●己とは何か
我ガ主ヨ、命令ヲ―。
「我らが主、鉤爪の男様は死にました」
鉤爪様ガ死ンダ―理解不能―。
「鉤爪様は猟兵たちに敗れ、志果たすことなく骸の海へと消えました。先んじて滅びた我らのオリジナルと同様に」
理解不能―理解不能―。
「貴方が理解できるかを問うてはいません。現在我々は貴方の指揮下にあります。命令を」
命令―私ガ―私ノ―。
私ノ知ル―命令ハ―。
●何を持って己を明かすか
「あなたのメルでございます。本日はアリスラビリンスでの依頼でございます」
メル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)が集まった猟兵にハンバーグを配る。が、それを口にした猟兵の一部が怪訝な表情を浮かべた。
「はい、大豆肉でございます。今回の敵も代替品や量産品となりますので」
そう言ってメルは依頼の説明を始める。
「今回ある不思議の国がオウガによって攻め落とされました。その不思議の国を奪還して欲しいのです」
オウガ・オリジンが倒れた時がそうであったように、例えオウガ・フォーミュラが全て倒れてもオウガたちが大人しくなることなどない。初めて猟兵が|この世界《アリスラビリンス》を訪れた時と、状況はある意味では何も変わっていないのだ。
「オウガ達は不思議の国の中心に聳える城と、それを取り巻く広い迷路のような庭園を根城としています。まずは庭園に巣食うオウガを撃滅して城への進入経路を確保して欲しいのですが……ここに配置されているオウガは『量産型機甲戦乙女『モデル・ロスヴァイセ』』です」
その名に居合わせた者からどよめきが起こる。機甲戦乙女ロスヴァイセ、それは三年半前、猟書家の侵攻が始まると同時にアリスラビリンスの不思議の国を消して回った、初期26人のうちの一人である。
確かに、彼女自身もその主である鉤爪の男同様機械の存在だ。同型が量産されていてもおかしな話ではない。
「彼女らは庭園を飛行して巡回し、進入してきた者を射撃します。その能力は量産型相応に廉価版となっていますが、冷徹で己の身を顧みない思考はオリジナルと同様です」
鉤爪の男への忠誠心を除き、まるで情のようなものを持ち合わせていなかったロスヴァイセ。その思考を踏襲し侵入者を冷徹に滅しようとするという。
「さらに、彼女との戦場になる庭園には入ってきた者に近づいてくる石像がいくつも配備されています。これに触れてしまうと庭園の外に強制ワープさせられてしまい、迷路に挑みなおしとなります。石像は飛べませんが、空中は量産型ロスヴァイセが固めているので抜け道はありません」
敵と戦いながら抜けなければならない道を振り出しに戻される。それは肉体精神双方を相当に削られることになろう。
「ただ、この石像は敵が用意したものではなくこの国固有の存在。石像に触れればロスヴァイセもまた庭園の外に放り出されます。そして幸いなことに、この国には生き残った原住民の他アリスの方も訪れていまして……ワープ先で待ち構えて貰っておけば量産型一体くらい袋叩きにして倒してくれるでしょう」
特にアリスは猟兵と面識があり、さらに猟書家との邂逅経験すらあるという。説明すれば全面的に協力してくれるだろう。
「量産型ロスヴァイセを全滅させれば城に入ることができます。そこで待ち構えているのは『MW-01マインカンプ』というオブリビオンマシンです」
オブリビオンマシン、それは|ここではない世界《クロムキャバリア》を蝕む殺人機械。だが、この世界にそれがいることを疑問に思う者は最早いないだろう。
「彼は鉤爪の男が持ち込んだマシンで、搭載された洗脳機構をもって不思議な国同士を戦争させるつもりでいました。ですが、その命が下される前に鉤爪の男は戦死。全てが終わってから動き出した彼は今はもういない主に捧げるべく、この国を戦乱の地にするため攻め落としたのです」
それは機械ゆえの融通の利かなさか、あるいは自らの全てに等しい命令に縋り続けているのか。
「彼は自身の戦闘能力の他、大量の対人兵器の射出や敵味方を誤認させる認識阻害能力も持っています」
自身で戦うと同時に、アリスラビリンスにいる全ての存在を戦いの泥沼に引き込むことを目的とした能力。超弩級の闘争を作り捧げること、それが彼の存在理由なのだろう。
「そしてさらに、この城の中にはあちこちに『真実の鏡』というものがあります。これは質問すると『この不思議の国内部の事』限定で何でも答えてくれる魔法の鏡です。彼はこれをもって侵入者の情報を把握、万全の体制で迎え撃ってきます」
それはオウガ・オリジンに意味もなく殺された彼女の側近の力が固まった存在。迷宮災厄戦の忘れ形見のような存在だが、確かこれは。
「はい、この鏡もまたこの城固有のもので、別に誰の味方でもありません。鏡はあちこちに生えているので、こちらも色々質問してみてもいいでしょう」
質問は声に出さねばならないので、戦闘中に長々と何回も繰り返せるものではない。敵はこちらの位置や能力を把握していることを前提として、それを切り返す|最良の質問《シルバーバレット》を投げてみるのもいいだろう。
「彼は自分の能力の一部を『侵略蔵書』と名付けています。鉤爪の男はいずれ彼を猟書家に列するつもりだったのか、あるいは彼なりの鉤爪の男リスペクトのつもりなのか……」
禁軍ですらない猟書家のなりそこない。そのあるかどうかも分からない心の内は、簡単に察せるものではないだろう。
「この城を取り返せれば、この不思議の国は平和になります。さっきも言いました通り石像と鏡はこの国固有のもの。奪還後は城を守る防衛設備として、この国やアリスを守る力となってくれるでしょう」
事件解決後、この国の原住民たちは城を中心に強固な防衛体制を築き上げるつもりのようだ。件のアリスにとっても、しばらく身を休められる場所となるだろう。
「猟書家の侵攻も過去の話になりつつあります。いつまでも同じネタを引きずらせないため、皆様どうかよろしくお願いします」
そう言ってメルはグリモアを起動し、落とされた不思議の国へと猟兵を送り出した。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。
今回はアリスラビリンスでの依頼です。
攻め落とされた不思議の国を奪還するため、猟書家の忘れ物達を駆逐していただきます。
第一章では『量産型機甲戦乙女『モデル・ロスヴァイセ』』との集団戦。彼女は空を飛びオリジナル同様の射撃戦主体の戦法をとってきます。戦場は広大な迷路のような庭園で、さらに地上では触れたものを迷宮外へと嬌声ワープさせる石像が巡回しています。この石像に触れないようにする、または敵を触れさせて放り出すような行動があればプレイングボーナスとなります。
敵が石像に触れた場合、外で待っているアリスと愉快な仲間たちが袋叩きにして倒してくれます(一度にあまり大量に送らなければ)。
第二章では『MW-01マインカンプ』とのボス戦。彼は機銃や搭載兵器による戦闘の他、敵味方を誤認させる力を持っています。
ここには聞かれたことには何でも応える『真実の鏡』があり、敵はこちらの能力や場所などすべて把握しており、奇襲や待ち伏せも有り得ます。鏡はこちらも使えるので、的確な質問をすればプレイングボーナスとなります。注意点として、鏡が答えてくれるのはこの世界の中の事のみなのと、PC間でのセンシティブな質問は(プレイング内で同意が確認できる場合を除き)禁止です。
