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獣人世界大戦①〜無慈悲なる要塞

#獣人戦線 #獣人世界大戦 #第一戦線 #ゾルダートグラード #5月4日20:00まで受付中

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●グリモアベース
「やあ、諸君!集まってくれてありがとう。獣人世界大戦、頑張ってるかい?善良なキミたちにぴったりの、素敵な素敵な依頼があるんだ。」
 猟兵を集めたアサル・レイハーネフ(黄色い狂人、旅する商人・f31750)は、いつも通りの軽薄な笑みを浮かべて説明を始めた。
「大戦の中、起動された無限軌道都市ベルリンが、進路上の街の獣人たちを捕えて|機械兵士《ゾルダート》に改造しようとしていることが分かったんだ。キミたちには、このかわいそうな獣人たちに救いの手を差し伸べてもらいたい。」
 無限軌道によって自ら移動することすら可能な要塞都市ベルリンには、数多くの機械罠が備えつけられている。その罠を使って獣人たちを捕えるつもりのようだ。
 なんと非道な行いだろうか。
 こんな行為は絶対に阻止されなければならない。では、ベルリンが使う罠はどんな物なのかというと……。
「センサーが生物を探知すると、七色の怪光線を放って、その範囲内にいる生物を機械兵士製造工場に転送しちまうらしい。なんというか……ほら、UFOが牛さらう時に使う光線があるだろう?あれみたいなもんだよ。まあ、ちょっと違うけど。」
 恐ろしい無限軌道都市が、途端に胡散臭いものになってしまった。
 そんな猟兵たちの間に流れる弛緩した空気を察したのか、アサルは柄にもなく注意喚起をする。
「おっと、この光線を舐めちゃあいけない。並の建物相手だったら、中を探知した上で壁を貫通して、隠れてる獣人を転送できちまうらしいからねぇ。皆も当たったらだめだよ?何が起こるか分からないしね。ただ、流石の不可思議光線も、地中とかになると貫通できないみたいだ。壁が厚いと貫通できないのかもね。」
 光線も脅威だが、動いているベルリン自体も脅威だ。当たり前だが、踏みつぶされないよう警戒して動く必要がある。
「やりようはいくらでもある。現時点でベルリン自体を止めるのは無理だろうけど、何らかの方法で光線に対処する、逃げる獣人を助ける、要塞でも突破できない避難場所を用意して獣人を誘導する、他にもいろいろあるだろうね。方法は問わないから、一人でも多くの獣人を救出する、というのが今回の依頼の目的だ。」
 どう対処するかは猟兵に任せられる。自分の得意な方法で獣人を助けるといいだろう。
「それじゃあ、頑張って来ておくれ。この戦争に勝利を!……なんてね。」
 アサルがグリモアの力を解放し、まばゆい光が猟兵達を包んだ。


ハグれもん
 ハグれもんと申します。ご覧いただきありがとうございます。
 ト〇クタービーム、という物がありますが、あれは重力を操作するビームだそうです。全く関係ありませんが、自分で「転送する光線」という設定にしたせいで、その名前を使えなかったれもんがいるらしいですよ。残念ですね。

 さて、今回は【冒険】のみの一章構成となっております。
 無限軌道都市ベルリンに襲われる獣人たちを、一人でも多く救出してください。
 プレイングボーナスは「駆動中の機械罠に対処する/なるべく多くの獣人を助ける。」です。
 皆様の戦場への参加をお待ちしております。
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第1章 冒険 『血路を開け』

POW   :    渾身の力を振り絞って突破する

SPD   :    巧みに撹乱して包囲を乱す

WIZ   :    奇想天外な策で切り抜ける

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

サーシャ・エーレンベルク
機械罠、いろいろな種類があるのね……。
都市の進行上に獣人がいても殺されるし、センサーに感知されれば結局殺される。機械特有の効率化ってところかしら。

獣人たちをあいつらの傀儡になんてさせない。救出、罠の突破、スムーズにやりましょう。
【冰縛結風】を発動して、センサーそのものを凍てつかせて沈黙させましょう。
もし放たれても、氷結したセンサーの光線は氷の薄膜で反射率を変えて正常に動作させないわ。
合わせて使用するのは【竜の牙】よ。現れた精鋭兵たちに獣人たちの捜索と救助、センサーを遮るような防御壁の構築をお願いしましょう。

ここに絶望は不要……私が来たからには、誰も死なせない!



