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城攻めクエスト:魔従姫の城を攻略せよ

#ゴッドゲームオンライン #バグプロトコル・キャッスル #統制機構

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「お前達はワレの下僕だ。従え、そして働け」

 威圧的で禍々しいデザインに装飾された城に、居丈高な女の声が響き渡る。
 王笏を携え、配下のモンスターを従えた、その女の視線は下々にいる民どもに向けられていた。

「くそっ……なんでゲームの中でまでこんな目に……」
「これじゃあ現実と同じじゃないか……」

 そこには、装備を剥奪され奴隷の衣装を着せられたプレイヤー達が、過酷な労働を課せられていた。
 もう何時間――いや、何十時間こんな事をさせられているのだろう。ゲームの中とはいえ疲労やストレスを感じないわけではなく、彼らの表情は一様に暗かった。

「文句を言うな。下僕にそんな権利はない」
「ひぃっ!」「もうやめてくれぇ!!」

 だが、彼らがどんなに不満を訴えても、城主は奴隷の手綱を緩めはしない。
 皮肉にもゲームだからこそ、現実では倒れてもおかしくない長時間労働にも耐えられてしまう。
 城主もそれが分かっているように、彼らを決して殺そうとはせず、ただ苦役を与え続ける。

 これに一体なんの意味があるのかも分からないまま、プレイヤー達は理不尽な"統制"に苦しんでいた――。


「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「ゴッドゲームオンラインで、バグプロトコルが自らの居城を築き、ゲームプレイヤー達を殺すことなく捕らえて、城内で奴隷労働を強いているようです」
 プレイヤーを殺害して|遺伝子番号《ジーンアカウント》を焼却するのが、一般的に知られるバグプロトコルの行動パターンだ。それが何故プレイヤーを殺さずに労働力として利用しているのか、そもそもゲーム内世界でそんなことをして何になるのか――詳しい理由は分かっていない。

「なんにせよ、不当に囚われたプレイヤーがいる以上、放置はできません」
 グリモアの予知で得られた情報によると、問題のバグプロトコルの城は「城攻めクエスト」のフィールドとなるエリアのデータを流用する形で作られているようだ。最大500名のプレイヤーがPvPを繰り広げるために用意された代物ゆえ、非常に堅牢な造りのダンジョンとなっている。
「ですが、この城が『城攻めクエスト』の仕様通りなら、城内の深部にある『キャッスルクリスタル』を破壊すれば『制圧扱い』となるはずです」
 そうすれば捕らわれているプレイヤー達も無事に救出できる筈。城主のバグプロトコルもそれを阻止するため、守衛のモンスターを大量に配置していると考えられる。つまり今回の戦いは猟兵とオブリビオンによる、大規模な攻城戦となるだろう。

「城内には大勢のプレイヤーが奴隷として過酷な労働に従事させられていて、彼らの監視と守衛を兼ねた『ストーン・スタチュー』が各所に配置されています」
 平時は城を飾るオブジェクトのように動かず、沈黙を保っている彼らは、いざアクシデントが起きれば直ちに戦闘を開始する。単純な戦闘力では猟兵に並ぶものではないが石化攻撃を得意としているので、状態異常対策は取っておいたほうが無難だろう。また、捕らわれているプレイヤーを巻き添えにしないよう注意も必要だ。
「そして城主バグプロトコル『魔従姫』は、城の最奥でキャッスルクリスタルを防衛しているものと思われます」
 もともと彼女はモンスターを使役し、自身の代わりに戦わせる指揮官型の敵対NPCだったが、バグプロトコル化したことでPCやNPCまで徐々に配下モンスター化する能力を得た。この力で彼女は城内にいる全てのプレイヤーとモンスターを下僕にしているのだ。

「魔従姫を撃破し、キャッスルクリスタルを破壊すれば、この事件はひとまず解決のはずです……ですがリムのグリモアは、この事件にはまだ裏があると告げています」
 プレイヤーを奴隷にして自由を奪い、労働を強制する今回のバグプロトコルの行動は、普段からゴッドゲームオンラインを遊んでいる人間なら悪い意味の「リアリティ」を感じずにはいられまい。リミティアも同様の不審感を抱いているようだ。
「もしかすると、この事件には|統制機構《コントロール》が関与しているのかもしれません」
 これまでもバグプロトコルと統制機構の関連性は噂されてきたが、それを裏付けるような証拠はなかった。もし今回のバグプロトコルの異常行動に統制機構が関わっているのであれば、この事件はバグを退治するだけでは終わらないかもしれない。

「城攻めに成功した後でなにが起きるか分かりません。くれぐれも注意してください」
 警告と共に説明を終えると、リミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、ゴッドゲームオンラインへの道を開く。
 不可解な行動を取るバグプロトコルに、奴隷として囚われたプレイヤー達。果たして猟兵達はこの事件の謎に迫ることができるのか。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオはゴッドゲームオンラインにて、バグプロトコルの居城に囚われたプレイヤーを救出する依頼です。

 1章は城を守るモンスター『ストーン・スタチュー』との集団戦です。
 普段は城のオブジェクトに擬態している石像型モンスターで、石化攻撃を得意とします。
 また城内には奴隷化されたプレイヤーが大勢いるので、戦闘に巻き込まないよう気をつけてください。

 2章は城主の『魔従姫』とのボス戦です。
 バグプロトコル化によってモンスターだけでなくPCやNPCまで下僕化できるようになった彼女は、その力で城内の全キャラクターを支配しています。
 彼女を撃破し「キャッスルクリスタル」を破壊すれば、この城は猟兵による「制圧済み」扱いとなり、捕らわれていたプレイヤーも解放されます。

 本来ならこれで一件落着ですが、この事件はまだ終わりではないようです。
 3章で何が起こるかについては、実際に章が移行してから説明いたします。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『ストーン・スタチュー』

POW   :    ストーン・オーバーロード
【武器や盾】に【石化の呪い】を注ぎ込み変形させる。変形後の[武器や盾]による攻撃は、【即効性石化】又は【感染性石化】の状態異常を追加で与える。
SPD   :    ストーン・ブレイク
偽物の【彫像の悪魔】を創造し、戦場上空に浮かべることで、【超巨大化】による連続攻撃能力と超再生能力を得る。
WIZ   :    ストーン・ミスト
レベルm半径内に【敵の視界を遮る石化の霧】を放出し、味方に治癒を、敵に【遅効性石化】の状態異常、全員に興奮作用を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミノア・ラビリンスドラゴン
バグプロトコルが城をおっ建てるだなんて生意気ですわー!

ごめんあそばせー!!
バグによる|土地《サーバー》の不法占拠の咎により、ドラゴンプロトコルが制圧に参りましたわー!!
扉をドラゴン偃月刀でぶった斬り、【大声】で宣戦布告!

ドラゴンを模した兜の意匠はよろしい!
ですがバグならば斬り捨てるまででしてよ! とぁあああ!!
呪いの盾で防がれ――る寸前! 大立ち回りのどさくさに紛れて仕掛けておいたトラップカード発動!
鎖を【召喚】! 手足を縛り上げて【体勢を崩させ】ますわ!
そしてガラ空きの胴体へ【ドラゴニック・パニッシャー】!!
大立ち回りでわたくしを脳筋タイプと見誤ったのが運の尽き!
実は【罠使い】でしてよー!!



「バグプロトコルが城をおっ建てるだなんて生意気ですわー!」
 ゲーム世界の管理者AIにしてダンジョンの主であるミノア・ラビリンスドラゴン(ポンコツ素寒貧ドラゴン令嬢・f41838)にとって、今回のバグプロトコルの所業は許すまじきことだった。こっちだって日々リソースと費用を頑張ってやりくりしているのに、無許可でエリアごと乗っ取るなんて。
「ごめんあそばせー!! バグによる|土地《サーバー》の不法占拠の咎により、ドラゴンプロトコルが制圧に参りましたわー!!」
 城扉を「ドラゴン偃月刀」でぶった切り、声高らかに用件を告げれば、たちまち城内のモンスターが集まってくる。
 目指すは城の奥にある『キャッスルクリスタル』の破壊。魔従姫の城を巡る城攻めクエストが、ここに幕を開けた。

「侵入者発見」「排除する」
 城の守衛として配置された石像型モンスター『ストーン・スタチュー』は、ミノアの姿を見るなり即座に剣を抜く。
 どうやらこの連中も城主の影響でバグプロトコル化しているようで、本来なら実装されていない能力を持っている。
「ドラゴンを模した兜の意匠はよろしい! ですがバグならば斬り捨てるまででしてよ!」
 デザイン面はちょっとだけ気に入ったようだが、さりとて敵には容赦しないミノア。ぶおんぶおんと豪快に偃月刀を振り回し、威勢よく斬りかかる。己のスペックを持て余しがちなポンコツさもあるが、ドラゴンプロトコルである彼女の実力は確かで、標準的な守衛モンスターなど相手ではない。

「とぁあああ!!」
 挨拶代わりのひと当てが、たまたま近くにいた不運な石像をコナゴナする。たった一撃でヒットポイントがゼロだ。
 これを見たストーン・スタチューは【ストーン・オーバーロード】を発動し、石化の呪いを注ぎ込んだ盾を構えた。
「強力な攻撃を検知」「防御体勢」
 彼らの武器と盾には即効性または感染性の石化状態を与える追加効果があり、知らずに攻撃すれば手酷いカウンターを受けることになる。石化対策を怠っていれば、そのまま戦闘不能もあり得る。おそらく奴隷化されたプレイヤーの中にも、その餌食となった者はいるだろう。

「それを知らないわたくしだと思いまして? トラップカード発動!」
 しかし呪いの石盾で防がれる寸前、ミノアは大立ち回りのどさくさに紛れて仕掛けておいたトラップを起動させた。
 壁や床に貼り付けられたカードから鉄の鎖が召喚され、敵の手足を縛り上げる。これにより体勢を崩したストーン・スタチュー達は、剣と盾を取り落とした。
「ドラゴンの裁きをお受けなさい!!」
「――……!!」
 すかさずミノアはガラ空きの胴体めがけて【ドラゴニック・パニッシャー】を叩き込む。彼女の偃月刀にかかれば、頑丈な石の塊だって豆腐のように真っ二つ。上半身と下半身で泣き別れになった石像は、そのままデータの粒子となり消滅していった。

「大立ち回りでわたくしを脳筋タイプと見誤ったのが運の尽き! 実は罠使いでしてよー!!」
 ダンジョンボスたるもの、地形を把握して罠を仕掛け、敵を欺き策に嵌めるのは当たり前。単なる武闘派ではないところを見せつけたミノアは、意気揚々とモンスターを排除しながら城の奥に進んでいく。魔従姫だかなんだか知らないが、不正な城主が真の迷宮の主に勝てるはずがないのだと教えてやろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

印旛院・ラビニア
「今度は僕が助けに行く番だ!」
遺伝子番号を焼却されそうになったところを助けてもらったことがあるので、こういう危機は見過ごせない

「石化は厄介だけど、対抗策は持っているよ」
カードデュエルのカードから【召喚術】でモンスター召喚!
「癒しの戦乙女・エイラ! みんなを石化から守って!」
【浄化】【回復力】で自分や仲間を石化から守り
「破邪の戦乙女・ソグマ! 魔を打ち払え!」
【破魔】で悪魔の超巨大化効果を解除もしくは減衰させる
「みんな頑張れ!僕も頑張るから!」
更にはUCで自分や仲間を強化し、城のオブジェ等を足場に【ジャンプ】で跳ね回り、スタチューを叩っ切るよ
一応、プレイヤー達は巻き込まないよう気をつけるけどね



「今度は僕が助けに行く番だ!」
 まだ自分が猟兵として目覚める前、遺伝子番号を焼却されそうになったところを別の猟兵に助けてもらった印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)は、似たような危機にあるプレイヤーを見過ごせない。バグプロトコルの城に捕らえられ、ゲームの中でも奴隷労働を強いられるなんて、酷すぎる話だ。
「絶対に救ってみせる!」
 勇んでクエストに参加した彼女を待ち受けていたのは、城を守護する『ストーン・スタチュー』軍団。見た目通りの防御力に加えて、バグの影響で石化能力まで手に入れたモンスターだ。数頼みの雑魚だと侮ってかかれば、自分も城を飾るオブジェの仲間入りだろう。

「石化は厄介だけど、対抗策は持っているよ」
 敵が石化攻撃を使ってくる前に、ラビニアはカードデュエルのカードからモンスターを召喚。彼女が使用するデッキは「戦乙女達の行進シリーズ」。攻撃や補助など色々な効果を持つ戦乙女を使いこなして戦闘を有利にするデッキだ。
「癒しの戦乙女・エイラ! みんなを石化から守って!」
 召喚された戦乙女が放つ浄化と回復のオーラが、ラビニアと仲間を石化から守る。これで、この戦闘中は状態異常を恐れる必要はないだろう。左手にデッキを、右手に「竜騎兵サーベル」を構えて、真っ向から敵陣に切り込んでいく。

「侵入者を発見」「【ストーン・ブレイク】発動」
 だがストーン・スタチューも石化しか能が無いわけではない。戦場の上に浮かべられた悪魔の彫像が彼らを超巨大化させ、連続攻撃能力と超再生能力を与える。デバフが効かないのなら自分達にバフをかける戦法に切り替えたようだ。
「破邪の戦乙女・ソグマ! 魔を打ち払え!」
 これに対抗してラビニアはもう一体モンスターを召喚。剣を携えた凛々しいいでたちの戦乙女が、破邪の光で悪魔の力を相殺する。これによりストーン・スタチューに与えられた巨大化効果も解除され、みるみるうちに敵は元の大きさに戻っていった。

「みんな頑張れ! 僕も頑張るから!」
 さらにラビニアは【ガンバレル・コマンダー】で自分と仲間を励ましながら、城のオブジェを足場にジャンプして、高所から敵に斬りかかる。ユーベルコードで強化された機動力を活かした斬撃は、ストーン・スタチューを一瞬でバラバラにした。
「あ、あの子は……?」「まさか助けが来たのか?」
 彼女が頑張れと呼びかける相手は共に戦う猟兵達、そして城に囚われたプレイヤー達である。過酷な強制労働で心の折れかけていた人々にとって、それがどれほど頼もしいことか。絶望に濁りきっていた瞳に、微かな希望の光が灯る。

「道を開けてもらうよ!」
 戦場を跳ね回りながら華麗に石像を撃破し、キャッスルクリスタルのある城の最奥を目指すラビニア。囚われたプレイヤー達を巻き込まないよう気をつけつつも全速力で進撃だ。この調子なら、ボスとの遭遇も遠くはないだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キキョウ・ハットリ
不可解ではあるが|遺伝子番号《ジーンアカウント》が無事なのは不幸中の幸いか。
しかし猶予は無い。一刻も早く救出しなければ。

大規模戦闘こそが攻城戦の醍醐味だが忍者(シノビ)は搦手攻めや裏工作を得意とする。
警備の目を掻い潜り、密かに城に潜入してキャッスルクリスタルを捜索しよう。

戦闘が避けられぬ場合は【霧変化之術】で肉体を霧化する事で敵の攻撃を回避、惑わしつつ時折実体化しては忍刀で斬る。
霧は斬る事も殴る事もできない。であれば石化の呪いを受ける事もない。
騒ぎを起こされてプレイヤーに危害が及ぶのは避けたい。可能な限り静かに事を進めるぞ。

プレイヤーの姿もあるが……必ず助け出す、今暫く辛抱してほしい。



「不可解ではあるが|遺伝子番号《ジーンアカウント》が無事なのは不幸中の幸いか」
 プレイヤーを殺害するのではなく、自身の城に幽閉して強制労働を行わせるバグプロトコル。その目的は不明だが、キキョウ・ハットリ(血花繚乱・f41852)が言う通り、死者さえ出ていないのであれば、まだ取り返しのつく事態だ。
「しかし猶予は無い。一刻も早く救出しなければ」
 心が限界を迎えたプレイヤーが完全にバグプロトコルの奴隷になってしまう前に、いざ救出作戦に向かうキキョウ。
 大規模戦闘こそが攻城戦の醍醐味だが、彼女のジョブは|忍者《シノビ》。正面きっての戦いよりも、搦手攻めや裏工作を得意とする職業である。

(城攻めの勝敗はただ一点。キャッスルクリスタルを破壊できるか否かに掛かっているのだ)
 警備の目を掻い潜り、密かに城に潜入したキキョウは、早速クリスタルの捜索に取り掛かる。重要度の高さゆえ基本的には城の一番奥に安置される代物だが、そこまでの道中も複雑にダンジョン化されており、簡単には到達できない。
(かなり規模の大きい城だな。よく乗っ取れたものだ)
 城内全てを調べ尽くすには時間がかかり過ぎるが、キキョウは諜報の達人としての経験を存分に発揮し、城の奥へと繋がる経路を見抜く。影のように密やかに、風のように素早く。これぞまさに忍者の鑑と言うべき無駄の無さである。

「――侵入者を発見」
「気付かれたか……」
 とはいえ、城主側も潜入工作によるキャッスルクリスタルの直接破壊は警戒するのが当然。城内深くに忍び込むほど増えていく『ストーン・スタチュー』の目を、全てかい潜ることは不可能だった。戦闘が避けられぬと悟ったキキョウは背中の忍刀を抜き、ユーベルコードを発動する。
「霧中を惑うがいい」
 忍法【霧変化之術】――石像の剣に斬られる前に、彼女の肉体は霧化する。霧は斬る事も殴る事もできず、であれば石化の呪いを受けることもない。【ストーン・オーバーロード】を付加した敵の攻撃は、虚しく空を切るのみだった。

「世を乱す|悪《バグ》は私が討つ!」
 キキョウは霧化で敵を惑わしつつ、時折背後でふっと実体化しては忍刀で斬りつける。DEX型アタッカーである忍者の戦闘法は素早さと正確さにある。何度も同じ箇所に斬撃を叩き込んでやれば、雨垂れ石を穿つが如く、頑丈な石像も砕け散った。
(騒ぎを起こされてプレイヤーに危害が及ぶのは避けたい)
 迅速に敵を始末すれば、キキョウは再び隠形に戻る。避けられる戦闘は避け、可能な限り静かに事を進める方針だ。
 作戦の最終的な成功率を高める意味でも、その判断は間違っていないだろう。警戒しながら辺りを見回せば、城内にいるのはモンスターだけではなく、奴隷労働を強いられるプレイヤーの姿もあるが――。

