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【戦後】馬娘にも衣裳の盛岡城

#サムライエンパイア #戦後 #【Q】 #再送歓迎 #プレイング受付中

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●ウマに感謝しよう
 ここはサムライエンパイアの盛岡藩領内、滝沢村。普段は静かな農村だが、今日は年に一度のお祭りということで、地元の村人のみならず近隣の村や町から訪れた人々で賑わっていた。そのお祭りというのが――。

「おみよちゃん、ほんに綺麗ねぇ」
「今年はおらの娘も参加するはんで、たんげ楽しみにしとったじゃ」

 会場である滝沢蒼前神社の中心にいたのは、祭りの衣装を綺麗に着飾った年頃の娘たち。だが、よく見れば彼女らの下半身は二足歩行ではなく、いわゆるケンタウロス型であった。そう、彼女らは皆『ウマ』獣人なのである。
 滝沢蒼前神社から盛岡八幡宮まで『ウマ』の娘たちが練り歩き、その年の豊作への祈りと『ウマ』への感謝を捧げる祭り。それが『チャグチャグ馬コ』である。

●所変われば品変わる
 グリモアベースに出現した黒板と教壇、そしてお約束のように出てくる句坂・野乃(主婦兼アマチュア作家・f41457)。今回は『チャグチャグ馬コ』と書きだした。
「はい注目。
 えー、この『チャグチャグ馬コ』というのは岩手県の伝統的なお祭りで、その年の豊作を祈りつつ農耕馬に感謝する祭りなんですが、どうやら世界が変わると祭りの内容も変化するらしいです。まぁ具体的に言うとサムライエンパイアの話なんですが。」
 黒板に地図が張り出される。
「ウマが滝沢蒼前神社から盛岡八幡宮まで練り歩くのは同じですが、こちらではウマはウマでも『獣人のウマ』が主役でして、若いウマ獣人たちが祭りの衣装を着飾ってパレードするんですよ。これには、盛岡八幡宮の霊力を滝沢蒼前神社に分け与えるという意味もあるみたいですね。」
 へー、と感心したような顔の猟兵もチラホラ見受けられる。
「で、本題はここから。この祭りに乱入しようとするオブリビオンが現れるので、皆さんでぶちのめしてください。」
 どこからか「身も蓋もないな!」とツッコミが飛んできたが、野乃は意に介さず話を続ける。
「具体的な場所は盛岡八幡宮の敷地に入る手前です。この辺は鳥居前町になっていて、多くの店が軒を連ねています。なので皆さんは見物客やお店に被害が出ないようにしてください。周囲では盛岡藩士の皆さんが警備に当たっているので、避難誘導は彼らが行ってくれます。」

●鳥居前町を見学しよう!
「ところで、皆さんが現場に到着してからオブリビオンが乱入するまでそこそこ時間があります。なので、ついでに周辺を散策してみるのはどうでしょうか?」
 野乃から提案が出た。
「現場は元々が鳥居前町なので色々なお店がありますが、祭りに合わせて屋台も出店しています。食べ歩きするもよし、的屋で遊んでみるのもよし、店を覗いて冷かしてみるのもよし、もちろん祭りの行列を見に行くのだってオッケー。ただし、盛岡八幡宮内部は入れるのが祭りの関係者のみで、今回皆さんの参拝はできないようです。」
 野乃のチョーク型グリモアが輝く。
「敵はどうやら単騎で出現するようです。それでは皆さん、頑張ってください。」


武炎鉄
 こんにちわ、武炎鉄です。33作目は初のサムライエンパイア!タイトルは『馬娘』と書いて『まご』と読みます。
 シナリオ自体は去年のうちに出来ていたのですが、リアルでの祭りに合わせるべく温存していました。

●第1章は盛岡八幡宮周辺を散策します。選択肢は特に意識しなくても大丈夫です。
●第2章は祭り行列に乱入してきたオブリビオンを倒してください。詳細は断章にて。
●その他連絡事項はタグでお知らせします。
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第1章 日常 『城下町そぞろ歩き』

