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獣人世界大戦⑩〜天より来る

#獣人戦線 #獣人世界大戦 #第一戦線 #幻朧帝国

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 プロペラの立てる低い唸り声が、曇った空から地へと降る。天を覆わんばかりに飛び交う戦闘機は、旅順要塞の周囲を鋭く警戒していた。
 中国の遼東半島先端部に存在するその要塞は、現在、幻朧帝国の租借地となっている。
 近付くための手段は、限られている。
 ただひたすらに塹壕を掘り、進撃するのだ。
 だが、その様子を、空を舞う戦闘機の群れが黙って見過ごす筈が無い。敵を発見するや、彼らは機関砲の弾を雨と降らせるだろう。
 虫の羽音めいた唸りは、幾重にも重なり合って地上へと轟いた。

「皆さん、お集まり頂きありがとうございます」
 神臣・薙人(落花幻夢・f35429)は、グリモアベースへ集った猟兵達へそう言って一礼した。
「今回、皆さんには、中国の遼東半島先端部に行って頂きたいのです」
 そこに存在する『旅順要塞』は、今は幻朧帝国の租借地となっているのだという。その近辺には、何故か多数の異世界人が神隠しによって飛ばされて来る『流れ者の宝庫』楽浪郡が存在している。
 異世界の存在をも巻き込んだ旅順の幻朧帝国軍の全容は、非常に混沌としている。この要塞へ、より近接して攻撃を仕掛けるため、塹壕を掘りながら突き進んで欲しいのだと薙人は告げた。
「旅順要塞の周辺の空には、戦闘機が数多く配備されています。恐らくは、絶え間なく砲撃に晒される事になるでしょう」
 それでも、止まる訳には行かない。塹壕を掘りつつ、空からの攻撃にも対処する事は容易くはないが、もしもそれが出来れば敵に痛打を与えられるのだ。
「難しい事をお願いしているのは、重々承知していますが……よろしくお願い致します」
 どうか、お気を付けて。
 薙人はそう言って、掌にグリモアを浮かべた。


牧瀬花奈女
 こんにちは。牧瀬花奈女です。このシナリオは一章のみで完結する戦争シナリオとなります。断章無し・オープニング公開直後からプレイングを受け付けます。

●プレイングボーナス
 塹壕を建設し、要塞に接近する。/敵の絶え間ない砲撃に対処する。

●その他
 完結を優先して執筆を行います。そのため、タイミングによっては、プレイングに問題が無くとも不採用になってしまう場合があります。ご了承下さい。
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第1章 集団戦 『制空戦闘機』

POW   :    ワンショット・ワンキル
【機銃弾】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    ダイブアンドズーム
敵より【高い高度、または良好な速力を有する】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
WIZ   :    編隊空中戦闘
【同じ目的を持つ僚機】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[同じ目的を持つ僚機]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

カー・ウォーターメロン
持参した軍用ショベルで【塹壕掘り】するんだよ。ざっくざく。

あ、制空戦闘機発見。傭兵のボクが言うのもあれだけど、平和が一番だよね。
要塞とかいう仰々しいのあるととっても不穏でヤな感じなので、
今日から!
旅順は!
スイカ畑にしまーーーっす!!(すごく【元気】に宣言)

これだけ【存在感】アピっておけば敵の攻撃を誘引出来るかな。
そしたら他の猟兵のみんなが動きやすくなるよね。
ボクに構わず先にいけーってやるの、かっこいいでしょ?
大丈夫。爆撃されてもユーベルコードで建設した掩体壕に退避するんだよ。
迎撃はマシンガンで、【弾幕】を張るんだよ。
回避力の高い敵には数射ちゃ当たる戦法!




