獣人世界大戦⑦〜虹色の床を進ませるな
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ズズズズズ……。
鈍い音が九龍城に響き渡る。アウトロー達が驚いたような顔をする中、一部のアウトローは平気な顔。
「おじちゃん、何が起きてるの?」
ある子供が1人のアウトローに質問する。
彼は答える。
「この九龍城が動いてるのじゃよ」
と。
一方、ヘビのように大地をのたうち進む九龍城に取り付き内部へ入ろうとする僵尸戦闘員たちの群れが声をあげて呼びかけをしながら進撃していた。
「罠の仕組みはわかったか」
「ああ、一度踏んだ床と同じ色の床に乗るとその色の床が全て消える」
「そうだ、この法則を見つけるために散った同胞を忘れるな」
「彼らのためにも内部へと侵入するのだ!」
罠の仕組みが分かった彼らは、自在に床の配置や形が変わる罠に対処しながら進んでいく。
「おじちゃん、じゃあ今敵に襲われる心配はないの?」
子供が続けて質問をした。
「わからぬよ」
彼はそう答える。
「じゃが、来たところでこの九龍城は我らが改造を施した要塞、自動変形し続ける罠が行く手を阻む。
敵が来たところであの罠を超えられるはずがない」
「じゃあ安心だね!」
子供も安堵の顔を見せる。
彼らは知らない。このままでは罠を超えてきた敵が襲撃してくることを。
●
「今、獣人戦線で同時多発的に起きている事態については聞いているかしら」
マリア・ルート(紅の姫・f15057)がそう切り出した。
「この事態に私達も乱入することにしたんだけど、今回みんなに行ってもらいたいのはここ」
獣人戦線の1つ、九龍城を指した。
「今この九龍城って要塞が、大変形をしてまるで『サイバードラゴンシティ』のように竜とも蛇とも言える姿をしながら中国大陸部へ向かってる」
すすすっと指した九龍城を中国の方へと持っていった。
「この九龍城なんだけど未だアウトロー達もいるしなんならやる気満々なのよね。しかしこの付近のオブリビオン――人民租界のオブリビオンが潜入しようとしてるみたい。これを倒してきてほしいの」
現場には九龍城の誇るサイバートラップが蔓延している。
その中の1つに、虹の七色の色がついた床が点在する地帯があるという。
この床は自在に配置や形を変えるらしいが、ただ1つ、色だけは変わらない。その理由は罠の仕組みにある。
「一度ある色の上に乗れば、1分以内に別の同じ色の床に乗った瞬間、その色の全ての床はしばらく消える。そうなればレッツ、フォールダウン……よ」
しばらくすれば床は復活するらしいが、それまで耐えることもできやしない――そんな意識の対地上部隊向けの罠だった。
「で、今ここに人民租界のオブリビオンの1部隊がいる。もっといたんだけど結構人数を失ったみたいね」
恐らく罠の対処に人数を使ったのだろう。敵も罠を大体把握し、ある程度順調に進んでいる。
「なら、私達で邪魔して引っかけてしまいましょう」
イレギュラーが起きてしまえば急に対処はできまい。罠があるなら利用せよ、そういう依頼だった。
「説明はそんな所ね」
言い終わるとマリアはグリモアを展開する。
「……正直、一度に動き出したのもあり何が起きるかわかったものじゃない」
だけど。
「それを全て潰す、またとないチャンスとも言える」
獣人戦線は様々な場所を巡り様々な場所でオブリビオン退治をしてきた。
それを一度にやれる好機とも言えよう。
「行くわよ――準備の出来た方から行ってらっしゃい!」
結衣謙太郎
さあ、九龍城の戦線が開かれる。
結衣(戦争モード)です。
罠に引っかからないのは序の口。本番はそこに敵を混ぜてから。そんな依頼。
以下詳細。
●メイン目標
『僵尸戦闘員』の殲滅。
●章構成
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「獣人世界大戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
現場には色のついた床がオープニングの通り点在し、ここが舞台となります。
追いかけながら行動してもいいですし待ち構えるのもいいでしょう。その辺はプレイング次第で。
罠の内容はオープニングの通りです。敵は罠の内容を大体把握してセーフになるように動こうとするので、皆さんの邪魔などでアウトにしてやってください。この巻き込みをする事で特別プレイングボーナスを得られます。
え? 再出現した座標と猟兵や敵が同じだったら? 細かい事は気にしては負けだ! 多分アウトロー達がいい感じの仕組みにしてたでどうにかなる!
