獣人世界大戦⑧〜有頂天ノ神武
「カカッ…第六の猟兵共よ……俺は此処にいる。」
|須弥山型都市《シャングリラ・シュミセン》の山頂、この都市の全てを見渡せる絶景を誇る|有頂天天蓋《ウチョウテン・ルーフ》に、圧倒的な存在感を放つ獣人、有頂天道人が立つ。
「“はじまりの猟兵”を探す前に…まずはお前らの相手をしてやろう。」
その姿は、獣人のようではあるものの、異なる二つの異形を合わせ纏う。
「サイバー化」と「混沌化」──武によって完全に制御された異形は、もはや芸術のようで。
周囲は広く、まるで武舞台のようだ。
ネオンに照らされた都市を眼下に、夜の闇が支配していく。
「新しい事件を予知しました。」
集まった猟兵たちを見渡して、白霧・希雪(呪いの克服者・f41587)はいつもの調子で話し始める。
「今回の依頼は、|須弥山型都市《シャングリラ・シュミセン》を制圧した、有頂天道人の一人を討伐すること、です。」
集まった猟兵達からざわめきが起こる。
|須弥山型都市《シャングリラ・シュミセン》は一つの山を改造して作られた仙術サイバー都市。地形、戦力、そのどちらを鑑みても落とすのは容易ではない。それを単独で行ったとなると──。
「えぇ、有頂天道人は、非常に強大な敵です。「サイバー化」「混沌化」の二つの状態変化をしており、機械化義体の膂力と速度、混沌身体の不定形な動き、そしてその二つを組み合わせた多彩なカンフー技……確実に単独で勝利できる猟兵など、存在しないのではと思える程に。」
功夫と異形の融合。
猟兵にも、特殊な身体をし、武術に秀でたたものが数多くいるが、それだけその脅威もわかっている。
「ですが、今回はこの凄まじい戦闘力を持った有頂天道人を、討伐して欲しい。」
無理だ、とは言わない。
勝つのが難しいのは、1対1で戦う場合。
複数人で戦えば、十分に勝算はあるはずだ。
「1つ保証できるのは、彼が猟兵達を待っている、ということです。彼は奇襲のアドバンテージを捨て、広い|有頂天天蓋《ウチョウテン・ルーフ》の上で待っている。」
|有頂天天蓋《ウチョウテン・ルーフ》、それは|須弥山型都市《シャングリラ・シュミセン》の山頂のことを指す。
そこで待つのなら、奇襲の心配がないというのは本当のことなのだろう。
「その試合内容が、正々堂々としたものかは疑問が残りますが──」
有頂天道人は武人だ。しかし目的の為なら手段を選ばない冷酷さもある。
少なくとも、奇襲をする気はないようだが…それは正々堂々戦うことに結びつけるにはリスクが大きすぎる。
希雪は猟兵達の様子を見て、説明を止める。
早く戦わせろ、とその瞳が雄弁に語っているのを見たからだ。
「これ以上、語る必要もないみたいですね。では、|門《ゲート》を開きます」
大きく翼と両腕を広げ、白い霧で辺りを包み込む。
霧の向こうに見えるのは、光り輝く黒。
「行き先は、獣人戦線、|有頂天天蓋《ウチョウテン・ルーフ》。どうか、ご武運を──」
カスミ
獣人戦線での戦争、他のMS様も凄い勢いで書き上げているので、私も頑張る所存です!
10日以降に解禁されるものも、20日以降に解禁されるものも、楽しみに待っていましょう。
今回は、主要的「有頂天道人」との戦いです。
しっかり勝ち切って、この戦争を有利に進めていきましょう!
と行ったところで、説明に移りますね。
獣人戦線、戦争シナリオとなっております。
なので、一章完結の短いシナリオとなっております。
●第一章:「有頂天道人」を撃破せよ!
|須弥山型都市《シャングリラ・シュミセン》を制圧した「有頂天道人」の一人を討伐しましょう!
今回は難しいことは何もありません!
ただ、強大な敵をボコすのみです!
