獣人世界大戦①〜ベルリンの進撃を阻止せよ
「緊急事態発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々と――しかし表情には微かな緊張を浮かべながら語りはじめた。
「ワルシャワ条約機構の支配者『始祖人狼』が『はじまりの猟兵』の手がかりを入手。これを受けて他の超大国も行動を開始し、獣人戦線はユーラシア大陸全土を戦場とした、大規模な戦争状態に突入しました」
それぞれに「始祖人狼の阻止」や「はじまりの猟兵の奪取」を目的とした超大国の軍事侵攻は、言うまでもなく罪なき獣人の犠牲を伴うものであり、果ては|世界の滅亡《カタストロフ》さえも意に介していない。この惨劇から獣人達を守ることができるのは、我々『六番目の猟兵』だけなのだ。
「皆様にお願いしたいのは、ゾルダートグラードが擁する巨大戦力、『無限軌道都市ベルリン』の進撃阻止です」
ドイツの首都にしてゾルダートグラードの本拠地であるベルリンは、多数の鋼鉄機械罠に守られ、無限軌道によって自ら移動することすら可能な「動く要塞都市」に改造されている。世界大戦の勃発に呼応して駆動を開始したベルリンは、その戦力を遺憾なく戦場で発揮するつもりであろう。
「ですがベルリン自体が進撃を開始するということは、その移動経路上にある獣人の街や村は全て跡形もなく踏み潰されるということです」
超大国のオブリビオンにとって、進路にある獣人の集落などただの「道」だ。そこにある人々の営みなど意に介するはずもない。このままベルリンの進撃を見過ごせば、その無限軌道にて蹂躙される生命は千や万では収まらない。
「ですので皆様には、ベルリン深部で移動要塞の『操縦』を担当しているオブリビオンの一人を撃破して欲しいのです」
リムのグリモアが予知した操縦担当者の名は『凍瞳氷狼』クレバス将軍。熊のような巨体を機械化したオオカミの獣人オブリビオンであり、自分が最強だと自称する武闘派タイプのゾルダートグラード幹部だ。性格は脳筋で、己の力を示すために凍った相手を砕く見せしめをするのが趣味だという。
「クレバス将軍を撃破すれば、ベルリンの進撃は停止します。操縦者が代わるまでの一時的なものかもしれませんが、妨害し続けることでゾルダートグラードの侵攻を遅らせ、獣人達の被害を減らすことができるでしょう」
相手は強敵だが、これまでにも猟兵はベルリンで将校の暗殺を成功させてきた実績がある。場所が敵国の本拠地とはいえ、不可能ではないということだ。何より、この作戦にかかっている数多の獣人の生命を考えれば、絶対に失敗するわけにはいかない。
「皆様の実力であれば、必ず成功できると信じています。どうか力をお貸しください」
説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべると、無限軌道都市ベルリンへと猟兵達を送り出す。
伝説の『はじまりの猟兵』を巡って勃発した、6つの超大国による戦争。その行方は果たしてどこへ向かうのだろうか――。
「獣人世界大戦、開戦です」
戌
こんにちは、戌です。
ついに始まりました獣人戦線の戦争。今回のシナリオはゾルダートグラードの本拠地『無限軌道都市ベルリン』の進撃を阻止する依頼です。
このシナリオでは下記のプレイングボーナスに基づいた行動を取ると判定が有利になります。
プレイングボーナス……移動要塞の操縦を妨害する。
舞台はベルリンの深部。移動要塞の操縦を担当している凍瞳氷狼『クレバス将軍』の撃破が目標です。
重要な役目を任されたオブリビオンだけあって実力は相当ですが、性格は脳筋ですので実力勝負になるでしょう。操縦を妨害することで敵の気を散らすこともできるかもしれません。
この戦場は【第一戦線】で、完結までの締切が5月10日(金)16時となっています。
そのため、執筆状況によっては採用できないプレイングが出るかもしれないことを、予めご了承下さい。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『凍瞳氷狼『クレバス将軍』』
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POW : 120mm迫撃弾
【120mm迫撃弾】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : アイスクロー
【機械の手】からレベル個の【触れると凍る氷の爪】を射出する。射出後も個々の威力を【機械の手】で調節でき、低威力ほど視認困難。
WIZ : 広範囲式氷結弾
【背部120mm迫撃砲】から【広範囲式氷結弾】を放ち、【凍結】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:はるまき
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠テフラ・カルデラ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
サミュエル・クロックス
ゾルダートグラートの中枢に潜入して士官を倒す、要するにいつも通りの暗殺任務ってわけだ。とってもいいね、ボクの得意分野だ。
将軍閣下にご挨拶が済んだらUC発動、跳躍力を強化しよう。彼のように美味しそうな方とは楽しい時間を過ごしたいね。射出される氷爪を強化された跳躍力の〈軽業〉で躱しながら、空間をあちこち飛び回って操縦の邪魔をしようか。そのまま焦らして好機が来たら逃さず包丁で〈急所突き〉、そのまま火を放って〈焼却〉しよう!