●備考
プレイングはオープニング公開後から受け付け開始します。
ただし全採用できない可能性がいつもより大きい点、ご了承ください。
オーバーロードは納期の都合により後回しになる可能性もあります。
今回特殊ルール『戦線』にくれぐれもお気を付けください!
時期によっては完結優先で待てない場合がございます!
以上、プレイングお待ちしております。
それじゃあ、敵を巻き込んで爽快気分になっちゃおうか?
第1章 集団戦
『僵尸戦闘員』
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POW : 屍身超越【邪術】
【施された仙術の発動で半オブリビオンモード】に変身する。隠密力・速度・【徒手空拳】の攻撃力が上昇し、自身を目撃した全員に【恐怖】の感情を与える。
SPD : 僵尸功夫
戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【戦場で拾った棒や椅子、看板等】の威力と攻撃回数が3倍になる。
WIZ : 強化邪術発動
自身と装備を【赤黒い稲妻】で覆い、攻撃・防御をX倍、命中・回避・移動をX分の1にする。
イラスト:もりさわともひろ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
凶月・陸井
これだけ大きな要塞を罠地帯で護ってるのか
此処だけじゃなく他にも色々な罠があるようだけど
突破される前に何とかしないとな
「暗躍開始、ってとこだな」
罠の仕組みを理解して突破できるって思ってるなら
今が邪魔をするにはいいタイミングだ
敵が次の床を判断して移動しようとする瞬間に
【水遁「無尽霧影分身撃」】を発動
移動先と見定めていた床へ一気に分身を出す
「お邪魔虫の登場だ。此処からは陣取り合戦だよ」
一発目の不意打ちで脱落してくれたら良し
脱落しなかったなら次は襲い掛かってくるだろう
そこへ分身を時限爆弾に変化してそのまま爆破
それでも必死にしがみついて残っているなら
その色の床を俺が踏んであげよう
「ゲームセット、だな」
動き出した要塞『九龍城』。
その『九龍城』に侵入しようとする僵尸達。
そしてそれに相対しようとする猟兵達。凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)もその1人だ。
「これだけ大きな要塞を罠地帯で護ってるのか。此処だけじゃなく他にも色々な罠があるようだけど」
九龍城はアウトロー達の自信作の罠が多数設置されており、虹色の床はあくまでその1つでしかない。だが、ここが九龍城内部へのルートの1つであることもまた事実である。大事だからこそ罠を貼っている。
「突破される前に何とかしないとな――暗躍開始、ってとこだな」
位置を把握した陸井は静かに動き出す。
一方僵尸達は真剣に進行していた。
自分達のために犠牲になった仲間のためにも、どうにか自分たちは生きて侵入し役目を果たすのだと。そう心に留めつつ次の虹色の床に差し掛かったところで――|彼《陸井》は現れた。
僵尸達が赤、橙と気をつけながらも速やかに移動するのを見て――頃合いかとばかりに彼は分身の1人を送り込む。その送り先は、遥かな先の同じ色の床。
――そう。全てが消える以上、同じ色で全く同じ床じゃなければどこであろうと問題ない。いきなり先の床が消されたことでバランスを崩した僵尸達が数名自由落下していく。誰だ、とばかりに僵尸達が見上げればそこには|彼《陸井》の姿があった。
「お邪魔虫の登場だ。此処からは陣取り合戦だよ」
先ほどはご挨拶とばかりに数名の分身を僵尸達の近くの床にとびかからせる。
『くっ、着地させたら消されるぞ! 迎撃しろ!』
僵尸達がその声を受け分身に抱き着くようにダイブする。だが陸井が指を一つ鳴らせばそれらは時限爆弾へと早変わり。哀れ僵尸達はそれに気づく間もないまま爆破されてしまう!