アリスのみこの章でも加勢してくれますが、流石にボスと正面から渡り合える強さではありません。
以下、アリス紹介。
ラモーナ・ロス(13歳、女) 種族不明(元は人間)のプリンセス×国民的スタア。
赤い髪と瞳のアリスの少女。アリスラビリンスに来たばかりの時猟書家に捕まって以降、猟兵や猟書家、他のアリスとの邂逅を経て少しずつ力を付けてきた。それでも戦闘力は高いとは言えないが、精神の強さと自立心はかなりのもの。
今回の城奪還の後はしばらくはここで休んでいく予定。
それでは、プレイングをお待ちしています。
第1章 集団戦
『量産型機甲戦乙女『モデル・ロスヴァイセ』』
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POW : モード・ラグナロク改
自身の装備武器を【徹底殲滅モード】に変え、【攻撃力】を上昇させると共に【防御貫通】能力と【高速連射】能力を追加する。ただし強すぎる追加能力は寿命を削る。
SPD : ヴァルキュリアバラージType-S
【最大速度レベル×100km/hでの飛翔】から、戦場全体に「敵味方を識別する【ミサイルの乱射】」を放ち、ダメージと【煙幕による命中力と回避力の低下】の状態異常を与える。
WIZ : 高速狙撃光線銃『ミストルテインII』
【大型の狙撃銃を呼び寄せ装備すること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【超高速のレーザーによる狙撃】で攻撃する。
イラスト:十姉妹
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
オウガによって陥落せしめられた不思議の国。その中央にある城を取り巻く、広大すぎる庭園。
迷路のように張り巡らされた生垣でできたその上に、青き少女の群れが飛んでいた。
「現在の命令は侵入者の排除。外部への侵攻ではありません」
彼女たちは庭園から出る様子はない。だが、不用意に庭園に足を踏み入れるものがあればその銃を即座に向けて引き金を引く。
侵入者はその銃口から逃げ惑い庭園内を彷徨ううち、地を這う石像に追い詰められことになる。そしてそれに触れれば、庭園の外に放り出されることとなるのだ。
投げ出される場所は一定で、そこには息も絶え絶えな愉快な仲間たちが寄る辺なく群れ集っていた。
その仲間たちの中心に、目を引く赤があった。
「無理に行ったって死ぬだけだよ。死んじゃだめ。そこで全部終わっちゃう」
赤いドレスを纏った少女。彼女は死に繋がる行為を拒絶する。先に進むためには生きていなければならないことをよく知っているからだ。
だが同時に、止まっていては滅びが追いついてくることも知っていた。死地を踏み越えて進み続けること、それだけが、この残酷な世界で生き続けるただ一つの方法なのだ。
そして、そのために手段を選んではいけないことも。
少女はふわりと浮き、薔薇の花を足元に積もらせる。
「庭園から投げ出された人は皆ここに来るみたい。だから、ここに来た人を私達皆でやっつける。一人ずつなら勝てるはずだよ。多分あれは……あの怪物たちより弱いはず」
何度も恐ろしい目にあってきた。だからこそ、自分に何ができて何ができないか、彼女はそれを判断することができた。
「……私、あなた達を手伝う。だからお願い、あのお城を取り返して」
少女は現れた存在に躊躇なく縋った。一人でいるときは己になしうるすべてを振り絞ろう。そして己など及びもつかぬ存在が傍にいるなら、その力を傘にしよう。
それは依存というには余りにも潔い。至上の目的を定め、そこに至る最良を躊躇いなく選ぶその姿勢は間違いなく芯の通った心。
彼女のその心に応えられる者。そしてその心を育てた者よ。|薔薇の姫《ラモーナ・ロス》が進みゆく先、|城の臣《愉快な仲間たち》が追われた元への道を開くため、青き戦乙女の支配する庭園に足を踏み入れよ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
ラモーナさん、お久しぶりですぅ。
宜しくお願い致しますねぇ。
『FPS』により迷宮内の情報と敵方の動向を把握、『FLS』の空間歪曲で遠距離射撃に備えまして。
『石像』は経路選択で回避、難しい場合は『FAS』で一時飛行か『FIS』の転移で躱しますねぇ。
ロスヴァイセさん達が見えたら【暜噄】を発動、戦場の『物理&科学属性』を吸収してしまえば【UC】の性質共々『科学の産物』である彼女達の攻め手は封じられますし、彼女達自身の吸収も可能ですぅ。
後は、出来るだけ多数を視界に捉え『万象吸収の波動』で一気に吸収しますねぇ。
飛行と戦闘能力を奪えば『石像』が彼女達を捉え、転移させてくれる可能性も?
前触れもなく起こった猟書家の侵略まがいの事件と、そこからの不思議の国奪還作戦。その中心となっていたのは、この国の元の住人たちではなかった。
彼らを率いようとするのは赤いドレスを纏ったプリンセス。そして、その姫が恃みとするのは。
「ラモーナさん、お久しぶりですぅ。宜しくお願い致しますねぇ」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。この国を訪れたプリンセス、ラモーナ・ロスを幾度となく救い、導いてきた猟兵だ。
彼女が何もできない名もなきアリスであった時から繰り返し関わって来たるこるは、その弱さと強さを良く知っている。そしてそれを知った上で、彼女に『宜しく』と役を任せる言葉を言ったのだ。
「ありがとう……お願い」
ラモーナのその言葉を受け、るこるは今は敵地となっている庭園へと足を踏み入れた。
庭園の中は生垣でできた広大な迷路。道幅は狭く、およそ散策や鑑賞には向いていない。そして生垣の向こう、周囲の全方位からは、何か重いものを引きずるような音が断続的に聞こえていた。
るこるは自身の周囲に涙滴型水晶『FPS』を配置、生垣を通した向こう側までもを探査し進に最適なルートを調べようとする。
だがその瞬間、その輝きを狙うかのように一発の弾丸がるこるの立っている場所を貫いた。
「侵入者発見。共有データ照合……猟兵と確認」
ぎりぎりでそれを躱し上を見ると、そこにははるか上空に幾人もの青き少女たちの姿があった。
少女たちは銃口を向け、次々と銃を撃ちかけてくる。るこるはそれに対し、『FLS』を用い空間歪曲障壁を張ることで直撃を防いだ。
「当たらなくても構いません。我々はただの機銃であればいい」
それにも構わず、少女達は銃を撃ち続ける。直接戦うには遠すぎる高空からの射撃を繰り返すのにはもちろん理由があり。
「なるほど、進み辛いですねぇ」
その射撃をかいくぐりながら接敵しようと進んでいけば、銃声とは違う重い音が徐々に近くなってくる。そしてそれは、目の前の生垣の切れ目、その向こう側からはっきりと聞こえて来た。
それと同時に、るこるの頭上に弾丸が飛ぶ。狙いを付けない滅多打ちの一発が、歪んだ空間を結果的にすり抜けて直撃のコースで来てしまったのだ。こうなれば、音のする方に転がり込むしかない。
しかし、るこるはそれをしなかった。
「この方向ならぁ」
生垣を越えて『FIS』を向こう側にやり、それを目標にしての短距離ワープ。それによって弾丸を避けた向こう側で。
「なるほど、これがそうですかぁ」
兵士のような姿の石像。それが本来ならるこるが飛び出しているだろうその場所に立っていた。
その石像を横目に、るこるは飛び上がる。