プレイングボーナス:敵の「サイバー化」と「渾沌化」を利用した功夫殺法に対処する。
第1章 ボス戦
『有頂天道人』
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POW : サイバネ殺法 undefined cyberne
【機械化義体でカンフー技】を放ち、命中した敵を【undefined】に包み継続ダメージを与える。自身が【中国拳法の構えを】していると威力アップ。
SPD : サイバー渾沌拳 undefined kungfu
【サイバー化した肉体】と【渾沌化した肉体】を組み合わせた独自の技能「【サイバー渾沌拳】」を使用する。技能レベルは「自分のレベル×10」。
WIZ : 渾沌波動弾 undefined aura
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【undefined】を放つ。発動後は中止不能。
イラスト:松宗ヨウ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
神酒坂・恭二郎
強敵だな
ここでなんとかしないとまずいさね
小細工の通じる相手でもない。愛刀を持って戟剣に応じる
二つの特性に支えられた攻撃に、攻勢に転じるのも難しく、こちらの手傷ばかりが増えていく
だが、付け入る隙はある。拳法によって二つの特性を一つの方向に制御している
攻撃を凌ぎ、相手が【拳法の構え】を取りなおす呼吸で一礼一拍手。パァンと生じた風桜子の波でその構えを微かに崩し、その刹那を狙う一閃で勝負を賭けよう
|有頂天天蓋《ウチョウテン・ルーフ》の上、視界を上げれば満点の星空と霞んだ月が地上を照らしている。
その中央には、有頂天道人が仁王立ちで猟兵達を待っている。
「有頂天道人…強敵だな。ここでなんとかしないとまずいさね。」
思わずそう呟くのは、神酒坂|風桜子《ふぉーす》一刀流の使い手、神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)だ。
そうは言うものの、その顔には悪そうな笑みが張り付いている。
「来たか、第六の猟兵よ。」
「あぁ。お前さんが有頂天道人だな。」
いきなり切り掛かると言うことはなく、会話から始める。
向こうもその気のようだし、武術を極める者同士分かり合える部分もあるだろう。
「そうだ。武人として、貴様の名を聞いておこう。」
「俺の名は、神酒坂恭二郎。神酒坂|風桜子《ふぉーす》一刀流に賭けて、お前さんを斬る者だ!」
威勢よく答える。
その回答に有頂天道人もその笑みを深くする。
「では、「いざ尋常に…」」
肌がピリつくような威圧感。
だが、ここで屈するようなら勝負は決まってしまうようなもの。
歯を食いしばり、負けぬようにと声を張り上げる
「「勝負!!」」
戦いの火蓋が切って落とされた。
先に仕掛けるのは、有頂天道人だ。
身を低く保ち、接近してからの義手による貫手。そしてそれは囮と言わんばかりの強力な回し蹴りによる二連撃。
全く、初っ端からエグい攻撃をしてくるもんだ。
貫手は体を捻って回避、回し蹴りは手にした刀で上方向に切り付けることで衝撃を逸らす。
だが、生身のように思える場所を切りつけたにも関わらず、伝わってくるのはガキン、という固い反応。
どうにも、機械のように見える場所以外も、機械化義体らしい。
身を起こし、攻勢に移ろうとして、視界の端に高速で何かが映る。
緑の紐のような…有頂天道人の、尾。
「ぐっ…!」
強力な衝撃をその身だけで受けきることになり、その体はぐらつく。
しかし、一歩も退くことはない。
二連撃じゃなく、三連撃かよ…
肉体性能を大幅に引き上げる「サイバー化」、変幻自在な動きを実現する「混沌化」、その二つを高度に結びつけ“武”として成立させる拳法。
これが、有頂天道人の「強さ」
二つの特性に支えられた攻撃に、攻勢に転じるのも難しく、恭二郎の手傷ばかりが増えていく。
でも、その動きを見ていて気づいた。
攻撃を対処することは難しい。
肉体性能、自由度ともに圧倒的なまでの差がある。
だが──付け入る隙はある。
「サイバー化」、「混沌化」、二つの特性を拳法によって一つの方向に制御している。
そこを崩しさえすれば…ただ強いだけの獣だ!
