獣人世界大戦⑤〜紫毒の雲を撃ち払え
猟兵が集まったことを確認したワン・イーナ(シンギュラリティ・f30274)は、早速ブリーフィングを開始する。
「戦争に関しては皆知ってるだろうから飛ばすぞ。今回の戦場はイタリア半島のアドリア海。レジスタンスの飛行機乗りたちが反抗作戦に出るからこれを援護してくれ」
義侠心溢れる獣人の飛行機乗りたちは根強くゾルダートグラード空軍に抗ってきた。今まで生き残ってきた腕前と経験は精鋭と称して申し分ない。
「皆には攻撃地点の1箇所をレジスタンス航空部隊とともに担当してもらう。この地点は難所でな、猟兵が頼りになる」
空中に地図が投影される。戦闘エリアが拡大され、そこは紫色に塗りつぶされていた。
「ゾルダートグラード空軍のガスマスク兵部隊がここを守っている。特殊改造した航空機に乗り、毒ガスや汚染物質を一帯にばら撒いているんだ。金属をすら徐々に腐食する毒雲が漂うため、レジスタンスも手が出せずにいる」
迂闊に突っ込めば機体よりも先にパイロットが命を落とすだろう。この苦境を打破するために、猟兵の協力が必要となるのだ。
「毒雲は危険だから避けてくれ。もしくはユーベルコードなどで対処するか。遮る場所の無い空中だ。敵の数を減らせば毒ガスは自然と消滅していく」
毒雲に対処できればレジスタンスも戦闘に参加できる。どのように戦うかは猟兵に委ねられているため、もし指示したいことがあればレジスタンスは従ってくれるとのこと。
「敵のデータはブリーフィング後に渡すから確認しといてくれ。説明は以上だ。頼んだぞ、皆」
松六
松六です。獣人世界大戦がはじまりましたね。今回は海上空中戦です。
敵はガスマスク兵です。特殊改造した航空機に搭乗しています。薬品タンクなどの増設により機動性は悪化していますが、毒雲によって補っています。
毒雲は広範囲に広がって接触すると危険ですが、一時的に吹き飛ばしたりなど対処できます。
以上です。皆さまの冒険が楽しいものでありますように。
プレイングボーナス……飛行機乗り達と協力し、空中戦で戦う。
第1章 集団戦
『ガスマスク兵』
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POW : アシッドシャワー
【背中のタンクに接続されたノズル】から【強酸性液体】を放ち、レベルm半径内の敵全員を攻撃する。発動前の【薬品チャージ】時間に応じて威力アップ。
SPD : ポリューションバレット
自身の【ライフル弾】を【重汚染薬】化して攻撃し、ダメージと【肉体変異】の状態異常を与える。
WIZ : オブリビオンガス
【骸の海ガス】を噴出し、吸引した全員を【オブリビオン化】化し、レベル秒間操る。使用者が製作した【ガスマスク】を装備した者は無効。
イラスト:らぬき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
天城・千歳
【SPD】
今度は毒ガス散布と。電磁フィールド展開、主砲及び誘導弾の弾頭をプラズマ弾頭に変更、敵ごとガスを焼き払います。
友軍機にガス焼却後に突入するよう要請。
サテライトドローン群を戦闘空域外周に展開、通信・観測網を構築開始。
本艦の電子・光学系観測機器及びドローン群による【索敵・偵察】で【情報収集】し、収集した情報を元に【戦闘知識・情報検索・戦闘演算・瞬間思考力】で分析後UCで最適の迎撃パターンを構築します。
構築した迎撃パターンに従って戦闘を開始後、敵に対し【ジャミング】を行い連携を妨害します。
【砲撃・誘導弾・レーザー射撃】の【弾幕・範囲攻撃・制圧射撃】を行い、【属性攻撃・電撃】で毒ガスごと敵を焼き払う。
その後【情報伝達】でガスを焼き払った空域に味方を誘導し、残存している敵や落語した敵を掃討して貰う。
無人騎兵隊と自立砲台群は【自動射撃・遊撃・空中戦】で味方を支援