(……必ず助け出す、今暫く辛抱してほしい)
 この場で救ってやれない歯痒さを抱えながらも、キキョウは先を急ぐ。一流の忍者はこれしきで判断を鈍らせない。
 主君より命じられた「|世界《ゲーム》の守護」のため、人に仇なす|悪《バグ》を滅ぼす。それがNPCである彼女の役割であり、使命なのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菜花・深月
…許さない、絶対に
一度奴隷にされた過去を思い出し自分と同じ思いをしている人達を救う為に戦闘態勢に入る

あれが…まずは壊す!
敵のUCによって彫像の悪魔を見てから結界術を展開して推力移動をしながら視力で敵の動きを見て回避する

皆、速く逃げて…
うちが結界術で皆を守りながら凍結攻撃の矢弾の雨を放ち時間を稼ぐ
プレイヤーの頃ようちを見た事があると言っていた人がいたが無視する

来い、月の龍…殲滅しろ
指定UCの効果UC月龍召喚紋章を発動して迷彩で姿を消すと神速の速さで敵の攻撃を回避しながら概念壊撃の爪攻撃を敵に喰らわせる

…さっさと消えてよ、お願いだから!
冷たい声で呟き星矢で敵を拘束しながら殲滅光を放ち敵を消滅させる



「……許さない、絶対に」
 かつて体験した絶望の記憶。バグプロトコルにより|遺伝子番号《ジーンアカウント》を失い、|統制機構《コントロール》の奴隷にされた過去を思い出した菜花・深月(止まった時間が再び動き出す時・f41809)は、自分と同じ思いをしている人達を救うために戦闘態勢に入った。
「敵性プレイヤーを感知」「迎撃体勢に移行」
 同時に、城の守衛である『ストーン・スタチュー』達も、与えられた命令通り戦闘態勢に入る。その上空に浮かぶのは禍々しい悪魔の彫像――それをパワーの源とした【ストーン・ブレイク】が石像達を超巨大化させ、連続攻撃能力と超再生能力を与える。

「あれが……まずは壊す!」
 最初に破壊すべき対象を見た深月は、結界を張りながら推力移動で戦場を駆け回り、巨大化ストーン・スタチューの攻撃を回避する。デカくなってリーチは伸びたものの敵の動きは石像らしく鈍重で、目を逸らさなければ当たることはない。問題があるとすれば、城内に囚われている一般プレイヤーのほうだ。
「皆、速く逃げて……」
「は、はいっ」「ありがとう!」
 深月は彼らに被害が及ばないように結界を展開しながら、月光弓より凍結攻撃の矢の雨を放ち、避難の時間を稼ぐ。
 プレイヤー達は感謝の言葉を口々に言いながら逃げていく。城の外には出られないようだが、ひとまず安全な場所にいてくれれば一安心だ。

「あの子、どこかで見たような……」
 逃げていく一般プレイヤーの中には、プレイヤー時代の深月と面識があったのか、そんなことを口にする者もいた。
 しかし深月はそれを無視して戦闘に集中する。今の彼女はゲームプレイヤーの『ムーン』ではなく、猟兵の『菜花・深月』なのだ。
「来い、月の龍……殲滅しろ」
 周辺の避難が完了すると、深月は【月龍召喚紋章】を発動し、月光の迷彩で姿を消す。入れ替わりに姿を顕したのは額に月の模様がある白龍だった。昔攻略した高難易度クエストでテイムし、それ以来使役者との愛情と絆を深めてきた月の龍は、与えられた命令を忠実に実行する。

『オォォォォォーーーー!!!』
 神域のスピードで巨大石像の攻撃を回避しながら、咆哮と共に爪を振るう月の龍。その鋭さは硬い石塊も易々と引き裂き、上空に浮いていた悪魔像も破壊する。これにより【ストーン・ブレイク】は効果を失い、ストーン・スタチュー達は元のサイズに戻った。
「……さっさと消えてよ、お願いだから!」
 間髪入れずに深月は【星矢と殲滅光の輪舞曲】を発動。冷たい声と共に放たれた星矢が、石像達を拘束状態にする。
 身動きの取れなくなった石像など、ただの射撃の的でしかない。矢継ぎ早につがえられた第二射は、防御を無視する殲滅光の矢であった。

「うちが全部やっつけてやる!」
 プレイヤーを奴隷にするバグプロトコルへの怒りを込めた閃光が、ストーン・スタチューの群れを消滅させていく。
 守衛を一掃した深月は増援がやって来る前に、キャッスルクリスタルの置かれた城の最深部へと向かう。そこには、この事件を引き起こした元凶も待ち構えているはずだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クレイユ・オブエミネンス
全く…ゲームにリアルの都合で介入して貰わないでくれるかな
いつか統制機構に行けるようになったら絶対ぶっ潰してやる…

没貴族と受付嬢のジョブを複合させ、自分だけのジョブ…『最重要世界運営者』を用いて石化状態そバグプロトコルの方に…不正アカウントとしてあらゆる権限を全石像型モンスターから剥奪
そのまま抹消したり元に戻せるならバグプロトコル化を解除してこっちの勢力に帰属
剥奪した権限を復元し、そのまま数の利を引っくり返してバグプロトコルを殲滅するよ

さぁ?このバグプロトコルを滅した後に何が起こるやら…?



「全く……ゲームにリアルの都合で介入して貰わないでくれるかな」
 一般プレイヤーや|統制機構《コントロール》の連中にとってはただのゲームでも、NPCにとってはこの|世界《ゲーム》こそが現実だ。そこに別世界の問題やいざこざを持ち込まれるのは、クレイユ・オブエミネンス(舞台裏で重要NPCになりたい竜娘・f41776)には不快だった。
「いつか統制機構に行けるようになったら絶対ぶっ潰してやる……」
 現状、ゲームのNPCはもちろん異世界出身の猟兵も誰一人として、統制機構が支配する世界に到達できた者はいない。
 だが高みの見物ができるのも今のうちだけだ。黒い闘志をめらめらと燃やしながら、彼女はバグプロトコルの居城に踏み込んだ。

「侵入者確認」「抹殺開始」
 城の守衛を任された『ストーン・スタチュー』達は、外敵を認識すると即座に【ストーン・ブレイク】を発動。彫像の悪魔を宙に浮かべ、その魔力をもって自らを超巨大化させる。プレイヤーですらないNPCなど、彼らにとっては捕らえる価値もない排除対象だ。
「我は事象を斡旋し、得意なる摂理を極めし者。それぞれを複合させた果てに我は最重要なる世界の運営者となり物語を綴っていく」
 対してクレイユは【新たなるは、最重要なる存在】を発動。|組合員《ギルドスタッフ》と|没貴族《アークロイヤル》を複合させた彼女だけのジョブ、『|最重要世界運営者《ハイエスト》』の技能を使用する。それは舞台裏の重要NPCにならんとする彼女の理想を体現した、超越の権限である。

「不正アカウントを確認。あらゆる権限を全石像型モンスターから剥奪」
 バグプロトコルによる世界の改竄を認識したクレイユは、ゲームの管理者として規制と抹消を実行する。本来ならば外敵を石化させるはずだったストーン・スタチューの能力は、彼ら自身に向けられ動きを止める。上空の悪魔像も消滅し、超巨大化状態も解除された。
「エラー、エラー、エラー……」
 そのまま石像達は異常なデータとして、ゲームから跡形もなく消滅する。クレイユは可能ならバグを解除してこちらの勢力に帰属させたいと考えていたが、バグプロトコルとはオブリビオンであり、その変化は基本的に不可逆なもの。本物の運営でさえ修正できないのだから、たとえ『最重要世界運営者』でも手の施しようがない。

「剥奪した権限を復元し、そのまま数の利を引っくり返したかったけど、しょうがないか」
 全てが思惑通りとはいかなかったが、それでも上位権限を持つクレイユの優位性は揺るぎない。立ちはだかる守衛をことごとく抹消しながら、キャッスルクリスタルの置かれた最深部へと歩いていく。その立ち振る舞いはいかにも重要なキャラクターらしい優雅なものだ。
「さぁ? このバグプロトコルを滅した後に何が起こるやら……?」
 彼女の思考はすでに城主の撃破ではなく、その先に向けられつつあった。グリモアが予知した事件の裏とは、そして統制機構はどのように事件に関わっているのか――全てを自分の目で確かめるために、彼女は進み続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
クエストマップの流用なら
事前にある程度は城の構造を推測できそうだね

目的はクリスタルで守衛の殲滅ではないから
突破する事を優先

寄せ手の集中しそうな場所は避けて走り抜けよう
石化の霧は敵だけを石化するようだから
奴隷には興奮作用くらいしかなさそうだし

興奮作用が必要な理由は謎なんだけど!
…影響が出てるかな

石化したドレスは欠け落ちて
体も色褪せて動きにくくなってきたね!
それなり敵を釣れれば他の人が楽になるかな!

いよいよ石像の仲間入りだよ!
壊れないように上手く仰向けに転んで
追ってきた石像が配置に戻るのを待とう

居なくなったら邪神の施しを使用
石化済みのふりして進もう
戦闘は最小限にしたいね
もう石化は無効だし殴り倒そう



「クエストマップの流用なら、事前にある程度は城の構造を推測できそうだね」
 ゴッドゲームオンラインにおいて「城攻めクエスト」は人気コンテンツの一つであり、調べれば攻城側、防衛側の双方からみた攻略情報がいくらでも手に入る。佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)はそうした先人の知恵も頼りにして、攻略法を立ててきた。
「目的はクリスタルで守衛の殲滅ではないから、突破する事を優先しよう」
 城内に配置されているのは大量の『ストーン・スタチュー』。全て相手するのは体力を消耗するだけで非効率的だ。
 寄せ手が集中しそうな場所で、案の定モンスターの大軍がやってくるのを見た彼女は、武器も抜かずに走り出した。

「侵入者を発見」「阻止する」
 一気に城内を走り抜けようとする晶に対して、ストーン・スタチュー達は【ストーン・ミスト】を発動。遅効性石化の状態異常を与える霧を散布し、離脱を妨害しようとする。その効果範囲には、奴隷労働を強いられているプレイヤーもいるが――。
(石化の霧は敵だけを石化するようだから、奴隷には興奮作用くらいしかなさそうだし)
 ちょっとした騒ぎは起きるだろうが、生命に別状はなさそうだ。少しだけ我慢してもらうことにして、晶は脇目も振らずに走る。即効性ではなく遅効性の石化なら、完全に石になるまでしばらくの間は動ける。それまでに進める所まで進むつもりだ。

「興奮作用が必要な理由は謎なんだけど! ……影響が出てるかな」
 霧に巻かれて妙にハイな気分になっている自分に気付きながらも、走り続ける晶。背後からはストーン・スタチューの群れが追ってきており、ここで立ち止まれば袋叩きだ。状態異常にかかったまま、あの数を相手にするのはツラい。
「動きにくくなってきたね! でも、それなりに敵を釣れれば他の人が楽になるかな!」
 着ているドレスは徐々に石化して欠け落ちて、体も色褪せてくる。手足や間接も思うように動かせなくなってきた。
 そろそろ逃げ切れないと考えながらも、追ってきた敵の数に彼女は満足していた。同時に城攻めを行っている猟兵のために、囮の役割を果たすのも作戦のうちだ。

「いよいよ石像の仲間入りだよ!」
 そうこうしている内にも石化は進行し、とうとう歩くのも難しくなると、晶は壊れないように上手く仰向けに転ぶ。
 ゴロンと倒れ込んだその姿は、もはや誰が見てもただの石像であり、逃げることも戦うこともできそうになかった。
「……無力化を確認」
 追いついてきたストーン・スタチューは、晶の有り様を見るとそれ以上は何もせず、各自の持ち場に帰っていく。
 彼らの役目は城の防衛であり、石化した敵にトドメを刺すのはプログラミングされていないのだろう。実際この状況は死んでいるのも同然であり、さらに危害を加えるのは時間の無駄でしかない。

「……行ったかな」
 だが。敵の気配がなくなったフロアで、石像になったはずの晶がむくりと起き上がる。彼女は【邪神の施し】で敵から与えられた状態異常を治療しつつ、邪神の呪いで自らを「動ける彫像」に改造したのだ。対策があることを知らない敵の落ち度である。
「戦闘は最小限にしたいね」
 そのまま晶は石化済みのふりをして敵の目を欺きながら進む。事前に城の構造を調べた結果、キャッスルクリスタルのありそうな所は把握済みだ。石になったまま行動するのも初めてではない――何度やっても慣れたくない感覚だが。

「クリスタルはこの先かな。どいてね」
「……!!」
 どうしても迂回できない所にいる敵は殴り倒して進む。すでに石化中ゆえに石化無効となったボディは、ストーン・スタチューの能力の大半を無意味にする天敵だった。砕けた石像を踏み越えて向かう先は、ボスのいる最深部だ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゼーレ・ユスティーツ
…さっさと終わらせるわ
奴隷のような扱いを受けているプレイヤーを見てさっさと行動した方がいいと判断した私は敵と相対する

巨大化と再生能力…面倒な相手ね
気功法で呼吸を整えながら敵の動きを視力で見て推力移動で加速しながら呪殺弾をガンナイフから素早く放ち攻撃する

行くわよ、スタールイー…レイド!
スタールイー・レイドの概念を無視した斬撃を放ち敵の再生を少しでも妨害しつつ撃破していく

じゃあ、止めを刺してあげる…
指定UCの効果で紅い血の還元刃と量子の弾丸を発動して斬撃波と破壊斬撃を周りの敵に放ち止めに量子化弾丸を敵に放ち量子化させる

ふん…!
ガンナイフから呪殺弾を放ち止めを刺した

それにしても…胸くそ悪いわねと呟く



「……さっさと終わらせるわ」
 城内で奴隷のような扱いを受けているプレイヤー達を見たゼーレ・ユスティーツ(彷徨う『黒蝶の死神』・f41108)は、眉をひそめながらも即座に行動したほうがいいと判断し、城を守る敵モンスターと相対する。情報によると名前は『ストーン・スタチュー』、バグプロトコルの影響で動きだした石像の魔物だ。
「侵入者発見」「排除する」
 機械的なセリフを吐きながら彼らが発動するのは【ストーン・ブレイク】。戦場上空に浮かんだ彫像の悪魔の力が、彼らを超巨大化させ連続攻撃能力と超再生能力を与える。人間の何倍もある巨大な戦士像がずらりと立ち並ぶさまは、スクリーンショットにすれば壮観であった。

「巨大化と再生能力……面倒な相手ね」
 ゼーレは気功法で呼吸を整えながら、敵の動きをじっと見る。巨大化ストーン・スタチューの攻撃は一発でこちらを踏み潰せそうなスケールだが、石像らしく動作は緩慢だ。推力移動で加速すれば、スピードでは彼女のほうが上回る。
「攻撃は避けられる……問題はダメージを与える方法ね」
 城内を飛び回りながらガンナイフ「黒蝶刃銃」を構え、呪殺弾を素早く撃ち込む。ダメージ自体は受けるようだが、体格に比して小さすぎる弾痕はすぐに修復されてしまい、致命傷にはなっていない。もっと威力のある攻撃が必要だ。

「行くわよ、スタールイー……レイド!」
 ゼーレは装備を呪神鎌『エーリュシオン』に持ち替えると【無限影斬・スタールイー・レイド】を発動。広範囲に放たれる斬撃の波動が、超巨大化ストーン・スタチューの群れを薙ぎ払う。頑丈な石塊がまるで柔らかい砂岩のように、深い傷が刻み込まれた。
「再生……失敗」
 概念を無視する【無限影斬・スタールイー・レイド】のダメージには、再生能力も適用できない。ヒットポイントの回復を封じられたストーン・スタチュー達は、そのままゼーレの追撃で各個撃破されていく。修復しないのであれば、こんなものはただのデカくてしぶといだけの的だ。

「じゃあ、止めを刺してあげる……」
 さらにゼーレは【紅い血の還元刃と量子の弾丸】を発動。自身を量子化して超神速のスピードに達すると、斬撃波と呪神鎌で空間ごとストーン・スタチューの群れを切り刻んでいく。四肢を切断して動きを封じれば、最後は量子化弾丸でトドメだ。
「「………!!」」
 弾丸を喰らった石像は量子のもつれを引き起こし、まるで最初から存在しなかったようにゲーム世界から消滅する。
 これぞ物質を量子化する錬金術を操るゼーレの十八番。魔力を持たない彼女が魔力主義者と戦うために磨いた力だ。

「ふん……!」
 生き残ったわずかなストーン・スタチューに、ゼーレはガンナイフから呪殺弾を放ってトドメを刺す。戦いを終えて辺りを見回せば、そこには大勢の奴隷化されたプレイヤー達の姿が。城主のユーベルコードによって抵抗を禁じられた彼らは、遠巻きに戦いの様子を見ていることしかできない。
「それにしても……胸くそ悪いわね」
 何のつもりでバグプロトコルがこんな事をしているのか知らないが、見ているだけで怒りが際限なく湧いていくる。
 物静かな表情に秘めたる怒りを滲ませながら、黒蝶の死神は城の最深部へと進む。この事件を引き起こした元凶に、死をもたらすために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メイティナ・ヴァーンフォルカ
【まるで統制機構みたいですね】
…何とも言えねえな
裕士も元統制機構出身で複雑な表情をしているが戦闘態勢をとる

【彫像の悪魔、あの銅像を破壊出来れば何とかなるかな…】
OK、何とか破壊すればいいんだな!
敵がUCを使用して巨大化したら心眼で敵が攻撃する前に見て推力移動で加速して回避してから弾道計算で足を狙って素早く弾幕を放つ

おう?!危ねえ!
裕士はチープカースウェポンでギリギリだがシャドウパリィを成功させる

【もう一つの終断!】
裕士が敵の体勢を崩している隙に私がUCを発動し彫像の悪魔を破壊する

天誅ぅぅぅぅ!
UCの効果でUCクレセント・スラッシャーを発動して敵を蹴り飛ばした

【ふん!】
私も怪力で敵を殴り飛ばした



【まるで統制機構みたいですね】
「……何とも言えねえな」
 バグプロトコルに自由を奪われ、奴隷として強制労働に従事させられるプレイヤーについて、メイティナ・ヴァーンフォルカ(狂人と勘違いされた神がクソゲーハンターとなる話・f41948)は相棒の裕士と話をする。元|統制機構《コントロール》出身の裕士も複雑な表情をしているが、今はひとまず戦うしか選択肢はなさそうだ。
「侵入者を二名発見」「抹殺」「排除」
 二人の姿を捉えた『ストーン・スタチュー』の守衛達が、次々に巨大化を始める。上空に浮かんだ彫像の悪魔による【ストーン・ブレイク】の効果だ。元々は標準的な雑魚モンスターでも、この効果中は連続攻撃能力と超再生能力を獲得し、侮れない脅威になる。

