
「……おっしゃる通りです」
配下の返答は従順な物だった。
それもまた停滞。そう捉える事も出来たが、化け物にとっては自分こそが第一として見ている。
故に、続けて。
「それは人間だってそう。考えることは皆同じ……不老で、美しくあり続ける為の努力に余念はないと、伝承もあるわぁ」
例えば、人魚という架空の肉を食う事だとか。
例えば、処女の生き血を暖かい内に浴びるだとか。
例えば、特異な姿を持って生まれた人間の体を食すだとか。
「アタシも倣おうと思うの、だからアンタ達、いいわね?」
その、言葉の終わらない内。
「集めるの、美容の為に、可能性の全てを」
配下達は、集落へ向かっていた。
●
グリモアベースの片隅に、少女はいる。
いつもの場所、背もたれの無い椅子に腰掛けーー
「絶対、絶対だ」
ることはせず、眉間にシワを寄せ、猟兵達へ積極的に声を掛ける肆陸・ミサキ(狩られるモノ・f00415)だ。
「許しちゃいけないんだ、そんなことは、絶対に」
怒っている。
一目でわかる状態は、しかし直ぐに収まった。
ふぅ、と息を一つ吐いて、説明を始める。
「現れる度、性格や趣向の変わる、変なオブリビオンの存在を知っているかい?」
見た目は変態的で、しかしその実力や暗躍は笑えない。そういうオブリビオンがダークセイヴァーには居る。
「それが今回は、美容目的で人を襲おうとしてるんだ」
ただの美容と甘く見てはいけない。
その方法は、血に染まった手段だからだ。
「自分勝手な理由で、人を傷つけるなんて真似、誰であろうと許されないんだよ……そうでしょ?」
だから、止めて。
と、ミサキはそう言う。
「今から、現地へ送るよ。集落へ入る前の場所で配下を迎え撃ち、撃破してボスが潜む屋敷へ突入する、そういう手順だ」
グリモアを手に、世界を繋いで。
「……お願いね、みんな。気を付けて」
戦いの場へと、送り出した。
ぴょんぴょん跳び鯉丸
たまには暗い感じを。
しようと思ったのですけどとりあえず軽めにしておきました。
オーソドックスがウリなのでオーソドックスな敵です、楽しく戦いましょうね純戦大好き!
第三章ではダークセイヴァーにしては珍しく楽しくわいわい騒ごうね、って言う感じです。
三月にも雪は降るからセーフ。
第1章 集団戦
『黒い薔薇の娘たち』
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POW : ジャックの傲り
戦闘中に食べた【血と肉】の量と質に応じて【吸血鬼の闇の力が暴走し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : クイーンの嘆き
自身に【死者の怨念】をまとい、高速移動と【呪いで錬成した黒い槍】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : キングの裁き
対象のユーベルコードを防御すると、それを【書物に記録し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
イラスト:シャチ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
到着した先。
集落の入り口に、猟兵は到着する。
背後には静まり返った家屋があり、眼前には、
「障害を発見しました」
敵がいる。
ヒカゲ・カタワレ
美容ねー…まぁ気持ちは分からないでもないけどさ
そういうことに拘るような生まれじゃないし
なんにしろ他人を犠牲にしてってのは私も気に食わないよね
自身で努力しろっつーの
さて得意分野のPOW勝負といきたいところだけど
相手の強化を潰しておきたいところ
対抗策は…私のUC【エブリシング・フード!】
私も似たようなことができるんだよね
だから触手型刻印で相手を先に喰っちゃる!
武器の刻印を展開しなければ「目立たない」から「だまし討ち」できるんじゃない?
たまにはさ、喰われるほうの気分を味わってみるってのはどうかな?
バンシィ・ルフェイ
WIZ判定
※アドリブ歓迎、合流可
スキル
呪詛31、世界知識5、物を隠す3、封印を解く3
世界知識で敵のユーベルコードを見抜き
その対策として
ただコピーしただけでは
意味のないユーベルコードの使い方をする
死霊術の応用で自身の影を操り
引き延ばして広げ頭上からユーベルコードを発動
以前、ヴァンパイアの居城を崩壊させた依頼で
自身が潰されないようしまい込んだ瓦礫を眼下の眷属たちに振り撒く
所謂アイテムボックス・デブリアタック
大層な書物を持っているじゃないか
どれ、これを受けてから真似してご覧
くくく、使えることと使いこなすことは違うんだよ
ジョーカーは切り時を間違えないようにねぇ……
イリーツァ・ウーツェ
あちらはやる気なのだろう。ならば言葉など必要あるまい。
私も話すのは苦手だから、ちょうど良い。
【POW】
こちらを食うつもりか? ならば距離をとらねばな。
戦杖を構え、UCを発動。向かってくる娘の首を砕いて潰す。
バットでボールを打つような感じ、といえば伝わるだろうか?
砕いた頭蓋などの破片が、他の敵にも当たったら一石二鳥なんだが。
体勢を崩したなら、杖を槍のように振るって、心臓を突く。
この杖には大鰐の怪魔が宿っている。喜んで敵の血を啜るだろう。
フェム・ポー
WIZ
アレンジ歓迎
うふふ。自分勝手な目的のためにぃ、他人を傷つけるなんてぇ、いけないわぁ? いけない事ねぇ?
そう言う行けないことをする子達はぁ、ちゃぁんと、懲らしめてあげなくてはねぇ?
奪われる人たちの気持ちがぁ、分かるように成ればぁ、もうそんなことしようなんて思わないわよねぇ?
だからぁ……フェムがアナタ達からぁ、奪ってあげるわねぇ?
UCを使ってぇ、魔力の鎖で縛り上げてぇ、その生命力をぉ、奪わせてもらうわねぇ?
お仕置きだからぁ、加減はしてあげるつもりだけどぉ……やりすぎてしまったらぁ、ごめんなさいねぇ?
(技能:生命力吸収の全力で、鎖で縛った対象の生命力を奪いつくす)
雨宮・いつき
私利私欲のために人々を毒牙にかける所業、ましてや美のためなどと
無辜の民の血に濡れた手で施す化粧に、如何程の価値があるというのでしょう
集落の方々は必ず守ってみせます
「美を求める者ならば、精を喰らい千をも生きる妖狐の事はご存知と思っていましたが。
目星も無く集落を襲うより、僕の血を求める方が効率的ではありませんか?」
実際は僕の血に美容の効果なんてないですが、
そう【誘惑】して敵の注目を引きつけ囮になります
霊符を押し当てて精を奪えば説得力も増すかと(【生命力吸収】)
その後一旦距離を取り、複合合体した狐火を放ちます
防御されるでしょうがそれは囮
初撃の後ろに隠した複数の狐火で、記録した書物ごと焼き払います!
●
「まあ気持ちはわからんでもないわ」
と、そう言ったヒカゲ・カタワレ(ソル・エンバー・f03017)はダッシュする。
小柄な体躯を前に倒して、制服のスカートをはためかせ、前へ。
「美容でしょ、美容。そういうの、気にする生まれでもないけどさ」
一般的な女子高生の観点から言えば、気にするべきなのかもしれない。
彼女は思い、しかし。
「他人を犠牲にして、ってのは気にくわないよね。自分で努力しろっつーの」
安易な考えで凶行に走る、そのはた迷惑さは看過出来ないものだとも思うのだ。
だから。
「全ては主の想いの為に」
立ち塞がる黒薔薇の娘へ、跳躍からの蹴りを放った。
横へ、払うような一撃で狙うのは、横顔。
「……ッ!」
それを手で防御されれば、直ぐに逆の足を真っ直ぐ打ち込んで娘の胸に当て、その反動で後ろへ下がる。
「おっかないなぁ」
蹴りを放った足から、血が滲んでいた。
娘が防御と同時に行った、爪の傷跡だ。
それは微かな出血だが、付着したそれを舐めた娘の能力が強化される。
「足りませんわ、もっと、もっとよ」
「……聞いてた通りか。ま、対抗策は考えてあるよ」
摂取した血肉に応じて強くなる。その特性を、ヒカゲは理解していた。
恐らく、この場の誰よりも、だ。
「行くよ……!」
離した距離を詰め、握り拳を大きく振りかぶって打つ。
上から下への、力任せな打ち下ろしの一撃だった。
当然、それは容易く回避される。
身を捻った体勢のヒカゲは背を向けていて、その無防備な肉を娘は貪りに行き、
「ーーえ」
瞬間、娘は半身を失った。
「いただきます」
