モフィンクスの冒険~MOFF STREET TOKYO
幻武・極
【モフィンクスの冒険】
第6話 モフィンクスコレクションU
アルダワののんびりモフモフゆるキャラ災魔のモフィンクスの1匹がちょこっとやる気を出してアルダワ迷宮のお散歩に出掛けました。
モフィンクスの目の前にファッション雑誌のようにコメントが描かれたクッションがありました。
寝心地のよさそうなクッションに思わず引き寄せられ、モフィンクスは眠ってしまいました。
すると、モフィンクスはカジュアルな姿で都会の街角に迷い込んでいました。
モフィンクスは物珍し気に街角を散策していると、多数の雑誌記者に取り囲まれしまいます。
記者たちの取材にモフィンクスは上機嫌に答えていると
(何故か言葉が通じています)
最後に雑誌の表紙を飾る写真を頼まれ、モフィンクスはポーズを取り、
モフィンクスは一斉に焚かれるフラッシュに思わず目を閉じてしまうと……。
モフィンクスの冒険は続く。
冒頭のクッションで眠ってしまうシーンは省いてもらって構いません。
締めはモフィンクスが目を瞑ってしまう所で終わらすようにお願いします。
オムニバス形式で続けていくノベル企画になりますので、納品後にタグで#モフィンクスの冒険 と付けてください。
それでは、どうぞよろしくお願いします。
「モフ?」
はて、ここはどこだろうか。確かリアルな人間の美女の絵の横に「マジックナイト100人が選んだ! この春『来る』トレンドアイテム」「愛されケットシーの一週間ナチュかわ着回しコーデ」などと書かれた不思議なクッションを見つけて、ついついお昼寝をしてしまった所までは何となく覚えているのだが。
今モフィンクスの目の前にそびえ立っているのは『109』と書かれた円筒形の建造物だった。見たことのない縦長の四角い建物が並んでいる。そこへ書かれている文字も明らかにアルダワの言語ではなく、読めない。あの109という数字は一体何を意味しているのだろう――モフィンクスが一瞬でもそんな事を考えたかは不明だが。
「見て、あのネコかわちぃ」
「違うよ犬だよ」
「えっ兎じゃない?」
人が多い。とにかく人が多い。黒くて硬い地面には白い縞模様が描いてあるし、赤青黄色のランプ? のようなガジェットが頭上でずっと点滅しているし、時々車輪のついた鉄の塊が走ってきて危ない。
魔法学園の生徒のような服装をした人間もいるが、それ以外のほうが圧倒的に多い。武器も防具も着けていないようだし、なんだか変だ。どこかにもっとゆったりできる場所はないだろうか……てちてちと建物の脇に移動したモフィンクスは、硝子に映った自分の姿を見て驚いた。
『ARDAWA』のロゴが入った黒いキャップに、べっ甲色のボストンサングラスをかけた姿はまるで芸能人。いつもの首飾りの代わりにエジプト風の絵柄のスカーフが巻かれており、一流オーラがすごい。もっとも、モフィンクス自身は(何かいつもと違うな……)程度にしか思わなかったが。
「モフッ♪」
だが、この姿も悪くない。建物沿いに坂道をゆったりと上っていくと、物珍しい景色はどこまでも広がっていた。
街を行き交う人々の多くは小さな板状のガジェットから目が離せないようで、中には板に話しかけたりしている変わった人もいる。モフィンクスに気づいた人間は、なぜかその板をこちらへ向けてきたりもした。
おいしそうな食べ物を売っている店もたくさんある。カラフルなアイスクリームの絵がたくさん描かれた看板が目にとまり、モフィンクスは立ち止まった。売り子の明るい声に引き寄せられてか、多くのお客さんが並んでいるようだ。この列に並べば自分もアイスを貰えるのだろうか?
「試食どうぞ~」
「モフッ?」
店員さんにアイスが乗ったスプーンを渡された。おいしい!
季節は春らしく、日ざしも気温もぽかぽかとして絶好のお昼寝日和。うとうとしながら列に並んで待っていれば、自分の番が来るのもあっという間だった。
「いらっしゃいませー! どちらのアイスをご注文ですか?」
「モフッ、モフッ」
「はいっ、ポッピンキャンディとメリーメリーアップルティーのレギュラーをダブルですね」
コレとコレ、と言っただけだったのだが、そういう商品名だったらしい。この謎の世界の住人はやたら長い名前の食べ物が好きなようだ――モフィンクスはすぐに名称を忘れてしまったが、てこてこと木陰に移動し(のんびりするには通行人が多すぎるのだ)、アイスに口をつけた。
「モフッ!?」
まろやかな甘みとともに、キャンディが口の中でぱちぱちと弾ける。だが痛くはなく、むしろ心地いい。もうひとつの方は紅茶のアイスだったようで、こちらも美味しい。元いた世界とは明らかに違う場所だが、人間たちは妙に呑気で優しいし、ここで暮らすのも悪くないかもしれない。そう思いながら眠りに落ちようとしていたモフィンクスは――。
「探しましたよモフィンクスさん!! 今何を食べたのかお伺いしてもよろしいでしょうか!」
「モフッ……?」
突然多数の人間に囲まれた。
彼らは雑誌記者というやつらなのだが、モフィンクスは知らない。
「モフッ、モフモフッ」
「『そこのお店のアイスがおいしかった』? ど、どのフレーバーを選ばれたのでしょうか」
「大変だ、モフィンクスさんが選んだフレーバーは明日から全店で売り切れになるぞ……!」
なんだかわからないが自分の偉大さが人間たちに伝わっているようである。モフィンクスは上機嫌になり、スターの輝きを纏い始めた。
「今日のファッションのテーマは?」
「モフ~ン」
「『逆に何だと思う?』ですか。ふ、深い……読者への問いかけですね、流石です。そのフレーズ、次号の表紙に採用させていただきたいのですが」
「モフフ~ン」
「ご快諾有難うございます! 折角ですから写真もこの場で撮影しましょう!」
モフィンクスは人間たちの動きから学習していた。あのカメラとかいうレンズのガジェットを向けられたら、何かいい感じのポーズを取らねばならないのだ。もふんっとふんぞり返ってみせれば、一斉にフラッシュが焚かれ、モフィンクスはあまりの眩しさに思わず目を閉じる。
これは夢? 幻? それとも現実? モフィンクスの冒険は、まだまだ続く。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