POW   :    居酒屋や小料理屋で腹を満たすぜ

SPD   :    的屋(まとや)で遊んでいこう

WIZ   :    書物屋や古道具屋をひやかしてみるか

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●初夏、駒は路を行く
 参拝と祈祷を終えた祭りの列が滝沢蒼前神社を出発したのは、朝日が昇り空がすっかり明るくなってからのことだった。
 先導する2人の盛岡藩士の後ろに、藩主や大老、代官らを乗せたウマ獣人たちが続く。これらは名誉ある役目とされており、村の若衆の中でも特に見目麗しいものが選ばれる。そして一般の村娘たちがその後ろに続いて歩くのである。
 片道4時間、往復で8時間の旅路であるが、途中で参拝という名の休憩もあり、目的地である盛岡八幡宮では宮司らの歓待を受け長めの休息を取れる。実にスローな祭りである。
 若衆や村娘たちは代々受け継がれてきた艶やかな、鈴が大量に付けられた小荷駄装束を身に纏い、一世一代の晴れの日を迎えるのだ。
天野・陽輝
盟友の麗奈さん(f44908)と参加

今頃から夏祭りの季節がはじまるらしい。生まれ故郷ではむしろ祭りを主催する方だったので伝統ある祭りを体験するのが楽しみだ。今回の「チャグチャグ馬コ」は現実とはちがって元気な獣人の馬の若者が躍動するようだ。いいねえ。舞台のいいアイディアになりそうだ。

ドルイドだけあって豊穣の祭りは気になるようだね麗奈さん。どの世界も豊かな実りを願う気持ちは同じだ。うちわが売ってるなら買い求めて周辺を探索してみよう。

普段はサクラミラージュにいるから帝都とは違う魅力が見れていい。ここは真っ直ぐで綺麗な熱気が溢れてるね。


神城・麗奈
盟友の陽輝さん(f44868)と参加

ドルイドとして豊穣の夏祭りは興味あるよ。さすが日本の異世界だけあって馬の獣人が踊るようだね?元気な姿が多く見れそうで楽しみだ。

多く人が集まるだろうから狙う奴もいるんだろうね。この祭り、絶対つつがなく開催して進めないとね。確実に神に祈りが届くように。

最近暑いので店でうちわを買って事前に時間があれば滝沢蒼前神社と盛岡八幡宮をみてみたい。

お祭りというから陽輝さんがいいものがみれると楽しみにしているようだ。ここは清浄で心地よい空気が満ちてる。まもりたいよね。



●盛岡城下は晴天なり
 初夏の青空が賑わう盛岡の街を包む。爽やかな一陣の風が鳥居前町を吹き抜けていった。そこに現れたのは異装の二人連れ。天野・陽輝(眩耀の曙光・f44868)と神城・麗奈(天籟の氷華・f44908)だ。
「|ここ《サムライエンパイア》には初めて来たが、穏やかな所だな。」
 行きかう人々の表情には時折笑みが混じる。2人の故郷であるダークセイヴァーとは大きく違う。
「空も風も大地も、平和そのものって感じだね。」
 ドルイドである麗奈には自然の意志が直接伝わっている。

 今でこそ平和なサムライエンパイアであるが、かつてはオブリビオン・フォーミュラ『織田信長』及び彼が率いる魔将軍と猟兵らの間で起きた戦争『エンパイア・ウォー』、それに続く猟書家の侵略と二度、大きな危機に立たされた。
 それらを退けて今の平和が存在しているのだが、この先何が起きるのかまだ分からない。人々はひとまずの平和を謳歌しているのだった。

「あれは何だろうね?」
 気になった店の中を覗き込んだ麗奈が呟く。
「竹細工?」
 陽輝は他の世界で竹細工の工芸品を見たことがあった。
「お客様、気になる品はありましたでしょうか?」
 店内から店員と思しき男が出てきた。
「もっとじっくり、お手に取られてみてはいかがでしょう?」
 店員の勧めもあり、店内へと足を踏み入れる。店内にはさまざまな大きさの竹籠や竹で作られたへらや匙、弁当箱や箸といった竹製品が並べられている。
「これなんていいじゃないの?」
 麗奈が手にしたのは、朝顔が描かれた団扇だ。
「なら私はこれにしようかな。」
 陽輝が選んだのは、向日葵が描かれた団扇だった。