お会いできて光栄ですクレバス将軍閣下。こんなにも美味しそうな方に出逢えて本当に嬉しいよ。君の肉の焼ける香りを堪能させて貰いたいね。
(SPD/アドリブ連携負傷等々歓迎)
「ゾルダートグラートの中枢に潜入して士官を倒す、要するにいつも通りの暗殺任務ってわけだ。とってもいいね、ボクの得意分野だ」
穏やかな笑顔の裏に殺気を秘め、そう語るのはサミュエル・クロックス(フランベ・サミー・f41086)。かつて連続殺人鬼として終身刑を言い渡されながらも、現在は軍令暗殺者として活動している男だ。その特別待遇は、ひとえに彼の卓越した殺傷技術によるものである。
「お会いできて光栄ですクレバス将軍閣下。こんなにも美味しそうな方に出逢えて本当に嬉しいよ」
「猟兵か! ギガンティック総統が言ってた通り、横槍を入れに来やがったな!」
グリモアの転移にて無限軌道要塞ベルリンに潜入した彼が対峙するのは、凍瞳氷狼『クレバス将軍』。武闘派で名の知れたゾルダートグラードの幹部であり、移動要塞の操縦担当者だ。彼を殺せばベルリンの進撃は停止し、進路上にいる多くの生命が助かる――殺人鬼の技が、人を救うことになるわけだ。
「君の肉の焼ける香りを堪能させて貰いたいね」
もっともサミュエルに興味があるのは、目の前の"食材"のことだけだ。将軍閣下に御挨拶を済ませた彼は即座に【Summy's Lust】を発動し、自身の跳躍力を高める。本人が語るところによれば「オブリビオンの肉が一番おいしい」らしく、その食欲が彼を強くする。
「フザけた野郎だ! 逆にテメェをシャーベットにしてやるよ!」
対するクレバス将軍も【アイスクロー】を発動し、機械化した両手の先から氷の爪をマシンガンのように射出する。
この爪は触れたものを瞬時に凍りつかせ、さらに個々の威力と視認性を調節することも可能。こいつで敵をじわじわと氷漬けにして実力を誇示するのが、こいつの趣味なのだ。
(彼のように美味しそうな方とは楽しい時間を過ごしたいね)
すぐに終わらせてしまっては勿体無い、と考えながらサミュエルは強化した跳躍力で要塞を飛び回り、氷爪を躱す。
ここはベルリンの駆動を司る重要区画。好き勝手にピョンピョンと操縦を邪魔されるのは、敵方からすれば相当不快だろう。
「この野郎、チョコマカしやがって!」
脳筋のクレバス将軍は案の定、すぐに頭に血が上って暴れだす。罵声を飛ばしながら氷爪を乱射するさまは、常人には近寄りがたい猛獣だが、弱肉強食衝動に目覚めた殺人鬼には活きの良い獲物でしかない。こういったオブリビオンを彼は何体も"料理"してきた。
「まずは血抜きから」
「ぐぁッ?!」
隙だらけの獲物の懐に飛び込んだサミュエルは、慣れた手つきで包丁をひと振り。切り裂かれた動脈から噴水のように血が吹き出すと、用意してあったブランデー瓶の中身を振りかける。フランベに使うそれは薫り高く、度数も高く、そして着火剤としても優秀であった。
「火加減はどうかな?」
「ぐああああああッ?!!」
直後、着火した炎がクレバス将軍を火達磨にする。生きながら焼かれる灼熱と激痛は、歴戦の将軍であっても耐え難いもの。必死にのたうち回って鎮火しようとするが、たっぷり浴びせられたアルコールの所為で、なかなか消えない。
「うん、いい香りだ」
燃え上がる敵の肉が焦げる匂いを、心から楽しむサミュエル。かつて市民を震え上がらせた"フランベ・サミー"の凶気と手腕は、いまだ健在であった。だがオブリビオンの侵略に立ち向かう上では、その殺意さえも世界を救う力となる――これもまた、動かしがたい事実であった。
大成功
🔵🔵🔵
サーシャ・エーレンベルク
……あら、氷使い仲間かしら。
私たち獣人が死んでも、生き残っても、結局あなた達の仲間になる。それなら、こんな馬鹿げた進軍、止めるのが道理というものでしょう。
ゾルダーとグラードらしく、機械に改造されてるオブリビオンね。
【呪詛死神】を発動、操縦桿と迫撃砲纏めて、腐蝕を蔓延させる呪詛の弾丸で連続射撃しましょう。
あなたの腕も足も、全て機械化されてる。あらゆるものを腐蝕させるこの銃撃がどれほど恐ろしいものか身を持って味わうことができるわよ。
瞬間思考力を以て対象の回避などさせない超連射をお見舞いしてやるわ。
悪いけど、同じ氷使いとして勝負する気はないの。力なき獣人たちを殺させやしない!
「……あら、氷使い仲間かしら」
無限軌道要塞を停止させるためにベルリンへと乗り込んだサーシャ・エーレンベルク(白き剣・f39904)が対峙したのは、奇しくも自身に似た能力を持つ『クレバス将軍』だった。こちらは魔術で、あちらは機械化と兵器の力で冷気を操るが、さりとて親近感など湧くものでもない。
「私たち獣人が死んでも、生き残っても、結局あなた達の仲間になる。それなら、こんな馬鹿げた進軍、止めるのが道理というものでしょう」
「ガハハハッ! やれるもんならやってみやがれ!」
超大国にとって無辜の獣人の生命など保護する価値もないものだと、奴らと戦い続けてきたサーシャは知っている。
なればこそ断固たる決意をもって銃を取る彼女を、クレバス将軍は豪快に嘲り笑う。歯向かう者は力をもって徹底的に叩き潰すスタイルだ。
「オラァ! 死ねッ!」
開幕の挨拶代わりに、クレバス将軍は背中の大砲を発射。本来なら対人目的で使うものではない【120mm迫撃弾】は、直撃すれば猟兵でも致命傷になる。サーシャは俊敏な体さばきで射線から飛び退き、攻撃を回避しつつ警戒を強める。
「ゾルダートグラードらしく、機械に改造されてるオブリビオンね」
この手の|機械兵士《ゾルダート》の相手なら散々やってきたと、彼女が取り出したのは「グリムリーパー」。死神の名を持つ狙撃銃に【呪詛死神】を発動し、条理を逸脱した超連射を可能にする。死神と呼ばれた狙撃手、その呪術を此処に披露しよう。
「死神の所以を知りなさい」
「うおッ?!」
サーシャがトリガーを引き絞ると、豪雨の如き勢いで呪詛の弾丸がクレバス将軍に浴びせられる。避けようにもここは移動要塞の操縦区画、壊されるとマズいものが山のようにある。それを庇うために動けなかった将軍の五体や迫撃砲に、弾丸が次々とヒットする。
「ッ! なんだこりゃ、ただの弾じゃねェ……!?」
「あなたの腕も足も、全て機械化されてる。あらゆるものを腐蝕させるこの銃撃がどれほど恐ろしいものか身を持って味わうことができるわよ」
被弾のダメージ自体は機械の装甲で抑えることができても、弾丸に込められた呪詛は腐蝕を蔓延させる。力を求めて機械化改造した身体が、みるみるうちに錆びついていくのを見たクレバス将軍は、さぞ動揺したことだろう。戦闘中にそれは大きな隙となる。
「クソがッ! テメェも氷使いなんだろうが!」
「悪いけど、同じ氷使いとして勝負する気はないの」
機械化したオブリビオンには凍結より腐蝕のほうが有効。勝つためならサーシャは拘りを捨てて勝算を優先できる。
特にこの戦いは獣人世界大戦全体の戦況にも影響を及ぼす戦いであり、ベルリンの予測進路上にいる数多の獣人達の生命がかかっている。
「力なき獣人たちを殺させやしない!」
背負うものの重さを知る白狼は、歴戦の気迫をもって思考力を研ぎ澄ませ、回避などさせない超高速連射を見舞う。
その覚悟に圧倒されたクレバス将軍は「畜生めッ!」と悪態を吐きながらも防戦一方となり、ダメージを蓄積させていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
チル・スケイル
機械による氷使いですか…無性に戦ってみたいです。が、要塞を止めなければ
狙撃杖を構え、遠くから操縦機械を狙撃。氷の魔法弾で氷漬けにして操作できなくします
呼びかけます。「それは魔法の氷。私を殺さねば融けません」
「さあ、戦いましょう」
背中の砲に冷気が集まっている…?ならば私も攻めます…来たれ、氷竜様!
小細工無用。私と氷竜様の全魔力を敵の砲撃にぶつけます…はあああっ!