【彫像の悪魔、あの銅像を破壊出来れば何とかなるかな……】
「OK、何とか破壊すればいいんだな!」
 敵のユーベルコードの弱点を確認して、メイティナと裕士は戦闘態勢を取る。ストーン・スタチュー達が攻撃を行う前に、二人の心眼はその動きを捉え、推力移動による加速でバラバラに飛び退いていた。落ち着いて見極められれば、鈍重な巨像の剣を避けるのは容易だ。
【まずは足を】
「おう!」
 直後に二人は「月光神銃」と「神刃銃」で弾幕を張る、正確な弾道計算によって弾丸は全て石像の足に命中するが、再生能力もあって大きなダメージにはなっていない。せいぜい足止めくらいの効果だが、無意味ではないだけマシか。

「おう?! 危ねえ!」
 弾幕に怯まず石像が殴り返してくると、裕士はそのへんに落ちていた物を「カースチープウェポン」に改造し、ギリギリだがシャドウパリィを成功させる。攻撃を受け流されたストーン・スタチューは足元にダメージを受けていたこともあって、大きく体勢を崩した。
【もう一つの終断!】
 すかさずメイティナはユーベルコードを発動し、上空に浮かぶ悪魔像を攻撃する。起源を書き換える【もう一つの終断】を受けた彫像は、音を立ててバラバラに砕け散り――同時に、モンスターに付与された巨大化効果が解除される。

「天誅ぅぅぅぅ!」
 元のサイズに戻ってしまえば、このレベルのモンスターは石化にさえ注意すれば恐れるに足らず。【クレセント・スラッシャー】を発動した裕士の超音速蹴りが、三日月型の衝撃波とともにストーン・スタチューを蹴り飛ばしていく。
【ふん!】
 メイティナもその細腕からは想像もできない怪力をもって、石像達を次々に殴り飛ばす。言葉を発さずに看板の文字で会話をする彼女だが、今はそれがシュールな迫力を感じさせる。無惨に打ち砕かれたストーン・スタチューに、断末魔の悲鳴はない。

【終わりましたね】
「よし、次だ!」
 周辺の守衛を一掃したメイティナと裕士は、この間にキャッスルクリスタルの置かれた部屋に向かうべく先を急ぐ。
 ゴッドゲームオンラインにおける城の制圧条件は、クリスタルの破壊。一刻も早くプレイヤー達を救い出すために、こんな所で立ち止まっている暇はない――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
クリスタルを掌握すれば城の主
女の子とハーレムを築き男は時給三十円だ
馬鹿考えながら突入だ

労働基準監督署だ、助けに来たぜ!
石像との間に入るよ
ちと荒っぽいが支配受けているPCに向けアークウィンドを振るい衝撃波で出口へ吹き飛ばす
女の子はソフトに、男に手荒いのはご愛敬
ダメージは最小限だ

呪詛耐性で石化に抗いながら、神鳴の峰打ちで石像を砕いていくぜ
興奮に対し落ち着きを意識し息を整えるよ
策はある

凛々しい戦士像になったら、内からフォックスファイア・拾式を燃やし肉体改造で動く石像になる
これで石化は怖くない、だって石像だもん
妖しく目を光らせ神鳴ぶん回して敵を砕くぞい

粗方始末したら破魔力を高めて石化を祓い生身に戻るぜ



「クリスタルを掌握すれば城の主。女の子とハーレムを築き男は時給三十円だ」
 オブリビオンとは違うおバカなことを考えながら、魔従姫の城に突入するのは四王天・燦(|月夜の翼《ルナ・ウォーカー》・f04448)。そこで待っていたのは彼女の野望がかわいらしく思えるほど、過酷な奴隷労働を無休無給で強いられるプレイヤー達の姿だった。
「も、もうダメだ」「休ませてくれ……」
「却下」
 城主の力によって囚われ、四六時中モンスターに監視されている彼らに逃亡手段はない。もし反抗しようとすれば、守衛の『ストーン・スタチュー』から手酷い仕置きを食らうだろう。そんな地獄の渦中にいる人々に向かって、燦はまっしぐらに駆けていった。

「労働基準監督署だ、助けに来たぜ!」
「だ、誰……?!」「侵入者を発見」
 石像とプレイヤーの間に割って入った謎の人物に、両者の視線が集中する。彼らが行動を起こす前に、燦は短剣「アークウィンド」を抜き放つ、プレイヤーに向けて振るう。すると刃に込められた妖精の祝福が作用し、凄まじい旋風が巻き起こる。
「ちと荒っぽいが勘弁な」
「うおぉっ!?」「きゃーっ!!」
 風の衝撃波によって、城の出口付近まで吹き飛ばされていくプレイヤー達。もちろんダメージは最小限にしてある。
 その飛ばし方も女の子はソフトに扱う一方、男だと手荒いのはご愛嬌。何にせよ彼らには安全圏にいて貰った方が、こちらも戦いやすくなる。

「対象を無力化する」
 ただ一人目の前に残った燦に対して、ストーン・スタチュー達は【ストーン・ミスト】を発動。濃密な霧で周囲を包み、視界を遮りながら遅効性石化の状態異常を与えてくる。敵が見えなくて戦いにくくなるのは勿論の事、時間をかければ徐々に身体が石になっていく、厄介なユーベルコードだ。
(策はある)
 燦は持ち前の呪詛耐性で完全石化までの猶予を長引かせながら、霧の中より襲ってくる敵を神刀「神鳴」の峰打ちで迎え撃つ。この手の無機物系モンスターには、斬撃よりも打撃のほうがダメージが通りやすいだろう。叩きつけた刀身から、石の砕ける感触が伝わった。

「冷静になれ、アタシ」
 この霧にはどうやら興奮作用もあるらしく、燦は息を整えて落ち着きを意識しながら戦う。戦況は優位であったが、城内に配置された守衛は数が多く、戦闘が長引くほど石化も進む――まずは足、次に腕、胴体、そしてついに頭まで。
(御狐・燦の狐火をもって癒しとなせ。炎宿りてその身に更なる力を与えよ!)
 だが、凛々しい戦士像の有り様になっても、まだ燦は諦めていなかった。内から【フォックスファイア・拾式】を燃やし、肉体改造によって自分の身体を「動く石像」に作り変える。石化を回避できないのなら、石化しても戦えるようになれば良いのだ。

「これで石化は怖くない、だって石像だもん」
 妖しく目を光らせながら、愛刀をぶん回して敵を砕く燦。ストーン・スタチュー同士の戦いになれば素のステータスや技量が高いほうが勝つのは当たり前。石化という切り札も実質無力化された守衛達が、バラバラの石塊と化すのは時間の問題だった。
「よし、こんなもんだろ」
 粗方敵を始末して霧が晴れてくると、燦は体内の破魔力を高めて石化の呪いを祓い、生身の身体に戻る。緒戦は圧勝だったが、城を制圧するにはキャッスルクリスタルを破壊しなければ――守衛の増援がやって来る前に、彼女は急いで先に進むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュール・ディールーク
常に第六感と心眼と幸運を発動

…こんなのって、いや駄目ですね速く助ける事を優先しましょう
強制労働させられているゲームプレイヤーを見て少し嫌な事を思い出すが振り切って戦闘態勢に入る

これは、彫像でしょうか?…とりあえず壊しましょう!
敵がUCを発動したので敵の動きを見ながら推力移動で出来るだけ離れる

ふっ!
離れてから素早く闇属性攻撃のブレス攻撃を吐き攻撃してから推力移動で加速する

解放する真実の剣!
UCを発動し彫像に斬撃波を放ちその後、凍結攻撃のエネルギー弾を敵に放ち攻撃

『さようなら』
UC蘇りし勇者の剣の精霊で現れたルアンが敵の背後から概念斬で切り裂いた

ありがとうございます!ルアン!
『…さあ、行きますよ』



「……こんなのって、いや駄目ですね速く助ける事を優先しましょう」
 バグプロトコルの居城で強制労働させられているゲームプレイヤーを見て、リュール・ディールーク(時を駆ける邪龍〜皆の止まった時間を動かす為に〜・f42338)は少し嫌な事を思い出す。だが、今は感傷に浸っている暇はないと、過去を振り切って戦闘態勢に入った。
「侵入者発見」「抹殺開始」
 立ちはだかるのは『ストーン・スタチュー』。城の守衛を任された石像型モンスターの大軍は、敵対プレイヤーを見つけると瞬時に巨大化する。上空に浮かんだ彫像の悪魔による【ストーン・ブレイク】の効果だ。ここを突破するには奴らを倒すしかない。

「これは、彫像でしょうか? ……とりあえず壊しましょう!」
 リュールは第六感と心眼を研ぎ澄ませ、相手の動きを注視しながら、魔力による推力移動で出来るだけ距離を取る。
 巨大化しても敵の攻撃手段は武器による白兵戦がメインらしいので、離れておけば危険度は下がる。もちろん歩幅やリーチも伸びているので油断は禁物だが。
「ふっ!」
 十分に敵を引き離してから、口から闇属性のブレスを吐く。見た目は年若い人間の娘でも、彼女の正体は幾星霜の時を生きた邪龍だ。その吐息は漆黒の奔流となって巨大化ストーン・スタチューの群れを包み込み、ダメージを与える。

「ダメージを確認」「戦闘を継続」
 闇のブレスを浴びたストーン・スタチュー達は、超巨大化に伴う再生能力でダメージを回復しながら、侵入者を踏み潰さんと迫ってくる。しかしリュールも推力でさらに加速して距離を詰めさせず、自分に有利な間合いを保っていた。
「解放する真実の剣!」
 ブレスだけでは倒しきれないとみた彼女は、時空と起源を上書きする【解放する真実の剣】の斬撃波によって、空中に浮かぶ悪魔像を破壊する。これにより【ストーン・ブレイク】の効果が失われれば、ストーン・スタチューは元の大きさに戻っていく。

「今です!」
 追撃とばかりにリュールが放ったのは、凍結効果のあるエネルギー弾。再生能力も失った今なら、受けたダメージや状態異常もそのまま残る。冷気の弾丸に撃たれたストーン・スタチューは分厚い氷に覆われ、ピタリと動きを止めた。
『さようなら』
 間髪入れずに敵の背後から現れたのは【蘇りし勇者の剣の精霊】ルアン・メイ。普段はリュールの愛剣に宿っている彼女は、気難しい性格ながら時折リュールの冒険に手を貸してくれる。その指先がすっと虚空をなぞれば、凍った石像は真っ二つに切り裂かれた。

「ありがとうございます! ルアン!」
『……さあ、行きますよ』
 相棒の見事な概念斬に感謝を伝えるリュール。ルアンはそっけない態度で応じつつ、城の深部に続く道を指し示す。
 城攻めクエストの勝利条件は敵の殲滅ではなく、キャッスルクリスタルの破壊だ。一刻も早くゲームプレイヤー達を開放するために、彼女達は立ちはだかる石像を斬り伏せながら先に進んでいった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴェイル・ディールーク
…昔の私達と一緒だね
実験体にされかけた過去を思い出しながらも戦闘態勢に入る

…一瞬だけでいいから!
敵がUCを発動してきたが攻撃する瞬間に心眼で敵の動きを見て素早く結界術を展開し一撃目は防ぐが二度目の攻撃は完全に破壊されたが推力移動で攻撃範囲から逃れる

邪龍流星煌!
UCを発動して彫像と敵に同時に流星を放ち攻撃

力を貸して…邪と聖の力よ!
弾丸にUC邪と聖龍の憑依を発動し邪と聖の力を憑依させた

これが邪龍の力だよ!
UCの力を憑依させた呪殺弾を敵に放つ
攻撃範囲に入った瞬間ブレスと爪の攻撃が放たれ周りの敵達は消滅させる

レント、キュラ姉…貴方達だったら絶対に助けるよね?私もやってみせるよ!
と言いつつ戦闘を継続した



「……昔の私達と一緒だね」
 姉と共に奴隷未満の扱いを受け、実験体にされかけた過去を思い出しながらも、ヴェイル・ディールーク(邪龍の少女〜理不尽が蔓延る世界に挑む〜・f42495)は戦闘態勢を取る。バグプロトコルの居城に囚われ、終わりなき奴隷労働に従事させられるプレイヤー達――彼らを地獄から救い出すために。
「侵入者を発見」「排除する」
 それを阻むのは守衛の『ストーン・スタチュー』軍団。城主に与えられた命令を忠実に守る彼らは、【ストーン・ブレイク】によって超巨大化し、物理的に彼女の行く手に立ち塞がる。小柄な少女と見比べれば、威圧感は雲泥の差だ。

「……一瞬だけでいいから!」
 しかし、ヴェイルはただの少女ではない。敵が攻撃する瞬間に心眼で動きを見切ると、素早く防御結界を展開する。
 即席で張った代物のため、その結界は巨大石像の一撃目こそ完全に防いだが、連続で放たれた二撃目で破壊される。だが、その間に生じたわずかな猶予で、ヴェイルは推力移動により攻撃範囲から逃れていた。
「邪龍流星煌!」
 反撃のユーベルコードを発動した彼女の「ブラックドラゴンロッド」から、大量の黒い流星が放たれる。その狙いはストーン・スタチュー本体と、上空に浮かぶ彫像の悪魔だ。あの悪魔像こそが敵のユーベルコードの要であり、破壊すれば巨大化を解除できる。

「……損害確認」「悪魔像、破損」
 彫像を撃ち落とされたストーン・スタチュー達は、みるみるうちに人間と同等のサイズに。巨大化と同時に再生能力も失ったことで、本体に受けたダメージも回復しない。攻撃力も防御力も相対的に大幅ダウンしたとみて良いだろう。
「力を貸して…邪と聖の力よ!」
 畳み掛けるなら今しかないと、ヴェイルは邪龍銃『ディアベル』の弾丸に【邪と聖龍の憑依】を発動。本来なら相反する邪と聖の力を同時に憑依させ、石像群に狙いを定める。かつては迫害の対象となったこの力、今は誰かを救う為に――。

「これが邪龍の力だよ!」
 撃ち出された聖と邪の呪殺弾が、敵軍を攻撃範囲に捉えた瞬間。憑依していた龍達のブレスと爪撃が放たれ、周囲のストーン・スタチューを薙ぎ払う。それは不可避かつ防御不能の攻撃であり、ひとたび範囲に入れば逃れる術はない。
「「……!!!」」
 聖なる光と邪なる闇、そして龍の爪に引き裂かれたストーン・スタチューは声もなく、跡形もなく消滅させられる。
 呪殺弾が着弾したポイントとその周辺は、まるで最初から誰もいなかったように、無人のフロアと化していた――。

「レント、キュラ姉……貴方達だったら絶対に助けるよね? 私もやってみせるよ!」
 大切に想う仲間や家族の名前を口にしながら、ヴェイルは弾を込め直して戦闘を継続する。かつて自分が救われたように、今度は自分が誰かを救う番だと――バグプロトコルの居城を制圧すべく、キャッスルクリスタルの元までひた走るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪

ゲームの中でも労働、しかも対価無しなんてね…♪
これ訴えたら勝てそう…いや、でもその訴え先が無いのかな?
…ま、いっか♪
何か裏があるようだけど、まずは城を落とすとしよっと★

敵モンスターを倒しながら城主の下を目指すよ♪
戦闘に巻き込んでしまわないよう、【救助活動/団体行動/鉄壁/かばう】でプレイヤーちゃん達を守ったり逃がしたりするね♪

固め性癖持ちだから、敵の石化能力には興味深々だよ♪
敵の攻撃を受けて石化する場合は、恐怖も悲壮感も無く寧ろ楽しげな表情を浮かべて固まるね♪
UCは『クローネちゃんのキラキラなお友達★』★
攻撃は【集団戦術/団体行動/連携攻撃/範囲攻撃/貫通攻撃/弾幕/切断/怪力/鎧無視攻撃/属性攻撃/武器から光線】で行うよ♪
敵のUCには【野生の勘/第六感/気配感知/幸運/霊的防護/オーラ防御/鉄壁/硬化/激痛耐性/回復力/呪詛耐性】で対応するね♪



「ゲームの中でも労働、しかも対価無しなんてね……♪ これ訴えたら勝てそう……いや、でもその訴え先が無いのかな?」
 不憫な事件に巻き込まれたゲームプレイヤー達の様子を眺めながら、そう呟くのはクローネ・マックローネ(快楽至上主義な死霊術士・f05148)。残念ながらゲームの運営はバグプロトコルの起こす被害に対処できておらず、現実側は|統制機構《コントロール》の独裁で支配されている。悲しいかな、法は彼らの救いになってはくれないのだ。
「……ま、いっか♪ 何か裏があるようだけど、まずは城を落とすとしよっと★」
 細かいことを考えるのは後だ。この城を制圧してバグプロトコルを叩きのめせば、どのみち事件の裏とやらも明らかになるだろう。普段と変わらぬハイテンションで敵の居城に乗り込んだクローネは、守衛を倒しながら城主の下を目指すことにした。

「侵入者を発見」「排除開始」
 プログラミングされた定型句を唱えながら、行く手に立ちはだかるのは『ストーン・スタチュー』。平時は奴隷化したプレイヤーの監督を、有事は守衛として戦う彼らもまた、バグプロトコル化したモンスターだ。レベルやステータスは大したことがないが、プレイヤーに石化状態を与える能力が厄介である。
「助けに来たよ、さあ逃げて♪」
「あ、ありがとう!」「助かった……!」
 戦闘に巻き込んでしまわないようにプレイヤー達を遠ざけつつ、クローネの表情は妙にウキウキしていた。快楽主義の彼女は固められるのが好きという特殊な性癖を持っており、敵の石化能力に興味津々の様子だ。ゲームの中とはいえ危険はあるのに、大した度胸である。

「【ストーン・オーバーロード】起動」
 ストーン・スタチュー達は武器や盾に石化の呪いを注ぎ込んで変形させ、一斉攻撃を仕掛けてくる。触れれば即効性または感染性の石化を与えられると知っていれば、普通のプレイヤーは回避に徹するだろう。しかしクローネはあえて防御の体勢を取った。
「だって、避けたらプレイヤーちゃん達に当たっちゃうかもしれないし★」
 避難中のプレイヤーをかばうように仁王立ちして、硬化させたタールの身体で攻撃を受ける。オーラによる霊的防護もあるため即座に行動不能にはならないが、それでもガードした部位から石化が始まる。その瞬間、彼女の背筋にゾクゾクと快感が走った。

