獣人世界大戦②〜フォートレス・アルプス
「皆さん、獣人戦線でついに世界大戦が勃発してしまいました」
グリモアベースで猟兵たちに説明をするのは軍服姿のアイ・リスパー(f07909)だ。
アイはキーボードを操作すると、空中の半透明ディスプレイに戦況を映し出した。
「現在、我々が介入できるのは『第一戦線』――ユーラシア大陸外周部での戦いです。『はじまりの猟兵』を目的として超大国の軍勢が動いています。我々はその軍勢を可能な限り撃破していくことになります」
ディスプレイはユーラシア大陸の西部、スイスをクローズアップしていく。
映し出されるのはスイスの国土の6割を占めるアルプス山脈――その地下に張り巡らされた広大な迷宮要塞の姿だ。
「ドイツを中心にヨーロッパを支配するゾルダートグラード。その軍が作った巨大地下要塞『アルプス国家要塞』です。おそらくゾルダートグラード軍の巨大戦力のために存在すると思われます」
アルプス国家要塞からはゾルダートグラードの首魁、幼女総統『ギガンティック』に支援がおこなわれていることが判明している。戦略上、重要な要塞であることは間違いない。この要塞を制圧できれば、後々の戦いを有利に進められるだろう。
「予知により、このアルプス国家要塞内部には、多数の最新鋭キャバリアが配備されていることがわかりました」
ディスプレイに映ったのは、まるで恐竜のようなフォルムをしたキャバリアの姿だ。『ヴェロキラ』という名前で表示されたキャバリアには、マシンガンやミサイルといったクロムキャバリア世界の最新鋭の武装が装備されていることが確認できる。顎や尻尾、爪による格闘攻撃も強力そうだ。
何よりも、集団で獲物を狩るという獣じみた集団行動こそ、このキャバリアの一番の恐ろしさであることが分析データによって示されていた。
「皆さんには、要塞に乗り込み、可能な限りこのキャバリア――ヴェロキラを撃破していただきたいのです。そしてゾルダートグラード軍の戦力を削り、迅速に撤退して下さい」
集団行動と地形制圧に長けたヴェロキラ。いかに集団戦闘に対処するかがポイントになる。
「一度で要塞を落とすことは難しいですが、何度も攻撃を繰り返せば陥落させることが可能なはず。皆さん、どうかご無事に帰ってきて下さい」
新調したばかりの軍服を翻しながら、アイは転移の準備を始めたのだった。
高天原御雷
このシナリオは「戦争シナリオ」です。1章で完結し「獣人世界大戦」の戦況に影響を及ぼす特殊なシナリオとなります。
オープニングをご覧いただき、どうもありがとうございます。高天原御雷です。
今回は獣人世界大戦で、この世界の超大国の一つ、ゾルダートグラードの要塞を攻略して下さい。
敵はクロムキャバリア世界の最新鋭キャバリア。それも集団戦に長けた相手です。連携や集団戦術に対する対抗策を考えてください。
なお、オープニング公開直後からプレイング募集を開始します。(断章はありません)
●プレイングボーナス
キャバリアを用いた集団戦闘に対処する。
●リプレイ執筆について
今回は速度優先でリプレイの執筆をおこなう予定です。
従来のリプレイとテイストが異なる可能性がありますが、ご了承ください。
第1章 集団戦
『ヴェロキラ』
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POW : ヴェロキラアサルト
【友軍と連携して接近し、顎内部のリューター】で装甲を破り、【尻尾の打撃】でダウンさせ、【マシンガンとミサイルで追撃し、格闘攻撃】でとどめを刺す連続攻撃を行う。
SPD : ヴェロキラハンティング
【友軍と協力して敵を包囲する。】【格闘】【マシンガンとミサイル】で攻撃し、ひとつでもダメージを与えれば再攻撃できる(何度でも可/対象変更も可)。
WIZ : ヴェロキラバレッジ
【友軍と隊列を構築し、マシンガンとミサイル】を最大レベル秒間連射し続け、攻撃範囲にダメージと制圧効果(脱出・侵入を困難にする)を与える。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夢幻・天魔
【超絶厨二病:厨二ならばなんでもアドリブOK】
ゾルダートグラードか……
キャバリアを主戦力とするならば、こちらも合わせてやろうではないか
来い! 『Azazel』!
(自身のキャバリアを呼び出し、空中から攻め立てる)
なるほど恐竜タイプか
集団戦も得意のようだが、俺の相手ではない
戦場を埋め尽くすほどの敵すら、(妄想の中で)俺は殲滅してきたのだぞ?
この俺の操縦技術、存分に思い知るがいい!
(異世界での激闘(※妄想です)を存分に語った上で、『異世界で取った杵柄』で成功率を上げて攻撃を仕掛ける)
フハハハハハ!
蹂躙してくれる!!
ジャン・ジャックロウ
ヒャッハッハッハッ!獣人世界大戦とは、最高に楽しい時世になってきたなぁオイッ!
