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獣人世界大戦②〜生身の体など捨てよ

作者：メリーさんのアモル

●獣人世界大戦、開幕
「ついに私の世界でも戦争が始まるみたいだね」
　そう言って、やる気を示すのはグリモア猟兵の風吹・香織（怠惰な「双胴の悪魔」乗り・f39889）だ。
「かつて自分達に痛手を与えた『はじまりの猟兵』の拠点を探していた超大国『ワルシャワ条約機構』、その支配者である『始祖人狼』が、遂にその手がかりを掴んだらしい」
　それに呼応し、他の超大国もそれぞれに「始祖人狼の阻止」や「はじまりの猟兵の奪取」を目的として、ワルシャワ条約機構への大規模な軍事侵略を開始している。
「戦争が発生すれば、犠牲となるのは罪もない獣人達だ。そのうえ、超大国のオブリビオン達は「｜世界の滅亡《カタストロフ》」さえも意に介していない。決して、超大国の好きにはさせないためにも、みんなの力を貸しておくれ」
　そう言って、香織は猟兵達を見た。

「今回みんなに向かってもらうのは、スイスを中心とするアルプス山間部の地下にある巨大要塞、アルプス国家要塞だ」
　その存在目的は不明らしい。ゾルダートグラード軍の何らかの「巨大戦力」の為に存在すると思われるが、いずれにせよ破壊するに越したことはない。
「アルプス国家要塞内部には、多数の『クロムキャバリア』世界で作られた最新鋭キャバリア」が配置されているみたいだ。要塞に乗り込み、可能な限り多数の敵キャバリアを破壊して、迅速に撤退してもらえるかな」
　戦闘は要塞内部。基本的には閉所の戦闘ではあるが、キャバリアがいるくらいなので、そこまで気にする必要はないだろう。
「今回戦う相手は『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』。変わった教義を唱えながら襲ってくる無人機みたいだ」
　その教義とは「悲しい現実は偽りの世界だ。身体を棄て……機械の体を手に入れよ……」というもの。それを実現するために武器を振るうらしい。
　これが外の世界に放り出されれば、獣人達の世界である獣人戦線に惨劇が巻き起こることは必至だ。
　それを避けるためにも、ここで倒しておく必要があるだろう。
「とにかく、キャバリアをぶん殴って止める。やることはそれだけだ。頼んだよ、みんな」
　そう言って、香織は話を締めくくった。