ヒカゲの刻印から出る、触手の食らい付きによって、だ。
「で、ごちそうさまでしたぁー!」
その咀嚼によって発動するユーベルコードで、背中から別の触手を腕の形にして生やし、ヒカゲは食い散らした肉を殴り飛ばすのだった。
●
一つ、誤算があるとしたならば。
イリーツァ・ウーツェ(黒鋼の盾・f14324)は、胸中でモノローグのごとくぼやく。
そう、誤算とするなら、娘達はこちらを食うつもりだけではなかった。
そういうことなのだ、と。
「やれやれ」
飛び散る仲間の血肉を喰らい、糧として。戦闘能力を増した娘達を見て、彼は嘆息した。
特に感慨を覚えるわけでも無いし、吸血鬼の力に従うのならおかしくもないだろうとすら思う。
ただ、本能を理性で抑える自分とは真逆だなと、そう思うだけだ。
「それに、会話も必要なさそうだ」
無用な労力を削れるのはいい。
得手としない行為が不要なら、あとは手加減無しで潰せばいいのだから。
だから、
「さて」
迫る動きに対して一歩を後ろへ踏み、
「適切な距離で」
握った杖は両手で柄尻を持って、
「当たると痛いぞ」
適当な間合いでフルスイングした。
それを、娘は両腕の防御で受ける。が、向かった速度に遠心力の乗った重い一撃がぶつかったのだ。
その腕は肉を潰す粘ついた音と、骨を砕いた小気味のいい音を同時に鳴らして消える。
「この杖は特別だ」
そこへ、今度は前へと、イリーツァは踏み出す。
持ち手は杖先に変え、細い柄尻を穂先に見立てて水平に構え、怯む娘の心臓へと突き刺した。
「その血肉を、啜らせてもらおう」
伝う流血に染められた杖は、歓喜するように一度震えた。
●
雨宮・いつき(歌って踊れる御狐様・f04568)は決意する。
「ふぅーー」
息を一つ、静かに長く、いつきは吐き出した。
目前の敵、黒薔薇の娘達を見て、その後ろにいるであろう本当の元凶を思う。
「必ず、です」
自身の美しさを増す為という、自分勝手な私利私欲。その犠牲に無辜の人々を毒牙に掛けようというその考えを、少年は見逃せなかった。
「血に塗れた手で施す化粧に、如何程の価値がありましょう」
いいや、そんなもの、ありはしない。
「ええ、必ず。集落の人達は守ってみせます」
だから、そう決めて、いつきは前へ出た。
指の間に一枚の符を挟み、猟兵を排除しようと押し寄せる敵へ向けて一息。
「美を求める者ならば、精を喰らい、千を生きる妖狐の存在を知っているものと思います」
告げた。
言葉の意味を匂わせる様に、黄金の尻尾を揺らしたいつきは、誘ったのだ。
「目星も無く集落を襲うより、僕の血を求める方が効率的ではありませんか?」
「ーーなるほど、筋が通ります」
その誘いに、娘は乗った。
捕らえる為に、いつきへ向かって飛び掛かっていく。
「では、貴方も含めて、主の糧になっていただきましょう」
広げた腕を伸ばし、小柄な身体を掴もうとするそれを、いつきは斜め前へのダッキングで回避。
そこへ、追撃で来る顔面への蹴りを上体の反らしでやり過ごし、地面に手を付いて崩れた身体を持ち直す。
「ていっ」
そうして跳ねて、娘の顔へと符を押し当てた。
簡易的な生命力の吸収。
言葉に説得力を持たせる為の攻撃を済ませ、大きく後ろへといつきは跳ぶ。
「集い爆ぜるは幽幻の炎」
五つ程、青白く燃える塊を産み出して、それを重ね合わせて巨大化させる。
「ーー!」
瞬間、一直線に放った。
空気を焦がし、迫る熱源を、娘は片手で受けることを選んだ。
逆の手には閉じた本を、体で隠す様にして、半身を前にして直撃を止める。
そうすることで、なにかを得るつもりだ。
いつきはそれを予期し、だから巨炎の後ろに隠していた炎、およそ15程を花火の様に広げ、
「見惚れていたら、火傷じゃすみませんよ?」
取り囲むように焼き付くしたのだった。
●
バンシィ・ルフェイ(告死・f00238)が注目したのは、娘達が持つ一冊の本だった。
「ずいぶんと大切そうじゃないか」
と、扱う姿にそんな印象がある。
多くを知るわけでは無いが、ダークセイヴァーという世界においてそういう行動には、いくつか理由が思い当たった。
……そういうこと、なのかねぇ?
可能性を絞り、行き当たるのはやはり、それ自体がユーベルコードと密接に関わっている。と、そういう結論だ。
いつきの攻撃を、わざわざ受けようとした行動からして、
「それが発動条件、かぁ」
反射か、あるいはコピーか。
どちらにせよ、それに対しての策はーー。
「いけない子達ねぇ、うふっ」
バンシィが思考に入る一瞬、フェム・ポー(聖者の残骸・f12138)がふわりと浮かんで現れた。
居並ぶ娘達を眺めて、たおやかに笑みを浮かべて手をぽふっと合わせる。
「懲らしめないといけないわぁ。だって、自分勝手に人を傷付けるのは、いけないことですものぉ」
いいことを思い付いた。そう言いたげな動きで彼女が思うのは、共感による懲らしめだ。
「奪おうと言うのならぁ、奪われる気持ちを感じれば、いかに酷いことかわかるわねぇきっと」
それは、とても素晴らしい事だと感じた。
だから、実行に移そう。
「……よぅし、決めた」
機が合って、バンシィが先に手を打った。
地面に映る、小さな体の影。それを、薄く広く引き延ばし、地面から解き放つ。
「なっ」
黒が、天を占めた。
娘達の頭上、その一画を侵略したそこから、降り落ちるものがある。
「以前にしまいこんだ、瓦礫達さね」
ユーベルコードで保管した物をただ落とす。それならば、例え発動条件を満たしたとしても、物体までを再現するのは不可能だ。
「くくく、使えると使いこなすでは、意味が違うんだよ」
それを娘達も理解する。
だから、防御を通常の物に変え、
「うふっ、それじゃあ体験、しましょうねぇ?」
フェムの放つユーベルコードの鎖が、その空間を蹂躙した。
瓦礫に紛れる発動の魔方陣は視認が難しく、気付くのが致命的に遅れた娘達は呆気なくもそれに絡め取られ、生命力を吸い上げられていく。
「大丈夫よぉ、大丈夫。お仕置きですもの、加減はしてあげるつもり」
ああ、でも。
「ーーやりすぎてしまったのなら、ごめんなさいねぇ?」
と。
干からびていく娘達を、彼女は笑ってみていた。
大成功
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花巻・里香
いつもなら世界に合わせて人間に変装するところだけれど、隠さずとも釣れそうな人達ね。
それも故郷の隠れ里を襲う人達を思い出すわね…私は宝石の体の煌きで捨て身の誘惑し、誘き寄せたところで騙し討ちする様にからくり人形で仕掛けましょう。
フェイントを交えて攻撃を見切り回避、だいぶ集まってきたのなら念動力やフライングユニット展開で一気に距離をとり
からくり双鎌蘭弓を大弓に変えて、2つで1つのユーベルコード【呪りの蜂球】で数多の【呪蜂】を早撃ちし呪蜂の真価、蜂球を瞬く間に形成。蒸し焼きにしていくわ。
相手が借用できるものが1つだけなら、不発だったり蜂球形成の真価は発揮出来ないけれどどうなるかしらね?。
シーネ・クガハラ
こんばんは、強欲の君。溢れる罪科、償おうか?
「ああ全く。どうしてこう吸血鬼っていうのはみんなこうなのかなぁ。半分同族として悲しいよ私」
まあ、私が引きこもって生きていればそれでいいやっていう欲のない所もあるから私の目にはこう映るのだろうけどさ。
でもまあ、貴方が無駄遣いした分、私の取り分が減るかもしれないしその傲慢さ。好かれるようなものじゃないってわかってるよね?
「そんなわけでだクロウロード。主として命ずる」
灰すら残さず燃やし尽くせその吐息で。
「……まったく、少しかっこいいことしちゃったな私ったら」
やっぱり半分同族っていうのは気合入っちゃって嫌だなほんと。
橘・焔
○心情
久々の里帰り、だけど変なのが涌いてるねぇ
…また大変なコトが起こる前兆じゃなきゃ良いけど
【SPD】
嘗て、とある世界では若さを保つ為に少女の血を浴びた貴族がいたらしい
またある世界では最高の“香り”の為に大量殺人に手を染めた調香師がいたとか
ま、極論だけど美に狂った連中にはロクな奴がいないってコト
…集落の人達に何する気か知らないけど、全力で邪魔するね
スピードにはスピードで、今回は地上仕様だけど行くよインフェルノ
急制動と高速ドリフト、時には車体で相手の“槍”を躱し、弾く
「…その程度の怨念じゃあ、私には届かないよ」
高速で交錯する瞬間、手持ちの“鞄”で思いっきりスマッシュ!