【|野良犬部隊《野郎共》】ッ!稼ぎ時だ、派手に暴れるぜッ!
敵は集団戦が得意?奇遇だな、俺達もだぜッ!
俺自身が『パンツァーキャバリア【グラオザーム】』に搭乗しながらパンツァーキャバリア班を率いて戦闘開始だ。
包囲されないように、総員『グラオザーム戦車砲』で砲撃して弾幕を張れ。隙を与えるなッ!すばしっこい奴は『グラオザームショルダーホーミングレーザーキャノン』で追い詰めてやれッ!格闘は『パワークロー』で応戦だ。
ハンティングされる側がどちらかキッチリ教えてやるぜッ!
【技能・集団戦術、大軍指揮、砲撃、蹂躙】
【アドリブ歓迎】
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
自慢のキャバリア、藍ゼン・シュテルンでオンステージなのでっす!
集団戦かつ友軍との連携が強みとのことでっすがー。
藍ちゃんくん、対多数の方が強いのでっすよー?
歌うのでっす!
踊るのでっす!
キャバリアでありステージでもある藍ゼン・シュテルンと共に!
ヴェロキラさん達は撃ってくるでしょうがー。
藍ちゃんくんのライブは無機有機問わず魅了するのでっすよー?
果たしてそのミサイルはまっすぐ藍ちゃんくんに飛んでくるでしょうかー?
友軍との隊列の構築や連携は上手く行ってるでしょうかー!
ファンになった皆様の攻撃で同士討ちや藍ちゃんくんの盾になってくれたりで強みのはずの連携が乱れて一網打尽なのでっす!
イクシア・レイブラント
共闘、アドリブ歓迎。
敵の連携を崩せばいいのね、了解よ。鎧装騎兵イクシア、交戦を開始する。
予め味方に[情報伝達]したうえで【強制遮断】を実行。
効果時間の間ミサイルは無力化され、通信不能となることで連携は精彩を欠くことになる。
さあ、147秒で決めるよ。
こちらもドローンなどは使えないから、通常のアームドフォートで[砲撃]。
マシンガンの射線を[瞬間思考力、戦闘演算、空中機動]を駆使して避けながら[推力移動、滑空]で接近、
大型フォースブレイドで[空中戦、武器巨大化、なぎ払い]して敵を片付ける。
●
アルプス山脈の地下、そこに広がるのは広大な迷宮要塞。ゾルダートグラード軍が擁する巨大地下要塞『アルプス国家要塞』だ。
恐竜型のキャバリアが多数配備された要塞内に猟兵たちが転移されてくる。
「広い要塞ね。これだけ広ければ思う存分飛べそうね」
緑色の髪をツインテールにし、背中に身長よりも大きいスラスターとウィングユニットを装着した鎧装騎兵のイクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)が周囲を見渡す。
ゾルダートグラード軍のキャバリアが活動するために広い空間になっているのだろう。武装として装備しているアームドフォートを遠慮なく撃てそうだ。
「そうでっすねー! これなら藍ちゃんくんのキャバリアオンステージも問題ないでっすねー!」
紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)のハイテンションな声が聞こえてくる。その声の出どころは、藍が乗るキャバリアの外部スピーカーだ。搭乗者と同じ藍色の髪と紫の瞳を持つデフォルメされたフォルムのキャバリアは|藍色の灯火《藍ゼン・シュテルン》。藍の歌や演奏で操縦できる特別仕様になっている。
「ヒャッハッハッハッ! 獣人世界大戦とは、最高に楽しい時世になってきたなぁオイッ!」
藍とはまた違った方向性でテンション高く吼えるジャン・ジャックロウ(野良犬共を統べる部隊長・f39920)。ゾルダートグラードの軍服を着たイヌ獣人であるジャンは、無骨なパンツァーキャバリア『グラオザーム』の操縦席から上半身を乗り出して叫ぶ。
「野郎共ッ! 稼ぎ時だ、派手に暴れるぜッ!」
『おおおおっ!』
後方にずらりと控えるパンツァーキャバリア部隊から歓声が上がる。ジャンはそれを確認すると、懐から取り出した最高級ボーンスティックを葉巻のように咥えニヒルな笑みを浮かべた。ジャンと彼に従う野良犬部隊は、元々はゾルダートグラードに所属していた軍人だ。だが諸事情により軍を脱退。今はゾルダートグラードと戦っている。
そこに、藍やジャンのテンションに負けないほどの高笑いが要塞内に轟いた。
「フハハハハハ! ゾルダートグラードがキャバリアを主戦力とするなら、こちらも合わせてやろうではないか! 来い! Azazel!」
赤髪に漆黒の瞳をした青年が、身にまとった「†Darkness clothes†」のマントをバサリと翻す。包帯が巻かれた左手で顔半分を隠すポーズをしている夢幻・天魔(千の設定を持つ男・f00720)。その声に応じ、赤き大剣を持った漆黒のキャバリアが空間を割って姿を現した。
天魔が乗り込んだAzazelは、黒き翼を広げると空中へと飛び上がる。
「ククク、世界の破滅を招くと予言されし災機Azazel――この俺でも制御しきれるか分からぬ悪機の力、ゾルダートグラードごときが対抗できるか試してやるとしよう!」
「この戦い、藍ちゃんくんにまっかせっるでっすよーっ!」
「ケヒヒヒヒ、安心しな。俺は正義の猟兵様だぜ? 行くぜ、野郎共!」
「ククク……数多の世界を旅し、ある時は勇者として世界を救い、またある時は魔王として恐れられた俺の力、たっぷりと見せてやろう!」
藍、ジャン、天魔の人の話を聞く様子のないテンションを見て、イクシアはため息をついた。
「大丈夫かしら、このメンバー……」
●
『キシャアアアアッ!』
要塞内に巣食う鋼鉄の恐竜型キャバリア――ヴェロキラの群れを見て、イクシアが考え込む。
「敵は数が多いわね。それにマシンガンやミサイルといった武装も厄介そうね。ここは慎重に――」
敵の行動を観察し、仲間に告げるイクシア。だが、この場で慎重に行動しようと考えているのはイクシアだけだった。
「フハハハハ! 我が名は暗黒竜王ダークネスドラグーン・天魔!