 団扇を手に再び街を歩くと、遠くから声が聞こえた。声のする方に人々が集まっていく。2人も流れに乗り、声のする方へと歩いて行った。
「サッコラーチョイワラッセー」
 そこには揃いの装束と花笠を被った人々が掛け声を上げながら、笛を吹き、太鼓を叩きつつ踊る姿があった。もう一つの盛岡伝統の祭りである『さんさ踊り』である。
 本来は夏の盛りに行われる祭りだが、馬コの行列が到着するまでの時間を利用して踊りを披露しているのだ。
 笛と太鼓の軽やかなリズムが音楽家である陽輝の創作意欲を刺激する。『天籟のマンドリン』を取り出し、リズムに合わせて旋律を紡ぎ出す。観衆の熱狂が次第に加速する。そして踊り手と観衆が入り混じり、輪になって踊りだす。麗奈も観衆と共に踊りに加わった。

 サムライエンパイアにおける『さんさ踊り』の由来は、羅刹の山賊団を初代盛岡藩主が成敗したことに始まるとされている。改心した羅刹たちは盛岡藩への忠誠を誓い、それに喜んだ民衆が神社で踊ったのだという。

 遠くから鈴の音が聞こえると共に、踊りの輪が次第に止んでいく。本来の祭りの主役である馬コたちが近づいてきたのだ。
「あれが主役のウマ獣人たちか。」
 マンドリンを弾く手を止めた陽輝が呟く。
「初めて見る衣装だけど、思ってた以上に派手だね。」
 装束に取り付けられた大量の鈴が太陽の光を反射する。麗奈が興味を惹かれるのも無理はない。と、行列の中にいたウマ獣人の少女があどけない笑みを浮かべてこちらに手を振った。2人は微笑ましく思いながら手を振り返したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪

お祭りっていいよね~♪
特にこの雰囲気がいい!
食が進むよ~★

お祭りの雰囲気を楽しみながら、ゆっくり食べ歩きをするよ♪
屋台で買った食べ物を、【大食い】で次々と食べていくね♪

UCは『クローネちゃんの愛用品★』
【大食い】を100レベルにして、いっぱい食べられる様にするよ♪



●クローネの盛岡食紀行
「ここまで大きな祭りに来たの、サムライエンパイアでは初めてかも★」
 楽し気な笑みを浮かべて鳥居前町を歩くのはクローネ・マックローネ(|闇《ダークネス》と|神《デウスエクス》を従える者・f05148)。今回は夏祭りということで、それに合わせて衣装も淡い青色の浴衣に着替えてきた。
「お祭りと言えばやっぱり屋台だよね~♪」
 出店している屋台は選り取り見取りだが、まずはジュウジュウと小気味いい音と湯気を立てる屋台を覗いてみることにした。

 職人が慣れた手つきで、小麦粉ベースの生地を鉄板の上で丸く薄く焼いていく。その上に天かすやネギ、紅ショウガに桜エビが振りかけられ、最後に海苔が2枚乗せられた。最初はお好み焼きだろうかと思ったクローネだったが、それとはまた微妙に異なるようだ。
 最後に、焼きあがった生地を割り箸にクルクルと巻きつけ、醤油を塗る。醤油の少し焦げた香りが食欲を刺激した。
「おじさん、これ何て料理なの?」
「娘さん『うす焼き』を知らないのか。この辺の祭りには欠かせないんだ。」
 とりあえず1本買い求め、味見をする。
「んっ、美味しい♪もう1つ下さいな♪」
 その後、この屋台ではなんやかんやあって合計5本の『うす焼き』を購入し、全て美味しく平らげたクローネであった。

 屋台巡りも一息ついた頃、蕎麦屋の前を通りかかったクローネは店の壁に張られた一文に興味を惹かれ、中へと入っていった。そこにはこう書かれていた。

『わんこそばあります』

 サムライエンパイアにおける『わんこそば』は、農村を視察に訪れた初代盛岡藩主をもてなす為、村人たちがそばを持ち寄って振る舞ったことに始まるとされている。それが時代を経るごとにチャレンジメニューの類になっていくのだから、世の中分からないものである。