「…ふぅ。気分は爽快、だね」
●
駆逐される黒薔薇の娘達は、しかし、ただイタズラにその数を減らしていたわけではない。
「……理解しました」
それは、猟兵達の動きをみていた。
どの程度のレベルで動き、攻撃し、反応するのか。
そういった情報を、同胞の死によって得るのだ。
「行きます」
反撃を開始する。その為の一歩を、娘達は踏み出した。
「釣り出し易そうな人達」
その動きを、花巻・里香(クリスタリアンの人形遣い・f05048)は迎えた。
襲い、奪う、その行為はまるで、隠里を襲ってきたそれらと似ているな、と。
思考の隅っこで考えながら、里香は引き寄せる為の輝きを放つ。
クリスタリアンが持つ、宝石の体。それが透き通して乱反射させる、光のちらつきだ。
火に寄せられる蝶の様に、娘達は殺到する。その一群へ、里香はからくり人形を繰って迎撃した。
「……っ」
想定通りの集客率は、意外の苦戦を呼ぶ。
死者の怨念ーーここで言うならば娘達が殺した者達だが、それを糧にすることで強化した動きは素早い。
人形が一体と操者一人では分が悪くなるのは当然だった。
だが。
「想定外ではないわね」
誘き寄せるのだから、手が足りなくなるのも当然の前提としてある。
地上を高速で駆け回り攻勢を掛けてくるのだから、里香が行く先は自然と一つだ。
「っ、と」
からくり人形の両手を重ねさせて器を作り、そこに足を引っ掻けて空へ。
跳躍からの飛翔を狙う。
「ーーいただきました」
しかし、想定外が一つ。
娘達の想定に、その行動が含まれていた事がある。
上昇途中の里香へ向かい、呪いにより産み出された黒の槍が、彼女へ集中した。
「くぅっ!」
急ぎ人形を手繰り寄せ、盾としてそれを受けた里香の体は、衝撃で吹き飛んでいく。
「弓兵の外装人形ーー」
だが、食らったはずの彼女は、笑っていた。
笑って、からくり人形に搭載された機構を駆動させ、大弓と化したそれを空中で弦を引く。
「呪りの蜂球!」
瞬間、呪蜂へ変わる矢が無数となって、娘達へ迫る。
「迎撃します」
迎える黒の槍がそれと激突し、炸裂した炎が眩く辺りを照らした。
●
「ああ、全く」
ごうごうと燃え盛る炎が、敵の数体を炭にしている。
そんな、赤く照らされる光景の中、シーネ・クガハラ(ただいまB級テンペストプレイヤー・f01094)の嘆息が微かに漏れ出ていた。
「欲が深いなぁ、深い。吸血鬼ってのはどうしてこう、どいつもこいつも……」
それは呆れとも、怒りとも取れるし、もしかしたらその両方かもしれないが、ともかく。
「半同族として悲しいよ、私。ま、ひきこもりの欲浅いからそう思うのかもしれないけど、さ」
強欲で傲慢に怠惰を為す者なら、その罪科の清算は必要だと、そう思う。
だから、
「だから行こうか、クロウロード」
少女は竜の背に座す。
四足で地を踏む黒竜は、その主の声に鼻を鳴らすと、翼を広げて宙を駆けた。
「主として命ずる」
低空飛行で娘達へ突撃だ。
当然の様に迎撃の黒槍が飛来するが、それをクロウロードは右へ左へと回避して。
「灼熱の吐息で以て、灰すら残さず燃やし征け」
「ーー!」
大きく開けた口から、火炎を噴き出した。
「危険です」
「危険と、判断します」
前方の範囲を焼いたそれに、危機感を抱いた敵の動きは、主であるシーネの排除だ。
左右、背に乗った少女へと高速で接近し、黒槍での撃破を狙う。
「っち」
それに、ドラゴンランスで対抗した。
同時に来られては対応が追い付かない、故に、クロウロードの手綱を右へ引いて、自ら近づく事でタイミングをズラす。
「無駄です」
一人分の攻撃を受け止め、しかし反対の娘から槍の射出を受ける。
黒のドレスを、肉を巻き込んでそれは裂いた。
「燃やせ、クロウロード!」
だが、シーネは怯まなかった。
一人を串刺しにし、もう一人を竜の息吹で消し飛ばす事で撃破。
「……まったく、少しかっこいいことしちゃったかな、私ったら」
痛む腹を押さえ、少女は小さく笑って言った。
●
「久々の里帰りに、また変なのに当たったなあ。大変なコトの前兆じゃなきゃいいけど」
はぁ、と大きくため息が一つ。
橘・焔(転生のオデュッセイア・f01608)は、静かに現状を憂いた。
「若さを保つために少女の血を浴びるだとか、最高の香りを求めて大量殺人を犯しただとか……嘗ての言い伝えって奴ではあるけどさ」
赤いマフラーを鼻上まで上げて、連れ立った相棒のバイクに跨がりながら、はぁ、と再度の息を吐いて。
「極論、狂った連中にロクな奴はいないな!」
アクセルを回した。
轟音を立てて急発進するそれに、娘達は顔を向け、直ぐ様戦闘の姿勢を整える。
既にその身は怨念に塗れ、自身を呪う願いを力へ変えていた。
「さっきの見てたけど、ずいぶん早いね。でも、その程度じゃあ、私に届かないよ……!」
行く。
真っ向からの相対だ。
フルスロットルで行く焔へ、地を蹴って迫る娘の両手には、黒の力が宿る。
「ーー!」
衝撃は一瞬、交錯する刹那。
首を刈る様に振るわれる槍を焔は身を屈め、代わりに上げた手には鞄が握られていて。
「……ふぅ、気分は爽快……ってわけにはいかないか!」
娘の顔面へ叩き込んだ。
そうして打ち砕いて撃破を為したが、その他の娘から放たれる槍がインフェルノの機体へ突き立っている。
ブレる操縦を建て直し、急ブレーキで反転した焔は、更なる撃破を目指してアクセルを吹かしたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
緋月・透乃
美容のために人を襲うオブリビオンねー。
人を襲ってレベルが上がると強さだけでなく美しさも上がったりするのかなー?
それならより強い猟兵のほうが効果がありそうだし、私の相手になってもらいたいね。
まずは【緋月覚醒】で緋月を強化するよ!
そして、近くの敵へ一気に接近して思いっきり攻撃、倒したら次の敵、というように1体ずつ倒していくよ!
敵があまりにも密集していたら、薙ぎ払い等でまとめて攻撃してみよう。
守りはあまり考えずに、とにかく攻めていきたいね。
アルトリウス・セレスタイト
「戦いは数だよ兄貴」……どこの言葉だったか
臘月で分体を出して交戦
分体は魔眼・掃滅で見える敵性個体を排除
見えず聞こえない攻撃は防ぐに難かろう
時間差をつけて順次起動し効率良く消去する
封じねば対応できないようであれば、半数ほどを魔眼・封絶で拘束に回らせる
自身は待機して敵勢の情報収集し分体を突破されるなら再度召喚
敵勢の動き方や攻撃手段の選択傾向などを見切り、分体の行動に活かす
●
大立ち回りがあった。
複数の娘達が取り囲む、一人の女性、それらが織り成す動きだ。
「ふっ」
一斉に飛び掛かる敵の群れ。それを、手にした大斧をブン回すことで吹き飛ばす。
暴風の様な衝撃を放ち、全く寄せ付けない冴えを魅せるのは、緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)だ。
「行くよ!」
宙へ飛ぶ娘の一人へ狙いを定め、緋色を発する三日月斧を大きく引いて一歩。
「せ、りゃあ!」
追撃のダッシュを入れ、引き摺る様にしたそれを上へ振り回す。
緋い弧を描き、その軌跡が敵を両断して鮮血の赤を混ぜ合わせる。
「行く、よ……!」
透乃は止まらない。
踏み込んだ足を軸に体を回し、横合いから迫ってきていた娘を正面に。
振り上げた動きのまま、潰す様に斧を振り下ろす。
「ーー次!」
ぐちゃ、という、塊が弾ける音を残して、さらに行く。
「普通の人より強い猟兵の方が効果ある気がするよ、だからほら、もっと私の相手になって……!」
大暴れだった。
透乃の周りだけ、舞い散る鮮血が止めどない。
斧に付着した返り血を吹き飛ばし、下した敵の成れの果ても吹き飛ばして。
「っ、止めます……!」
危険だ。
犠牲になった同胞の血肉を根こそぎ喰らい、その身に余る強化を得た娘の一人が、透乃へ攻め込んでいく。
「止まらないよ、あんたじゃ止められない!」
書物から出現する魔力の波。
それを、緋月の薙ぎ払いで打ち払う。
「いいえ、いいえ。止めます!」
振り抜いた直後を、娘は狙っていた。
空いた手に、溢れ出る力の奔流を留め、叩き付けに行く。
回避は不可能なタイミングだ。
「だから」
だから、透乃は振り抜くままに回った。
「止まらないって!」
重さを活かした回転で加速した緋月の一撃が、娘の脇腹に食い込み、引き摺って、制止すると共に反動で弾き飛ばす。
三日月から溢れ落ちる鮮血は、時間の経過で、粘りを持って地に垂れていった。
●
激しい動きで戦う透乃とは真逆。
静かに、効率良く、処理すると言うに相応しい立ち回りを見せるアルトリウス・セレスタイト(原理の刻印・f01410)がいる。
「戦いは数……はて、どこの言葉だったか」
誰のものだっただろうか。
そう思考する彼の前、瓜二つの霊がいる。
召喚した、アルトリウスの分体と言うべき個体だ。
それは本体と遜色ない能力を有し、ユーベルコードで産み出された存在ながらにアルトリウスと同じユーベルコードを操る。
「ーー」
そして、数持つユーベルコードの内の一つ。対象を異空間へ放逐する技がある。