 旅順要塞が遠目に見える位置に転送されたカー・ウォーターメロン(マンゴーフレイム・f01967)は、持参した軍用ショベルをざっくと地面に突き立てた。自らの体が沈むほどの穴を掘ると、それを目安にして塹壕を刻んで行く。
 プロペラの低い唸りが聞こえて来たのは、カーが直線状の塹壕を半ばまで掘り進めた時だった。
「あ、制空戦闘機発見」
 つぶらな瞳を瞬かせ、カーは軍用ショベルを動かす手を止める。
 カーは傭兵だ。けれど、平和を愛している。戦場で人類が危機に陥れば、何処からともなく現れ人々の味方となる。それがカーという猟兵だった。
「要塞とかいう仰々しいのあると、とっても不穏でヤな感じなので……」
 カーはショベルの先端をまだ掘られていない地面に突き立てて、嘴のような口を天へと向ける。
「今日から! 旅順は! スイカ畑にしまーーーっす!!」
 ぐっと突き上げた拳と共に、カーは声を張り上げた。元気に満ち満ちた宣言はその場一帯に響き渡り、空を舞う制空戦闘機にすらその存在を知らしめる。
 虫の羽音を連想させる音を奏で、戦闘機がカーの元へと集まり始めた。危険が増した状態になっても、カーの心に焦りは無い。戦闘機がこちらへ集まっているという事は、他の猟兵への攻撃が手薄になるという事だ。目的を同じくする仲間が動きやすくなるのであれば、危地に立つ事を恐れはしない。
 ――ボクに構わず先にいけーってやるの、かっこいいでしょ?
 内心で呟いて、カーはひらりと塹壕の中へ身を躍らせた。
 カーが掘っていたのは、ただの塹壕ではない。ユーベルコードで建設された、掩体壕を備えたものだ。命中精度を上げた砲撃が雨霰と降ろうとも、この中に退避すればどうという事はない。共に生まれ出た防護柵とスイカ畑も、身を守ってくれている。
 砲弾の雨が勢いを緩めると、カーは手にしていたショベルをマシンガンに持ち替えた。腹の底へ響く音を立てる戦闘機に向けて、その引き金を絞る。
 種めいた黒く小さな弾丸が、天へと飛んで行く。カーは手を休める事無く、速射を繰り返した。弾丸が幕のように襲い来れば、いかに回避力が上昇していようと全てを避け切る事は難しい。
「回避力の高い敵には数射ちゃ当たる戦法!」
 砲弾が来れば塹壕へ退避し、攻撃が途切れればマシンガンで弾幕射撃を放つ。
 カーの戦法は、少しずつ、それでも確実に敵数を減らして行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファルコ・アロー
このシチュエーションでこのボクに塹壕掘らせる気なんですか?
それはもったいねーってモンです!
相手は戦闘機、こっちも戦闘機に変身して空中戦と洒落込むですよ!
と来たらチェンジ・ファルコン!
速度比べと行こうじゃねーですか!
ロータリーキャノンとビームの一斉発射で弾幕を張って、編隊を乱した所に体当たりをぶちかましてやるです!
どーですか、ドッグファイトでぶつかられるなんて思いもしなかったでしょう!
後は動き回って機銃で狙われないようにしなけりゃーですね。
流石にあれで撃たれたらこっちもやべーですから。
でも高速戦闘なら瞬間思考力が物を言うです。
すれ違いざまの撃ち合いでも負けねーですよ!




 既に他の猟兵によって掘り進められている塹壕と、その上空を旋回する制空戦闘機。その二つを目にして、ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)はにっと唇の端を持ち上げた。
「このシチュエーションでこのボクに塹壕掘らせる気なんですか? それはもったいねーってモンです!」
 両手を腰に当てて胸を張り、左右で異なる色の虹彩を持つ目で戦闘機達を見据える。相手は戦闘機。ならばこちらも空で戦わなければ、ベィビィバードの二つ名が泣くというもの。
「ウィングアップ! チェェェェンジ! ファルコン!」
 高らかに紡ぎ上げた詠唱が終わった時、ファルコの体は一機の戦闘機へと変化していた。すぐさま飛び立ち、空を円転する戦闘機達と同じ高さまで舞い上がる。敢えて敵機の編隊へ割り込むように位置を取ると、ロータリーキャノンを起動させた。
「速度比べと行こうじゃねーですか!」
 小型機関砲とビーム砲が同時に火を噴いて、戦闘機達を呑み込んで行く。絶え間なく放たれる砲撃は幕のように辺りを包み、敵機を次々に落下させた。
 瞬く間に複数の戦闘機を屠られ、敵機の編隊が崩れる。ファルコはその隙を逃さなかった。息を吐くいとまも無く、ファルコの体が戦闘機の一機へとぶつかる。
「どーですか、ドッグファイトでぶつかられるなんて思いもしなかったでしょう!」
 戦闘機に身を変えていても、ファルコの声は拡声器を通したように戦場へ響き渡る。敵機達が砲身を露わにしたのは、その直後だった。
 刹那の後に放たれた機銃弾を、素早く位置を変える事で回避する。砲口が立てた唸りだけで、その弾の威力の高さが窺い知れた。直撃を受ければ、ユーベルコードの加護を受けた身であってもただでは済まないだろう。
 合間に弾幕射撃を挟み込みつつ、ファルコは空を動き回った。幸い、速度ではこちらが上回っている。一箇所に留まらなければ、致命的な一撃を受ける事は無い。
 そうファルコが判断した時。
 一機の戦闘機が、ファルコ目掛けて突っ込んで来た。正面衝突を避けるべく、体の位置を変える。
 すれ違いざまに、敵機の砲口が唸った。そこから飛んで来る弾丸を間一髪で避けて、機関砲とビーム砲を同時に叩き込む。
「すれ違いざまの撃ち合いでも負けねーですよ!」
 高らかに宣言し、ファルコは組み直された編隊を崩すべく、機体の速度を上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と