嵐のような激しい攻撃を凌ぎ、相手が【中国拳法の構え】を取り直す一呼吸。
僅かな時間であれ、確かに存在する一瞬。
刀を手に、一礼一拍手。
挨拶は大事さ。何事においてもね。
パァンと生じた|風桜子《ふぉーす》の波でその構えを微かに崩す。
「むっ!」
この一閃に勝負を賭ける!!
刹那の時間。
渾身の力を以て刀を横一文字に振り抜く──!
「拝一刀───」
その一閃は有頂天道人の胸に確かな傷を与えた。
じわりと血が滲んでいるが、それだけ。
次は当たらないだろう。
でも、それでいい。
俺は一人で戦っているわけじゃないしな。
大成功
🔵🔵🔵
四王天・燦
undefined故に攻撃なのかさえ認識困難だ
畏れではなく凄いと賞賛を贈るぜ
逃げ足で間合いを取るよ
人質とかねえようだし、有頂天道人のいる空間領域から来るもの全てを攻撃だと定義しよう
何か来たら傾向だけでも見切って
渾沌なら回避、サイバーぽいなら神鳴で切り払ってカウンターだ
殺気が感じ取れるなら儲けもの
近寄ってきたら突然目を閉じて心眼で道人を捉えるぜ
なまじ人体の形を視覚で捉えるから先入観で惑うのさ
ただ迫る殺気を弾き【殺戮剣舞】をぶち込む!
人体構造上無茶の掛かる段階まで封印を解いて、同人にとって|定義できざる《undefinedな》剣劇を浴びせてやるよ
面白い死合だ
戦闘狂として有頂天道人に礼を言っちまうぜ
|有頂天天蓋《ウチョウテン・ルーフ》の上にまた一人猛者が現れる。
四天王・燦(|月夜の翼《ルナ・ウォーカー》・f04448)は目の前で苛烈な戦いを演じる有頂天道人を見て、感嘆の声を漏らす。
「へぇ…undefined故に攻撃なのかさえ認識困難だ。畏れではなく凄いと称賛を贈るぜ。」
だが、もう既に戦いの幕は開けられている。
悠長に構えている暇はなさそうだ。
燦は逃げ足で間合いを取り、有頂天道人の攻撃に備える。
人質とかねえようだし、有頂天道人のいる空間領域からくるものは全て攻撃と定義して動く。
と構えていると早速、白い矢のような何かが飛んできた。
功夫は気を操る武術。故にこれは気なのだろうか。それとも混沌なのだろうか。
その全てが|はっきりしない《undefined》。
安全策を取るなら回避するしかない──と軌道が変わった。
やはりこれは混沌のものなのだろう。油断せずに構えていて助かった。
身を捻り、跳躍することでやり過ごす。
ほらな、|何もわからねぇ《undefined》。っと、来やがったか。
跳躍したならば、その着地の隙を狩りに動くのは実に合理的な判断だろう。
圧倒的な殺気と威圧はその動きを萎縮させ、圧倒的な攻撃力は生半可な“受け”を許さない。
地面が割れるほどの踏み込みで、落ちてくる燦を蹴り上げようと──
はは、こりゃ参ったな。
でも、ここで終わる気なんざねぇよ!
燦はその両目を、静かに閉じる。
殺気が感じ取れるなら儲けもの。
心眼で道人を捉える。攻撃の形を、動きの流れを、目ではなく気配で感じ取る。
なまじ人体の形を視覚で捉えるから先入観で惑うのさ。
一度目の蹴り上げはフェイク、本命は二度目の回し蹴り、だろ?
それさえ分かれば──!
蹴り上げは、敢えてそのまま喰らう。
回し蹴りに対し、最大のカウンターを合わせる為に。
フェイクといっても、軽い攻撃という意味ではない。
想像を絶する圧力が燦を襲い、骨は砕け散る。
でも、ここが、最大の攻撃チャンスだ!