魔法と機械が衝突し、氷の大爆発が起きるのでしょう。そうなれば…機械はタダでは済まないでしょう。即ち凍りつき操作不能。
例え相討ちになり、あるいは敗れたとしても、目的の1つは達成できるわけです。
無論、可能なら打破します。
「機械による氷使いですか……無性に戦ってみたいです。が、要塞を止めなければ」
氷の魔法を得意とするチル・スケイル(氷鱗・f27327)は、凍瞳氷狼の異名を持つ『クレバス将軍』に対抗心を抱きつつも、任務を優先して感情を抑える。ここでの自分達の敗北は、無限軌道都市ベルリンによる罪なき獣人達の蹂躙に繋がる。今は何よりもそれを阻止することが第一だ。
「ここからでも十分狙えますね」
他の猟兵が敵の注意を引き付けている間に、彼女は遠距離で狙撃杖『カシュパフィロ』を構える。銃火器によく似た形状をしているが、撃ち出されるのは鉛玉ではなく魔法の弾丸だ。しっかりと狙い定め、小声で呪文を唱えれば、蒼い氷の礫が要塞の操縦機械に飛んだ。
「ッ?! 誰だ、このヤロウッ!」
魔法弾がヒットした機械は氷漬けで操作不能となり、それを見たクレバス将軍が怒号を上げる。彼の任務はベルリンの操縦であり、敵の妨害により進撃に支障をきたしたとなれば叱責と処罰は免れまい。自尊心の強い彼にとっては耐え難い屈辱だ。
「それは魔法の氷。私を殺さねば融けません」
チルはあえてそこで姿を現し、クレバス将軍に呼びかける。こう言えば向こうは絶対に自分を無視できないし、全力で殺しに来るだろう。迎え撃つだけの自信があってこその発言だ。遠距離狙撃だけが能ではないところを披露しよう。
「さあ、戦いましょう」
「上等だゴラァッ!!」
脳筋なクレバス将軍は、ここが要塞の内部だろうが一切躊躇せず【広範囲式氷結弾】の発射体制に入る。機械化改造によって背部に取り付けられた120mm迫撃砲は、彼の武装の中で最大火力を誇る。それを用いたユーベルコードとなれば威力は絶大だ。
「背中の砲に冷気が集まっている……? ならば私も攻めます……来たれ、氷竜様!」
これに対してチルは【氷術・召竜】を発動。かつて民に氷雪と竜化の加護を与えたという、偉大なる氷竜の霊を降臨させ、共に攻撃体勢に入る。ふたりから放たれる凍気の魔力は共鳴することで力を増し、余波だけで周囲が凍りついていく――。
「小細工無用。私と氷竜様の全魔力をぶつけます……はあああっ!」
「上等だッ! 吹っ飛びやがれェッ!!」
チルとクレバス将軍が攻撃を放ったのは同時。互いに渾身の力を込めた魔法と機械の砲撃は、衝突した瞬間に氷の大爆発を起こした。荒れ狂う冷気はもはや誰にも制御できず、術者である二人も含めて、周囲にある全てを無差別に凍てつかせていく。
「グッ……しまった?!」
こうなれば要塞の機械もただでは済まない。即ち凍結による操作不能だ。頭に血が上っていたクレバス将軍も、ようやく自分のミスに気付いたらしい。一瞬にして雪と氷の景色に覆われた操縦区画は、直ぐに復旧できるものではない。
「例え相討ちになり、あるいは敗れたとしても、目的の1つは達成できるわけです」
無論、可能なら打破するつもりはあった。氷竜と氷狼の激突は、双方にも決して小さくないダメージを与えている。
チルは凍傷を負いながらも表情は歪めず、まだ自分はやれると言わんばかりの態度で杖を構える。そうすれば、同様の傷を負ったクレバス将軍も音を上げられない。
「舐めんじゃねぇ……さっさとテメェをブチ殺せばいいだけの話だろうがよォ!」
氷も溶けそうな熱量の怒号を発して、再び迫撃砲を発射する将軍。チルもまた、氷竜と共に氷塊と凍気で迎え撃つ。
凍てついた要塞内の戦闘はより激しさを増す一方、ベルリンの進撃速度は予想を外れ、順調に鈍り始めていた――。
大成功
🔵🔵🔵
ユキト・エルクード
SPD判定
(アドリブ・連携歓迎)
職業軍人ならいつ名誉の戦死をしても文句はあるまい。
俺は優しいから先に昇進おめでとうを伝えておこうか。
【戦術】
俺のUCなら長くはなくとも要塞の足を止められるはずだ。
“迷彩”や“地形の利用”を駆使して死角から移動要塞へと接近し、併用可能なUC『刻影蝕』を発動。
内部機関破壊の影響で足が止まっている最中に要塞を駆け上がり、コックピットに肉薄。
迎撃にツラを出してくるだろう将軍様の悪意をUC『怪祟忍殺』で遡って首級をいただく。
万一これで殺せず攻撃を仕掛けてくる場合は“受け流し”“カウンター”“急所突き”と繋げて息の根を止める。
戦場でのアクシデントなら恨みもあるまいさ。
「俺のユーベルコードなら長くはなくとも要塞の足を止められるはずだ」
進路上にある全てを踏み潰しながら、戦場へと進撃を続ける『無限軌道都市ベルリン』。その蹂躙を阻止すべく駆け付けたユキト・エルクード(亡霊夜警・f38900)は、敵に見つからないよう慎重に要塞へと接近していく。目標は巨大であるが故に監視網には死角があり、地形の起伏や迷彩を利用すれば目を盗むことも難しくはない。
「……ここだな」
無事に接近を果たした彼は【刻影蝕】を発動し、己の体内で練り上げた影の含み針を、要塞の内部機関――生物なら中枢神経系に該当する箇所に撃ち込む。操縦区画から駆動部までの伝達経路を寸断されたベルリンは、全体からゴゴゴと軋むような音を立てて動きを止めた。
「なんだァ? 止まっちまったぞオイ!」
これに驚いたのは移動要塞の操縦を任された『クレバス将軍』である。ベルリン内部にいるゾルダートグラード兵が故障の原因を突き止め、復旧するまでには暫し時間がかかるだろう。その隙にユキトは要塞を駆け上がり、将軍のいるコックピットに肉薄する。
「職業軍人ならいつ名誉の戦死をしても文句はあるまい」
「んだテメェ! 何かしやがったなァ!」
無理やり戦わされているのならいざ知らず、超大国に忠誠を誓った者にかける情けはないと、冷たい闘志を滲ませるユキト。大胆不敵に乗り込んできた猟兵に、クレバス将軍も殺気立つ。すでに大戦の口火が切られた情勢下にあって、交渉の余地などあるはずも無かった。
「俺は優しいから先に昇進おめでとうを伝えておこうか」
「おう、ありがとよ! この俺の功績のために殺されに来てくれてよぉ!」
二階級特進を皮肉ったユキトの言い回しに、クレバス将軍も負けじと言い返す。ゾルダートグラード内でも脳筋かつ武闘派として知られる彼は、自身と超大国に歯向かう者を皆殺し、力を誇示することで現在の地位に登り詰めたのだ。
「報いを受けろ」
