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獣人世界大戦⑦〜紫電清霜

#獣人戦線 #獣人世界大戦 #第一戦線 #人民租界 #九龍城

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●サイバードラゴンシティ『九龍城』
 いかなる超大国の領有下にも属さない、香港のサイバー城塞『九龍城』
 超大国に反旗を翻そうとする数多の獣人達が住まう、混沌と退廃の都だ。

「……どうやらこの九龍城が進撃を始めたらしい、その名の通りヘビのようにね」
 グリモアベースの一角で集った猟兵たちへ依頼のあらましを説明する ノヴァ・フォルモントは、神妙な面持ちで軽く腕を組んだ。
 ノヴァの話によれば、九龍城は大地をのたうち進みうねりながら中国大陸部へと進み続けている。
 九龍城の標的は中国を支配する超大国『人民租界軍』だろう。
 既に超大国側も進撃する九龍城を止めるべくオブリビオンを嗾けるなど、両者の戦いは始まっている。
「どんな原理で都市そのものが移動を始めたのかは解らないが、この好機を逃す手はないだろうな」
 九龍城に棲まう獣人も皆、同様に考える者たちばかりだろう。
 此処は彼らと手を組み、人民租界軍の殲滅へと踏み出す時だ。

「――まず皆には九龍城に赴き、彼らの歓待を受けて欲しい」
 それにより不思議な『九龍の霊気』というものを暫く身に着けることが出来るらしい。
 グリモアの予知によれば、この霊気は今後の人民租界での戦いに役立つモノのようだ。
 歓待といっても様々で、宴を開く者、遊びに興じる者、各々のやり方で獣人たちは発奮している。
「……そうだな、戦いに向けて自分の武器を見て貰うというのも良いかもしれない」
 超大国に反発するような輩が集まった九龍城だ、武器の類を専門的に扱い商いをする者も、もちろん居るだろう。
 彼らにそれを見せ、気が進めば預けてみるのも良い。

「皆それぞれ、必ずその手に何らかの武器を所持している筈だ。俺の場合は、この竪琴かな」
 形のある武具を始め、概念的な存在、己の肉体が武器という者も居るだろうか。
 今後も激戦が予想される戦いに向けて、その調整をしておくいい機会かもしれない。

 そして、この九龍城は混沌と退廃の都だということも忘れてはならない。
 この都市に棲む獣人たちは皆、いわゆるアウトロー。
 秩序からはみだした者、無法者やならず者など、一癖も二癖もある連中ばかりだ。
 見た目にも強面な獣人たちが揃い踏みだが、猟兵のことは概ね『超大国に反抗して戦う気持ちのいい連中』と認識しているらしい。
「見た目や態度こそアレだが、彼らも俺たちの事は好意的に迎えてくれる筈だ」
 なので必要以上に警戒することはない、とノヴァは告げた。

●牙を研ぐ
 ――既に九龍城では戦いに赴く者、戦いに向けて備える者など、混沌さは何時にも増していた。
 その中の一角に、様々な合法違法な武器を取り揃え工具を広げる集団が居る。
 彼らは九龍城を根城とする鍛冶職人たちだった。
 武器を調整してもらう者、新たな武器を調達する者、数多くの獣人たちが集まり戦いに向けて己の牙を磨き上げる。

『――よう、あんたら猟兵か? ウワサは聞いてるぜ』
 どっしりと胡座を組み、片目に傷跡が走るトラの獣人が此方に気付き鋭い眸を向ける。
『デカい戦が始まってんだろ? 皆、血気盛んになってんダ。よかったらあんたの武器も見てやるぜ?』
 普段ならたんまりと対価を払わせられるだろう。だが今は緊急事態だ。
「金はいらねぇよ、」と素っ気なく告げた鍛冶屋はニヤリとその口許を歪め、鋭い牙を光らせた。