人体構造上無茶の掛かる段階まで封印を解いて、道人にとって|定義できざる《undefinedな》剣劇を浴びせてやるよ!!
「受けてみろ、道人!!これが、アタシの技だァ!!!」
【|四王殺人剣《ブレイドダンス》『|殺戮剣舞《マカブル》』】
剣を横に薙ぎ、回転するように二撃目を放つ。回し蹴りをその動きで避けながら、三撃目、四撃目、まだ、終わらない。
骨は砕け、口から血を吐き、寿命を削ってまで戦う燦の表情は、まるで楽しくて仕方がないというような笑顔だった。
連撃が終わり、互いに距離をとる。
道人の体は幾度も切りつけられ、至る所から血が噴出している。
また燦の体ももはや限界に近い。
だが、それでも。
「ありがとう、道人。こんな面白ぇ死合をくれて。」
戦闘狂としての、心からの礼。
それを受け取る道人は、無言。
両者は再び構えを取り、剣を握り締める。
戦いはまだ、終わっていないのだから。
大成功
🔵🔵🔵
瑠璃・やどり(サポート)
『いっくよー!』
人狼の白虎拳士 × 降魔拳伝承者
普段の口調は「快活(私、~君、なの、よ、なんだね、なの?)」
考えるより行動するタイプ。
元気に戦場を駆け回り、ハンマー「双喜」を振り回して攻撃。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。アドリブ・連携歓迎。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
「あれが、有頂天道人だね?」
そう快活に話すのは、瑠璃・やどり(チャイナウルフガール・f03550)だ。
|有頂天天蓋《ウチョウテン・ルーフ》の上で始まる激戦は相当な物だが、それでもその口調は崩れない。
対する有頂天道人はというもの、こちらは既に戦闘モードに入っているので言葉を交わすことはない。
ただ無言で、武神の如き力を振り回す。
ならこちらも、と少し雰囲気を読み巨大なハンマー「双喜」を構える。
先に動いたのは、やどりだ。
「いっくよー!おりゃー!」
可愛らしい声とは裏腹に、超質量を誇る一振りのハンマーが叩きつけられる。
有頂天道人は回避をしない。そのハンマーに真正面から迎え撃とうとし、岩をも穿つ蹴りを放つ。
ガギン!と固いものがぶつかる音が響き、互いの攻撃は相殺される。
体一つで巨大ハンマーを止めた有頂天道人が凄いと見るべきか、有頂天道人の攻撃で弾かれなかったやどりとそのハンマーが凄いと見るべきか。今回の場合はそのどちらも、なのだろう。
有頂天道人は警戒するように距離を取り、またやどりも追いはしない。
「じゃあ、次は、この|有頂天天蓋《ウチョウテン・ルーフ》から吹っ飛ばしてあげる!」
またハンマーを構え、走り出す。
しかし先ほどとはまた違い、スイングは縦ではなく横。
そこにはユーベルコード【跳!打!壊!散!】の光が満ちていた。
「いっけー!!」
その攻撃に対し、有頂天道人もまた、蹴りで返す。
踏み込む足には地面を砕くほどの圧力が込められ、蹴り出す威力は先ほどよりも上。
固いものがぶつかる、衝突音が響き渡る。
有頂天道人は衝撃で吹き飛ぶものの、ずささと土に跡をつけながらギリギリのところで踏みとどまる。
またやどりも蹴り返された衝撃でハンマーを持つ手が痺れ、電流のような激しい痛みが走る。
この勝負は、痛み分け、といったところか。
成功
🔵🔵🔴
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎
ドーモ、有頂天道人!
堂々とした態度は好印象!
良いバトルができそうデスネ!
お礼にこの須弥山型都市をアナタの墓標としマショー!
いざ尋常に勝負デース!
強力な功夫殺法に対処する手段は色々ありマスガ。
ここで選択するのは機動力!
どれほどパワーのあるサイバネも、当たればundefinedな渾沌も、当たらなければ問題ナッシング!