「敵急接近。ロスヴァイセ隊、モード・ラグナロク改を起動します」
待ち受けた少女たちは、今度は明確に狙いを付けてるこるに銃口を向けた。
これでるこると量産型機甲戦乙女『モデル・ロスヴァイセ』との戦闘はは開始された。戦場になった空に、るこるもまた自らの力を放つ。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その収穫の理をここに」
その戦場の中の科学の力、それを吸収せんとするるこる。そこに、科学の粋を集めた機械少女たちの徹底殲滅の銃弾が浴びせられた。
それはるこるの全身を消し飛ばさんばかりに打ち付けられる高速連射。それをるこるは避けもせずその身で受けた。
「量産型でも猟書家、ですかぁ……」
科学と物理の力を吸収するその力で、銃という科学兵器の代表格、そして機甲戦乙女という彼女たちの存在自体をも封じる。だが、その吸収に僅かな曇りが感じられた。
世界を渡り、消す、謎と理不尽の塊である猟書家。その量産型である彼女らには、その力も組み込まれているのかもしれない。
しかし、同時に彼女たちは心持たぬ機械でもある。
「エネルギー残量5%……4、3、2、1……機能、停止……」
猟兵の守りさえ抜くほどの力を量産型に込めれば、その体はあっという間ににオーバーヒート。その|耐久力《寿命》は削れ果て、攻撃されぬままに消え失せた。
しかし、それに構う敵は誰もいない。死した仲間に一切の情もなく、自らが死ぬことも厭わない。
もし一瞬で全員が消え果てるとしても、それで敵を倒せるならば彼女たちは出力を躊躇いなくそこまで上げるだろう。だから、その前に。
「ラモーナさん……宜しく、お願いしますぅ」
るこるはここまで吸収した敵の力を、『万象吸収の波動』として放つ。そして、もう一度あの弱く強い姫に『宜しく』と告げた。
その波動に包まれたロスヴァイセが、空中から落ちていく。動く、浮くための科学の力を奪われ、鉄の人形となって地に落ちたのだ。
それはそのまま地に蠢く兵士の石像にぶち当たる。その瞬間、ロスヴァイセの姿は消え失せた。
そしてその瞬間、はるか後方、迷宮の外から大きな破壊音が聞こえた。それは薔薇の姫が、国を奪った不埒者の処断を命じたことを示す音であった。
その音を確かめ、再び前を向くるこる。前には命尽きるまでの攻撃を繰り返す機械人形の群れがまだまだいる。
るこるは彼女らの多くを地に落とす力を何度でも得るため、敵の攻撃を再び身に受けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
御園・桜花
「此の地でこんな純戦闘…少々驚きました、済みません」
「突き抜けた戦闘力の持合せは有りませんが、成し得る限り全力で当たらせて頂きます」
時速760kmと言う低速だが第六感と空中戦や空中機動を生かしてトリッキーな動きで飛行
擦れ違いざまにミサイルや狙撃銃等武装を桜鋼扇でぶん殴り使用不能に
敵の攻撃は第六感と空中機動を組合せた動きで躱す
動きも攻撃も全て第六感任せ
敵を視認していなくても此処を通りそうと言う勘だけで制圧射撃を行ったりもする
「私と貴女達ではジェット機と蝶以上に速度差がありますけれど。交差する一瞬は確かに存在するのです」
「私達の望みは両立しませんけれど…可能ならば、貴女の思い果たす為に、転生を」
迷宮災厄戦が起きたのは2020年8月。もう3年と8カ月も前の事だ。
元々が平和と程遠い世界ではあったが、鉤爪の男が現れるまでは大戦はなく、また彼が倒れてからは散発的に現れるオウガを倒すばかりの依頼が続いていた。
「此の地でこんな純戦闘……少々驚きました、済みません」
その世界で起こった今回の依頼に、御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)はそう漏らす。
なれど、現に今不思議の国は落とされ、それを奪還しようと原住民の愉快な仲間と流れ者の姫が猟兵を恃みとしているのだ。
「突き抜けた戦闘力の持合せは有りませんが、成し得る限り全力で当たらせて頂きます」
依頼を受けたからにはそれを完遂する。桜花は迷宮となっている庭園へと踏み込みすぐに上を見上げた。
「禍福は糾える縄の如し、と言いますでしょう? 今日此の地で幻朧桜が巡らすのは、貴方と私の新たな因果……さあ、話し合いましょう」
そして石像が迫る間もなく、【幻朧桜召喚・因果改竄】を使い空へと舞う桜花。空中をなお埋め尽くしているロスヴァイセたちは、迷宮を越え飛び上がって来た侵入者にすぐ気づいた。
「侵入者あり。迎撃します」
それを即座に叩き落とそうと、一斉に銃を向けて撃ちかける。石像のない空中では追い込みではなく撃墜を目的とするのか、その狙いは正確だ。
それを上下左右に動き、時に急な加減速や停止なども含めたトリッキーな動きで躱そうとしていく桜花。
「ロスヴァイセ隊散開。ヴァルキュリアバラージType-S、一斉発射」
それを逃げ場なく殲滅しようと、大量のミサイルが発射された。それは全方位から桜花を捕らえ、一斉に迫ってくる。
桜花はそれを見て、何となく最初に来そうだと思ったものへ向かった。そしてそれを手にした『桜鋼扇』で殴り、行き先を変える。
それは二番目に来そうだったものに着弾し、共に爆発して消えた。
その後も何となく当たりそうなものを選んで叩き、躱し、そうでないものは適当に動いて躱す。
正確な観測や思考ではない、直感任せの動き方。普通に考えれば敗北必至の自殺行為だ。
だが、桜花の持つ第六感はあらゆる理論や作戦を上回るほどに鋭い。|数値《レベル》化するなら198、猟兵の最大レベルさえ超えるもの。
爆発したミサイルから煙幕が立ち上る。それは桜花の視界を完全にふさぎ、次弾や敵の位置を視認できなくさせる。
その煙の中で、桜花は手にした軽機関銃を辺りにばらまいた。見えていないのだから当然狙いはついていない。だが、それはまるですべてが見えているかのようにミサイルを押しとどめ、ロスヴァイセたちさえも掠めてその動きを牽制していた。
高い射撃技術を全ての感覚を超える直感で放つ。理屈以外の全てが揃ったその射撃は、下手な理屈など凌駕する精密さを持っていた。
それでも、壊されることを恐れない兵器は絶えず向かってくる。それを空中を動いて躱し、桜花はロスヴァイセへと迫った。
最大速度は時速760km。音速に届かないそれは、今や猟兵やオブリビオンなら容易に出せる速さ。しかし、相手はこちらを倒そうと向かってくるのだ。互いが距離を縮め合えば、それは必ず0に帰結する。
「私と貴女達ではジェット機と蝶以上に速度差がありますけれど。交差する一瞬は確かに存在するのです」
煙幕は回避力もまた落とす。さらにロスヴァイセ自身には効果がないため、その距離まで詰めれば躱しきれないほどの射撃が同士討ちさえ厭わずに放たれる。それでも、一体のロスヴァイセとすれ違う瞬間、桜花は鉄線をその銃に、そしてその元となるその身に叩きつけた。
小さく爆発してそのロスヴァイセが消え、そして桜花は銃弾の嵐の中次のロスヴァイセへ同じように飛んだ。
如何に直感を働かせようとここまで近づけば当たる攻撃も増えてくる。それでも、桜花は一人ずつ敵に迫っては自身の花を浴びせながら破壊していく。
「私達の望みは両立しませんけれど……可能ならば、貴女の思い果たす為に、転生を」
壊れゆくその身に自身を取り巻く幻朧桜の桜吹雪を押し当て、そう願いながら。
大成功
🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘グロ×
守護霊の憑依【ドーピング】と
『猟書六重奏・狩人の章』で戦闘力を高め
石像に捕まらないよう、機械の翼で【空中浮遊・空中機動・空中戦】
ええ、この翼は貴女達のオリジナルの物。
識別信号で証明できる筈よ
【気合い・衝撃波】でミサイルを破壊。
【第六感・索敵】のレーダーで煙幕も無意味。
紫炎の雨に擬態した
雷の【属性攻撃・マヒ攻撃・矢弾の雨・範囲攻撃】で反撃。
私は【電撃耐性】で平気
落下する彼女達を受け皿【結界術】で受け止め
【念動力・ハッキング】で私が主だと認めさせ【慰め・生命力吸収】
もし完全なロボットタイプでも【化術】で生身に変える
殺戮兵器のまま終わらせはしない。
オリジナル同様、立派な女の子にしてアゲル♥
庭園の地上は石像、空中は量産型ロスヴァイセが固めている。地上にいる石像は自動で動く故、ロスヴァイセは敵が地上に来るならば追い込み漁のように牽制射撃をかけ、石像に触れようとする。
一方で地上にいなければ石像に触れることはない。
「連なる愛の鎖の中に数多の恋物語を束ね、不変不朽の美と無限無窮の力を今此処に!!」
それ故ドゥルール・ブラッドティアーズは(狂愛の吸血姫・f10671)【猟書六重奏・狩人の章】を使用してから生垣を飛び越え庭園の空中へと進入した。
「敵襲来。今回も飛行型の模様」
敵が空中をくれば、ロスヴァイセはそれを迎撃する。元より空中を抜けられないために上空に展開しているのだ。
「敵追加武装、ロスヴァイセ型機械翼。飛行ユニットとして利用しています」
ドゥルールがユーベルコードで得た飛行能力、それはロスヴァイセたちが背負うのと同じものだった。
「ええ、この翼は貴女達のオリジナルの物。識別信号で証明できる筈よ」
ドゥルールは見せつけるようにそれを使って飛び回る。だが、ロスヴァイセたちはそれに構うことなく銃を向けた。遮蔽物がなく狙いやすいこともあり、牽制ではない当てる気の射撃が容赦なくドゥルールに撃ちかけられる。
遠距離まで届く狙撃銃による連射。そしてその後ろから、大量のミサイルが襲い掛かって来た。
自身を囲むミサイルに、気合と共に乳房を……否、それが変化した巨大な口を打ち合わせそこを起点に衝撃波を発する。物理的な振動を伴う程のそれはミサイルの信管を揺らし、その場で一斉に大爆発を起こさせた。
それは巨大な爆炎と共に、内部に搭載された煙幕弾をも誘爆、辺りを煙で包み込んだ。
視界はまるできかず、敵の姿も見えない。機械翼をレーダーとして用い自身の直感を拡大し、相手の方角を大まかにでも測定するドゥルール。
一方ロスヴァイセたちも、視力以外にも感知手段を持っているのか煙幕外から狙いを付けている。あるいは自分の能力だからそれへの対策は当然とっているということか。それに対しドゥルールは敵の数もあって一人を正確に狙うことは難しい。
ならばと、ドゥルールは上空に紫の炎を大量に撒き散らした。それは火の粉のようになって煙幕の内外、さらに離れたところにいるロスヴァイセ達にまで降り注いだ。
「敵攻撃……少量の熱……否……?」
この程度の火炎なら問題ないと動かないロスヴァイセたちだが、それが体に当たった途端体内の景気が異常を知らせた。それは炎ではなく電撃。そしてそれは体の絶縁を通り越し、体内の機械に異常を齎し始めた。
それは一つ一つは小さく、しかし逃げ場なくまさに雨のように空を埋め尽くす。いかにロスヴァイセの飛行能力が優れていようと、雨粒に等しいものを避けることは出来ない。
だがそれは広範である故に煙幕、そしてその中にいるドゥルール自身にもまた降り注いだ。
体に走る痺れを耐えながら、ドゥルールはロスヴァイセ達に我慢比べを仕掛ける。
「敵、探知、レーダー、え、らー……」
やがて一体のロスヴァイセがそれに耐えられなくなったように、全身の機能を止め落下していった。それは地面に叩きつけられ、やがて石像によって放り出されるはず。
だがその前に、網にかかったように空中でその体は止められた。ドゥルールは高度を下げそのロスヴァイセに手をかける。
「殺戮兵器のまま終わらせはしない。オリジナル同様、立派な女の子にしてアゲル♥」
その服を剥ぎ取って下にある機械の体を生身に変え、そこから生命力を吸収する。|ただ一つ《鉤爪の男への忠誠》を除き感情を持たないロスヴァイセはそれに反応をすることはないが、ならその電脳を書き換えてくれようと変わらず自分もろとも痺れさせる電撃に乗せ、生身に化けさせた体に洗脳術を施して自分が主だと認めさせようとする。
やがてその一体が消滅すると、上からたどたどしく続いていた銃撃が弱り、また次の青い乙女が落ちてくる。
それからもドゥルールは紫雷の天から青が降るのを待ち、その機甲を剥いでは乙女を吸い上げていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
レイカ・ヴァンスタイン(サポート)
フェアリーの聖者×プリンセス、11歳の女です。
戦闘は苦手で援護や救助、支援など中心です。
武器は人間大の人形(銃火器持)ですので、運搬作業も可能です。
普段は悪戯(許せる範囲)で遊ぶ※戦闘とは別です。
普段の口調は「マイペース(ウチ、相手の名前+ちゃん、なの、なの?)」
苦しい時は「愛想笑い(ウチ、相手の名前+ちゃん、なの、なの?)」です
難しい漢字は使わずに喋ってます。
・ユーベルコードは必要に応じて、多少の怪我は厭わず積極的に行動(支援中心)します。
・他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。公序良俗に反する行動はしません。悪戯も笑って許される範囲までです。
・あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
空を舞うロスヴァイセたちの数は目に見えて減っていた。これならば全て駆逐するのも不可能なことではない。レイカ・ヴァンスタイン(銀光精・f00419)は宙を舞う見上げそう確信した。
そしてまた、ロスヴァイセの機械の目も地にいるフェアリーの小さな姿を確と見据えていた。
「小型の侵入者。ミストルテインIIの使用を申請します」
ロスヴァイセの一体がどこかへ向けてそう呟くと、後方から航空部隊かと見まごう程に大量の大型狙撃銃が飛来、それがロスヴァイセ一人ずつに行き渡りその巨大な銃口がレイカに向けられた。
それに対抗するように、レイカは生垣の上に立つようにして七体の人形を並べた。虹の七色を持つその人形たちは不思議の国には似合いの華やかさであり、また七つ並んだ人型は小さなレイカをその影に隠すには十分な大きさであった。
それに向かい、狙撃銃が放たれた。それらはいくつもの光の束となり、生垣諸共人形を貫いた。
紫色の光線が辺りをその色に染め、光に包まれた者を消し飛ばしていく。人形たちもまた、その光が当たった瞬間に微塵に砕け、消えていった。
やがて光線の雨がやみ、そこには一部が消し飛ばされ小さな広場ができたような迷宮があった。
「敵反応……消滅せず」
しかし、ロスヴァイセはそれで油断するようなことはなかった。確かに消し飛ばしたその場所、そこから敵の存在はまだ消えていないとその感知機関が教えていたのだ。
どこへ、それを探そうとした瞬間、空中でがくりとその体勢が崩れた。
「花吹雪は星の煌めき寄りて、禍の者を攻め立てん」