『爆破だと!? くそっ、後ろの奴らに警告をしろ、私は――』
司令官らしき個体が勇気を出してなのか爆破を受けても耐えきっている。そのもとに陸井が向かえば、まるで足を踏むかのようにいい顔をしながら同じ色の床を違う色の床から踏みつける。
『くそ、くそ――――!!』
「ゲームセット、だな」
根性ある僵尸は怨嗟の声と共に落ちていった。
「……あれは後ろの奴らがまだ残っていそうだな」
先ほどの言葉が真実なら恐らく今のは先遣隊といったところか。
「……ふむ」
座して待つのもいいが、どこにいるんだという索敵も重要だ。ならばそれに自分が出向こうではないか。
まさに暗躍するように、忍者の如く陸井はこの場を後にした。
成功
🔵🔵🔴
霧崎・天音
【アドリブOK】
一度ある色の上に乗れば同じ色の床に乗った瞬間しばらく消える…
それなら私が一度すべての床にタッチをしておけば…
敵の潜入を事前に把握し、やってくる少し前に
すべての床に自分がタッチしたあと後ろに下がる。
相手はに回目に同じ色を踏まないように対処しようとするだろうけど…
私は近くの手頃な壁に剣を刺して足場にして
トラップを回避する。
大体の敵が対処できたら、残った敵をユーベルコードで一網打尽にする…
コレでだいたい始末はできるかな…?
イコル・アダマンティウム
「虹色……ユーモア」
楽しいけど、皆を守る為の工夫を感じる、ね
「守らなきゃ。」
生身で、出撃
【妨害罠:全消し】
「ん、わかった。」
一分以内に、全部踏めばいい
<ダッシュ>で全色の床を踏んで走り抜ける、よ
「ばいばい。」
<地形の利用>
【落下対策:空中戦闘<天路走破>】
UC使用
宙を蹴って多段<ジャンプ>する、ね
色がついてない床の場所に戻る、よ
【戦闘員排除】
「ん、僕がいる限り……
色床は通れない」
堕とせなかった戦闘員たちには挑発
そのまま空中戦で対処していく、ね
「レッグ、ラリアート」
<暴力><空中機動><吹き飛ばし>
蹴ったり、踏んづけたりしながら消えた床へ落としてく、ね
「|宙《ここ》に
壁も、地形も……ない、よ?」
『ひ、ひどい目にあった』
『だが……まだ生きてる、な、よし』
こちらは先ほどの爆発で飛ばされた僵尸達。彼らは別の虹色の床地帯に飛ばされていた。
――そして、不幸なことに。
「残念ね、こっちにもお相手はいるのよ」
霧崎・天音(異世界のラストドラゴンスレイヤー・f40814)のような待ち構えてる猟兵もいた。
「ん、僕がいる限り……色床は通れない」
その横にはイコル・アダマンティウム(ノーバレッツ・f30109)の姿もある。
2人もいるのか、と僵尸達が舌打ちする。だが、もはや押し通るしかない。
最初の一歩を踏み出した、その時――
『ばかな!?』
床が消えた。
『その床はだめか、ならば……何!?』
続く者が1枚飛ばしていこうとしたがこれもだめ。
「お生憎様、もうすべての床には触れておいたわ」
『何、それでは通れないじゃないか!』
「ん、だから言った……通れないって」
イコルが表情を変えずに言い放つ。
「この虹色……ユーモア。
楽しいけど……皆を守るための工夫を感じる。
だから、守る」
『ええいただの罠如きにそんな!』
「ただの罠と思うからお前達はそこまでなのよ、それがまだわからないの?」
挑発する天音、しかし内心では焦りが生まれる。なぜかと言うと僵尸達が全然迫ってこないからだ。もうすぐ1分が経過してしまう、そうなれば。
『……む? 復活したぞ?』
「しまった!」
時間を稼がれた! 床の復活に気づかれてしまった! 早速今だとばかりに復活した床を辿ろうとする僵尸達、今なら1回目だから動けるはず――!