 無限軌道都市ベルリンが迫っている。遠近感を狂わせるその大きさに圧倒されながらも、サーシャ・エーレンベルク(白き剣・f39904)は獣人を救うために街を駆け回っていた。既に多くの住人を避難させたが、それでもまだまだ逃げ遅れた者たちが残っているようだ。
 見上げれば、ベルリンの下部には巨大なスポットライトのような装置がいくつもついている。あの装置から光線を発射するのだろう。
「機械罠とは聞いているけど……いろんな種類があるのね。例えどんなものでも、獣人たちをあいつらの傀儡になんてさせない。絶対に助け出すわ。」
 そう決心するサーシャの前方、大通りの先から獣人の集団がこちらへ向かってくる。彼らは必死に逃げているようだが、無限軌道都市が進むスピードはそれよりはるかに速い。あれでは、すぐに追いつかれてしまうだろう。
「させない!」
 サーシャは石畳を強く蹴ると、獣人たちを飛び越え上空高く、ベルリンの機械罠を狙える位置まで飛び上がった。
「凍てつきの塵風よ!我が命に従い、敵を|苛《さいな》め!」
 【|冰縛結風《ディアマント》】による吹雪の如き魔力の暴風が、今まさに獣人へ狙いを定めようとした機械罠を凍り付かせる。通常ではありえない超低温によってセンサーが故障してしまったのか、機械罠は次々と機能不全に陥っていった。
 ひとまずの安全は確保できた、そう判断したサーシャが地面に降り立つと、彼女の周りに数多の獣人の霊が出現した。【|竜の牙《ドラッヘン・ツィーネ》】によって召喚された、サーシャ率いる精鋭兵たちである。
「A、B、二班に分かれて行動!A班は住人の捜索と救助、B班はセンサーを遮る防護壁を作って、皆の逃げ込む場所を確保して!くれぐれも、逃げ遅れる者が出ないように。各班、行動開始!」
 サーシャの号令に従い、精鋭兵たちは与えられた役割を果たすため動き出す。サーシャが再び大通りへと視線を戻すと、先程の集団からはぐれてしまったのだろうか、転んで泣きじゃくる獣人の子供と、それをなんとか立ち上がらせようとする母親らしき獣人の姿が目に飛び込んできた。それだけならまだいいのだが、先程機能を停止したはずの機械罠が数台、動きは鈍くなっているものの、徐々に動き始めている。
(しまった、まだ動けるなんて!)
 状況を認識したサーシャは走り出した。もはや一刻の猶予もない。スポットライトのような装置は、既に二人の獣人へ狙いを定めている。今から装置を凍らせるのでは遅すぎる。
「間に合ぇええ!」
 雄叫びを上げ、サーシャは二人と装置の間に滑り込んだ。そして素早く氷の薄膜を展開すると、七色の光線を迎えうつ。分厚い氷壁を作るには時間が足りなかったが、それでもサーシャにはある秘策があった。
 発射された光線は、そのほとんどが煌めく氷の薄膜に反射され、跳ね返る。氷雪は高い反射率を持つ物体であり、サーシャはそれを利用して、光線が正常に機能しないようにしたのだ。
「今のうちに逃げて!」
 サーシャが叫ぶと、弾かれたかのように獣人の親子が走り出す。続けて光線が撃ち込まれるが、サーシャは逃げる二人を守るように、さらに氷の防壁を展開させていく。
「いくらでも撃ってこい、全部防ぎきってみせる!ここに絶望は不要……私が来たからには、誰も死なせない!」

 無限軌道都市が去るまでの間、サーシャは街の住人たちを見事に守り抜いた。街は荒れてしまったが、それでも獣人たちは、命が助かったことを涙ながらに喜び合っている。
 獣人の親子はサーシャの姿を探したが、そこには既に彼女の姿はなかった。街を守った彼女は、自分を必要とする戦場へ向け、静かに街を後にしていたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
まさか自分達の本拠地を動くように改造しているとは
技術力は脅威だが、発想は謎かもしれない……いや、連中がやろうとしている改造手術などを考えると案外理に適っているのか?