「ご注文はお決まりでしょうか?」
「わんこそば下さい★」
 クローネの一言に、注文を聞きに来た女給が一瞬『冗談でしょう?』と言いたげな顔をした。女給は何度もクローネに確認を取ると、準備に時間がかかる旨を伝えて厨房へと消えていった。
 しばらくすると、クローネの前に黒い漆塗りの椀と薬味が並べられ、女給がお盆に乗せられた大量の赤い小さな椀を持ってきた。
「お待たせしました、こちらがわんこそばです。」
 女給が簡単なルール説明を行う。
「最も重要なこととして『急いで食べる決まり』というのは本来存在しないということです。」
 元々藩主に対し供された料理だ、急ぐ必要など存在しない。クローネは納得した顔で話に頷いていた。
 そして女給の説明も終わり、肝心のわんこそばをいただく。
「最初の1杯は薬味を入れず、そば本来の風味を味わってください。」
 一口分に纏められたそばが、汁と共に黒い漆塗りの椀に入れられる。
「いただきます★」
 ブラックスライム製の箸でさっと口の中にそばを運べば、口から鼻にかけ濃密なそばの風味が駆けていく。汁はそばの風味を邪魔しないよう、薄目ながらも味はしっかりとしている。
「はい、どんどん!」
 給仕の元気な声と共に、一口サイズのそばが黒い漆塗りの椀に入れられ、それを啜る。クローネの前には赤い小さな椀の山が築かれていった。
 食べ始めてから約2時間。厨房から職人と思しき人物が出てきて、給仕に何か耳打ちをした。
「あの、お客様。本日分のそばが無くなりそうなのでそろそろこの辺で終わりにしていただけないかと……。」
 申し訳なさそうな顔の給仕の心情を慮ったクローネは、空になった黒の椀に蓋をした。
 さて、クローネは今回700杯近くのそばを平らげた。女性の平均が30杯から60杯、男性でも60杯から80杯であることを考えると、店のそばを喰いつくしかけたのは伊達ではない。

 会計を済ませ、店の外に出たクローネ。
「シメのデザートは無いかな~♪」
 あれだけ食べておきながら、まだ食べる気だ。彼女は軽い足取りで散策を再開するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第二『静かなる者』霊力使いの武士
一人称:私 冷静沈着

こういう祭りには、悪霊であることも相まってあまり行かないのですが…孫的存在に引っ張られてきました。
私なのは…ああ、先月、あまり一緒にいられなかったからですね。
そして、お目当ては…ふふ、なるほど。たしかに…この地ならではの行列ですし。見ごたえがありそうです。

※祭りに行きたい孫的存在たち
陰海月「ぷきゅー!」
霹靂「クエッ!」
お祭りだ!メインで見るのは、行列!だって、着飾ってのパレードなんて、素敵に決まってるから!
食べ物は…ちょっとだけね!先月食べすぎたんだ!(主に陰海月が)



●1人と2匹のそぞろ歩き
 人通りの多い賑やかな往来を、楽し気な足取りの大きなクラゲとヒポグリフが行く。
「ぷきゅ~!」
「クエッ!」
 その後ろを、穏やかな表情の男が付いて行く。
「ほらほら、ちゃんと周囲を見て人にぶつからないように。」
 孫に対する祖父のような空気を漂わせながら、2匹に声を掛けるのは馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)。悪霊である彼にとって、祭りというのはあまり縁のないものであったが、今回は『陰海月』と『霹靂』の要望に応え、『ケルベロス・ウォー』で頑張ったご褒美として盛岡を訪れていたのだった。

 さて、お目当ての祭り行列であるが、彼らはちょうど中津川の河川敷で休憩しているところだった。藩主や大老、代官などは一度ウマを降り、ウマ獣人たちは軽食を取っている。ここからまた盛岡八幡宮に向けて歩くのだ。晴れ渡る空には遮る物などなく、遠くに岩手山が雄大に聳える。一幅の絵画のような光景だ。
 橋の上からその様子を眺めていた義透たちだが、1人の若衆が興味深げに近寄ってきた。
「おーい、その羽の生えたウマみたいな生物は何だー?」
 どうやら霹靂の存在が気になるようだ。元々ヒポグリフはグリフォンと雌馬の間に生まれたとされる幻獣。ならばウマ獣人が興味を示すのも最もである。そこで義透らは河川敷へ降りることにした。
 不審がる盛岡藩士に『天下自在符』を提示すると、猟兵がこの場にいることに驚きながらも、フリーパス状態で通してくれた。