「ほら、もっともっと♪」
 何発も食らえばマズいことは分かっていように、クローネは戦い方を改める気はない。攻撃を受けるたびに石化が進んでも恐怖も悲壮感も無く、むしろ楽しげな表情を浮かべて固まっていく。ストーン・スタチューに人並みの感情があれば、さぞかし困惑しただろう。
「キラキラしてる子達を紹介するね♪ |クローネちゃんのキラキラなお友達《ブラック・ヴァルキュリア・レギオン》★」
 もちろんクローネもただ性癖を満たすために来たわけではない。動けなくなっていく自分の代わりに、漆黒の肌を持つヴァルキリアの軍団を召喚し、戦わせる。彼女達は色っぽい仕草で戦場を飛び回りながら、光の剣でストーン・スタチューに斬り掛かった。

「頑張ってね、みんな♪」
 連携や集団戦術を得意とするヴァルキュリア達の攻撃は、鈍重な石像群を巧みに追い詰め、光剣で斬り伏せていく。
 反撃で石化攻撃を受ける者もいるが、浄化能力で呪いを解くことのできる彼女達にはさしたる脅威とならなかった。
「これでトドメ♪」
「――!!!」
 そしてクローネがネクロオーブから光線を放つと、ヴァルキュリア達も光の弾幕を一斉発射。防御力無視のビーム攻撃を浴びせられたストーン・スタチューはバラバラに砕け散り、ただの物言わぬ石塊に戻った。増援がやって来る気配もなく、城内は静寂に包まれる。

「もう終わり? ちょっと残念♪」
 ヴァルキュリアに石化を解いてもらったクローネは、ちょっと物足りなさそうに伸びをして、凝った身体をほぐす。
 性癖が満たされたかどうかはさておき、依頼はまだ終わっていない。またモンスターが湧いてくる前に、彼女は城の完全制圧を目指して移動を始めるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『魔従姫』

POW   :    お前はワレの下僕となる、もうすぐな
【自身や自身の配下モンスター】に触れた対象の【種族や職業等のキャラ設定と記憶】を奪ったり、逆に与えたりできる。
SPD   :    お前はワレの下僕だ、今からな
指定した対象を【自身の配下モンスター】にする。対象が[自身の配下モンスター]でないならば、死角から【接触者をモンスター化する配下モンスター】を召喚して対象に粘着させる。
WIZ   :    お前はワレの下僕だろう、以前からな
対象に【自身の配下モンスターだという設定と記憶】を生やし、自身とのテレパシー会話を可能にする。対象に【洗脳とモンスター化】の状態異常を与える事も可能。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は札神・遊狐です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「フン。性懲りもなくまたやって来たか、冒険者どもめ」

 守衛のモンスターを撃退しながらクエストの攻略を進め、城の最深部まで辿り着いた猟兵達。
 そこで待っていたのは数多のモンスターに傅かれる、黒衣の美女であった。

「ワレの城を奪おうと、これまでも大勢の連中がワレに挑んだ。そいつらは全員、今ではワレの下僕だがな」

 彼女こそ、この城の主であるバグプロトコル『魔従姫』。
 モンスターのみならずプレイヤーやNPCまで従える能力を手に入れた、恐るべき支配者である。

 そして彼女の背後には、キラキラと輝く「キャッスルクリスタル」が浮かんでいる。
 あれを破壊できればこの城は猟兵に制圧された扱いになり、城攻めクエストはクリアとなる。
 当然、城主もそれを把握して全力でクリスタルを防衛するつもりだ。

「お前達もワレの下僕になるがいい。今すぐにな」

 居丈高な態度で魔従姫が宣言すると、手に持った王笏が怪しい光を放ちだす。
 大勢のゲームプレイヤーの自由を賭けた攻城戦は、いよいよクライマックスに突入しようとしていた――。
キキョウ・ハットリ
邪悪なる支配者。まさに|悪《バグ》の権化と言ったところか。
驕れる者は久しからず。お前の偽りの支配はここで終いだ。

周囲のモンスターも魔従姫に支配された者なのだろうか。であれば斬り捨てるのは忍びない。
モンスターの群れを素早く掻い潜り、魔従姫に一太刀浴びせてみせよう。

当然ながら私は彼奴の下僕ではないし、そうなるつもりも毛頭ない。
死角から迫る気配を察知したら【空蝉之術】にて分身と入れ替わる。
そうしてモンスターや魔従姫が分身に気を取られている間に死角から接近、忍刀で斬る。

忍者(シノビ)が正面から仕掛けると思ったか?死角とはこのように突くものだ。



「邪悪なる支配者。まさに|悪《バグ》の権化と言ったところか」
 城の最深部で遭遇したバグプロトコル『魔従姫』を、鋭い眼差しで睨みつけるのはキキョウ。此度の事件の首謀者にふさわしい、悪辣で傲慢な人格に敵意も強まる。これ以上彼奴に罪なきプレイヤーの身柄を好き勝手させてはおけぬ。
「驕れる者は久しからず。お前の偽りの支配はここで終いだ」
「フン。お前はワレの下僕だ、今からな」
 堂々と宣言するキキョウさえも支配せんと、魔従姫はユーベルコードを発動し、従属させた配下モンスターの群れをけしかける。このモンスターはある種のコンピュータウイルスの如く、接触者を新たな配下モンスターに変えてしまう効果を持っていた。

(周囲のモンスターも魔従姫に支配された者なのだろうか。であれば斬り捨てるのは忍びない)
 キキョウが討つべきは真の|悪《バグ》のみ。ゆえに彼女は配下モンスターに刃を向けず、群れを素早く掻い潜って魔従姫に一太刀浴びせてみせようとする。忍者の俊敏な身のこなしを以ってすれば、それは決して無謀な挑戦ではないはずだ。
「当然ながら私は彼奴の下僕ではないし、そうなるつもりも毛頭ない」
 死角から迫る気配を察知すると、彼女は【空蝉之術】を発動。無防備を装って分身を身代わりにし、モンスターの奇襲をすり抜ける。あまりにも見事な入れ替わりに敵はみな意表を突かれ、群れに紛れ込んだ本当の標的に気付けない。

「やってしまえ……なッ、ニセモノだと?!」
 空蝉の術に騙されたのは魔従姫も例外ではなく、配下が食らいついた獲物が分身だと分かった時には目を丸くする。
 死角から配下を粘着させたつもりが、いつの間にか欺かれていた。そして今度は逆に彼女のほうが、死角より脅かされる側となる。
「残念だったな」
「ッ?!」
 次に魔従姫が感じたのは背中に走る痛み。いつの間にか至近距離まで接近していたキキョウの忍刀が、鋭き一撃を見舞っていた。バグプロトコルも流れる血は赤いのか、ぱっと血飛沫が吹き上がり――黒と赤の狭間で、忍者はまんじりともせずに敵を睨み付けていた。

「忍者(シノビ)が正面から仕掛けると思ったか?」
「よ、よくも……ッ!!」
 激昂した魔従姫が王笏を振るっても、そこにいるキキョウはすでに分身と入れ替わった後だった。戦場に無数にあるモンスターの目、その全てを欺いて忍者はただ一人の標的をロックオン。何者にも捉えられぬ漆黒の風となり、忍刀を振るい続ける。
「死角とはこのように突くものだ」
「ぐああッ!!」
 それは忍者という職業の戦い方の手本を見せるような、理想的なムーブだった。これをボス相手の実戦で披露できることが、彼女の実力の高さの証明。死角からのクリティカルヒットを受け、魔従姫のヒットポイントは見るからに削られていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゼーレ・ユスティーツ
ふん、なら叩き斬ってあげる
と言いながら鎌を構える

…後ろに何かいるわ、危ないわね
敵がUCを発動して死角から配下モンスターの気配を感じ(心眼と気功法の応用)推力移動で回避した

ふん…消えなさい
視力で配下モンスターを見ながら呪殺弾を素早く放ち攻撃する

次は…アンタよ!蝶のように散れ…!スタールイーファントム!
UCを発動して自身の身体を量子化してから敵を切り裂いた

『なら…僕も加勢しよう』
勝手にUC時空呪神・エーリュシオンを発動しエーリュシオン(ゼーレには見えてない)も呪詛の斬撃波を放ち攻撃する

…さっさと倒さないとね
私がもう一度呪殺弾を敵に放つ
『さて、そろそろ黒幕が出てくる頃かな?』
とエーリュシオンは呟いた



「ふん、なら叩き斬ってあげる」
 と言いながら呪神鎌『エーリュシオン』を構え、バグプロトコルの城主『魔従姫』を睨みつけるのはゼーレ。向こうがこちらを配下にするのが速いか、それともこちらの刃が首に届くのが速いか。城攻めクエストも最終盤となれば、後は純粋な力比べだ。
「お前はワレの下僕だ、今からな」
 そんなゼーレにも傲慢な態度で宣言する魔従姫。一見何かが変わった様子はなく、配下モンスターに囲われて佇んでいるようだが――すでにユーベルコードによる攻撃は始まっている。気を抜けば次の瞬間には、猟兵も配下にされているだろう。

「……後ろに何かいるわ、危ないわね」
 心眼と気功法の応用によって死角からモンスターの気配を感じたゼーレは、魔力の放出による推力移動で身を躱す。
 直後、彼女のいた場所に飛び掛かってきたのは魔従姫の配下。あれに触れられていれば、あわや彼女もモンスター化していたところだ。
「ふん……消えなさい」
 振り返りざまに敵を視認すると、素早く「黒蝶刃銃」を発砲。放たれた呪殺弾は一撃で標的のヒットポイントを奪い去る。不意打ちにさえ気をつけていれば、このレベルのモンスターは脅威ではない。やはり倒すべきは魔従姫のみだ。

「次は……アンタよ! 蝶のように散れ……! スタールイーファントム!」
 傲慢なる城主に狙いを定めて、ゼーレはユーベルコードを発動。自身の身体を量子化して一気に間合いを詰めると、概念を切り裂く斬滅撃を放つ。まさしく目にも止まらぬ死神の一撃を受け、魔従姫のヒットポイントが削られていく。
「ぐッ……ま、まだだ……!」
『なら……僕も加勢しよう』
 それでもまだ倒れる気配を見せないボスモンスター。そこに忽然と姿を顕したのは【時空呪神・エーリュシオン】。
 ゼーレの意思とは関係なく、勝手に発動したユーベルコードにより降臨した彼は、呪詛の斬撃波でボスを追撃した。

「がはッ?!」
 エーリュシオンの一撃を受けて、さらにヒットポイントを削られる魔従姫。ゼーレには彼の姿が見えていないため、敵が突然ダメージを負ったように見えるだろう。疑問に感じるかもしれないが、戦闘中に考え込むほど彼女は未熟ではない。
「……さっさと倒さないとね」
「ぐあぁッ!!!?」
 ここが好機とばかりに黒蝶刃銃を向け、もう一度呪殺弾を放つ。呪神の助けもあってか、その威力は先程モンスターに撃ち込んだものより強く。魔従姫の肩口に突き刺さった弾丸は、そのまま対象の全身を呪いというバッドステータスで侵していく。

『さて、そろそろ黒幕が出てくる頃かな?』
 苦しんでいるボスを横目に、ぽつりと呟くのはエーリュシオン。城主が倒れ、この城が猟兵に制圧されれば、今回の事件の裏にある諸々も姿を現すはずだ。そう考えれば、このボス戦すらも前哨戦――何が起こっても対処できるよう、彼は警戒の糸を張り詰めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メイティナ・ヴァーンフォルカ
【裕士、大丈夫ですか?】
大丈夫だ、今までのクソゲーよりはマシな…筈だ
死んだ目をした裕士を見て大丈夫だと言ったのでそのまま戦う事にした

敵がUCを発動した瞬間に後ろから気配を感じた
【敵が来ますよ…】
クソゲーよりマシィ!
裕士が私の背後にいるモンスターを呪殺弾で素早く撃ち抜き

【私もクソゲーで鍛えているので…ふん!】
私は裕士の背後に居たモンスターを撃ち抜いてからUCを発動して星龍に変身し敵の懐に入り星導拳で殴り飛ばす

天誅じゃクソ女ぁぁぁぁぁぁぁぁ!
裕士がUCクレセント・スラッシャーを発動して敵に追撃をかけた

【まだ油断出来ませんよ…行きましょう】
OK…覚悟しろよ、バグプロトコルさんよ!
と敵に大見得を切った



【裕士、大丈夫ですか?】
「大丈夫だ、今までのクソゲーよりはマシな……筈だ」
 モンスターだねでなくNPCやプレイヤーまで強制的に配下にしてしまう、極悪バグプロトコル『魔従姫』。それを見た裕士はなにか嫌なことでも思い出したのか、死んだ目をしている。ちょっと心配になるメイティナであったが、本人が大丈夫と言うならそのまま戦うまでだ。
「お前はワレの下僕だ、今からな」
 もちろん敵はこちらの事情など待ってはくれない。魔従姫の号令に応じて配下モンスターの群れが一斉に動きだす。
 だが、これらは城主の身を守るための肉壁にして囮でしかない。本命はすでに密やかに、猟兵達の元に迫っている。

【敵が来ますよ……】
「クソゲーよりマシィ!」
 敵がユーベルコードを発動した瞬間に、後ろから気配を感じたメイティナと裕士。二人はほぼ同時に拳銃を抜くと、お互いの背後へと銃口を向けた。裕士が放った呪殺弾は、メイティナを襲おうとしていたモンスターを撃ち抜き――。
【私もクソゲーで鍛えているので……ふん!】
 メイティナの放った弾丸は、裕士に迫るモンスターを射貫く。お互いの死角を補いあう見事なコンビネーションだ。
 間髪入れずにメイティナは【星導覚醒・星龍アステール】で逆襲に転じる。黄金のオーラを纏い、龍の翼を生やした少女が、物理を超越した速度で飛翔する。

「なにぃッ……ぐはぁっ!!」
 他の配下モンスター達が反応する暇もなく、星龍となったメイティナは魔従姫の懐に飛び込んでいた。そのスピードを拳に乗せて、肉薄と同時に思いっきり殴り飛ばす。驚愕の叫びをそのまま悲鳴に変えて、悪しき城主が宙を舞った。
「天誅じゃクソ女ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 すかさず裕士も【クレセント・スラッシャー】で追撃。これまで味わったクソゲーへの呪詛を叩きつけるように、極超音速蹴りとアッパー、そして三日月型の衝撃波と次元干渉剣を喰らわせる。その連携は格闘ゲームのコンボに近く、カウンターを挟む隙など一切ない。

「がっ、ぐっ、ぐはぁぁッ!!!」
 空中で何度も悲鳴を上げ、ボコボコにされた挙げ句大地に叩きつけられる魔従姫。城主の威厳も失墜しかねないほどのやられっぷりに、配下モンスター達にも動揺が見られる。このまま押せ押せのムードではあるが、歴戦の戦士にしてゲーマーであるメイティナと裕士は気を抜かない。
【まだ油断出来ませんよ……行きましょう】
「OK……覚悟しろよ、バグプロトコルさんよ!」
 楽勝と舐めてかかった時こそ、不注意からの凡ミスでゲームオーバーになるのだ。コンティニュー不可能な戦いで、そんな過ちは決して犯さない。二人は気を引き締めながら敵に大見得を切る――どんな手を使ってこようと、このクエストに勝利するのは自分達だと言わんばかりに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菜花・深月
見つけた…絶対倒す
と殺気に満ちた目を敵に向ける

敵のUCに対しては死角からモンスターは結界術を素早く展開して触れられるのを防ぐ

…消えて
念動力でモンスターを浮かせて壁に叩きつける

星海獄…アンダー・カレンド!
敵にUCを発動して渦潮に閉じ込める

動きを封じる…
渦潮に閉じ込められた敵の位置を視力で見てから弾道計算で敵に当たる位置を計算した後、凍結攻撃の矢弾の雨を放ち敵を凍らせる

…殺れ、月の龍よ
指定UCの効果でUC月龍召喚紋章を発動して月の龍を呼び出して概念壊撃の爪で敵を切り裂いた

…許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない、絶対に…アンタを消すから
と言いながら素早くエネルギー弾を放つ



「見つけた……絶対倒す」
 キャッスルクリスタルを守護するバグプロトコルのボス『魔従姫』に、深月は殺気に満ちた目を向ける。過去に彼女が|統制機構《コントロール》の奴隷として味わった苦しみと絶望を思えば、当然の反応と言えるだろう。罪もないプレイヤーの生命と尊厳を、これ以上弄ばせはしない。
「フン、倒されるのはお前たちのほうだ。そしてお前はワレの下僕だ、今からな」
 城の最深部まで攻め込まれてもなお、魔従姫は偉そうな態度を崩さない。そういうキャラクターとして設定されているのか、バグプロトコルになったことで人格も歪んだのか。いずれにせよ今の彼女はプレイヤーを奴隷にして支配する邪悪そのものだ。

「触らせない……!」
 死角からモンスターが近付いてくるのに気付いた深月は、素早く結界を張って接触を防ぐ。魔従姫のユーベルコードで召喚されたコイツは、触れた相手を魔従姫の配下モンスターにする力がある。これまでのプレイヤーが陥ったものと同じ轍は踏まない。
「……消えて」
『グギャッ?!』
 深月はモンスターを念動力で宙に浮かせると、勢いよく壁に叩きつける。その眼差しは冷たく、一切の容赦はない。
 ぐしゃりと鈍い音を立ててモンスターが壁のシミになると、彼女は魔従姫に向けて反撃のユーベルコードを唱えた。

「星海獄……アンダー・カレンド!」
 そのユーベルコードが生み出すのは巨大な星の渦潮。逃げる間もなく渦中に閉じ込められた魔従姫は「なにッ?!」と驚愕の叫びを上げてもがくが、きらめく流星の回転が彼女を逃さない。無理に脱出しようとすれば、手酷いダメージを負うことになるだろう。
「動きを封じる……」
「ッ!?」
 深月は渦潮に閉じ込めた敵を殺意の眼差しで睨みつけて、月光弓の弾道計算を行う。正確な照準のもとで放たれた矢は空中で分裂して凍結効果をもった矢弾の雨となり、魔従姫の頭上へ降り注いだ。その狙いは本人も言うように止めを刺すことではなく、完全に抵抗の余地を潰すこと――。

「……殺れ、月の龍よ」
「ガ……ま、待て……ッ!」
 凍結と渦潮で動けなくなった魔従姫に襲い掛かるのは、【月龍召喚紋章】で呼び出された月の龍。主の怒りと殺意を代弁するかの如く、その爪は無慈悲に敵を切り裂いた。概念すら破壊する一撃を受けて、無事で済むバグプロトコルはいない。
「……許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない」
「がっ、ぐ、ごッ、がはっ?!」
 それでもまだ足りないとばかりに、素早くエネルギーの矢を放つ深月。敵のヒットポイントがゼロになるまで攻撃を止めそうにない勢いだ。一射一射にバグプロトコルへの怒りが、憎しみが、そして殺意が、これでもかとばかりに詰まっている。