その声は、ロスヴァイセたちの集団の中央から聞こえていた。そしてそこを中心に舞うのは焼き払った生垣の燃え滓……否。
それは【煌星野分】の雪柳。全てが『武器』である人形たちを打たれた瞬間雪柳の花びらに変え、生垣が消し飛ばされるのに合わせて空に舞わせたのだ。
その花は自身を中心として攻撃するため、自分もまたフェアリーの羽根を持って空へと飛びあがった。
ロスヴァイセたちは宙を舞う小さな姿を捉え、撃ちぬこうと狙撃銃を向ける。レイカは人形と星明りの混ざる吹雪を濃く、広く舞い散らせることで自身を視認しづらくし、その照準を絞らせまいとした。
そして、相手が捉えきれずにいるうちに雪柳はロスヴァイセを少しずつ破壊していく。
レイカは相手を傷つけ、倒すことは得手ではない。相手は量産型とはいえそのベースは猟書家。倒しきるには相応に時間がかかるだろう。
だが、今回に限れば。
「みなさん、がんばってですの」
相手の飛行用の翼を破壊する。それで空中に留まることさえできなくすれば、庭園に落ちて石像に補足されることになる。そうすれば。
「来たよ……皆!」
薔薇の積もった処刑場へ、侵略者が送られた。
この国を取り戻すためなら人に頼り、|残酷な手段《袋叩き》さえできる者たちが外にいるのだ。その彼らに頼れば良いと、レイカの高い瞬間思考力は弾きだしていた。
全ての機甲戦乙女が地に落ち、処される。そうして青が晴れた向こうには、やはり敵の手に落ちた城が聳えているのであった。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『MW-01マインカンプ』
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POW : 侵略蔵書「鉄騎戦史」
攻撃が命中した対象に【プラス感情に比例した味方への敵愾心】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【味方からの攻撃と認識してしまう銃撃の嵐】による追加攻撃を与え続ける。
SPD : RS対人用自律行動型無人殺戮兵器
自身の【装備したレベル個の運搬用コンテナ】から【レベル×100体の対人用小型無人殺戮兵器】を放出し、戦場内全ての【人型生物及び同サイズ程度の敵性存在】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
WIZ : RS-B対人機関砲&RS-A対物機関銃
【低威力高命中の対人機関砲による牽制】が命中した対象に対し、高威力高命中の【両腕に装備した機関銃から連射す徹甲榴弾】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
イラスト:右ねじ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ノヴァンタ・マルゲリータ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「我ガ主ヨ、命令ヲ―」
「質問を理解できません」
「我ガ主ヨ、命令ヲ―」
「質問を理解できません」
城の中、間の抜けたやり取りを繰り返す無機物たち。
一つは、うわごとのように同じ言葉を発する鉄騎。一つは、聞かれたことに同じ答えを冷たく返す鏡。
その冗談のような光景に何かを言う者は誰もいない。この城の中にいた生命は、全て命持たぬ機兵たちが追い出してしまったのだ。
その機体に備えられた探知機関が、緊急の信号を発した。
「ロスヴァイセ隊全滅―コードレッド発令」
その信号を解析し、戦闘機械としての電子頭脳が回転し始める。
「第二種戦闘配置。敵情報ヲ要求」
「お答えします。敵は猟兵複数。及び援軍としてこの国の原住民に担がれたプリンセスが一名」
冷静かつ明確な質問に、鏡は正確な情報を答えた。
「猟兵ノ能力ハ都度要求スル。援軍詳細ヲ」
「援軍は飛行及び歌唱による精神操作能力を持ちます。種族はアリス……情報更新、オウガブラッドです」
鏡には赤い髪とドレスの少女が映る。アリスとしての力を使いこなせなかったその姫は、どこで拾ったのかオウガの力をその身に宿していた。
その姿を見た時、機兵の電脳にまたノイズが走る。
「オウガブラッド―アリス狩リ―我ガ主ヨ―」
「質問を理解できません」
一時的に走ったそれを掻き消すように、鉄騎は再び明確な言葉に戻る。
「『MW-01マインカンプ』スタンバイ。敵進軍ルート及ビ詳細能力ヲ開示セヨ」
「お答えします。最初の猟兵は……」
無機物たちが冷徹に敵を迎え撃つ準備をしている時、城の入口でもまた。
「ありがとう。このお城の中の鏡は聞けば何でも答えてくれるみたいだよ」
敵のいなくなった庭園を飛び越えてきた姫が、猟兵に並ぶ。
「ねえ……この力って、何なの?」
「お答えします。ラモーナ様はオウガブラッドとして【オウガ・ゴースト】の能力を獲得しました」
聞かれたことに端的に答える鏡。それは城の奥、|機兵《マインカンプ》に答えたのと全く同じ形。この鏡は聞かれたことに正しく答える、それだけの存在なのだ。
彼女に、そして敵に倣い、猟兵もまたこの鏡を利用するのもいいだろう。さあ、攻城戦の始まりだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
断章にある通り、この章ではラモーナはオウガブラッドとしての能力も使用できます。協力させる場合は参考にしてください。
御園・桜花
鏡に
「貴方が回答を認識出来る空間…距離と範囲は何の位ですか」
「此の世界に今オブリビオンフォーミュラは居ますか」
「フォーミュラは滅ぼしても新たに生まれるものと聞いていましたから…分かるなら聞いてみたいと思ったのです」
「貴方の主は今此の世界に居ないそうです。私達は貴方と共存出来ません。そして骸の海からなら、彼の方の後を追う事は出来るかもしれません。せめて貴方にも、叶う望みと幸せが有りますよう」
UC「侵食・花霞」
物理攻撃無効
通電物質内移動
の能力を持った稲妻の速さで進む花霞と化しマインカンプに纏わり付き内部侵食
雷鳴電撃で内部機構を焼き尽くす
「御免なさい。貴方にも何時か救いがありますよう」
鎮魂歌歌い送る
不思議の国に聳える城、その中にはいくつもの大きな鏡が並んでいた。その鏡を見て、御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は問う。
「貴方が回答を認識出来る空間……距離と範囲は何の位ですか」
「お答えします。この不思議の国の中にある存在、及びこれまであった事象については全てを認識できます」
この『真実の鏡』はこの不思議の国の中の事であれば、例えそれが遠い過去の事や、この世界に因らない来訪者の事でも全てが答えられる。
それを聞き、桜花はもう一つの問いを投げた。
「此の世界に今オブリビオンフォーミュラは居ますか」
「お答えします。オブリビオンフォーミュラはこの世界には存在しません」
真実を知るものからの、端的かつ明確な答え。それを確と聞き、桜花は城の奥へと進んでいった。
「敵進入確認。敵種族『桜の精』ノ特徴ハ」
「サクラミラージュに生育する『幻朧桜』の特性を持つヒューマノイドです。生物的には大部分が人間、及びアリスと合致しています」
アリスラビリンスにいない種族でも、当人がこの不思議の国にいればその情報を鏡は知ることができる。その特徴を聞き、人間とほぼ同じと判断したマインカンプは即座に使うべき兵器を決定した。