どう救出するにしても、罠・センサーの位置や有効範囲、光線が飛んでくる速度などは確認しておくべきだな
バイク『八咫烏』に騎乗
まずは少し離れた位置で観察。罠の位置にある程度検討をつけてから、その周囲をバイクで全力疾走
罠に引っかかっても、捕まる前に逃げ切る形で情報を集めて分析しよう

同時に複数箇所に光線は発射されない……か?
なら、俺が囮になる形でひたすら光線を撃たせ続けて、その間に獣人達に逃げてもらうのが現実的かな



 地響きが徐々に大きくなる。夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は大型バイク『八咫烏』に乗り、無限軌道都市ベルリンが街へ辿り着く前に、その動きをかく乱すべく近づこうとしていた。
「まさか自分達の本拠地を動くように改造しているとは。技術力は脅威だが、発想は謎かもしれない……いや、連中がやろうとしている改造手術などを考えると案外理に適っているのか?しかし、他にもやりようがあるような……おっと。」
 ベルリンが動くことによって発生した振動が、バイクの運転を困難なものにしている。今は、夜刀神の常人離れした肉体能力とテクニックを駆使して、無理やり走らせているに過ぎない。気を抜いてもいい状態ではない。夜刀神は気を引き締め、浮かんだ疑問を頭の隅へと追いやった。
(どう救出するにしても、まずは罠の挙動を確認するべだな。有効範囲や速度を知っておくだけでも、こちらの行動は成功しやすくなる。)
 夜刀神は、近づきすぎないよう慎重に八咫烏を走らせながら、ベルリンの下部を観察していく。どこかに光線の発射装置がある筈だ。地面にいる獣人を捕えるというのに、まさか上部についているという事はあるまい。
 目星はすぐについた。大量に設置されているスポットライトのような奇妙な装置、あれに違いない。
(だが、次が肝心だ。ここでしくじるわけにはいかない。)
 夜刀神は八咫烏のスピードを上げた。罠の挙動を見るためには、誰かが罠にかからなければならない。だが、獣人たちにそんなことをさせては、本末転倒だ。
「ならば、俺がやるしかない!」
 フルスロットル、全力疾走の八咫烏を操り、夜刀神はベルリンの下へ突撃する。無謀な行為に見えるがそうではない。夜刀神にはしっかりとしたあてがあった。
 夜刀神が剣術を応用して編み出したユーベルコード、観の型【|天眼《テンガン》】。
 このユーベルコードによって、夜刀神はベルリンを観察するほど、罠による攻撃を回避しやすくなる。既に夜刀神は、罠の位置から攻撃が最も激しいであろう地点を見分け、そこを絶妙に避けるようにして八咫烏を走らせていた。
 そんな夜刀神に向かって、センサーが反応した罠が動き出し、七色の光線を発射する。発射された光に夜刀神は一瞬照らされるが、バイクのスピードを利用してすぐにその光から抜け出すと、夜刀神は転送されることなく罠を切り抜けることに成功した。
「なるほど、光線に当たっても、即座に転送されるわけではない、ということか。どんな技術を使っているのか知らないが、転送などという大掛かりな事をする以上、しっかり当てる必要があるのだろうな。まあ、八咫烏のスピードあってのものだから、獣人や普通のバイクでは、逃れるのは難しいかもしれないが。」
 さらにセンサーの都合か、複数個所へ同時に光線を放つこともできないようだ。そうであれば、夜刀神のとる行動は決まってくる。
「俺がここで惹きつけて、その間に獣人たちに逃げてもらう、というのが現実的かな。」
 光線の軌道もすでに見切り、もはや万が一にも夜刀神が捕まることはない。ならば、八咫烏の燃料が尽きるまで、ベルリンにはここで踊っていてもらおう。そう考えた夜刀神は、八咫烏をUターンさせ、ベルリンの懐へと再び飛び込んで行った。

 ベルリンはしばらくの間、なんとか夜刀神を捕えようとその場にとどまっていたが、それが不可能だと悟ると進路を元に戻し、街への進撃を再開した。しかし、既に住人は逃げ出すことに成功しており、街はもぬけの殻となっていた。結局、ベルリンは獣人を一人も捕えることができないまま、ただ街を踏み荒らしながら去って行った。
 逃げ出すことに成功した獣人たちは、荒らされた街の復興を目指す者、よそへ移り住むものなどさまざまであった。街に残った者は変わり者ばかりであったが、その中にはしばらく後にバイクメーカーを立ち上げ、成功した獣人がいた。彼は後にこう語っている。
「何故バイクを作ることにしたかって?そりゃ、バイクは英雄の乗り物だからさ。間違いない。遠目からだが、この目で見たからな。彼が乗っているバイクに負けないものを作るのが、オレの夢なんだよ。」
 その街では、軍服のような装束に身を包み、バイクを駆って街を救った男の伝説が、今も密かに語り継がれている。

成功 🔵​🔵​🔴​

禍神塚・鏡吾
なりふり構わないとはこのことですね
「彼らは、鏡を見て自分の醜い振る舞いを省みるべきです」

ところであれは「光」線なのですね
なら、これが使える筈
錬成カミヤドリで複製した本体(魔法の鏡)を逃げる一般人の盾にして、鏡で光線を反射することで駆動中の機械罠に対処します