が、途中で落ちた。
『な、なんでだーーー!!』
「ふふふ……ここまで来ると愉快よね」
いつのまにか壁に刺した剣に乗った天音のもとにイコルが戻ってくる。
「ん……ばいばい」
得意げな顔で手を振るイコル。そう、イコルは先ほど床が復活してからここに来るまでに一気にダッシュで全色の床を1分以内に駆け抜けてしまったのだ! 当然途中で落ちるのだがそこで彼女はコードを使用、多段ジャンプで別の床を踏みつつ空中ダッシュするように走り抜けて刺さった剣に戻った! ある意味僵尸より忍者してる!
『ええい、だがそこの剣は落ちないはずだ! 乗れ!』
そう、天音が近くに刺した剣は適当に近くに刺したもの、なら僵尸達からも近い位置にある。彼女らの肉体能力なら跳べばたどり着くことはできるだろう。
「来るわよ、準備はいい!?」
「ん、大丈夫」
右足をあげた天音と飛び降りるイコル、そして動き出す僵尸達。
僵尸達の作戦は剣の上で邪魔な猟兵を止め、その隙に通り抜けるというものだ。その作戦自体はすごく正しいと言えよう。
だが、面子がマズかった。
「地獄の刃、華となって奴の命を攫え!」
剣に迫る僵尸達を天音は右足から出した炎の桜の花びらの舞で一網打尽。思いっきり吹っ飛ばしたそれらは床に激突し、一部は床が消えて落ちていく。目の前で落ちるそれには戦ってるうちに通り抜けようとした僵尸達も足を止めざるを得ない、それが悪手となった。
「色床は通れないと言った」
空を舞うイコルが足の止まった僵尸達に蹴りをかましていく。
「レッグ、ラリアート」
僵尸から僵尸へ、踏み台にしながら彼女は進んでいく。そして彼女らが蹴られて飛んだ先は――消えた床。
『なっ――』
「|宙《ここ》に壁も、地形も……ない、よ?」
「せいやぁぁ!」
天音もまた迎撃をしながら進撃、未だ色のついてない場所で止まってタイミングを見計らっていた僵尸達を倒していく。
こうなればもう僵尸達が全滅するのに時間はかからず、後に残ったのはいくつか消えた床と彼女達のみとなった。
「コレでだいたい始末はできるかな……?」
「ん、だいたいできた、と思う」
念の為に辺りを見回す。敵の影はないようだ。それを確認すると、天音は剣を抜きながらもう片手でイコルにグーを出した。応じるようにイコルもグータッチした。
赤髪同士の2人の共同戦線は、ここに大きな戦果を生んだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
あやー、攻撃防御の倍化でっすかー。
それ、踊らせちゃえば関係ないでっすよね?
藍ちゃんくんに攻撃はさせないでっすし、藍ちゃんくんも攻撃しないでっすのでー。
どちらの倍化もくさっちゃうのでっす!
やや、千日手でっすかー?
いえいえ、ちょうどそこに防御力に関係なくフォールダウンさせちゃう罠がありますればー!
ぽちっとな!
ジャンプやステップで同じ色の床を踏ませちゃうのでっす!
地形の利用なのでっす!
というか藍ちゃんくんが戦闘員さんと同じ色の床を踏んでもよいのでっす!
対地上部隊向けの罠だそうでっすからねー。
こちらは空中浮遊してしまえば問題ないかと!
迫等の舞台仕掛けで穴は使い慣れてるのでっす!