「RS対人用自律行動型無人殺戮兵器準備。敵効果範囲内到達マデノ時間ヲ計測セヨ」
「お答えします。残り227秒です」
機械の体から、大きなコンテナが広げられる。そして鏡が告げた時間が過ぎた時、その蓋が開いた。
そこから、ごく小さな車輪のようなものが大量に飛び出して一斉に一方向へと向かう。そこには、マインカンプの探知範囲にたどり着いた桜花の姿があった。
大量の対人殺戮兵器が、人型生物である桜花を抹殺しようと迫る。
「骸の海から世界を引き入れる。過去を纏った幻朧桜の桜吹雪は、此の地の物理法則も変じるのです」
その体が完全に|無力化《破壊》される瞬間、桜花は【侵食・花霞】を発動。桜花の体が人型から崩れ、無数の桜の花びらへと変わった。
「ターゲットロスト―再検索」
その場に『人』がいなくなったことで対人兵器たちは目標を見失う。だが、マインカンプはカメラアイを光らせ桜花が変じたものを確かに捉えた。
「ターゲット群体化。総質量計測―変更ナシ」
大量の花びらが今の桜花の姿だと確認し、そしてターゲットを『人型生物』から『同サイズの存在』へと変更する。そしてその再定義を受け、殺戮兵器たちは再び桜花へと殺到した。
次々と花びらを切り刻もうとする兵器たち。しかし、それは桜花の命を刻むには至らない。
そのまま桜花は、マインカンプにぶつかった。物理攻撃を無効化し、通電物質を通り抜ける体でマインカンプの中へと桜花は入りこむ。
そしてそのまま、雷鳴電撃を体内から放つ。
「内圧異常―緊急冷却、予備電源起動―」
機械を破壊することに特化したようなその能力。しかし、マインカンプは機械であるが故にそれを責められた時の対策は設けられていた。
内部機関を修復し、過剰電力を排出しようとするマインカンプ。
敵の体外へと押し出されそうになる桜花は、これを伝えねばと内部より囁いた。
「貴方の主は今此の世界に居ないそうです。私達は貴方と共存出来ません。そして骸の海からなら、彼の方の後を追う事は出来るかもしれません。せめて貴方にも、叶う望みと幸せが有りますよう」
猟書家の居場所はもうここには無い。オウガ・フォーミュラは全て|滅ぼされた《骸の海へ還った》のだ。ここで戦い続けることに意味はない。下される命も、捧げる主もないのだと。
「望ミ―幸セ―理解不能―」
誰も答えない呟き。体内にいる桜花にも、明確なそのノイズ音が聞こえた。
「御免なさい。貴方にも何時か救いがありますよう」
心も魂もないはずの、しかし機関よりも電脳への傷で動きを鈍らせたそれへ、桜花は敵を焼きながらその中で鎮魂歌を歌うのであった。
成功
🔵🔵🔴
印旛院・ラビニア(サポート)
・境遇的なものもあり、思考や嗜好は成人男性のものです(恥ずかしい境遇なので自分からは喋らない)
・基本的にはヘタレで気弱、慎重な面がありますが、物事がうまくいったり周りに煽てられるとイキり散らかして墓穴を掘ることもあります
・なんだかんだで人がいいので困っている人につい手を差し伸べたりしちゃいます
・やり込みゲーマーで現状を学ぶ【学習力】と自分のプレイに【チューニング】できる応用力が武器
UCは指定した物をどれでも使用し、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。えっちな展開はコメディ目であれば許容
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
アラタマ・ミコト(サポート)
|荒魂鎮神命《あらたましずむるのかみのみこと》でございます。
此度は妖討伐の任を受け馳せ参じてございます。
極楽浄土より持ち帰りし法具の力を開放いたします。
活路は切り開きませたでございましょうか?
例え内部を傷つけられ思考にノイズが走っても、新たな敵襲をセンサーが捉えればマインカンプはすぐに戦闘態勢に切り替えられる。
「敵二体感知。情報ヲ要求」
「射撃型が一名、特殊攻撃型が一名の編成です」
二人の敵が来ることを伝えられ、マインカンプは迎撃の用意を整える。だが、城を抜けて彼の元へ来た猟兵は一人だけであった。
「|荒魂鎮神命《あらたましずむるのかみのみこと》でございます。此度は妖討伐の任を受け馳せ参じてございます」
マインカンプの前に現れたのはアラタマ・ミコト(極楽浄土にて俗世に塗れし即身仏・f42935)のみ。だがマインカンプの電脳はそれにうろたえるようなことはない。
「サイズ測定―RS対人用自律行動型無人殺戮兵器有効」
相手が人型の存在であると確認し、マインカンプは殺戮兵器を振りまいた。それはアラタマの体を刻み、制圧しようとする。
「玉よ、剣よ」
殺到する兵器に、自身の持つ鏡と勾玉を使い防御結界を敷く。勾玉から湧く力が兵器が進む速度を抑え、迫り来たものは剣を振るって叩き落とす。
そのままじりじりマインカンプに近づいていくが、マインカンプはそれを自身の機銃を向けて迎撃した。それに対しては鏡を盾のように使い、直撃を防いで進んでいく。
「敵射撃手有効射程距離ニ確認デキズ―配置詳細ヲ」
アラタマを狙いながらも、もう一人の姿が確認できないことを鏡に問う。それに対しての答えは。
「お答えします城入口近辺」
「召喚!盾の戦乙女・ランドガルダ! あらゆる災厄からみんなを守れ!ヘルヴォール・ドライブ!!」
「情報更新、特殊型の真上です」
答えと重なるように、もう一人の猟兵印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)がアラタマの頭上に現れた。それと同時に、彼の従えた【盾の戦乙女・ランドガルダ】に向けて殺戮兵器たちが殺到する。
「待たせたね、ありがとう!」
「これもお役目なれば」
アラタマに礼を言いながら、ラビニアは手にしたアサルトライフルをマインカンプへ撃ちかけた。それは一丁の銃ながら、相手の体に複数ある機銃にも負けないほどの勢いで敵の装甲を穿つ。
「敵能力『白馬の王子様』類型ト推定―」
同じ世界にいる味方の元へワープする、アリスラビリンス由来のユーベルコード。だがそれにない効果として、ラビニアの戦乙女は敵の攻撃を自身に引きつける効果がある。
紛れもなく人型であるその戦乙女は殺戮兵器の標的に選ばれ、その制圧を一身に受けることになる。だが、盾の戦乙女の名の通りにその役目はまさに攻撃を受けること。その間に、ラビニアは守りを気にせず攻めに出られるのだ。
「ほらほらほらほら、人間サイズに負けちゃうのロボットさん!」
いかにもな戦闘ロボットという形をしたマインカンプに、調子に乗りながらアサルトライフルを打ちかけるラビニア。この性格で痛い目を見てしまうこともしばしばだが、今回はそうはいかない。
「敵攻撃力―」
「こちらも」
ラビニアの戦力を分析しそちらに攻撃しようとすれば、やはり守りの軛が解けて素早く駆け寄っていたアラタマが剣でマインカンプを一突きにする。
「装甲47%破損―内部機構―動力異常―」
自身の負傷度合いを分析するマインカンプ。そこに生物としての痛みや恐怖はないが、それは自身が敗北に間違いなく向かっているデータを彼に伝えていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ステラ・スターライト
マインカンプ。
貴方が人を戦乱に巻き込むために作られたロボットだというのなら、
私はこの|勇者のアバター《人を守るための力》をもって貴方を倒す!