地球の歴史が始まって以来、最強の敵、そう、恐竜どもと戦ってきたのだ! 奴らは巨大な牙と鋭き爪を持ち、大地を踏みしめる度に地響きを立てていた。だが、我が瞳に宿る漆黒の炎に怯えおののいていたぞ! ティラノサウルスどもが群れをなして襲いかかってきた時は、我が放った黒き稲妻により、一瞬にして灰と化したのだ! ははははは! さらにトリケラトプスが、あの巨大な角で突進してきたが、この暗黒竜王の剛腕により、易々と角を折ってくれてやったわ! そしてあのプテラノドンども! 奴らは空を舞い、死の羽ばたきで我を襲ったが、秘められし禁忌の呪文を唱えることで、永遠の眠りに落としてやったのだ! 最後に、史上最大の敵、ブラキオサウルスが立ちはだかった。山の如き巨体で、大地そのものを飲み込まんばかりの怪物だったが、邪悪なる魂を封じ込める、我が隠されし右目の力を使い、奴の魂をも捕らえることに成功したのだ! もはや敵ではない! このように、我、暗黒竜王ダークネスドラグーン・天魔は、かの恐竜どもを打ち倒し、地球の覇者として君臨し続けるのだ! フハハハハハ!」
自らが持つ『前世』(注:アイテム名)の記憶を元に高笑いする天魔は、ヴェロキラの群れにむかってAzazelを突撃させる。
マシンガンの火線と誘導ミサイルがAzazelを迎撃しようとするが、妄想設定を語ったことで【|異世界で取った杵柄《スペシャルスキル》】が発動した天魔は、その攻撃をことごとく回避していく。
「ほほう、集団戦が得意な敵か。奇遇だな、俺達もだぜッ! 行くぜ、野郎共! 野良犬部隊のしぶとさをみせつけてやるぜッ!」
グラオザームに乗ったジャンが指示を下すと、パンツァーキャバリアに乗った野良犬部隊が武装を構える。
「野郎共、戦いが終わったら酒とステーキで宴会だッ! 総員突撃! 恐竜とイヌ、どっちがハンティングする側かキッチリ教えてやるぜッ!」
『おおおおっ!』
号令一下、パンツァーキャバリア軍団がヴェロキラの群れに突撃を仕掛けていった。
「皆々様、藍ちゃんくんのライブにようこそなのでっすよー!」
ヴェロキラの群れが見上げる高台で、藍が乗る藍ゼン・シュテルンにスポットライトが当たる。その背後の壁にはコックピット内の藍の様子が映し出されていた。
映像の中の藍はウィンクひとつ。
「それでは、藍ちゃんくん in 藍ゼン・シュテルンのオンステージなのでっす!」
キャバリアである藍ゼン・シュテルンが優雅に踊り、そのスピーカーからは藍の歌声が響き渡る。
ヴェロキラたちはマシンガンとミサイルで藍ゼン・シュテルンを攻撃するが――。
「果たしてその銃弾やミサイルは、藍ちゃんくんに届くでしょうかー」
歌やダンスによって相手に友好的な行動をさせる【|星の瞳《アイクルスイート》】。その効果により、銃弾やミサイルは藍に命中することはない。
さらに星の瞳は、味方の天魔やジャン、野良犬部隊へと向けられるマシンガンやミサイルの攻撃も妨害していた。
「さあ、藍ちゃんくんのステージは、まだまだ続くのでっすよー! 皆さん、今のうちに攻撃なのでっす!」
ヴェロキラの攻撃が止まった隙をついて、天魔のAzazelが真紅の魔剣で敵を斬り裂き、ジャンのグラオザームが戦車砲で恐竜型キャバリアの装甲に穴を開けていく。
反撃しようとしたヴェロキラたちだが、マシンガンやミサイルによる攻撃は藍の【星の瞳】によって無効化されてしまう。
そのことに気づきヴェロキラたちは、仲間たちとの連携強化を始めた。その俊敏な機動力を利用して地上を駆け回り、牙と尻尾、そして爪による格闘攻撃を仕掛ける。
「くっ、恐竜どもの連携は予想以上だったか! だが、こんな攻撃では我が闇の力には敵わんぞ! 危ないところだが、この程度では倒れはせん! 何、囲まれただと? フハハハハ、望むところだ! 真の力、見せてやろう! 我こそが暗黒竜王ダークネスドラグーンなのだ!」
口では尊大なセリフを言いながらも、間一髪のところで攻撃を回避している天魔のAzazel。