だが、今回も上手くいくとは思わぬことだ。ユキトのユーベルコード【怪祟忍殺】は、敵の悪意を遡って先制報復を行う。これまで積み上げてきた技能を独自の形に昇華させた「応報暗殺術」は、速やかに四肢を砕き、心の臓を穿ち、首級をいただく。
「ガッ?! て、テメェ……!!」
疾風の如き棍捌きをその身に受けたクレバス将軍。それでも絶命しなかったのは、機械化改造による強化の賜物か。
痛打を負ったことで益々殺意をつのらせた彼は、両手から【アイスクロー】を射出。ありったけの氷爪を最大威力でブチ込み、標的を氷漬けにせんとする。
「しぶといな」
しかしユキトも万が一の反撃を予期していなかったわけではない。飛来する氷爪を巧みに棍で受け流すと、そのままカウンターの動作に繋げる。猟兵になる以前より愛用してきた「桜華」は、もはや体の一部のように手に馴染み、彼の思うがままに動いてくれた。
「戦場でのアクシデントなら恨みもあるまいさ」
「ゴガァッ!!!?」
先の一撃にも勝る強烈な急所突き。自身の骨肉が砕ける音を聞きながら、クレバス将軍は勢いよく吹き飛ばされた。
これでもまだ息はあるようだが、手応えはあった。せいぜい今の内に遺言でも考えておくことだと、ユキトは血に濡れた棍の先を突きつける――。
大成功
🔵🔵🔵
ミア・アルタージュ
移動要塞の動力は…電気でしょうか。それとも熱、かもしれませんね。
いずれにせよ、周囲に居る精霊の動きを見れば動力源は把握できるでしょう。
例えば電気を動力に動くのであれば…明らかに周囲の電気の精霊の数が増えますから。
どのような動力であろうと精霊のバランスを崩せばうまく動かす事は出来なくなるでしょう。
電気であれば…電気の精霊を更に送り込むことで正常な動作は難しくなるはずです。
攻撃は…氷、ですか。
大丈夫です、如何に氷その物を隠蔽しようとも…氷の精霊であれば私には「視えて」いますよ。
風の精霊の力を借りてUCフライングフェアリーで機械の手の破壊を狙いましょう。
序に操縦用機器も機能停止出来れば良いのですが。
「移動要塞の動力は……電気でしょうか。それとも熱、かもしれませんね」
超大国は異世界からの侵略者。この世界とは異なる技術体系によって成立している『無限軌道都市ベルリン』の動力を突き止めるのは容易な事ではない。だが、魔法の徒であるミア・アルタージュ(ケットシーの精霊術士・f41672)には、その手立てがあった。
「いずれにせよ、周囲に居る精霊の動きを見れば動力源は把握できるでしょう。例えば電気を動力に動くのであれば……明らかに周囲の電気の精霊の数が増えますから」
万物には精霊が宿り、世界の大抵の現象は精霊の働きで説明出来るというのが彼女の研究する精霊術の理論である。
それが机上の空論ではないことは、実践をもって証明する。金色に煌めくケットシーの瞳には、要塞に宿った精霊の動きがはっきりと視えていた。
「どのような動力であろうと精霊のバランスを崩せばうまく動かす事は出来なくなるでしょう」
電気であれば、電気の精霊を更に送り込むことで正常な動作は難しくなる。熱でも同様に火の精霊を送るか、逆に水の精霊を送って温度を下げてやるのもいい。「精霊の書」に記した各精霊の特性をもとに、ミアがエレメンタルロッドを振るえは、精霊達はその意のままに要塞の駆動を妨げた。
「なんだよッ、また不調か……今度はテメェの仕業だな!」
これまでも度々猟兵に操縦妨害を受けてきた『クレバス将軍』は、もはや驚きもせず犯人に殺意を向ける。これ以上ベルリンの進撃が滞れば、上層部からの叱責と処分は免れまい。侵入者の抹殺と要塞の復旧こそ、彼の急務であった。
(攻撃は……氷、ですか)
機械化されたクレバス将軍の手に、氷の精霊が集まっている。そこから敵の攻撃手段を予想したミアは、風の精霊の力を借りて【フライングフェアリー】を発動。強風を身に纏って宙に浮かび上がると、高速で飛び回り敵を撹乱する。
「逃がすかよォッ!!」
対する将軍は【アイスクロー】を発動。触れたものを凍らせる氷の爪を射出し、上空の標的を撃ち落とさんとする。
このユーベルコードの厄介な特徴は、威力を下げることで視認を困難にできる点だ。大気と同化するほど透明になった氷爪を、捕捉して回避するのは容易ではない――普通なら。
「大丈夫です、如何に氷その物を隠蔽しようとも……氷の精霊であれば私には『視えて』いますよ」
「なにぃッ?!」
ミアの戦い方は肉眼に頼るのではなく、万物に宿る精霊の働きを通じて状況を把握している。不可視の氷爪をひらりひらりと躱すさまは、クレバス将軍の想定外だった。一発でも当たれば凍結で動きを鈍らせられたのに、まさか一切被弾しないとは。
「捉えられは……しませんよ?」
にっこりと柔和に微笑みながら、ミアは氷爪の弾数が尽きるのを待ってクレバス将軍に接近。その身に纏った精霊の風は、触れた物品や装備を破壊する効果もある。それは改造された将軍の身体自体も対象に含まれており――ガギッ、と嫌な音を立てて、機械の手が動かなくなった。
「序に操縦用機器も機能停止出来れば良いのですが」
「こッ、この野郎! フザけんじゃねぇぞ!」
ミアはそのまま要塞内を好き放題に飛び回り、操縦に関連していると思わしき機器や装置を次々に停止させていく。
慌てて阻止しようとするクレバス将軍だが、風の精霊の悪戯が機械の身体に重くのしかかり、思うように動けない。結局、ベルリンの進撃は当初の想定から更に遅れることとなった――。
大成功
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紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
やや、気を散らせるでっすかー!
そういうのは得意なのでっす!
相手は相当な実力者、真っ向勝負には付き合ってられないのでっしてー!
踊らせて氷結弾を明後日の方向に飛ばしちゃうのでっす!
動きを封じさせる凍結とのことでっすがー。
それ、コントロールルームの機械に当たればどうなりまっすかー?
レバーなどが凍って動かなくなると操縦に支障出るのではー?
ちなみに凍ってないレバー等はレバー等で藍ちゃんくんのダンスに合わせてぐるぐる回ってるなど操縦としてはでたらめに動いてるので!
止まる・動く、双方の面で操縦がめちゃくちゃになってるかと!
将軍さんは気が気じゃないの間違いなしなのでっすよー!