剣と衣以外の装備を外しておく。
鏡に尋ねるのは、敵が得ているこちらの情報とその更新頻度。
装備・非装備のアイテム、技能、そして、UC。
知られていない情報があるなら、それらを利用して倒すことを目指す。
全アイテムを装備。
UCで強化した《腕環》の力で敵に向かって飛翔。
敵の攻撃は《雷撃》で迎撃するか、空中機動で躱す。
当たってしまった場合は、強化した《耳飾り》で状態異常を無効化する。
接敵したなら剣を強化して攻撃。
装甲を貫くことができたなら、内部に《雷撃》を放つ!
例え戦況がどのようなものであろうと、マインカンプの任務遂行の意思は挫けない。それは心を持たぬ機械故の当然のことと思えるが、同時に彼がしばし漏らす|譫言《ノイズ》と共に今は亡き主への妄信のようにも見えてしまう。
いずれにせよ、まだ敵が来るのなら彼はそれに備える。
「次ノ敵ノ特性ヲ」
「お答えします。ゲームプレイヤーの勇者 × 正義の味方。ユーベルコード【光の祝福(シャインブレシング)】、装備品に依存した能力を持ち、その性能や付随技術を極限まで高めて使用します」
「装備詳細ハ」
「サムライブレイド『勇者の剣』貫通攻撃80、決闘14。 武者鎧『勇者の衣』オーラ防御80、決闘12。以上です」
「了解―敵能力予測―単独ニヨル短期決戦仕様ト想定」
たった二つという乏しい装備。だが、戦うに必要十分かつ汎用性は高く、それに付随する技能は相応に高レベル。恐らく一騎打ちスタイルで来るだろうと予想を付けマインカンプは敵を待った。
そして同じころ、ステラ・スターライト(星光の剣・f43055)も敵の情報を得るため鏡に質問していた。
「敵が得ているこちらの情報とその更新頻度を教えてくれ」
「お答えします。種族、ジョブ、装備品、技能、使用ユーベルコードについて情報を得ています。情報更新は立案した作戦に不備不測が生じた際その修正の為に行います」
ステラが問うたのは、自身の情報がどれだけ漏れているか。その答えを聞き、剣を携え衣をまといステラは城の奥へと進んだ。
「マインカンプ。貴方が人を戦乱に巻き込むために作られたロボットだというのなら、私はこの|勇者のアバター《人を守るための力》をもって貴方を倒す!」
そして、敵に相対した時剣を構え、ステラいかにも勇者然としてマインカンプに見栄を切った。それに対する殺人機械の返答は、無慈悲な機銃の嵐。
剣の間合いには決して近づかせぬと飽和攻撃気味に繰り出される銃撃をオーラを張って防ぐが、すぐに防御に手いっぱいになって足は進まなくなる。
敵は完全にこのままこちらを封殺するつもりだ。それを察し、ステラは一瞬オーラの守りを薄めた。
其処を貫き、銃弾がステラの体を掠めだす。その中で腕をかばうように蹲すステラ。その腕には。
「いくよ!」
彗星の如く飛び、ステラは一気にマインカンプとの距離を詰めた。それは跳躍ではなく飛翔。人の身には普通成し得ないもの。
「敵行動データ外―情報訂正ヲ」
「追加装備、羅刹紋『彗星の腕環』空中機動80、決闘23」
「敵能力上方修正―侵略蔵書「鉄騎戦史」発動」
飛び来るステラを銃弾が捉え、さらには銃座がないはずの全方位からまで追加の銃撃が降り注ぐ。それをステラは素早く飛んで躱すが、どうしても避け切れぬ者が掠め、それと共に心に暗い影が差す。
守るべき人が、頼もしき仲間が、自分を殺そうと攻撃してくる。それは勇者にとって何よりの絶望であり、最後の敵を倒した勇者が辿る悲劇の末路。
「違う……これは混乱や裏切りじゃない……!」
その心が侵されぬ間にと、ステラは自身の耳を撫でる。そこについたのは呪詛耐性を持つ『双星の耳飾り』。
装備を付け直すという隙と引き換えに、ステラは自身の能力を相手に事前に悟らせぬことで敵が必ず後手に回るよう仕向けていた。
守られた心に押されるように、銃弾の中を一気に突っ切る。その身からは、破邪の電撃が少しずつ湧き出して銃弾を叩き落としていた。
「雷属性―詳細ヲ―」
マインカンプが問おうとした時、その胸に最初から携えていた『勇者の剣』がつき立った。そして、そこから神々しき電撃がマインカンプへと流し込まれる。
「魔法印《雷撃》、勇者の雷電とされる呪文です」
強化を剣へ、そして雷撃へ。攻めるために力を注げば守る力は薄れるが、この一撃を打てるなら。
「平和な世界を作るため、あなたを倒す!」
世界を争いに包もうとする悪しき怪物を、曇りなき勇者の雷が貫いた。
体から黒煙を上げながらマインカンプは呟く。
「バックログ検索―我ガ主ノ発言履歴ニ―該当ナシ―」
その己と真逆の一途なる願いを聞きながら、勇者は敵から剣を抜くのであった。
成功
🔵🔵🔴
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
ラモーナさんも、着実に腕を上げておりますねぇ。
参りましょう。
まず『FLS』の空間歪曲障壁と『FES』の対物理結界を重複、『FPS』の探査も併せまして。
『鏡』に『敵機の得た知識と動向』を尋ねますねぇ。
私が【獵妝】を発動すれば『対キャバリア限定完全無敵状態』となる以上、敵機が狙えるのは『発動前の速攻』か『効果切れ後』の二択、前者であれば探知結果に合わせ『FIS』の転移回避と多重防御で対処、後者なら更に『居場所』を尋ね、発動後に『FIS』で転移し追詰めれば良いでしょう。
何方にせよ直接会敵直後に『FMS』のバリアで封鎖し逃亡阻止、『祭礼の女神紋』で『祭器』に同様の『強化』を施せば、キャバリアで有る限り突破は不可能ですぅ。
敵機自身の状況的にも、早めに『還して』あげた方が良さそうですので、新兵装『FHS』の斬撃を含めた多重攻撃に加え、ラモーナさんにも[追撃]を要請、集中攻撃で確実に仕留めましょう。
ラモーナさんは、此方で暫く一休み、ですかねぇ?