瞳に内包した魔眼の力、その一端を使ったものだ。
それを使い、音も無く、悲鳴も与えず、ただただ殲滅するだけの処理を進めていた。
「どうやら、数で戦いの行方は決まらないようだ」
分体の処理行為を、本体である彼は静かに観察する。
為す統べなく消えていく敵の反撃は、どうやら起こり得ない様だ。
その光景に、やはり彼は、益体のない思考に耽っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
雪華・グレイシア
なんだかいつもよりも違うように見えたけれど……まぁ、いいさ
ボクには関係のないことだ
どうやらキミたちはお宝なんて持っていないようだし……
予告はなしだ、ただ奪わせてもらうよ
まずは【予告状】を【投擲】して【目潰し】
あとは攪乱するように【ダッシュ】で動きまわりながら、本を持った手に片手を向けたら【強盗に流儀はなし】を発動
手に持った書物ごと手を奪うよ
コイツがなければそちらの技も使えないんじゃないかな
奪い取ったら、その辺にぽいっと放ってしまおう
猟奇的なコレクションをする趣味はないからね
「……」
雪華・グレイシア(アイシングファントムドール・f02682)は、ふと、グリモアベースにいるだろう少女を思い出した。
なんだかいつもと様子が違って見えた気がする、と。
「まあ、いいさ。ボクには関係のないことだ」
しかし、そんな思考は直ぐに捨て、黒いハットの唾を下げて視線を隠す。
吹いた風にマントをなびかせ、倒すべき敵を意識に納めて。
「どうやらキミたち、お宝なんて持っていないようだ」
地を蹴って行く。
指で摘まんだ白紙の予告状は、今回、武器としての用途だ。
「だから、予告無しで。ただ、奪わせてもらうよ」
鋭く回転させて投げ付ける先は、娘の両目、その中間に向けている。
自然、飛来するものへ注視する事で視野は真ん中に寄り、出来た死角へ滑り込む動きを怪盗は選んだ。
「どうやらキミ達は、この本が無いと技のいくつかを行使出来ないようだね」
その一瞬。視界から逃れ、意識を逸らし、隙を産み出した刹那に盗みは済んでいた。
娘が握っていた本を、握る手首から先をそのまま奪い去る。
そういう、一見ではまるで手品の様な技を使ったのだ。
「……ま、猟奇的はボクの趣味じゃない」
奪った手を、宙へ放った。
「キミ達はここで、奪われて逝くといい」
視線を誘導し、上向きになる急所の喉元へ、予告状が突き刺さる。
白紙から赤へ変わるそれが盗んだのは、敵の命だった。
大成功
🔵🔵🔵
花盛・乙女
美しくなるために、か。
私には今ひとつ理解できん感情だな。
それに人命を懸けるとなればなおさらだ。
人の命を己の物とも思っているその増上慢、花盛乙女が斬り裁こう。
さて、此度の手合いは吸血鬼か。
やることは変わらん。【黒椿】と【乙女】の二振りを持って臨む。
厄介なのは血肉を力とする能力か。
私の血肉をやる気は一切ないが、ぞろ仲間同士で始めかねん。
剣戟の最中、周囲の敵をなぎ払った後強化を図る者を見定める。
納刀し、息を吐き、一拍。
我が火喰鳥の速度を持っての剣刃一閃。
鞘の鈴が鳴る間も越える神速の居合い、【雨燕】
生き延びたいならそのまま動くな。
動けば自覚してしまうぞ、首が落ちたことをな。
【アドリブ・共闘歓迎】
「美しさのため、か。私にはどうも、理解の及ばん感情だ。人命を代償にするならなおさら、な」
そう一人ごちた花盛・乙女(誇り咲き舞う乙女花・f00399)は、腰に挿した鞘から刀を二本、抜き身にする。
長さの違う愛刀、黒椿と乙女の二本だ。
左右の手に握り、自然体に構え、
「人の命を己の物と思う様な、その増上慢。この花盛 乙女が斬り裁こう」
斬り込む。
敵の群れ、既に何体も倒した黒薔薇の娘の集まりへ。
「迎げーー」
首を刎ねる。
黒椿の間合いで一閃し、踏み込んで距離を詰め、小太刀である乙女の間合いに入ってまた振るう。
斬るのは容易い。
そう思い、だが、乙女の懸念は一つある。
「血肉を喰らい強くなるか」
自分の肉を食い千切られる、等という未熟を晒すことは無いが、仲間同士で喰い合う光景は合った。
そう、まさに今斬り捨てた肉塊、そこに群がる者が
「ーー」
チンッ。
静かな金属音が、やけに大きく響いた。
乙女の手に合った二振りは既に無く、黒椿の刀身は鞘に納まっている。
そして、ふぅ、と一息。
止めていた呼吸を吐いて、吸い込んで。
「生き延びたければ動かないことだ」
目前に居た敵に告げて背を向けた。
「動けば自覚を得るぞ。その身に、既に魂は無いことを」
口に含んだ血と肉を、ごくりと嚥下した娘は、その振動で頭を地面へと転がしていた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『『変態的破滅招来体』ランジーリ』
|
POW : 本当の自分と向き合って!
【欲望】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【対象の分身】から、高命中力の【本音】を飛ばす。
SPD : あなたの気持ち、わかるわ!
【まるで相手の心をわかっているかのように】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : あなたの欲望を教えて?
質問と共に【視線を向けてウィンク】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
イラスト:カス
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ウルフシャ・オーゲツ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
気付けば。
「……終わった?」
辺りは血塗れだった。
その全ては蹂躙された黒薔薇の娘達、その残骸で、ぶちまけたのは猟兵達だ。
「終わってないさ」
そしてこれは、まだ始まりだ。
本命は今も、屋敷で配下の帰りを待っているのだろう。
だから、
「行こう」
倒さなければ。
その共通認識で猟兵達はバラバラと走り、無駄に重たい扉を開け、その化け物の住み処へ突入した。
「あらやだぁ! こんなの想定外よぉ!」
気持ち悪く腰をしならせた変態がそこにいた。
「あんたたちアタクシの美貌をうらやむ連中ね? ふふふエンヴィー! いいわよ妬み嫉みは美の証だもの!」
なぜか嬉しそうで、発言の節々が頭の悪い印象だが、その戦闘能力は先の娘の比では無い。
油断は出来ない。
十分な警戒と共に、敵へ挑むのだった。
アルトリウス・セレスタイト
嫉妬できるほど拘りを持たん
期待に添えず済まんな
虚空で掃討
包囲する形の転移攻撃は回避も難しいぞ。気合い入れて避けると良い
仮に躱したらより大きく魔弾に食われるが、まあそれを教える必要もなかろう
万一それも躱すなら有利な場が増えるのでそれを利用して戦闘継続
さらに難易度が上がるぞ。励め
各種技能は適宜活用
魔弾の一部は腕に装填する形で力を溜めておく
迫られたら第六感も動員して見切りつつ、拳撃と共に体内へ直に
無駄な肉を落とすのも美の基本らしいぞ
「嫉妬出来るほどの拘りを、俺は持たん。期待に添えず、済まんな」
「素直に謝れるのは良いことね? 良いことよ!」
正面に向かい合ったアルトリウスとランジーリは、一言を交わし合う。
自然体で、特殊な構えも無く立ち会う二人だが、アルトリウスはその時既に動いていた。
「ーーあらぁ」
間延びした声をあげるランジーリの周り、囲む様に空洞がいくつも発生している。
全方位の包囲網。
アルトリウスが発動させたユーベルコードだ。
「逃げ場も無く、回避は難しいぞ。気合いを入れて避けるといい」
そうして、合図を一つ。
淡青色をした無数の弾丸が殺到した。
……避けたとて、地形諸ともに虚空へ呑み込むがな。
そう思い、ランジーリの動きを彼は見た。
佇み、迫る魔弾に対した敵の動きは、
「フンッ」
迎撃だった。
鍛え抜かれた拳の振り抜き、その一撃で魔弾を弾き、生じる呑み込みに遭ってもその五体は無事だ。
「フンフンフンフンフンフンフンッ!」
弾く。
横へ、縦へ、斜めに。突いて蹴って握り潰す。
「無駄ね、無駄よ、なぜならアタクシ、美しいから!」
根拠の出所はわからない。
だが、効かないのは事実だ。
「なら」
アルトリウスは右手を軽く握った。
籠める小さな拳には、薄く光る青い力が灯る。
打撃と共に、敵の体へ直接にぶちこむ、そういう算段だ。
「そう、アタクシは美しい……美しい故にここにいるの」
優雅に、一歩ずつ、魔弾を吹き飛ばしてランジーリはアルトリウスとの距離を詰めていく。
あと少し、もう、二歩。
間合いを図る彼の前で、しかし、その歩みは止まり。
「あなたはなぜここに、アタクシの前に立ちはだかるかしら!」
「むーー!?」
パチリとウィンクした。
瞬間、アルトリウスの体は遠く、弾き飛ばされる事になる。
苦戦
🔵🔴🔴
橘・焔
○心情
美貌…、あれが?
こんなモノの為に、一体どれだけのモノが犠牲になった?