「やや、気を散らせるでっすかー! そういうのは得意なのでっす!」
魅力とパフォーマンスで観客を惹きつけるのはアイドルの得意分野。相手がゾルダートグラードの幹部だろうが、操縦どころではないようにしてみせようと、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は自信満々の様子で『無限軌道都市ベルリン』に乗り込んだ。
「藍ちゃんくんでっすよー!」
「誰だよ! うるせえヤツが来やがったな!」
ステージ衣装で高らかに名乗りを上げれば、返ってきたのは『クレバス将軍』の怒号とブーイング。初対面の敵からの反応としては妥当なものだろう。殺意むき出しの相手をいかにして此方のペースに乗せるかが、腕の見せどころだ。
「なんだよその格好は、お遊び気分か? とっとと死んどけバカがッ!」
戦場に似つかわしくない服装を嘲り笑いながら、攻撃態勢に入るクレバス将軍。彼の背部120mm迫撃砲から発射される【広範囲式氷結弾】は、着弾地点の全てを凍結させる強力なユーベルコードだ。自らを最強と嘯くだけのことはあり、そこらの|機械兵士《ゾルダート》とはレベルが違う。
「相手は相当な実力者、真っ向勝負には付き合ってられないのでっしてー!」
それを理解しているからこそ、藍は自分の戦い方を貫く。無限軌道の奏でるリズムに合わせて、華麗にダンスする。
全身を躍動させる見事なパフォーマンスかつ、案外真似できそうと思わせるシンプルな振り付け。それは観客の心を惹きつけ、釣られて踊らせることさえ可能にする。
「それでは皆様、ご一緒に! レッツ・ダンシングなのでっすよー!」
「なっ、なんだァ……?!」
高らかに発動した【藍ちゃんくんと愉快な観客達!】の作用により、クレバス将軍の足が無意識にステップを踏む。
そのせいで砲撃の照準がブレて、氷結弾は明後日の方向に。開けた場所なら良かったが、ここは要塞の内部である。
「それ、コントロールルームの機械に当たればどうなりまっすかー? レバーなどが凍って動かなくなると操縦に支障出るのではー?」
「げっ、しまった……!!」
氷結弾の誤射は移動要塞の操縦系統に大きなダメージをもたらした。凍りついた計器や操縦桿はピクリとも動かず、自然解凍による復旧を待つには相当の時間がかかりそうだ。相手を侮りがちな自尊心の強さと、思慮の浅い脳筋な性格が最悪の結果を生んだ。
「これで終わりじゃないのでっすよー!」
クレバス将軍の失態をよそに、藍はなおもパッション全開で舞い踊る。するとまだ凍っていないレバーや機器類が、彼のダンスに合わせてぐるぐる回りだした。このユーベルコードが踊らせる対象は有機無機を問わない――もちろん、操縦としてはデタラメな動きだ。
「おいッ、やめろッ! クソっ、どうすりゃ止まるんだコレは!」
止まる・動く、双方の面で操縦がめちゃくちゃになって、クレバス将軍は大慌てだ。無限軌道都市ベルリンはゾルダートグラードの最重要戦力の一つだというのに、これでは今後の戦略にも支障が出る。その責を問われるのが操縦担当者なのは言うまでもない。
「将軍さんは気が気じゃないの間違いなしなのでっすよー!」
「クソがっ! 分かってるなら止めやがれ……うおおッ?!」
焦る相手の動きに合わせて、随時ダンスに微調整を加えていく藍。そのせいでクレバス将軍は釣られるまいと思っても、ついつい彼に乗せられて踊ってしまう。思うように戦えず、操縦妨害を止めることもできず、ベルリン内の情勢はますます猟兵優勢に傾きつつあった――。
大成功
🔵🔵🔵
黎明・天牙
夢幻戦線
はーい、そこまで〜夢幻戦線で〜す
『ふん!脳筋同士の戦いか…』
振動の力を放ち敵に攻撃するも氷の爪で相殺する
邪神君は少し俺達を馬鹿にしていたようだが…
いや、来るに決まってるだろ…
(やっぱ、俺等の事は知ってたか…)
夢幻戦線の事はやはり知っていたようだが氷の爪を視力でしっかり見つつ回避する
じゃあ反撃開始だ…獅子神雀男
UCを発動して変幻自在の振動の力を放ち操縦を妨害しながら敵に迫る
氷には炎だ…獄炎雀振動撃!
UCの効果でUC獄炎雀振動撃を発動して敵の腹を殴り飛ばした
『よし、この大戦に乗じてこの世界に隠した我が愛馬を探すとしようか…くくっ』
俺達は気づいていなかったが邪神君は何処かへ飛び去ったのだ
レティシア・ハルモニアス
夢幻戦線
させるか!紅い矢弾の雨!
妾は天牙と共に攻撃しながら要塞を止めるべく前へ出る
敵のUCは今回先制UCではないなら指定UCを発動して移動要塞の可動部を攻撃
妾もこの世界には世話になったからのう!これ以上…進軍はさせん!
この世界を守る為に前へ出る妾
ぬおっ?!危ない!(…脳筋でも将軍と呼ばれるだけはあるのう)
前に結界術を展開するもすぐに氷になり砕け散ったのを見て将軍と呼ばれるだけはあると思った
じゃが、負けんぞ!我が真の姿を見よ!
UC吸血鬼の女王を発動して素早く焼却のエネルギー弾を放ち敵を攻撃
もしここにライメイザがいれば邪神が飛び去るのを阻止しただろうが妾達は移動要塞を止める事に夢中で気づかなかった
「はーい、そこまで〜夢幻戦線で〜す」
超大国による世界の破滅を阻止するため、黎明・天牙(夢幻戦線のリーダー『パラダイス・ブレイカー』・f40257)率いるチーム「夢幻戦線」も獣人世界大戦に参戦する。彼らの今回の目標は、ゾルダートグラードが誇る超巨大戦力、『無限軌道都市ベルリン』の進撃停止であった。
「来やがったか! テメェらのことは聞いてるぜ、ちったあ腕が立つらしいじゃねえか!」
「いや、来るに決まってるだろ……」
迎え撃つのはベルリンの操縦担当者である『クレバス将軍』。獣人戦線各地で超大国と戦い続けてきた夢幻戦線の名は、彼の耳にも届いていたらしい。天牙は相手の脳筋っぽい態度に呆れつつも(やっぱ、俺等の事は知ってたか……)と、自分達の情報が広まっていることに警戒を強めた。