何かお要りようでしたらご遠慮なく。
「損傷拡大―出力低下―」
幾度となく打たれ、既に満身創痍のマインカンプ。鏡に聞くまでもなく、己の身が危機に瀕していることは理解できた。
それ故、次の敵は絶対に仕留めなくてはならない。
「次ノ敵構成ハ」
「お答えします。次の敵は高レベル猟兵一名、及び援軍としてプリンセスを従えています。自動で動き防御、調査機能を持つものを含む兵器を大量に使用し、対キャバリア特化ユーベルコードを用います」
本来ならばクロムキャバリア以外では使い道のなさそうな技。しかし、そここそが鉤爪の男、そしてマインカンプの出身地であり、そこから|この世界《アリスラビリンス》を侵略に来た彼らにとってはまさに特効の技だろう。
「了解―対策プラン考案」
鏡は質問に答えるだけで作戦立案はしてはくれない。自らの電脳によって己を殺す技の対策を考え、マインカンプは敵襲に備えた。
「ラモーナさんも、着実に腕を上げておりますねぇ」
そして城の入口。夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は共にいる赤いドレスの少女にそう告げた。
最初は名も知らぬ存在。名を知った時も、猟兵ならぬ身としても弱い部類に入る庇護対象。それが幾度かの邂逅と、その間の独り行く苦難の旅路を経て猟兵にとっての『援軍』と見なされるまでになった。
彼女は強くなろうとしたことは一度もない。なれど、常に生きようとしていた。そしてその意思こそが彼女の力なのだとるこるは知っている。
「参りましょう」
その力と共に行くため、るこるは彼女を伴い城の内部へと進んだ。
城の中で装備を使い、周囲の状況の探査と防御を形成する。そして傍らにある鏡に、るこるは質問を投げた。
「『敵機の得た知識と動向』をお尋ねしたいのですがぁ」
「お答えします。敵機はるこる様の装備と使用予定ユーベルコード、及びラモーナ様帯同を知り、自身の考案した対策に適したと思われる城奥部、玉座の間で戦闘態勢を整えています」
敵が自身のユーベルコードを把握していることは想定済み。そしてその上で取る対策は『発動前の速攻』か『効果切れ後』の二択だろうとるこるは踏んでいた。向かってこないということは選んだのは恐らく後者。ならばこちらから攻め込んでくれようと、るこるはその部屋へと踏み込んだ。
「敵襲来。プランAニ従イ行動」
るこるの姿を確認すると同時に、体についた機銃を乱射するマインカンプ。その行動は予想の内とばかりに、るこるは予定通りにバリアを使い敵の退路を封鎖、加えて『祭礼の女神紋』で『祭器』を強化する。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その狩人の様相をここに」
加えてるこるは【豊乳女神の加護・獵妝】を発動。体を三倍の大きさに巨大化させ、対キャバリア無敵状態となった。
「敵強化状態発動。プラン変更ナシ。侵略蔵書「鉄騎戦史」使用」
撃たれる機銃が弾かれるのを見たか、マインカンプは静かにその向く先を変える。その狙う先にいるのはラモーナだった。
自分が狙われたのを察し、ラモーナは宙を舞い懸命にかわす。だが長いスカートが銃弾に貫かれると同時に、その軌道が著しくぶれ始めた。
「いや……やめて……!」
さらにそれを狙うように、銃のない周囲からもその体を消し飛ばそうと銃弾が雨の用に降り注ぐ。
その銃弾はダメージもさることながら、発射方向を味方からのものと誤認させる効果がある。そして心の強さ、プラスの感情を反転させて敵愾心に変えるものも。
それに晒されるラモーナを、るこるは三倍の大きさとなった巨体で包み庇う。
「大丈夫です、こちらは味方です」
無数に撃ちかけられる銃弾はるこるの体に弾かれる。もしこれがラモーナに届けば、彼女の命は勿論危ない。また耐えきれても、奇しくもたった今彼女は直接攻撃する力を得たばかりなのだ。敵味方を彼女が誤認すれば、キャバリアではない彼女の攻撃ならば今のるこるにも通じてしまう。
それがないように、巨大な身体でラモーナの細い体を守り、諭す。
「向かうべき場所は、あなたならお分かりかと」
ラモーナに先へ進む強い意志があるのは知っている。そして今向かうべきはこれと、るこるは兵装をマインカンプへ差し向け攻撃させた。
「敵攻撃力測定―異常数値―計測困難―」
ラモーナを庇い、呼びかけながらの攻撃。だがそれはユーベルコードが乗っていることを加味してもあまりにも正確で強い。オーバーロードの力にマインカンプの計測が追いつかず銃撃が緩んだところで、ラモーナの意思を込めた目がマインカンプを捉えた。
「どうか、宜しくお願いしますぅ」
庭園から三度の『宜しく』の言葉。それに答え、ラモーナは手をマインカンプへ向けた。
「出てきて……私の力……!」
それに応えるように薔薇の花吹雪が舞い、それは兵士のような人型に固まった。
一斉に敵へ向かっていくそれを、マインカンプのカメラアイが捉える。
「敵能力『オウガ・ゴースト』照合―『チャンピオン・スマッシャー』―不一致。『愛獄人魚マリーツィア』―不一致。『エンデリカ』―部分一致。『鉤爪の男』―再照合―再照合―理解不能―」
対応のためか能力を解析しようとしたマインカンプの計器が、あり得ないとエラーを吐き出した。
果たして彼が見たものは何か。だがそれに構わず、兵の持つ槍がマインカンプの装甲に突き立った。
「彼自身の状況的にも、早めに『還して』あげた方が良さそうですので」
るこるが|戦乱を撒く冷徹な殺人機械《主の影を見るたび取り乱すなりそこない》へ、対機械の力持つ新兵装『FHS』を差し向ける。それは兵が穿った傷を楔にするように、機械の体を多重に切り裂いた。
「敵闘争能力―オウガ・フォーミュラ級――闘争可能範囲―測定不能―我ガ、主ヨ―命、令――ヲ――……」
最後まで自身の存在意義を主に問いながら、取り残された鉄騎兵は爆発を起こし消えた。
爆炎が収まると同時に、ラモーナの体が地に落ちドレスがくたびれた服に変わる。こんな長時間『変身』していたのは初めてなのだろう、床に座り込んだまま荒く息をついて動かない。
「ラモーナさんは、此方で暫く一休み、ですかねぇ? 何かお要りようでしたらご遠慮なく」
食料、医薬品、装備、彼女に必要なものは色々とあるだろう。その様子を見て、るこるが声をかけ、ラモーナも疲れた頭で考える。
そこに鏡にでも聞いて決着を知ったか、外にいた愉快な仲間たちがなだれ込んできた。
「姫……」
「姫様……」
「ラモーナ姫……」
愉快な仲間たちは座り込んだラモーナを担ぎ上げ、玉座へと座らせる。それは疲れ果てた様子の恩人を少しでも楽そうな場所に座らせたのか。あるいは。
「うん、ありがとう……」
弱々しい声で言いながらるこると愉快な仲間たちに笑いかけるラモーナ。
通常のアリスと違う力を持った彼女がこれからどのような道を行くのかはまだ分からない。だがその前にここで少しでも安らいでいければと、るこるは強く育った薔薇に願うのであった。
大成功
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