…その罪、清算する時間だよ
【POW】
悔しいけど先の戦闘でバイクは本調子じゃない
…となれば出来るだけ近づいて近付いて、全力で叩き込む
「…無茶させてゴメンねインフェルノ。もう少しだけ、お願いね」
ポンと叩いて愛機に跨り、一度空吹かしてからフルスロットル
精神統一して感情を抑えつつ蛇行機動で的を絞らせず相手の攻撃は躱せるだけ躱す
「欲望?嫉妬?…呆れや憐みの間違いでしょ」
接敵しつつ射程範囲に入ったらバイクから飛び上がり、真の姿を解放&UCを発動
「…その“美”とやら、この場に繋ぎ留めてあげるよ!『時よ止まれ、汝はいかにも美しい』!!」
「あれが美貌だって……?」
むしろゲテモノじゃあないか。
独りごちる焔の前、仲間が吹き飛ぶ。
技をモノともせず、ただ美しいという理由で強大な力を振るう。
「そこに至るまで、何を犠牲にした……一体、どれだけのモノを踏みにじった……!」
沸き上がる感情を現す様に、少女はハンドルを回してエンジンを吹かす。
二度、三度。
マフラーから濁った排気を吹き出すのを横目に見る。
「……無茶させてゴメンねインフェルノ。もう少し、あと一度だから……お願いね!」
先の戦いの影響で、不調は明らかだ。
それでも、行く理由がある。
だから焔は、フルスロットルをかけた。
「来るのねおチビちゃん、いいわ、あなたの気持ち、ぶつけておいで!」
対して、向かってくるそれに、ランジーリは相対する。
ユーベルコードで作り出した、焔そっくりの分身体を生み出し、しかし。
「欲望? 嫉妬? アンタに思うのは、呆れか憐れみだよ!」
ぶちこむ本音は怒りの怒号。
バイクの進む力を得て、立ち上がり、サドルに足を掛けて跳ぶ。
「その美とやら、この場に繋ぎ留めてあげるよ!」
直上、上りきって停滞する一瞬に、天上を光の十字架が埋め尽くした。
「今まで奪ってきたその罪、清算する時間だ!」
「いいわ、来なさい、その光の美しさに免じて、受け止めてあげーー」
降り注ぐ光に、ランジーリは呑まれた。
成功
🔵🔵🔴
花巻・里香
あら、まるで心を読むように動くのね。(何処まで欺けるか勝負ね)
生きた宝石の体が欲しいのなら捕まえてごらんなさい。
攻撃を見切り回避しフェイントを交えながら双鎌を振るう高速戦。
【絡繰鎌華】さり気なく触れた壁や地面に隠す様に種をあちこちに埋めて。
仕掛けた種(罠)を開花させ本番といきましょう
開花した絡繰の花は、鎌の花弁の刃で騙し討ち、時には弾力性を利用した足場(峰)でサポート。
この手に好機を誘き寄せられたら絡繰の花をバネに縦横無尽に加速、種を敵の体の中へ埋める捨て身の一撃を。
あなたに素敵な華を咲かせましょう。(最大サイズに開花)
欲望:
(蟲達や捕食炉の餌に)食いで(呪詛)がありそうな素晴らしい体よね
「ーーああ痛い! 痛む傷に赤の鮮血、そんなアタクシも美しい!」
ランジーリは健在だった。
両腕を広げ、爆風で舞い上がる砂埃が去っていく中を、感慨に耽っている。
と。
「あんっ」
お辞儀するように、上体を前へ、90度の角度で倒した。
そのすぐ上を、里香の鎌が横薙ぎに通りすぎる。
「ーー」
続けざま、今度は振り下ろしの鎌が行く。
ランジーリはそれを、右を向く動きで回避。追い掛けて、薙いだ鎌を返す動きで刃が背中を追う。
だが、当たらない。
軽い跳躍で軌道を越え、距離を取って向かい合った。
「あら、まるで心を読むように動くのね」
「あら、同じ乙女の心。わからないわけがないわね。何故ならアタクシ、乙女なのだもの!」
行く。
双鎌に対した拳のやりあいが起きる。
刃を生身の拳が受けるという、見た目であり得ないやり取りだ。
……本番は、これからよ。
純粋な戦闘力ではランジーリが上だ。
最初の攻撃で、里香はそれを理解していた。
だから、種を蒔く。
床へ、柱へ、壁へ、天井へ。
鎌を振る動きに混ぜ込んで、違和感無く、忍ばせていくのだ。
「ーー絡繰鎌華!」
そうして開花する、その瞬間。
空間一面の花、その全てが里香の領域。
直線的な攻撃の動きに、バネの弾力を持つ花を足場に加え、彼女は異次元な軌道をなぞる。
「いいわ、いいよ、ええ、その動きもまた、美しさね」
跳ねる。
弾ねる。
反動を幾重に重ね、速度は次第に里香の制御を離れていく。
その、抑えきれるギリギリ。
最高速に到達した体で、ランジーリへ突撃を仕掛け、
「あなたに、素敵な華を咲かせましょう……!」
叩き落としの拳を受けた。
「華なら咲いているわ」
「かっ、ぐ、ぅ……」
速度の分、逸らされた勢いは凄まじく、里香は地面と壁をバウンドする。
「ええ、あなたの体に、アタクシの拳撃という華がね!」
苦戦
🔵🔴🔴
シーネ・クガハラ
「よーし、チェンジ!」
嫌だってこれにやる気保てってちょっと無理だもん。何この漢女!なんかちょっとかかわるのもきついし前に行って盾になれクロウロード!
任せたからな!絶対こっちまで通すなよ!通したら撃つからな!
まあ、鬼じゃないし援護はしてやる。
「ライザー・カイン召喚(セット)!」
ほーら、再調整したライザー・カインの試し撃ちだー!
そこに並べ、撃てるだけは撃ち抜いてやる!
後、クロウロード!死ぬ気で!守れ!絶対!通すな!
「すぅーーー」
と。
「はぁーーー」
息を吸い込んだランジーリはそれを吐き出して、にっこり笑顔を浮かべた。
「やっぱりアタクシは美しいわね、ねぇ! そう思わないかしらん!」
「ーーいや無理チェンジ、チェーンジ!」
無理だった。
「まぁなによ! いいことおチビちゃん!」
いいかしらん?
と、両腕でバッテンを作るおチビことシーネに指を突き付けたランジーリは一息を溜め、胸筋をビクンビクン震わせて、
「美しさに不可能はーー無いわ!」
「ライザー・カイン召喚、発射ァ!」
シーネ特製の銃撃をぶちこまれた。
だが効果は無い。貫通力高めに設定したのに貫けない。
「だってアタクシは美しいのだもの!」
「なにこの漢女!? いやなんかもー関わるのもキツイ、よーし盾になれクロウロード!」
無理だった。
指示されたクロウロードは、背後に隠れたシーネを「えぇーマジでぇー」と言いたげ(シーネの印象)に見て、鼻息を一つ吐く。
主の命だ。それを成し遂げる意志はある。
「任せたからな! 死ぬ気で! 守れ! 絶対こっちまで通すなよ! 絶対! 通すな! 通したら撃つからな!」
……無理かもしれない。
思い、息を吸って、口から火炎を吐き出す。
「ぬぁ~ん!」
空間を焼く業火にランジーリの肉体は包まれ、黒の衣装が焼け焦げてーー
「うわキッツ待って見た目キッツ、きっっっつ!」
「アタクシの肉体は焼けないわ! 安心しな!」
「だからだよ!」
効果的なダメージを与えることも、無理だった。
苦戦
🔵🔴🔴
バンシィ・ルフェイ
WIZ判定
スキル
呪詛40、生命力吸収12、全力魔法12、物を隠す3
行動
ユーベルコード使用して姿を隠したまま死霊術で
周囲のそこかしこから声を響かせる
相手と会話しながらその醜さを指摘してあざ笑いつつ
生命力吸収で生気を吸い取り「美貌」とやらを脅かす
セリフ
醜い、醜いねえ……
姿がどうとかじゃない、アンタの有様が醜いのさ
この世に生じた時点から一切進歩することなく
只、我をふるい他者を傷つける
未来という希望がある生者がそんなに羨ましいのかい?
この残確なまでに美しい世界にアンタの居場所がないことが
それほどまでに妬ましいのかい?
たとえどんなに貪ろうともアンタの美貌とやらは
衰えていくばかりだろうさ!(生気を吸収)
ああ、なんてことだろう。
その様、滲み出る醜さがある。
醜い、醜いねぇ……。
「アタクシをバカにするのは誰、どこのドイツかしら! この美しい肉体を貶すつもりかしら!」
姿、姿だって!
違うね、違うさ、容姿だどうだってわけじゃあない。
アンタの有り様が醜いと言うのさ。
「アタクシの、有り様……?」
そうさ。
この世に生じ、これまで一切の進歩も無く、只くたに我をふるい他者を傷つける。
そのどこに、美しさがある?
いいや、ありはしない。
そこにあるのは、酷く醜いモノだけだ。
「アタクシが醜い……ですって……?」
未来という希望がある生者が、そんなに羨ましかったかい?
過去に縛られるだけの自分に無いものを持つ存在はそれはそれは眩しかったろう。
この残確なまでに美しい世界にアンタの居場所がないことが、それほどまでに妬ましいのかい?
産まれては消滅を繰り返す事で、嫌と言うほど理解しているのだろうに。
たとえ、どれ程のモノを貪ろうとも。
アンタの美貌とやらは、衰えていくだけだろうさ!
●
自身を苛む声を、ランジーリは聞いていた。
それは周り、どこからでも聞こえてくる嘲りの言葉だ。
在り方の否定とも取れる口撃に、美しさを求めるオブリビオンは、
「アタクシのは努力と言うのよ」
全く堪えてなかった。
艶やかな黒髪を手で払い、姿も見せぬ相手へ鼻をフンッと鳴らして一笑。
「なにかを羨むなんて当然のこと、生きているのだもの。居場所が無ければ作るわ。だって生きているのだもの!」
それがおかしい?
と、ランジーリは逆に聞き返す。
ニヤリと笑い、姿無き敵ーーバンシィの存在を確かに感じて。
「欲望の無い命など生きていないも同じこと! それを否定すると言うなら、あまねく全てを拒絶なさい! さぁ、それができるかしら!?」
全方位への言葉を返し、バンシィをはね退けた。
苦戦
🔵🔴🔴
緋月・透乃
わーたくましー。
襲った人を使って筋トレでもして鍛え上げられた肉体美、とかそういう美容なのかなー?それにしては服装が……
まいっか。私が興味あるのはあいつのよく分からない美よりも強さ!それを楽しむために、一戦付き合ってもらうよ!
戦うにあたってあいつと戦いたい、倒したいという気持ちでいっぱいにしておくよ。
与えられるまでもなく自分の心を欲望まみれにしておくことで、敵のユーベルコードに対抗するってことだね。
そしてその気持ちに負けない勢いで、緋月を振り回して猛攻をしかけてるよ!
敵に斧しか使わないと思わせたと感じたら、【罷迅滅追昇】を繰り出すよ!