敵の攻撃は電磁フィールドで防御し、搭載火器による【対空戦闘】で反撃します。
本来なら穏やかな海と対となるように広がる青空は、今や毒々しい紫色の雲に蝕まれて命を拒む死の空と化していた。
そして、雲の隙間からは敵の航空機が時折顔を覗かせて周囲を睥睨している。
その様子を視認が難しいほど離れた海上から観察するのは、改ワダツミ級可潜強襲宇宙空母「瑞鳳」と制御を行うコアユニットである天城・千歳(自立型コアユニット・f06941)だ。
「今度は毒ガス散布と」
ガスの成分、散布範囲、敵の編成……展開していたサテライトドローン群及び艦の電子・光学系観測機器が収集した情報を分析した千歳は、艦を戦闘状態へ移行させラプラス・プログラムを起動する。
にわかに、敵が騒がしくなってきた。千歳らに気付いたのだろう。
「電磁フィールド展開、主砲及び誘導弾の弾頭をプラズマ弾頭に変更」
装甲の表面や周囲が不可視の防壁に覆われる。無人の艦内で自動機械が稼働し砲弾や弾頭を運搬、装填していく。同時に、艦の周囲で待機するレジスタンス航空部隊に通信。
「敵ごとガスを焼き払います。焼却後に突入してください」
『了解。ガス焼却を確認後、突入する。通信終了』
再び敵を観測する。毒ガス雲に籠ったままだ。敵航空機は特殊な装備を施した結果鈍化しているため、有利な地形から出て戦うつもりは無いのだろう。
好都合だと千歳は作戦を進める。空母瑞鳳の全砲門を毒ガス雲に向ける。散布範囲調整、VLSハッチオープン、敵機の索敵・通信システムにジャミング。攻撃タイミング合わせ、3、2、1。
「0。ファイア」
大気と海面が打ちのめされる轟音。連装仕様の電磁投射砲が大口径に相応しい巨大なプラズマ砲弾を吐き出す。VLS群から次々とプラズマ弾頭誘導弾が天に射出され穂先を敵に向けて直進する。その他中小幾つもの砲塔が砲弾やレーザーを雨霰と放ち続けた。
見惚れるほどの火力投射はラプラス・プログラムの演算通りに弾着。プラズマの破壊光が毒ガスを跡形も無く焼き払い、逃げ損ねたガスマスク兵が機体ごと原子分解されていく。
「友軍に伝達。突入を」
『ガス焼却を確認した。突入する』
ぽっかりと空白が作られた空へ、レジスタンス航空部隊は迅速に突入。ブレの無い編隊を維持したままの機動は確かな腕前を感じさせるものだ。
千歳は艦から複数の自立浮遊砲台と多数のA-2P型無人装甲騎兵隊をレジスタンス航空部隊の支援に出撃させ、自身は艦搭載火器による対空戦闘に備える。
『ゲイゲキ、ゲイゲキ!』
盗聴した敵の通信からは慌てた様子が伝わってくる。毒ガスの無い空戦では敵機体は鈍重な的だ。丸く樽のようなボディに管やパイプのようなものが突き出ている太い機体は、おそらく薬品のタンクなどを追加したために膨らんだのだろう。
レジスタンスの操る戦闘機は軽快に上昇して敵の頭上を取ると、照準を合わせて素早く点射。正確無比な機銃弾が窓を砕いてガスマスク兵に風穴を量産、さらに尾翼までまっすぐに弾痕を刻み、敵航空機は爆発。
『1機撃墜。とろいな』
機体性能と腕前の差は歴然。さらにバックアップ能力まで大差があるとなれば、敵に勝機があるはずがない。
極稀に気合の入った敵が抜けて瑞鳳まで近づこうとするが、鈍重な機体では千歳の対空射撃を回避できるわけもなく、塵となってお終いだ。
もはや敵に抗う術は無い。空を汚す不届きものたちは反撃の暇なく焼き尽くされていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
シュタルク・ゴットフリート
世界が違えど、戦場が空であるなら其処は俺の──ロケットナイトの戦場だ。
この空を解放せんと奮戦する飛行機乗り達よ、助太刀させて貰うぞ。
シュトゥルム・ラケーテンでの【推力移動】で【空中機動】しつつ交戦。
して、敵は毒ガスで身を守っているか。