「ちぃッ! 野郎共! 弾幕を張れッ! 一匹たりとも近づけさせるなよ! 近づかれたらパワークローで応戦だ!」
ジャンも野良犬部隊の部下たちに素早く指示を送り、状況に対処する。
だが、ヴェロキラたちの行動は俊敏だ。獲物を追い詰めるかのように、徐々に包囲網を狭めていき――。
「ああもう、だから考えなしに突っ込まないでって言ったでしょう!」
そこに、スラスターを全開にしたイクシアが飛び込んできた。背中のサイキックウィングを大きく広げると、全身が緑色に発光し始める。
「いい、敵の連携を崩すわよ。味方同士での通信もできなくなるけれど――」
天魔、ジャン、藍を順番に見て、イクシアが嘆息する。
「通信なんて要らなそうね。――事象観測、電脳魔術起動!」
発動したのは【|強制遮断《リモートキャンセラー》】。
イクシアの周囲に磁気嵐が発生し、電磁波と思念波が指向性無く吹き荒れる。それはヴェロキラたちの連携を成り立たせていた通信を完全に妨害していた。
「――今よ!」
「藍ちゃんくんのライブもクライマックスなのでっす!」
歌とダンスを媒介にする藍の星の瞳は、電磁波や思念波の影響を受けない。歌とダンスにより、天魔やイクシア、ジャンと野良犬部隊たちの武装が強化されていく。
「ふっ、この俺を信じる仲間たちの力を感じるぞ! この暗黒竜王にさらなる闇の力が集いつつある! さあ、恐怖せよ! 今こそ我が究極奥義を食らうが良い! ダークネスドラグーンアポカリプス・オメガ!」
天魔のAzazelが真紅の剣を大きく振りかぶると、必殺の『ダークネスドラグーンアポカリプス・オメガ』(注:ただの斬撃)を放つ。
その一撃でヴェロキラが真っ二つになり爆煙をあげた。
「野郎共! グラオザーム戦車砲、一斉射撃! おまけでホーミングレーザーキャノンもお見舞いしてやれ!」
『オオオオッ!』
ジャンのグラオザームが全力攻撃するのと同時に、野良犬部隊たちのパンツァーキャバリアからも雨あられと砲撃が降り注いだ。
「ここで一気に決める! 鎧装騎兵イクシア、交戦を開始する――」
イクシアはアームドフォートで次々とヴェロキラを砲撃していく。頭部やボディの動力炉を撃ち抜かれたヴェロキラが爆散し塵と化す。
さらに大型フォースブレイドを抜いたイクシアが空中を高速で飛翔。瞬時にヴェロキラの装甲の継ぎ目を見極め、そこに大剣を突き立てていった。
●
戦闘後、猟兵たちの目の前には、ヴェロキラの残骸の山ができていた。想定以上の戦果と言えるだろう。
「ヒャッハッハッハッ! 所詮は脳みそのないメカ恐竜だったな! 野郎共、帰って宴会だッ!」
「フハハハハハハ! 我が暗黒の力の前に、全ての敵は消え去った! 暗黒竜王の勝利だ!」
「藍ちゃんくんのライブ、楽しんでもらえたでっしょうっかー!」
テンション高く騒ぐ仲間たちを見て、イクシアは深く深くため息をついた。
「なんだか、すごく疲れた気がする――」
大成功
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支倉・錫華
久々に傭兵としての任務って感じだね。
クロムキャバリアの武装をどこから調達してるのか気にはなるけど、まずは要塞の制圧か。
「アミシア、【ナズグル】に【Hammer】で地上戦仕様でよろしく」
『了解。状況からメイン武装【FL30】。サブに【ナックル】を推奨します』
相手は集団戦に長けてるんだっけ?
そうなると索敵と初動、それに電子戦が鍵になるかな。
ということで、アミシアが索敵で【ヴェロキラ】を捉えたら、コントロールは全部引き受けるよ。
戦い方は、壁に沿って動きつつ前から焼いていく感じがメイン。
接近されたらナックルで殴り飛ばすね。
「それじゃいこうか」
『了解。|LinkJammer《妨害戦》スタート!』
エレイン・アイディール
もしやと思ったけれど、本当にエルネイジェ王国軍のヴェロキラじゃない!