「悪いが総統閣下のご命令なんでな! これ以上"寄り道"してるヒマはねえんだ!」
「させるか! 紅い矢弾の雨!」
目標地点に向かって直進しようとするベルリンの前に、立ちはだかったのはレティシア・ハルモニアス(奪われた全てを取り返す為に〜吸血鬼戦線〜・f40255)。彼女が放った【紅い矢弾の雨】は移動要塞の可動部に命中し、移動力を低下させる。要塞都市の規模と比較すれば微細なダメージだが、幾許かの遅延にはなるだろう。
「妾もこの世界には世話になったからのう! これ以上……進軍はさせん!」
彼女の出身は異世界だが、この世界を守る意思に違いはない。このままベルリンが進み続ければ、進路上にいる数多の獣人が犠牲になるのだ。そんなことは断固として許さぬと、夢幻戦線の一員として前に出た彼女は、天牙と並び立ち敵将に銃口を向ける。
「目障りなヤツらだぜ……今までの連中とこの俺を一緒にするんじゃネェぞ!」
獰猛なる野獣の殺意を露わにして、機械化された両手から【アイスクロー】を射出するクレバス将軍。脳筋で思慮の浅いところはあるが、それでゾルダートグラードの幹部級に名を連ねているのだから、実力に疑いを挟む余地はない。
『ふん! 脳筋同士の戦いか……』
「邪神君、俺達を馬鹿にしてる?」
「ぬおっ?! 危ない!」
高みの見物を決め込む邪神「オーガスト・ベイン」をよそに、天牙は敵の攻撃をよく見て回避を行い、レティシアは前方に結界術を展開する。しかし透明度の高い氷爪は避けるのも一苦労で、結界の盾はすぐに凍りついて砕け散った。
「……脳筋でも将軍と呼ばれるだけはあるのう」
「そうだな」
実際に矛を交えてみて、敵の強さを実感する二人。牽制のつもりで天牙が放った振動波もしっかり相殺されている。
移動要塞を止めるために他の超大国や猟兵が奇襲を仕掛けてくる可能性は、ゾルダートグラードも考慮していたのだろう。武闘派の将軍に操縦担当者を任せたのは悪くない采配だと認めざるを得まい。
「じゃが、負けんぞ! 我が真の姿を見よ!」
「じゃあ反撃開始だ……獅子神雀男」
これまで数々の強敵と対峙してきた夢幻戦線が、この程度で負けを認めるはずがない。【吸血鬼の女王】を発動したレティシアが真の姿を現すと、天牙も【『パラダイス・ブレイカー』獅子神雀男】に変身。戦いはここからが本番だ。
「妾は……レティシア・ハルモニアス! 吸血鬼の女王じゃ!」
蝙蝠の翼を羽ばたかせ、漆黒のドレスを翻し、闇刃銃『エレクトニアス・ヴァラージュ』から灼熱のエネルギー弾を放つレティシア。氷使いには熱で対抗するシンプルな解答だが、かつて闇の世界を統べた女王の魔力は、氷爪を一瞬で蒸発させるほどの火力を生み出す。
「な、なにッ……?!」
さっきまでとは別人のようなパワーアップを目撃したクレバス将軍は、初めて「恐怖」に近い感情を抱く。我こそが最強だと豪語してきた男が、ほんの一瞬抱いた敗北の予感――それを好機とみて、飛び出していったのは天牙である。
「戦場ではよぉ……圧倒的な攻撃も必要だったんだよ」
「ッ、やめろ! 来るんじゃねェ!」
神域を超えたスピードで疾走しながら、変幻自在の振動波を放つ天牙。狙いは将軍ではなく移動要塞の操縦機器だ。
あちらの任務を考慮すれば、単純な攻撃よりも操縦を妨害されるほうが困るはずだ。動揺が大きくなった隙を狙い、速度にものを言わせて距離を詰める。
「氷には炎だ……獄炎雀振動撃!」
「ぐ、ガハァッ!!!!?」
身に纏った獅子の力に獄炎の衝撃波を重ね、繰り出すは渾身のストレート。物体や微粒子を振動させることで生じる膨大な熱エネルギーは、汎ゆる事象や力を消滅破壊する獄炎となる。その全火力をもって殴り飛ばされたクレバス将軍は、絶叫と共に要塞の壁へと叩きつけられた。
『よし、この大戦に乗じてこの世界に隠した我が愛馬を探すとしようか……くくっ』
夢幻戦線が激闘を繰り広げる一方、邪神オーガスト・ベインは怪しげな言葉を残して、何処かへ飛び去っていった。
もしここにレティシアの眷属ライメイザも付いてきていれば阻止しただろうが――移動要塞を止めるのに夢中だった二人は気付かない。果たして、あの邪神がこの戦争の裏で何をする気なのか、それはまだ誰にも分からなかった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
無限軌道都市ベルリンか
「あぁ、でもこれは、許せないな」
可能なら、出来る事なら
山の様なこの都市ごと壊したいくらいだ
会敵したら即拳を向けて挑発するよ
まずは戦いやすくしないとな
「お山の大将さん。かかってきな」
戦闘開始と同時に【護の誓い】を使用
誓いは勿論全てを護る事
背中の文字と、進路上の命
全てにかけて、言葉にして力にする
「全て、護る」
全力の真の姿で相棒と連携し
間髪入れずに攻撃を叩き込む
勿論、操縦の妨害も忘れないように
辺りの物を適当にぶっ壊してみようか
「重要そうなバルブだな。ぶっ壊しておくか?」
交互に二人の信念を全力で叩き込む
「道の先の命はな、蹂躙していいものじゃあない」
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
動く城塞都市とはね
「この都市名は昔、世界で一番冷たい壁もあったっけ」
けど今は関係ない
何処であれ絶対に破滅なんか許さない
無辜の民の死なんて許さない
「絶対に止めて見せる!」
猟兵になって他世界へ跳べて良かった
相棒と顔を見合せ頷くのもいつもの事
どれ程の巨体だろうが
「機械に頼っての強化でデカイ顔なんて笑止!」
わざと顔を歪めて嗤ってみせよう
脳筋なら絶対に顔真っ赤にして俺たち如き
鼠をひねりつぶさずにはいられない
そこで護の誓い詠唱!
俺達が護ると誓い背負うのは
貴様が蹂躙しようとする凡て!