「絶対に……アンタを消すから」
「ひ……ッ!!」
 その深すぎる感情の矢は魔従姫を恐怖させ、傲岸不遜な彼女の態度を崩させるほど。おそらく彼女が「生命の危機」というものを感じたのは、これが初めてではなかろうか。ゲーム上のプログラムであろうと訪れる"死"が、徐々に迫りつつあった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クレイユ・オブエミネンス
種族や職業等のキャラ設定と記憶を奪う能力か
なら、それすらも忘却させる事にするよ

城を不可識の『監獄』の概念を宿す領域結界で覆って触れた敵から『新しい物事への指定した数以上の記憶能力』を奪う
バグプロトコルやその配下から二つ以上の新しい物事を覚えられなくなる
それがどういう事か分かる?
アタシを記憶するで一つ
それへの対応策について考える事で2つ
そしてこれ以上の記憶保持は不可能
即ち…未来と現在、過去があやふやになる訳だ
UCを使う余裕なんて相手にはない

記憶が保持できなくなって混乱している所にホワイトディアブロ粒子とアンヘルブラック粒子をデュアルブレイドを使い時間軸を無視し攻撃を加えて反撃を完璧に回避するよ



「抵抗するな……お前たちはワレの下僕となる、もうすぐな」
 支配下に入ることを拒否して城に攻め込んでくる猟兵達に、『魔従姫』は苛立ちと焦りを隠せなくなりつつあった。
 この勢いではキャッスルクリスタルが破壊されるのも時間の問題。ならば強引にでも配下にしてしまおうと、新たなユーベルコードを発動してモンスターを差し向ける。
「種族や職業等のキャラ設定と記憶を奪う能力か」
 魔従姫の支配能力の源は、対象の設定や記憶を書き換えるユーベルコードだろうとクレイユは看破していた。彼女やその配下に触れられた者は本来の記憶を失い、新たな記憶や設定を与えられることで心から下僕になってしまうのだ。

「なら、それすらも忘却させる事にするよ」
 魔従姫の配下モンスターに触れられそうになった瞬間、クレイユは【脱獄不能術式・忘却指数】を発動。城内を不可識の『監獄』の概念を宿す領域結界で覆い、内部にいる全ての敵から記憶能力を吸い取る。メモリの要領に制限をかけるユーベルコードといったところか。
「ガアアァッ……????」
 これでバグプロトコル及び配下モンスターどもは、クレイユが指定した数以上の新しい物事を覚えられなくなった。
 闘志を剥き出しにしていたモンスターの動きがピタリと止まる。自分が今何をしようとしていたのか、何をするべきだったのか、忘れてしまったように。

「君達は二つ以上の新しい物事を覚えられなくなった。それがどういう事か分かる?」
「う、ぁぁ? なに、を……」
 クレイユの説明は、魔従姫の頭にはまるで入ってこない。言葉は理解できるはずなのに、内容が脳の表面を上滑りしていく感覚だ。それは知能の低下とは異なる深刻な記憶障害であり、監獄結界から脱出するまで元に戻ることはない。
「アタシを記憶するで一つ、それへの対応策について考える事で二つ。そしてこれ以上の記憶保持は不可能。即ち……未来と現在、過去があやふやになる訳だ。ユーベルコードを使う余裕なんてない」
 まさにクレイユの思惑通り、敵は全員記憶が保持できなくなったことで混乱状態に陥っている。自分がどういう状況に陥っているのかを把握して、その対処法を考えるだけでも記憶容量が足りないのだ。戦闘どころの話ではあるまい。

「その忘却は残酷。無力を刻み込み展開された脱獄への意欲諸共意志と記憶の力を奪い去る罪深き刃なのだから」
 歌うように詠唱を紡ぎながら「時の粒子たるデュアルブレイド」を振るい、ホワイトディアブロ粒子とアンヘルブラック粒子による時間軸を無視した攻撃を加えるクレイユ。ダメージを受けたモンスターからは反射的な反撃が返ってくるが、それも時間操作で完璧に回避してみせる。
「なぁ……なにが、おこって……」
 配下が次々に倒され、自身もダメージを受けていく中、それでも魔従姫の思考は正しい対処法を導きだせなかった。
 バグプロトコルがバグで行動不能になるなど、笑い話にもならないが。そんな風にしか見えない状態のまま、悪しき城主は窮地に陥っていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

印旛院・ラビニア
「モンスター化とか、厄介な能力を……ただでさえ元の|遺伝子番号《からだ》を取り戻したいのに、更に弄られてたまるか!」
相手の能力に少しビビりながらも気合を入れる
「頼んだよ、ジークヒルデ!」
UCで神滅の戦乙女を召喚。UCで制限を受けない戦乙女ならモンスター化にも耐性はあるかも。完全に大丈夫と言う保証はないから【聞き耳】で配下モンスターの出現を【見切り】、触れられる前に叩き斬る
「こっちはこのゲームをかなり【やり込】んでんだ!湧き方のパターンくらいお見通しだよ!」
あとはUCの光線でクリスタルごと敵を薙ぎ払うよ

クリスタル破壊後の景色には「嘘でしょ? 何でこんな光景が?」と驚きを隠せずにいるよ



「モンスター化とか、厄介な能力を……ただでさえ元の|遺伝子番号《からだ》を取り戻したいのに、更に弄られてたまるか!」
 バグプロトコルの城主『魔従姫』の恐るべき能力を知ったラビニアは、内心少しビビりながらも気合いを入れる。
 統制機構の手をやり過ごすために、彼女(彼)の|肉体《アバター》は少しばかりややこしいことになっている。このうえ性別ばかりか種族まで変えられてしまうのは断固拒否だ。
「頼んだよ、ジークヒルデ!」
 彼女が召喚するのは【神滅の戦乙女・ジークヒルデ】。戦乙女達の行進シリーズの中でも切り札と言える、古代デュエル遺跡に眠っていた『人』のカードだ。その能力は高火力に加えて、相手の特殊効果の影響を受けない耐性を持つ。

(ユーベルコードで制限を受けない戦乙女ならモンスター化にも耐性はあるかも)
 ラビニアがジークヒルデを召喚したのはその耐性を当てにしての事だが、完全に大丈夫と言う保証はないので油断はしない。視線は魔従姫のほうを見ながらも、ウサギの耳で聞き耳を立て、周囲を警戒する――どこから不意打ちされても反応できるように。
「……! そこだ、ジークヒルデ!」
 死角からモンスターの出現を察知した瞬間、彼女は号令を発する。その直後、ジークヒルデの魔剣『ヴァルグラム』は敵を真っ二つに両断していた。今のは触れた者をモンスター化するボスの配下。それを見切られた魔従姫が「チッ」と舌打ちをする。

「あと少しで、お前をワレの下僕にしてやれたのに」
「こっちはこのゲームをかなりやり込んでんだ! 湧き方のパターンくらいお見通しだよ!」
 ゲームプレイヤーとしての長年の経験が、下僕化の危機からラビニアを救った。次のモンスターが湧いてくる前に、彼女は戦乙女と共に反撃へ転じる。【神滅の戦乙女・ジークヒルデ】が振り上げた魔剣に、眩き光が収束されていく。
「……! まずい!」
 その狙いが、自分達モンスターではなく『キャッスルクリスタル』だと気付いた魔従姫は、慌てて配下モンスターを肉壁にする。たとえ城主が生き残っていても、クリスタルを破壊されれば城は制圧扱いとなり、囚われたプレイヤーも解放される。あれは防衛側にとって最大の急所なのだ。

「行け、ヴァルグラム・ノヴァ!!」
 これを見越した上で発動したジークヒルデの最強技。魔剣より放たれた神殺しの光線が、一直線に敵陣へと向かう。
 それは雑魚モンスターの壁に届いただけでは止まらず、魔従姫も、そしてキャッスルクリスタルも諸共に薙ぎ払い、甚大なダメージを与えた。
「どうだ!」
「ぐッ……やってくれた、な……!」
 苦しげな顔でうずくまる魔従姫に、大きく亀裂の走ったキャッスルクリスタル。どちらのヒットポイントも耐久値も残っているが、相当の痛手には違いあるまい。まだ油断することは出来ないとはいえ、徐々に勝利は近付いているように感じられた――。



 ――だが、ラビニアはまだ知らない。
『嘘でしょ? 何でこんな光景が?』
 キャッスルクリスタルを破壊し、この戦いが終わった後。目の前に現れた衝撃の景色に、自身が驚愕することを。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミノア・ラビリンスドラゴン
こんな派手なことをやらかして、運営が動かないとお思いかしら?
城は制圧して、わたくしの迷宮城の建材として有効利用してさしあげますわー!!

設定を生やす能力?
指揮官モンスターがバグって他者の設定に干渉するようになったのかしら?
トリガーは接触、ならば直接触れずに遠距離攻撃でボッコボコにしますわー!
こちらも背後に輝きを背負いましてよ! その先は空間接続したわたくしの宝物庫!!
収められた無数の武具を【召喚】! 【弾幕】射出!!
あなたが干渉できるのは「キャラ設定」! 射出しているのはわたくしが集めた「ただの武具」! つまり能力の対象外ですわ!!
【龍の財宝】、とくとご覧あれ!! 【蹂躙】でしてよー!!!



「こんな派手なことをやらかして、運営が動かないとお思いかしら?」
 クエスト用のエリアを丸ごと乗っ取り、大勢のプレイヤーを巻き込んだ今回の事件。管理者AIであるドラゴンプロトコルとして、見過ごしはしないとミノアは宣言する。純白のドレスを纏った彼女と、黒衣に身を包む『魔従姫』が対峙するさまは、様々な意味で対照的であった。
「城は制圧して、わたくしの迷宮城の建材として有効利用してさしあげますわー!!」
「させるものか。お前はワレの下僕となる、もうすぐな」
 それは運営というより彼女自身の個人的野望も混ざっている気がするが、さておき容赦する気は微塵もないミノアに対し、魔従姫は配下モンスターと共に進撃する。彼女のユーベルコードにかかれば、たとえ管理者だろうと設定を変更してしまえるのだ。

「設定を生やす能力? 指揮官モンスターがバグって他者の設定に干渉するようになったのかしら?」
 対象の種族や職業等のキャラ設定や記憶を奪い、逆に都合のいい設定を与えて支配下するのが魔従姫の能力らしい。
 バグの影響にしても厄介な力に目覚めたものだ。その手段はユーベルコードによって幾つかのパターンがあるようだが、今回は配下と一緒に近付いてきているので、接触がトリガーとみて間違いあるまい。
「ならば直接触れずに遠距離攻撃でボッコボコにしますわー!」
 そう言って、ユーベルコードを唱えたミノアは背後に輝きを背負う。その先には空間接続した彼女の宝物庫がある。
 ドラゴンと言えば自分の根城に財宝を集めるものだ。挑戦者への呼び込みも兼ねて宝物庫に収められた【龍の財宝】には、無数の武具も含まれていた。

「わたくしが貯め込んだ財宝の数々! 大盤振舞いでしてよー!!!」
 開かれた宝物庫への空間より、ミノアは無数の武具を召喚・射出する。安いものでも一本数万トリリオンはするだろう、豪勢な弾幕だ。その標的にされた魔従姫と配下モンスターの軍団は、その場で立ち止まることを余儀なくされる。
「あなたが干渉できるのは『キャラ設定』! 射出しているのはわたくしが集めた『ただの武具』! つまり能力の対象外ですわ!!」
「くっ……やってくれるな、キサマ……!」
 いくらチートじみたバグでも、決して万能ではないということだ。器物に触れたところで魔従姫には支配できない。
 そして純粋な物量による制圧攻撃は、それ以上敵が先に進むのを阻み、ミノアへの接触を封じる。近づかれさえしなければ、この程度の雑魚モンスターなど恐れるに足らずだ。

「【龍の財宝】、とくとご覧あれ!! 蹂躙でしてよー!!!」
 ご令嬢らしい高笑いと共に、無数の武具を惜しげなく浴びせまくるミノア。戦闘後にちゃんと回収するのだろうか。
 高価なアイテムを弾にした弾幕はダメージも十分で、配下モンスターどもは立ち往生したまま次々に倒されていく。そしてボスである魔従姫も、攻撃範囲から逃れることはできなかった。
「グギャッ?!」「グエエッ!!」「ギャァッ!?」
「ひ、怯むな、お前たち……ぐうッ!!」
 なおも進撃を命じようとする魔従姫の肩に、黄金の剣が突き刺さる。後光を背負ったミノアとの距離は一歩も詰まっていない。この状況で残された手といえば、弾切れを祈ってひたすら耐えるくらい――戦いの趨勢が明らかになるにつれ、落城の気配は徐々に濃厚となっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュール・ディールーク
常に幸運と第六感を発動

貴女が黒幕ですね!覚悟してください!
『はあ、さっさとやりましょう』
私が剣を構えて敵と対峙する(ルアンはかなり面倒臭そうに対応)

むっ…!はあっ!
第六感で背後にいるモンスターの攻撃をリベラシオンでシャドウパリィした後斬撃波を放ち敵に攻撃

『消えろ』
ルアンがUCの効果でUC蘇りし勇者の剣の精霊が強制発動して剣から変身した後、神速で私の背後に居た配下モンスターを斬り伏せた

ありがとうございます!ルアン!
属性誓約!轟雷神龍!
無限加速しながら次元移動で敵の懐に入り敵を蹴り飛ばす

止めです!
と神眼で敵を見ながら轟雷を連射して敵に攻撃した

『さて、楽しみですね…ふふっ』
ルアンは不気味に笑っていた



「貴女が黒幕ですね! 覚悟してください!」
『はあ、さっさとやりましょう』
 気合満点の様子で剣を構えるリュールと、かなり面倒くさそうに対応するルアン。バグプロトコルの居城の主である『魔従姫』と対峙した二人の態度は対照的だった。どちらにせよ、プレイヤーを奴隷にする邪悪なバグを見逃すつもりは無さそうだが。
「囀るな。お前たちはワレの下僕だ、今からな」
 対する魔従姫のほうは劣勢で余裕をなくしつつあるが、それでも彼女のユーベルコードは一発逆転の可能性がある。
 ここまでバグプロトコルを追い詰められる猟兵を配下に加えてしまえば、戦力バランスは大きく変わるに違いない。

「むっ……!」
 しかしリュールも敵の能力を把握している以上、油断することはあり得ない。第六感が警鐘を鳴らした瞬間、彼女はハッと背後を振り返り――死角に召喚されていたモンスターの攻撃を、神剣「リベラシオン」でシャドウパリィする。
「はあっ!」
「ギャァッ!?」
 体勢を崩したところに斬撃波を放てば、敵モンスターは断末魔を叫んで消滅する。今のは触れた者をモンスター化する能力を与えられた魔従姫の配下だ。気付かなければ危ういところだったが、隙を見せなければ大した強さではない。

『消えろ』
「ギエエッ!!」
 直後に【蘇りし勇者の剣の精霊】で剣から人型に変身したルアンが、神速の早業でリュールの背後にいたモンスターを斬り伏せる。召喚される敵が一体だけとは限らないということだ――ぶっきらぼうな態度を取りつつ、彼女はしっかりと相方の死角をカバーしていた。
「ありがとうございます! ルアン!」
 的確なフォローに感謝を伝えつつ、リュールは精神集中してユーベルコードを発動。稲光を束ねた雷の翼を纏った、スピード特化形態に変身を遂げる。この姿となった彼女は雷そのものであり、あらゆる物理的限界を超えて飛翔する。

「属性誓約! 轟雷神龍!」
 雷鳴を轟かせながら無限に加速を続け、次元の壁を突破するリュール。敵から見れば閃光が瞬いたかと思った直後、彼女はすでに懐に飛び込んでいた。そのまま光速のキックで蹴り飛ばされた魔従姫が「ぐわっ?!」と悲鳴を上げる。
「止めです!」
「ぐ、ぐあぁぁーーーッ!!!?!」
 雷龍の神眼は一度捉えた敵を決して逃さない。すかさず放たれた轟雷の連射が、空中で魔従姫に次々と突き刺さる。
 スピード特化の形態とはいっても、決して攻撃力が低いわけではない。息を継ぐ暇もないほどの連射によって、敵のヒットポイントはまた大きく削られていった――。

『さて、楽しみですね……ふふっ』
 リュールが魔従姫を追い詰めていく様を眺めながら、ルアンは不気味に笑っていた。果たして彼女が何を期待しているのか、それは予知された未来の不穏と関係があるのか、今はまだ本人にしか分からない。ただ、その時が遠くないことだけは確かだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴェイル・ディールーク
見つけた!ゲームプレイヤーさん達を解放して貰うよ!
結界術を展開しながら敵と対峙する

いけ、痺れろ!
電撃の魔法を高速詠唱して敵に攻撃する

…やっぱりこういう方法で皆を奴隷にしてたんだね
敵のUCは結界術で接触を防ぎながら素早く呪殺弾を放ちモンスターを倒す
(モンスターが倒れる前にとある細工をする)

このお面に宿りし想いよ…解放せよ!
UCを発動して敵に炎、風、水、岩の霊魂を放ち攻撃する

私は邪龍だからね…こういう事も出来るよ
UCの効果でUC邪龍魔法『死霊兵顕現』を発動して復活させたモンスターを敵に攻撃させる

私は邪龍って言ったよね?プレイヤーさん達を奴隷にした罰だよ…
冷たい声で言った

(本当はやりたくないけど…)



「見つけた! ゲームプレイヤーさん達を解放して貰うよ!」
 バグプロトコルの城の最深部で、ついに城主の『魔従姫』と対峙したヴェイル。結界を展開して防御を固めながら、その瞳は敵を睨みつけている。多くのゲームプレイヤー達を苦しめた元凶を目の前にして、感情が昂っているようだ。
「いけ、痺れろ!」
「ぐっ?!」
 その怒りは雷となって迸り、電撃の魔法が敵を打つ。高速詠唱による先制攻撃を食らった魔従姫はうめき声を上げ、「やってくれたな!」と眉を釣り上げた。傲慢なる城主は自身に仇なす者を決して許さない。死ではなく従属を与え、永遠の支配で苦しめるのだ。

「お前はワレの下僕だ、今からな」
 その宣言と同時に、ヴェイルの死角から魔従姫の配下モンスターが召喚される。コイツに触れた者もまたモンスターと化し、強制的に下僕化されるのだ。彼女に挑んだ多くのプレイヤーが、このユーベルコードによって敗北を喫した。
「……やっぱりこういう方法で皆を奴隷にしてたんだね」
 魔従姫の悪辣な手段を実際に目にして、さらなる怒りをつのらせるヴェイル。事前に張っていた結界術のおかげで、モンスターの接触は防がれる。間髪入れずに放たれた呪殺弾によって、敵は「ギャッ!?」と悲鳴を上げて消滅した。