異世界にまで輸出するなんて、余程商魂逞しい商人がいるようね
でもわたくしの目に留まったのが運の尽きよ!
適切に処理させて貰うわ!
行くわよ!ゴールドブリンガー!
あらあら?
こんなに大勢で歓迎してくれるなんて光栄だわ!
でもごめんなさいね?
殿方の相手は一度に一人までと決めてるのよ
迷宮要塞の地形を利用して通路で戦うわ
前後の一方の攻撃をゴールドシールドで防ぐわ
狭い通路では躱すより守る方が有利に決まってるもの
そして両腕のビームキャノンを連射して反撃よ!
もう一方が接近してきたら拒絶の横薙ぎを尻尾で発動するわ
大勢を崩した所にナイトソードでトドメよ!
リリスフィア・スターライト
アドリブ、連携歓迎。
手強そうなキャバリアだけれど可能な限り破壊しておかないとだね。
量産型のキャバリア『ワイルド・サンダー』に搭乗して要塞に乗り込むよ。
ヴェロキラが集まってくる前に、
先制攻撃で1体でも多く撃破を狙いたいかな。
UCの効果は移動力を犠牲にして攻撃回数を増やすようにかな。
距離があるうちはライトニング・ライフルによる
射撃戦を展開して、接近戦になる場合はルナ・ブレードで応戦するよ。
ヴェロキラの攻撃は装甲で耐えるようにして
ダウンさせられないようにだけは注意かな。
マシンガンとミサイルを打ち続ける個体を優先して撃破して
他の猟兵達の負担も減らしていきたいかな。
「集団戦でも負けないよ!」
●
恐竜型キャバリア『ヴェロキラ』が配備された、ゾルダートグラード軍の『アルプス国家要塞』――そこに猟兵たちが乗るキャバリアが転移してきた。
まず現れたのは、支倉・錫華(Gambenero・f29951)が乗る漆黒の量産型キャバリア『ナズグル』だ。
「久々に傭兵としての任務って感じだね。アミシア、ナズグルのHammerの最終チェックよろしく」
錫華がサポートAIのアミシアに声をかける。
『Beat assault “Hammer”、ローラーダッシュおよびホバー機能良好。地上戦に問題ありません。状況からメイン武装にFdP AMIS-FL30による火炎放射、サブにバンカーナックルを推奨します』
「ん、それで行こう」
ナズグルは火炎放射器FL30を腰だめに構える。
続いて転移してきたのは、リリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)が乗る量産型キャバリア『ワイルド・サンダー』だ。武器に多機能ライフルであるライトニング・ライフルを装備している。
「敵は手ごわそうだけど、可能な限り破壊しておかないとだね」
リリスフィアは【|武装転移《ウェポンマスタリー》】によりライトニング・ライフルを連射モードに変形させる。
「これなら集団戦でも負けないよ!」
――そこに突如として金色の装甲を持ったヴェロキラが虚空から姿を現した。
「っ!」「奇襲っ!?」
ナズグルがFL30を向け、ワイルド・サンダーはライトニング・ライフルを構える。そしてヴェロキラに対して引き金を引こうとし――。
「待ちなさい! わたくしはエルネイジェ王国アイディール侯爵家のエレイン・アイディール! この機体は特別専用機のヴェロキラ・ゴールドブリンガーよ!」
通信機から聞こえてくる声に危ういところで銃を下げる。
エレイン・アイディール(黄金令嬢・f42458)の金色のヴェロキラ――ゴールドブリンガーからは確かに友軍の識別コードが発せられていた。
エレインは要塞にうごめくヴェロキラの群れに目を向ける。
「もしやと思ったけれど、本当にエルネイジェ王国軍のヴェロキラじゃない! 異世界にまで輸出するなんて、よほど商魂逞しい商人がいるようね!」
「なるほど、クロムキャバリアの武装をどこから調達してるのか気になっていたけど、そういうことか」
錫華は色を除けばそっくりな外見のヴェロキラとゴールドブリンガーを見比べて、納得いったように呟いた。
●
「不正輸出されたヴェロキラはエルネイジェ王国の恥! わたくしの目に留まったからには適切に処理させて貰うわ! 行くわよ! ゴールドブリンガー!」
金色の機体を駆り、ヴェロキラの群れに突撃するエレイン。
それを追って、錫華とリリスフィアも機体を加速させた。
「アミシア、索敵と敵の行動パターンの分析は任せるね。機体のコントロールはわたしが」
『了解。|LinkJammer《妨害戦》スタート』
アミシアが予測した敵の情報が、ゴールドブリンガーとワイルド・サンダーに共有された。コンソールにはヴェロキラたちの数秒後の予想位置が映し出される。
「これなら――援護は任せてほしいかな!」
ワイルド・サンダーがライトニング・ライフルの引き金を引く。低く響く銃声。地面に落ちる薬莢。――そして頭部を撃ち抜かれて動かなくなるヴェロキラが5体。