成程、如何に俺でもアレへ真っ向突入は無謀と言うより他にない。
ならば、アレを吹き飛ばしてしまわねばな。
UC発動の上で、装弾数を増やしたフォイヤ・ヴェスペを広範囲に射出する【範囲攻撃】を仕掛ける。
射出したミサイルの爆発に伴う爆風で毒ガスを【吹き飛ばし】敵を丸裸としてくれよう。
そうして守りを剥がした処に、飛行機乗り達に攻撃を仕掛けて貰うとする。
焼かれ、撃たれ、落とされたガスマスク兵であったが、増援が到着して戦況が一変する。毒ガスや汚染物質を撒き散らしながら飛び回られ毒雲を生み出されれば、レジスタンス航空部隊は退かざるをえない。
それでも痛打を与えた事実は士気を高めるのに十分で、突入の機会を待ちながら息を整えている。
そして、そのチャンスを齎す嚆矢はすぐに現れた。
「世界が違えど、戦場が空であるなら其処は俺の──ロケットナイトの戦場だ」
見慣れた雲の海ではなく、青い水の海を眼下に、鋼鉄の騎士が空を行く。
「この空を解放せんと奮戦する飛行機乗り達よ、助太刀させて貰うぞ」
背部からロケット炎を一際強く噴射したシュタルク・ゴットフリート(不滅なる鋼鉄の咆哮・f33990)が、レジスタンス航空部隊の前に参上した。
「して、敵は毒ガスで身を守っているか」
ホバリングしながらシュタルクは毒ガス雲を見やる。
「成程、如何に俺でもアレへ真っ向突入は無謀と言うより他にない」
デッドマンである彼は死なないかもしれないが、装備が無事で済む保証はない。背中の天使核噴進機構「シュトゥルム・ラケーテン」が機能不全でも起こそうものなら、墜落は免れない。
「ならば、アレを吹き飛ばしてしまわねばな。飛行機乗り達よ、俺が守りを剥がす。そこに攻撃を仕掛けてくれ」
『了解した。頼りにしてるぜ、猟兵』
激励に、サムズアップで応える。ロケットエンジンが吼えるように推力を増し、シュタルクを禍々しい空へ向けて飛ばす。
彼の身を包む全身鎧の装甲が展開する。内蔵された小型ミサイルランチャーの火導弾射出機構「フォイヤ・ヴェスペ」が各部から顔を出し、それらはユーベルコードの力でさらに増設されていく。重武装モードに変形したシュタルクは可能な限り上昇した位置で停止。
「丸裸としてくれよう」
一斉発射。多数の小型ミサイルが巻き起こす噴煙で彼の姿が見えなくなる。高速で飛翔するミサイルは次々に毒ガス雲へ飛び込むと爆発。連鎖するように連なる爆炎と爆風が毒ガスを吹き飛ばし、巻き込まれた敵機を破壊した。
撃ち切ったフォイヤ・ヴェスペを格納したシュタルクはシュトゥルム・ラケーテンの推力を最大にして突撃しつつ、レジスタンス航空部隊に指示を出す。
「敵を守るモノは無い。行くぞ!」
『了解だ! 攻撃開始!』
毒ガスを剥がされ右往左往するガスマスク兵に鋼の猛禽たちが襲いかかる。空を彩る曳光弾は吸い込まれるように敵機体に突き刺さり、敵が撒く強酸性の液体は掠りもせずレジスタンスは素早く回避する。
そして、別方向から襲撃してきたレジスタンスに狩られるのだ。
『タ、タイヒ……!?』
反転して逃げようとしたガスマスク兵は、正面から迫り来るシュタルクに怖気づく。慌てて引いたトリガーが薬品タンク内の液体を機体の周囲に散布、接近を拒もうとするがシュタルクは怯まない。
「押し通る!」
拳を構える。機腕甲「アイゼンファウスト」のロケットエンジンが点火。背部と腕部のロケットにより更なる加速を得た彼は、鉄槌となって強酸を突き抜け敵機体にガントレットを叩きこんだ。
一瞬でスクラップと化した敵は細かな部品と油と薬品を出血のように撒き散らして、シュタルクの後ろで爆発した。
さらに前へ。敵を砕き、毒ガスを払い、前線を押し上げる。猟兵とレジスタンスの猛攻は止まらない。
大成功
🔵🔵🔵
風吹・香織
アドリブ連携歓迎
空中戦と言ったね。なら戦闘機乗りであり私の出番だ。行くよ、|P-38 ライトニング《相棒》!
金属すら徐々に腐食する毒雲だって!?