幾度躱されても攻撃を喰らっても
俺達の信念は砕けない
「邪魔し尽くして最後に俺達が貴様を砕く!覚悟!」
「無限軌道都市ベルリンか」
「動く城塞都市とはね」
超大国のテクノロジーによって移動要塞へと改造された、ドイツの首都にしてゾルダートグラードの本拠地。それを見上げる凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)と葛城・時人(光望護花・f35294)の表情は険しい。驚嘆に値する技術を用いて、することが無辜の民の蹂躙では。
「あぁ、でもこれは、許せないな」
可能なら、出来る事なら、山の様なこの都市ごと壊したいくらいだと思う陸井。だが、いかに猟兵であっても巨大な要塞を破壊するのは容易ではなく――なにより、ベルリン市街にはオブリビオンではない獣人も残っているかもしれない。今やるべきは、この都市を操縦しているオブリビオンを倒し、進撃を停止させることだ。
「この都市名は昔、世界で一番冷たい壁もあったっけ」
ぽつりと時人が呟いたのは、彼が生まれた世界の歴史だ。しかし今は関係ない、何処であれ絶対に破滅など許さない――無限軌道に轢き潰される、無辜の民の死など断じて許せるものか。火蓋を切られた世界大戦において、獣人を守るために戦う意思を持つのは、猟兵だけだ。
「絶対に止めて見せる!」
「ああ。必ず護ろう」
猟兵になって他世界へ跳べて良かった。窮地に駆けつけられる僥倖を心から噛み締めながら、決意を表明する時人。
彼の相棒である陸井も、獣人達を守り抜かんとする意志は同じだ。揺るがぬ覚悟を持って、二人は無限軌道都市ベルリンに突入する。
「また来やがったか猟兵ども! しつこいヤロウだ!」
都市の操縦区画にて二人が会敵したのは、凍瞳氷狼『クレバス将軍』。身体のあちこちに機械化を施した、いかにもゾルダートグラードらしいオブリビオンの将校だ。オオカミらしい巨躯で侵入者を睨みつけ、怒鳴りつける姿からは、歴戦の猛者らしい風格を感じさせる――が、そんなことで怯む二人ではない。
「機械に頼っての強化でデカイ顔なんて笑止!」
「お山の大将さん。かかってきな」
相棒と顔を見合わせて頷くのもいつもの事。時人がわざと顔を歪めて嗤ってみせれば、陸井も即座に拳を向けて敵を挑発する。どれ程の巨体だろうが、オツムや技術が伴っていなければ木偶の坊。まずは冷静さを奪って戦いやすくする作戦だ。
「テメェら……!! このクレバス様をバカにするなよ!」
案の定、脳筋のクレバス将軍は顔を真っ赤にして怒り狂い、目の前のネズミどもを捻り潰さずにはいられない。彼の背部に搭載された【120mm迫撃弾】は、これまでも邪魔な連中を一匹残らず吹き飛ばしてきたのだ。しかし、今回の相手も果たして思い通りになるだろうか。
「この字にかけて!」
「団是にかけて!」
陸井と時人が唱えるのは【護の誓い】。絶対に全てを護るという誓いを立て、真の姿に変身するユーベルコードだ。
懐に収めたイグニッションカードが光り輝き、二人の姿が能力者時代の全盛期に変わる。死と隣り合わせの青春を駆け抜け、銀の雨が降る時代を平和へと導いた、銀誓館の戦士たちだ。
「死ねッ!!」
クレバス将軍の迫撃砲が火を噴く。120mmの巨砲は対人としては過剰過ぎる火力を誇り、直撃すれば跡形も残るまい。
だが、陸井は『護』の一文字を刺繍した羽織を翻して、短刀銃『護身』を振るう。切れ味よりも丈夫さを重視された無骨な刃は、敵の砲弾をあらぬ方向へと弾き飛ばした。
「全て、護る」
「なにいッ?!」
背中の文字と、進路上の命。全てにかけて、言葉にして力にする。それが正義であれば、真の姿は更に強化される。
現在の陸井の力は、部分的には全盛期すら上回っているだろう。神業としか言いようのない防御の技に、クレバス将軍も瞠目する。
「俺達が護ると誓い背負うのは、貴様が蹂躙しようとする凡て!」
間髪入れずに切り込んだのは時人。かつての装備を元にした「記憶の錫杖」を振るい、クレバス将軍に打ち掛かる。
鋭い一打だが、クレバス将軍も「舐めんじゃねえ!」と意地にかけて回避する。移動要塞の操縦という重要な任務をゾルダートグラードから任されただけあって、並の兵士とは違うか。
「それで避けきったつもりか!」
「ぐっ、お、くそぉッ!?」
だが、時人は休む間もなく二打三打と追撃を重ね、クレバス将軍を追い込む。幾度躱されようが攻撃を受けようが、自分達の信念は砕けない。掲げ続けた『護』の誓いは決して付け焼き刃ではなく、骨身と一体となった力の源なのだ。
「相棒!」
「応とも」
時人が敵を追い詰めたところに、すかさず陸井が攻撃を叩き込む。学生時代からの連携に必要以上の言葉は不要で、お互いが先の行動まで理解したうえで動く。そうやってクレバス将軍と戦いながら、もちろん操縦の妨害も忘れない。
「重要そうなバルブだな。ぶっ壊しておくか?」
「ッ、そいつは止め……!」
「ああ、やってしまおう!」
短刀銃の弾を乱れ撃ち、辺りの物を適当に破壊する。クレバス将軍が顔色を変えた目標に対しては、特に念入りに。
二人の知識ではこの移動要塞の原理までは分からないが、どれか一つでも駆動の妨げとなればいい。ベルリンの進撃を阻止することが、二人にとっての最優先事項だ。
「道の先の命はな、蹂躙していいものじゃあない」
「邪魔し尽くして最後に俺達が貴様を砕く! 覚悟!」
意志を言葉に、覚悟を武器に宿し、交互に信念を全力で叩き込む二人。その熱は、冷たい機械如きに消せはしない。
錫杖に打たれ、銃弾に射抜かれ、刃に切り裂かれ。クレバス将軍の身体には、生々しい戦傷が次々と刻まれていく。
「ふ……ざけんなッ! この俺が、こんな所で……!」
最強を自負する男は自らの劣勢を認められず、何故追い詰められているのか理解できぬまま、必死の抵抗を続ける。
だが、もはやそれも風前の灯だ。遅滞するベルリンの進撃速度と同じように、彼の命運もまた終わりを迎えようとしていた――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
菜花・深月
侵略なんてさせないよ!
うちは弾道計算をして操縦機械に凍結の矢弾の雨を放ち凍らせる
あんたの思い通りさせないよ!
敵のUCに対しては念動力を力を組み合わせた結界術を展開して防御した後、推力移動で攻撃範囲から離れた後素早く呪殺弾を放ち反撃する
まずはあんたの動きを封じる!
星矢で敵を拘束した後殲滅光で敵を追撃した
お願い…やっつけて!月の龍!
指定UCの効果でUC月龍召喚紋章を発動して敵に襲いかかる
月の龍は神眼で敵の動きを見ながら敵に近づき爪で切り裂いた
あんた達は獣人達の命を踏みにじる外道…絶対に許さない!