「一瞬で5体まとめて倒すとはさすがね。今度はわたくしとゴールドブリンガーの番よ!」
ゴールドブリンガーは大きく跳躍し、ヴェロキラの群れを飛び越えた。
狭い通路に飛び込んだゴールドブリンガーを追い、ヴェロキラたちが殺到する。だが、通路内では相手を取り囲むことができない。一列になって順番にゴールドブリンガーに襲いかかっていく。
「あらあら? こんなに大勢で歓迎してくれるなんて光栄だわ! でもごめんなさいね? 殿方の相手は一度に一人までと決めてるのよ」
通路内で振り返ったゴールドブリンガーが、ゴールド・オリハルコニウム製の『EP-Bゴールドシールド』でヴェロキラの噛みつき攻撃を防ぐ。
「近接戦に特化して造らせたゴールドブリンガーよ。汎用機の近接攻撃が効くと思わないことね!」
ゴールドブリンガー両腕の『BS-A二連装ビームキャノン』が火を吹き、ヴェロキラを爆散させた。
狭い通路に飛び込んだゴールドブリンガーを追いかけようと、ヴェロキラたちは渋滞を起こしている。群れの大半は、いまだ通路の入口に入れず右往左往していた。
「これはチャンスかな!」
無防備なヴェロキラたちに、上空からワイルド・サンダーがライトニング・ライフルを撃ち込んでいく。銃声が響くたびに5体のヴェロキラが頭部を撃ち抜かれ倒れ伏す。
「こっちも行くよ!」
ナズグルもまた、FL30でヴェロキラたちに火炎を放射していく。2000℃を超える炎によってオーバーヒートしたヴェロキラの機体が沈黙していく。
●
――だが、一方的に狩られるヴェロキラたちではない。
『キシャアアアア!』
戦場にヴェロキラたちの咆哮が響き渡った。
それを聞いたアミシアから警告の声が発される。
『錫華、皆さん、気を付けてください! ヴェロキラたちは意志を一つにして連携して攻撃してきます!』
その警告と同時に――通路から金色のキャバリアが吹き飛ばされてきた。ナズグルの近くになんとか着地するゴールドブリンガーだが、ヴェロキラの尻尾の打撃を受けたシールドは大きく歪んでいる。そこにマシンガンとミサイルが撃ち込まれようとするが――。
「させないよっ!」
リリスフィアの声とともに、マシンガンとミサイルを撃とうとしていたヴェロキラの頭部が撃ち抜かれた。
「助かったわ。――けれど、どうやら敵は一筋縄ではいかないみたい。さすがはエルネイジェ王国軍のキャバリアといったところね」
エレインは歪んだシールドを投げ捨てると、代わりにRX-Bナイトソードを装着させる。
「アミシア、何か策は?」
『――皆さんが考えている通りかと思います』
アミシアの言葉にリリスフィアが返す。
「了解、総力戦ということかなっ!」
「アイディール侯爵家の資産を注ぎ込んで作ったこのゴールドブリンガー、汎用機のヴェロキラに負けるわけにはいかないわ!」
「あ、それで金色なのかなっ」
納得したような声を出すリリスフィアの援護射撃を受けながら、エレインのゴールドブリンガーがヴェロキラの群れに突撃していく。
対するヴェロキラは連携を取ってゴールドブリンガーを包囲しようとするが――。
「わたしもいることを忘れないでね!」
錫華のナズグルが火炎放射でヴェロキラたちの接近を防ぐ。
火炎の勢いにたたらを踏んだ恐竜型キャバリアたちを、ワイルド・サンダーのライトニング・ライフルが撃ち抜いていく。
ヴェロキラの群れに接近したエレインは、ゴールドブリンガーの尻尾であるRX-Bスマッシャーテイルを大きく振りかぶり――。
「熱烈なアプローチはありがたいけれど、デートのお誘いならお断りさせて頂くわ!」
【|拒絶の横薙《リジェクション・スイング》】の一撃で大きく薙ぎ払った。
尻尾に弾き飛ばされたヴェロキラたちは体勢を大きく崩している。
『今です、皆さん!』
アミシアの言葉を合図に、3機のキャバリアが飛び出した。
「これでトドメよ!」
ゴールドブリンガーがナイトソードを構え、ヴェロキラに次々と突き刺す。
「ワイルド・サンダー、いくよっ!」
リリスフィアはワイルド・サンダーのルナ・ブレードを抜き放ち、ヴェロキラを一刀両断していく。
「全部、見えてる――」
【アウェイキング・センシズ】で感覚を研ぎ澄ませた錫華は、FL30を投げ捨て、ナズグルの拳――バンカーナックルでヴェロキラに殴りかかった。
「――吹き飛べ」
バンカーナックルがヴェロキラの装甲に命中するのと同時に、ナックルガード内側の炸薬が爆発。一撃目の衝撃が消える前に二撃目の衝撃を叩き込み――ヴェロキラの装甲が紙切れのように吹き飛んだ。
『みんな、まだ敵はたくさん残っています! 油断しないで下さい!』