ルァハイム・ラアル
お、俺向きのヤツじゃん。
(落ちそうになっても翼を出して如何にか出来るので)
まぁ最初っから翼出してたらガチガチに警戒されちゃうから、出さずに行くけど。
「闇影」で弓矢を作りながらUCを発動。射掛けるのも「闇影」製の矢だから、途中で散弾みたいに散らしたら、上手いこと不意を突いて負傷させられたりしないかなぁ、なんて。
後は梟に追い立てさせながら、向こうが踏もうとしてる床と同じ色の床に移って落っことしたり、向こう同士で同じ色の床に追い遣ったりしてみよっかな。
こっち向かって来られても、翼出して床の無い所に行っちゃえば追いかけて来られないでしょ。
一方、先ほど猟兵の出現を聞いた僵尸が後方の皆に伝えたことで、僵尸達の警戒心は上がっていた。具体的には1部隊だったのをさらに分けた。ここまでくると部隊じゃなくてマンセルほどになってくるが念には念を入れよという奴である。
――で、その先頭がついに登場したところに。
「あやー、遂に来たでっすか!」
藍ちゃんくんこと紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)が現れた。思わず警戒して足を止める僵尸達。しかし藍ちゃんくんも動く気はない。
「あやー? 来ないのでっすか?」
首を傾げる藍ちゃんくん。警戒されてるしそれはそうだ。
攻撃も仕掛けてこない。ならばとばかりに踊り始める。
「じゃあ、躍らせてあげちゃうのでっす! それでは皆様、ご一緒に! レッツ・ダンシングなのでっすよー!」
藍ちゃんくんの踊るダンスは案外真似できそうと思ってしまうダンス。しかも僵尸達の動きや体つきを見て微調整を徐々に加えていく。これには僵尸達も恐る恐る踊り出せばつられて他の仲間も踊ってしまう。計画通り!
「……あやー?」
だが、誤算があった。
確かにこれで相手のコードは腐らせた。相手の動きも封じた。だが、動きを封じて躍らせたはいいのだが、肝心の色床を踏んでくれない!
「やや、千日手でっすかー?」
藍ちゃんくんはフィジカルはあるがそれでも無限ではない。このまま千日手になれば消耗戦は明らかである。神にでも縋りたい気分だった、誰か助けをくれと。
「お、俺向きのヤツじゃん」
神は来た。
死神だけど。ルァハイム・ラアル(殯の末子・f34505)だけど。
踊っている僵尸達の後ろから不意打ちをするように影でできた矢を当てていく。散弾みたいに散らしたそれらは踊っている僵尸達にまんべんなく当てるには十分すぎた。僵尸達は踊りに夢中で気づく様子はないようだ。
(仕込みはこんなもんか、後は)
ラアルはこの辺かとばかりに先回りをしていった――|羽を生やしながら《・・・・・・・・》。
『これずっとこんな感じか?』
『つい踊ってしまうが……そろそろ行かないとマズくないか?』
『そうだな、そろそろ――おい、なんか――後ろから来てないか?』
僵尸達がここで気づいた。なんと――踊っている彼らを闇色のフクロウが追撃しようと追いかけてくるではないか!
『い、急げ! 一気に駆け抜けるんだ!』
焦って色床を進もうとする僵尸達。
「あやー、千日手はおしまいでっすか! でも忘れないでほしいのでっす!」
――そのダンスはつい釣られてしまうユーベルコードだってことを! つまり……
『早く進め!』
『いや、やっぱ彼が気になって……』
『踊るのいいから早く!』
「ふっふーん」
得意げな藍ちゃんくんに対して僵尸達は踊りながら移動するものだからつっかえていた! その後ろから追撃が飛んでくる!
「プレッシャーにやられながら進む気分はどうだい」
いつのまに藍ちゃんくんの隣にいたラアルが羽を出さず得意げに挑発をする。
『最悪だ!』
僵尸の1人が叫ぶ。それはそうである。
「それじゃあ皆さん、最後はせーのでいくのでっす!」
曲が終わりに差し掛かるあたりで――曲の終わりはジャンプしがちである――藍ちゃんくんがぴょんと飛び降りる! 察した僵尸が対応しようと思うがフクロウと躍らせられで上手く動けない!