「わーたっくましー……」
緋月を肩に担ぎ、透乃はランジーリの肉体を見る。
……うん、スゴい。
そんな感想を胸中に、襲った人で筋トレでもしたの? 肉体美を上げる美容法なの? とも思いつつ、一人頷いて。
「うん、まあ、いっか!」
と、思考を投げ捨てる。
元より、敵の美しさやそれに付随する価値観に、透乃の興味は無い。
目的はただ一つ。敵の強さ、それに尽きる。
「楽しむ為に、一戦付き合って貰うよ!」
だから彼女は笑顔で行った。
戦いたい。戦って、アイツを倒したい。
その感情だけを胸に満たして、緋月を大振りに打ち下ろす。
「あなた、まっすぐね! いいわ、いいわね、その姿勢、美しいわ!」
対したランジーリは、迫るその潰しの刃へ拳を向かわせた。
下から上へ、カチ上げるアッパーの動きだ。
「ッ!」
頑強な拳にぶつかり、緋月の柄がたわむ。
拮抗は数秒で、反動を得た両者はその勢いで弾かれ、透乃はその力を無くさないよう体を回して横薙ぎに緋月を振り直す。
「ビューティフル!」
そこには、渾身の回し蹴りが迎撃に入った。
「ぬぅんッ」
「く、のぉ!」
弾き、一歩を後ろへ。
回すように振り上げて、全体重を乗せて一撃を放つ。
そこで初めて、ランジーリは退がった。
鈍重な攻撃から逃れ、安全を図り、そして。
「ここーー!」
透乃はそんなランジーリを追いかけた。
緋月をそのまま大地に突き立て、前へと掛かる力に体を委ねて前方へと弾き飛ばす。
片手は武器を引き、片足は着地と踏み込みをこなして、肩から相手の懐へ、
「どん!」
と、鳩尾へ抉り込むタックルをぶちこんだ。
怯んだ体勢のそこへ、引っ張った緋月を地面に擦らせながら振り回す。
「あの世の果てまで飛んでいけ! 罷迅、滅追昇!」
それは重量に遠心力を掛け合わせた一撃。
ランジーリの前に折れた体の、その胸を打ち、大きくぶっとばした。
大成功
🔵🔵🔵
雪華・グレイシア
流石にこんなのが出てくるのはボクも想定外なんだけど
正直一秒でも長く見ていたくないんだけど!
ああもう! というか寄ってくるなよ、こっちに!
敵との距離を取ったら、歌と共に冬将軍を召喚
見たくもない相手ごと周囲を雪嵐で覆ってしまおうか
これなら万が一にも近づいてこられるようなこともないだろうし、一安心ってヤツさ
流石ボク、完璧な作戦だ
……氷のオブジェになっても見たくない相手だけどね
【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】
雨宮・いつき
貴方に向けられた感情は妬みではありません
他者を顧みず私欲に溺れる行いに対する怒りです
その醜い性根、ここで叩き直します
雷撃符による【マヒ攻撃】を狙いつつ距離を取り、接近戦を出来る限り避けます
己の欲を問われれば、市井の人々の笑顔と答えましょう
人の世の理を護るのが僕の勤め、その先にある人々の笑顔が僕の欲する物です
それで傷を負ったとしても、自分の想いを省みるのは後回し
今は痛みに耐えて目の前の敵を打ち倒すのみです
近寄られれば起爆符を放ち防御、相手側に指向性爆発の【衝撃波】を起こして威力を相殺しつつ離脱
そしてありったけの起爆符を用いた全力の封魔鉄鎖!
全身締め上げて、符の属性を乗せた鎖を一斉に爆破です!
●
ズドンと落ちた巨体は、地面に大きくめり込んだ。
血に塗れ、それでも震えて起き上がるその目から、光は消えていない。
「……流石に、こんなのが出てくるのは想定外というか、一秒以上の直視を脳が拒むレベルなのだけど……!」
グレイシアは表面上クールに、内心は不快感の焦りにと、表裏のせめぎ合いの中にあって、
「ぬぅあ~……」
「うわこっちくんなよ!」
這いつくばりながら寄ってくるそれに、彼は後ろへ跳んだ。
その、余りに正直過ぎる行動に、ランジーリは激怒した。
ランジーリには人の心を想う機能は無い。だが自身に向けられる侮蔑にも似た感情には、人一倍敏感であった。
だから。
「アタクシの美貌を恐れないで!」
変な勘違いと共に飛び掛かった。
「さぁ受け止め、認めてーー」
「穿て雷撃!」
その、滞空する瞬間を、横合いからの稲光が貫いていく。
いつきの放った電撃の符術だ。
それは空気を焦がし、ランジーリの皮膚を焼くに留まるが、その体は帯電するかの様に光っていた。
「いい……攻撃ね。アナタもアタクシの美に引き寄せられたのかしら? んふっ、そういうことなのね?」
バチバチと放電し、パチパチとウィンクをする。
その、絶望的な気持ち悪さに、しかしいつきは動じない。
正面に立ち、声を張って。
「貴方に向ける感情に、妬みはありません。あるのはただ、純粋な……」
眼鏡の奥、いつもは柔らかく開かれた瞳を鋭くして言う。
「他者を顧みず、私欲に溺れる行いに対する、純粋な怒りです。その醜い性根は、ここで叩き直します」
明確な敵意の言葉だ。
両手の指にありったけの符を挟み、ランジーリの間合いから完全に離れて、攻勢を開始する。
「人の世の理、それを護るのが、僕の勤め!」
放つ。
一枚ずつを消費として、一条の雷を連続して発生させる。
「痛っ、いった……いってぇっつってんだろォ!」
雷音の咆哮が立て続けにぶちこまれ、ランジーリはキレた。
自慢の肉体で電撃を払い除け、拳を振り上げ急接近。
「っ、爆ーー!」
敵の間合いだ。
近付かれるのがマズイのは、嫌と言う程理解していて、だから距離を取っていたいつきは、爆発する符を取り出す。
前面へ投げ付けて炸裂させ、衝撃を伴う爆風で押し退けようとしたのだ。
だが、
「無駄よ! アタクシの前に、そよかぜなんか無意味!」
構わずそれは突っ込んできて、
「ーー凍えて」
横合いから吹き荒ぶ冷風に曝された。
グレイシアが召喚する、冬将軍が放った絶対零度の一陣。その風だ。
「お前なんか見たくも無いし、近づくのも嫌だから」
はぁ。と、吐く息は白い。
冬将軍の側にあっては、周辺温度も相対的に下がりきっている。
その圧倒的な冷気に凍らされたランジーリは、動かない。
「そのままそこで、凍り付いてーー」
「あぎ、ぎ」
動かないが、動こうとしている。
ぷるぷると震える体は発熱して、氷を解かして行くのだ。
「雪華さん!」
「……ああ、わかったよ!」
だから、解放される、その前に。
「術式、解放……!」
「震え、凍てつき、砕け散れ!」
二人のユーベルコードが重なる。
地面へ押し当てるいつきの符は、捕縛用の鎖の群れでランジーリの体を締め付ける。
その鎖は鉄。
それをグレイシアが放つ冷気が凍らせ、肉に食い込んだまま皮膚に張り付いていく。
抜けようと暴れもがく程に、肌は千切れて血が滲む、そういう仕組みだ。
「ああ、やっぱり、見るに耐えないな」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フェム・ポー
WIZ
欲望?
フェムの欲望?
……フェムは全部、ぜぇんぶ救いたいわぁ。
この痛みと苦しみと悲しみに満ちた現世からぁ、みんなを『救って』あげたいわぁ。
でも、それはダメな事、ダメな事なのよぉ?
だってそれは主が下さったものだものぉ。みんながそれぞれにぃ、立ち向かわなくてはいけないわぁ。
だけどぉ、アナタは別よぉ?
だってオブリビオンだものぉ。
現世(苦界)から離れたのにぃ、戻ってきては悪業を重ねるなんてぇ、可哀想、可哀想だものぉ。アナタの痛みも苦しみも悲しみも全部フェムが受け取ってぇ、アナタを『救って』あげるわねぇ。
(UCで人間大の大きさに変身し、生命力を吸収する闇の光と魔力の鎖で相手の命を絞りとる)
●R.I.P
膝をついたランジーリは鎖に繋がれている。苦しそうに顔を歪ませ地面を見つめ、荒い息を吐く。
その前に、ふわりと、フェムが姿を見せた。
浮かぶその羽ばたきの気配に、ランジーリは緩慢な動きで視線をあげる。
暫し見つめ合い、そして、言葉のやり取りが始まった。
「……アナタの欲望を教えて?」
「欲望?」
「そう、欲望よ。アタクシは美しさを求めてここにいる。なら、アナタはどんな欲でここに来たのかしらぁ」
「フェムは……フェムの欲望は、全部、ぜぇんぶを、救うことよぉ。痛みと、苦しみと、悲しみに溢れたこの現世、そこに在る全てを救ってあげたいわぁ」
「あらあら、傲慢な欲ねぇ……? けれどいいわ、いいの、欲望って、そういうものだものねぇん?」
「そうかしらぁ、そうかもしれないわぁ」
うふふ。
と、不思議な笑みが重なった。
問われる質問に、ただ答える。
端から見ればそれだけの事だが、そうしなければランジーリのユーベルコードが発動してしまう。
だから、これは必要な処理で。
「でもダメ、それはダメなことなの」
「ダメ? どうしてかしら、アナタも欲望を否定するのぉ?」
「いいえ、いいえ? だって痛みや、苦しみや、悲しみは、与えられたものなのよ。主が下さった、みんなそれぞれにぃ、立ち向かわなければならない、試練とも言えるものなのぉ。……だけど、アナタは、ちがうわねぇ」
フェムは、細い腕を伸ばしてランジーリの顎に手を添える。
それは、フェアリー特有のサイズではなく、平均的な人間大の大きさに変わっていて。
「ああ、可哀想、可哀想ねぇ? アナタとっても可哀想」
添えたそこから魔力の鎖が絡み付き、ランジーリの拘束に拘束を重ねる。
「現世から離れられたのにぃ、また戻ってきては悪業を重ねて苦しんでいるのだものぉ。そんな可哀想なアナタ、でも、安心して」
その鎖は、触れた箇所から残り少ないランジーリの全てを奪っていく。
体力と、精神力と、それらをまとめる生命の源を。
「全部、ぜぇんぶ、受け止めて、救ってあげるから、ねぇ?」
根こそぎ搾り取って。
「おやすみなさぁい」
一人のオブリビオンは朽ち果てた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『メリーホワイトクリスマスパーティー』
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POW : ご馳走を食べまくる
SPD : 雪で遊ぶ
WIZ : ツリーを見ながら歓談する
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
雪が降っていた。
まだ寒さの残る時期にあって、それ自体は珍しいことではない。
だが、足を浸すほどの積もりは少し珍しく、不思議とダークセイヴァーの住人の心を柔らかくしてくれたようだ。
猟兵を旅人として、普段より受け入れてくれた領民達の好意で、少しの食事と少しの友好の機会をもらうことになった。
【三章について】
日常の一幕です。
知り合いを誘ってただ遊ぶ等もいいかと思われます。
大体18日くらいを目安にプレイングを送ってもらえると助かります。
グリモア猟兵は帰路の確保をしております、必要ならばお声掛けも承ります。
雪華・グレイシア
【POW】
はーーーー、とんでもない相手でしたよ、まったく
二度と相手したくないね、こっちは何も得るモノもなかったしさ
次からはもう少し相手も選ぶべきかな、これは
……そういえば、少し気になる様子でしたね
声かけてみますか
適当に料理でも持って、ミサキさんのとこへ話でもしに行きましょうかね
……ほら、何があったのか知りませんけどお腹が膨らめばいつもの調子も戻るんじゃないですか?