――こうして、数時間に及ぶ激闘の末、ヴェロキラの群れは殲滅されたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
厄介ですが、何とかしてみましょう。
『FAS』により飛行、『FLS』により|全『祭器』《未装備含》召喚後、空間歪曲障壁を形成しまして。
【獵妝】を発動、全装備ごと『巨人姿』に変化しますねぇ。
此方は『対キャバリア限定の完全無敵&無双級強化』を得る能力、数や連携に優れようとも「キャバリアを用いて交戦する」限り、あらゆる攻撃が無効化可能ですし、此方の攻撃は全て『対キャバリア特攻』の効果を発揮しますぅ。
後は、キャバリア以外の『要塞の仕掛け』等を『FPS』の探査で警戒、空間歪曲障壁で防ぐか『FIS』の転移で躱しつつ、『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FDS』の[爆撃]で叩きますねぇ。
薄暗く、どこまでも続く巨大地下空間――それがアルプス国家要塞の内部だった。
「厄介ですが、何とかしてみましょう」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はおっとりとした様子で呟く。彼女は『豊饒の女神』の使徒にして、獣人戦線の世界に赴いた猟兵の一人だ。
るこるの周りを取り巻くように、無数の祭器が浮遊している。|FAS《フローティングエアロフォイルシステム》と呼ばれるオーラの翼を広げ、彼女は要塞内を高速で飛行する。そして|FLS《フローティングリンケージシステム》を起動すると、16枚の神札が舞い、彼女の持つ全ての祭器を呼び出した。
「まずは……」
思念を巡らせるるこる。途端、祭器の一つ|FPS《フローティングプローブシステム》が反応を示す。るこるはこのシステムにより、要塞内部に仕掛けられた罠や障害を探知していく。
「あぁ、なるほど。ここに、ここに、あそこにも、ですかぁ」
彼女の周りに空間歪曲障壁が展開される。あるいは|FIS《フローティングインタディクトシステム》によって、障害物を避けるように瞬間転移を繰り返す。
その時――突如としてるこるの前に、巨大な影が立ちはだかった。恐竜のようなフォルムをしたそれは、異世界からこの世界に持ち込まれた最新鋭のキャバリア――ヴェロキラに他ならない。
「まぁ、お客さんですかぁ?」
るこるが呟くと、その言葉に呼応するようにヴェロキラの群れが姿を現す。通路からも、物陰からも、次々と現れるその数は優に数十を超えていただろう。
「キャバリアを集団で、ですかぁ。厄介極まりませんねぇ」
だがるこるは微動だにしない。むしろ、その状況を楽しむように笑みを浮かべると、豊乳女神に祈りを捧げる。
次の瞬間、るこるの姿が激変する。まばゆい光に包まれたかと思うと、そこに現れたのは先程までの少女の姿ではなく、身の丈5メートル近くある巨人の姿だった。
『大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その狩人の様相をここに』
るこるが詠唱の言葉を紡ぐと、全身を煌びやかな装飾が埋め尽くしていく。彼女が持つ祭器もまた、巨人化したるこるのスケールに合わせ、同様に巨大化する。
「キャバリアを相手取る上では、これが一番ですぅ」
その口調はおっとりとしたまま。だがその姿からは、圧倒的な威圧感が放たれていた。
ヴェロキラの群れが躊躇なく襲い掛かる。だがるこるは微動だにしない。
「さぁ、始めましょうかぁ」
そう呟くと、るこるは両手を大きく広げる。その腕輪が変形し、|FRS《フローティングレイシステム》と呼ばれる巨大な砲台が現れた。さらに背後には、|FSS《フローティングシールドシステム》――巨大なビームシールドが浮かぶ。
次の瞬間、砲火が轟いた。
「ズガァァァンッ!!」
一斉射が如き砲撃が、ヴェロキラの群れを襲う。敵の攻撃もまた、ビームシールドの中心から放たれる射撃と交錯する。
だがその攻撃の全ては、巨人と化したるこるには意味をなさなかった。
「せいっ!」
軽やかな動きでヴェロキラの攻撃をかわすと、放たれた巨大な砲弾が、キャバリアを次々と撃ち抜いていく。爆発の連鎖が、要塞内に轟音を響かせる。
「まだまだですぅ!」
満面の笑みを浮かべるるこる。巨人の背中から、|FDS《フローティングデトネイトシステム》が射出される。それは広範囲殲滅兵器にして、強力な爆弾だ。
両手で掴んだ爆弾を、渾身の力で投げつけるるこる。ヴェロキラの群れを、爆風が飲み込んでいく。轟音と爆炎の奔流の中で、キャバリアは次々と粉々に砕け散った。
だがヴェロキラは、生物ではない。ただの兵器だ。損害など意に介さず、再び群れをなして、るこるに襲いかかってくる。