「へー、近くで見ると大きいな。」
「触っていいかい?」
「この子光ってる!綺麗!」
 霹靂のそばに若衆たちが集まる。陰海月の周りには娘たちが群がり、きゃあきゃあと黄色い声を掛ける。どちらもこの辺では見かけることのない生き物だ。珍しがるのも無理はない。
 アイドル的扱いを受け、満更でもない2匹の様子を眺めながら、義透はウマ獣人たちが身に着けている装束に目をやった。

 ヒト型の上半身は、若衆たちは揃いの黒の腹掛けと半纏を身に纏い、白地に紺色の点が規則正しく並べられた豆絞りの手拭いを鉢巻状に頭に巻いている。娘たちは豆絞りの手拭い上に藁で編まれ、赤い布で作られたぼんぼりで飾られた笠を被っている。身に着けているのは紺色の絣の着物に水色の手甲で、黄色い帯を結んでいる。これらは滝沢村の隣、雫石村に伝わる『あねっこ衣装』と呼ばれるものだ。
 そしてウマ型の下半身であるが、『ゆいあげ』と呼ばれる腹巻に、漆塗りと金属細工で飾られた鞍を背中に乗せ、その上に『ふたのぶとん』と呼ばれる飾りぶとんを乗せると、上り坂で鞍が後ろにずれ込まないようにする『むながい』と下り坂で鞍が前にずれ込まないようにする『尾挟み』で鞍を固定し、鞍の下に『くざずり』と呼ばれる部品を付ける。鞍の前後には飾り帯が付けられ、装束に華やかさを与える。そのいずれもが丈夫な、良質の麻で作られている。そして全体に付けられた鈴が歩く度揺れ『チャグチャグ』と音を鳴らす。
 装束は冬の農閑期に手直しが行われ、代々親から子、子から孫へと受け継がれている一点物だ。

「では皆、そろそろ向かうとしよう。」
 一際威厳を感じさせる男がウマ獣人や藩士に呼びかける。どうやら彼が藩主のようだ。
「では我々も戻りましょう。」
 義透が陰海月と霹靂に声を掛けた。2匹は名残惜し気にウマ獣人と別れ、義透と共に沿道に並んだ。

 祭りは、もう間もなく山場を迎える。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ビシャ門天』

POW   :    上杉謙信の技を真似る気だったけど1本しか使えま天
【1本の『ただの刀』】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    「多聞天」は「よく聞く所の者」って意味なんだっ天
【極めて優れた聴力で周囲の動きを感じ取って】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    上杉謙信の技を真似てみたらなんか凄い事になっ天
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。

イラスト:8mix

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はパヨカ・カムイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●怪しい鳥、現る
 祭りもいよいよ佳境、祭列が目的地である盛岡八幡宮へと近づいてきたその時だった。
「あいや、待たれよ!」
 突然上空から、進路を塞ぐように舞い降りたのは、鎧に身を包んだ謎の鳥。背中には『ビ』と記された旗が翻る。
「津軽藩の刺客か!?」
 抜刀し、沿道の観客を守るようにしつつ謎の鳥を取り囲む盛岡藩士たち。それに対し、謎の鳥は素っ頓狂な声で反論した。
「津軽ぅ!?あんな辺境の魑魅魍魎共と一緒にするでないぞ!我が名は『ビシャ門天』、かの軍神『上杉謙信』を操っていた黒幕である!」
 その場に居合わせた全員が「絶対に嘘だ」と言いたげな顔を浮かべた。