「このお面に宿りし想いよ……解放せよ!」
「ぐはあッ!!?」
 敵の奇襲を凌ぎきると、ヴェイルは【面影宿し】を発動。喜怒哀楽に照応した風炎水岩の霊魂を、一斉に解き放つ。
 火球、風圧、水流、岩石。それらは魔従姫にさらなるダメージを与えるが、まだ本命ですらない。彼女の怒りがこの程度で収まるとは思わないことだ。
「私は邪龍だからね……こういう事も出来るよ」
「な、なにっ?!」
 連続発動したユーベルコードの名は【邪龍魔法『死霊兵顕現』】。たった今倒されたばかりのモンスターが、生前の姿のまま蘇生する。ヴェイルはそいつが倒れる前に細工をしていたのだ。死亡した対象を自身に服従復活させるための魔法を。

「くそッ?! お、おいやめろ、お前はワレの……ぐわァッ?!!」
「私は邪龍って言ったよね? プレイヤーさん達を奴隷にした罰だよ……」
 蘇生されたモンスターはヴェイルを新たな主人として、かつての主人に牙を剥く。配下に反逆された魔従姫の衝撃と屈辱は、実際のダメージ以上のものがあるだろう。これまでの彼女の悪行を鑑みれば因果応報としか言いようがない。
(本当はやりたくないけど……)
 死者を弄ぶような魔法はヴェイルの好みではなかったが、今の彼女は正義の為ならそれを行使するのを躊躇わない。
 冷たい声と眼差しで敵を追い詰め、ヒットポイントを削り取る。この城が猟兵の制圧下となる時も遠くはない――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】

あれが今回の破壊対象だね♪
とはいえ、城主も結構強敵みたい…♪
遊びを入れる余裕は…あんまり無いかな★

魔従姫を倒してから、キャッスルクリスタルを破壊するよ♪

流石に今回は|配下モンスター化《個人的な趣味の優先》は避けるよ♪
余裕ある態度は崩さないけどね♪

UCは『クローネちゃんのアツアツなお友達★』★
まずは配下モンスターを倒して、身を守る術を奪ってから魔従姫を攻撃するよ♪
敵のUCを受けないよう、離れた位置からの射撃攻撃・ブレス攻撃主体でいくね♪
攻撃は【集団戦術/団体行動/連携攻撃/範囲攻撃/ブレス攻撃/貫通攻撃/弾幕/怪力/鎧無視攻撃/属性攻撃】で行うよ♪
敵のUCには【野生の勘/第六感/気配感知/幸運/霊的防護/オーラ防御/鉄壁/硬化/激痛耐性/回復力/呪詛耐性】で対応するね♪



「あれが今回の破壊対象だね♪ とはいえ、城主も結構強敵みたい……♪」
 このクエストのボスにあたる『魔従姫』と、その背後に浮かぶ『キャッスルクリスタル』を交互に見つめ、そう呟いたのはクローネ。極論クリスタルさえ破壊できればこちらの勝利だが、簡単にそれを許してくれる相手には見えない。
「遊びを入れる余裕は……あんまり無いかな★」
「そうだ。遊びの時間は終わりだ」
 魔従姫を倒してから、キャッスルクリスタルを破壊する。方針を定めたクローネに対して、敵も全力で迎え撃つ構えだ。モンスターを従え、プレイヤーさえも支配するのが彼女の能力――もし猟兵を配下にできれば、この城の戦力は大幅に高まるだろう。

「お前はワレの下僕となる、もうすぐな」
 そう言って魔従姫が王笏を掲げると、モンスターの群れがクローネに殺到する。本人だけではなく、あの配下どもに触れられただけでも、種族や職業等のキャラ設定や記憶を書き換えられてしまう。対象のアイデンティティまで奪って下僕にしてしまう、恐ろしいユーベルコードだ。
「ふーん、あなたにクローネちゃんを従えられるかな?」
 流石に今回はクローネも個人的趣味を優先するのは避け、敵に直接触れないようオーラの鉄壁で攻撃をガードする。
 伝染病のように敵を配下化するモンスターどもは、魔従姫の矛にして肉の城壁。レベルは低いが無視できない脅威だ――とはいえ余裕ある態度は崩さない。ペースを乱されては向こうの思う壺だ。

「アツアツな子達を紹介するね♪ |クローネちゃんのアツアツなお友達《ブラック・ドラゴニアン・レギオン》★」
 まずは配下モンスターを倒して、身を守る術を奪ってから魔従姫を攻撃する。そのためにクローネが呼び出したのは【クローネちゃんのアツアツなお友達★】。漆黒の肌を持つ人派の女性ドラゴニアン達が、熱風と炎と共に降臨する。
「みんな、よろしく♪」
 先刻の『キラキラなお友達』と比較すると、こちらの集団は遠距離攻撃に秀でている。竜の翼で空中に陣取ったドラゴニアン達は、手にした武器から銃撃を、口からは炎のブレスを吐いて、配下モンスターの群れに一斉攻撃を始めた。

「「ギエエェェェェーーーッ!!!!」」
 真っ赤な舌が舐めるように、竜の炎が戦場を覆っていく。巻き込まれたモンスターは断末魔を叫び、一瞬にして灰燼に帰した。いくら魔従姫でも意思のない炎や銃弾を支配することはできず、触れられさえしなければユーベルコードは無力であった。
「そのまま燃やしちゃえ★」
「お、おのれ……!!」
 クローネの指揮の下、ドラゴニアン達は離れた位置からの攻撃を継続する。魔従姫の配下モンスターにも遠距離攻撃や飛行が可能な個体はいるが、絶対的な数と火力の差で圧倒されていた。時間が経過するにつれて双方の指揮官の顔色は分かりやすいほど対照的となり、同時に旗色も鮮明となっていく。

「最後はあなただね♪」
「くそッ、よくも……ぐあああッ!!?」
 そしてついにボスを守っていたモンスターが一掃され、クローネ率いるドラゴニアン達の攻撃は魔従姫にまで及ぶ。
 ここまで優勢になっても遠距離攻撃主体で攻めていく辺り、油断や隙はまったくない。ハイテンションを保ったままブレスの火力にはまるで容赦がなかった。
「ほらほら、クリスタルが壊れちゃうよ♪」
「やめろッ……ぐ、がぁぁッ!!」
 そして魔従姫にはここから退けない理由がある。キャッスルクリスタルという急所を背負っている以上、逃げたところで先はないのだ。それを良いことにクローネはボスとクリスタルの両方を巻き込むよう範囲攻撃を浴びせ、魔従姫はいいように追い詰められていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
クリスタル奪って、一国一城の主になりに来たぜ!…無理?
城が無理ならお姫様を頂戴するまでよ

元PLな配下モンスターを盾にされては困るので先ずは配下を無力化するぜ
神鳴振るって電撃の衝撃波を放ちマヒ攻撃を浴びせる

下僕化の洗礼が来たら気合入れて耐えるぜ
傅く記憶を狂気耐性で否定する…
アタシなら×××(自主規制。恋人いるので何気に節度があるえっちな妄想)するような下僕のはずだってね。テレパシーで困ったビジョンを伝えって(意図せぬ)精神攻撃を浴びせるぜ
意識が持って行かれそうなら、逆手に刃を突き立てて痛みで覚醒させるよ

防御成立させりゃ懐から切札たる符を取り出し、【鏡華散月】を行使する
『お前はアタシの式神だろ、以前からね』
精神改竄は趣味じゃねーんで、記憶は弄らず(我儘な)式神という設定に書き換えるに留めるよ
モンスター化で綺麗な『ストーン・スタチュー』になあれ
完成せずとも魔従姫のデータには大ダメージ入れられるかな(できれば殺さず新しい存在として連れて行きたいけどね)

これでアタシがこの城の主だー…駄目?



「クリスタル奪って、一国一城の主になりに来たぜ! ……無理?」
 清々しいほどド直球な野望を掲げて、キャッスルクリスタルのある部屋に乗り込んできた燦。実際、本来の「城攻めクエスト」は城の占有権を巡って争う大規模戦闘クエストなので、間違った目標ではない。ただ、バグプロトコルに制圧された本クエストの場合、城を制圧できてもそれは参加猟兵の共同支配という形になるか。
「城が無理ならお姫様を頂戴するまでよ」
「お前達には何も渡さん。お前がワレのものになれ」
 ポケットには収まらなそうなクリスタルを見た後、燦の視線はボスの『魔従姫』に向かう。外見上は美しい姫だが、中身は数多のモンスターとプレイヤーを支配する傲慢な魔女である。そうやすやすと頂戴されてくれる筈もなく、侮蔑と敵意を返してくる。

(元プレイヤーな配下モンスターを盾にされては困るし、先ずはそっちを無力化するぜ)
 魔従姫を守るように立ち塞がるのは多彩なモンスターの群れ。この中に下僕化されたプレイヤーも紛れている可能性を危惧した燦は、「神鳴」を振るって電撃の衝撃波を浴びせる。殺さない程度に抑えたが、それでも相手をマヒさせるくらいの威力はある。
「ちょっと痺れてろ」
「「ギエッ?!」」
 紅い稲妻に打たれたモンスターどもは、甲高い悲鳴を上げて倒れ込む。意識はあっても身体は動かせない状態だ。
 あとは戦闘が終わるまで這いつくばっていればいい。速やかに配下を無力化した燦は、そのまま本命のボスを狙う。

『お前はワレの下僕だろう、以前からな』
 向かってくる妖狐の女剣士に対して、魔従姫はユーベルコードを発動。脳内に直接声を響かせ、自身の配下だという設定と記憶を植え付けようとする。自分に都合のいいように相手を洗脳し、モンスターに変えてしまう凶悪な洗礼だ。
『そうだ、アタシはこの人の忠実な……いや、アタシなら×××するような下僕のはずだ』
『!?!!?』
 その瞬間、燦が「思い出した」のは目の前のお姫様に傅く記憶。だが彼女はそれを気合で否定する。もし自分がこんな美女の下僕だったら手を出さないハズがないという、ちょっとえっちな(恋人がいるので何気に節度はある)妄想を以って――自主規制がかかるレベルのビジョンは、テレパシーで繋がった魔従姫の脳内にまで逆流した。

「なっ……なななんだ、このアホみたいな妄想は……!!」
 本人すら意図せぬ精神攻撃を浴びせられ、少女のように動揺する魔従姫。このゲームは基本的に全年齢対象である。
 術者の狼狽から洗脳に綻びが生じた瞬間、燦は自分の逆手に刃を突き立て、痛みで意識を覚醒させる。偽りの記憶が霞んでいき、自分が何者であるかをはっきりと思い出す。
「御狐・燦が命ず。符よ、宿りし力を此処に解き放て!」
 すかさず彼女は懐から切り札たる符を取り出し、【符術"鏡華散月"】を行使する。これは防御したユーベルコードを吸収し、一度だけ借用できるようにする術だ。今その符に封じているのは、たった今魔従姫が使った支配能力である。

『お前はアタシの式神だろ、以前からね』
 精神改竄は趣味ではないため、燦が仕掛けたのは魔従姫の設定変更。記憶は弄らずに式神だったということにする。
 我儘な人格はそのままに、身体は式神として逆らえなくなるというのも、される相手からすれば屈辱だろうが。そこまで敵に情けをかける気はない。
「モンスター化で綺麗な『ストーン・スタチュー』になあれ」
「や、やめろぉ! こ、こんなのワレではない……!!」
 必死に拒絶する魔従姫だが、皮肉にも自身のユーベルコードの強力さが仇となり、その肉体は四肢の末端から石化していく。たとえ完成せずとも「魔従姫」というバグプロトコルのデータは深刻なダメージを受けるだろう。ゲーム上の存在にとって、設定の書き換えとは命に関わるのだ。

(できれば殺さず新しい存在として連れて行きたいけどね)
 オブリビオンであるバグプロトコルを、そこまで都合よく無害な存在に変えられるかは燦にも分からない。いずれにせよ下級の一般モンスターになってしまえば、魔従姫の「城主」としての立場も宙に浮く。空席と成った玉座を制圧するのはいとも容易いことだ。
「これでアタシがこの城の主だー……駄目?」
「ダメに決まっておろうガァァァッ!!」
 それが分かっているからこそ魔従姫も本気で抵抗する。石となった手でも、王笏だけはしかと握りしめて放さない。
 大した執念だが、燦が見たところ彼女の心身は限界が近い。どう転ぶにせよ、決着は目前と言っていいだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
ガトリングガンの範囲攻撃でクリスタルを射撃
魔従姫配下が盾になるかもしれないけど
少しはクリスタルに弾が当たると思うよ
ワイヤーガンを利用して立体的に逃げつつ
クリスタルとモンスターを攻撃

とはいえ時間がかかりすぎるから
魔従姫の油断を誘ってクリスタルの破壊を狙おう
思い通りに事が進んでいる時が一番付け込みやすいしね

動かずにいるストーンスタチューを
ただの石像と勘違いしてるふりをして接近

ストーンスタチューに触れられたら
ガトリングガンで壊しつつ邪神の誘いを魔従姫に使用

体が段々硬くなっていく
いや、ボクはストーンスタチューじゃなかっけ?
記憶と種族を弄られれば本気で困惑するから
演技には見えないと思うよ

体のどこを触っても硬い石
何もおかしい所は無いね
そこの空いている台座がボクの定位置だったような

魔従姫様が空間の穴に取り込まれたね
配下がいない神域で神気で動きを停められつつ
100体以上の使い魔に帝竜の領地で攻撃されれば
白金像になるしかないよね

自分に催眠術を仕込んでおいたから
魔従姫様が空間の穴に消えたらクリスタルを壊すよ



「あれを壊せば僕達の勝ちだね」
 バグプロトコルの居城最深部に安置された、浮遊する宝石『キャッスルクリスタル』。それを見つけた瞬間、晶は迷いなく携行型ガトリングガンの銃口を向けた。攻城側によるクリスタルの破壊が、城攻めクエストの勝利条件。ボスを倒さなくても、城を制圧すれば決着はつくのだ。
「やらせるか……ッ!!」
 城主である『魔従姫』も自身の敗北条件を理解しているからこそ、必死になってクリスタルを守る。王笏を掲げれば配下モンスターの群れが盾となって射線を遮るが、こちらも戦力を削られてきており、ガトリングの弾幕を完全には防げない。抜けていった弾はそのままクリスタルに当たり、ピシリとヒビを入れた。

「くっ……よくも、よくもッ!」
 大事な城の中枢に傷を付けられた魔従姫の怒りは凄まじく、残された配下が総出で逆襲にかかる。対する晶は冷静にワイヤーガンを取り出し、城の壁や天井にフック付きのワイヤーを撃ち込んで、立体的な回避運動を取る。このまま距離を保って逃げながらクリスタルとモンスターへの攻撃を続ければ、勝利は揺るぎないだろう。
(とはいえ時間がかかりすぎるから、ここは魔従姫の油断を誘おう……思い通りに事が進んでいる時が一番付け込みやすいしね)
 ワイヤーで飛び回りながら戦場を見渡せば、色んなものが見えてくる。クリスタルとボスの配置、配下モンスターの数や種類。それらを総合的にみて作戦を立てた晶は、城内のオブジェとして設置された石像の傍に降り立った――それが動かずにいる『ストーンスタチュー』だと、気付かないフリをして。

「お前はワレの下僕となる、もうすぐな!」
 それを見た魔従姫は、最後の勝機とばかりにユーベルコードを発動。晶の傍にいたストーンスタチューが動きだし、背後から掴み掛かってくる。このモンスターも魔従姫の配下であり、接触者の設定と記憶を操る力を持っていたのだ。
「……!」
 晶は即座にガトリングガンでストーンスタチューを破壊するが、その時すでに石像の手は彼女に触れたあとだった。
 魔従姫のユーベルコードは強力で、職業や種族といったキャラの根幹に関わるものまで改竄できる。そして最終的には、新たな魔従姫の配下として忠誠を誓うことになるのだ。

(体が段々硬くなっていく……いや、ボクはストーンスタチューじゃなかっけ?)
 記憶と種族を弄られ、認識の齟齬に困惑する晶。これは演技ではなく、本当に敵のユーベルコードを受けた結果だ。
 今や彼女の肉体は完全にモンスター化しており、どこを触っても返ってくるのは硬い石の感触だ。それを疑問に思う感情さえ消えていく。
(何もおかしい所は無いね。そこの空いている台座がボクの定位置だったような)
 身も心もストーンスタチューとなった晶は、先程自分が壊した"先代"の座に立って動かなくなる。どこからどう見ても主君の命令を待つモンスターだ。これまで愚かにも魔従姫に逆らったプレイヤー達も、同じ末路を辿ったのだろう。

「フ……フハハハハ! やったぞ!」
 ついに猟兵のモンスター化に成功した魔従姫は、歓喜のあまり高笑いする。設定や記憶をすり替えてもプレイヤーのレベルに変更はないため、ストーンスタチューとなった晶は今でも並のモンスターより強い。この窮地に強大な戦力を得られた彼女の脳内には「逆転」の二文字が浮かんでいただろう。
「ハハハハ……ハッ?!」
 ゆえに、喜びのあまり気付かなかった。自分のすぐ傍に忽然と開いた、空間の穴に。それはブラックホールのような吸引力で魔従姫を吸い寄せ、別の空間に引きずり込もうとする。これぞ、晶が洗脳される直前に発動していた置き土産――【邪神の誘い】である。

「なッ、なんだこれは……おい! お前、はやく手を……」
 配下に助けを求める前に、魔従姫の姿は穴の中に消えた。その先に広がっていたのは"停滞"と"静謐"を司る邪神の神域。不気味さを感じるほどの静寂の中、希少金属で構成された飛龍型の使い魔たちが、群れをなして待ち構えている。
「ど、どこだ此処は! ワレの城は……ッ?! か、身体が……!」
 狼狽する間もなく、魔従姫の身体は末端から白金の輝きに染まって硬直していく。ここで動くことを許された者は、神域の主である邪神と眷属のみ。それ以外の者は連れてこられたが最後、停滞の神気に侵されながら使い魔の"洗礼"を受けることになる。