だが、機動性は落ちてるのか……。
なら……。
双発機の利点を活かして一気に空高く飛び上がり、毒霧を突破。
毒霧のない高高度から、敵を機関銃と機関砲で撃ち下ろして、毒霧に突入する前に急速反転、一気に飛び上がる。
向こうは機動力が低いから、こっちに追いつくことはできないはず。
後はこの高高度急降下一撃離脱を繰り返す。
ユーベルコードの効果もあるから、有利はこっちのものだ。「悪いね、高高度は相棒のテリトリーだ」
敵の数を減らせば味方も動きやすくなるはず
2度の攻撃を受けた敵はその数を減らし、結果として毒ガス雲は薄くなりつつある。このままでは維持できないと判断したのか、敵部隊は後退してラインを下げて増援と合流、まだ十分な濃度がある毒ガス雲に隠れたようだ。
そこへ到着したのが風吹・香織(怠惰な「双胴の悪魔」乗り・f39889)である。
「空中戦と言ったね。なら戦闘機乗りであり私の出番だ。行くよ、|P-38 ライトニング《相棒》!」
彼女が搭乗するのは双胴双発の特異な外見を持つ戦闘機だ。パイロットが乗り込む中央胴体を2つの胴体で挟んでいる様は、2機もしくは3機の航空機を合体させたかのようである。
「金属すら徐々に腐食する毒雲だって!?」
ガラス越しに毒々しい紫色を睨む香織。空を飛ぶのが大好きな彼女にとって、上から蓋をするように飛行を妨げる敵の策略は許し難いものだ。
「だが、機動性は落ちてるのか……なら……!」
スロットルは最大に。発動機が騒音染みた唸りを上げて機体の速度が増す。
接近してくるライトニングに気付いたガスマスク兵は迎撃のため機首を向ける。
香織は操縦桿を手前に引き機体を海面と垂直に、上空へ飛び上がっていく。雲より濃度の劣る薄霧ほどの毒ガスを突っ切る。後ろに敵の機体が追いかけてきているが気にしない。鈍亀なんて相手にならない。
そして、紫色のフィルターがかった視界が一気に青く染まる。毒ガスよりも雲よりも高く昇り、香織は後ろを振り返るが敵は追いつけていない。唇が笑みを刻んだ。
「私の相棒の方が……|高《強》い!」
反転。急降下。目標捕捉。トリガー。
12.7mm四門と20mmが作る火線が敵を裂く。射撃で揺れる機体を全身で感じて心地よい。香織は再び操縦桿を引いて急速反転、毒ガスに突入する前に一気に飛び上がる。
機体性能の差は隔絶している。高高度のライトニングに対抗する術は敵に無く、高高度急降下一撃離脱によって喰われ続けるしかない。
「悪いね、高高度は相棒のテリトリーだ」
敵に出来ることと言えば毒ガス雲に隠れることだろうが、ユーベルコード『アルティテュード・アドバンテージ』によって撃ち落される末路は同じ。
そうして数を減らし続ければ毒ガスは維持できなくなり、消え去り、レジスタンス航空部隊が突入してさらに撃たれていくのだ。
双胴の悪魔。その異名の理由を、ガスマスク兵は身命をもって知ることとなった。
大成功
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印旛院・ラビニア
「毒ガスを撒き散らすのは勘弁して欲しいな」
『毒ごときで俺様達が手出しできないと。その傲慢な考え、打ち砕いてやろう』
オブリビオンマシン『劫禍』に搭乗して参加
『鈍重な機体など俺様達の敵ではない』
「問題は毒雲をどうするかだよ」
【空中機動】で可能であれば相手の上側を取りUCによる手足の射出口からドリル弾を発射し、毒雲を爆破して散らす。そして、視界が晴れれば続け様に航空機に撃ち込んで一部は爆破、残りは機体を侵食させて支配し、右軍へ体当たりさせたり、基地から離れた方向へ墜落するように仕向けたり、味方が倒しやすいよう毒雲を止めさせる