 何とも言えぬ空気を無視するように、待ち伏せていた猟兵たちがオブリビオンの前に進み出る。
「待て!お前たちの手に負える相手では……」
 止めようとした盛岡藩士は、サムライエンパイアにおける猟兵の証『天下自在符』を目にした。
「まさか、猟兵!?これは失礼した!皆、ここは猟兵に任せて我々は民衆と祭り行列を守るぞ!」
 応、と声を上げ、方々へ散らばる盛岡藩士たち。彼らの誘導により、民衆がその場から離れだした。
「えっ、逃げるの!?我神ぞ?本物の神ぞ?」
「いや、お前鳥の化物だろ?」
 若い藩士が直球の一言を放った。
「ええい、どいつもこいつも取り扱いしおって!皆討ち取ってくれるわ!」
 『ビシャ門天』が刀を構えた。
天野・陽輝
盟友の麗奈さん(f44908)と参加

祭りも盛り上がってるのに物騒な奴が乱入してきたね。この世界でも津軽と盛岡は対立してるんだね。まあ、ここら辺は私たちの関わるところでは無い。

上杉謙信、越後の虎。ストイックな生き様で有名な軍将。私も興味がある。で、目の前にいる鳥は何者かね?偉大な軍将はそう簡単に真似できるものではない。毘沙門天じゃなくてビシャ門天らしいし。

調子に乗って強化されたら大変なので即急にケイロンの進軍を発動。容赦無く引き潰す。刀の達人である事は確かなので【残像】【オーラ防御】【心眼】で回避して【拳銃格闘術】で対応する。もちろん味方の攻撃にあわせて【援護射撃】【火力支援】するよ。


神城・麗奈
盟友の陽輝さん(f44868)と参加

おや、この鳥が件の乱入者かね。神?ただの武士の格好した鳥だろう。上杉謙信は家族から聞いてしっているよ。まさに毘沙門天と言われるに相応しい生き様だったと聞いている。そう簡単に真似できるものではないよ?神もどき。

でも一人でくるから術は強いんだよね。念の為【回復力】【結界術】【オーラ防御】の用意をしといてソーン・オブ・ミストルティン!!これ、相手が多いと効きにくいからね。単独できてくれてよかったよ。

これだけでは済まないよ!!【凍結攻撃】+【誘導弾】で追撃するよ!!

そういえばここでは史実通り盛岡藩と津軽藩が仲悪いんだね。まあ、ここは関わることではないけどね。



●対立事項の国
 盛岡藩藩主である南部家と、津軽藩藩主である津軽家の対立はサムライエンパイアが群雄割拠の戦国時代だった頃まで遡る。津軽家は当時北東北全土を統治していた南部家を裏切り、津軽平野一帯を領土として独立したした。北東北において貴重な穀倉地帯である津軽平野を失ったことで、南部家、ひいては盛岡藩及びその分家である八戸藩、七戸藩には津軽への敵対心が強く残ることとなった。
「ここでも南部と津軽は対立しているのか……。」
 何とも言えぬ顔で陽輝が呟いた。この2藩、アース系世界の歴史では概ね似たような経緯で対立しており、現代の青森県でもこの対立構造が続いているのだ、

「この鳥が件の乱入者かね。」
 麗奈が呟いた。
「上杉謙信の話は家族から聞いて知っているよ。」
 『エンパイア・ウォー』において、上杉謙信はオブリビオン・フォーミュラである第六天魔王『織田信長』の配下『魔軍将』の一人として、大量のオブリビオンを配置した『車懸かりの陣』と『毘沙門刀』という12属性の刀を駆使し、猟兵たちと関ヶ原で激突した。
「まさに毘沙門天と言われるに相応しい生き様だったと聞いている。」
 数多もの猟兵を相手に一歩も引くことなく、誇りある戦士として戦い、骸の海へと去っていった越後の龍。彼が生きていたら猟兵たちは『エンパイア・ウォー』とその後の猟書家の侵攻においてもっと苦しめられていただろう。
「あの生き様はそう簡単に真似できるものではないよ?神もどき。」
「『もどき』は余計だぞ、魔女。」
 ビシャ門天が麗奈に刀を突きつけた。