「六式武装展開、雷の番!」
有頂天天蓋の夜空を、最高時速15200kmで飛翔しマース!
有頂天道人の周囲を旋回し、ガトリングガンで牽制射撃の弾幕を張ってかく乱!
スピードと遠距離武装で優位に立ち回り!
隙を見せた敵の背中に、ファルシオンによる渾身の斬撃を撃ち込みマース!
この戦場は修羅の雰囲気を纏っている。
しかしそんな場所に似合わぬ格好をした女が、カタコトの日本語を話しながら現れる。
「ドーモ、有頂天道人!堂々とした態度は好印象!良いバトルができそうデスネ!!」
彼女の名はバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)。メイド服を身に纏い、熟練の兵士の目をしている。
対する有頂天道人は、無言。
多少は困惑しているかもしれないが、それでも今は戦の場。もう既に命のやり取りをしている以上、それに真摯に向き合うつもりだ。
そんな雰囲気にも屈さず、彼女はハイテンションで話し続ける。
「お礼にこの|須弥山型都市《シャングリラ・シュミセン》をアナタの墓標としマショー!!」
もうネオンもついていない眼下の都市をチラリと見る。
ところどころが燃え、煙が上がっている。
情報通り、一人で制圧したのだろう。
「いざ尋常に勝負デース!」
有頂天道人の一挙手一投足を警戒しないわけにはいかない。
いくらハイテンションだろうが、バルタンの思考は熟練の兵士のソレ。
また、功夫殺法に対処する手段を組み立てていく。
強力な功夫殺法を対処する手段は数多くある。
異なる武術で対抗することはできる。
魔術や呪術などで、接近戦に持ち込ませないという手も取れる。
そんな中、バルタンが選んだのは──
ワタシが選択したのは機動力!
どれほどパワーのあるサイバネも、当たればundefinedな混沌も、当らなければ問題ナッシング!!
バルタンは声高に叫ぶ。
「六式武装展開、雷の番!!」
迸る電撃をその身に纏い、目にも留まらぬ速さで飛翔する。
|有頂天天蓋《ウチョウテン・ルーフ》の夜空を、残光を残しながら駆けるバルタンは、さながら流れ星のようで。
ババババババババ……
前言撤回、やはり流れ星ではないようだ。
どちらかというと、戦闘機の方が適切だろうか。
有頂天道人の周囲を旋回しながら、ガトリングガンで精密な牽制射撃の弾幕を張る。
そしてその隙を見つけようと目を凝らすと。
「ンー…?イッツアメイジング!、全部避けられてマスネ!」
ガトリングガンの弾幕は決して薄くない。
それどころか、微妙に弾がばらけて避けにくいはずだ。
それでも避けられているのは、「サイバー化」の超速度と超反応によるものだろう。
それでも、バルタンが優位に立ち回れていることも事実。
今の飛翔と攻撃を、見切って避ける方がオカシイのだ。
センサーでもついているのだろうか、それなら、もっと速度をあげる──!