第1章 集団戦 『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』

POW   :    《集団自爆》今すぐ体を棄てて神の元へ参りましょう 自身が戦闘不能となる事で、【機体を爆破して、隣接する】敵1体に大ダメージを与える。【『仲間』と『猟兵』を巻き込み、難解な教義】を語ると更にダメージ増。 SPD   :    《連撃》お客様が来ました。囲んで倒しましょう…… 【RX-A大型セラミックブレード】が命中した対象に対し、高威力高命中の【RX-Aアームチェーンソー】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。 WIZ   :    《布教》我らが宗教の名はアポストロ・ラ・モルテ！ 自身が【難解な教義を説いて】いる間、レベルｍ半径内の対象全てに【「教祖様万歳ー！」と叫びながらの特攻自爆】によるダメージか【体を機械化する脳チップを埋め込み、注射】による治癒を与え続ける。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「キャバリア……勝負する……。それが命令なら……シェイナは……やる……」
　そう呟くのは誕生のときより戦うために改造を繰り返された獣人サイズのキャバリア「｜不死戦嫁《イモータルブライド》」、琉輝愛・シェイナ（｜不死戦嫁《イモータルブライド》・f39926）だ。
　誰かに「使われる」ことが唯一の喜びであるシェイナにとって、グリモア猟兵からのお願いに応えるのは自然なことだった。
「悲しい現実は偽りの世界だ。身体を棄て……機械の体を手に入れよ……」
「シェイナは獣人でありキャバリア……」
「既に機械の体……？」
　シェイナの言葉に『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』が困惑の言葉を上げる。
「シェイナ……踊る……みんな……消す……」
　流れるようにシェイナが舞い踊り始める。
「と、とにかく悲しい現実は偽りの世界なのです。今すぐ体を捨てて神の元へ参りましょう！」
　困惑した『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』は最終的にシェイナへと攻撃行動に移ることを選んだ。
　機械の体なのだとしても、こちらを攻撃するつもりなのであれば、敵であることに違いないからだ。
「さぁ、神の元へ！」
　『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』は教義を述べながら、一気にシェイナに接近、機体を爆発させ、隣接するシェイナを自爆に巻き込もうとする。
　だが、シェイナは1.5倍の速度で踊ることで踊るようにその接近を次々に回避し、その爆発を回避していく。
（ユーベルコードでの流れるような動き……。敵を惑わせ……殲滅する……それが私の役割……）
　ある意味、ここにいるのがクロムキャバリア世界出身の『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』しかいなかったことは不運だと言えるだろう。
　素早い動きでの同士討ちの誘発と幻惑。即ち、敵を惑わせることはシェイナの真骨頂である。
　ここにいたのが、「｜不死戦嫁《イモータルブライド》」の名を知る獣人戦線の存在であったなら、もう少し警戒して戦うことも出来ただろう。
　だが、現実にはそうではない。
　だから、愚かな無人機『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』は次々と自爆を誘発させられ、その数を確実に減らしていった。
　相手がどれだけ連携してシェイナを追い詰めようとしても関係ない。
　シェイナの素早い動きの前には、シェイナを捉え、自爆に巻き込むことなど、不可能なのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「何故分からない。悲しい現実は偽りの世界だ。身体を棄て……機械の体を手に入れよ……」
「……私は最初から機械の体だが、今知覚しているのが本物の現実だ。受け入れろ」
　壊れた機械のように教義を叫び続ける『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』に対し、そう告げるのは銀河帝国生まれのウォーマシン、テリブル・カトラリー（女人型ウォーマシン・f04808）だ。
「おぉ、あなたは真の世界に至れた同志なのですね」
「違うと言った。今知覚しているのが本物の現実だ」
　戦闘補助を担い、変声機能もついた『マシンヘルム』を装着し、敵機の位置を漏らさず把握し、『｜騎乗型浮遊砲台《ロートレック》』に搭乗、『マシンヘルム』を介して遠隔操縦しつつ、『｜誘導弾砲《ミサイルランチャー》』で先手を取る。
　向こうはテリブルを同志だと思って友好的態度をとっていたので、それは完全なる不意打ちとなった。
「な、何をするのです、同志よ」
「同志ではない」
　吹き飛ばした敵に対し、パルスグレネードを投擲し、その動きを封じて機先を制する。
　この時点で、この一帯の戦いはほぼ決したと言っても過言ではない。
　既にテリブルと相対している『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』の大半はもはや身動きが取れず、抵抗するすべを持たないからだ。
　だが、テリブルはそれだけで油断はしない。
「なぜこちらを攻撃するのです、我々は機械の体を持つ同志でしょう！」
　動ける『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』がまだ、彼に接近しているからだ。『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』の自爆攻撃は脅威。故に。
　『｜携行浮遊砲台《アルタミラ》』と『｜騎乗型浮遊砲台《ロートレック》に搭載された実弾砲から砲撃を放ち、接近してくる『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』を牽制し、吹き飛ばし、近づかせない。
　そして、その間に。
「……」
　両腕をガトリングガンへと換装。命中した部位を確実に破壊する恐るべし巨大鉄徹甲弾がガトリングガンから無数に放たれる。ユーベルコード『｜戦争腕《ウォーアーム》・｜奏嵐《ガトリング》』だ。
　これにより、テリブルに相対していた『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』は全滅する運びとなった。
　吹き飛ばし、動きを封じ、それを逃れた敵は確実に足止めし、その隙に本命のユーベルコードを撃ち込む。