「射手と芸術の神よ、力を借りますよ!!」
 『絢爛の銃』から弾丸が発射された音を合図に、ビシャ門天が刀を手に駆けだす。
「ビシャ門刀連斬!」
 謙信のユーベルコード『毘沙門刀連斬』を真似ようとするも、ビシャ門天の刀は1本しかない。1本しかない刀でどう真似しようというのか。それはともかく、麗奈は攻撃を警戒して周囲に回復効果を持つ結界を張り巡らせる。
「1本しかない刀でも、一瞬で1000回斬りつければ刀を12本持つも同じ!」
「どんな計算なんだ!?」
 刀を回避しながら思わず突っ込む陽輝。計算ができないとか理不尽とかそういうレベルではない。攻撃の手数を増やすことに特化した斬撃に銃撃と音属性の魔法をカウンターで繰り出す。

「足元は見ているかい?」
 麗奈が『氷華の杖』を地面に向ける。
「ヤドリギの力、存分に受けな!」
 杖からヤドリギの枝が放たれ、ビシャ門天の足元を固定する。そこに冷気の塊が放たれ、更に氷で強化される。
「足が封じられたからといって、そう簡単に止められると思うな!」
 刀を天に掲げるビシャ門天。すると、空がにわかに曇り始めた。
「ビシャ門刀天変地異!」
 だが、その前にウマ獣人の若衆たちが現れた。皆、祭りを邪魔されたことについて一様に怒りを隠していない。
「おめぇ、知ってるか?『チャグチャグ馬コの日は必ず晴れる』って。」
 先頭に立っている青年――盛岡藩主を背中に乗せていた若衆だ――がビシャ門天に問う。
「それがどうした!」
「天気を操るおめぇの術は使えないってことだ!」
 青年の全体重をかけた踏みつけがビシャ門天に襲い掛かる。農耕馬の一般的な馬体重は800㎏から1トン、品種によっては1トンを超えるものも珍しくない。これだけの体重が急所目がけて襲い掛かるのだ、オブリビオンであっても無事ではいられない。
「やっちまえ!」
 若衆から袋叩きにされるビシャ門天。装束に付けられた鈴が激しく鳴り響く。その様子を呆然と見守っていた陽輝と麗奈だったが、我に返り若衆の補助に徹することにした。
 陽輝は激しく響く鈴の音に合わせ『天籟のマンドリン』を奏で、音属性の魔術による火力支援を行い、麗奈は若衆たちに回復の魔術を施した。

 若衆たちが去った後、そこには気が済むまでボコボコにされたビシャ門天の姿が残されていた。
「お、おのれ~!」
「言っておくけど、自業自得だからね?」
「全面的に同意だな。」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪

なんだかビルシャナみたいなヤツが出てきたねぇ♪
言ってる事の真偽はわからないけど、祭りの邪魔だしとっとと始末してしまおうか★

UCは『ワタシの忍者ちゃんとエインヘリアルちゃん』
ビルシャナっぽいヤツが相手だし、こっちもデウスエクスの力で行こうか!
螺旋忍軍ちゃんとエインヘリアルちゃんを召喚して一緒に戦ってもらうよ♪
二人は手裏剣と剣による【切断】攻撃で、クローネちゃんはガンナイフによる【弾幕】で戦うね♪



●天部より明王の方が格上なんだっ天
 クローネはビシャ門天の姿にどこか見覚えがあった。とはいえコイツと直接戦ったことは無い。ならばこの感覚はどこから来るのか。
「あ、ビルシャナか★」
 ビルシャナとは、ケルベロスブレイドの世界において自ら『光の使徒』を名乗り、この濁世にて遍く衆中一切を救済する事を目的として動いていた鳥人間型のデウスエクスだ。彼らを束ねていた十二創神『衆合無ヴィローシャナ』はケルベロスたちとの対話の末、別の宇宙へ旅立つことを選んだ。それ故なのか、ケルベロスディバイドはもちろんのこと、縁も所縁もないような世界にも似たような姿のオブリビオンがあちこちにいる。もしかしたら、ヴィローシャナ自身もどこかの世界にいるのかもしれない。