ほとんど最高速度。流石にこの速度だと精密射撃も難しくなる。
しかし対する有頂天道人も、少しずつ被弾するようになっていった。
機械化義体に阻まれて大したダメージにはなっていないが、それでも多少の痛みはあるだろう。
そして生まれる僅かな隙。
「見えましたよ、僅かな隙ガ!」
バルタンは、肉切り包丁のようにも見える頑丈で無骨な刀、ファルシオンを構え最高速度で有頂天道人の背後に肉薄し──
僅かな、金属音。
有頂天道人の機械化義体の一部を断ち切り、そのまま駆け抜ける。
それでも、反応されていた。
本来ならば、その胴体を全て断ち切る予定だった。
そして飛び去るバルタンの顔に一筋の傷。
ほんの僅かな時間の間で、有頂天道人の機械腕がバルタンの顔を掠めたのだ。
それでも、有頂天道人に大ダメージ与えたことに間違いはない。
この戦場が終わるまで、あと少し。
大成功
🔵🔵🔵
グラン・ボーン
サイバー渾沌拳の有頂天道人
俺は巨人拳のグラン・ボーン
尋常に勝負しようか
有頂天道人の前に立ったのは5.5メートルの巨人だ
ただでかいだけではない
鍛え上げられた筋肉は圧倒的な圧力を相手に与える
有頂天道人が構えを取ると、グランも両手を前に突き出した構えを取る
その巨大な掌で相手の攻撃を受け流し、残ったほうで掌底を入れる攻防一体の構えだ
それをすり抜け攻撃を与えてきても【鉄壁】の体で耐える
「楽しいじゃないか、なあ、お前もそうだろ、鍛えた技を全力で放てる相手がいる。たまらねえよな」
血まみれになろうが、なんだろうが、身体に力が残ってる限り、最後のひとかけらまで闘い抜く
血まみれの壮絶な笑みを浮かべて
長い時間の戦い。
夜に戦い始め、まだ日は出てきていないがもうすぐ上る。そんな時間になってしても、まだ戦いは終わらない。
しかしこれ以上なく白熱したこの戦場に、最後の猛者が現れる。
「サイバー混沌拳の有頂天道人、俺は巨人拳のグラン・ボーン。尋常に勝負しようか。」
有頂天道人を大きな影が包む。
その影の主はグラン・ボーン(巨人の巨人拳伝承者・f34134)。
5.5メートルの巨躯を誇る、圧倒的なまでの圧力を相手に与える巨人だ。
ただでかいだけではない。
鍛え上げられた筋肉があればこそ、その圧力と威圧を実現することができる。
両者、緊迫した雰囲気の中構えをとる。
有頂天道人は下半身に重きを置いた流れるような中国拳法の構え。
グランは両手を前に突き出した独特の構え。
その巨大な掌で相手の攻撃を受け流し、残った方で掌底を入れる攻防一体の──【双掌円転の構え】
最後の戦闘は、静かに幕を開けた。
仕掛けたのは有頂天道人。
左腕の鋭い機械腕を薙ぎ払うように斬撃を放ち、そのままの勢いで打撃、蹴撃、斬撃と流れるように連撃を入れる。
だがグランがそれを容易く許す訳もなく、掌に多少の傷が入るが受け流し、弾き返す。
両者の衝撃も含め、損傷は五分だろう。
次に仕掛けるのも有頂天道人。というより、巨躯を誇るグランはそもそも自ら攻めに行く必要が薄い。相手のレンジより遠くから攻撃ができるからだ。
今度はグランの守りを抜くため、機動力で裏をとる。
静と動を一瞬で切り替える機敏な動きは、まるで姿を消したかのような印象を相手に与える。
グランの足に渾身の横蹴りが入り、痛みが襲う。
しかしその隙に有頂天道人を弾き飛ばし、地面に手をつきながらずささと停止する。
両者、互角の戦い。
また幾度拳を、武を交わして、口から血を垂らしながらグランは言う。
「楽しいじゃないか、なあ、お前もそうだろ、鍛えた技を全力で放てる相手がいる。たまらねえよな」
それに有頂天道人は言葉を返さないが、ニヤリと釣り上がったその口端がその気持ちを雄弁に表している。
体はもう既にボロボロだ。だがそれは相手も同じこと。
いくら追い詰められようと、技の鋭さを微塵も落とさない両者の戦いは、武の頂点を見ているとすら感じられる。
だが、そんな時間もいつかは終わってしまうもの
何度も何度も受けた衝撃に、グランの巨体がぐらつく。
でも、倒れない。
目の前に倒すべき敵がいる限り、ほんの少しでも力が残っている限り、最後のひとかけらまで戦い抜く。
その表情は、血まみれの壮絶な笑みだった。
両雄の死闘は終わる。
朝日が照らし出したのは、倒れ伏す有頂天道人と、ふらふらになりながらも崩れ落ちることはなかったグランの姿。
だがそんなグランも戦いが終わり、糸が切れたように倒れる。
一つの凄絶な戦場がその幕を下ろした。
猟兵たちの、勝利の下に。
大成功
🔵🔵🔵