「ぽちっとな!」
『うわぁぁぁぁぁぁぁ!』
僵尸達の数名が哀れ落ちていった。だが……そうなれば藍ちゃんくんも落ちるのでは?
「――ふふん」
否、藍ちゃんくんは落ちない! 舞台仕掛けで穴を使い慣れている藍ちゃんくん、この時のために空中浮遊していた! 最近はそういう技能も出てきたからね!
『くそ、ならこっちだ!』
藍ちゃんくんを追っても意味がないかと判断した僵尸達は後ろから来るフクロウ対策をして千日手に戻そうとラアルの方に向かう、が――ラアルはそれを見ると後ろにジャンプする。
『馬鹿め、そこには床はない! 自ら落ちるか、これで――』
僵尸達は今初めて見るが。
ラアルは|翼持ちである《・・・・・・》。
『翼――!』
『お、追えないところに行くんじゃない!』
『まてさっきのも空中浮遊してたよな、つまり……』
理論上ラアルと同じことができると言う事。
「お楽しみいただけましたでっすかー?」
「一度俺達に近づけたという希望を持たせ、そこから無理ゲーに持っていく絶望。このジェットコースターはエンターテインメントだろう?」
「ではでは、フィニッシュなのでっす!」
藍ちゃんくんとラアルがそれぞれ別の色の床を踏んだ瞬間。
『ああああああーーー!!』
僵尸達は全員絶望しながら落下していった。後に残るは空中浮遊した藍ちゃんくんと翼を出したラアルのみ。
「危なく千日手だったのでっすありがとうなのでっす!」
「いや、死神でいいならいくらでも力を貸すさ」
アイドルと死神、奇妙な共同戦線がまた僵尸達を奈落へと落としていったのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
荒谷・ひかる
えーと、つまり罠に引っ掛けて落っことせば良いんです?
条件は……なるほど。
それなら、纏めてやっちゃいましょうっ!
【時の精霊さん・未来】発動
敵軍団がトラップ床に乗っているタイミングで、適当に走り回る
この時、同色を連続して踏む事になっても気にしない、というかある程度は狙って踏む
(雑に床を消し、巻き込みで落とすのが狙い)
わたし自身は行動速度と体感時間が100倍に伸びてますので、床が消えた瞬間に飛翔すれば落下は避けられますね
もし攻撃してきたとしても命中率低下してる上にわたしの回避率は10倍化してますので、まず当たらないでしょう
そんな訳で最初の床が復活する前に全部の色の床を発動させて一網打尽、です!
次にやってきたチームは、猟兵に出くわすことはなかった。
だがそれでも警戒して慎重に歩みを進める。
しかしこの場には1人の猟兵が隠れていた。
「えーと、罠の条件は確か……」
グリモア猟兵に言われた罠の条件を想起して作戦を確認していたのは荒谷・ひかる(|精霊寵姫《Elemental Princess》・f07833)だ。罠に引っかけて落とすにあたり、彼女が考えたのもまた『纏めて落とす』という事であった。
「うん、おっけー……じゃあ行きましょう、時の精霊さん!」
『不思議だな、気配は感じるのだが邪魔がない』
『先のチームが上手くやってくれたのではないか?』
『なら我々はまた仲間を失って先へ進むと言うのか……』
そんな会話が繰り広げられる中、事件は起きる。
『ん? 今誰か当たったような――』
言い終わる前に落ちた!
『おい、どうした――』
心配する僵尸も落ちた!