何処の戦場も戦闘の歴史と
土地の名前に想いを馳せそうになるけど
「今は兎に角この戦線の事を、だな」

俺は塹壕掘りをするには拠点作成の知識も
土木建築の知識も足りてない
「だけど、戦闘機を撃墜する事ならできる」
慣れない事をするよりは
いつも通り脳筋な俺達にできる事を

「寿命、使いすぎるなよ!」
無茶をする相棒に声をかけ
【戦文字「死龍葬弾」】の準備を
準備をしながら戦闘機達へ銃撃で牽制するが
本命は勿論、この弾丸だ

「時人!準備出来たぞ!」
声を張り上げて相棒に伝え
文字から放たれる力をそのまま横へ振り抜くように
空中を駆ける戦闘機達を横薙ぎにする
「これで砲撃もある程度弱まるだろう。今のうちだ」


葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

「レシプロに塹壕戦か…」
俺達の歴史からみたら
一次と二次と戦後がごっちゃだよね

「俺達には塹壕を掘る能力はない」
けどー
陸井が続けた言葉につい破顔した
「そ!ま、俺達脳筋だしね」
あと全部墜とせば次来るまでは掘りやすくなる

「俺上がってぶっ壊しと攪乱するよ」
直ぐククルカンウィング詠唱!

陸井の心配は聞こえたけど
「手早くやるから!」

レシプロ如きに俺のククルカンの翼が
負ける訳がない!
超弩級戦速で空を駆け抜けドッグファイト
待ち構える陸井のレンジに合うように
引き寄せる!

よし!陸井の薙ぎ払いで大量撃墜!
俺が横っ腹に風穴開けた機も次々墜落してく

上空がオールクリーンになるまで降りずに頑張るよ!




「レシプロに塹壕戦か……」
 葛城・時人(光望護花・f35294)は、上空を飛び交う戦闘機と塹壕とを見比べて呟いた。時人達からの歴史から見れば、一次と二次、そして戦後が混ざり合っているように思える。
 戦闘の歴史と、土地の名前。凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)は何処の戦場に立っても、それらに思いを馳せそうになる。
「今は兎に角この戦線の事を、だな」
 ほんの僅かに現を離れかけた意識を引き止めて、陸井は眼前の戦場を見据えた。
「俺達には塹壕を掘る能力はない」
 遠く聞こえるスコップの音を耳にして、時人は呟く。右手にあるのは、月光を思わせる銀鎖が連なった錫杖だった。
 塹壕掘りをするには拠点作成の知識も、土木建築の知識も足りてない。
 陸井もまたそう思う。
「だけど、戦闘機を撃墜する事ならできる」
 握り締めた、『護』の一字を刃に刻んだガンナイフが、陸井の手の中で頼もしい音を立てた。
 相棒の言葉に、時人は思わず破顔する。
「そ! ま、俺達脳筋だしね」
 あと全部墜とせば次来るまでは掘りやすくなる。実にシンプルな考えが時人の背を押した。
 慣れない事をするよりは、いつも通り脳筋な俺達にできる事を。陸井もそう考えて、左手で矢立から煤竹の軸を持つ筆を引き抜いた。
「俺上がってぶっ壊しと攪乱するよ」
 言うが早いか、時人は己が白燐蟲の力を自らと重ね合わせる。主との合体を果たした|白燐蟲《ククルカン》の翼が、時人の背で広がり白く輝いた。きらめきの残滓を散らして、時人は戦闘機が舞う上空へと飛び立つ。
「寿命、使いすぎるなよ!」
 時人の使ったユーベルコードは、代償として寿命を削る。無茶をする相棒へ声を掛け、陸井は戦文字を記し始めた。
「手早くやるから!」
 心配の声にそう返し、時人は戦闘機よりも速く、高く飛翔する。
 レシプロ如きに、俺のククルカンの翼が負ける訳がない!
 涼やかな音を鳴らして振り抜かれた錫杖が、戦闘機の側面を抉った。編隊を組んでいた戦闘機達が、一斉に機首を時人へ向ける。砲口から轟く音が、聴覚を麻痺させんばかりに襲い来る。
 相棒の元に集う戦闘機へ、陸井は地上から銃撃を放った。鋭く飛んだ弾丸は、機体の上で小さく火花を散らす。
 その間も、戦文字を記す陸井の左手が止まる事は無い。今行っている銃撃は、あくまで牽制。本命は、この戦文字なのだから。
 やがて、『龍』の文字を四つ繋げた文字が完成する。その力を込めた一撃必殺の弾丸を、ガンナイフの弾倉へ瞬く間に装填した。
「時人! 準備出来たぞ!」
 ガンナイフを構えつつ、陸井は声を張り上げる。それを受けて、時人が錫杖を振り下ろす手を一旦止めた。背の翼を羽ばたかせ、追撃して来る戦闘機の群れを陸井の射程まで引き下ろす。
 陸井の指がガンナイフの引き金を絞る。溢れる戦文字の力を、そのまま横へと振り抜いた。
 集まっていた戦闘機達が、派手な音を立てながら横薙ぎにされる。完全に時人へ引き付けられていた戦闘機は、陸井に反撃する事もままならず、次々と墜落して行った。
「これで砲撃もある程度弱まるだろう。今のうちだ」
「すぐ下りるよ!」
 まだ辛うじて飛行している戦闘機へ、時人は錫杖を叩き付ける。それだけで、横腹に風穴が開いた。また一機が地へ落ちる。
 時人が地上へ戻った時、二人の視界から戦闘機の姿は消え去っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニクロム・チタノ
ようし、ゴルディウスをスコップに変えて塹壕を掘り進むよ
リサーチゴーグルで敵の位置を確認したよ、どんどん集まって来てる
邪魔はさせないよ、さあ反抗せよ
スコップで掘り出した石や金属片なんかの無機物を蒼焔の盾と重力槍に変えて反撃するよ
敵の集中放火を蒼焔の盾を結集して攻撃を防ぐよ
集まってくれたおかげで狙い安いよ、重力槍発射
無機物はそこかしこにあるからね、盾と槍が底をつくことはないよ
蒼焔の盾で攻撃を引き続きガードしながら重力槍で敵を撃ち落としつつこのまま塹壕を掘り進めて行くよ
この圧政蔓延る世界に反抗の解放を!




 ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)の手の中で、魔界の金塊から鋳造された球体がきらりと光る。瞬き一度の後、魔力を込めたそれがスコップの形へと変化した。
 他の猟兵が掘った塹壕の続きを、ニクロムは力を入れて掘り進めて行く。スコップを突き立て、土をかき出すごとに、中に混ざり込んでいた石や金属片が足元に散らばった。それらを打ち捨てる事無く、自らの周囲へ集めておく。
 忙しく手を動かしながらも、周囲への警戒は怠らない。半面の上から装着したリサーチゴーグルで、敵影が無いかを確認しながらの作業だった。
 ゴーグルが敵の位置を知らせたのは、ニクロムが塹壕を掘り進める角度を変えた時だ。制空戦闘機が、明らかにこちらへ狙いを定めて飛んで来ている。先発の猟兵達にこっぴどくやられたのか、戦闘機の数は何処となくまばらだった。
「邪魔はさせないよ」
 それでもニクロムが敵機を見逃す事は無い。スコップの動きを止めて、足元に散らばった無機物達に目を向けた。
「さあ反抗せよ」
 その言葉と共に、無機物達が蒼焔をまとった盾と、重力の槍へと変化する。ニクロムは盾を頭上へ密集させて、戦闘機からの砲撃を防いだ。
 少しでも己が力を高めようとしているのか、戦闘機達は少しずつ一箇所へと集まり出す。蒼焔の盾が受け止める砲撃の威力はなるほど高まっているが、ニクロムにとっては好都合だった。
「集まってくれたおかげで狙い安いよ」
 すっと撫でるように持ち上がった右手の動きに呼応して、重力槍が空へと突進する。一塊になっていた戦闘機達は、退避する暇も無く串刺しとなった。剥がれた金属片や何かの部品が、ぱらぱらと地上へ落ちて来る。
 無機物を操作するニクロムにとっては、それすらも武器になり得た。一部を蒼く燃える盾へと変換し、残りは新たな重力槍に変える。数少なくなった戦闘機からの砲撃は、盾に全て弾かれてしまった。塹壕を掘り進めつつ、重力槍で反撃する。ニクロムの進撃を止めるものは、もはや存在しなかった。
「この圧政蔓延る世界に反抗の解放を!」
 重力槍がまた一機、戦闘機を撃ち落とす。
 旅順要塞の姿は、もうすぐそこまで見えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年05月03日


挿絵イラスト