『何故雑魚どもを気にする必要がある?』
「味方に配慮するのは当然でしょうが!」
他の猟兵によって敵部隊が削られる最中、印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)もまた、キャバリアに搭乗してアドリア海上空を飛んでいた。
「毒ガスを撒き散らすのは勘弁して欲しいな」
辟易してため息と一緒に愚痴をこぼすラビニア。誰も聞いていないはずのキャバリアのコックピット内に漂う言葉は、しかして返答があった。
『毒ごときで俺様達が手出しできないと。その傲慢な考え、打ち砕いてやろう』
返答の主は彼女の登場するキャバリアであるオブリビオンマシン『劫禍』だ。黒と赤で彩られた悪魔のような外見に違わない、心胆が凍てつくような恐ろしい声。
『鈍重な機体など俺様達の敵ではない』
「問題は毒雲をどうするかだよ」
劫禍に対し気負うことも怯むことも無く気軽に対応するラビニアは、さてどうするか、と悩む。劫禍の言う通り敵機体はどうとでもなる。だが毒雲をどうにかしないとレジスタンスが戦えないのだ。
顎に指を添えて数秒の思案。ラビニアはゲーマーとして培った経験、ゲームで用いてきた戦術から幾つかをピックアップし改良を加えて実行することにした。
「何とかなるかな……多分」
ラビニアは緩い笑みを浮かべる。プランが決まった彼女はすぐに操縦桿を握り機体を駆った。
劫禍が指を開く。最大推力で上昇しながら毒雲を目指す。それを見たガスマスク兵が機体を翻して迎え撃ってくるが、劫禍は鼻で笑った。手足の射出口を構え、ピンバイス型ドリル弾を発射する。
『爆ぜろっ! カラミティ・ドミネイト!!』
薙ぎ払うように発射されたドリル弾は毒雲に風穴を開けながら突き進み爆発。爆風が毒雲を散らし、敵機体を煽ってバランスを崩す。
身を隠す毒雲を失いバランスも崩れた敵は格好の的。劫禍は容赦無く敵にドリル弾を撃ち込んでいく。食い込んだドリル弾は敵機体を内側から爆破して散らすが、それらは一部に過ぎない。邪魔な障害を吹き飛ばした後、残りのドリル弾は劫禍から生成された骸の海をガスマスク兵と機体に注入、侵食して支配。
『俺様の支配からは何人たりと逃れられんぞ!』
基地から離れるよう飛ばして墜落させたり、同士討ちや体当たりさせたり、毒雲を止めさせたりなど、味方が有利になるよう操作していった。
混乱に陥る敵部隊を劫禍は傲慢に見下ろして悦に浸るが、同時にラビニアへ問う。
『何故雑魚どもを気にする必要がある?』
「味方に配慮するのは当然でしょうが!」
心の底から不思議そうにする劫禍に、ラビニアはコンソールを軽く叩いてツッコミを入れるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
葛城・時人
これは確かに猟兵の役目だ
地上からでも濃く見える毒色
皆殺しの企図が明白な禍々しさ
まず勇敢なレジスタンスたちの元へ行って
挨拶をして皆の前で作戦を伝えるよ
「毒雲は全部対処できるから大丈夫」
腕の白燐蟲を見せて説明するね
「放つと戦域に広がって全速突撃するんだ」
蟲の後ろからなら毒雲は吹き飛ばされる
突撃で敵航空機には機関銃掃射を受けたような傷も入る
パイロットの傷は癒せると伝えて
俺は同乗しても地上から使ってもいい
「そこの判断は歴戦の皆に任せるよ」
彼らがどう決めるにしても一緒に戦うのは同じだ
さぁ、じゃあ唱えようUC白燐大拡散砲!