朧月
 こんにちは、朧月です。
 獣人戦線より戦争シナリオのお届けです。
 どうぞよろしくお願いします。

●概要
 こちらは一章で完結する『獣人世界大戦』戦争シナリオです。
 香港のサイバー城塞『九龍城』が舞台となります。
 アウトロー獣人達の歓待を受け「九龍の霊気」を身に着けましょう。

●成功条件
 要約すると「あなたの武器を自慢してください!」になります。

 皆さんが出会うのは九龍城でも名高い凄腕鍛冶屋の集団です。
 混沌都市『九龍城』を根城とする彼らの知識や技術は幅広く、
 あらゆる武具の扱いを熟しています。

 戦いに向けて実際に武器を見て貰うのはもちろん、
 武器自慢や武器への思い入れを話していただくだけでもOKです。

 ※POW/SPD/WIZは行動例ですので、自由な発想でどうぞ。
 ※対話する獣人の種類は選べません。朧月が適当描写します。
 ※専門的な知識が必要な内容は見送らせていただく場合があります。
(メカ・ロボ・実存する銃をモチーフにしたものなどが該当します)

●進行
 OP公開と同時にプレイング受付を開始、断章の追加はありません。
 締切は参加状況を見つつ、別途告知させていただきます。
 最短でも一日以上は受付期間を設けるつもりです。
 採用は『第一戦線』の締め切りまでに書ける分のみになります。

●共同プレイングについて
 同伴者はご自身含めて【2】名様まで、でお願いします。
 【相手のお名前(ID)】or【グループ名】をご明記ください。
 送信タイミングは可能な限り揃えていただけると助かります。

 以上です。
 皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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第1章 日常 『混沌都市の凄腕鍛冶屋!』

POW   :    力仕事なら任せろー!

SPD   :    精密機器の調整には自信があるぞ!

WIZ   :    危険な宝貝もしっかりメンテだ!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

レニー・リー
武器かあ
おれは基本的に徒手空拳で戦うけど
…大事なやつ、持ってるんだよね
いい機会だし、見てもらおうかな

提示する武器は二つ

1つ目は如意棒
使い手の意思に応じて自在に伸縮する棒状武器
使い込まれてるのが一目でわかる
これは、人民租界ではよく知られた武器かな

2つ目は宿星剣
使い手の闘気に反応し輝きを増す、謎めいた直剣
輝きを増す原理も、輝いたら何らかの効果があるのかも
おれは知らないんだよね
…教わる前に師匠、死んじゃったからさ

使う機会はこれまで無かったけど
どっちも受け継いだ大事なものなんだ
武器達に…師匠に誓って
この世界の為に戦い抜くよ

そうだ。良かったら売ってる武器も見せてよ
おれの戦闘スタイルに合うやつ、あるかな?



(「武器かあ……」)
 九龍城の一角、数多の獣人が集まる片隅で レニー・リーは鍛冶屋職人達が自慢気に並べる得物を眺めていた。
『――そこの兄ちゃん、俺らの武器に興味があるのか? 今日は出血大サービスだ、気に入ったものがアレば譲るぜ』
 ズラリと並べられた汎ゆる武器の向こう側で、白黒縞の虎獣人が白い牙を見せて口許を歪めた。

「……いや、おれは基本的に徒手空拳で戦うから武器は使わないんだけどね」
『へぇ、己の体が武器ってことかい。じゃあその腰に提げてるのは飾りか?』
 虎の爪が指差したのはレニーの腰に確りと装着された二本の得物。
「ああ、これか。どっちも俺の師匠から受け継いだ大事なものなんだ」
 だから自分では使わずとも、こうして肌身離さず身に着けている。
 ある意味、御守のようなものなのかもしれないとレニーは小さく笑って。
「……そうだ、いい機会だし、ちょっと見て貰おうかな」
『お、いいのか? んじゃ、貸してみな』

