神楽木・由奈
作者さんに完全にお任せで、ノベル、何か書いて欲しいです!
どうかよろしくお願いしまーす!
キャラ設定だけ!
17歳女 生まれ:サムライエンパイアの下級貴族
149.4cm 黒髪セミロング、黒瞳、肌色
口調 あたし、あなた、~さん、~だよ、~もん
日ざしが夏の気配を帯び始める五月の初旬、青く晴れた江戸の空にのぼりが高々と舞う。
「うわ、すごい……!」
今日、端午の節句は江戸幕府の式日だ。それは神楽木・由奈の故郷である小さな町よりもずっと盛大に祝われていた。どの民家の前にも創意豊かな装飾がなされており、厚紙で作られた鎧兜や、浮世絵風の絵が描かれたのぼりなどが所狭しと並んでいる。
依頼の帰り道にせっかくだからと立ち寄ってみたのだが、由奈のお転婆心を刺激する光景だ。あちこちで買い食いを楽しみながら、江戸城へ向かう大名行列の壮麗ないでたちを見物していると、ふいに何かが着物の裾にぺちっと当たった気がした。
「へへー、おれの勝ちー!」
「こ、こら、やめなさい! 失礼でしょ」
見ると、幼い少年が菖蒲太刀を手にしてふんぞり返っている。隣で謝っている女性は母親だろうか――かなりやんちゃな少年のようだ。このようにチャンバラごっこをするのも江戸時代ならではの風習といえる。由奈はううん、平気だよと元気に笑い返し、自分も菖蒲太刀を借り受ける。
「やったなー! よーし、お姉ちゃんと勝負だ!」
勿論、猟兵として幼い頃からしっかり武芸を学んできた由奈が町民の子どもに負ける筈はない。けれど童心に返った気分で玩具の刀を振り回し、滅茶苦茶な太刀筋を受けていると、なんだか楽しくなってきた。最後は少年の一撃を受け、ばったりと後ろに倒れこんでみせる。
「わー強ーい、やられちゃった!」
由奈の一声で少年もご機嫌だ。飛び跳ねながら家に帰っていく少年を見送り、由奈もまた散策に戻ろうとすると、先程の母親が家から出てきて「よかったらどうぞ」と何かを手渡してきた。ほのかな柏の葉と餡の香りが食欲を刺激する――手作りの柏餅だ。
「えへへ、有難うございます」
ちょうどお腹もすいてきた所。店で売られているお団子や和菓子も良いが、手作りのお餅にはどことなく故郷の町並みを思い出させるような素朴な美味しさがある。甘さ控えめの餡には、江戸の庶民の暮らしの味が染みている。
今日も小さな幸せを守れたんだ。満ち足りた思いで空を見上げると、この時代ではまだ珍しい鯉のぼりがあがっていた。何百年も後の時代では、五月五日にはあの鯉のぼりが家に飾られることになる。
のんびりしたい時もあるけれど、その日までこの世界を、時代を守り続けよう。美味しいもの、可愛いもの、楽しいことが未来にはたくさん待っているから。
成功
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