と敵に向かって叫びながら呪殺弾を放ち攻撃する
そして月の龍の咆哮も聞こえて来た
「侵略なんてさせないよ!」
獣人戦線を蹂躙せんとする超大国ゾルダートグラードに、真っ向から反抗の意思を示す菜花・深月(止まった時間が再び動き出す時・f41809)。彼女が青い月光弓を引き絞れば、凍結効果を付与した矢の雨が放たれ、正確な弾道計算のもとで『無限軌道都市ベルリン』の操縦機械に降り注ぐ。
「ッ、テメエッ! やりやがったな!」
機器が凍りつけば困るのは操縦者の『クレバス将軍』だ。ベルリンの進撃が停止すればゾルダートグラードの戦略は大きな修正を余儀なくされ、その責任は彼にも及ぶ。栄達の道を阻む外敵に、氷狼の【アイスクロー】が向けられた。
「テメェも氷漬けになって死ねッ!」
「あんたの思い通りにはさせないよ!」
クレバス将軍の機械手から氷の爪が射出されると、深月は念動力と魔力を組み合わせた結界術を展開。直接触れずに防ぐことで凍結を回避すると、推力移動で攻撃範囲から離れる。その間にも、彼女の手は素早く次の矢を番えていた。
「まずはあんたの動きを封じる!」
「ぐッ……?! クソが、何度も舐めたマネを!」
放つのは【星矢と殲滅光の輪舞曲】。命中した対象を確定で拘束状態にする星矢と、防御無視の殲滅光のコンボだ。
地面を足を縫い付けられ、動きの止まったクレバス将軍を閃光が撃ち抜く。ダメージは小さくないはずだが、その巨体はいまだ地に屈することなく、殺意のこもった眼で敵を睨みつけていた。
「お願い……やっつけて! 月の龍!」
深月の攻撃はまだ終わりではない。同時発動したユーベルコード【月龍召喚紋章】により、純白の輝きと共に月龍が降臨する。額に浮かぶ月の紋章は戦場をあまねく照らし、神眼は悪しき敵の挙動を見逃さない。そして爪牙には概念すら破壊する霊力が宿っている、強力なテイムモンスターだ。
「龍だとぉ? テメェ、どうやってそんなバケモンを……ぐがあッ!」
使役者と結んだ愛情と絆に応え、敵に襲い掛かる月龍。その神速にクレバス将軍は反応できず、気付いた時には爪で切り裂かれていた。鋼鉄の装甲板に置換されたボディがベニヤ板のように砕ける――龍の力の前では、この程度の防御力は意味をなさなかった。
「あんた達は獣人達の命を踏みにじる外道……絶対に許さない!」
怒りを込めて叫びながら、月光弓で追い打ちをかける深月。放たれた呪殺弾は悪しき機械兵士の生命を着実に削る。
そして月龍も彼女の感情に呼応するように咆哮し、敵に爪を突き立てる。抉られた装甲板の傷は、より深く、鋭く。
「畜生が……テメェらなんぞに、この俺が……!」
最強を自負してきた男が、こんな戦争の序盤で敗れるなど認め難い話だろう。だが、戦いとは常に無慈悲なものだ。
操縦者のみならず要塞の操縦系統にも深刻なダメージを受け、ゾルダートグラードが誇る移動都市は今、進撃を停止していた――。
大成功
🔵🔵🔵
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
どの世界でも、大国の犠牲となるのは罪なき民衆と言うのは変わらんか
ならば、我々のやるべき仕事は一つだ
UCを発動
パワーアーマーを装着してクレバス将軍の元へと一気に突入する
背部ブースターを噴かせば、極超音速域…ハイパーソニックと呼ばれる領域にまで達するだろう
罠があるなら食い破るまでだ!
全てを灰へと帰してやろう!
無限軌道都市ベルリンに搭載された機械罠に進路を塞がれたらレーザーガトリング砲の掃射で破壊
そのまま最奥まで進む
民間人の犠牲を強いる大国の思惑は気に食わん…故に、叩き潰しに来た
クレバス将軍がアイスクローを射出してきたらビームライフルで応射
撃ち落としつつクレバス将軍に接近してレーザーブレードで切りつける
視認の困難なものは低威力なので、無視しても構わんだろう
パワードスーツを凍らせるほどの威力でもあるまい
お前達がどんな大義を掲げようが、幾多の犠牲を強いるやり方は到底容認できるものではない
このブリキの要塞と共に沈んでゆけ
「どの世界でも、大国の犠牲となるのは罪なき民衆と言うのは変わらんか」
獣人戦線を支配するオブリビオンによる超大国は、世界をまるでゲーム盤の如く弄び、醜い覇権争いに興じている。
その過程でもっとも被害を受けるのは、本来なら関係ないはずの一般獣人だ。踏みにじられた彼らの怒りも嘆きも、超大国の耳には届いていない。
「ならば、我々のやるべき仕事は一つだ」
この愚かな侵略戦争から、一人でも多くの民衆を守り抜く。そのためにキリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)は『無限軌道都市ベルリン』にやって来た。この移動都市の進路上にあるのは敵国の基地などではなく、普通の獣人達が暮らす村や町だ。それを路傍の雑草を踏むかのように、蹂躙させてたまるものか。
「私の手が届く場所は地上だけとは思わない事だ……Vol Conquérant!」
パワードスーツを装着したキリカが【ヴォル・コンケラント】を発動すると、その身は勢いよく空へと飛び上がる。
全力で噴かせた背部ブースターの推進力は、一瞬にして極超音速域――ハイパーソニックと呼ばれる領域にまで彼女を到達させた。
「罠があるなら食い破るまでだ! 全てを灰へと帰してやろう!」
ベルリン内部に搭載された数々の機械罠が、侵入者の進路を塞ごうと起動する。だがキリカはパワードスーツの背部に搭載されたレーザーガトリング砲「Étonnement」でこれを一掃。無数の閃光の掃射で道をこじ開け、ロケットのように最奥まで突き進んでいく。
「なッ、なんだぁテメェは!?」
隔壁を吹き飛ばしながら操縦区画に飛び込んできた乱入者に、『クレバス将軍』が怒気と驚愕の混じった声で叫ぶ。
ゾルダートグラードからベルリンの操縦を任された幹部級オブリビオン。その眉間にキリカは迷わず銃砲を向けた。
「民間人の犠牲を強いる大国の思惑は気に食わん……故に、叩き潰しに来た」
「民間人だァ? ハッ、そんなもんどうでもいいだろうがよォ!」
クレバス将軍の思想は、まさしく憎むべき「大国のエゴ」そのものだ。弱き者の犠牲を一顧だにしない彼は、進軍の邪魔をするなと【アイスクロー】を射出。キリカも腕に装着したビームライフル「Colère」を構え、これに応戦する。
「言って聞かせても通じる相手だとは思っていない。力で分からせてやろう」
「やってみろやァ!!」
ビームライフルの応射で氷爪を撃ち落としながら、ブースターの出力を上げるキリカ。ソニックブームによる周辺の被害はお構いなしだ。どうせここには壊していいものしかない。最速で最短距離を突っ切り、クレバス将軍との距離を詰める。
(視認の困難なものは低威力なので、無視しても構わんだろう。パワードスーツを凍らせるほどの威力でもあるまい)
氷爪にはそれぞれ威力と視認性に差があるが、彼女は「見える」ものだけに狙いを絞って最小限の動作で迎撃する。
そのぶん浮いた余力の全ては機動と攻撃に。白兵戦の間合いまで飛び込んだ瞬間、腰にさしたレーザーブレード「黄泉返太刀」を抜き放つ。
「お前達がどんな大義を掲げようが、幾多の犠牲を強いるやり方は到底容認できるものではない」
「ッ――……フザ、っけ……!!」
大型宇宙船すら切断するという超高出力レーザーブレードの斬撃が、クレバス将軍の両手を切り飛ばす。愕然としながらも彼が背中の大砲を構えれば、返す刃でそれも切り落とし――武装の全てを失った狼に、最後の一太刀を見舞う。
「このブリキの要塞と共に沈んでゆけ」
「クソがぁ……この俺が、こんなところで……!!!!!」
ブースターの加速を乗せた必殺の一閃が、敗北を受け入れる猶予も与えずに、クレバス将軍を真っ二つに両断する。
暴力と殺戮をもって己の地位を築いたゾルダートグラードの猛将は、無限軌道都市を墓標に斃れる事となった――。
操縦者の死亡と共に、無限軌道都市ベルリンは進撃を停止。多くの罪なき獣人の生命が、これによって救われた。
超大国が覇権を争う獣人世界大戦。その新たなプレーヤーとして、猟兵達は高らかに名乗りを上げたのだ――。
大成功
🔵🔵🔵