 レニーが腰の後ろから引き抜いた一つ目の武器は如意棒。
 今は短い只の棒だが、使い手の意思に応じて自在に伸縮する。
 褪せた色や細かい傷から使い込まれてるのが一目でわかる、年季の入った代物だ。
 人民租界でもありふれた武器だろう、現に鍛冶屋が並べている武器の中にも似たようなものはあった。
 もう一つは鞘に収められた直剣。
 宿星剣とも呼ばれるもので、使い手の闘気に反応し輝きを増すと云う話は聞いたことがある。
 けれどレニーは手入れをする時以外、鞘から抜くことは殆どなかった。
「輝きを増す原理も、輝いたら何らかの効果があるのかも……おれは知らないんだよね」
 ――教わる前に師匠、死んじゃったからさ。
 そう小さく零す声に、鍛冶屋は『へぇ』と小さく頷きながら、渡された武器をマジマジと眺めている。
 スラリと鞘から抜かれた宿星剣は輝きを帯びることなく、今は鈍く光る只の剣に見える。

 どちらの武器も使う機会は今まで無かった。
 けれど師匠の意志を受け継いだ大事なものに違いはない。
「武器達に……師匠に誓って、この世界の為に戦い抜くよ」
『はは、俺等にとってもそりゃありがたいことだ。仲間は一人でも多いほうがいい、あんたみたいな奴なら大歓迎だよ』
 鍛冶屋は機嫌良さそうに笑うと、剣を鞘に戻してレニーに手渡した。
 いいモノ見せて貰ったぜ、と言い残す彼にも何かしらの収穫はあったのだろうか。

「……そうだ。良かったら売ってる武器も見せてよ。おれの戦闘スタイルに合うやつ、あるかな?」
『兄ちゃんに合いそうな武器、ねぇ……』
 鍛冶屋は顎に手を添えつつ、レニーの姿をもう一度見返すと視線を下に戻す。
 徒手空拳で戦うとすれば、体に直接装備する武器か、小回りの効く武器、欠点を補う遠隔武器なども選択肢に入るだろうか。
『――だが、兄ちゃんが己の拳に自信があるってんなら。下手な小道具は必要ないかもしれねぇな』
 便利な道具は物事を有利に運ぶこともあるが、時として枷になることもあり得る。
「……ふーん、案外商売っ気がないんだね」
『おいおい、こっちは真面目にアドバイスしてやってんだぜ?』
 やれやれと呆れる鍛冶屋にレニーも可笑しそうに肩を竦めて笑う。
『――ま、本当に兄ちゃんが己の力の限界……物足りなさを感じたら、その時はまた来るといい。相談に乗ってやるよ』
 そん時は、報酬の金はたっぷりと貰うけどな。
 結局それが売り込まなかったワケなの? と応えるレニーに。
 鍛冶屋の虎獣人はにっかりと白い牙を見せて笑い返した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィゼア・パズル
九龍の霊気。これは興味深いな。戦の前に力を蓄えるのも良いか。
しかし、この様な場所もあるとは…先ずは一帯を見渡そう。街並み並ぶ道具、商品に使われる工具類……自身も元は鍛治士に近い身の上だからか興味は尽きない。
常日頃なら警戒するが…心配は無用との事だ。報酬に代わり、職人達には敬意を払おう。
「世話になる。」
預けるのは翠煌翼刀〈スイコウヨクトウ〉
「こう見えて魔導書なんだよ。勿論、剣やナイフとしても使えるが…武器に出来るほどの強度は無くてね。」
専門的な会話は楽しむ方だ。
「異世界の精霊の存在を、此方の世界で安定させ力を使える様に調整させる…謂わば翻訳機の様な物だよ。」

新たな力、期待しているよ。



 ――話に聞く『九龍の霊気』とは如何なるものか。
 この土地に根付く自然的な力か、はたまた超次元的な存在の加護なのか。
(「興味深いな……それに、戦の前に力を蓄えるのも良いか」)
 ふわりと漂う風のように、ヴィゼア・パズルは九龍城の地に降り立った。