(配下がいない神域で神気で動きを停められつつ、100体以上の使い魔に帝竜の領地で攻撃されれば、白金像になるしかないよね)
 晶自身は依然として配下モンスター化したままだが、さりとて魔従姫を助けるわけではない。【邪神の誘い】は発動から時間差で効果を発揮するタイプのユーベルコードで、発動時に指定した敵だけを神域に取り込む。なので、助けたくても助けられないと言ったほうが正しい。
「やッ、やめろッ! こんなのはイヤだ! ここから出せ! 出してくれぇぇぇッ!!!」
 神域に閉じ込められた魔従姫の叫びは誰にも届かない。邪神の神気に蝕まれ、使い魔から希少金属のブレスを浴びせられ、生きたまま彫像に変えられる恐怖を味わいながら、絶望の中で死ぬ。それが彼女に与えられたバッドエンドだ。

「こんな……バカな、ことが……」
 かくして、一度は数多の奴隷とモンスターの主として君臨した『魔従姫』は、誰にも看取られぬまま最期を迎えた。
 同時に、予め仕込んでおいた催眠術の作用で、晶は正気を取り戻す。城主が消えたフロアで、彼女はキャッスルクリスタルにガトリングを向ける。
「これで制圧完了だね」
 けたたましい銃声と共に砕け散るクリスタル。どこからともなく聞こえてくるのは、勝利を告げるファンファーレ。
 これをもってバグプロトコルの城は猟兵の制圧下となり、囚われていたゲームプレイヤー達が解放されていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 冒険 『収容所からの脱出』

POW   :    心の折れそうな人々を叱咤し、励ます

SPD   :    監視の目を掻い潜る脱出ルートを見つけ出す

WIZ   :    分かりやすく簡潔な指示を伝える

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 バグプロトコルの城主『魔従姫』を倒し、キャッスルクリスタルを破壊したことで、攻城戦は猟兵の勝利となる。
 これにより「制圧済み」となった城からは、奴隷化されていたプレイヤーが解放される――はずだった。

 だが。砕け散ったキャッスルクリスタルの向こうに、突如として別の場所の光景が投影される。
 そこはゲーム内の世界ではなく、現実の強制収容所のような建造物。そして、そこにはゲームをプレイするためのヘッドセットやバイザーを付けた人々が多数いる。

『な、なんだ……?! ここは何処なんだ?』
『俺達、ゲームを遊んでたはずだよな?』
『それがヘンな城に閉じ込められて、やっとログアウトできたと思ったのに……?!』

 映像の向こうからは、人々の困惑の声が聞こえてくる。
 どうやらこれは、この城に囚われていたキャラクター達のプレイヤーが、|統制機構《コントロール》で置かれている現状のようだ。
 ゲームの中だけではない。彼らの身柄はすでに現実世界でも、統制機構に確保されてしまっていたのだ。

 ゴッドゲームオンラインにいる猟兵は、統制機構側にテレポートすることはできない。
 しかし向こうの声が聞こえているということは、こちらからもモニターを通して声だけなら届けられるようだ。
 投影された映像は、施設全体を上から俯瞰するような視点だ。うまく指示を出せば、囚われた人々を収容所の外まで脱出させられるかもしれない。

 そして、統制機構からログインしているゲームプレイヤーの猟兵だけは、収容所に直接赴くことも可能だ。
 だが統制機構に戻ったゲームプレイヤーは猟兵の力を一切使えない、ただの一般人に過ぎない。行くならそのことを念頭に置いたうえで、何ができるかを考えねばなるまい。

 いずれにせよ統制機構によるゴッドゲームオンラインの干渉、そしてプレイヤーへの非道な行為は明らかとなった。
 知ってしまった以上、無視することはできない。囚われたプレイヤーを真の意味で解放するために、猟兵達は収容所からの脱出を手引する――。
ゼーレ・ユスティーツ
…どうしよう、とりあえず話を聞きなさい
私はパニックになっている人々を呼びかける

『声をかけるだけでは駄目だね…』
UCの効果で鎌が時空呪神エーリュシオンの声が統制機構の人々の頭の中に響く(ゼーレは呼びかけるのに夢中で気づいていない)
『…喝!』
エーリュシオンはUCを使用して彼らの精神に干渉する
彼らの思考は一時停止したのを確認して優しく問いかける
『まずは周りを見てみよう…何がある?』
彼らに周りを見るように問いかけ次々と手掛かりを見つける

あら?突然落ち着いたわ…流石に変ね
『ああ…僕がやったんだよ』
と何かが頭に語りかけて来た

……えっ?誰?
『あ、やっと僕の声が聞こえたね』
ようやくエーリュシオンの声が聞こえた



「……どうしよう、とりあえず話を聞きなさい」
 パニックになっている収容所の人々に、呼びかけてみるゼーレ。しかし声が届いているからといって、耳を傾ける余裕があるかは別問題だった。あちらはゲームをしていると思ったらいつの間にかこんな場所に連れてこられた状況だ、恐怖と混乱の渦中にあることが映像からも見て取れる。
『声をかけるだけでは駄目だね……』
 そこに再び現れたのは【時空呪神・エーリュシオン】。話す内容もそうだが、ますはこちら側に意識を向けてもらわなければ始まらないと彼は考える。ゼーレのほうは相変わらず、呼びかけるのに夢中で気付いていないようだが――。

『……喝!』
 ユーベルコード【時と空間】を用いたエーリュシオンの叫びが、統制機構の人々の頭の中に直接響く。その声量か、あるいは精神効果の作用がゴッドゲームオンラインからも届いたのか、彼らのパニックはより大きなインパクトに吹き飛ばされ、思考が一時停止する。
『……?!?!』『な、なに、今の声……』
『まずは周りを見てみよう……何がある?』
 それを確認してから、エーリュシオンは今度は優しく問いかける。脱出の手がかりは必ずどこかにあるはずで、それを見落とさないことが第一歩だと。ゲームの世界にいる彼の視点からは収容所の全体図が見えており、ヒントを出すのは難しくなかった。

「あら? 突然落ち着いたわ……流石に変ね」
 人々のパニックが急に収まり、収容所の探索を始めたのを見ていたゼーレは、何が起こったのかと首を傾げる。話を聞けとはいったものの、さっきまでの向こうの状況はとても聞いてくれるような様子ではなかった。自分が気付いていない"何か"が起きている。
『ああ……僕がやったんだよ』
 その"何か"ことエーリュシオンの声が、ふいに頭の中に語りかけてくる。これまでずっと傍にいながらも、姿を見ることも声を聞くこともできなかった存在。しかし今、彼女は初めてその声を認識し、ハッと驚いた様子で振り返った。

「……えっ? 誰?」
『あ、やっと僕の声が聞こえたね』
 ようやく自分に気付いてくれたのかと、エーリュシオンの声色に喜びが混ざる。ゼーレからすればやっとも何も、今突然聞こえてきた謎の声でしかないが、共闘しているのにも気付かなかったさっきまでと比べれば大きな一歩である。これを切っ掛けに二人の物語はどう動きだすのか、それはまだ誰も知らない――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菜花・深月
どうしよう!うち…今は統制機構に入れないよ!皆〜!落ち着いて!お願い!
パニックになる人達に呼びかけるも誰も聞いてくれない

そうだ!光れ!うち!
UCを発動して映像越しにいる人々の気を一瞬で引く

大丈夫!今からうちが皆を案内するから落ち着いて聞いてね!
うちはまず施設全体を見てから監視を確認しながら脱出ルートの指示を出す

うん、うちはムーン…元ゲームプレイヤーだよ
もしかして…ムーン?といきなり言われてそれを認めた

うちも昔、このゲームで遊んだから…そのゲーム仲間をここで見殺しにするわけには行かないからね!あっ…そこ警備がいるから気をつけて!

…そういえばうちってどうやってケルベロスディバイドに行ったんだろう?



「どうしよう! うち……今は統制機構に入れないよ!」
 元は統制機構出身だが、あちらの世界で神隠しにあい、別世界で猟兵に覚醒した深月。今の彼女はゲームプレイヤーの『ムーン』ではなく、生身の状態でゴッドゲームオンラインに転移しているため、他の異世界猟兵と同じく統制機構に「ログアウト」できない。そこに人々が囚われていると分かっていても、直接向かうことはできないのだ。
「皆〜! 落ち着いて! お願い!」
 必死に映像越しに呼びかけるも、パニックになった人々は誰も聞いてくれない。ゲーム内の奴隷労働からようやく解放されたと思ったら、リアル側でも知らない場所に閉じ込められていたのだ。落ち着けと言われても無茶な話だろう。

「そうだ! 光れ! うち!」
 なんとか人々の気を引こうと【生まれながらの光】を発動する深月。だが彼女は勘違いしていたのだが、向こうの様子がこちらに映っていても、向こうにこちらの姿は映っていないのだ。届けることができるのは残念ながら声だけで、映像を見せることはできない。
『……えっ? 今の声って、ひょっとして』
 だが、彼女の努力は決して無駄ではなかった。必死に張り上げた声が収容所にいるプレイヤーの幾人かに届き、多少なりと落ち着きを取り戻させたのだ。もしかすると反応した人々は以前、彼女とゲームで会ったことのあるプレイヤーかもしれない。

「大丈夫! 今からうちが皆を案内するから落ち着いて聞いてね!」
 何にせよパニックが収まったのを確認すると、深月は投影された映像から施設全体を見て、監視を確認しながら脱出ルートの指示を出す。人々がいるのは収容所のかなり奥の場所で、出口までの道のりは遠いが――それでも、やってみせなければ。
『やっぱりその声、もしかして……ムーン?』
「うん、うちはムーン……元ゲームプレイヤーだよ」
 指示を聞いたプレイヤーの一人に問いかけられると、彼女はもうそれを否定しなかった。まさか、こんな形で昔の知り合いと再会するとは思わなかったが、あの頃のゲームを純粋に楽しんでいた時の記憶を忘れてはいない。色んなプレイスタイルはあっても、こんな目に合わされていいプレイヤーなんて一人もいなかった。

「うちも昔、このゲームで遊んだから……そのゲーム仲間をここで見殺しにするわけには行かないからね!」
『ありがとう……!』
 これ以上彼らを悲惨な目にあわせないと、決意をもって語る深月。声の主が自分達と同じプレイヤーだと分かれば、人々も多少は安心して指示に従ってくれるようになった。信用と共感を得るという意味で、このカミングアウトには重要な意味があったと言えるだろう。
「あっ……そこ警備がいるから気をつけて!」
『わかったわ!』
 慎重に慎重を期して敵の警備網をすり抜け、監視の目をかい潜るプレイヤー一行。これも深月の的確な指示あってこそだ。パーティプレイ時に仲間に指示する機会もあったのだろうか。罠と敵だらけのダンジョンから脱出するように、収容所の出口へ向かう――。

(……そういえばうちってどうやってケルベロスディバイドに行ったんだろう?)
 指示を送りながら深月はふと、自分がどうやってあの地獄から脱出できたのか首を傾げる。グリモアの力と無関係な世界間の移動、いわゆる「神隠し」と呼ばれる現象は複数例があるが、その原因や法則性はまったく把握されてない。
 もし、それが分かっていれば、彼らをあの世界から逃がすこともできるのに――そんなことを考える深月であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メイティナ・ヴァーンフォルカ
メイティナさん…頼む!
【了解、もう一つの終断!】
UCを画面に放ち映像が放つ光の起源を書き換えて落ち着く光に書き換えて落ち着かせる

【皆さん、これから脱出ゲームをします】
大丈夫だ!俺達がちゃんと指示を出すからよ!…まずは声を抑えてくれよ?
と安心させる様に言いつつ指示を出す

一旦、二手に別れようぜ?あっ鉄棒は拾ってね?
【急いで走り抜けてください】
分かれ道があるので二手に分ける事にした

裕士側
「まずは鍵を奪おう!もうすぐ看守の気が逸れるだろうから…背後から殴れ」
音がして看守が後ろを向いた瞬間、背後から殴り気絶させた

メイティナ側
【音を鳴らしてください…床を思いっ切り踏んでください】
で看守の気を引く音を出した



「メイティナさん……頼む!」
【了解、もう一つの終断!】
 裕士の願いに応えて、メイティナは投影された映像に向かって覇王神剣『エア』を振るう。映像が放つ光の起源を【もう一つの終断】を書き換えて、皆を落ち着かせるつもりだ。あちら側には映像が届いていないことが分かったので、光の代わりにリラックスできる音楽に上書きする。
『なに、この音?』『ゲームのBGM……?』
 混乱状態にあった人々も、この音を聞けば多少は落ち着きを取り戻す。とはいえ理解できない状況に置かれた不安は消えないだろう。パニックが再発しないように注意を払いながら、彼らを収容所の出口まで無事に導かねばならない。

【皆さん、これから脱出ゲームをします】
「大丈夫だ! 俺達がちゃんと指示を出すからよ! ……まずは声を抑えてくれよ?」
 そこで二人は芝居を打つ。これは現実を舞台にしたゲームと言い聞かせ、人々の不安を紛らわせることにしたのだ。
 ここに収容されているのは全員ゴッドゲームオンラインのゲームプレイヤー。多少怪しくても乗ってくれるのではないかという期待も込めてである。
『げ、ゲーム?』『随分手が込んでるけど……運営の仕業か?』
 疑いの目を向ける者は少なくなかったが、現実的に考えても、ここで立ち止まっても状況が好転するとは思えない。
 やがて人々はメイティナと裕士の指示に従って、ゆっくりと移動する。人生を賭けたリアル脱出ゲームの始まりだ。

「一旦、二手に別れようぜ?」
 移動開始から程なくして分かれ道に行き当たると、そこで人数を二手に分け、一方を裕士が、もう一方をメイティナが誘導することにする。一時的に別行動しなければギミックを解決できない脱出ゲームがあるが、それと同じ要領だ。
「あっ鉄棒は拾ってね?」
【急いで走り抜けてください】
 裕士側とメイティナ側では、状況と本人の性格によって指示も変わる。お互いの指示が混ざらないよう気をつけて、映像を眺めながら各々の担当チームを誘導する。ここからは看守の数も増えてきて、難易度が上がってくる頃合いだ。

「まずは鍵を奪おう! もうすぐ看守の気が逸れるだろうから……背後から殴れ」
『分かったよ……』
 裕士側では鉄棒を握りしめたプレイヤーが、物陰から看守の様子を窺っている。あちらも囚人の脱走には警戒しているようで、なかなか隙を見せてくれないが――ここでメイティナが、もう一方のプレイヤーのグループに指示を出す。
【音を鳴らしてください……床を思いっ切り踏んでください】
『こ、こう?』
 ドンドン、と床を踏み鳴らす音は施設内を反響し、裕士側にいる看守の耳に届いた。「何の音だ?」と確認のために後ろを向く、その瞬間が不意打ちをかける絶好のチャンス。即座に裕士は「今だ!」とプレイヤーに指示を飛ばした。

『え、えいっ!』
『ぐわッ?!』
 物音に気を取られたところに背後から殴られた看守は、バタリと倒れて気絶する。ゲームの中でモンスターを倒すようにはいかないが、素人にしては頑張ったほうだ。そして看守の懐からはドロップアイテムならぬ、この収容所の鍵束が転がり落ちる。
【上手くいきましたね】
「鍵を取るのを忘れるなよ!」
 メイティナと裕士は引き続き皆を応援し、励まし、警告し、脱出までのルートを全力でアドバイスする。今のところは順調だが、外に出るまで油断はできない。世界を支配する統制機構の魔の手は、どこから伸びてくるのか分からないのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

印旛院・ラビニア
「なんで来ちゃったかなー僕」
強制収容所の近くまで来てそんなことをぼやく。顔がバレないようパーカーを目深に被り、正体がバレないように変装もしておく
「外側から手伝えること……」
ログアウト前に収容所の俯瞰やマップ、監視カメラなどを把握できるだけ確認。理想は潜入して脱出の手引きだけど、難しそうだよね。
「とりあえずは……」
監視カメラや周囲の人目を【忍び足】で掻い潜って施設へ近づき、あらかじめ買っておいた飲み物の瓶などを収容所の塀の中めがけて【投擲】。捕らわれていたプレイヤー達の脱出ルートから離れた場所で大きな音を出すことで、施設内の警備の注意を引いて陽動するよ
「今できるのはこのくらいだけど……」



「なんで来ちゃったかなー僕」
 強制収容所の近くまで来て、そんなことをぼやくのはラビニア。いや、ここでは「白羽・慧兎」と呼んだほうがいいだろう。ゲームプレイヤーである彼女はログアウトすれば統制機構に戻ることができるが、こちらの世界ではゲームのスキルもアイテムもユーベルコードも使えない。ただの一般人だと自覚した上で、それでも足が動いてしまった。
「外側から手伝えること……」
 顔がバレないようパーカーを目深に被り、正体がバレないように変装もして、慎重に様子を窺う。ログアウトする前に収容所の俯瞰図やマップ、監視カメラなどは把握できるだけ確認してきたが、リアルで見ると余計に厳重に感じる。

「理想は潜入して脱出の手引きだけど、難しそうだよね」
 もし「ラビニア」の身体能力や装備品があれば、外壁をひとっ飛びして収容所に忍び込み、監視の目を掻い潜って、華麗に人々を救い出せたのだろうが、無いものを考えたところで仕方がない。リアルの慧兎は平々凡々と暮らしていた廃ゲーマーなのだ。
「とりあえずは……」
 慧兎は監視カメラや周囲の人目を忍び足で避けて施設へ近付き、あらかじめ買っておいたドリンクの瓶を取り出す。
 記憶が正しければ、この辺りは捕らわれているプレイヤーの脱出ルートからは外れていたはず。あくまで通行人のふりをしながら瓶の中身を飲み干すと、彼女は空き瓶をぽいっと後ろ手に放り投げた。

(上手くいきますように……)
 結構な力を込めて投げられた空き瓶は、収容所の塀を越えて敷地内に落ち、パリンと大きな音を立てる。それを聞きつけた警備員が動くのを確認すると、慧兎は見咎められる前にそそくさとその場を後にする。統制機構の管理する施設だと、この程度のイタズラでも冷や汗ものだ。
「なんだ……?」
 やって来た警備員は割れた瓶を見て首を傾げ、周囲に怪しい者はいないか確認してから、元の持ち場に戻っていく。
 その所要時間はせいぜい数十秒だろう。だが、この僅かな時間が、今まさに脱出を図っているプレイヤーにとって、警備の目が外れる貴重なチャンスとなる。

「今できるのはこのくらいだけど……」
 あとはゴッドゲームオンラインから指示を出している猟兵が、うまくプレイヤーを導いてくれるよう祈るしかない。
 落ち着かない気持ちを表に出さぬよう努めながら、慧兎は同様の手口を他の場所でも何度か繰り返し、陽動を行う。囚われたプレイヤーか、あるいは統制機構に対する言葉にできない感情が、今の彼女を衝き動かしていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リュール・ディールーク
邪龍二人