それとも、雪で遊んだりの方がお好みですか?
無駄に雪見てはしゃいだりしそうですし
【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】
雨宮・いつき
しんしんと降り積もる雪…ふふ、里に居た頃を思い出します
誰が一番大きな雪だるまを作れるか、なんて競い合ったりしましたっけ
…よし、久しぶりに作ってみましょうか!
思うさま大きいのを作りたいですし、集落の外れの広い所に行ってみましょう!
良ければ、肆陸さんもお誘いして
ここへ僕達を送り出す前、普段と違って少し怖い顔をしてたように見えましたから
気分転換になったら良いな…なんて
分身達も呼び出して一緒に作りましょう
雪だるまの目や腕になる石や枝を探したり、一緒に雪玉を転がして大きくしたり
そうして大きな雪玉を重ねたら、狐みたいな耳と鼻を雪で作って完成!
置いて帰るのが勿体ないくらいの出来だと自負しますよ!
「はーーーー、とんでもない相手でしたよ。ほんっととんもなかったです、ええ、全く。もう二度と相手したくないという会いたくないですねほんとに。しかも何も得ることもなかったしさ、次からはもう少し相手も選ぶべきだね、これは」
「……ねえそれ僕への文句? めちゃくちゃ文句だよね?」
えーべつにー? そんなつもりないですけどー?
と、座ったミサキへ歩き寄ったグレイシアは一通り言葉を吐き出して思う。
……いつも通り、とは少し違いますかね。
グリモアベースでの様子も、一件落着した今も、普段の姿からは違和感がある。
それが何かは、わからないが。
「食べます?」
と、持ってきたサンドイッチを差し出して、グレイシアは言う。
「ほら、お腹膨らんだら調子も戻るでしょ。それとも、雪で遊びます? 無駄にはしゃぎそうですもんねミサキさん」
「ハハハ君ぜったい僕の事好きだろはっ倒すよ」
バッ。
と、むくれながらもサンドイッチをむしりとって、ガツガツと食べる姿に、グレイシアは鼻で笑う。
「じゃあ雪で遊びますか!」
「えっ」
「あれ、そういう話じゃなかったでした?」
そこへ、いつきもやってくる。
眼鏡の奥の瞳は柔らかく、にっこり笑顔を二人に向けていて、
「ふふ、僕の居た里だと、誰が一番大きく雪だるま作れるか競ったりしたんですよ。だから、ね?」
「いやいやいや、だから、が通じてないです」
「よしやろう今やろう直ぐやろう」
「なんでそっちは乗り気なんです?」
いつきとミサキはガシッとグレイシアの手を取った。
「え、え、え?」
マジで行くの? と言いたげな顔を無視して連行する。
集落から少し離れ、広い地帯へと。
「お」
歩けばサクッと鳴る雪は、足を少し越えるくらいの新雪だ。
踏み締めて固める感触がどこか心地良い。
「ふふ、では分身も呼び出して早速作りますよ!」
「ねえなんでめちゃくちゃ乗り気なんですってちっちゃ……!」
そうして、うきうきわくわくでいつきは手のひらサイズの分身を喚び出して散らせる。
雪を玉に変え、転がして、四肢となる部材も探させた。
ちなみにミサキは分身とわーきゃー叫びつつ走っている。
「よかったですね」
「……何がかわかりませんけど、そうですね」
そうして出来上がる雪だるまは、狐を模して完成して、雪解けの時期までそこに在り続けた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
バンシィ・ルフェイ
WIZ判定
・ミサキにも声をかけて一緒に歓談する
お疲れさんだね
いつもいつもあんな事件ばかり予知していたら
気も削がれてくるだろう?
こういう時ぐらいはゆっくりするといいさ
・その他猟兵仲間と
物事を長く続けるコツは直近の目標を立てて
一つ一つこなしていく事かね
それで達成した時のお楽しみを用意しておくのさ
そんな何でもない
ちょっとした楽しみが意外と大事な事なんだよ……
・村を眺めながら(真の姿の口調で)
何が変わったわけでもない
明日からも苦しい暮らしは続くだろう
それでもこの日の喜びを忘れずに私たちはまた生きていく
願わくばこの日々の向こうに明るい明日が訪れます様に……
ふわりと空を行くバンシィは、静かにミサキの肩へ止まった。
「やあ、お疲れさんだねぇ」
「そっちこそ、厄介な相手にお疲れ様だよ」
労いは短めに、落ち着いた風の中で白い世界を眺める。
……大丈夫そう、かねぇ。
彼女も、拠点での様子に心配していた一人だ。険しかった雰囲気もあったし、ただ今は柔らかく感じて。
「いつもいつも、あんな事件ばかり視ていたら気も削がれるだろうさ。こういうときくらい、ゆっくりしても許されるだろうねぇ」
だから多分、大丈夫だろうと、そう思ってバンシィは飛び立つ。
「行くのかい?」
「ああ、行くよ。またねぇ」
肩から跳んで、羽ばたきで推進する。
共闘した猟兵達の間をふわりと進んで、一言二言の言葉を交わして、村の住人を横目にした。
微笑みがある。
やつれ、疲れの中にあっての笑みだ。
「何が変わったわけでもなく、わたし達が去れば明日からは、日常が始まるのね」
それは猟兵である自分もそうで。帰ればまた、別の場所で戦い続ける。
「ああ、願わくば」
願わくばこの変わらない日々の向こう、明るい未来へ辿り着けますように。
大成功
🔵🔵🔵
肝尾・豊太
【世紀末凸凹ーズ】
ジゼルたん、焔たん、イカリ氏と参加
イカリと共に雪でかまくらを作成の後、かまくらの中に食事を運び込んでかまくらパーティーと洒落込む訳だけども
手を動かしながらも、雪合戦で体を動かす焔の派手に弾むであろう胸元をガン見
準備の途中で我慢出来なくなって幼女達の雪合戦に電撃乱入
「むっほ~っ! 雪玉なんか当たったら風邪ひいちゃいますぞ! だから某を狙ってプリーズ!」
「有難う御座います! 有難う御座います! ぶっひょ~! たまんねぇぜ!」とゲス顔で堪能
食事中は甲斐甲斐しくジゼルのお世話。メシを取り分けたり膝の上に乗せてあ~んして食べさせたり
「コレも美味しそうですからして、ささ、どうぞですぞぉ」
神舵・イカリ
【世紀末凸凹ーズ】の4人で参加
「なにげに初めて来たな、この世界は」
焔とジゼルが雪遊びに乗じてる間、色々準備を
「うーん、寒い…。けど、焔とジゼルは楽しそうだなぁ」
雪合戦を始めた2人のところに肝尾が乱入したら、それを見て仲裁しようと間に割って入る (そして巻き込まれるまでお約束)
「なぜにっ!?」
一通り遊んだ後はみんなでご馳走を食べて、のんびりと雪景色を楽しむ
余裕があれば現地の人間とも少し会話したいなんて思いながら、ひとまずの平穏に浸るイカリであった
※ アドリブ歓迎です!