「――しかし、この様な場所もあるとは……」
 混沌としたサイバー城塞都市『九龍城』
 その名の通り、とぐろを巻いたヘビのように岩山や建物が連なり、輝くネオンの光は夜通し消えることがない。
 継ぎ接ぎだらけの街はまるでパズルのように組み重なって、不安定さを残しつつも何処か壮観な光景でも在った。
 軽く街の様子を眺めたあと、ヴィゼアは目的の場所へ向かう。
 屋根のある少し開けた空間が彼らの生業とする場所らしい。
 既に多くの獣人が行き来する様子を見れば、武器を研いで貰ったり具合を調整してもらう者、新たな得物を手にする者など様々だ。
 武器や工具をズラリと広げる鍛治士たちを見て、ヴィゼアもふと小さく笑む。
 自身も元は鍛治士に近い身の上だからか、今なお思い出しては興味が尽きないものでもあった。
 大きな戦で殺気立つ獣人たちの存在は多少気に掛かるものの、警戒は不要とのことらしい。
 ヴィゼアは興味深そうに他の獣人たちに混じって鍛冶士の店を覗き見た。

 その中のひとり、大柄の兎獣人が広げる店はどうやら一般的な武器ではなく、魔法や魔導具――。
 いや、この場所で云うと仙術や宝貝と呼ばれるものになるのだろうか。
 少々風変わりな武器や道具を取り揃えているようだった。
 やがて獣人たちの波が消え、店の前にひとり残ったヴィゼアにちらりと店主が目を向ける。
『――アンタ、こいつらに興味があるのかい? てことは術を使う者か』
「ああ、そうだな……まあ似たようなものだ」
 ヴィゼアは「世話になる」と一言添え、改めて並べられた商品に目を通す。
『ここに置いてあるもんは、大体が補助道具みたいなもんさ。主に術が使えないやつが身を護ったり遠隔攻撃をしたりと、便利に使う道具ってトコか』
 確かによく見てみれば、殺傷能力が高そうな武器らしい武器は置いていない。
 此処の獣人たちが長居せずに去ったのもそのせいだろうか。
『――でもアンタは、自分で使えるやつだろ?』
「へぇ……わかるものなんだな」
『まあ、ワタシも多少は術の心得があるからね。何となく感覚で分かるもんさ』
 それならと、ヴィゼアが取り出したのは翡翠色に輝く美しい短剣。
『――それは?』
 店主が興味深そうに身を乗り出せば、ヴィゼアが手にする『翠煌翼刀』がふわりと光を帯びる。
「こう見えて魔導書なんだよ。勿論、剣やナイフとしても使えるが……武器に出来るほどの強度は無くてね」
 ちょっと持ってみるかい? とヴィゼアが店主に手渡せば、鍛冶士は興味深そうに短剣を品定めする。
『確かにこりゃ、見たこともない素材で出来てるね。……で、具体的にどうやって使うものなんだい?』
「そうだな……一種の記憶媒体みたいなものかな。謂わば翻訳機の様な物だよ」
 異世界の精霊の存在を、此方の世界で安定させ力を使える様に調整させる――という説明が一番理解しやすいだろうか。
 自然と精霊の力を使うヴィゼアにとってはなくてはならない相棒のひとつだ。
『へぇ……なるほどねぇ。ウチの道具にもその辺りの発想は応用できそうだな』
「何か新しい道具のヒントになったかな、それなら何より」

 鍛冶士との会話が弾むなか、ヴィゼアは己の掌をふと見つめる。
 九龍の霊気とやらは、さて身に着いたのだろうかと。
 だが分かりやすい体の変化こそないものの、九龍城に足を踏みれた時から感じる不思議な高揚感はあった。
 それがこの都市に棲む獣人たちの熱気からによるものか、自然的な力によるものなのか。
 ヴィゼアは拳を小さく握りしめる。
 この新たな力の正体も、きっと直ぐにわかることだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルゼブ・アズモリィ
すっげえ!ワル心を超刺激される眺めだな!
『刺激されるのは結構だが、観光に来たわけではないのだぞ』
わかってるって!