『誰かがいるぞ! 急ぎつつ気配を探れ!』
『いやだが――もう先の床がないぞ!』
「予想よりバレたのが早い……!」
ひかるは僵尸たちを無視するように虹色の床をひたすら走り抜けていた。
それも、アトランダムに。自らが落ちることになっても気にしない。
なぜなら今の彼女は己が使役する時の精霊と合体しており、速度も体感時間も100倍、おまけに飛翔能力を得ている。例え落ちたところで飛翔してすぐに戻れば問題ないのだ。
『そこか!』
見切ったのだろうか、僵尸の1人が攻撃してくる――否、ここまで加速していると自ら攻撃に突っ込むこともあるのかもしれない――が、回避率も上がっている今の彼女に当たることはなく、その攻撃は空を切る。そうして、床は次々と彼女に2回踏まれて消えていく。僵尸達も巻き込まれて落ちていく。彼女を捉えることもほぼできずに。
「これで、一網打尽ですっ!」
最後の色の床の2枚目を押し、僵尸の悲鳴が聞こえた。
終わった――そう思って彼女は安堵したようにコードを解除した。だがそれが悲劇を呼ぶ。
「あ――あわわっ!」
感じる重力、落ちていく体。なぜか自分もまた、落ちている。
そう、飛翔能力はコードによるもの、コードを解除すると自分も落下してしまう! もし例の彼氏がいればここで抱いて救出でもしただろう、だが彼は今はいない。
もうダメかと目をつぶったその瞬間――先ほどのコードが再び発動した。
「……時の精霊さん」
――彼女の精霊魔法は、あくまで主導権は|精霊側にある《・・・・・・》。精霊側がひかるが危険だと判断すれば、不発することも多々あるし――|その逆も多々ある《・・・・・・・・》。
「……ありがとう」
再び得た飛翔能力で、彼女は虹色の床へと戻っていく。そして今度こそ大丈夫、と息をつけば時の精霊が暴発を解除した。
「最後の最後でしまらないなぁ……もっと練習しないと」
ぐっと握りこぶしを握りながら先へ進む彼女を見守る精霊はまるで過保護な親のようだった。
成功
🔵🔵🔴
エミリィ・ジゼル
なるほど、同じ床に乗ると落ちる罠、ですか。
ではそのルールを乱してしまいましょう
具体的にはインクシューターを用いて、模様の一部の色を書き換えます。
例えば赤の一部を青にしたり、黄色を全部緑にしたり。そんな感じで。
そうやって法則性を変えてしまえば、相手は気づかずにそのまま落下していくっていうすんぽーです
すべての色を変えるのではなく、あくまでも一部だけ変える形にします。全部変えてしまうと法則も何もなくなって強行突破されかねないですしね。
既存のルールのままの部分と、既存と全然違う部分。それが混ぜることで相手を余計に混乱するでしょう。
生き残った敵にはUCで追撃し、トドメをさします
ここまでの戦いを通じ、僵尸達は1つの答えにたどり着いていた。
それは。
『いいか、猟兵の邪魔に気をつけろ! 奴らは私達を|落としに行っている《・・・・・・・・・》!』
……ということだった。彼女らも何度も同じような報告を受ければ学ぶというものだ。
――そして生き残った最後のチームが、今まさに虹色の床のもとへとたどり着いていた。
左右、上、後ろ。念入りに確認し、猟兵がいないか確認。
そのうえで念には念を入れよとばかりに後ろに数人残したうえで床を慎重に踏む。
赤の床――良し。橙の床――良し。紫の床――!?
『なっ!?』
なんと紫の床を踏んだとたんに赤の床も全て消えたではないか!
『い、今のは!?』
『向こうの床も――あれは|緑だったはずだ《・・・・・・・》!』
『どういうことだ……? 色の法則が滅茶苦茶になっている……? いやだがあっちは確かに|赤《同じ色》だったよな?』
別の僵尸が今まさに踏もうとした黄色の床を前に足が震えている。この床は本当に黄色の床なのか……?