「消えて!無くなれっ!」
必要なら高速・多重詠唱で重ね掛け
成功したら彼らと勝利を喜ぼう
こうして空から見ても、毒ガス雲の禍々しさは変わらないと葛城・時人(光望護花・f35294)は苦々しく表情を歪めた。命ある全てを皆殺しにせんと濃い毒色が青空を蝕んでいる。
視線を前に戻せば、座席の背と羽毛が見えた。時人はレジスタンス航空部隊の隊長機に同乗しているのだ。
少し前、地上の出撃準備中だったレジスタンスの元へ行き、挨拶と作戦の説明をした時人。同乗しても地上からでもできると伝えた上で。
「そこの判断は歴戦の皆に任せるよ」
と言ったところ、同乗となったわけである。レジスタンスの隊長曰く、同乗している方がタイミングが計りやすいらしい。
そして、時人は隊長である鷲の獣人と空を行っているわけだが、このような状況でなければ純粋に空の旅を楽しみたいくらいには快適な飛行であると、腕前に感心していた。
作戦の頃合いが近づく中、隊長が振り返ることなく言葉を投げかけてきた。
「もうすぐポイントに着く。再確認するが、いけるんだな?」
不安に思ってのものではなく、ミスを無くしたり心構えのための確認。
時人は自信を込めて返答した。
「毒雲は全部対処できるから大丈夫」
腕を持ち上げて白燐蟲を見せる。
「放つと戦域に広がって全速突撃するんだ」
恐れることは何もないと、激励するように告げれば、隊長は力強く頷いた。
「了解だ。任せたぜ、猟兵」
隊長機が加速する。それに続いてレジスタンス航空部隊もスピードを増す。毒ガスの毒々しい紫色が近づいてくる。こちらを覗くように飛び回る敵機の姿もある。
時人は腕を掲げ、力を込めて唱えた。
「消えて! 無くなれっ!」
白燐大拡散砲! 機体の周囲に純白の羽毛と翼を持つ蛇の姿の白燐蟲ククルカンが無数に現れ毒雲へ飛翔突撃していく。それはさながら天の川の如く壮大で美しく、白い大波は紫の毒雲を押し退け吹き飛ばし、巻き込んだ敵機体を喰らって貫き機関銃掃射を受けたかのように穴だらけにしてしまう。
大混乱の敵。そこへレジスタンス航空部隊が突入。曳光弾が空に軌跡を描き、鈍重な敵機を撃墜していく。ダメージを負った敵も無事な敵も区別なく、反抗の爪牙が屠っていった。
「スゲーなアンタ! おかげで上手く行った」
「レジスタンスの皆さんこそ、良い腕をしている。お見事」
時人と隊長は勝利を喜び、互いに褒め称えた。陣形を再び組んだレジスタンスの皆も、窓越しにサムズアップしたり喜びを表現している。
祝福するかのように、空は青さを取り戻していた。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
おい空戦しろよ
なんで拙者に気持ちよく空戦させねぇんだ!拙者はお前達が火を噴いて落ちるのを見ていたいんだよ!!
ムカついたのでオヌシラはゴリ押しで殺す、慈悲はない
【航空機召喚】でござるよジェット戦闘機な!こいつで対空ミサイルをぽこじゃか撃とうぜ!装弾数をべらぼうに増やしたからほぼ無限にミサイルが撃てるでござるよ!貴様らが!泣くまで!撃つのをやめないッ!
途中毒でミサイルが爆発してもそれで毒が散らされるので問題ないな!ヨシ!
毒雲散らしてミサイルに追っかけ回されて統制取れなくなったら掃討戦の時間だオラァ!
レジスタンス共はさっさと毒が無いうちに連中を叩き潰すんでござるよ!
猟兵の協力とレジスタンスの奮戦によって敵と毒雲の規模は縮小しつつあった。それでも敵部隊が撤退しないのは命令だからか。
けれども慈悲は無い。更なるダメ押しを加えんと轟音を振りまきつつ現れるのはジェット戦闘機に搭乗したエドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)。
「おい空戦しろよ」
レシプロ航空機とは異なるエンジン音を奏でながらルーデルは真顔で告げた。
「なんで拙者に気持ちよく空戦させねぇんだ! 拙者はお前達が火を噴いて落ちるのを見ていたいんだよ!!」
かと思えばくわっと目を見開いて理不尽なことを仰る。
「ムカついたのでオヌシラはゴリ押しで殺す、慈悲はない」
情緒不安定かと思うほどの百面相と声色の変化。ルーデルが指をパチンと鳴らすと搭乗機が電脳魔術の影響でパチパチと発光した。