「まだ……足りませんかぁ?」
無数の砲火がるこるを襲う。しかし彼女には傷一つ付いてはいない。
対キャバリア特化の完全無敵の加護の効果である。
「私を相手に数で押し切ろうだなんて、100年早いですぅ!」
その言葉で反撃の狼煙が上がる。|FBS《フローティングブレイドシステム》によるビームの刃が、ヴェロキラを切り刻む。|FGS《フローティンググラビトンシステム》が生み出す重力弾が、キャバリアを捩じ潰す。
あまりの殲滅力に、ヴェロキラの群れは為す術もない。わずか数分にして、最新鋭のキャバリアは全て破壊され尽くした。
「ふぅ……これで片付きましたぁ」
巨人から、るこるの姿に戻る。一面に散らばるヴェロキラの残骸を見渡して、彼女は静かに呟いた。
「では、帰りましょうかぁ」
目的を果たしたるこるは、|FIS《フローティングインタディクトシステム》によって、この戦場から姿を消すのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ビッグ・サン
キャバリアが運用されている世界なら良い術がありますよ
他の猟兵が戦場に出たあと少し遅れてビッグは戦場に出る
他の猟兵によってヴェロキラが大量に破壊されている
これならば行けるであろう
ビッグが呪文を唱えると、破壊されたヴェロキラがあちこちで起き上がる
「キャバリアもパイロットも、豊富にありますね
クロムキャバリアで使っていた術ですが、ここでも問題なく使えそうですよ
パイロットも今死んだばかりの人から、過去の名パイロットまで色々いますし、あとは私が逃げても勝手に戦い続けてくれるでしょう」
アンデットキャバリアは完全にバラバラになるまで魔法で動き続け戦うのであった。
戦場に舞う砲火の音。轟音が地面を揺らし、煙が辺りを覆い尽くす。その混沌とした戦場に、ひとりの男が歩み入る。
「さて、どうなっていますかね?」
男は呟くと、戦場を見渡した。大量のヴェロキラの残骸が、あちこちに散乱している。どうやら、先行した猟兵たちが激戦を繰り広げたようだ。
「おや、随分と派手にやってくれたようですね」
満足そうに頷く男。その名は、ビッグ・サン(|永遠を求める研究者《ナイスガイ》・f06449)。不老不死の研究をするネクロマンサーだ。
「さあ、皆さん。もう一度戦場で暴れ回る時間ですよ」
ヴェロキラの残骸に語りかけながら、ビッグは両手を広げる。指には禍々しい輝きを放つ指輪――死者の指輪が嵌められている。指輪の力で死者の魂が解き放たれる。
同時に、ビッグが持つ賢者の石が魔力を増幅していく。
ビッグが呪文を唱えると、戦場に散乱するヴェロキラの残骸が一斉に蠢き始めた。
次の瞬間、アンデッドと化したヴェロキラが次々と起き上がる。
「クロムキャバリアで使っていた術ですが、ここでも問題なく使えそうですね」
|幽霊母艦《ゴーストマザーシップ》。ビッグの死霊魔術によりキャバリアをアンデッドキャバリアとして蘇らせて使役する魔術だ。
ヴェロキラの残骸から蘇ったアンデッドキャバリアの群れは、要塞内を巡回するヴェロキラたちに襲いかかっていった。
「キャバリアの残骸は豊富にありますからね。――そして、アンデッドキャバリアがキャバリアを倒せばさらに残骸が増えていきますしね」
ビッグは満足げに呟く。彼にとって、死者を蘇らせることは造作もないこと。それは機械であるキャバリアも例外ではない。
アンデッドキャバリアとヴェロキラたちは、激しい戦闘を繰り広げる。
マシンガンとミサイルが、まるで雨あられのように戦場に降り注ぐ。ヴェロキラ同士が、がっぷり四つに組み合って戦う姿は、まるで生きているかのようだ。
「これなら、しばらくは戦い続けてくれるでしょう」
ビッグは呟くと、アンデッドのヴェロキラを操りながら、戦況を分析し始める。
錬金術の知識は、状況判断にも役立つ。ビッグは冷静に戦況を見極め、アンデッドのヴェロキラの動きを制御する。
「こことここが弱点ですね。そこを集中的に攻撃するのが良いでしょう」
ビッグは素早く作戦を立て、アンデッドのヴェロキラに細かな指示を送る。まるで指揮官のように戦場を俯瞰で見渡した結果である。
「私の役目はこれぐらいでしょうかね。あとは君たちに任せましたよ」
やがて、ビッグはアンデッドのヴェロキラに最後の指示を送ると、静かに戦場から離脱していった。
アンデッドのヴェロキラたちは、その言葉を聞いていないかのように、ただただ戦い続ける。ビッグの術により、完全に破壊されるまで戦うことを宿命づけられているかのように。
大成功
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