『ええい、ままよ!』
押した。落ちた。
『うぁああああ!!』
『今度は緑が消えた……? 緑が2枚に、橙、紫……? 緑だったのかあの床は?』
僵尸達大混乱! だがポイント・オブ・ノーリターンはもう過ぎている、戻るにも同じ床の試練が付きまとう! なら――進むしかない!
『ええいままよ――!』
結局後ろに控えた僵尸以外全員落ちました。
『ど、どうなってるんだこれ……?』
後ろのまだ出発してない僵尸達が混乱する中、1つの声が響く。
「はいどーもー、かじできないさんでーす。虹色の床、お楽しみいただけてますでしょうか!」
僵尸達が声の方を向けば、後ろにいたのは鮫の着ぐるみをしてにこやかに手を振っているエミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)だ。
『お前か! お前の仕業か!』
僵尸の1人がエミリィを殴りにいくが、エミリィはなんと分裂してそれをかわす。
「虹色は綺麗ですよねー!」
「でもずっと同じ色気にするのも飽きますよね」
「それにゲームだったら難易度どん! どん! 上げていくのはお約束ですし?」
「サメくーん」
「恨むなら後の方になった自分達を恨んでください、かじできないさんは関係ありませーん!」
なぜかいきなり鮫を呼び出してたわむれつつ僵尸達に話していく。それは犯行の自白だった。
――遡る事数刻前。
「ここがあの女のハウス……じゃなくて殺人現場……でもなくて僵尸の来る現場ですか」
エミリィは虹色の床の地帯に一足先に到着していた。ある作戦を考えながら。
「それじゃあ、始めますか――」
着ぐるみの中からインクシューターを取り出し、構える。
「スプラ●ゥーンの開始です!」
違うわ! あれ2色か3色だろうが! こっち虹色だからもっと色あるわ! とはいえ要するに同じだ。インクシューターで、模様の一部の色を描き替えていく。赤の一部を青に、黄色の一部を緑に、また別の赤の床を紫に。
「こうやって法則性変えちゃえば相手は本当の床の色に気づかずにそのまま落下してくっていうすんぽーです」
馬鹿な相手にはこれくらいで十分ですよ、ねーサメくーん? と脈絡もなく鮫を呼びつつ――彼女は鮫魔術士 × ワールドハッカーである、鮫を呼ぶくらいお手の物だ――床の色を変えていく。
だが、彼女の中で重要視しているのがあった。それは、|全部は変えない事《・・・・・・・・》。全部変えてしまうと法則も何もなくなるのでもう一気に強行突破すればいいと脳筋思考が出てしまう。
――ルールの同じ部分と、違う部分。それが混ざることで相手は余計に混乱するのだ。
事実、今目の前の僵尸達がそうだからね!
「どうしましたー? 進まないんですかー?」
『こんなの進めるわけないだろう!』
『理不尽だ!』
「えー、せっかくかじできないさんは頑張ったんですけどね……わかりました、じゃあ」
着ぐるみの中からインクシューターを取り出し構えるエミリィ、思わず引く僵尸達。
「先へ進むことができないならゲームオーバーということで! 骸の海に塗りつぶしてあげましょー!」
ぶしゃーっとばら撒かれた塗料が僵尸達に当たると、しばらくして――爆発した。ついでにちょっと巻き添え受けた鮫も爆発した。芸術とは爆発である。なんでばら撒いた塗料が爆発するかとか|深く考えてはいけない《ユーベルコードの秘密の設定》。哀れ僵尸達は爆発四散して汚い花火と化した! たーまやー!
「これにてお掃除完了です! |家事《そうじ》はできないけど|オブリビオン退治《そうじ》はできる、かじできないさんでした! チャンネルはそのまま!」
次の番組あったっけ。
……ともあれ、最後のチームも|消え《掃除され》、九龍城の内部に僵尸の一部隊が潜入される危険はとりあえず完全になくなったのであった!
――余談だが、後にここの整備をするときにアウトロー達もまた『どれがどの色で判定されているのか滅茶苦茶だろ』とシステムトラブルを疑ったのは笑い話である。
大成功
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