「|Luftflotte《ルフトフロッテ》! こいつで対空ミサイルをぽこじゃか撃とうぜ! 装弾数をべらぼうに増やしたからほぼ無限にミサイルが撃てるでござるよ! 貴様らが! 泣くまで! 撃つのをやめないッ!」
うっかり通信を聞いてしまったレジスタンスのパイロットが「ぼこじゃが……?」と首を傾げるが無視。カチカチカチと矢鱈トリガーを押しまくり翼下ハードポイントに装備されたミサイルを発射しまくった。
白煙の尾を曳きながら飛び回るミサイル。いくつかは毒の影響で爆発するが。
「途中毒でミサイルが爆発してもそれで毒が散らされるので問題ないな! ヨシ!」
どこを指しているのかわからない指さし確認するルーデル。なぁに事故っても死ぬのは敵である。あいつは死んでいいやつだから。
泣いたって止まらないやめないミサイル乱舞が空に爆発の華を乱れ咲き。ガスマスク兵は機体ごと爆発四散。もはや陣形も何もあったものではなく。
「毒雲散らしてミサイルに追っかけ回されて統制取れなくなったら掃討戦の時間だオラァ! レジスタンス共はさっさと毒が無いうちに連中を叩き潰すんでござるよ!」
『り、了解!』
今度は鬼軍曹。ルーデルのノリと勢いと何らかの何かについていけないレジスタンス航空部隊であったが、まあチャンスは事実なので残党狩りに突入である。
ともすれば爆発や機関銃よりもやかましく、ルーデルの独壇場と化した空であった。
大成功
🔵🔵🔵
シリン・カービン
「嵐の中を飛んだことは?」
任せろとの操縦士の答えに、
「ではお任せします」と後部座席に乗り込みます。
毒ガスと言えど一気に吹き飛ばせば脅威にはならない。
敵機を超視力で目視次第、風と水の精霊の声を降らせ、
グリードオーシャンの嵐の海を再現します。
暴風が毒ガスを一瞬で吹き飛ばしてくれる。
それにしても、ここの飛行機乗りは大したものです。
グリードオーシャンクラスの嵐をモノともしないとは。
おかげで、私は狙撃に専念できる。
機動性の落ちた機体など止まっているようなもの。
火の精霊弾でガスタンクを爆発させます。
戦闘が終わり、嵐が去り、空が青さを取り戻す頃。
最高だろ、と振り向く操縦士に笑顔で応えます。
「ええ、本当に」
青空の中を飛行するレジスタンス航空部隊。増援が尽きた相手に最後の痛打を撃ち込むべく進むうちの1機に、シリン・カービン(緑の狩り人・f04146)は搭乗している。
彼女は後部座席から前を見る。操縦席の背もたれからは狼の耳がはみ出ていた。
「嵐の中を飛んだことは?」
シリンは操縦士に問いかける。
「毎日飛んでるぜ、任せろ」
狼の獣人操縦士はベテランなのだという。鉄も風も雨も、嵐を飛んできたと。
「ではお任せします」
シリンは微笑んで信を預けて、防風窓越しに毒ガス雲へ目を向ける。
ハンターとして生きてきた彼女の眼は鷹の如き視力を有する。それは単に遠くが見えるというだけでなく、狙う獲物を的確に見分け、追うことができるということ。
その瞳が森の獣よりも容易くガスマスク兵の乗る機体を捕捉した。
「毒ガスと言えど、一気に吹き飛ばせば脅威にはならない」
|Shape of Memory《キオクノカタチ》。風と水の精霊の声を降らせ、グリードオーシャンの嵐の海を再現する。
晴れた青空を黒く厚い雲が覆っていく。海面を荒らすほどに強烈な風が吹く。無数の雨粒が空間を叩く。暴風と大雨の前では毒ガスは逆らえず、敵の機体もまともに飛べやしない。
しかし、シリンの乗る戦闘機は違う。
「それにしても、ここの飛行機乗りは大したものです」
クールな声に驚きと感心を宿して呟く。
「グリードオーシャンクラスの嵐をモノともしないとは」
ほとんど揺れない機内。荒れ狂う風を読み、逆らうのではなく乗りこなす。滑るように飛行する、卓越した操縦技術。
何も心配することはないと、シリンは狙撃に専念した。敵はふらふらと振り回され、鈍重な機体はさらに機動性を落下させている。
止まったも同然の敵機体の、側面を紅い弾が貫く。シリンの撃った火の精霊弾は機体のガスタンクに飛び込み、着火、爆発。嵐の世界でも眩い花を咲かせて、すぐに掻き消された。
次々に咲く爆発。閃光が発せられるたびに敵機体が散る。あるいは嵐に飲まれて砕け散った。
気づけば敵はいなくなっていて、風と雨は弱まり、雲一つない青い空が戻ってきた頃。
「最高だろ」
操縦士が振り向いて、心底楽しそうに言った。
「ええ、本当に」
シリンもまた、笑顔で応えた。
大成功
🔵🔵🔵