ここからが電脳魔術師の腕の見せ所
レーザー射撃、念動力、戦闘演算、弾道計算……使える技能は全て使って、鏡の角度を精密に操作して怪光線の反射角を調節し、光を一点に集めて怪光線を発射口にお返しします
怪光線を操作中の兵士に当たってその兵士が工場に転送されれば、一時的に光線そのものを止められる……我ながら幸運頼みの作戦ですが、試してみて損はないでしょう



 少し顔を上げれば、目に映るのは動く巨大都市、そしてそれに備わる摩訶不思議な装置の数々。どれも驚くべき技術で作られた物ばかりなのだろうが、それらが獣人を捕えて改造するために動いているという事実を、禍神塚・鏡吾(魔法の鏡・f04789)は残念に、そして少し滑稽に思う。恐らく、あれらを操る者にも何らかの目的があり、そのためにはなりふり構っていられないという事なのだろうが、もう少しその技術を他の物に活かすことはできないのであろうか。
「やれやれ。ああいった野郎……おっと。野蛮な行為をする方々を見ると、昔を思い出して少々疲れます。彼らは、鏡を見て自分の醜い振る舞いを省みるべきでしょうね。」
 うっかり出かけた素を引っ込め、冗談めかして口にしてみたが、あまりいい気分にはなれない。この蛮行を止めなければ、きっと気分は晴れないだろう。思わず仮面を被ろうとした手を戻し、鏡吾はいつもの笑顔で、ではどうするかと考え始める。
 鏡吾は逃げる獣人とは逆方向、こちらへ迫るベルリンの方へ向かって、街の大通りを歩いて行く。
「そうですねぇ……見た所、あのスポットライトのような形の物が発射装置なのでしょうが、あれから放たれるのは『光』線なのですよね?なら、やりようはありそうですね。」
 勝機を見出した鏡吾は【錬成カミヤドリ】を発動し、自分の本体と同じ魔法の鏡を次々と複製していく。鏡は宙を滑るように移動すると、瞬く間に街中へ散らばり、罠の餌食になりそうな獣人を見つけ次第、発射された光線を反射して彼らを救助していった。
「ふむ、いいですね。計画通りです。鏡である私に、光線で攻撃しようなどと……おや?」
 満足げに頷いていた鏡吾に向かって、複数の光線が放たれた。それらも問題なく反射することができたのだが、またすぐに光線が発射される。先程までとは違い、鏡吾を集中的に攻撃しているようだ。
「いったい、何が……ああ、成程!センサーでの自動射撃ではなく、手動での攻撃に切り替えたんですね?邪魔な私を、先に排除しようという事ですか。それは懸命な判断かも知れませんが、どうせなら使う武器も変えておくべきでしたね。」
 鏡吾は敵に気付かれないよう慎重に、街中へ散った鏡を自分の近くへ集結させていく。そして、再び複数の光線が発射されたその瞬間、鏡吾は素早くそれらの鏡を操作して、精密に調整した角度で空中にばらまいた。
 計算されつくした鏡の迷宮を、幾本もの光線が出口めがけて跳ね回る。無限に反射を続けるかのように思えたそれらは、遂に一つの出口を見つけ出し、そこへ向かって収束していく。
「さて、お返しです。」
 一点に誘導された怪光線が、ベルリン下部の装置群を七色に染め上げた。眩い光の照射が終わった時、ベルリンの攻撃は完全に止まってしまっていた。何やら不測の事態が起こったらしく、ベルリンは地響きを鳴らしながら、慌てたようにそのまま街を通り過ぎていく。
「どうやら上手くいったようですね。おおかた、発射装置を操作していた者達が、行方不明にでもなったのでしょう。恐らくは例の工場とやらにいるのでしょうが……私はそこがどんな場所か知りませんが、自分を見つめる鏡はなくとも、自分の行いを見つめ直す機会ぐらいはあるでしょうね。」
 肩を竦めてそう言って、鏡吾は怪我をした獣人がいないか見て回るため、そのまま大通りを歩き始めた。

 鏡吾の活躍によって、街の住人は守られた。その後、彼の活躍を目撃した獣人たちによって、ゾルダートグラードの兵器に鏡が有効という、合っているようないないような噂が流れ、鏡を買う人が急増したという。家に鏡が置かれたことで、身だしなみに気を使う人が増え、服や化粧品を買う人が増えたことで、それらの原材料を作っている者達の収入が劇的に増加した。嘘みたいな話ではあるが、風が吹けば桶屋が儲かる、という事だろうか。
 ちなみに、そのことを風の噂で知った鏡吾の反応は「やっぱり、生物というのは変わった方々ですよね。」だった。その時の彼の笑顔が、いつもの固まった笑顔なのか、本心からのそれなのかは、本人にしか分からないことである。