武器を見せる前に、アウトローにも物怖じしない度胸を見せてみようかな。
小柄なりに腕を組み仁王立ち、魔界住人の《悪のカリスマ》を漂わせ、

「オレの武器はコイツだ!」
とレブヤ・ベザル(喋る武器)を掲げる。
『獣人よ…言葉を解し、話す剣に興味はあるか?』
「へへ、剣と意思疎通が取れるってことはつまり、戦いでも互いの考えやタイミングを合わせられる!まさに人剣一体!」

武器が喋る長所を解説した後、極めつけとばかりに、
「そして何と言っても…」
「ツッコミ役にもなる!」
『…』

*アドリブOK
*『』は喋る武器の声



 体に傷や刺青のある者、恰幅のいい獣人たち、如何にもワルそうな目つき。
 混沌とした街の様子に アルゼブ・アズモリィは思わず瞳を輝かせる。

「すっげえ!ワル心を超刺激される眺めだな!」
『……刺激されるのは結構だが、観光に来たわけではないのだぞ?』
 アルゼブが楽しげに跳ねる背中、背負った剣が静止するようにひと声を発した。
「わ、わかってるって!今は大きな戦いが始まってる、んでココには『九龍の霊気』とかいう謎の力を貰いに来た、でおっけーだろ?」
『――ふ、理解しているなら良い』
 漫才よろしく盛り上がるふたりは目的の場所、鍛冶士たちが店を広げる場所へと駆け出した。

 既に鍛冶士たちの店の前には沢山の獣人たちで溢れかえっていた。
 ある者は武器を見せて手入れをしてもらったり、ある者は新しい得物を迎えたりと。
 みな戦いに向けて血気盛んになっているのが見て取れる。
 アルゼブはそんなアウトローに囲まれる中でも物怖じせずに腕を組み仁王立ちした。
 魔界の住人らしく悪のカリスマオーラを漂わせ、周囲の注目を集める。

「――ん? なんだボウズ、ここらじゃ見ない顔だな」
「変わった武器を背負ってんなあ」
 狙い通りアウトローな獣人たちの興味を引いたアルゼブは、ふふんと自信アリ気に笑ってみせた。
「へへー、この武器気になるか? んじゃ、コイツを紹介してやるぜ!」
 自慢気に背中から振り翳したのは禍々しい大剣「レブヤ・ベザル」
 その見た目の異質さとデザインは九龍城の住人たちにとっては珍しく映ることだろう。
 どよめきが起こり、興味アリと獣人や鍛冶士までもが腰を上げてアルゼブが手にする大剣に近付く。

『獣人よ……言葉を解し、話す剣に興味はあるか?』
「うお、まさか今喋ったのか? 武器が……!?」
 驚く獣人たちの様子にアルゼブはへへ、と笑ってみせる。
「そーだ!剣と意思疎通が取れるってことはつまり、戦いでも互いの考えやタイミングを合わせられる!まさに人剣一体!」
「喋るうえに武器に意志まであるってのか!? そりゃ驚きだぜ」
 獣人のひとりが興味本位で大剣に手を伸ばそうとした所、レブヤ・ベザルが威嚇するように刀身をくねらせ噛み付こうとする。
『気安く触れれば、怪我では済まないぞ……』
「はは、随分と凶暴な相棒だなぁ、ボウス」
「ふふふ、だろー? なんてったってオレ専用の武器だからな!」

「――そして、何と言っても……」
「お、まだ何か秘密の仕掛けでもあるのか?」
 気付けば周囲には野次馬の獣人も増え、アルゼブの次の言葉をワクワクとした表情で見守った。
「ツッコミ役にも、なる!!」
 極めつけとばかりに胸を張って宣言するアルゼブ。
『……』
「……ツッコミ役だって……?」
 先ほどとは違ったどよめきが獣人たちに沸き起こる。
『……ここは、実際にツッコんでやるべきなんだろうか?』
「え!? 今は別にツッコむトコじゃねーって!ただの事実だろ?」
 そうしてふたりが織り成す漫才劇場に、アウトロー獣人たちは牙を見せて大いに笑い合ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
武器かぁ…
僕の場合は遠距離用なら杖、近距離用なら鎌かなぁ
まぁ杖は伸縮するし鎌は魔法と組み合わせれば斬撃飛ばせるしで
意外とそれぞれで遠近両用出来たりもするんだけど

特徴としては、どちらも見た目よりも軽いっていうところ
どちらも特殊な素材と魔法で出来ててね
僕、情けない事に体も弱ければ力も体力も無くて
だからそんな僕でも扱いやすいように工夫してるんだ
よかったら実物持ってみます?