 それはさておき。現実問題としてビシャ門天が祭りの邪魔をしているのはよろしくない。怪しい鳥は早急に退場願おう。
「螺旋忍軍ちゃん、エインヘリアルちゃん、やってしまって!」
 クローネの影から黒装束の螺旋忍軍と、漆黒の鎧を身に纏ったエインヘリアルの戦士が現れた。
「誰が来ようと同じことよ!ビシャ門刀連斬!」
 ビシャ門天は刀を構え、今度は攻撃力に特化した一撃を放つ。だがそれは黒鎧のエインヘリアルの剣によって防がれた。
「今だよ♪」
 隙を突き、ビシャ門天の背後に大量の螺旋手裏剣が放たれ、回避する間もなく螺旋手裏剣が背中に突き刺さる。そこに黒鎧のエインヘリアルが剣を突き刺し追撃を加える。
「逃がさないよ♪」
 クローネも浴衣の懐からガンナイフを取り出し、ビシャ門天が逃げられないよう弾幕を張る。
「な、なかなかやるではないか。」
 ボロボロになりつつも立ち続けるビシャ門天。見た目以上にタフなのだろう。そこは流石に毘沙門天を名乗るだけのことはある。

「ところで、クローネちゃんの知っているビルシャナはみんな『明王』だったけど、ビシャ門天ちゃんは違うの?」
「ビルシャナ?何のことかな?」
 ビシャ門天は明らかにすっとぼけた顔をしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『静かなる者』にて
武器:白雪林

直立した鳥にしか見えませんが…。(わざとな挑発)

陰海月が踊り始めたら…ええ、癒しですね。楽しみまして。
それから、白雪林で氷雪属性の霊力矢を射掛けましょう。
わかったとて…さて、その行動速度低下で、避けられるかどうか?


陰海月「ぷきゅ!」
UC使って光って踊る。これを予測できても、何だそれってなって回避は考えないでしょ!な感じ。
霹靂「クエッ!」
友が踊ったら、楽しむ!さらに、矢の軌道を見て、追撃の突撃体当たり!



●鳥類が聞き取れる音の範囲は狭いらしい
「直立した鳥にしか見えませんが……。」
 義透がビシャ門天を挑発するように言い放った。
「だから鳥扱いするな!」
 ビシャ門天の返答に『やっぱり気にしているのでは』?と内心思いつつ、白い長弓『白雪林』をいつでも放てるように構える。

 静寂が周囲に漂う。ビシャ門天は優れていると自負する聴力を研ぎ澄まし、攻撃を回避する体勢を取った。勿論、カウンターで斬撃を繰り出せるよう力を蓄えつつである。
 と、風に乗って遠くから太鼓のリズムと笛の旋律が聞こえてきた。さんさ踊りのリズムだ。
「ぷきゅ!」
 陰海月がゲーミングカラーに発光しながら、リズムに合わせ踊りだす。霹靂も楽し気にステップを踏み、さながらセッションのようだ。
「待て待て待て、何だその踊りは!」
 思わず突っ込むビシャ門天。光り輝く陰海月が視界に入るようで、どうにも集中できないようだ。一方の義透はニコニコと笑みを浮かべ、微笑ましく踊る2匹を見守っている。しかし、『白雪林』の構えは解かない。
「ああ、もう!」
 回避の体勢から攻撃に転ずるも、集中が切れた影響か動きが鈍るビシャ門天。その隙を義透は見逃さなかった。氷雪の霊力を矢に込め、狙いを定め放つ。ビシャ門天は矢が風を切る音を聞き取ったものの、鈍った体の動きでは回避することができず、矢の直撃を受けた。矢に込められた氷雪の霊力が身体を氷漬けにする。そこに霹靂が追撃とばかりに体当たりを喰らわせ、氷ごとビシャ門天を砕いた。

 安全が確認され、祭りが再開されたのは夕暮れの少し手前だった。ウマ獣人の祭列が朱塗りの大鳥居をくぐる。彼らはここで今年の豊作を祈り、盛岡八幡宮の霊力を滝沢村まで持ち帰るのだ。
「今年はどうなるかと思ったが、皆のおかげで助かった。ありがとう。」
 盛岡藩主からささやかな礼として、特別に盛岡八幡宮の中へ招待された猟兵たちは、ウマたちと共に大いに歓待されたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年07月02日


挿絵イラスト