成功 🔵​🔵​🔴​

桐崎・式神零式・皐月
アドリブアレンジokです
現状を把握しました
式神零式、任務を遂行します

迫りくる壁の罠の効果範囲に安全圏を作ろうと思います
つまりは、壁へ近づきUCで罠を使役することで無力化していくのです
機械、ということは無機物だということです。生えた腕は逃げそびれて罠に捕まった獣人を救い出すのに役立つでしょう
あとは術手袋で罠を殴り壊したり、霊的防護をまとわせて光線を防御するなども有効でしょうか
罠を壊したらそれもUCで使役して手数を増やしたいですね

当機への被害は霊的防護で抑えられるものと考えています
仮に損傷があったとしてもこの身は式神符によるもの。多少の損傷は問題ないという認識で挑む考えです



 街で最も高い建物の屋根に立ち、桐崎・式神零式・皐月(式神の符術士・f43368)は今にも街を踏み潰さんとする無限軌道都市ベルリンの姿を観察していた。壊されていく街並み、逃げる獣人たち、それら彼女が認識したもの全てが、|情報《データ》として記録されていく。
「|観測《スキャン》|完了《コンプリート》。式神零式、これより任務を開始します。」
 そう宣言した桐崎は、屋根を強く蹴って飛び出していく。屋根から屋根へと飛び移り、無限軌道都市へ向かって一直線に進む。下は獣人たちでごった返しているし、これから彼女がすることを考えれば、こうして進むのが最も効率的であった。
「この広い街から、当機のみで全ての住人を救助するのは現実的ではありません。彼ら全員の生還を目指すには……機械罠を直接制圧する、これしかないでしょう。当機に記録されているデータに誤りがなければ、あのスポットライトのような形状の機械罠はセンサーを用いた無人の自動射撃装置。機械であれば【御霊騒霊符】で操れるはず。」
 【御霊騒霊符】は、あらゆる無機物を使役することができる便利なユーベルコードである。ただし、大きい無機物ほど使役難易度が上昇するという欠点がある。そのため、ベルリンそのものを操ることはできないし、あの機械罠でさえ使役するのは至難の業になるだろう。
 しかし、それは通常の状態であれば、である。
 桐崎は最後の家の屋根を強く蹴ると、空高く飛び上がってベルリン下部の壁にしがみついた。当然、彼女を迎撃しようと七色の光線が飛んでくるが、桐崎の身を包む霊的防護によって、光線は何の効力も発揮せずに霧散してしまう。
「強行突破のような形になりますが……やむを得ませんね。」
 桐崎は、その手につけている術手袋に霊力を集中させると、渾身の力を込めて機械罠の一つへ叩きつけた。そしてバラバラになった機械罠の破片へ、すかさず【御霊騒霊符】を張り付ける。砕かれた破片に手足が生えて動き出し、それらがまた新たな機械罠を破壊することで、桐崎が使役する無機物は瞬く間にその数を増やしていく。
「さて、このぐらいいれば、もう十分でしょう。」
 いくつかの動き出した破片に符を手渡し、桐崎は頃合いを見て、近くにある民家の屋根へと着地した。既にベルリンの下部には無数の「動きだした機械」がうじゃうじゃと張り付いていて、獣人の回収どころではなくなってしまっている。どうやらベルリン内部にいる者も異常を察知したのか、機械たちを叩き落そうと戦闘を始めているようだ。しかし、もう遅い。あれだけの数の機械たちを排除するのは、そう簡単にはいかないだろう。しばらくすると、ベルリンはこの場での事態の解決を諦めたのか、動く機械たちにまとわりつかれたまま、獣人をさらうこともせずに慌ただしく街を去って行ってしまった。
「戦闘終了……被害状況を確認したのち、帰還するとしましょう。」
 街を去るベルリンを眺めながら、機械的に状況判断を下した桐崎は、怪我をした獣人がいないか確認するため、素早く街の通りへと降りていくのだった。

 活動記録。
 無限軌道都市ノ妨害ニ成功。死者、重傷者共ニナク、一部建造物ノ損害ヲ除ケバ、被害ハ軽微。
 活動内容ハ、自動的ニ当機ノ|記憶媒体《メモリ》ヘ保存サレマス。
 |任務《ミッション》|完了《コンプリート》。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年05月05日


挿絵イラスト