あっヴェイル!ちょうどよかった!皆さんを落ち着かせ…
と言いかけた時、映像から凄い音がした
『さっさと静かにしなさい、時間の無駄です』
UCの効果で顕現したルアンが映像に向かって斬撃波を放つ(起源を変える力の応用で概念斬を映像越しに放ったので誰もいない壁に斬撃の跡がつく)

ルアン強引なのは良くないですよ、後…何で攻撃が統制機構の方へ届いてるんですか
『…レントの時の癖が皆さん、失礼しました』
と皆を落ち着かせて指示を出す

これは鍵が必要ですね…
しばらく進むと厳重な扉がある部屋に着く

『時間がありません、扉から皆様…今すぐ離れなさい』
とおかしな敬語を使いながらルアンが再び画面に概念斬を放ち扉を切り裂いた


ヴェイル・ディールーク
邪龍二人

お姉ちゃん!やっと会えた!
姉に駆け寄ると映像から凄い音がした

…ルアン何やってるのおぉぉぉぉぉぉ!看守に気づかれるよおぉぉぉ!
『あっ…これが効率いいですから』
ルアンはあっやば…という顔していた

不味い!看守が…えっ?嘘何で?
看守が入ってこようとしたら再び概念斬を看守の頭上に放ち瓦礫に当たった看守は気絶する

その後静かにしろと言ったら皆が黙った


ルアン…普通の人は斬撃を見た地点で硬直するよ?時間無いから急ごうよ…
とルアンを急かす

…不味いよさっきルアンが斬撃を放ったせいで看守達も、もうすぐ来ちゃう!
厳重な壁で足止めを喰らうもルアンがまた破壊した

お願いだからレントみたいにギミック無視しないでよ…もう



「お姉ちゃん! やっと会えた!」
「あっヴェイル!」
 バグプロトコルとの戦いが終わり、猟兵が制圧した城内で、邪龍の少女達は懐かしい相手との再開を果たしていた。
 元は邪龍達が住まう集落の長を務めていた妹のヴェイルと、冒険者になると言って集落を飛び出した姉のリュール。この二人は姉妹だったのだ。
「ちょうどよかった! 皆さんを落ち着かせ……」
 集落のまとめ役だった妹なら、パニックに陥っている人々も宥められるだろうと考えるリュール。だが、それを言いかけた瞬間、何かが裂けるような凄い音がする。びっくりして振り返ると、そこには【蘇りし勇者の剣の精霊】の効果で顕現したルアンが仁王立ちしていた。

『さっさと静かにしなさい、時間の無駄です』
 ルアンは統制機構の映像に向かって突然斬撃波を放ったのだ。起源を変える力を応用した彼女の概念斬は、誰もいない壁に斬撃の跡を刻みつける。今の音はその衝撃によるもので、向こう側にいる人々はみな目を丸くして驚いている。
「……ルアン何やってるのおぉぉぉぉぉぉ! 看守に気づかれるよおぉぉぉ!」
『あっ……これが効率いいですから』
 慌ててヴェイルが咎めると、ルアンは「あっやば……」という顔でバツが悪そうにするが、人々を落ち着かせるのに今のが手っ取り早かったのは確かである。もっとも、引き換えに騒音が看守の注意を引いたことも間違いないだろう。急いで行動する必要がありそうだ。

「ルアン強引なのは良くないですよ、後……何で攻撃が統制機構の方へ届いてるんですか」
『……レントの時の癖が皆さん、失礼しました』
 呆れ半分驚き半分で、意外と強引な一面もある相方を注意するリュール。ルアンも今回ばかりは素直に謝罪すると、収容所の人々に指示を出し始めた。彼女達の前に投影された映像には、警棒を持って近付いてくる人影が見えている。
「不味い! 看守が……えっ? 嘘何で?」
 このままだと鉢合わせになる、と慌てるヴェイル。だがルアンが再び概念斬を放つと、看守の頭上に瓦礫が落ちる。
 脳天に直撃を食らった看守は「ぐえっ」と潰れたカエルのような悲鳴を上げて気絶。どういう原理か分からないが、ルアンの能力は世界の境界を超えてあちらに影響を及ぼしているように見える。それとも、ただの偶然だろうか。

『な、なにが起こってるんだ?!』
『静かにしなさい』
 目の前で次々に起こった怪現象にプレイヤー達は困惑するが、ルアンが語気を強めれば皆が黙る。この声の主に逆らうのは不味いと直感したようだ。ゲームからログアウトした彼らは無力な一般人なので、怯えるのも無理はなかった。
「ルアン……普通の人は斬撃を見た地点で硬直するよ? 時間無いから急ごうよ……」
『……そうですね』
 ヴェイルのとりなしで気を取り直し、改めて脱出に向けて動きだす一同。なるべく音を立てないよう慎重に、しかし看守に捕まらないよう迅速に出口を目指す。収容所の内部は迷路のように入り組んでいるが、全体を俯瞰できるゴッドゲームオンライン側からの指示があれば、道に迷うことはない。

「これは鍵が必要ですね……」
 しばらく進んだところで一行は厳重な扉がある部屋に辿り着く。どうやらカードキーやパスワードなど複数のロックがかけられているようで、解錠手段は別の場所にあるか看守が持っているのだろう。いずれにせよ今から引き返すのは無理だろうとリュールは呟いた。
『時間がありません、扉から皆様……今すぐ離れなさい』
 おかしな敬語を使いながら、また画面に概念斬を放つルアン。すると、轟音を立てて扉が真っ二つに切り裂かれた。
 迅速に道を開くにはこれしか手段が無かったのは事実。しかし扉を破壊したことで警報が鳴り響き、収容所内の警戒レベルはさらに上がる羽目になった。

「……不味いよさっきルアンが斬撃を放ったせいで看守達も、もうすぐ来ちゃう!」
『大丈夫です』
 いよいよ窮地が迫る中、今度は頑丈な隔壁で一行は足止めを食らう。ヴェイルが青ざめるが、ルアンはもはや平然とした様子で概念斬を放ち、壁を破壊していく。ここまで騒動が大きくなれば、今更遠慮しても意味はないとばかりに。
「お願いだからレントみたいにギミック無視しないでよ……もう」
 強引というかゴリ押しというか、正攻法から程遠い手口にヴェイルは頭を抱えるが、人命がかかっているので強くも言えない。ともかく今は無事にプレイヤー達を安全な場所に逃がさなければと、姉と一緒に指示を送るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
多分SPD

無機質な声色作って『これから命懸けの脱出ゲームをしてください』とか言って反応を見るぜ
他の猟兵の声が混じってバレたらごめんちゃい☆
漫画でよく見かけるからやってみたかったんだよ!

統制機構とGGOが密接に繋がっている証人として脱出する義務があるので誘導すると説明しなおすよ

上に進めとか向こう側視点だと困る言い方しては修正します
敵(?)ぽいのが来ている方向を迂回させたり、武器になりそうなもの(鉄パイプや消火器)を拾うよう指示する
背中を見せている警備兵を背後からパイプで殴ったり、消火器叩きつけてドアを壊したりしてもらうぜ

なんかプレイヤーを操作しているような感覚に陥りそうだね
どっちがリアルなのやら



「これから命懸けの脱出ゲームをしてください」
『デ、デスゲーム!?』
 わざと無機質な声を作って映像の向こうにいる人々に呼びかけ、反応を見る燦。本人はもちろん冗談のつもりだが、ゲームでもリアルでも訳のわからない事態に巻き込まれ、気がつけば知らない場所に閉じ込められていた人々にとってはシャレになってない。
「ごめんちゃい☆ 漫画でよく見かけるからやってみたかったんだよ!」
 どうせ他の猟兵の声が混じってすぐにバレるので、パニックに拍車がかかる前にネタバラシする。ビビらされた人々からは『おいフザけんな!』と文句を言われるが、統制機構とゴッドゲームオンラインが密接に繋がっている証人として脱出する義務があるので誘導する、と説明しなおせば一応納得はしてくれたようだ。

「よし、じゃあまずは上に進め」
『上? ってどの方角?』
「おっと。そっちから見ると、えーっと……」
 そんなこんなで誘導を始める燦だったが、向こう側の視点だと通じない言い方をしては、たびたび指示を修正する。
 収容所を俯瞰視点から眺められるのはゴッドゲームオンラインにいる猟兵だけで、当人達に上とか下とか言われても分からない。一人称視点を意識して言葉を選ばなければ。
「その分かれ道、向かって右側から敵ぽいのが来てるから、反対に迂回してくれ」
『わかった!』
 慣れてしまえばそんなに難しいことでもない。徘徊する看守と鉢合わせないよう監視の目をかい潜り、出口を目指すだけだ。最初に「命懸けの脱出ゲーム」と言ったのもあながちウソではない。統制機構の手の者に捕まればどんな目にあうか分かったものでは無いのだから。

「その辺に武器になりそうなものがあったら拾っとけ」
『これのことか?』
 暴力が必要になる事態にも備えて、燦は通路に設置された消化器や落ちている鉄パイプなどを人々に持たせておく。
 そこからちょっと進んだ先に警備員が立っている。ゲームの外では一般人であるプレイヤーが、ガチで戦うのは荷が重いが、背中を見せた隙を狙えば――。
「今だ、ぶん殴れ」
『うりゃっ!』『えいっ!』
 後頭部をパイプでぶん殴られた警備兵は『ぐえっ?!』と悲鳴を上げてあえなく気絶。他の連中が来る前に、鍵のかかったドアに消化器を叩きつけて突破口を作る。指示される側もだんだん慣れてきたようで、先に進むほどスムーズになってきた。

(なんかプレイヤーを操作しているような感覚に陥りそうだね。どっちがリアルなのやら)
 ゲームと現実が逆転したような奇妙な状況に、ふとそんなことを考える燦。そもそも、ただのオンラインゲームにしては異質すぎるゴッドゲームオンライン、そして統制機構という二つの世界には、まだ多くの謎が隠されていそうだ。
 そちらも気にはなるが、今はこの収容所からの脱出ゲームを終わらせるために、彼女は指示を続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミノア・ラビリンスドラゴン
ふ~む、あれがゲームの外の世界ですの?
初めて見ますが、なかなか碌でもない様子ですわね

今までは|遺伝子番号《ジーンアカウント》を焼却することで初めて人権剥奪ができていましたが、人権を有した状態で捕らえるとはどういう理論武装かしら?
……いえ、そもそもキャラクターとプレイヤーを紐付けることが、いつ可能に?
「管理と抑制による停滞」を至上目的とする|統制機構《コントロール》が、技術的な進歩を?

転移は……できませんわね
ならば【龍の叡智】を以って脱出ルートを割り出しますわ!
【逃亡阻止】の知識を活用して警備の穴(急所突き)を推測!
【ハッキング】で欺瞞情報(データ攻撃)を撒いて発覚を遅らせますわ!



「ふ~む、あれがゲームの外の世界ですの?」
 ゴッドゲームオンラインの管理者AI、すなわちゲームの世界で生まれた存在であるミノアは、当然ながら統制機構を訪れたことはない。この世界がゲームであり、自分達がAIだということも知っているが、実際にプレイヤー達の言う「リアル」を見るのは不思議な感覚だ。
「初めて見ますが、なかなか碌でもない様子ですわね」
 目の前の映像に映し出されているのは、無機質な収容所に閉じ込められたプレイヤー達の姿。ゲームの中で手に入れたスキルも装備も使えず、訳のわからない状況に困惑する不憫な人達だ。イベントだとしてもだいぶ悪趣味なあたり、あちらの世界の「管理者」は少なくとも善人ではなさそうである。

「今までは|遺伝子番号《ジーンアカウント》を焼却することで初めて人権剥奪ができていましたが、人権を有した状態で捕らえるとはどういう理論武装かしら? ……いえ、そもそもキャラクターとプレイヤーを紐付けることが、いつ可能に?」
 これまでになかったバグプロトコルと、その背景の動きから考察を深めるミノア。『管理と抑制による停滞』を至上目的とする|統制機構《コントロール》が、一般人の知らないうちに技術的な進歩を遂げていたとすれば、とんだ欺瞞だ。あちらも色々と手段を選ばなくなってきたという事かもしれない。
『ど、どうすりゃいいんだ?』『助けてくれー!』
「あっと、いけませんわね」
 興味が尽きることはないが、現在進行系で被害にあっている人々を放置もできない。このまま収容所にいれば、彼らが何をされるか分かったものではなかろう。思索を打ち切ったミノアは改めて映像と向き合い、脱出プランを考える。

「転移は……できませんわね。ならば【龍の叡智】を以って脱出ルートを割り出しますわ!」
 管理者AIに与えられた膨大なリソースを割いて、高速演算を実行するミノア。主に戦闘で敵の攻撃を予測するために使われるユーベルコードだが、応用の幅は広い。特に今回の「収容所からの脱走」というシチュエーションは、彼女の本職にも通じるものだ。
「皆様! わたくしの声が聞こえていまして? 今から案内しますので、指示通りに進んでくださいませ!」
『こ、この声は……?』『なんだか知らんけど、分かった!』
 迷宮の支配者として培った逃亡阻止の知識。それを活用して「自分ならどうするか」という視点を元に、この収容所を作った連中の警備の穴を推測する。この考え方はゲームでも外の世界でも通用するものだ。キビキビと人々に呼びかける、彼女の指示は迷いなく的確であった。

「どこまで通じるか分かりませんが、できる事は全部やっておきますわ!」
 さらにミノアはゲームの中から外の世界へのデータ攻撃を試み、情報欺瞞を撒いて脱走の発覚を遅らせようとする。
 原理は分からずとも向こうの様子が視えているなら、何らかの情報的接続がある。それを糸口にしたハッキングだ。
「今の内ですわよ! 次の曲がり角を右に!」
『はいっ!』
 一定の成果はあったのか、警備や看守はまだこちらに近付いてこない。その間に人々は駆け足で収容所を移動する。
 今まさにダンジョンからの脱出気分を味わっているプレイヤーも多いだろう。それを誘導しているのがゲームの迷宮の主というのも、思えば不思議な話である――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
届けられるのは声だけ
絵を見せれないのは厄介だね

出たとこ勝負で誘導すると詰むかもしれないから
情報を整理しておこう
投影された映像を書き写し
建物の構造や監視の位置を頭に入れるよ

丁度良い物が無いから床を削って
概略図を描いてみよう
やたら硬い石の爪なら床でも軽く削れるね

…種族ってどうすれば戻せるんだろう
書き換えられたのはこのゲームのキャラ設定だから
他の世界に行けば戻るんだろうけど

とりあえず声で誘導する分には
不都合無いから後で考えよう
怖いくらい違和感ないし

情報が頭に入ったら
プレイヤーに逃げる方向を伝えよう
自分は攻城戦に参加したプレイヤーで
ゲームの中からそちらの状況が見えると伝えて
誘導に従ってくれるよう頼むよ



「届けられるのは声だけ。絵を見せれないのは厄介だね」
 プレイヤーが囚われている収容所の映像を眺めながら、晶はどうやって彼らを誘導するか考える。こちらからあちらの様子は見られても、逆にあちらはこちらの姿が見えないようだ。音声だけで分かりやすい指示を出すのは、慣れていないと相当難しい。
「出たとこ勝負で誘導すると詰むかもしれないから、情報を整理しておこう」
 そこで彼女は投影された映像を書き写し、建物の構造や監視の位置を頭に入れておく。まずは自分の脳内で情報が整理できていなければ、的確な指示はできないだろう。書くのに丁度いいものが無かったので、床を削って概略図を描くことにした。

「やたら硬い石の爪なら床でも軽く削れるね……種族ってどうすれば戻せるんだろう」
 先程の戦闘でストーン・スタチュー化している晶は、石化した指先をペンのようにしてガリガリと図を描いていく。
 なお、書き換えられたのはこのゲームのキャラ設定なので、他の世界に行けば元に戻るのだろうが、ユーベルコードの効果がいつ切れるのかは不明である。
(とりあえず声で誘導する分には不都合無いから後で考えよう。怖いくらい違和感ないし)
 魔従姫の"置き土産"のことは置いておいて、早急に解決すべきはプレイヤー達のほうだ。床を削って線を引き、重要そうな通路と部屋、そして警備員を点で書き込み、出口までの順路を確認する。警備の配置が変わった時も想定して、複数のルートを考えておこう。

「よし、覚えた。みんな聞こえる?」
『うわっ!』『だ、誰?』
 情報が頭に入ったところで、晶は収容所にいるプレイヤーに声をかける。あちらはゲームをログアウトしたと思ったら見知らぬ場所で目が覚めて、混乱と不安の渦中にいるようだ。できればきちんと説明して落ち着かせたいが、今は時間が惜しい。
「僕は攻城戦に参加したプレイヤーで、ゲームの中からそちらの状況が見えてる。出口まで案内するから、話を聞いて」
『あ、あんたがあの城から俺達を出してくれたのか?』『助けてくれるのね? お願い!』
 手短に状況を伝えて誘導に従ってくれるよう頼むと、プレイヤー達は藁にも縋る思いで頷いた。ゲームの世界では武器や魔法を使いこなす彼らも、統制機構では無力な一般人だ。罠ではないかと疑う余裕もないようで、素直なのはこちらとしてはありがたい。

「じゃあ、よく聞いてね。まずは……」
 自分で概略図を描いた記憶を元に、逃げる方向を伝える晶。警備に気付かれたり鉢合わせたりしないよう、慎重に、静かに移動するよう言い含めて。さながら脱出ゲームをプレイしているような感覚だが、これは遊戯ではなく現実の人間の人生がかかっている。
「次の曲がり角を右に。その先の扉を開けたら、ゴールはもうすぐだよ」
『は、はいっ』『あとちょっと……!』
 声だけの指示に最初は戸惑っていたプレイヤーも、次第に慣れたようで移動がスムーズになる。リアルな疲労や緊張を感じながら、逃げるために必死に足を動かし――そしてついに、扉を開けた先で、澄んだ外の空気が彼らを迎える。

『出られた……』『やった!』『ありがとう! ほんとうにありがとう!』

 収容所からの脱出を果たしたプレイヤー達は、ここまで導いてくれた猟兵達に心からの感謝を叫ぶ。
 ゲームではバグプロトコルに、リアルでは統制機構に囚われていた彼らは、ようやく自由の身となれたのだ。



 かくして、猟兵達はバグプロトコルとの城攻めクエストに勝利し、囚われのゲームプレイヤーの解放を成し遂げた。
 一方で発覚した、バグの裏にある統制機構の陰謀。ゴッドゲームオンラインの内外に渦巻く悪意との戦いは、新たな局面に入りつつあるのかもしれない――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年05月07日


挿絵イラスト