橘・焔
○心情
「この指とーまれ」
【SPD】【世紀末凸凹ーズ】
知り合いを誘って雪遊び
…ダメ元でミサキちゃんも誘ってみるか
「ジゼルちゃん雪は初めて?触った感想とかどう?」
初々しい反応に癒されつつ、雪をかけ合ったり埋もれてみたりして遊ぶ
※緊急エネミー出現時はジゼルちゃん等と共闘、宇宙バイクドリフトで大量の雪をぶっかけたり埋めたり急加速して距離取ったり…
目一杯遊んだらかまくらで大人組が準備してくれたご馳走に皆で舌鼓
「いただきまーす」
ジゼルちゃん「初めての雪遊び、楽しかった?」
肝尾さん「…無駄に高性能、ホント最大の謎」
神舵さん「今回もバッチリ保護者でしたね、お疲れさまでした」
ミサキちゃん「…どう?楽しめた?」
ジゼル・グランフォート
基本は筆談ですが、短く声を発する事は可能。
筆談セリフは『』、発声セリフは「」。
これだけの雪積を見るのは初めてなので、少しワクワク。
最初は普通に焔さんと雪合戦。豊太さんの乱入と共に共闘するような動きに。
怪獣退治みたいな雰囲気に興が乗ってきたら、子供故の全力迎撃。
「れぎおん、ごー。」
浮遊する盾をバリケード代わりに豊太の進行ルートに設置。
空飛ぶエレクトロレギオンで雪玉爆撃をお見舞い。
イカリさんが巻き込まれたら、たぶん事故です。
『豊太さんは相変わらず料理上手です。』
かまくら内では大体の事は受け入れて周囲に合わせます。度が過ぎるようなら浮遊盾でシバきますが。
今後もこういう体験をしていきたいですね。
「雪遊びする人この指とーまーれー!」
焔のピンと立てた人差し指を、ジゼルが背伸びをしてきゅっと握る。
その様子を微笑ましく見て、ちらりと焔は視界をずらす。
端で捉えるのはミサキの姿で、
「……大丈夫そう、かな」
誘って遊ぼうかと、そう思うが、心配していた憂いは既に払拭されているように見える。
だから、大丈夫だろう。そう結論付けて、
「よーし遊ぶぞ!」
雪の原へと飛び出した。
その後ろを、ジゼルが駆けていく。
その足取りは弾むようで、ワクワクとした感情を表しているように見えた。
「どうジゼルちゃん、雪、初めてでしょ?」
立ち止まって振り返る焔は、屈んで手のひらを雪にぺたぺたする少女を微笑ましく見た。
聞くまでもなかったか、と、そう思いながら雪を一掬い。
握って少し固めて、一度上へ放り投げてキャッチ。
それを見てジゼルも真似る様に掬って握り、
「ーー雪合戦だ!」
応酬が始まった。
●
「んふー、むふー! いやいやいやいやぁ良いものですなぁ良いものですぞぉんふ、むふふ」
変態がいた。
「幼女と幼女が雪を投げ合い、ああほら見ましたかイカリ氏! 濡れておりますぞ! 幼女の! 濡れ場ですぞ! イカリ氏、イカリ氏ー!?」
「うん頼むから俺をその会話に巻き込むのやめて、マジで止めて」
その変態はじゃれあう二人を眺めながら、せっせと雪を積んでは固めて、大きなお山にしていた。
「むっほーほらほら今! 今焔たんのお山が地殻変動をー!」
……お山にくびったけだった。
「ははは寒いのに焔とジゼルは元気だなぁー!」
初めて来た世界でなんでこんなことしているのだろう。
イカリは変態の言葉を右から左にすっ飛ばしながら、固まった雪山に穴を掘る。
いくら元気と言えど、外は寒い。
そんな場所でご飯を食べようと画策するからには、退避場が必要だ。
そのために、今、大人二人でかまくらをーー
「あーもー我慢出来ませんぞイカリ氏! ……いってくりゅ!」
「は、いやおいまっ」
変態が仕事を放棄した。
●
少女二人は、それを見た。
巨体を振り乱し、その癖無駄に俊敏な動きで迫って
「むっほ~! いけません、いけませんぞ~お二人! 雪玉なんか当たったら風邪引いちゃいますぞ! だから某を狙ってプリーズ! プリーズみぼぁ」
顔面に雪玉をぶちこんだ。
●
「来い、インフェルノ」
「れぎおん、ごー」
変態が一瞬の怯みを得た。
その瞬間、焔はバイクに乗り、ジゼルは機械兵器を喚びだす。
復帰した変態が再度の接近を見て、ジゼルは浮遊させた盾をもう一度顔面に。
「ぶべらっ」
だが変態は止まらない。
止まらないが、盾で塞がれた視界の向こうに焔は居て、後輪を滑らせて前へ。
急ブレーキを利かせ、積もった雪の爆裂をぶちこむ。
「うっひょう!」
そして、こちらも止まらない。
ジゼルのレギオン、70体が、量産体勢に入った雪玉を全力で次々にぶちこみ出したのだ。
「ありがとうございます! ありがと冷たありがとうございます!」
その苛烈さに、変態は戦法を変えた。
両腕を広げ、足は肩幅に。
二人の全力攻撃をその身に受け、耐える動き
「ぶっひょ~たっまんねぇぜ!」
いや耐えてなかった。
「あー、ほら、もうそこら辺にしときなって」
そしてそんな光景に耐えられなかったイカリは、仕方ないなぁという呆れとも笑いともつかないため息で近づいて、
「これで」
「ぶっとべぇー!」
「いやなんで俺!?」
変態に向けるはずの一撃をぶちこまれて吹き飛んだ。
●
広く掘られたかまくらの中は、簡易なコンロと鍋を中央に、赤く彩られていた。
「へくちっ」
ずずびっと鼻を啜りながら、イカリは丼に入ったご飯を口に運ぶ。
「いやーごめんね、悪気は無かったよ」
同じ様に器と箸を持った焔の言葉に、彼は笑って手を上げて応え。
「まあ、いいんじゃないかな。楽しかったならさ」
「今回もバッチリ保護者ポジ、お疲れさまでした」
「はは、でもそれを言うなら……」
と、イカリは視線を向かいに移す。
火を挟んだ向こう側にいるのは、変態改め豊太とジゼルだ。
豊太は膝にちょこんと座らせた少女へ、甲斐甲斐しい動きでご飯を食べさせている。
『豊太さんは相変わらず料理上手です』
板に文字を書き、小さな口は運ばれる料理をパクリと咥える。
「いえいえそれほどでもささっ、こちらも自信作ですからして」
行動だけ見ると先程の変態ぶりが嘘のように、まさしく変態したという感じで。
「……いやほんとその高性能謎過ぎ……」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
花巻・里香
WIZ
あまり体を冷やすのもいけないけれど、のんびりとツリーを見ながら楽しみましょうか。
本物の雪なんてそうそうお目にかかれる環境でもなかったものね。
どうやってこの雪、この寒さを過ごすのかしら?話を聞いてみましょうか。
雪に対すると言えば、かまくらや炬燵のイメージがあるのだけれど、この世界にも炬燵はあるの?再現できるものなら広めたくなってくるわね。
それはさておき過ごす方法よ、唐辛子を包んだ雪を食べて寒さを凌ぐなんて話を聞いたことがあるけれど、実際のところどうなの?。
あら?あたためてくれるの?ありがとう。(温める行為が性的に行き過ぎな時はあしらいつつ)
白の景色に、透き通る赤色がある。
ちらつく雪の結晶に色を反射させて、屋根に積み重なっていく様を、里香はただ見ていた。
「あまり体を冷やすのはよくないのだけれど」
と、サクッと踏み鳴る新雪を歩き、ゆっくりとした足取りで村を眺めて回る。
中央、元からあったと思われる大きな木が、有り合わせで作ったと見える飾り付けをされて立っているのが見えた。
「本物の雪なんて、そうそうお目にかかれなかったし、もう少しのんびり見させてもらおうかしら」
なんて、そんな事を想い、吹いた風に冷たさを感じる。
そんな中でも、村の子供たちや大人達は活発そうで。
「……随分と寒いけれど、どうやってこの時期を乗り切るの?」
ふとそんな疑問が口を付いて出た。
文明レベル的に、電気が通っているとも思えない。
だから、どうなのだろうと、そう考え、
「もやしてるよ!」
元気な返答を得た。
指差し示すのは一軒家で、屋根からレンガ造りの煙突が飛び出ている。
そこからモクモクと煙を吹き出す様から、中では火が焚かれているのだろうと想像できる。
「暖かそうね」
電気は無くとも、知恵と道具でやりようはあるのだと。
里香はそう納得して、しばらく村人との会話に興じた。
大成功
🔵🔵🔵
フェム・ポー
終わったのねぇ。
あの子達はぁ、はオブリビオンだからぁ……
また、何処かで迷い出てきてしまうのかもしれないけれどぉ、
それでもぉ、救済の園で少しでもぉ、
安らかにいてくれることを祈ってあげなくてはねぇ?
領民の人達の好意はありがたいけれどぉ、
フェムは今は『お腹いっぱい』だからぁ、
食事はほんの少しだけ、気持ち程度に頂く事にするわねぇ。
そうしたらぁ、癒しの力を込めたぁ、
お歌を歌わせてもらおうかしらぁ。
先の事は分からないけれどぉ、領民の人達がぁ、
一時でも安寧に暮らせることを祈って歌うわぁ。
……痛みと、苦痛と、悲嘆に満ちた世界だけどぉ、
それでもぉ、それと向かい合っていけるようにねぇ。
「終わったのねぇ」
手に、小さな小皿を一つ持って、フェムは呟いた。
戦いは終わったし、襲われる予定だった村はそんな事実を知らず、今、自分達を迎えてくれている。
「あの子達はぁ……」
あの消えていったオブリビオン達は、骸の海に還り、そしてまた何処かへ迷い出てしまうのだろう。
繰り返し、繰り返して、そして最後には、過去の流れへ消え去っていくのだろう。
それでも。
「それでもぉ。救済の園で、少しだけでもぉ」
彼女は祈る。
せめてその間だけは安らかに。
「お代わりはどうですか、旅人さん」
「いいえ、いいえ、ご好意はありがたいけれどぉ、フェムは今お腹いっぱいだからぁ」
と、空になった小皿を見つけた村人の誘いを、ふんわりとした笑顔で彼女は断る。
「それにぃ、もらってばかりじゃ悪いわぁ」
羽を少し動かして浮かび、返礼としての音を歌う。
優しい、長く伸びる歌だった。
……先のわからない、痛みと、苦痛と、悲嘆に満ちた世界だけど。
立ち向かっていける力に、なればいいと、フェムは思って歌い続けた。
大成功
🔵🔵🔵