ただ、もっと小型でかつ威力の高い武器とかも有りだなぁって最近は思ってるかな
鎌も杖も戦闘時のサイズって結構大きいから
例えば、小型の銃とかね
銃器の扱いも最近覚えて来たし
もしよかったらその辺も相談乗ってもらえると嬉しいかな



「武器かぁ……」
 戦いの際は常にこの小さな手に握られているもの。
 こうして意識する機会がなければ、思い切って新調しようとも思わないだろうか。

 アウトローで厳つい獣人たちが集まる中、小柄で華奢な 栗花落・澪の姿は少し珍しく映ったのだろう、周囲から感じる視線に澪はにこりと笑みを返してみせる。
『そこのおジョーちゃん? こんな物騒な場所に何のようだい?』
 声を掛けてきたのは店を広げる鍛冶士のひとり。
 ピンと立ったウサギ耳に目が行く、大柄の兎獣人だ。
「うん、ここには色んな武器があるって聞いて……もしよかったら、相談に乗ってもらえると嬉しいかな」
『へぇ、新しい武器をお探しかい?』
 そうなの、と澪は鍛冶士に自分の武器を見せてみる。
 一つは清浄な輝きを放つ杖。
 伸縮自在で、短くバトンのように扱うことも出来る。
 もう一つは鎌。魔法の力を帯びた大鎌だ。
 透き通った美しい薄紅色で、澪が持つと絵になるように馴染む色合いに染まっている。
『……ふうん、おジョーちゃんは術を使うヒトなのかね。武器はその媒体ってトコロか』
「うーん、まあ。本当に物理的な武器としても使うこともあるけれど」

 どちらの武器も特殊な素材と魔法を合わせたモノで出来ている。
 見た目よりとても軽いのも特徴だと澪は語った。
「……僕、情けない事に体も弱ければ力も体力も無くて」
 だからそんな自分でも扱いやすいようにと、こうして武器にも一工夫を凝らしているのだ。
「よかったら実物、持ってみます?」
『お、いいのかい? んじゃ、ちょっと貸してもらおうか』
 獣人が武器を受け取れば、あまりの軽さに逆に驚くような顔を見せる。
『たしかにこりゃ、軽いなぁ……素材的にもこれ以上は改良の仕様がなさそうだ』
「うぅん、ですよね」
 澪は返された武器を手元に戻すと、軽く構えてみせる。
 現状でも問題といえば無いが、使い易いに越したことはないだろう。

「……ただ、もっと小型でかつ威力の高い武器とかも有りだなぁって、最近は思ってるかな」
 実際に、この鎌も杖も戦闘時にはかなりの大きさを誇る得物だ。
 小回りが効かないという欠点も確かにある。
『ふむ……小型で威力のある武器ねぇ。純粋に考えれば銃になるんだろうか』
「あ、やっぱりその辺りになるんだね。最近、銃の扱い方も覚えてきたし。主力の武器として使うのもありかなあ」
『そーだな、例えば魔力を込めて弾丸で放つとか。単純な仕掛けだが、遠距離武器としてはぴったりだろうな』
「ふむふむ……なるほどねぇ。うん、ちょっと考えてみようかな? あとせっかくなら、デザインにも拘りたいし」
『はは、生憎と此処には物騒な見た目のものしか売ってないんでね。ま、何かのヒントになれば何よりだ』
「――うん、ありがとう!」
 澪は小さな自分の掌を見つめ、きゅっと軽く握りしめた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年05月10日


挿絵イラスト