　まさに戦いのお手本のような戦術の前に、敵は為すすべなく倒れたのであった。
　まだ、敵のいる区画は残っている。
　撤退するのは早いな、とテリブルは判断し、次なる戦闘区画へ向かうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「ぞっとしない教義だねぇ、そういう奴らはできるなら殲滅しきりたいけれど……高望みはしないでおくかね」
　そう呟きながら戦場に降り立つのはＵＤＣアース出身の一般人ながら、スターライダーにしてサイキッカー、数宮・多喜（撃走サイキックライダー・f03004）だ。
「しっかし閉所での対集団戦闘、か。飛行が制限されるような場所なら、Overedの格好の暴れ所だよ」
　そう言って多喜は亜空間から転送されてくる謎のキャバリア『カスタマイズドキャバリア　"JD-Overed"』に乗り込む。
　本来宇宙バイク乗りな多喜だが、このキャバリアはなぜか操縦系統はカブに酷似しているため問題はない。
　搭載されたローラーダッシュ機構で移動しながら、戦闘行為を開始する。
「出し惜しみはナシだ、押し切らせてもらうよッ！」
　戦場に降り立った多喜はすぐさま、『BS-F(JD)シールディングオービット"Einherjar"』を展開、搭載されたレーザー発射機構からレーザーを発射し、制圧射撃の如く弾幕を放つ。
「おぉ、新たな猟兵！　今度こそ明らかに生身の方！」
　攻撃されたことで次なる猟兵の接近に気付いた『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』は、RX-A大型セラミックブレードを構え、戦闘態勢を取るが、『BS-F(JD)シールディングオービット"Einherjar"』のレーザー弾幕の前に容易に接近できない。
　そして、そのこちらへの接近にまごついた隙を見逃す多喜ではない。
　『BS-A（JD)マルチプルブラスター』を薙ぎ払うように放ち、足を止めた『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』を撃破していく。
　敵の連携近接攻撃に対し、そもそもローラーダッシュで常に移動しているため、接近するのが難しいところに、確実に弾幕で足止めして本命の薙ぎ払いブラスターでトドメを刺す、堅実な戦法だ。
　だがそれでも、敵の連携とて油断できない。『BS-A（JD)マルチプルブラスター』で薙ぎ払ったその瞬間だけ、弾幕が消える。
　そのことに気づいた数体が、RX-A大型セラミックブレードを構え、多喜に肉薄する。
　次の瞬間にはまた『BS-A（JD)マルチプルブラスター』で撃破されるとしても、RX-A大型セラミックブレードから連続して放たれるRX-Aアームチェーンソーの一撃であれば、確実に大ダメージを与えられるはず。
　だった。
　敵の武器が純粋に遠距離用のみなら、あるいはそうだったかもしれない。
　肉薄された次の瞬間、多喜が起動したのは『RX-JDサイオニッククロ―』。キャバリア腕部に装着する手甲タイプの爪状武装だ。
　接近するRX-A大型セラミックブレードに合わせるように放たれるはカウンターの如き一撃。
　結局、『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』は多喜に触れることも叶わず、確実にその数を減らしていくこととなったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「押し付けってやつですねー、はた迷惑な」
　敵の行動についてそのように呟くのは四人で一人の複合悪霊、馬県・義透（死天山彷徨う四悪霊・f28057）だ。今は、『疾き者』外邨・義紘の人格が表に出ているらしい。
「ですから、ここで全て……天へとね」
　そう言いながら義透はユーベルコードを発動する。
　発動するユーベルコードは『四悪霊・『戒』』。
「あなたも生身の人間のようですね。さぁ、今すぐ体を棄てて神の元へ参りましょう！」
　義透を捉えた『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』が早速義透に向けて突っ込み、そして自爆する。
　直後、『四悪霊』の総意と、『馬県・義透』という認識補助術式により、身体が再構成され、元の体に戻る。
　周囲から見ると、『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』が自爆すると同時、その身体が黒く爆ぜたかと思うと、再び一点に収束し、元の姿に戻ったように見えた。
「何らかの術で分散して回避した！？」
「ならば、周囲から囲めば」
　『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』が義透を囲うように移動し、一斉に飛びかかる。
「悲しい現実は偽りの世界だ。身体を棄て……機械の体を手に入れよ……」
　そして、一斉に自爆。
　だが、やはり義透の身体は再構成され、元に戻ってしまう。
「私は滅びませんし、ましてや肉の器などとうの昔に亡くしてますしねー？」
　悪霊であることを最大限利用した自己再生による戦法なのだから、当然だ。
　もし万一彼を殺せる方法があるとしたら、再生のために『馬県・義透』を認識してくれている、彼の影に隠れている『陰海月』と『霹靂』を狙うべきだろう。
　もっとも、影に隠れていて見えない上、そんなことを彼らが知る由もないのだが。
　義透は悠々と前に進み、敵の集団の中央に位置する。
　飛んで火に入る夏の虫！　と『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』が自爆を敢行するがやはり効かない。
　そろそろ気付いてもいいはずだが、何故か彼らは執拗に自爆をし続ける。
　そう、それは、このユーベルコード『四悪霊・『戒』』のもう一つの効果にあった。
　それは自身が再構築される時に自身を強化する、と言う点だ。
　義透は今回、状態異常力を特に強化する形で再構築し続けており、それによって、錯誤呪詛を発動。『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』は義透の事を「肉の器を持つ猟兵だ」と思い込んでしまっているのである。
　最初の頃ならなんとかなったかもしれないが、無数の攻撃を受け、再構築を繰り返した彼の状態異常力は極めて高い状態になっており、もはや覆すことは叶わない。
　結局、『『首無し』BG-3ナイトメアプラス改』は全滅するまでひたすら義透にむけて自爆を続けたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2024年05月01日